(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-12
(45)【発行日】2023-07-21
(54)【発明の名称】太陽光発電アレイの動作状態を決定する方法および装置、デバイス並びに記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H02S 50/00 20140101AFI20230713BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20230713BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20230713BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20230713BHJP
【FI】
H02S50/00
H02J3/00 170
H02J3/38 130
H02J13/00 301A
(21)【出願番号】P 2022554929
(86)(22)【出願日】2021-03-11
(86)【国際出願番号】 SG2021050125
(87)【国際公開番号】W WO2021183053
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-11-08
(31)【優先権主張番号】202010177887.7
(32)【優先日】2020-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522178636
【氏名又は名称】エンヴィジョン デジタル インターナショナル ピーティーイー.エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】ENVISION DIGITAL INTERNATIONAL PTE.LTD.
【住所又は居所原語表記】1 Harbourfront Avenue,#17-01 Keppel Bay Tower,Singapore 098632(SG)
(73)【特許権者】
【識別番号】522178647
【氏名又は名称】シャンハイ エンヴィジョン デジタル シーオー.,エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI ENVISION DIGITAL CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.15,Lane 55,Chuanhe Road China(Shanghai)Pilot Free Trade Zone Shanghai(CN)
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ジンリン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ジン
(72)【発明者】
【氏名】スン,ジエ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,カン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ジョウシェン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,フイロン
【審査官】原 俊文
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107451600(CN,A)
【文献】国際公開第2019/130718(WO,A1)
【文献】特開2011-181614(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110705727(CN,A)
【文献】中国特許第108964606(CN,B)
【文献】CHEN, Zhicong et al.,“Random forest based intelligent fault diagnosis for PV arrays using array voltage and string currents”,Energy Conversion and Management,2018年,Vol. 178,pp. 250-264,DOI: 10.1016/j.enconman.2018.10.040
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 50/00-50/15
G06N 20/00-20/20
Science Direct
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光発電アレイの動作状態を決定する方法であって、
前記太陽光発電アレイに含まれる太陽光発電ストリングの現在の出力電流値を取得するステップであって、前記太陽光発電アレイは並列の少なくとも2つの太陽光発電ストリングを含む前記ステップと;
前記現在の出力電流値に基づいて対象異常スコア予測モデルを決定するステップであって、異なる異常スコア予測モデルは異なる特性電流値範囲に対応し、
前記異常スコア予測モデルは前記太陽光発電アレイの過去の出力電流値に基づいて訓練することによっ
て得られる
ものである、前記ステップと;
前記現在の出力電流値を前記対象異常スコア予測モデルに入力することによって、前記太陽光発電アレイに対応
し、前記現在の出力電流値の偏差の大小を示す現在の異常スコアを決定するステップと;
前記現在の異常スコアを対象異常スコアと比較することによって前記太陽光発電アレイの前記動作状態を決定するステップであって、異なる異常スコア予測モデルは異なる対象異常スコアに対応し、前記過去の出力電流値を
訓練で得られた前記異常スコア予測モデルに入力
することによって前記対象異常スコアが得られる前記ステップとを含
み、
前記現在の異常スコアを前記対象異常スコアと比較することによって前記太陽光発電アレイの前記動作状態を決定する前記ステップは、
前記現在の異常スコアが前記対象異常スコア以下であることを受けて、前記太陽光発電アレイの前記動作状態が正常であることを決定するステップと;
前記現在の異常スコアが前記対象異常スコアよりも大きいことを受けて、N個の連続サンプリングモーメントに対応する現在の異常スコアを取得するステップであって、Nは1以上の整数である前記ステップと;
少なくともM個の連続サンプリングモーメントに対応する現在の異常スコアが前記対象異常スコアよりも大きいことを受けて、前記太陽光発電アレイの前記動作状態が異常であることを決定するステップであって、Mは1以上の整数であり、MはN以下である前記ステップと;を含む、方法。
【請求項2】
前記太陽光発電アレイの前記動作状態が異常であることを決定するステップの後に、
前記M個の連続サンプリングモーメントに対応する前記現在の出力電流値の最小出力電流値を決定するステップと;
前記最小出力電流値に対応する太陽光発電ストリングを異常な太陽光発電ストリングとして決定するステップとをさらに含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記現在の出力電流値に基づいて前記対象異常スコア予測モデルを決定する前記ステップは、
電流閾値に基づいて前記現在の出力電流値をフィルタリングすることによって、フィルタリングされた現在の出力電流値を取得するステップであって、前記電流閾値は前記太陽光発電アレイの過去の動作状態データに基づいて決定され、前記過去の動作状態データは、前記太陽光発電ストリングの過去の出力電流値、前記太陽光発電ストリングに対応する過去の放射照度、前記太陽光発電ストリングが位置する環境の過去の周囲温度および過去の風速を含み、前記フィルタリングされた現在の出力電流値は前記電流閾値以下である前記ステップと;
前記フィルタリングされた現在の出力電流値のKパーセンタイルを現在の特性電流値として決定するステップであって、Kは50以上の整数であり、前記現在の特性電流値は現在の取得モーメントの前記太陽光発電アレイに対応する現在の電流特性を特徴付ける前記ステップと;
前記現在の特性電流値に基づいて前記対象異常スコア予測モデルを決定するステップであって、前記現在の特性電流値は前記対象異常スコア予測モデルに対応する対象特性電流値範囲内にある前記ステップとを含む、請求項1
又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記太陽光発電アレイに含まれる前記太陽光発電ストリングの前記現在の出力電流値を取得する前記ステップの前に、
予め設定された時間内の前記太陽光発電アレイの前記過去の動作状態データを取得するステップと;
最大放射照度、最大風速および最大周囲温度に基づいて前記太陽光発電アレイに対応する太陽電池モジュール温度を計算するステップであって、前記最大放射照度は前記過去の放射照度に基づいて決定され、前記最大周囲温度は前記過去の周囲温度に基づいて決定され、前記最大風速は前記過去の風速に基づいて決定される前記ステップと;
前記太陽電池モジュール温度および前記最大放射照度に基づいて前記太陽光発電アレイに対応する第1の最大出力電流値を計算するステップであって、前記第1の最大出力電流値は前記最大放射照度下の前記太陽光発電ストリングの出力電流値である前記ステップと;
定格設備容量および最大システム電圧に基づいて前記太陽光発電アレイに対応する第2の最大出力電流値を計算するステップであって、前記定格設備容量は前記太陽光発電アレイに接続されたコンバイナーの定格電力であり、前記最大システム電圧は前記コンバイナーに接続されたインバータのシステム電圧であり、前記第2の最大出力電流値は前記コンバイナーによって前記太陽光発電ストリングが入力することができる最大電流値である前記ステップと;
前記第1の最大出力電流値および前記第2の最大出力電流値の最小値を前記電流閾値として決定するステップとをさらに含む、請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
前記電流閾値に基づいて前記過去の出力電流値をフィルタリングすることによって、フィルタリングされた過去の出力電流値を取得するステップであって、前記フィルタリングされた過去の出力電流値は前記電流閾値以下である前記ステップと;
前記フィルタリングされた過去の出力電流値に基づいて過去の特性電流値を決定するステップであって、前記過去の特性電流値は各取得モーメントの前記太陽光発電アレイに対応する過去の電流特性を特徴付ける前記ステップと;
前記過去の特性電流値に基づいて前記フィルタリングされた過去の出力電流値を分割することによって、少なくとも1つの訓練サンプルを決定するステップであって、異なる訓練サンプルに含まれる前記過去の出力電流値は異なる特性電流値範囲に対応し、前記特性電流値範囲は前記過去の特性電流値に基づいて決定される前記ステップと;
前記訓練サンプルに基づいて前記異常スコア予測モデルを訓練するステップとをさらに含む、請求項
3に記載の方法。
【請求項6】
前記異常スコア予測モデルは分離フォレストアルゴリズムを採用し、前記異常スコア予測モデルはS個のバイナリツリーを含み、Sは1以上の整数であり、
前記訓練サンプルに基づいて前記異常スコア予測モデルを訓練する前記ステップの後に、
前記訓練サンプルを前記S個のバイナリツリーに入力することによって、前記訓練サンプルに対応するS個のパス長を取得するステップと;
