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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-13
(45)【発行日】2023-07-24
(54)【発明の名称】電動アシスト自転車
(51)【国際特許分類】
   B62M 6/45 20100101AFI20230714BHJP
   B62M 6/50 20100101ALI20230714BHJP
   B62J 45/416 20200101ALI20230714BHJP
   B62J 45/40 20200101ALI20230714BHJP
【FI】
B62M6/45
B62M6/50
B62J45/416
B62J45/40
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021574674
(86)(22)【出願日】2021-01-20
(86)【国際出願番号】 JP2021001918
(87)【国際公開番号】W WO2021153387
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-03-11
(31)【優先権主張番号】P 2020013255
(32)【優先日】2020-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】入江 健一
(72)【発明者】
【氏名】亀井 浩気
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-182227(JP,A)
【文献】特開2019-172228(JP,A)
【文献】特開2002-234479(JP,A)
【文献】特開平9-315377(JP,A)
【文献】特開2011-168241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 6/45
B62M 6/50
B62J 45/416
B62J 45/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心拍計から心拍数を取得する第1取得部と、
運転者の年齢および前記運転者の安静時心拍数を入力端末から取得する第2取得部と、
前記第2取得部が取得した、前記年齢および前記安静時心拍数から目標心拍数の範囲を決定する目標決定部と、
前記第1取得部が取得した前記心拍数と、前記目標決定部が決定した前記目標心拍数の範囲とを比較することで、ペダルを回転させるモータのトルクと前記運転者が前記ペダルを漕ぐことによって発生するトルクとの比率であるアシスト率を決定するアシスト率決定部と、を備え、
前記アシスト率決定部は、
前記第1取得部が取得した前記心拍数の増加量が所定量以上であった場合、前記アシスト率を増加させる、
電動アシスト自転車。
【請求項2】
前記第2取得部は、
前記運転者の運動強度の目標値である運動目標値が入力される入力端末から前記運動目標値をさらに取得し、
前記目標決定部は、前記年齢、前記安静時心拍数、および、前記運動目標値から前記目標心拍数を決定する、
請求項1に記載の電動アシスト自転車。
【請求項3】
前記アシスト率決定部は、
前記第1取得部が計測した前記心拍数が、前記目標決定部が決定した前記目標心拍数の範囲の上限を上回った場合、前記アシスト率を増加させる、
請求項1または2に記載の電動アシスト自転車。
【請求項4】
前記アシスト率決定部は、
前記第1取得部が計測した前記心拍数が、前記目標決定部が決定した前記目標心拍数の範囲の下限を下回った場合、前記アシスト率を減少させる、
請求項1~3のいずれか1項に記載の電動アシスト自転車。
【請求項5】
心拍計から心拍数を取得する第1取得部と、
運転者の年齢および前記運転者の安静時心拍数を入力端末から取得する第2取得部と、
前記第2取得部が取得した、前記年齢および前記安静時心拍数から目標心拍数の範囲を決定する目標決定部と、
前記第1取得部が取得した前記心拍数と、前記目標決定部が決定した前記目標心拍数の範囲とを比較することで、ペダルを回転させるモータのトルクと前記運転者が前記ペダルを漕ぐことによって発生するトルクとの比率であるアシスト率を決定するアシスト率決定部と、を備え、
前記アシスト率決定部は、
前記第1取得部が取得した前記心拍数の増加率又は減少率に基づいて前記アシスト率を決定する、
電動アシスト自転車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動アシスト自転車、電動アシスト自転車の制御システム、および、電動アシスト自転車の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自転車の健康増進効果が注目されており、乗車中に所望の運動強度を実現するために、目標心拍数と計測された心拍数とに応じてモータの駆動力を制御することができる自転車が望まれる。特許文献1には、心拍数および呼吸回数の少なくとも一方を指標として、運転者の疲労度を検出し、疲労度の増減に応じてモータの駆動力を増減させる電動モータ付き自転車が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3276420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示される電動アシスト自転車は、目標心拍数と計測された心拍数とに応じて、モータの駆動力を制御することはできない。
