(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-12
(45)【発行日】2023-07-21
(54)【発明の名称】対象物、特に建造物を検査するための構成および方法
(51)【国際特許分類】
G01M 99/00 20110101AFI20230713BHJP
【FI】
G01M99/00 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022004425
(22)【出願日】2022-01-14
(62)【分割の表示】P 2019108811の分割
【原出願日】2013-10-30
【審査請求日】2022-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】516129530
【氏名又は名称】スクリーニング・イーグル・ドリームラボ・プライベート・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SCREENING EAGLE DREAMLAB PTE. LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ポーザー,マルセル
(72)【発明者】
【氏名】リム,マルコム
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-248404(JP,A)
【文献】特開2006-189422(JP,A)
【文献】特開2007-305147(JP,A)
【文献】特開2001-282349(JP,A)
【文献】国際公開第2013/030929(WO,A1)
【文献】特開2013-149042(JP,A)
【文献】特開2001-289827(JP,A)
【文献】特開平11-327628(JP,A)
【文献】特開2010-266977(JP,A)
【文献】特開2000-228058(JP,A)
【文献】特開平10-160422(JP,A)
【文献】特開2007-132915(JP,A)
【文献】特開2002-323401(JP,A)
【文献】特開2009-108849(JP,A)
【文献】特開2004-206484(JP,A)
【文献】特開2002-287815(JP,A)
【文献】特開平08-086615(JP,A)
【文献】特開平07-056624(JP,A)
【文献】国際公開第2013/043574(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0115816(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を検査するためのシステムであって、前記対象物は建造物であり、前記システムは、
前記対象物に割当てられた測定値を現場のユーザによって特定するためのモバイル測定ユニットを備え、前記モバイル測定ユニットは、前記システムのさらなるユニットとデータ交換するためのインターフェイスを有し、前記システムはさらに、
ベースユニットを備え、前記ベースユニットの中に、前記モバイル測定ユニットによって通信されるデータセットが記憶可能であり、かつ視覚的に表現可能であり、前記ベースユニットは、少なくとも前記モバイル測定ユニットおよびプロプライエタリまたはパブリックネットワークとデータ交換するためのインターフェイスを有し、前記システムはさらに、
前記測定値が特定される測定位置を検出するための前記
モバイル測定ユニット内の検出手段を備え、
前記モバイル測定ユニットによって特定された前記対象物の要素の内部構造に関する測定値は、少なくとも前記検出手段によって検出された測定位置とともに、前記
モバイル測定ユニットによってデータセットとして前記ベースユニットに自動的に通信可能であり、
前記モバイル測定ユニットは、前記対象物の要素の内部構造に関する測定値を非破壊的に特定するように設計され、前記要素は前記建造物のアクセス不可能な部品であり、前記モバイル測定ユニットは、透過レーダおよび/または誘起された渦電流および/または導電率測定および/または電気抵抗測定および/またはポテンシャル場測定および/または誘導式補強材位置探知および/または容量式補強材位置探知による
モバイル測定ユニットであり、
前記ベースユニットの前記インターフェイスは、パブリックまたはプロプライエタリ外部ネットワークにリンクするように設計され、
前記システムはサーバを備え、前記ベースユニットは、前記パブリックまたはプロプライエタリネットワークを介してデータ交換するために前記サーバにリンクされるかリンク可能であり、
前記サーバには、許可ユーザがネットワークを介してアクセス可能であり、
前記サーバは、検査対象の前記対象物に割当てられる少なくとも1つの記憶データ構造を備え、
前記サーバは、前記ベースユニットによって通信される前記データセットを前記データ構造に統合するように、かつ、統合された前記データ構造を前記許可ユーザおよび/または前記現場のユーザに与えるように設計され、
前記サーバは、前記統合されたデータ構造に基づく検査対象の前記対象物のアクセス可能な3次元仮想モデルを、前記現場のユーザにリアルタイムで与えるように設計され、
前記統合されたデータ構造およびそれに基づく前記仮想モデルは、前記対象物の要素の内部構造に関する前記ベースユニットによって通信される前記データセットを含み、前記要素は前記建造物のアクセス不可能な部品であり、
前記仮想モデルは、前記現場のユーザが前記仮想モデルと対話できるように、前記ベースユニットおよび/または前記
モバイル測定ユニット上で前記現場のユーザに対して視覚的に表現可能であり、前記仮想モデル内の前記内部構造は半透明壁を介して可視的に表現可能であり、前記対象物の検査は前記仮想モデルを通じて前記許可ユーザにとって追跡可能であり、前記検査は前記サーバを通じて前記許可ユーザによって影響され得る、システム。
【請求項2】
前記検出手段はキャプチャユニットを備え、前記キャプチャユニットは、前記モバイル測定ユニットによる前記測定値の特定を、前記キャプチャユニットによって写真でおよび/またはフィルム上にキャプチャ可能であるように、設計され、かつ、測定位置における前記測定値の特定の前に位置決め可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
少なくとも前記測定値の特定時の前記モバイル測定ユニットおよび/または前記現場のユーザならびに前記測定位置の環境を含む少なくとも1つの視野が、前記キャプチャユニットによって検出可能であり、前記キャプチャユニットのカメラは、パノラマカメラとして設計され、および/または、広角レンズもしくはフィッシュアイレンズを備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記仮想モデルおよび/または補足された前記仮想モデルからビューが生成可能であり、前記ビューは前記キャプチャユニットの所望の位置ならびに所望の視野方向および視野角を表示し、前記キャプチャユニットの前記視野の中で、測定位置が前記建造物の異なる部品の上にマーキングされ、前記ビューは視認者への測定命令であり、前記測定命令は、前記ベースユニットに、および/または前記モバイル測定ユニットに、および/または前記現場のユーザに通信可能である、請求項2または3に記載のシステム。
【請求項5】
マーキングユニットが存在しており、前記マーキングユニットによって前記測定位置を前記対象物上にマーキング可能であり、前記マーキングユニットは、前記測定値の特定時に前記測定位置をマーキング可能であるように前記
モバイル測定ユニットに統合され、前記対象物に割当られた前記データ構造および前記対象物自体が同じマーキング表示を備えるように、マーキングデータが前記ベースユニットに通信される、請求項2~4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記検出手段は座標格子を備え、前記座標格子はレーザによって投影され、前記座標格子によって測定位置が特定可能である、請求項2~5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
マクロキャプチャユニットが存在しており、前記マクロキャプチャユニットによって前記測定位置の直接の環境を写真でおよび/またはフィルム上にキャプチャ可能である、請求項1~6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記マクロキャプチャユニットは、前記測定値の特定時に前記測定位置の前記直接の環境をキャプチャ可能であるように、前記
モバイル測定ユニットに統合される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
測定を実行する際の前記現場のユーザを含む前記キャプチャユニットのキャプチャされたオーバービューショット、および/または前記マクロキャプチャユニットのマクログラフが、前記サーバに通信可能であり、前記データ構造に統合可能である、請求項7または8に記載のシステム。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のシステムを用いて実現される、対象物を検査するための方法であって、
モバイル測定ユニットによって、前記対象物のアクセス不可能な部品の内部構造に関する測定値を非破壊的に特定するステップを備え、前記
モバイル測定ユニットはユーザによって操作され、前記測定値は、透過レーダおよび/または誘起された渦電流および/または導電率測定および/または電気抵抗測定および/またはポテンシャル場測定および/または誘導式補強材位置探知および/または容量式補強材位置探知によって、前記モバイル測定ユニットによって特定され、前記方法はさらに、
前記
モバイル測定ユニット内の検出手段によって、前記測定値が特定される測定位置を検出するステップと、
前記
モバイル測定ユニットによって、前記
モバイル測定ユニットによって特定された前記測定値を、少なくとも前記検出手段によって検出された前記測定位置とともに、データセットとしてデータインターフェイスを介してベースユニットに自動的に通信するステップと、
前記データセットを前記ベースユニットに記憶するステップと、
部品の内部構造に関する測定値を備える前記データセットを、パブリックまたはプロプライエタリネットワークを介して前記ベースユニットからサーバに通信するステップとを備え、
前記サーバは、検査対象の前記対象物に割当てられる少なくとも1つの記憶データ構造を備え、前記方法はさらに、
前記ベースユニットによって通信される前記データセットを前記データ構造に統合するステップと、
前記サーバ上の前記データ構造を現場のユーザにリアルタイムで与えるステップとを備え、前記データ構造を与えるステップは、検査対象の前記対象物の3次元仮想モデルとして実行され、
