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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-13
(45)【発行日】2023-07-24
(54)【発明の名称】球技用具
(51)【国際特許分類】
   A63B 61/00 20060101AFI20230714BHJP
   A63B 61/02 20060101ALI20230714BHJP
   A63B 61/04 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
A63B61/00 Z
A63B61/02 Z
A63B61/04 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022152032
(22)【出願日】2022-09-23
【審査請求日】2023-02-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】721010559
【氏名又は名称】古屋 星二
(72)【発明者】
【氏名】古屋 星二
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0148154(US,A1)
【文献】米国特許第6386997(US,B1)
【文献】米国特許第5976039(US,A)
【文献】米国特許第3544109(US,A)
【文献】米国特許第1897801(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0298913(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106512377(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111068277(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0121192(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-2020061(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 61/00-61/04
A63B 67/04
A63B 71/02
A63C 19/00-19/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボールを交互に打ち返す球技のための用具であって、
床上または台上に設置するアウトライン体と、
自分のコートと、相手のコートを分けるためのコート分割体と、
前記アウトライン体で囲まれたコートの内側に、前記コート分割体と交差するインライン体を有し、
前記アウトライン体、前記コート分割体および前記インライン体が、互いに組み立ておよび分解できる機構を備えたことを特徴とする球技用具。
【請求項2】
前記アウトライン体、または前記コート分割体、または前記インライン体のいずれか一つ以上が、伸縮機構を備えたことを特徴とする、
請求項1に記載の球技用具。
【請求項3】
前記アウトライン体、または前記コート分割体、または前記インライン体のいずれか一つ以上が、折り畳み機構を備えたことを特徴とする、
請求項1に記載の球技用具。
【請求項4】
ボールを交互に打ち返す球技のための用具であって、
床上または台上に設置するアウトライン体と、
自分のコートと、相手のコートを分けるためのコート分割体を有し、
前記コート分割体が、高さ調節機構を備えたことを特徴とする球技用具。
【請求項5】
さらに、前記アウトライン体で囲まれたコートの内側に、インライン体を備えたことを特徴とする、
請求項4に記載の球技用具
【請求項6】
さらに、 前記アウトライン体、または前記インライン体のいずれか一つ以上が、接触感知装置を備えたことを特徴とする、
請求項1または請求項5に記載の球技用具。
【請求項7】
前記アウトライン体で囲まれたコートの内側の前記コート分割体近傍にアウトエリア拡張体を有し、
前記アウトエリア拡張体が、前記アウトライン体または前記インライン体のいずれか一つ以上に、互いに組み立ておよび分解できる機構、または伸縮機構、または折り畳み機構、または接触感知装置のいずれか一つ以上を、備えたことを特徴とする、
