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特許7312950接地系交流低圧平衡線路の位置探査方法及び接地系交流低圧平衡線路の位置探査装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-13
(45)【発行日】2023-07-24
(54)【発明の名称】接地系交流低圧平衡線路の位置探査方法及び接地系交流低圧平衡線路の位置探査装置
(51)【国際特許分類】
   G01V 3/10 20060101AFI20230714BHJP
【FI】
G01V3/10 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022008979
(22)【出願日】2022-01-05
【審査請求日】2022-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】319009370
【氏名又は名称】古川 英志
(72)【発明者】
【氏名】古川 英志
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-516827(JP,A)
【文献】特公昭49-038519(JP,B2)
【文献】特開平11-248851(JP,A)
【文献】特開昭52-090047(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中、地下又は建物内に配設された接地系交流低圧平衡線路の位置を探査する方法であり、
前記接地系交流低圧平衡線路を大地に不平衡に漏電させることで、前記接地系交流低圧平衡線路に流れる電流を不平衡化し、
測定面に対する水平方向の交番磁界を検出する磁気センサを用い、
前記水平方向の交番磁界の検出量が最大となる観測点を前記測定面における前記接地系交流低圧平衡線路の直上として検知する、
接地系交流低圧平衡線路の位置探査方法。
【請求項2】
地中、地下又は建物内に配設された接地系交流低圧平衡線路の位置を探査する方法であり、
前記接地系交流低圧平衡線路を大地に不平衡に漏電させることで、前記接地系交流低圧平衡線路に流れる電流を不平衡化し、
測定面に対する鉛直方向の交番磁界を検出する磁気センサを用い、
前記鉛直方向の交番磁界の検出量が最小となる観測点を前記測定面における前記接地系交流低圧平衡線路の直上として検知する、
接地系交流低圧平衡線路の位置探査方法。
【請求項3】
地中、地下又は建物内に配設された接地系交流低圧平衡線路の位置を探査する方法であり、
前記接地系交流低圧平衡線路を大地に不平衡に漏電させることで、前記接地系交流低圧平衡線路に流れる電流を不平衡化し、
測定面に対する水平方向の交番磁界と前記測定面に対する鉛直方向の交番磁界とを個別に検出する磁気センサを用い、
前記鉛直方向の交番磁界の検出量に対する前記水平方向の交番磁界の検出量の比が最大となる観測点又は前記水平方向の交番磁界の検出量と前記鉛直方向の交番磁界の検出量との差が最大となる観測点を前記測定面における前記接地系交流低圧平衡線路の直上として検知する、
接地系交流低圧平衡線路の位置探査方法。
【請求項4】
前記観測点の連続線を前記測定面における前記接地系交流低圧平衡線路の配設ラインとして検知する、
請求項1から3のいずれかに記載の接地系交流低圧平衡線路の位置探査方法。
【請求項5】
地中、地下又は建物内に配設された接地系交流低圧平衡線路の位置を探査する装置であり、
前記接地系交流低圧平衡線路を大地に不平衡に漏電させる漏電手段と、
測定面に対する水平方向の交番磁界を検出する磁気センサと、
前記水平方向の交番磁界の検出量が最大となる観測点を、前記測定面における前記接地系交流低圧平衡線路の直上として検知する、接地系交流低圧平衡線路直上検知手段と、を備える、
接地系交流低圧平衡線路の位置探査装置。
【請求項6】
地中、地下又は建物内に配設された接地系交流低圧平衡線路の位置を探査する装置であり、
