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特許7312959制御システム、制御方法、および制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-13
(45)【発行日】2023-07-24
(54)【発明の名称】制御システム、制御方法、および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20230714BHJP
   G16Y 40/30 20200101ALI20230714BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALN20230714BHJP
【FI】
G06Q50/10
G16Y40/30
H04Q9/00 301D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021123201
(22)【出願日】2021-07-28
(62)【分割の表示】P 2017109257の分割
【原出願日】2017-06-01
(65)【公開番号】P2021182419
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2021-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阪口 敬司
(72)【発明者】
【氏名】清水 紀芳
【審査官】庄司 琴美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0335725(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0071398(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0124842(US,A1)
【文献】特開2006-235886(JP,A)
【文献】特開2012-145992(JP,A)
【文献】特開2015-192380(JP,A)
【文献】特開2008-217484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G16Y 40/30
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の気象警報を含む気象情報を取得する取得部と、
施設に設けられた電動式シャッターを含む所定の機器を制御するための制御指令を出力する出力部と、
を備え、
前記制御指令の出力のトリガーとなる前記所定の気象警報の組み合わせが存在し、
前記出力部は、前記取得部により前記組み合わせを構成する複数の前記所定の気象警報の発令に関する情報が取得されたときに、前記電動式シャッターに対して閉動作を指示する前記制御指令を出力する、
制御システム。
【請求項2】
前記出力部は、前記取得部により前記組み合わせを構成する複数の前記所定の気象警報の発令に関する情報が取得されたときに、操作端末から承認信号を受信したことを条件として、前記電動式シャッターに前記制御指令を出力する、請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
コンピュータが実行する制御方法であって、
所定の気象警報を含む気象情報を取得する第1のステップと、
施設に設けられた電動式シャッターを含む所定の機器を制御するための制御指令を出力する第2のステップと、
を含み、
前記制御指令の出力のトリガーとなる前記所定の気象警報の組み合わせが存在し、
前記第2のステップでは、前記組み合わせを構成する複数の前記所定の気象警報の発令に関する情報が取得されたときに、前記電動式シャッターに対して閉動作を指示する前記制御指令を出力する、制御方法。
【請求項4】
請求項3に記載の制御方法をコンピュータで実現するための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御システム、制御方法、および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、家庭、店舗、オフィスなどの施設において、種々の設備、機器等を効率良く動作させて快適さを維持しながら節電を図るためのシステムが提案されている。例えば、特許文献1には、蓄電池と、発電時に湯を生成してこの生成した湯を貯める貯湯タンクの貯湯量が所定量以上になれば発電を停止するコージェネレーション装置とを用いた負荷への電力供給を管理するエネルギー管理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-130768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、気象警報が発令されるような気象状況では、停電(系統からの電力供給が停止したとき)、断水、通信不良等が発生する可能性が高くなる。