請求項1または請求項5に記載の球技用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手に持ってボールを打ち返すための用具(以降、本発明の球技用具と区別するためにラケットとする)を用い、ボールを交互に打ち返す球技のための用具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ラケットを用いてボールを交互に打ち返す球技としては、卓球とテニスを挙げることができる。卓球は卓球台が必要である。公式の卓球台サイズは、縦2.74m、横1.525m、高さ0.76m。競技エリアは縦14m、横7mである。テニスは広い競技エリアの専用コートが必要である。公式のテニスコートサイズは硬式、軟式ともに縦23.77m、横10.97m。競技エリアは硬式では縦36.57m以上、横18.29m以上。軟式では縦39.77m以上、横22.97m以上である。
【0003】
卓球、テニスともに素早く動く必要があり、転ぶ、足首を挫く、足が吊る等の危険性がある。おもに夏場では、脱水症状になることもある。さらに、卓球台に手や体をぶつけて怪我をすることがある。
【0004】
卓球、テニスともにミドル(ラケットを持つ手側のズボンポケット付近)のボールは返球しにくく、体を動かしてフォアハンドストロークかバックハンドストロークで返球するのが望ましい。
【0005】
車椅子卓球は一般のルールに準じているが、サービスのコースや軌道が制限されている。車椅子では左右に大きく素早く移動することが難しく、膝や腰が使えず体の上下および旋回が困難なため、ラケットを大きく振れないので、ボールのスピード、回転量および手の届く範囲(卓球台のサイド側やネットに近い台上)等が制限される。車椅子テニスは、ボールをツーバウンドまでOKなど健常者とはルールが異なる。
【0006】
パラリンピックの卓球では、座位(車椅子)、立位、知的障害の3クラスに分かれている。さらに、座位、立位ともに5段階にクラスが分けられている。
【0007】
卓球台は、折り畳めるものや、卓球台を支持する足に車輪がついているものがあるため、平面を移動することは容易である。しかし、重量が重く、持ち運びは困難で、折り畳み時は高さもあるため、倒れる危険性がある。
【0008】
卓球台は、傷、へこみ、角の欠けおよび支持する足等が故障しても、修理または交換が困難であるため、そのまま使用することがある。また、競技時は、傷やへこみにボールが当たり、バウンドが変化することがある。
【0009】
卓球は、卓球台を常設できない施設での大人数で行う練習または試合では、卓球台設置の準備および片付けに時間がかかる。また、多くの卓球台が必要になり、それらを収納するスペースも必要になる。さらに、テニスは、前述したように広い競技エリアが必要なため多くのコートを確保するのは困難で、同時に多くの練習または試合が行えない。
【0010】
卓球は、台の高さが床から0.76mのところにあることから、ラケットを台の下から振り上げる、または台の上から振り下げることができるため、ボールに強烈な回転をかけることができる。さらに、ラケットのスイング幅が大きいためボールのスピードも速くなる。
【0011】
卓球は、エッジ(ボールが卓球台の角に当たること)かサイド(ボールが卓球台の側面に当たること)かで、テニスは、ボールのオンラインかオフラインかで判定を迷うことがあり、競技が中断されることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
卓球は重量のある卓球台、テニスは専用のテニスコートと、それぞれに広い競技エリアが必要となることから、容易には競技できない問題がある。さらに、競技エリアが広いため、フットワークが必要なのと、球速が速ければ速いほど有利であることから、比較的素早い動作と力強さが要求されるため、子供や高齢者および身体障害者(車椅子や義足使用者)が競技するには難点がある。また、健常者と身体障害者が同じルールで競技しようとするのにも難点がある。
【0013】
卓球およびテニスによる安全性の問題がある。
【0014】
卓球台は重量があるため、段差の移動や運搬が困難である。
【0015】
卓球台は傷、へこみ、角の欠けおよび支持する足等が故障しても、修理または交換が困難である。
【0016】
卓球台を常設できない場所での、卓球台設置の準備および片付けにかかる時間および労力の問題がある。
【0017】
卓球台を収納するスペースの問題がある。
【0018】
卓球台は、コストおよび運搬コストがかかるため、発展途上国や離島には普及しにくい問題がある。
【0019】
卓球は、ラケットのスイング幅およびラバーにより、ボールに強烈な回転をかけることができる。テニスは、身長が高ければ遠心力によりサーブやスイングで、ボールにスピードが出せる。さらに、卓球、テニスともに強い筋力により強いボールを打つことや、素早く動くことができる。これらのことから、性別や体格等の差、経験者と未経験者、上級者と初心者とのレベル差が顕著に現れる問題がある。
【0020】