前記接地系交流低圧平衡線路を大地に不平衡に漏電させる漏電手段と、
測定面に対する鉛直方向の交番磁界を検出する磁気センサと、
前記鉛直方向の交番磁界の検出量が最小となる観測点を、前記測定面における前記接地系交流低圧平衡線路の直上として検知する、接地系交流低圧平衡線路直上検知手段と、を備える、
接地系交流低圧平衡線路の位置探査装置。
【請求項7】
地中、地下又は建物内に配設された接地系交流低圧平衡線路の位置を探査する装置であり、
前記接地系交流低圧平衡線路を大地に不平衡に漏電させる漏電手段と、
測定面に対する水平方向の交番磁界と前記測定面に対する鉛直方向の交番磁界とを個別に検出する磁気センサと、
前記鉛直方向の交番磁界の検出量に対する前記水平方向の交番磁界の検出量の比が最大となる観測点又は前記水平方向の交番磁界の検出量と前記鉛直方向の交番磁界の検出量との差が最大となる観測点を前記測定面における前記接地系交流低圧平衡線路の直上として検知する接地系交流低圧平衡線路直上検知手段と、を備える、
接地系交流低圧平衡線路の位置探査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中、地下又は建物の壁内等に配設された接地系交流低圧平衡線路の位置を探査する方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、年月の経過に伴う地上の建造物や道路の変化によって、それ以前に地中に埋設されたケーブルの敷設位置や経路が不明確になることが多い。
【0003】
また、建設後の建物において壁等に穴明する場合も、コンクリート等の壁内隠ぺい部の配管・配線の位置が判らないために、既存配線の切断事故が起こりうる。
【0004】
従来は道路の掘削などによって試行錯誤的に発見する、といった手法も採られる。建物においては事後復旧しなければならならず、試行錯誤的に穴明することにも限界がある。また、特許文献1に示されるような埋設ケーブル探知方法が用いられる。この特許文献1の埋設ケーブル探知方法は、地下に埋設された送電ケーブルを発生源とする交流磁界を磁界測定装置により地表上で測定し、この磁界の測定値から送電ケーブルの埋設位置を算出するものであって、垂直方向に一定間隔離して設置した2個のセンサにより、送電ケーブルに対してそれぞれ水平、垂直方向(2軸)の各磁界を同時に計測し、計測結果に基づき、送電ケーブルの埋設位置を探査する方法である。
【0005】
つまり、探査対象が平衡状態の三相電流であっても、磁界測定装置の位置が送電ケーブルから水平方向成分がある場合に、地上で合成された測定が0にならないことに着目して装置を構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2001-356177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の埋設ケーブル探査方法は、2個のセンサの計測結果に基づき、送電ケーブルの相配列を判断し、予め送電ケーブルの相配列毎に作成したデータベースを用いて、送電ケーブルの埋設位置を算出する方法であるため、そのデータベースを予め作成しておく必要がある。また、高圧送電ケーブルを探査対象とする方法であるので、例えば屋外照明や外灯等の低圧配線については、地表で測定すべき交流磁界が極めて微弱である。そのため、特許文献1に示されているような高圧送電ケーブル用の埋設ケーブル探査方法は低圧配線には適用できない。
【0008】
