(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-12
(45)【発行日】2023-07-21
(54)【発明の名称】空気調和機及び空調システム
(51)【国際特許分類】
F24F 11/86 20180101AFI20230713BHJP
F24F 11/70 20180101ALI20230713BHJP
F24F 11/46 20180101ALI20230713BHJP
F24F 3/147 20060101ALI20230713BHJP
F24F 7/08 20060101ALI20230713BHJP
【FI】
F24F11/86
F24F11/70
F24F11/46
F24F3/147
F24F7/08 101C
(21)【出願番号】P 2022114943
(22)【出願日】2022-07-19
【審査請求日】2022-07-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】316011466
【氏名又は名称】日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】厳 辰旭
(72)【発明者】
【氏名】松村 賢治
(72)【発明者】
【氏名】内藤 宏治
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-078304(JP,A)
【文献】特開2010-107059(JP,A)
【文献】特開2010-249485(JP,A)
【文献】特開2012-145247(JP,A)
【文献】特開2014-153009(JP,A)
【文献】国際公開第2015/173910(WO,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1061944(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00 - 11/89
F24F 3/147
F24F 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外の空気を室内に供給する第1流路と、前記室内の空気を前記室外に排気する第2流路と、に跨って配置され、前記第1流路又は前記第2流路のうちの一方の流路を流れる空気の水分を吸着し、他方の流路を流れる空気に放出する回転式の吸着放出機構と、
前記第1流路に備えられ、前記吸着放出機構の空気流上流側に配置される第1熱交換器と、
前記第1流路に備えられ、かつ前記第1熱交換器とは
冷媒流において並列に備えられ、前記吸着放出機構の空気流下流側に配置される第2熱交換器と、
前記第2流路に備えられ、前記吸着放出機構の空気流上流側に配置される第3熱交換器と、
前記第2流路に備えられ、かつ前記第3熱交換器とは
冷媒流において並列に備えられ、前記吸着放出機構の空気流下流側に配置される第4熱交換器と、
前記第1熱交換器への冷媒流量を制御する第1流量制御機構と、
前記第1流量制御機構とは別体に構成され、前記第2熱交換器への冷媒流量を制御する第2流量制御機構と、
前記第3熱交換器への冷媒流量を制御する第3流量制御機構と、
前記第3流量制御機構とは別体に構成され、前記第4熱交換器への冷媒流量を制御する第4流量制御機構と、
前記第1熱交換器、前記第2熱交換器、前記第3熱交換器及び前記第4熱交換器に供給される冷媒を圧縮する圧縮機と、を備え、
前記第1流量制御機構、前記第2流量制御機構、前記第3流量制御機構及び前記第4流量制御機構は、何れも膨張機構により構成される
ことを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記室内の温度及び湿度と、設定温度及び設定湿度とのそれぞれの差が所定範囲内にある定常状態よりも、
前記第1熱交換器及び前記第3熱交換器への冷媒流量を増やす、又は、
前記第2熱交換器及び前記第4熱交換器への冷媒流量を減らす、
のうちの少なくとも一方の制御を行う第1運転モードを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記室内の温度及び湿度と、設定温度及び設定湿度とのそれぞれの差が所定範囲内にある定常状態よりも、
前記第1熱交換器及び前記第3熱交換器への冷媒流量を減らす、又は、
前記第2熱交換器及び前記第4熱交換器への冷媒流量を増やす、
のうちの少なくとも一方の制御を行う第2運転モードを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記第1熱交換器及び前記第3熱交換器のそれぞれの上流側で、前記室外からの空気と、前記室内からの空気とを全熱交換する全熱交換機構を備える
ことをと好調とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記室外からの空気を前記全熱交換機構に供給する第3流路と、
前記室外からの空気を、前記全熱交換機構をバイパスさせて前記第1熱交換器に供給する第4流路と、
前記室外からの空気の流路を、前記第3流路又は前記第4流路に切り替える第1切替機構と、を備える
ことを特徴とする請求項4に記載の空気調和機。
【請求項6】
冷凍サイクルの冷媒の流通方向を制御する第2切替機構を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項7】
冷凍サイクルの冷媒の流通方向が固定される
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項8】
室外の空気を室内に供給する第1流路と、前記室内の空気を前記室外に排気する第2流路と、に跨って配置され、前記第1流路又は前記第2流路のうちの一方の流路を流れる空気の水分を吸着し、他方の流路を流れる空気に放出する回転式の吸着放出機構と、
前記第1流路に備えられ、前記吸着放出機構の空気流上流側に配置される第1熱交換器と、
前記第1流路に備えられ、かつ前記第1熱交換器とは
冷媒流において並列に備えられ、前記吸着放出機構の空気流下流側に配置される第2熱交換器と、
