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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-13
(45)【発行日】2023-07-24
(54)【発明の名称】フレキシブルドア
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/70 20060101AFI20230714BHJP
   E06B 3/48 20060101ALI20230714BHJP
   E06B 3/80 20060101ALI20230714BHJP
   E06B 9/02 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
E06B3/70 E
E06B3/48
E06B3/80
E06B9/02 E
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022080196
(22)【出願日】2022-05-16
【審査請求日】2022-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】522192894
【氏名又は名称】有限会社ハウジングトラスト
(74)【代理人】
【識別番号】100126468
【弁理士】
【氏名又は名称】田久保 泰夫
(72)【発明者】
【氏名】吉橋 正春
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】実公昭47-17946(JP,Y1)
【文献】実開昭48-69548(JP,U)
【文献】特開平3-233090(JP,A)
【文献】西独国特許出願公開第2901371(DE,A1)
【文献】西独国特許出願公開第2462091(DE,A1)
【文献】韓国登録特許第10-2263158(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 1/00-15/58
E06B 1/00-11/08
E04B 2/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両側部に係合溝を有する第一係合部が固着された複数のパネル部材と、
前記係合溝に回動可能な状態で係合する係合部を両側部に有し、前記複数のパネル部材を連結する連結部材と、
前記連結部材の前記係合部間は、連結部で連結され、前記係合部は前記連結部と一体に形成され、前記連結部の中央部に円形の凸部が形成され、
を備えることを特徴とするフレキシブルドア。
【請求項2】
請求項1に記載のフレキシブルドアにおいて、
前記係合部は、断面が円形の中実又は中空の形状であることを特徴とするフレキシブルドア。
【請求項3】
請求項1または2に記載のフレキシブルドアにおいて、
前記係合溝は、円形の前記係合部の直径よりも小さい幅の開口部を有し、前記連結部材は、前記係合部が前記開口部を介して前記係合溝に係合されることを特徴とするフレキシブルドア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のパネル部材から構成されるフレキシブルドアに関する。
【背景技術】
【0002】
部屋の間仕切りとして使用されるドアには、例えば、スライド形式のものや、側部にヒンジを備えた片開き式のものがある。スライド形式のドアは、出入口を開放した際にドアを収納するスペースが必要である。一方、片開き式のドアでは、開閉する際にドアが移動する範囲にデッドスペースとなる扇状の広いスペースが必要となる。このようなデッドスペースを少なくできるドアとして、ドアを複数のパネル部材で構成し、ドアを開放したときに蛇腹状に折り畳むことのできる折り畳み式のものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-253967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この折り畳み式のドアは、折り畳んだ際にパネル部材の横幅の分だけスペースが必要である。また、折り畳み式のドアは、パネル部材の繋ぎの部分に隙間が生じるおそれがあり、例えば、トイレ等の密室空間を形成するためのドアには不向きである。さらに、このドアは、パネル部材がヒンジによって連結されているため、ドアの組み立てに多くの時間を要するだけでなく、例えば、パネル部材の一部を交換する際にも非常に手間が掛かってしまう。
【0005】
本発明は、上記の課題を考慮してなされたものであって、ドアの移動の際のデッドスペースを最少にできるとともに、閉塞時において確実に密室空間を形成することができ、また、ドアの組み立てやパネル部材の交換に要する時間を大幅に短縮することのできるフレキシブルドアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るフレキシブルドアは、両側部に係合溝を有する第一係合部が固着された複数のパネル部材と、前記係合溝に回動可能な状態で係合する係合部を両側部に有し、前記複数のパネル部材を連結する連結部材と、前記連結部材の前記係合部間は、連結部で連結され、前記係合部は前記連結部と一体に形成され、前記連結部の中央部に円形の凸部が形成され、を備えることを特徴とする。
【0007】
前記フレキシブルドアにおいて、前記係合部は、断面が円形の中実又は中空の形状であることを特徴とする。
【0009】