そこで、本発明の目的は、送電ケーブルの相配列毎に作成したデータベースの作成及びデータベースの参照による計算を不要とし、且つ低圧配線に適用可能な接地系交流低圧平衡線路の位置探査方法及び接地系交流低圧平衡線路の位置探査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の接地系交流低圧平衡線路の位置探査方法は、地中、地下又は建物内に配設された接地系交流低圧平衡線路を大地に不平衡に漏電させることで、前記接地系交流低圧平衡線路に流れる電流を不平衡化し(前記接地系交流低圧平衡線路の各電線から発生される磁界が相殺されぬようにし)、測定面に対する水平方向の交番磁界を検出する磁気センサを用い、前記水平方向の交番磁界の検出量が最大となる観測点を前記測定面における前記接地系交流低圧平衡線路の直上として検知することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の接地系交流低圧平衡線路の位置探査方法は、地中、地下又は建物内に配設された接地系交流低圧平衡線路を大地に不平衡に漏電させることで、前記接地系交流低圧平衡線路に流れる電流を不平衡化し、測定面に対する鉛直方向の交番磁界を検出する磁気センサを用い、前記鉛直方向の交番磁界の検出量が最小となる観測点を前記測定面における前記接地系交流低圧平衡線路の直上として検知することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の接地系交流低圧平衡線路の位置探査方法は、地中、地下又は建物内に配設された接地系交流低圧平衡線路を大地に不平衡に漏電させることで、前記接地系交流低圧平衡線路に流れる電流を不平衡化し、測定面に対する水平方向の交番磁界と前記測定面に対する鉛直方向の交番磁界とを個別に検出する磁気センサを用い、前記鉛直方向の交番磁界の検出量に対する前記水平方向の交番磁界の検出量の比が最大となる観測点又は前記水平方向の交番磁界の検出量と前記鉛直方向の交番磁界の検出量との差が最大となる観測点を前記測定面における前記接地系交流低圧平衡線路の直上として検知することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の接地系交流低圧平衡線路の位置探査装置は、地中、地下又は建物内に配設された接地系交流低圧平衡線路を大地に不平衡に漏電させる漏電手段と、測定面に対する水平方向の交番磁界を検出する磁気センサと、前記水平方向の交番磁界の検出量が最大となる観測点を、前記測定面における前記接地系交流低圧平衡線路の直上として検知する、接地系交流低圧平衡線路直上検知手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の接地系交流低圧平衡線路の位置探査装置は、地中、地下又は建物内に配設された接地系交流低圧平衡線路を大地に不平衡に漏電させる漏電手段と、測定面に対する鉛直方向の交番磁界を検出する磁気センサと、前記鉛直方向の交番磁界の検出量が最小となる観測点を、前記測定面における前記接地系交流低圧平衡線路の直上として検知する、接地系交流低圧平衡線路直上検知手段と、を備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の接地系交流低圧平衡線路の位置探査装置は、地中、地下又は建物内に配設された接地系交流低圧平衡線路を大地に不平衡に漏電させる漏電手段と、測定面に対する水平方向の交番磁界と前記測定面に対する鉛直方向の交番磁界とを個別に検出する磁気センサと、前記鉛直方向の交番磁界の検出量に対する前記水平方向の交番磁界の検出量の比が最大となる観測点又は前記水平方向の交番磁界の検出量と前記鉛直方向の交番磁界の検出量との差が最大となる観測点を前記測定面における前記接地系交流低圧平衡線路の直上として検知する接地系交流低圧平衡線路直上検知手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、送電ケーブルの相配列毎に作成したデータベースの作成及びデータベースの参照による計算を不要とし、且つ低圧配線の接地系交流低圧平衡線路の位置を探査できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は本発明に係る接地系交流低圧平衡線路の位置探査方法の説明図の一つである。
図2図2は、位置探査装置5が接地系交流低圧平衡線路10の直上にあるときの、接地系交流低圧平衡線路10の延びる方向での縦断面図である。
図3図3は接地系交流低圧平衡線路の位置探査装置5の回路構成を示すブロック図である。
