(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-13
(45)【発行日】2023-07-24
(54)【発明の名称】清掃具
(51)【国際特許分類】
A47L 13/10 20060101AFI20230714BHJP
A47L 13/24 20060101ALI20230714BHJP
A47L 13/20 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
A47L13/10 D
A47L13/24 A
A47L13/20 B
(21)【出願番号】P 2019169681
(22)【出願日】2019-09-18
【審査請求日】2022-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000101363
【氏名又は名称】アズマ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119404
【氏名又は名称】林 直生樹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】林 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100177769
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】田口 信吾
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-024157(JP,U)
【文献】実開昭50-136258(JP,U)
【文献】実開平04-010841(JP,U)
【文献】特開平10-304997(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 13/10-13/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状の柄部と、
前記柄部の軸方向一方側端部に取り付けられたヘッド部と、
前記ヘッド部の前記柄部が取り付けられた側と反対側に取り付けられたブラシと、を有し、
前記ブラシは、多数の繊維が束ねられた繊維束を有し、
前記ブラシの前記繊維束は、前記繊維束の長手方向中間部が挟持部によって挟持され、
前記挟持部は、前記繊維束を挟持した状態で、前記ヘッド部に着脱可能に装着され
、
前記ヘッド部は、前記柄部が取り付けられる第1ヘッド部と、前記第1ヘッド部の前記柄部が取り付けられた側と反対側に着脱可能に装着される第2ヘッド部と、を有し、
前記第2ヘッド部は、前記第1ヘッド部に対して分離状態にあるときに、外部に露出する平面部を有し、
前記平面部は、平面視において長方形状であり、中央部及び前記平面部の長手方向両側の3カ所に前記挟持部が装着される装着孔部を有し、
前記平面部の中央部に設けられた前記装着孔部に装着される前記ブラシの前記繊維束の繊維は、平面視において前記平面部の短手方向に沿って延び、
前記平面部の長手方向両側に設けられた前記装着孔部に装着される前記ブラシの前記繊維束の繊維は、平面視において前記平面部の長手方向に沿って延びる、
ことを特徴とする清掃具。
【請求項2】
前記挟持部は、前記繊維束の外周を囲んで締め付けるブラシ挟持部と、前記挟持部を前記ヘッド部に着脱可能に装着する装着部と、を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の清掃具。
【請求項3】
前記装着部は、前記装着孔部への挿入時に弾性変形して前記装着孔部に係止可能な係止腕部を有し、
前記係止腕部は、前記装着孔部に係止された状態で前記係止腕部が前記装着孔部の内側方向へ押圧されることで、前記装着孔部への係止状態が解除される
ことを特徴とする請求項2に記載の清掃具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柄部の先端にブラシが設けられた清掃具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の清掃具には、柄部の先端に清掃対象部位を払掃するブラシが固定的に取り付けられたハタキ状のものやブラシ状のもの、あるいはブラシが球状に形成されたもの等が知られている。これらのタイプの清掃具は、ブラシが交換できないため、清掃時にブラシが汚れた場合には、そのブラシに付着した塵埃を取り除くか、清掃具全体を交換する必要がある。
