(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-13
(45)【発行日】2023-07-24
(54)【発明の名称】レーザ墨出し器
(51)【国際特許分類】
G01C 15/00 20060101AFI20230714BHJP
G01C 15/02 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
G01C15/00 103C
G01C15/02
(21)【出願番号】P 2020030914
(22)【出願日】2020-02-26
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 匡成
(72)【発明者】
【氏名】中村 国法
(72)【発明者】
【氏名】永野 亘
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-285596(JP,A)
【文献】特開2004-37162(JP,A)
【文献】特開平10-185571(JP,A)
【文献】特開2004-170965(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 1/00-5/14
G01C 15/00-15/14
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出射するレーザと、
前記レーザ光の経路上に設けられた光学系と、
前記レーザと前記光学系とを保持する本体と、
前記レーザ光の経路において、前記レーザと前記光学系との間に配置され、前記レーザ光が通過する孔を有する光通過部材と、
前記レーザ光を外部に出射するための領域を有し、前記本体と前記光通過部材とを内部に収容する筐体と、
を備え、
前記光通過部材における前記レーザ光の出射面の幅は、前記レーザ光の経路において、
前記光通過部材から前記光学系までの第1経路と、
前記光学系の内部の第2経路と、
前記光学系から、前記筐体の出射面までの第3経路と、
のうちの少なくとも1つの幅より狭い、
レーザ墨出し器。
【請求項2】
前記光通過部材は、前記本体に対して相対的に可動する、
請求項1に記載のレーザ墨出し器。
【請求項3】
前記光通過部材は、前記本体が鉛直方向に沿うように前記本体を回転可能な状態で支持する、
請求項2に記載のレーザ墨出し器。
【請求項4】
前記光通過部材は、
第1方向に沿った第1軸と、
前記第1方向と直交する第2方向に沿った第2軸と、
を備え、
前記筐体は、前記光通過部材が前記第1軸を中心に回転可能な状態で、前記光通過部材を支持し、
前記光通過部材は、前記本体が前記第2軸を中心に回転可能な状態で、前記本体を支持する、
請求項3に記載のレーザ墨出し器。
【請求項5】
前記出射面の幅は、少なくとも、前記光通過部材が可動することにより前記レーザ光の経路が変わる方向の幅を含む、
請求項2から4のいずれか1項に記載のレーザ墨出し器。
【請求項6】
前記出射面の幅は、前記第1経路、前記第2経路、及び前記第3経路、のすべての幅よりも狭い、
請求項1から5のいずれか1項に記載のレーザ墨出し器。
【請求項7】
前記出射面の幅は、前記光通過部材における前記レーザ光の入射面の幅より狭い、
請求項1から6のいずれか1項に記載のレーザ墨出し器。
【請求項8】
前記光通過部材における前記レーザ光の進路方向において、前記出射面に近づくほど前記孔の幅が狭くなる、
請求項7に記載のレーザ墨出し器。
【請求項9】
前記孔を形成する前記光通過部材の内周面と前記入射面に直交する仮想直線との角度は、前記レーザ光と前記仮想直線との角度より大きい、
請求項8に記載のレーザ墨出し器。
【請求項10】
前記光通過部材における前記レーザ光の入射面の幅は、前記本体の内部領域のうち前記レーザ光の進行方向において前記入射面の手前側に位置する領域の幅より狭い、
請求項1から9のいずれか1項に記載のレーザ墨出し器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はレーザ墨出し器に関し、より詳細には、光学系を備えるレーザ墨出し器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅建設や電気工事に際して壁面や天井面に付す基準線としてライン光を出射するレーザ墨出し装置(レーザ墨出し器)が知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載のレーザ墨出し装置では、墨出し用の光ビーム(レーザ光)を出射する光源と、光ビームを平行光に変換する投光レンズと、平行光を線状のライン光に変換する円筒レンズとがフレーム上に保持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のレーザ墨出し装置では、レーザ光(平行光を含む)が投光部材やフレームの内壁や角にあたることで、散乱光を出射してしまうという問題があった。
【0006】
本開示は、上記事由に鑑みてなされており、散乱光を出射しにくいレーザ墨出し器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係るレーザ墨出し器は、レーザと、光学系と、前記レーザと前記光学系とを保持する本体と、光通過部材と、筐体とを備える。前記レーザはレーザ光を出射する。前記光学系は前記レーザ光の経路上に設けられている。前記光通過部材は、前記レーザ光の経路において、前記レーザと前記光学系との間に配置され、前記レーザ光が通過する孔を有する。前記筐体は、前記レーザ光を外部に出射するための領域を有し、前記本体と前記光通過部材とを内部に収容する。前記通過部材における前記レーザ光の出射面の幅は、前記レーザ光の経路において、第1経路と、第2経路と、第3経路と、のうちの少なくとも1つの幅より狭い。前記第1経路は前記光通過部材から前記光学系までの経路である。前記第2経路は前記光学系の内部の経路である。前記第3経路は前記光学系から前記筐体の出射面までの経路である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、散乱光を出射しにくいレーザ墨出し器を提供できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態のレーザ墨出し器の外観図である。
【
図2】
図2は、同上のレーザ墨出し器における筐体を取り外した状態の外観図である。
【
図3】
図3は、同上のレーザ墨出し器においてレーザと光通過部材と光学系との位置関係を示す概略図である。
【
図4】
図4は、同上のレーザ墨出し器において光通過部材と本体と支持部材との位置関係を示す外観図である。
【
図5】
図5は、同上のレーザ墨出し器において本体の平面図である。
【
図7】
図7は、同上のレーザ墨出し器における本体の前方向からの断面図である。
【
図8】
図8は、同上のレーザ墨出し器の左方向からの断面図である。
【
図9】
図9は、同上のレーザ墨出し器の上方向から見たときの外観図である。
【
図10】
図10は、同上のレーザ墨出し器における本体の左方向からの断面図である。
【
図11】
図11は、同上のレーザ墨出し器における出射レンズ及び遮蔽部の外観図である。
【
図12】
図12は、本実施形態の変形例1のレーザ墨出し器の要部の外観図である。
【
図13】
図13は、本実施形態の変形例2のレーザ墨出し器の要部の外観図である。
【
図14】
図14は、本実施形態のレーザ墨出し器における脚の要部の外観図である。
【
図15】
図15は、同上のレーザ墨出し器における使用状態のロック機構の断面図である。
