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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-13
(45)【発行日】2023-07-24
(54)【発明の名称】電解水散布装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/14 20060101AFI20230714BHJP
   C02F 1/461 20230101ALI20230714BHJP
【FI】
A61L9/14
C02F1/461 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019174892
(22)【出願日】2019-09-26
(65)【公開番号】P2021049214
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】浅井 文亜希
(72)【発明者】
【氏名】千葉 伸
(72)【発明者】
【氏名】竿山 真毅
【審査官】太田 一平
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-108925(JP,A)
【文献】特開2010-035794(JP,A)
【文献】特開2012-075522(JP,A)
【文献】特開2019-136195(JP,A)
【文献】特開2018-117870(JP,A)
【文献】特開2006-320412(JP,A)
【文献】特開2002-316155(JP,A)
【文献】特開2014-066401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00 - 9/22
C02F 1/46 - 1/48
F24F 7/00 - 7/007
F24F 8/00 - 8/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解水を散布する電解水散布装置であって、
水を貯めるための貯水部と、
前記貯水部内の水を電気分解して電解水を生成する電解部と、
前記貯水部内の水を排出するポンプと、
前記ポンプによって排出された水を貯めるための排水タンクと、
前記貯水部内の水位を検知する水位検知部と、
前記水位検知部において検知した水位が水有りを示す期間を計測する計測部と、を備え
前記計測部において計測した期間がしきい値以上である場合、
前記貯水部内の水を前記ポンプにより前記排水タンクに排出することを決定し、
前記決定後、前記排出の前に前記電解部により前記貯水部内の水を電気分解して電解水を生成し、
前記生成した電解水を前記ポンプにより前記排水タンクに排出する電解水散布装置。
【請求項2】
前記貯水部に水を供給する給水部をさらに備え、
前記給水部は、前記計測部において計測した期間がしきい値以上である場合、前記水位検知部において検知した水位が水不足を示せば、前記貯水部に水を供給し、
前記電解部は、前記給水部による水の供給が終了した後に、前記ポンプが前記貯水部内の水を排出する前に電解水を生成する請求項に記載の電解水散布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電解水を生成して散布する電解水散布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気中の細菌、真菌、ウイルス、臭い等の除去(不活性化を含む)を行うために、電気分解により次亜塩素酸を含む電解水を生成して散布する電解水散布装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。次亜塩素酸の生成には、電気分解の対象となる水に対して塩等の電解促進錠剤を投入し、塩化物イオンを含む水を生成しておく必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-29574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気分解する水が汚れたまま電気分解を行うと、電気分解を行う電極に汚れが付着して電極の寿命が短くなるおそれがあるので、定期的な排水が必要とされる。しかしながら、定期的な排水が必要とされることにより、ユーザの利便性が低下する。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、電解水散布装置の排水に関するユーザの利便性を向上する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示の電解水散布装置は、電解水を散布する電解水散布装置であって、水を貯めるための貯水部と、貯水部内の水を電気分解して電解水を生成する電解部と、貯水部内の水を排出するポンプと、ポンプによって排出された水を貯めるた
