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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-13
(45)【発行日】2023-07-24
(54)【発明の名称】制御指令システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20230714BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20230714BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20230714BHJP
   H02M 1/00 20070101ALI20230714BHJP
   H02M 1/088 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
H02J13/00 311A
H02J7/35 K
H02J3/38 110
H02J3/38 130
H02M1/00 A
H02M1/088
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017251675
(22)【出願日】2017-12-27
(65)【公開番号】P2019118211
(43)【公開日】2019-07-18
【審査請求日】2020-09-24
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】高埜 恭一
(72)【発明者】
【氏名】小田 政志
(72)【発明者】
【氏名】吉武 晃
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-102573(JP,A)
【文献】特開2009-106121(JP,A)
【文献】特開2001-178026(JP,A)
【文献】特開平10-032944(JP,A)
【文献】特開2017-212843(JP,A)
【文献】特開2017-027448(JP,A)
【文献】特許第6024929(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
H02J 7/35
H02J 3/38
H02M 1/00
H02M 1/088
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同じ時間帯に複数の外部システムから併存しえない指令を受信した場合、複数の指令間の調停を行う制御指令システムであって、
分散型電源装置の電力を変換する電力変換装置と通信する第1の通信部と、
前記電力変換装置以外の前記複数の外部システムから前記電力変換装置に対する指令を受信する第2の通信部と、
前記第2の通信部を介してある外部システムから受信した指令を前記電力変換装置に送信したことにより、前記電力変換装置に、前記外部システムからの現在有効な指令が存在する場合において、前記第2の通信部を介して別の外部システムから指令を受信したとき、今回受信した指令と、前記現在有効な指令が併存するか否か判定し、併存しえない場合、今回受信した指令と前記現在有効な指令との優先順位に従い、優先順位が高い指令の実施要求を、前記第1の通信部を介して前記電力変換装置に送信するよう制御する制御部と、を備え、
前記現在有効な指令が前記今回受信した指令より優先順位が高い場合、当該実施要求の送信は省略可能である、
制御指令システム。
【請求項2】
前記分散型電源装置は、太陽光発電装置であり、
前記制御部は、前記第2の通信部を介してある外部システムから受信した指令を前記電力変換装置に送信したことにより、前記電力変換装置に、前記外部システムからの現在有効な指令が存在する場合において、前記第2の通信部を介して別の外部システムから受信した指令に、前記太陽光発電装置から系統への出力に関する出力制御指令が含まれる場合、当該出力制御指令の実施要求を、前記電力変換装置に送信するよう制御する、
請求項1に記載の制御指令システム。
【請求項3】
前記第2の通信部を介して本制御指令システムに指令を送信する複数の外部システムの優先順位を規定する優先順位テーブルをさらに備え、
前記制御部は、前記第2の通信部を介してある外部システムから受信した指令を前記電力変換装置に送信したことにより、前記電力変換装置に、前記外部システムからの現在有効な指令が存在する場合において、前記第2の通信部を介して別の外部システムから指令を受信したとき、今回受信した指令と、前記現在有効な指令が併存するか否か判定し、併存しえない場合、前記優先順位テーブルを参照して、優先順位が高い外部システムからの指令の実施要求を、前記電力変換装置に送信するよう制御する、
請求項1に記載の制御指令システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2の通信部を介してある外部システムから受信した指令を前記電力変換装置に送信したことにより、前記電力変換装置に、前記外部システムからの現在有効な指令が存在する場合において、前記第2の通信部を介して別の外部システムから指令を受信したとき、今回受信した指令と、前記現在有効な指令が併存するか否か判定し、併存しえない場合、今回受信した指令を無効化する、
請求項1に記載の制御指令システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記第2の通信部を介してある外部システムから受信した指令を前記電力変換装置に送信したことにより、前記電力変換装置に、前記外部システムからの現在有効な指令が存在する場合において、前記第2の通信部を介して別の外部システムから指令を受信したとき、今回受信した指令と、前記現在有効な指令が併存するか否か判定し、併存しえない場合、今回受信した指令の実施要求を、前記電力変換装置に送信するよう制御する、
