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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-13
(45)【発行日】2023-07-24
(54)【発明の名称】コンデンサ
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/32 20060101AFI20230714BHJP
   H01G 4/228 20060101ALI20230714BHJP
   H01G 2/06 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
H01G4/32 531
H01G4/228 A
H01G4/228 Q
H01G4/32 305A
H01G2/06 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020562357
(86)(22)【出願日】2019-09-24
(86)【国際出願番号】 JP2019037201
(87)【国際公開番号】W WO2020137041
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】P 2018241878
(32)【優先日】2018-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】小数賀 直浩
(72)【発明者】
【氏名】光田 敬二
【審査官】清水 稔
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-024825(JP,A)
【文献】特開2002-329637(JP,A)
【文献】特開平05-055438(JP,A)
【文献】特開平11-068301(JP,A)
【文献】特開平06-163304(JP,A)
【文献】実開昭54-086643(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/32
H01G 4/228
H01G 2/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の実装面に面実装するように構成されたコンデンサにおいて、
両端面のそれぞれに電極を有するコンデンサ素子と、
前記電極に接続されるバスバーと、
前記コンデンサ素子を覆う外装樹脂と、を備え、
前記バスバーは、くし歯状に並ぶ複数の接続端子部と、前記電極に電気的に接続される電極端子部と、前記電極端子部と前記複数の接続端子部との間に配置される複数の中間端子部を含み、
前記複数の接続端子部の少なくとも一つが、前記実装面に設けられた接続部上に配置されて当該接続部と電気的に接続され
前記複数の中間端子部は、前記外装樹脂の内部でくし歯状に並び、
前記複数の中間端子部のそれぞれは、前記外装樹脂から露出した部分が、前記複数の接続端子部の対応する接続端子部に繋がる、
ことを特徴とするコンデンサ。
【請求項2】
請求項1記載のコンデンサにおいて、
前記コンデンサ素子が収容されるケースを、さらに備え、
前記ケースは開口が形成された開口面を有し、前記開口は前記コンデンサ素子を通し前記ケース内に挿入させるように構成され、
前記複数の接続端子部は、前記開口面と平行な第1の方向に延び、前記複数の接続端子部のそれぞれの少なくとも一部が前記第1の方向において前記ケースの外側へ突き出し、
前記複数の接続端子部のそれぞれの前記少なくとも一部が前記接続部と電気的に接続される、
ことを特徴とするコンデンサ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のコンデンサにおいて、
前記コンデンサ素子が収容されるケースを、さらに備え、
前記ケースは開口が形成された開口面を有し、前記開口は前記コンデンサ素子を通し前記ケース内に挿入させるように構成され、
前記ケースの前記コンデンサ素子の前記両端面の一方と対向する内壁面に、前記コンデン
サ素子が前記ケース内に挿入される挿入方向に延びる溝部が設けられ、
前記バスバーは、前記溝部に嵌り込む第1突部および第2突部を有し、前記第1突部および前記第2突部は前記挿入方向において直線状に配置される、
ことを特徴とするコンデンサ。
【請求項4】
請求項1ないしの何れか一項に記載のコンデンサにおいて、
前記バスバーは、前記複数の接続端子部が並ぶ方向に延び、前記複数の接続端子部同士を連結する連結部を含む、
ことを特徴とするコンデンサ。
【請求項5】
所定の実装面に面実装するように構成されたコンデンサにおいて、
両端面のそれぞれに電極を有するコンデンサ素子と、
前記電極に接続されるバスバーと、
前記コンデンサ素子が収容されるケースと、を備え、
前記バスバーは、くし歯状に並ぶ複数の接続端子部を含み、
前記複数の接続端子部の少なくとも一つが、前記実装面に設けられた接続部上に配置されて当該接続部と電気的に接続され、