めの排水タンクと、貯水部内の水位を検知する水位検知部と、水位検知部において検知した水位が水有りを示す期間を計測する計測部と、を備え、計測部において計測した期間がしきい値以上である場合、貯水部内の水をポンプにより排水タンクに排出することを決定し、決定後、排出の前に電解部により貯水部内の水を電気分解して電解水を生成し、生成した電解水をポンプにより排水タンクに排出する
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、電解水散布装置の排水に関するユーザの利便性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1(a)-(b)は、実施例に係る電解水散布装置の構造を示す斜視図である。
図2図1(a)-(b)の電解水散布装置の構造を示す断面図である。
図3図3(a)-(c)は、図1(a)-(b)の電解水散布装置における貯水部、フィルタ、フィルタ枠の構造を示す図である。
図4図4(a)-(b)は、図1(a)-(b)の電解水散布装置の構造を示す図である。
図5図2の制御部の機能ブロック図である。
図6図5の制御部による制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施例を具体的に説明する前に、実施例の概要を説明する。本実施例は、貯水部に貯めた水を使用して電解水を生成してから散布する電解水散布装置に関する。具体的に説明すると、貯水部に貯めた水に電極を浸し、電極を通電することによって、水が電気化学的に電気分解され、活性酸素種を含む電解水が生成される。しかしながら、電解水を生成し続けると、貯水部に貯めた水が汚れてくる。前記のごとく、汚れた水を使用して電解水を生成し続けると、電極に汚れが付着して電極の寿命が短くなる。これを防止するために、汚れた水の定期的な排水が必要になるが、定期的な排水の必要性によりユーザの利便性が低下する。
【0011】
ユーザの利便性の低下を抑制するために、本実施例に係る電解水散布装置は、貯水部に貯められる水の量よりも大きな容積の排水タンクを備える。また、貯水部に貯められた水の使用期間が長くなると、貯水部の水が排水タンクに排出される。排水タンクに対して排水すべき間隔は、貯水部に対して排水すべき間隔よりも長いので、排水の頻度が低下して、ユーザの利便性の低下が抑制される。
【0012】
以下、本開示を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。図1(a)-(b)は、電解水散布装置100の構造を示す斜視図である。図1(a)は、電解水散布装置100の斜視図であり、電解水散布装置100を前面側から見た図である。図1(b)は、電解水散布装置100の斜視図であり、図1(a)のパネル8を開いた状態で電解水散布装置100を前面側から見た図である。図2は、電解水散布装置100の構造を示す断面図である。
【0013】
電解水散布装置100は、本体ケース1、送風部2、空気浄化部3、制御部4、操作部5、配管ケース33、配管部32を備える。本体ケース1は、略箱形状であり、本体ケース1には、吸気口6と、吹出口7と、パネル8とが設けられる。吸気口6は、本体ケース1の両側面に設けられる。吹出口7は、開閉式であって、本体ケース1の天面における背面側に設けられる。図1(a)-(b)では、吹出口7は閉じた状態である。本体ケース1の天面における前面側には、操作部5が設けられる。
【0014】
本体ケース1の前面側から見て、右側の側面(本体ケース1の一方側の側面)には、開閉可能なパネル8が設けられる。パネル8における本体ケース1の前面側には、吸気口6が設けられる。パネル8を開くと、本体ケース1内には、空洞部9が設けられる。空洞部9は、本体ケース1における右側面の縦長四角形状の開口9aから、本体ケース1における左側へ水平方向に延びた穴である。空洞部9内には、空気浄化部3が設けられる。空気浄化部3は、空洞部9内から本体ケース1外へ取り出し可能である。
