(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-12
(45)【発行日】2023-07-21
(54)【発明の名称】エアロゾル送出システム
(51)【国際特許分類】
A24F 40/50 20200101AFI20230713BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20230713BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20230713BHJP
A24F 40/51 20200101ALI20230713BHJP
A24F 40/65 20200101ALI20230713BHJP
【FI】
A24F40/50
A24F40/40
A24F40/20
A24F40/51
A24F40/65
(21)【出願番号】P 2022514658
(86)(22)【出願日】2020-09-04
(86)【国際出願番号】 GB2020052116
(87)【国際公開番号】W WO2021044152
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-03-25
(32)【優先日】2019-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】マロニー、パトリック
(72)【発明者】
【氏名】カルジュラ、カール
(72)【発明者】
【氏名】ソーントン、アンドリュー
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/130128(WO,A1)
【文献】米国特許第09936735(US,B1)
【文献】特表2019-519195(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
A61M 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル送出デバイスを含むエアロゾル送出システムであって、該デバイスは、エアロゾル形成基材を収容するように構成され、該システムは外方ハウジングと、マウスピースと、電源と、エアロゾル発生部品と、コントローラとを含み、マウスピー
スの少なくと
も一部は、デバイスの1つ以上の作動パラメータの変化を検出するコントローラに応答し
て第1および第2の位置間で移動するように構成されて
おり、第1および第2の位置間での移動は、全体としてのマウスピースに対するマウスピースのその部分またはデバイスに対するマウスピース全体の回転および/または並進を含むシステム。
【請求項2】
デバイスの前記1つ以上の作動パラメータは、デバイスの作動準備状態、デバイス内の1つ以上の部品の温度、電源の電力状態、エアロゾル形成基材の状態およびエアロゾル発生部品の状態から選択されることを特徴とする請求項1記載のエアロゾル送出システム。
【請求項3】
作動準備状態は、コントローラがデバイスがオンまたはオフか、高電力モードまたは低電力モードにあるかおよび/またはロックされているまたはロックされていないかを検出することを含むことを特徴とする請求項2記載のエアロゾル送出システム。
【請求項4】
1つ以上の部品の温度はエアロゾル発生部品、電源、マウスピース、外方ハウジング、エアロゾル発生基材および/またはデバイスを通る空気流の温度を含むことを特徴とする請求項2記載のエアロゾル送出システム。
【請求項5】
電源の電力状態は、電源の電圧状態、電源の古さおよび/または電源が受けた充電サイクルの回数を含むことを特徴とする請求項2記載のエアロゾル送出システム。
【請求項6】
エアロゾル形成基材の状態は、デバイス内のエアロゾル形成基材があるか、デバイス内のエアロゾル形成基材の量、デバイス内のエアロゾル形成基材の古さおよび/またはデバイス内のエアロゾル形成基材の識別特徴を含むことを特徴とする請求項2記載のエアロゾル送出システム。
【請求項7】
エアロゾル発生部品の状態は、電源との接続の完全性、エアロゾル発生部品の古さ、エアロゾル発生部品の起動の累積時間および/またはエアロゾル発生部品の起動の累積回数を含むことを特徴とする請求項2記載のエアロゾル送出システム。
【請求項8】
マウスピー
スの少なくと
も一部は、コントローラのデバイスの作動パラメータの内の2、3、4、5またはそれ以上の変化の検出に応答し
て第1および第2の位置間で移動するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至7いずれか1項記載のエアロゾル送出システム。
【請求項9】
マウスピースはデバイスから取り外し可能であることを特徴とする請求項1乃至8いずれか1項記載のエアロゾル送出システム。
【請求項10】
エアロゾル形成基材は、マウスピースにおよび/または外方ハウジング内に収容できることを特徴とする請求項1乃至9いずれか1項記載のエアロゾル送出システム。
【請求項11】
マウスピースの移動は、コントローラおよび電源に接続された1つ以上のアクチュエーターによって行われることを特徴とする請求項1乃至10いずれか1項記載のエアロゾル送出システム。
【請求項12】
マウスピー
スが形状記憶材を含むことを特徴とする請求項1乃至11いずれか1項記載のエアロゾル送出システム。
【請求項13】
形状記憶材は、形状記憶合金、形状記憶ポリマーまたはその組み合わせであることを特徴とする請求項12記載のエアロゾル送出システム。
【請求項14】
コントローラは、作動パラメータの特定の変化に応答した特定の動きを導くように構成することができることを特徴とする請求項1乃至1
3いずれか1項記載のエアロゾル送出システム。
【請求項15】
第1および第2の位置の一方は、マウスピースが外方ハウジングに対して相対的に延びた位置にある位置であり、第1および第2の位置の他方は、マウスピースが外方ハウジングに対して相対的に格納された位置にある位置であることを特徴とする請求項1乃至14いずれか1項記載のエアロゾル送出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアロゾル形成基材を収容するためのデバイスを含むエアロゾル送出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル送出システムは、ユーザーにエアロゾルを送出するために広く使用されている。特に一部のエアロゾル送出システムは、ニコチンおよび/または他の薬理学的に活性な物質を含む場合があるエアロゾルを送出するために使用される。