前記第2流路に備えられ、前記吸着放出機構の空気流上流側に配置される第3熱交換器と、
前記第2流路に備えられ、かつ前記第3熱交換器とは
冷媒流において並列に備えられ、前記吸着放出機構の空気流下流側に配置される第4熱交換器と、
前記第1熱交換器への冷媒流量を制御する第1流量制御機構と、
前記第1流量制御機構とは別体に構成され、前記第2熱交換器への冷媒流量を制御する第2流量制御機構と、
前記第3熱交換器への冷媒流量を制御する第3流量制御機構と、
前記第3流量制御機構とは別体に構成され、前記第4熱交換器への冷媒流量を制御する第4流量制御機構と、
前記第1熱交換器、前記第2熱交換器、前記第3熱交換器及び前記第4熱交換器に供給される冷媒を圧縮する圧縮機と、を備え、
前記第1熱交換器又は前記第3熱交換器のうちの少なくとも一方への冷媒流量を、前記第2熱交換器又は前記第4熱交換器のうちの少なくとも一方への冷媒流量よりも多くする第1運転モードと、
前記第2熱交換器又は前記第4熱交換器のうちの少なくとも一方への冷媒流量を、前記
第1熱交換器又は前記第3熱交換器のうちの少なくとも一方への冷媒流量よりも多くする第2運転モードと、
前記第1熱交換器及び前記第3熱交換器への冷媒流量と、前記第2熱交換器及び前記第4熱交換器への冷媒流量とを等しくする第3運転モードと、が切替可能である
ことを特徴とする空気調和機。
【請求項9】
室内を空気調和する第1空気調和機と、
前記第1空気調和機とは別体に構成されるとともに前記第1空気調和機と連携して運転され、第2圧縮機と室外熱交換器と膨張機構と室内熱交換器とを備える第2空気調和機とを備え、
前記第1空気調和機は、
室外の空気を室内に供給する第1流路と、前記室内の空気を前記室外に排気する第2流路と、に跨って配置され、前記第1流路又は前記第2流路のうちの一方の流路を流れる空気の水分を吸着し、他方の流路を流れる空気に放出する回転式の吸着放出機構と、
前記第1流路に備えられ、前記吸着放出機構の空気流上流側に配置される第1熱交換器と、
前記第1流路に備えられ、かつ前記第1熱交換器とは
冷媒流において並列に備えられ、前記吸着放出機構の空気流下流側に配置される第2熱交換器と、
前記第2流路に備えられ、前記吸着放出機構の空気流上流側に配置される第3熱交換器と、
前記第2流路に備えられ、かつ前記第3熱交換器とは
冷媒流において並列に備えられ、前記吸着放出機構の空気流下流側に配置される第4熱交換器と、
前記第1熱交換器への冷媒流量を制御する第1流量制御機構と、
前記第1流量制御機構とは別体に構成され、前記第2熱交換器への冷媒流量を制御する第2流量制御機構と、
前記第3熱交換器への冷媒流量を制御する第3流量制御機構と、
前記第3流量制御機構とは別体に構成され、前記第4熱交換器への冷媒流量を制御する第4流量制御機構と、
前記第1熱交換器、前記第2熱交換器、前記第3熱交換器及び前記第4熱交換器に供給される冷媒を圧縮する第1圧縮機と、を備え、
前記第1流量制御機構、前記第2流量制御機構、前記第3流量制御機構及び前記第4流量制御機構は、何れも膨張機構により構成される
ことを特徴とする空調システム。
【請求項10】
前記第1空気調和機及び前記第2空気調和機の運転は、
前記第1空気調和機に内蔵されたセンサ、
前記第2空気調和機に内蔵されたセンサ、又は、
前記第1空気調和機及び前記第2空気調和機の何れからも離隔して配置されたセンサ、
の少なくとも何れかの1つのセンサによる温度及び湿度の測定値に基づき、制御される
ことを特徴とする請求項9に記載の空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和機及び空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機の分野において、快適性を配慮した上での省エネルギ性能の向上が行われる。従って、人間がいる居室環境で動かす電気設備として、「省エネルギ性能の向上」は単なる「消費電力の削減」ではなく、「快適性が損なわれない」という前提で成立する。
【0003】
居室内の衛生を維持するため、建物に換気は不可欠である。しかし、一般的な換気扇では、外気導入により潜熱負荷及び顕熱負荷が増加する。このため、空気調和機の除湿能力が不足するために快適性を維持できず、空気調和機の消費電力が増加する。
【0004】
特許文献1の要約書には、「第1空気流路(12)と、第2空気流路(13)と、室外温度検出手段(23)と室外湿度検出手段(24)と、回転式の水分吸着手段(8)と、冷媒回路(90)と、制御を行う制御部(31)と、を備える換気装置(100)であって、除湿モード(II)と、加湿モード(III)と、冷却モード(IV)と、加温モード(V)と、全熱交モード(VI)と、パージモード(I)を備え、制御部(31)は、室外検出湿度(Ho)と、室外検出温度(To)により、何れかのモードで運転すること、を特徴とする換気装置(100)。」が記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術では、第1膨張弁18により、第1熱交換器5及び第3熱交換器4への冷媒流量が制御される。また、第2膨張弁19により、第2熱交換器7及び第4熱交換器6への冷媒流量が制御される。従って、4つの各熱交換器への冷媒流量を独立して制御できない。このため、デシカントロータ8の吸着側と再生側とで、又は、空気流の上流側と下流側とでの熱交換器による仕事量を細かく制御できず、運転効率が低下し易い。
本開示が解決しようする課題は、優れた運転効率を有する空気調和機及び空調システムの提供である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、優れた運転効率を有する空気調和機及び空調システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態の空気調和機を示す模式図である。
【
図2】
図1に示す空気調和機を上から視た平面図である。
【
図3】
図1に示す空気調和機を横から視た平面図である。
【
図4】別の実施形態の空気調和機を示す模式図である。
【