したがって、気象警報が発令された場合に、停電等の発生に備えて準備しておくことは重要であり、このような状況に的確に対処可能な制御システムが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様である制御システムは、所定の気象警報を含む気象情報を取得する取得部と、施設に設けられた電動式シャッターを含む所定の機器を制御するための制御指令を出力する出力部とを備え、出力部は、取得部により所定の気象警報の発令に関する情報が取得されたときに、電動式シャッターに対して閉動作を指示する制御指令を出力することを特徴とする。
【0006】
本開示の一態様である制御方法は、コンピュータが実行する制御方法であって、所定の気象警報を含む気象情報を取得する第1のステップと、施設に設けられた電動式シャッターを含む所定の機器を制御するための制御指令を出力する第2のステップとを含み、第2のステップでは、取得部により所定の気象警報の発令に関する情報が取得されたときに、電動式シャッターに対して閉動作を指示する制御指令を出力することを特徴とする。
【0007】
本開示の一態様である制御プログラムは、上記制御方法をコンピュータで実現するためのプログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様である制御システムによれば、所定の気象警報が発令された場合に、停電等の発生に備えて適切な準備をしておくことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態の一例である制御システムおよび施設に設置された機器を示す図である。
図2】実施形態の一例である制御システムの構成を示すブロック図である。
図3】ホーム画面の一例を示す図である。
図4】ホーム画面の一例を示す図である。
図5】気象警報モードの通知画面の一例を示す図である。
図6A】気象警報モードの承認画面の一例を示す図である。
図6B】気象警報モードの承認画面の他の一例を示す図である。
図7A】気象警報モードの解除画面の一例を示す図である。
図7B】気象警報モードの解除画面の他の一例を示す図である。
図8A】気象警報モードの設定画面の一例を示す図である。
図8B】気象警報モードの設定画面の他の一例を示す図である。
図9】気象警報モードの制御手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本開示の制御システム、制御方法、および制御プログラムの実施形態について詳細に説明する。但し、本開示の制御システム、制御方法、および制御プログラムは、以下で説明する実施形態に限定されない。また、以下で説明する複数の実施形態の各構成要素を選択的に組み合わせることは当初から想定されている。
【0011】
本開示における装置、システム、および方法の主体は、コンピュータを備えている。このコンピュータがプログラムを実行することによって、本開示における装置、システム、および方法の主体の機能が実現される。コンピュータは、プログラムに従って動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって上記機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、集積回路(IC)または大規模集積回路(LSI)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集積されていてもよく、複数のチップに設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよく、複数の装置に備えられていてもよい。また、プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記憶媒体に記憶される。プログラムは、記憶媒体に予め格納されていてもよく、インターネット等を含む広域通信網を介して記憶媒体に供給されてもよい。
【0012】
図1は、実施形態の一例である制御システム10および施設1の設備、機器等を示す図である。図2は、実施形態の一例である制御システム10の構成を示すブロック図である。本実施形態では、施設1として、戸建の住宅を例示する。但し、施設1は特に限定されず、マンション等の集合住宅、学校、図書館等の公共施設、店舗、オフィス、工場などであってもよい。
【0013】