前記データ構造およびそれに基づく前記仮想モデルは、拡張仮想モデルを形成するための、前記
モバイル測定ユニットの前記部品の内部構造に関する前記ベースユニットによって通信される前記データセットを含み、前記方法はさらに、
前記現場のユーザが前記仮想モデルと対話できるように、前記拡張仮想モデルを前記ベースユニットおよび/または前記
モバイル測定ユニット上で前記現場のユーザに対して視覚的に表現するステップを備え、前記仮想モデル内の前記内部構造は半透明壁を介して可視的に表現され、
前記対象物の検査は、前記仮想モデルを通じて前記許可ユーザによって追跡され、前記検査は前記サーバを通じて前記許可ユーザによって影響される、方法。
【請求項11】
前記モバイル測定ユニットによる前記測定値の特定は、キャプチャユニットによって写真でおよび/またはフィルム上にキャプチャされる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも前記測定値の特定時の前記モバイル測定ユニットおよび/または前記現場のユーザならびに前記測定位置の環境を含む視野が検出され、前記検出は特に前記キャプチャユニットを用いて行なわれる、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記キャプチャユニットはカメラを備え、前記カメラはパノラマカメラとして設計され、および/または、広角レンズもしくはフィッシュアイレンズを備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記仮想モデルおよび/または補足された前記仮想モデルからビューが生成され、前記ビューは前記キャプチャユニットの所望の位置ならびに所望の視野方向および視野角を表示し、前記キャプチャユニットの前記視野の中で、測定位置が前記建造物の異なる部品の上にマーキングされ、前記ビューは視認者への測定命令であり、前記測定命令は、前記ベースユニットに、および/または前記モバイル測定ユニットに、および/または前記現場のユーザに通信される、請求項11~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記測定位置の直接の環境が、マクロキャプチャユニットによって写真でおよび/またはフィルム上にキャプチャされる、請求項10~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
既定の測定位置に達すると測定またはキャプチャが自動的に行なわれる、請求項10~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
マーキングユニットが存在しており、前記マーキングユニットによって前記測定位置が前記対象物上にマーキングされ、前記マーキングユニットは、前記測定値の特定時に前記測定位置がマーキングされるように前記
モバイル測定ユニットに統合され、前記対象物に割当られた前記データ構造および前記対象物自体が同じマーキング表示を備えるように、マーキングデータが前記ベースユニットに通信される、請求項10~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記測定位置は、局所基準系、前記対象物自体の局所基準系、または前記対象物の検査のために特別に設計された位置決めシステムの局所基準系に対して指定される、請求項10~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記検出手段は座標格子を備え、前記座標格子はレーザによって投影され、前記座標格子によって測定位置が特定される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記マーキングユニットによって、前記測定値の特定時に前記対象物上に前記測定位置をマーキングするステップと、
前記対象物に割当られた前記データ構造および前記対象物自体が同じマーキング表示を備えるように、前記ベースユニットにマーキングデータを通信するステップとをさらに備える、請求項
17に記載の方法。
【請求項21】
前記キャプチャユニットによって、少なくとも前記測定値の特定時の前記モバイル測定ユニットおよび/または前記現場のユーザならびに前記測定位置の環境を含む少なくとも1つの視野を検出するステップと、
前記サーバによって、検出された前記視野に対応する前記仮想モデルの3次元ビューを表示するステップとをさらに備える、請求項11~20のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明は、独立請求項の導入部に係る、対象物、特に建造物を検査するための構成および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建造物には、建造物の状態を検出するために、資格を有する専門検査官による定期的かつ詳細な検査が必要である。これは、多くの他の対象物にも相応に当てはまる。検査は、たとえば対象物の構造的完全性が保証されているか否かについての情報を提供し得る。建造物、特に建物、倉庫、橋、タワー、トンネル、道路および防護施設は、使用のための十分な適合性および耐荷安全性を保証するために定期的に点検する必要がある。点検は、製造時、使用時に行われ、建造物の転用および可能性のある撤収がなされる。
【0003】
そのような検査では、多数のデータおよびパラメータを考慮しなければならない場合がある。一例として、建造物の検査時に、部品の材料特性、動作パラメータ、可能性のある規格およびガイドラインからの仕様および勧告、ならびに、たとえば建造物全体の文脈における部品からなる特定の要件を考慮することが必要である。したがって、多数のデータを可能な限り高く統合することが可能であり、当該データを明らかな態様で専門検査官に利用可能とする検査システムを提供することが必要である。
【0004】
建造物の検査は、典型的に、たとえば建造物のまたは個々の部品の欠陥および/または障害などの検査関連状況が視覚的に識別および検出される建造物の包括的な調査を含む。以下、検査関連状況についての一般性を限定することなく、一例として欠陥について述べる。専門検査官は、さらなるステップにおいてこれらの欠陥を分析し、それに基づいて、たとえば欠陥の種類のまたは欠陥のトポロジーの診断を導き出す。診断は、たとえば、さらなる検査ステップおよび/または欠陥をなくすための方策についての決定を下すための基礎とみなされる。これは、欠陥、および建造物に対するその可能性のある影響が専門検査官によって見逃されることになるおよび/または不正確に評価されることになるというリスクを伴う。
【0005】
欠陥の登録は、通常、検査時に専門検査官による、たとえば建造物の建設計画などの図に欠陥を入力することを含む。その後、登録された欠陥は一般に電子的に検出され、たとえばデータベースに入力されるか、または建造物のCADベースの建設計画に、もしくはたとえば本質的に公知の3Dスキャナを用いて作られた建造物のモデルに含められる。この手順には、第1に、欠陥の検出がもっぱら専門検査官の知覚および注意に依存しているという不利点がある。しかし、欠陥の検出はすべてのさらなる方策の基礎を形成するため、たとえば、誤入力または未発見の欠陥のリスクを減少させることができる増加した冗長性を有するべきである。第2に、図式的に検出された欠陥を電子データ取得に転送することは、たとえば数値の誤入力の結果として、転送エラーのリスクを伴う。さらに、このように、検査時のどの点でエラーが起こったのかを後で追跡することが不可能である。さらに、データの度重なる転送は非効率であり、大きな労力を要する。一例として、欠陥が専門検査官によって実際に検出されたのか、またはたとえばデータの転送時など、その後でのみ失われたのかを追跡することが不可能である。
【0006】
既存の不利点のうちの少なくともいくつかを克服することを試みる統合システムが米国特許第6,725,097号に記載されている。このシステムでは、視覚的に認識可能な欠陥を、専門検査官が検査時に持ち運ぶモバイル入力装置に入力することができる。欠陥は、たとえば、既定の選択に従って自身の可視構造に基づいて分類され、建設計画上に
描かれ得る。この場合、欠陥はたとえばグラフィカル入力プログラムを用いて建設計画内に手動で描かれ得るか、または現場で写真が取られ得る。入力装置は、入力された欠陥を分析するためのプログラミングされたアルゴリズムをさらに含み得る。
【0007】
このシステムは改良されたインタラクティブ性およびデータ統合を有するが、検査データの検出は以前のシステムと同様に専門検査官によってのみ行なわれるため、冗長性を有しないか低い冗長性しか有さない。その結果、有利に自動化された欠陥分析も、もっぱら、検出された欠陥、すなわち、それらの検出時の専門検査官の知覚および注意に基づいている。このシステムは、検査時に見逃された欠陥に対する保護を提供せず、欠陥が見逃されたか、または検出の後まで起こらなかったかを後で確認することもできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、発明が対処する課題は、先行技術の不利点を克服することである。特に、発明が対処する課題は、実際の状態の、およびさらに構造的欠陥の確実な検出を可能とする、対象物、特に建造物を検査するための幅広く適用可能な構成および幅広く適用可能な方法を提供することである。さらに、当該構成および方法は操作および実現が便利であるように意図されており、かつ、高度の安全を保証するように意図されている。さらに、当該構成および方法は、対象物上の、特に建造物上のどの点で検査関連状況が検出されたかを後で追跡することが可能であることを保証するように意図されている。
【0009】
これらの課題は、独立請求項の特徴を有する構成および方法によって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