【0003】
タバコの燃焼から得られないニコチン含有エアロゾルは、電子タバコおよび「非燃焼加熱」装置(電子ニコチン送出システムまたは「ENDS」とも言われる)などのエアロゾル送出システムによって送出させる場合がある。通常、これらのシステムは、デバイス部、エアロゾル形成基材およびユーザーにエアロゾルの形体でエアロゾル形成基材を変換、搬送する部材を含む。通常、エアロゾルは、縮合エアロゾル(エアロゾル形成基材が加熱される際の)の形で送出される。しかしながら、振動、機械的または静電的手段等などの他の手段を介してエアロゾルを形成することも可能である。
【0004】
システムの状態の特徴並びにユーザーの要望に対してより反応的なエアロゾル送出システムを提供することが望まれる。
【発明の概要】
【0005】
したがって、第1の態様ではエアロゾル送出デバイスを含むエアロゾル送出システムが提供され、このデバイスは、エアロゾル形成基材を収容するように構成され、該システムは外方ハウジングと、マウスピースと、電源と、エアロゾル発生部品と、コントローラとを含み、マウスピースと外方ハウジングの少なくとも一方の一部は、デバイスの1つ以上の作動パラメータの変化を検出するコントローラに応答してそれぞれの第1および第2の位置間で移動するように構成されている。
【0006】
第2の態様においてエアロゾル送出デバイスを含み、デバイスは、電源を囲む外方ハウジングを含むエアロゾル送出システムが提供され、外方ハウジングの一部は、システムの作動に影響を与えずに第1の位置から第2の位置へと復帰できるように変形可能となるように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本明細書で説明するデバイスの略式全体図である。
【
図2a】本明細書で説明する例示的デバイスの斜視図である。
【
図2b】本明細書で説明する例示的デバイスの端面図である。
【
図3a】異なる状態にある本明細書で説明する例示的デバイスの立面図である。
【
図3b】異なる状態にある本明細書で説明する例示的デバイスの立面図である。
【
図4a】異なる状態にある本明細書で説明する例示的デバイスの斜視図である。
【
図4b】異なる状態にある本明細書で説明する例示的デバイスの斜視図である。
【
図5a】異なる状態にある本明細書で説明する例示的デバイスの斜視図である。
【
図5b】異なる状態にある本明細書で説明する例示的デバイスの斜視図である。
【
図6a】異なる状態にある本明細書で説明する例示的デバイスの立面図である。
【
図6b】異なる状態にある本明細書で説明する例示的デバイスの立面図である。
【
図7a】本明細書で説明するデバイスの変形可能な外方ハウジング面の面を例示的に示している。
【
図7b】本明細書で説明するデバイスの変形可能な外方ハウジング面の面を例示的に示している。
【
図8】本明細書で説明するデバイスの内部部品を遮蔽する内部保護環境の略式全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
特定の例および実施態様の様相および特徴をここで述べ、説明する。特定の例および実施態様の様相および特徴は従来通り実施してもよく、それらについては簡潔にするために詳しく述べたり、説明したりしない。当然のことながら詳しくは説明されないここで述べられる装置および方法の様相および特徴はこのような様相および特徴を実行するための何らかの従来の技術に従って実行してもよい。
【0009】
本明細書中では「エアロゾル送出デバイス/システム」、「蒸気供給デバイス/システム」、「電子蒸気供給デバイス/システム」、「エアロゾル供給デバイス/システム」、「電子エアロゾル供給デバイス/システム」なる用語およびこれに類似する用語は、エアロゾル形成基材から加熱または振動などの他の技術で蒸気またはエアロゾルを製する電子タバコまたはe-シガレット、タバコ加熱製品などの燃やさずにエアロゾル形成基材から化合物を放出する加熱装置および例えば液体またはゲルまたは固体基材またはそれらの組み合わせを含むハイブリッドシステムなどのエアロゾル形成基材との組み合わせによりエアロゾルを供するハイブリッドシステムを含む電子喫煙品などの非燃焼系エアロゾルおよび蒸気供給システム(非燃焼系喫煙品)を含むことを意図する。「エアロゾル」なる用語は、気体に分散した粒状物(固体または液体)を意味する。「蒸気」なる文脈において、エアロゾルは蒸気の凝集を介して形成されると理解される。しかしながら、その解釈に対する核心部に触れられなければ、「蒸気」および「エアロゾル」なる用語は、相互に置き換えて使用される。
【0010】
本明細書中では通常、「マウスピース」は、発生したエアロゾルがシステムから出るシステムの部分を意味する。当然のことながら殆どの場合、ユーザーの唇が使用中マウスピースと係合する。しかしながら、一部の実施態様ではエアロゾルは、そのように係合しなくてもエアロゾルを吸入できるようにシステムから排出することも想定される。
【0011】
一部の実施態様ではエアロゾルまたは蒸気送出システムは、ベイピングデバイスとしても知られている電子タバコなどの非燃焼系喫煙品である。エアロゾル送出システムは、エアロゾル発生部品(例えば、ヒーター、ピエゾシステム)およびエアロゾル形成基材などの1つ以上の部品を含んでもよい。通常、エアロゾル送出システムは、電源を含むデバイスを含み、一部の実施態様ではそのシステムは、電源から電力が供給されるヒーターと、液体またはゲルなどのエアロゾル形成基材と、外方ハウジングと、マウスピース(システムから取り外し可能であってもよい)とを含む。エアロゾル形成基材は、マウスピースを含む基材容器に入れてもよい。基材容器は、ヒーター(または必要に応じて他のエアロゾル発生部品)と組み合わせてもよく、これを含んでもよい。
【0012】
一部の実施態様ではエアロゾルまたは蒸気送出システムは、エアロゾル形成基材を燃やさずに熱することで1つ以上の化合物を放出する加熱製品である。エアロゾル形成基材は、例えばタバコまたはニコチンを含むまたは含まない他の非タバコ製品であってもよいエアロゾル化可能な基材である。一部の実施態様ではその製品は、タバコ加熱製品である。通常、タバコ加熱製品は、電源を含むデバイスを含み、その電源から電力が供給されるヒーターと、固体またはゲル材などのエアロゾル形成基材とを含む。その加熱製品は、エアロゾル化可能な基材を加熱することによって発生させるエアロゾルをろ過することができるフィルターも含んでもよい。
