(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-13
(45)【発行日】2023-07-24
(54)【発明の名称】プッシュスイッチ
(51)【国際特許分類】
H01H 13/14 20060101AFI20230714BHJP
H01H 13/52 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
H01H13/14 Z
H01H13/52 F
(21)【出願番号】P 2020554765
(86)(22)【出願日】2019-07-25
(86)【国際出願番号】 JP2019029130
(87)【国際公開番号】W WO2020090167
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】P 2018206117
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】道路 国雄
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/065003(WO,A1)
【文献】特開2005-141922(JP,A)
【文献】特開平10-250517(JP,A)
【文献】特開2015-173051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/00-13/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部を有するケースと、
前記凹部に配置された固定接点を有する固定接点部材と、
前記凹部に配置された可動接点を有する可動接点部材と、
前記凹部の第1方向に配置され、前記凹部を覆う保護シートと、
前記保護シートに設けられたリブと、
を備え、
前記保護シートは、
押圧部と、
前記ケースに固定された固定部と、
前記第1方向から見て、前記押圧部と前記固定部との間に位置する中間部と、
を有し、
前記リブは、複数のリブの1つであって、
前記複数のリブは、前記第1方向から見て前記押圧部を中心とする第1仮想円上に間隔をあけて隣り合う2つのリブを有する第1リブ組を含み、
前記保護シートの前記押圧部が前記第1方向から押されると、前記可動接点部材は、前記保護シートからの力によって変形し、
前記可動接点部材が変形することによって、前記可動接点が前記固定接点に接触する、プッシュスイッチ。
【請求項2】
前記保護シートと前記リブは一体形成されている、
請求項1に記載のプッシュスイッチ。
【請求項3】
前記リブは、前記保護シートの前記中間部に設けられている、
請求項1または2に記載のプッシュスイッチ。
【請求項4】
前記第1方向から見て、前記第1リブ組が有する前記2つのリブの前記第1仮想円の周方向に沿った間隔は、前記押圧部の最大の長さ以下である、
請求項
1~3のいずれか一項に記載のプッシュスイッチ。
【請求項5】
凹部を有するケースと、
前記凹部に配置された固定接点を有する固定接点部材と、
前記凹部に配置された可動接点を有する可動接点部材と、
前記凹部の第1方向に配置され、前記凹部を覆う保護シートと、
前記保護シートに設けられたリブと、
を備え、
前記保護シートは、
押圧部と、
前記ケースに固定された固定部と、
前記第1方向から見て、前記押圧部と前記固定部との間に位置する中間部と、
を有し、
前記リブは、複数のリブの1つであって、
前記複数のリブは、前記第1方向から見て前記押圧部から外側に向かう方向に間隔をあけて並んでいる2つのリブを有する第2リブ組を含
み、
前記保護シートの前記押圧部が前記第1方向から押されると、前記可動接点部材は、前記保護シートからの力によって変形し、
前記可動接点部材が変形することによって、前記可動接点が前記固定接点に接触する、プッシュスイッチ。
【請求項6】
前記リブは、前記保護シートの前記中間部に設けられている、
請求項5に記載のプッシュスイッチ。
【請求項7】
前記リブは、前記保護シートの前記中間部に設けられている、
請求項5または6に記載のプッシュスイッチ。
【請求項8】
前記第2リブ組が有する前記2つのリブのうち一方のリブは、前記第1方向から見て前記押圧部を中心とする第1仮想円に沿って延びており、
前記第2リブ組が有する前記2つのリブのうち他方のリブは、前記第1仮想円と同心でかつ直径が前記第1仮想円より長い第2仮想円に沿って延びている、
請求項
5~7のいずれか一項に記載のプッシュスイッチ。
【請求項9】
前記第2リブ組が有する前記2つのリブのそれぞれは、前記押圧部から外側に向かう前記方向に対して垂直方向に延びている、
請求項
5~7のいずれか一項に記載のプッシュスイッチ。
【請求項10】
前記第1方向から見て、前記第2リブ組が有する前記2つのリブの長さは異なる、
請求項
5~
9のいずれか一項に記載のプッシュスイッチ。
【請求項11】
前記第1方向から見て、前記第2リブ組が有する前記2つのリブの長さは同じである、請求項
5~
9いずれか一項に記載のプッシュスイッチ。
【請求項12】
前記第1方向から見て、前記第2リブ組が有する前記2つのリブのうち、前記押圧部に近い第1リブより前記押圧部に遠い第2リブの方が短い、
請求項
10に記載のプッシュスイッチ。
【請求項13】
前記保護シートは、前記第1の方向から見て、方形状のシートであり、
前記押圧部は、前記保護シートの中央部に位置し、
前記固定部は、前記保護シートの外周部に位置し、
前記リブは、前記第1方向から見て、方形状の前記保護シートの対角線上に位置してい
る、
請求項1~
12のいずれか一項に記載のプッシュスイッチ。
【請求項14】
前記保護シートは、前記第1の方向から見て、方形状のシートであり、
前記押圧部は、前記保護シートの中央部に位置し、
前記固定部は、前記保護シートの外周部に位置し、
前記リブは、前記第1方向から見て、前記押圧部から前記保護シートの辺に対して垂直に延びた仮想直線上に位置している、
請求項1~
12のいずれか一項に記載のプッシュスイッチ。
【請求項15】
前記リブは、前記第1方向から見て、前記凹部の内周面よりも内側に位置している、
請求項1~
14のいずれか一項に記載のプッシュスイッチ。
【請求項16】
前記押圧部は、押し子によって押される部分であり、
前記リブは、前記第1方向から見て、前記押し子よりも外側に位置する、
請求項1~
14のいずれか一項に記載のプッシュスイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プッシュスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プッシュスイッチが開示されている。このプッシュスイッチは、ケースの壁部で囲まれて構成された凹部の内底面に、中央接点と外側接点とが固定されている。凹部内には、ドーム状に形成された可動接点が配置されている。可動接点の外周下端は、外側接点上に載っている。可動接点の中央部下面は中央接点と間隔をあけて対向している。ケース上には、凹部を覆うように矩形状の保護シートが配されている。保護シートの周縁部は、ケースの壁部上端に溶着されている。保護シートの下面には、押圧体が固着されている。押圧体の下面は、可動接点の中央頂点部上に載っている。
【0003】