前記フレキシブルドアにおいて、前記係合溝は、円形の前記係合部の直径よりも小さい幅の開口部を有し、前記連結部材は、前記係合部が前記開口部を介して前記係合溝に係合されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のフレキシブルドアでは、パネル部材の両側部に形成された係合溝に、連結部材の両側部に形成された係合部を回動可能な状態で係合させて複数のパネル部材を連結することにより、デッドスペースを発生させることなく、ドアを折り曲げて移動させることができる。また、パネル部材同士は、連結部材により隙間なく連結されるため、ドアを閉めたときにトイレ等の密室空間を確実に形成することができる。さらに、パネル部材と連結部材との着脱が容易なため、ドアの組み立てやパネル部材又は連結部材の交換に要する時間を大幅に短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態のフレキシブルドアの斜視図である。
図2】本実施形態のフレキシブルドアの正面図である。
図3】本実施形態のフレキシブルドアを変形させた状態を示す部分平面図である。
図4】連結部材によるパネル部材の連結部分の拡大説明図である。
図5図5A図5Cは、本実施形態のフレキシブルドアを構成するパネル部材の変形例の平面図である。
図6図6A図6Cは、本実施形態のフレキシブルドアを構成する連結部材の変形例の平面図である。
図7】本実施形態のフレキシブルドアをトイレ用ドアに適用した場合の平面説明図であり、図7Aはドアを開けた状態、図7Bはドアを閉めた状態を示す。
図8】本実施形態のフレキシブルドアの他の適用例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<フレキシブルドア10の構成>
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態のフレキシブルドア10の斜視図であり、図2は、本実施形態のフレキシブルドア10の正面図である。
【0013】
フレキシブルドア10は、パネル部材14と、連結部材18とを備える。
【0014】
パネル部材14は、上下方向に長尺な形状であり、両側部に係合溝12を有する。また、図2に示されるように、パネル部材14の上端部の中央部分には、例えば、建物の天井部分に設置されている上部ガイドレール20に沿って移動するローラ22が連結される。また、パネル部材14の下端部には、床面に設置されている下部ガイドレール24に沿って移動するローラ26が連結される。パネル部材14の両側部には、上下方向に延在する係合溝12が形成される。係合溝12は、図3及び図4に示されるように、水平方向の断面が円形の形状であり、開口部28を有する。開口部28の幅W1は、係合溝12の直径D1よりも小さく設定される。
【0015】
連結部材18は、パネル部材14と同様に、上下方向に長尺な形状であり、係合溝12に回動可能な状態で係合する係合部16を両側部に有する。また、連結部材18は、複数のパネル部材14を連結する。図3及び図4に示されるように、連結部材18は、両側部に断面が円形で中実の係合部16を有し、2つの係合部16間が幅W2の薄肉の連結部30により連結される。
【0016】
パネル部材14の係合溝12を内径D1、連結部材18の係合部16を直径D2、パネル部材14の開口部28を幅W1、連結部材18の連結部30を幅W2とする。この場合、内径D1、直径D2、幅W1の関係は、D1>D2>W1の関係に設定される。従って、連結部材18は、係合部16が係合溝12から抜け落ちない状態でパネル部材14に連結される。また、幅W1、幅W2との関係は、W1>W2の関係に設定される。従って、連結部材18は、パネル部材14に対して水平方向の所定範囲内で回動可動な状態となる。なお、幅W1と、幅W2とは、好ましくは、5×W2>W1>1×W2の関係に設定される。
【0017】
<フレキシブルドア10の作用効果>
本実施形態に係るフレキシブルドア10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、フレキシブルドア10の作用効果について説明する。
【0018】
フレキシブルドア10は、図1に示されるように、パネル部材14の両側部に形成された係合溝12に対して、例えば、連結部材18を上部からスライドさせるようにして係合部16を係合させて複数のパネル部材14を連結させることにより、任意の長さからなるフレキシブルドア10を短時間で組み立てることができる。また、フレキシブルドア10は、連結部材18を上部から抜き取って容易に解体することができるため、例えば、パネル部材14や連結部材18の一部を交換する際にも短時間で作業を完了させることができる。なお、フレキシブルドア10は、パネル部材14と連結部材18とを相互に係合連結させた単純な構造となっている。従って、連結部材18がパネル部材14から脱落してしまう事態を回避するため、例えば、係合溝12の下端部に脱落防止のためのストッパとして部材等を配置しておくことが望ましい。
【0019】
このように構成されたフレキシブルドア10は、図3に示されるように、連結部材18をパネル部材14に対して回動させることにより、連結部材18の可動範囲内において所望の形状にフレキシブルドア10を折り曲げることができる。この場合、図2に示されるように、上部ガイドレール20及び下部ガイドレール24にローラ22、26を係合させて案内させることにより、フレキシブルドア10を所望の軌道に沿って移動させることができる。
【0020】
このように、フレキシブルドア10は、任意の形状に折り曲げて移動させることができるため、フレキシブルドア10の移動時にデッドスペースが発生を防ぐことができる。また、フレキシブルドア10を構成するパネル部材14は、パネル部材14の両側部に係合された連結部材18により密に連結されるため、隙間が生じることのないフレキシブルドア10を実現することができる。
【0021】