【0003】
そこで、特許文献1には、ブラシが柄の先端に着脱自在に取り付けられて、ブラシが汚れた場合にブラシの交換が可能な清掃具が提案されている。特許文献1に記載の清掃具は、把持用のハンドルと、ハンドルの先端部に回動可能に取り付けられた清掃媒体支持部を介して支持されたブラシと、を有する。清掃媒体支持部は、互いの間隔を有して並設された一対のスリーブを有する。ブラシは、一対のスリーブに対して着脱可能に支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の清掃具のブラシは、清掃によってブラシの一部が汚れた場合でも、ブラシ全体を交換する必要がある。また、特許文献1に記載のブラシは、多数の繊維とこれらを取り付ける取り付け部とを有してなる。このため、ブラシを交換する場合には、繊維のみを交換することができない。
【0006】
本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく、資源の無駄を防止してより安価にブラシ交換が可能な清掃具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明の清掃具は、棒状の柄部と、前記柄部の軸方向一方側端部に取り付けられたヘッド部と、前記ヘッド部の前記柄部が取り付けられた側と反対側に取り付けられたブラシと、を有し、前記ブラシは、多数の繊維が束ねられた繊維束を有し、前記ブラシの前記繊維束は、前記繊維束の長手方向中間部が挟持部によって挟持され、前記挟持部は、前記繊維束を挟持した状態で、前記ヘッド部に着脱可能に装着され、前記ヘッド部は、前記柄部が取り付けられる第1ヘッド部と、前記第1ヘッド部の前記柄部が取り付けられた側と反対側に着脱可能に装着される第2ヘッド部と、を有し、前記第2ヘッド部は、前記第1ヘッド部に対して分離状態にあるときに、外部に露出する平面部を有し、前記平面部は、平面視において長方形状であり、中央部及び前記平面部の長手方向両側の3カ所に前記挟持部が装着される装着孔部を有し、前記平面部の中央部に設けられた前記装着孔部に装着される前記ブラシの前記繊維束の繊維は、平面視において前記平面部の短手方向に沿って延び、前記平面部の長手方向両側に設けられた前記装着孔部に装着される前記ブラシの前記繊維束の繊維は、平面視において前記平面部の長手方向に沿って延びる、ことを特徴とする。
【0008】
また、前記挟持部は、前記繊維束の外周を囲んで締め付けるブラシ挟持部と、前記挟持部を前記ヘッド部に着脱可能に装着する装着部と、を有することが好ましい。
【0009】
また、前記装着部は、前記装着孔部への挿入時に弾性変形して前記装着孔部に係止可能な係止腕部を有し、前記係止腕部は、前記装着孔部に係止された状態で前記係止腕部が前記装着孔部の内側方向へ押圧されることで、前記装着孔部への係止状態が解除されることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、資源の無駄を防止してより安価にブラシ交換が可能な清掃具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施例に係る清掃具の斜視図である。
【
図2】把持部が装着されていない清掃具の部分側面図である。
【
図3】
図2のIII-III矢視に相当する清掃具の部分断面図である。
【
図4】ヘッド部に対する柄部の回動を説明するための清掃具の部分正面図である。
【
図5】
図5(a)は、第1ヘッド部の斜視図であり、
図5(b)は、第2ヘッド部の斜視図である。
【
図6】
図6(a)は、
図6(b)のVI-VI矢視に相当する挟持部の断面図であり、
図6(b)は挟持部の正面図である。
【
図9】挟持部によって挟持された繊維束の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る清掃具について説明する。本実施形態では、浴室の浴槽、床、天井等を拭き取る際に使用される清掃具について説明する。
【0015】
また、図面においては、清掃具の中心軸を用具軸Jと記述し、用具軸Jに平行な方向を単に「軸方向」と記述し、用具軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と記述し、用具軸Jを中心とする周方向、すなわち、用具軸Jの軸周りを単に「周方向」と記述する。また、軸方向のうち、柄部に対してブラシ側を「下側」と記述し、その反対側を「上側」と記述する。