【
図16】
図16は、同上のレーザ墨出し器における検知機構のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態において互いに共通する要素には同一符号を付しており、共通する要素についての重複する説明は省略する。
【0011】
(1)全体構成
まず、本実施形態に係るレーザ墨出し器1の全体構成について、
図1及び
図2を参照して説明する。以下では、基本的にレーザ墨出し器1が水平な設置面に設置された状態での上下左右前後(
図1における上下左右前後)を上下左右前後として説明する。上下方向と左右方向と前後方向とはそれぞれが互いに直交する。また、レーザ墨出し器1を設置する向きは上記の向きに限定されない。
【0012】
レーザ墨出し器1は、レーザ光L0(
図3参照)として、ポイント状の光であるポイント光L1と、水平方向に線状のレーザ光L0である水平ライン光L2と、鉛直方向に線状のレーザ光L0である垂直ライン光L3とを出射する装置である。ポイント光L1は鉛直方向に出射され、水平ライン光L2は前方に出射され、垂直ライン光は前方上向きに出射される。このようなポイント光L1、水平ライン光L2、及び垂直ライン光L3は、住宅建設や電気工事に際して壁面や天井面に付す基準点や基準線として用いられる。以下の説明において、ポイント光L1、水平ライン光L2及び垂直ライン光L3を総称して、レーザ光L0ということがある。
【0013】
本実施形態のレーザ墨出し器1は、筐体2と、脚部3と、本体4と、レーザ5(
図3参照)と、光学系7(
図3参照)と、光通過部材6(
図3参照)とを備えている。
【0014】
(1.1)筐体
筐体2は、
図1~
図3に示すように、本体4と光学系7と光通過部材6とを内部に収容する。筐体2は、天面部26と、側面部27と、緩衝部28とを有し、円筒形状に形成されている。
【0015】
天面部26は、凹部261を有する円形状であり、後述する出射窓23,25を除いてABS樹脂などの合成樹脂によって形成されている。天面部26は、出射窓23と、出射窓25の一部とを有している。出射窓23は、天面部26の中央付近に形成されており、レーザ墨出し器1の天頂部分に相当する。出射窓23は、レーザ墨出し器1がポイント光L1を、筐体2の外部へ出射するための領域である。出射窓25は、天面部26の凹部261と、側面部27の凹部271とに跨って形成されている。出射窓25は、レーザ墨出し器1が垂直ライン光L3を筐体2の外部へ出射するための領域である。出射窓23,25は、例えば合成樹脂やガラスによって形成されており、透明色である。
【0016】
側面部27は、後述する出射窓24を除いてABS樹脂などの合成樹脂によって形成されている。側面部27は、上述した出射窓25の一部の他に、出射窓24を有している。出射窓24は、レーザ墨出し器1が水平ライン光L2を、筐体2の外部へ出射するための領域である。出射窓24は、例えば合成樹脂やガラスによって形成されており、透明色である。
【0017】
緩衝部28は、レーザ墨出し器1が転倒したり、落下したりしたときに、レーザ5や光学系7などを衝撃から守るために機能する。緩衝部28は、衝撃を緩和する材質で形成されており、例えば、ウレタンなどの緩衝材で形成されている。
【0018】
また、筐体2は、上述のようなレーザ光L0を出射するための本体4を内部に有している。筐体2は、本体4が鉛直方向に沿うように、いわゆるジンバル機構(水平保持装置)を介して本体4を保持している。
【0019】
(1.2)脚部
脚部3は、
図1及び
図2に示すように、基部30と、複数(図示例では3本)の脚31a,31b,31c(可動部材)を有し、設置面にレーザ墨出し器1(筐体2)を支持するための部材である。以下の説明において、3本の脚31a,31b,31cのそれぞれを区別しない場合には、3本の脚31a,31b,31cのそれぞれを脚31という。脚部3は、筐体2と連結されて固定されている。3本の脚31のそれぞれは、緩衝部32を有している。緩衝部32は、上述の緩衝部28と同様に、レーザ墨出し器1が転倒したり、落下したりしたときに、レーザ5(
図3参照)や光学系7(
図3参照)などを衝撃から守るために機能する。緩衝部32は、衝撃を緩和する材質で形成されており、例えば、ウレタンなどの緩衝材で形成されている。
【0020】
また、3本の脚31は、レーザ墨出し器1が使用される状態である使用状態のときは、
図1に示すように3本の脚31が開かれて設置面上に設置される。レーザ墨出し器1が使用状態のとき、すなわち、脚31が開かれた状態のとき、脚31は第1可動状態である。一方、レーザ墨出し器1が使用されない状態である非使用状態のときには、3本の脚31は閉じられて、上方向からの平面視において筐体2と同様に円状となる。レーザ墨出し器1が非使用状態のとき、すなわち、脚31が閉じられた状態のとき、脚31は第2可動状態である。
【0021】
以下の説明において、3本の脚31が閉じる方向を内方向といい、3本の脚31が開く方向を外方向という。また、「使用状態」とは、ユーザがレーザ墨出し器1を使用するときのレーザ墨出し器1の状態である。「使用状態」とは、例えば3本の脚31の全てが開かれた状態をいう。一方、「非使用状態」とは、ユーザがレーザ墨出し器1を使用しないときのレーザ墨出し器1の状態をいう。「非使用状態」とは、例えば3本の脚31のうちの少なくとも一の脚31が閉じられた状態をいう。3本の脚31は、後述するロック機構10の一部である。
【0022】
図2に示すように、基部30は、第1接触部33を有している。脚部3が筐体2(
図1参照)と連結されて固定されたときに、第1接触部33と筐体2との相対的な位置は変わらない。また、第1接触部33は導電性部材で形成されている。第1接触部33は、後述する第2接触部45と共に、検知機構9の一部である。
【0023】
(2)本体
図2に示す本体4は、上側からの平面視で略矩形の柱状の形状であり、例えば鉄やアルミニウムなどの金属によって形成されている。本体4は、前面部43と、一対の側面部44と、背面部と、第2接触部45とを有している。前面部43と、一対の側面部44と、背面部とで本体4の外周を形成する。本実施形態の第2接触部45は、本体4の下端付近に設けられている。
【0024】
前面部43は、本体4の前側にあたる面であり、前側からの平面視において略長方形状である。前面部43は、光通過部材6を本体4の外側に露出させるための開口部432と、出射レンズ73,75を本体4に取り付けるための複数(図示例では2つ)のレンズ取付部431とを有している。レンズ取付部431に取り付けられた出射レンズ73,75と、出射レンズ73,75に取り付けられた遮蔽部80は、遮蔽部80に一体形成された固定部81を介してネジ82によって本体4に固定されている。このように、遮蔽部80と固定部81とが一体形成されているため、ユーザが容易に遮蔽部80を出射レンズ73,75に取り付けることができる。
【0025】
一対の側面部44は、本体4の側面にあたる面であり、一対の側面部44のそれぞれは互いに左右対称の形状をしている。
図2に示すように、一対の側面部44は、左右側からの平面視において略台形状である。
【0026】
一対の側面部44のそれぞれは、軸受41を有している。本体4は、2つの軸受41を介して、ジンバル機構の一部である光通過部材6によって支持されている。詳しくは後述するが、光通過部材6によって支持された本体4は、軸受41に挿入される軸を中心として回転可能である。
【0027】
第2接触部45は、筐体2(