図1および図2に例示するように、制御システム10は、所定の気象警報を含む気象情報を取得する取得部11と、施設1に設けられた所定の機器を制御するための制御指令を出力する出力部12とを備える。出力部12は、取得部11により所定の気象警報の発令に関する情報が取得されたときに、所定の機器に対して制御指令を出力する気象警報モードを有する。制御指令の出力のトリガーとなる所定の気象警報は、予めシステムに設定されていてもよく、システムの学習機能により自動で設定されてもよいが、ユーザーの手動設定を可能とすることが好ましい。
【0014】
制御指令の出力のトリガーとなる所定の気象警報としては、大雨、洪水、暴風、暴風雪、大雪、波浪、高潮の各警報が例示できる。また、所定の気象警報には、大雨、暴風、暴風雪、大雪、波浪、高潮の各特別警報が含まれる。制御システム10は、所定の気象警報の設定情報を受け付ける第1受付部13を備えることが好適である。制御システム10は、さらに、気象警報モードの有効または無効の設定情報を受け付ける第2受付部14を備えていてもよい。
【0015】
図1に示す例では、制御システム10が施設1(戸建の住宅)内に設置されたホームサーバ17で構成されているが、制御システム10は施設1に設置されていなくてもよい。制御システム10は、施設1外のサーバ等のように、施設1と別の場所に設置されてもよく、ノートパソコン、タブレット端末、スマートフォン等のモバイル端末で構成されていてもよい。また、制御システム10の構成は、1つの装置に設けられていてもよいし、複数の装置に分散されて設けられていてもよい。
【0016】
施設1には、系統連系された発電設備として、太陽光発電装置30が設置されている。また、太陽光発電装置30で発電された電力を蓄える蓄電装置32が設置されている。施設1に設置される発電設備は、太陽光発電装置30に限定されず、燃料電池装置等であってもよい。施設1には、電力を使用する電気機器として、テレビ23、冷蔵庫24、エアコン25、IHクッキングヒータ26、照明27、給湯機28等が設けられている。施設1で使用される電気機器は、これらに限定されず、電子レンジ、パソコン、洗濯機、ドライヤー、床暖房などが例示できる。
【0017】
太陽光発電装置30は、複数の太陽電池モジュールから構成され、太陽光が照射される昼間に太陽光を受光して発電する発電設備である。太陽光発電装置30は、例えば施設1の屋根に設置される。一般的に、太陽光発電装置30にはパワーコンディショナ31(以下、「パワコン31」とする)が接続され、パワコン31によって太陽光発電装置30で発電された直流電力が交流電力に変換される。また、パワコン31は、太陽光発電装置30の出力を制御し、系統に供給される有効電力を制御する機能を有する。
【0018】
蓄電装置32は、繰り返し充放電が可能な二次電池で構成される。太陽光発電装置30等の発電設備で発電され、上記電気機器で使用されずに余った電力が蓄電装置32に充電され、また系統に供給される。蓄電装置32に充電された電力は、太陽光発電装置30が発電しない夜間、停電時などに使用される。パワコン31で直流から交流に変換された電力は、パワーコンディショナ33(以下、「パワコン33」とする)で再び直流に変換され、蓄電装置32に蓄電される。図1に示す例では、パワコン31,33が設けられているが、これらを一体化することも可能である。
【0019】
施設1には、交流電源の幹線(1次幹線)が接続される電力量計と、電力量計から出た2次幹線を分岐する分電盤20とが設置されている。図1に示す例では、電力量計として、施設1の消費電力および消費電力量を計測する買電メータ21と、施設1の発電設備から系統に供給される電力および電力量を計測する売電メータ22とが設けられている。なお、当該2つのメータは一体化されていてもよい。電力量計は、例えば通信機能を有し、制御システム10は電力量計から必要な計測データを取得してもよい。
【0020】
制御システム10は、所定の気象警報が発令されたときに、施設1に設けられた所定の機器を制御し、大雨、大雪、暴風等に起因して発生し得る停電、断水、通信不良等に備えるためのシステムである。制御システム10は、例えば気象警報モードが有効である場合に、気象情報を配信するサーバ50との通信により所定の気象警報を含む気象情報を取得する。サーバ50の一例は、気象情報を発令する気象庁等の機関のサーバ、制御システム10の管理サーバ、特定の配信事業者のサーバなどが挙げられる。
【0021】
気象警報モードにより制御される所定の機器(制御対象機器)としては、給湯機28、蓄電装置32、燃料電池装置、シャッターなどが挙げられる。燃料電池装置は、ガスから取り出した水素を空気中の酸素と反応させて発電する発電設備であって、24時間発電が可能である。燃料電池装置は、発電時に発生する熱を利用してお湯を沸かす給湯機の機能を有していてもよい。シャッターは、電動式のシャッターであって、施設1の窓を覆うシャッター、ガレージ等の出入口を閉じるシャッターなどが挙げられる。制御対象機器には、電気自動車等の電動車、プラグインハイブリッド車等の車両が含まれていてもよい。