【0005】
本発明は、目標心拍数と計測された心拍数とに応じて、モータの駆動力を制御することができる電動アシスト自転車、電動アシスト自転車の制御システム、および、電動アシスト自転車の制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る電動アシスト自転車は、心拍計から心拍数を取得する第1取得部と、運転者の年齢および前記運転者の安静時心拍数を入力端末から取得する第2取得部と、前記第2取得部が取得した、前記年齢および前記安静時心拍数から目標心拍数の範囲を決定する目標決定部と、前記第1取得部が取得した前記心拍数と、前記目標決定部が決定した前記目標心拍数の範囲とを比較することで、ペダルを回転させるモータのトルクと前記運転者が前記ペダルを漕ぐことによって発生するトルクとの比率であるアシスト率を決定するアシスト率決定部と、を備える。
【0007】
本発明の一態様に係る電動アシスト自転車の制御システムは、運転者の心拍数を測定する心拍計と、前記運転者の年齢および前記運転者の安静時心拍数が入力される入力端末と、電動アシスト自転車と、を備え、前記電動アシスト自転車は、前記心拍計から心拍数を取得する第1取得部と、前記年齢および前記安静時心拍数を前記入力端末から取得する第2取得部と、前記第2取得部が取得した、前記年齢および前記安静時心拍数から目標心拍数の範囲を決定する目標決定部と、前記第1取得部が取得した前記心拍数と、前記目標決定部が決定した前記目標心拍数の範囲とから、ペダルを回転させるモータのトルクと前記運転者がペダルを漕ぐことによって発生するトルクとの比率であるアシスト率を決定するアシスト率決定部と、を有する。
【0008】
本発明の一態様に係る電動アシスト自転車の制御方法は、運転者の心拍数を測定する心拍計から心拍数を取得する第1取得ステップと、年齢および安静時心拍数を入力端末から取得する第2取得ステップと、前記第2取得ステップで取得された、前記年齢および前記安静時心拍数から目標心拍数の範囲を決定する目標決定ステップと、前記第1取得ステップで取得された前記心拍数と、前記目標決定ステップで決定された前記目標心拍数の範囲とを比較することで、ペダルを回転させるモータのトルクと前記運転者がペダルを漕ぐことによって発生するトルクとの比率であるアシスト率を決定するアシスト率決定ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様に係る電動アシスト自転車等は、目標心拍数と計測された心拍数とに応じて、モータの駆動力を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態1における電動アシスト自転車の外観図である。
図2図2は、実施の形態1における電動アシスト自転車のブロック図である。
図3図3は、実施の形態1における電動アシスト自転車の制御方法を表すフローチャートである。
図4図4は、実施の形態1における電動アシスト自転車のアシスト率を示すグラフである。
図5図5は、実施の形態1における電動アシスト自転車のアシスト率を制御した場合の心拍数を表すグラフである。
図6図6は、実施の形態1における電動アシスト自転車のアシスト率を制御した場合の心拍数を表す別のグラフである。
図7図7は、実施の形態2における電動アシスト自転車の制御方法を表す別のフローチャートである。
図8図8は、実施の形態の変形例1における電動アシスト自転車のブロック図である。
図9図9は、実施の形態の変形例1における電動アシスト自転車の制御方法を表すフローチャートである。
図10図10は、実施の形態の変形例2における電動アシスト自転車のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態1)
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的、または、具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0012】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略、または、簡略化される場合がある。
【0013】
[電動アシスト自転車の概要]
図1は、実施の形態における電動アシスト自転車の外観図である。電動アシスト自転車1の車体8は、操作部2、ハンドル3、前輪4、フレーム5、サドル6、バッテリー7およびペダル9を備える。電動アシスト自転車1は、第1モードと、第2モードとを有する。第1モードは、例えばアシストモードであり、ペダル9への踏力に基づく車体8の前進が補助される。車体8の前進が補助されることを、アシストされるともいう。第2モードには、例えば押し歩きモード又は自走モードが含まれる。押し歩きモードでは、電動アシスト自転車1を押して歩くときの車体8を前へ押す力に基づく車体8の前進が補助される。自走モードでは、電動アシスト自転車1を支えながら進むときの車体8の前進が補助される。
【0014】
[電動アシスト自転車の制御システムの構成]