図4図4(A)は、探査対象である接地系交流低圧平衡線路10の一例を示す図であり、図4(B)はその接地系交流低圧平衡線路10を含む回路の回路図である。
図5図5(A)は、探査対象である接地系交流低圧平衡線路10の別の例を示す図であり、図5(B)はその接地系交流低圧平衡線路10を含む回路の回路図である。
図6図6は接地系交流低圧平衡線路の位置探査装置5を用いて接地系交流低圧平衡線路10の直上の位置を探査する方法を示す図である。
図7図7は接地系交流低圧平衡線路の位置探査装置5を用いて接地系交流低圧平衡線路10の配設ラインを検知する方法を示す図である。
図8図8は、位置探査装置5の水平磁界成分を検出する感度の高い方向が接地系交流低圧平衡線路10に対する斜め方向であり、かつ位置P1から位置P2への移動方向が接地系交流低圧平衡線路10を直交する方向の例である。
図9図9は本発明に係る接地系交流低圧平衡線路の位置探査方法の説明図である。
図10図10は接地系交流低圧平衡線路の位置探査装置5を用いて接地系交流低圧平衡線路10の直上の位置を探査する方法を示す図である。
図11図11(A)は位置探査装置5が接地系交流低圧平衡線路10の直上の位置P2にある状態を示す図である。図11(B)は、位置探査装置5を水平面に沿って回転させ、Hh2/Hv2が最大となる方位に向けた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明に係る接地系交流低圧平衡線路(以下、単に「交流平衡線路」という。)の位置探査方法の説明図の一つである。図2は、位置探査装置5が交流平衡線路10の直上にあるときの、交流平衡線路10の延びる方向での縦断面図である。図2においてGLは測定面(この例では地面)である。図1図2において、交流平衡線路の位置探査装置(以降、単に「位置探査装置」という。)5によって、交流平衡線路10の位置を探査する際の位置関係の例を示している。交流平衡線路10は地中、地下又は建物内に配設されている。この例では、交流平衡線路10を1本の線で表している。後に詳述するように、交流平衡線路10には、不平衡化による漏電電流ig相当の交番電流が流れる。位置探査装置5は地面に沿って移動させる。図1図2は、地面に対する鉛直方向から視て、交流平衡線路10を横断する方向に位置探査装置5を移動させた例である。
【0018】
位置探査装置5は、水平方向(測定面に沿った方向)の交番磁界の検出量(以降「水平磁界成分」という。)と、鉛直方向(地面に対する垂直方向)の交番磁界の検出量(以降「鉛直磁界成分」という。)を個別に検出する。または、位置探査装置5は、水平磁界成分もしくは鉛直磁界成分の一方を検出する。位置探査装置5が水平磁界成分と鉛直磁界成分の両方を検出するか、その一方のみを検出するかは、後に述べるように、位置探査装置5を用いて交流平衡線路10の直上の位置を探査する幾つかの方法に応じて異なる。
【0019】
位置探査装置5が位置P2にあるときの鉛直磁界成分Hv2と、位置探査装置5が位置P1にあるときの鉛直磁界成分Hv1とを比較すると、Hv2<Hv1の関係にある。また、位置探査装置5が交流平衡線路10の直上位置P2にあるときの水平磁界成分Hh2と、位置探査装置5が交流平衡線路10の直上から離れた位置P1にあるときの水平磁界成分Hh1とを比較すると、Hh2>Hh1の関係にある。換言すると、位置探査装置5が交流平衡線路10の直上位置P2にあるとき鉛直磁界成分は最小となり、水平磁界成分は最大となる。
【0020】
図3は交流平衡線路の位置探査装置5の回路構成を示すブロック図である。図3に示すように、位置探査装置5は磁気センサ1、差動増幅回路2h,2v、演算部3及び表示部4を備える。
【0021】
磁気センサ1は、水平方向の交番磁界を検出する(水平方向の磁束が鎖交する)水平磁界検出コイル1hと、鉛直方向の交番磁界を検出する(鉛直方向の磁束が鎖交する)鉛直磁界検出コイル1vとで構成されている。
【0022】
