(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-13
(45)【発行日】2023-07-24
(54)【発明の名称】双翅類昆虫の生産のための機器および方法
(51)【国際特許分類】
A01K 67/033 20060101AFI20230714BHJP
【FI】
A01K67/033 502
(21)【出願番号】P 2020537059
(86)(22)【出願日】2018-09-14
(86)【国際出願番号】 GB2018052631
(87)【国際公開番号】W WO2019053456
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2021-09-01
(32)【優先日】2017-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】520089196
【氏名又は名称】エントサイクル リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ENTOCYCLE LTD
【住所又は居所原語表記】29 SHAND STREET, LONDON SE1 2ES, UNITED KINGDOM
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ウィタカー,ケイラン・カミロ・オリバレス
(72)【発明者】
【氏名】ヒルマン,ポール・サミュエル
【審査官】川野 汐音
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05594654(US,A)
【文献】国際公開第2013/166590(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0174222(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0042131(US,A1)
【文献】国際公開第2016/011541(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0296760(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 67/033
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハエを繁殖させるためのモジュール式システムであって、
受精卵が成長して幼虫として孵化する孵卵室であって、少なくとも1つの卵ホルダーを含み、該卵ホルダーが、該受精卵を保持するように、および孵化後にそこからの該幼虫の移動を可能にするように適合され、さらに、該卵ホルダーから餌源へ移動する該幼虫を計数する手段を含む、孵卵室と;
前記餌源
における該幼虫を受け入れるように、および該幼虫が該餌源において餌を食べて前蛹へと成長することを可能にするように構成された幼虫室と;
該前蛹を受け入れるように、および該前蛹が蛹へと成長することを可能にするように構成された蛹化室と;
該蛹を受け入れるように、および該蛹がハエ成虫へと成長するのを可能にするように構成された放出ボックスであって、ハエ成虫のための一つまたは複数の出口を含む、放出ボックスと;
該放出ボックスの該出口を介してハエ成虫を受け入れるように、および一つまたは複数の産卵ラックにおいて該受精卵を産卵する少なくとも一匹の抱卵雌を提供するために該ハエ成虫が交尾することを可能にするように構成された繁殖室と、を含むモジュール式システム。
【請求項2】
前記孵卵室は、個々の幼虫を分離するように構成された表面をさらに含み、前記卵ホルダーが、前記幼虫が該卵ホルダーから落下して
前記表面に接触するように位置決めされる、請求項1に記載のモジュール式システム。
【請求項3】
前記幼虫室が、前記餌源における前記幼虫の別々のバッチを受け入れるため
の複数の受け入れ位置を有し;
前記蛹化室が、該餌源における前蛹の、異なるバッチを受け入れるため
の複数の受け入れ位置を有し;および/または、
前記放出ボックスが、前記乾燥した餌源における蛹の、異なるバッチを受け入れるため
の複数の受け入れ位置を有する、請求項1または2に記載のモジュール式システム。
【請求項4】
前
記複数の受け入れ位置が、棚、ラック、および引き出しからなる群より選択される、請求項3に記載のモジュール式システム。
【請求項5】
同じ容器が、前記幼虫室から前記蛹化室へ、さらに前記放出ボックスへ連続的に移動するために使用される、請求項3または4に記載のモジュール式システム。
【請求項6】
前記前蛹が、前記蛹化室における前記餌源においてその場で乾燥される、請求項1~5のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【請求項7】
前記蛹化室以前の前記餌源が、60%から80%の範囲の含水率を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【請求項8】
前記蛹化室での乾燥後の前記餌源が、60%未満の含水率を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【請求項9】
前記蛹化室が、前記幼虫室より低い10%から20%の相対湿度に維持される、請求項1~8のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【請求項10】
前記幼虫を計数する前記手段が、
少なくとも一つの受精卵から孵化する前記幼虫がそこから落下する落下点と;
該幼虫が落下点から落下したときに、それらが一つまたは複数の傾斜した表面の少なくとも一つに接触するように、該落下点の下方に位置決めされた該一つまたは複数の傾斜した表面であって、該接触が、該幼虫を個々の前記幼虫へと分離し、該個々の幼虫を該一つまたは複数の傾斜された表面から誘導する、一つまたは複数の傾斜した表面と、を含む機器であり、
監視装置が、該一つまたは複数の表面から誘導された該個々の幼虫を計数する、請求項1~9のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【請求項11】
前記落下点が、前記孵卵室の前記一つまたは複数の卵ホルダーの少なくとも一つである、請求項10に記載のモジュール式システム。
【請求項12】
前記落下点が、前記孵卵室の前記卵ホルダーから幼虫を収集した運搬システムの端部である、請求項1
0に記載のモジュール式システム。
【請求項13】
前記落下点と前記一つまたは複数の傾斜した表面との間の距離が、50mmから400mmの間である、請求項10~12のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【請求項14】
前記落下点と前記一つまたは複数の傾斜した表面との間の前記距離が、100mmから300mmの間である、請求項13に記載のモジュール式システム。
【請求項15】
前記幼虫が前記落下点から落下するときの該幼虫
の垂直な方向に対する前記一つまたは複数の傾斜した表面の角度が30°から70°である、請求項10~14のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【請求項16】
前記監視装置が、その視野を通って落下する幼虫の数を視覚化し記録することができる装置に取り付けられた、視野を有するカメラである、請求項10~15のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【請求項17】
前記幼虫が前記カメラとスクリーンとの間を通過するように、該カメラの視野内に該スクリーンが提供される、請求項16に記載のモジュール式システム。
【請求項18】
前記放出ボックスが、ハエを二つ以上の繁殖室中に放出するために移動可能である、請求項1から17のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【請求項19】
前記放出ボックスが、ホイール、ランナー、レール上に取り付けられる、請求項18に記載のモジュール式システム。
【請求項20】
前記前蛹が、前記蛹化室における前記餌源においてその場で乾燥される、請求項1~19のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【請求項21】
以下のステップ:
a)少なくとも1つの受精卵を孵卵室の少なくとも1つの卵ホルダーに提供するステップであって、該卵ホルダーが、該少なくとも1つの受精卵を保持するように、および孵化後にそこからの幼虫の移動を可能にするように適合される、ステップと;
b)前記幼虫として孵化させるために、該受精卵にとって好適な該孵卵室内の条件を提供するステップであって、孵化後に該幼虫が該卵ホルダーから餌源へと移動する、ステップと;
c)該卵ホルダーから該餌源へと移動する該幼虫を監視装置を使用して計数するステップと;
d)所定の数の計数された前記幼虫を前記餌源に提供するステップと;
e)前記餌源における該所定の数の計数された前記幼虫を幼虫室に位置し、該幼虫が成長して前蛹へと変態することを可能にするステップと;
f)該前蛹を蛹化室内に位置し、該前蛹が蛹へと変態することを可能にするステップと;
g)該蛹を、該蛹がハエ成虫へと成長するための放出ボックス内に位置するステップであって、該放出ボックスが、ハエ成虫が該放出ボックスを去るための1つまたは複数の出口を含む、ステップと;
h)少なくとも一匹の雄のハエ成虫および少なくとも一匹の雌のハエ成虫が、繁殖室へと、該放出ボックスを去ることを可能にするステップと;
i)少なくとも一匹の抱卵雌を提供するために、少なくとも一匹の雄のハエ成虫および少なくとも一匹の雌のハエ成虫が交尾するのを可能にするステップであって、該少なくとも一匹の抱卵雌が、一つまたは複数の取り外し可能な産卵ラックにおいて少なくとも一つの前記受精卵を産卵する、ステップと;
j)少なくとも一つの前記受精卵を、該一つまたは複数の産卵ラックから取り出すステップと、を含む、ハエを繁殖させる方法。
【請求項22】
k)ステップ(a)から(j)を繰り返すステップを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記孵卵室は、前記幼虫を個々の幼虫に分離するように構成された表面を含み、前記幼虫が、前記卵ホルダーから前記餌源へと移動するときに、該幼虫が
前記表面に接触し、該幼虫を個々の幼虫へと分離す
る、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
前記幼虫室が、前記餌源における幼虫のバッチの「先入れ先出し(first in first out)」順次処理システムにおいて作動し、該餌源における幼虫の各バッチが、前記蛹化室に位置される前に、該幼虫室において適切な長さの時間を過ごし;
前記蛹化室が、前記餌源における前蛹のバッチの「先入れ先出し」順次処理システムにおいて作動し、該餌源における前蛹の各バッチが、前記放出ボックスに位置される前に、該蛹化室において適切な長さの時間を過ごし;および/または、
前記放出ボックスが、前記餌源における蛹のバッチの「先入れ先出し」順次処理システムにおいて作動し、該餌源における蛹の各バッチが、取り出される前に、該放出ボックスにおいて適切な長さの時間を過ごす、請求項21~23の何れか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記幼虫室、前記蛹化室、および/または前記放出ボックスが容器である、請求項21~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記幼虫室、前記蛹化室、および/または前記放出ボックスが同じ容器である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記同じ容器が、前記幼虫室から前記蛹化室へ、さらに前記放出ボックスへ連続的に移動するために使用される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記蛹化室以前の前記餌源が、60%から80%の範囲の含水率を有する、請求項21~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記餌源が、前記蛹化室において乾燥され、該蛹化室での乾燥の後、該餌源が、60%未満の含水率を有する、請求項21~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記蛹化室が、前記幼虫室より低い10%から20%の相対湿度に維持される、請求項21~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
ステップ(c)における幼虫の計数ステップが、請求項10~20のいずれか一項の
モジュール式システム内の個々の幼虫を計数する手段を使用して実施される、請求項21~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記個々の幼虫が卵ホルダーから餌源に移動する際に個々の幼虫を数えるように配置される、請求項10~20のいずれか一項において定義される、
前記モジュラーシステム内の幼虫を計数するための
手段。
【請求項33】
以下のステップ:
受精卵を保持し、孵化後にそこから幼虫を通過させるように適合されている少なくとも1つの卵ホルダーに一つまたは複数の受精卵を提供するステップと;
該卵が幼虫として孵化することを可能にするのに好適な条件を提供するステップと;
監視装置を使用して、前記卵ホルダーから餌源に移動する幼虫を計数するステップと
、を含む、幼虫を計数する方法。
【請求項34】
請求項32の
手段を使用して実施される、請求項33に記載の、幼虫を計数する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昆虫集団、特にハエ集団の繁殖に関する。とりわけ、当該幼虫期のハエを生産し収穫することを可能にするために、ならびに後続の世代を提供するために、繁殖のためにハエの集団を維持することを可能にするために、当該繁殖サイクルの最適化および制御が取り扱われる。この方法において、閉じた生産サイクルが実現される。
【背景技術】
【0002】
昆虫は、数千年の間、食物源として依拠されてきた。昆虫は、タンパク質、繊維の貴重な源を提供し、多くのビタミンおよびミネラルの有用な源でもある。近年、人および動物による消費のための昆虫繁殖の当該分野に対する関心が高まっている。昆虫の当該意図的な育成は、場合により「昆虫養殖」とも呼ばれ、当該世界の当該増え続ける人口のために将来の食糧確保を提供する有望な方法の1つとして提案されてきた。
【0003】
昆虫は、従来的に飼育された食料生産動物、例えば、豚および牛など、よりもおよそ10倍以上効率的に、植物材料を食物に変換することができる。昆虫は、成長を維持するために、はるかに少ない土地および水しか必要としない。昆虫の繁殖は、およそ4:1のエネルギー入力対タンパク質出力比を有するが、その一方で、従来的に育てられた家畜は、54:1の比を有する。
【0004】
食料源としての昆虫の当該使用の当該明確な利点にもかかわらず、それは、歴史的に、ほとんどの国、特に先進国において、人および動物の当該食物摂取のごく一部のみしか形成していなかった。これは、一部には、昆虫源由来の食物へと変更することへの文化的抵抗感に起因する一方で、主に、工業規模において昆虫を養殖する方法に対する当該困難さおよび限られた理解にも起因している。各昆虫は異なっており、異なる環境的および栄養的要件を有するが、主要な食料生産昆虫に対しては、これらは、理解されつつある。当該産業のために残っている課題は、工業規模での使用のためにスケーラブルであり、手作業のオペレータによる入力が最小限であるかまたは全くない、ロバストで再現可能な繁殖ルーチンをどのようにして開発するかである。
【0005】
双翅類昆虫は、より一般的には「ハエ」として知られており、それらは、その急速なライフサイクルに起因して、昆虫養殖において特に有用である。特に、当該アメリカミズアブ(Black Soldier Fly:BSF)(Hermetia illucens)は、廃棄物有機材料の消化において、ならびに、その成長の一部として、それらを、動物、例えば、人など、による消費にとって好適なタンパク質および他の栄養素へ変換することにおいて、効率的であることが、当技術分野において知られている。
【0006】