図2は、実施の形態における電動アシスト自転車のブロック図である。電動アシスト自転車1は、第1取得部11、第2取得部12、目標決定部13、アシスト率決定部14、モータ制御部15、モータ16、トルク計測部17およびケイデンス計測部18を備える。電動アシスト自転車1は、さらに、心拍計20と入力端末30と接続されていてもよい。
【0015】
第1取得部11は、心拍計20から電動アシスト自転車1の運転者の心拍数を取得する。第1取得部11は、アシスト率決定部14に取得した心拍数を送信する。
【0016】
第2取得部12は、入力端末30から運転者の年齢および運転者の安静時心拍数を取得する。第2取得部12は、目標決定部13に取得した心拍数を送信する。
【0017】
第1取得部11および第2取得部12は、無線通信を行う通信回路であってもよいし、有線通信を行う通信回路であってもよい。
【0018】
目標決定部13は、第2取得部12が取得した運転者の年齢および運転者の安静時心拍数から、目標心拍数を決定する。目標心拍数は、運転者の年齢と運転者の安静時心拍数を基に、カルボーネン法を用いて以下の式を用いて算出されてもよい。なお、以下の式の運動強度は、例えば、あらかじめ定められた値とされてもよいし、後述のようにユーザによって入力される運動目標値に応じて決定される場合もある。つまり、以下の式の運動強度としては、ユーザの所望の運動強度が用いられる場合もある。
【0019】
目標心拍数=運動強度×(最大心拍数-安静時心拍数)+安静時心拍数
【0020】
アシスト率決定部14は、第1取得部11が取得した運転者の心拍数と目標決定部13が決定した目標心拍数とを比較することで、ペダル9を回転させるモータ16のトルクと、運転者がペダル9を漕ぐことによって発生するトルクとの比率であるアシスト率を決定する。アシスト率決定部14は、トルク計測部17によってモータ16のトルクおよび運転者がペダルを漕ぐことによって発生するトルクを検出し、検出されたトルクの値を用いて、アシスト率を決定してもよい。
【0021】
モータ制御部15は、アシスト率決定部14が決定したアシスト率に基づいて、モータ16を制御する。モータ制御部15は、モータ16にアシスト率決定部14が決定したアシスト率を実現するようなPWM(Pulse Width Modulation)信号を送信してもよい。
【0022】
アシスト率決定部14およびモータ制御部15は、プログラムを実行するプロセッサと実行されるプログラム等を記憶するメモリとによって実現される。また、例えば、アシスト率決定部14は、マイコン(マイクロコントローラ)などで実現され、プログラムが格納された不揮発性メモリ、プログラムを実行するための一時的な記憶領域である揮発性メモリ、入出力ポート、プログラムを実行するプロセッサなどで構成されている。あるいは、制御装置22は、専用の電子回路で実現されてもよい。
【0023】
モータ16は、ペダル9及び前輪または/および後輪を駆動させる。モータ16は、ロータ、ベアリング、ステータ、ブラケット、および、リード線等から構成される。
【0024】
トルク計測部17は、モータ16のトルクおよび運転者がペダルを漕ぐことによって発生するトルクを検出し、検出した値をアシスト率決定部14に送信する。トルク計測部17は、トルクセンサ等で構成されてもよい。
【0025】
ケイデンス計測部18は、1分間のクランク回転数を計測する。ケイデンス計測部18は、クランク回転センサ等で構成されていてもよい。クランク回転センサは、歯車状の回転体と、光検出器とを有する。回転体は、中間筒体と一体的に回転するように設けられている。光検出器は、互いに対向するように配置された光出射部と受光部とを有する。光検出器は、回転体の歯が、光出射部から受光部に至る光の経路を遮る位置に設けられている。回転体の回転に合わせて歯が光を遮るので、受光部で受光される光が遮られた回数(又は、光が受光できた回数)と回転体の歯の数とに応じて、回転体の回転数が検出される。回転体と中間筒体及びクランクとが一体的に回転するので、回転体の回転数は、クランクの回転数に一致する。このようにして、クランク回転センサは、クランクの回転数を検出することができる。なお、クランク回転センサは、クランクの回転数を検出することができればいかなる構成でもよい。
【0026】
また、電動アシスト自転車1は、モータ回転センサを備えていてもよい。モータ回転センサは、モータ16の回転軸と一体的に回転する磁石と、ホールICとを有する。ホールICは、磁石の回転に応じて変化する磁界の変化を検出することで、磁石の回転数、すなわち、電動モータの回転数を検出する。なお、モータ回転センサは、モータ16の回転数を検出することができればいかなる構成でもよい。
【0027】
また、電動アシスト自転車1は、踏力センサを備えていてもよい。踏力センサは、磁歪式のトルクセンサであり、人力伝達体の外周表面に隙間を介して配置されたコイルと、コイルと人力伝達体との間に設けられた磁歪発生部とを有する。踏力センサは、ペダルへの踏力に基づいてクランク軸が回転することにより発生する人力駆動力を検出する。
【0028】
例えば、ペダル9に踏力が加えられて人力駆動力が発生した場合に、磁歪発生部に歪みが発生し、磁歪発生部には、透磁率が増加する部位と減少する部位とが発生する。このため、コイルのインダクタンス差を検出することで、人力駆動力を検出することが可能である。なお、踏力センサの構成は特に限定されず、ペダル9への踏力(又は人力駆動力)が検出できればいかなる構成でもよい。