このプッシュスイッチは、保護シートの中央部分に押し下げ力が加えられて、押圧体によって可動接点が押されることで、可動接点が中央接点に接触したオン状態となる。また、押し下げ力が解除されることにより、可動接点が弾性復帰して、中央接点と外側接点との間が電気的に接続されないオフ状態に戻る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本開示の一態様に係るプッシュスイッチは、凹部を有するケースと、前記凹部に配置された固定接点を有する固定接点部材と、前記凹部に配置された可動接点を有する可動接点部材と、前記凹部の第1方向に配置され、前記凹部を覆う保護シートと、前記保護シートに設けられたリブと、を備えている。前記保護シートは、押圧部と、前記ケースに固定された固定部と、前記第1方向から見て、前記押圧部と前記固定部との間に位置する中間部と、を有し、前記保護シートの前記押圧部が前記第1方向から押されると、前記可動接点部材は、前記保護シートからの力によって変形し、前記可動接点部材が変形することによって、前記可動接点が前記固定接点に接触する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るプッシュスイッチの分解斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係るプッシュスイッチの斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係るプッシュスイッチの平面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係るプッシュスイッチの保護シート、押圧体、可動部材及び可動接点部材を外した状態の平面図である。
【
図5A】
図5Aは、本発明の実施形態に係るプッシュスイッチの保護シート及び押圧体を外した状態の平面図である。
【
図5B】
図5Bは、本発明の実施形態に係るプッシュスイッチの保護シート、押圧体及び可動部材を外した状態の平面図である。
【
図6A】
図6Aは、本発明の実施形態に係るプッシュスイッチの非操作時の状態を
図3のX1-X1線断面で示した断面図である。
【
図6B】
図6Bは、本発明の実施形態に係るプッシュスイッチの操作時の状態を
図3のX1-X1線断面で示した断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係るプッシュスイッチのオーバーストロークが発生した時の状態を
図3のX1-X1線断面で示した断面図である。
【
図8】
図8は、変形例1のプッシュスイッチの平面図である。
【
図9】
図9は、変形例2のプッシュスイッチの平面図である。
【
図10A】
図10Aは、比較例のプッシュスイッチが操作された時において、発生した音の周波数と音圧レベルとの関係を示したグラフである。
【
図10B】
図10Bは、変形例1のプッシュスイッチが操作された時において、発生した音の周波数と音圧レベルとの関係を示したグラフである。
【
図10C】
図10Cは、変形例2のプッシュスイッチが操作された時において、発生した音の周波数と音圧レベルとの関係を示したグラフである。
【
図11】
図11は、変形例3のプッシュスイッチの平面図である。
【
図12】
図12は、変形例4のプッシュスイッチの平面図である。
【
図13】
図13は、変形例5のプッシュスイッチの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(1)概要
以下に示す実施形態は、プッシュスイッチに関し、詳しくは、固定接点及び可動接点を覆う保護シートを備えたプッシュスイッチに関する。
【0008】
図1及び
図2に示すように、本実施形態のプッシュスイッチ1は、ケース2、固定接点部材6、可動接点部材4及び保護シート5を備えている。ケース2は、凹部21を有している。固定接点部材6は第1固定接点611を有している。固定接点611は凹部21に配置されている。可動接点部材4は、可動接点42を有している。可動接点42は凹部21に配置されている。保護シート5は、凹部21を覆っている。
【0009】
保護シート5は、固定部51、押圧部52及び中間部53を有している。固定部51は、ケース2に固定されている。中間部53は、押圧部52と固定部51とを互いにつないでいる。可動接点部材4は、押圧部52が押された保護シート5から力を受けることによって、可動接点42の第1固定接点611に対する接触・非接触状態が切り替わるように変形する。保護シート5は、少なくとも一つのリブ54を更に有している。少なくとも一つのリブ54は、中間部53に形成されている。
【0010】
本実施形態のプッシュスイッチ1では、保護シート5の中間部53においてリブ54が形成された部分の剛性を高めて、ばね定数を低くすることができる。このため、リブ54の位置、寸法、形状等を変更することで、保護シート5の固有振動数を調節することができる。したがって、プッシュスイッチ1が操作された際に保護シート5から意図しない周波数の音が発生することを抑制できる。
【0011】
(2)詳細
本実施形態のプッシュスイッチ1は、情報機器、家電機器等の各種の機器の操作部として用いられる。プッシュスイッチ1は、例えば、プリント基板に実装された状態で機器の筐体に内蔵される。この場合、筐体においてプッシュスイッチ1に対応する位置には、例えば、操作釦等で構成された押し子90(
図3参照)が配置され、ユーザによって押し子90が押されることで、プッシュスイッチ1が押し子90を介して間接的に操作される。
【0012】
以下、特に断りがない限り、プッシュスイッチ1が押操作されていない状態について説明する。また、以下では、プッシュスイッチ1の各構成について、
図1に示す方向を用いて説明する。すなわち、保護シート5の厚み方向を上下方向とし、上下方向と直交する一方向を前後方向、上下方向と前後方向との両者と直交する方向を左右方向と規定する。また、上下方向のうち、凹部21の開口方向を上方と規定する。なお、本開示において用いる方向は、プッシュスイッチ1の利用時における方向を規定するものではない。
【0013】
本実施形態に係るプッシュスイッチ1は、
図1に示すように、ケース2、固定接点部材6、端子7、可動接点部材4、可動部材3、押圧体8及び保護シート5を備えている。
【0014】
ケース2は、合成樹脂製であって、電気絶縁性を有している。ケース2は、厚み方向が上下方向と平行な直方体状に形成されている。具体的にケース2は、底部20と、底部20の外周縁部から上方(凹部21の底面から保護シート5に向かう方向)に向かって突出した周壁部22とを有している。
【0015】
本実施形態の底部20は、上から見て長方形状(詳しくは、正方形状)に形成されている。周壁部22は、上から見て長方形状の枠状(詳しくは、正方形状の枠状)に形成されている。周壁部22は、対向する左右一対の壁部222と、対向する前後一対の壁部223とで構成されている。
【0016】
なお、本開示における「長方形状」には、四つの角の全てが等しい厳密な意味での長方形はもちろん、この長方形に類似して略長方形とみなし得る形状も含む。同様に、「正方形状」には、四つの辺の全ての長さが等しく、かつ、四つの角の全てが等しい厳密な意味での四角形はもちろん、この正方形に類似して略正方形とみなし得る形状も含む。
【0017】
ケース2には、上方に開口した凹部21が形成されている。凹部21は、底部20と周壁部22とで囲まれた空間である。底部20の上面は、凹部21の底面を構成している。周壁部22の内周面は、凹部21の内周面を構成している。本実施形態の凹部21は、上から見て長方形状(詳しくは、正方形状)に形成されている。周壁部22の内周面は、上から見て、凹部21の各辺の中央部が外側に張り出し、かつ、四隅の部分が外側に向かって張り出すように湾曲している。
【0018】
図1及び
図4に示すように、ケース2は、固定接点部材6及び端子7を保持している。固定接点部材6及び端子7の各々は、導電性を有する金属板から形成されている。固定接点部材6及び端子7の各々は、少なくとも一部がケース2に埋め込まれることにより、ケース2に保持されている。ケース2、固定接点部材6及び端子7は、例えば、インサート成形により作られる。この場合、インサート品となる固定接点部材6及び端子7は、合成樹脂製のケース2と一体化されることで、ケース2に保持される。
【0019】
本実施形態の固定接点部材6は、固定接点611と、一対の端子部612とを有している。以下、固定接点611を第1固定接点611といい、端子部612を第1端子部612という。
【0020】