アメリカミズアブは、他の昆虫に勝るいくつかの利点を有しており、それが、アメリカミズアブを養殖に対して特によく適合させている。第一に、それらは、消化において非常に効率的であり、1グラムのアメリカミズアブの卵は、18日間で、2.4kgのタンパク質の当該同等物へと変化することができることが報告されている。第二に、当該ハエ成虫は、口器官を有さないため、噛みつかず、また刺しもしない。第三に、それらは、人の食料品に惹きつけられないため、他の源から付着した疾患のベクターとして機能する可能性が低い。アメリカミズアブを繁殖させる試みが為されており、いくつかの限定された成功が得られている。しかしながら、使用される当該設備および説明される当該方法は、商業的規模での生産にとって好適なアメリカミズアブの生産を規模拡大する手段を提供しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ハエ幼虫の当該繁殖および/または養殖に現在使用されている当該機器および方法論を改良しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第一態様において、本発明は、ハエを繁殖させるためのモジュール式システムであって、
受精卵を受け入れるように、および当該受精卵が成長し幼虫として孵化するのを可能にするように構成され、少なくとも一つの卵ホルダーを含み、当該卵ホルダーまたは各卵ホルダーが、当該受精卵を保持するように、および餌源における幼虫を提供するために、当該卵ホルダーから当該餌源への当該幼虫の移動を可能にするように適合される孵卵室と;
当該餌源における当該幼虫を受け入れるように、および当該餌源における前蛹を提供するために、当該幼虫が当該餌源において餌を食べて前蛹へと成長することを可能にするように構成された幼虫室と;
当該餌源における当該前蛹を受け入れるように、および当該前蛹が蛹へと成長することを可能にするように構成され、乾燥餌源における蛹を提供するために、上記餌源および当該前蛹を乾燥させるように構成された蛹化室と;
当該乾燥餌源における当該蛹を受け入れるように、および当該蛹がハエ成虫へと成長するのを可能にするように構成され、ハエ成虫が当該放出ボックスを去るための一つまたは複数の出口を含む放出ボックスと;
当該放出ボックスの当該1つまたは複数の出口を介してハエ成虫を受け入れるように、および抱卵雌を提供するために、ハエ成虫が交尾することを可能にするように構成され、当該抱卵雌が、1つまたは複数の産卵ラックにおいて前記受精卵を産卵する繁殖室と、を含むシステムを提供する。
【0009】
第二態様において、本発明は、ハエを繁殖させるためのプロセスであって、
a)少なくとも1つの受精卵を孵卵室の少なくとも1つの卵ホルダーに提供するステップであって、当該卵ホルダーまたは各卵ホルダーが、当該少なくとも1つの受精卵を保持するように、および孵化後にそこからの当該幼虫の移動を可能にするように適合される、ステップと;
b)幼虫として孵化させるために、当該受精卵にとって好適な当該孵卵室内の条件を提供するステップであって、餌源における幼虫を提供するために、孵化後に当該幼虫が当該卵ホルダーから当該餌源へと移動する、ステップと;
c)当該餌源における当該幼虫を幼虫室に位置し、当該幼虫が当該餌源において成長して前蛹へと変態することを可能にするステップと;
d)当該餌源における当該前蛹を蛹化室に位置するステップであって、乾燥した餌源における蛹を提供するために、当該蛹化室が、上記餌源における当該前蛹を乾燥させるように構成される、ステップと;
e)当該乾燥餌源における当該蛹を、当該蛹がハエ成虫へと成長するための放出ボックスに位置するステップであって、当該放出ボックスが、ハエ成虫が当該放出ボックスを去るための1つまたは複数の出口を含む、ステップと;
f)少なくとも一匹の雄のハエ成虫および少なくとも一匹の雌のハエ成虫が、繁殖室へと当該放出ボックスを去ることを可能にするステップと;
g)少なくとも一匹の抱卵雌を提供するために、少なくとも一匹の雄のハエ成虫および少なくとも一匹の雌のハエ成虫が交尾するのを可能にするステップであって、当該少なくとも一匹の抱卵雌が、一つまたは複数の産卵ラックにおいて少なくとも一つの受精卵を産卵する、ステップと;
f)少なくとも一つの受精卵を当該一つまたは複数の産卵ラックから取り出すステップと;
g)任意選択により、ステップ(a)から(f)を繰り返すステップと、を含むプロセスを提供する。
【0010】
本発明の第三態様は、ハエを繁殖させるためのモジュール式システムであって、
受精卵が成長して幼虫として孵化する孵卵室であって、少なくとも1つの卵ホルダーを含み、当該卵ホルダーまたは各卵ホルダーが、当該受精卵を保持するように、および孵化後にそこからの当該幼虫の移動を可能にするように適合され、さらに、当該卵ホルダーから移動する当該幼虫を計数する手段を含む、孵卵室と;
餌源の当該幼虫を受け入れるように、および当該幼虫が当該餌源において餌を食べて前蛹へと成長することを可能にするように構成された幼虫室と;
当該前蛹を受け入れるように、および当該前蛹が蛹へと成長することを可能にするように構成された蛹化室と;
当該蛹を受け入れるように、および当該蛹がハエ成虫へと成長するのを可能にするように構成された放出ボックスであって、ハエ成虫のための一つまたは複数の出口を含む、放出ボックスと;
当該放出ボックスの当該出口を介してハエ成虫を受け入れるように、および一つまたは複数の産卵ラックにおいて受精卵を産卵する少なくとも一匹の抱卵雌を提供するために当該ハエ成虫が交尾することを可能にするように構成された繁殖室と、を含むシステムを提供する。
【0011】
本発明の第四態様は、ハエを繁殖させるためのプロセスであって、
a)少なくとも1つの受精卵を、孵卵室の少なくとも1つの卵ホルダーに提供するステップであって、当該卵ホルダーまたは各卵ホルダーが、当該少なくとも1つの受精卵を保持するように、および孵化後にそこからの当該幼虫の移動を可能にするように適合される、ステップと;
b)幼虫として孵化させるために、当該受精卵にとって好適な当該孵卵室内の条件を提供するステップであって、孵化後に当該幼虫が当該卵ホルダーから当該餌源へと移動する、ステップと;
c)当該幼虫が、当該卵ホルダーから移動して、当該幼虫を個々の幼虫へと分離するように構成された表面に接触することを可能にするステップと;
d)当該表面から誘導された当該個々の幼虫を、監視装置を使用して計数するステップと;
e)所定の数の計数された幼虫を餌源に提供するステップと;
f)餌源における当該所定の数の計数された幼虫を幼虫室に位置し、当該幼虫が成長して前蛹へと変態することを可能にするステップと;
g)当該前蛹を蛹化室に位置し、当該前蛹が蛹へと変態することを可能にするステップと;
h)当該蛹を、当該蛹がハエ成虫へと成長するための放出ボックスに位置するステップであって、当該放出ボックスが、ハエ成虫が当該放出ボックスを去るための1つまたは複数の出口を含む、ステップと;
i)少なくとも一匹の雄のハエ成虫および少なくとも一匹の雌のハエ成虫が、繁殖室へと、当該放出ボックスを去ることを可能にするステップと;
j)少なくとも一匹の抱卵雌を提供するために、少なくとも一匹の雄のハエ成虫および少なくとも一匹の雌のハエ成虫が交尾するのを可能にするステップであって、当該少なくとも一匹の抱卵雌が、一つまたは複数の取り外し可能な産卵ラックにおいて少なくとも一つの受精卵を産卵する、ステップと;
k)少なくとも一つの受精卵を当該一つまたは複数の産卵ラックから取り出すステップと;
l)任意選択により、ステップ(a)から(k)を繰り返すステップと、を含むプロセスを提供する。
【0012】
本発明の第五態様は、ハエの受精卵から孵化する幼虫を計数する機器であって、当該機器が、
少なくとも一つの受精卵から孵化する幼虫がそこから落下する落下点と;
当該幼虫が落下点から落下したときに、それらが一つまたは複数の傾斜した表面の少なくとも一つに接触するように、当該落下点の下方に位置決めされた当該一つまたは複数の傾斜した表面であって、当該接触が、当該幼虫を個々に分離し、当該個々の幼虫を当該一つまたは複数の傾斜された表面から誘導する、一つまたは複数の傾斜した表面と;
を含み、
監視装置が、当該一つまたは複数の表面から誘導された当該個々の幼虫を計数する、機器を提供する。
【0013】
第六態様において、本発明は、
一つまたは複数の受精卵を提供するステップと;
当該卵が幼虫として孵化することを可能にするのに好適な条件を提供するステップと;
当該幼虫が当該一つまたは複数の受精卵から孵化した後に、それらを計数するステップと、を含む、幼虫を計数する方法を提供する。
【0014】
ある実施形態において、当該方法は、本発明の当該第五態様の当該機器の使用を含む。
【0015】
第七態様において、本発明は、当該蛹がハエ成虫へと成長するための放出ボックスであって、
蛹を受け入れるための少なくとも一つの別々の位置と;
ハエ成虫が当該放出ボックスを去るための一つまたは複数の出口と、を含み、
当該出口または各出口が、当該放出ボックスを去った当該個々のハエを計数するための監視装置を含む、放出ボックスを提供する。
【0016】
第八態様において、本発明は、繁殖室に入るハエを計数する方法であって、
蛹化室の蛹を一つまたは複数の容器に提供するステップであって、当該一つまたは複数の容器あるいは各一つまたは複数の容器が、ハエ成虫が当該放出ボックスから当該繁殖室へと移動するのを可能にするように構成された一つまたは複数の出口を含む、ステップと;
ハエが当該一つまたは複数の出口を通過するときにそれらを計数するステップと、を含む方法を提供する。
【0017】
ある実施形態において、当該方法は、本発明の当該第八態様の当該機器の使用を含む。
【0018】
本発明は、単なる一例として当該繁殖方法論の実施形態を示す添付の図面を参照しながら説明される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態の当該機器の概略図である。
【
図2】所定の高さから落下した後に、異なる角度の傾斜に留まる当該幼虫%を示す図である。
【
図3a】日齢および落下率によって変わる、当該卵ホルダーから落下した複数幼虫に対する当該効果を示す図である。
【
図3b】日齢および落下率によって変わる、当該卵ホルダーから落下した複数幼虫に対する当該効果を示す図である。
【
図4a】落下高さによって変わる、当該卵ホルダーから落下した複数幼虫に対する当該効果を示す図である。
【
図4b】落下高さによって変わる、当該卵ホルダーから落下した複数幼虫に対する当該効果を示す図である。
【
図5a】表面の角度によって変わる、当該卵ホルダーから落下した複数幼虫に対する当該効果を示す図である。
【
図5b】表面の角度によって変わる、当該卵ホルダーから落下した複数幼虫に対する当該効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
詳細な説明
当業者は、本開示が、具体的に説明されているもの以外の変形および変更を受けることを承知しているであろう。本開示がそのような変形および変更の全てを包含することは、理解されるべきである。本開示はさらに、本明細書において言及されるかまたは示されるステップ、特徴、組成物、および化合物の全てを個別にまたは集合的に包含し、ならびにそのようなステップまたは特徴のいずれかまたは複数のあらゆる組み合わせも包含する。
【0021】
便宜上、本開示のさらなる説明の前に、本明細書において用いられるある特定の用語、および実施例を、以下において詳しく説明する。これらの定義は、本開示の残りの部分と照らし合わせて読まれるべきであり、当業者によって理解されるべきである。本明細書において使用される当該用語は、当業者に認識され知られている意味を有するが、便宜および完全性のために、特定の用語およびそれらの意味について、以下において詳しく説明する。
【0022】
当該冠詞「a」、「an」、および「the」は、当該冠詞の当該文法的対象の1つまたは複数(すなわち、少なくとも一つ)を意味するために使用される。
【0023】
本明細書において使用される場合、当該用語「を含む(comprising)」は、当該列挙された要素の全てが必ず含まれ、さらに他の要素も任意選択により含まれてもよいことを意味する。「から実質的になる(consisting essentially of)」は、列挙された要素の全てが必ず含まれ、当該列挙された要素の当該基本的特性および新規の特性に具体的に影響する要素は排除され、他の要素は任意選択により含まれてもよいことを意味する。「からなる(consisting of)」は、列挙されたもの以外の全ての要素が排除されることを意味する。これらの用語のそれぞれによって定義される実施形態は、本発明の当該範囲内である。
【0024】
本明細書において、当該用語「産卵する(oviposit)」または「産卵すること(ovipositing)」は、特に昆虫が、卵を産むこと(laying)を意味する。雌の昆虫は、受精卵を産むための産卵管を有する傾向がある。
【0025】
本明細書において使用される場合、当該用語「抱卵雌(gravid female)」は、受精卵を有する雌を意味する。
【0026】
本明細書において使用される場合、当該用語「前蛹」は、幼虫期と蛹期との間における成長の中間段階を意味する。当該段階において、当該幼虫の当該外骨格は、硬化および暗色化し始めるが、当該幼虫は、依然として、動き、および/または摂餌する。幼虫から前蛹へ、そして蛹へ、または実際に幼虫から蛹へ、の厳密な移行は存在せず、当該用語前蛹は、状況により、本明細書または当該文献において、成長の当該所定の段階に応じて当該用語幼虫、例えば、後期の幼虫、または蛹、例えば、早期の蛹、と相互互換的に使用され得ることは理解されるべきである。
【0027】
本明細書において使用される場合、当該用語「卵」、「幼虫」、「前蛹」、「蛹」、および「ハエ」のそれぞれは、言及された当該バッチの全体を意味する。自然な変動および異なる日齢のバッチの混合に起因して、各バッチは、当該バッチの当該全体の成長段階より前および/または後の成長段階を少ない割合において含み得、例えば、前蛹は、幼虫および蛹またはハエ成虫を少ない割合において含む前蛹のバッチ全体を意味し得ることは理解されるであろう。
【0028】
特に明記されない限り、本明細書において使用される全ての技術的および科学的用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書において開示されるものと同様または同等の任意の方法および材料は、本開示の当該実施または試験において使用することができ、当該好ましい方法および材料は、以下において説明される。本明細書において言及される全ての刊行物は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0029】
本明細書において説明される本発明は、双翅類昆虫、特に、当該アメリカミズアブ(BSF)を繁殖させる方法および機器に関する。当該BSFの当該ライフサイクルは、大部分の昆虫のように、いくつかの個別の段階:卵、幼虫、前蛹、蛹、および成虫、に分けることができる。前蛹は、別々の段階として、一般的に認められているわけではなく、多くの場合、移行形態と見なされる。しかしながら、本明細書では、それは、便宜のため、別々の段階として含まれる。これらの段階のそれぞれに対して、予想される継続期間が存在し、それは、当該BSFの置かれた当該特定の条件に依存する。しかしながら、制御された条件下において、寿命の当該継続期間は、依然として、個体に対する自然な変動を受け得、統計的大数の場合、継続期間の当該分布は、標準的釣鐘型曲線によってよく表すことができる。この様相は、幼虫の当該生産のための半連続的バッチプロセスを提供するための、さらに継続して当該プロセスを維持するためにハエの次世代を生産することを可能にするのに十分な卵を提供するための、本発明の原理の基礎となる。本発明は、異なる釣鐘型曲線下における成長の異なる段階の集団を利用することができ、または、一体として進められ得る単一バッチへと組み合わせることができる。このアプローチにより、当該段階の当該終点に達するものを除去し、当該段階の当該初期の個体によって置き換えることができる。したがって、本発明は、追加的に、生産の容易さのため、およびオペレータによる入力を減らすために、様々なプロセス段階を最適化する手段を想定する。何匹の個体が存在するか、または何匹の個体がある段階から当該次の段階へと進んでいるかを特定し制御するために測定が行われる、当該プロセスにおける様々なポイントを有することも、重要であり得ることが見出された。したがって、この情報を得るための方法および装置も開示する。
【0030】
図1は、本発明の実施形態の当該機器の概略図を示している。この実施形態において、当該機器は、五つの段階または室:すなわち、孵卵室、幼虫室、蛹化室、放出ボックス、および繁殖室、を含む。当該孵卵室は、受精卵が、幼虫として孵化するために孵卵される場所である。当該幼虫室は、当該幼虫が成長し前蛹へと成熟する場所である。当該蛹化室は、当該前蛹が蛹へと成長する場所である。当該放出ボックスは、当該蛹がハエ成虫として羽化して当該繁殖室へと放出される場所であり、当該繁殖室は、当該ハエ成虫が交尾し、当該抱卵雌が、それらの受精卵を産卵する場所であり、次いで、当該受精卵は、当該孵卵室へと戻される。
【0031】
明らかであるように、当該繁殖室において産卵された受精卵は、周期的なプロセスを提供するために、当該孵卵室へと移される。したがって、最初は、本明細書において第一段階、すなわち、当該孵卵段階、または孵化(egg-hatching)段階、と呼ばれるものを取り扱う場合、当該用語「第一」は、単に、当該サイクルの出発点に対する好適な標識であり、この文脈における絶対的な用語ではないことは、留意されるべきである。