前記ケースは開口が形成された開口面を有し、前記開口は前記コンデンサ素子を通し前記ケース内に挿入させるように構成され、
前記ケースの前記コンデンサ素子の前記両端面の一方と対向する内壁面に、前記コンデンサ素子が前記ケース内に挿入される挿入方向に延びる溝部が設けられ、
前記バスバーは、前記溝部に嵌り込む第1突部および第2突部を有し、前記第1突部および前記第2突部は前記挿入方向において直線状に配置される、
ことを特徴とするコンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサに関し、特に、面実装型のコンデンサに用いて好適である。
【背景技術】
【0002】
プリント基板の実装面に面実装される面実装型のコンデンサの一例が、たとえば、特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1のコンデンサでは、金属化フィルムコンデンサ素子の両巻回端(両端面)に電極引出部(電極)が設けられる。各電極引出部には、端子金具が接続される。端子金具は、羽子板形の金属板を折り曲げ加工してなり、プリント基板の導体に半田付けされる端子部を有する。金属化フィルムコンデンサ素子はケースに収容され、この状態において、端子金具の端子部の上面が、ケースの開口縁と略同一平面内に位置する。
【0004】
上記のコンデンサでは、端子金具の端子部が板状であり、リード端子に比べてその面積が広いため、半田付けによるプリント基板への取付け強度が高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-323352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のコンデンサの端子金具のように、端子部が板状とされ、プリント基板への取付面の面積が広くなると、その分、端子部の体積も大きくなる。
【0007】
面実装型のコンデンサは、リフロー方式の半田付けによりプリント基板に実装され得る。この場合、端子部の接続先であるプリント基板の導体、たとえば、ランドに半田ペースト(クリーム半田)が塗布され、半田ペーストの上に端子部が置かれるように、プリント基板上にコンデンサが載置される。その後、コンデンサが載置されたプリント基板がリフロー炉内で高温に加熱される。これにより、半田ペーストが融解し、その後、プリント基板が冷却されると、端子部とランドとが半田で固定される。
【0008】
上記のコンデンサのように、端子部の体積が大きくなると、その分、熱容量が大きくなるので、リフロー炉内で加熱されたときに端子部が高温になりにくくなり、半田ペーストが融解しづらくなる。こうなると、半田付けに要する時間が長くなる。この時間を短くするためには、リフロー炉内をより高温にする必要がある。これら何れの場合も、コンデンサ自身が高温に晒されやすくなるため、コンデンサ素子の熱損傷が懸念される。
【0009】
かかる課題に鑑み、本発明は、面実装が行われる際にコンデンサ素子の熱損傷などが生じにくいコンデンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、所定の実装面に面実装が可能なコンデンサに関する。本態様に係るコンデンサは、両端面のそれぞれに電極を有するコンデンサ素子と、前記電極に接続されるバスバーと、を備える。ここで、前記バスバーは、くし歯状に並ぶ複数の接続端子部を含み、前記複数の接続端子部少なくとも一つが前記実装面に設けられた接続部上に配置されて当該接続部と電気的に接続される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、面実装が行われる際にコンデンサ素子の熱損傷などが生じにくいコンデンサを提供できる。ここで、面実装とは、例えば、はんだ印刷機によってプリント基板の表面へはんだ印刷等を行った後にチップマウンターで電子部品の実装を行い、その後リフロー炉で熱を加えてはんだを溶かし、電子部品をプリント基板に固定する方法を意味する。
【0012】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1(a)は、実施の形態に係る、フィルムコンデンサの斜視図であり、図1(b)は、実施の形態に係る、前後方向の中央で切断されたフィルムコンデンサの断面図である。
図2図2は、実施の形態に係る、一対のバスバーが接続されたコンデンサ素子の斜視図である。
図3図3(a)は、実施の形態に係る、ケースの底面図であり、図3(b)は、図3(a)のA-A´断面図である。
図4図4(a)は、実施の形態に係る、プリント基板の実装面にフィルムコンデンサが面実装された状態を示す斜視図である。図4(b)は、実施の形態に係る、半田により接続された一部の端子接続部とランドとが示された図である。
図5図5(a)および(b)は、変更例1に係る、バスバーの斜視図である。