【0029】
心拍計20は、運転者の心拍数を計測する。心拍計20は、自転車の運転者の心拍数を経時的に計測する。心拍計20は、数秒おきまたは数分おきに運転者の心拍数を計測してもよい。心拍計20は、赤外線や赤色光、550nm付近の緑色波長の光を生体に向けて照射し、フォトダイオード又はフォトトランジスタを用いて、生体内を反射した光を計測してもよい。
【0030】
入力端末30は、運転者の年齢および運転者の安静時心拍数を受け付ける端末である。入力端末は、タブレット端末、タッチパネル式の専用端末、入力部および表示部を備える専用端末、スマートフォン、または、パーソナルコンピュータでもよい。入力部は、入力ボタン等で実現されてもよい。
【0031】
[電動アシスト自転車の制御方法]
図3は、実施の形態における電動アシスト自転車の制御方法を表すフローチャートである。
【0032】
まず、第2取得部12は、入力端末30に入力された運転者の安静時心拍数を取得する(ステップS100)。このとき、第2取得部12は、入力端末30に入力された運転者の年齢も取得してもよい。
【0033】
次に、目標決定部13は、目標心拍数の範囲を決定する(ステップS101)。
【0034】
続いて、第1取得部11は、心拍計20が計測した運転者の心拍数を取得する(ステップS102)。
【0035】
そして、アシスト率決定部14は、目標心拍数の範囲と第1取得部11が取得した計測された心拍数とを比較する(ステップS103)。
【0036】
次に、アシスト率決定部14は、計測された心拍数が目標心拍数の範囲の上限よりも上か否かを判断する(ステップS104)。
【0037】
アシスト率決定部14が、計測された心拍数が目標心拍数の範囲の上限よりも上であると判断した場合(ステップS104でYes)、アシスト率決定部14は、アシスト率を増加させる(ステップS105)。具体的には、アシスト率決定部14は、アシスト率を現時点でのアシスト率から、現時点でのアシスト率と法定アシスト率(図4の実線100で示される)との差分の所定割合(例えば、50%)の量を増加させてもよい。そして、モータ制御部15は、アシスト率決定部14が決定したアシスト率を実現するようにモータ16を制御する。
【0038】
アシスト率決定部14が、計測された心拍数が目標心拍数の範囲の上限よりも下であると判断した場合(ステップS104でNo)、アシスト率決定部14は、計測された心拍数が目標心拍数の範囲の下限よりも下か否かを判断する(ステップS106)。
【0039】
アシスト率決定部14は、計測された心拍数が目標心拍数の範囲の下限よりも下であると判断した場合(ステップS106でYes)、アシスト率決定部14は、アシスト率を減少させる(ステップS108)。具体的には、アシスト率決定部14は、アシスト率を現時点でのアシスト率のうちの所定割合分(例えば、50%)減少させてもよい。そして、モータ制御部15は、アシスト率決定部14が決定したアシスト率を実現するようにモータ16を制御する。
【0040】
アシスト率決定部14は、計測された心拍数が目標心拍数の範囲の下限よりも上であると判断した場合(ステップS106でNo)、アシスト率決定部14は現在のアシスト率を維持する(ステップS107)。そして、モータ制御部15は、アシスト率決定部14が決定したアシスト率を実現するようにモータ16を制御する。
【0041】
なお、ステップS100において、またはステップS100の後に、第2取得部12は、運転者の運動強度の目標値である運動目標値を入力端末30から取得してもよい。そして、ステップS101において、目標決定部13は、運転者の年齢、運転者の安静時心拍数および第2取得部12が取得した運動目標値から、目標心拍数を決定してもよい。
【0042】
これにより、電動アシスト自転車1は、運転者の心拍数を計測することで、運転者の心拍数が所望の範囲に収まるように、アシスト率を決定し、モータ16を制御することができる。
【0043】
[電動アシスト自転車のアシスト率]
本発明の電動アシスト自転車1は、法定のアシスト率の範囲内で、本発明の電動アシスト自転車1の制御を行う。図4は、実施の形態における電動アシスト自転車のアシスト率を示すグラフである。実線100は、法定のアシスト率を示す。法定のアシスト率は、電動アシスト自転車1の速度が10km/hまでは、ペダル9を回転させるモータ16のトルクと、運転者がペダル9を漕ぐことによって発生するトルクとの比率が1:2である。電動アシスト自転車1の速度が10km/hを超え、24km/hまでは、法定のアシスト率は逓減する。電動アシスト自転車1の速度が24km/hのとき、法定のアシスト率は0とされる。アシスト率決定部14は、上記の法定アシスト率を超えない範囲の値に、アシスト率を決定する。図4に示される実線200が、従来の方法で決定された、運転者の心拍数が考慮されていないアシスト率の例である。本発明の電動アシスト自転車1のアシスト率決定部14が決定するアシスト率は、実線200で示されたアシスト率とは異なり、第1取得部11が取得した運転者の心拍数に応じて、法定のアシスト率の範囲内で、運転者の心拍数が所望の範囲内に収まるように調整される。アシスト率決定部14が決定するアシスト率は、数秒ごとに調整されてもよいし、1分から数分毎に調整されてもよい。