【0032】
当該プロセスの当該第一段階に対して、孵卵室が提供される。要するに、当該孵卵室は、一つまたは複数の受精卵が好適な環境条件下に維持および孵化され得、ならびに当該孵化した幼虫が収集され得る、一つまたは複数の好適な場所を提供する。ある実施形態において、受精卵が維持される当該場所は、卵ホルダーを示し、ならびに択一的に、卵プラットフォーム、卵ケージ、卵トレイ、孵化トレイ、孵化プラットフォーム、または孵化分配プラットフォームとして示され得る。
【0033】
ある実施形態において、当該卵ホルダーは、受精卵を保持し、孵化する幼虫がそこから移動することを可能にするように構成される。当該幼虫が当該卵ホルダーから移動するのを可能にする任意の手段が想定される。好適には、当該幼虫が移動するのを可能にする当該手段は、当該幼虫が当該側部を這い上がることを可能にする隆起していないかまたは低く隆起している側壁を有する蓋なしトレイであり得る。あるいは、当該卵ホルダーは、穿孔された底面または壁を有してもよく、その場合、当該穿孔は、受精卵を保持し、新たに孵った幼虫の当該移動を可能にするサイズである。好適には、当該穿孔は、0.5mmから3mmの当該範囲の直径を有し得る。実施形態において、当該卵ホルダーは、例えば、箱またはケージとして、当該受精卵を収容し得る。好適には、当該卵ホルダーは、カバーを有さない表面またはプレートで形成される。これは、アクセスおよび目視による監視の容易さの観点において有利である。
【0034】
孵卵室における当該環境条件は、当該受精卵の孵化にとって好適である。好適には、好適な環境条件を提供するために、少なくとも当該温度および相対湿度が制御される。好適には、当該温度および相対湿度は、当該周囲空気よりも高くなるように制御される。好適には、当該孵卵室の当該温度は、少なくとも25℃であり得る。より好適には、当該温度は、少なくとも26℃、27℃、28℃、29℃、または30℃であり得る。当該温度は、最高でも35℃であり得る。より好適には、当該温度は、最高でも34℃、33℃、32℃、31℃、30℃、29℃、または28℃である。好適には、当該温度は、25℃から35℃の当該範囲であり得る。より好適には、当該温度は、26℃から32℃の当該範囲であり得る。最も好適には、当該温度は、26℃から30℃の当該範囲であり得る。
【0035】
好適には、当該幼虫室における当該相対湿度は、少なくとも50%である。好適には、当該相対湿度は、65%超である。当該相対湿度は、66%超、67%超、68%超、69%超、70%超、71%超、72%超、73%超、74%超、または75%超であり得る。当該相対湿度は、最高80%であり得る。当該相対湿度、最高でも79%、78%、77%、76%、75%、74%、73%、72%、71%、70%、69%、68%、67%、66%、または65%であり得る。好適には、当該相対湿度は、60%から80%の当該範囲であり得る。より好適には、当該相対湿度は、65%から75%の当該範囲であり得る。当該相対湿度は、乾湿計または湿度計を用いた既知の技術を使用して測定され得る。
【0036】
当該卵/幼虫の当該成長段階の特定は、手作業により、オペレータによる当該卵/幼虫の当該状態の観察によって行うことができる。あるいは、当該卵によって発生された当該化学物質を特定し、これを、卵が孵化するときに当該ポイントの近くで発生されることが知られている当該組成物と比較するために、任意の好適なセンサーを用いて、当該卵の上方の当該空気の化学センシングを実施することができる。好適なセンシングは、当該孵化する卵の上方または周囲の当該空気のサンプルの採取、および好適な検出器、例えば、関心対象の化学物質の分子質量によってそれらの同定を可能にすることができるガスクロマトグラフ質量分析(GC/MS)装置または高速液体クロマトグラフィ(HPLC)装置など、への当該サンプルの提供を含み得る。オペレータが、当該卵/幼虫、または当該古い卵の識別/色分析のいくつかの他の形態を観察することを可能にするために、光学的監視装置、例えば、カメラなど、も使用してもよい。センサーの当該使用は、当該プロセスのこの態様の自動化を可能にし、オペレータの当該常駐の当該必要性を取り除く。
【0037】
実施形態において、一つまたは複数の卵ホルダーが提供される。好適には、二つ以上の卵ホルダーが提供される。より好適には、一連の複数の卵ホルダーが提供される。一連の複数の卵ホルダーが提供される実施形態において、受精卵は、最も早い時点の卵ホルダーから始めて、より遅い時点の卵ホルダーへ、次いで、後続の卵ホルダーへと時間的順序において加えられ得る。当該同じ日の異なるバッチからの、異なるが密接に関連している時点、例えば、1日間から3日間の間、または1日間から2日間の間など、からの受精卵が、単一の卵ホルダーにおいて組み合わされ得る。
【0038】
ホルダー上の全てまたは大部分の当該卵が孵化するような好適な期間が経過した後、その卵ホルダーは除去され、処分されるか、または再利用の準備のために清掃される。実施形態において、除去の当該タイミングは、当該種に対する当該釣鐘型分布に基づいて当該受精卵に対して当該予想される孵化期間に基づく。あるいは、除去の当該タイミングは、目視検査、または上記において詳細に説明されるような当該受精卵の当該孵化状態を監視する他の手段に基づく。
【0039】
実施形態において、当該卵ホルダーから移動する当該幼虫は捕獲される。実施形態において、当該幼虫は、任意の好適な容器または好適な表面上において捕獲され得る。好適には、当該幼虫は、餌源が存する容器または表面上において捕獲される。好適には、当該容器は、当該幼虫および当該餌源を保持することができる、トレイ、カップ、かご、または他の受容器であり得る。当該幼虫が表面上において捕獲される実施形態では、当該表面は、当該幼虫を当該機器の当該室の間を移動させる、または当該幼虫を別の容器または表面へと移動させる、運搬装置、例えば、コンベアベルトなど、であり得る。好適には、当該同じ容器または表面は、当該幼虫ならびにそれから成熟した当該前蛹および/または蛹を、当該内容物の移動を伴わずに、当該幼虫室、蛹化室を経て、放出ボックスへと移動させるために使用され得る。
【0040】
当該餌源は、幼虫を維持するための任意の好適な材料であり得る。好適には、当該餌源は、食品廃棄物および/またはデトリタス材料であり得る。餌源の例は、ビール粕、コーヒー豆、植物物質、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0041】
実施形態において、当該卵ホルダーから、当該幼虫が捕獲される当該容器または表面への移動の間に、当該幼虫は、分離され、および/または計数される。個々の幼虫の当該数の計数は、当該餌源における幼虫ならびにそれから成熟した前蛹および/または蛹の個体数が、十分な餌が利用可能だが浪費につながるほど多すぎないことを確保にするために最適であることを確保にするために重要である。幼虫の数の正確な監視も、工業プロセスの当該効率にとって重要であるバッチ制御の手段を提供する。幼虫によって必要な餌の当該量の当該統計的平均化により、単一の容器においてまたは表面のエリア上において捕獲される幼虫の当該数の正確な監視も、当該幼虫成熟プロセスの際にさらなる餌の当該追加が必要であればそのための手順の標準化にとって重要である。
【0042】
当該卵ホルダーから移動する幼虫は、別々の個体であり得るか、または二匹以上の幼虫を含むグループへと一体化し得る。幼虫の当該計数は、個体のこのグループ化(いわゆる「マルチ」(multi))によって複雑化されるが、それは、ほとんどの監視設備は、典型的には、これらを個体と区別することができず、計数ミス事象につながるためである。したがって、計数する前に、少なくとも当該大部分の当該マルチを個々の幼虫へと分離するステップを行うことが重要である。
【0043】
本発明の実施形態において、当該幼虫は、幼虫の複数のグループを分離するシステムを通過する。幼虫を分離する当該手段は制限されない。好適には、当該卵ホルダーから移動した当該幼虫は、当該幼虫への損傷を防ぎつつ、幼虫のグループを個体へと分離させるのに十分な力によって表面に衝突される。好適には、当該幼虫は、所定の高さから表面上へと、落下点から落とされる。当該落下の当該高さ、および当該垂直落下方向に対する当該幼虫が当該表面に当たる当該入射角が、当該幼虫の個々の分離における高い成功率を確保するために重要であることが見出された。好適には、当該落下の当該高さは、少なくとも100mmである。より好適には、当該落下の当該高さは、90mm、80mm、70mm、60mm、50mm、または40mmである。好適には、当該落下の当該高さは、400mm未満である。より好適には、当該幼虫への損傷を防ぐため、および当該孵卵室の当該サイズを制限するために、当該落下の当該高さは、350mm未満、300mm未満、250mm未満、200mm未満、190mm未満、180mm未満、170mm未満、160mm未満、150mm未満、140mm未満、130mm未満、120mm未満、110mm未満、または100mm未満である。
【0044】
当該幼虫が落下する当該表面の当該角度は、接触の際に幼虫の複数のグループを分離するように作用する任意の角度であり得る。当該表面の当該角度は、少なくとも25°であり得る。好適には、当該角度は、少なくとも30°、35°、40°、45°、50°、55°、60°、65°、または70°である。実施形態において、当該表面の当該角度は、最大でも80°、75°、70°、65°、60°、55°、50°、45°、または40°である。好適には、当該表面の当該角度は、30°から80°の範囲であり得る。より好適には、当該表面の当該角度は、40°から70°の間であり得る。実施形態において、当該表面は、当該幼虫が落下する当該表面の当該角度が、接触が生じる表面上の位置に応じて上記の範囲の間で変わるように、湾曲され得るか、または様々な傾斜した部分で形成され得る。これは、全ての卵ホルダーの当該落下高さおよび衝突の角度の最適化を可能にする。
【0045】
高さおよび当該表面の角度の当該組み合わせは、特定の組み合わせが当該幼虫の分離にとって特に好適であることを意味する。好適には、落下の当該高さは、70°の角度の場合、100mmから300mm、好適には150mmであり;角度45°の場合、落下の当該高さは、300mmから400mmの範囲、好適には350mmである。
【0046】
当該幼虫が当該表面に衝突するとき、それらが当該表面上に保持されないこと、または当該表面に張り付かないことが重要である。当該表面上に留まる幼虫は、手作業による手段または他の方法によって除去する必要があるであろう。当該表面に張り付いた幼虫は、死んで分解され得、および/またはさらなる幼虫が張り付く原因となり得る。これは、生産の効率低下および遅延につながり得る。実施形態において、当該上記の角度/高さの組み合わせは、幼虫が分離され、次いで、当該表面に張り付くことなく、または当該表面上に留まることなく、当該表面から移動することも意味する。
【0047】
実施形態において、本発明のこの実施形態により幼虫を個々に分離するために使用される当該表面は、当該幼虫が適切に誘導されることを確保するために、平面または曲面であり得るか、または漏斗形の一部として形成され得る。当該表面は、当該表面への当該幼虫の付着の任意の発生をさらに減少させる好適な材料で作製され得、例えば、当該表面は、光沢のあるステンレス鋼または、光沢のある自然表面を有する超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)で作製することができる。それに加えて、またはその代わりに、当該表面は、非粘着性コーティング、例えば、PTFE、乾燥潤滑剤、または疎水性スプレーなど、でコーティングしてもよい。
【0048】
本発明の実施形態において、当該分離表面から移動する当該幼虫は、計数される。当該幼虫を計数する任意の方法が想定される。好適には、当該幼虫の計数は、物理的手段によって、または視覚的手段によって為される。好適には、計数の当該手段は、光ビーム、例えば、赤外ビームまたはレーザーなど、を遮断することによって、あるいは択一的に、電荷検出器の使用によって為され得る。択一的に、または追加的に、当該表面から移動する幼虫の当該質量を特定することができる。より好適には、計数は、カメラまたは他の光学的視覚化装置と、視野を通過する幼虫を認識してその当該数を漸増的に計数または集計する適切なソフトウェアとを含む、自動化された視覚的手段によって為される。本発明の実施形態における使用のための好適なシステムは、レーザー、カメラ以外のセンサー、およびキャパシタンスベースのセンサーを含み得る。好適には、当該幼虫は、それらが通過するときに個体を計数するカメラの前面において落下される。実施形態において、当該カメラは、高頻度ラインスキャンカメラまたは高頻度エリアスキャンカメラであり得る。好適には、視覚化を強化または標準化するために、カメラの反対側の、当該幼虫の後ろに位置されたスクリーンが提供され得る。実施形態において、当該スクリーンは、当該幼虫を視覚化することができる任意の色であり得る。好適には、当該スクリーンは、黒色または白色として維持される。好適には、当該スクリーンが、白色または任意の他の淡い色の場合、当該スクリーンは、視覚化を強化するために後ろから光で照らされ得る。当該スクリーンが、暗色または黒色である実施形態では、当該スクリーンは、無光沢仕上げされた、および/または黒色に近い、本体を有し得る。一実施形態において、当該背景スクリーンは、無光沢の黒色であり、当該幼虫は、当該黒色背景とのコントラストを提供するために、前面からの白色照明で照らされ得る。当該幼虫が半透明で、白色光を透過し得、それにより、当該背景から当該幼虫を区別する当該視覚化設備の当該能力が減じられ得る場合には、黒色スクリーンが好まれ得る。一般的に、幼虫は、黒色背景上において、白色に見える。
【0049】
指定された数の幼虫、または指定された範囲内の幼虫の数が計数されると、当該幼虫が誘導される餌源を含む当該容器または表面は、当該餌源における幼虫の均一な分布を確保するために移動させることができ、あるいは、次いで当該幼虫が新しいまたは異なる容器に加えられるように代えることができる。当該容器または当該表面上の餌源の当該量も制御される場合、この方法において、餌源の所定の量における幼虫の当該数を、制御および最適化することができる。
【0050】
実施形態において、当該孵卵室は、当該一つまたは複数の卵ホルダー、当該幼虫を個々へと分離するための当該表面、および当該自動化された計数手段、の全てを含む。優れた効率、規模、または空間的要件のために、当該個々の構成要素は、空間的に分離してもよく、当該幼虫は、手作業によって、または機械的に、例えば、コンベアベルトの使用などによって、その間を移動され得る。
【0051】
本発明の孵卵室についてのある実施形態において、当該卵ホルダーの少なくとも一つは、当該幼虫が当該卵ホルダーから移動するときにそれらが当該表面上へと落下して分離されるように、当該分離表面の上方に、直接提供される。実施形態において、二つ以上の当該卵ホルダーが、当該分離表面の上方に位置決めされる。好適には、存在する当該卵ホルダーの全ては、当該分離表面を覆うように位置決めされる。あるいは、当該卵ホルダーは、移動可能であり得、それにより、それらは、手作業または自動化された手段のどちらかによって当該分離表面の上方の位置に移動させることができる。好適には、当該分離表面は、当該幼虫が、特定の量の餌源を含む容器内へと当該視覚計数システムの前を落下するように、衝突後の当該幼虫を誘導する。このように、特定の数の、またはある範囲の数の幼虫の収集は、特定の量の餌源を含む容器において収集することができる。好適には、当該餌源は、最適化された幼虫の成長にとって好適な、組成物、品質、および含水率である。好適には、当該餌源の例は、ビール粕、コーヒー豆、植物物質、またはそれらの組み合わせである。
【0052】
当該プロセスの当該第二段階に説明を戻すと、餌源における当該幼虫は、幼虫室へと移される。
【0053】
当該幼虫室は、当該餌源における当該幼虫が収容される当該容器であり得る。あるいは、当該幼虫室は、当該孵卵室から餌源と共に提供された幼虫のための一つまたは複数の収容場所を含み得る。実施形態において、当該収容場所は、餌源における当該幼虫が提供される運搬装置を受け入れるための入口であり得る。この実施形態は、当該運搬装置のための好適な出口も必要とするであろう。当該幼虫室内の当該運搬装置の当該速度および/または長さは、当該幼虫室内の当該幼虫の当該滞在時間が十分であることを確保するために調節することができ、当該滞在時間は、任意選択により、特定された釣鐘型分布に基づく当該予想される幼虫成長時間によって決定される。より好適には、当該一つまたは複数の収容場所は、当該孵卵室からの幼虫および餌源を含む対応する数の容器を受け入れるように構成される。当該容器が好適な形態、例えば、トレイまたはかごなど、である実施形態において、当該一つまたは複数の収容場所は、引き出し、ラック、または棚の形態であり得る。当該幼虫室の収容場所の当該数は制限されず、ならびに当該孵卵室から受け入れる当該予想される数の容器を収容するように選択され得る。