前記S個のパス長に基づいて前記訓練サンプルに対応する異常スコアを計算するステップとをさらに含む、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
太陽光発電アレイの動作状態を決定する装置であって、
太陽光発電アレイに含まれる太陽光発電ストリングの現在の出力電流値を取得するように構成された第1の取得モジュールであって、前記太陽光発電アレイは並列の少なくとも2つの太陽光発電ストリングを含む前記第1の取得モジュールと;
前記現在の出力電流値に基づいて対象異常スコア予測モデルを決定するように構成された第1の決定モジュールであって、異なる異常スコア予測モデルは異なる特性電流値範囲に対応し、
前記異常スコア予測モデルは前記太陽光発電アレイの過去の出力電流値に基づいて訓練することによっ
て得られる
ものである、前記第1の決定モジュールと;
前記現在の出力電流値を前記対象異常スコア予測モデルに入力することによって、前記太陽光発電アレイに対応
し、前記現在の出力電流値の偏差の大小を示す現在の異常スコアを決定するように構成された第2の決定モジュールと;
前記現在の異常スコアを対象異常スコアと比較することによって前記太陽光発電アレイの前記動作状態を決定するように構成された第3の決定モジュールであって、異なる異常スコア予測モデルは異なる対象異常スコアに対応し、前記過去の出力電流値を
訓練で得られた前記異常スコア予測モデルに入力することによって前記対象異常スコアが得られる前記第3の決定モジュールとを含
み、
前記第3の決定モジュールは、
前記現在の異常スコアが前記対象異常スコア以下であることを受けて、前記太陽光発電アレイの前記動作状態が正常であることを決定するように構成された第1の決定ユニットと;
前記現在の異常スコアが前記対象異常スコアよりも大きいことを受けて、N個の連続サンプリングモーメントに対応する現在の異常スコアを取得するように構成された取得ユニットであって、Nは1以上の整数である、前記取得ユニットと;
少なくともM個の連続サンプリングモーメントに対応する現在の異常スコアが前記対象異常スコアよりも大きいことを受けて、前記太陽光発電アレイの前記動作状態が異常であることを決定するように構成された第2の決定ユニットであって、Mは1以上の整数であり、MはN以下である、前記第2の決定ユニットと;を含む、装置。
【請求項8】
プロセッサと、少なくとも1つの命令、少なくとも1つのプログラム、コードセットまたは命令セットを記憶するメモリとを備えるコンピュータ装置であって、前記少なくとも1つの命令、前記少なくとも1つのプログラム、前記コードセットまたは前記命令セットは、前記プロセッサによってロードされて実行されると、請求項1~
6のいずれか一項に記載の前記太陽光発電アレイの前記動作状態を決定する前記方法を前記プロセッサに実行させる、コンピュータ装置。
【請求項9】
少なくとも1つの命令、少なくとも1つのプログラム、コードセットまたは命令セットを記憶するコンピュータ可読記憶媒体であって、前記少なくとも1つの命令、前記少なくとも1つのプログラム、前記コードセットまたは前記命令セットは、プロセッサによってロードされて実行されると、請求項1~
6のいずれか一項に記載の前記太陽光発電アレイの前記動作状態を決定する前記方法を前記プロセッサに実行させる、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、太陽光発電技術の分野に関し、特に、太陽光発電アレイの動作状態を決定する方法および装置、デバイスならびに記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池モジュールの出力電流は、太陽光発電ストリングの出力電流の重大な不整合を引き起こす可能性があり、ひいては太陽光発電ステーションに発電損失をもたらす、部分的な日陰による遮蔽、一部の領域の深刻な埃の堆積、または一部の太陽電池アセンブリの故障等の問題が原因で、太陽光発電ステーションの実際の動作中に減少する場合がある。
【0003】
関連技術では、太陽電池モジュールの温度は太陽電池モジュールの故障が原因で高すぎたり低すぎたりする場合があるので、赤外線画像の故障した太陽電池モジュールの色は他の正常な太陽電池アセンブリのそれらとは異なる。そのため、太陽電池アセンブリの画像はドローンに装備された赤外線画像取得装置によって取得してもよく、太陽光発電アレイの太陽電池モジュールの動作状態は取得された赤外線画像に基づいて決定してもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、取得された赤外線画像は、ステーションの周囲温度等の、ステーションの環境要因の影響を受けやすくなり得るので、赤外線画像における故障した太陽電池モジュールと正常な太陽電池モジュールの区別が少ないため、太陽光発電アレイの動作状態を決定する精度は低い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施形態は、太陽光発電アレイの動作状態を決定する方法および装置、デバイスならびに記憶媒体を提供する。
【0006】
第1の態様において、太陽光発電アレイの動作状態を決定する方法が本開示の実施形態によって提供される。前記方法は、
太陽光発電アレイに含まれる太陽光発電ストリングの現在の出力電流値を取得するステップであって、前記太陽光発電アレイは並列の少なくとも2つの太陽光発電ストリングを含む前記ステップと;
前記現在の出力電流値に基づいて対象異常スコア予測モデルを決定するステップであって、異なる異常スコア予測モデルは異なる特性電流値範囲に対応し、前記太陽光発電アレイの過去の出力電流値に基づいて訓練することによって前記異常スコア予測モデルが得られる前記ステップと;
前記現在の出力電流値を前記対象異常スコア予測モデルに入力することによって、前記太陽光発電アレイに対応する現在の異常スコアを決定するステップと;
前記現在の異常スコアを対象異常スコアと比較することによって前記太陽光発電アレイの動作状態を決定するステップであって、異なる異常スコア予測モデルは異なる異常スコアに対応し、前記過去の出力電流値を前記異常スコア予測モデルに入力した後に前記異常スコアが得られる前記ステップとを含む。
【0007】
第2の態様において、太陽光発電アレイの動作状態を決定する装置が本開示の実施形態によって提供される。前記装置は、
太陽光発電アレイに含まれる太陽光発電ストリングの現在の出力電流値を取得するように構成された第1の取得モジュールであって、前記太陽光発電アレイは並列の少なくとも2つの太陽光発電ストリングを含む前記第1の取得モジュールと;
前記現在の出力電流値に基づいて対象異常スコア予測モデルを決定するように構成された第1の決定モジュールであって、異なる異常スコア予測モデルは異なる特性電流値範囲に対応し、前記太陽光発電アレイの過去の出力電流値に基づいて訓練することによって前記異常スコア予測モデルが得られる前記第1の決定モジュールと;
前記現在の出力電流値を前記対象異常スコア予測モデルに入力することによって、前記太陽光発電アレイに対応する現在の異常スコアを決定するように構成された第2の決定モジュールと;
前記現在の異常スコアを対象異常スコアと比較することによって前記太陽光発電アレイの動作状態を決定するように構成された第3の決定モジュールであって、異なる異常スコア予測モデルは異なる異常スコアに対応し、前記過去の出力電流値を前記異常スコア予測モデルに入力した後に前記異常スコアが得られる前記第3の決定モジュールとを含む。
【0008】
第3の態様において、プロセッサとメモリとを含むコンピュータ装置が本開示の実施形態によって提供される。前記メモリは、少なくとも1つの命令、少なくとも1つのプログラム、コードセットまたは命令セットをそこに記憶する。前記少なくとも1つの命令、前記少なくとも1つのプログラム、前記コードセットまたは前記命令セットは、前記プロセッサによってロードされて実行されると、上記の態様による太陽光発電アレイの動作状態を決定する前記方法を前記プロセッサに実行させる。
【0009】
第4の態様において、コンピュータ可読記憶媒体が本開示の実施形態によって提供される。前記コンピュータ可読記憶媒体は、少なくとも1つの命令、少なくとも1つのプログラム、コードセットまたは命令セットをそこに記憶する。前記少なくとも1つの命令、前記少なくとも1つのプログラム、前記コードセットまたは前記命令セットは、プロセッサによってロードされて実行されると、上記の態様による太陽光発電アレイの動作状態を決定する前記方法を前記プロセッサに実行させる。
【0010】
本開示の実施形態による技術的解決策は、少なくとも以下の有益な効果を達成し得る。
【0011】
太陽光発電アレイに含まれる太陽光発電ストリングの現在の出力電流値が取得され、現在の出力電流値に基づいて対象異常スコア予測モデルが決定され、現在の出力電流値を対象異常スコア予測モデルに入力することによって太陽光発電アレイに対応する現在の異常スコアが出力されることで、現在の異常スコアを対象異常スコア予測モデルに対応する対象異常スコアと比較するので、比較結果に基づいて太陽光発電アレイの動作状態が決定される。リアルタイムで取得された現在の出力電流値を異常スコア予測モデルに入力することによって現在の異常スコアが出力されることで、太陽光発電アレイの現在の動作状態を決定する。関連技術における赤外線画像によって動作状態を決定する方法と比較して、現在の出力電流値は太陽光発電アレイの動作状態をリアルタイムで反映することができるので、赤外線画像への周囲温度の干渉を回避することができ、それによって太陽光発電アレイの動作状態を決定する精度を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の例示的な実施形態による実施環境の概略図を示す。
【
図2】本開示の例示的な実施形態による太陽光発電アレイの動作状態を決定する方法のフローチャートを示す。
【
図3】本開示の例示的な実施形態による電流閾値を決定する方法のフローチャートを示す。
【
図4】本開示の例示的な実施形態による異常スコア予測モデルを決定する方法のフローチャートを示す。
【
図5】本開示の例示的な実施形態による異常スコア予測モデルを構築するプロセスの概略図を示す。
【
図6】本開示の例示的な実施形態による異常スコアを決定する方法のフローチャートを示す。
【
図7】本開示の別の例示的な実施形態による太陽光発電アレイの動作状態を決定する方法のフローチャートを示す。
【
図8】本開示のさらに別の例示的な実施形態による太陽光発電アレイの動作状態を決定する方法のフローチャートを示す。
【
図9】本開示のさらに別の例示的な実施形態による太陽光発電アレイの動作状態を決定する方法のフローチャートを示す。
【
図10】本開示の例示的な実施形態による太陽光発電アレイの動作状態を決定する装置の構造ブロック図を示す。
【
図11】本開示の例示的な実施形態によるコンピュータ装置の概略構造図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の目的、技術的解決策、および利点をより明確にするために、本開示の実施態様をさらに添付図面と組み合わせて以下に詳細に説明する。
【0014】