卓球は、ボールのエッジかサイドかの判定が、テニスは、ボールのオンラインかオフラインかの判定を行うことが困難である。
【課題を解決するための手段】
【0021】
ボールを交互に打ち返す球技のための用具であって、床上および台上に設置するアウトライン体1と、自分のコートと相手のコートを分けるためのコート分割体3を有し、アウトライン体1およびコート分割体3が互いに組み立ておよび分解できる機構を備えたことを特徴とする球技用具を提供する。
組み立ておよび分解できる機構は、仕口・組手・差口、ボルト止め若しくはネジ止めおよび管状挿入・脱着等でもよく、これらの組み合わせでもよい。
【0022】
アウトライン体1で囲まれたコートの内側にインライン体2を有し、インライン体2がアウトライン体1およびコート分割体3と互いに組み立ておよび分解できる機構を備えていてもよい。
【0023】
アウトライン体1、またはコート分割体3、またはインライン体2のいずれか一つ以上が伸縮機構を備えていてもよい。
【0024】
アウトライン体1、またはコート分割体3、またはインライン体2のいずれか一つ以上が折り畳み機構を備えていてもよい。
【0025】
コート分割体3が、高さ調節機構を備えていてもよい。
【0026】
アウトライン体1、またはインライン体2のいずれか一つ以上が接触感知装置を備えていてもよい。
【0027】
アウトライン体1で囲まれたコートの内側のコート分割体3近傍に、アウトエリア拡張体16を有し、アウトエリア拡張体16が、アウトライン体1またはインライン体2のいずれか一つ以上に、互いに組み立ておよび分解できる機構、または伸縮機構、または折り畳み機構、または接触感知装置のいずれか一つ以上を備えていてもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明の球技用具において、卓球で使用するラケット、ボール、ネットおよびネットサポーターを用いて競技するのが好ましく、床の上に設置して使用する場合は、競技者は床に座る、または膝立ちで競技する。そのため、競技者はその場から動かずに競技するので、競技エリアは卓球の競技エリアの半分以下になり、設置場所の確保がしやすい。
【0029】
競技者は床に座る、または膝立ちで競技するため、足を動かす必要がないので、子供、成年、高齢者、健常者および障害者(車椅子や義足使用者等)がフットワーク能力に関係なく、同じルールで競技できる。さらに、床より下にはラケットが下げられないため、卓球よりもラケットのスイング幅が小さくなるので、ボールに回転がかけにくくなるため、経験者と未経験者、上級者と初心者とのレベル差が軽減される。
【0030】
卓球台で怪我をする一つとして、台上でツーバウンドするかしないかのボールを、台の下からラケットを振り上げて返球する際に、台に手が衝突してしまうことが挙げられるが、本発明の球技用具では、床より下にはラケットを下げられないため、上記理由による怪我はなくなる。また、足を動かして移動しないため、足の怪我や体を台や壁にぶつけて怪我をすることも軽減する。
【0031】
本発明の球技用具は、卓球台よりも軽量および安価で製作でき、アウトライン体1、インライン体2、コート分割体3およびアウトエリア拡張体16を分解できるため、運搬がしやすく、収納スペースも小さく済み、競技スペースも狭いことから、体育館だけでなく、学校、ジム、介護施設、老人ホーム、児童施設および一般家庭等でも手軽に楽しむことができる。また、発展途上国や離島にも普及させやすくなる。さらに、図4および図5に示すような伸縮機構や、図9および図10に示すような折り畳み機構を備えることで、より持ち運びがしやすくなる。
【0032】
本発明の球技用具は、コート分割体3を図1に示すように、既製品の卓球のネットサポーター8を取り付けられる仕様にもできるため、すでに卓球台を保有している施設は、卓球のネット9、ネットサポーター8およびラケットなどの用具を購入する必要がないため、コストを抑えることができる。また、座って競技する時は動かないため、競技者はシューズを必要としない。
【0033】
また、例えば、アウトライン体1の内の一つである、縦アウトライン体1aの1本が紛失または破損した場合、縦アウトライン体1aを1本だけ購入すれば良いため、メンテナンスコストを抑えることができる。
【0034】
本発明の球技用具では、座って競技するときは体を動かすことができないため、ミドルが弱点となってしまい、ミドル対ミドルの打ち合いになり、ワンパターン化してしまう。それを緩和するため、図3に示すように、アウトライン体1で囲まれたコートの内側に、インライン体2を設けることでミドルが狙いづらくなる。
【0035】