【0022】
制御システム10は、上述の通り、取得部11、出力部12、第1受付部13、および第2受付部14を備える。また、制御システム10は、取得部11により取得される気象情報、第1受付部13等により設定される設定情報、気象警報モードを実行するための制御プログラムなどを記憶する記憶部16を備える。記憶部16は、例えばコンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記憶媒体で構成される。さらに、制御システム10は、気象警報モードにより所定の機器が制御中であることを通知する報知部15を備えていてもよい。
【0023】
制御システム10は、例えばプロセッサ(CPU)、メモリ、入出力ポート等を含む1つまたは複数の機器を備えたコンピュータで構築される。すなわち、制御システム10は、1つまたは複数の機器で構成することができる。また、制御システム10は、システムの一部がインターネット等のネットワークで接続された1つまたは複数のサーバで構築されてもよい。施設1には、施設全体の消費電力量を監視し、施設1の各設備、機器等を制御するエネルギー管理システムが設置されていてもよく、制御システム10は、当該エネルギー管理システムの一部として構成されていてもよい。
【0024】
制御システム10は、種々の設定情報を入力するための操作端末40を備えることが好ましい。操作端末40は、制御システム10の専用端末であってもよく、上記エネルギー管理システム等の操作端末と兼用されていてもよい。図1に示す例では、操作端末40が施設1内に設置されているが、操作端末40はノートパソコン、タブレット端末、スマートフォン等のモバイル端末で構成されていてもよい。
【0025】
本実施形態では、取得部11、出力部12等がホームサーバ17で構成され、操作端末40と別の機器で構成されているが、操作端末40に取得部11、出力部12等の機能が備わっていてもよく、操作端末とホームサーバが一体化されていてもよい。
【0026】
操作端末40は、表示部41および操作部42を有する端末装置である。好適な表示部41は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等のディスプレイである。表示部41には、例えば取得部11により取得された所定の気象警報を含む気象情報、ユーザーの承認を要求する画面、種々の設定を受け付ける画面などが表示される。操作部42としては、ボタン、テンキー、キーボード等が例示でき、表示部41と一体化されたタッチパネルであってもよい。後述のメニューボタン等は、操作部42を構成する。
【0027】
図3および図4は、表示部41に表示されるホーム画面の一例を示す図である。ホーム画面は、制御システム10の起動時、待機時等に表示される画面である。図3および図4に例示するように、ホーム画面には、発電設備の発電状況、施設1における電力の使用状況、蓄電装置32の充電率(SOC)、現在の時刻などの情報が表示されてもよい。また、ホーム画面の下部には、例えば種々の設定情報の入力、画面の切り替えなどを行うためのメニューボタンが表示されている。
【0028】
図3および図4に示す例では、画面左下に当該2つの画面を切り替えるための操作ボタンが表示されている。図3に例示する画面には、さらに、給湯機28の湯量が表示されている。他方、図4に例示する画面には、分電盤20で分岐された回路毎の電力使用量を表示させるための操作ボタンが表示されている。
【0029】
ホーム画面には、取得部11により取得された気象情報が表示されてもよい。また、ホーム画面には、気象警報モードにより所定の機器が制御中であることが通知(表示)されてもよい。当該通知は、報知部15の機能により実行される。ホーム画面には、例えば「気象警報発令中(●●警報)」、「蓄電池 充電設定中」のように、気象警報の発令の有無、発令された気象警報の種別、気象警報の発令に伴う機器の制御が実行中であるか否か、および制御される機器の種類と動作などが表示されてもよい。なお、これらの情報は、ホーム画面以外の画面に表示されてもよい。
【0030】
図5は、気象警報モードの通知画面の一例を示す図である。報知部15は、出力部12による制御指令出力のトリガーとなる所定の気象警報が発令され、その情報が取得部11により取得されたときに、当該気象警報が発令されたことを操作端末40の表示部41に表示させてもよい。図5に示す例では、通知画面がホーム画面上にポップアップ表示されているが、他の画面が表示されている場合にもポップアップ表示されることが好ましい。報知部15は、発令された気象警報の種別、気象警報が発令された地域等を併せて表示させてもよい。また、制御指令出力のトリガーとならない気象警報または注意報等の情報を表示させてもよい。