独立請求項は、第1の局面において、対象物、特に建造物を検査するための構成であって、対象物に割当てられた測定値を特定するためのモバイル測定ユニットを含み、測定ユニットは、構成のさらなるユニット、特にベースユニットとデータ交換するためのインターフェイスを有する構成に関する。さらに、構成は、特にモバイルのベースユニットを含み、ベースユニットの中に、測定ユニットによって通信されるデータセットが記憶可能であり、かつ好ましくは視覚的に表現可能であり、ベースユニットは、構成のさらなるユニット、特に少なくともモバイル測定ユニットとデータ交換するためのインターフェイスを有する。好ましくは、ベースユニットは、プロプライエタリまたはパブリックネットワークとデータ交換するためのインターフェイスをさらに有する。構成は、測定値が特定される測定位置を検出するための、および/または測定値が特定される測定時間を検出するための検出手段をさらに含む。この場合、測定ユニットによって特定される測定値は、少なくとも検出手段によって検出された測定位置とともに、好ましくは自動的に、データセットとしてベースユニットに通信可能である。この場合、モバイル測定ユニットは、対象物の特にアクセス不可能な要素の、特に建造物の部品の、内部構造および/または内部状態に関する測定値を非破壊的に特定するように設計される。測定値の特定は、たとえば、測定ユニットを操作する現場のユーザによって実行され得る。この場合、現場のユーザとは、たとえば検査を委託された専門検査官などの、検査時に対象物の場所に存在するユーザを指す。あるいは、測定ユニットはさらに、たとえばベースユニットを介して遠隔制御可能であるように設計され得る。
【0011】
ここでおよび以下において、建造物とは、基礎と静的接触している、人間によって建てられた構造を意味すると理解される。建造物は、たとえば人間の住居、動物の収容施設、植物の栽培施設、または品目の保管または機械の操作に役立つ、たとえば建物であり得る。建造物はさらに、たとえば橋、道路、トンネルまたは回廊などの交通建造物であり得る。あるいは、建造物はさらに、たとえば井戸、水道管および/もしくは下水管、下水処理場、堤防、貯水ダム、石工ダム、堰、煙突、タワー(たとえばウインドタワーもしくは送
電塔など)、送電マストもしくは架空送電線鉄塔などの、供給ならびに/または廃棄建造物であり得る。さらに、建造物は、たとえば原子力発電所または保安用井戸、保安用ダム、雪崩を分散させるためのシステム、道路遮蔽物またはシェルターなどの、保安用構造であり得る。建造物はさらに、たとえば要塞もしくは堰塔などの、堰施設および/または要塞施設であり得る。さらに、「建造物」という用語は、鉱山および露天掘り鉱山、ならびに、たとえば仮設構造、テント、見本市の展示館、補助構造、コンテナ構造および保管所などの仮設建造物も含む。
【0012】
建造物に加えて、ここでおよび以下において用いられる「対象物」という用語は、たとえば、装置、機械、車両、航空機、家具、芸術作品(たとえばその真偽は発明に係る構成および/または発明に係る方法を用いて確認され得る)などの、特に可動品もたとえば含むが、植物、動物または人間などの生物も含む。
【0013】
ここでおよび以下において、「内部構造」および「内部状態」とは、たとえばユーザが裸眼でまたはカメラを用いて可能となるように、純粋に視覚的に認識できない構造および対象物のそれぞれの状態を意味すると理解される。「内部構造」および「内部状態」という用語は、したがって、一方で、対象物の内部の構造および状態を含む。しかし、それらはさらに、実際にユーザにとって本質的に可視の対象物の表面に、またはそのような表面の領域内に存在しているが、純粋に視覚的に認識できない構造および状態も含む。一例として、発明の文脈において、可視表面の領域における対象物の弾性も、そのような弾性は純粋に視覚的に認識できないため、内部状態とみなされる。
【0014】
ベースユニットおよび/または測定ユニットは、好ましくは、データを記憶するための、処理するための、入力および出力するための、ならびに受信および通信するための手段を含む。データを記憶および処理するための記憶ユニットおよび計算ユニットが存在し得る。特に、ベースユニットは、データ構造、プログラム、データセット(オリジナルおよび/もしくは導出データセット)ならびに/またはこれも以下により詳細に説明される命令がベースユニット上に記憶可能であるように設計され得る。
【0015】
入力するための手段は、たとえばタッチセンサ式領域および/またはキーパッドおよび/またはマイクロフォンを含み得る。タッチセンサ式領域を介して、ユーザによってたとえば図が登録され得る。キーパッドによって、ユーザは数字を含むテキストを入力することができる。マイクロフォンを介して音声入力を行うことができる。こうして入力されたこれらのデータは次に、測定ユニットよって特定された関連の測定値と、検出手段によって検出された関連の測定位置および/または測定時間とともに、データセットとしてベースユニットに通信され、さらにそこで随意に記憶および/または処理され得る。このように、どのユーザがどの測定を何時にどの場所で、どのように、何のために実行したかを記録するために用いられ得る、ある種のログブックが生じ得る。
【0016】
出力するための手段は、たとえばプリンタを含み得、これを介して、たとえば測定ログが出力され得る。しかし、出力するための手段は、好ましくは、オブジェクト固有の、特に建造物固有のデータまたはデータ構造が視覚的に表現可能であるように設計される。入力および出力するための組合された手段が、たとえばタッチセンサ式画面によって提供され得る。
【0017】
視覚的表現として、検査対象の対象物の特に三次元の仮想モデルが、ベースユニットおよび/または測定ユニット上で現場のユーザに視覚的に表現可能であり得る。入力するための好適な手段と仮定すると、現場のユーザは、適切な場合、たとえばビューを選択したり測定位置をマーキングするなど、仮想モデルと対話することができる。たとえば測定位置および/または測定時間および/または測定の種類を示す、たとえば現場のユーザへの
測定命令などの、現場のユーザへの命令も同様に表現され得る。
【0018】
ある実施形態では、構成は単一のベースユニットを含むのみで十分であり得る。この結果、装置面での支出を削減することができる。しかし、特に、比較的大型のおよび/または比較的複雑な対象物の検査については、構成は複数のベースユニットをさらに含み得る。そして、当該ベースユニットの各々が、互いにデータ交換するためのインターフェイスを有し得る。
【0019】
測定ユニットは、有利には、現場のユーザが測定ユニットを持ち運び可能であるように設計される。特に、測定ユニットは、この目的のために対応して寸法決めされ、対応する重量を有し得る。あるいは、測定ユニットは、たとえば、特に遠隔制御可能な車両内または車両上に位置決めされていてもよいし、または位置決めされてもよい。
【0020】
ベースユニットは、好ましくは、現場のユーザがたとえば対象物の内部に、特に建造物の内部に持って入ることができるか、または、たとえば車両内もしくは車両上など、対象物の外部に、特に建造物の外部に位置決めすることができるモバイルユニットとして設計される。ベースユニットは、有利には、ユーザがベースユニットを持ち運び可能であるように設計される。特に、ベースユニットは、この目的のために対応して寸法決めされ、対応する重量を有し得る。好ましくは、ベースユニットは、たとえば携帯用ケース内に、またはラップトップもしくはタブレットコンピュータの態様で実現される。ベースユニットは、好ましくは、たとえば建設現場の危険な環境において機械的損傷からの保護を提供する保護ハウジングを有する。あるいは、ベースユニットは、たとえば、特に遠隔制御可能な車両内または車両上に位置決めされていてもよいし、または位置決めされてもよい。しかし、原則として、ベースユニットはさらに、たとえば、対象物上、特に建造物上に固定されるメンテナンスまたは検査端末として構成され得る。
【0021】
ベースユニットは、有線または無線の、プロプライエタリまたはパブリック外部ネットワークとデータ交換するためのインターフェイスを有し得る。このように、ベースユニットは局所的な(たとえばサーバユニット)または非局所的な(いわゆる「クラウド」)ネットワークサービスユニットにリンクされ得る。これに対応して、特にリアルタイムで、データがネットワークサービスユニットに通信され得るか、または当該ユニットから得られ得る。一例として、インターネット(パブリック)または移動無線ネットワーク(プロプライエタリ)が外部ネットワークとして利用され得る。
【0022】
ベースユニット自体がサーバとして設計されること、またはサーバを含むことも可能であり、本発明の範囲内にある。そして、測定ユニットのインターフェイスとサーバとの間のデータ交換が、プロプライエタリまたはパブリックネットワークを介して行われ得る。この実施形態では、測定ユニットによって通信されるデータセットは上記サーバ内に記憶可能であり、サーバは、構成のさらなるユニットとデータ交換するためのインターフェイスを含む。
【0023】
他の実施形態では、測定ユニットおよびベースユニットが共に統合装置を形成すること、ならびに、たとえば共通のハウジングに封入されることも考えられる。
【0024】
モバイル測定ユニットは、たとえば現場のユーザによって測定位置に位置決めされ得る、持ち運び可能なハンドヘルド装置として設計され得る。測定ユニットは、部品の内部構造または内部状態を特定するための少なくとも1つの測定装置を含む。一例として、鉄筋コンクリート要素内の補強材の状態が、誘起された渦電流の測定および/または導電率測定によって特定され得る。モバイル測定ユニットは、構成のさらなるユニット、特にベースユニットとデータ交換するためのインターフェイスを有する。測定ユニットは、たとえ
ば無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)を介してこのようにベースユニットまたは構成のさらなるユニットにリンクされ得る。もちろん、有線のリンクも同様に考えられる。このように、測定ユニットの特定された測定データ、および、適切な場合、検出手段の位置データが、ベースユニットにたとえば自動的に通信され得る。通信は、測定値を検出すると直接、または既定のもしくは適合された時間間隔で行われ得る。この目的のため、測定データは測定ユニット内でバッファに記憶可能であり得る。転送の手動の開始も必要であり得ること、または、転送は測定ユニットがたとえばケーブルの接続によってベースユニットにリンクされた後で初めて行われることは言うまでもない。
【0025】
この場合、「測定位置」は、たとえばGPS座標などのグローバル座標系に対して指定される位置を指し得る。測定位置は同様に、たとえば対象物自体の、または対象物の検査のために特別に設計された位置決めシステムの局所基準系に関しても指定され得る。測定位置の特定は、特にさらに、以下により詳細に説明されるように、たとえば測定プロセスの、または公知の位置を有する対象物のさらなる特徴に対する測定位置の、写真式のまたはフィルムを用いた検出によって、視覚的に行なわれるか指定され得る。
【0026】
検出手段は、たとえば数列などの測定位置を手動で入力するように設計され得る。測定位置は同様に、たとえば測定ユニット上に表現される対象物の仮想モデル上に測定位置を手動でマーキングすることによって実現され得る。この目的のために、検出手段は、たとえばキーパッドとして、および/またはタッチセンサ式画面として、測定ユニットに統合され得る。検出手段は、衛星を利用した(たとえばGPS)または地上の全地球測位システムの信号用の受信機をさらに含み得ることは言うまでもなく、上記受信機はたとえば測定ユニット内に実現される。受信機は同様に、たとえば、座標系を確立するために対象物において現場でセットアップされ、たとえば測定位置の三角測量を可能とする1つまたは複数のラジオビーコンの信号を受信するように設計され得る。測定位置の特定は、測定値を検出すると自動的に開始され得る。