【0016】
<全体構成>
図1は、本発明の一実施例に係る清掃具の斜視図である。本実施形態の清掃具1は、
図1に示すように、把持部10と、柄部20と、軸固定部40と、ヘッド部60と、挟持部80(
図3参照)と、ブラシ100と、を有する。把持部10は、棒状であって伸縮可能である。柄部20は棒状である。軸固定部40は、柄部20の下側内部に配置される。ヘッド部60は、柄部20の下側端部に取り付けられる。ブラシ100は、ヘッド部60の下側に取り付けられる。以下、構成部材毎に詳細に説明する。
【0017】
(把持部10)
把持部10は、
図1に示すように、筒状の第1アーム部11及び第2アーム部14を有する。第1アーム部11内に第2アーム部14が突出入可能に挿入されて、把持部10は伸縮可能である。第1アーム部11を第2アーム部14に対して周方向一方側(例えば、時計方向)に回転させると、第1アーム部11は第2アーム部14に固定される。従って、把持部10は、所望の長さにした状態で維持することができる。
【0018】
第2アーム部14の下側端部には、径方向外側へ突出する係止突起部15aを有した連結筒部15が連結される。係止突起部15aは、柄部20に設けられた係合孔部21に係止されて、把持部10を柄部20に係止可能である。
【0019】
(柄部20)
柄部20は、
図1に示すように、筒状であり、柄部20の上端部内に連結筒部15が挿入される。柄部20の側壁20aの上部には、前述した係合孔部21が設けられる。
【0020】
柄部20の下部には、
図2に示すように、側面視において半球状に湾曲する湾曲面20bが形成される。また、柄部20の下側には、柄部20の下部及び径方向両側が開口して上向へ延びる切り欠き孔23が形成される。
【0021】
切り欠き孔23は、用具軸Jを中央にして対向配置された側壁20aの一対の内面20cによって形成される。内面20cの夫々には、
図3に示すように、径方向内側に突出する突起部24が設けられる。突起部24は、ヘッド部60に設けられた係合孔部62に係合する。
【0022】
柄部20の切り欠き孔23よりも上側には、軸固定部40が軸方向にスライド移動可能なスライド段部25が形成される。スライド段部25は、用具軸Jを中央にして柄部20の径方向両側に対向して設けられる。スライド段部25は、柄部20の側壁20aの外面よりも径方向内側に窪んで軸方向に平面状に延びる。
【0023】
湾曲面20bには、
図4(b)に示すように、ヘッド部60に対する柄部20の傾き角度を示す角度表示部28が設けられる。角度表示部28は、ヘッド部60に対して径方向に沿って延びる仮想線Lに対する柄部20の傾斜角度θが180度を有した位置を示す第1角度表示部28a(
図4(c)参照)と、柄部20の傾斜角度θが40度を有した位置を示す第2角度表示部28b(
図4(b)参照)と、柄部20の傾斜角度θが90度の角度を有した位置を示す第3角度表示部28c(
図4(a)参照)と、を有する。
【0024】
(軸固定部40)
軸固定部40は、
図3に示すように、例えば、ポリプロピレン等の合成樹脂材料で一体的に形成される。軸固定部40は、柄部20の切り欠き孔23(
図2参照)の下側から上方へ向かって挿入されて、一対のスライド段部25上をスライド移動して柄部20に装着される。
【0025】
軸固定部40の下端部には、下方へ突出する角度調整突起部49が設けられる。角度調整突起部49は、軸固定部40をスライド段部25に沿って下方へスライド移動させると、ヘッド部60に複数設けられた角度調整凹部63のいずれかに係合して、柄部20に対してヘッド部60の傾き角度を調整することができる。また、軸固定部40は、スライド段部25に対して上方へスライド移動させると、角度調整突起部49が角度調整凹部63から引き抜かれて、ヘッド部60が柄部20に対してフリーな状態になる。角度調整凹部63の詳細については後述する。
【0026】
柄部20は、
図4(a)に示すように、柄部20が軸方向に延びる状態、即ち傾斜角度θが90度となる状態の他に、傾斜角度θが40度となる状態(
図4(b)参照)と、傾斜角度θが180度となる状態(
図4(c)参照)に、することができる。従って、一定の清掃場所において、柄部20に対してヘッド部60を角度調整した状態で、集中して清掃することができる。
【0027】
(ヘッド部60)
ヘッド部60は、
図3、
図5(a)、