請求項1に記載の制御指令システム。
【請求項6】
前記制御部は、ある外部システムから設定パラメータの変更を伴う第1の指令を受信し、当該第1の指令を前記電力変換装置に送信するよう制御した後、別の外部システムから前記第1の指令に優先する設定パラメータの変更を伴わない第2の指令を受信したとき、前記第2の指令と、前記第1の指令が併存するか否か判定し、併存しえない場合、前記第1の指令に基づく設定パラメータの変更を解除する指令とともに前記第2の指令を前記電力変換装置に送信するよう制御すし、
前記分散型電源装置が蓄電装置である場合、前記設定パラメータは、前記蓄電装置の充電量、放電量、充電電力の上限値、放電電力の上限値、SOC(State Of Charge)の上限値、またはSOCの下限値であり、
前記分散型電源装置が太陽光発電装置である場合、前記設定パラメータは、前記太陽光発電装置の上限電力値、または系統からの買電の上限電力値である、
請求項1に記載の制御指令システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散型電源の電力を変換する電力変換装置を操作するための制御指令システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光発電システムと蓄電システムを連携させたシステム(以下、本明細書では創蓄連携システムという)が普及してきている。創蓄連携システムにおいて、太陽光発電システム用のパワーコンディショナと、蓄電システム用のパワーコンディショナを一体化させたパワーステーション(登録商標)と呼ばれる電力変換装置を使用する形態が実用化されている。
【0003】
当該電力変換装置は宅外に設置されることも多いため、当該電力変換装置を操作するための制御指令装置が別に設けられ、当該制御指令装置は当該電力変換装置と有線/無線で接続される。当該制御指令装置はさらに、宅内のHEMS(Home Energy Management System)コントローラ、宅内のエネルギーモニタ、送配電事業者サーバ、VPP(Virtual Power Plant)事業者サーバ、DR(Demand Response)サーバ等の、創蓄連携システム以外のシステム(以下、本明細書では外部システム(広義)という)とネットワークを介して接続可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6024929号公報
【文献】特開2017-27448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように上記制御指令装置に複数の外部システムが接続されている場合、上記制御指令装置に複数の外部システムから各種指令が不定期に送信されてくる可能性がある。この場合、電力変換装置の運転が混乱する可能性がある。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、複数の外部システムから指令が送信されてきても、電力変換装置を安定的に運転させることができる制御指令システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の制御指令システムは、同じ時間帯に複数の外部システムから併存しえない指令を受信した場合、複数の指令間の調停を行う制御指令システムであって、分散型電源装置の電力を変換する電力変換装置と通信する第1の通信部と、前記電力変換装置以外の前記複数の外部システムから前記電力変換装置に対する指令を受信する第2の通信部と、前記第2の通信部を介してある外部システムから受信した指令を前記電力変換装置に送信したことにより、前記電力変換装置に、前記外部システムからの現在有効な指令が存在する場合において、前記第2の通信部を介して別の外部システムから指令を受信したとき、今回受信した指令と、前記現在有効な指令が併存するか否か判定し、併存しえない場合、今回受信した指令と前記現在有効な指令との優先順位に従い、優先順位が高い指令の実施要求を、前記第1の通信部を介して前記電力変換装置に送信するよう制御する制御部と、を備える。前記現在有効な指令が前記今回受信した指令より優先順位が高い場合、当該実施要求の送信は省略可能である、
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の外部システムから指令が送信されてきても、電力変換装置を安定的に運転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係る創蓄連携システムを説明するための図である。
図2】優先順位テーブルの一例を示す図である。
図3】実施例1に係る制御指令装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図4】実施例2に係る制御指令装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図5】実施例3に係る制御指令装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図6】実施例3の変形例に係る制御指令装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の実施の形態に係る創蓄連携システムを説明するための図である。創蓄連携システムは、太陽光発電装置1、蓄電装置2、電力変換装置10及び制御指令装置20を備える。電力変換装置10は、太陽光発電装置1用のパワーコンディショナ機能と、蓄電装置2用のパワーコンディショナ機能を一体化させた統合型の電力変換装置であり、第1DC/DCコンバータ11、第2DC/DCコンバータ12、インバータ13及び制御回路14を備える。
【0011】