【0027】
個々のユニットまたは手段の必要な機能性は、要件によってはハードウェアおよび/またはソフトウェアを介して実現され得る。現場のユーザの対話も要件によっては必要であり得る。
【0028】
別個のベースユニットのため、たとえば、現場の、しかし必ずしも測定位置にいるとは限らないさらなるユーザが測定値の検出を監視することができる。特に、ベースユニットにおいて、検出された測定値は、たとえば検査計画において与えられたような正確な測定位置で実現されたことが保証され得る。特に、測定位置および測定値が、ベースユニットに記憶された対象物の計画において、特にベースユニットに記憶された建造物の建設計画において、たとえば正しい位置で入力されたか否かを、対象物において現場で直接点検することも可能である。誤ったまたは不完全な検出の表示がある場合、専門検査官は、ベースユニットおいて、検査の進行に影響を与え、たとえば測定の更新されたまたは付加的な性能の手続きをすることができる。ベースユニットおける現場のさらなるユーザは、ここで、検査が便利な環境において、上記のさらなるユーザがたとえばネットワークを介して得ることができるさまざまな付加的な情報へのアクセスを有して監視され得るという利点を有する。
【0029】
発明に従って測定が非破壊的に行なわれるという事実のおかげで、たとえばコンクリート部品の内部状態または内部構造のオーバービューを、静的なまたは建設工学上の理由で(たとえば空間の欠如、アクセスの悪い場所)、実験室分析のためにコアサンプルを取ることが不可能な場所でも迅速に得ることができる。このように、構成によって、たとえば外部から識別可能な欠陥による内部構造的欠陥および/または障害の単なる仮定のみでなく、それらの直接の測定が可能となる。特に、外部から目に見えない欠陥を、現場のユー
ザの知覚とは無関係に特定することができる。このように、構成は、特に幅広く、たとえば新たに作製された対象物を承認するためにも用いられ得る。一例として、補強材試験装置として設計される本構成の測定ユニットは、建造物のコンクリート要素内の補強材が構造的な規定と一致するか否かを試験するために用いられ得る。そのような構造的欠陥は視覚的に認識できない。
【0030】
ベースユニットのために、対象物において現場で直接特定されたこれらのデータは、たとえばデータモデルまたはデータ構造に統合され、視覚化され得る。この結果、現場で直接、たとえば測定位置の近傍で特定された内部欠陥のために、さらなる測定および/または視覚検査を行なわなければならないことが認識可能となり得る。測定ユニット、特に、さらには複数の、好ましくは異なる測定ユニットがベースユニットにリンク可能であるおかげで、異なる測定ユニットによって特定されたデータは、ベースユニットによって中央的に取得され得る。この場合、ベースユニットによって、たとえば、特定された異なるデータを、対象物の測定要素の、特に建造物の測定部品の内部状態を再現する既存のデータ構造に統合することができる。データ構造はベースユニット内に記憶可能であり得る。特に、上記データ構造は、全体として、対象物の現在の状態を確実に再現する対象物の包括的な仮想モデルが提供され得るように、対象物に関する計画およびさらなる情報、特に建造物に関する建設計画およびさらなる情報をさらに含み得る。したがって、リンクされるすべての測定ユニットは、過度の同期の支出なしで、更新された中央データ構造にアクセス可能である。
【0031】
この場合、データ構造は、要素のまたは対象物の、特に部品のまたは建造物の履歴が検出可能であるように、以前の検査の測定データをさらに含み得る。要素の、特に部品の内部構造に関するデータで補足されるデータ構造は、たとえば仮想モデルとしてまたはその他の方法でベースユニットによって視覚化されるか出力され得る。代替的にまたは付加的に、たとえばデータ構造および/または視覚的表現はサーバ上で記憶または生成されてもよいことは言うまでもなく、サーバにベースユニットがリンクされる(以下を参照)。ベースユニットはさらに、必要であれば、発明に係る構成によって得られるデータセットを収集および転送するために設計されることも同様に言うまでもない。データのデータ構造およびたとえば視覚的な条件付け(conditioning)は、この場合サーバ上で実現され得る。
【0032】
好ましくは、モバイル測定ユニットは、以下の測定のうちの少なくとも1つまたは複数を実行するように設計される:
- 超音波測定、
- ラジオグラフィ(特に透過レーダ測定)、
- 渦電流測定、
- 電気抵抗測定、
- ポテンシャル場測定、
- リバウンド測定、
- 音響共鳴分析(たとえばイギリスのハートフォードシャーのCNS Farnell Limited
から入手可能なEruditeシステムを用いて、特にDGZfP(ドイツ非破壊検査協会)の
ガイドラインUS06に従う)、
- 誘導式補強材位置探知(inductive reinforcement locating)(たとえばスイスのシュヴェルツェンバハのProceq SAから入手可能なProfoscope PS 250を用いて、特にDGZfPリーフレットB02に従う)、
- 容量式補強材位置探知(capacitive reinforcement locating)(たとえばスイス
のアドリスヴィルのHilti Corporationから入手可能なPS38マルチ探知器を用いて、
特にDGZfPリーフレットB02に従う)、
- 地中探知レーダ(GPR)(特にDGZfPリーフレットB10に従う)、
- 歪みゲージ試験、
- 気密性試験(特に規格EN 1779、EN 13184、EN 13185およびEN1593の1つ以上に従う)、
- ラジオグラフィック試験(特に規格EN 444、EN 13068およびEN 16016の1つ以上に従う、特にX線照射を用いるラジオグラフィック試験)、
- 浸透探傷試験(特に規格EN 571-1に従う)、
- 容量式湿気測定(capacitive moisture measurement)(たとえばアイルランドの
ダブリンのTramex Ltd.の湿気測定装置のうちの1つを用いて、特に規格EN 1318
3-3に従う)、
- 抵抗式湿気測定(resistive moisture measurement)(たとえばアイルランドのダブリンのTramex Ltd.の湿気測定装置のうちの1つを用いて、特に規格EN 13183
-3に従う)、
- インパクトエコー法(たとえばアメリカのシカゴのJames Instruments Inc.の装置のうちの1つを用いて、特にDGZfPリーフレットB11に従う)、
- 赤外線サーモグラフィ(熱放射を用いて、受動的にまたは能動的な予熱によって、特に規格DIN 54190、DIN 54192およびEN 13187のうちの1つ以上に従う)、
- 導電率試験(たとえばスイスのシュヴェルツェンバハのProceq SAから入手可能な
、たとえばResipodなどのWennerプローブを用いる)、
- 磁気誘導法(特に規格ISO 2178に従う)、
- 磁力試験(特に規格ISO 9334に従う)、
- ポテンシャル場測定(たとえばスイスのシュヴェルツェンバハのProceq SAから入
手可能なCaninシステムを用いて、特にDGZfPリーフレットB03に従う)、
- リバウンドハンマー法(たとえばスイスのシュヴェルツェンバハのProceq SAから
入手可能なSchmidtハンマーを用いて、特に規格EN 12504-2に従う)、
- アコースティックエミッション分析(特に規格EN 12504-2に従う)、
- シェアログラフィ(レーザスペックルシアリング干渉法)、特に合成部品の非破壊試験のためのモバイル検査用)、
- 漏洩磁界測定(特にプレストレストコンクリート建造物の疲労および/または応力クラックを検出するため)、
- 超音波試験(たとえばスイスのシュヴェルツェンバハのProceq SAから入手可能なPunditシステムを用いて、特に規格EN 583、および/またはDGZfPリーフレッ
トB04に従う)、
- 振動試験/発振分析(特に規格ISO 13373およびDIN 45669の少なくとも一方に従う)、
- 渦電流試験(たとえばクラック試験のため、層厚測定のためおよび/または材料特性を特定するため、特に規格ISO 15549に従う)、
- 時間領域反射率測定(たとえばドイツのエットリンゲンのIMKO GmbHから入手可能
なTRIMEシステムを用いる、特に規格DIN 19745に従う)、
- レーザ誘起プラズマ分光法(LIPS)、
- 金属硬度測定(特にリーブ硬度、ロックウェル硬度、ブリネル硬度および/またはビッカース硬度を測定するため)、
- 磁気共鳴イメージング(たとえば医学的用途から公知であるようなMRI)、
- X線蛍光測定(たとえばスイスのヒューネンベルクのHelmut Fischer AGから入手
可能な装置FISCHERSCOPE(登録商標)X-RAY XDV(登録商標)-SDを用いる)、
- マイクロ抵抗法(たとえばスイスのヒューネンベルクのHelmut Fischer AGから入
手可能な装置SR-SCOPE(登録商標)RMP30-Sを用いる、特に規格DIN EN 1457
1:2005に従う)、
- ベータ後方散乱法(たとえばスイスのヒューネンベルクのHelmut Fischer AGから
入手可能なFISCHERSCOPE(登録商標)MMS(登録商標)を用いる、特に規格DIN EN
ISO 3543、ASTM B567およびBS 5411の少なくとも1つに従う)、
- クーロメトリック測定(たとえばスイスのヒューネンベルクのHelmut Fischer AG
から入手可能な装置COULOSCOPE(登録商標)を用いる、特に規格DIN EN ISO 2177:2004-08に従う)、
- 直線偏光法(特に鉄筋コンクリート内の腐食電流を推定するため)。
【0033】
超音波測定は、原則として、超音波パルスのパルス速度測定に基づく。波形分析を用いて、建造物材料の特性についての結論が導き出され得る。このように、建造物材料の均質性を点検すること、および欠陥を実証することの両方が可能である。パルスまたは速度は、試験対象の建造物材料の密度および弾性に関連しているため、たとえば品質および圧縮強度に関するステートメントが可能となる。
【0034】