図5】別の実施形態の空気調和機を示す模式図である。
【
図6】別の実施形態の空気調和機を示す模式図である。
【
図7】別の実施形態の空気調和機を示す模式図である。
【
図10】乾球温度と絶対湿度との関係を示す空気線図である。
【
図12】除湿モード時の冷媒流を説明する図である。
【
図13】加湿モード時の冷媒流を説明する図である。
【
図14】冷却モード時の冷媒流を説明する図である。
【
図15】加熱モード時の冷媒流を説明する図である。
【
図16】普通換気モード時の冷媒流を説明する図である。
【
図17】本開示の空調システムのブロック図である。
【
図18】別の実施形態に係る空調システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本開示を実施するための形態(実施形態と称する)を説明する。以下の一の実施形態の説明の中で、適宜、一の実施形態に適用可能な別の実施形態の説明も行う。本開示は以下の実施形態に限られず、異なる実施形態同士を組み合わせたり、本開示の効果を著しく損なわない範囲で任意に変形したりできる。また、同じ部材については同じ符号を付すものとし、重複する説明は省略する。更に、同じ機能を有するものは同じ名称を付すものとする。図示の内容は、あくまで模式的なものであり、図示の都合上、本開示の効果を著しく損なわない範囲で実際の構成から変更したり、図面間で一部の部材の図示を省略したり変形したりすることがある。
【0010】
図1は、一実施形態の空気調和機1を示す模式図である。空気調和機1(外調機)は、例えば屋外等の室外の空気OAを空気調和して、空気SAとして室内に供給するものである。また、空気調和機1は、室内の空気RAから適宜顕熱及び潜熱を回収した後、空気EAとして例えば屋外等の室外に排気するものである。流路71と流路72との間で、水分の吸着及び放出が行われる。
【0011】
空気調和機1は、デシカントロータ2を備える。デシカントロータ2は、回転式の吸着放出機構の一例である。回転式の吸着放出機構は、回転により水分の吸着及び放出が可能な機構であれば、デシカントロータに限定されない。更に、空気調和機1は、熱交換器31(第1熱交換器)と、熱交換器32(第2熱交換器)と、熱交換器33(第3熱交換器)と、熱交換器34(第4熱交換器)と、を備える。更に、空気調和機1は、膨張弁41(第1流量
制御機構の一例)と、膨張弁42(第2流量
制御機構の一例)と、膨張弁43(第3流量
制御機構の一例)と、膨張弁44(第4流量
制御機構の一例)とを備える。なお、各流量
制御機構は、流量を調整可能な機構であれば、膨張弁に限定されない。更に、空気調和機1は、圧縮機5と、
図1の例では四方弁6とを備える。
【0012】
デシカントロータ2は、流路71(第1流路。
図3)と流路72(第2流路。
図3)とに跨って配置される。流路71には、実線矢印で示す空気流が形成される。流路72には、点線矢印で示す空気流が形成される。流路71は、室外の空気OAを、空気調和の対象となる室内(不図示)に供給する。室内には、ファン81の駆動により、空気調和された空気SAが導入される。従って、流路71に取り込まれた空気OAから、空気調和機1により、空気SAが生成する。流路72は、室内の空気RAを室外に排気する。空気RAは、空気OAの空気調和に使用される。室外には、ファン82の駆動により、空気OAの空気調和に使用された後の空気EAが排気される。従って、流路72に取り込まれた空気RAから、空気調和機1により、空気EAが生成する。
【0013】
デシカントロータ2は、例えばモータ(不図示)による連続的な回転により、流路71又は流路72のうちの一方の流路71,72を流れる空気OA,RAの水分を吸着し、他方の流路72,71を流れる空気SA,EAに放出する。放出により、デシカントロータ2が再生する。例えば、夏場等には、空気OAは高湿である。従って、デシカントロータ2の回転により、空気OA中の水分がデシカントロータ2に吸着する。これにより、湿度が低下した空気SAが生成する。一方で、デシカントロータ2に吸着した水分は、空気EAに放出される。これにより、空気OA中の水分は、空気EAを介して室外に排出される。
【0014】
一方で、例えば冬場等には、空気OAは低湿である。そして、室内からの空気RAは、室内の人等に起因して、ある程度の湿度を有する。従って、デシカントロータ2の回転により、空気RA中の水分がデシカントロータ2に吸着する。これにより、空気RA中の水分を回収し、回収後の空気EAは室外に排気される。一方で、デシカントロータ2に吸着した水分は、空気SAに放出される。これにより、室内の空気RAから回収された水分を、空気SAを介して、室内に戻すことができる。
【0015】
熱交換器31は、流路71に備えられ、デシカントロータ2の空気流(実線矢印で示す)上流側に配置される。従って、熱交換器31は、デシカントロータ2に供給される空気OAを、予熱又は予冷する。熱交換器32は、デシカントロータ2の空気流(実線矢印で示す)下流側に配置される。従って、デシカントロータ2で加湿又は除湿され、熱交換器32で加熱又は冷却された後の空気が、空気SAとして室内に供給される。熱交換器32は、破線矢印で示す冷媒流において熱交換器31とは並列に備えられる。従って、詳細は後記するが、圧縮機5で圧縮された冷媒は、熱交換器31,32に対して並列に流れる。
【0016】
熱交換器33は、流路72に備えられ、デシカントロータ2の空気流(点線矢印で示す)上流側に配置される。従って、熱交換器33は、デシカントロータ2に供給される空気RAを、予熱又は予冷する。熱交換器34は、デシカントロータ2の空気流(点線矢印で示す)下流側に配置される。従って、デシカントロータ2で加湿又は除湿され、熱交換器34で加熱又は冷却された後の空気が、空気EAとして室外に排気される。熱交換器34は、破線矢印で示す冷媒流において熱交換器33とは並列に備えられる。従って、詳細は後記するが、圧縮機5で圧縮された冷媒は、熱交換器33,34に対して並列に流れる。
【0017】