【0031】
以下、図1および図2に加えて、図6A図8Bを適宜参照しながら、取得部11、出力部12、第1受付部13、および第2受付部14について、さらに詳説する。
【0032】
取得部11は、例えばインターネット回線または専用回線を介してサーバ50から送信される気象情報を取得する。或いは、取得部11は所定の頻度でサーバ50にアクセスして気象情報を取得してもよい。取得部11により取得される気象情報には、出力部12による制御指令出力のトリガーとなる所定の気象警報に関する情報だけでなく、注意報等の情報が含まれていてもよい。また、取得部11により取得される気象情報には、例えば所定の気象警報等の発令情報だけでなく、解除情報が含まれる。取得部11は、取得した気象情報を記憶部16に記憶させることが好ましい。
【0033】
出力部12は、取得部11により所定の気象警報の発令に関する情報が取得されたときに、所定の機器に対して制御指令を出力し、所定の機器の動作を制御する。具体例としては、大雨、洪水、暴風、大雪等の所定の気象警報が発令されたときに、蓄電装置32に対して充電を開始させる、或いは充電量を増加させるための制御指令(以下、「充電指令」という場合がある)を出力する。また、出力部12は、給湯機28に対して湯量を増加させるための制御指令(以下、「増量指令」という場合がある)を出力してもよい。或いは、燃料電池装置の発電量を増加させ、発電した電力を蓄電装置32に充電してもよい。出力部12による充電指令、増量指令等の制御指令の出力は、取得部11による情報の取得と連動して自動的に実行されてもよい。
【0034】
気象警報モードにおける制御対象機器および制御対象動作は、複数存在してもよい。出力部12は、発令された気象警報が異なる場合に、同じ制御対象機器に対して異なる動作を指示する制御指令を出力してもよい。通常の警報と特別警報とで制御指令を変更してもよく、また制御対象機器を変更してもよい。例えば、通常の警報が発令された場合は蓄電装置32のSOCを60%以上とする充電指令を出力し、特別警報が発令された場合は蓄電装置32のSOCを80%以上とする充電指令を出力してもよい。また、特別警報が発令された場合は、ユーザーの設定に関わらず蓄電装置32の充電制御を実行してもよく、ユーザーの設定に関わらずシャッターを閉めてもよい。或いは、特別警報が発令された場合に、ユーザーの設定に関わらず充電制御を実行し、シャッターの開閉についてはユーザーの設定に基づいて実行してもよい。
【0035】
気象警報モードでは、出力部12による制御指令出力のトリガーとなる所定の気象警報の組み合わせが存在してもよい。この場合、出力部12は、取得部11により当該組み合わせを構成する複数の所定の気象警報の発令に関する情報が取得されたときに、所定の機器に対して制御指令を出力する。例えば、取得部11により●●警報および▲▲警報の両方に関する情報が取得されることを条件として、出力部12から制御指令が出力される。また、気象警報モードでは、制御指令出力のトリガーとなる所定の気象警報を複数選択した場合に、選択した気象警報のうち、いずれかの警報の発令に関する情報が取得されたときに制御指令を出力してもよい。
【0036】
出力部12は、取得部11により所定の気象警報の発令に関する情報が取得されたときに、操作端末40から承認信号を受信したことを条件として、所定の機器に制御指令を出力するように構成されていてもよい。この場合、ユーザーの承認があったときに、気象警報モードによる機器の制御が実行される。出力部12は、例えば操作端末40の表示部41にユーザーの承認を求めるための承認画面を出力し、ユーザーの承認操作に基づく承認信号を受信したときに所定の機器に制御指令を出力する。
【0037】
図6Aおよび図6Bは、気象警報モードの承認画面の一例を示す図である。図6Aに示す例では、ホーム画面上に承認画面がポップアップ表示されているが、他の画面が表示されている場合にもポップアップ表示されることが好ましい(後述の解除画面についても同様)。承認画面には、発令された気象警報の種別、気象警報が発令された地域、制御される機器と動作、ユーザーの承認を求める情報、ユーザーが承認操作を行うための操作ボタンなどが表示される。なお、気象警報発令時において、図5に例示するような通知画面、図6Aおよび図6Bに例示するような承認画面、また後述の解除画面のいずれの画面を表示させるかを、気象警報モードの設定においてユーザーが選択可能としてもよい。
【0038】