透過レーダ測定では、部品の内部構造は、欠陥における電磁放射の反射によって測定される。この場合、数ピコ秒から数ナノ秒の長さを有する一般的に非常に短い電磁パルスが部品の内部に放出され、反射が捕捉される。この場合、内部の電磁波の伝播は、内部に放射される信号の反射、散乱、回折および伝達をもたらす部品内に位置する構造に依存する。反射信号の飛行時間、位相および振幅が通常は記録される。
【0035】
渦電流測定では、交流磁場がたとえばコイルによって発生し、導電性の建造物材料内に渦電流を誘起する。測定時、渦電流によって発生した磁場の結果としての渦電流密度が、通常は励起コイルも含むセンサを用いて検出される。測定パラメータは一般に、励起信号に対する振幅および位相シフトを含む。それらは通常、センサ内の第2のコイルを用いて測定される。時折、GMRセンサ(ジャイアント磁気抵抗)またはいわゆるSQUID(超伝導量子干渉素子)などの他の磁場センサも用いられる。渦電流試験は、導電性材料中のほとんどの不純物および損傷の例は、実際の材料とは異なる導電率または異なる透磁率をさらに有するという効果を利用する。
【0036】
電気抵抗率の測定は、たとえば鉄筋コンクリート要素などの部品の状態についての情報を提供する。抵抗率は、腐食の可能性および腐食速度に密に関連している。同様に、抵抗率は塩化物拡散速度と直接相関し得る。測定時、一般に、第1の電極対を建造物材料に接触させる。電極同士の間に電圧を印加する。その後、さらなる電極対の間の電位差を測定する。そこからおよび電極の構成から、抵抗率が計算され得る。
【0037】
ポテンシャル場測定は、たとえば鉄筋コンクリート内の補強材において腐食作用が存在しているか否かの確認を伴い得る。この場合、鋼鉄とコンクリートとの間の、より正確に言えば鋼鉄とコンクリート上に配置された半電池(たとえば銅/硫酸銅基準電極)との間の電気化学ポテンシャルが、コンクリート範囲全体にわたって一定の間隔で測定される。このように特定されたポテンシャル場から、アノードおよびカソード領域が特定され得る。領域がアノード電位を有している場合、鋼鉄は腐食しているか、または少なくとも特に腐食のリスクがある。
【0038】
リバウンド測定では、基本的にストライクピンが測定ユニット内で加速され、上記ストライクピンは建造物材料に当たってリバウンドする。建造物材料の硬度が高いほど、ピンはさらにリバウンドする。リバウンド距離はたとえば目盛上に示されるか自動的に検出され、リバウンドエネルギの尺度である。これから建造物材料の強度が読み取られ得る。一連の測定によって、異なる圧縮強度に基づいて建造物材料の内部構造が特定され得る。
【0039】
構成は異なる測定原理に基づく複数の測定ユニットを含み得ることは言うまでもない。同様に、個々の測定ユニットは複数の測定法についての測定装置をさらに含み得る。部品
の内部構造または内部状態を測定するために他の非破壊測定原理上で好適な測定ユニットを利用することも可能であることは言うまでもない。しかし、測定法の本選択は経済的に実現可能であり、日常の使用に見合うことがわかっている。
【0040】
構成の1つの好ましい実施形態では、検出手段は特にモバイルキャプチャユニットを含み、当該ユニットは、測定値の特定が、モバイル測定ユニットを用いて、特に現場のユーザによって、写真でおよび/またはフィルム上にキャプチャ装置によってキャプチャ可能であるように設計され、測定位置における測定値の特定の前に位置決めされるか位置決め可能である。この場合、キャプチャユニットは好ましくはモバイルであるように、かつ別個の自由に位置決め可能なユニットとして設計される。当該ユニットは、有利には、現場のユーザが当該ユニットを持ち運び可能であるように設計される。特に、当該ユニットは、この目的のために対応して寸法決めされ、対応する重量を有し得る。1つの有利な実施形態では、キャプチャユニットは現場のユーザが着用するヘルメット上に配置される。これによって、特に上記ユーザが測定ユニットを用いて測定を実行している間、少なくとも実質的にユーザの視野のキャプチャが可能となる。キャプチャユニットは好ましくはインターフェイスを介してベースユニットにリンクされるかリンク可能であり、インターフェイスは有線でも無線でもよい。適切な場合、キャプチャユニットはさらに測定ユニットにリンクされ得、このリンクも有線でも無線でもよい。
【0041】
この場合、キャプチャユニットによって、たとえば異なる測定位置で測定値が特定される対象物の領域を、特に固定された視野で同時に検出することができる。視野は、好ましくは、少なくとも測定値および測定位置の環境の特定時のモバイル測定ユニットおよび/または現場のユーザを含む。この目的のために、キャプチャユニットは、測定値の特定の前に現場のユーザによって位置決めされ得る。キャプチャユニットがたとえば写真でおよび/またはフィルム上に測定値の特定を記録するという事実のおかげで、どの測定値が対象物のどの場所で特定されたか、および、適切な場合、それらが現場のどのユーザによって特定されたかを、疑いの余地なく後で実証することが可能である。
【0042】
キャプチャユニットは、FIFO原理(先入れ先出し)に従って、限られた時間(たとえば5秒)の間にキャプチャされたショットを記憶するバッファ記憶装置(バッファメモリ)を含み得る。このように、どの測定時間においても、測定値の特定の前、間および後にキャプチャショットを記憶することが可能である。キャプチャ時間は、たとえば、測定ユニットによって測定の性能によって自動的に開始され得る。この場合、キャプチャユニット、たとえばその視野は、測定位置を特定するための基準系の役割を果たし得る。キャプチャユニットは同様に、電波による測定ユニットの位置特定のための、たとえばラジオビーコンを含み得る。
【0043】
好ましくは、少なくとも測定値の特定時のユーザおよび測定位置の環境を含む少なくとも1つの視野がキャプチャユニットで検出可能である。このように、サイズ関係および測定を実行する際の現場のユーザの位置がキャプチャショット上で認識可能である。この目的のために、キャプチャユニットは、たとえば広角またはパノラマカメラを含み得る。好適な設計と仮定すると、従来のカメラも用いられ得ることは言うまでもない。
【0044】
構成は、三角測量システムを含み得る。この場合、三角測量システムとは、当該システムによって、たとえば地上のおよび/または衛星を利用した信号に基づいて、測定ユニットの位置、特に測定位置が測定プロセス時に特定可能なシステムを指す。一例として、ラジオビーコンまたは対象物における現場のアンテナシステムが地上の三角測量システムとして利用され得る。一例として、無料で利用可能なGPSなどの全地球測位システムが衛星を利用した三角測量システムとして利用され得る。
【0045】
構成、特にモバイル測定ユニットは、代替的にまたは付加的に変位キャプチャシステムを含んでもよく、これを用いてモバイル測定ユニットの移動が特定可能である。変位キャプチャシステムは、たとえば、測定時に検査対象物の表面に沿って転動するホイールを含み得る。モバイル測定ユニットの移動は、ホイールの回転から推測され得る。この目的のために、ホイールは磁石を含み得、その移動が誘導的に確認される。
【0046】
変形における検出手段は座標格子をさらに含み得ることは言うまでもなく、座標格子はたとえばレーザによって投影され、座標格子によって測定位置が特定可能である。
【0047】
構成はマーキングユニットをさらに含み得、これによって測定位置を対象物上にマーキング可能である。このように、測定位置は、後で参照するために対象物上に直接可視的にマーキングされ得る。一例として、(たとえばペイントボールガンの態様で)別個のマーキングガンを用いてマーキングをつけることも考えられる。しかし、好ましくは、マーキングユニットは、測定値の特定時に測定位置をマーキング可能であるように測定ユニットに統合される。
【0048】
マーキングは、カラーマーキング、または、たとえばマーキング対象の領域が視覚的に損なわれないようにする場合、特殊な光でのみ目に見えるようになる蛍光マーキングを含み得る。マーキングユニットは、インクジェットプリンタの態様で機能し得る。このように、測定位置をマーキングすることが可能であるだけでなく、たとえば測定の種類および時間などの付加的な表示を記録することも可能である。マーキングデータは、対象物に割当られたデータ構造および対象物自体が同じマーキング表示を含むように、ベースユニットにまったく同じように通信され得る。
【0049】
構成はマクロキャプチャユニットをさらに含み得、これによって測定位置の直接の環境が写真でおよび/またはフィルム上にキャプチャ可能である。この場合、マクロキャプチャユニットは、マクロキャプチャユニットが測定位置の詳細図をキャプチャするために提供されるという意味で、上述のキャプチャユニットとは区別されるべきである。マクログラフは、測定位置における部品の状態を詳細に記録に残す働きをする。この目的のために、マクロキャプチャユニットは、マクログラフに好適なカメラおよび/または顕微鏡カメラを含み得る。好ましくは、マクロキャプチャユニットは、測定値を特定する間に測定位置の直接の環境がキャプチャ可能であるように測定ユニットに統合される。このように、測定の間または直前または直後の状態において正確な測定位置がマクロキャプチャユニットによってキャプチャされることが保証される。
【0050】
同様に、代替的にまたは付加的に、構成は慣性ナビゲーションシステムを含んでもよい。慣性ナビゲーションシステムによって、たとえば対象物上の公知の開始点から進んで、加速度センサからのデータの統合によって現在の位置が特定可能である。そのようなシステムは一般に運動学的な合計6自由度を有し、このうち3つが並進であり3つが回転であり、これらは、互いに直交して位置する同様に3つの単位ベクトルに向かって方位付けられる。このセンサアセンブリによって、身体座標系がリアルタイムで特定され、固定された、以前に公知の空間的座標系と運動学的変換によって比較され得、ナビゲーションシステムとしての適用が可能となる。
【0051】
第1の変形では、慣性ナビゲーションシステムは検出手段のキャプチャユニットに統合され得る。キャプチャユニットによってキャプチャショットがキャプチャされる方向は、それによって、特に単純な態様で特定され得る。しかし、第2の変形では、慣性ナビゲーションシステムはマクロキャプチャユニットにも統合され得る。マクロキャプチャユニットによってキャプチャショットがキャプチャされる方向は、それによって、特に単純な態様で特定され得る。これは、マクロキャプチャユニットがモバイル測定ユニットに統合さ
れ、測定位置の直接の環境がキャプチャされる場合に特に有利である。
【0052】
構成は、選択された測定位置において測定値を繰返し特定するために、一時的にまたは永久的に対象物に取付けられた監視ユニットを含み得、上記監視ユニットは、以下により詳細に説明される構成のさらなるユニット、特にベースユニットおよび/またはサーバとデータ交換するためのインターフェイスを有する。監視ユニットは、たとえば、以下の測定のうちの少なくとも1つまたは複数を実行するように設計され得る:
- 超音波測定、
- ラジオグラフィ、
- 渦電流測定、
- 電気抵抗測定、
- ポテンシャル場測定、
- リバウンド測定、
- 音響共鳴分析、
- 誘導式補強材位置探知、
- 容量式補強材位置探知、
- 地中探知レーダ、
- 歪みゲージ試験、
- 気密性試験、
- ラジオグラフィック試験、
- 浸透探傷試験、
- 抵抗式湿気測定、
- インパクトエコー法、
- 赤外線サーモグラフィ、
- 導電率試験、
- 磁気誘導法、
- 磁力試験、
- ポテンシャル場測定、
- リバウンドハンマー法、
- アコースティックエミッション分析、
- シェアログラフィ、
- 漏洩磁界測定、
- 超音波試験、
- 振動試験/発振分析、
- 渦電流試験、
- 時間領域反射率測定、
- レーザ誘起プラズマ分光法、
- 金属硬度測定、
- 磁気共鳴イメージング、
- X線蛍光測定、
- マイクロ抵抗法、
- ベータ後方散乱法、
- クーロメトリック測定、
- 直線偏光法、
- 湿気測定、
- 温度測定、
- 放射線測定(たとえば電磁および/または放射線照射の測定)、
- 加速度測定、
- 直線変位キャプチャ測定、
- 回転測定、
- 対象物に含まれる光ファイバの測定。
【0053】
測定に関して、監視ユニットは、上述のように測定ユニットと大きく類似して設計され得る。しかし、監視ユニットの場合、原則として、部品の外部のたとえば視覚検査の、特に純粋な視覚検査の、他の測定原理を適用することも可能である。しかし、原則として、監視ユニットはモバイルである必要はなく、入力および出力手段も省いてもよい。監視ユニットは、測定データがたとえばベースユニットを介して迂回することなくネットワークサービスユニットに直接通信可能であるように、外部ネットワークにリンクするためのインターフェイスを含み得る。
【0054】
構成、特に測定ユニットは、記録装置をさらに含み得、この記録装置は、少なくとも1つの加速度値および/または湿気値および/または温度値および/または特定の放射線値を、これらの値のうちの1つの少なくとも1つの既定閾値を超えると、好ましくは測定時間および/または測定位置とともに検出する。そのような記録装置は、測定値に影響し得る測定ユニットの可能性のある損傷を認識し得る。記録装置は、測定ユニット内に、またはベースユニット内に配置され得る。一例として、測定ユニットの高加速度は、測定ユニットがユーザによってうっかり落とされ、したがってもはや信頼性のある測定結果をもたらしていない可能性があることを示し得る。記録装置はしたがって「ブラックボックス」の機能を有し得る。
【0055】
測定ユニットによって特定された測定値、ならびに検出手段によって検出された測定位置および/または測定時間に加えて、ベースユニットに通信可能であり、かつそこに記憶可能なデータセットは、たとえば、歪み値および/または湿気値および/または温度値および/または特定の放射線値および/または加速度値および/または上述のように監視ユニットによって特定された測定値などの、少なくとも1つの付加的な測定値をさらに含み得る。
【0056】
ベースユニットのインターフェイスは有利にはパブリックまたはプロプライエタリネットワークにリンクするように設計され、構成はサーバを含み、これに対してベースユニットがパブリックまたはプロプライエタリ外部ネットワークを介してデータ交換するためにリンクされるかリンク可能であり、サーバは、好ましくはパブリックのネットワークを介して許可ユーザにアクセス可能である。この場合、サーバは上述のネットワークサービスユニットの具体的な実現例であり得、これによってサービスがネットワークを介して提供または実現され得る。
【0057】
この場合、サーバはベースユニットからデータを受信してデータを記憶するように設計される。データは同様にサーバによって条件付け可能であり得る。サーバは、特定されたデータが、ベースユニットとは無関係に、サーバへのアクセスのみが許可されている第三者にも利用可能となり得るが、検査のための発明に係る構成には利用可能とならないという、ベースユニットに対する利点を有する。そのような許可ユーザは、たとえば、このように検査データへの直接のアクセスを有し得る、本件で説明される構成のプロバイダの顧客、または建造物認可当局のメンバーであり得る。特に、許可ユーザは対象物の検査を仮想的に直接追跡することもでき、適切な場合、たとえば以下にさらに詳細に説明される命令によって、上記検査に影響を及ぼすこともできる。
【0058】
好ましくは、サーバは、検査対象の対象物に割当てられる少なくとも1つの記憶データ構造を含む。この場合、サーバは、データ構造をベースユニットによって通信されるデータで補足するように、かつ、補足されたデータ構造を許可ユーザに、特にリアルタイムで与えるように設計される。この場合、データ構造は、異なるソースからのデータについて均一フォーマットを形成する。一方で、対象物に関する外部データ、特に建造物に関する
外部データ、たとえば建造物の建設計画、要素、特に部品に関する履歴検査データおよび/または技術仕様または基準データがデータ構造に含まれ得る。他方で、データ構造は、測定ユニットの、または適切な場合、監視ユニットの測定値を含むベースユニットのデータまたはデータセットで、サーバによって補足され得る。同様に、特にモバイルキャプチャユニットの、および/またはマクロキャプチャユニットのたとえばキャプチャショットがデータ構造に統合可能であり得る。サーバはしたがって、異なるソースからの対象物に関するデータが組合され(情報統合)、たとえば均一フォーマットで提供され得る、いわゆるデータウェアハウスを形成する。これによって、対象物のデータにアクセスする際の簡便性が向上する。
【0059】
データ構造は、好ましくは、データ構造から、検査対象の対象物の、特に検査対象の建造物の仮想アクセス可能な3次元モデルがサーバによって許可ユーザおよび/または現場のユーザに与えられ得るように構成される。この文脈において、「アクセス可能」とは、許可ユーザが、たとえばいわゆるアバターとして仮想モデル内で主に自由に動くことができることを指す。この場合、現場のユーザは同一モデル内のアバターとして同時に表現され得るため、たとえば許可ユーザと現場のユーザとの間の対話がサーバを介して可能であり、ある種の「現場の」チームミーティングがもたらされ得る。対応の設計と仮定すると、仮想モデルは、たとえばベースユニット上に、および/または測定ユニット上に、および/またはヘッドアップディスプレイ、特に現場のユーザもしくは許可ユーザが着用可能な眼鏡のヘッドアップディスプレイ上に表現可能であり得る。
【0060】
データ構造およびそれに基づく仮想モデルは、好ましくは、測定ユニットの部品の内部構造および/または内部状態に関するベースユニットによって通信されるデータで連続的にサーバによって拡大可能である。このように、サーバによって与えられるモデルが最新のものであること、かつ検査がたとえば許可ユーザによってリアルタイムで監視可能であることが保証される。
【0061】
上記仮想モデルでは、「仮想拡大現実」モデルが生じるように、データ構造ならびに/またはオリジナルのおよび/もしくは導出されたデータセットならびに/または測定命令ならびに/またはキャプチャ命令ならびに/または少なくとも1つの付加的な測定値をリアルタイムで特定するための命令を重畳することが可能である。一例として、ユーザによる対応の動作と仮定して、内部状態および/または内部構造に関する所望の情報を取出すことができるように、測定位置が仮想モデル内にマーキングされて参照(インターネットページの参照(ハイパーリンク)と同様)として実現され得る。仮想モデルでは、内部構造はたとえば半透明壁を介して可視的に表現され得、たとえば補強材の腐食のセットポイント値または計算的にシミュレートされた値などの付加的な情報が挿入され得る。この場合、内部欠陥または欠陥領域に関する臨界測定値が、たとえば色付きでハイライトされ得る。
【0062】
好ましくは、サーバはプログラムのライブラリを含み、これによって、許可ユーザによってターゲット化された態様で選択されるデータ構造のデータセットが条件付け可能および/または取出可能である。このように、まず、たとえば3次元のビューが、次に、対象物レポート、特に建造物レポートがデータ構造から生成され得る。この場合、ライブラリ内のプログラムによって、対応の関連データをまずデータ構造から抽出し、次に所望の形態に条件付けることができる。
【0063】
有利には、命令がサーバを介して許可ユーザによって通信され得る。一例として、測定命令がベースユニットに通信可能であり得、適切な場合、ベースユニットから監視ユニットおよび/またはモバイル測定ユニットおよび/または現場のユーザに通信可能であり得る。特に測定ユニットが遠隔制御可能である場合、測定命令は好ましくは測定ユニットに
直接通信される。測定命令は、たとえば、測定位置および/または測定時間および/または現場のユーザによって実行されることが意図されている測定の種類を含み得る。1つまたは複数の測定命令の通信は、リアルタイムで行なわれ得る。しかし、代替的にまたは付加的に、1つまたは複数の測定命令はさらに予めコンパイルされ、次に現場のユーザに対してコレクションとして利用可能とされてもよい。測定命令または複数の測定命令は、たとえば現場のユーザへの検査計画の形態でサーバに対する検査の前にコンパイルされ得る。適切な場合、所望の測定位置が仮想モデル内に表現され得る。しかし、好ましくは、測定命令は、検査がたとえば許可ユーザによって直接影響され得るように、リアルタイムで現場のユーザに通信される。許可ユーザは、この目的のために対象物の現場にいる必要はない。
【0064】
代替的にまたは付加的に、たとえば歪み値および/または湿気値および/または温度値および/または特定の放射線値および/または加速度センサによって特定される加速度値などの、少なくとも1つの付加的な測定値を特定するための命令を検出手段に通信することが可能である。付加的な測定値の通信は、好ましくはリアルタイムで行なわれる。
【0065】
同様に、代替的にまたは付加的に、キャプチャ命令が特にモバイルキャプチャユニットに、および/またはマクロキャプチャユニットに、好ましくはリアルタイムで通信されてもよい。
【0066】
測定命令および/または少なくとも1つの付加的な測定値を特定するための命令および/またはキャプチャ命令は、測定またはキャプチャが行なわれることが意図されている測定位置に関する表示を含み得る。この場合、既定の測定位置に達すると測定またはキャプチャが自動的に行なわれることが考えられる。構成、特に測定ユニットまたはマクロキャプチャユニットは、測定またはキャプチャがその後自動的に行なわれるように、この目的のために対応してプログラミングされていてもよいし、またはプログラミングされてもよい。