【0044】
[電動アシスト自転車の制御の例]
図5は、実施の形態における電動アシスト自転車のアシスト率を制御した場合の心拍数を表すグラフである。図5の実線300は、アシスト率決定部14の制御が行われなかった場合の運転者の心拍数を示している。図5に示される心拍数を表す軸は、安静時心拍数を起点としている。図5の実線400は、アシスト率決定部14の制御が行われた場合の運転者の心拍数を示している。実線300は、運転者の心拍数が時間と共に、徐々に増加していることを示している。対して、実線400は、運転者の心拍数が増加した後に、低下し、一定の心拍数となっていることを示している。つまり、実線400は、運転者の心拍数が電動アシスト自転車1を漕ぐことによる負荷によって上がっていた場合、アシスト率決定部14の制御によって、運転者の心拍数が所望の範囲に収まる様子を示している。
【0045】
図6は、実施の形態における電動アシスト自転車のアシスト率を制御した場合の心拍数を表す別のグラフである。図6の実線600は、アシスト率決定部14の制御が行われなかった場合の運転者の心拍数を示している。図6に示される心拍数を表す軸は、安静時心拍数を起点としている。図6の実線500は、アシスト率決定部14の制御が行われた場合の運転者の心拍数を示している。実線600は、運転者の心拍数が低い値のまま一定であることを示している。対して、実線500は、運転者の心拍数が、実線600よりも上昇したあと一定の値を保っていることを示している。つまり、実線500は、運転者の心拍数が所望の値よりも低い場合、アシスト率決定部14の制御によって、運転者の心拍数が所望の範囲に収まる様子を示している。
【0046】
(実施の形態2)
電動アシスト自転車1のアシスト率決定部14は、運転者の心拍数そのものではなく、運転者の心拍数の増加率または減少率に基づいて、アシスト率を決定してもよい。例えば、計測された運転者の心拍数が目標心拍数の範囲内であっても、心拍数の増加率または減少率が大きい場合には、運転者の心拍数が目標心拍数の範囲外にならないように、アシスト率を制御してもよい。図7は、実施の形態における電動アシスト自転車の制御方法を表す別のフローチャートである。図7は、運転者の心拍数が、目標心拍数の範囲内にある場合(例えば、図3に示されるステップS106でNoの場合)の制御を示している。
【0047】
まず、第2取得部12は、入力端末30に入力された運転者の安静時心拍数を取得する(ステップS200)。このとき、第2取得部12は、入力端末30に入力された運転者の年齢も取得してもよい。
【0048】
続いて、第1取得部11は、心拍計20が計測した運転者の心拍数を取得する(ステップS201)。
【0049】
次に、アシスト率決定部14は、計測された心拍数の増加量が所定量以上か否かを判断する(ステップS202)。
【0050】
アシスト率決定部14が、計測された心拍数の増加量が所定量以上であると判断した場合(ステップS202でYes)、アシスト率決定部14は、アシスト率を増加させる(ステップS203)。具体的には、アシスト率決定部14は、アシスト率を現時点でのアシスト率から、現時点でのアシスト率と法定アシスト率(図4の実線100で示される)との差分の所定割合(例えば、50%)の量を増加させてもよい。そして、モータ制御部15は、アシスト率決定部14が決定したアシスト率を実現するようにモータ16を制御する。
【0051】
アシスト率決定部14が、計測された心拍数の増加量が所定量以下であると判断した場合(ステップS202でNo)、アシスト率決定部14は、計測された心拍数の減少量が所定量以上か否かを判断する(ステップS204)。
【0052】
アシスト率決定部14は、計測された心拍数の減少量が所定量以上であると判断した場合(ステップS204でYes)、アシスト率決定部14は、アシスト率を減少させる(ステップS206)。具体的には、アシスト率決定部14は、アシスト率を現時点でのアシスト率のうちの所定割合分(例えば、50%)減少させてもよい。そして、モータ制御部15は、アシスト率決定部14が決定したアシスト率を実現するようにモータ16を制御する。
【0053】
アシスト率決定部14は、計測された心拍数の減少量が所定量以下であると判断した場合(ステップS204でNo)、アシスト率決定部14は現在のアシスト率を維持する(ステップS205)。そして、モータ制御部15は、アシスト率決定部14が決定したアシスト率を実現するようにモータ16を制御する。
【0054】
なお、ステップS200において、またはステップS200の後に、第2取得部12は、運転者の運動強度の目標値である運動目標値を入力端末30から取得してもよい。そして、ステップS201において、目標決定部13は、運転者の年齢、運転者の安静時心拍数および第2取得部12が取得した運動目標値から、目標心拍数を決定してもよい。
【0055】
また、目標決定部13は、ステップS200の後に、目標心拍数を決定してもよい。そして、アシスト率決定部14は、目標心拍数に応じて、運転者の心拍数の増加率または減少率に基づいて、アシスト率を決定してもよい。
【0056】
これにより、電動アシスト自転車1は、運転者の心拍数の増加率と減少率とを計測することで、運転者の心拍数が所望の範囲に収まるように、アシスト率を決定し、モータ16を制御することができる。