本明細書において言及される「複数の」という用語は2つ以上を意味し、「および/または」という用語は関連する対象物の関連関係を記述するもので、3種類の関係が存在し得ることを示す。例えば、Aおよび/またはBは、Aが単独で存在する、AおよびBが同時に存在する、Bが単独で存在するという3つの状況を示すことができる。記号「/」は、前後関係の関連する対象物が「or」の関係にあることを一般に示す。
【0015】
太陽電池モジュールが故障する場合、2つの状況があり得る。1つの状況は、太陽電池モジュールが損傷を受けるかまたは太陽電池モジュールが遮蔽されることであり、太陽電池モジュール温度を上昇させる原因となる。もう1つの状況は、太陽電池モジュールがバイパスダイオードによって短絡する、すなわち、太陽電池モジュールが動作しないことであり、太陽電池モジュール温度が低いことの原因となる。正常な太陽電池モジュールと故障した太陽電池モジュールの温度差のため、関連技術では太陽電池モジュールの動作状態を決定する方法が提供される。太陽光発電ステーションの太陽電池アセンブリは、赤外線画像取得装置が装備されたドローンを用いて点検される。この方法では、太陽電池モジュールの動作状態は取得された赤外線画像に基づいて決定される。
【0016】
関連技術の方法に関しては、赤外線画像は温度によって大きな影響を受けるので、太陽光発電ステーションの周囲温度が高かったり低かったりする場合、正常な太陽電池モジュールと故障した太陽電池モジュールを区別することができない可能性があり、見落としや誤警報につながり、それによって太陽電池モジュールの動作状態を決定する精度が比較的低くなる。
【0017】
上記の課題を解決するため、太陽光発電アレイの動作状態を決定する方法が本開示の実施形態によって提供される。本開示の例示的な実施形態による実施環境の概略図を示す
図1を参照する。実施環境は、太陽光発電アレイ101および監視プラットフォーム102を含む。
【0018】
太陽光発電アレイ101は、並列の複数の太陽光発電ストリングによって形成された太陽光発電システムであり、単一のコンバイナーに接続されたすべての太陽光発電ストリングの集合を指す。実際の太陽光発電ステーションは、複数の太陽光発電アレイ101を含む。太陽光発電アレイ101の各太陽光発電ストリングによる電流出力は、コンバイナーによって結合されてから、インバータに送信される。通常、太陽光発電アレイには並列の8~16個の太陽光発電ストリングが、各太陽光発電ストリングには直列の24個の太陽電池アセンブリが存在する。本開示の実施形態では、太陽光発電アレイ101は、太陽光発電アレイの動作状態データを取得するセンサ、例えば太陽光発電ストリングの出力電流を取得する電流センサや変流器を備えていてもよく、取得された出力電流値を監視プラットフォーム102に送信してもよい。
【0019】
太陽光発電アレイ101および監視プラットフォーム102は、有線または無線ネットワークを介して接続される。
【0020】
監視プラットフォーム102は、太陽光発電アレイ101によって送信された現在の出力電流値の記憶、データの処理、および警報記録の生成等の機能を備えたコンピュータ装置である。コンピュータ装置は、サーバー、いくつかのサーバーからなるサーバークラスタ、またはクラウドサーバーであってもよい。本開示の実施形態では、監視プラットフォーム102は、太陽光発電アレイ101によって送信された現在の出力電流値を取得し、現在の出力電流値を事前訓練された異常スコア予測モデルに入力し、現在の出力電流値に対応する現在の異常スコアを出力し、現在の異常スコアを所定の対象異常スコアと比較することで、太陽光発電アレイの動作状態を決定することができる。任意には、監視プラットフォーム102は、取得された出力電流値をデータベースに記憶することで、出力電流値に基づいて異常スコア予測モデルを引き続き継続的に訓練することもできる。可能な実施態様では、太陽光発電アレイに異常な太陽光発電ストリングが存在すると決定したときは、監視プラットフォーム102は警報記録を生成することができるので、運用保守要員が適時に太陽光発電アレイの動作状態を知ることができ、故障があった場合、適時に太陽光発電ストリングの異常な動作状態問題を解決することができる。
【0021】
明確にするため、以下の方法実施形態では、コンピュータ装置である監視プラットフォーム102は、単に導入および説明のための一例とみなされる。
【0022】
本開示の例示的な実施形態による太陽光発電アレイの動作状態を決定する方法のフローチャートを示す
図2を参照する。コンピュータ装置に適用できる方法は、本実施形態の説明のための一例とみなされ、以下のステップを含み得る。
【0023】
ステップ201では、太陽光発電アレイに含まれる太陽光発電ストリングの現在の出力電流値が取得されるが、太陽光発電アレイは並列の少なくとも2つの太陽光発電ストリングを含む。
【0024】
太陽光発電アレイは並列の複数の太陽光発電ストリングによって形成された太陽光発電システムであるので、太陽光発電アレイの動作状態を決定することは各太陽光発電ストリングの動作状態を決定することである。したがって、可能な実施態様では、取得された現在の出力電流値は、各太陽光発電ストリングに対応する現在の出力電流値を含む。
【0025】
太陽光発電ストリングの現在の出力電流値に関しては、誘導コイルを採用して太陽光発電ストリングの現在の出力電流値を検出してもよく、取得された現在の出力電流値をコンピュータ装置に送信してもよい。各太陽光発電ストリングは、現在の出力電流値に対応する。同じサンプリングモーメントの現在の出力電流値の数は、太陽光発電アレイに含まれる太陽光発電ストリングの数によって決まる。例えば、太陽光発電アレイが8個の太陽光発電ストリングを含む場合、同じサンプリングモーメントに対応する現在の出力電流値は、I1,I2,I3,I4,I5,I6,I7,およびI8を含み得る。
【0026】
ステップ202では、現在の出力電流値に基づいて対象異常スコア予測モデルが決定されるが、異なる異常スコア予測モデルは異なる特性電流値範囲に対応し、異常スコア予測モデルは太陽光発電アレイの過去の出力電流値に基づいて訓練することによって得られる。
【0027】
複数の異常スコア予測モデルがコンピュータ装置に予め格納されている。異常スコア予測モデルは、太陽光発電アレイの過去の出力電流値に基づいて訓練することによって得られる。異なる異常スコア予測モデルは異なる特性電流値範囲に対応している。例えば、異常スコア予測モデルAに対応する特性電流値範囲は0~2A、異常スコア予測モデルBに対応する特性電流値範囲は2~4A、異常スコア予測モデルCに対応する特性電流値範囲は4~6A、などである。
【0028】
任意には、訓練によって複数の異常スコア予測モデルを得るために、6ヶ月以内の太陽光発電アレイに対応する過去の出力電流値を取得して、複数の訓練サンプルを作成してもよい。
【0029】
可能な実施態様では、コンピュータ装置は、現在の出力電流値を処理することによって対応する現在の特性電流値を決定し、現在の特性電流値と各異常スコア予測モデルに対応する特性電流値範囲の間の関係に従って対応する対象異常スコア予測モデルを決定する。例えば、現在の特性電流値が5Aである場合、異常スコア予測モデルCが対象異常スコア予測モデルとして決定される。
【0030】
ステップ203では、現在の出力電流値を対象異常スコア予測モデルに入力することによって、太陽光発電アレイに対応する現在の異常スコアが決定される。
【0031】
可能な実施態様では、対象異常スコア予測モデルが決定された後、各現在の出力電流値を対象異常スコア予測モデルに入力することによって、現在の異常スコアが出力される。
【0032】
任意には、現在の出力電流値は、マトリクスの形で対象異常スコア予測モデルに入力してもよい。
【0033】
ステップ204では、現在の異常スコアを対象異常スコアと比較することによって太陽光発電アレイの動作状態が決定されるが、異なる異常スコア予測モデルは異なる異常スコアに対応する。
【0034】
対象異常スコアに関しては、過去の出力電流値を前もって対応する異常スコア予測モデルに入力してもよく、出力された異常スコアを異常スコア予測モデルに対応する標準的な異常スコア(すなわち、対象異常スコア)として決定してもよく、標準的な異常スコアは対応する異常スコア予測モデルと関連して保存される。
【0035】
可能な実施態様では、現在の異常スコアが取得された後、対象異常スコア予測モデルと関連して保存される対象異常スコアと比較してもよい。予め設定された論理的関係を満たす場合は、太陽光発電アレイの動作状態は正常であることが出力される。予め設定された論理的関係を満たさない場合は、太陽光発電アレイの動作状態は異常であることが出力される。
【0036】
予め設定された論理的関係は、現在の異常スコアが対象異常スコア以下であることであってもよい。
【0037】
要約すると、本開示の実施形態では、太陽光発電アレイに含まれる太陽光発電ストリングの現在の出力電流値が取得され、現在の出力電流値に基づいて対象異常スコア予測モデルが決定され、現在の出力電流値を対象異常スコア予測モデルに入力することによって太陽光発電アレイに対応する現在の異常スコアが出力されることで、現在の異常スコアを対象異常スコア予測モデルに対応する対象異常スコアと比較するので、比較結果に基づいて太陽光発電アレイの動作状態が決定される。リアルタイムで取得された現在の出力電流値を異常スコア予測モデルに入力することによって現在の異常スコアが出力されることで、太陽光発電アレイの現在の動作状態を決定する。関連技術における赤外線画像によって動作状態を決定する方法と比較して、現在の出力電流値は太陽光発電アレイの動作状態をリアルタイムで反映することができるので、赤外線画像への周囲温度の干渉を回避することができ、それによって太陽光発電アレイの動作状態を決定する精度を向上させる。
【0038】
可能な実施態様では、予め設定されたタイムスタンプに対応する現在の出力電流値を同時に取得して、予め設定されたタイムスタンプ電流マトリクスを作成してもよい。予め設定されたタイムスタンプに対応する異常スコア(予め設定されたタイムスタンプに含まれる各サンプリングモーメントに対応する現在の異常スコアを蓄積することによって得られる)と異常スコア閾値の間の関係を判断することによって、太陽光発電アレイの動作状態が決定される。
【0039】
予め設定されたタイムスタンプはM個のサンプリングモーメントを含んでもよく、Mは1以上の整数である。
【0040】
概略的には、予め設定されたタイムスタンプに対応する電流マトリクスは以下であってもよい。
【0041】
【0042】
ここで、IMNはM番目のサンプリングモーメントでのN番目の太陽光発電ストリングに対応する現在の電流出力値を表す。
【0043】
予め設定されたタイムスタンプに対応する異常スコアを得る方法に関しては、まず、様々なサンプリングモーメントに基づいて様々な電流サブマトリクス(Iiで示される)に分割することができる。次に、各電流サブマトリクスに対応する現在の特性電流値を決定することで、決定された現在の特性電流値と、各異常スコア予測モデルに対応する特性電流値範囲に基づいて、各電流サブマトリクスに対応する対象異常スコア予測モデルを決定することができる。最後に、各電流サブマトリクスを対応する対象異常スコア予測モデルに入力することによって、各電流サブマトリクスに対応する現在の異常スコアS=[S1…SM]が得られるが、SMはM番目のサンプリングモーメントに対応する現在の異常スコアを表す。蓄積後、予め設定されたタイムスタンプに対応する異常スコアSTを得ることができる。