図1参照)に対する本体4の傾斜が一定未満であるときに(筐体2に対する本体4の傾斜角度が所定角度未満であるときに)、第1接触部33と接触しない位置に設けられている。第2接触部45は導電性部材で形成されている。第2接触部45は、レーザ墨出し器1が使用状態であるときには、筐体2及び脚部3に対して相対的に可動することが可能である。
【0028】
第2接触部45と脚部3の第1接触部33とは、共に検知機構9の一部である。第2接触部45は、レーザ墨出し器1が使用状態であって、筐体2に対する本体4の傾斜が一定以上になったときに(筐体2に対する本体4の傾斜角度が所定角度以上になったときに)、第1接触部33と接触する。検知機構9は、第1接触部33と第2接触部45とが接触した状態のときに、レーザ光L0がレーザ墨出し器1から出射されないようにする機構である。
【0029】
また、第2接触部45は、本体4の向き(本体4の長手方向)を鉛直方向に沿わせるための錘部としても機能する。そのため、第2接触部45は、本体4の他の部材の材質と比較して、より重たい材質で形成されてもよい。
【0030】
本体4は、水平ライン光L2(
図3参照)を出射する出射レンズ73と垂直ライン光L3(
図3参照)を出射する出射レンズ75とを保持している。2つの出射レンズ73、75は、それぞれ、本体4がその内部に保持する光学系7(
図3参照)を構成する複数の光学部材の1つである。また、本体4は、その内部にレーザ5(
図3参照)を保持している。
【0031】
(3)レーザ
図3に示すレーザ5は、例えば半導体レーザなどの光源を有し、レーザ光L0を出射する装置である。本実施形態のレーザ5は、緑色のレーザ光L0を出射する。ただし、レーザ5が出射するレーザ光L0の色は緑色に限られず、赤色や青色でもよい。
【0032】
(4)光学系
光学系7には、
図3に示すように、レーザ光L0の経路上において、レーザ5と複数の出射レンズ73,75との間に、複数の光学系部材が配置される。光学系7は、複数(図示例では2つ)のビームスプリッタ71,74と、反射部材72と、複数(図示例では2つ)の出射レンズ73,75とを備える。ビームスプリッタ71,74、反射部材72、及び出射レンズ73,75は、いずれも本体4(
図2参照)に保持されている。
【0033】
ビームスプリッタ71は、レーザ光L0の一部を透過させ、レーザ光L0の一部を反射させる光学部材である。ビームスプリッタ71は、下側から入射されるレーザ光L0を右方向に90度反射させるように設置されている。本実施形態のビームスプリッタ71は、いわゆるハーフミラーであり、透過率と反射率の割合は、例えば、約5:5である。
【0034】
反射部材72は、ビームスプリッタ71によって反射されたレーザ光L0をさらに反射させ、レーザ光L0を出射レンズ73に入射させる例えばミラーなどの光学部材である。反射部材72は、右から入射されるレーザ光L0を前方向に90度反射させ、レーザ光L0の進行向きを前向きに変える。
【0035】
出射レンズ73は、レーザ光L0を水平方向に線状の水平ライン光L2に変換する光学部材である。本実施形態では、出射レンズ73が円柱形状の円柱レンズである場合を例示する。出射レンズ73は、後側から入射面731に入射されるレーザ光L0を水平ライン光L2に変換し、出射面732から水平ライン光L2を前方に出射する。本実施形態では、入射面731は、出射レンズ73の表面のうち、本体4(
図2参照)の内部にある表面の少なくとも一部をいう。また、出射面732は、出射レンズ73の表面のうち、本体4の外部にある表面の少なくとも一部をいう。
【0036】
なお、出射レンズ73は円柱レンズに限らず、レーザ光L0を水平方向に線状の光に変換する半円柱状のレンズや凸レンズなどであってもよい。また、出射レンズ73は、複数のレンズを組み合わせた光学部材であってもよいし、複数種類のレンズを組み合わせた光学部材であってもよい。言い換えると、出射レンズ73は、レーザ光L0を水平方向に線状の光に変換することができる光学部材であればよい。
【0037】
ビームスプリッタ74は、レーザ光L0の一部を透過させ、レーザ光L0の一部を反射させる光学部材である。ビームスプリッタ74は、下側から入射されるレーザ光L0の一部を上側(鉛直上向き)に透過させる。ビームスプリッタ74を透過したレーザ光L0は、ポイント光L1として出射窓23(
図1参照)から筐体2(
図1参照)の外部に出射される。また、ビームスプリッタ74は、下側から入射されるレーザ光L0の一部を反射させ、出射レンズ75に入射させる。本実施形態のビームスプリッタ74の透過率と反射率の割合は、例えば、約1:9である。
【0038】
出射レンズ75は、レーザ光L0を鉛直方向に線状の垂直ライン光L3に変換する光学部材である。本実施形態では、出射レンズ75が円柱形状の円柱レンズである場合を例示する。出射レンズ75は、ビームスプリッタ74によって反射され入射面751に入射されるレーザ光L0を垂直ライン光L3に変換し、出射面752から垂直ライン光L3を前方上向きに出射する。本実施形態では、入射面751は、出射レンズ75の表面のうち、本体4の内部にある表面の少なくとも一部をいう。また、出射面752は、出射レンズ75の表面のうち、本体4の外部にある表面の少なくとも一部をいう。
【0039】
なお、出射レンズ75は円柱レンズに限らず、レーザ光L0を鉛直方向に線状の光に変換する半円柱状のレンズや凸レンズなどであってもよい。また、出射レンズ75は、複数のレンズを組み合わせた光学部材であってもよいし、複数種類のレンズを組み合わせた光学部材であってもよい。言い換えると、出射レンズ75は、レーザ光L0を鉛直方向に線状の光に変換することができる光学部材であればよい。
【0040】
また、
図2に示すように、出射レンズ73,75の表面には、後述の遮蔽部80が取り付けられている。遮蔽部80が取り付けられた出射レンズ73は、出射面732のうち、遮蔽部80によって遮蔽されていない出射領域732aから水平ライン光L2(
図3参照)を出射する。また、遮蔽部80が取り付けられた出射レンズ75は、出射面752のうち、遮蔽部80によって遮蔽されていない出射領域752aから垂直ライン光L3(
図3参照)を出射する。
【0041】
(5)光通過部材
光通過部材6は、
図6A~
図6Cに示すように、孔63を有する。孔63は、レーザ5が出射するレーザ光L0を絞ることにより、筐体2(
図1参照)の外部に散乱光などを含む余分なレーザ光L0を出射することを低減する。孔63の詳細については後述する。
【0042】
光通過部材6は、略直方体状の基部60と、第1方向D1(前後方向)に沿った2つの第1軸61と、第1方向D1と直交する第2方向D2(左右方向)に沿った2つの第2軸62とを備える。2つの第1軸61は、基部60の前後方向の両側面から前後方向に沿って突出している。2つの第2軸62は、基部60の左右方向の両側面から左右方向に沿って突出している。
図6Aの例では、基部60と2つの第1軸61と2つの第2軸62とは一体に形成されている。また、光通過部材6は、例えば鉄やアルミニウムなどの金属によって形成されている。
【0043】
図4に示すように、2つの第1軸61は、支持部材21が備える一対の軸受22に取り付けられる。支持部材21は、筐体2(
図1参照)に保持される部材である。そのため、2つの第1軸61が支持部材21の軸受22に取り付けられることにより、光通過部材6は筐体2に支持される。筐体2に支持された光通過部材6は、第1軸61(前後方向)を中心として回転可能である。すなわち、筐体2は、光通過部材6を第1軸61を中心に回転可能な状態で、光通過部材6を支持する。
【0044】
2つの第2軸62は、本体4が備える一対の軸受41に取り付けられる。