太陽光発電装置1は、光起電力効果を利用し、光エネルギーを直接電力に変換する発電装置である。太陽光発電装置1は、シリコン太陽電池、化合物半導体などを素材にした太陽電池、色素増感太陽電池、有機薄膜太陽電池などの太陽電池を備える。太陽光発電装置1は、電力変換装置10の第1DC/DCコンバータ11と接続され、発電した電力を第1DC/DCコンバータ11に出力する。第1DC/DCコンバータ11は、太陽光発電装置1と直流バスB1との間に接続され、太陽光発電装置1から出力される直流電力の電圧を調整可能なコンバータである。第1DC/DCコンバータ11は例えば、昇圧チョッパで構成することができる。
【0012】
蓄電装置2は、電力を充放電可能であり、リチウムイオン蓄電池、ニッケル水素蓄電池、鉛蓄電池などの蓄電池を備える。なお蓄電池の代わりに、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ等のキャパシタを備えていてもよい。蓄電装置2は基本的に定置型を想定しているが、EVに搭載された車載型蓄電装置であってもよい。蓄電装置2は、電力変換装置10の第2DC/DCコンバータ12と接続され、第2DC/DCコンバータ12により充放電制御される。第2DC/DCコンバータ12は、蓄電装置2と直流バスB1との間に接続され、蓄電装置2を充放電する双方向DC/DCコンバータである。
【0013】
インバータ13は、直流バスB1と分電盤4との間に接続される双方向インバータであり、直流バスB1から入力される直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を系統3に接続された分電盤4に出力する。分電盤4には系統3、電力変換装置10、及び負荷5が接続される。負荷5は宅内の負荷の総称である。またインバータ13は、系統3から分電盤4を介して供給される交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を直流バスB1に出力する。
【0014】
制御回路14は、電力変換装置10全体を制御する。制御回路14は、ハードウェア資源とソフトウェア資源の協働、またはハードウェア資源のみにより実現できる。ハードウェア資源としてアナログ素子、マイクロコンピュータ、DSP、ROM、RAM、FPGA、その他のLSIを利用できる。ソフトウェア資源として、ファームウェア等のプログラムを利用できる。
【0015】
制御回路14は、第1DC/DCコンバータ11を制御することにより、太陽光発電装置1のMPPT(Maximum Power Point Tracking) 制御を実行する。具体的には制御回路14は、太陽光発電装置1の出力電圧および出力電流である、第1DC/DCコンバータ11の入力電圧および入力電流を計測して太陽光発電装置1の発電電力を推定する。制御回路14は、計測した太陽光発電装置1の出力電圧と、推定した発電電力をもとに、太陽光発電装置1の発電電力を最大電力点(最適動作点)にするための電圧指令値を生成する。例えば、山登り法に従い動作点電圧を所定のステップ幅で変化させて最大電力点を探索し、最大電力点を維持するように電圧指令値を生成する。第1DC/DCコンバータ11は、生成された電圧指令値に基づく駆動信号に応じてスイッチング動作する。
【0016】
制御回路14は、インバータ13を制御することにより、直流バスB1の安定化制御を実行する。具体的には制御回路14は、直流バスB1の電圧を検出し、検出したバス電圧を閾値電圧に一致させるための電流指令値を生成する。制御回路14は、直流バスB1の電圧が閾値電圧より高い場合はインバータ13のデューティ比を上げるための電流指令値を生成し、直流バスB1の電圧が閾値電圧より低い場合はインバータ13のデューティ比を下げるための電流指令値を生成する。インバータ13は出力電流を、生成された電流指令値に合わせるようにスイッチング動作する。
【0017】
制御回路14は、第2DC/DCコンバータ12を制御することにより、蓄電装置2の充放電制御を実行する。第2DC/DCコンバータ12は、制御回路14から設定される電流指令値/電圧指令値に基づき、蓄電装置2を定電流(CC)/定電圧(CV)で充放電する。例えば、蓄電装置2を太陽光発電装置1及び/又は負荷5に追従させて運転する場合、制御回路14は、直流バスB1の電圧に応じた第2DC/DCコンバータ12の電流指令値を生成する。
【0018】
制御指令装置20は、電力変換装置10を操作するための端末装置である。電力変換装置10と電力変換装置10間は有線で接続されてもよいし、無線で接続されてもよい。本実施の形態では、両者の間がRS-485規格に準拠したケーブルで接続される例を想定する。
【0019】
制御指令装置20は、制御部21、記憶部22、第1通信部23、第2通信部24、表示部25、及び操作部26を備える。第1通信部23は、電力変換装置10との間の通信を実行する。本実施の形態では、電力変換装置10との間で、RS-485規格に準拠したシリアル通信を実行する。第2通信部24は、創蓄連携システム以外の外部システムとの間の通信を実行する。第2通信部24は、ルータ装置6に接続される。第2通信部24とルータ装置6間は有線で接続されてもよいし、無線で接続されてもよい。両者の間で例えば、イーサネット(登録商標)規格、WiFi(登録商標)規格に準拠した通信が実行される。
【0020】
本実施の形態では、外部システムとしてHEMS(Home Energy Management System)コントローラ7a、エネルギーモニタ7b、送配電事業者サーバ9a、DRサーバ9b、及びVPP事業者サーバ9cと接続可能な構成である。本明細書では、創蓄連携システム以外のシステムを、広義の外部システムと定義し、創蓄連携システム及びHEMSを含む需要家に帰属するシステム以外のシステムを、狭義の外部システムと定義する。HEMSコントローラ7a及びエネルギーモニタ7bは広義の外部システムには該当するが、狭義の外部システムには該当しない。送配電事業者サーバ9a、DRサーバ9b及びVPP事業者サーバ9cは、広義の外部システムにも狭義の外部システムにも該当する。