【0054】
実施形態において、当該幼虫室は、一つまたは二つ以上の孵卵室から、餌源における幼虫を受け入れ得る。
【0055】
当該幼虫室において、環境条件は、当該幼虫の成長および成長の速度を最適化するために制御される。当該温度は、概して、当該幼虫室において20℃超に維持される。より好適には、当該温度は、概して、当該幼虫室において25℃超に維持される。好適には、当該幼虫室内の当該温度は、21℃超、22℃超、23℃超、24℃超、25℃超、26℃超、27℃超、または28℃超である。当該温度は、概して、当該幼虫室において40℃未満に維持される。より好適には、当該温度は、概して、当該幼虫室において35℃未満に維持される。好適には、当該幼虫室内の当該温度は、29℃以下、30℃以下、31℃以下、32℃以下、33℃以下、34℃以下、35℃以下、36℃以下、37℃以下、38℃以下、39℃以下、または40℃以下である。好適には、当該温度は、23℃から35℃の当該範囲内である。好適には、当該温度は、25℃から32℃の当該範囲内である。より好適には、当該温度は、26℃から30℃の当該範囲内である。当該幼虫ケージ内の当該湿度は、注意深く制御され、概して、乾湿計または湿度計によって測定した場合の約70%相対湿度(RH)に維持される。好適には、当該幼虫室における当該相対湿度は、少なくとも50%である。好適には、当該相対湿度は、65%超である。当該相対湿度は、66%超、67%超、68%超、69%超、70%超、71%超、72%超、73%超、74%超、または75%超であり得る。当該相対湿度は、最高でも80%であり得る。当該相対湿度、最高でも79%、78%、77%、76%、75%、74%、73%、72%、71%、70%、69%、68%、67%、66%、または65%であり得る。好適には、当該相対湿度は、60%から80%の当該範囲であり得る。より好適には、当該相対湿度は、65%から75%の当該範囲であり得る。
【0056】
結露の発生は、カビの増殖、不十分な幼虫の健康、および金属部品の発錆につながり得るため、避けることが好ましい。実施形態において、一定の気流が、当該ケージを通るように維持される。好適には、当該一定の気流は、当該条件の微調整を提供するために、中央ファンによって、あるいは当該幼虫室に組み入れられるかまたは関連付けられたより小さな局所的ファンによって、当該幼虫室の全ての部分に対して提供することができる。
【0057】
当該幼虫室内の照明条件は、健康な成長を促進するように制御されるべきである。幼虫は、暗い環境の場合、餌源の上部および内部において摂餌するが、明るい条件では、当該幼虫は、当該光から離れて当該餌源内へと移動する。環境条件は、当該餌源内において制御するのがより困難であるため、いくつかの実施形態では、当該幼虫は、当該自然な傾向に従って摂餌することを可能にするために当該幼虫室における弱光条件または暗条件に位置される。
【0058】
当該幼虫室の場合、幼虫の成長を高めて最適化するために、当該餌源の湿性を維持することは重要である。好適には、当該幼虫室における当該餌源は、一定重量までオーブンで乾燥させる前後のサンプルの比較重量によって測定した場合の少なくとも60%の含水率を有するべきである。当該含水率は、少なくとも65%、70%、または75%であり得る。好適には、当該餌源の当該含水率は、最大でも80%である。当該幼虫室における当該餌源の当該含水率は、好ましくは60%から80%の当該範囲、より好適には65%から75%の当該範囲である。当該餌源は、典型的には、当該望ましい範囲内の含水率において、幼虫に対して提供される。当該幼虫室または当該幼虫室における当該収容場所は、含水率を制御するように構成される。実施形態において、そのような構成は、当該収容場所の周囲への当該容器の閉じた設備を含み得るか、または択一的に、当該湿度は、蒸発を制限するために、高いレベルに維持される。実施形態において、当該容器は、当該餌源の当該含水率を制御するために、密封または部分的に密封され得る。あるいは、既に存在する当該餌からの湿性の任意の損失を補う含水率を有する追加の食物が加えられ得る。追加の食物は、必要となったときに、当該幼虫室における当該幼虫に提供され得る。
【0059】
ある実施形態において、所定の期間の後、または当該幼虫室の特定の容器における当該幼虫が、前蛹への成長の釣鐘型曲線上の特定のポイントに達したと考えられるときに、当該これらの幼虫を保持する当該容器は、片端から除去される。次いで、より若い幼虫および餌源を保持する新しい容器が、もう一方の端に加えられ得る。この配置は、しばしば、材料ハンドリングシステムおいて、「先入れ先出し(First In First Out)」(FIFO)方式と呼ばれる。
【0060】
当該成長プロセスを支援するために、当該幼虫のための条件は、好適には、有酸素性である。当該プロセスは、当該餌源の下または当該餌源の当該表面上の任意の幼虫も同じ条件に維持されることを確保する必要がある。したがって、実施形態において、当該幼虫または当該幼虫を含む当該餌源を時々動かす撹拌手段が含まれ得、それにより、各幼虫が全体的に当該同じ条件に晒される可能性が高まる。好適な撹拌システムの例は、機械的撹拌器、小型耕起システム(miniature plough system)、振動、当該容器の反転、または当該容器の部分的反転である。
【0061】
当該幼虫が十分なサイズに育って、前蛹へと成長すると、当該幼虫の当該外骨格は、硬く暗色になり始める。当該前蛹の乾燥を支援することは、この段階において有利である。一つの選択肢は、前蛹が這い上がることができるランプを含むことであり、これは、蛹化するのに好適な場所を見つけるために上方へと移動する前蛹の本能に一致する。任意選択により、この段階において、当該乾燥プロセスを支援するために、当該前蛹の上に空気を流してもよい。当該前蛹の上に流される当該空気は、当該乾燥プロセスを支援するために、好ましくは23℃から35℃の温度に加熱してもよい。
【0062】
当該前蛹が、そのように移動すると、それらは、手作業によって除去することができる。この実施形態において、当該前蛹が除去されると、それらは、本発明の当該プロセスの当該第三段階である当該蛹化室内における休眠媒体(sleeping medium)上に位置される。当該蛹化室は、当該ハエ成虫が最終的に羽化する当該蛹段階のための条件を最適化するように作用する。当該休眠媒体は、トレイなどの囲まれたエリアに層を形成する乾燥基材であり得る。比較的乾燥した環境(すなわち、当該幼虫室より低い相対湿度)は、休眠および変態を誘起するために当該前蛹を乾燥するように作用する。当該基材は、任意の好適な材料であり得る。好適には、当該基材は、プラスチック球;おがくず;ゼオライト;および/または乾燥した餌源からなる群より選択され、任意選択により、当該繁殖プロセスの他の段階から再利用され、当該幼虫とは別々に乾燥された少ない量において導入される。当該材料を選択する場合(特に、処理された木材源に由来し得るおがくずの場合)、当該蛹に対して有害な材料を含まないことに注意すべきである。さらに、当該基材材料は、当該蛹より小さいサイズの粒子から好適に形成され、それにより、これは、後続の段階において当該蛹を基材から分離するために使用される篩分けプロセスを可能にする。同様に、当該蛹化ケージ内の条件は、当該蛹のための条件を最適化する条件、またはエネルギーの使用などの商業的規制を最適化し、それらを受ける条件へと制御される。
【0063】
所定の期間、例えば、一週間などの後、当該蛹は、起きている幼虫または前蛹を、休眠している当該蛹と分離するためのシステムを通過させられる。
【0064】
一実施形態において、当該分離方法は、篩のシステムを伴う。例えば、受動的篩分けシステムにおいて、当該蛹は、一つまたは複数の層、好適には二つの層、を含む粗い篩の上を移動させられ、これは、最初に当該蛹を捉え、当該基材物質を通過させる。実施形態において、当該粗い篩を照らす光源は、起きている存在する幼虫または前蛹を当該照明から這い逃げさせる。当該光源の当該位置決めは、当該幼虫または前蛹を、当該粗い篩からより細かい篩上へ誘導するようなものである。当該より細かい篩の当該メッシュは、幼虫または前蛹を保持するが当該基材は通過させるようなものである。
【0065】
したがって、当該基材、蛹、および起きている幼虫および前蛹が分離される。当該基材は、安全に処分することができるか、または再利用するために処理することができる。当該起きている幼虫は、当該幼虫室に戻され得るか、または処分され得る。
【0066】
当該蛹は、トレイ上に位置され、次いで、当該蛹化室に移される。
【0067】
あるいは、驚くべきことに、当該蛹化室に移す前に当該前蛹を当該餌源から分離するために、当該前蛹の自己移動に頼る必要のないことが見出された。
【0068】
ある実施形態において、当該蛹化室における当該前蛹が存在する当該餌源の乾燥は、結果として蛹形成の良好なレベルおよび速度を生じさせるために十分である。このアプローチは、前蛹移動の先行技術の方法より多数の利点を有する。第一に、それは、当該孵卵室における収集から当該蛹化室を去るまで、当該同じ容器または表面を使用することができることを意味する。当該前蛹が登る傾斜および分離器の当該必要性も取り除く。それは、当該プロセスが、かなりの変動を受け、環境条件に依存し得る蛹化に対して、当該前蛹の自己選択にもはや頼らないことも意味する。当該アプローチの当該簡便さは、商業的目的のための当該プロセスの規模変更に対して理想的である。
【0069】
当該分離された蛹の乾燥または当該蛹を含む餌源の乾燥のための当該蛹化室における環境条件は、実質的に同様である。したがって、餌源から分離された、または当該同じ蛹化室内にいる、異なる源からの蛹を組み合わせることも可能である。
【0070】
実施形態において、当該蛹が存在する当該餌源の乾燥は、各容器の上方のより大きい上部空間により気流が増加され、結果として蒸発を高めることを可能にすることによって促進され得る。湿気の蒸発を促進する当該蛹化室における温度および相対湿度を有することによって、および/または当該餌源の上の当該気流を増加させることによって、さらなる乾燥が得られ得る。
【0071】
好適には、当該蛹化室における当該餌源の当該標的含水率は、60%未満であるべきである。当該含水率は、55%未満、50%未満、45%未満、または40%未満であるべきである。当該幼虫室における当該餌源の当該含水率は、好ましくは0%から60%の当該範囲、より好適には20%から60%の当該範囲である。
【0072】
当該蛹化室において、環境条件は、蛹化を最適化するために制御される。当該温度は、概して、当該蛹化室において20℃超に維持される。より好適には、当該温度は、概して、当該幼虫室において25℃超に維持される。好適には、当該幼虫室内の当該温度は、21℃超、22℃超、23℃超、24℃超、25℃超、26℃超、27℃超、または28℃超である。当該温度は、概して、当該幼虫室において40℃未満に維持される。より好適には、当該温度は、概して、当該幼虫室において35℃未満に維持される。好適には、当該幼虫室内の当該温度は、29℃以下、30℃以下、31℃以下、32℃以下、33℃以下、34℃以下、35℃以下、36℃以下、37℃以下、38℃以下、39℃以下、または40℃以下である。好適には、当該温度は、23℃から35℃の当該範囲内である。好適には、当該温度は、25℃から32℃の当該範囲内である。より好適には、当該温度は、26℃から30℃の当該範囲内である。
【0073】
当該蛹化室内の当該湿度は、注意深く制御され、概して、当該幼虫室の当該相対湿度より低い。当該蛹化室の当該相対湿度は、概して、乾湿計または湿度計によって測定した場合の約60%未満の相対湿度(RH)に維持される。好適には、当該蛹化室における当該相対湿度は、少なくとも10%である。好適には当該相対湿度は、20%超である。当該相対湿度は、25%超、30%超、35%超、40%超、50%超、または55%超であり得る。当該相対湿度は、最高60%であり得る。当該相対湿度は、最高でも55%、50%、45%、40%、35%、または30%であり得る。好適には、当該相対湿度は、10%から70%の当該範囲であり得る。より好適には、当該相対湿度は、20%から60%の当該範囲であり得る。
【0074】
前蛹および/または蛹は、一般的に暗条件を好み、したがって、当該蛹化室は、好適には、弱光または暗条件に維持される。
【0075】
個々のライフサイクルの当該自然な変動、およびいくつかの実施形態において、異なる日齢の卵/幼虫が当該プロセスのために単一のバッチに組み合わせられるであろうことが想定されるという当該事実に従って、いくらかの蛹は、当該蛹化室においてハエ成虫として羽化するであろう。したがって、いくつかの実施形態において、当該蛹が逃げるのを防ぐために、当該蛹が存在する当該容器または当該表面を覆うように蓋が加えられる。当該蓋が容器、例えば、トレイまたはかごなど、の上に存する実施形態において、当該蓋は、当該容器における当該ハエ成虫の当該追加の上部空間要件に対応するために、当該容器にさらなる高さを加える。好適には、当該蓋は、常に良好な空気循環を可能にして乾燥を妨げない、開口部、任意選択によりメッシュまたは網、を有する。好適には、当該メッシュまたは網は、当該容器からのハエ成虫の逸出または損失を防ぐために、ハエ成虫より小さい開口部を有する。
【0076】
いくつかの実施形態において、当該蓋は、開位置と閉位置との間で操作可能な開口部も組み入れ、当該開位置および閉位置は、当該容器および蓋が当該蛹化室に存する場合には、ハエの逸出を防ぎ、当該放出ボックスに存する場合には、当該ハエ成虫が当該容器を去ることを可能にする。
【0077】
当該餌源と蛹へと成長する前蛹とを含む当該蓋付き容器は、本発明による当該幼虫室と見なされ得る。
【0078】
代替の実施形態において、当該蛹化室は、当該幼虫室から餌源を伴ってまたは伴わずに提供される前蛹のための一つまたは複数の収容場所を含む。実施形態において、当該収容場所は、餌源における当該前蛹が提供される運搬装置を受け入れるための入口であり得る。この実施形態は、当該運搬装置のための好適な出口も必要とするであろう。当該蛹化室内の当該運搬装置の当該速度および/または長さは、当該蛹化室内の当該前蛹およびそれから成長した当該蛹の当該滞在時間が十分であることを確保するように調節することができ、当該滞在時間は、任意選択により、識別された釣鐘型分布に基づいた当該予測される蛹化時間によって決定される。より好適には、当該一つまたは複数の収容場所は、当該幼虫室からの前蛹、餌源を伴うまたは伴わない、を含む、対応する数の容器を受け入れるように構成される。当該容器が好適な形態、例えば、トレイまたはかごなど、である実施形態において、当該一つまたは複数の収容場所は、引き出し、ラック、または棚の形態であり得る。当該蛹化室の収容場所の当該数は、制限されず、ならびに当該幼虫室から受け入れる当該予想される数の容器を収容するように選択され得る。
【0079】
好適な時間が経過し、当該蛹化室における当該蛹の蛹化の当該釣鐘型曲線に基づいて、当該後期の蛹がハエ成虫として羽化し始めているかまたはまさに羽化しようとしていることが予想されると、当該蛹は、当該蛹化室から当該放出ボックスへと移される。
【0080】
当該放出ボックスの当該環境は、ハエ成虫への当該蛹の変態の当該最終段階を最適化するように制御される。当該温度は、概して、当該放出ボックスにおいて20℃超に維持される。より好適には、当該温度は、概して、当該放出ボックスにおいて25℃超に維持される。好適には、当該放出ボックス内の当該温度は、21℃超、22℃超、23℃超、24℃超、25℃超、26℃超、27℃超、または28℃超である。当該温度は、概して、当該放出ボックスにおいて40℃未満に維持される。より好適には、当該温度は、概して、当該放出ボックスにおいて35℃未満に維持される。好適には、当該放出ボックス内の当該温度は、29℃以下、30℃以下、31℃以下、32℃以下、33℃以下、34℃以下、35℃以下、36℃以下、37℃以下、38℃以下、39℃以下、または40℃以下である。好適には、当該温度は、23℃から35℃の当該範囲内である。好適には、当該温度は、25℃から32℃の当該範囲内である。より好適には、当該温度は、26℃から30℃の当該範囲内である。
【0081】
当該放出ボックス内の当該湿度は、注意深く制御される。当該放出ボックスの当該相対湿度は、概して、乾湿計または湿度計によって測定した場合の約60%未満の相対湿度(RH)に維持される。好適には、当該放出ボックスにおける当該相対湿度は、少なくとも10%である。好適には当該相対湿度は、20%超である。当該相対湿度は、25%超、30%超、35%超、40%超、50%超、または55%超であり得る。当該相対湿度は、最高60%であり得る。当該相対湿度は、最高でも55%、50%、45%、40%、35%、または30%であり得る。好適には、当該相対湿度は、10%から70%の当該範囲であり得る。より好適には、当該相対湿度は、20%から60%の当該範囲であり得る。
【0082】
蛹は、暗条件を好むため、当該放出ボックスは、弱光または暗闇に維持される。
【0083】