【0015】
本体ケース1内には、図1に示すように、吸気口6と吹出口7とを連通する風路10が設けられる。この風路10には、吸気口6から順に、空気浄化部3、送風部2、吹出口7が設けられる。空気浄化部3と送風部2は散布部としてまとめられる。送風部2は、本体ケースの中央部に設けられ、モータ部11と、モータ部11により回転するファン部12と、それらを囲むスクロール形状のケーシング部13とを備える。モータ部11は、ケーシング部13に固定される。
【0016】
ファン部12は、シロッコファンであり、モータ部11から水平方向に延びた回転軸(図示せず)に固定される。モータ部11の回転軸は、本体ケース1の背面側から前面側に延びる。ケーシング部13には、吐出口14と吸込口15とが設けられる。吐出口14は、ケーシング部13の本体ケース1における上面側に設けられる。また、吸込口15は、ケーシング部13の本体ケース1における背面側に設けられる。モータ部11によって、ファン部12が回転すると、ケーシング部13の吸込口15からケーシング部13内に空気が吸い込まれ、この吸い込まれた空気は、吐出口14からケーシング部13外へ送風される。送風部2の風量は、温度や湿度、ガスの臭いレベルに応じて、風量単位時間(例えば、5分)毎に決定される。決定された風量に基づき、モータ部11の回転量が制御される。
【0017】
空気浄化部3は、貯水部16と、給水部17と、気液接触部分(図示せず)と、電解部19と、排水タンク50を備える。貯水部16は、天面に開口が設けられた略箱形状をしており、水を貯水できる構造を有する。貯水部16は、本体ケース1の下部に配置されており、空洞部9から水平方向にスライドして着脱可能である。貯水部16は、給水部17から供給される水を貯める。
【0018】
排水タンク50は、天面に開口が設けられた略箱形状を有し、貯水部16から排出された水を貯水できる構造を有する。排水タンク50の容積は、貯水部16の容積よりも大きいので、排水タンク50において貯めることが可能な水の量は、貯水部16において貯めることが可能な水の量よりも多い。排水タンク50は、本体ケース1の下部において、貯水部16の下部に配置されており、本体ケース1から着脱可能である。ここで、貯水部16と排水タンク50をつなぐパイプ(図示せず)が設けられ、パイプには、後述のポンプが設けられる。ポンプは、貯水部16内の水を排水タンク50に排出する。
【0019】
給水部17は、管形状であり、水道管と連通する。給水部17の一方端側は、水道管に連結され、水道管から水道管内の水が、給水部17の一方側から給水部17内に流れ込む。給水部17内に流れ込んだ水は、給水部17の他方端側から貯水部16に滴下する。
【0020】
図3(a)-(c)は、電解水散布装置100における貯水部16、フィルタ20、フィルタ枠21の構造を示す。図3(a)は、貯水部16の斜視図であり、図3(b)は、フィルタ20とフィルタ枠21の斜視図である。気液接触部分18は、貯水部16に貯水された水と、送風部2によって本体ケース1内に吸込まれた室内空気とを接触させる部材である。気液接触部分18は、フィルタ20と、フィルタ枠21と、駆動部(図示せず)とを有する。フィルタ20は、円筒状に構成され、円周部分に空気が流通可能な孔が設けられた構成である。フィルタ20は、フィルタ20の一端が貯水部16の水に浸漬するように、フィルタ枠21に装着される。フィルタ枠21は、貯水部16に設けられた軸受け部23に回転支持されている。フィルタ20とフィルタ枠21とは、駆動部によって回転する構造である。これにより、フィルタ20は、水と室内空気とに連続的に接触される。
【0021】
図3(c)は、貯水部16とフィルタ20とフィルタ枠21と電解部19とを示す。フィルタ枠21は、貯水部16に装着される。電解部19は、本体ケース1に上下方向に移動可能に設けられる。図3(c)の電解部19は、下方に移動された状態である。この状態で、電解部19の下部が、貯水部16内の水に浸漬する。電解部19は、第1の電極(図示せず)と、第2の電極(図示せず)とを有する。貯水部16を、本体ケース1の下部の空洞部9に装着し、電解部19を下方に移動させると、第1の電極と第2の電極とを貯水部16内に浸らせた状態になる。第1の電極と第2の電極とを貯水部16内に浸らせた状態で第1の電極と第2の電極に電圧を印加すると、ユーザによって投入された電解促進溶剤(図示せず)が入った貯水部16内の水が電気化学的に処理される。