【0021】
HEMSコントローラ7aは需要家の宅内に設置され、宅内における電力の供給状況と消費状況を監視して、宅内のエネルギーを一元的に管理するコントローラである。例えばHEMSコントローラ7aは、HEMSコントローラ7aと連携機能を有する負荷5(例えば、照明、エアコン、空気清浄機、ヒートポンプ給湯機、IHクッキングヒータ等)、スマートメータ、温度センサ、湿度センサ等に、それぞれ有線または無線で接続される。
【0022】
図1ではHEMSコントローラ7aは、ルータ装置6を介して制御指令装置20に接続される構成を描いている。なお、HEMSコントローラ7と制御指令装置20間は専用のケーブルで接続されてもよい。その場合、両者の間で所定のモドバス通信が実行される。
【0023】
エネルギーモニタ7bは、需要家の宅内に設置され、太陽光発電装置1の発電状況、売電状況、及び負荷5の電力消費状況を画面に表示する。太陽光発電装置1が設置されている住居において、事後的に蓄電装置2、電力変換装置10、HEMSコントローラ7aが追加された場合、エネルギーモニタ7bとHEMSコントローラ7aが併存する状況が発生する。
【0024】
エネルギーモニタ7bは創蓄連携システムと連携する機能を有している。創蓄連携システムと連携した場合、エネルギーモニタ7bは、創蓄連携システムに関するユーザからの基本的な操作を受け付けることができる。例えば、放電操作、充電操作、運転モード切替操作などの基本操作を受け付けることができる。エネルギーモニタ7bは、ユーザの操作に基づく指令を制御指令装置20に送信する。HEMSコントローラ7と制御指令装置20間は専用のケーブルで接続されてもよい。その場合、両者の間で所定のモドバス通信が実行される。
【0025】
制御指令装置20の第2通信部24は、ルータ装置6を介して、インターネット8に接続された、送配電事業者サーバ9a、DRサーバ9b、VPP事業者サーバ9cと通信が可能である。さらに図示しないが、インターネット8に接続された、ファームアッププログラム等を配信するための電力変換装置メーカのサーバ、電気料金表を保持する電力会社サーバ、天気予報を提供している公的/民間の気象事業者サーバ等とも通信が可能である。
【0026】
送配電事業者サーバ9aは、送配電網を管理運営する事業者のサーバである。2017年現在、日本では送配電網が、10の電力会社により地域独占されている。2020年4月から、電力会社の発電事業と送配電事業を分離する発送電分離の実施が予定されている。
【0027】
2015年1月の再生エネルギー特別措置法の改正により、一定の基準を超えて系統系した再生可能エネルギー発電設備には、電力会社からの出力制御の要請に無制限・無補償で応じる必要があることが規定された。再生エネルギーの固定価格買取制度の拡大に伴い、系統連系される再生可能エネルギー発電設備が増えており、系統の需給バランスが従来より崩れやすくなっている。系統への電力供給が電力需要を上回ると、系統の電圧・周波数が上昇し、系統への電力供給が電力需要を下回ると、系統の電圧・周波数が低下する。
【0028】
送配電事業者は、系統の電圧・周波数を所定の範囲に収めるために、出力制御を利用することができる。出力制御とは、発電設備から系統への出力を抑制するよう発電設備のコントローラに指令する制御である。本実施の形態では、太陽光発電装置1が出力制御の対象となる。日本では蓄電池から系統への逆潮流が禁止されているため、蓄電装置2は出力制御の対象とならない。
【0029】
送配電網を有する電力会社は、電力供給が超過している場合、まず自社の発電設備の発電量を低下させる。それによっても、電力供給の超過を解消できない場合、出力制御を実施する。系統に連系する再生可能エネルギー発電設備が多い地域、需要家が少ない地域、又は系統の容量が小さい地域では、出力制御の発動頻度が高くなる。
【0030】
送配電事業者サーバ9aは、天気予報、負荷予測等をもとに系統3の電力需給を予測し、出力制御が必要か否か判定する。出力制御が必要な場合、送配電事業者サーバ9aは、出力制御のスケジュールと出力電力の上限値を決定する。スケジュールは例えば、30分単位で指定される。出力電力の上限値は例えば、発電設備の定格出力電力に対する割合[%]で規定され、1%単位で指定される。
【0031】
制御指令装置20は、インターネット8を介して送配電事業者サーバ9aから出力制御指令を取得する。出力制御指令には、時間帯ごとの出力電力の上限値が含まれる。出力制御の内容は原則的に、前日に決定される。なお、当日の気象条件の変化や負荷変動に応じて、出力制御の内容は適宜変更される。
【0032】
近年、デマンドレスポンスについての注目が高まっている。デマンドレスポンスとは、卸市場価格の高騰時または系統信頼性の低下時において、電気料金価格の設定またはインセンティブの支払に応じて、需要家側が電力の使用を抑制するよう電力の消費パターンを変化させることである。デマンドレスポンスには大別すると、電気料金を用いたものとネガワット取引(インセンティブ取引)を用いたものがある。
【0033】
電気料金を用いたデマンドレスポンス(DR)には、例えば、1日または1時間先を基本に電気卸売価格の変化を反映させ、電気小売価格が毎時間もしくは更に頻繁に変動する料金体系を採用するリアルタイムプライシングがある。ネガワット取引は、電力会社との間であらかじめ節電する契約を結んだ上で、電力会社からの依頼に応じて節電した場合に対価を得る取引である。
【0034】
DRサーバ9bは、電力会社または独立系統運用機関(ISO:Independent System Operator)に設置され、電気小売価格のリアルタイム価格、節電要求などをHEMSコントローラ7aに出力する。HEMSコントローラ7aは、HEMSコントローラ7aからの情報をもとに、発電指令、所定の電力量の充電指令/放電指令などの各種指令を生成し、制御指令装置20に出力する。またHEMSコントローラ7aは、所定の負荷5の停止または所定の負荷5の電力使用量の削減を実行する。なおDRサーバ9bから制御指令装置20に直接、所定の電力量の充電指令/放電指令を送信する構成であってもよい。