デシカントロータ2の上流側に配置される熱交換器31,33は、上記のように、例えば、空気OA,RAの予熱又は予冷のために使用される。一方で、デシカントロータ2の下流側に配置される熱交換器32,34は、例えば、デシカントロータ2による処理後の空気の後処理及び冷凍サイクルの効率改善のために使用される。
【0018】
図2は、
図1に示す空気調和機1を上から視た平面図である。
図3は、
図1に示す空気調和機1を横から視た平面図である。空気調和機1は、筐体73の内部に、図示の例では下段に流路71、上段に流路72を備える。流路71は、空気OAが流入する流入口851と、空気SAが流出する流出口852とを備える。流路72は、空気RAが流入する流入口853と、空気EAが流出する流出口854とを備える。流入口851,853及び流出口852,854は、筐体73に形成される。筐体73には、図示の例では、熱交換器31,32,33,34、デシカントロータ2及びファン81,82が収容される。
【0019】
流路71は、ファン81を備える。ファン81の駆動により、空気OAは、熱交換器31、デシカントロータ2及び熱交換器32により空気調和され、その後、空気SAが室内に放出する。流路72は、ファン82を備える。ファン82の駆動により、空気RAの水分等が、熱交換器33、デシカントロータ2及び熱交換器34で適宜回収され、その後、空気EAが室外に排気する。
【0020】
図4は、別の実施形態の空気調和機1を示す模式図である。上記の例では、デシカントロータ2は1つのみ備えられたが、
図4の例では、デシカントロータ2(吸着放出機構)は、複数備えられる。これにより、デシカントロータ2による吸着及び再生機能を分散でき、デシカントロータ2の耐久性を向上できる。また、デシカントロータ2による吸着及び再生可能な水分量を拡大でき、きめ細やかな制御を実行できる。
【0021】
複数のデシカントロータ2は、例えば、空気流に対して直列に配置されてもよく、並列に配置されてもよい。図示の例では、2つのデシカントロータ2は、空気流に対して並列に配置される。
【0022】
図1に戻って、膨張弁41は、熱交換器31への冷媒流量を制御する。膨張弁42は、膨張弁41とは別体に構成され、熱交換器32への冷媒流量を制御する。膨張弁43は、熱交換器33への冷媒流量を制御する。膨張弁44は、膨張弁43とは別体に構成され、熱交換器34への冷媒流量を制御する。膨張弁41,42,43,43は、いずれも独立して開度を調整可能である。膨張弁41,42,43,43の開度調整により、熱交換器31,32,33,34を流れる冷媒の流量が、それぞれ独立して制御される。
【0023】
熱交換器31,32,33,34への冷媒流量、即ち、膨張弁41,42,43,44の開度調整は、例えば、所定関係に基づき決定できる。所定関係としては、例えば、実際の湿度と設定湿度との差と、流量比とを関連付けた所定式が挙げられる。従って、当該所定式に基づき決定された流量比になるように、膨張弁41,42,43,44の開度調整が行われる。これらの点は、温度についても同様である。
【0024】
圧縮機5(第1圧縮機)は、熱交換器31,32,33,34に供給される冷媒を圧縮する。空気調和機1の運転能力が例えば余剰の場合のために運転能力を低下させる場合には、例えば、圧縮機5の回転速度を低下させることで、空気調和機1の運転能力を低減できる。
【0025】
四方弁6(第2切替機構の一例)は、冷凍サイクル45の冷媒の流通方向を制御する。冷凍サイクル45は、圧縮機5と、熱交換器31,32,33,34と、膨張弁41,42,43,43と、により構成される。冷凍サイクル45は、適宜、圧縮機5に供給される冷媒を一時的に蓄積するアキュムレータ(不図示)も備える。第2切替機構は、冷凍サイクル45の冷媒の流通方向を制御可能な機構であれば、四方弁6に限定されない。四方弁6を備えることで、熱交換器31,32,33,34を蒸発器又は凝縮器の何れかに切り替えることができ、例えば季節に応じて、空気SAを昇温したり降温したりできる。
【0026】
図5は、別の実施形態の空気調和機1を示す模式図である。
図5に示す空気調和機1は、四方弁6を備えないこと以外は、
図1に示す空気調和機1と同じである。
【0027】
図5に示す空気調和機1では、四方弁6を備えないことで、冷凍サイクル45の冷媒の流通方向が例えば破線矢印の方向に固定される。空気調和機1の設置場所、設置環境等によっては、空気調和機1を、除湿専用又は加湿専用として使用することがあり得る。そこで、このような場合に、冷凍サイクル45の冷媒の流通方向を固定することで四方弁6を省略でき、空気調和機1の制御及び装置構成を簡素化できる。
【0028】
図6は、別の実施形態の空気調和機1を示す模式図である。
図6に示す空気調和機1は、更に全熱交換エレメント10を備えること以外は、
図1に示す空気調和機1と同じである。
【0029】
全熱交換エレメント10(全熱交換機構の一例)は、熱交換器31,33のそれぞれの上流側で、室外からの空気OAと、室内からの空気RAとを全熱交換する。全熱交換機構は、熱交換器31,33のそれぞれの上流側で、室外からの空気OAと、室内からの空気RAとを全熱交換可能な機構であれば、全熱交換エレメント10に限定されない。全熱交換エレメント10を備えることで、室内からの空気RAと、室外からの空気OAとの間で、潜熱及び顕熱を交換できる。これにより、空調効率を向上できる。
【0030】
図7は、別の実施形態の空気調和機1を示す模式図である。
図7に示す空気調和機1は、更に全熱交換エレメント10、ダンパ11及び流路12,13を備えること以外は、
図1に示す空気調和機1と同じである。なお、
図7は、ダンパ11及び流路12,13による全熱交換エレメント10のバイパスを説明する概念図であって、実際の製品の構造そのものを示すものではない。即ち、
図7は、次の2つの概念のうちの少なくとも一方を含む。即ち、空気OA(
図1)が空気SA(
図1)として供給されるまでに空気OAが全熱交換エレメント10をバイパスするか、空気RA(
図1)が空気EA(
図1)として排出されるまでに空気RAが全熱交換エレメント10をバイパスする。
【0031】