【0013】
一部の実施態様では非燃焼系エアロゾルまたは蒸気供給システムは、エアロゾル形成基材の混合物を燃やさずに熱することでエアロゾルを供するためのハイブリッドシステムである。エアロゾル形成基材は、例えばニコチンを含むまたは含まない固体、液体またはゲルを含んでもよい。一部の実施態様ではハイブリッドシステムは、液体またはゲル基材と固体基材とを含んでもよい。固体基材は、例えばタバコまたはニコチンを含むまたは含まない非タバコ製品であってもよい。一部の実施態様ではハイブリッドシステムは、液体またはゲル基材と、タバコとを含む。
【0014】
エアロゾルまたは蒸気は、デバイス、システムまたは製品の性質に応じて種々の方法で種々の基材から製せられるまたは放出される。これらは蒸発させるために加熱する、化合物を放出するために加熱するおよび液体またはゲルを振動させて液滴を発生させることを含む。1つのシステム内で1つ以上の異なる材料であってもよいエアロゾル形成基材は、一般にエアロゾル形成基材材料、エアロゾル化可能な基材、エアロゾル化可能な基材材料または同様の用語を意味する。基材材料は、固体、液体またはゲルであってもよく、タバコを含んでも含まなくてもよく、ニコチンを含むエアロゾルまたは蒸気を発生させてもよく、発生させなくてもよい。例えば、エアロゾル形成基材は、蒸気またはエアロゾル発生剤またはグリセリン、プロピレングリコール、トリアセチンまたはジエチレングリコールなどの湿潤剤を含んでもよい。
【0015】
特に本開示の実施態様は、使用時に互いに接続される2つの別個の部分、即ち繰り返し使用可能であってもよいデバイス部と使い捨てまたは1回だけ使用され、エアロゾル形成基材を含んでもよい消耗部品とを含むエアロゾル供給システムに関する。
【0016】
図1は本開示によるエアロゾル送出システムの例示的実施態様を示している。エアロゾル送出システム10は、外方ハウジング110を含むエアロゾル送出デバイス100、マウスピース150(デバイス100から取り外し可能であってもよい)、電源102、エアロゾル発生部品103およびコントローラ101を含む。さらにエアロゾル送出デバイス100は、一般に空気流経路を含み、これは通常空気入り口104から空気出口へと続いている。空気出口は、外方ハウジング110の一部としてまたはマウスピース150がデバイス100に接続されている場合、マウスピース150の一部として形成してもよい。空気流経路は、一般に基材から発生したエアロゾルが空気流経路に沿って流れる空気に同伴されるようにエアロゾル形成基材と相互作用する。システムによってエアロゾル発生部品も空気流経路内にあってもよい。
【0017】
エアロゾル送出デバイス100は、エアロゾル形成基材を受けるための領域105を含んでもよい。エアロゾル形成基材が取り外し可能なマウスピース150の一部を形成する場合、前記領域は、エアロゾル形成基材を含むマウスピース150を収容する大きさのキャビティーであってもよい。また領域105は、通常、エアロゾル形成基材との相互作用を促進させるためにエアロゾル発生部品103の一部を収容する。
【0018】
使用時、エアロゾル形成基材は、デバイス100内に収容される。ユーザーは、次にマウスピース(空気出口の一部を形成する)を介して空気を引き込んでデバイスを通過させるとほぼ同時にエアロゾル発生部品を起動させる。コントローラ101によって起動が検知されると、コントローラ101は、電力が電源102からエアロゾル発生部品へ供給されるようにする。その結果、エアロゾルが空気経路を流れる空気に同伴され、ユーザーによる吸入に利用できる。
【0019】
一部のエアロゾル送出システムは、システムの状態のいくつかの状況、例えば「低」バッテリー状態にあるときに反応でき、デバイス上の1つ以上のLEDが点滅して、ユーザーに警告する場合があり、一般に前記システムは、その構造配置に相対的に固定される。したがって、LEDなどの通知は、情報をユーザーに伝えることができるが、それらはシステムのユーザーによる使われ方または保持のされ方に寄与しない。
【0020】
第1の態様ではマウスピース150と外方ハウジング110の少なくとも一方の一部がデバイス100の作動パラメータの変化を検出するコントローラ101に応答してそれぞれの第1および第2の位置間を移動するよう構成されている。その結果、デバイス100の作動パラメータが変化すると、ユーザーは、マウスピースと外方ハウジングの一方(または両方)の一部の物理的移動によってその変化を通知される。これはその移動が結果としてデバイスの新しい作動状態に関してより強く関連したデバイスの構造になり得るので有利である。より具体的な実施態様を以下により詳しく説明するが、その1つの例示的実施例は、エアロゾル発生部品103がその作動範囲の外側の温度、例えば熱すぎるまたは冷たすぎる温度に到達した場合もある。そのような変化の検出に応答してコントローラ101は、(例えば)マウスピースの動きをマウスピースが例えば外方ハウジング110内のある位置に収納してユーザーがそれ以上触れられないような位置に移動させるようにすることができる。これはデバイス100がそれ以上の使用に適していないほどにデバイスの作動パラメータが変化したことをユーザーに認識させるだけでなく、ユーザーがマウスピースの移動の結果としてデバイスを使用しないようにすることを認識させることを意味する。これは現在実行されている形体の通知、例えばLEDの点滅を介した通知と比較してユーザーはその点滅を気がつかないことがあり得るので状況が間違いなく改善される。物理的な動きを要求することによって作動状態の変化をより気づきやすくなる。一つの実施態様ではコントローラは、作動パラメータの特定の変化に応答して特定の動きを導くように構成することができる。
【0021】