図5A図5Cは、本実施形態のフレキシブルドアを構成するパネル部材の変形例の平面図である。図1図4に示されるパネル部材14では、両側部の係合溝12が一体に形成されている。これに対して、図5Aに示されるパネル部材32は、パネル本体34の両側部に、係合溝37を有する別部材の(第一)係合部36接着等の手段で固着される。パネル部材32の構成をこのようにすることにより、パネル部材32の量産が容易になる。図5Bに示されるパネル部材38は、両側部に凸部41を形成したパネル本体40に、係合溝43を有する別部材の(第一)係合部42をはめ込むようにして固着される。図5Cに示されるパネル部材44は、両側部に凹部47を形成したパネル本体46に、係合溝49を有する別部材の(第一)係合部48をはめ込むようにして固着される。パネル部材38、44の構成をこのようにすることにより、パネル本体40、46と(第一)係合部42、48との固着状態が、より強固になる。
【0022】
図6A図6Cは、本実施形態のフレキシブルドアを構成する連結部材の変形例の平面図である。図1図4に示される連結部材18では、中実な係合部16が、連結部30の両側部に一体に形成されている。これに対して、図6Aに示される連結部材50では、中空の係合部54が、連結部52の両側部に一体に形成されている。連結部材50の構成をこのようにすることにより、連結部材50の軽量化を図ることができる。図6Bに示される連結部材56では、中実な係合部60が、連結部58の両側部に一体に形成され、連結部58の中央部に円形の中実な凸部62が一体に形成されている。連結部材56の構成をこのようにすることにより、例えば、連結部材56を介してパネル部材14を回動させたとき、連結部材56の中央部に凸部62が形成されているため、パネル部材14間の隙間に指を挟み込んでしまう不具合を回避することができる。図6Cに示される連結部材64では、中空な係合部68が、連結部66の両側部に一体に形成され、中空な円形の凸部70が、連結部66の中央部に一体に形成されている。連結部材64の構成をこのようにすることにより、図6Bに示される連結部材56よりも連結部材64の軽量化を図ることができる。
【0023】
図7は、本実施形態のフレキシブルドア10をトイレ72のドアに適用した場合の具体例を示す。図7Aはドアを開けた状態、図7Bはドアを閉めた状態を示す。トイレ72のドアが開いている状態において、フレキシブルドア10は、トレイ78の内壁に沿って配置させておく(図7A)。この場合、利用者Mは、フレキシブルドア10に邪魔されることなくトイレ72に入ることができる。次いで、利用者Mは、フレキシブルドア10を上部ガイドレール20、下部ガイドレール24に沿って矢印方向に移動させ、トイレ72のドアを閉める(図7B)。このとき、フレキシブルドア10は、上部ガイドレール20、下部ガイドレール24に沿って移動するため、フレキシブルドア10の可動域が利用者Mの邪魔になることがない。このように、利用者Mは、デッドスペースを発生させることなくフレキシブルドア10を開閉することができる。また、フレキシブルドア10は、連結部材18を介してパネル部材14を隙間なく連結されているため、トイレ72を完全な密室空間とすることができる。
【0024】
図8は、本実施形態のフレキシブルドア10の他の適用例を示す。フレキシブルドア10は、湾曲する任意の経路に設定された上部ガイドレール20及び下部ガイドレール24間に配置され、この経路に沿って矢印方向に移動させることができる。この場合、フレキシブルドア10は、トイレ72のような密室空間のドアとして適用することに限定されるものではなく、例えば、任意の空間の間仕切りとして利用することができる。
【0025】
フレキシブルドア10は、両側部に係合溝12を有する複数のパネル部材14と、係合溝12に回動可能な状態で係合する係合部16を両側部に有し、複数のパネル部材14を連結する連結部材18とを備える。
【0026】
本発明のフレキシブルドア10によれば、パネル部材14の両側部に形成された係合溝12に、連結部材18の両側部に形成された係合部16を回動可能な状態で係合させて複数のパネル部材14を連結することにより、最少のデッドスペースでフレキシブルドア10を折り曲げて移動させることができる。また、パネル部材14同士は、連結部材18により隙間なく連結されるため、フレキシブルドア10を閉めたときにトイレ等の密室空間を確実に形成することができる。さらに、パネル部材14と連結部材18との着脱が容易なため、フレキシブルドア10の組み立てやパネル部材14又は連結部材18の交換に要する時間を大幅に短縮することができる。
【0027】
本発明のフレキシブルドア10において、係合部16は、断面が円形の中実又は中空の形状である。また、連結部材18は、係合部16間に凸部62、70が形成される。また、係合溝12は、円形の係合部16の直径D2よりも小さい幅W1の開口部28を有し、連結部材18は、係合部16が開口部28を介して係合溝12に係合される。
【0028】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で変更することが可能である。
【符号の説明】
【0029】
10…フレキシブルドア
12、37、43、49…係合溝
14、32、38、44…パネル部材
16、36、42、48、54、60、68…係合部
18、50、56、64…連結部材
20…上部ガイドレール
22、26…ローラ
24…下部ガイドレール
28…開口部
30、52、58、66…連結部
34、40、46…パネル本体
41、47、62、70…凸部
72…トイレ
【要約】
【課題】ドアの移動の際のデッドスペースを最少にできるとともに、閉塞時において確実に密室空間を形成することができ、また、ドアの組み立てやパネル部材の交換に要する時間を大幅に短縮することのできるフレキシブルドアを提供する。
【解決手段】本発明は、フレキシブルドアに関するものであり、両側部に係合溝12を有する複数のパネル部材14と、係合溝12に回動可能な状態で係合する係合部16を両側部に有し、複数のパネル部材14を連結する連結部材18とを備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8