【0044】
概略的には、Mが3であり、Nが8である場合は、予め設定されたタイムスタンプは3個のサンプリングモーメントに対応する現在の出力電流値を含み、各取得モーメントは8個の電流値に対応する。サンプリングモーメント1を例にとると、サンプリングモーメント1に対応する現在の出力電流値は電流サブマトリクスI1=[I11…I1N]として決定されるが、I1Nは1番目のサンプリングモーメントのN番目の太陽光発電ストリングに対応する現在の出力電流値を表す。電流サブマトリクスに対応する現在の特性電流値が決定されることで、その対応する対象異常スコア予測モデルを決定する。電流サブマトリクスを対応する対象異常スコア予測モデルに入力した後に、電流サブマトリクスに対応する現在の異常スコア(S1で示される)が得られる。同じ方法で、他の2つのサンプリングモーメントに対応する電流サブマトリクスI2およびI3、ならびにそれらの対応する現在の異常スコアS2およびS3を得ることができる。各現在の異常スコアを蓄積することによって、予め設定されたタイムスタンプに対応する異常スコアST=S1+S2+S3が得られる。
【0045】
異常スコア閾値を決定する方法に関しては、各サンプリングモーメントに対応する対象異常スコア予測モデルは異なることになり、異なる異常スコア予測モデルは異なる対象異常スコアに対応するので、各サンプリングモーメントに対応する対象異常スコア予測モデルが決定された後、各対象異常スコア予測モデルに対応する対象異常スコアを蓄積することによって、予め設定されたタイムスタンプ内の対応する異常スコア閾値SThresholdが得られる。例えば、対象異常スコアは10~20であり、対象異常スコア閾値は予め設定されたタイムスタンプに含まれるサンプリングモーメントの数に関連している。
【0046】
概略的には、Mが3である場合、予め設定されたタイムスタンプ電流マトリクスは電流サブマトリクスI1,I2およびI3に分割することができる。電流サブマトリクスI1は異常スコア予測モデルAに対応し、電流サブマトリクスI2は異常スコア予測モデルBに対応し、電流サブマトリクスI3は異常スコア予測モデルCに対応し、異常スコア予測モデルAに対応する異常スコアはSAであり、異常スコア予測モデルBに対応する異常スコアはSBであり、異常スコア予測モデルCに対応する異常スコアはSCである場合は、予め設定されたタイムスタンプ電流マトリクスに対応する異常スコア閾値はSThreshold=SA+SB+SCとなる。
【0047】
予め設定された論理的関係に関しては、ST≦SThresholdであってもよい。予め設定されたタイムスタンプに対応する現在の異常スコアが異常スコア閾値以下である場合は、太陽光発電アレイの動作状態が正常であることが出力される。予め設定されたタイムスタンプに対応する現在の異常スコアが対象異常スコア閾値よりも大きい場合は、太陽光発電アレイの現在の動作状態が異常であることが出力される。
【0048】
任意には、特定の電流サブマトリクスに対応する現在の異常スコアが取得された後、その対応する対象異常スコアと直接比較してもよい。現在の異常スコアが対象異常スコア以下である場合は、太陽光発電アレイの動作状態は正常であることが出力される。現在の異常スコアが対象異常スコアよりも大きい場合、次のサンプリングモーメントに対応する現在の異常スコアと対象異常スコアの間の関係は、予め設定されたタイムスタンプ内の対応するサンプリングモーメントの広範な判断がすべて完了するまで継続的に判断される。予め設定されたタイムスタンプに含まれる各サンプリングモーメントに対応する現在の異常スコアがすべて対象異常スコアよりも大きい場合は、太陽光発電アレイの動作状態が異常であることが出力される。
【0049】
本実施形態では、予め設定されたタイムスタンプ電流マトリクスを作成するために、予め設定されたタイムスタンプ内の対応する現在の出力電流値が取得され、予め設定されたタイムスタンプに含まれる各サンプリングモーメントに対応する現在の出力電流値を分析することによって、各サンプリングモーメントに対応する対象異常スコア予測モデルが決定されるため、各サンプリングモーメントに対応する現在の出力電流値を対象異常スコア予測モデルに入力することによって、各サンプリングモーメントに対応する現在の異常スコアが得られ、各現在の異常スコアを蓄積することによって、予め設定されたタイムスタンプに対応する異常スコアが得られ、異常スコア閾値と比較される。予め設定された論理関係を満たす場合は、現在の太陽光発電アレイの動作状態が正常であることが出力される。そうでない場合は、太陽光発電アレイの動作状態が異常であることが出力される。予め設定されたタイムスタンプ内の現在の出力電流値を取得することによって、太陽光発電アレイの動作状態が決定されることにより、太陽光発電アレイの動作状態を決定する効率を向上させることができる。
【0050】
可能な実施態様では、太陽光発電アレイに対応する取得された過去の出力電流値に基づいて訓練することによって、異常スコア予測モデルが取得される。過去の出力電流値には若干の異常または無効なデータが存在する可能性があるので、例えば、夜間の電流データ(無効なデータ)、またはコンバイナーが故障した(すなわち出力電流値を取得する機器が故障した)時に取得された電流データ(異常なデータ)は、すべて訓練によって得られた異常スコア予測モデルの精度に影響を及ぼすことになる。したがって、決定された異常スコア予測モデルの精度を向上させるために、取得された過去の出力電流値は一定のデータ品質ルールに従ってフィルタリングして処理する必要がある。本実施形態は、過去の出力電流値内の仮想的に高い電流値をフィルタリングすることを目的とする、電流閾値を決定する方法のプロセスを説明することに重点を置いている。
【0051】
概略的には、
図3は、本開示の例示的な実施形態による電流閾値を決定する方法のフローチャートを示す。本方法は、以下のステップを含む。
【0052】
ステップ301では、予め設定された時間内の太陽光発電アレイの過去の動作状態データが取得される。
【0053】
過去の動作状態データは、太陽光発電ストリングの過去の出力電流値、太陽光発電ストリングに対応する過去の放射照度、太陽光発電ストリングが位置する環境の過去の周囲温度および過去の風速を含む。
【0054】
予め設定された時間は、最近6ヶ月、または最近1年であってもよい。
【0055】
可能な実施態様では、最近6ヶ月以内の太陽光発電アレイの過去の出力電流値、過去の放射照度、過去の周囲温度、過去の風速などを取得してもよい。過去の出力電流値を取得する方法に関しては、上記実施形態を参照されたく、本実施形態では繰り返さない。過去の周囲温度および過去の風速は、それぞれ太陽光発電ステーションに設置された温度センサおよび風速計によって取得してもよい。
【0056】
太陽光発電ストリングに対応する過去の放射照度は、太陽光発電ステーションに備えられた照射器によって取得することができる。照射器の設置態様は、水平設置(すなわち、水平照射器)であってもよい。水平照射器によって取得された放射照度データは、太陽光発電アレイの傾斜角に対応する放射照度データに変換される必要がある。太陽光発電アレイと同じ傾斜角および同じ方向の設置態様(傾斜照射器)も採用してもよい。この設置態様によって取得された放射照度は、太陽光発電ストリングに対応する放射照度である。可能な実施態様では、コンピュータ装置は、6ヶ月以内に照射器によって取得された過去の放射照度データを収集し、それらを電流閾値のその後の決定のために対応するデータベースに保存する。
【0057】
任意には、過去の動作状態データは、予め設定されたサンプリング周波数に基づいて取得してもよい。例えば、予め設定されたサンプリング周波数は5分である。サンプリング周波数は、予め設定された出力電流値を取得するためのサンプリング周波数と同じであってもよい。
【0058】
ステップ302では、最大放射照度、最大風速および最大周囲温度に基づいて、太陽光発電アレイに対応する太陽電池モジュール温度が計算される。
【0059】
最大放射照度は、過去の放射照度によって決定される。すなわち、サンプリング期間内のすべての過去の放射照度の最大値が最大放射照度とみなされる。最大周囲温度は、過去の周囲温度によって決定される。すなわち、サンプリング期間内のすべての過去の周囲温度の最大値が最大周囲温度とみなされる。最大風速は、過去の風速によって決定される。すなわち、サンプリング期間内のすべての過去の風速の最大値が最大風速とみなされる。
【0060】
概略的には、放射照度、風速、周囲温度および太陽電池モジュール温度間の関係は以下のように表すことができる。
【0061】
【0062】
ここで、Tmは太陽電池モジュール温度(太陽電池モジュールのバックパネルの温度)であり、GPOAは(太陽光発電アレイの傾斜角に対応する)放射照度であり、Wsは太陽電池モジュールが位置する環境の風速であり、Taは太陽電池モジュールが位置する環境の周囲温度を表し、aおよびbは定数である。aおよびbの値は、太陽電池モジュールの種類および設置態様によって異なる。特定値に関しては、表1を参照されたい。
【0063】
【0064】
可能な実施態様では、太陽電池モジュール温度Tmは、取得された最大風速、最大周囲温度、および最大放射照度を式(1)に代入することによって得られる。
【0065】
ステップ303では、太陽電池モジュール温度および最大放射照度に基づいて、太陽光発電アレイに対応する第1の最大出力電流値が計算されるが、第1の最大出力電流値は最大放射照度下の太陽光発電ストリングの出力電流値である。
【0066】
概略的には、出力電流、太陽電池モジュール温度、および放射照度間の関係は以下のように表すことができる。
【0067】
【0068】
ここで、I1は出力電流であり、Iph,stcは標準試験条件下の出力電流であり、GPOAは傾斜放射照度であり、βは太陽電池モジュールの電流温度上昇係数であり、Tmは太陽電池モジュール温度(太陽電池モジュールのバックパネルの温度)であり、Tstcは標準試験条件下の温度、すなわち25℃である。
【0069】
標準試験条件(STC)は、太陽光発電分野で容認された太陽電池アセンブリの試験標準、すなわち、1.5、1000W/m2、25℃を指す。1.5は、エア・マス(AM)が1.5である、すなわち、大気を通過する光の実際の距離が大気の鉛直厚さの1.5倍であることを指す。1000W/m2は、標準試験下の太陽の放射照度である。25℃は、太陽電池モジュールが25℃で動作することを指す。
【0070】
可能な実施態様では、Iph,stc,β,Tstc等はデフォルト値であるので、太陽光発電アレイに対応する第1の最大出力電流値I1はステップ302で取得された太陽電池モジュール温度Tmおよび最大放射照度を式(2)に代入することによって得ることができる。
【0071】
ステップ304では、定格設備容量および最大システム電圧に基づいて、太陽光発電アレイに対応する第2の最大出力電流値が計算されるが、第2の最大出力電流値はコンバイナーによって太陽光発電ストリングが入力することができる最大電流値である。
【0072】
定格設備容量は、太陽光発電アレイに接続されたコンバイナーの定格電力である。最大システム電圧は、コンバイナーに接続されたインバータのシステム電圧である。
【0073】
概略的には、定格設備容量、最大システム電圧および第2の最大出力電流間の関係は以下のように表すことができる。