図6Aに例示する承認画面には、蓄電装置32の充電に関して、「気象警報が発令されました。停電に備えて蓄電池の充電を開始してもよいですか?」とのユーザーの承認を求める通知が、操作ボタンなどと共に表示されている。また、給湯機28の運転に関する承認を求める通知が表示されてもよく、当該通知としては、「気象警報が発令されました。停電に備えて給湯機の湯量を増やしてもよいですか?」のような通知が例示できる。
【0039】
図6Bに例示する承認画面では、制御対象機器が複数表示され、また制御対象機器の現在の状態と、承認後に実行予定の動作とが機器毎に表示されている。制御対象機器が複数設定されている場合に、機器毎に別の承認画面を表示させてもよいが、複数の機器について1つの画面で制御実行の承認を可能とすることでユーザーの利便性が向上する(後述の解除画面についても同様)。図6Bに例示する承認画面には、蓄電装置32の充電およびシャッターの閉操作の承認を求めるための表示が出力されている。具体的には、蓄電装置32について「充電する」、「何もしない」の選択部が、シャッターについて「閉じる」、「何もしない」の選択部がそれぞれ表示されている。承認画面が表示されたときには、例えば「充電する」および「閉じる」が選択されており、このまま決定ボタンを押すと、これらの動作が実行される。他方、「何もしない」を選択することで、これらの動作を中止できる。
【0040】
出力部12は、気象警報モードによる所定の機器の制御中において、操作端末40から解除信号を受信したことを条件として、所定の機器の制御を終了してもよい。すなわち、出力部12は、自動的に制御指令を出力して所定の機器の制御を開始し、その後、ユーザーによる機器制御の解除を可能とするように構成されてもよい。出力部12は、例えば操作端末40の表示部41にユーザーによる機器制御の解除を可能とする解除画面を出力し、ユーザーの解除操作に基づく解除信号を受信したときに所定の機器の制御を終了する。
【0041】
図7Aおよび図7Bは、気象警報モードの解除画面の一例を示す図である。図7Aおよび図7Bに例示するように、解除画面には、発令された気象警報の種別、気象警報が発令された地域、制御される機器と動作、ユーザーの意思を確認するための情報、ユーザーが解除操作を行うための操作ボタンなどが表示される。図7Aに例示する解除画面には、蓄電装置32の充電に関して、「気象警報が発令されたため、蓄電池の充電を開始しました。蓄電池の充電を停止しますか?」とのユーザーの意思を確認するための通知が、操作ボタンなどと共に表示されている。また、給湯機28の運転については、「気象警報が発令されたため、給湯機の運転を開始しました。給湯機の運転を停止しますか?」のような通知が例示できる。
【0042】
図7Bに例示する解除画面では、制御対象機器が複数表示され、また制御対象機器の現在の状態と、実行予定の動作とが機器毎に表示されている。図7Bに例示する解除画面には、蓄電装置32の充電の継続およびシャッターの閉状態の継続、または解除の意思を確認するための表示が出力されている。具体的には、蓄電装置32について「充電を続ける」、「充電を停止する」の選択部が、シャッターについて「閉じたまま」、「開ける」の選択部がそれぞれ表示されている。解除画面が表示されたときには、例えば「充電を続ける」および「閉じたまま」が選択されており、このまま決定ボタンを押すと、これらの動作、状態が継続される。他方、「充電を停止する」を選択することで充電装置32の充電を停止でき、「開ける」を選択することでシャッターを開けることができる。
【0043】
出力部12は、所定の気象警報が解除されたときに、所定の機器の制御を終了する。具体的には、取得部11により所定の気象警報の解除に関する情報が取得されたときに、出力部12は気象警報モードによる所定の機器の制御を終了する。出力部12は、例えば機器を停止させる制御指令(停止指令)を出力して機器の制御を終了する。なお、出力部12は、気象警報が解除される前においても、操作端末40からの解除信号により機器の制御を終了する場合がある。出力部12は、所定の気象警報が解除されたときに、上記承認画面または上記解除画面のような画面を表示部41に表示させ、ユーザーの意思を確認した上で、すなわちユーザーの承認操作に基づく承認信号を受信したときに機器の制御を終了してもよい。
【0044】
他方、出力部12は、所定の気象警報が解除されたときに、所定の機器が所定の状態となるまで、または所定の期間が経過するまで、機器の制御を継続してもよい。具体的には、取得部11により所定の気象警報の解除に関する情報が取得されたときに、出力部12は、制御対象である機器の状態または制御が開始されてからの期間に基づいて、制御を継続するか、或いは終了するかを判定する。機器の制御が開始されてから短時間で気象警報が解除されたときに、直ちに機器の制御を終了することは省エネ等の観点から好ましくない場合があるので、機器の状態等に応じて制御の終了を判断することが好ましい。