当該放出ボックスにおける弱光または暗条件の維持も、当該繁殖室における当該相対的光条件へと光を求めて当該放出ボックスを去るハエ成虫の自然な挙動により、それらの当該羽化を促進する利点を有する。
【0084】
実施形態において、当該蛹および当該ハエ成虫および当該餌源を含む当該容器および蓋は、本発明による当該放出ボックスである。
【0085】
代替の実施形態において、当該放出ボックスは、当該蛹化室から餌源を伴ってまたは伴わずに提供される蛹のための一つまたは複数の別々の位置または収容場所を含む。実施形態において、当該収容場所は、餌源における当該蛹または当該餌源から分離された当該蛹が提供される運搬装置を受け入れるための入口であり得る。この実施形態は、当該運搬装置のための好適な出口も必要とするであろう。より好適には、当該一つまたは複数の収容場所は、当該蛹化室からの蛹、餌源を伴うまたは伴わない、を含む、対応する数の容器を受け入れるように構成される。当該容器が好適な形態、例えば、トレイまたはかごなど、である実施形態において、当該一つまたは複数の収容場所は、引き出し、ラック、または棚の形態であり得る。当該蛹化室の収容場所の当該数は、制限されず、ならびに当該蛹化室から受け入れる当該予想される数の容器を収容するように選択され得る。そのような配置は、新たな蛹の一定の流れの当該維持を支援し、ならびに成虫の比較的一定の生産を提供するために、異なる段階の蛹を一緒に保持することを可能にする。当該放出ボックスの当該壁は、プラスチック材料によって、または択一的に金属によって形成することができる。好ましくは、当該壁は、当該昆虫を害する当該リスクを最小限に抑えるために、食品グレードの材料で作製される。
【0086】
ある実施形態において、当該放出ボックスは、当該羽化したハエ成虫を当該繁殖室に放出するための一つまたは複数の出口を有する。好適には、当該出口の当該数およびサイズは、蛹の当該数に応じて、したがって、当該蛹から羽化するであろう予想されるハエの当該数に応じて、変えられ得る。出口の当該サイズおよび数は、当該放出室中へ入る光および化学的誘引によって当該放出ボックスから当該繁殖室へとハエが移動させられるのを促進することを可能にする当該必要性に応じても変えられ得る。所定の時間において30,000匹の蛹を収容するように設計された放出ボックスのための出口の当該数は、好適には、6つの出口を有するであろうし、その場合、当該出口は、300cm2(およそ6×50cm2、ただし、当該出口がお互いに同じサイズである要件はない)の総表面積を有する。
【0087】
実施形態において、当該放出ボックスにおける蛹あたりの当該出口の当該面積は、少なくとも0.005cm2/蛹であり得る。好適には、当該放出ボックスにおける蛹あたりの当該出口の当該面積は、少なくとも0.006cm2/蛹、0.007cm2/蛹、0.008cm2/蛹、0.009cm2/蛹、または0.010cm2/蛹であり得る。当該放出ボックスにおける蛹あたりの当該出口の当該面積は、0.050cm2/蛹未満であり得る。好適には、当該放出ボックスにおける蛹あたりの当該出口の当該面積は、0.040cm2/蛹未満、0.030cm2/蛹未満、0.020cm2/蛹未満、0.009cm2/蛹未満、または0.010cm2/蛹未満であり得る。好適には、当該放出ボックスにおける蛹あたりの当該出口の当該面積は、0.001cm2/蛹から0.05cm2/蛹の当該範囲であり得る。より好適には、当該放出ボックスにおける蛹あたりの当該出口の当該面積は、0.005cm2/蛹から0.030cm2/蛹の当該範囲であり得る。当該放出ボックスには、ハエが繁殖室へと出るのを促進するための機械的手段も取り付けてもよい。そのような手段の1つは、当該一つまたは複数の出口を介して空気を当該放出ボックスから繁殖室へと送るファンまたは送風機である。あるいは、当該放出ボックスにおいて振動を生み出す偏心して荷重された回転シャフトを使用することができる。
【0088】
当該放出ボックスの当該出口は、任意の好適な形状であってもよい。好適には、当該出口は、断面が正方形、円形、または長方形である。当該出口は、当該繁殖室への対応する入口に揃えることが可能であり得るか、あるいは一つまたは複数の入口は、当該放出ボックスに封止されている当該繁殖室の開放側に向けて開放され得る。当該出口は、連続的に、または同時に、一つまたは複数の繁殖室に揃えられ得る。
【0089】
ある実施形態において、当該放出ボックスからの当該出口または各出口は、そこを通過する当該ハエを計数する手段が取り付けられ得る。当該放出ボックスから当該繁殖室に入るハエの計数は、所定の繁殖室のハエの当該数を、同時に、最適な条件のために制御されることができることを意味する。ある実施形態において、当該出口を通過するハエを計数する当該手段は、近接センサー、例えば、光ビームの遮断、受動的赤外線システムなど、の当該形態であり得る。当該放出ボックス内の当該ハエまたは当該放出ボックスから出現する当該ハエを計数する他の方法は、当該ハエが這って通過するレターボックス形状を形成する透明シートによって作り出される視野平面を伴うエリアスキャンカメラの使用を含む。別の方法は、当該室が満たされている場合に当該室の当該壁における当該個体群密度から算出するために、当該繁殖室内の当該ハエの画像を撮影することである。実施形態において、当該出口は、各出口において経路を提供するために、格子またはメッシュまたは網または区分けの他の形態を含み、それらは、ハエの当該通過を好適に監視することができる。好適には、当該穴または開き口は、6mmから14mmの当該範囲であり得る。より好適には、当該穴または開き口は、9mmから11mmの当該範囲であり得る。当該システムが当該個体を計数するのをより容易にするために、当該ハエは、当該開口部を這い通るのを止められ得る。穴または開き口の当該数は、当該出口を通るハエの移動を最適化するために変えてもよい。好適には、各出口の当該直径は、80mmから120mmの間である。より好適には、当該出口は、100mmの直径を有する。好適には、当該出口は、格子を含み、その場合、当該格子の各開口部は、一度に一匹のハエが当該通過するのを可能にするサイズである。あるいは、当該出口または各出口における各開口部は、ハエの当該通過を検出する手段を取り付けられ得る。
【0090】
実施形態において、当該放出ボックスの当該出口は、ハエが当該繁殖室から当該放出ボックスへと戻るのを防ぐいくつかの手段を取り付けられ得る。当該出口の当該通路を狭くすること、あるいはなんらかの形態のフラップまたはカバーを含む、当該ハエが戻るのを防ぐ任意の好適な手段が想定される。
【0091】
ハエを計数する当該手段は、例えば、個々のハエが当該ボックスを去るときに赤外線放射記録器のビームを遮る、赤外線システムであり得る。追加的に、または択一的に、当該センサーは、目視点検を実施することを可能にするためのカメラを含むことができる。当該システムは、所定の数のハエが出現した後、当該出口が閉じられ、隣のボックスが開けられるように設定することができる。当該ゲートの操作は、手動であってもよく、あるいはゲート開閉メカニズムのソレノイドまたは他の部分を介して行ってもよい。追加的に、必要な数の成虫が出現したことの当該情報を伝えるために、使用者またはプロセッサに通知を送ることができる。
【0092】
出現するハエを計数することは、当該放出ボックスに何匹の蛹が残っているかの有用な指標も提供し得る。これは、当該放出ボックスが除去されて新たな放出ボックスおよび/または容器で置き換えられる当該操作を生じるために使用することができる。この操作は、手動によってまたは自動化された手段を介して行うことができる。
【0093】
さらなる時間が経過した後、当該ボックスは、さらなるハエをそのボックスから放出することを可能にするために、再び開けられる。したがって、ハエの回収率を特定することができ、その結果、当該サイクルに戻す卵の生産率を決定することができる。
【0094】
当該放出ボックスは、一つの繁殖室に関連付けられ得る。実施形態において、当該機器の当該スケーラビリティをさらに高めるために、当該放出ボックスまたは各放出ボックスは、二つ以上の繁殖室に関連付けられ得、ならびに当該放出ボックスは、必要に応じて、その中のハエを放出するために、各繁殖室の間を移動され得る。これは、当該繁殖室を絶えず満たすために、ならびに一つの繁殖室を空にして清掃するために当該繁殖室をオフラインにする必要がある場合に連続生産を維持するために繁殖室の切り替えを可能にするために、当該放出ボックスが新しい繁殖室へと移動することを可能にする。
【0095】
当該放出ボックスは、当該一つまたは複数の繁殖室の間を移動するための手段を有し得る。あるいは、当該繁殖室は、一つまたは複数の放出ボックスと接続するために移動可能であってもよい。好適には、当該放出ボックスは、一セットの出口をいくつかの繁殖室に接続するために、可動式トラックまたはターンテーブル上に取り付けられ得る。
【0096】
当該蛹が容器の当該放出ボックスに提供される実施形態において、成虫の当該大部分が所定の容器から出てきたと見なされると、当該容器は、除去され、新しいバッチを保持する容器で置き換えることができる。任意選択により、ハエ成虫として羽化していない蛹は、容器に戻すことができる。
【0097】
加熱の効率的な使用を最適化するために、容器は、放出ボックスにおいてお互いに隣接して配置され得る。再び、釣鐘型曲線に対応した当該成虫の羽化の当該見込みの当該統計的分布に基づいて、当該事前設定された期間の終了に従って、容器の回収およびメンテナンスのための当該最適な期間を決定することができ、当該放出ボックスは、清掃のために除去され、蛹の新しいバッチを収容する新しい容器で置き換えられる。前に存在していた当該容器は、再利用のために清掃されるか、または処分される。
【0098】
ここで、本発明の当該機器の当該第五段階に戻ると、当該繁殖室。羽化して放出ボックスを去ったハエ成虫は、繁殖室に入り、次の世代の卵の産卵を確保するために、交尾することができる。当該繁殖室は、任意のシンプルな外囲器の当該形態を取り得る。実施形態において、当該繁殖室は、光および空気が当該繁殖室に入ることを可能にするため、および当該繁殖室が容易に清掃されるために、織物またはメッシュの外囲器またはテントまたは同様のもので形成される。他の材料、例えば、金属またはプラスチックなど、で形成された繁殖室は、代替手段である。
【0099】
当該繁殖室において、当該光は、調節され、交尾のためのトリガーとして利用される。例えば、当該ハエは、一日あたりある特定の期間においておよび所定のパターンにおいて、光に晒される。非自然的な照明パターンが有効であることが見出された。追加的に、交尾を刺激するために、フェロモンまたは他の化学的興奮剤を当該交尾ボックス内に放出することができる。典型的には、成虫は、最長で7日間、当該繁殖室に留まるであろう。自然においてと同じように、当該雄のハエ成虫は、交尾すると死ぬ。当該雌は、交尾して卵を産んだ後、死ぬ傾向にある。
【0100】
雌のアメリカミズアブ(FBSF)は、隙間において、さらに好ましくは餌源の上方または近くまたは隣接して、卵を産むのを好む。したがって、BSFは、当該餌源に直接卵を産むことを好む当該一般的なイエバエと区別される。卵の当該サイズ、したがって、当該雌が求める当該隙間の当該サイズは変わるが、当該隙間は、典型的には、0.5mmから5mmのサイズである。当該サイズは、当該雌の当該サイズの関数である。その上、より大きい雌は、より多くの卵を産む傾向があり、その提供は、任意選択により、バッチ内の当該雌の当該平均サイズを決定するように為され、結果として、好適なサイズのより多くの産卵場所を提供する。
【0101】
一つの選択肢は、複数の産卵ラックを提供することである。当該産卵ラックは、当該雌がその産卵管を挿入することができるサイズの、スリット、隙間、または穴の当該形状であり得る。トラップを中空管またはストローの当該形態において提供することができ、それらは、当該卵産卵容積の提供を最大化する配置に設置され、それは、一実施形態において、ハチの巣状の当該レイアウトと同様である。次いで、当該雌は、当該ストローの本体内に卵を産むことができる。あるいは、一つまたは複数の段ボールシートを使用することができる。さらなる代替手段において、好適な材料で形成された細長片のスタックは、当該細長片の間の当該ギャップにおいて、好適な産卵位置を提供する。当該細長片は、任意の好適な材料、例えば、木材、プラスチック、金属、またはプラスチックと天然材料との間のハイブリッド材料で形成され得る。FBSFは、おそらく、天然の産卵場所との当該類似性から、木造構造物上に産卵することを好むと考えられる。当該隙間の当該開口部の当該形状は、六角形であり得、他の形状、例えば、正方形、円形、または細長い溝形など、も、考案され得る隣接した隙間の好適なパッキング配置において使用することができる。典型的には、0.5~5mmの幅を有する隙間が好適である。
【0102】
当該FBSFを当該産卵ラックに引き寄せるために人工的手段を使用してもよい。当該FBSFが当該所望の場所において産卵するように誘うのを支援するために、当該隙間は、任意選択により当該容器の底面エリアに比べて低い側壁を有するトレイにおいて、餌源の上方に位置することができる。追加的に、または択一的に、FBSFが所望の場所で産卵するのを促進するために、餌源以外の誘引物質を含ませることもできる。他の誘引物質の例としては、受精卵、腐敗物質、ならびに死んだ幼虫、前蛹、および蛹が挙げられる。ある実施形態において、当該餌または化学誘引物質から当該産卵ラックへと気流を作り出すことができる。当該気流は、例えば、従来のファンなどを使用して作り出してもよい。
【0103】
特定の産卵ラック内で産まれた卵の当該数を特定するために、監視を行ってもよい。監視は、当該産卵ラックの作業員による直接観察によって行ってもよく、または遠隔によって行うこともできる。遠隔監視の例は、点検を遠隔で行えるようにするために使用することができる撮像システムによって行ってもよい。追加的に、または択一的に、産卵ラック上におけるある位置がいつ満たされるかをその位置での当該光透過の測定によって特定するために、カメラまたは他の撮像システムを利用することができる。例えば、当該産卵ラックが複数のストローを含む当該実施例では、当該ストローの片方の端に検出器:すなわち、卵が存在することに一致する光の遮蔽がいつ生じるかを特定するプロセッサ、を備えるストローの他方の端に、光源が位置決めされる。あるいは、自動卵計数システムを設置することができる。特に好適な方法の一つは、当該卵の当該日齢または日齢数の分布が、充填の効率または完全性よりも重要である場合にタイムスケジュールに従って当該産卵ラックを除去する。
【0104】
当該産卵ラックから卵を収集する当該プロセス全体を容易にするために、当該産卵ラックは、当該繁殖室への取り外し可能な付属器内に収容され得、当該取り外し可能な付属器は、その中に収容された当該卵を乱すことなく、異なる位置の間において移動可能であるように取り付けられる。したがって、産卵ラックが十分な卵を収容していること、または任意選択により、追加的に当該卵内の当該成長している当該幼虫が既に孵化する準備のできていること、が特定されると、当該産卵ラックを含む当該取り外し可能付属器は、除去され、当該同じまたは新しい取り外し可能な付属器における新たな産卵ラックで置き換えられる。当該受精卵は、次いで、当該除去された産卵ラックから取り出され、当該孵卵室の卵ホルダーに位置される。実施形態において、受精卵の当該量または数は、風袋引きした基材上にそれらを載せることによって、または十分に高い精度で当該卵を秤量することができるほど十分に小さい当該孵化トレイ/卵ホルダー重量を有することによって、当該卵を秤量することにより特定され得る。いくつかの実施形態において、当該上記のプロセスの大部分は、当該同じ個々のトレイまたはコンパートメントにおいて行われ、それらのそれぞれは、当該ライフサイクルにおいて昆虫の集団を一緒に保持し、当該方法を実施するための当該機器は、モジュール式であり得、それにより、スケーラビリティが可能となる。
【0105】
ある実施形態において、当該産卵ラックは、当該孵卵室における卵ホルダーとして使用され得る。好適には、当該産卵ラックは、当該繁殖室から除去され、当該孵卵室に位置され得る。あるいは、抱卵雌が当該産卵ラックにおいてそれらの卵を産み、次いで、当該卵が成熟し、幼虫として孵化するための場所であって、当該幼虫がそこから当該餌源へと移動する、場所、を提供するために当該産卵ラックが卵ホルダーとして機能するように、当該繁殖室および当該孵卵室は、連結され得るか、または同じ内部容積を占め得る。
【0106】
さらに、湿度、温度などに関するデータを収集することができる。処理は、改良された監視を行うことを可能にする機械学習アルゴリズムによって行うことができる。
【実施例】
【0107】