【0074】
【0075】
ここで、Pcbx,ratedはコンバイナーの定格設備容量であり、Vinv.max_systemはインバータの最大システム電圧であり、I2は第2の最大出力電流である。式(3)から、第2の最大出力電流は太陽光発電アレイの過去の動作データと関連がないことがわかるであろう。すなわち、同じコンバイナーに関しては、第2の最大出力電流が固定される。
【0076】
可能な実施態様では、コンバイナーの定格設備容量およびインバータの最大システム電圧に基づいて計算することによって、第2の最大出力電流値、すなわちI2を得てもよい。
【0077】
ステップ305では、第1の最大出力電流値および第2の最大出力電流値の最小値が電流閾値として決定される。
【0078】
可能な実施態様では、第1の最大出力電流値および第2の最大出力電流値の最小値が電流閾値として決定される。例えば、電流閾値は10Aであってもよい。太陽光発電ストリングの取得された出力電流値が電流閾値よりも高い場合は、太陽光発電ストリングに対応する出力電流値が仮想的に高いことを表す。電流値が仮想的に高いことの理由は、太陽光発電ストリングの故障の範囲に属さない、コンバイナー装置に関する問題や、太陽光発電ストリングの電流を検出する誘導コイルの故障である可能性がある。したがって、仮想的に高い電流値を除去するために、決定された電流閾値に基づいて過去の動作状態データをフィルタリングすることが必要である。
【0079】
概略的には、電流閾値はIthresholdで表すことができる。電流閾値、第1の最大出力電流値I1および第2の最大出力電流値I2間の関係は、(I1およびI2の最小値をとって)以下のように表すことができる。
【0080】
【0081】
概略的には、I1=10AおよびI2=10.5Aとすると、電流閾値Ithreshold=10Aとなる。
【0082】
本実施形態では、分析によって太陽光発電アレイに対応する電流閾値を得るために、予め設定された時間内の太陽光発電アレイに対応する過去の動作状態データが取得されて、予め設定されたデータ品質ルールに従って過去の動作状態データをフィルタリングして処理するようになっており、それによって訓練によって得られる異常スコア予測モデルの精度を向上させる。
【0083】
可能な実施態様では、上記の実施形態において取得された電流閾値に基づいて、予め設定された時間内に取得された過去の出力電流値が前処理された後、フィルタリングされた過去の出力電流値に基づいて異常スコア予測モデルを訓練してもよい。本実施形態は、フィルタリングされた過去の出力電流値に基づいて訓練することによって異常スコア予測モデルを得る方法を説明することに重点を置いている。
【0084】
概略的には、
図4は、本開示の例示的な実施形態による異常スコア予測モデルを決定する方法のフローチャートを示す。本方法は以下のステップを含む。
【0085】
ステップ401では、電流閾値に基づいて過去の出力電流値をフィルタリングすることによって、フィルタリングされた過去の出力電流値が得られるが、フィルタリングされた過去の出力電流値は電流閾値以下である。
【0086】
可能な実施態様では、過去の出力電流値は予め設定されたデータ品質ルールに従ってフィルタリングしてもよい。データ品質ルールは、夜間のデータの除去(例えば、午前7時以前および午後6時以降のデータの除去)、繰り返されるタイムスタンプデータの除去、電流閾値を超えたデータの除去、コンバイナーが接続されていない(コンバイナーが停止している)時間内のデータの除去、スタックデータ(スタックデータは予め設定された時間を超えて、例えば、10分以上データがリフレッシュされてないことを指す)の除去、放射照度が20W/m2未満のデータの除去、空白値の補充などを含み得る。
【0087】
電流閾値を超えたデータを除去した後、取得モーメントに対応する電流空白値を補充する必要がある。空白値に対応する取得モーメント前後の有効時点の電流平均を空白値の代わりの充填値とみなすことができる。例えば、10:05:00に対応する電流値は18Aであり、電流閾値10Aよりも大きい。10:00:00に取得された電流値は6.7Aであり、電流閾値10Aよりも小さい。10:10:00に取得された電流値は6.9Aであり、やはり電流閾値10Aよりも小さい。そうすると、6.8Aの電流平均を10:05:00に対応する出力電流値とみなすことができる。
【0088】
可能な実施態様では、予め設定されたデータ品質ルールによって処理された後の過去の出力電流値は、異常スコア予測モデルを訓練するための基本データとして決定される。
【0089】
ステップ402では、フィルタリングされた過去の出力電流値に基づいて過去の特性電流値が決定されるが、過去の特性電流値は、太陽光発電アレイの各取得モーメントに対応する過去の電流特性を特徴付ける。
【0090】
1日の様々な取得モーメントに対応する過去の出力電流値の違いのため、より正確に訓練することによって各取得モーメントに対応する異常スコア予測モデルを得るために、各取得モーメントに対応する過去の特性電流値に基づいて過去の出力電流値を分割してもよい。同じ特性電流値範囲を満たすデータは、異常スコア予測モデルを訓練するための基本データとみなされる。例えば、過去の出力電流値の0~2Aは訓練サンプルA1として分割され、過去の出力電流値の2~4Aは訓練サンプルA2として分割され、過去の出力電流値の4~6Aは訓練サンプルA3として分割される、などである。過去の出力電流値は、過去の特性電流値に基づいて様々なレベル(すなわち、様々な訓練サンプル)に分割してもよい。
【0091】
訓練サンプルを分割するための基準の取得に関しては、可能な実施態様では、過去の特性電流値に基づいて分割が実行される。過去の特性電流値を決定する方法は以下の通りであってもよい。6ヶ月の予め設定された時間、1分のサンプリング時間間隔、および8個の太陽光発電ストリングを含む太陽光発電アレイを例にとると、同じ取得モーメントの同じ太陽光発電ストリングに対応する6×30×12×60個の過去の出力電流値が存在する。まず第一に、これらの129,600個の過去の出力電流値に関しては、Kパーセンタイルに対応する過去の出力電流値が取得モーメントの太陽光発電ストリングに対応する過去の出力電流値とみなされるが、Kは50よりも大きな整数である。すなわち、中央値を上回る過去の出力電流値がとられる。上記のステップによると、同じ太陽光発電ストリングの1日の各取得モーメントに対応する過去の出力電流値を決定することができる。同じ方法で、すべての太陽光発電ストリングの各取得モーメントに対応する過去の出力電流値を得ることができる。
【0092】
概略的には、すべての太陽光発電ストリングの1日の各取得モーメントに対応する過去の出力電流値は、以下のようにマトリクスの形で表すことができる。
【0093】
【0094】
ここで、ITは過去の出力電流値のマトリクスを表し、Iijはi番目のサンプリングモーメントのj番目の太陽光発電ストリングに対応する過去の出力電流値を表す。
【0095】
可能な実施態様では、過去の出力電流値のマトリクスが取得された後、複数の過去の特性電流値Itiをそこから抽出してもよい。過去の特性電流値を抽出する方法は、同じサンプリングモーメントに対応する複数の分流値(すなわち、各太陽光発電ストリングに対応する過去の出力電流値)に関しては、Kパーセンタイルに対応する過去の出力電流値を取得モーメントに対応する過去の特性電流値とみなすが、Kは50以下の整数である方法であってもよい。すなわち、中央値を上回る過去の出力電流値がとられる。同じ方法で、各サンプリングモーメントに対応する過去の特性電流値を得ることができる。
【0096】
概略的には、得られた過去の特性電流値の集合はIK=[It1…Iti It(i+1)]となり得るが、Itiはi番目のサンプリングモーメントに対応する過去の特性電流値を表す。
【0097】
ステップ403では、過去の特性電流値に基づいてフィルタリングされた過去の出力電流値を分割することによって、少なくとも1つの訓練サンプルが決定されるが、異なる訓練サンプルに含まれる過去の出力電流値は異なる特性電流値範囲に対応し、特性電流値範囲は過去の特性電流値に基づいて決定される。
【0098】
可能な実施態様では、各サンプリングモーメントに対応する過去の特性電流値が決定された後、訓練によって少なくとも1つの異常スコア予測モデルを得るために、過去の特性電流値に基づいてフィルタリングされた過去の出力電流値を分割することによって、少なくとも1つの訓練サンプルが決定される。
【0099】
過去の特性電流値に基づいてフィルタリングされた過去の出力電流値を分割する方法に関しては、可能な実施態様では、まず、得られた過去の特性電流値を昇順に配列し、2つの隣接する過去の特性電流値を特性電流値範囲とみなすことによって、複数の特性電流値範囲が得られる。特性電流値範囲を満たす過去の出力電流値を訓練サンプルとして決定することによって、複数の訓練サンプルが得られる。異なる訓練サンプルは、異なる特性電流値範囲に対応している。
【0100】
概略的には、過去の特性電流値がIK=[It1…Iti It(i+1)]であり、Iti<It(i+1)であるとすると、訓練サンプルはIKi=[I1 I2…In]となるが、訓練サンプルIKi∈[Iti,It(i+1)]は、訓練サンプルIKiの過去の出力電流値はすべてIti~It(i+1)の特性電流値範囲の範囲内であることを表している。
【0101】
ステップ404では、訓練サンプルに基づいて異常スコア予測モデルが訓練される。
【0102】
可能な実施態様では、異常スコア予測モデルは分離フォレストアルゴリズムを採用する。複数の訓練サンプルが決定された後、訓練サンプルに基づいて異常スコア予測モデルを訓練してもよい。
【0103】
可能な実施態様では、以下のステップに基づいて訓練することによって、異常スコア予測モデルを得てもよい。
【0104】
1.訓練サンプルIKiが取得され、Ψ個のサンプルデータがバイナリツリーを構築するためのサブサンプルとして訓練サンプルIKiからランダムに選択される。
【0105】
異常スコア予測モデルは複数のバイナリツリーから構成されるので、異常スコア予測モデルを訓練するプロセスでは、各々のバイナリツリーを構築する必要がある。すなわち、訓練サンプルは、それぞれバイナリツリーを構築するための複数のサブサンプルに各バイナリツリーに従って分割する必要がある。実験では、100個のバイナリツリーが異常スコア予測モデルに存在し、サブサンプルに含まれるデータ量が256である場合、得られた異常スコア予測モデルはより良い予測結果をもたらし得るということが示されている。
【0106】
概略的には、訓練サンプルIKiからサブサンプルAとして256個のサンプルデータがランダムに選択されてもよく、サブサンプルAに基づいて第1のバイナリツリーを構築してもよい。
【0107】
任意には、サブサンプルのデータ量および異常スコア予測モデルに含まれるバイナリツリーの数は、必要に応じて運用保守要員によって設定してもよく、本実施形態では限定されない。
【0108】
2.サブサンプルに含まれる過去の出力電流値の最大値および最小値間の値は、境界特性値IPとしてランダムに生成される。
【0109】
可能な実施態様では、過去の出力電流値はバイナリツリーの各ノードを分割するための特徴とみなしてもよく、ノード上の過去の出力電流値の最大値および最小値間の値は境界特性値としてランダムに選択してもよい。