座って競技する時は移動できないので、手の長い人の方がボールに届く範囲が広くなるため有利になってしまうが、図13に示すように、アウトライン体1、インライン体2、コート分割体3およびアウトエリア拡張体16に互いに組み立ておよび分解できる機構を数か所設けることで、自分コートおよび相手コートのコート面積を変えることができる。これにより、図14に示すように、手が長い人、経験者および上級者等は広い面積のコートで、手の短い人、未経験者および初心者等は面積の狭いコートで競技することで、身体的、経験的な差を軽減することができる。
【0036】
図18に示すように、コート分割体3が高さ調節機構を有することで、ネット9またはネット代替物(ネット9の形状に近い布や板等または紐でもよい)の高さが低ければ、ボールの弾道も低くなりスピード感のある球技になる。ネット9またはネット代替物の高さが高ければ、ボールの弾道が高くなりスピードが遅くなることでラリーが続きやすくなる。これにより、競技者のレベルに合わせた競技を選択できる。
【0037】
本発明の球技用具を使用した時のルールとして、サービスまたは返球したボールが相手コートのアウトライン体1、またはインライン体2、またはアウトエリア拡張体16に当たったら失点とすることで、エッジやサイド、オンラインかオフラインでの難しい判定による競技中断がなくなる。そこで、アウトライン体1、インライン体2およびアウトエリア拡張体16を立体形状にすることで、ボールがそれらに接触すると軌道が変わるため判定が明確になる。
【0038】
さらに、図20に示すように、アウトライン体1、インライン体2およびアウトエリア拡張体16に接触感知部材15を有した接触感知装置を備えることで、判定を機械的に行うことができる。また、接触感知部材15が発光装置を備えることで視覚的に、さらに音響装置を備えることで聴覚的にも判定を行うことができ、競技者だけでなく審判および観覧者も、より正確に瞬時に明確に判定および判断ができる仕様にすることもできる。
【0039】
また、台上または卓球台上にも設置できるので、立って競技することもできる。これにより、コート面積の調節によるハンデの有無や判定の明確さを備えつつ、上下のラケットスイング幅の増大やフットワークの要素が加わった、卓球に近い球技になる。また、台やネットの高さによって、椅子に座っての競技や膝立ちでの競技もできる。
【0040】
以上のことから、健常者、障害者、年齢、性別、体格、経験および場所にかかわらず、多くの人に公平、多様な競技性、手軽および安全に競技できる球技用具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明の競技時における全体斜視図である。
図2図1の球技用具に互いに分解および組み立てできる機構をもうけた分解斜視図である。
図3図1にインライン体2を備えた全体斜視図である。
図4】本発明の縦アウトライン体1aの伸縮機構を備えた斜視図であり、伸びた状態である。
図5】本発明の縦アウトライン体1aの伸縮機構を備えた斜視図であり、縮んだ状態である。
図6】本発明の縦アウトライン体1aの伸縮機構を備えた分解斜視図である。
図7】本発明のコート分割体3の伸縮機構を備えた斜視図であり、伸びた状態である。
図8】本発明のコート分割体3の伸縮機構を備えた斜視図であり、縮んだ状態である。
図9】本発明の縦アウトライン体1aの折り畳み機構を備えた斜視図であり、広げた状態である。
図10】本発明の縦アウトライン体1aの折り畳み機構を備えた斜視図であり、畳んだ状態である。
図11】本発明のコート分割体3の折り畳み機構を備えた斜視図であり、広げた状態である。
図12】本発明のコート分割体3の折り畳み機構を備えた斜視図であり、畳んだ状態である。
図13図3の球技用具に互いに組み立ておよび分解できる機構を数か所設け、アウトエリア拡張体16を有した全体斜視図である。
図14図13のコート面積を調節した全体斜視図である。
図15】本発明の横アウトライン体1bの斜視図である。
図16】本発明の縦アウトライン体1a、横アウトライン体1bおよびアウトエリア拡張体16が互いに組み立ておよび分解できる機構を数か所設けた分解斜視図である。
図17】本発明の縦アウトライン体1aと、コート分割体3が互いに組み立ておよび分解できる機構を数か所設けた分解斜視図である。
図18】本発明のコート分割体3が高さ調節機構を備えた斜視図である。
図19図18の高さ調節機構部の拡大分解斜視図である。
図20】本発明の縦アウトライン体1aが接触感知装置を備えた斜視図である。
図21】本発明の一実施形態を示したアウトライン体1が正方形の上面図である。
図22図21におけるA-A線断面図である。
図23】本発明の一実施形態を示したアウトライン体1が円形の上面図である。
図24】本発明の一実施形態を示したアウトライン体1が台形の上辺を軸に開いた形の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0042】
