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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-13
(45)【発行日】2023-07-24
(54)【発明の名称】エンジン始動装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 25/021 20130101AFI20230714BHJP
   B60R 25/24 20130101ALI20230714BHJP
   B62H 5/04 20060101ALN20230714BHJP
   B62H 5/20 20060101ALN20230714BHJP
【FI】
B60R25/021
B60R25/24
B62H5/04
B62H5/20
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019198365
(22)【出願日】2019-10-31
(65)【公開番号】P2021070406
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000213954
【氏名又は名称】朝日電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】アピシット ウィセゲオ
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-103653(JP,A)
【文献】特開2011-084256(JP,A)
【文献】特開2007-276765(JP,A)
【文献】特開2014-187524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 25/00
B62H 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者が携帯し得るとともに車両固有のIDコードを発信し得る発信手段と、
該発信手段から発信されたIDコードを受信し得る受信手段と、
該受信手段で受信したIDコードが予め登録した正規のものであるか否かを判定する判定手段と、
車両のエンジンを停止させるオフ位置、当該エンジンを駆動させるオン位置、及び車両が具備するステアリングをロックさせるロック位置の間で回動操作可能な操作ノブと、
前記操作ノブの回動操作に応じて動作し得るとともに、当該操作ノブがロック位置にあるとき、車両のステアリングをロックするロックバーと、
前記操作ノブの回動操作に応じて動作し得るとともに、前記操作ノブがオフ位置からオン位置に操作されたとき、車両のエンジンを駆動させ得るスイッチ手段と、
前記操作ノブの回動操作を規制するとともに、前記判定手段が正規のIDコードであると判定したことを条件として前記操作ノブの回動操作を許容する規制手段と、
を具備したエンジン始動装置において、
前記スイッチ手段は、前記操作ノブ及びロックバーの間の位置に配設されて構成され、且つ、
前記操作ノブを回動操作可能に保持した第1保持部材と、
前記ロックバーを動作可能に保持した第3保持部材と、
前記第1保持部材及び第3保持部材の間に位置する第2保持部材と、
を具備するとともに、前記第2保持部材は、前記スイッチ手段及び前記規制手段を車両側と電気的に接続するための接続部が形成されたことを特徴とするエンジン始動装置。
【請求項2】
前記接続部は、 前記スイッチ手段を車両側と電気的に接続するための第1接続部と、前記規制手段を車両側と電気的に接続して電力を供給し得る第2接続部と、を有することを特徴とする請求項1記載のエンジン始動装置。
【請求項3】
前記第1接続部及び第2接続部は、互いに隣接した位置に形成されたことを特徴とする請求項2記載のエンジン始動装置。
【請求項4】
前記第1保持部材における前記操作ノブの近傍部位に対して光を照射し得る照明手段を具備するとともに、前記第2接続部は、前記規制手段に加え、当該照明手段を車両側と電気的に接続して電力を供給し得ることを特徴とする請求項2又は請求項3記載のエンジン始動装置。
【請求項5】