1つの実施態様では作動パラメータの変化は、デバイス100の作動準備状態に関する。これに関して、「作動準備状態」は、エアロゾル発生部品103の起動に関するユーザーからのインプットを受けた際にコントローラ101が電力をエアロゾル発生部品103に導くような状態にコントローラ101があることを意味する。したがって、コントローラ101は、「作動準備状態」を表さない状態と「作動準備状態」を表す状態を推定することができる。「作動準備状態」を表さない状態の例としてはコントローラ101がオフになっている(電力が供給されていない)、低電力モード(スリープまたはスタンバイなどの)または「ロック」状態(これにより起動のインプットがコントローラ101により効果的に無視される)にあることを含む。「作動準備状態」を表す状態の例としてはコントローラ101がオンになっている(電力が供給されている)、高電力モード(解除などの)または「非ロック」状態(これにより起動のインプットがコントローラ101によって実行される)。さらにエアロゾル発生部品に特定の電力プロファイルを付与するような状態にあるコントローラは、デバイスの作動準備状態であると考慮することができ、したがって複数の電力プロファイル構造間の移行は、デバイスの作動準備状態の変化を表わすことができる。したがって、これらの状態のいずれか1つから別の状態または「作動準備」を表していない状態への移行は、デバイスの作動準備状態の変化を表す。1つの実施態様ではその移行は、1つの作動準備状態から別の作動準備状態への移行である。1つの実施態様ではその移行は、1つの作動準備状態から作動準備状態ではない状態への移行である。
【0022】
さらなる実施態様ではコントローラ101がデバイス100の1つ以上の部品の温度の変化を検出した場合、コントローラ101は、マウスピース150および/または外方ハウジング110の第1の位置から第2の位置への移動を導く。デバイス100のその1つ以上の部品は、エアロゾル発生部品103(例えば、ヒーター)、電源102(例えば、バッテリー)、マウスピース(マウスピースを通る空気流経路の内面などの)、外方ハウジング110(外方ハウジング110の外面などの)および/またはデバイス内の1つ以上の電子部品(例えば、コントローラ101)であってもよい。それぞれの場合において所定の温度範囲が作動目的のために許容されると見なされ、コントローラ101は、許容された温度範囲の内側から温度範囲の外側への変化を検出し、その変化に基づいて移動を導くように構成されている。例えば、エアロゾル発生部品103の温度範囲は、エアロゾル発生部品103の種類およびエアロゾル形成基材の種類に依存する。例示的範囲は、エアロゾル形成基材中の揮発性化合物が効率的に蒸発しない温度より低い温度とエアロゾル形成基材が崩壊(例えば、燃焼によって)する最高温度から構成される。これに関連する例示的範囲は、100~400℃、150~350℃または200~350℃であってもよい。電源に関して、好適な温度範囲は、当業者が認識している当該電源の作動および安全性を考慮して定めることができる。空気流経路の内面に関して、当然のことながら縮合により形成されたエアロゾルは、一部のユーザーが吸引には不快であると感じる残存熱を含む場合がある。したがって、空気流経路の表面の温度を測定することは、エアロゾルの温度のプロキシとして機能する。もちろん、エアロゾルの温度を直接測定することも可能であり、エアロゾルの温度は、デバイスの「操作パラメータ」になると考えられる。例示的温度範囲は、ユーザーの要求に基づいて選択することができ、コントローラ101にプログラムすることができる。外方ハウジング110の外面および/またはデバイス内の1つ以上の電子部品(例えば、コントローラ101)のための例示的な温度範囲に関し、当業者は、電子部品の安全作動温度およびユーザーの手で外方ハウジング110を保持することが不快になる温度を超える温度などを考慮して選択することができる。温度は、監視する部品によって多くの方法で監視することができる。例えば、電子温度センサは、特定の部品の温度を監視するために使用することができる。加えてまたはこれとは別に材料の抵抗が温度に依存する場合、それに電流を通した際のその抵抗に基づいて温度を推定することができる。当業者は、部品の抵抗を監視し、その抵抗の変化に基づいてその温度を推察するために適した電子部品および関連するソフトウエアを認識している。このような手法は、エアロゾル発生部品として使用されるヒーターの温度の測定という意味で特に有用である。
【0023】
別の実施態様ではコントローラ101が電源の電力状態の変化を検出する場合、コントローラ101は、マウスピース150および/または外方ハウジング110の第1の位置から第2の位置への移動を導く。電源の電力状態は、電源の電圧状態、電源の古さおよび/または電源が受けた充電サイクルの回数を含む。したがって、当然のことながら電源(例えば、バッテリー)の電力状態は、許容作動範囲内からその外へと変化する。例えば、バッテリーの電圧が許容レベル以下に落ちる、電源が所望の時間よりも長く使用されている、および/または充電/放電サイクルの回数が電源の性能を損なうようなものである。したがって、電源状態の点でその範囲は、電子パラメータ(電圧、電流など)、時間基準パラメータ(時、日など)または充電/放電サイクルに基づいた整数値を含んでもよい。好適な範囲は、当該電源およびデバイスの他の部品(エアロゾル発生物品の種類など)に応じて当業者が決めることができる。
【0024】
別の実施態様ではコントローラ101がエアロゾル形成基材の状態の変化を検出する場合、コントローラ101は、マウスピース150および/または外方ハウジング110の第1の位置から第2の位置への移動を導く。エアロゾル形成基材の状態の変化は、デバイス内のエアロゾル形成基材の有(無)、デバイス内のエアロゾル形成基材の量、デバイス内のエアロゾル形成基材の古さおよび/またはデバイス内のエアロゾル形成基材の特定できる特徴を含む。エアロゾル形成基材の状態に関し、これはその特定の成分の含有量などのエアロゾル形成基材の物理的パラメータに関連してもよい。例えば、エアロゾル形成基材のエアロゾル発生部品からのエネルギー(熱など)に繰り返し晒されることによってエアロゾル形成基材が変色することであってもよい。この変色は、光学センサおよびエアロゾル形成基材の色に設定された許容作動範囲によって検出することができる。エアロゾル形成基材の検出された色が許容範囲の外側に変化したとすると、これがマウスピース/外方ハウジング(またはその一部)の移動を導くコントローラに対するきっかけとして機能することも可能である。好適な光学センサは、例えばMICRO-EPSILON、UK & Ireland Ltdより入手可能である。デバイス内のエアロゾル形成基材の量に関してデバイス110にデバイス110内のエアロゾル形成基材の量(無くなっていることを含む)を検出する手段を装着することであってもよい。これはセンサ(例えば、基材を通る光の吸収度によって基材の量を検出することできる光学センサ)またはエアロゾル形成基材に付与される冷たさが無いことによる基材の有無を推察することによって実行される。