【0110】
概略的には、
図5に示すように、訓練サブサンプルが第1のバイナリツリーを構築するための4個のサンプルデータI
KA=[I
1 I
2 I
3 I
4]を含む場合、値I
Pは境界特性値としてサンプルデータの最大値および最小値からランダムに選択される。
【0111】
3.境界特性値IPに基づいて電流ノードデータが分割される。IP未満のノードデータは左子ノードとして分割され、IP以上のノードデータは右子ノードとして分割される。
【0112】
概略的には、
図5に示すように、訓練サブサンプルに含まれる過去の出力電流値がI
P未満である場合は、左子ノードとして分割される。訓練サブサンプルの過去の出力電流値がI
P以上である場合は、右子ノードとして分割される。例えば、I
1がI
P未満である場合は、左子ノードとして分割される。I
2,I
3,およびI
4がI
P以上である場合は、右子ノードとして分割される。
【0113】
4.上記のステップ2~3がそれぞれノードの左子ノードおよび右子ノードに実行されて、予め設定された条件が満たされるまで継続的に新たな葉ノードを構築すると、訓練は終了し、バイナリツリーが生成される。
【0114】
予め設定された条件は、(1)現在のバイナリツリーが予め設定された深さに達しているか否か、(2)サンプルデータのうちの1個だけが子ノードに存在する、(3)子ノードのサンプルデータが同じ特性を有する、を含み得る。
【0115】
概略的には、
図5に示すように、右子ノードは3個の訓練サンプルデータ(I
2,I
3,I
4)をさらに含み、これらの3個の訓練サンプルデータは異なる特性を有し、分割を継続的に行ってもよい。しかしながら、左子ノードは1個の訓練サンプルデータ(I
1)のみを含み、分割を継続することはできない。右子ノードに関しては、上記のステップ2および3に従って分割を継続的に行ってもよい。例えば、バイナリツリーが上記の予め設定された条件を満たしていると判断されるまで、I
3は左子ノードとして分割され、I
2およびI
4は右子ノードとして分割されるなどであり、その後訓練が終了し、バイナリツリーが生成される。
【0116】
5.ステップ2~4に従って第2のバイナリツリーを構築するためのサブサンプルとして、Ψ個のサンプルデータが訓練サンプルIKiから再びランダムに選択される。
【0117】
可能な実施態様では、バイナリツリーが生成された後、訓練サブサンプルが訓練サンプルIKiから再びランダムに選択される。例えば、訓練サブサンプルIKB=[I5 I6 I7 I8],IKC=[I9 I10 I11 I12],IKD=[I13 I14 I15 I16]などがランダムに選択され、複数のバイナリツリーが各訓練サブサンプルに基づいて生成される。
【0118】
6.バイナリツリーの数が予め設定された数を満たすと、複数の構築されたバイナリツリーに基づいて異常スコア予測モデルが形成される。
【0119】
可能な実施態様では、構築されたバイナリツリーの数が数閾値を満たし、例えば、予め設定された数が100である場合、異常スコア予測モデルは100個の構築されたバイナリツリーに基づいて形成される。
【0120】
任意には、上記の実施形態は、異常スコア予測モデルを訓練するプロセスを説明しているだけである。フィルタリングされた過去の出力電流値は過去の特性電流値に基づいて複数の訓練サンプルに分割されるので、上記のステップ1~6に従って複数の異常スコア予測モデルの訓練を実現することができる。
【0121】
任意には、過去の出力電流値は継続的に更新されるので、更新された過去の出力電流値を用いていつでも異常スコア予測モデルを再訓練することができる。
【0122】
本実施形態では、異常スコア予測モデルの精度への影響を回避するために、取得された出力電流値を電流閾値に基づいてフィルタリングして仮想的に高い電流値を除去する。さらに、異常スコア予測モデルは、訓練サンプルの分離されたデータ点を効果的に識別することができる分離フォレストアルゴリズムを採用している。
【0123】
可能な実施態様では、異常スコア予測モデルの訓練が完了した後、訓練サンプルIKiを異常スコア予測モデルに再び入力することによって、異常スコア予測モデルに対応する異常スコアを得ることができる。
【0124】
本開示の例示的な実施形態による異常スコアを決定する方法のフローチャートを示す
図6を参照する。本方法は、以下のステップを含む。
【0125】
ステップ601では、訓練サンプルをS個のバイナリツリーにそれぞれ入力することによって、訓練サンプルに対応するS個のパス長が得られる。
【0126】
可能な実施態様では、S個のバイナリツリーが異常スコア予測モデルに存在することが設定され、訓練サンプルを対応する異常スコア予測モデルに入力することによって、訓練サンプルに対応するS個のパス長、すなわち、各バイナリツリーの訓練サンプルのパス長が得られ、その後S個のパス長は記録される。
【0127】
ステップ602では、S個のパス長に基づいて訓練サンプルに対応する異常スコアが計算される。
【0128】
概略的には、パス長および異常スコア間の関係は以下のように表すことができる。
【0129】
【0130】
ここで、S(χ,Ψ)は訓練サンプルに対応する異常スコアであり、c(Ψ)は異常スコア予測モデルの各バイナリツリーの平均パス長であり、h(χ)は各バイナリツリーの訓練サンプルのパス長であり、Eは平均である。
【0131】
バイナリツリーの平均パス長c(Ψ)に関しては、以下の関係が満たされ得る。
【0132】
【0133】
ここで、Ψは訓練サンプルに含まれるサンプルデータ量であり、H(Ψ-1)は高調波次数であり、H(Ψ-1)=ln(Ψ-1)+ζ,オイラー定数ζ=0.5772156649として推定することができる。
【0134】
可能な実施態様では、訓練サンプルを対応する異常スコア予測モデルに入力することによって、S個のパス長、すなわち、h(χ)が得られる。S個のパス長の平均値を求めて式(4)に代入されるE(h(χ))を得て、訓練サンプルに対応する異常スコア、すなわち、異常スコア予測モデルに対応する異常スコア(標準的な異常スコア)を計算する。
【0135】
本実施形態では、訓練サンプルを対応する異常スコア予測モデルに入力することによって、S個のバイナリツリーの訓練サンプルのパス長を得ることができ、S個のパス長に基づいて計算することによって、異常スコア予測モデルに対応する異常スコアを得ることで、現在の異常スコアと比較された後に、太陽光発電アレイの動作状態を決定することができる。
【0136】
可能な実施態様では、偶発的要素に起因する誤警報をなくすために、N個の連続サンプリングモーメントに対応する現在の異常スコアを判断することで、警報精度を向上させなければならない。
【0137】
本開示の別の例示的な実施形態による太陽光発電アレイの動作状態を決定する方法のフローチャートを示す
図7を参照する。本実施形態では、コンピュータ装置に適用できる方法を説明のための例にとる。本方法は、以下のステップを含む。
【0138】
ステップ701では、太陽光発電アレイに含まれる太陽光発電ストリングの現在の出力電流値が取得されるが、太陽光発電アレイは並列の少なくとも2つの太陽光発電ストリングを含む。
【0139】
このステップの実施態様に関しては、ステップ201を参照されたく、本実施形態では繰り返さない。
【0140】
ステップ702では、現在の出力電流値に基づいて対象異常スコア予測モデルが決定されるが、異なる異常スコア予測モデルは異なる特性電流値範囲に対応し、太陽光発電アレイの過去の出力電流値に基づいて訓練することによって異常スコア予測モデルが得られる。
【0141】
ストリングの出力電流を検出するコンバイナー装置または誘導コイルが故障した場合、取得された現在の出力電流値は仮想的に高くなる。取得された現在の出力電流値に仮想的に高い電流値が存在する場合、決定された現在の異常スコアは高くなり、太陽光発電アレイの動作状態の判断に影響を及ぼすことになる。したがって、現在の特性電流値を対象異常スコア予測モデルに入力する前に、現在の出力電流値は前処理する、例えば、現在の出力電流値の中の仮想的に高い電流値を除去する必要がある。
【0142】
概略的には、
図8に示すように、ステップ702は、ステップ702A,ステップ702B,およびステップ702Cを含み得る。
【0143】
ステップ702Aでは、電流閾値に基づいて現在の出力電流値をフィルタリングすることによって、フィルタリングされた現在の出力電流値が得られるが、電流閾値は太陽光発電アレイの過去の動作状態データによって決定され、フィルタリングされた現在の出力電流値は電流閾値以下である。
【0144】
電流閾値を決定する方法に関しては、上記の実施形態を参照されたく、本実施形態では繰り返さない。
【0145】
可能な実施態様では、複数の現在の出力電流値が同じ取得モーメントで取得され、複数の現在の出力電流値が電流閾値に基づいてフィルタリングされる。すなわち、電流閾値よりも大きい現在の出力電流値は除去されて、空白値を充填する必要がない。
【0146】
概略的には、例えば、取得された現在の出力電流値はI1=6.3A,I2=7A,I3=6.5A,I4=6.4A,I5=6.7A,I6=7A,I7=18A,I8=6.9Aであってもよく、電流閾値はIthreshold=10Aである。現在の出力電流値は、電流閾値および現在の出力電流値間の関係に応じてフィルタリングすることができる。I7>Ithresholdであるので、I7に対応する現在の出力電流値は除去される。
【0147】
リアルタイムで取得された現在の出力電流値に関しては、仮想的に高い電流値が除去された後、空白値が存在する場合、空白値を充填する必要はない。残っている現在の出力電流値だけは引き続き分析する必要がある。また、仮想的に高い電流値が存在する場合、例えばコンバイナー装置の故障警報、誘導コイルの故障警報等の他の警報が発せられることになるが、これらは本開示の太陽光発電アレイの故障警報とは関連がない。
【0148】
ステップ702Bでは、フィルタリングされた現在の出力電流値のKパーセンタイルが現在の特性電流値として決定されるが、Kは50以上の整数であり、現在の特性電流値は現在の取得モーメントの太陽光発電アレイに対応する現在の電流特性を特徴付ける。
【0149】
可能な実施態様では、仮想的に高い電流値が除去された現在の出力電流値のKパーセンタイルが、現在の特性電流値として決定される。デフォルトでは、Kが50以上の整数である場合、得られた現在の特性電流値は現在の取得モーメントの太陽光発電アレイに対応する現在の電流特性を特徴付ける。
【0150】
概略的には、フィルタリングされた現在の出力電流値がI1=6.3A,I2=7A,I3=6.5A,I4=6.4A,I5=6.7A,I6=7A,I8=6.9Aである場合は、現在の出力電流値は順序正しく並べられる。現在の特性電流値IK=6.7Aを得るために、中央値(K=50)がとられる。
【0151】
ステップ702Cでは、現在の特性電流値に基づいて対象異常スコア予測モデルが決定されるが、現在の特性電流値は、対象異常スコア予測モデルに対応する対象特性電流値範囲内にある。
【0152】
可能な実施態様では、現在の取得モーメントに対応する現在の特性電流値が取得された後、現在の特性電流値に基づいて対象異常スコア予測モデルを決定してもよい。現在の特性電流値は、対象異常スコア予測モデルに対応する対象特性電流値範囲内にある。
【0153】