前記スイッチ手段は、前記操作ノブと連動し得る可動部材と、該可動部材に形成されて前記操作ノブの操作に伴って固定接点と接触又は離間可能な可動接点とを具備するとともに、前記可動接点よりも固定接点の方が上方に位置することを特徴とする請求項1~4の何れか1つに記載のエンジン始動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発信手段からのIDコードが予め登録された正規のものであると判別されることを条件としてエンジンの始動を許可するエンジン始動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年多発する車両の盗難防止を図るために、運転者が携帯しつつ車両固有のIDコードを発信し得る発信手段と、そのIDコードを受信し得る受信手段とを備え、当該受信手段にて受信したIDコードが正規のものであることを条件として、エンジン始動を含む車両の各種操作を可能とした所謂スマートエントリーシステムが提案されている。例えば、二輪車におけるスマートエントリーシステムの場合、発信手段(電子キー)を携帯した運転者が車両に近づくと、その発信手段から発信されたIDコードを受信手段が受信し、予め登録した正規のものであるか否かが判定されるとともに、正規のものである場合に限りエンジン始動操作を可能としている。
【0003】
このようなスマートエントリーシステムを具備した二輪車においては、従来、正規のIDコードを受信したと判定されたことを条件として回動操作可能な操作ノブと、操作ノブがロック位置にあるとき、車両のステアリングをロックするロックバーと、操作ノブがオフ位置からオン位置に操作されたとき、車両のエンジンを駆動させ得るスイッチ手段(イグニッションスイッチ)とを具備したエンジン始動装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-7585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のエンジン始動装置においては、操作ノブが筐体の最上部に取り付けられるとともに、最下部にスイッチ手段が取り付けられ、これら操作ノブとスイッチ手段との間にロックバーが位置していたので、第三者が筐体の最下部のネジ等を緩めてスイッチ手段に対する不正な導通が行われてしまう虞があった。また、例えば車両が水溜まり等を走行して下方から水の巻き上げがある場合、その巻き上げた水がスイッチ手段やコネクタに至ってしまい、電気的不具合が生じてしまう虞もあった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、スイッチ手段に対する不正なアクセスを困難として防犯効果を向上することができるとともに、下方から水の巻き上げがある場合における電気的不具合を抑制することができるエンジン始動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、運転者が携帯し得るとともに車両固有のIDコードを発信し得る発信手段と、該発信手段から発信されたIDコードを受信し得る受信手段と、該受信手段で受信したIDコードが予め登録した正規のものであるか否かを判定する判定手段と、車両のエンジンを停止させるオフ位置、当該エンジンを駆動させるオン位置、及び車両が具備するステアリングをロックさせるロック位置の間で回動操作可能な操作ノブと、前記操作ノブの回動操作に応じて動作し得るとともに、当該操作ノブがロック位置にあるとき、車両のステアリングをロックするロックバーと、前記操作ノブの回動操作に応じて動作し得るとともに、前記操作ノブがオフ位置からオン位置に操作されたとき、車両のエンジンを駆動させ得るスイッチ手段と、前記操作ノブの回動操作を規制するとともに、前記判定手段が正規のIDコードであると判定したことを条件として前記操作ノブの回動操作を許容する規制手段とを具備したエンジン始動装置において、前記スイッチ手段は、前記操作ノブ及びロックバーの間の位置に配設されて構成され、且つ、前記操作ノブを回動操作可能に保持した第1保持部材と、前記ロックバーを動作可能に保持した第3保持部材と、前記第1保持部材及び第3保持部材の間に位置する第2保持部材とを具備するとともに、前記第2保持部材は、前記スイッチ手段及び前記規制手段を車両側と電気的に接続するための接続部が形成されたことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のエンジン始動装置において、前記接続部は、前記スイッチ手段を車両側と電気的に接続するための第1接続部と、前記規制手段を車両側と電気的に接続して電力を供給し得る第2接続部と、を有することを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のエンジン始動装置において、前記第1接続部及び第2接続部は、互いに隣接した位置に形成されたことを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項2又は請求項3記載のエンジン始動装置において、前記第1保持部材における前記操作ノブの近傍部位に対して光を照射し得る照明手