【0057】
なお、図7に示される処理では、運転者の心拍数が目標心拍数の範囲内にあるときに、心拍数の増加率または減少率に基づいてアシスト率が決定されたが、運転者の心拍数が目標心拍数の範囲外にあるときに、心拍数の増加率または減少率に基づいてアシスト率が決定されてもよい。
【0058】
例えば、運転者の心拍数が目標心拍数の下限よりも下の場合には、運転者の心拍数の減少量が所定値よりも大きいときに、アシスト率を減少させ、運転者の心拍数の減少量が所定値以下であるときに、アシスト率を増加または維持してもよい。同様に、また、運転者の心拍数が目標心拍数の上限よりも上の場合には、運転者の心拍数の増加量が所定値よりも大きいときに、アシスト率を増加させ、運転者の心拍数の増加量が所定値以下であるときに、アシスト率を減少または維持してもよい。
【0059】
(変形例1)
電動アシスト自転車1aは、運転者の年齢および安静時心拍数に基づいて目標心拍数を決定し、運転者の心拍数に基づいて、ペダルを回転させるモータのトルクであるアシスト力を決定してもよい。
【0060】
図8は、実施の形態の変形例1における電動アシスト自転車のブロック図である。電動アシスト自転車1aは、電動アシスト自転車1が備えるアシスト率決定部14の代わりに、アシスト力決定部14aを備える。電動アシスト自転車1aと電動アシスト自転車1とで共通の構成要素については、説明を省略する。
【0061】
アシスト力決定部14aは、第1取得部11が取得した運転者の心拍数と目標決定部13が決定した目標心拍数とを比較することで、ペダル9を回転させるモータ16のトルクであるアシスト力を決定する。アシスト力決定部14aは、トルク計測部17によってモータ16のトルクおよび運転者がペダルを漕ぐことによって発生するトルクを検出し、検出されたトルクの値を用いて、アシスト力を決定してもよい。
【0062】
アシスト力決定部14aは、プログラムを実行するプロセッサと実行されるプログラム等を記憶するメモリとによって実現される。また、例えば、アシスト力決定部14aは、マイコン(マイクロコントローラ)などで実現され、プログラムが格納された不揮発性メモリ、プログラムを実行するための一時的な記憶領域である揮発性メモリ、入出力ポート、プログラムを実行するプロセッサなどで構成されている。あるいは、制御装置22は、専用の電子回路で実現されてもよい。
【0063】
図9は、実施の形態の変形例1における電動アシスト自転車の制御方法を表すフローチャートである。
【0064】
まず、第2取得部12は、入力端末30に入力された運転者の安静時心拍数を取得する(ステップS300)。このとき、第2取得部12は、入力端末30に入力された運転者の年齢も取得してもよい。
【0065】
次に、目標決定部13は、目標心拍数の範囲を決定する(ステップS301)。
【0066】
続いて、第1取得部11は、心拍計20が計測した運転者の心拍数を取得する(ステップS302)。
【0067】
そして、アシスト率決定部14は、目標心拍数の範囲と第1取得部11が取得した計測された心拍数とを比較する(ステップS303)。
【0068】
次に、アシスト率決定部14は、計測された心拍数が目標心拍数の範囲の上限よりも上か否かを判断する(ステップS304)。
【0069】
アシスト率決定部14が、計測された心拍数が目標心拍数の範囲の上限よりも上であると判断した場合(ステップS304でYes)、アシスト力決定部14aは、アシスト力を増加させる(ステップS305)。具体的には、アシスト率決定部14は、アシスト率を現時点でのアシスト率から、現時点でのアシスト率と法定アシスト率(図4の実線100で示される)との差分の所定割合(例えば、50%)の量を増加させてもよい。そして、モータ制御部15は、アシスト力決定部14aが決定したアシスト力を実現するようにモータ16を制御する。
【0070】
アシスト率決定部14が、計測された心拍数が目標心拍数の範囲の上限よりも下であると判断した場合(ステップS304でNo)、アシスト力決定部14aは、計測された心拍数が目標心拍数の範囲の下限よりも下か否かを判断する(ステップS306)。
【0071】
アシスト力決定部14aは、計測された心拍数が目標心拍数の範囲の下限よりも下であると判断した場合(ステップS306でYes)、アシスト力決定部14aは、アシスト力を減少させる(ステップS308)。具体的には、アシスト率決定部14は、アシスト率を現時点でのアシスト率のうちの所定割合分(例えば、50%)減少させてもよい。そして、モータ制御部15は、アシスト力決定部14aが決定したアシスト力を実現するようにモータ16を制御する。
【0072】
アシスト力決定部14aは、計測された心拍数が目標心拍数の範囲の下限よりも上であると判断した場合(ステップS306でNo)、アシスト力決定部14aは現在のアシスト力を維持する(ステップS307)。そして、モータ制御部15は、アシスト力決定部14aが決定したアシスト力を実現するようにモータ16を制御する。
【0073】
なお、ステップS300において、またはステップS300の後に、第2取得部12は、運転者の運動強度の目標値である運動目標値を入力端末30から取得してもよい。そして、ステップS301において、目標決定部13は、運転者の年齢、運転者の安静時心拍数および第2取得部12が取得した運動目標値から、目標心拍数を決定してもよい。