後者の場合、エアロゾル形成基材は、エアロゾル発生部品103によって製せられるエネルギー用のエネルギーシンクとして機能する。エネルギーシンクとして利用可能な基材が無いと、温度などのエアロゾル形成基材のパラメータが増加し、その増加が上述のように検出される。したがって、許容作動範囲は、ヒーターの温度または当然のことながら光学センサの出力のいずれかのために設定することができる。コントローラ101が許容作動範囲内からその範囲の外(またはその逆)への変化を検出した際、コントローラ101は、マウスピース150/外方ハウジング110(またはその一部)の第1の位置から第2の位置への移動を導くことができる。デバイス内のエアロゾル形成基材の古さおよび/またはデバイス内のエアロゾル形成基材の特定できる特徴に関して、デバイス110は、エアロゾル形成基材の識別子そしてどれくらい長くエアロゾル形成基材がデバイス内にある/どのような種類のエアロゾル形成基材が存在しているかを監視するように構成してもよい。明らかに許容できる「古さ」の範囲は、種々のエアロゾル形成基材について設定することができ、当業者は、特定の基材では古さの範囲を同様に確実に設定することができる。したがって、基材が基材の許容できる範囲の外側にある時間、デバイス110内に存在すると識別された場合、コントローラ101は、マウスピース150/外方ハウジング110(またはその一部)の第1の位置から第2の位置への移動を導くことができる。同様に識別子がエアロゾル形成基材の種類(風味、製造者、ブランドなど)に関連する場合、コントローラ101は、識別子の変化を検出し、マウスピース150/外方ハウジング110(またはその一部)の移動を導くことができる。識別子は、RFIDチップまたはセンサによって容易に検出できる他の識別子によってエアロゾル形成基材に存在させることができる。
【0025】
別の実施態様ではコントローラ101がエアロゾル発生部品の状態の変化を検出した場合、コントローラ101は、マウスピース150/外方ハウジング110の第1の位置から第2の位置への移動を導く。エアロゾル発生部品の状態の変化は、電源との接続の完全性、エアロゾル発生物品の古さ、エアロゾル発生物品の起動の累積時間、エアロゾル発生部品の電気特性および/またはエアロゾル発生部品の起動の累積回数を含む。上述したようにこれらの状態のそれぞれは、コントローラ101によって検出できる許容作動範囲を有する。例えば、エアロゾル発生部品と電源の電気接続の完全性およびエアロゾル発生部品の電気的特性に関して、コントローラは、エアロゾル発生部品に亘って許容電圧範囲をチェックしてもよい。検出された電圧(またはV=IRに基づいた類似のパラメータ)が範囲(不適切な接続または長時間の使用の結果による高すぎる抵抗)の外側にある場合、コントローラ101は、マウスピース150および/または外方ハウジング110の第1の位置から第2の位置への移動を導く。同様にエアロゾル発生部品の古さおよびエアロゾル発生物品の累積起動時間(両方ともエアロゾル発生部品の性能を最適化するために制限する必要がある)に関して、コントローラ101は、エアロゾル発生部品がデバイス内に存在した時間および/またはエアロゾル発生部品が受けた起動の回数を検出することができる。これは、デバイス100に挿入し、その後の起動によって読み取り可能な例えばRFIDチップ、バーコードなどのエアロゾル発生部品上の固有の識別子を介して監視することができる。
【0026】
したがって、当然のことながらコントローラ101がデバイス100の作動パラメータの変化を検出した場合、コントローラ101は、マウスピース150および/または外方ハウジング110の第1の位置から第2の位置への移動を導く。
【0027】
本開示の文脈において第1の位置から第2の位置への移動は、マウスピース150または外方ハウジング110のいずれかの一部の回転および/または並進を含む。例えば、マウスピース150(またはその一部)は、第1の位置から第2の位置へと並進してもよい。1つの実施態様ではマウスピース150(またはその一部)は、第1の位置から第2の位置へと回転してもよい。1つの実施態様では第1および第2の位置間のマウスピースの移動は、例えばネジ止め作用によって回転と並進の両方で実行される。1つの実施態様では第1の位置においてマウスピース150の大半は、外方ハウジング110を越えて延び、第2の位置ではマウスピース150の大半は外方ハウジング110内に含まれる。このことは、例えばマウスピースに触れることが、
デバイス100の部品の内の1つの温度変化、
エアロゾル形成基材が無い、
電源の電力の減少、
特定の種類の(古い、使用済みまたは認証されていないを含む)エアロゾル形成基材とエアロゾル発生部品の挿入の結果として制限される場合に望ましい。
【0028】
さらにそして任意にマウスピース150(またはその一部)の移動と併せて外方ハウジング110の一部は、第1の位置から第2の位置へと並進してもよい。1つの実施態様では外方ハウジング110の一部は、第1の位置から第2の位置へと回転してもよい。1つの実施態様では第1の位置において外方ハウジング110の一部は、部分的にまたは完全にデバイスの開口部(空気入り口または空気出口など)を覆ってもよく、第2の位置において外方ハウジング110の前記部分は、デバイスの開口部(空気入り口または空気出口など)を覆わなくてもよい。このことは、例えばマウスピース(またはエアロゾル形成基材)の挿入が
デバイスの作動準備状態の変化
デバイス100の部品の内の1つの温度変化
エアロゾル形成基材が無い
電源の電力の減少
特定の種類の(古い、使用済みまたは認証されていないを含む)エアロゾル形成基材とエアロゾル発生部品の挿入の結果として妨げられる場合に望ましい。
【0029】
当然のことながらコントローラは、コントローラによるデバイスの作動パラメータのうちの2、3、4、5またはそれ以上の変化の検出に応答してマウスピースおよび外方ハウジングの少なくとも一方の一部の移動を導くように構成してもよい。複数の作動パラメータに亘る変化の要求を組み合わせることによって特定のデバイスの高度なカスタム化が可能になる。
【0030】