固定接点部材6は、底部20に埋め込まれた埋込部60を有している。埋込部60の上面は、凹部21に露出している。第1固定接点611は、埋込部60の上面に形成されており、埋込部60における他の部分よりも上方に突出している。第1固定接点611は、凹部21における前後方向の中間部に位置している。
【0021】
一対の第1端子部612の一方は、ケース2の前方向の面からケース2の外部に向かって突出し、一対の第1端子部612の他方は、ケース2の後方向の面からケース2の外部に向かって突出している。一対の第1端子部612は、第1固定接点611に電気的に接続されている。本実施形態の固定接点部材6は、一対の端子部612を有することで、端子7とは別の端子として機能する。
【0022】
本実施形態の端子7は、固定接点部材6の右方に配置されている。固定接点部材6と端子7とは、電気的に絶縁されている。本実施形態の端子7は、一対の固定接点72と、一対の端子部73とを有している。以下、固定接点72を第2固定接点72といい、端子部73を第2端子部73という。
【0023】
端子7は、底部20に埋め込まれた埋込部70を有している。埋込部70の上面は、凹部21に露出している。一対の第2固定接点72は、埋込部70の上面に形成されており、上方に向かって突出している。一対の第2固定接点72は、凹部21における前後方向の両端部にそれぞれ位置している。各第2固定接点72の上面は、第1固定接点611の上面と、上下方向において同じ位置にある。
【0024】
一対の第2端子部73の一方は、ケース2の前方向の面からケース2の外部に向かって突出し、一対の第2端子部73の他方は、ケース2の後方向の面からケース2の外部に向かって突出している。一対の第2端子部73は、一対の第2固定接点72に電気的に接続されている。一対の第1端子部612及び一対の第2端子部73の各々は、例えば、プリント基板上の導電部材に対して、はんだ付けによって結合される。
【0025】
ケース2の底部20は、台部213を有している。台部213は、底部20の上面に形成されており、上方に向かって突出している。台部213の上面は、第1固定接点611の上面と、上下方向において同じ位置にある。
【0026】
ケース2の凹部21には、
図1及び
図5Bに示す可動接点部材4が配置されている。可動接点部材4は、例えば、金属板から形成されており、弾性及び導電性を有している。本実施形態の可動接点部材4は、支持枠44と、接触片40とを有している。支持枠44は、上から見て長方形状の枠状(詳しくは、正方形状の枠状)に形成されている。支持枠44の下面は、台部213の上面と各第2固定接点72の上面とのそれぞれに接触している。これにより、可動接点部材4は、2つの第2固定接点72に対して、電気的に接続されている。
【0027】
支持枠44の外周縁は、上から見て、ケース2の周壁部22の内周面と合致する形状を有している。支持枠44の外周縁は、周壁部22の内周面に沿って配置されている。これにより、支持枠44の上下方向と交差する方向(水平方向)の移動が規制される。
【0028】
支持枠44の内側には、接触片40が配置されている。接触片40は、支持枠44の一辺を構成する左端部から、支持枠44の内側(右方)に向かって突出している。接触片40は、支持枠44によって片持ちで支持されており、接触片40の先端は自由端となっている。接触片40の基端部(左端部)は、台部213の上面に接触している。本実施形態では、接触片40の先端部(右端部)によって、可動接点42が構成されている。
【0029】
可動接点部材4は、プッシュスイッチ1の操作時において、操作力を受ける受圧部431を有している。ここで、「操作力」とは、プッシュスイッチ1の操作時において、ユーザによってプッシュスイッチ1の外部からプッシュスイッチ1に対して加えられる力である。以下、受圧部431を第1受圧部431という。
【0030】
本実施形態の第1受圧部431は、接触片40における左右方向の中間部に形成されており、上方に向かって突出している。第1受圧部431は、上から見て円形状に形成されている。
【0031】
図6Aに示すプッシュスイッチ1の非操作時には、第1受圧部431に対して、操作力が加わらない。この時、接触片40の基端部よりも先端側(右方)の部分は、接触片40の先端に近い部分ほど上方に位置するように延び、可動接点42は第1固定接点611から上方に離れて位置する。このため、プッシュスイッチ1は、可動接点部材4と固定接点部材6とが電気的に接続されていないオフ状態となる。すなわち、本実施形態のプッシュスイッチ1は、非操作時においてオフ状態となる常開型のスイッチである。
【0032】
図6Bに示すように、プッシュスイッチ1の操作時には、第1受圧部431に対して下向きの操作力が加わる。この場合、接触片40が下方(保護シート5から凹部21の底面に向かう方向)に撓んで、可動接点42が第1固定接点611に接触する。これにより、可動接点部材4と固定接点部材6とが電気的に接続される。すなわち、プッシュスイッチ1は、
図1に示す一対の第1端子部612と一対の第2端子部73とが、第1固定接点611、可動接点42及び一対の第2固定接点72を介して電気的に接続されたオン状態になる。
【0033】
本実施形態のプッシュスイッチ1は、いわゆるオーバーストロークタイプのスイッチである。すなわち、
図6Bに示すように可動接点42が第1固定接点611に接触した状態で第1受圧部431が更に下方に押された時、
図7に示すように第1受圧部431の更なる下方への変位(いわゆるオーバーストローク)が許容される。
【0034】
具体的に本実施形態のプッシュスイッチ1では、第1受圧部431が下方に押されて、可動接点42が第1固定接点611に接触すると、
図6Bに示すように、可動接点部材4の接触片40は、上下方向と直交する方向と平行になる。この状態から、
図7に示すように第1受圧部431が下方に押されると、接触片40において台部213で支持された基端部と第1固定接点611で支持された可動接点42との間の部分が下方に撓み、第1受圧部431の更なる下方への変位が生じる。このため、プッシュスイッチ1の操作時においては、プッシュスイッチ1がオン状態になった時点から、第1受圧部431がその可動範囲の終点にまで移動する時間だけ、操作荷重が急増するタイミングを遅らせることができる。
【0035】
ケース2の凹部21には、
図1及び
図5Aに示す可動部材3が配置されている。可動部材3は、可動接点部材4の上方に位置している。可動部材3は、例えば、金属板から形成されており、弾性を有している。可動部材3は、上から見て長方形状(詳しくは、正方形状)で、かつ、中央部が上方に突出するように湾曲したドーム状(半球面状)に形成されている。可動部材3の四隅の部分は、可動接点部材4の四隅の部分の上面にそれぞれ配置されている。可動部材3の外周縁は、ケース2の周壁部22の内周面に沿って配置されている。これにより、可動部材3の上下方向と交差する方向(水平方向)の移動が規制される。
【0036】
可動部材3は、プッシュスイッチ1の操作時において、操作力を受ける受圧部31を有している。以下、受圧部31を第2受圧部31という。第2受圧部31は、上から見て、第1受圧部431と重なる円形状の部分であり、可動部材3の中央部に位置している。
【0037】
本実施形態の可動部材3は、複数の孔33(ここでは、三つの孔33)を有している。上から見て、複数の孔33は、可動部材3の中心を中心とする同一円周上に等間隔に並んでいる。複数の孔33の各々は、可動部材3を上下方向に貫通している。
【0038】
図6Aに示すプッシュスイッチ1の非操作時には、可動部材3は、可動接点部材4に対して、可動部材3の四隅の部分のみが接触した状態で凹部21に配置される。この時、第2受圧部31は、第1受圧部431に接触しない。
【0039】
プッシュスイッチ1が操作されて、第2受圧部31が下向きの操作力を受けたとき、可動部材3は、
図6Bに示すように、第2受圧部31が下方に移動するように変形する。これにより、可動接点部材4の第1受圧部431が第2受圧部31によって下方に押され、可動接点42が第1固定接点611に接触する。すなわち、本実施形態の第1受圧部431は、第2受圧部31を介してユーザからの操作力を受ける。