図5(b)に示すように、柄部20が取り付けられる第1ヘッド部61と、第1ヘッド部61の柄部20が取り付けられた側と反対側に着脱可能に装着される第2ヘッド部70と、を有する。第1ヘッド部61及び第2ヘッド部70の夫々は、例えば、ポリプロピレン等の合成樹脂材料で一体的に形成される。
【0028】
第1ヘッド部61は、
図3及び
図5(a)に示すように、径方向に沿って延びる天板部64と、天板部64の周縁部から下方へ延びる第1側壁部66と、を有する。天板部64は、平面視において長方形状である。天板部64の四隅は、平面視において外側に凸状に湾曲する。天板部64の長手方向両側には、軸方向に貫通する係合孔部64aが形成される。
【0029】
天板部64の外面の中央部には、上方へ突出する突出部65が設けられる。突出部65は直方体状に形成される。突出部65は、柄部20の一対の内面20c間に回動可能に挿入される。突出部65の上部は、正面視において上方へ突出する半円状に形成される。
【0030】
また、突出部65の上部の厚さ方向の両側には、突出部65の厚さ方向に貫通する係合孔部62が形成される。係合孔部62は、柄部20に形成された突起部24と係合する。よって、柄部20は、係合孔部62を回動中心として、天板部64に対して接近する方向及び離れる方向に回動可能である。
【0031】
突出部65は、係合孔部62の下方に、ヘッド部60に対する柄部20の傾き角度を調整する際の基準位置を示す基準表示部64bが設けられる。突出部65の上部には、角度調整突起部49と係合する角度調整凹部63が複数設けられる。角度調整凹部63は、
図5(a)に示すように、突出部65の半円状の上部における外面の厚さ方向の両側に、周方向に間隔を有して3個ずつ設けられる。これら3個の角度調整凹部63は、仮想線L(
図4(a)参照)に対する傾斜角度θが40度、90度、180度になる夫々の位置に設けられる。
【0032】
第1側壁部66は、
図5(a)に示すように、下方に進むに従って径方向外側に拡開する。第1側壁部66の長手方向中間部の下面は、天板部64に沿って延び、第1側壁部66の長手方向両側の下面は、径方向外側に進むに従って上方へ傾斜する第1傾斜面66aを有する。
【0033】
第2ヘッド部70は、
図3及び
図5(b)に示すように、径方向に沿って延びる平面部71と、平面部71の周縁部から下方へ延びる第2側壁部74と、を有する。第2ヘッド部70が第1ヘッド部61に対して分離状態にあるときに、平面部71は、外部に露出する。すなわち、平面部71の上面及び下面が露出する。平面部71は、平面視において長方形状である。平面部71の長手方向両側は、斜め上方へ傾斜する。
【0034】
平面部71の中央部及び長手方向両側には、平面視において長方形状の装着孔部72、72´が設けられる。装着孔部72、72´には、繊維束101(
図8参照)を挟持した挟持部80が装着される。
【0035】
平面部71の長手方向両端部には、上方へ突出して第1ヘッド部61の係合孔部64aと係止可能な係止部75が設けられる。係止部75は、平面部71に繋がって上方へ延びる板状の腕部75aと、腕部75aの径方向外側の外面上部に設けられた係止突起75bと、を有する。係止部75は、第1ヘッド部61の第1側壁部66の下面に第2ヘッド部70の第2側壁部74の上面を接触させると、
係止突起75bが係合孔部64aに係止されて、第2ヘッド部70と第1ヘッド部61とを連結する。
【0036】
また、係合孔部64aに係止された係止突起75bを係合孔部64aの径方向内側へ押圧すると、腕部75aが弾性変形して、係止突起75bの係合孔部64aへの係止状態を解除することができる。
【0037】
第2側壁部74は、下方に進むに従って径方向外側に拡開する方向に延びる。第2側壁部74の長手方向両側の上面及び下面は、径方向外側に進むに従って上方へ傾斜する第2傾斜面74aを有する。第2傾斜面74aは、第1傾斜面66aと同じ傾斜角度を有する。このため、第2ヘッド部70が第1ヘッド部61に連結されると、第1ヘッド部61の第1傾斜面66aと第2ヘッド部70の上側の第2傾斜面74aとが互いに平行に延びた状態で接触する。
【0038】
また、第1ヘッド部61は第1傾斜面66aを有し、第2ヘッド部70は第2傾斜面74aを有するので、第1ヘッド部61と第2ヘッド部70とを連結すると、ヘッド部60の長手方向両端部は上方へ立ち上がった状態となる。また、
図1に示すように、ヘッド部60の長手方向両側に装着された繊維束101(