【0035】
また近年、バーチャルパワープラント(VPP)についても注目が高まっている。バーチャルパワープラントとは、電力グリッド上に散在する設備を統合的に制御し、あたかも一つの発電所(仮想発電所)のように制御することである。バーチャルパワープラントには、複数のアグリゲータが関与する。アグリゲータには、リソースアグリゲータと親アグリゲータがあり、リソースアグリゲータは、需要家と直接、エネルギーリソースの制御に関する契約を結び、再生可能エネルギー発電設備の統合管理、蓄電池、ヒートポンプ空調機などに対する遠隔制御・統合管理を行う。親アグリゲータは、複数のリソースアグリゲータと連携して、大型発電設備を有する電力会社施設に対して、需給バランス調整サービスを提供する。
【0036】
VPP事業者サーバ9cは、アグリゲータに設置され、発電指令、所定の電力量の充電指令/放電指令などの各種指令を制御指令装置20に送信する。なおVPP事業者サーバ9cが各種指令をHEMSコントローラ7aを経由して、制御指令装置20に伝達する構成であってもよい。
【0037】
制御指令装置20の表示部25は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイを含み、制御部21から供給される情報を画面に表示する。操作部26は、タッチパネル及び/又は物理ボダンを含み、操作者による物理的な操作を電気的な操作信号に変換して制御部21に出力する。
【0038】
制御部21は、ハードウェア資源とソフトウェア資源の協働、又はハードウェア資源のみにより実現できる。ハードウェア資源としてマイクロコンピュータ、ROM、RAM、その他のLSIを利用できる。ソフトウェア資源として、ファームウェア等のプログラムを利用できる。記憶部22は、不揮発性のメモリにより構成される。
【0039】
図1に示すように制御指令装置20は、複数の外部システム(広義)から指令を受信する可能性がある。同時間帯に複数の外部システム(広義)から併存しえない矛盾した指令を受信する場合もある。例えば同時間帯に、DRサーバ9bから充電指令を受信し、HEMSコントローラ7aから放電指令を受信する場合がある。DRサーバ9bは系統3全体の需給バランスを調整するために制御を行っており、HEMSコントローラ7aは基本的に、宅内の需給バランスを調整するために制御を行っているため、両者の判断が逆になる場合も発生する。
【0040】
制御指令装置20は、同じ時間帯に複数の外部システム(広義)から併存しえない指令を受信した場合、複数の指令間の調停を行う。具体的には所定の基準をもとに、併存しえない指令間に優先順位付けを行う。優先順位付けの主な方法として、指令を送信する主体ごとに予め定められた優先順位に基づき、併存しえない複数の指令に優先順位を付ける方法が考えられる(実施例1)。また先優先(実施例2)、後優先(実施例3)の基準に基づき、複数の指令間の調停を行うことも考えられる。
【0041】
図2は、優先順位テーブル22aの一例を示す図である。図2に示す優先順位テーブル22aでは、指令主体として、送配電事業者サーバ9a、DRサーバ9b、VPP事業者サーバ9c、HEMSコントローラ7a、エネルギーモニタ7bの操作部、及び制御指令装置20の操作部26の6種類の指令主体の優先順位を規定している。優先順位テーブル22aは、記憶部22内に構築される。
【0042】
送配電事業者サーバ9aからの出力制御指令は、法規化されたものであるため、優先順位が1位となる。例えば、HEMSコントローラ7aが無制限の売電を指示している期間に、送配電事業者サーバ9aからの出力制御指令を受信すると、無制限の売電は不可になり、出力制御で指定された上限の範囲内での売電が許可される状態になる。
【0043】
DRサーバ9b及びVPP事業者サーバ9cからの指令は、電力会社やアグリゲータとの契約遵守の必要性から、HEMSコントローラ7aからの指令より優先順位を高くしている。一般的なユーザの場合、ユーザの操作に従った運転より、HEMSコントローラ7aからの指令に従った運転の方がコストパファーマンスが高い運転となる。従って、HEMSコントローラ7aからの指令は、エネルギーモニタ7bの操作部に対する操作入力に基づく指令および制御指令装置20の操作部26に対する操作入力に基づく指令より優先順位を高くしている。専門知識が高いユーザの場合、ユーザの操作に基づく指令と、HEMSコントローラ7aからの指令の優先順位を同じに設定してもよいし、ユーザの操作に基づく指令の優先順位をHEMSコントローラ7aからの指令の優先順位より高く設定してもよい。
【0044】
図3は、実施例1に係る制御指令装置20の動作を説明するためのフローチャートである。制御指令装置20の制御部21は、広義の外部システムから指令を受信すると(S10のY)、別の外部システムからの現在有効な指令が存在するか否か判定する(S11)。現在有効な指令が存在しない場合(S11のN)、制御部21は、今回受信した指令を電力変換装置10に送信する(S15)。
【0045】
現在有効な指令が存在する場合(S11のY)、制御部21は、今回受信した指令と、現在有効な指令が併存するか否か判定する(S12)。併存する場合(S12のY)、制御部21は、今回受信した指令を電力変換装置10に送信する(S15)。併存しえない場合(S12のN)、制御部21は、優先順位テーブル22aを参照して、現在有効な指令と今回受信した指令との優先関係を決定する(S13)。
【0046】