【0040】
上述のように、プッシュスイッチ1の操作時において第2受圧部31が下方に向かって押された時、可動部材3は、第2受圧部31を含む中央部が下方に向かって突出するように徐々に変形していく。そして、第2受圧部31に作用する操作力の大きさが所定値を超えると、可動部材3は第2受圧部31が下方に凸となるように湾曲したドーム状に勢いよく変形する。このとき、第2受圧部31に作用する可動部材3の弾性力は、急激に変化する。これにより、プッシュスイッチ1を操作するユーザに対して、可動部材3の変形に伴う節度感(クリック感)が与えられる。
【0041】
図7に示すように、オーバーストロークが生じた状態では、反り返った接触片40の先端部が、可動部材3の複数の孔33のうちの一つに挿入される。これにより、オーバーストロークが生じた状態において、接触片40の先端部と可動部材3とが接触することが回避される。
【0042】
図6B又は
図7に示すように、可動部材3が下方に凸となるドーム状に変形した状態で、第2受圧部31に作用する操作力が無くなると、可動部材3は、
図6Aに示すように、自身の弾性力によって中央部が上方に凸となるドーム状に復元する。これにより、可動接点42が第1固定接点611から離れて、プッシュスイッチ1は、オフ状態となる。また、このように可動部材3が復元した時、第2受圧部31に作用する可動部材3の弾性力は急激に変化する。これにより、プッシュスイッチ1の操作を解除したユーザに対して、可動部材3の変形に伴う節度感が与えられる。
【0043】
ケース2の周壁部22には、
図1及び
図2に示す保護シート5が固定されている。本実施形態の保護シート5は、可撓性を有する合成樹脂製のシートである。具体的に保護シート5は、耐熱性及び電気絶縁性を有する樹脂フィルムである。保護シート5は、凹部21を覆うように、ケース2の周壁部22の上面に固定されている。保護シート5は、凹部21の開口と、凹部21に配置された、可動部材3、可動接点部材4、固定接点部材6の一部及び端子7の一部を覆っている。保護シート5は、塵埃等が凹部21へ浸入することを防止する。これにより、保護シート5は、凹部21に配置された、可動接点42、第1固定接点611、第2固定接点72等を保護する。
【0044】
図3に示すように、上から見て、本実施形態の保護シート5の形状は、非円形であり、左右対称であり、かつ、前後対称である。保護シート5の外周形状は、ケース2の周壁部22の外周形状と、大きさ及び形状が略同じである。すなわち、保護シート5は、上から見て、長方形状(詳しくは正方形状)に形成されている。
【0045】
保護シート5は、固定部51、押圧部52及び中間部53を有している。固定部51は、保護シート5において、ケース2に固定される部分である。本実施形態の固定部51は、保護シート5の外周部を構成する、長方形枠状(詳しくは正方形枠状)の部分である。本実施形態では、固定部51が、ケース2の周壁部22の上面にレーザで溶着されており、これにより、保護シート5はケース2に対して固定されている。
【0046】
押圧部52は、プッシュスイッチ1を操作するユーザによって押される部分であり、かつ、プッシュスイッチ1の操作時において、第2受圧部31を介して第1受圧部431に操作力を伝える部分である。つまり、押圧部52は、可動接点部材4を押す部分である。本実施形態の押圧部52は、保護シート5の中央部に位置し、上から見て円形状である。上から見て、押圧部52の中心は、保護シート5の中心に位置している。
【0047】
本実施形態の押圧部52は、
図6Aに示すように、保護シート5における押圧部52の周囲部分よりも上方に突出している。プッシュスイッチ1の操作時における押圧部52は、ユーザにより、例えば、押圧部52上に配置された押し子90(
図3参照)を介して間接的に押される。
【0048】
図1~
図3に示すように、中間部53は、固定部51と押圧部52との間に位置しており、押圧部52とこの周囲に配置された固定部51とをつないでいる。本実施形態の中間部53は、保護シート5のうち、固定部51と押圧部52とを除いた部分である。すなわち、保護シート5において枠状の固定部51に囲まれた部分のうち、押圧部52以外の全ての部分が、中間部53である。
【0049】
本実施形態では、保護シート5の押圧部52と可動部材3の第2受圧部31との間に、
図1及び
図6Aに示す押圧体8が配置されている。押圧体8は、合成樹脂製であって、電気絶縁性を有している。本実施形態の押圧体8は、円盤状に形成されており、上から見た形状及び大きさが、保護シート5の押圧部52と同じである。すなわち、押圧部52は、上から見て、保護シート5における押圧体8と重なる部分のみで構成されている。押圧体8の上面は、例えば、レーザで溶着することによって、押圧部52の下面に固定される。
【0050】
押圧体8は、保護シート5の押圧部52に加わる操作力を、可動部材3の第2受圧部31に伝える。すなわち、本実施形態では、保護シート5の押圧部52に加わった操作力は、押圧体8及び可動部材3を介して、可動接点部材4に間接的に伝えられる。
【0051】
プッシュスイッチ1の操作時において、押圧部52が下方に向かって押されたとき、第2受圧部31は、押圧部52に固定された押圧体8によって下方に押される。これにより、可動接点部材4は、前述したように、第2受圧部31によって第1受圧部431が下方に押されて、可動接点42が第1固定接点611に接触する。すなわち、可動接点部材4は、押圧部52が押された保護シート5から力を受けることによって、可動接点42の第1固定接点611に対する接触・非接触状態が切り替わるように変形する。
【0052】
図1に示すように、本実施形態のケース2の周壁部22は、溝221を有している。溝221は、周壁部22の上面に形成されている。溝221の一方の端部は周壁部22の外縁にまで延びており、溝221の他方の端部は周壁部22の内縁にまで伸びている。
【0053】
周壁部22の上面において、溝221を除く部分は、保護シート5の固定部51が固定される固定面220を構成している。固定面220は、上下方向に直交する平面(水平面)である。
【0054】
本実施形態の保護シート5の固定部51は、レーザによる溶着により、固定面220(壁部222の上面、および壁部223の上面)に固定されている。なお、溝221が形成されている領域においては、固定部51は、ケース2の上面に固定できない。すなわち、固定部51は、ケース2の上面の溝221が形成されている領域を除く周縁領域を一周する領域に、保護シート5の固定部51が固定されている。
【0055】
凹部21と保護シート5とで囲まれた、プッシュスイッチ1の内部空間は、溝221を介して、プッシュスイッチ1の外部空間に通じている。このため、
図6Bに示すように、プッシュスイッチ1の操作時において保護シート5の押圧部52が下方に押されたとき、プッシュスイッチ1の内部空間に存在する空気は、溝221を通ってプッシュスイッチ1の外部空間に排出される。これにより、プッシュスイッチ1の内部空間の空気が圧縮されることを要因とした、操作感触の劣化が抑制される。また、比較的小さな操作力でプッシュスイッチ1を操作することが可能となる。また、プッシュスイッチ1の操作後の復帰動作時(可動部材3の復元時)には、プッシュスイッチ1の外部空間に存在する空気が溝221を通って凹部21内に流入する。このため、プッシュスイッチ1の復帰動作も良好になる。
【0056】
図1~
図3に示すように、本実施形態の保護シート5は、少なくとも一つのリブ54を有している。ここでは、複数のリブ54を有している。複数のリブ54は、保護シート5の中間部53に形成されている。リブ54は、
図2に示すように、保護シート5におけるリブ54の周囲部分よりも上に向かって突出している。
【0057】