流路12(第3流路)は、室外からの空気OAを全熱交換エレメント10に供給する。流路13(第4流路)は、室外からの空気OAを、全熱交換エレメント10をバイパスさせて熱交換器31に供給する。ダンパ11(第1切替機構の一例)は、図示の例では流路12又は流路13の一方を閉塞することで、室外からの空気OAの流路を、流路12又は流路13に切り替える。切替機構は、ダンパ11に限定されず、空気OAの流路を流路12又は流路13の何れかに切替可能な機構であれば、任意である。流路12,13及びダンパ11を備えることで、例えば季節、使用状況等に応じて、全熱交換エレメント10による全熱交換の有無を切り替えることができる。これにより、不要な全熱交換を削減できる。
【0032】
図1に戻って、冷媒は、破線矢印で示すように配管83を流れる。圧縮機5で圧縮された冷媒は、四方弁6を通った後に分岐し、熱交換器33,34に供給される。このとき、上記のように、膨張弁43,44の開度調整により、熱交換器33,34への冷媒流量が制御される。熱交換器33,34では、冷媒の熱が空気RAに放出される。熱交換器33,34から流出した冷媒は、膨張弁43,44によって膨張する。膨張後の冷媒は、いったん合流し、再度、分岐する。分岐後、膨張弁41,42によって再度膨張し、熱交換器31,32に供給される。上記のように、膨張弁41,42の開度調整により、熱交換器31,32への冷媒流量が制御される。熱交換器31,32では、冷えた冷媒により、空気OAが冷却される。熱交換器31,32から流出した冷媒は合流し、四方弁6を通り、圧縮機5に戻る。
【0033】
図8は、第1運転モードの実行時のフローである。空気調和機1は、第1運転モードを有する。第1運転モードは、定常状態よりも、熱交換器31,33への冷媒流量を増やす、又は、熱交換器32,34への冷媒流量を減らす、のうちの少なくとも一方の制御を行う。定常状態は、室内の温度及び湿度と、設定温度及び設定湿度とのそれぞれの差が所定範囲内にあることをいう。所定範囲は、当該差が空調運転を行う必要がないほどに小さな範囲をいう。第1運転モードを有することで、デシカントロータ2の上流側での熱交換量を下流側の熱交換量よりも相対的に増やすことができ、潜熱及び顕熱の夫々の交換量を増加できる。
【0034】
制御装置9は、所定時間毎に、室内の湿度と設定湿度との差が所定範囲内にあるか否かを判断する(ステップS1)。設定範囲内である場合(Yes)、制御装置9は所定時間待機する(ステップS2)。待機後、制御装置9は再度ステップS1を実行する。一方で、ステップS1において、室内の湿度と設定湿度との差が所定範囲を超えたときに(No)、制御装置9は第1運転モードを実行する(ステップS3)。このように湿度差が大きく、湿度を設定湿度に近づける運転を行う場合に、デシカントロータ2の上流側での冷媒流量を増やすことで、湿度を調整できる。
【0035】
図9は、第2運転モードの実行時のフローである。空気調和機1は、第2運転モードを有する。第2運転モードは、定常状態よりも、熱交換器31,33への冷媒流量を減らす、又は、熱交換器32,34への冷媒流量を増やす、のうちの少なくとも一方の制御を行う。定常状態は、上記第1運転モードで説明した定常状態と同義である。第2運転モードを有することで、デシカントロータ2の下流側での熱交換量を上流側の熱交換量よりも相対的に増やすことで、排気される空気の後処理顕熱量を増やして、サイクル効率を向上できる。
【0036】
制御装置9は、所定時間毎に、室内の温度と設定温度との差が所定範囲内にあるか否かを判断する(ステップS4)。設定範囲内である場合(Yes)、制御装置9は所定時間待機する(ステップS5)。待機後、制御装置9は再度ステップS4を実行する。一方で、ステップS4において、室内の温度と設定温度との差が所定範囲を超えたときに(No)、制御装置9は第2運転モードを実行する(ステップS6)。このように温度差が大きく、温度を設定温度に近づける運転を行う場合に、デシカントロータ2の下流側での冷媒流量を増やすことで、温度を調整できる。
【0037】
空気調和機1では、上記第1運転モードと、上記第2運転モードと、第3運転モードとが切替可能である。第1運転モードは、上記のように、熱交換器31又は熱交換器33のうちの少なくとも一方(好ましくは双方)への冷媒流量を、熱交換器32又は熱交換器34のうちの少なくとも一方(好ましくは双方)への冷媒流量よりも多くする。これにより、潜熱処理が優先される。第2運転モードは、上記のように、熱交換器32又は熱交換器34のうちの少なくとも一方(好ましくは双方)への冷媒流量を、熱交換器31又は熱交換器33のうちの少なくとも一方(好ましくは双方)への冷媒流量よりも多くする。これにより、顕熱処理が優先される。第3運転モードは、熱交換器31及び熱交換器33への冷媒流量と、熱交換器32及び熱交換器34への冷媒流量とを等しくする。これにより、運転効率が向上する。これらのように、第1運転モード、第2運転モード及び第3運転モードが切替可能なことで、室内にいる人の快適性の向上と、省エネルギ性能の向上とをより適切に実行できる。
【0038】
本開示の例では、第1運転モード、第2運転モード及び第3モードでは、熱交換器31,33の双方の冷媒流量が制御され、熱交換器32,34の双方の冷媒流量が制御される。ただし、例えば、第1運転モードにおいて、熱交換器31への冷媒流量は熱交換器32への冷媒流量よりも多いが、熱交換器33への冷媒流量は熱交換器34への冷媒流量と等しくするような制御を実行してもよい。また、例えば、第2運転モードにおいて、熱交換器32への冷媒流量は熱交換器31への冷媒流量よりも多いが、熱交換器34への冷媒流量は熱交換器33への冷媒流量と等しくするような制御を実行してもよい。即ち、例えば、室内に供給される空気SAを生成する流路71のみに着目した制御を実行してもよい。また、説明は省略するが、室内から排気された空気RAが流れる流路72のみに着目した制御を実行してもよい。
【0039】
第1運転モード、第2運転モード及び第3運転モードを含む空気調和機1の運転制御は、制御装置9によって実行される。制御装置9は、例えばCPU91、ROM92、RAM93等を備える。ROM92に格納されている所定の制御プログラムが例えばRAM93に展開され、例えばCPU91によって実行されることにより、制御装置9が具現化される。