制御部21は、優先順位が高い指令の実施要求を電力変換装置10に送信する(S14)。なお、現在有効な指令の方の優先順位が高い場合、当該実施要求の送信は省略可能である。制御部21は、今回受信した指令の送信元に、より優先順位が高い指令の実施中であり、今回受信した指令が実施不可であることを示すメッセージを送信する。一方、今回受信した指令の方の優先順位が高い場合、制御部21は、今回受信した指令と当該指令を優先的に実施するよう要求する指令を電力変換装置10に送信する。制御部21は、現在有効な指令の送信元に、優先順位が高い指令に割り込まれ、現在有効な指令が実施不可になったことを示すメッセージを送信する。
【0047】
制御部21は、広義の外部システムから現在有効な指令の解除指令を受信したか否か判定する(S16)。解除指令を受信した場合(S16のY)、制御部21は、現在有効な指令の解除指令を電力変換装置10に送信する(S17)。解除指令を受信しない間(S16のN)、ステップS17の処理をスキップする。なお、現在有効な指令を受信してから所定時間(例えば、12時間)が経過した場合も、制御部21は、現在有効な指令の解除指令を電力変換装置10に送信する。以上に説明したステップS10~ステップS17までの処理が、電力変換装置10の運転中(S18のN)、継続して実行される。
【0048】
図4は、実施例2に係る制御指令装置20の動作を説明するためのフローチャートである。図4の実施例2に係るフローチャートは、図3の実施例1に示したフローチャートと比較してステップS13、S14の処理が異なる。またステップS10とステップS11の間にステップS105が挿入される。制御部21は、広義の外部システムから指令を受信すると(S10のY)、当該指令が送配電事業者サーバ9aからの出力制御指令であるか否か判定する(S105)。出力制御指令である場合(S105のY)、制御部21は、今回受信した指令と当該指令を優先的に実施するよう要求する指令を電力変換装置10に送信する(S15)。出力制御指令でない場合(S105のN)、ステップS11に遷移する。
【0049】
ステップS12において、今回受信した指令と現在有効な指令が併存しえない場合(S12のN)、制御部21は、今回受信した指令を電力変換装置10に送信せずに、今回受信した指令を無効化する(S13a)。制御部21は、今回受信した指令の送信元に、より優先順位が高い指令の実施中であり、今回受信した指令が実施不可であることを示すメッセージを送信する。ステップS10に遷移する。その他の処理は、図3に示したフローチャートと同様の処理のため説明を省略する。
【0050】
図5は、実施例3に係る制御指令装置20の動作を説明するためのフローチャートである。図5の実施例3に係るフローチャートは、図3の実施例1に示したフローチャートと比較してステップS13、S14の処理が異なる。またステップS10とステップS11の間にステップS105が挿入される。制御部21は、広義の外部システムから指令を受信すると(S10のY)、当該指令が送配電事業者サーバ9aからの出力制御指令であるか否か判定する(S105)。出力制御指令である場合(S105のY)、制御部21は、今回受信した指令と当該指令を優先的に実施するよう要求する指令を電力変換装置10に送信する(S15)。出力制御指令でない場合(S105のN)、ステップS11に遷移する。
【0051】
ステップS12において、今回受信した指令と現在有効な指令が併存しえない場合(S12のN)、制御部21は、今回受信した指令と当該指令を優先的に実施するよう要求する指令を電力変換装置10に送信する(S14a)。制御部21は、現在有効な指令の送信元に、優先順位が高い指令に割り込まれ、現在有効な指令が実施不可になったことを示すメッセージを送信する。ステップS16に遷移する。その他の処理は、図3に示したフローチャートと同様の処理のため説明を省略する。
【0052】
なお実施例2、3では、記憶部22内に優先順位テーブル22aを構築する必要はない。出力制御指令は法規化された指令であるため、法令遵守の観点から前後関係による優先付けの枠外に位置づけている。
【0053】
図6は、実施例3の変形例に係る制御指令装置20の動作を説明するためのフローチャートである。図6の実施例3の変形例に係るフローチャートは、図5の実施例3に示したフローチャートにステップS14b、ステップS14cが追加されたものである。
【0054】
ステップS12において、今回受信した指令と現在有効な指令が併存しえない場合(S12のN)、制御部21は、今回受信した指令と当該指令を優先的に実施するよう要求する指令を電力変換装置10に送信する(S14a)。制御部21は、現在有効な指令に基づき、電力変換装置10の設定パラメータの変更がなされたか否かを判定する(S14b)。設定パラメータの変更がなされた場合(S14bのY)、制御部21は、変更された設定パラメータの変更解除指令を追加で送信する(S14c)。設定パラメータの変更がなされていない場合(S14bのN)、ステップS14cの処理をスキップする。
【0055】
当該設定パラメータとして、例えば、蓄電装置2の充電量、放電量、充電電力の上限値、放電電力の上限値、SOC(State Of Charge)の上限値、SOCの下限値、インバータ13の上限電力値、太陽光発電装置1の上限電力値、系統3からの買電の上限電力値などが変更の対象となる。指令の主体が、創蓄連携システムのメーカの外部システムである場合、当該外部システムは創蓄連携システムの細かな仕様を把握しているため、指令内容に応じて設定パラメータのいくつかを最適化することができる。
【0056】
例えば、創蓄連携システムのメーカと同じメーカのHEMSコントローラ7aから制御指令装置20に充電指令を送信する際、当該充電指令に、SOCの上限値、系統3からの買電の上限値などの設定パラメータを含めることができる。この場合、当該充電指令の実施とともに、設定パラメータが指定された値に書き換えられる。書き換えられた設定パラメータは、上記充電指令の解除指令が受信されると、書き換え前の状態に戻される。
【0057】