差動増幅回路2hは水平磁界検出コイル1hの誘導電流を増幅して電圧信号を出力する。同様に、差動増幅回路2vは鉛直磁界検出コイル1vの誘導電流を増幅して電圧信号を出力する。
【0023】
演算部3は差動増幅回路2h,2vの出力電圧に応じて所定の演算を行う。表示部4は演算部3の出力に応じた表示を行う。演算内容と表示内容については後に詳述する。
【0024】
図4(A)は、探査対象である交流平衡線路10の一例を示す図であり、図4(B)はその交流平衡線路10を含む回路の回路図である。交流平衡線路10は非接地側(電圧側)電線10Lと接地側電線10Nとで構成された単相交流線路である。図4(B)に示すように、柱上トランスTと負荷との間に交流平衡線路10が接続されている。接地側電線10Nは接地されている。非接地側電線10Lには、交流平衡線路10を意図的に大地に不平衡に漏電させる漏電用抵抗LRが設けられている。このことにより、交流平衡線路10に流れる電流を不平衡化する。つまり、図4(A)中に示す漏電用抵抗LRに漏電電流igが流れることにより、交流平衡線路10のトランスT側に流れる電流がi+igとなって、電流が不平衡となる。
【0025】
図5(A)は、探査対象である交流平衡線路10の別の例を示す図であり、図5(B)はその交流平衡線路10を含む回路の回路図である。交流平衡線路10は三相交流電線10U,10V,10Wで構成された三相交流線路である。図5(B)に示すように、柱上トランスT1,T2の二次巻線と負荷との間に交流平衡線路10が接続されている。トランスT2の中性点は接地されている。この例では、電線10Wに、交流平衡線路10を意図的に大地に不平衡に漏電させる漏電用抵抗LRが設けられている。このことにより、交流平衡線路10に流れる電流を不平衡化する。つまり、図5(A)中に示す漏電用抵抗LRに漏電電流igが流れることにより、交流平衡線路10のトランスT側に流れる電流がi+igとなって、電流が不平衡となる。
【0026】
図1中に示した電流igは交流平衡線路10に流れる電流の不平衡化によって発生する不平衡電流である。
【0027】
図3において、演算部3は差動増幅回路2h,2vの出力電圧に応じて、次の所定の演算を行う。
【0028】
一つの例として、演算部3は、差動増幅回路2hの出力電圧の変動量を求め、その出力電圧を表示部4に表示するように表示信号を出力する、またはその出力電圧が最大となったとき、そのことを表示部4に表示するように表示信号を出力する。または、演算部3は、差動増幅回路2vの出力電圧の変動量を求め、その出力電圧を表示部4に表示するように表示信号を出力する、またはその出力電圧が最小となったとき、そのことを表示部4に表示するように表示信号を出力する。差動増幅回路2hの出力電圧基づいて上記表示信号を出力する場合は、位置探査装置5の磁気センサや差動増幅回路は水平磁界成分を検出する回路だけを備えればよい。同様に、差動増幅回路2vの出力電圧に基づいて上記表示信号を出力する場合は、位置探査装置5の磁気センサや差動増幅回路は鉛直磁界成分を検出する回路だけを備えればよい。
【0029】
また、他の例として、演算部3は、差動増幅回路2vの出力電圧に対する差動増幅回路2hの出力電圧の比を表示部4に表示するように表示信号を出力する。または、その比が最大となったとき、そのことを表示部4に表示するように表示信号を出力する。
【0030】
さらに他の例として、演算部3は、差動増幅回路2vの出力電圧と差動増幅回路2hの出力電圧との差を表示部4に表示するように表示信号を出力する。または、その差が最大となったとき、そのことを表示部4に表示するように表示信号を出力する。
【0031】
図6は上記交流平衡線路の位置探査装置5を用いて、地中や地下に配設された交流平衡線路10の直上の位置を探査する方法を示す図である。位置探査装置5を位置P1から位置P2の方向へ移動させると、Hh2>Hh1、Hv2<Hv1の関係となる。また、(Hh2-Hv2)>(Hh1-Hv1)の関係となる。さらには、(Hh2/Hv2)>(Hh1/Hv1)の関係となる。
【0032】