概略的には、現在の特性電流値が6.7Aであり、異常スコア予測モデルDに対応する特性電流値範囲が6~8Aである場合、異常スコア予測モデルDは対象異常スコア予測モデルとして決定される。
【0154】
ステップ703では、現在の出力電流値を対象異常スコア予測モデルに入力することによって、太陽光発電アレイに対応する現在の異常スコアが決定される。
【0155】
可能な実施態様では、対象異常スコア予測モデルが決定された後、現在の出力電流値を対象異常スコア予測モデルに入力される試験サンプルとみなすことで、電流取得モーメントの太陽光発電アレイに対応する現在の異常スコアを出力することができる。
【0156】
概略的には、現在の異常スコアを決定するプロセスは以下のステップを含み得る。
【0157】
1.試験サンプルをS個のバイナリツリーにそれぞれ入力することによって、試験サンプルに対応するS個のパス長が得られる。
【0158】
2.S個のパス長に基づいて試験サンプルに対応する現在の異常スコアが計算される。
【0159】
現在の異常スコアを決定する実施態様に関しては、上記の実施形態を参照されたく、本実施形態では繰り返さない。
【0160】
ステップ704では、現在の異常スコアが対象異常スコア以下であることを受けて、太陽光発電アレイの動作状態が正常であることが決定される。
【0161】
可能な実施態様では、現在の異常スコアが対象異常スコア以下である場合は、現在の出力電流値の偏差が小さく、基本的に分離電流値が存在しないことを表し、太陽光発電アレイの動作状態は正常であると決定される。
【0162】
ステップ705では、現在の異常スコアが対象異常スコアよりも大きいことを受けて、N個の連続サンプリングモーメントに対応する現在の異常スコアが取得されるが、Nは1以上の整数である。
【0163】
可能な実施態様では、現在の異常スコアが対象異常スコアよりも大きい場合は、現在の出力電流値の偏差が大きく、分離電流値が存在することを表し、異常な太陽光発電ストリングが存在する可能性がある。偶発的要素の影響を回避するために、複数の連続サンプリングモーメントに対応する現在の異常スコアを取得し、現在の異常スコアを対象異常スコアと比較することが必要である。
【0164】
ステップ706では、少なくともM個の連続サンプリングモーメントに対応する現在の異常スコアが対象異常スコアよりも大きいことを受けて、太陽光発電アレイの動作状態が異常であることが決定されるが、Mは1以上の整数であり、MはN以下である。
【0165】
可能な実施態様では、N個の連続サンプリングモーメントに対応する取得された現在の異常スコアの中で、M個の連続サンプリングモーメントに対応する現在の異常スコアがすべて対象異常スコアよりも大きい場合は、太陽光発電アレイの動作状態は異常であると決定される。
【0166】
概略的には、現在のサンプリングモーメントがモーメントaであり、取得モーメントaに対応する現在の異常スコアが現在の対象異常スコアよりも大きい場合は、モーメントaは第1の異常モーメントt1として指定され、次の取得モーメント(モーメントa+1)の現在の異常スコアと対象異常スコアの間の関係が継続的に判断される。モーメントa+1に対応する現在の異常スコアも対象異常スコアよりも大きい場合、モーメントa+1は第2の異常モーメントt2として指定され、上記の判断ステップが繰り返される。M個の連続サンプリングモーメントに対応する現在の異常スコアがすべて対象異常スコアよりも大きい場合は、異常な太陽光発電ストリングが太陽光発電アレイに存在すると判断される。
【0167】
M個の連続サンプリングモーメントに対応する時間は、i番目の異常モーメントと第1の異常モーメントの間の時間差であり得る。すなわち、異常な太陽光発電ストリングが太陽光発電アレイに存在すると出力する前にti-t1≧Ttsを満たす必要があるが、ここで、tiは第1の異常モーメントであり、tiはi番目の異常モーメントであり、Ttsは時間閾値である。
【0168】
任意には、連続異常モーメントが時間閾値未満である場合、太陽光発電アレイの動作状態は正常であると出力しなければならない。
【0169】
任意には、時間閾値は必要に応じて運用保守要員によって設定してもよい。例えば、時間閾値は15分または60分であってもよい。
【0170】
本実施形態では、現在の異常スコアの決定上で仮想的に高い電流値の影響を除去するために、リアルタイムで取得された現在の電流出力値が電流閾値によってフィルタリングされる。さらに、時間閾値を設定することによって、予め設定された時間内の現在の異常スコアがすべて対象異常スコアよりも大きい時だけ、太陽光発電ストリング異常警報が発せられることになり、偶発的要素に起因する誤警報を回避するとともに、警報精度を向上させることができる。
【0171】
可能な実施態様では、太陽光発電アレイが故障していると判断されると、コンピュータ装置は警報記録を生成することもできるので、運用保守要員は警報記録に基づいて太陽光発電アレイに存在する異常な太陽光発電ストリングを識別し、オフラインで異常な太陽光発電ストリングを点検し、太陽光発電ストリングの動作状態が異常である問題を適時に解決することができる。
【0172】
1.M個の連続サンプリングモーメントに対応する現在の出力電流値の最小出力電流値が決定される。
【0173】
異常な太陽光発電ストリングが太陽光発電アレイに存在すると判断された場合、M個の連続サンプリングモーメントに対応する現在の出力電流値に基づいて、複数の最小出力電流値を決定することができる。例えば、Mが3である場合は、各サンプリングモーメントに対応する現在の出力電流値の最小電流値が決定され、3個の連続サンプリングモーメントが3個の最小出力電流値に対応する。
【0174】
2.最小出力電流値に対応する太陽光発電ストリングが異常な太陽光発電ストリングとして決定される。
【0175】
出力電流値が小さく、現在の特性電流値と大きく異なるので、異常スコアは高い。したがって、最小出力電流値に対応する太陽光発電ストリングは異常な太陽光発電ストリングとして決定され、異常な太陽光発電ストリング情報は運用保守要員に通知される警報内容とみなされる。
【0176】
任意には、警報記録は、異常な取得モーメントに対応する現在の特性電流値、最小出力電流値、最大出力電流値、および異常な太陽光発電ストリング情報を含み得る。
【0177】
本実施形態では、即座に運用保守要員に通知して太陽光発電ストリングの動作状態が異常である問題を解決すべくオフライン点検を実行するために、最小出力電流値、異常な太陽光発電ストリング情報、最大出力電流値、および現在の特性電流値等の情報を含む警報記録が生成される。
【0178】
本開示のさらに別の例示的な実施形態による太陽光発電アレイの動作状態を決定する方法のフローチャートを示す
図9を参照する。本方法は、以下のステップを含み得る。
【0179】
ステップ901では、太陽光発電アレイに対応する過去の動作状態データが取得される。
【0180】
ステップ902では、過去の出力電流値がデータ品質ルールに従ってフィルタリングされる。
【0181】
ステップ903では、フィルタリングされた過去の出力電流値を分割し、複数の訓練サンプルを作成するために、フィルタリングされた過去の出力電流値から過去の特性電流値が抽出される。
【0182】
ステップ904では、複数の訓練サンプルに基づいてそれぞれ訓練することによって、複数の異常スコア予測モデルが得られる。
【0183】
ステップ905では、予め設定されたタイムスタンプ電流マトリクスを作成するために、太陽光発電アレイの予め設定されたタイムスタンプ内の現在の出力電流値が取得される。
【0184】
ステップ906では、予め設定されたタイムスタンプ内の各取得モーメントに対応する現在の出力電流値に基づいて、現在の特性電流値が決定されることにより、対象異常スコア予測モデルを決定する。
【0185】
ステップ907では、各取得モーメントに対応する電流サブマトリクスを対象異常スコア予測モデルに入力することによって、各取得モーメントに対応する現在の異常スコアが得られる。
【0186】
ステップ908では、各取得モーメントに対応する現在の異常スコアを蓄積することによって、予め設定されたタイムスタンプに対応する現在の異常スコアが得られる。
【0187】
ステップ909では、予め設定されたタイムスタンプに対応する現在の異常スコアが異常スコア閾値よりも大きいか否かが判断される。
【0188】
ステップ910では、太陽光発電アレイの動作状態が正常であることが出力される。
【0189】
ステップ911では、太陽光発電アレイに異常な太陽光発電ストリングが存在することが出力される。
【0190】
本開示の例示的な実施形態による太陽光発電アレイの動作状態を決定する装置の構造ブロック図を示す
図10を参照する。本装置は、ソフトウェア、ハードウェアまたはそれらの組み合わせによってコンピュータ装置の全部または一部として実装することができる。本装置は、
太陽光発電アレイに含まれる太陽光発電ストリングの現在の出力電流値を取得するように構成された第1の取得モジュール1001であって、太陽光発電アレイは並列の少なくとも2つの太陽光発電ストリングを含む第1の取得モジュール1001と;
現在の出力電流値に基づいて対象異常スコア予測モデルを決定するように構成された第1の決定モジュール1002であって、異なる異常スコア予測モデルは異なる特性電流値範囲に対応し、太陽光発電アレイの過去の出力電流値に基づいて訓練することによって異常スコア予測モデルが得られる第1の決定モジュール1002と;
現在の出力電流値を対象異常スコア予測モデルに入力することによって、太陽光発電アレイに対応する現在の異常スコアを決定するように構成された第2の決定モジュール1003と;
現在の異常スコアを対象異常スコアと比較することによって太陽光発電アレイの動作状態を決定するように構成された第3の決定モジュール1004であって、異なる異常スコア予測モデルは異なる異常スコアに対応し、過去の出力電流値を異常スコア予測モデルに入力した後に異常スコアが得られる第3の決定モジュール1004とを含む。
【0191】
任意には、第3の決定モジュール1004は、
現在の異常スコアが対象異常スコア以下であることを受けて、太陽光発電アレイの動作状態が正常であることを決定するように構成された第1の決定ユニットと;
現在の異常スコアが対象異常スコアよりも大きいことを受けて、N個の連続サンプリングモーメントに対応する現在の異常スコアを取得するように構成された取得ユニットであって、Nは1以上の整数である取得ユニットと;
少なくともM個の連続サンプリングモーメントに対応する現在の異常スコアが対象異常スコアよりも大きいことを受けて、太陽光発電アレイの動作状態が異常であることを決定するように構成された第2の決定ユニットであって、Mは1以上の整数であり、MがN以下である第2の決定ユニットとを含む。
【0192】
任意には、本装置は、
M個の連続サンプリングモーメントに対応する現在の出力電流値の最小出力電流値を決定するように構成された第4の決定モジュールと;
最小出力電流値に対応する太陽光発電ストリングを異常な太陽光発電ストリングとして決定するように構成された第5の決定モジュールとをさらに含む。
【0193】
任意には、第1の決定モジュール1002は、