本開示は、以下において、実践的実施例によって例証され、それらは、本開示の実践を例証することを意図するものであって、本開示の当該範囲に対する任意の限界を制限的に含意させることを意図するものではない。特に定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術的および科学的用語は、本開示の属する分野の当業者に一般的に理解されるのと当該同じ意味を有する。本明細書において説明されるものと同様または同等の方法および材料は、当該開示されるプロセスおよび組成物の当該実践において使用することができるが、当該例示的プロセス、装置、および材料は、本明細書において説明される。そのようなプロセスおよび条件は変わり得るため、本開示は、特定の方法および説明される実験条件に限定されないことは、理解されるべきである。
【0108】
〔実施例1〕
幼虫分離
鋼板を、メッシュ材料で形成された卵ホルダーの下に位置し、この場合、当該メッシュは、2mm2の穴寸法を有する。当該鋼板の当該角度を変えて、当該鋼板上および当該鋼板と接触した後に幼虫が落下する当該エリア上に存在する幼虫の当該数を、1分間記録した。当該鋼板は、いくつかの卵ホルダーの下方において傾けることにより、落下点から鋼板までの当該距離を、130mmから350mmの間で変えた。
【0109】
結果
幼虫落下プロファイル
二匹以上のグループでの幼虫落下の落下量=4(26.7%)
個体の場合の幼虫落下の落下量=11(73.3%)
【0110】
幼虫着地プロファイル
二匹以上のグループでの幼虫落下の落下量=0(0%)
個体の場合の幼虫落下の落下量=139(100%)
【0111】
斜面効果
幼虫が落下する当該鋼板の角度の当該効果を
図2に示す。
当該傾斜の上方の当該幼虫の当該高さも観察したところ、幼虫の当該大部分が当該35.5°傾けた斜面上に留まるが、その一方で、当該角度が53.5°または67.2°の場合には当該幼虫の当該大部分は当該斜面上に留まらない効果を有していた。
【0112】
結論
マルチおよび一匹の幼虫の当該落下および着地の間の当該距離は、明らかに、当該斜面への当該衝突が当該幼虫を分離させていることを示している。
【0113】
当該斜面の当該角度は、衝突後にその上に留まる幼虫の当該数に対してかなりの影響を与える。
【0114】
〔実施例2〕
幼虫計数機における落下の高さおよび表面の角度
当該表面上に落下する幼虫の当該着地特性を特定するために、二つの実験を行った。
【0115】
試験1:二つの異なる高さにおいて黒いカードの上に垂直に落下する幼虫の当該着地特性を調査した。
【0116】
試験2:当該幼虫が当該黒いカードに到達する前に、中間プレートで当該幼虫をバウンドさせた。
【0117】
実験手順
試験1-垂直落下
二日、三日、および四日齢の卵からの幼虫を、二つの異なる高さ、300mmおよび150mmから落下させ、当該水平着地位置を5分間隔で監視した。次いで、一匹またはグループでの幼虫着地の測定を行った。
【0118】
試験2-傾斜落下
二日、三日、および四日齢の卵からの幼虫を、300mmの高さから落下させ、垂直に対して66.4°に傾斜させたプレートでバウンドさせた。試験1と同じ基準で測定した。
【0119】
結果のラベリングに対する凡例:
2doe=二日齢の卵
3doe=三日齢の卵
4doe=四日齢の卵
V=垂直
A=傾斜
300=300mmの高さからの落下
150=150mmの高さからの落下
2=同じパラメータでの二回目の試験(いかなる値も、これらのパラメータでの一回目の試験を意味しない)
【0120】
幼虫のマルチ着地対一匹着地
当該結果は、当該着地タイプに影響すると思われる当該重要な特徴の間の直接比較を可能にするために、三つのセクションに分離した。
【0121】
図3aおよび3b:幼虫のマルチ着地対一匹着地-卵の齢数/落下率
図4aおよび4b:幼虫のマルチ着地対一匹着地-落下高さ
図5aおよび5b:幼虫のマルチ着地対一匹着地-垂直対傾斜
【0122】
結論
一匹着地対マルチ着地
幼虫のより高い落下率は、当該メッシュ落下での幼虫のより高い密度を意味し、それは、幼虫がグループで落下する傾向が強いことを意味する。
【0123】
より高い垂直高さからの落下は、幼虫が下方の当該床に当たった後の当該幼虫の当該期待される分離を増加させる。
【0124】
傾斜させたプレートへの衝突は、当該初期バウンドがそれらの多くを分離させるため、マルチ着地の当該数を減らす。
【0125】
実施例3-餌源における当該前蛹の乾燥
本発明による、餌源における前蛹を保持する、蓋を備える容器を、本発明による蛹化室に位置した。当該餌源は、当該サンプルを100℃で3~4時間オーブン乾燥させてその前後の当該重量を測定することによって測定した場合の78.8%の含水率を有する。当該蛹化室を、28℃±2℃および70%の相対湿度で15日間維持した。当該乾燥期間の当該終了時に、当該餌源は、再び当該サンプルをオーブン乾燥させてその前後で当該重量を測定することによって測定した場合の58.8%の含水率を有していた。
【0126】
目視検査によって、当該前蛹の当該大部分が蛹へと成長した。
【0127】
本発明の特定の実施形態を本明細書において詳細に開示しているが、これは、一例として、当該例示目的のみのために為されている。当該前述の実施形態は、本発明の当該範囲に関する限定であることを意図しない。本発明の当該趣旨および範囲から逸脱することなく本発明に対して様々な置換、代替、および変更を為してもよいことは、本発明者らによって想定される。
【0128】
本発明の概念の代替的表現は、以下の項において提示される。
【0129】
[1]受精卵を受け入れるように、および該受精卵が成長し幼虫として孵化するのを可能にするように構成され、少なくとも1つの卵ホルダーを含み、該卵ホルダーまたは各卵ホルダーが、該受精卵を保持するように、および餌源における幼虫を提供するために、該卵ホルダーから該餌源への該幼虫の移動を可能にするように適合される孵卵室と;
該餌源における該幼虫を受け入れるように、および該餌源における前蛹を提供するために、該幼虫が該餌源において餌を食べて前蛹へと成長することを可能にするように構成された幼虫室と;
該餌源における該前蛹を受け入れるように、および該前蛹が蛹へと成長することを可能にするように構成され、乾燥餌源における蛹を提供するために、前記餌源および該前蛹を乾燥させるように構成された蛹化室と;
該乾燥餌源における該蛹を受け入れるように、および該蛹がハエ成虫へと成長するのを可能にするように構成され、ハエ成虫が該放出ボックスを去るための一つまたは複数の出口を含む放出ボックスと;
該放出ボックスの該1つまたは複数の出口を介してハエ成虫を受け入れるように、および抱卵雌を提供するために、ハエ成虫が交尾することを可能にするように構成され、該抱卵雌が、1つまたは複数の産卵ラックにおいて前記受精卵を産卵する繁殖室と、を含む、ハエを繁殖させるためのモジュール式システム。
【0130】
[2]前記孵卵室、幼虫室、蛹化室、放出ボックスおよび繁殖室のうちのの一つまたは複数が、制御された環境条件を有する、[1]に記載のモジュール式システム。
【0131】
[3]前記孵卵室が、60%から80%の相対湿度および25℃から32℃の範囲の温度に維持される、請求項1または請求項2に記載のモジュール式システム。
【0132】
[4]前記幼虫室が、60%から80%の相対湿度および25℃から32℃の範囲の温度に維持される、[1]から[3]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0133】
[5]前記蛹化室が、20%から60%の相対湿度および25℃から32℃の範囲の温度に維持される、[1]から[4]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0134】
[6]前記放出ボックスが、20%から60%の相対湿度および25℃から32℃の範囲の温度に維持される、[1]から[5]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0135】
[7]前記繁殖室が、60%から80%の相対湿度および25℃から32℃の範囲の温度に維持される、[1]から[6]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0136】
[8]前記孵卵室の前記少なくとも一つの卵ホルダーが、前記幼虫が該少なくとも一つの卵ホルダーから前記餌源中へと落下することを可能にするように位置決めされる、[1]から[7]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0137】
[9]前記少なくとも一つの卵ホルダーが、受精卵を維持しかつ幼虫が通過するのを可能にするサイズの一つまたは複数の穿孔を有する、[1]から[8]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0138】
[10]前記一つまたは複数の穿孔が、0.5mmから3mmの範囲の直径を有する、[9]に記載のモジュール式システム。
【0139】
[11]前記幼虫室、前記蛹化室および/または前記放出ボックスが容器である、[1]から[10]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0140】
[12]前記幼虫室、前記蛹化室および/または前記放出ボックスが、同じ容器である、[11]に記載のモジュール式システム。
【0141】
[13]前記蛹化室および/または前記放出ボックスがさらに、前記容器を覆う蓋を含む、[11]または[12]に記載のモジュール式システム。
【0142】
[14]前記蓋が、前記一つまたは複数の出口を含む、[13]に記載のモジュール式システム。
【0143】
[15]前記幼虫室が、前記餌源における幼虫の別々のバッチを受け入れるための一つまたは複数の別々の位置を有する、[1]から[10]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0144】
[16]前記一つまたは複数の別々の位置が、棚、ラック、および引き出しからなる群より選択される、[15]に記載のモジュール式システム。
【0145】
[17]前記餌源における前記幼虫が、前記幼虫室における前記一つまたは複数の別々の位置のうちの一つに位置されるような寸法の容器内に存する、[15]または[16]に記載のモジュール式システム。
【0146】
[18]前記蛹化室が、前記餌源における前蛹の、異なるバッチを受け入れるための一つまたは複数の別々の位置を有する、[1]から[17]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0147】
[19]前記一つまたは複数の別々の位置が、棚、ラック、および引き出しからなる群より選択される、[18]に記載のモジュール式システム。
【0148】
[20]前記餌源における前記前蛹が、蓋を有する容器内に存し、該蓋が該容器を覆い、蓋を有する該容器が、前記蛹化室における前記一つまたは複数の別々の位置のうちの一つに位置されるような寸法である、[17]から[19]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0149】
[21]前記蓋が、通気のための穿孔を有し、該穿孔が、前記ハエ成虫が前記容器を去るのを防ぐサイズである、[20]に記載のモジュール式システム。
【0150】
[22]前記蓋が、開位置と閉位置との間で操作可能な少なくとも一つの開口部を有し、該開口部が、前記蛹化室における閉位置に存する、[20]または[21]に記載のモジュール式システム。
【0151】
[23]光が、前記蛹化室から少なくとも部分的に排除される、[1]から[22]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0152】
[24]前記放出ボックスが、前記餌源における蛹の、異なるバッチを受け入れるための一つまたは複数の別々の位置を有する、[1]から[23]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0153】
[25]前記一つまたは複数の別々の位置が、棚、ラック、および引き出しからなる群より選択される、[24]に記載のモジュール式システム。
【0154】
[26]前記餌源における前記前蛹が、蓋を有する容器内に存し、該容器および蓋が、前記放出ボックスにおける前記一つまたは複数の別々の位置のうちの一つに位置されるような寸法である、[24]または[25]に記載のモジュール式システム。
【0155】
[27]前記蓋が、前記ハエ成虫が前記容器を去るのを防ぐサイズの、通気のための穿孔を有する、[26]に記載のモジュール式システム。
【0156】
[28]前記蓋が、開位置と閉位置との間で操作可能な開口部を有し、該開口部が、前記放出ボックスの開位置に存する、[26]または[27]に記載のモジュール式システム。
【0157】
[29]前記同じ容器が、前記幼虫室から前記蛹化室へ、さらに前記放出ボックスへ連続的に移動するために使用される、[17]から[28]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0158】
[30]前記同じ蓋が、前記蛹化室から前記放出ボックスへ前記同じ容器において使用される、[20]から[29]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0159】
[31]各段階に対して前記ハエのライフサイクルにおいて必要な様々な期間に適応するために、前記孵卵室、幼虫室、蛹化室、放出ボックス、および繁殖室のそれぞれの一つまたは複数を含む、[1]から[30]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0160】
[32]各段階において異なる量の容器に適応するために、前記幼虫室、蛹化室、および放出ボックスのそれぞれにおける様々な数の別々の位置を含む、[15]から[31]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0161】
[33]前記蛹化室以前の前記餌源が、60%から80%の範囲の含水率を有する、[1]から[32]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0162】
[34]前記蛹化室での乾燥後の前記餌源が、60%未満の含水率を有する、[1]から[33]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0163】
[35]前記蛹化室が、前記幼虫室より低い10%から20%の相対湿度に維持される、[1]から[34]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0164】
[36]前記放出ボックスが、2から10の間の数の出口を有する、[1]から[35]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0165】
[37]前記放出ボックスが、六つの出口を有する、[36]に記載のモジュール式システム。
【0166】
[38]前記放出ボックスにおける前記出口が、0.005cm2/蛹から0.03cm2/蛹の範囲の総表面積を有する、[1]から[37]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0167】
[39]前記繁殖室が、前記放出ボックスから該繁殖室へ前記ハエ成虫を引き付けるために照明および/または化学誘引物質を有する、[1]から[38]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0168】
[40]前記産卵ラックが、前記抱卵雌が受精卵を産卵するための隙間、亀裂、または穴を有する、[1]から[39]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0169】
[41]前記隙間、亀裂、または穴が、0.5mmから5mmの範囲の直径を有する、[40]に記載のモジュール式システム。
【0170】
[42]前記産卵ラックが、取り外し可能である、[40]または[41]に記載のモジュール式システム。
【0171】
[43]前記孵卵室がさらに、前記受精卵から孵化した幼虫を計数するための機器を含む、[1]から[42]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0172】
[44]ハエの受精卵から孵化した幼虫を計数するための前記機器が、請求項147から159の前記システムの前記特徴の一つまたは複数あるいは全てを含む、[1]から[43]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0173】
[45]前記放出ボックスの前記出口または各出口が、該放出ボックスから出現したハエ成虫の前記数を計数する計数機を含み、前記繁殖室が、該放出ボックスの前記一つまたは複数の入口から特定の数のハエ成虫を受け入れるように適合される、[1]から[44]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0174】