【0040】
図10は、乾球温度と絶対湿度との関係を示す空気線図である。
図10には、上記
図6に示す空気調和機1を用いた場合において、空気OAから空気SAを生成させるときのグラフ(デシカントロータ2での水分吸着時のグラフ)が図示される。空気RAから空気EAを生成させるときのグラフ(デシカントロータ2の再生時のグラフ)は、
図10に示すグラフと考え方は同じであるため、図示を省略する。
【0041】
横軸は乾球温度であり、縦軸は絶対湿度である。曲線で示す飽和線L1が図示される。本開示の空気調和機1では、4つの熱交換器31,32,33,34(
図6)への冷媒流量を独立して制御することで、実線及び破線で示すように乾球温度及び絶対湿度を調整できる。例えば、通常時には、実線で示すような制御(上記第3運転モード)が行われる。通常時は、上記の定常運転に相当し、通常時には、膨張弁41,42,43,44は全て同じ開度を有する。通常時の運転では絶対湿度を設定湿度に迄低下できない場合には、点線で示すような制御に切り替えられる。点線で示す制御は、上記の第1運転モードである。図示の例では、膨張弁41,43(
図6)の開度が膨張弁42,44(
図6)の開度をよりも大きく制御され、これにより、熱交換器31,33の冷媒流量が熱交換器32,34の冷媒流量よりも多くなる。これにより、絶対湿度を、通常時の運転よりも低下できる。
【0042】
空気OAは、点Aから点Bの間で、全熱交換エレメント10(
図6)において全熱交換される。これにより、乾球温度及び絶対湿度が低下する。実線で示す通常時の運転では、点Bから点C1の間で、蒸発温度T1の熱交換器31によって冷却されることで、乾球温度が低下する。点C1から点D1の間で、デシカントロータ2に水分が吸着することで、絶対湿度が低下する。このとき、乾球温度は上昇する。点D1から点E1では、熱交換器32によって再度冷却されることで、乾球温度が低下する。低下後の空気は、空気SAとして室内に供給される。
【0043】
一方で、点Bから点C2において、破線で示す第1運転モードでは、上記のように、熱交換器31,33での冷媒流量が通常時(定常運転)よりも多い。このため、蒸発温度T1よりも低い蒸発温度T2の熱交換器31により、通常時よりも空気OAが冷却される。この結果、乾球温度が実線で示す通常時よりも低下するとともに、絶対湿度も通常時よりも低下する。点C2から点D2では、通常時と同様にデシカントロータ2に水分が吸着する。ただし、点C2では、上記のように、乾球温度が通常時の点C1よりも低い。このため、空気の予冷効果が大きく、これにより、詳細は後記するが、デシカントロータ2での水分吸着効果が増大する。従って、デシカントロータ2での除湿量が通常時よりも増え、これにより、絶対湿度が通常時の点D1よりも低い点D2に至る。点D2から点E2では、熱交換器32によって再度冷却されることで、乾球温度が低下する。低下後の空気は、空気SAとして室内に供給される。
【0044】
このように、第3運転モードの通常時には、熱交換器31の蒸発温度T1を蒸発温度T2よりも相対的に高くして、運転効率を向上できる。一方で、第1運転モードでは、例えば夏場等の空気OAが高湿のときには、デシカントロータ2による吸着効果を向上でき、適切に除湿された空気SAを室内に供給できる。これにより、室内に存在する人の快適性を向上できる。
【0045】
予冷によるデシカントロータ2の吸着効果増大について説明する。デシカントロータ2等の吸着剤への水の吸着量は空気条件に依存する。ある条件で吸着剤を空気中に放置して、充分な時間が経過すると、吸着量が変化しなくなる。その状態の吸着量を平衡吸着量と呼ぶ。
【0046】
図11は、水蒸気吸着等温線を示すグラフである。
図11では、横軸を相対湿度、縦軸を水蒸気吸着量とするグラフ(水蒸気吸着等温線)を考える。水蒸気吸着等温線は、空気の相対湿度変化による平衡吸着量の変化を表す。縦軸は、単位質量当たりの吸着剤の水吸着量であり、所謂吸着率である。従って、水蒸気吸着等温線は、吸着率曲線ともいえる。
【0047】
一例として、特定の吸着剤への吸着例が示されるが、デシカントロータ2での吸着剤の材質に寄らず、相対湿度が増加すると水蒸気吸着量も増加する。従って、デシカントロータ2での吸着前に、熱交換器31で空気温度を十分に下げることで、相対湿度が上昇する。この結果、水蒸気吸着量が増加するため、吸着効果が向上する。一方で、再生側である空気RA(
図1)では、予熱効果の向上により空気温度を上昇させれば、相対湿度が低下する。これにより、放湿作用が促進される。
【0048】
図12は、除湿モード時の冷媒流を説明する図である。除湿モードは、室外の空気OAを除湿して室内に給気するモードである、空気OAは、流路71(
図3)において、熱交換器31、デシカントロータ2及び熱交換器32の順に通過する。これにより、空気OAの湿度が低下し、空気SAが室内に供給される。同時に空気RAは、流路72において、熱交換器33、デシカントロータ2及び熱交換器34の順に通過する。このように、デシカントロータ2の再生による発生水分、及び、圧縮機5等の冷凍サイクルで発生する排熱を含む空気が空気EAとして室外に排気される。デシカントロータ2の連続回転により、空気SA側の吸着と、空気EA側の再生とが連続して行われ、流路71から流路72に水分が移動する。
【0049】
除湿モード時の冷凍サイクルの動作を説明する。四方弁6の動作による、冷媒流は破線矢印に示すようになる。流路71内の熱交換器31,32は蒸発器となり、冷媒が蒸発して空気温度が下がる。このとき、蒸発温度及び空気条件によっては、熱交換器31,32にて結露が生じ、湿度が低下することもある。流路72での熱交換器33,34は凝縮器となり、冷媒凝縮により、流路71から奪った熱量が排出される。また、4つの熱交換器31,32,33,34毎に設置された膨張弁41,42,43,44の開度がそれぞれ制御されることで、熱交換器31,32,33,34への冷媒流量が個別制御される。個別制御により、負荷条件によって熱交換器31,32,33,34の能力及び空気調和機1全体の性能を調整できる。