図6図6(a)は、変更例2に係る、バスバーの斜視図であり、図6(a)は、変更例2に係る、プリント基板の実装面に実装された状態のフィルムコンデンサの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のコンデンサの一実施形態であるフィルムコンデンサ1について図を参照して説明する。便宜上、各図には、適宜、前後、左右および上下の方向が付記されている。なお、図示の方向は、あくまでフィルムコンデンサ1の相対的な方向を示すものであり、絶対的な方向を示すものではない。また、説明の便宜上、「天面部」、「前側面部」など、一部の構成において、図示の方向に従った名称がつけられる場合がある。
【0015】
本実施の形態において、フィルムコンデンサ1が、特許請求の範囲に記載の「コンデンサ」に対応する。また、ランド23が、特許請求の範囲に記載の「接続部」に対応する。さらに、端面電極110が、特許請求の範囲に記載の「電極」に対応する。さらに、突出部212が、特許請求の範囲に記載の「第1突部」に対応し、突出片214が、特許請求の範囲に記載の「第2突部」に対応する。さらに、充填樹脂400が、特許請求の範囲に記載の「外装樹脂」に対応する。
【0016】
ただし、上記記載は、あくまで、特許請求の範囲の構成と実施形態の構成とを対応付けることを目的とするものであって、上記対応付けによって特許請求の範囲に記載の発明が実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【0017】
本実施の形態のフィルムコンデンサ1は、プリント基板等の実装面に面実装が可能であり、たとえば、自動車等の車両の電装部品の一つとして用いられ得る。
【0018】
図1(a)は、フィルムコンデンサ1の斜視図であり、図1(b)は、前後方向の中央で切断されたフィルムコンデンサ1の断面図である。図2は、一対のバスバー200が接続されたコンデンサ素子100の斜視図である。図3(a)は、ケース300の底面図であり、図3(b)は、図3(a)のA-A´断面図である。
【0019】
フィルムコンデンサ1は、コンデンサ素子100と、一対のバスバー200と、ケース300と、充填樹脂400と、を備える。一対のバスバー200が接続されたコンデンサ素子100がケース300内に収容される。ケース300内に充填樹脂400が充填され、コンデンサ素子100と一対のバスバー200の一部とが充填樹脂400により覆われる。
【0020】
以下、フィルムコンデンサ1の詳細な構成について説明する。
【0021】
コンデンサ素子100は、誘電体フィルム上にアルミニウムを蒸着させた2枚の金属化フィルムを重ね、重ねた金属化フィルムを巻回または積層し、扁平状に押圧することにより形成される。コンデンサ素子100には、左右の両端面に、亜鉛等の金属の吹付けにより端面電極110が形成される。
【0022】
バスバー200は、導電性材料、たとえば、銅板を適宜切り抜き、折り曲げることによって形成され、電極端子部210と、中継端子部220と、8つの外部接続端子部230とが一体となった構成を有する。
【0023】
電極端子部210は、コンデンサ素子100の端面電極110に重なる。電極端子部210は、上下方向に長く、上端が円弧形状を有する。電極端子部210の上側部分には、上端の円弧形状と同心円形状の開口部211が設けられる。また、電極端子部210の上端には、コンデンサ素子100の端面(端面電極110)から離れる方向に膨らむU字状の突出部212が設けられる。さらに、電極端子部210の下側部分には、方形状の開口部213が設けられ、この開口部213の上縁にコンデンサ素子100の端面から離れる方向且つ下方向に延びる長方形状の突出片214が設けられる。突出片214は、バネ性を有し、コンデンサ素子100の端面に近づく方向に揺動できる。突出部212と突出片214は、後述するケース300の溝部とほぼ同じ幅を有し、上下方向に一直線上に並ぶ。
【0024】
中継端子部220は、コンデンサ素子100の端面(端面電極110)の長手方向の幅とほぼ同じ幅を有し、僅かに下方に延びた後に折り曲げられてコンデンサ素子100の内側へと延びる。中継端子部220の中央部が電極端子部210の下端に繋がる。
【0025】
8つの外部接続端子部230は、コンデンサ素子100の端面の長手方向(前後方向)にくし歯状に並ぶ。各外部接続端子部230は、ほぼL字状を有し、その断面が方形状に形成される。各外部接続端子部230は、中継端子部220の下端から、コンデンサ素子100から離れる方向(下方向)に延びる中間端子部231と、中間端子部231と連続し、コンデンサ素子100の端面と交差する方向(直交する方向)であって、端面から離れる方向に延びる接続端子部232とを含む。
【0026】
バスバー200は、電極端子部210の上側部分が半田Sによりコンデンサ素子100の端面電極110に接続される。これにより、バスバー200と端面電極110とが電気的に接続される。このとき、電極端子部210の上側部分には開口部211が設けられているので、電極端子部210の外周縁部分のみならず開口部211の周縁部分でも半田Sによる端面電極110と接合が行われる結果、電極端子部210と端面電極110との接合が強固になる。