図1は、競技時における本発明の一実施形態を示した組み立て全体斜視図である。アウトライン体1を6本およびコート分割体3と、既製品のネットサポーター8およびネット9を使用した場合である。アウトライン体1は、コート分割体3に対して直角に設置された縦アウトライン体1aを4本と、コート分割体3に対して平行に設置された横アウトライン体1bを2本とで構成され、縦アウトライン体1aは、コート分割体3に取付けられ、横アウトライン体1bは縦アウトライン体1aに取り付けられている。ネットサポーター8はコート分割体3に取り付けられ、ネット9はネットサポーター8に取り付けられている。本発明の球技用具は、床上または台上に設置する。
【0043】
図2は、請求項1に記載の分解全体斜視図である。構成は図1と同じである。アウトライン体1およびコート分割体3が互いに組み立ておよび分解できる機構を備えている。これにより、運搬がしやすく、収納スペースも小さく済む。
【実施例2】
【0044】
図3は、インライン体2を備えた請求項2に記載の組み立て全体斜視図である。アウトライン体1で囲まれたコートの内側に、アウトライン体1およびコート分割体3と互いに組み立ておよび分解できる機構を設けたインライン体2を、縦アウトライン体1aと平行に、横アウトライン体1bおよびコート分割体3の中心付近に備えている。本発明の球技用具を使用して座って競技するときは、競技者は体を移動することができないため、ミドルが弱点となってしまい、ミドル対ミドルの打ち合いになり、ワンパターン化してしまう。それを緩和するために、アウトライン体1で囲まれたコートの内側にインライン体2を設けることでミドルを狙いづらくなる。これにより、ボールがミドルに集まりにくくなる。本発明の球技用具を使用した時のルールとして、サービスまたは返球したボールが相手コートのアウトライン体1、またはインライン体2、またはアウトエリア拡張体16に当たったら失点とする。インライン体2は、縦アウトライン体1aと構造は同じでもよい。
【0045】
図4は、請求項3に記載のアウトライン体1の内の一つである、縦アウトライン体1aの伸びた状態の斜視図である。図5は、図4の縦アウトライン体1aの縮んだ状態の斜視図である。図6は、図5の縦アウトライン体1aの分解斜視図である。アウトライン体内枠11aに、アウトライン体外枠12aをはめ込み、アウトライン体外枠12aに設けられた固定部材穴5に、アウトライン体内枠11aに設けられた2か所の固定部材穴5のどちらか一方に、固定部材4をはめ込むことで伸縮させることができる。請求項1または請求項2に記載の本発明の球技用具は、分解時において、縦アウトライン体1aが短縮できることにより、本発明の球技用具設置時よりも長手方向にさらに短くなり、運搬がしやすく、収納スペースも小さく済む。また、面積調節穴18を設けることで、伸縮長さを調節できる。横アウトライン体1b、インライン体2およびアウトエリア拡張体16の伸縮機構も図6と同じでもよく、他の伸縮機構でもよい。
【0046】
図7は、請求項3に記載のコート分割体3の伸びた状態の斜視図である。図8は、図7のコート分割体3の縮んだ状態の斜視図である。コート分割体外枠32、コート分割体内枠31、固定部材4および固定部材穴5から構成され伸縮させることができる。これにより、図5の縦アウトライン体1a同様に、運搬がしやすく、収納スペースも小さく済む。伸縮機構は図6の縦アウトライン体1aと同じでもよく、他の伸縮機構でもよい。
【0047】
図9は、請求項4に記載の縦アウトライン体1aの広げた状態の斜視図である。図10は、図9の縦アウトライン体1aの畳んだ状態の斜視図である。縦アウトライン体1aを中心付近で分け、それぞれをアウトライン体a枠13aおよびアウトライン体b枠14aとし、蝶番6を使用し、ネジ7でそれぞれを固定することで、折り畳むことができる。これにより、請求項1または請求項2に記載の本発明の球技用具よりも長手方向に短くなり、運搬がしやすく、収納スペースも短くなる。横アウトライン体1b、インライン体2およびアウトエリア拡張体16の折り畳み機構も上記と同じでもよく、他の折り畳み機構でもよい。
【0048】
図11は、請求項4に記載のコート分割体3の広げた状態の斜視図である。図12は、図11の畳んだ状態の斜視図である。コート分割体3を中心付近で分け、それぞれをコート分割体a枠33およびコート分割体b枠34とし、蝶番6を使用し、ネジ7でそれぞれを固定することで、折り畳むことができる。これにより、図10の縦アウトライン体1a同様に、長手方向に短くなり、運搬がしやすく、収納スペースも短くなる。
伸縮機構について、伸縮・延長方式、折り畳み機構について、蝶番方式について説明したが、他の方式でもよい。
【0049】