【0067】
サーバは、たとえば本件で説明される建造物検査のための構成のプロバイダにおいて、局所的なサーバユニットとして設計され得る。しかし、好ましくは、サーバは需要に動的に適合可能な情報技術インフラストラクチャとして、特にクラウドベースのサーバとして提供される。このように、サーバの容量は、何の問題もなく必要に応じて拡大可能である。一例として、サーバは、対象物の高い複雑性のために特に包括的なデータ構造の場合、または視覚的表現の品質に関して許可ユーザの側に特別な要件がある場合、対応して拡張可能である。需要が減少すると、不要なリソースは費用効率よく排除され得る。
【0068】
クラウドベースのサーバの非局所的なサーバ構造はさらに、サーバの個々の領域が障害を起こしても、サーバ上で利用可能なデータまたはサーバによって提供されるサービスが利用可能であり続けることを保証する。この場合のクラウドコンピューティングの文脈で供されるサービスの範囲は、情報技術のスペクトル全体を包含し、たとえば計算能力、記憶容量、プラットフォームおよびソフトウェアなどのとりわけインフラストラクチャを含む。
【0069】
発明のさらなる局面は、対象物、特に建造物を検査するための、特に本件で説明されるような構成を用いて実現される方法に関する。方法は、以下のステップ、すなわち、
- モバイル測定ユニットによって、対象物の特にアクセス不可能な要素の、特に建造物の部品の、内部構造および/または内部状態に関する測定値を非破壊的に特定するステップと、
- 検出手段によって、測定値が特定される測定位置、および/または測定値が特定される測定時間を検出するステップと、
- 特に自動的に、測定ユニットによって特定された測定値を、少なくとも検出手段によって検出された測定位置とともに、データセットとしてデータインターフェイスを介してベースユニットに通信するステップと、
- データセットをベースユニットに記憶するステップとを含む。
【0070】
測定ユニットは現場のユーザによって操作可能である。しかし、測定ユニットは遠隔制御可能であること、およびユーザによる操作は不要であることも考えられ、本発明の範囲内にある。
【0071】
この方法の利点は、本件で説明されるように、対象物、特に建造物を検査するための構成から直接明らかである。
【0072】
方法はさらに、以下のステップ、すなわち、
- 特にアクセス不可能な部品の内部構造および/または内部状態に関する測定値を特に含むデータセットを、好ましくはパブリックまたはプロプライエタリネットワークを介して、ベースユニットからサーバに通信するステップを含み、サーバは、検査対象の対象物に割当てられる少なくとも1つの記憶データ構造を含み、さらに、
- データ構造を、ベースユニットによって通信されるデータセットで補足するステップと、
- 特にリアルタイムで、データ構造を、特にサーバ上で、特に検査対象の対象物の仮想アクセス可能な3次元モデルとして、許可ユーザおよび/または現場のユーザに与えるステップとを含み得る。
【0073】
上述の実施形態の代替として、データ構造はさらにベースユニット上またはヘッドアップディスプレイ上に提供されてもよい。
【0074】
部品の内部構造および/または内部状態に関する測定値を非破壊的に特定する際、好ましくは、既に上述した測定方法のうちの少なくとも1つが用いられる。同様に、方法は、特にモバイルキャプチャユニットとして設計される検出手段を測定位置に位置決めすることを含み得、特にモバイルキャプチャユニットは、現場のユーザによる測定値の特定がキャプチャ装置によって写真でおよび/またはフィルム上にキャプチャ可能であるように、測定値の特定の前に位置決めされる。この場合、特にモバイルキャプチャユニットは、好ましくは、少なくとも測定値の特定時のユーザと、測定位置の環境とを含む視野を検出する。
【0075】
発明に係る構成の、および/または発明に係る方法の使用について人々を訓練するために、サーバをこれらの人々にアクセス可能とすることが有利であり得る。許可は、一時的に、および/または特定の権利に制限され得る。一例として、許可は、上記人物がサーバによって記憶されたデータ構造を補足および/または修正する権利をたとえば有しないように、読出アクセスに制限され得る。しかし、当該人物は、たとえば、検査対象の対象物を仮想アクセス可能な3次元モデルとして表現するために、サーバからデータを受信することが許可され得る。
【0076】
方法のさらなる修正は、本件で説明されるような対象物を検査するための構成から明らかである。
【0077】
例示的な実施形態の図面を参照して発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【
図1】サーバを含む発明に係る構成のブロック図である。
【
図2】発明に係る構成のベースユニットの、およびキャプチャユニットとして設計される検出手段の、および測定ユニットの例示的な実施形態を示す図である。
【
図4】たとえば建造物に割当てられるデータ構造から、または仮想モデルから、たとえばプログラムルーチンによって生成可能であるようなさまざまなビューを示す図である。
【
図5】検査が実行された後にどのように補足データ構造が補足仮想モデルとして表現され得るかのさまざまなビューを有するブロック図である。
【
図6】タイムラインを用いて画面上に表現される視覚的再現を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0079】
図1は、建造物2として設計された対象物を検査するための発明に係る構成1のブロック図を示しており、上記構成はサーバ3を含む。
図1は、具体的な実現例では別個に具体化され得るか単一装置内に一部として組合せられ得る別個のブロックとして機能ユニットを示している。この場合、サーバ3は、たとえば構成1のプロバイダにおいて局所的なサーバユニットとして設計され得る。サーバ3は同様に、非局所的なクラウドベースのサーバ3として具体化され得る。
【0080】
サーバ3は異なるアプリケーション4のライブラリを含み、これによって、サーバ3上に記憶されたデータまたはデータ構造がたとえば分析、処理および/または管理され得る。状況に応じて、アプリケーション4は、たとえば個別化されたデータ処理を可能にするために、たとえば許可ユーザ7自身によって提供され得る。この場合、データの2および/もしくは3次元出力、テキスト出力ならびに/または他のデータ条件付けのためのたとえば標準化されたプログラムルーチンを有するサーバ3のプログラムライブラリ5にアクセス可能である。
【0081】
サーバ3は、データが記憶され得るデータベース6を含む。データは、好ましくは、多種多様なデータへの均一アクセスを可能にする、既定のまたは動的に適合可能な、標準化されたデータ構造に記憶される。特に、一例として、画像ファイル、音声ファイルおよびデータファイルまたは個々のデータ点が均一データ構造内で組合され得る。この場合、データ構造は、たとえば検査されたか検査対象の建造物2に割当てられ得る。このように、構成1によって検査される建造物2毎に、情報の包括的な収集を単純に幅広くアクセス可能なデータフォーマットで提供することが可能である。データ構造は、好ましくは、少なくとも割当てられる建造物2の3次元建設計画のデータを有する。上記データは、たとえば以前の検査の履歴データで拡大され得る。同様に、たとえば個々の部品の処理された建造物材料が記憶され得る。
【0082】
サーバ3は、必要な機能性を提供するために、たとえば計算ユニットおよびデータ交換のためのインターフェイスを有することは言うまでもない。データベースに記憶されたデータまたはデータ構造を、建造物2の視覚的に表現可能な3次元仮想モデル9にマッピングするために、サーバ3がさらに設計されるか、またはプログラムライブラリ5が対応するプログラムルーチンを含む。視覚的表現への変換は、たとえば、許可ユーザ7のパーソナルコンピュータ上でクライアント側アプリケーションによって行なわれ得る。同様に、視覚的表現はさらにサーバ3上で実現され、画像またはフィルムファイルとして許可ユーザのコンピュータに転送され得る。
【0083】
仮想モデル9は、好ましくは、アクセス可能な対話型の仮想モデル9として実現される。許可ユーザ7、または建造物2の検査に従事している現場のユーザ10は、したがって仮想モデル9に「入る」ことができる。この場合、ユーザは、仮想モデル9内に純粋にオブザーバとして存在し得るか、またはいわゆるアバターによって表現され得る。この目的
のために、モデル9は入力可能性を有し得、これを介して許可ユーザ7および/または現場のユーザ10またはそのアバターがモデル9と対話し得る。一例として、仮想モデル9における識別場所は、さらなるデータを参照する起動可能な参照(インターネットページの参照-ハイパーリンク-と同様)として具体化され得る。この場合、使用するコンクリートの種類、コンクリート中の補強材の計画数、または以前の検査の履歴データなどのたとえば建設データが対話によって取出され得る。
【0084】
好ましくは、データはさらにモデル9を介して入力され得る。特に、たとえば現場のユーザ10によって測定が実行されることが意図されている識別場所を、許可ユーザまたはそのアバターによってモデル9内でマーキング可能であり得る。記憶データおよび/またはデータ構造は、モデル9との対話によってこのように変更され、特に補足され得る。検査対象の建造物2のそのようなアクセス可能な3次元仮想モデル9のさらなる可能性は、以下に説明されるように、特に試験構成11と関連して直接与えられ得る。
【0085】
試験構成11は、少なくとも1つのベースユニット12および1つまたは複数の測定ユニット13を含む。測定ユニット13と並んで、試験構成11は、測定ユニット13によって測定が実行される測定位置および/または測定時間を検出するための検出手段14を含み得る。さらに、マーキングユニット15が存在し得、これによって測定の測定位置が建造物2上にマーキングされ得る。さらに、マクロキャプチャユニット16が存在し得、当該ユニットは、測定位置の視覚的マクログラフをその直接の環境とともに作成し得る。キャプチャは、好ましくは、測定ユニット13による測定の直前、間、および/または直後に行なわれる。
【0086】
検出手段14は、測定が実行される建造物2の部分を現場のユーザ10とともに視覚的に検出し得るキャプチャユニットを含み得る。そのようなキャプチャユニットはさらに、たとえばさらなる検出手段として、別個のキャプチャユニット17として設計され得る。一例として、検出手段14は測定ユニット13に統合されて三角測量システムを含み得るのに対して、別個のキャプチャユニット17は測定位置の付加的な視覚的検出のために働く。キャプチャユニット17は、たとえば