図5に示すように、光通過部材6と本体4(開口部432)との間には隙間42が存在する。この隙間42が存在することにより、光通過部材6に支持された本体4は、第2軸62(左右方向)を中心に回転可能である。すなわち、光通過部材6は、本体4が第2軸62を中心に回転可能な状態で、本体4を支持する。本体4側からみれば、光通過部材6は、本体4に対して相対的に可動する部材である。
【0045】
本実施形態のレーザ墨出し器1において、
図15に示すように、筐体2に対する本体4の傾斜が一定以上になったとき(筐体2に対する本体4の傾斜角度が所定角度以上になったとき)、本体4の第2接触部45が第1接触部33と接触するようになっている。第2接触部45が第1接触部33と接触するか否かによって、本体4が回転可能な限界角度が決定される。
【0046】
このような光通過部材6は、本体4が鉛直方向に沿うように本体4を回転可能な状態で支持する。本体4は、前後方向及び左右方向を中心として回転可能であるため、本体4の第2接触部45と、第1接触部33とが接触しない範囲で、あらゆる方向に向きを変えることができる。例えば、水平ではない設置面にレーザ墨出し器1が設置された場合であっても、本体4の第2接触部45が重力によって鉛直方向下向きを向くため、本体4の高さ方向は鉛直方向に沿うことになる。本体4の高さ方向が鉛直方向に沿うことで、ポイント光L1は鉛直方向に、水平ライン光L2は水平方向に、垂直ライン光L3は水平方向に直交する方向に出射される。
【0047】
また、筐体2に対する本体4の傾斜が一定以上になり、第2接触部45と第1接触部33とが接触したとき、第2接触部45と第1接触部33とは電気的に接続される。第2接触部45と第1接触部33とが接触したとき、検知機構9は、筐体2に対する本体4の傾斜が一定以上になったことを検知する。第2接触部45と第1接触部33とが電気的に接続された状態において、検知機構9は、レーザ墨出し器1からレーザ光L0が出射されないようにする。第2接触部45と第1接触部33とが接触する状態では、筐体2と本体4との相対位置がそれ以上変わらないため、本体4を鉛直方向に沿わせることができなくなる。本体4が鉛直状態に沿っていない状態でポイント光L1、水平ライン光L2及び垂直ライン光L3を出射しても、壁面や天井面に付す基準点や基準線として不適当である。そのため、検知機構9は、筐体2に対する本体4の傾斜が一定以上のときに、レーザ光L0を出射させないようにすることで、壁面や天井面に不適当な基準点や基準線を付すことがないようにしている。また、検知機構9は、不適当なレーザ光L0を出射させないことで、レーザ墨出し器1の消費電力を低減する。
【0048】
(6)光通過部材の孔の詳細
次に、光通過部材6の孔63の詳細について説明する。
図6Aは、光通過部材6を下方向からみたときの平面図である。光通過部材6は、孔63を形成する内周面64を有する。孔63は、例えば前後方向が長手方向となる長孔である。光通過部材6が第2軸62を中心として回転すると、光通過部材6に対するレーザ光L0の角度が変化し、前後方向において孔63内におけるレーザ光L0の位置が変わる。本実施形態では、レーザ光L0の経路が変わった場合でも、レーザ光L0が孔63を通過できるようにするため孔63を長孔としている。ただし、孔63の形状は、丸形状であってもよい。
【0049】
図6Bに示すように、レーザ光L0は下側から孔63を通過する。レーザ光L0が孔63に入射する際の入射面65の短手方向(左右方向)の幅W1とレーザ光L0が孔63を通り抜ける際の出射面66の短手方向の幅W2とを比較すると、出射面66の短手方向の幅W2は、入射面65の短手方向の幅W1より狭い。すなわち、短手方向において、出射面66の幅W2は入射面65の幅W1より狭い。本実施形態の入射面65及び出射面66は、孔63を通過するレーザ光L0を左右方向からみた場合に、孔63の開口面である。出射面66の幅W2でレーザ光L0が通過する範囲を絞る構成のため、レーザ光L0が入射面65の角に接触することで発生する散乱光を低減することができる。言い換えると、レーザ墨出し器1から出射される余分なレーザ光L0が低減される。
【0050】
また、内周面64の一部はテーパ面67となっている。テーパ面67は、レーザ光L0の進路方向(孔63の深さ方向)において、入射面65から出射面66に近づくほど孔63の短手方向の幅が狭くなるように傾斜している。本実施形態のテーパ面67は、上下方向(孔63の深さ方向)に対する傾きが一定である場合を例示している。なお、テーパ面67は、レーザ光L0の進路方向において入射面65から出射面66に近づくほど孔63の幅が狭くなっていればよい。すなわち、テーパ面67は、出射面66に近づくほど上下方向に対する傾きが大きくなるテーパ面や、出射面に66に近づくほど上下方向に対する傾きが小さくなるテーパ面であってもよい。このような、テーパ面67は、入射面65から出射面66に近づくほど孔63の幅が狭くなる傾きを有するため、突起部を有さない。そのため、レーザ光L0が内周面64の突起部にあたることで発生する散乱光を低減することができる。言い換えると、レーザ墨出し器1から出射される余分なレーザ光L0が低減される。
【0051】
図6Cに示すように、出射面66の長手方向の幅W4は、入射面65の長手方向の幅W3より狭い。すなわち、長手方向において、出射面66の幅W4は入射面65の幅W3より狭い。また、内周面64の一部はテーパ面68となっている。テーパ面68は、レーザ光L0の進路方向において、入射面65から出射面66に近づくほど孔63の長手方向の幅が狭くなるように傾斜している。本実施形態のテーパ面68は、上下方向に対して一定の傾きで傾斜する場合を例示している。しかし、テーパ面68は、レーザ光L0の進路方向において入射面65から出射面66に近づくほど孔63の幅が狭くなっていればよい。すなわち、テーパ面68は、出射面66に近づくほど上下方向に対する傾きが大きくなるテーパ面や、出射面に66に近づくほど上下方向に対する傾きが小さくなるテーパ面であってもよい。このように、テーパ面68は、入射面65から出射面66に近づくほど孔63の幅が狭くなる傾きを有するため、突起部を有さない。そのため、レーザ光L0が内周面64の突起部にあたることで発生する散乱光を低減することができる。
【0052】
また、本実施形態のテーパ面68と入射面65に直交する仮想直線VL1との角度θ1は、レーザ光L0と仮想直線VL1との角度θ2より大きい。第2軸62を中心として本体4が回転すると、孔63を通過するレーザ光L0と仮想直線VL1との角度θ2が変化する。角度θ1が角度θ2より小さくなると、レーザ光L0が孔63の内周面64にあたる可能性が高くなる。そこで、角度θ1が角度θ2より大きくなるようテーパ面68を形成することで、レーザ光L0が孔63の内周面64にあたることにより発生する散乱光を低減することができる。ここで、角度θ2の最大値は、本体4が第2軸62を中心として回転可能な限界角度であるため、角度θ1が限界角度より大きくなるようにテーパ面68を形成することが好ましい。
【0053】
次に、入射面65又は出射面66の幅と、レーザ光L0の経路の幅について、
図7~10を参照しつつ説明する。以下の説明では、レーザ光L0の経路の幅とは、本体4の内部領域46(
図7参照)又は筐体2の内部領域29(
図8参照)におけるレーザ光L0の進路に直交する面の幅である。ポイント光L1、水平ライン光L2及び垂直ライン光L3の経路の幅についても同様である。
【0054】
まず、入射面65の幅W1,W3とレーザ光L0の経路の幅について説明する。
図7に示すように、入射面65の短手方向の幅W1は、本体4の内部領域46のうちレーザ光L0の進行方向において入射面65の手前側(下側)に位置する領域47の幅W5より狭い。