【0022】
電解促進溶剤の一例は塩化ナトリウムであり、電解部19は、塩化ナトリウム水溶液を電気化学的に電気分解し、活性酸素種を含む電解水を生成する。ここで、活性酸素種とは、通常の酸素よりも高い酸化活性を持つ酸素分子と、その関連物質のことである。例えば、活性酸素種には、スーパーオキシドアニオン、一重項酸素、ヒドロキシラジカル、あるいは過酸化水素といった所謂狭義の活性酸素に、オゾン、次亜塩素酸(次亜ハロゲン酸)等といった所謂広義の活性酸素が含まれる。また、電解部19は、本体ケース1から着脱可能である。
【0023】
図3(a)-(c)に示すように、貯水部16は、第1の貯水区画24と、第2の貯水区画25と、仕切り板26と、連通孔27とを有する。第1の貯水区画24は、電解部19と、給水部17の先端部と、ポンプ52が配置された区画である。図3(a)では、右側の区画である。第1の貯水区画24内には、給水部17から水が供給される。また、第1の貯水区画24内の水はポンプ52によりくみ上げられて排水タンク50(図示せず)に排出される。第2の貯水区画25は、気液接触部分18の一部であるフィルタ20とフィルタ枠21とが配置された区画である。図3(a)では、左側の区画である。
【0024】
仕切り板26は、第1の貯水区画24と第2の貯水区画25とを仕切る板である。仕切り板26は、貯水部16の底面から上方に延び、仕切り板26の上端は、水面より上方に配置される。連通孔27は、横長の開口であり、仕切り板26の下端に配置される。連通孔27は、第1の貯水区画24と第2の貯水区画25とを連通する。第1の貯水区画24の水は、連通孔27を介して、第2の貯水区画25へ流れ込む。第1の貯水区画24の底面と、第2の貯水区画25の底面とは、同一面上に配置される。
【0025】
フィルタ20は、円筒状に構成され、円周部分に空気が流通可能な孔が設けられる。フィルタ20は、フィルタ20の一端が貯水部16の水に浸漬するように、フィルタ20の水平方向に延びた中心軸を回転中心として貯水部16内に、フィルタ枠21によって回転自在に内蔵されている。フィルタ枠21は、貯水部16の軸受け部23に回転支持される構造である。フィルタ枠21は、フィルタ20の内面と接する内枠(図示せず)と、第1の軸カバー29と、第2の軸カバー30とを備える。
【0026】
第1の軸カバー29は、内枠の中心軸方向における一方側に固定される円形状の板である第1のカバー29aと、第1のカバー29aの中心から外方に突出した円柱形状の突起である第1の軸29bとを備える。第1の軸29bは、貯水部16における一方側の軸受け部23に回転自在に装着できる構造である。第1のカバー29aと第1の軸29bとは、一体の構造である。
【0027】
第2の軸カバー30は、内枠の中心軸方向における他方側に着脱自在な円形状の板である第2のカバー30aと、第2のカバー30aの中心から外方に突出した円柱形状の突起である第2の軸30bとを備える。第2の軸30bは、貯水部16における他方側の軸受け部23に回転自在に装着できる構造である。内枠と第2のカバー30aと第2の軸30bとは、一体の構造である。第2の軸30bの先端部分に外周面には、多数の突起である、多数の歯30cを備える。第2の軸30bの多数の歯30cは、駆動部(図示せず)の歯車と接触し、駆動部の歯車の回転によって、第2の軸30bを介して、フィルタ枠21が回転する構造である。
【0028】
駆動部は、歯車(図示せず)を備え、歯車の回転によってフィルタ枠21を回転させ、フィルタ枠21の回転によってフィルタ20が回転する。フィルタ20の一端が貯水部16の水に浸漬するように配置されるので、水と室内空気を連続的に接触させる構造である。
【0029】
第2の貯水区画25内と第2の貯水区画25の周囲には、後述の水位検知部である第1検知部と第2検知部が配置される。第1検知部は、貯水部16に貯水される必要最大水量を検知する。第1検知部は、浮力を有するフロート部分40aと、フロート部分40aに設けた磁石41aと、フロート部分40aに設けた磁石41aの位置を検知する検知部分(図示せず)とで構成される。フロート部分40aは、第2の貯水区画25内に配置され、検知部分は、第2の貯水区画25の周囲である貯水部16の外側、つまり本体ケース1に配置される。フロート部分40aが、必要最大水量に相当する第1所定の高さまで浮動すると、第1検知部分は、第1フロート部分40aに設けた磁石41aを検知し、制御部4に第1信号を送る。