段を具備するとともに、前記第2接続部は、前記規制手段に加え、当該照明手段を車両側と電気的に接続して電力を供給し得ることを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1~4の何れか1つに記載のエンジン始動装置において、前記スイッチ手段は、前記操作ノブと連動し得る可動部材と、該可動部材に形成されて前記操作ノブの操作に伴って固定接点と接触又は離間可能な可動接点とを具備するとともに、前記可動接点よりも固定接点の方が上方に位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、スイッチ手段は、操作ノブ及びロックバーの間の位置に配設されたので、ロックバーが装置の最下部に位置することとなり、スイッチ手段に対する不正なアクセスを困難として防犯効果を向上することができるとともに、スイッチ手段がロックバーより上方に位置するため、下方から水の巻き上げがある場合における電気的不具合を抑制することができる。
【0013】
さらに、操作ノブを回動操作可能に保持した第1保持部材と、ロックバーを動作可能に保持した第3保持部材と、第1保持部材及び第3保持部材の間に位置する第2保持部材とを具備するとともに、第2保持部材は、スイッチ手段及び規制手段を車両側と電気的に接続するための接続部が形成されたので、配線の接続作業や取り回し作業を容易に行わせることができる。
請求項2の発明によれば、第1接続部及び第2接続部を近接させることができ、配線の接続作業や取り回し作業を容易に行わせることができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、第1接続部及び第2接続部は、互いに隣接した位置に形成されたので、第1接続部及び第2接続部を確実に近接させることができ、配線の接続作業や取り回し作業をより一層容易に行わせることができる。
【0015】
請求項4の発明によれば、第1保持部材における前記操作ノブの近傍部位に対して光を照射し得る照明手段を具備するとともに、第2接続部は、規制手段に加え、当該照明手段を車両側と電気的に接続して電力を供給し得るので、第2接続部を規制手段及び照明手段の接続部として共用化することができる。
【0016】
請求項5の発明によれば、スイッチ手段は、操作ノブと連動し得る可動部材と、該可動部材に形成されて操作ノブの操作に伴って固定接点と接触又は離間可能な可動接点とを具備するとともに、可動接点よりも固定接点の方が上方に位置するので、雨水等が固定接点上に残存してしまうのを防止でき、スイッチ手段における電気的不具合を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係るエンジン始動装置を示す全体斜視図
図2】同エンジン始動装置を示す3面図左側面図
図3図2におけるIII-III線断面図
図4図2におけるIV-IV線断面図
図5】同エンジン始動装置における発信手段、受信手段、判定手段及び規制手段を示すブロック図
図6】同エンジン始動装置における操作ノブを示す平面図及び正面図
図7】同エンジン始動装置における連結部材を示す平面図及び正面図
図8】同エンジン始動装置における可動部材を示す平面図及び正面図
図9】同エンジン始動装置における可動部材の組み付け状態を示す斜視図
図10】同エンジン始動装置における照明手段としてのLED及び第2接続部としてのコネクタの接続状態を示す斜視図
図11】同エンジン始動装置における照明手段の上部にレンズが取り付けられた状態を示す斜視図
図12】同エンジン始動装置における第1保持部材を示す3面図
図13】同エンジン始動装置における第2保持部材を示す3面図
図14】同エンジン始動装置における第3保持部材を示す3面図
図15】同第3保持部材を示す斜視図
図16】同エンジン始動装置における第4保持部材を示す3面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るエンジン始動装置は、二輪車におけるエンジンの始動及び停止を制御するためのものであり、図1~4に示すように、操作ノブ4と、連結部材5と、コイルスプリング6と、アクセススイッチ7と、規制手段8と、照明手段9と、イグニッションスイッチを構成するスイッチ手段Wと、ロックバーRとを有して構成されている。なお、図中符号Dは、本エンジン始動装置に取り付けられたシーソー型のスイッチノブを示している。
【0019】