また、位置探査装置5を位置P2から位置P3の方向に移動させると、Hh3<Hh2、Hv3>Hv2の関係となる。また、(Hh3-Hv3)<(Hh2-Hv2)の関係となる。さらには、(Hh3/Hv3)<(Hh2/Hv2)の関係となる。
【0033】
その後、位置探査装置5を位置P3から位置P2の方向へ移動させると、鉛直磁界成分Hvは小さくなり、水平磁界成分Hhは大きくなる。
【0034】
このように、位置探査装置5を移動させてみて、水平磁界成分Hhが大きくなる方向に、または鉛直磁界成分Hvが小さくなる方向に、位置探査装置5を移動させる。そして、水平磁界成分Hhが最大となる観測点又は鉛直磁界成分Hvが最小となる観測点を交流平衡線路10の直上として検知する。
【0035】
図7は上記交流平衡線路の位置探査装置5を用いて交流平衡線路10の配設ラインを検知する方法を示す図である。位置探査装置5を、図6に示したP1→P2→P3方向に対する直交方向に、位置P2aから移動させる。その際、Hhが減少傾向またはHvが増大傾向となったとき、Hhが増大傾向またはHvが減少傾向となるように、移動方向(移動方位)を修正する。これは、Hh/Hvが減少傾向となったとき、Hh/Hvが増大傾向となるように移動方向を修正する、と言い換えることもできる。この移動方向の修正によって、位置探査装置5は位置P2bに達する。
【0036】
位置探査装置5を位置P2bから位置P2cの方向へ移動させるときも上述の方法で移動させる。このようにして位置探査装置5を移動させたときの、交流平衡線路10の直上位置P2a,P2b,P2cをむすぶ連続線を交流平衡線路10の配設ラインとして検知する。
【0037】
以上に示した例では、位置探査装置5の水平磁界成分を検出する感度の高い方向(指向性の中心)が交流平衡線路10を直交方向に横断する方向である状態を例に挙げたが、位置探査装置5の水平磁界成分を検出する感度の高い方向が交流平衡線路10に対して斜め方向であっても、同様に交流平衡線路10の位置を検知できる。
【0038】
図8図9は本発明に係る交流平衡線路の位置探査方法の説明図である。図10は上記交流平衡線路の位置探査装置5を用いて交流平衡線路10の直上の位置を探査する方法を示す図である。図8は、位置探査装置5の水平磁界成分を検出する感度の高い方向が交流平衡線路10に対する斜め方向であり、かつ位置P1から位置P2への移動方向が交流平衡線路10を直交する方向の例である。図9は位置探査装置5の水平磁界成分を検出する感度の高い方向が交流平衡線路10に対する斜め方向であり、かつ位置P1から位置P2への移動方向が、位置探査装置5の水平磁界成分を検出する感度の高い方向の例である。
【0039】
図8図9のいずれにおいても、図1の場合と同様に、位置探査装置5が交流平衡線路10の直上にあるとき、Hhが最大、Hvが最小となり、Hh/Hvが最大、Hv/Hhが最小となる。そのため、交流平衡線路10の直上を検知できる。
【0040】
図10において、位置探査装置5を位置P1から位置P2の方向へ移動させると、Hh2>Hh1、Hv2<Hv1の関係となる。また、(Hh2-Hv2)>(Hh1-Hv1)の関係となる。さらには、(Hh2/Hv2)>(Hh1/Hv1)の関係となる。
【0041】
また、位置探査装置5を位置P2から位置P3の方向に移動させると、Hh3<Hh2、Hv3>Hv2の関係となる。また、(Hh3-Hv3)<(Hh2-Hv2)の関係となる。さらには、(Hh3/Hv3)<(Hh2/Hv2)の関係となる。
【0042】
その後、位置探査装置5を位置P3から位置P2の方向へ移動させると、鉛直磁界成分Hvは小さくなり、水平磁界成分Hhは大きくなる。
【0043】
このように、位置探査装置5を移動させてみて、水平磁界成分Hhが大きくなる方向に、または鉛直磁界成分Hvが小さくなる方向に、位置探査装置5を移動させる。そして、水平磁界成分Hhが最大となる観測点、または鉛直磁界成分Hvが最小となる観測点を交流平衡線路10の直上として検知する。
【0044】