【0027】
ケース300は、樹脂製であり、たとえば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)により形成される。ケース300は、ほぼ直方体の箱状に形成され、天面部301と、前側面部302と、後側面部303と、左側面部304と、右側面部305とを含み、底面が開口する。ケース300は各角部が曲面形状を有し、特に、天面部301と前側面部302との接続角部および天面部301と後側面部303との接続角部は、その他の接続角部よりも大きな曲率半径を有する曲面形状である
【0028】
前側面部302と後側面部303の下面には、左右の2か所に直方体形状の脚306が形成される。また、左側面部304と右側面部305の内壁面には、前後方向における中央に、上下方向に延びる2つのリブ307によって溝部308が形成される。また、天面部301には、内壁面の前後の2か所に、左右方向に延びるリブ309が形成される。
【0029】
フィルムコンデンサ1が組み立てられる際には、両方の端面電極110にバスバー200が接続されたコンデンサ素子100とケース300とが上下逆さまにされ、コンデンサ素子100が、ケース300の底面の開口300aを通じてケース300内に収容される。このとき、コンデンサ素子100の向きは、コンデンサ素子100がケース300内に収容されたときにその端面(端面電極110)がケース300の左右の側面部304、305の内壁面と対向する向きとされる。
【0030】
コンデンサ素子100は、バスバー200の突出部212と突出片214とがケース300の溝部308に嵌まり込むように、ケース300内に挿入される。このとき、突出片214は、先端部がケース300の内壁面よりも外側に張り出しているため(図1(b)の破線)、コンデンサ素子100がケース300に挿入されるに伴って内側に揺動し、溝部308の内側に押し込められる。コンデンサ素子100が、ケース300内に完全に収容されると、コンデンサ素子100の周面がケース300の天面部301のリブ309に当接する。これにより、ケース300の天面部301とコンデンサ素子100との間に充填樹脂400が入り込む隙間が確保される。また、突出部212と突出片214とが溝部308に嵌まり込むことで、バスバー200が、ケース300に対して傾かない状態に保持される。
【0031】
コンデンサ素子100が収容されたケース300の内部に充填樹脂400が充填される。充填樹脂400は、熱硬化性樹脂、たとえば、エポキシ樹脂であり、溶融状態でケース300内に注入される。このとき、左右のバスバー200の突出片214は、そのバネ性により、左右の側面部304、305の内壁面に押し付けられる状態となっている。このため、コンデンサ素子100が、ケース300の開口方向に動きにくく、充填樹脂400が注入されたときに、コンデンサ素子100が浮き上がりにくい。
【0032】
その後、ケース300内が加熱されると、ケース300内の充填樹脂400が硬化する。コンデンサ素子100が、ケース300および充填樹脂400によって覆われ、湿気や衝撃から保護される。
【0033】
こうして、図1(a)のように、フィルムコンデンサ1が完成する。図1(b)に示すように、一対のバスバー200における8つの外部接続端子部230は、中間端子部231のほぼ全体が充填樹脂400の内部に埋没し、中間端子部231の充填樹脂400から露出した先端部が接続端子部232に繋がる。各接続端子部232はケース300の開口300aと平行な方向(左右方向)に延び、当該平行な方向において、各接続端子部232の先端側の約半分がケース300の外側へ突き出す(はみ出す)。
【0034】
図4(a)は、プリント基板2の実装面21にフィルムコンデンサ1が面実装された状態を示す斜視図である。図4(b)は、半田Sにより接続された一部の接続端子部232とランド23とが示された図である。
【0035】
図4(a)に示すように、プリント基板2の実装面21には、フィルムコンデンサ1の一対のバスバー200に対応する一対の導電パターン22が設けられる。各導電パターン22には、くし歯状に並ぶ8つのランド23が形成される。
【0036】
フィルムコンデンサ1が実装面21に実装される際、まず、8つのランド23に半田ペースト(クリーム半田)が塗布される。次に、実装面21にフィルムコンデンサ1が載置される。接続端子部232のケース300から突き出した先端部が、ランド23に塗布された半田ペースト上に載る。ケース300の脚306の高さは、接続端子部232の厚みとランド23の厚みとを合わせた高さに設定されており、ケース300の4つの脚306が実装面21と接触し、フィルムコンデンサ1が4つの脚306で支えられる。
【0037】