また、本実施形態に係るエンジン始動装置は、図5に示すように、運転者が携帯し得るとともに車両固有のIDコードを発信し得る発信手段1と、発信手段1からのIDコードを受信し得るアンテナから成る受信手段2と、該受信手段2で受信したIDコードが予め登録した正規のものであるか否かを判定する判定手段3とを有している。なお、本実施形態においては、これら発信手段1、受信手段2及び判定手段3は、本エンジン始動装置の内部に配設されるもの、或いは車両側に配設されるものの何れであってもよい。
【0020】
発信手段1は、電波などにより常時IDコードを発信し得るもので、かかる発信手段1を携帯した運転者が車両に近づいて所定の認証開始操作(本実施形態においては操作ノブ4を押圧操作してアクセススイッチ7をオンさせる操作)を行うと、受信手段2が当該IDコードを受信し得るよう構成されている。判定手段3は、予め登録されたIDコードと受信手段2にて受信したIDコードとを比較して、これらが合致していれば正規のIDコードを受信したと判定するものである。
【0021】
本実施形態に係る操作ノブ4は、第1保持部材C1の上部に取り付けられるとともに、車両のエンジンを停止させるオフ位置、当該エンジンを駆動させるオン位置、及び車両が具備するステアリングをロックさせるロック位置の間で回動操作可能とされている。また、本実施形態に係る操作ノブ4は、運転者が指で摘まんで操作可能なつまみ部4aと、連結部材5と連結可能な連結部4bとが一体形成された部品から成り、下面周縁部には、フランジ部が形成されている。
【0022】
連結部材5は、操作ノブ4と連結されて当該操作ノブ4と共に回動し得るもので、図7に示すように、カム部5aを有して構成されている。かかる連結部5は、操作ノブ4の連結部4bに連結されるとともに、コイルスプリング6の一端を受けて組み付けられており、これら操作ノブ4及び連結部5が当該コイルスプリング6によって上方に付勢された状態で組み付けられている。
【0023】
また、連結部材5のカム部5aには、図3に示すように、スライダSが組み付けられており、当該スライダSには、ロックバーRが組み付けられている。かかるロックバーRは、操作ノブ4の回動操作に応じて動作し得るとともに、操作ノブ4がオン位置又はオフ位置にあるとき動作せず、操作ノブ4をロック位置まで回動操作すると動作して突出し、その先端部が車両のステアリングに形成された穴に挿通することにより、当該ステアリングをロックし得るものである。
【0024】
さらに、連結部材5におけるカム部5aより上部(操作ノブ4が連結される部位とロックバーRが取り付けられる部位との間)には、スイッチ手段Wを構成する可動部材12が取り付けられている。このスイッチ手段Wは、操作ノブ4の回動操作に応じて動作し得るとともに、操作ノブ4がオフ位置からオン位置に操作されたとき、車両のエンジンを駆動させ得るもので、操作ノブ4と連動し得る可動部材12と、該可動部材12に形成されて操作ノブ4の操作に伴って固定接点(不図示)と接触又は離間可能な可動接点13とを具備している。
【0025】
可動部材12は、図8、9に示すように、連結部材5を挿通する貫通孔12aが形成されるとともに、上面に一対の可動接点13が取り付けられており、それぞれの可動接点13は、上方に突出形成された一対の接点部13aを有している。一方、第2保持部材C2に形成されたカプラ部Kには、複数の接続金具bが突出形成されており、これら接続金具bの基端側に固定接点が形成されるとともに、操作ノブ4の回転操作に伴って可動部材12が回転すると、可動部材12の接点部13aが固定接点に対して接触又は離間し得るようになっている。
【0026】
そして、操作ノブ4がオフ位置にあるとき、可動接点13の接点部13aと固定接点とが離間した状態とされてエンジンが停止するとともに、操作ノブ4をオン位置に回動操作すると、可動接点13の接点部13aと固定接点とが接触して所定の電気回路が形成され、エンジンが始動可能な状態となるよう構成されている。なお、可動部材12、可動接点13及び固定接点は、イグニッションスイッチを構成するものであり、かかるイグニッションスイッチは、車両のエンジン(具体的にはエンジンを制御するECU)と電気的に接続され、当該イグニッションスイッチにて所定回路が形成されると、エンジンが始動するよう構成されている。
【0027】
アクセススイッチ7は、操作ノブ4が押圧操作されることによりオンして判定手段3による判定を行わせるもので、操作ノブ4のフランジ部4baの下方の位置に配設されている。すなわち、本実施形態においては、操作ノブ4が押圧操作されてコイルスプリング6の付勢力に抗して下方に変位すると、当該操作ノブ4のフランジ部4baがアクセススイッチ7のスイッチ部を押下して電気的にオンするよう構成されているのである。しかして、アクセススイッチ7がオンすると、判定システムが起動し、判定手段3による判定が行われる。
【0028】