[46]前記放出ボックスが、[162]から[176]の前記放出ボックスの前記特徴の一つまたは複数あるいは全てを含む、[1]から[45]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0175】
[47]以下のステップ:
a)少なくとも1つの受精卵を孵卵室の少なくとも1つの卵ホルダーに提供するステップであって、該卵ホルダーまたは各卵ホルダーが、該少なくとも1つの受精卵を保持するように、および孵化後にそこからの該幼虫の移動を可能にするように適合される、ステップと;
b)幼虫として孵化させるために、該受精卵にとって好適な該孵卵室内の条件を提供するステップであって、餌源における幼虫を提供するために、孵化後に該幼虫が該卵ホルダーから該餌源へと移動する、ステップと;
c)該餌源における該幼虫を幼虫室に位置し、該幼虫が該餌源において成長して前蛹へと変態することを可能にするステップと;
d)該餌源における該前蛹を蛹化室に位置するステップであって、乾燥した餌源における蛹を提供するために、該蛹化室が、上記餌源における該前蛹を乾燥させるように構成される、ステップと;
e)該乾燥餌源における該蛹を、該蛹がハエ成虫へと成長するための放出ボックスに位置するステップであって、該放出ボックスが、ハエ成虫が該放出ボックスを去るための1つまたは複数の出口を含む、ステップと;
f)少なくとも一匹の雄のハエ成虫および少なくとも一匹の雌のハエ成虫が、繁殖室へと、該放出ボックスを去ることを可能にするステップと;
g)少なくとも一匹の抱卵雌を提供するために、少なくとも一匹の雄のハエ成虫および少なくとも一匹の雌のハエ成虫が交尾するのを可能にするステップであって、該少なくとも一匹の抱卵雌が、一つまたは複数の産卵ラックにおいて少なくとも一つの受精卵を産卵する、ステップと;
f)少なくとも一つの受精卵を、該一つまたは複数の産卵ラックから取り出すステップと;
g)任意選択により、ステップ(a)から(f)を繰り返すステップと、を含む、ハエを繁殖させる方法。
【0176】
[48] [1]から[46]のいずれか一項のモジュール式システムを使用して実施される、[47]に記載の方法。
【0177】
[49]前記卵ホルダーにおける前記受精卵が、前記繁殖室からの単一の産卵ラックからの卵を含む、[47]または[48]に記載の方法。
【0178】
[50]前記卵ホルダーにおける前記受精卵が、前記同じ繁殖室からの複数の産卵ラックからの卵を含む、[47]から[49]のいずれか一項に記載の方法。
【0179】
[51]前記卵ホルダーにおける前記受精卵が、異なる繁殖室からの複数の産卵ラックからの卵を含む、[47]から[50]のいずれか一項に記載の方法。
【0180】
[52]前記卵ホルダーまたは各卵ホルダーのいずれか一つにおける前記受精卵が全て、一日から五日齢、好ましくは一日から三日齢である、[47]から[51]のいずれか一項に記載の方法。
【0181】
[53]前記幼虫室が、前記餌源における幼虫のバッチの先入れ先出し(first in first out)順次処理システムにおいて作動し、該餌源における幼虫の各バッチが、前記蛹化室に位置される前に、該幼虫室において適切な長さの時間を過ごす、[47]から[52]のいずれか一項に記載の方法。
【0182】
[54]前記蛹化室が、前記餌源における前蛹のバッチの先入れ先出し順次処理システムにおいて作動し、該餌源における前蛹の各バッチが、前記放出ボックスに位置される前に、該蛹化室において適切な長さの時間を過ごす、[47]から[53]のいずれか一項に記載の方法。
【0183】
[55]前記放出ボックスが、前記餌源における蛹のバッチの先入れ先出し順次処理システムにおいて作動し、該餌源における蛹の各バッチが、取り出される前に、該放出ボックスにおいて適切な長さの時間を過ごす、[47]から[54]のいずれか一項に記載の方法。
【0184】
[56]前記幼虫室、前記蛹化室および/または前記放出ボックスが容器である、[47]から[55]のいずれか一項に記載の方法。
【0185】
[57]前記幼虫室、前記蛹化室および/または前記放出ボックスが同じ容器である、[56]に記載の方法。
【0186】
[58]前記餌源における前記幼虫が、前記幼虫室、前記蛹化室、および/または前記放出ボックスにおける一つまたは複数の別々の位置に位置されるような寸法の容器内に存する、[47]から[55]のいずれか一項に記載の方法。
【0187】
[59]前記同じ容器が、前記幼虫室から前記蛹化室へ、さらに前記放出ボックスへ連続的に移動するために使用される、[58]に記載の方法。
【0188】
[60]前記蛹化室以前の前記餌源が、60%から80%の範囲の含水率を有する、[47]から[59]のいずれか一項に記載の方法。
【0189】
[61]前記蛹化室での乾燥後の前記餌源が、60%未満の含水率を有する、[47]から[60]のいずれか一項に記載の方法。
【0190】
[62]前記蛹化室が、前記幼虫室より低い10%から20%の相対湿度に維持される、[47]から[61]のいずれか一項に記載の方法。
【0191】
[63]さらに、前記幼虫が前記卵ホルダーから前記餌源へと移動するときに計数されるステップ(b)を含む、[47]から[62]のいずれか一項に記載の方法。
【0192】
[64]ステップ(b)における前記幼虫が計数され、該計数ステップが、[147]から[159]のいずれか一つの計数システムを使用して実施される、[63]に記載の方法。
【0193】
[65]所定の数の幼虫が計数された後、前記餌源における前記幼虫が前記幼虫室に位置される、[63]または[64]に記載の方法。
【0194】
[66]前記ハエ成虫が前記放出ボックスから前記繁殖室へと移動するときに該ハエ成虫が計数されるステップ(f)を含む、[47]から[65]のいずれか一項に記載の方法。
【0195】
[67]前記放出ボックスが、そこから移動するハエの数を計数するように構成され、該放出ボックスが、[162]から[176]の前記放出ボックスの前記特徴の一つまたは複数あるいは全てを含む、[66]に記載の方法。
【0196】
[68]ハエを繁殖させるためのモジュール式システムであって、
受精卵が成長して幼虫として孵化する孵卵室であって、少なくとも1つの卵ホルダーを含み、該卵ホルダーまたは各卵ホルダーが、該受精卵を保持するように、および孵化後にそこからの該幼虫の移動を可能にするように適合され、さらに、該卵ホルダーから放出される該幼虫を計数する手段を含む、孵卵室と;
餌源の該幼虫を受け入れるように、および該幼虫が該餌源において餌を食べて前蛹へと成長することを可能にするように構成された幼虫室と;
該前蛹を受け入れるように、および該前蛹が蛹へと成長することを可能にするように構成された蛹化室と;
該蛹を受け入れるように、および該蛹がハエ成虫へと成長するのを可能にするように構成された放出ボックスであって、ハエ成虫のための一つまたは複数の出口を含む、放出ボックスと;
該放出ボックスの該出口を介してハエ成虫を受け入れるように、および一つまたは複数の産卵ラックにおいて受精卵を産卵する抱卵雌を提供するために該ハエ成虫が交尾することを可能にするように構成された繁殖室と、を含むモジュール式システム。
【0197】
[69]前記卵ホルダーまたは各卵ホルダーが、前記幼虫が該卵ホルダーから落下してそれらを個別の幼虫へと分離するように構成された表面に接触するように位置決めされる、[68]に記載のモジュール式システム。
【0198】
[70]前記孵卵室、幼虫室、蛹化室、放出ボックス、および繁殖室のうちのの一つまたは複数が、制御された環境条件を有する、[68]または[69]に記載のモジュール式システム。
【0199】
[71]前記孵卵室が、60%から80%の相対湿度および25℃から32℃の範囲の温度に維持される、[68]から[70]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0200】
[72]前記幼虫室が、60%から80%の相対湿度および25℃から32℃の範囲の温度に維持される、[68]から[71]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0201】
[73]前記蛹化室が、20%から60%の相対湿度および25℃から32℃の範囲の温度に維持される、[68]から[72]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0202】
[74]前記放出ボックスが、20%から60%の相対湿度および25℃から32℃の範囲の温度に維持される、[68]から[73]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0203】
[75]前記繁殖室が、60%から80%の相対湿度および25℃から32℃の範囲の温度に維持される、[68]から[74]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0204】
[76]前記幼虫室、前記蛹化室、および/または前記放出ボックスが、容器である、[68]から[75]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0205】
[77]前記幼虫室、前記蛹化室、および/または前記放出ボックスが、同じ容器である、[76]に記載のモジュール式システム。
【0206】
[78]前記蛹化室および/または前記放出ボックスがさらに、前記容器を覆う蓋を含む、[76]または[77]に記載のモジュール式システム。
【0207】
[79]前記蓋が、前記一つまたは複数の出口を含む、[78]に記載のモジュール式システム。
【0208】
[80]前記幼虫室が、前記餌源における幼虫の別々のバッチを受け入れるための一つまたは複数の別々の位置を有する、[68]から[79]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0209】
[81]前記一つまたは複数の別々の位置が、棚、ラック、および引き出しからなる群より選択される、[80]に記載のモジュール式システム。
【0210】
[82]前記餌源における前記幼虫が、前記幼虫室における前記一つまたは複数の別々の位置のうちの一つに位置されるような寸法の容器内に存する、[80]または[81]に記載のモジュール式システム。
【0211】
[83]前記蛹化室が、前記餌源における前蛹の、異なるバッチを受け入れるための一つまたは複数の別々の位置を有する、[80]から[82]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0212】
[84]前記一つまたは複数の別々の位置が、棚、ラック、および引き出しからなる群より選択される、[83]に記載のモジュール式システム。
【0213】
[85]前記餌源における前記前蛹が、蓋を有する容器内に存し、該蓋が該容器を覆い、蓋を有する該容器が、前記蛹化室における前記一つまたは複数の別々の位置のうちの一つに位置されるような寸法である、[83]または[84]に記載のモジュール式システム。
【0214】
[86]前記蓋が、通気のための穿孔を有し、該穿孔が、前記ハエ成虫が前記容器を去るのを防ぐサイズである、[85]に記載のモジュール式システム。
【0215】
[87]前記蓋が、開位置と閉位置との間で操作可能な少なくとも一つの開口部を有し、該開口部が、前記蛹化室における閉位置に存する、[85]または[86]に記載のモジュール式システム。
【0216】
[88]光が、前記蛹化室から少なくとも部分的に排除される、[68]から[87]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0217】
[89]前記放出ボックスが、前記餌源における蛹の、異なるバッチを受け入れるための一つまたは複数の別々の位置を有する、[68]から[88]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0218】
[90]前記一つまたは複数の別々の位置が、棚、ラック、および引き出しからなる群より選択される、[89]に記載のモジュール式システム。
【0219】
[91]前記餌源における前記前蛹が、蓋を有する容器内に存し、該容器および蓋が、前記放出ボックスにおける前記一つまたは複数の別々の位置のうちの一つに位置されるような寸法である、[89]または[90]に記載のモジュール式システム。
【0220】
[92]前記蓋が、前記ハエ成虫が前記容器を去るのを防ぐサイズの、通気のための穿孔を有する、[91]に記載のモジュール式システム。
【0221】
[93]前記蓋が、開位置と閉位置との間で操作可能な開口部を有し、該開口部が、前記放出ボックスの開位置に存する、[91]または[92]に記載のモジュール式システム。
【0222】
[94]前記幼虫室、前記蛹化室、および/または前記放出ボックスが、容器である、[68]から[93]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0223】
[95]前記幼虫室、前記蛹化室、および/または前記放出ボックスが、同じ容器である、[94]に記載のモジュール式システム。
【0224】
[96]前記餌源における前記幼虫が、前記幼虫室、前記蛹化室、および/または前記放出ボックスにおける一つまたは複数の別々の位置に位置されるような寸法の容器内に存する、[68]または[93]に記載のモジュール式システム。
【0225】
[97]前記同じ容器が、前記幼虫室から前記蛹化室へ、さらに前記放出ボックスへ連続的に移動するために使用される、[96]に記載のモジュール式システム。
【0226】
[98]前記前蛹が、前記蛹化室における前記餌源においてその場で乾燥される、[68]から[97]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0227】
[99]前記蛹化室以前の前記餌源が、60%から80%の範囲の含水率を有する、請求項[68]から[98]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0228】
[100]前記蛹化室での乾燥後の前記餌源が、60%未満の含水率を有する、[68]から[99]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0229】
[101]前記蛹化室が、前記幼虫室より低い10%から20%の相対湿度に維持される、[68]から[100]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0230】
[102]前記幼虫を計数する前記手段が、
少なくとも一つの受精卵から孵化する幼虫がそこから落下する落下点と;
該幼虫が落下点から落下したときに、それらが一つまたは複数の傾斜した表面の少なくとも一つに接触するように、該落下点の下方に位置決めされた該一つまたは複数の傾斜した表面であって、該接触が、該幼虫を個体へと分離し、該幼虫を該一つまたは複数の傾斜された表面から誘導する、一つまたは複数の傾斜した表面と;
を含むシステムであり、
監視装置が、該一つまたは複数の表面から誘導された該個々の幼虫を計数する、
[68]から[101]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0231】
[103]前記落下点が、前記孵卵室の前記一つまたは複数の卵ホルダーの少なくとも一つである、[102]に記載のモジュール式システム。
【0232】
[104]前記落下点が、前記孵卵室の前記卵ホルダーから幼虫を収集した運搬システムの端部である、[102]または[103]に記載のモジュール式システム。
【0233】
[105]前記運搬システムがコンベアベルトである、[104]に記載のモジュール式システム。
【0234】
[106]前記落下点と前記一つまたは複数の傾斜した表面との間の距離が、50mmから400mmの間である、[102]から[105]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0235】
[107]前記落下点と前記一つまたは複数の傾斜した表面との間の前記距離が、100mmから300mmの間である、[106]に記載のモジュール式システム。
【0236】
[108]前記幼虫が前記落下点から落下するときの該幼虫の方向に対する前記表面の前記角度が、30°から70°である、[102]から[107]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0237】
[109]前記落下点と前記一つまたは複数の傾斜した表面との間の前記距離が、100mmから300mmの間であり、前記幼虫が前記落下点から落下するときの該幼虫の実質的に垂直な方向に対する前記一つまたは複数の傾斜した表面の前記角度が、30°から70°である、[102]から[108]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0238】
[110]前記監視装置が、その視野を通って落下する幼虫の数を視覚化し記録することができる装置に取り付けられた、視野を有するカメラである、[102]から[109]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0239】