【0030】
第2検知部は、貯水部16に貯水される必要最小水量を検知する。第2検知部は、浮力を有するフロート部分40bと、フロート部分40bに設けた磁石41bと、フロート部分40bに設けた磁石41bの位置を検知する検知部分(図示せず)とで構成される。フロート部分40bは、第2の貯水区画25内に配置され、検知部分は、第2の貯水区画25の周囲である貯水部16の外側、つまり本体ケース1に配置される。貯水部16内に必要最小水量以上の水が貯水される場合には、フロート部分40bは、浮力によって所定の位置まで移動し、検知部分は、フロート部分40bに設けた磁石41bを検知する。しかしながら、貯水部16内の水が減り、フロート部分40bが、必要最小水量に相当する第2所定の高さまで下がると、検知部分は、フロート部分40bに設けた磁石41bを検知できなくなり、制御部4に第2信号を送る。
【0031】
図4(a)-(b)は、電解水散布装置100の構造を示す。図4(a)は、本体ケース1と配管ケース33を、電解水散布装置100の背面側から見た図であり、点検口36から蓋37を外した状態である。図4(b)は、本体ケース1と配管ケース33の側面図であり、点検口36から蓋37を外した状態である。図1(b)、図2図4(a)-(b)に示すように、電解水散布装置100は、貯水部16に水を供給する給水部17と、給水部17と水道管31とを連通する配管部32とを備える。配管部32は、本体ケース1の背面から突出した配管ケース33内に配置される。本体ケース1内には、貯水部16と、気液接触部分18と、送風部2と、給水部17と、風路10とを有する。ここでは、配管部32の一方端側に、水道管31と接続可能な水道側接続部34が配置されることによって、水道側接続部34は配管ケース33の天面に配置される。
【0032】
水道管31と配管部32とを継ぐ場合に、室内の壁から室内に延びる水道管31を曲げながら水道側接続部34に接続する。この水道側接続部34が配管ケース33の天面に配置されるので、水道側接続部34と水道管31とが邪魔にならず、配管ケース33の背面を室内の壁に接するように配置でき、インテリア性が向上する。水道管31は、作業者が手で曲げることができるフレキシブルな水道管である。
【0033】
水道側接続部34は、配管ケース33の天面33aに配置され、水道側接続部34の中心軸は上下方向に延びており、水道管31を上方から水道側接続部34に接続する作業になるので、配管作業が容易になる。具体的には、水道側接続部34は、配管ケース33の天面から上方へ突出した円筒形状の円筒部34aであり、円筒部の外周面には、ねじ加工されたねじ部34bを有する。円筒部34aの先端と、水道管31の端部とを合わせ、円筒部34aのねじ部34bに、水道管31に装着されたナットをねじ止めして、水道管31を水道側接続部34に固定する。
【0034】
配管ケース33の天面33aの高さは、本体ケース1の天面の高さより低い。具体的には、配管ケース33は、箱形状であり、配管ケース33の底面と本体ケース1の底面とは同一面上に配置され、配管ケース33の天面33aの高さは、本体ケース1の天面の高さの3分の2の高さより低い。これにより、水道管31と配管部32とを継ぎ、電解水散布装置100を室内の壁に接するように配置する場合には、まず、室内の壁から室内に延びる水道管31を上方から水道側接続部34に接続する。ここで、水道側接続部34は、作業者が上方から目視できる高さに配置されるので、水道管31を上方から水道側接続部34に接続する作業が容易になる。次に、配管ケース33の背面を、室内の壁に接するように、本体ケース1と配管ケース33とを移動させる。この状態で、水道管31を本体ケース1と室内の壁との間に配置すると、本体ケース1の前面側から電解水散布装置100を見た場合に、水道管31が本体ケース1に隠れ、見えにくくなり、インテリア性が向上する。
【0035】
配管ケース33の左右方向の寸法は、本体ケース1の左右方向の寸法と同じ、または一回り小さい寸法である。これにより、本体ケース1の前面側から電解水散布装置100を見ると、配管ケース33が本体ケース1に隠れ、見えにくくなり、インテリア性が向上する。