規制手段8は、操作ノブ4の回動操作を規制するとともに、判定手段3により受信手段2で受信したIDコードが正規のものと判定されたことを条件として当該操作ノブ4の回動を許容(規制を解除)するもので、本実施形態においては、図4に示すように、通電により変位可能な作動子8a(プランジャ)を有したソレノイドから成る。具体的には、連結部材5には、その周方向に凹部が形成されており、その凹部に作動子8aの先端部が係合することにより、操作ノブ4の回動を規制し得るよう構成されている。そして、判定手段3によって正規のIDを受信したと判定されると、ソレノイドから成る規制手段8に通電され、作動子8aが凹部から後退して係止が解除されるようになっている。
【0029】
なお、連結部材5には複数の凹部が形成されており、操作ノブ4がオフ位置のとき、作動子8aが一方の凹部に係止するとともに、操作ノブ4がロック位置のとき、作動子8aが他方の凹部に係止するよう構成されており、オフ位置及びロック位置において操作ノブ4の回動操作が規制されるようになっている。また、本実施形態に係る規制手段8は、その作動子8aが連結部材5に係止するものとされているが、操作ノブ4の所定部位に凹部を形成し、その凹部に規制手段8の作動子8aが係止するよう構成してもよい。
【0030】
さらに、本実施形態に係るエンジン始動装置は、操作ノブ4を回動操作可能に保持した第1保持部材C1と、ロックバーRを動作可能に保持した第3保持部材C3と、第1保持部材C1及び第3保持部材C3の間に位置する第2保持部材C2とを具備している。第1保持部材C1は、図12に示すように、操作ノブ4を挿通して取付可能な挿通孔C1aと、表示板14を取付可能な取付凹部C1bと、取付凹部C1bの所定位置に形成された複数の貫通孔aとを有して構成されている。
【0031】
取付凹部C1bは、操作ノブ4の位置による操作内容(オン、オフ及びロック等)の表示が印刷された光透過樹脂等から成る表示板14(図1参照)を取付可能な大きさ及び形状の凹部から成り、照明手段9(図10参照)から照射された光が貫通孔aを通過して、表示板14の表示に光を透過させ得るようになっている。かかる照明手段9は、図10に示すように、第1保持部材C1における操作ノブ4の近傍部位に対して光を照射し得るLEDから成り、図11に示すように、レンズ10(導光体)により覆われて組み付けられている。
【0032】
この照明手段9は、コネクタ11(第2接続部)から延びる配線hに接続されており、当該コネクタ11に車両側から延びる配線を接続することにより、車両側のバッテリから照明手段9に電力を供給し得るようになっている。また、本実施形態に係るコネクタ11は、規制手段8と配線(不図示)を介して接続されており、当該コネクタ11に車両側から延びる配線を接続することにより、車両側のバッテリから規制手段8に電力を供給し得るようになっている。すなわち、コネクタ11は、規制手段8及び照明手段9の両方を車両側のバッテリと電気的に接続して電力を供給し得るよう構成されている。
【0033】
第2保持部材C2は、図13に示すように、連結部材5を挿通させ得る挿通孔C2aと、コネクタ11を取付可能な取付部C2bと、アクセススイッチ7を取付可能な取付部C2cとを有して構成されるとともに、カプラ部K(第1接続部)が一体形成されている。カプラ部Kは、スイッチ手段Wを車両側と電気的に接続するためのもので、図2、4に示すように、複数の接続金具bが突出形成されており、車両側から延びる配線を接続することにより、接続金具bを介してスイッチ手段Wと車両側(ECU等)との間で電気的接続が可能とされている。
【0034】
第3保持部材C3は、図14、15に示すように、ロックバーRを挿通可能な挿通孔C3aと、連結部材5の下端部を挿通可能な突出部C3bと、可動部材12を摺動させ得る摺動面C3cとを有して構成されている。そして、操作ノブ4を回転操作するのに伴って連結部材5が回転すると、可動部材12が摺動面C3c上を摺動して回転するとともに、可動接点13の接点部13aが固定接点に対して接触又は離間し得るようになっている。
【0035】
しかるに、本実施形態に係るスイッチ手段Wは、図9に示すように、可動部材12の上面に可動接点13が取り付けられており、その可動接点13と対向する位置にある第2保持部材C2の面C2d(図3、4参照)に固定接点が形成されるので、図3、4に示すように、可動接点13よりも固定接点の方が上方に位置して構成されている。すなわち、可動部材12は、第3保持部材C3の摺動面C3cを摺動して回転しつつ第2保持部材C2の面C2dに形成された固定接点に対して可動接点13を下方から接触又は離間させ得るのである。
【0036】