【0045】
気象警報モードにより制御される機器が蓄電装置32である場合は、所定の気象警報が解除された後、蓄電装置32のSOCが所定の値(例えば、80%など)となるまで、蓄電装置32の充電を継続してもよい。また、制御対象が給湯機28である場合は、所定の気象警報が解除された後、給湯機28の湯量が所定の量(例えば、200Lなど)となるまで、給湯機28の運転を継続してもよい。
【0046】
なお、気象警報モードによる所定の機器の制御は、出力部12以外からの情報により停止可能としてもよい。すなわち、制御システム10は、出力部12から上記停止指令が出力されない場合であっても、気象警報モードによる所定の機器の制御を中止してもよい。具体例としては、出力部12と制御対象機器との通信状態が遮断されたときに、当該機器の制御を中止することが挙げられる。
【0047】
上述のように、出力部12による制御指令出力のトリガーとなる所定の気象警報は、予めシステムに設定されていてもよく、システムの学習機能により自動で設定されてもよいが、ユーザーの手動設定を可能とすることが好ましい。また、気象警報モードの有効または無効について、ユーザーの手動設定を可能としてもよい。
【0048】
第1受付部13は、制御指令の出力のトリガーとなる所定の気象警報(以下、「トリガー警報」という場合がある)の設定情報を受け付け、ユーザーが選定したトリガー警報を制御システム10に設定する。第1受付部13は、例えば操作端末40の表示部41にユーザーによるトリガー警報の選定を可能とする設定画面を表示させ、この設定画面でユーザーが入力した情報をトリガー警報として記憶部16に記憶する。
【0049】
第2受付部14は、気象警報モードの有効または無効の設定情報を受け付け、当該情報を制御システム10に設定する。第2受付部14は、例えば操作端末40の表示部41にユーザーによる気象警報モードの有効または無効の選択を可能とする設定画面を表示させ、この設定画面でユーザーが入力した情報を記憶部16に記憶する。出力部12は、気象警報モードが有効である場合に、所定の機器の制御を実行する。トリガー警報および制御対象機器の少なくとも一方が複数存在する場合に、第2受付部14は、気象警報モードの有効または無効をトリガー警報毎または制御対象機器毎に選択可能としてもよい。
【0050】
気象警報モードの制御対象機器、制御対象動作等は、予めシステムに設定されていてもよく、システムの学習機能により自動で設定されてもよいが、ユーザーの手動設定を可能としてもよい。制御システム10は、制御対象機器、制御対象動作等の設定情報を受け付け、当該情報をシステムに設定する受付部を備えていてもよい。なお、当該情報の受け付け(設定)は、第1受付部13または第2受付部14の機能によって実行されてもよい。また、ユーザーの入力操作に基づく種々の情報の設定は、1つの受付部によって実行されてもよい。
【0051】
図8Aおよび図8Bは、気象警報モードの設定画面の一例を示す図である。図8Aおよび図8Bに示す例では、制御指令の出力のトリガーとなる所定の気象警報の設定情報を受け付ける画面と、気象警報モードの有効または無効の設定情報を受け付ける画面とが、1つの画面に表示されているが、これらは別の画面に表示されてもよい。かかる設定画面の表示は、第1受付部13および第2受付部14の機能によって実行される。
【0052】
図8Aに例示する設定画面では、「気象警報連動」の項目において気象警報モードの有効、無効を選択する2つの選択部が、「警報選択」の項目においてトリガー警報を選択する複数の選択部がそれぞれ表示されている。トリガー警報は、複数選択することもできる。また、この設定画面では、制御対象機器として蓄電装置32およびシャッターが表示され、機器毎に制御動作を選択可能である。図8Aに示す例では、蓄電装置32について、「自動で充電」、「確認後に充電」、および「何もしない」の選択部が存在する。自動で充電を選択した場合は、表示部41に上記通知画面または上記解除画面を表示させてもよい。他方、確認後に充電を選択した場合は、表示部41に上記承認画面を表示させてもよい。
【0053】
図8Aに例示する設定画面では、「アプリへの通知」として、例えば制御システム10に関するアプリケーションソフトがインストールされたスマートフォン等のモバイル端末に、気象警報モードに関する情報を通知するか否かを設定できる。設定画面には、当該通知の有無を選択する2つの選択部が表示されている。通知内容としては、例えば警報の発令情報、または警報の発令と連動して実行される機器の制御情報であってもよく、この両方であってもよい。
【0054】
図8Bに例示する設定画面では、複数の気象警報モードを設定でき、気象警報毎の気象警報モードの有効、無効の設定、制御対象機器の設定、および制御対象動作の設定が可能である。さらに、トリガー警報の組み合わせを設定することもできる。