【0055】
また、任意の方向における出射面66の幅には、少なくとも光通過部材6が可動することによりレーザ光L0の経路が変わる方向の幅、つまり長手方向の幅W2,W4を含む。
図10に示すように、入射面65の長手方向の幅W3は、本体4の内部領域46のうちレーザ光L0の進行方向において入射面65の手前側(下側)に位置する領域47の幅W14より狭い。これにより、入射面65でレーザ光L0を絞ることができるため、孔63の後のレーザ光L0の経路において、レーザ光L0が筐体2や本体4に当たりにくくなる。そのため、レーザ光L0が筐体2や本体4に当たることで発生する散乱光を低減することができる。
【0056】
次に、
図7を参照しつつ、出射面66の幅W2,W4と、孔63より後のレーザ光L0の経路の幅について説明する。まず、出射面66の短手方向の幅W2とレーザ光L0の経路の幅について説明する。本実施形態の幅W2は、孔63より後のレーザ光L0の経路におけるすべての幅よりも狭い。孔63より後のレーザ光L0の経路は、第1経路P1と、複数(図示例では3つ)の第2経路P2と、複数(図示例では3つ)の第3経路P3(
図8参照)とに分けることができる。
【0057】
第1経路P1は、光通過部材6から光学系7のビームスプリッタ71までの経路である。
【0058】
第2経路P2は、光学系7の内部の経路である。本実施形態の第2経路P2には、3つの第2経路P21~P23がある。第2経路P21は、ビームスプリッタ71(ハーフミラー)を透過したレーザ光L0がビームスプリッタ74に入射するまでの経路である。第2経路P22は、ビームスプリッタ71で反射したレーザ光L0が出射レンズ73(
図3参照)に入射するまでの経路である。第2経路P23は、ビームスプリッタ74で反射したレーザ光L0が出射レンズ75(
図3参照)に入射するまでの経路である。以下の説明において、3つの第2経路P21~P23のそれぞれを区別しない場合には、3つの第2経路P21~P23のそれぞれを、単に第2経路P2という。
【0059】
図8に示すように、第3経路P3は、光学系7から筐体2の出射面(出射窓23~25)までの経路である。本実施形態の第3経路P3には、3つの第3経路P31~P33がある。第3経路P31は、ビームスプリッタ74を透過したポイント光L1が出射窓23に入射するまでの経路である。第3経路P32は、出射レンズ73から出射された水平ライン光L2が出射窓24に入射するまでの経路である。第3経路P33は出射レンズ75から出射された垂直ライン光L3が出射窓25に入射するまでの経路である。以下の説明において、3つの第3経路P31~P33のそれぞれを区別しない場合には、3つの第3経路P31~P33のそれぞれを、単に第3経路P3という。
【0060】
図7に示すように、光通過部材6における出射面66の短手方向の幅W2は、第1経路P1における最小の幅W6より狭い。これにより、レーザ光L0が第1経路P1において本体4に当たりにくくなるため、散乱光を低減させることができる。
【0061】
また、出射面66の短手方向の幅W2は、第2経路P21の左右方向における最小の幅W7より狭い。また、幅W2は、第2経路P22の上下方向における最小の幅W8より狭い。また、幅W2は、第2経路P23の左右方向における最小の幅W9より狭い。これにより、レーザ光L0が第2経路P2において本体4に当たりにくくなるため、散乱光を低減させることができる。
【0062】
また、
図8に示すように、幅W2(
図7参照)は、第3経路P32の上下方向における最小の幅W11より狭い。また、
図9に示すように、出射面66の短手方向の幅W2(
図7参照)は、第3経路P31の左右方向における最小の幅W10より狭い。また、幅W2は、第3経路P33の左右方向における最小の幅W12より狭い。
【0063】
したがって、ポイント光L1、水平ライン光L2及び垂直ライン光L3が第3経路P3において本体4又は筐体2に当たりにくくなるため、散乱光を低減させることができる。なお、本実施形態では、出射面66の短手方向の幅W2が、第1経路P1、第2経路P2、及び第3経路P3のそれぞれの最小の幅より狭い場合を例示した。なお、本実施形態とは異なり、第1経路P1、第2経路P2、及び第3経路P3のそれぞれの最大の幅より、出射面66の短手方向の幅W2が狭くなるようにしてもよい。また、第1経路P1、第2経路P2、及び第3経路P3のそれぞれの平均の幅より、出射面66の短手方向の幅W2が狭くなるようにしてもよい。また、出射面66の短手方向の幅W2が、第1経路P1、第2経路P2、及び第3経路P3のうちの少なくとも1つの幅より狭くなるようにしてもよい。
【0064】
次に、出射面66の長手方向の幅W4とレーザ光L0の経路の幅について説明する。
図10に示すように、出射面66の長手方向の幅W4は、第1経路P1の前後方向における最小の幅W13より狭い。これにより、レーザ光L0が第1経路P1において本体4に当たりにくくなるため、散乱光を低減させることができる。
【0065】
また、出射面66の長手方向の幅W4を、出射面66の短手方向の幅W2(
図7参照)のように、第1経路P1、第2経路P2、及び第3経路P3のそれぞれの最小の幅より狭くなるようにしてもよい。この場合、レーザ光L0が本体4又は筐体2により当たりにくくなるため、より散乱光を低減させることができる。
【0066】
要するに、任意の方向における出射面66の幅が、第1経路P1、第2経路P2、及び第3経路P3のうちの少なくとも1つの幅より狭くなるようにすればよい。
【0067】
本実施形態のレーザ墨出し器1は、散乱光などを含む余分なレーザ光L0を出射することを低減することができる。そのため、本実施形態のレーザ墨出し器1は、レーザ光L0をより明確に壁面や天井面に付すことができる。また、本実施形態のレーザ墨出し器1は緑色のレーザ光L0を出射する。緑色のレーザ光L0は赤色のレーザ光より視認性がよいため、散乱光などを含む余分なレーザ光を低減させることの視覚的な効果は、赤色のレーザ光を出射する場合より大きい。
【0068】
本実施形態のレーザ墨出し器1が備える光通過部材6は、本体4に対して相対的に可動する場合を例示した。しかし、光通過部材6が本体4に対して相対的に可動することは、レーザ墨出し器1にとって必須ではない。光通過部材6は、レーザ光L0の経路において、レーザ5と光学系7との間に配置され、レーザ光L0が通過する孔63を有し、出射面66の幅W2が、第1経路P1、第2経路P2及び第3経路P3のうちの少なくとも1つの幅よりも狭い部材であればよい。すなわち、光通過部材6が第1軸61及び第2軸62を備えることは、レーザ墨出し器1にとって必須ではない。
【0069】
また、出射面66の幅W2が入射面65の幅W1より狭いことは、レーザ墨出し器1にとって必須ではない。また、孔63の幅がレーザ光L0の進路方向(孔63の深さ方向)において出射面66に近づくほど狭くなることは、レーザ墨出し器1にとって必須ではない。また、光通過部材6の内周面64(テーパ面67,68)と入射面65に直交する仮想直線VL1との角度θ1がレーザ光L0と仮想直線VL1との角度θ2より大きいことは、レーザ墨出し器1にとって必須ではない。
【0070】
また、入射面65の幅W1,W3がレーザ光L0の進行方向において入射面65の手前側に位置する領域47の幅W5より狭いことは、レーザ墨出し器1にとって必須ではない。
【0071】
(7)遮蔽部
本実施形態のレーザ墨出し器1は、遮蔽部80(
図2参照)を備えている。
図11に示すように、遮蔽部80は、出射レンズ73(75)の周方向に沿って係合する略半円筒形状である。また、遮蔽部80から平板状の固定部81が延設されている。このような遮蔽部80は、出射レンズ73(75)の表面に沿って取り付けられ、出射レンズ73,75の表面のうち、不要なレーザ光L0が通過し得る領域を覆う。