図3に示すように、上から見て押圧部52の外周は円形であり、本実施形態では、押圧部52の径方向を径方向D1とし、押圧部の外周に沿った方向を周方向D2として定義する。なお、
図3には、径方向D1は、左右方向に図示しているが、左右方向に限らず、押圧部の外周の直径の方向を全て径方向D1と呼ぶ。つまり、押圧部52の中心を通る方向を径方向D1と呼ぶ。
【0058】
上から見て押圧部52と同心円である仮想円91を規定したとき、仮想円91の径方向は、径方向D1と一致し、仮想円91の周方向は、周方向D2と一致している。
【0059】
本実施形態の複数のリブ54は、径方向D1に間隔をあけて並ぶ複数のリブ54を含む。例えば、
図3に示すリブ54aとリブ54bは、径方向D1aに間隔をあけて並んでいる。ここでは、リブ54aとリブ54bをリブ組551と表す。
【0060】
また、本実施形態の複数のリブ54は、周方向D2に間隔をあけて並んだ複数のリブ54を含んでいる。例えば、
図3に示すリブ54aとリブ54cは、周方向D2aに間隔をあけて並んでいる。リブ54aとリブ54cは押圧部52を中心とする仮想円91a上に間隔をあけて並ぶように、保護シート5に設けられている。また、リブ54bとリブ54dは、周方向D2に間隔をあけて並んでいる。リブ54bとリブ54dは押圧部52を中心とする仮想円91b上に間隔をあけて並ぶように、保護シート5に設けられている。
【0061】
つまり、本実施形態の保護シート5は、仮想円91a上に間隔をあけて並んで設けられた複数のリブ54(例えば、リブ54a、リブ54c)と、仮想円91b上に間隔をあけて並んで設けられた複数のリブ54(例えば、リブ54b、リブ54d)を有する。
【0062】
ここでは、径方向D1に間隔をあけて配置された複数のリブ54をリブ組551と表す。例えば、
図3に示す径方向D1aに並んで配置されているリブ54aとリブ54bが、1つのリブ組551を構成している。よって本実施の形態では、4つのリブ組551が、周方向D2に沿って間隔をあけて、保護シート5に設けられている。
【0063】
また、それぞれのリブ組551は、同じ数のリブ54で構成されている。ここでは、それぞれのリブ組551は、径方向D1に並んだ二つのリブ54で構成されている。
【0064】
リブ54は、上から見て、方形状の保護シート5の対角線92を跨いで配置されている。本実施形態では、保護シート5において、上から見て、押圧部52から方形状の保護シート5の辺に対して垂直に延び、かつ、押圧部52を通る仮想直線93と重なる部分には、リブ54が形成されていない。なお、
図3では保護シート5が正方形に見えるが、実際は長方形であってもよい。
【0065】
また、本実施形態の複数のリブ54は、上から見て、凹部21(
図1参照)の内周面よりも内側に位置している。このため、プッシュスイッチ1の操作時において、保護シート5における複数のリブ54が形成された部分が、凹部21の内周面に接触して保護シート5の変形が阻害されることが抑制される。したがって、プッシュスイッチ1の良好な操作感覚が得られる。
【0066】
また、本実施形態の複数のリブ54は、上から見て、押し子90(
図3参照)よりも外側に配置される。このため、複数のリブ54が押し子90に押され難くなり、操作感覚が阻害され難い。
【0067】
本実施形態では、隣り合うリブ54aとリブ54cの周方向D2aに沿った間隔I(
図3参照)が、上から見たときの押圧部52の最大の長さL2よりも大きくなっている。本実施形態において、押圧部52の最大の長さL2は、円形の押圧部52の直径である。
【0068】
本実施の形態におけるリブ54のそれぞれは、中間部53と一体に形成されている。リブ54のそれぞれは、中間部53の上面に形成されており、上方に向かって突出している。中間部53においてリブ54が形成された部分の厚みは、他の部分よりも大きくなっている。本実施形態の保護シート5は、リブ54が形成されていない部分の厚みは、一定である。
【0069】
本実施形態では、径方向D1において同位置に配された複数のリブ54は、形状及び大きさが互いに同じである。つまり、仮想の同一円上に配された複数のリブ54は、形状及び大きさが互いに同じである。
図3に示すように、例えば、仮想円91aに配されたリブ54aとリブ54cは、形状及び大きさが互いに同じである。仮想円91bに配されたリブ54bとリブ54dは、形状及び大きさが互いに同じである。
【0070】
また、リブ54のそれぞれの形状は、当該リブ54を通過する対角線92を中心とする線対称形状である。具体的にリブ54は、上から見て、押圧部52の中心(保護シート5の中心)を中心とした円弧状に形成されている。すなわち、各リブ54は、上から見て周方向D2に延びている。言い換えれば、各リブ54は、径方向D1と交差する方向に延びている。
【0071】
リブ組551を構成する複数のリブ54(すなわち、径方向D1に並んだ複数のリブ54)は、上から見て、押圧部52から離れた(保護シート5の外周縁に近い)リブ54ほど、リブ54の長さ(周方向D2における寸法)が長くなっている。ただし、複数のリブ54は、周方向D2に互いに隣り合うリブ54の間隔が全て同じになるように配置されている。つまり、同一の仮想円(仮想円91aなど)に配置されたリブ54は、周方向D2に互いに隣り合うリブ54の間隔が全て同じになるように配置されている。一例を用いて説明すると、同一の仮想円91aに配置された4個のリブ54(リブ54a、リブ54cなど)は、周方向D2に互いに隣り合うリブ54の間隔Iが全て同じになるように配置されている。
【0072】
本実施形態のプッシュスイッチ1は、保護シート5におけるリブ54の位置、数、寸法、形状等を変更することで、保護シート5の固有振動数を調節することができる。このため、プッシュスイッチ1の操作時において、保護シート5から意図しない周波数の音が発生することを抑制できる。例えば、本実施形態のように保護シート5の中間部53において、対角線92と重なり、押圧部52と固定部51との間の距離Lが最も長くなる部分に、リブ54を形成することで、保護シート5の固有振動数を小さくすることができる。この場合、特に、周波数が10kHz程度で、ユーザにとって耳障りになりやすい音の発生を抑制できる。
【0073】
また、保護シート5にリブ54を形成することで、保護シート5の剛性が高まり、プッシュスイッチ1の操作時における保護シート5の音圧を下げて静音化を図ることができる。特に、本実施形態のように、保護シート5が方形状で、押圧部52が保護シート5の中央部に位置し、かつ、固定部51が保護シート5の周縁部に位置する場合、保護シート5にリブ54を形成することは静音化において特に有効である。すなわち、本実施形態の保護シート5では、押圧部52と固定部51との間の距離Lが、周方向D2に沿って変化する。このため、プッシュスイッチ1の操作時において押圧部52が下方に押されたとき、保護シート5の各部にかかる応力(張力)は、周方向D2に沿って変化する。本実施形態では、保護シート5において、対角線92と重なる部分における距離Lが最も長くなり、仮想直線93と重なる部分における距離Lが最も短くなる。このため、特に保護シート5において、対角線92と重なる部分と、仮想直線93と重なる部分との間では、応力差が大きくなりやすく、この応力差を要因とした保護シート5の座屈が生じ、音が発生する可能性がある。ここで、本実施形態の保護シート5は、対角線92と重なる部分にリブ54が形成されている。このため、保護シート5における対角線92と重なる部分における振動を抑制して、前記座屈の発生を抑えることができる。すなわち、本実施形態では、保護シート5において振動しやすい部分(リブ54が形成されていない部分)における距離Lの最大値Lmaxと距離Lの最小値Lminとの差を小さくすることができ、これにより、前記座屈の発生を抑えることができる。したがって、保護シート5における音の発生を、効果的に抑制することができる。
【0074】
(3)変形例
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0075】