図9参照)の繊維101a´は、ヘッド部60の長手方向に沿って延びる。このため、繊維101a´は、ヘッド部60の長手方向端部が軸方向に延びる場合と比較して、ヘッド部60の長手方向端部から径方向外側へ延びる繊維101aの量を増大することができる。
【0039】
このため、清掃時にヘッド部60の長手方向端部が壁等の障害物に接近移動した場合、ヘッド部60の長手方向端部よりも径方向外側へ延びる多数の繊維101a´が障害部に接触して衝突エネルギーを吸収して低減する。このため、ヘッド部60の長手方向端部が障害物に接触して損傷する虞を軽減することができる。
【0040】
(挟持部80)
挟持部80は、
図6(a)及び
図6(b)に示すように、繊維束101(
図8参照)の外周を囲んで締め付けるブラシ挟持部81と、挟持部80をヘッド部60に着脱可能に装着する装着部90と、を有する。挟持部80は、例えば、ポリプロピレン等の合成樹脂材料で一体的に形成される。挟持部80は、所定の厚さBを有する。
【0041】
ブラシ挟持部81は、下部に設けられた薄肉部82と、薄肉部82の幅方向両側から上方に向かって延びる一対の腕部83、83´と、一対の腕部83、83´の夫々の上部から幅方向内側に延びて一対の腕部83、83´同士を連結可能な連結部84と、を有する。腕部83、83´は、薄肉部82に繋がって上方へ湾曲して上方へ延びる。
【0042】
薄肉部82は、ヒンジとして機能する。このため、一対の腕部83、83´は、薄肉部82を回動支点として幅方向外側及び幅方向内側に回動可能である。挟持部80は、一対の腕部83、83´が上下方向に延びた挟持位置Pcと、一対の腕部83、83´が外側に開いた開放位置Po(
図7参照)との間で回動可能である。
【0043】
連結部84は、
図6(b)に示すように、腕部83、83´の上部から幅方向内側へ延びる連結アーム部84a、84a´と、連結アーム部84a、84a´の延伸方向先端部に形成されて上下方向に突出する係止突起部84b、84b´と、を有する。係止突起部84b、84b´は、一対の腕部83、83´が挟持位置Pcに移動した状態で互いに係止されて、一対の腕部83、83´をロック状態にする。
【0044】
挟持部80は、一対の腕部83、83´が挟持位置Pcに移動した状態で、一対の腕部83、83´と、一対の連結アーム部84a、84a´とによって囲まれた空間部86を形成する。この空間部86内にブラシ100の一部を構成する繊維束101(
図8参照)が挟持される。このように、腕部83、83´と連結アーム部84a、84a´を有する挟持部80は、繊維束101の外周を囲んで締め付けるので、繊維束101を確実に挟持することができる。繊維束101の詳細については後述する。
【0045】
挟持部80は、
図3に示すように、一対の腕部83、83´が挟持位置Pcに移動した状態で、装着孔部72、72´内に挿入可能である。
【0046】
装着部90は、
図6(b)に示すように、装着孔部72への挿入時に弾性変形して装着孔部72に係止可能な係止腕部91を有する。装着部90は、一対の腕部83、83´が挟持位置Pcに移動した状態で、連結アーム部84a、84a´の上部に繋がって上方へ延びる支持部92、92´と、支持部92、92´の幅方向外側端部から幅方向外側へ進むに従って下方へ傾斜して延びる係止腕部91、91´と、を有する。
【0047】
係止腕部91、91´は、支持部92、92´との接続部分を支点として上下方向に弾性変形可能である。一対の係止腕部91、91´は、装着孔部72内に挿入されると、弾性変形しながら装着孔部72内を移動し、装着孔部72を通過すると、係止腕部91、91´の伸長方向先端部が装着孔部72の外側に移動して、挟持部80を装着孔部72に係止する。
【0048】
一方、係止腕部91、91´が装着孔部72に係止された状態で、係止腕部91、91´を装着孔部72の内側方向へ押圧すると、係止腕部91、91´の伸長方向先端部が装着孔部72の内側方向へ移動して、係止腕部91、91´の装着孔部72に対する係止状態を解除することができる。
【0049】
(ブラシ100)
ブラシ100は、
図8及び
図9に示すように、多数の繊維101aが束ねられた繊維束101を有する。繊維101aは、炭素繊維束を拡げてテープ状にした開織糸からなり、柔軟性を有する。繊維束101は、多数の繊維101aを直線状に束ねて長手方向中央部及び長手方向両端部が仮止め糸102で縛られる。繊維束101は、繊維束101の長手方向中間部が挟持部80によって挟持される。挟持部80は、繊維束101を挟持した状態で、ヘッド部60に着脱可能に装着される。挟持部80は、繊維束101を挟持した状態で、第2ヘッド部70の装着孔部72に装着される。