【0072】
ところで、
図3に示すように、レーザ5がレーザ光L0を出射した後、レーザ光L0は出射レンズ73,75に入射する。ここで、出射レンズ73,75に入射するレーザ光L0の一部は、出射レンズ73,75で反射されることにより、再び本体4(光学系7)の内部に戻ることがある。筐体2の内部に戻ったレーザ光L0が、再度、出射レンズ73,75に入射する場合、意図しない経路で出射レンズ73,75に入射する可能性がある。出射レンズ73,75の本来入射すべき領域とは異なる領域にレーザ光L0が入射すると、出射レンズ73,75は、本来出射すべき方向とは異なる方向に不要なレーザ光L0を出射してしまう。
【0073】
そこで、本実施形態では、
図2に示すように、出射レンズ73,75の表面には、上述のように遮蔽部80が取り付けられている。本実施形態の遮蔽部80は、出射レンズ73,75の表面のうち不要なレーザ光L0を出射し得る出射面732,752及び不要なレーザ光L0が入射し得る入射面731,751(
図3参照)を覆って不要なレーザ光L0を遮蔽する。ただし、遮蔽部80の構成は、出射レンズ73,75の表面における不要なレーザ光L0が通過し得る領域のうち、少なくとも出射面732,752側を覆う構成でもよい。
【0074】
遮蔽部80が、不要なレーザ光L0を出射し得る領域を遮蔽することで、レーザ墨出し器1から外部に出射される不要なレーザ光L0を低減することができる。上述したように、遮蔽部80が取り付けられた出射レンズ73は、出射面732のうち、遮蔽部80によって遮蔽されていない出射領域732aから水平ライン光L2を出射する。また、遮蔽部80が取り付けられた出射レンズ75は、出射面752のうち、遮蔽部80によって遮蔽されていない出射領域752aから垂直ライン光L3を出射する。
【0075】
(8)ロック機構の構成
次に、ロック機構10について説明する。
図2に示すように、レーザ墨出し器1は、レーザ墨出し器1が非使用状態のときに、本体4が可動しないように、筐体2(
図1参照)の内部における所定位置に本体4を固定するロック機構10を備える。本実施形態の所定位置は、水平方向において、円筒形状を形成する筐体2の中心付近である。ロック機構10は、可動部材を有する。本実施形態の可動部材は複数(図示例では3本)の脚31である。
【0076】
図14に示すように、脚31は、連結部312と、突出部315とを有する。
【0077】
連結部312は、脚31の天面311に設けられる。ここで、天面311とは、脚31の長さ方向において設置面側とは逆の端部にあたる面である。以下の説明において、脚31の長さ方向に沿った方向であって、脚31の接地面側から天面311に向かう方向を第3方向D3という。連結部312は、ネジ314aが挿入される貫通孔313を有している。基部30の連結孔34を貫通したネジ314aが貫通孔313に挿入されることによって、基部30と脚31とが連結される。基部30と脚31とが連結された状態において、基部30は、ネジ314aを中心として回転可能な状態で脚31を支持する。すなわち、脚31は、ネジ314aを中心として回転可能な可動部材である。以下の説明において、ネジ314aの軸方向を第4方向D4という。
【0078】
突出部315は、天面311の内方向における端部から第3方向D3に突出する。本実施形態の突出部315は、導電性のない合成樹脂(絶縁性の合成樹脂)などで形成されている。突出部315は、導電部100を装着するための複数(図示例では2つ)の装着軸316を有している。
【0079】
複数の装着軸316は、突出部315の第4方向D4における両側から、脚31がネジ314aを中心として回転する際の摺動面に対して、直交する方向(第4方向D4)に突出している。言い換えると、導電部100が第2接触部45と接触するときに導電部100が応力を受ける方向と直交する方向に突出している。本実施形態の複数の装着軸316は、突出部315と同様に、導電性のない合成樹脂(絶縁性の合成樹脂)などで形成されている。
【0080】
導電部100は、突出部315とは別材料で形成されており、突出部315に固定されている部材である。本実施形態の導電部100は、導電性部材で形成されている。導電部100は、略平板状の基部101と、一対の側面部102と、第3接触部103と、緩衝部104と、第4接触部105とを有する。
【0081】
一対の側面部102は、基部101の第4方向D4の両端から、第4方向D4と直交する方向の内側に延びる略平板状の部材である。一対の側面部102のそれぞれは、取付孔106を有している。本実施形態の取付孔106は長孔であり、取付孔106の長手方向の両端に、装着軸316が挿入される。導電部100は、一対の取付孔106のそれぞれに2つの装着軸316が挿入されることにより突出部315の外側に取り付けられる。
【0082】
第3接触部103は、基部101の第3方向D3における端部から、第3方向D3に延びている。第3接触部103は、導電部100が突出部315に取り付けられた状態で、導電部100を第4方向D4からみたときに底部が外側に突出する略U字形状である。
【0083】
緩衝部104は、第3接触部103の一端から第3方向D3に沿って延びる。緩衝部104は、導電部100が突出部315に取り付けられた状態で、導電部100を第4方向D4からみたときに底部が内側に突出する略U字形状である。緩衝部104が略U字状の形状のため、導電部100は、弾性を有する。例えば、第4接触部105が外側から力を受けた場合に、緩衝部104は緩衝材として機能する。
【0084】
第4接触部105は、導電部100の第3方向D3側の先端に形成されている。脚31が閉じられた状態において、第4接触部105は第2接触部45の内側から支持することで、所定位置に本体4を固定する。
【0085】
(9)ロック機構の動作
次にロック機構10の動作について
図15を参照しつつ説明する。3本の脚31のすべての脚31が
図15中の脚31cのように開いているときは、すなわち脚31が第1可動状態であるときは、3つの導電部100のそれぞれは、第1接触部33及び第2接触部45のいずれにも接していない状態である。一方、3本の脚31のうちの少なくとも一の脚31が閉じた状態のとき(図示例では脚31aが閉じた状態)、すなわち脚31が第2可動状態であるときは、閉じた脚31aに取り付けられた導電部100が第1接触部33及び第2接触部45と接する。導電部100の第4接触部105が第2接触部45を内側から支持することで、ロック機構10は、所定位置に本体4を固定する。言い換えると、ロック機構10は、複数の脚31のうち少なくとも一の脚31が第2可動状態になることに連動して、本体4を所定位置に固定する。本体4が所定位置に固定されているとき、第2接触部45は、第1接触部33と接触しない。所定位置は、円筒形状を形成する筐体2の内部の中心付近である。中心付近は、ユーザがレーザ墨出し器1の持ち運び中にレーザ墨出し器1を落としてしまった場合などに、本体4が筐体2と接触しにくい位置である。そのため、レーザ墨出し器1が落下などで衝撃を受けた場合でも、本体4が故障しにくい。このように、レーザ墨出し器1が非使用状態であるときに、ロック機構10が、筐体2内部の所定位置に本体4を固定することで、本体4を落下などの衝撃から守ることができる。
【0086】