(3-1)変形例1
図8に示す変形例1のプッシュスイッチ1Aは、上記実施形態の複数のリブ54に代えて、複数のリブ54Aを備えている。プッシュスイッチ1Aは、上記実施形態のプッシュスイッチ1と同様の構成を有している。このため、以下では、プッシュスイッチ1Aについて、プッシュスイッチ1と異なる点のみを説明し、重複する点については説明を省略する。
【0076】
プッシュスイッチ1Aは、上記実施形態の保護シート5に代えて、保護シート5Aを備えている。保護シート5Aは、保護シート5と同様の構成を有している。ただし、保護シート5Aは、上記実施形態の中間部53に代えて、中間部53Aを有している。中間部53Aは、上記実施形態の中間部53と同様の構成を有しており、押圧部52と固定部51とをつないでいる。ただし、本変形例の中間部53Aには、複数のリブ54に代えて、複数のリブ54Aが形成されている。
【0077】
本変形例の保護シート5Aは、径方向D1に間隔をあけて並んだ複数のリブ54Aで構成されたリブ組55Aを、周方向D2に間隔をあけて複数組有している。リブ組55Aの各々は、同数のリブ54Aを有している。
図8に示す変形例では、リブ組55Aは、3つのリブ54Aで構成されている。本変形例では、3つのリブ54Aで構成されるリブ組55Aが4個、保護シート5Aに設けられている。
【0078】
リブ54Aのそれぞれは、上から見て、仮想直線93上に位置している。リブ54Aは、保護シート5Aにおいて対角線92と重なる部分には、形成されていない。
【0079】
リブ54Aは、中間部53Aの上面に形成されており、上方に向かって突出している。本変形例では、径方向D1において同位置に配された複数のリブ54Aは、形状及び大きさが互いに同じである。つまり、同一の仮想円上に配置される複数のリブ54Aは、形状及び大きさが互いに同じである。
【0080】
リブ54Aの形状は、上から見て、押圧部52の中心から当該リブ54Aを通過して方形状の保護シート5Aの辺に直交する仮想直線93を中心にして、線対称形状である。具体的に各リブ54Aは、上から見て、径方向D1に直交する直線状に形成されている。
【0081】
各リブ組55Aを構成する複数のリブ54A(すなわち、径方向D1に並んだ複数のリブ54A)は、上から見て、押圧部52から離れたリブ54Aほど、リブ54Aの長さL1(上から見て、径方向D1と直交する方向における寸法)が長くなっている。
【0082】
本変形例では、保護シート5Aの中間部53Aにおいて、仮想直線93と重なり、押圧部52と固定部51との間の距離Lが短くなる部分にリブ54Aを形成することで、保護シート5Aの固有振動数を大きくし、周波数の小さい音の発生を抑制できる。
【0083】
(3-2)変形例2
図9に示す変形例2のプッシュスイッチ1Bは、上記実施形態の複数のリブ54に代えて、複数のリブ54Bを備えている。プッシュスイッチ1Bは、上記実施形態のプッシュスイッチ1と同様の構成を有している。このため、以下では、プッシュスイッチ1Bについて、プッシュスイッチ1と異なる点のみを説明し、重複する点については説明を省略する。
【0084】
プッシュスイッチ1Bは、上記実施形態の保護シート5に代えて、保護シート5Bを備えている。保護シート5Bは、保護シート5と同様の構成を有している。ただし、保護シート5Bは、上記実施形態の中間部53に代えて、中間部53Bを有している。中間部53Bは、上記実施形態の中間部53と同様の構成を有しており、押圧部52と固定部51とをつないでいる。ただし、中間部53Bには、複数のリブ54に代えて、複数のリブ54Bが形成されている。
【0085】
本変形例の保護シート5Bは、径方向D1に間隔をあけて並んだ複数のリブ54Bで構成されたリブ組55Bを、周方向D2に間隔をあけて複数組有している。リブ組55Bのそれぞれは、同数のリブ54Bを有している。
図9に示す変形例では、リブ組55Bは、3つのリブ54Bで構成されている。本変形例では、3つのリブ54Bで構成されるリブ組55Bが4個、保護シート5Aに設けられている。
【0086】
各リブ54Bは、上から見て、対角線92上に位置している。各リブ54Bは、保護シート5Bの上面に形成されており、上方に向かって突出している。本変形例の複数のリブ54Bの各々は、形状及び大きさが互いに同じである。
【0087】
各リブ54Bの形状は、上から見て、当該リブ54Bを通過する対角線92を中心にして、線対称形状である。具体的に各リブ54Bは、上から見て、径方向D1に直交する方向に延びた直線状に形成されている。
【0088】
各リブ組55Bを構成する複数のリブ54B(径方向D1に並んだ複数のリブ54B)は、リブ54Bの長さL1(上から見て、径方向D1と直交する方向における寸法)が同じである。ただし、複数のリブ54Bは、上から見て、押圧部52から離れたリブ54Bほど、周方向D2に沿って隣り合うリブ54Bの間隔Iが大きくなるように配置されている。
【0089】
(3-2)変形例1、2と比較例との比較
図10Bは、変形例1のプッシュスイッチ1Aが操作された時において、発生した音の周波数と音圧レベルとの関係を示したグラフである。
図10Cは、変形例2のプッシュスイッチ1Bが操作された時において、発生した音の周波数と音圧レベルとの関係を示したグラフである。
図10Aは、比較例のプッシュスイッチが操作された時において、発生した音の周波数と音圧レベルとの関係を示したグラフである。なお、比較例のプッシュスイッチは、変形例1のプッシュスイッチ1Aと、保護シート5Aにリブ54Aが形成されていない点だけが異なる。
【0090】
図10A及び
図10Cから明らかなように、変形例2のプッシュスイッチ1Bは、比較例のプッシュスイッチと比較して、ピーク周波数(音圧レベルが最大となる周波数)が小さくなる。また、
図10A~
図10Cから明らかなように、変形例1,2のプッシュスイッチ1A,1Bは、比較例のプッシュスイッチと比較して、最大の音圧レベルが小さくなり、静音化が図られる。
【0091】
(3-3)変形例3
図11に示す変形例3のプッシュスイッチ1Cは、上記実施形態の複数のリブ54に代えて、複数のリブ54Cを備えている。プッシュスイッチ1Cは、上記実施形態のプッシュスイッチ1と同様の構成を有している。このため、以下では、プッシュスイッチ1Cについて、プッシュスイッチ1と異なる点のみを説明し、重複する点については説明を省略する。
【0092】
プッシュスイッチ1Cは、上記実施形態の保護シート5に代えて、保護シート5Cを備えている。保護シート5Cは、保護シート5と同様の構成を有している。ただし、保護シート5Cは、上記実施形態の中間部53に代えて、中間部53Cを有している。中間部53Cは、上記実施形態の中間部53と同様の構成を有しており、押圧部52と固定部51とをつないでいる。ただし、中間部53Cには、複数のリブ54に代えて、複数のリブ54Cが形成されている。
【0093】
本変形例の保護シート5Cは、径方向D1に間隔をあけて並んだ複数のリブ54Cで構成されたリブ組55Cを、周方向D2に間隔をあけて複数組有している。リブ組55Cのそれぞれは、同数のリブ54Cを有している。
図11に示す変形例では、リブ組55Cは、3つのリブ54Cで構成されている。本変形例では、3つのリブ54Cで構成されるリブ組55Cが4個、保護シート5Aに設けられている。
【0094】
各リブ54Cは、上から見て、対角線92上に位置している。各リブ54Cは、保護シート5Aの上面に形成されており、上方に向かって突出している。本変形例では、径方向D1において同位置に配された複数のリブ54Cは、形状及び大きさが互いに同じである。
【0095】
各リブ54Cの形状は、上から見て、当該リブ54Cを通過する対角線92を中心にして、線対称形状である。具体的に各リブ54Cは、上から見て、径方向D1に直交する方向に延びた直線状に形成されている。
【0096】
各リブ組55Cを構成する複数のリブ54C(径方向D1に並んだ複数のリブ54C)は、上から見て、押圧部52から離れたリブ54Cほど、リブ54Cの長さL1(対角線92に対して直交する方向における寸法)が短くなっている。