【0036】
水道側接続部34は、配管ケース33の天面33aにおける本体ケース1の左右方向の一方側(本体ケース1の前面側から見て左側)寄りに配置される。これにより、配管ケース33の背面を室内の壁に接するように配置した状態でも、本体ケース1の左右方向の一方側のスペースから、配管部32の開閉弁35の交換作業などが容易になる。また、配管ケース33の奥行き寸法は、上方から腕が入る寸法である。具体的には、配管ケース33の奥行き寸法は、10cmから15cmである。これにより、水道管31を水道側接続部34からの取り外し作業などが容易になる。
【0037】
配管部32は、開閉弁35を有する。開閉弁35は、給水部17内の水を止めたり、流したりする構造である。開閉弁35は、開閉する弁機構を備える。開閉弁35の一例は、電磁弁である。この弁機構は、電磁弁に所定の電流が流れると弁機構が開き、電磁弁へ電流が流れないと弁機構が閉じる構成である。電磁弁に所定の電流が流れると弁機構が開き、給水部17内を水が流れ、電磁弁へ電流が流れないと弁機構が閉じ、給水部17内の水の流れが止まる。
【0038】
開閉弁35は、制御部4によって制御される。制御部4は、電解部19と、気液接触部分18(駆動部)と、送風部2(モータ部11)と、開閉弁35と、ポンプ52とを制御する。給水時の一例は、制御部4は、操作部5の操作によって電解水散布装置100が動作すると、まず、開閉弁35を開き、水道管31と給水部17とを連通させ、水道管31内の水を、配管部32を介して、給水部17から貯水部16に供給する。貯水部16内に所定量の水が溜まると、貯水部16の第1検知部が所定の水位を検知して第1信号を送信する。制御部4は、第1信号を受信すると、開閉弁35を閉じる。
【0039】
次に、制御部4は、電解部19である第1の電極と第2の電極に印加する電圧、気液接触部分18である駆動部の動作、送風部2であるファン部12の回転数などを制御する。送風部2のモータ部11によってファン部12が回転すると、吸気口6から本体ケース1内に入った外部の空気は、順に、空気浄化部3(貯水部16、フィルタ20)、送風部2、吹出口7を介して、本体ケース1から吹き出される。これにより、貯水部16にて生成された電解水が外部へ散布される。電解水散布装置100は、必ずしも電解水そのものを撒かなくてもよく、結果的に生成した電解水由来(揮発を含む)の活性酸素種を散布しても電解水散布に含まれる。
【0040】
開閉弁35は、配管部32に着脱自在に設けられる。開閉弁35は、配管ケース33内における本体ケース1の左右方向の一方側(本体ケース1の前面側から見て左側)寄りに配置される。配管ケース33における本体ケース1の左右方向の一方側側面には、点検口36を設けている。点検口36には、着脱自在な蓋37を有する。配管ケース33から蓋37を外すと、縦長四角形状の開口である点検口36から開閉弁35の点検、交換をすることができる。開閉弁35は、点検口36の近くに配置されるので、点検、交換作業が容易になる。
【0041】
図5は、制御部4の機能ブロック図である。制御部4は、計測部150、処理部152を含む。また、制御部4は、貯水部16、開閉弁35、電解部19、ポンプ52に接続される。貯水部16は、水位検知部140を含む。水位検知部140は、前述の第1検知部と第2検知部とを含み、第1検知部と第2検知部により、貯水部16内の水位を検知する。前述のごとく、第1検知部により、必要最大水量に相当する第1所定の高さまで水位が存在するか否かを検知し、第2検知部により、必要最小水量に相当する第2所定の高さまで水位が存在するか否かを検知する。また、第1所定の高さ以上の水位である場合、第1検知部により第1信号が送信され、第2所定高さ以下の水位である場合、第2検知部により第2信号が送信される。第1所定の高さと第2所定高さとの間の水位である場合、第1信号も第2信号も送信されない。
【0042】
計測部150は、水位検知部140から第1信号を受信している期間を計測する。水位検知部140から第1信号を受信していることは、水位が水有りを示すことに相当する。計測部150は、カウンタにより構成され、第1信号を受信し続けるとカウントアップを実行する。ここで、計測部150は、第1信号を受信している状態から受信しなくなり、受信を再開した場合、それまでのカウント値からカウントアップを再開する。つまり、計測部150は、期間を累積加算する。計測部150は、カウント値、つまり期間を逐次処理部152に出力する。