また当然のことながらマウスピースと外方ハウジングの少なくとも1つの一部の移動が特定の状況においての使用の制限以外の理由でユーザーに望まれる場合がある。例えば、エアロゾル形成基材がマウスピースの一部を形成する場合、マウスピースがエアロゾル形成基材の特定の種類に応じて移動するのが望ましい場合がある。これはその基材の特定の成分が他の基材より加熱を必要としない場合に要求される。一例としてはメンソールが基材に存在する場合などがある。コントローラがこれ(識別子を介して)を検出し、マウスピースをさらにエアロゾル発生部品から移動させて基材への温度転移を減少させてメンソールが長く基材に留まるようにするのが望ましい場合がある。同様にデバイスがデバイスを流れる空気流が作動範囲の外側の温度にある場合がある。そのような状況では外方ハウジング110の一部を空気入り口がより多く露出するように移動させ、より多くの空気流がデバイスを通過するようにして、より冷たいエアロゾル(エアロゾル発生部品によって発せられる熱が同じであれば空気の量は多くなるので)を供することが可能である。
【0031】
マウスピース/外方ハウジング(またはその一部)の移動は、多くの方法で実行される。例えば、形状記憶材、二元金属部品(ストリップまたはラミネートなどの)またはアクチュエーター(電子アクチュエーターまたは機械的アクチュエーター、例えばバネ付勢されたカバー)などによってである。
【0032】
形状記憶材に関して好適な材料は、形状記憶合金、形状記憶ポリマー、形状記憶セラミックおよび形状記憶ゲルなどがある。形状記憶材は、材料の結晶構造の変化(形状記憶合金の場合のオーステナイトからマルテンサイトへ)の結果として形状の変化を受ける。一般に結晶構造の変化は、温度変化の結果として誘発されるが、構造の変化を誘発する、例えば光によるまたは材料に電流を流すことなどの他の方法も可能である。形状記憶材は、形状の変化が不可逆的であることを意味する「ワンウェイ」または形状の変化が可逆的であることを意味する「ツーウェイ」に分類される。両種ならびにそれらを組み合わせた物も本明細書で説明するシステムにおいて想定される。
【0033】
上述したように形状記憶材の種々の形状または形体の転移は、一般に材料に電流を通すことによって発生させることができる熱によって行われる。形状記憶ポリマーまたはセラミックの場合、導電粒子を材料内に組み入れて材料を通る電流の流れから生じるジュール加熱を促進させることができる。熱は、好適な形状記憶材を交番磁界に置くことによる誘発によって材料内に誘発させることができることも想定される。これとは別に形状記憶材は、デバイス内で熱源に近接して配置して熱源から放射された熱が形状記憶材の温度をその転移温度超に上昇させた際に移動が起きるようにしてもよい。熱源は、従来のヒーターであってもよく、あるいは赤外線源も使用可能である。熱源を取り除いた後、材料が「ツーウェイ」の場合、その元の位置に戻る。形状記憶材のその元の位置(第1の位置)への緩和は、誘発される温度が材料から消散されるまたは消散させることができる割合に依存する。必要に応じて材料は、例えばラッチなどによってその元の形状/形に戻ることを防ぐまたは妨げることができる。これは部品の温度が超過した場合にデバイスをロックする有用な手段になり得る。これとは別に第1の位置に戻ることを例えば「ワンウェイ」材料を利用して無制限に妨げることができる。これは改ざん(認証されていない/古いエアロゾル形成部品の挿入によるなどの)の事例では重要になるかもしれない。
【0034】
異なる形状記憶材は、温度などの異なる形状転移条件を有する、即ち転移温度は一般に材料に固有のものである。したがって、当業者には当然のことながら好適な形状記憶材を必要とされるエアロゾル送出システム内の特定の用途に基づいて選択することができる。形状記憶合金は、Naresh等による「Shape memory alloys: a state of art review」、IOP Conf. Series: Materials Science and Engineering 149 (2016) 012054に詳しく説明されており、その内容を参照することでここに引用したものとする。形状記憶ポリマーは、Behl等による「Shape memory polymers」、Materials today, 20~28頁, volume 10、2007年4月4日刊行に詳しく説明されており、その内容を参照することでここに引用したものとする。
【0035】
1つの実施態様では形状記憶材は、40℃超、50℃超、60℃超、70℃超、80℃超、90℃超、100℃超の転移温度を有する材料から選択される。1つの実施態様では形状記憶材は、500℃未満、450℃未満、400℃未満、350℃未満、300℃未満、250℃未満、200℃未満の転移温度を有する材料から選択される。好適な形状記憶合金の例としてはニチノールがある。形状記憶合金の転移温度は、合金の成分/成分比を適当に変えることで変えることができる。例えば、ニチノールSM495は、50~80℃の転移温度を有し、ニチノールSM500は、30~50℃の転移温度を有する。当業者は、所望の転移温度に基づいて形状記憶材を選択することができる。
【0036】
起動に関し、これはマウスピース/外方ハウジングの対応する部分に接続され、該部分を第1の位置から第2の位置へ移動させる電気モーターによって実行される。同様にコントローラによる作動パラメータの変化の検出の後、付勢された状態から解除される付勢アクチュエーター(ラッチバネなどの)を使用することができる。一部の実施例ではアクチュエーターそれ自体は、形状記憶材から形成してもよい。
【0037】
図2aおよび2bは、本開示によるエアロゾル送出システムの別の例示的実施態様を示している。エアロゾル送出システム20は、エアロゾル送出デバイス200を含み、デバイス200は、外方ハウジング210と、マウスピース250(デバイス200から取り外し可能であってもよい)とを含む(本システムの他の部品は、システム10の部品、例えば電源、エアロゾル発生部品およびコントローラと実質的に類似する)。さらにエアロゾル送出デバイス200は、一般に空気入り口204(見えない)からマウスピース250の一部として形成された空気出口251へと続く空気流経路を含む。
図2bは、システム20の端面を示している。空気入り口204が見えている。外方ハウジング210は、可動部分211を含み、これはこの実施態様では可動パネルとして構成されている(正確な形状はここでは重要ではない)。可動部分211は、第1の位置Aから第2の位置Bへとデバイス200の作動パラメータの変化に応答して動かされるように構成されている。したがって、可動部分211の動いたことの結果として空気入り口204が覆われる。これは、空気入り口を覆うことは空気流経路内の起こりえる空気流/圧力変化を妨げる(少なくとも減少させる)ので、空気流経路内の圧力または空気流の変化を介して起動するシステムにおいて特に有用である。結果として、コントローラはなんら圧力/空気流の変化を検出せず、そして結果としてエアロゾルの発生は開始されない(または停止/調節される)。