実施例2では、アウトライン体1aおよびインライン体2がコート分割体3で、自分コートと相手コートの2本に分割されているが、伸縮または折り畳み可能なので1本でもよい。
【実施例3】
【0050】
図13は、図3の球技用具に、アウトエリア拡張体16をコート分割体3に近傍する位置に2本増やした一実施形態を示した全体斜視図である。アウトエリア拡張体16は、縦アウトライン体1aに直角であり、かつコート分割体3に平行であり、アウトライン体1、インライン体2およびアウトエリア拡張体16に互いに組み立ておよび分解できる機構を数か所設けた図である。座って競技するため前後に動くことができず、コート分割体3付近のアウトエリア(図13図14斜線部)にバウンドしたボールに届かないケースが起こることを、アウトエリア拡張体16を設置することで、コート分割体3付近のボールをアウトにできる。これにより、コート分割体付近にバウンドしたボールに手が届かずに返球できないケースが減少される。また、組み立ておよび分解できる機構を数か所増やすことで、コート面積およびアウトエリアを調節することができる。
【0051】
図14は、コート面積を変えた場合の全体斜視図である。コート分割体3を中心としたとき、自分コートを左側、相手コートを右側と定義する。自分コート(左側)において、アウトライン体1、インライン体2、コート分割体3およびアウトエリア拡張体16のそれぞれに設けられた外側の組み立ておよび分解できる機構で組み立てれば、コート面積は広くなる。一方、相手コート(右側)において、アウトライン体1、インライン体2、コート分割体3およびアウトエリア拡張体16のそれぞれに設けられた内側の組み立ておよび分解できる機構で組み立てれば、コート面積は狭くなる。また、横アウトライン体1b、コート分割体3およびアウトエリア拡張体16の中央付近に、互いに組み立ておよび分解できる機構をいくつか備えているため、インライン体2の位置も調節できる。これにより、フォアハンド側を広く、バックハンド側を狭くする等、また、自分コートのインライン体2は設置し、相手コートのインライン体2を取り外す等、多様なコート面積の調節ができる。図14に記載の点線部は、アウトライン体1を外側から内側に移動したときの比較である。図6に記載の点線部は、面積調節穴18である。面積調節穴18を数か所設けることでもコート面積の調節が可能になる。
【0052】
図15は、組み立ておよび分解できる機構を備えた、横アウトライン体1bの斜視図である。請求項7に記載のアウトエリア拡張体16の構造も同じでもよい。
【0053】
図16は、縦アウトライン体1a、横アウトライン体1bおよびアウトエリア拡張体16の分解斜視図である。それぞれが係合でき、互いに組み立ておよび分解できる機構を、縦アウトライン体1a、横アウトライン体1bおよびアウトエリア拡張体16に数か所設けることで、コート面積を調節することができる。横アウトライン体1bおよびインライン体2が、互いに組み立ておよび分解できる機構も同じ構造でもよい。
【0054】
図17は、互いに組み立ておよび分解できる機構を備えた、コート分割体3および縦アウトライン体1aの分解斜視図である。それぞれが係合でき、互いに組み立ておよび分解できる機構を、コート分割体3および縦アウトライン体1aに数か所設けることで、コート面積を調整することができる。コート分割体3およびインライン体2が、互いに組み立ておよび分解できる機構も同じ構造でもよい。
【実施例4】
【0055】
図18は、請求項5に記載の高さ調節機構を備えた、コート分割体3の一実施形態を示した斜視図である。コート分割体3、台形の突出部36を有したネットサポーター支持体35および固定部材4から構成されている。図19は、図18の拡大分解斜視図である。ネットサポーター支持体35に設けた台形の突出部36を、コート分割体3に掘られた台形の溝にスライドさせ係合し、ネットサポーター支持体35に設けられた固定部材穴5に、コート分割体3に設けられた2か所の固定部材穴5のどちらかを係合し、固定部材4をはめ込むことで高さを調節できる。これにより、ネット9またはネット代替物の高さが低ければ、ボールの弾道も低くなり、スピード感のある球技になる。ネット9またはネット代替物の高さが高ければ、ボールの弾道が高くなり、スピードが遅くなることで、ラリーが続きやすくなる。
高さ調節機構について、段階的に高さを調節する機構について説明したが、これに限らず連続的に高さを調節してもよい。
【実施例5】
【0056】
図20は、請求項6に記載の接触感知装置を備えた、縦アウトライン体1aの一実施形態を示した斜視図である。縦アウトライン体1aの周りを接触感知部材15で覆っている。接触感知した信号をコード10が通している。これにより、ボールが接触感知材部15に触れることで機械的にアウトの判定を行うことができる。横アウトライン体1b、またはインライン体2、またはアウトエリア拡張体16のいずれか一つ以上が接触感知装置を備えていてもよい。