一方、指令の主体が、創蓄連携システムのメーカ以外の外部システムである場合、当該外部システムは創蓄連携システムの細かな仕様を把握していないため、指令内容に応じて設定パラメータを最適化することは困難である。例えば、創蓄連携システムのメーカ以外のメーカのVPP事業者サーバ9cから制御指令装置20に充電指令を送信する場合、当該充電指令に、最適なSOCの上限値、系統3からの買電の上限値などの設定パラメータを含めることは困難である。
【0058】
同じ充電指令であっても、送信主体の外部システムが異なる場合、目的が異なる場合がある。例えば、VPP事業者サーバ9cやDRサーバ9bからの充電指令は系統3を安定化させることが主目的となるが、HEMSコントローラ7aからの充電指令は、宅内のトータルの電気料金を節約することが主目的となる。従って、同じ充電指令であっても、最適な設定パラメータはそれぞれ異なってくる。
【0059】
従って、設定パラメータの指定を含む指令が有効な期間に、設定パラメータの指定を含まない同種類の指令が受信された場合、現在実施している指令の設定パラメータを引き継がずに、設定パラメータを変更前に戻した状態で、後から受信された同種類の指令を実施する。なお、同種類の指令が受信されると、現在有効な指令の実施は中断/終了する。この中断/終了により、中断/終了された指令を送信した外部システムが当該指令の解除指令を送信しなくなる場合もある。その場合、中断/終了された指令に基づく設定パラメータの変更が、新たな設定パラメータの変更指示を受信するまで維持されてしまう。これに対して、実施例3の変形例では、現在有効な指令の実施が中断/終了した時点で、元の状態にリセットされることになる。
【0060】
以上説明したように本実施の形態によれば、同じ時間帯に複数の外部システム(広義)から併存しえない指令を受信した場合でも、複数の指令に優先順位を付けることにより、電力変換装置10を安定的に運転することができる。従って、矛盾した指令を同時に実施することによるハンチングや運転停止を回避することができる。また、出力制御指令の優先度を最上位に設定することにより、法規違反を犯すことを防止することができる。なお実施例2の先優先は、電力変換装置10の運転の安定性を重視した設計方法であり、実施例3の後優先は、より直近の判断を尊重する設計方法である。また、施工における外部システム(広義)の選択設定を省略可能となり、手間の削減と設定ミスを防止できる。
【0061】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0062】
図6に示した実施例3の変形例に係る、設定パラメータの変更を解除する処理は、図3に示した実施例1において、設定パラメータの変更を伴う指令が有効な期間に、設定パラメータの変更を伴わない、当該指令と併存しえない優先順位の高い指令が受信された場合にも適用可能である。
【0063】
上述の実施の形態では、太陽光発電装置1と蓄電装置2の両方が接続された創蓄連携システムを想定した。この点、太陽光発電装置1のみが接続された場合、電力変換装置10は太陽電池用のパワーコンディショナとして機能し、太陽光発電装置1と電力変換装置10は太陽光発電システムとして機能する。一方、蓄電装置2のみが接続された場合、電力変換装置10は蓄電池用のパワーコンディショナとして機能し、蓄電装置2と電力変換装置10は蓄電システムとして機能する。太陽光発電システムの場合も、蓄電システムの場合も、同じ時間帯に複数の外部システム(広義)から併存しえない指令を受信した場合に、複数の指令に優先順位を付ける制御は有効である。
【0064】
また、HEMSコントローラ7aと同様の機能を有する外部制御用のサーバがインターネット8上に設置されてもよい。その場合、制御指令装置20はインターネット8を経由して、当該サーバから外部制御指令を受信する。
【0065】
上述の実施の形態では、制御指令装置20として専用の端末装置を想定したが、専用のアプリケーションプログラムがインストールされたスマートフォン端末装置を使用することも可能である。
【0066】
なお、実施の形態は、以下の項目によって特定されてもよい。
【0067】
[項目1]
同じ時間帯に複数の外部システム(7a、7b、9a、9b、9c)から併存しえない指令を受信した場合、複数の指令間の調停を行う制御指令システムであって、
分散型電源装置(1、2)の電力を変換する電力変換装置(10)と通信する第1の通信部(23)と、
前記電力変換装置(10)以外の前記複数の外部システム(7a、7b、9a、9b、9c)から前記電力変換装置(10)に対する指令を受信する第2の通信部(24)と、
前記第2の通信部(24)を介してある外部システム(7a、7b、9a、9b、9c)から受信した指令を前記電力変換装置(10)に送信したことにより、前記電力変換装置(10)に、前記外部システム7a、7b、9a、9b、9c)からの現在有効な指令が存在する場合において、前記第2の通信部(24)を介して別の外部システム(7a、7b、9a、9b、9c)から指令を受信したとき、今回受信した指令と、前記現在有効な指令が併存するか否か判定し、併存しえない場合、今回受信した指令と前記現在有効な指令との優先順位に従い、優先順位が高い指令の実施要求を、前記第1の通信部(23)を介して前記電力変換装置(10)に送信するよう制御する制御部(21)と、を備え、
前記現在有効な指令が前記今回受信した指令より優先順位が高い場合、当該実施要求の送信は省略可能である、
制御指令システム(20)。
これによれば、複数の外部システム(7a、7b、9a、9b、9c)から指令が送信されてきても、電力変換装置(10)を安定的に運転させることができる。
[項目2]
前記分散型電源装置(1、2)は、太陽光発電装置(1)であり、