【0074】
これにより、電動アシスト自転車1aは、運転者の心拍数を計測することで、運転者の心拍数が所望の範囲に収まるように、アシスト力を決定し、モータ16を制御することができる。
【0075】
また、電動アシスト自転車1aのアシスト力決定部14aは、運転者の心拍数そのものではなく、運転者の心拍数の増加率または減少率に基づいて、アシスト力を決定してもよい。アシスト力決定部14aが運転者の心拍数の増加率または減少率に基づいて、アシスト力を決定する場合に行われる制御は、図7で説明されたものと同様である。
【0076】
(変形例2)
図10は、実施の形態の変形例2における電動アシスト自転車のブロック図である。電動アシスト自転車1bは、自身に心拍計20bおよび入力端末30bを備えていてもよい。これにより、電動アシスト自転車1bは、直接、運転者の心拍数、年齢および安静時心拍数を取得することができる。なお、電動アシスト自転車1bは、アシスト率決定部14の代わりに、アシスト力決定部14aを備えていてもよい。
【0077】
変形例2における電動アシスト自転車1bの構成および制御方法のうち、実施の形態1および実施の形態2と同一の内容については、説明を省略する。
【0078】
[効果等]
電動アシスト自転車1は、運転者の心拍数を測定する心拍計20から心拍数を取得する第1取得部11と、運転者の年齢および運転者の安静時心拍数が入力される入力端末30から年齢および安静時心拍数を取得する第2取得部12と、第2取得部12が取得した、年齢および安静時心拍数から目標心拍数の範囲を決定する目標決定部13と、第1取得部11が取得した心拍数と、目標決定部13が決定した目標心拍数の範囲とを比較することで、ペダルを回転させるモータのトルクと運転者がペダルを漕ぐことによって発生するトルクとの比率であるアシスト率を決定するアシスト率決定部14と、を備える。
【0079】
これにより、電動アシスト自転車1は、運転者の年齢および安静時心拍数に基づいて目標心拍数を決定し、運転者の心拍数に基づいて、ペダルを回転させるモータのトルクと運転者がペダルを漕ぐことによって発生するトルクとの比率であるアシスト率を決定することによって、運転者の心拍数を所望の範囲に保つことができる。
【0080】
また、例えば、第2取得部12は、運転者の運動強度の目標値である運動目標値が入力される入力端末30から運動目標値をさらに取得し、目標決定部13は、年齢および安静時心拍数、および、第2取得部12が取得した運動目標値から目標心拍数を決定してもよい。
【0081】
これにより、電動アシスト自転車1は、運転者が所望の運動目標値を達成することができるように、アシスト率を決定することによって、運転者の心拍数を所望の範囲に保つことができる。
【0082】
また、例えば、アシスト率決定部14は、第1取得部11が計測した心拍数が、目標決定部13が決定した目標心拍数の範囲の上限を上回った場合、アシスト率を増加させてもよい。
【0083】
これにより、運転者の心拍数が所望の心拍数の範囲の上限を上回った場合、電動アシスト自転車1は、運転者の心拍数の上昇を抑え、または運転者の心拍数を低下させることができる。
【0084】
また、例えば、アシスト率決定部14は、第1取得部11が計測した心拍数が、目標決定部13が決定した目標心拍数の範囲の下限を下回った場合、アシスト率を減少させてもよい。
【0085】
これにより、運転者の心拍数が所望の心拍数の範囲の下限を下回った場合、電動アシスト自転車1は、運転者の心拍数の下降を抑え、または運転者の心拍数を上昇させることができる。
【0086】
また、例えば、アシスト率決定部14は、第1取得部11が取得した心拍数の増加量が所定量以上であった場合、アシスト率を増加させてもよい。
【0087】
これにより、運転者の心拍数の増加量が所定の値よりも大きい場合、電動アシスト自転車1は、運転者の心拍数の上昇を抑え、または運転者の心拍数を低下させることができる。
【0088】
また、例えば、アシスト率決定部14は、第1取得部11が取得した心拍数の減少量が所定量以上であった場合、アシスト率を減少させてもよい。
【0089】
これにより、運転者の心拍数の減少量が所定の値よりも大きい場合、電動アシスト自転車1は、運転者の心拍数の下降を抑え、または運転者の心拍数を上昇させることができる。また、例えば、電動アシスト自転車1bは、さらに、入力端末30および心拍計20の少なくとも一方を備えてもよい。
【0090】
これにより、電動アシスト自転車1bは、運転者の心拍数と運転者の年齢および運動目標値とを直接取得することができる。
【0091】
また、電動アシスト自転車1aは、運転者の心拍数を測定する心拍計20から心拍数を取得する第1取得部11と、運転者の年齢および運転者の安静時心拍数が入力される入力端末30から年齢および安静時心拍数を取得する第2取得部12と、第2取得部12が取得した、年齢および安静時心拍数から目標心拍数の範囲を決定する目標決定部13と、第1取得部11が取得した心拍数と、目標決定部13が決定した目標心拍数の範囲とを比較することで、ペダルを回転させるモータのトルクであるアシスト力を決定するアシスト力決定部14aと、を備えてもよい。
【0092】