電流閾値に基づいて現在の出力電流値をフィルタリングすることによってフィルタリングされた現在の出力電流値を得るように構成された第3の決定ユニットであって、電流閾値は太陽光発電アレイの過去の動作状態データによって決定され、過去の動作状態データは、太陽光発電ストリングの過去の出力電流値、太陽光発電ストリングに対応する過去の放射照度、太陽光発電ストリングが位置する環境の過去の周囲温度および過去の風速を含み、フィルタリングされた現在の出力電流値は電流閾値以下である第3の決定ユニットと;
フィルタリングされた現在の出力電流値のKパーセンタイルを現在の特性電流値として決定するように構成された第4の決定ユニットであって、Kは50以上の整数であり、現在の特性電流値は現在の取得モーメントの太陽光発電アレイに対応する現在の電流特性を特徴付ける第4の決定ユニットと;
現在の特性電流値に基づいて対象異常スコア予測モデルを決定するように構成された第5の決定ユニットであって、現在の特性電流値は対象異常スコア予測モデルに対応する対象特性電流値範囲内にある第5の決定ユニットとを含む。
【0194】
任意には、本装置は、
予め設定された時間内の太陽光発電アレイの過去の動作状態データを取得するように構成された第2の取得モジュールと;
最大放射照度、最大風速および最大周囲温度に基づいて太陽光発電アレイに対応する太陽電池モジュール温度を計算するように構成された第1の計算モジュールであって、最大放射照度は過去の放射照度によって決定され、最大周囲温度は過去の周囲温度によって決定され、最大風速は過去の風速によって決定される第1の計算モジュールと;
太陽電池モジュール温度および最大放射照度に基づいて太陽光発電アレイに対応する第1の最大出力電流値を計算するように構成された第2の計算モジュールであって、第1の最大出力電流値は最大放射照度下の太陽光発電ストリングの出力電流値である第2の計算モジュールと;
定格設備容量および最大システム電圧に基づいて太陽光発電アレイに対応する第2の最大出力電流値を計算するように構成された第3の計算モジュールであって、定格設備容量は太陽光発電アレイに接続されたコンバイナーの定格電力であり、最大システム電圧はコンバイナーに接続されたインバータのシステム電圧であり、第2の最大出力電流値はコンバイナーによって太陽光発電ストリングが入力することができる最大電流値である第3の計算モジュールと;
第1の最大出力電流値および第2の最大出力電流値の最小値を電流閾値として決定するように構成された第6の決定モジュールとをさらに含む。
【0195】
任意には、本装置は、
電流閾値に基づいて過去の出力電流値をフィルタリングすることによって、フィルタリングされた過去の出力電流値を得るように構成された第7の決定モジュールであって、フィルタリングされた過去の出力電流値は電流閾値以下である第7の決定モジュールと;
フィルタリングされた過去の出力電流値に基づいて過去の特性電流値を決定するように構成された第8の決定モジュールであって、過去の特性電流値は太陽光発電アレイの各取得モーメントに対応する過去の電流特性を特徴付ける第8の決定モジュールと;
過去の特性電流値に基づいてフィルタリングされた過去の出力電流値を分割することによって、少なくとも1つの訓練サンプルを決定するように構成された第9の決定モジュールであって、異なる訓練サンプルに含まれる過去の出力電流値は異なる特性電流値範囲に対応し、特性電流値範囲は過去の特性電流値に基づいて決定される第9の決定モジュールと;
訓練サンプルに基づいて異常スコア予測モデルを訓練するように構成された訓練モジュールとをさらに含む。
【0196】
任意には、異常スコア予測モデルは分離フォレストアルゴリズムを採用し、異常スコア予測モデルはS個のバイナリツリーを含むが、Sは1以上の整数である。
【0197】
任意には、本装置は、
訓練サンプルをS個のバイナリツリーにそれぞれ入力することによって、訓練サンプルに対応するS個のパス長を得るように構成された第10の決定モジュールと;
S個のパス長に基づいて訓練サンプルに対応する異常スコアを計算するように構成された第4の計算モジュールとをさらに含む。
【0198】
本開示の実施形態では、太陽光発電アレイに含まれる太陽光発電ストリングの現在の出力電流値が取得され、現在の出力電流値に基づいて対象異常スコア予測モデルが決定され、現在の出力電流値を対象異常スコア予測モデルに入力することによって太陽光発電アレイに対応する現在の異常スコアが出力されることで、現在の異常スコアを対象異常スコア予測モデルに対応する対象異常スコアと比較するので、比較結果に基づいて太陽光発電アレイの動作状態が決定される。リアルタイムで取得された現在の出力電流値を異常スコア予測モデルに入力することによって現在の異常スコアが出力されることで、太陽光発電アレイの現在の動作状態を決定する。関連技術における赤外線画像によって動作状態を決定する方法と比較して、現在の出力電流値は太陽光発電アレイの動作状態をリアルタイムで反映することができるので、赤外線画像への周囲温度の干渉を回避することができ、それによって太陽光発電アレイの動作状態を決定する精度を向上させる。
【0199】
本開示の例示的な実施形態によるコンピュータ装置の概略構造図を示す
図11を参照する。具体的には、コンピュータ装置1100は、中央処理装置(CPU)1101と、ランダムアクセスメモリ(RAM)1102およびリードオンリメモリ(ROM)1103を含むシステムメモリ1104と、システムメモリ1104と中央処理装置1101とを接続するシステムバス1105とを含む。コンピュータ装置1100は、コンピュータ装置内の様々な構成要素間の情報の伝達を容易にする基本入出力(I/O)システム1106と、オペレーティングシステム1113、アプリケーション1114、およびその他のプログラムモジュール1115を格納するための大容量記憶装置1107とをさらに含む。
【0200】
基本入出力システム1106は、情報を表示するためのディスプレイ1108と、情報のユーザ入力用のマウスまたはキーボード等の入力装置1109を備える。ディスプレイ1108および入力装置1109は、いずれもシステムバス1105に接続された入出力コントローラ1110を介して中央処理装置1101に接続される。基本入出力システム1106は、キーボード、マウス、または電子ペン等の複数のその他のデバイスからの入力を受信して処理するための入出力コントローラ1110をさらに備えてもよい。同様に、入出力コントローラ1110はさらに、ディスプレイ画面、プリンタ、または他の種類の出力装置に出力を提供する。
【0201】
大容量記憶装置1107は、システムバス1105に接続された大容量記憶装置コントローラ(図示せず)によって中央処理装置1101に接続される。大容量記憶装置1107とその関連するコンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータ装置1100のための不揮発性記憶装置を提供する。すなわち、大容量記憶装置1107は、ハードディスクまたはコンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)ドライブ等のコンピュータ可読記憶媒体(図示せず)を含み得る。
【0202】
一般性を失うことなく、コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータ記憶媒体および通信媒体を含んでもよい。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読記憶命令、データ構造、プログラムモジュール、またはその他のデータ等の情報を記憶するための任意の方法または技術によって実装された揮発性および不揮発性、取り外し可能および取り外し不可能の媒体を含む。コンピュータ記憶媒体は、RAM、ROM、消去可能なプログラマブルリードオンリメモリ(EPROM)、電気的消去可能なプログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、またはその他の固体記憶装置技術;CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)またはその他の光記憶装置、カセットテープ、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置またはその他の磁気記憶装置を含む。当然、当業者であれば、コンピュータ記憶媒体が上記に限定されないことがわかるであろう。上記のシステムメモリ1104および大容量記憶装置1107は、総称してメモリと呼ぶことがある。
【0203】
メモリは、1つ以上の中央処理装置1101によって実行され、上述の方法実施形態を実行するための命令を含むように構成された1つ以上のプログラムを格納する。1つ以上のプログラムは、中央処理装置1101によって実行されると、中央処理装置1101に上記の方法実施形態による方法を実行させる。
【0204】
本開示の様々な実施形態によれば、コンピュータ装置1100は、インターネット等のネットワークを介して遠隔ネットワークコンピュータに接続されることによって動作することもできる。すなわち、コンピュータ装置1100は、システムバス1105に接続されたネットワークインターフェースユニット1111によってネットワーク1112に接続されてもよく、あるいは、すなわち、コンピュータ装置1110はネットワークインターフェースユニット1111を用いてその他の種類のネットワークまたはリモートサーバーシステム(図示せず)に接続されてもよい。
【0205】
メモリは、1つ以上のプログラムをさらに含む。メモリに格納された1つ以上のプログラムは、本開示の実施形態による方法のコンピュータ装置によって実行されるステップを実行するように構成された命令を含む。
【0206】
コンピュータ可読記憶媒体が本開示の実施形態によってさらに提供される。コンピュータ可読記憶媒体は、そこに少なくとも1つの命令を記憶する。少なくとも1つの命令は、プロセッサによってロードされて実行されると、プロセッサに上記の実施形態で説明した太陽光発電アレイの動作状態を決定する方法を実行させる。
【0207】
コンピュータプログラム製品が本開示の実施形態によってさらに提供される。コンピュータプログラム製品は、そこに少なくとも1つの命令を記憶する。少なくとも1つの命令は、プロセッサによってロードされて実行されると、プロセッサに上記の実施形態で説明した太陽光発電アレイの動作状態を決定する方法を実行させる。
【0208】
当業者であれば、上述した1つ以上の例において、本開示の実施形態で説明した機能が、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせで実装され得ることを理解するであろう。ソフトウェアで実装される場合、これらの機能は、コンピュータ可読記憶媒体に格納されるか、あるいはコンピュータ可読記憶媒体上の1つ以上の命令またはコードとして伝送され得る。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータ記憶媒体および通信媒体を含む。通信媒体は、ある場所から別の場所へのコンピュータプログラムの転送を容易にする任意の媒体を含む。記憶媒体は、汎用または専用コンピュータによってアクセスすることができる任意の利用可能な媒体であってもよい。
【0209】
上記は本開示の単なる任意の実施形態にすぎず、本開示を限定することを意図するものではない。本開示の精神および原則内に行われたいかなる修正、均等な置換および改良も、すべて本開示の保護範囲内に含まれるべきである。