【0097】
(3-4)変形例4
図12に示す変形例4のプッシュスイッチ1Dは、上記実施形態の複数のリブ54に代えて、複数のリブ54Dを備えている。プッシュスイッチ1Dは、上記実施形態のプッシュスイッチ1と同様の構成を有している。このため、以下では、プッシュスイッチ1Dについて、プッシュスイッチ1と異なる点のみを説明し、重複する点については説明を省略する。
【0098】
プッシュスイッチ1Dは、上記実施形態の保護シート5に代えて、保護シート5Dを備えている。保護シート5Dは、保護シート5と同様の構成を有している。ただし、保護シート5Dは、上記実施形態の中間部53に代えて、中間部53Dを有している。中間部53Dは、上記実施形態の中間部53と同様の構成を有しており、押圧部52と固定部51とをつないでいる。ただし、本変形例の中間部53Dには、複数のリブ54に代えて、複数のリブ54Dが形成されている。
【0099】
複数のリブ54Dは、上記実施形態の複数のリブ54と同様の構成を有している。ただし、複数のリブ54Dの各々は、上記実施形態のリブ54(
図3参照)と比較して、リブ54Dの長さL1(周方向D2に沿った寸法)が長い。
【0100】
本変形例では、周方向に隣り合うリブ54Dの周方向D2に沿った間隔Iが、上から見たときの押圧部52の最大の長さL2(押圧部52の直径)よりも小さくなっている。このため、保護シート5において振動しやすい部分(リブ54Dが形成されていない部分)における距離Lの最大値Lmaxと距離Lの最小値Lminとの差を小さくすることができ、これにより、保護シート5における音の発生を一層抑制することができる。
【0101】
(3-5)変形例5
図13に示す変形例4のプッシュスイッチ1Eは、上記実施形態の複数のリブ54に代えて、複数のリブ54Eを備えている。プッシュスイッチ1Eは、上記実施形態のプッシュスイッチ1と同様の構成を有している。このため、以下では、プッシュスイッチ1Eについて、プッシュスイッチ1と異なる点のみを説明し、重複する点については説明を省略する。
【0102】
本変形例のプッシュスイッチ1Eは、上記実施形態の保護シート5に代えて、保護シート5Eを備えている。保護シート5Eは、保護シート5と同様の構成を有している。ただし、保護シート5Eは、上記実施形態の中間部53に代えて、中間部53Eを有している。中間部53Eは、上記実施形態の中間部53と同様の構成を有しており、押圧部52と固定部51とをつないでいる。ただし、中間部53Eには、複数のリブ54が形成されていない。
【0103】
複数のリブ54Eは、保護シート5Eと別部材であり、保護シート5Eと一体に形成されていない。複数のリブ54Eの各々は、保護シート5Eの中間部53Eに取り付けられている。複数のリブ54Eの各々は、中間部53Eの上面に取り付けられており、中間部53Eから上方に向かって突出している。
図13に示す変形例では、リブ組55Eは、2つのリブ54Eで構成されている。本変形例では、2つのリブ54Eで構成されるリブ組54Eが4個、保護シート5Eに設けられている。
【0104】
なお、本実施の形態では、複数のリブ54Eは、保護シート5Eと別部材であり、上述した実施の形態では、複数のリブ54(54A~54D)は、保護シート5(5A~5D)と別部材である。
【0105】
リブ54Eは、例えば、中間部53Eに粘着剤又は接着剤を介して取り付けられた部材であり、保護シート5E(中間部53E)とは異なる材料から形成される。本変形例の複数のリブ54Eは、保護シート5Eと別部材である点を除き、上記実施形態の複数のリブ54と同様の構成を有している。
【0106】
言い換えれば、いずれの実施の形態においても、保護シート5(5A~5E)に複数のリブ55(55A~55E)が設けられている。
【0107】
本変形例のプッシュスイッチ1Eでは、各リブ54Eの保護シート5Eに対する取付位置を変更するだけで、各リブ54Eの位置を容易に変更することができる。また、各リブ54Eの材質を変更して、各リブ54Eの剛性(ばね定数)、内部損失等を容易に変更することができる。このため、保護シート5の固有振動数を容易に調節することができる。
【0108】
(4)他の変形例
なお、上述した実施形態及び各変形例のプッシュスイッチ1~1Eは、適宜設計変更可能である。
【0109】
例えば、各リブ54~54Eの形状及び大きさは、限定されない。例えば、上記実施形態の円弧状のリブ54の曲率半径は、互いに異なっていてもよい。また、上記実施形態のリブ54及び変形例5のリブ54Eは、上から見て、径方向D1に交差する直線状であってもよい。また、変形例1~3の各リブ54A~54Cの上から見た形状は、径方向D1と90度を除く角度で交差する直線状であってもよい。また、変形例1~3の各リブ54A~54Cの上から見た形状は、押圧部52の中心を中心とした円弧状であってもよい。また、複数のリブ54~54Eの各々の幅(径方向D1における寸法)は、互いに異なっていてもよい。
【0110】
また、上記実施形態及び変形例1~4の各リブ54~54Dは、保護シート5~5Dの下面に形成されてもよい。また、変形例5の各リブ54Eは、中間部53Eの下面に取り付けられてもよい。言い換えればリブ54~54Eは、保護シート5~5Eの下面に設けられてもよい。
【0111】
また、変形例5の各リブ54Eは、保護シート5Eと別部材であれば、保護シート5Eと同じ材料から形成されてもよい。また、変形例5の各リブ54Eは、中間部53Eに貼り付けられた粘着剤又は接着剤であってもよい。
【0112】
また、変形例4において、周方向に隣り合うリブ54Dの周方向に沿った間隔Iは、押圧部52の最大の長さL2と同じであってもよい。すなわち、間隔Iは、押圧部52の最大の長さL2以下であればよい。
【0113】
また、保護シート5~5Eが備えるリブ54~54Eの数は、限定されず、例えば、リブ54~54Eは、保護シート5~5Eに一つだけ形成されてもよい。
【0114】
また、保護シート5~5Eの固定部51は、ヒータを用いた溶着、超音波溶着、振動溶着等、レーザ溶着以外の溶着によって、ケース2の周壁部22の上面に固定されてもよいし、粘着剤又は接着剤等を介してケース2の周壁部22の上面に固定されてもよい。
【0115】
また、保護シート5~5Eの押圧部52は、押し子90等の他の部材を介さず、ユーザによって直接押操作されてもよい。また、押圧部52の形状は、上から見て円形状に限られず、楕円形状、多角形状等であってもよい。
【0116】
また、保護シート5~5Eは、凹部21の少なくとも一部を覆っていればよく、凹部21の全体を覆っていることは、プッシュスイッチ1~1Eに必須の構成ではない。例えば保護シート5~5Eの一部に、孔が形成されていてもよい。
【0117】
また、ケース2の周壁部22の上面には、溝221が形成されなくてもよい。この場合、例えば、周壁部22の上面は全体にわたって平面となり、保護シート5~5Eの外周縁部は、保護シート5~5Eの周方向の全長にわたって周壁部22の上面に固定される。
【0118】
また、押圧体8は、例えば、保護シート5~5Eの押圧部52の上方に配置されていてもよい。この場合、押圧体8の下面が保護シート5~5Eの上面に固定され、押圧体8に作用する操作力が、押圧部52を介して第2受圧部31に伝達される。
【0119】
また、プッシュスイッチ1~1Eは、可動部材3を備えなくてもよい。この場合、保護シート5~5Eの押圧部52に加わった操作力は、例えば、押圧体8を介して可動接点部材4の第1受圧部431に伝えられる。また、プッシュスイッチ1~1Eは、押圧体8を備えなくてもよい。この場合、保護シート5~5Eの押圧部52に加わった操作力は、可動部材3の第2受圧部31に直接伝えられる。
【0120】
また、ケース2の凹部21の開口形状は、略正方形状に限られず、例えば長方形状、円形状、又は長円形状等であってもよい。
【0121】