図4を参照してより詳細に説明される。
【0087】
測定ユニット13、検出手段14、マーキングユニット15、マクロキャプチャユニット16、および必要であれば別個のキャプチャユニット17は、好ましくはネットワークを介してデータ交換するためにベースユニット12にリンクされる。この場合、データ交換は自動的に、かつ、たとえばデータ構造に変更がある場合は直接行なわれ得る。検査中のデータも個々のユニット13から17に記憶され得、後になるまでベースユニット12に転送され得ないことは言うまでもない。ネットワークは有線設計でも無線設計でもよく、各場合においてプロプライエタリまたはパブリックネットワークが用いられ得る。
【0088】
ベースユニット12は、さらなるまたは同一のネットワークを介してサーバ3にリンクされる。ユニット13から17のデータはしたがって、ベースユニット12を介してサーバ3に転送可能である。サーバ3は、建造物2に割当てられるデータ構造を通信データで補足する。補足は、たとえばリアルタイムでデータ構造内に受付けられ得る。データ構造から生成された仮想モデル9は同様に、リアルタイムで補足され得る。このように、ユーザ7または10には、たとえば行なわれた測定についてリアルタイムで通知され得る。データは、ベースユニット12を介して、たとえばサーバ3からも、たとえば測定ユニット13に転送され得ることは言うまでもない。そのようなデータは、たとえば許可ユーザ7によって生成された測定命令を含み得、上記測定命令はベースユニット12および/または測定ユニット13のディスプレイ上で現場のユーザ10に表示される。
【0089】
1つの例示的なシーケンスは以下の通りである:
現場のユーザ10は測定命令のために測定を実行し、上記ユーザはたとえばキャプチャユニット17によって検出される。このようにして得られたデータ、たとえば、測定ユニット13の測定値、検出手段14によって検出された検出位置、測定を実行する際の現場のユーザ10を含むキャプチャユニット17のキャプチャされたオーバービューショット、および/またはマクロキャプチャユニット16のマクログラフが、サーバ3に通信され得る。サーバ3はデータ構造を補足し、適切な場合、補足仮想モデル9を生成する。許可ユーザ7はしたがって補足データにアクセス可能であり、たとえば品質および/または完全性についてデータを点検することができる。
【0090】
試験構成11は、たとえば建造物2に固定して配置された少なくとも1つの監視ユニット18をさらに含み得る。監視ユニット18は、サーバ3および/またはベースユニット12にリンクされる。監視ユニット18は、測定ユニット13と同様に、建造物2の部品の測定値をキャプチャし得る。しかし、測定ユニット13とは対照的に、この例示的な実施形態における監視ユニット18は、測定値を連続的に通信するための静的ユニットとして設計される。
【0091】
図2は、ベースユニット12の、および別個のキャプチャユニット17として設計される検出手段の、および測定ユニット13の例示的な実施形態を示す。測定ユニット13は、渦電流技術に基づく補強材試験装置を参照して一例として以下に説明される。
【0092】
ベースユニット12は画面20を有し、これは本件ではデータを入力するためのタッチセンサ式として設計される。ベースユニット12はカバー22を有する保護ハウジング21を有し、これによって画面20が保護され得る。さらに、ベースユニット12を所望の位置に位置決めするための手段23が保護ハウジング21上に実現され得る。ベースユニット12は、当該分野で用いるのにも利用されているような、ロバストなラップトップまたはタブレットコンピュータと実質的に同様に設計され得る。ベースユニット12はキーパッド24をさらに有し得、これを用いて入力がなされ得る。
【0093】
測定ユニット13は、それぞれ利用される測定方法を実行するために設計される測定装置(ここでは判別不可能)を有する。本件では、これらは、たとえば鉄筋コンクリート内の渦電流を用いた補強材試験を行なうためのたとえばコイルである。測定ユニット13は、データを表現および入力するための同様のタッチセンサ式画面26を含む。
【0094】
さらに、測定ユニット13は4つのホイール25を含み、これらは測定時に検査対象物の表面に沿って転動し得る。ホイール25のうちの1つは磁石(ここでは判別不可能)を含み、その移動が誘導的に確認され得る。測定ユニット13が対象物の表面上を案内される際に沿う軌跡は、このように特に精密に特定され得る。
【0095】
キャプチャユニット17は、建造物2の領域がオーバービュー35(たとえば
図4参照)内に検出可能であるように、比較的大きい視野を有するカメラ27を有する。必要であれば、カメラ27は広角レンズまたはフィッシュアイを含み得る。カメラ27はさらにパノラマカメラとして設計され得る。
【0096】
図3は、現場のユーザ10がどのように測定を行い得るかを概略的に示す。上記ユーザは、モバイル測定ユニット13を用いて対象物2の測定値を特定し得る。上記測定値は欠陥42に影響されるため、欠陥42の存在に関する情報を提供し得る。測定ユニット13は、データ交換のためのインターフェイスを介してベースユニット12に接続され、ベースユニットの中に、測定ユニット13によって通信されるデータセットが記憶可能である。ベースユニット12は、プロプライエタリまたはパブリックネットワーク3とデータ交換するためのインターフェイスをさらに有する。代替的に、ベースユニット12のインタ
ーフェイスはさらにサーバと直接データ交換するように設計されてもよい。測定ユニット13上にカメラ16の形態のマクロキャプチャユニットが配置されており、これを用いて正確な測定位置が記録され得る。現場のユーザ10のヘルメット上に配置されたさらなるカメラ44が、現場のユーザ10の視野を実質的に検出する。さらなるカメラ17の視野は、測定時に現場のユーザ10を検出する。監視ユニット18が対象物2に固定され、当該監視ユニットは、たとえば湿気センサとしてまたは温度センサとして設計され得る。監視ユニット18は、ネットワーク3とデータ交換するためのインターフェイスをさらに有する。
【0097】
図4は、たとえばプログラムライブラリ5のプログラムルーチンによって、建造物2に割当てられるデータ構造から、または仮想モデル9から生成可能であるようなビュー30を示す。ビュー30は、建造物2の一部の2次元平面図を示す。キャプチャユニット17の所望の位置および所望の視野方向および視野角31がビュー30内に表示される。さらに、測定位置32が、キャプチャユニット17の視野内の建造物2の異なる部品8上にマーキングされる。ビュー30はしたがって、現場のユーザ10への測定命令とみなされ得る。ビュー30は測定が行なわれた後のこの領域の状況も示すことは言うまでもなく、この場合のマーキングされた測定位置32は、たとえば起動可能な参照として設計され得、これを介して、たとえば測定の測定値がアクセスされ得る。
【0098】
図4のビュー35は、キャプチャユニット17の視野を、部品8の挿入された測定位置32とともに示す。この場合、ビュー35は、たとえば既に補足された仮想モデル9の3次元ビューであると理解され得る。ビュー35は同様に、たとえばベースユニット12または測定ユニット13上に表現され得る現場のユーザ10への測定命令の3次元ビューとみなされ得る。この場合、現場のユーザ10には、上記ユーザが測定を実行しなければならない場所が通知される。この場合、マーキングされた測定位置32の色が、たとえば所望の測定の種類を示し得る。
【0099】
ビュー36は、マクロキャプチャユニット16によってキャプチャされるような、測定位置32のうちの1つの直接の環境のマクログラフを示す。マクログラフは、たとえば、マウスクリックによって、または仮想モデル9内の対応の測定位置32との他の対話によって呼出され得る。
【0100】
ビュー37は、特定された測定値の視覚的表現を示す。測定ユニット13は、たとえば1つまたは複数の測定によって部品8内の補強材38の位置および状態を特定している。測定値は、ベースユニット12またはサーバ3によって生データの視覚的表現に処理されている。視覚的表現は、たとえば、マウスクリックによって、または仮想モデル9内の対応の測定位置32上の他の対話によって呼出され得る。
【0101】
ビュー39は、ビュー37からの抜粋に関する詳細な情報を示す。表現された情報は、たとえば使用する建設材料に関するライブラリからの付加的な情報を含んでもよいし、または、たとえば測定ユニット13の測定値から計算的に生成されていてもよい。
【0102】
最後に、ビュー40は、仮想モデル9内に表現され得るような、ビュー36,37および39に従って重畳されたビューを示す。さらに、たとえば検出手段14によって特定された測定位置の正確な空間座標が挿入され得る(X,Y,Z)。
【0103】
図5は、現場のユーザ10によって検査が実行された後にどのように補足仮想モデル9が表現され得るかの概略図を示す。特定された測定値およびさらなるデータが補足モデル9に含まれている(矢印)。補足モデル9の3次元表現35′が、許可ユーザ7によってサーバ3上に取出され得る。許可ユーザ7はこの場合、たとえば専門のサービス担当者7
a、建造物2の所有者7b、または検査会社の従業員7cであり得る。
【0104】
ビュー35内のキャプチャユニット17の視野に対応するビュー35′は、測定を実行する際の現場のユーザ10を示す。測定位置32がマーキングされ、対話型の参照41として実現され得る。参照41を介して、それにリンクされる多数のアイテムの情報が取出可能であり得る。一例として、マクロキャプチャユニット16のビュー36が取出され得る。合成ビュー40は同様に呼出され得る。ビュー35′の測定位置32は、たとえば合成ビュー40として直接表現され得ることは言うまでもない。
【0105】
すべてのビューは、たとえば測定の時間または種類などの測定に関する詳細が表示され得るテキスト欄40′で補足され得ることは言うまでもない。測定値の分析の結果は、たとえば「腐食10%」など、同様に表示され得る。たとえばビュー35内のキャプチャユニット17の視野角31および/またはビュー30に従った2次元表現などの補足データはモデル9からも集められ得ることは言うまでもない。データ構造のさらなるデータは同様にアクセス可能であり、これはたとえば、部品8についてコンパイルすべき規格に関する、または以前の検査データに関する情報を与える。
【0106】
図6は、画面上に表現されてタイムライン45を含む視覚的再現を示す。多数の測定の履歴がタイムライン45に沿って表現されている。同日に実行される渦電流測定について一例として
図6に示されるように、ユーザによる対応の動作と仮定して、内部状態および/または内部構造に関する所望の情報を取出すことができるように、個々の測定が基準としてマーキングされて実現される。