[111]前記幼虫が前記カメラとスクリーンとの間を通過するように、該カメラの視野内に該スクリーンが提供される、[110]に記載のモジュール式システム。
【0240】
[112]前記スクリーンが黒色である、[111]に記載のモジュール式システム。
【0241】
[113]前記放出ボックスの前記出口または各出口が、該放出ボックスを去ったハエ成虫の数を計数する計数機を含み、前記繁殖室が、該放出ボックスの該一つまたは複数の出口から特定の数のハエ成虫を受け入れるように適合される、[68]から[112]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0242】
[114]前記放出ボックスが、
蛹を受け入れるための少なくとも一つの別々の位置と;
ハエ成虫が該放出ボックスを去るための一つまたは複数の出口と、
を含み、
該出口または各出口が、該放出ボックスを去った該個々のハエを計数するための監視装置を含む、[113]に記載のモジュール式システム。
【0243】
[115]前記少なくとも一つの別々の位置が、蓋を備える容器である、[114]に記載のモジュール式システム。
【0244】
[116]前記放出ボックスが、蛹を受け入れるための複数の別々の位置を含む、[114]または[115]に記載のモジュール式システム。
【0245】
[117]前記蛹が、容器中に提供される、[116]に記載のモジュール式システム。
【0246】
[118]前記蛹が、餌源と共に提供される、[114]から[117]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0247】
[119]前記出口が、複数のより小さい開口部を有する各出口を提供するように仕切られる、[114]から[118]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0248】
[120]前記複数のより小さい開口部が、一度に一匹以下の個々のハエの通過を可能にするようなサイズである、[114]から[119]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0249】
[121]それぞれのより小さい開口部が、6mmから14mmの範囲の直径を有する、[120]に記載のモジュール式システム。
【0250】
[122]前記放出ボックスにおける前記より小さな開口部が、0.005cm2/蛹から0.03cm2/蛹の範囲の総表面積を有する、[119]から[121]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0251】
[123]前記開口部のそれぞれが、前記放出ボックスを去る前記個々のハエを計数するための監視装置を含む、[119]から[122]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0252】
[124]前記監視装置が、光ビームの遮断および電荷検出器からなる群の一つによって、前記ハエを検出し、計数する、[114]から[123]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0253】
[125]前記放出ボックスが、ハエを二つ以上の繁殖室中に放出するために移動可能である、[114]から[124]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0254】
[126]前記放出ボックスが、ホイールまたはレール上に取り付けられる、[125]に記載のモジュール式システム。
【0255】
[127]前記前蛹が、前記蛹化室における前記餌源においてその場で乾燥される、[68]から[126]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0256】
[128]以下のステップ:
a)少なくとも1つの受精卵を孵卵室の少なくとも1つの卵ホルダーに提供するステップであって、該卵ホルダーまたは各卵ホルダーが、該少なくとも1つの受精卵を保持するように、および孵化後にそこからの該幼虫の移動を可能にするように適合される、ステップと;
b)幼虫として孵化させるために、該受精卵にとって好適な該孵卵室内の条件を提供するステップであって、孵化後に該幼虫が該卵ホルダーから該餌源へと移動する、ステップと;
c)該卵ホルダーから該餌源へと移動する該幼虫を監視装置を使用して計数するステップと;
d)所定の数の計数された幼虫を餌源に提供するステップと;
e)餌源における該所定の数の計数された幼虫を幼虫室に位置し、該幼虫が成長して前蛹へと変態することを可能にするステップと;
f)該前蛹を蛹化室に位置し、該前蛹が蛹へと変態することを可能にするステップと;
g)該蛹を、該蛹がハエ成虫へと成長するための放出ボックスに位置するステップであって、該放出ボックスが、ハエ成虫が該放出ボックスを去るための1つまたは複数の出口を含む、ステップと;
h)少なくとも一匹の雄のハエ成虫および少なくとも一匹の雌のハエ成虫が、繁殖室へと、該放出ボックスを去ることを可能にするステップと;
i)少なくとも一匹の抱卵雌を提供するために、少なくとも一匹の雄のハエ成虫および少なくとも一匹の雌のハエ成虫が交尾するのを可能にするステップであって、該少なくとも一匹の抱卵雌が、一つまたは複数の取り外し可能な産卵ラックにおいて少なくとも一つの受精卵を産卵する、ステップと;
j)少なくとも一つの受精卵を、該一つまたは複数の産卵ラックから取り出すステップと;
k)任意選択により、ステップ(a)から(j)を繰り返すステップと、を含む、ハエを繁殖させる方法。
【0257】
[129]前記幼虫が、前記卵ホルダーから前記餌源へと移動するときに、該幼虫が、該幼虫を個々の幼虫へと分離するように構成された表面に接触する、[128]に記載の方法。
【0258】
[130] [68]から[127]のいずれか一項のモジュール式システムを用いる、請求項128または[129]に記載の方法。
【0259】
[131]前記少なくとも一つの卵ホルダーにおける前記受精卵が、前記繁殖室からの単一の産卵ラックからの卵を含む、[128]から[130]のいずれか一項に記載の方法。
【0260】
[132]前記少なくとも一つの卵ホルダーにおける前記受精卵が、前記同じ繁殖室からの複数の産卵ラックからの卵を含む、[128]から[131]のいずれか一項に記載の方法。
【0261】
[133]前記少なくとも一つの卵ホルダーにおける前記受精卵が、異なる繁殖室からの複数の産卵ラックからの卵を含む、[128]から[132]のいずれか一項に記載の方法。
【0262】
[134]前記卵ホルダーまたは各卵ホルダーのいずれか一つにおける前記受精卵が全て、一日から三日齢である、[128]から[133]のいずれか一項に記載の方法。
【0263】
[135]前記幼虫室が、前記餌源における幼虫のバッチの「先入れ先出し」順次処理システムにおいて作動し、該餌源における幼虫の各バッチが、前記蛹化室に位置される前に、該幼虫室において適切な長さの時間を過ごす、[128]から[134]のいずれか一項に記載の方法。
【0264】
[136]前記蛹化室が、前記餌源における前蛹のバッチの「先入れ先出し」順次処理システムにおいて作動し、該餌源における前蛹の各バッチが、前記放出ボックスに位置される前に、該蛹化室において適切な長さの時間を過ごす、[128]から[135]のいずれか一項に記載の方法。
【0265】
[137]前記放出ボックスが、前記餌源における蛹のバッチの「先入れ先出し」順次処理システムにおいて作動し、該餌源における蛹の各バッチが、取り出される前に、該放出ボックスにおいて適切な長さの時間を過ごす、[128]から[136]のいずれか一項に記載の方法。
【0266】
[138]前記幼虫室、前記蛹化室、および/または前記放出ボックスが、容器である、[128]から[137]のいずれか一項に記載の方法。
【0267】
[139]前記幼虫室、前記蛹化室、および/または前記放出ボックスが、同じ容器である、[138]に記載の方法。
【0268】
[140]前記餌源における前記幼虫が、前記幼虫室、前記蛹化室、および/または前記放出ボックスにおける一つまたは複数の別々の位置に位置されるような寸法の容器内に存する、[138]または[139]に記載の方法。
【0269】
[141]前記同じ容器が、前記幼虫室から前記蛹化室へ、さらに前記放出ボックスへ連続的に移動するために使用される、[140]に記載の方法。
【0270】
[142]前記蛹化室以前の前記餌源が、60%から80%の範囲の含水率を有する、[128]から[141]のいずれか一項に記載の方法。
【0271】
[143]前記餌源が、前記蛹化室において乾燥され、該蛹化室での乾燥の後、該餌源が、60%未満の含水率を有する、[128]から[142]のいずれか一項に記載の方法。
【0272】
[144]前記蛹化室が、前記幼虫室より低い10%から20%の相対湿度に維持される、[128]から[143]のいずれか一項に記載の方法。
【0273】
[145]ステップ(d)における幼虫の前記計数ステップが、[148]から[160]のいずれか一項の前記計数システムを使用して実施される、[128]から[144]のいずれか一項に記載の方法。
【0274】
[146]前記ハエ成虫が前記放出ボックスから前記繁殖室へと移動するときに該ハエ成虫が計数されるステップ(f)を含む、[128]から[145]のいずれか一項に記載の方法。
【0275】
[147]前記放出ボックスが、[163]から[177]のいずれか一項の前記放出ボックスである、[146]に記載の方法。
【0276】
[148]ハエの受精卵から孵化する幼虫を計数するための機器であって、当該機器が、
少なくとも一つの受精卵から孵化する幼虫がそこから落下する落下点と;
該幼虫が落下点から落下したときに、それらが一つまたは複数の傾斜した表面の少なくとも一つに接触するように、該落下点の下方に位置決めされた該一つまたは複数の傾斜した表面であって、該接触が、該幼虫を個々に分離し、該個々の幼虫を該一つまたは複数の傾斜された表面から誘導する、一つまたは複数の傾斜した表面と;
該一つまたは複数の表面から誘導された該個々の幼虫を計数する監視装置と、を含む、機器。
【0277】
[149]前記落下点が、[1]から[46]または[68]から[127]のいずれか一項の前記モジュール式機器の前記孵卵室の前記一つまたは複数の卵ホルダーの前記少なくとも一つである、[148]に記載の、幼虫を計数するための機器。
【0278】
[150]前記落下点が、[1]から[46]または[68]から[127]のいずれか一項の前記モジュール式機器の前記孵卵室の前記卵ホルダーからの幼虫を収集した運搬システムの前記端部である、[149]に記載の、幼虫を計数するための機器。
【0279】
[151]前記運搬システムがコンベアベルトである、[150]に記載の、幼虫を計数するための機器。
【0280】
[152]前記落下点と前記表面との間の前記距離が、50mmから400mmの間である、[148]から[151]のいずれか一項に記載の、幼虫を計数するための機器。
【0281】
[153]前記落下点と前記表面との間の前記距離が、100mmから300mmの間である、[152]に記載の、幼虫を計数するための機器。
【0282】
[154]前記幼虫が前記落下点から落下するときの該幼虫の方向に対する前記表面の前記角度が、30°から70°である、[148]から[153]のいずれか一項に記載の、幼虫を計数するための機器。
【0283】
[155]前記落下点と前記表面との間の前記距離が、100mmから300mmの間であり、前記幼虫が前記落下点から落下するときの該幼虫の方向に対する前記表面の前記角度が、30°から70°である、[148]から[154]のいずれか一項に記載の、幼虫を計数するための機器。
【0284】
[156]前記監視装置が、前記視野通って落下する幼虫の数を視覚化し記録することができる装置に取り付けられた視野を有するカメラである、[148]から[155]のいずれか一項に記載の、幼虫を計数するための機器。
【0285】
[157]前記幼虫が間を通過するように、スクリーンが、前記カメラの反対側に提供される、[156]に記載の、幼虫を計数するための機器。
【0286】
[158]前記スクリーンが黒色である、[157]に記載の、幼虫を計数するための機器。
【0287】
[159]前記システムが、[1]から[46]または[68]から[127]のいずれか一項の前記モジュール式システムの前記孵卵室の一部を形成する、[148]から[158]のいずれか一項に記載の、幼虫を計数するための機器。
【0288】
[160] [128]または[129]のステップ(d)において、前記幼虫を計数するために使用される、[148]から[159]のいずれか一項に記載の、幼虫を計数するための機器。
【0289】
[161]以下のステップ:
一つまたは複数の受精卵を提供するステップと;
該卵が幼虫として孵化することを可能にするのに好適な条件を提供するステップと;
該幼虫が該一つまたは複数の受精卵から孵化した後に、それらを計数するステップと、
を含む、幼虫を計数する方法。
【0290】
[162] [148]から[160]のいずれか一項の前記機器を使用して実施される、[161]に記載の、幼虫を計数するための方法。
【0291】
[163]前記蛹がハエ成虫へと成長するための放出ボックスであって、
蛹を受け入れるための少なくとも一つの別々の位置と;
ハエ成虫が該放出ボックスを去るための一つまたは複数の出口と、を含み、
該出口または各出口が、該放出ボックスを去った該個々のハエを計数するための監視装置を含む、放出ボックス。
【0292】
[164]蓋を備える容器である、[163]に記載の放出ボックス。
【0293】
[165]蛹を受け入れるための複数の別々の位置を含む、[163]に記載の放出ボックス。
【0294】
[166]前記蛹が、容器中に提供される、請求項165に記載の放出ボックス。
【0295】
[167]前記蛹が、餌源と共に提供される、請求項163から166のいずれか一項に記載の放出ボックス。
【0296】
[168]前記出口が、複数のより小さい開口部を有する各出口を提供するように仕切られる、[163]から[167]のいずれか一項に記載の放出ボックス。
【0297】
[169]前記複数のより小さい開口部が、一度に一匹以下の個々のハエの通過を可能にするようなサイズである、[163]から[168]のいずれか一項に記載の放出ボックス。
【0298】
[170]それぞれのより小さい開口部が、6mmから14mmの範囲の直径を有する、[169]に記載の放出ボックス。
【0299】
[171]前記放出ボックスにおける前記より小さな開口部が、0.005cm2/蛹から0.03cm2/蛹の範囲の総表面積を有する、[168]から[170]のいずれか一項に記載の放出ボックス。
【0300】
[172]前記開口部のそれぞれが、前記放出ボックスを去る前記個々のハエを計数するための監視装置を含む、[168]から[171]のいずれか一項に記載の放出ボックス。
【0301】
[173]前記監視装置が、光ビームの遮断および電荷検出器からなる群の一つによって、前記ハエを検出し、計数する、[163]から[172]のいずれか一項に記載の放出ボックス。
【0302】
[174]ハエを二つ以上の位置において放出するために移動可能である、[163]から[173]のいずれか一項に記載の放出ボックス。
【0303】
[175]ホイールまたはランナーまたはレール上に取り付けられる、[174]に記載の放出ボックス。
【0304】
[176] [1]から[46]または[68]から[127]のいずれか一項の前記モジュール式機器の一部である、[163]から[175]のいずれか一項に記載の放出ボックス。
【0305】
[177] [128]または[129]の前記方法において使用される、[163]から[176]のいずれか一項に記載の放出ボックス。
【0306】
[178]繁殖室に入るハエを計数する方法であって、
蛹化室の蛹を一つまたは複数の容器に提供するステップであって、該一つまたは複数の容器あるいは各一つまたは複数の容器が、ハエ成虫が該放出ボックスから該繁殖室へと移動するのを可能にするように構成された一つまたは複数の出口を含む、ステップと;
ハエが当該一つまたは複数の出口を通過するときにそれらを計数するステップと、を含む方法。
【0307】
[179] [1]から[46]または[68]から[127]のいずれか一項の前記機器を含む、[178]に記載の、ハエを計数する方法。
【0308】
[180]前記産卵ラックおよび前記卵ホルダーが、別々の構成要素である、[1]から[46]または[68]から[127]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。
【0309】
[181]前記産卵ラックおよび前記卵ホルダーが、同じ構成要素である、[1]から[46]または[68]から[127]のいずれか一項に記載のモジュール式システム。