また、プッシュスイッチ1~1Eは、第1接点及び第2接点を有する2段動作タイプであってもよい。2段動作タイプのプッシュスイッチ1~1Eは、押圧部52が押されるとまず第1接点がオンし、第1接点がオンした状態から更に押圧部52が押されることによって第2接点がオンする。また、プッシュスイッチ1は、常開型に限られず、操作時にのみオフになる、常閉型であってもよい。また、プッシュスイッチ1~1Eは、オーバーストロークタイプ以外のスイッチであってもよい。
【0122】
また、プッシュスイッチ1~1Eは、機器の操作部に用いられて人に操作される構成に限られず、例えば、機器の検知部等に用いられてもよい。プッシュスイッチ1~1Eが機器の検知部に用いられる場合、プッシュスイッチ1~1Eは、例えばリミットスイッチとしてアクチュエータ等の機械部品の位置検出に用いられる。
【0123】
なお、本開示の多くは正方形の保護シート5で説明したが、必ずしも正方形である必要はなく、
図1に示すように長方形の保護シート5が用いられてもよい。
【0124】
(5)まとめ
以上の説明から明らかなように、本開示のプッシュスイッチ1(1A~1E)は、凹部21を有するケース2と、凹部21に配置された第1固定接点611を有する固定接点部材6と、凹部21に配置された可動接点42を有する可動接点部材4と、凹部21の第1方向(上方)に配置され、凹部21を覆う保護シート5(5A~5E)と、保護シート5(5A~5E)に設けられたリブ54(54A~54E)と、を備える。
【0125】
保護シート5(5A~5E)は、押圧部52と、ケース2に固定された固定部51と、第1方向(上方)から見て、押圧部52と固定部51との間に位置する中間部53(53A~53E)と、を有する。
【0126】
保護シート5(5A~5E)の押圧部52が第1方向(上方)から押されると、可動接点部材4は、保護シート5(5A~5E)からの力によって変形し、可動接点部材4が変形することによって、可動接点42が第1固定接点611に接触する。
【0127】
この構成により、保護シート5(5A~5E)の中間部53(53A~53E)においてリブ54(54A~54E)が形成された部分の剛性を部分的に高めて、ばね定数を低くすることができる。さらに、リブ54(54A~54E)の位置、数、寸法、形状等を変更することで、保護シート5(5A~5E)の固有振動数を調節して、保護シート5(5A~5E)から意図しない周波数の音が発生することを抑制できる。
【0128】
また、本開示のプッシュスイッチ1(1A~1E)は、保護シート5(5A~5E)とリブ54(54A~54E)が一体形成されていてもよい。
【0129】
また、本開示のプッシュスイッチ1(1A~1E)は、リブ54(54A~54E)は、保護シート5(5A~5E)の中間部53(53A~53E)に設けられている。
【0130】
この構成により、保護シート5(5A~5E)の中間部53(53A~53E)においてリブ54(54A~54E)が取り付けられた部分の剛性を部分的に高めて、ばね定数を低くすることができる。このため、リブ54(54A~54E)の位置、数、寸法、形状、材質等を変更することで、保護シート5(5A~5E)の固有振動数を調節して、保護シート5(5A~5E)及びリブ54(54A~54E)から意図しない周波数の音が発生することを抑制できる。
【0131】
なお、本開示のプッシュスイッチ1においては、リブ54(54A~54E)と保護シート5(5A~5E)が一体形成されていない場合、一体形成されている場合と比べてリブ54(54A~54E)の保護シート5(5A~5E)に対する取付位置を変更するだけで、リブ54(54A~54E)の位置を容易に変更することができる。
【0132】
例えば、本開示のプッシュスイッチ1においては、複数のリブ54は、第1方向(上方)から見て押圧部52を中心とする第1仮想円91a上に間隔をあけて隣り合う2つのリブ54a、54cを有する第1リブ組552を含む(
図3参照)。
【0133】
例えば、本開示のプッシュスイッチ1においては、第1方向(上方)から見て、第1リブ組552が有する2つのリブ54a、54cの第1仮想円91aの周方向に沿った間隔Iは、押圧部52の最大の長さL2以下である(
図3参照)。
【0134】
例えば、本開示のプッシュスイッチ1においては、複数のリブ54は、第1方向(上方)から見て押圧部52から外側に向かう方向に間隔をあけて並んでいる2つのリブ54a、54bを有する第2リブ組551を含む(
図3参照)。
【0135】
例えば、本開示のプッシュスイッチ1においては、第2リブ組551が有する2つのリブ54a、54bのうち一方のリブ54aは、第1仮想円91aに沿って延びており、第2リブ組551が有する2つのリブ54a、54bのうち他方のリブ54bは、第1仮想円91aと同心でかつ直径が第1仮想円91aより長い第2仮想円91bに沿って延びている(
図3参照)。
【0136】
例えば、本開示のプッシュスイッチ1Aにおいては、リブ組55Aが有する少なくとも2つのリブ54Aのそれぞれは、押圧部52から外側に向かう方向に対して垂直方向に延びている(
図8参照)。
【0137】
例えば、本開示のプッシュスイッチ1においては、第1方向(上方)から見て、第2リブ組551が有する2つのリブ54a、54bの長さは異なる(
図3参照)。
【0138】
例えば、本開示のプッシュスイッチ1Bにおいては、第1方向(上方)から見て、リブ組55Bが有する少なくとも2つのリブ54Bの長さは同じである(
図9参照)。
【0139】
例えば、本開示のプッシュスイッチ1Cにおいては、第1方向(上方)から見て、リブ組55Cが有する2つのリブ54Cのうち、押圧部52に近いリブ54Cより押圧部52に遠いリブ54Cの方が短い(
図11参照)。
【0140】
例えば、本開示のプッシュスイッチ1Bにおいては、保護シート5Bは、第1方向(上方)から見て、方形状のシートであり、押圧部52は、保護シート5Bの中央部に位置し、固定部51は、保護シート5Bの外周部に位置し、リブ54Bは、第1方向(上方)から見て、方形状の保護シート5Bの対角線92上に位置している(
図9参照)。
【0141】
例えば、本開示のプッシュスイッチ1Aにおいては、保護シート5Aは、第1方向(上方)から見て、方形状のシートであり、押圧部52は、保護シート5Aの中央部に位置し、固定部51は、保護シート5Aの外周部に位置し、リブ54Aは、第1方向(上方)から見て、押圧部52から保護シート5Aの辺に対して垂直に延びた仮想直線93上に位置している(
図8参照)。
【0142】
本開示のプッシュスイッチ1(1A~1E)においては、リブ54(54A~54E)は、第1方向(上方)から見て、凹部21の内周面よりも内側に位置している。
【0143】
本開示のプッシュスイッチ1(1A~1E)においては、押圧部52は、押し子90によって押される部分であり、リブ54(54A~54E)は、第1方向(上方)から見て、押し子90よりも外側に位置する(
図3参照)。
【符号の説明】
【0144】
1、1A~1E プッシュスイッチ
2 ケース
20 底部
21 凹部
213 台部
22 周壁部
220 固定面
221 溝
222 壁部
223 壁部
3 可動部材
31 受圧部(第2受圧部)
33 孔
4 可動接点部材
40 接触片
42 可動接点
431 受圧部(第1受圧部)
44 支持枠
5、5A~5E 保護シート
51 固定部
52 押圧部
53、53A~53E 中間部
54、54A~54E リブ
55A~55E リブ組
551 リブ組(第2リブ組)
552 リブ組(第1リブ組)
6 固定接点部材
60 埋込部
611 固定接点(第1固定接点)
612 端子部(第1端子部)
7 端子
70 埋込部
72 固定接点(第2固定接点)
73 端子部(第2端子部)
8 押圧体
90 押し子
91、91a、91b 仮想円
92 対角線
93 仮想直線
D1、D1a 径方向
D2、D2a 周方向
I 間隔
L1 リブの長さ
L2 押圧部の最大の長さ
Lmax 最大値
Lmin 最小値