第4保持部材C4は、規制手段8を保持しつつ第2保持部材C2に取り付けられたケースから成るもので、図16に示すように、第2保持部材C2を挿通可能な挿通孔C4aと、規制手段8を保持可能な保持部C4bとを有して構成されている。本実施形態においては、第2保持部材C2に第4保持部材C4を組み付けた状態において、保持部C4bの直下にカプラ部Kが位置するようになっている。
【0037】
ここで、本実施形態に係るスイッチ手段Wは、操作ノブ4及びロックバーRの間の位置に配設されるとともに、カプラ部K(第1接続部)及びコネクタ11(第2接続部)が近接した位置とされている。すなわち、スイッチ手段Wは、上部に操作ノブ4及び下部にロックバーRが位置することになり、第三者による不正なアクセスを困難とするとともに、第2保持部材C2にカプラ部K及びコネクタ11を形成し、図1、2に示すように、これらカプラ部K及びコネクタ11が互いに隣接した位置に配設されている。
【0038】
本実施形態によれば、スイッチ手段Wは、操作ノブ4及びロックバーRの間の位置に配設されたので、ロックバーRが装置の最下部に位置することとなり、スイッチ手段Wに対する不正なアクセスを困難として防犯効果を向上することができるとともに、スイッチ手段WがロックバーRより上方に位置するため、下方から水の巻き上げがある場合における電気的不具合を抑制することができる。
【0039】
また、操作ノブ4を回動操作可能に保持した第1保持部材C1と、ロックバーRを動作可能に保持した第3保持部材C3と、第1保持部材C1及び第3保持部材C3の間に位置する第2保持部材C2とを具備するとともに、第2保持部材C2は、スイッチ手段Wを車両側と電気的に接続するためのカプラ部K(第1接続部)と、規制手段8を車両側と電気的に接続して電力を供給し得るコネクタ11(第2接続部)とが形成されたので、カプラ部K(第1接続部)及びコネクタ11(第2接続部)を近接させることができ、配線の接続作業や取り回し作業を容易に行わせることができる。
【0040】
特に、本実施形態によれば、カプラ部K(第1接続部)及びコネクタ11(第2接続部)は、互いに隣接した位置に形成されたので、カプラ部K(第1接続部)及びコネクタ11(第2接続部)を確実に近接させることができ、配線の接続作業や取り回し作業をより一層容易に行わせることができる。さらに、第1保持部材C1における操作ノブ4の近傍部位に対して光を照射し得る照明手段9を具備するとともに、コネクタ11(第2接続部)は、規制手段8に加え、当該照明手段9を車両側と電気的に接続して電力を供給し得るので、コネクタ11(第2接続部)を規制手段8及び照明手段9の接続部として共用化することができる。
【0041】
またさらに、スイッチ手段Wは、操作ノブ4と連動し得る可動部材12と、該可動部材12に形成されて操作ノブ4の操作に伴って固定接点と接触又は離間可能な可動接点13とを具備するとともに、可動接点13よりも固定接点の方が上方に位置するので、雨水等が固定接点上に残存してしまうのを防止でき、スイッチ手段Wにおける電気的不具合を抑制することができる。
【0042】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えばアクセススイッチ7が別個の部位に形成されたもの、或いは照明手段9を具備しないもの等であってもよく、シーソー型のスイッチノブDを具備しないものであってもよい。また、規制手段8は、本実施形態の如くソレノイドから成るものに限らず、モータやリンク等を有した他の形態のものであってもよい。なお、本実施形態に係るエンジン始動装置は、二輪車に適用されているが、他の形態の車両に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
スイッチ手段が操作ノブ及びロックバーの間の位置に配設されたエンジン始動装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 発信手段
2 受信手段
3 判定手段
4 操作ノブ
4a つまみ部
4b 連結部
4ba フランジ部
5 連結部材
5a カム部
6 コイルスプリング
7 アクセススイッチ
8 規制手段
8a 作動子
9 照明手段(LED)
10 レンズ
11 コネクタ(第2接続部)
12 可動部材
12a 貫通孔
13 可動接点
13a 接点部
14 表示板
R ロックバー
S スライダ
C1 第1保持部材
C2 第2保持部材
C3 第3保持部材
C4 第4保持部材
h 配線
K カプラ部(第1接続部)
D シーソー型のスイッチノブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14
図15
図16