【0038】
図3aおよび3bは、本開示によるエアロゾル送出システムの別の例示的実施態様を示している。エアロゾル送出システム30は、エアロゾル送出デバイス300を含み、デバイス300は、外方ハウジング310と、マウスピース350とを含む(システムの他の部品は、システム10の部品、例えば電源、エアロゾル発生部品およびコントローラと実質的に類似する)。さらにエアロゾル送出デバイス300は、一般に空気入り口304(見えない)からマウスピース350の一部として形成された空気出口351へと続く空気流経路を含む。この実施態様ではマウスピース350は、第1の位置と第2の位置の間で可動である。例えば、第1の位置は、マウスピース350が外方ハウジング310に対して相対的に延びた位置(
図3aに示すように)にある位置であり、第2の位置は、マウスピースが外方ハウジング310に対して相対的に格納された位置(
図3bに示すようにマウスピース350は、見えないので、外方ハウジング310内に格納されている)にある位置である。したがって、デバイス300の作動パラメータの変化に応答したマウスピース350の移動の結果として、デバイスの形状/アクセスビリティの物理的変化を介してデバイスの作動状態をユーザーに知らせることが可能になる。もちろん、第1の位置が相対的に格納された位置であり、第2の位置が相対的に延びた位置であることもある。
【0039】
図4aおよび4bは、
図3のシステムと同じように作動する本開示によるエアロゾル送出システムの別の例示的実施態様を示している。エアロゾル送出システム40は、エアロゾル送出デバイス400を含み、デバイス400は、外方ハウジング410と、マウスピース450とを含む(本システムの他の部品は、システム10の部品、例えば電源、エアロゾル発生部品およびコントローラと実質的に類似する)。マウスピース450は、デバイス400から取り外し可能であり、エアロゾル形成基材を含んでもよい。この実施態様ではマウスピース450は、第1の位置と第2の位置の間で可動である。例えば、第1の位置は、マウスピース450が外方ハウジング410に対して相対的に延びた位置(
図4aに示すように)にある位置であってもよく、第2の位置は、マウスピース450が外方ハウジング410に対して相対的に格納された位置(マウスピース450は
図4bにおいて破線で示されている、マウスピー450は、外からは見えないので外方ハウジング410内に格納されている)にある位置であってもよい。したがって、デバイス400の作動パラメータの変化に応答したマウスピース450の移動の結果として、デバイスの形状/アクセスビリティの物理的変化を介してデバイスの作動状態をユーザーに知らせることが可能になる。もちろん、第1の位置が相対的に格納された位置であり、第2の位置が相対的に延びた位置であることもある。
【0040】
図5aおよび5bは、
図2のシステムと同じように作動する本開示によるエアロゾル送出システムの別の例示的実施態様を示している。エアロゾル送出システム50は、エアロゾル送出デバイス500を含み、デバイス500は、外方ハウジング510(デバイス500から取り外し可能であってもよい)と、マウスピース550とを含む(本システムの他の部品は、システム10の部品、例えば電源、エアロゾル発生部品およびコントローラと実質的に類似する)。さらにエアロゾル送出デバイス500は、一般に空気入り口504(見えない)から空気出口551へと続く空気流経路を含む。外方ハウジング510は、可動部分511を含み、これはこの実施態様では可動パネルとして構成されている(正確な形状はここでは重要ではない)。可動部分511は、第1の位置(
図5aに示す)から第2の位置(
図5bに示す)へとデバイス500の作動パラメータの変化に応答して動かされるように構成されている。したがって、可動部分511の動いたことの結果として空気入り口504が覆われる。この実施態様では空気出口は取り外し可能なマウスピースと連結されるので、これはデバイスの作動状況が使用を支持していない状況でデバイスとマウスピースの連結を妨げるのに特に有用である。したがって、マウスピースとデバイスの連結を妨げることによってデバイスの使用が制限される。もろろん、第1の位置において空気出口504は、覆われ、第2の位置で空気出口504を露出させてもよい。
【0041】
本開示のさらなる態様においてがエアロゾル送出デバイスを含み、デバイスは、電源を囲む外方ハウジングを含むエアロゾル送出システム提供され、外方ハウジングの一部は、システムの作動に影響を与えずに第1の位置から第2の位置へと復帰できるように変形可能となるように構成されている。
【0042】
本開示の文脈において「変形可能」は、外方ハウジングの一部の外形が外方ハウジングの面の2つの箇所間の距離および/または表面角度が変化するように変えることができることを意味すると考慮される。変形可能に構成される外方ハウジングのその部分は、単独の面から構成される場合またはこれとは別に面と面との間が1つ以上の可撓性接続部によって分けられる複数の面から構成される場合がある。
【0043】
変形可能に構成される外方ハウジングの部分が単一の面から構成される場合、変形はその面を延伸、押圧および/または曲げることから構成される。好適な面の例としては熱可塑性材料、形状記憶材、柔軟性材料および/または1つ以上の可鍛性材料がある。熱可塑性材の場合、材料はユーザーの皮膚温度またはそれに近い温度で変形する材料から選択してもよい。結果としてユーザーは、外方ハウジングを掴むことができ、好きなときに外方ハウジングの面を変形させることができる。そのような実施態様により単一形状の外方ハウジングの製造を可能にするが、ユーザーが人間工学に基づいて外方ハウジングの形を決めることができるようにする。同様な効果が面が形状記憶材(上述したもののような)、柔軟性材(アルミニウムなど)および/または可鍛性材から形成された場合にも得られる。そのような実施態様の事例を
図6aおよび6bに示す。
図6aにおいて位置AおよびBが外方ハウジング610の面に位置して示されている。位置Bが位置するハウジングの部分は、位置Aが位置するハウジングの部分に対して変形可能に構成されている。位置Bのユーザーに導かれる圧力(掴む際の)の結果として、外方ハウジングを変形させることができる。