【0043】
処理部152は、計測部150において計測された期間(以下、「計測期間」という)を受けつける。処理部152は、計測期間がしきい値以上である場合に、貯水部16内の水の排水を決定する。しきい値は、貯水部16に貯めた水を排水すべき期間に応じた値を有する。しきい値は実験あるいは運用結果をもとに定められればよい。処理部152は、ポンプ52に貯水部16内の水を排出させる前に、電解部19である第1の電極と第2の電極に電圧を印加させることによって、電解部19に電解水を生成させる。電解部19は、処理部152からの指示に応じて、前述のごとく電解水を生成する。電解水を生成した後、電解水を散布せずに、処理部152は、ポンプ52を動作させることによって、生成した電解水を排水タンク50(図示せず)に排水させる。ポンプ52には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。処理部152は、ポンプ52を動作させると、計測部150の計測期間をリセットさせる。これは、計測部150におけるカウンタをリセットさせることに相当する。
【0044】
前述のごとく、排水タンク50の容積は貯水部16の容積よりも大きいので、排水タンク50が満水になるまで、貯水部16からの排水は複数回繰り返される。排水タンク50には、フロート部分(図示せず)と磁石(図示せず)を含む検知部(図示せず)が備えられてもよく、フロート部分と磁石は、前述のフロート部分40aと磁石41aと同様に、排水タンク50の満水を検知する。検知部は、満水を検知した場合に、信号を制御部4に送信する。制御部4は、信号を受信すると、本体ケース1に設けられたランプ(図示せず)を点灯させることによって、排水タンク50の満水をユーザに知らせる。ランプの点灯を確認したユーザは、排水タンク50の水を排水すればよい。
【0045】
貯水部16から排水すべき水は、一般的に汚れており臭いを有する。そのような水をそのまま排水タンク50に貯めた場合、排水タンク50に貯められた水は腐敗したり、悪臭を発生したりする。一方、本実施例では電解水を生成してから排水するので、排水タンク50に貯めた水が腐敗したり、悪臭を発生したりすることは抑制される。
【0046】
処理部152は、計測期間がしきい値以上である場合に、水位検知部140から第2信号を受信すれば、開閉弁35を一定期間にわたって開く。ここで、水位検知部140から第2信号を受信することは、水位検知部140において検知した水位が水不足を示すことに相当する。開閉弁35を開き、水道管31と給水部17とを連通させ、水道管31内の水を、配管部32を介して、給水部17から貯水部16に供給する。また、開閉弁35を開く一定期間は、電解水を生成するために必要最小限の水量となるように予め定められる。これは、第1検知部から第1信号が送信される水位よりも低いので、給水部17から供給すべき水量が抑制される。一定期間の経過後、処理部152は、開閉弁35を閉める。給水部17による水の供給が終了した後に、電解部19は、これまでと同様に、ポンプ52が貯水部16内の水を排出する前に、電解部19に電解水を生成させる。
【0047】
本開示における装置、システム、または方法の主体は、コンピュータを備える。このコンピュータがプログラムを実行することによって、本開示における装置、システム、または方法の主体の機能が実現される。コンピュータは、プログラムにしたがって動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、またはLSI(Large Scale Integration)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録される。プログラムは、記録媒体に予め格納されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されてもよい。
【0048】