【0050】
空気の状態変化の経過を説明する。流路71内の空気OAは、熱交換器31において温度が低下して相対湿度が上昇する。次に、デシカントロータ2の通過時、デシカントロータ2に備えられる吸着剤(不図示)により水分が吸着され、空気OA中の水分量が低下する。このとき、吸着剤の吸湿作用により発熱反応を起こし、温度が上昇する。最後に、デシカントロータ2の下流側に設置される熱交換器32において温度が再度低下してから、空気SAとして室内に給気される。
【0051】
同時に、流路72内の空気RAは、熱交換器33において温度が上昇して相対湿度が低下する。次に、デシカントロータ2の通過時、デシカントロータ2に備えられる吸着剤(不図示)から水分が放出され、空気RA中の水分量が上昇する。この過程がデシカントロータ2の再生である。このとき、吸着剤の放湿作用により吸熱反応を起こし、温度が低下する。最後に、デシカントロータ2の下流側に設置される熱交換器34により温度が再度上昇してから、空気EAとして室外に排気される。
【0052】
図13は、加湿モード時の冷媒流を説明する図である。加湿モードは、例えば冬場等に行われ、空気OAを加湿して室内に給気するモードである。加湿モードは、上記の除湿モードと逆になり、流路72内の空気RAから流路71内の空気OAに水分が移動する。冷媒回路の動作は除湿モードと逆であるため、説明は省略する。
【0053】
図14は、冷却モード時の冷媒流を説明する図である。冷却モードは、例えば乾燥した初夏等に行われ、高温の空気OAを冷却してから室内に給気するモードである。冷却モードの使い場面として、「室外の空気OAの温度が高く、冷却が必要だが、除湿処理は不要」の条件が想定される。従って、デシカントロータ2の回転が停止され、デシカントロータ2は二点鎖線で示される。冷却モードでは、流路71において蒸発器として機能する熱交換器31,32の結露による除湿を除き、空気OAの温度低下のみが目的とされる。冷媒回路の動作は上記除湿モードを参照すればよいため、説明は省略する。
【0054】
図15は、加熱モード時の冷媒流を説明する図である。加熱モードは、例えばある程度湿度が高い初秋等に行われ、低温の空気OAを加熱してから室内に給気するモードである。加熱モードの使い場面として、「外気温度が低く、加熱が必要だが、加湿処理は不要」の条件が想定される。従って、デシカントロータ2の回転が停止され、デシカントロータ2は二点鎖線で示される。加熱モードでは、流路71の空気の温度上昇のみが目的とされる。冷媒回路の動作は上記加湿モードを参照すればよいため、説明は省略する。
【0055】
図16は、普通換気モード時の冷媒流を説明する図である。普通換気モードは、除湿、加湿、冷却、加温のいずれも必要がなく、単なる室内の空気RAを室外に排気し、これとともに、室外の空気OAを室内に給気するモードである。普通換気モードでは、デシカントロータ2の回転が停止し、冷媒回路も停止する。従って、熱交換器31,32,33,34への冷媒の流通及びデシカントロータ2の回転が停止され、熱交換器31,32,33,34及びデシカントロータ2は二点鎖線で示される。普通換気モードの使い場面として、低負荷の中間期、ナイトパージ等に利用できる。
【0056】
なお、
図16に示す例では、更に全熱交換エレメント10を設置して使用することで、全熱換気モードも使用できる。
【0057】
本開示の空気調和機1によれば、熱交換器31,32,33,34毎に膨張弁41,42,43,44が備えられることで、熱交換器31,32,33,34毎に冷媒流量を調整できる。これにより、冷凍サイクルの効率を改善でき、優れた運転効率を達成できる。また、デシカントロータ2に接触する空気OA,RAの予処理及び後処理効果を細かく制御でき、デシカントロータ2の能力発揮、及び、空気調和機1による顕熱と潜熱との比率調整を高精度化できる。
【0058】
図17は、本開示の空調システム100のブロック図である。空気調和機1,50において、冷媒の流通方向は、熱交換器31,32,33,34、室外熱交換器52及び室内熱交換器54が蒸発器又は凝縮器の何れで機能するかにより決定される。従って、
図17において実線矢印の冷媒流の方向はあくまで一例であり、図示の方向に限定されない。
【0059】
空調システム100は、空気調和機1(第1空気調和機)と、空気調和機50(第2空気調和機)とを備える。空気調和機1は、室内を空気調和するものであり、上記
図1を参照して説明した空気調和機1である。空気調和機1を構成する制御装置9には、電気信号線121により、リモコン94及びセンサ95が接続される。図示の例では、センサ95は、空気調和機1を構成するリモコン94に内蔵される。電気信号線121に代えて、制御装置9とリモコン94及びセンサ95とは無線により接続されてもよい。リモコン94は、少なくとも空気調和機1の運転を指示する操作を受け付ける。センサ95は、空気調和機1に内蔵され、空気SAが供給される室内の温度又は湿度の少なくとも一方(本開示の例では双方)を測定する。
【0060】
空気調和機50は、空気調和機1と同じ室内を空気調和するものであり、空気調和機1とは別体に構成されるとともに空気調和機1と連携して運転される。空気調和機50は、圧縮機51(第2圧縮機)と、室外熱交換器52と、膨張機構53(膨張弁等)と、室内熱交換器54とを備える。圧縮機51と室外熱交換器52と膨張機構53と室内熱交換器54とより、冷凍サイクルが構成される。室内熱交換器54は、室内に配置され、圧縮機51で圧縮された冷媒を用いて、室内に冷気又は暖気が供給される
【0061】
空気調和機50は、空気調和機50の運転を制御する制御装置55を備える。制御装置55の具体的なハードウェア構成は制御装置9と同様であるため、説明を省略する。制御装置55には、電気信号線56により、リモコン57及びセンサ58が設置される。図示の例では、センサ58は、空気調和機50を構成するリモコン57に内蔵される。電気信号線56に代えて、制御装置55とリモコン57及びセンサ58とは無線により接続されてもよい。リモコン57は、少なくとも空気調和機50の運転を指示する操作を受け付ける。センサ58は、空気調和機50に内蔵され、空気SAが供給される室内の温度又は湿度の少なくとも一方(本開示の例では双方)を測定する。