次に、フィルムコンデンサ1が載置されたプリント基板2がリフロー炉内で高温に加熱される。このとき、バスバー200は、実装面21へ接続される端子部分が、くし歯状に並ぶ8つ(複数)の接続端子部232で構成されているので、端子部分が同じ体積を有する一塊のものである場合に比べて、8つの接続端子部232全体として、その表面積が大きくなる。このため、リフロー炉内で加熱されたとき、8つの接続端子部232全体が熱を吸収しやすく、8つの接続端子部232が素早く高温となる。半田ペーストの温度が融解高温に達し、半田ペーストが融解する。
【0038】
その後、プリント基板2が冷却すると、各接続端子部232と各ランド23とが半田Sで固定される。図4(b)に示すように、半田Sは、接続端子部232の下面232aとランド23の表面との間のみならず、接続端子部232の両側の側面232bの部分にも行き渡り、側面232bとランド23との間も半田Sで接合されることになる。
【0039】
このとき、上述のように、バスバー200は、端子部分が一塊のものと比べて、8つの接続端子部232全体として、その表面積が大きくなっている(14個の側面232bの分、表面積が増加)ため、半田Sによる接合面積が増加する。これにより、8つの接続端子部232と8つのランド23との接続が強固なものとなる。
【0040】
フィルムコンデンサ1がプリント基板2への面実装のために加熱および冷却されたとき、バスバー200とその周囲の充填樹脂400が熱膨張および熱収縮する。バスバー200と充填樹脂400とは、線膨張係数が異なるため、これらの界面において剥離が生じることが懸念される。本実施の形態では、バスバー200は、充填樹脂400の表面に近い部分が、くし歯状に並ぶ8つの中間端子部231により構成されているので、充填樹脂400との間の接触面積が大きくなる。これにより、充填樹脂400の表面に近い部分においてバスバー200と充填樹脂400との間の密着力を高めることができので、熱膨張および熱収縮に起因する界面部分での剥離を抑制できる。
【0041】
<実施の形態の効果>
以上、本実施の形態によれば、以下の効果が奏される。
【0042】
バスバー200は、くし歯状に並ぶ複数の接続端子部232を含み、複数の接続端子部232は、その先端部がプリント基板2の実装面21に設けられたランド23上に載置されて当該ランド23と半田付けにより接続される。この構成によれば、フィルムコンデンサ1がプリント基板2の実装面21への面実装のために加熱されたとき、複数の接続端子部232全体が素早く高温となり、半田ペーストが素早く融解する。これにより、コンデンサ素子100が長く高温に晒されにくくなるので、熱損傷が生じにくくなる。また、複数の接続端子部232とそれに対応するランド23との接続が強固なものとなるので、フィルムコンデンサ1が、振動に晒されやすい自動車等の車両に用いられても、接続部分に剥離や破断が生じにくい。
【0043】
また、バスバー200は、その中間に、充填樹脂400の内部でくし歯状に並び、充填樹脂400から露出して、それぞれが各接続端子部232に繋がる複数の中間端子部231を含む。この構成によれば、フィルムコンデンサ1がプリント基板2への面実装のために加熱および冷却されたときに、充填樹脂400の表面に近い部分において、バスバー200と充填樹脂400との剥離が生じにくくなる。これにより、剥離部分から充填樹脂400の内部へ水分が侵入してしまうことが生じにくくなり、防湿性の低下を招きにくくなる。
【0044】
さらに、複数の接続端子部232は、ケース300の開口300aと平行な方向に、当該方向においてケース300の外側へ突き出すように延び、突き出した部分において実装面21のランド23と接続される。この構成によれば、フィルムコンデンサ1が実装面21への面実装のために加熱されたとき、接続端子部232におけるランド23との接続部分(突き出した部分)に与えられる熱がケース300により遮られてしまうことがなく、接続部分が効果的に加熱されて素早く高温になりやすい。
【0045】
さらに、ケース300には、コンデンサ素子100の両端面と対向する左側面部304および右側面部305の内壁面に、コンデンサ素子100がケース300内に挿入される挿入方向(上下方向)に延びる溝部308が設けられ、バスバー200には、挿入方向において直線状に並び溝部308に嵌り込む突出部212および突出片214が設けられる。この構成によれば、バスバー200をケース300に対して傾かない状態に保持できる。これにより、前後方向に並んだ8つの接続端子部232が、ケース300の底面と平行な状態に保持されるので、フィルムコンデンサ1が実装面21に載置されたときに、8つの接続端子部232が8つのランド23上にしっかりと載置される。
【0046】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、また、本発明の適用例も、上記実施の形態の他に、種々の変更が可能である。
【0047】
<変更例1>
図5(a)および(b)は、変更例1に係る、バスバー200の斜視図である。
【0048】
本変更例では、バスバー200の外部接続端子部230が、8つの接続端子部232が並ぶ方向にこれら接続端子部232同士を連結する連結部233を含む。連結部233は、図5(a)のように、接続端子部232の中間部分に設けられてもよいし、図5(b)のように、接続端子部232の先端部分に設けられてもよい。連結部233の幅は、各接続端子部232の幅よりも小さくされる。