さらに、閉じた脚31aに取り付けられた導電部100の第3接触部103が第1接触部33と接触すると共に、第4接触部105が第2接触部45と接触する。導電部100は導電性部材で形成されているため、導電部100は、第1接触部33と第2接触部45とを電気的に接続する。言い換えると、ロック機構10は、所定位置に本体4を固定した状態のときに、導電部100を介して第1接触部33と第2接触部45とを電気的に接続する。第1接触部33と第2接触部45が電気的に接続(短絡される)ことにより、検知機構9は、レーザ光L0が出射されないようにする。すなわち、ロック機構10は、レーザ墨出し器1が非使用状態のときに、第1接触部33と第2接触部45とを短絡させることで、レーザ光L0が出射されないようにする。これにより、脚31が閉じられた状態のレーザ墨出し器1が持ち運ばれるときなどに、不要なレーザ光L0が出射されることを低減することができる。したがって、ロック機構10は、レーザ墨出し器1が非使用状態のときに不要なレーザ光L0が出射されないようにすることで、消費電力を低減する。
【0087】
(10)検知機構の動作
次に検知機構9の動作について
図16を参照しつつ説明する。本実施形態の墨出し器1は、例えば乾電池などの電源K1と、電源回路K2及び制御回路K3を含むレーザ5の駆動用回路とを備えている。
【0088】
電源回路K2は、電源K1の出力電圧に基づく駆動電圧を生成し、レーザ5に出力する回路である。電源回路K2は、例えば、電源K1の出力電圧を昇圧し、昇圧後の出力電圧をレーザ5に出力する昇圧回路である。
【0089】
制御回路K3は、電源回路K2の動作を制御する回路である。本実施形態の制御回路K3は、第1接触部33と第2接触部45とが接触した状態を検知し、第1接触部33と第2接触部45とが接触したことを検知すると、レーザ光L0を出射させないための制御を行う。例えば、制御回路K3は、第1接触部33及び第2接触部45の電位を監視し、第1接触部33と第2接触部45とが同電位になった場合に、第1接触部33と第2接触部45とが短絡したと判断して、電源回路K2に停止信号を出力する。停止信号が入力された電源回路K2は、レーザ5を駆動することを停止したり、昇圧動作を停止したりすることでレーザ5からレーザ光L0が出射されないようにする。
【0090】
上述のように、本実施形態のレーザ墨出し器1は、非使用状態のときに、レーザ光L0を出射させない構成である。すなわち、レーザ墨出し器1の持ち運び時などには、レーザ墨出し器1はレーザ光L0を出射しない。非使用状態のときに、レーザ墨出し器1が不要なレーザ光L0を出射しないようにすることで、消費電力を低減することができる。
【0091】
本実施形態では、可動部材(脚31)の突出部315に導電部100を取り付ける場合を例示した。しかし、脚31の突出部315に導電部100を取り付けずに、突出部315に第3接触部103及び第4接触部105を設け、第3接触部103及び第4接触部105とが電気的に接続されるようにしてもよい。
【0092】
(11)変形例
(11.1)変形例1
本実施形態の変形例1として、レーザ墨出し器1は、
図12に示すように、出射レンズ73,75に対する遮蔽部80aの相対的な位置を調整する複数(図示例では2つ)の調整機構83を更に備えていてもよい。例えば、
図12に示すように、各調整機構83は、複数(図示例では2つ)の固定部81aと、遮蔽部80aの複数の凸部84a及び複数の凹部84bとを有する。
【0093】
固定部81aは、板バネのような弾性を有する部材であり、押さえ部811と、ユーザの手で掴んだり工具を引っ掛けたりすることが可能な取手812とを有する。本変形例の固定部81aは遮蔽部80aと別体である。固定部81aがネジ82によって本体4に固定されているとき、押さえ部811は後方向に働く弾性力によって遮蔽部80a及び出射レンズ73,75を本体4に固定する。本変形例のレーザ墨出し器1では、一つの固定部81aで、遮蔽部80aと、出射レンズ73,75の何れかとを本体4に固定することができる。これにより、遮蔽部80aを出射レンズ73,75に取り付けたうえで本体4に固定するという作業を、ユーザは容易に行うことができる。また、本変形例の固定部81aは弾性を有する板バネであり、遮蔽部80aと別体である。これにより、ユーザは、固定部81aがネジ82によって本体4に固定されている状態であっても、取手812を掴んで前方向に引っ張ることで、弾性力に逆らって押さえ部811を遮蔽部80aから離すことができる。
【0094】
複数の凸部84a及び複数の凹部84bは、遮蔽部80aの表面に設けられている。複数の凸部84a及び複数の凹部84bは、出射レンズ73,75に対する遮蔽部80aの相対的な位置を調整する操作を行うための操作部84である。ユーザは、弾性力に逆らって押さえ部811を遮蔽部80aから離している間に、凸部84aをつまんだり、凹部84bに指や治具を引っ掛けたりして遮蔽部80aの位置を、出射レンズ73,75の周方向において調整することができる。これにより、本変形例のレーザ墨出し器1では、遮蔽部80aが本体4に固定された状態であっても、ユーザが出射領域732a,752aの大きさを調整することができる。
【0095】
上述のように、レーザ墨出し器1が調整機構83を備えることで、ユーザは、出射レンズ73,75に対する遮蔽部80aの相対的な位置を容易に調整することができる。また、調整機構83は、凸部84a及び凹部84bを含む操作部84を有する。そのため、ユーザは、凸部84a又は凹部84bを操作することで、周方向における出射レンズ73,75に対する遮蔽部80aの相対的な位置を、より容易に調整することができる。
【0096】
(11.2)変形例2
本実施形態の変形例2として、レーザ墨出し器1は、
図13に示すような固定部81b及び複数(図示例では2つ)の遮蔽部80bを備えていてもよい。固定部81bは、複数の遮蔽部80bと一体に形成されている。遮蔽部80bと固定部81bとが一体となっているため、ユーザは、より容易に遮蔽部80bを出射レンズ73,75に取り付けて本体4に固定することができる。
【0097】
また、遮蔽部材87は複数の遮蔽部80bを備えており、複数(図示例では2つ)の出射レンズ73,75のそれぞれに遮蔽部80bを取り付けて本体4に固定することができる。一の遮蔽部材87で、複数の出射レンズ73,75のそれぞれに遮蔽部80bを取り付けることができるため、ユーザは、より容易に遮蔽部80bを出射レンズ73,75のそれぞれに取り付けて本体4に固定することができる。
【0098】
また、各遮蔽部80bは、調整機構83として複数の切れ目88を有している。複数の切れ目88の各々は、上下方向又は左右方向に沿って設けられている。ユーザは、切れ目88に沿って遮蔽部80bの一部を折り取ることで、出射領域732a,752aの大きさを容易に調整することができる。なお、調整機構83は、出射レンズ73,75の周方向に沿って可動し、出射領域732a,752aの大きさを調整可能なシャッタ(開閉)機構であってもよい。
【0099】
(11.3)その他の変形例
また、レーザ墨出し器1は、上述の遮蔽部80,80a,80bと異なる遮蔽部を備えていてもよい。遮蔽部は、出射レンズ73,75の表面のうちレーザ光L0の一部が通過し得る領域を覆うことでレーザ光L0を遮蔽することができればよい。遮蔽部は、例えば、出射レンズ73,75の表面のうちレーザ光L0の一部が通過し得る領域を覆うシール状の遮光部であってもよい。また、遮蔽部は、出射レンズ73,75の表面のうちレーザ光L0の一部が通過し得る領域に塗布された塗料などの遮光部であってもよい。
【0100】
本実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。本実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。本開示において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0101】