【0062】
制御装置9と制御装置55とは、電気信号線120により接続される。これにより、空気調和機1,50が連携して動作する。電気信号線120に代えて、制御装置9と制御装置55とは無線により接続されてもよい。空気調和機1に備えられるリモコン94は、空気調和機50の運転指示を受け付けるようにしてもよい。空気調和機50に備えられるリモコン57は、空気調和機1の運転指示を受け付けるようにしてもよい。
【0063】
空気調和機1,50の運転は、センサ95又はセンサ58のうちの少なくとも何れか1つ(
図7の例では双方)のセンサによる温度及び湿度の測定値に基づき、制御される。これにより、いずれかのセンサ95,58による測定値に基づいて、空気調和機1,50が連携して運転できる。
【0064】
本開示の例では、空気調和機1は、室内の主に潜熱を処理する。潜熱の処理は、具体的には例えば、室内の湿度調整である。「主に潜熱を処理」とは、空気調和機1の機能としては、室内の湿度調整がメインであり、湿度調整を行う場合に空気調和機1の能力に余裕が有れば、室内の温度調整(顕熱処理)も行うという意味である。
【0065】
空気調和機50は、室内の主に顕熱を処理する。顕熱の処理は、具体的には例えば、室内の温度調整である。「主に顕熱を処理」とは、空気調和機50の機能としては、室内の温度調整がメインであり、温度調整を行う場合に空気調和機50の能力に余裕が有れば、室内の湿度調整(潜熱処理)も行うという意味である。
【0066】
室内の潜熱処理と顕熱処理とは、空気調和機1,50によって分担して実行される。これにより、潜熱及び顕熱をそれぞれの空気調和機1,50によって独立して処理できるため、設定温度及び設定湿度に対する追従性を向上できる。
【0067】
別の実施形態では、空気調和機50において室内熱交換器54への冷媒の流通停止中、空気調和機1による顕熱処理が不足する場合に、空気調和機50による顕熱処理が行われる。顕熱処理は、例えば、負荷状況、ユーザニーズ等の実状況によって変動する。従って、空気調和機1のみで潜熱及び顕熱の双方を処理できる場合には、空気調和機1のみが運転され、室内熱交換器54への冷媒の流通が停止(例えば空気調和機50の運転が停止)される。一方で、空気調和機1による顕熱処理が不足する場合には、空気調和機50が併用される。これにより、常に空気調和機1,50の双方が運転される場合と比べて、運転コストを削減できる。
【0068】
空調システム100をこのように制御することで、様々な運転方法が可能になる。例えば、低負荷条件には空気調和機1だけで全負荷をバランスよく処理する単体運転制御、全部の潜熱負荷処理を空気調和機1で賄い、空気調和機50を完全顕熱専用にした潜顕分離による省エネシステムの構築等が挙げられる。また、調湿量に注力する上記除湿モードでは、冬の無給水加湿も可能となり、高い快適性、設置利便性、及びメンテナンス性を達成できる。
【0069】
図18は、別の実施形態に係る空調システム100のブロック図である。
図18に示す例では、空調システム100は、空気調和機1及び空気調和機50の何れからも離隔して配置されたセンサ110を備えること以外は、
図17に示す空調システム100と同じである。
【0070】
図18に示す例では、空気調和機1,50の運転は、センサ95、センサ58又はセンサ110のうちの少なくとも何れか1つ(
図18の例では全て)のセンサによる温度及び湿度の測定値に基づき、制御される。特に、空気調和機1,50の何れからも離隔して配置されたセンサ110の測定値も利用することで、室内における温度及び湿度のムラを抑制できる。
【0071】
センサ110は、制御装置9,55のうちの少なくとも一方(図示の例では制御装置9)に対し、電気信号線122により接続される。電気信号線122に代えて、センサ110と、制御装置9,55とは無線により接続されてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 空気調和機(第1空気調和機)
10 全熱交換エレメント(全熱交換機構)
100 空調システム
11 ダンパ(第1切替機構)
110 センサ
111 室内熱交換器
112 膨張機構
113 室外熱交換器
12 流路(第3流路)
13 流路(第4流路)
2 デシカントロータ(吸着放出機構)
31 熱交換器(第1熱交換器)
32 熱交換器(第2熱交換器)
33 熱交換器(第3熱交換器)
34 熱交換器(第4熱交換器)
4 熱交換器
41 膨張弁(第1流量制御機構)
42 膨張弁(第2流量制御機構)
43 膨張弁(第3流量制御機構)
44 膨張弁(第4流量制御機構)
45 冷凍サイクル
5 圧縮機(第1圧縮機)
50 空気調和機(第2空気調和機)
51 圧縮機
52 室外熱交換器
53 膨張機構
54 室内熱交換器
55 制御装置
56 電気信号線
57 リモコン
58 センサ6 四方弁(第2切替機構)
71 流路(第1流路)
72 流路(第2流路)
73 筐体
81 ファン
82 ファン
83 配管
9 制御装置
94 リモコン
95 センサ
【要約】
【課題】優れた運転効率を有する空気調和機を提供する。
【解決手段】空気調和機1は、デシカントロータ2と、流路71に備えられ、デシカントロータ2の空気流上流側に配置される熱交換器31と、熱交換器31とは並列に備えられ、デシカントロータ2の空気流下流側に配置される熱交換器32と、流路72に備えられ、デシカントロータ2の空気流上流側に配置される熱交換器33と、熱交換器33とは並列に備えられ、デシカントロータ2の空気流下流側に配置される熱交換器34と、熱交換器31への冷媒流量を制御する膨張弁41と、膨張弁41とは別体に構成され、熱交換器32への冷媒流量を制御する膨張弁42と、熱交換器33への冷媒流量を制御する膨張弁43と、膨張弁43とは別体に構成され、熱交換器34への冷媒流量を制御する膨張弁44と、圧縮機5と、を備える。
【選択図】
図1