【0049】
本変更例によれば、複数(8つ)の接続端子部232がその並び方向に補強されるので、何かが当たるなどしても接続端子部232が変形しにくくなる。
【0050】
また、連結部233は、その幅が各接続端子部232の幅よりも小さいので、熱容量が大きくなりにくく、フィルムコンデンサ1が面実装される際に加熱されたときに、複数の接続端子部232の熱の吸収を妨げにくい。
【0051】
<変更例2>
図6(a)は、変更例2に係る、バスバー200の斜視図であり、図6(a)は、変更例2に係る、プリント基板2の実装面21に実装された状態のフィルムコンデンサ1の断面図である。
【0052】
本変更例では、バスバー200の8つの接続端子部232の先端部が上方に折り曲げられる。図6(b)に示すように、フィルムコンデンサ1が完成した状態において、左側のバスバー200の8つの接続端子部232の先端部は、ケース300の左側面部304の外壁面に接し、右側のバスバー200の8つの接続端子部232の先端部は、ケース300の右側面部305の外壁面に接する。
【0053】
図6(b)に示すように、プリント基板2では、8つのランド23が、ケース300の内側まで入り込み、8つの接続端子部232の先端部より内側部分と半田Sで接続される。
【0054】
<その他の変更例>
上記実施の形態では、バスバー200は、外部接続端子部230にくし歯状に並ぶ複数の中間端子部231が含まれるような構成とされた。しかしながら、バスバー200は、外部接続端子部230に複数の中間端子部231が含まれず、中継端子部220が下方に延長されて、複数の接続端子部232に繋がるような構成とされてもよい。
【0055】
また、上記実施の形態では、実装面21のランド23が、バスバー200の接続端子部232の一部分(先端部分)が載置されるような構成であった。しかしながら、ランド23が、接続端子部232全体が載置されるような構成であってもよい。
【0056】
さらに、上記実施の形態では、フィルムコンデンサ1に1つのコンデンサ素子100が用いられた。しかしながら、フィルムコンデンサ1に複数のコンデンサ素子100が用いられてもよい。
【0057】
さらに、上記実施の形態では、コンデンサ素子100は、誘電体フィルム上にアルミニウムを蒸着させた金属化フィルムにより形成されたが、これ以外にも、亜鉛、マグネシウム等の他の金属を蒸着させた金属化フィルムにより形成されてもよい。あるいは、コンデンサ素子100は、これらの金属のうち、複数の金属を蒸着させた金属化フィルムにより形成されてもよいし、これらの金属どうしの合金を蒸着させた金属化フィルムにより形成されてもよい。また、上記実施の形態では、コンデンサ素子100は、誘電体フィルム上にアルミニウムを蒸着させた2枚の金属化フィルムを重ね、重ねた金属化フィルムを巻回または積層することで形成されたものであるが、これ以外にも、誘電体フィルムの両面にアルミニウムを蒸着させた金属化フィルムと絶縁フィルムとを重ね、これを巻回または積層することにより、これらコンデンサ素子100が形成されてもよい。
【0058】
さらに、上記実施の形態では、フィルムコンデンサ1は、コンデンサ素子100が、外装樹脂である充填樹脂400とケース300とで覆われた。しかしながら、フィルムコンデンサ1は、コンデンサ素子100が、外装樹脂のみで覆われるような、ケースレスの構成とされてもよい。
【0059】
さらに、上記実施の形態では、バスバー200の接続端子部232と実装面21のランド23との接続に半田付けが用いられた。しかしながら、半田付け以外の蝋付けが用いられてもよい。
【0060】
さらに、上記実施の形態では、本発明のコンデンサの一例として、フィルムコンデンサ1が挙げられた。しかしながら、本発明は、フィルムコンデンサ1以外のコンデンサに適用することもできる。
【0061】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【0062】
なお、上記実施の形態の説明において「上方」「下方」等の方向を示す用語は、構成部材の相対的な位置関係にのみ依存する相対的な方向を示すものであり、鉛直方向、水平方向等の絶対的な方向を示すものではない。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、各種電子機器、電気機器、産業機器、車両の電装等に使用されるコンデンサに有用である。
【符号の説明】
【0064】
1 フィルムコンデンサ(コンデンサ)
21 実装面
23 ランド(接続部)
100 コンデンサ素子
110 端面電極(電極)
200 バスバー
212 突出部(第1突部)
214 突出片(第2突部)
231 中間端子部
232 接続端子部
233 連結部
300 ケース
300a 開口
308 溝部
400 充填樹脂(外装樹脂)
図1
図2
図3
図4
図5
図6