(まとめ)
以上説明したように、第1の形態に係るレーザ墨出し器(1)は、レーザ(5)と、光学系(7)と、レーザ(5)と光学系(7)とを保持する本体(4)と、光通過部材(6)と、筐体(2)とを備える。レーザ(5)はレーザ光(L0)を出射する。光学系(7)はレーザ光(L0)の経路上に設けられている。光通過部材(6)は、レーザ光(L0)の経路において、レーザ(5)と光学系(7)との間に配置され、レーザ光(L0)が通過する孔(63)を有する。筐体(2)は、レーザ光(L0)を外部に出射するための領域を有し、本体(4)と光通過部材(6)とを内部に収容する。光通過部材(6)におけるレーザ光(L0)の出射面(66)の幅(W2;W4)は、レーザ光(L0)の経路において、第1経路(P1)と、第2経路(P2)と、第3経路(P3)と、のうちの少なくとも1つの幅より狭い。第1経路(P1)は光通過部材(6)から光学系(7)までの経路である。第2経路(P2)は光学系(7)の内部の経路である。第3経路(P3)は光学系(7)から筐体(2)の出射面までの経路である。
【0102】
この態様によれば、光通過部材(6)の出射面(66)の幅(W2;W4)が第1経路(P1)と第2経路(P2)と第3経路(P3)とのうちの少なくとも1つの幅より狭い。そのため、孔(63)の後段にあたる本体(4)の内部領域(46)の壁にレーザ光(L0)が当たりにくくなる。これにより、レーザ墨出し器(1)から出射される散乱光などを含む余分なレーザ光(L0)を低減させることができる。
【0103】
第2の形態に係るレーザ墨出し器(1)は、第1の態様において、光通過部材(6)が本体(4)に対して相対的に可動する。
【0104】
この態様によれば、本体(4)と光通過部材(6)の位置を相対的に変化させることが可能となる。これにより、光通過部材(6)に対する本体(4)の位置を調整できるようになる。
【0105】
第3の形態に係るレーザ墨出し器(1)では、第2の態様において、光通過部材(6)は、本体(4)が鉛直方向に沿うように本体(4)を回転可能な状態で支持する。
【0106】
この態様によれば、本体(4)が鉛直方向に沿う。そのため、本体(4)の向きに沿ってレーザ光(L0)を出射する構成の場合にレーザ墨出し器(1)は鉛直方向にレーザ光(L0)を出射できる。
【0107】
第4の形態に係るレーザ墨出し器(1)では、第3の態様において、光通過部材(6)は、第1方向(D1)に沿った第1軸(61)と、第1方向(D1)と直交する第2方向(D2)に沿った第2軸(62)とを備える。筐体(2)は、光通過部材(6)が第1軸(61)を中心に回転可能な状態で、光通過部材(6)を支持する。光通過部材(6)は、本体(4)が第2軸(62)を中心に回転可能な状態で、本体(4)を支持する。
【0108】
この態様によれば、本体(4)はあらゆる方向に沿うことができる。これにより、設置面が水平でない場合でも、レーザ墨出し器(1)は本体(4)を鉛直方向に沿わせることができる。
【0109】
第5の形態に係るレーザ墨出し器(1)では、第2から4のいずれかの態様において、出射面(66)の幅(W2;W4)は、少なくとも、光通過部材(6)が可動することによりレーザ光(L0)の経路が変わる方向の幅(W4)を含む。
【0110】
この態様によれば、レーザ光(L0)の経路が変わる方向における孔(63)の幅(W4)が第1経路(P1)と第2経路(P2)と第3経路(P3)とのうちの少なくとも1つの幅より狭い。本体(4)と光通過部材(6)(孔(63))との位置関係が変化した場合であっても、孔(63)の後段にあたる本体(4)の内部領域(46)の壁にレーザ光(L0)が当たりにくくなる。そのため、レーザ墨出し器(1)から出射される散乱光が低減する。
【0111】
第6の形態に係るレーザ墨出し器(1)では、第1から5のいずれかの態様において、出射面(66)の幅(W2;W4)は、第1経路(P1)、第2経路(P2)、及び第3経路(P3)、のすべての幅よりも狭い。
【0112】
この態様によれば、出射面(66)の幅(W2;W4)が第1経路(P1)と第2経路(P2)と第3経路(P3)との何れの幅より狭いため、孔(63)の後段にあたる本体(4)又は筐体(2)の内部領域の何れにもレーザ光(L0)が当たりにくくなる。これにより、レーザ墨出し器(1)から出射される散乱光がより低減する。
【0113】
第7の形態に係るレーザ墨出し器(1)では、第1から6のいずれかの態様において、
出射面(66)の幅(W2;W4)は、光通過部材(6)におけるレーザ光(L0)の入射面(65)の幅(W1;W3)より狭い。
【0114】
この態様によれば、入射面(65)の幅(W1;W3)が出射面(66)の幅(W2;W4)より広いため、レーザ光(L0)が入射面(65)における光通過部材(6)の角にあたることにより発生する散乱光を低減することができる。
【0115】
第8の形態に係るレーザ墨出し器(1)では、第7の態様において、光通過部材(6)におけるレーザ光(L0)の進路方向において、出射面(66)に近づくほど孔(63)の幅が狭くなる。
【0116】
この態様によれば、孔(63)の幅が段階的に狭くなっていくため光通過部材(6)の孔(63)を形成する壁に凸部がない。これにより、レーザ光(L0)が孔(63)を形成する光通過部材(6)の壁の凸部にあたることにより発生する散乱光を低減することができる。
【0117】
第9の形態に係るレーザ墨出し器(1)では、第8の態様において、内周面(64)と仮想直線(VL1)との角度(θ1)は、レーザ光(L0)と仮想直線(VL1)との角度(θ2)より大きい。内周面(64)は、孔(63)を形成する光通過部材(6)の内周面である。仮想直線(VL1)は、入射面(65)に直交する仮想直線である。
【0118】
この態様によれば、レーザ光(L0)の傾きより壁部の傾きの方が大きいため、レーザ光(L0)が壁部にあたりにくくなる。これにより、レーザ墨出し器(1)から出射される散乱光が低減する。
【0119】
第10の形態に係るレーザ墨出し器(1)では、第1から9のいずれかの態様において、入射面(65)の幅(W1;W3)は、本体(4)の内部領域(46)のうちレーザ光(L0)の進行方向において入射面(65)の手前側に位置する領域(47)の幅(W5;W14)より狭い。入射面(65)は光通過部材(6)におけるレーザ光(L0)の入射面である。
【0120】
この態様によれば、入射面(65)でレーザ光(L0)をしぼるため、孔(63)の後段にあたる本体(4)の内部領域(46)の壁にレーザ光(L0)が当たりにくくなる。これにより、レーザ墨出し器(1)から出射される散乱光が低減する。
【0121】
第1の態様以外の構成については、レーザ墨出し器(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0122】
1 レーザ墨出し器
2 筐体
4 本体
5 レーザ
6 光通過部材
7 光学系
23~25 出射窓(レーザ光を外部に出射するための領域、筐体の出射面)
46 内部領域
47 領域(入射面の手前側に位置する領域)
61 第1軸
62 第2軸
63 孔
64 内周面
65 入射面
66 出射面
D1 第1方向
D2 第2方向
L0 レーザ光
L1 ポイント光
L2 水平ライン光
L3 垂直ライン光
VL1 仮想直線
W1,W3 入射面の幅
W2,W4 出射面の幅
θ1 角度(光通過部材の内周面と入射面に直交する仮想直線との角度)
θ2 角度(レーザ光と仮想直線との角度)