次に、位置探査装置5の磁界成分の検出感度を高めた状態で交流平衡線路10の位置探知を行う例を示す。
【0045】
図11(A)は位置探査装置5が交流平衡線路10の直上の位置P2にある状態を示す。この位置探査装置5の水平磁界成分を検出する感度の高い方向は交流平衡線路10に対して直交していない。この状態から、位置探査装置5を水平面に沿って回転させ、Hh2/Hv2が最大となる方位に向ける。図11(B)はその状態を示す。
【0046】
その後、図7に示した探知方法と同様にして、交流平衡線路10の配設ラインを検知する。このように、位置探査装置5の磁界成分の検出感度を高めることによって、交流平衡線路10の位置探知を容易に行うことができる。
【0047】
上述では、接地系交流低圧平衡線路の位置探査方法及び接地系交流低圧平衡線路の位置探査装置を、地中や地下に配設された接地系交流低圧平衡線路に適用した例について述べたが、建物の壁内等に配設された接地系交流低圧平衡線路の位置を探査する方法及びその装置についても同様に適用できる。
【0048】
地中や地下に配設された接地系交流低圧平衡線路の位置とは、測定面である水平面における線路の位置であるのに対し、建物の壁内に配設された接地系交流低圧平衡線路の位置とは、測定面である鉛直面における線路の位置である。したがって、上述の位置探査装置5の水平面に沿った移動を鉛直面に沿った移動に読み替えればよい。そのことで、建物の壁内に配設された接地系交流低圧平衡線路の位置を探査することができる。
【0049】
本発明は上述した各実施形態に限られるものではなく、当業者によって適宜変形及び変更が可能である。いうまでもなく、本発明の範囲は上述の実施形態ではなく特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲内と均等の範囲内での実施形態からの変形及び変更が含まれる。
【0050】
例えば、磁気センサとしては、ループコイルに限らず、ホール素子、磁気抵抗効果素子、磁気インピーダンス素子等を用いることもできる。また、地面に沿った方向の交番磁界を検出する磁気センサと、地面に対する垂直方向の交番磁界を検出する磁気センサとを個別に設けてもよい。
【0051】
また、図3では水平磁界検出コイル1hと鉛直磁界検出コイル1vの中心を一致させた例を示したが、水平磁界検出コイル1hと鉛直磁界検出コイル1vとを分離して配置してもよい。
【0052】
また、水平磁界検出コイル1h、鉛直磁界検出コイル1vに高透磁率の磁芯を入れてもよい。そのことで、水平磁界検出コイル1h、鉛直磁界検出コイル1v付近の磁気を集めて感度が向上させることができる。ただ、磁芯によって水平磁界検出コイル1h及び鉛直磁界検出コイル1v付近の磁界が乱れる場合は、上述のとおり水平磁界検出コイル1hと鉛直磁界検出コイル1vとを分離して配置してもよい。
【符号の説明】
【0053】
ig…電流
LR…漏電用抵抗
T…柱上トランス
T1,T2…柱上トランス(二次巻線)
1…磁気センサ
1h…水平磁界検出コイル
1v…鉛直磁界検出コイル
2h,2v…差動増幅回路
3…演算部
4…表示部
5…接地系交流低圧平衡線路の位置探査装置
10…交流平衡線路(接地系交流低圧平衡線路)
10L…非接地側電線
10N…接地側電線
10U,10V,10W…三相交流電線
【要約】
【課題】送電ケーブルの相配列毎に作成したデータベースの作成及びデータベースの参照による計算を不要とし、且つ低圧配線に適用可能な接地系交流低圧平衡線路の位置探査を行う。
【解決手段】接地系交流低圧平衡線路を大地に不平衡に漏電させることで、接地系交流低圧平衡線路に流れる電流を不平衡化し、水平方向の交番磁界と鉛直方向の交番磁界とを個別に検出する磁気センサを用い、例えば鉛直方向の交番磁界の検出量が最小となる観測点又は水平方向の交番磁界の検出量が最大となる観測点を地面における接地系交流低圧平衡線路の直上として検知する。
【選択図】図1
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