以上の構成による電解水散布装置100の動作を説明する。図6は、制御部4による制御手順を示すフローチャートである。計測部150は、水ありの期間を計測する(S10)。期間がしきい値以上でなければ(S12のN)、ステップ10に戻る。期間がしきい値以上である場合(S12のY)、水位検知部140において水不足と検知されていれば(S14のY)、処理部152は、開閉弁35を開けることによって、給水部17に吸水を実行させる(S16)。水位検知部140において水不足と検知されていなければ(S14のN)、ステップ16はスキップされる。処理部152は、電解部19に電解水を生成させる(S18)。処理部152は、ポンプ52を動作させることによって、貯水部16から排水タンク50への排水を実行する(S20)。
【0049】
本実施例によれば、貯水部16内の水をポンプ52により排水タンク50に排出するので、電解水散布装置100の排水に関するユーザの利便性を向上できる。また、貯水部16の容積よりも排水タンク50の容積を大きくするので、排水の頻度を少なくできる。また、排水の頻度が少なくなるので、電解水散布装置100の排水に関するユーザの利便性を向上できる。また、ポンプ52が貯水部16内の水を排出する前に、電解水を生成するので、排水タンク50に貯められる水をきれいにできる。また、排水タンク50に貯められる水がきれいになるので、排水タンク50に貯められる水の腐敗を抑制できる。また、排水タンク50に貯められる水がきれいになるので、排水タンク50に貯められる水からの悪臭の発生を抑制できる。
【0050】
また、水位検知部140において検知した水位が水有りを示す期間がしきい値以上である場合、ポンプ52が貯水部16内の水を排出する前に電解水を生成するので、電解水を生成するタイミングを適切に設定できる。また、検知した水位が水不足を示せば、貯水部16に水を供給した後に、ポンプ52が貯水部16内の水を排出する前に電解水を生成するので、電解部19の電極の損傷を抑制できる。
【0051】
本開示の一態様の概要は、次の通りである。本開示のある態様の電解水散布装置(100)は、電解水を散布する電解水散布装置(100)であって、水を貯めるための貯水部(16)と、貯水部(16)内の水を電気分解して電解水を生成する電解部(19)と、貯水部(16)内の水を排出するポンプ(52)と、ポンプ(52)によって排出された水を貯めるための排水タンク(50)と、を備える。
【0052】
電解部(19)は、ポンプ(52)が貯水部(16)内の水を排出する前に、電解水を生成してもよい。
【0053】
貯水部(16)内の水位を検知する水位検知部(140)と、水位検知部(140)において検知した水位が水有りを示す期間を計測する計測部(150)とをさらに備えてもよい。電解部(19)は、計測部(150)において計測した期間がしきい値以上である場合、ポンプ(52)が貯水部(16)内の水を排出する前に電解水を生成してもよい。
【0054】
貯水部(16)に水を供給する給水部(17)をさらに備えてもよい。給水部(17)は、計測部(150)において計測した期間がしきい値以上である場合、水位検知部(140)において検知した水位が水不足を示せば、貯水部(16)に水を供給し、電解部(19)は、給水部(17)による水の供給が終了した後に、ポンプ(52)が貯水部(16)内の水を排出する前に電解水を生成してもよい。
【0055】
以上、本開示を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0056】
1 本体ケース、 2 送風部、 3 空気浄化部、 4 制御部、 5 操作部、 6 吸気口、 7 吹出口、 8 パネル、 9 空洞部、 9a 開口、 10 風路、 11 モータ部、 12 ファン部、 13 ケーシング部、 14 吐出口、 15 吸込口、 16 貯水部、 17 給水部、 18 気液接触部分、 19 電解部、 20 フィルタ、 21 フィルタ枠、 23 軸受け部、 24 第1の貯水区画、 25 第2の貯水区画、 26 仕切り板、 27 連通孔、 29 第1の軸カバー、 29a 第1のカバー、 29b 第1の軸、 30 第2の軸カバー、 30a 第2のカバー、 30b 第2の軸、 30c 歯、 31 水道管、 32 配管部、 33 配管ケース、 33a 天面、 34 水道側接続部、 34a 円筒部、 34b ねじ部、 35 開閉弁、 36 点検口、 37 蓋、 40 検知部、 40a フロート部分、 100 電解水散布装置、 140 水位検知部、 150 計測部、 152 処理部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6