【0057】
図21は、本発明の一実施形態を示したアウトライン体1が正方形の上面図である。
【0058】
図22は、図21におけるA-A線断面図である。組み立ておよび分解できる機構の一つとして、アウトライン体1aとアウトライン体1bが、ボルト17で固定されている。
【0059】
本発明に記載の、組み立ておよび分解できる機構の構造はこの限りではない。例えば、図13に記載のアウトライン体1aおよびアウトライン体1bの、互いに組み立ておよび分解できる機構は上下逆でもよい。
【0060】
図23は、本発明の一実施形態を示したアウトライン体1が円形の上面図である。
【0061】
図24は、本発明の一実施形態を示した上面図であり、競技者の腕の動く範囲を示した図である。アウトライン体1を台形の上辺を軸に開いた形にし、アウトエリア拡張体16を、競技者に対してハの字に取り付けることで、競技者のボールに届かない範囲が減少する。
【0062】
アウトライン体1、インライン体2およびアウトエリア拡張体16の長手方向に対して垂直な断面の形状は、ボールのインかアウトかの判定を明確にするために、ボールの軌道が変わるような立体形状(三角形、半円形または筒形等)でもよく、アウトライン体1、インライン体2およびアウトエリア拡張体16が接触感知装置を備えている場合は、厚さの薄いテープ状の形状でもよい。コート分割体3の形状は、この限りではなく適時変更可能である。例えば、ネット9の代わりに板等のネット代替物を使用する場合、コート分割体3の上に乗せ、自立することができる形状であればよい。
【0063】
前記に記載した、本発明の球技用具の実施形態は、卓球台に近い形であるが、アウトライン体1、インライン体2、コート分割体3およびアウトエリア拡張体16の形態を変えることで、多角形や図22に示すような円形、またはコート分割体3を中心にしたとき左右非対称等、多様に変形実施が可能である。
【0064】
前記に記載した、本発明の球技用具の伸縮機構や折り畳み機構の実施形態は、アウトライン体1、またはインライン体2、またはコート分割体3またはアウトエリア拡張体16の一つ以上を、さらに細かく分解し、伸縮機構または折り畳み機構を数か所備えることで、より短くすることもできる。
【0065】
床、台または地面上に、アウトライン体1に近傍する大きさの平らな板材を敷くことで、畳、絨毯、台または地面の上面等がでこぼこしていても競技することができる。板の材質は卓球台に使われている素材が好ましいが、競技が可能である程度のボールの弾みであればこの限りではない。
【0066】
本発明は、前記実施形態の構造および構成に限らず、本発明の目的範囲を逸脱しない限り、適時変更可能であり、変形される実施形態は全て本発明の請求の範囲に属するものと解釈すべきである。
【符号の説明】
【0067】
1 アウトライン体
1a 縦アウトライン体
1b 横アウトライン体
11a アウトライン体内枠
12a アウトライン体外枠
13a アウトライン体a枠
14a アウトライン体b枠
2 インライン体
3 コート分割体
31 コート分割体内枠
32 コート分割体外枠
33 コート分割体a枠
34 コート分割体b枠
35 ネットサポーター支持体
36 突出部
4 固定部材
5 固定部材穴
6 蝶番
7 ネジ
8 ネットサポーター
9 ネット
10 コード
15 接触感知部材
16 アウトエリア拡張体
17 ボルト
18 面積調整穴
【要約】
【課題】多くの人に公平、多様な競技性、手軽および安全に競技できる球技用具を提供する。
【解決手段】ボールを交互に打ち返す球技のための用具であって、床上および台上に設置するアウトライン体1と、自分のコートと相手のコートを分けるためのコート分割体3を有し、アウトライン体1およびコート分割体3が互いに組み立ておよび分解できる機構を備えたことを特徴とし、また、インライン体2もしくはアウトエリア拡張体16のいずれか一つ以上を有していてもよく、それらが伸縮機構、折り畳み機構、高さ調節機構または接触感知装置のいずれか一つ以上を備えていることで、コート面積の調整による公平さ、判定の明確化、競技の多様性、運搬のしやすさ、競技・収納スペースの減少および安全性の向上した球技用具にした。
【選択図】図14
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
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図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24