【0044】
変形可能に構成されている外方ハウジングの部分が複数の面から構成されている場合、その面の2つの位置は、1つ以上の可撓性接続部で分割される。通常、可撓性接続部は、ヒンジ、ボールとソケット、ピボット、滑走具、サドルおよび/または平面継ぎ手などの継ぎ手になる。しかしながら、1つの面の他の面に対する移動を促進させることができる他の可撓性接続部(ウェブのようなもの)も想定される。この実施態様では面自体の変形能力は、可撓性接続部が面の別の面に対する移動を促進させるのであまり重要ではない(除外されないが)。
【0045】
当然のことながら外方ハウジングは、変形可能に構成されているので、それは面または面の集まりとして硬質の非変形可能なハウジングが持っている構造的完全性に欠ける。その結果、1つの実施態様ではデバイスは、外方ハウジングを支持し、その変形を促進する内部骨格を含む。したがって、一部の実施態様では骨格の支持部分は、再構成可能であり、支持骨格の他の部分は、再構成可能でなくてもよい。例えば、変形可能に構成された外方ハウジングの部分が単独の面(シリコンシートなど)または複数の面から形成されている場合、その部分の変形させる面(単独または互いに対して)は、1つ以上の支持腕部によって支持される。各腕部は、ユーザーに導かれる力(把持する)に応答して延伸、格納および/または回転することができ、外方ハウジング面の下側に対して弾性的に付勢される。例えば、
図7aおよび7bは、外方ハウジングの変形可能な部分を指示する支持部(支持腕部)を説明する図である。特に
図7aは、支持部760に支持されている変形可能な外方ハウジング面710を示している。この特定の例では支持部760は、ボールジョイント接続を介してデバイスに回転式に取り付けられ、延伸可能セクション761も含む。外方ハウジング面710の下側と支持部760との接触は、丸い/平坦なプレート762を介してであってもよく、これは外方ハウジング面710に掛かる圧力を分散させる。当然のことながらその1つ以上の支持腕部を例えば支持腕部を延伸、格納および/または回転させるモーターを有することによって自動的に動かしやすくすることができる。1つ以上の支持腕部は、油圧式および/または機械式(例えば、ネジ山/ラックおよびピニオンなど)に作動させることも可能である。
図7bに示すさらなる例では変形可能な外方ハウジングの部分が支持部760に支持されている。この特定の例では変形可能な外方ハウジングの部分は、可撓性接続部780によって接合された複数の面710から形成されている。
【0046】
1つの実施態様ではエアロゾル送出システムの作動に必須であるデバイスの内部部品(電源、コントローラなど)は、デバイス内の保護された環境内に配置される。言い換えればデバイスの外方ハウジングの一部の変形は、内部部品の破壊または機能的障害には関係しない。これはこれらの部品が配置される可撓性の空間を画定する保護環境によって達成される。これとは別に保護環境は、外方ハウジング内の固定された空間容積であってもよく、外方ハウジングは、その容積が減少する程度に変形しない。
図8は、例示的デバイス80を示し、これにより内部部品Cは、保護環境890(可撓性であっても可撓性でなくてもよい)内に位置し、外方ハウジング810は、変形可能であるが、変形させた際に保護環境の容積が減少する程度には変形しない。
【0047】
本開示の文脈において、「本システムの作動に影響を与えない」は、作動状態(例えばオン/オフ、スタンバイ、起動)も物理的状態(例えば蓋の開閉、スイッチ/ボタンを移動させる)も外方ハウジング(またはその一部)の変形に影響されないことを意味する。しかしながら、これは外方ハウジングの変形がユーザーの規定する状態にリンクされないことを意味するものではない。例えば外方ハウジングは製造後特定の形状を取るように予め構成されることも考えられる。コントローラは、ユーザーの好みによって選択される一連の予めプログラムされた外方ハウジング外形を含んでもよい。ユーザーの好みは、エアロゾル送出デバイス内に挿入されるエアロゾル形成基材の特定の風味または種類に関連するものであってもよい。
【0048】
コントローラへのアクセスおよびしたがって外方ハウジング外形の選択は、ワイヤレスまたは有線通信リンクを介してコントローラにリンクされた電話またはタブレットなどのスマートデバイスを介して行うことができる。ユーザーは、次に所望の外方ハウジング外形を選択することができ、コントローラが、例えば1つ以上の外方ハウジング面を変形させるために1つ以上の支持腕部を格納/延伸等するように駆動するおよび/または形状記憶材から形成された外方ハウジングの一部に電流を導いて形状変化を推進することによって変形を導く。
【0049】
エアロゾル送出システムのコントローラは、特定の外方ハウジング形状を検出することができ、それを特定のユーザーに関連付けることもできる。したがって、コントローラは、特定のユーザーがエアロゾル送出システムを使用している(または使用する)ことを検出し、そのユーザーに関連する記憶された外方ハウジング外形に外方ハウジングを変形することができる。特定のユーザーは、エアロゾル送出デバイスの生体認証を介してまたはユーザーを特定することができる対のスマートデバイスを介して識別してもよい。
【0050】
種々の事項に取り組み本技術を進歩させるため、本発明は種々の実施態様を例示するが、特許請求の範囲に記載の発明を実践することができる。本発明の利点および特徴は実施態様の単なる代表例であって包括的なものではなく、および/または排他的なものでもない。これらは特許請求された本発明の理解を助け、教示するためだけに提供されている。当然だが、本発明の利点、実施態様、実施例、機能、特徴、構造、および/または他の側面は、本発明を特許請求の範囲で規定されたようにまたは特許請求の範囲の均等物に制限するものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく他の実施態様を利用し改良を加えてもよいと考えるべきである。種々の実施態様は、開示された要素、構成要素、特徴、部品、工程、手段、本明細書に具体的に説明された以外のものを適切に備えても、それらのみで構成されても、実質的にそれらのみで構成されても、それらを種々に組み合わせてもよい。本発明には、現在特許請求されてはいないが将来請求される可能性がある他の発明も含まれる。