前記制御部(21)は、前記第2の通信部(24)を介してある外部システム(7a、7b、9a、9b、9c)から受信した指令を前記電力変換装置(10)に送信したことにより、前記電力変換装置(10)に、前記外部システム(7a、7b、9a、9b、9c)からの現在有効な指令が存在する場合において、前記第2の通信部(24)を介して別の外部システム(7a、7b、9a、9b、9c)から受信した指令に、前記太陽光発電装置(1)から系統(3)への出力に関する出力制御指令が含まれる場合、当該出力制御指令の実施要求を、前記電力変換装置(10)に送信するよう制御する、
項目1に記載の制御指令システム(20)。
これによれば、太陽光発電装置(1)の出力制御に関する法規違反を犯すことを防止することができる。
[項目3]
前記第2の通信部(24)を介して本制御指令システム(20)に指令を送信する複数の外部システム(7a、7b、9a、9b、9c)の優先順位を規定する優先順位テーブル(22a)をさらに備え、
前記制御部(21)は、前記第2の通信部(24)を介してある外部システム(7a、7b、9a、9b、9c)から受信した指令を前記電力変換装置(10)に送信したことにより、前記電力変換装置(10)に、前記外部システム(7a、7b、9a、9b、9c)からの現在有効な指令が存在する場合において、前記第2の通信部(24)を介して別の外部システム(7a、7b、9a、9b、9c)から指令を受信したとき、今回受信した指令と、前記現在有効な指令が併存するか否か判定し、併存しえない場合、前記優先順位テーブル(22a)を参照して、優先順位が高い外部システム(7a、7b、9a、9b、9c)からの指令の実施要求を、前記電力変換装置(10)に送信するよう制御する、
項目1に記載の制御指令システム(20)。
これによれば、優先順位テーブル(22a)を設けることにより、時間の前後関係に依らずに、指令間に優先順位付けすることができる。
[項目4]
前記制御部(21)は、前記第2の通信部(24)を介してある外部システム(7a、7b、9a、9b、9c)から受信した指令を前記電力変換装置(10)に送信したことにより、前記電力変換装置(10)に、前記外部システム(7a、7b、9a、9b、9c)からの現在有効な指令が存在する場合において、前記第2の通信部(24)を介して別の外部システム(7a、7b、9a、9b、9c)から指令を受信したとき、今回受信した指令と、前記現在有効な指令が併存するか否か判定し、併存しえない場合、今回受信した指令を無効化する、
項目1に記載の制御指令システム(20)。
これによれば、電力変換装置(10)の運転を安定させることができる。
[項目5]
前記制御部(21)は、前記第2の通信部(24)を介してある外部システム(7a、7b、9a、9b、9c)から受信した指令を前記電力変換装置(10)に送信したことにより、前記電力変換装置(10)に、前記外部システム(7a、7b、9a、9b、9c)からの現在有効な指令が存在する場合において、前記第2の通信部(24)を介して別の外部システム(7a、7b、9a、9b、9c)から指令を受信したとき、今回受信した指令と、前記現在有効な指令が併存するか否か判定し、併存しえない場合、後に受信した指令の実施要求を、前記電力変換装置(10)に送信するよう制御する、
項目1に記載の制御指令システム(20)。
これによれば、より直近の判断を尊重した制御が可能になる。
[項目6]
前記制御部(21)は、ある外部システム(7a、7b、9a、9b、9c)から設定パラメータの変更を伴う第1の指令を受信し、当該第1の指令を前記電力変換装置(10)に送信するよう制御した後、別の外部システム(7a、7b、9a、9b、9c)から前記第1の指令に優先する設定パラメータの変更を伴わない第2の指令を受信したとき、前記第2の指令と、前記第1の指令が併存するか否か判定し、併存しえない場合、前記第1の指令に基づく設定パラメータの変更を解除する指令とともに前記第2の指令を前記電力変換装置(10)に送信するよう制御し、
前記分散型電源装置(1、2)が蓄電装置(2)である場合、前記設定パラメータは、前記蓄電装置(2)の充電量、放電量、充電電力の上限値、放電電力の上限値、SOC(State Of Charge)の上限値、またはSOCの下限値であり、
前記分散型電源装置(1、2)が太陽光発電装置(1)である場合、前記設定パラメータは、前記太陽光発電装置(1)の上限電力値、または系統(3)からの買電の上限電力値である、
項目1に記載の制御指令システム(20)。
これによれば、第1の指令が第2の指令の受信により中断/終了する際に、第1の指令に基づく設定パラメータの変更が元に戻らなくなることを防止することができる。
【0068】
本開示における装置、システム、または方法の主体は、コンピュータを備えている。このコンピュータがプログラムを実行することによって、本開示における装置、システム、または方法の主体の機能が実現される。コンピュータは、プログラムにしたがって動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、またはLSI(Large Scale Integration)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録される。プログラムは、記録媒体に予め格納されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 太陽光発電装置、 2 蓄電装置、 3 系統、 4 分電盤、 5 負荷、 6 ルータ装置、 7a HEMSコントローラ、 7b エネルギーモニタ、 8 インターネット、 9a 送配電事業者サーバ、 9b DRサーバ、 9c VPP事業者サーバ、 10 電力変換装置、 11 第1DC/DCコンバータ、 12 第2DC/DCコンバータ、 13 インバータ、 14 制御回路、 20 制御指令装置、 21 制御部、 22 記憶部、 23 第1通信部、 24 第2通信部、 25 表示部、 26 操作部、 B1 直流バス、 22a 優先順位テーブル。
図1
図2
図3
図4
図5
図6