【0050】
図1及び
図3に示すように、平面部71の中央部に設けられた装着孔部72に装着されるブラシ100の繊維101aは、平面視において平面部71の短手方向に沿って延びる。また、平面部71の長手方向両側に設けられた装着孔部72´に装着されるブラシ100の繊維101a´は、平面視において平面部71の長手方向に沿って延びる。よって、ヘッド部60の中央部に装着された繊維束101の繊維101aは、ヘッド部60の短手方向に沿って延びる。また、ヘッド部60の長手方向両側に装着された繊維束101の繊維101a´は、ヘッド部60の長手方向に沿って延びる。
【0051】
挟持部80を介して第2ヘッド部70に装着された繊維束101は、
図9に示すように、その長手方向両側を縛った仮止め糸102が取り除かれ、挟持部80によって挟持された繊維束101の長手方向両側の多数の繊維101aがほぐされて起毛状態になってボリュームが増した状態にされる。このため、ヘッド部60に装着された繊維束101の繊維101a、101a´は、平面視において放射状に延びる。
【0052】
したがって、繊維束101を有したブラシ100は、繊維101a、101a´の解繊によって勝れた弾力性と柔軟性を発揮し、清掃対象部位の形状に適応しながら変形し、しかもその起毛した繊維101aが浴室の狭い部分まで入り込んで浴室に付着した汚れを水だけでかき出すことができる。よって、浴室の隅々まできれいに清掃を行うことができる。
【0053】
<本実施形態の作用>
(繊維束101の繊維101aが汚れた場合)
本実施形態における清掃具1において、清掃時にブラシ100の一部が汚れた場合には、第1ヘッド部61から第2ヘッド部70を取り外す。第2ヘッド部70を取り外す際には、第2ヘッド部70に設けられた係止突起75bを係合孔部64aの内側方向へ押圧する。第2ヘッド部70が第1ヘッド部61から取り外されると、汚れた繊維101aを有する繊維束101を挟持する挟持部80を、装着孔部72から取り外す。取り外された挟持部80は、連結部84,84´による一対の腕部83、83´間の連結を解除し、一対の腕部83、83´を開放位置Poに移動させて、汚れた繊維束101を取り外す。そして、新たな繊維束101を挟持部80に挟持させて、挟持部80を第2ヘッド部70に装着し、第2ヘッド部70を第1ヘッド部61に装着する。
【0054】
<本実施形態の効果>
ブラシ100の繊維束101は、繊維束101の長手方向中間部が挟持部80によって挟持され、挟持部80は、繊維束101を挟持した状態で、ヘッド部60に着脱可能に装着される。このため、清掃時にブラシ100の一部が汚れた場合には、汚れた繊維101aを含んだ繊維束101のみを交換すればよい。従って、ブラシ100の一部が汚れた場合に、ブラシ全体を交換する必要がなく、資源の無駄を防止してより安価にブラシ交換をすることができる。
【0055】
以上、実施例に沿って本発明の構成とその作用効果について説明したが、本発明の実施の形態は上記実施例に限定されるものではない。
【0056】
前述した実施形態では、第2ヘッド部70に3つの挟持部が着脱可能な場合を示したが、3つに限るものでなく、ヘッド部60が大型のものでは、4つ以上の挟持部80を第2ヘッド部70に装着可能にしてもよい。この場合、例えば、平面部71の長手方向中間部に2つ以上の挟持部80を長手方向に間隔を有して装着する。
【0057】
また、前述した実施形態では、ブラシ100の交換時に、挟持部80を第2ヘッド部70から取り外してブラシ100を交換する場合を記載したが、挟持部80の剛性が大きいときには、挟持部80を第2ヘッド部70に対して着脱するのが難しくなる場合がある。このような場合には、ブラシ100の交換時に、汚れた繊維束101を挟持する挟持部80を第2ヘッド部70から取り外すことなく、挟持部80が第2ヘッド部70に取り付けられたままの状態で第2ヘッド部70毎交換しても良い。したがって、ブラシ交換の作業性を容易にすることができるとともに、ヘッド部60毎交換する場合と比較して、ブラシ交換のコストを安価にすることができる。
【符号の説明】
【0058】
1 清掃具
20 柄部
60 ヘッド部
61 第1ヘッド部
70 第2ヘッド部
71 平面部
72、72´ 装着孔部
80 挟持部
81 ブラシ挟持部
90 装着部
91、91´ 係止腕部
100 ブラシ
101 繊維束
101a、101a´ 繊維