【0055】
制御システム10は、例えば記憶部16に記憶された制御プログラムを読み出して実行することにより、取得部11、出力部12、第1受付部13、第2受付部14、および報知部15の各機能を実現する。制御プログラムは、後述のフローチャートに例示するような制御方法をコンピュータで実現するためのプログラムである。
【0056】
図9は、気象警報モードの制御手順の一例を示すフローチャートである。図9に示す例では、発令した気象警報に対応する気象警報モードが有効である場合に、所定の機器の制御を自動的に開始するが、制御の開始にユーザーの承認を要求してもよい。この場合、例えば図9のS11とS12のステップの間に、ユーザーの承認を求めるための処理が実行される。具体的には、操作端末40の表示部41に承認画面を出力し、ユーザーの承認操作に基づく承認信号を受信したことを条件として機器の制御を開始する。この手順は、出力部12の機能により実行される。
【0057】
図9に例示するように、気象警報モードでは、まず所定の気象警報の発令に関する情報を取得する(S10)。そして、S10で取得された気象警報に対応する気象警報モードが有効である場合に(S11)、所定の機器に対して制御指令を出力し、機器の制御を開始する(S12)。或いは、S10とS11の手順を逆とし、有効である気象警報モードに対応する気象警報に関する情報のみを取得してもよい。S10は取得部11の機能によって実行され、S11,S12は出力部12の機能によって実行される。他方、取得部11により気象警報の発令に関する情報が取得されない場合、或いは気象警報モードが無効である場合は、当該モードによる機器の制御は実行されない。
【0058】
気象警報モードによる制御対象機器が蓄電装置32である場合は、例えばS12の制御指令として、充電を開始させる、或いは充電量を増加させるための充電指令が出力される。また、制御対象機器が給湯機28である場合は、例えばS12の制御指令として、湯量を増加させるための増量指令が出力される。このように、出力部12は、制御対象機器に応じて異なる制御指令を出力する。また、発令された気象警報が異なる場合に、同じ制御対象機器に対して異なる制御指令を出力してもよい。
【0059】
図9に示す例では、S12で所定の機器の制御が開始された後、操作端末40の表示部41に解除画面を表示する(S13)。そして、解除画面上での操作に基づく解除信号を受信した場合に(S14)、機器の制御を終了(中止)する(S17)。S13,S14,S17は、出力部12の機能によって実行される。他方、S14で解除信号を受信しない場合、或いはS14で承認信号を受信した場合は、機器の制御を継続する。S12~S14,S17の一連の処理によれば、気象警報モードによる機器の制御を自動的に開始した後、ユーザーによる機器の制御の中止を可能にする。
【0060】
図9に示す例では、実行中の気象警報モードに対応する所定の気象警報の解除に関する情報を取得したときに(S15)、S16のステップを経て、機器の制御を終了する(S17)。S16では、制御対象機器は所定の状態であるか、または制御開始から所定の期間が経過したかが判定され、この条件を満たす場合に機器の制御を終了する。例えば、制御対象機器が蓄電装置32であれば、S16でSOCを判定してもよく、制御対象機器が給湯機28であれば、S16で湯量を判定してもよい。なお、気象警報の解除に関する情報を取得したときに、直ちに対応する機器の制御を終了させることもできる。
【0061】
以上のように、制御システム10によれば、所定の気象警報が発令された場合に、停電等の発生に備えて適切な準備をしておくことが可能である。気象警報が発令されるような気象状況では、停電等が発生する可能性が高くなるが、例えば気象警報が発令されたときに、蓄電装置32のSOCを高くすることで停電時においても十分な電気を使用することが可能となる。また、気象警報が発令されたときに給湯機28の湯量を増やすことで、停電時においても十分なお湯を確保することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 施設、10 制御システム、11 取得部、12 出力部、13 第1受付部、14 第2受付部、15 報知部、16 記憶部、17 ホームサーバ、20 分電盤、21 買電メータ、22 売電メータ、23 テレビ、24 冷蔵庫、25 エアコン、26 IHクッキングヒータ、27 照明、28 給湯機、30 太陽光発電装置、31,33 パワーコンディショナ(パワコン)、32 蓄電装置、40 操作端末、41 表示部、42 操作部、50 サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9