これにより、電動アシスト自転車1aは、運転者の年齢および安静時心拍数に基づいて目標心拍数を決定し、運転者の心拍数に基づいて、ペダルを回転させるモータのトルクであるアシスト力を決定することによって、運転者の心拍数を所望の範囲に保つことができる。
【0093】
また、電動アシスト自転車1の制御システムは、運転者の心拍数を測定する心拍計20と、運転者の年齢および運転者の安静時心拍数を入力する入力端末30と、電動アシスト自転車1と、を備え、電動アシスト自転車1は、心拍計20から心拍数を取得する第1取得部と、入力端末30から年齢および安静時心拍数を取得する第2取得部12と、第2取得部12が取得した、年齢および安静時心拍数から目標心拍数の範囲を決定する目標決定部13と、第1取得部11が取得した心拍数と、目標決定部13が決定した目標心拍数の範囲とから、ペダルを回転させるモータのトルクと運転者がペダルを漕ぐことによって発生するトルクとの比率であるアシスト率を決定するアシスト率決定部14と、を有する。
【0094】
これにより、電動アシスト自転車1の制御システムは、運転者の年齢および安静時心拍数に基づいて目標心拍数を決定し、運転者の心拍数に基づいて、ペダルを回転させるモータのトルクと運転者がペダルを漕ぐことによって発生するトルクとの比率であるアシスト率を決定することによって、運転者の心拍数を所望の範囲に保つことができる。
【0095】
また、電動アシスト自転車1の制御方法は、運転者の心拍数を測定する心拍計20から心拍数を取得する第1取得ステップと、運転者の年齢および運転者の安静時心拍数が入力される入力端末30から年齢および安静時心拍数を取得する第2取得ステップと、第2取得ステップで取得された、年齢および安静時心拍数から目標心拍数の範囲を決定する目標決定ステップと、第1取得ステップで取得された心拍数と、目標決定ステップで決定された目標心拍数の範囲とを比較することで、ペダルを回転させるモータのトルクと運転者がペダルを漕ぐことによって発生するトルクとの比率であるアシスト率を決定するアシスト率決定ステップと、を含む。
【0096】
これにより、電動アシスト自転車1の制御方法は、上記電動アシスト自転車1の制御システムと同様の効果を奏することができる。
【0097】
[その他]
また、実施の形態において、ユニット、装置、部材、または、部の全部、または、一部、または、図4に示されるブロック図の機能ブロックの全部、または、一部は、半導体装置、半導体集積回路(IC(Integrated Circuit))、または、大規模集積回路(LSI(Large Scale Integration))を含む一つ、または、複数の電子回路によって実行されてもよい。IC、または、LSIは、一つのチップ(システムLSI)に集積されてもよいし、複数のチップを組み合わせて一つのシステム(チップセット)に構成されてもよい。例えば、画面の表示処理以外の機能ブロックは、一つのチップに集積されてもよい。ここでは、IC、または、LSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、VLSI(Very Large Scale Integration)、若しくはULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるものであってもよい。LSIの製造後にプログラムされる電子ヒューズ(eFuse)を搭載したシステムLSI、または、FPGA(Field Programmable Gate Array)、または、LSI内部の接続関係の再構成、または、LSI内部の論理回路の動的な再構成ができるリコンフィギュラブルデバイス(reconfigurable device)も同じ目的で使うことができる。
【0098】
さらに、ユニット、装置、部材、または、部の全部、または、一部の機能、または、操作は、ソフトウエア処理によって実行することが可能である。この場合、ソフトウエアは一つ、または、複数のROM、光学ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録され、ソフトウエアがマイクロコントローラ(MCU(microcontroller))、または、マイクロプロセッサ(MPU(microprocessor))等の処理装置(processor)によって実行されたときに、そのソフトウエアで特定された機能が処理装置および周辺装置によって実行される。システム、または、装置は、ソフトウエアが記録されている一つ、または、複数の非一時的記録媒体、処理装置、および必要とされるハードウェアデバイス、例えばデジタルインターフェース、を備えていても良い。
【0099】
また、上記各実施の形態における制御装置22は、プロセッサとメモリとを有し、メモリには、図3図7または図9に示すフローチャートの各ステップを実行するためのプログラムが記憶されていてもよい。この場合、プロセッサは、そのメモリに記憶されているプログラムを実行する。
【符号の説明】
【0100】
1、1a、1b 電動アシスト自転車
9 ペダル
11 第1取得部
12 第2取得部
13 目標決定部
14 アシスト率決定部
14a アシスト力決定部
15 モータ制御部
16 モータ
20、20b 心拍計
30、30b 入力端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10