IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 井上商事株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-外構床落下防止装置 図1
  • 特許-外構床落下防止装置 図2
  • 特許-外構床落下防止装置 図3
  • 特許-外構床落下防止装置 図4
  • 特許-外構床落下防止装置 図5
  • 特許-外構床落下防止装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-13
(45)【発行日】2023-07-24
(54)【発明の名称】外構床落下防止装置
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/68 20060101AFI20230714BHJP
【FI】
E04B1/68 100A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023018385
(22)【出願日】2023-02-09
【審査請求日】2023-02-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592131663
【氏名又は名称】井上商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】井上 繁
(72)【発明者】
【氏名】正津 弘喜
【審査官】齋藤 卓司
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-023667(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/62-1/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
躯体に隣接しかつ外構床で覆われた免震溝に配置される外構床落下防止装置であって、
前記躯体の側に位置する第1溝側面から離間するように、前記躯体とは反対側に位置する前記免震溝の第2溝側面に配置され、変形可能かつ前記外構床を支持可能な可変構造体と、
弾性力により、変形した前記可変構造体を元の形状に復帰させる弾性部材と、を備え
前記可変構造体は、前記第2溝側面に配置されて固定された矩形状の基台と、前記基台から前記第1溝側面に向かって突出するように配置された変形体とを含む略直方体状を有しており、
前記可変構造体が変形するときには、前記変形体のうち前記第1溝側面に最も近い先端部が前記基台に対して側方に移動する外構床落下防止装置。
【請求項2】
前記弾性部材は、前記変形体の内部を通らない態様で、前記変形体の前記先端部と前記基台とに亘って架け渡されている請求項に記載の外構床落下防止装置。
【請求項3】
前記弾性部材は、前記基台と前記変形体とに係止する態様で、前記変形体のうち前記基台に最も近い部位に取付けられたトーションバネである請求項に記載の外構床落下防止装置。
【請求項4】
前記変形体の過度の復帰を防止するストッパを更に備え、
前記ストッパは、前記変形体の内部を通る態様で、前記変形体の前記先端部と前記基台若しくは前記変形体のうち前記基台に最も近い部位とに亘って架け渡されている請求項2又は3に記載の外構床落下防止装置。
【請求項5】
前記変形体の前記先端部には、前記第1溝側面に向かって突出し、鉛直方向に沿う回転軸を有する回転体が配置されている請求項に記載の外構床落下防止装置。
【請求項6】
前記変形体と前記外構床との間に配置されたカバー体を更に備え、
前記カバー体は、一端が前記基台に固定され、前記第2溝側面から前記第1溝側面に向かって、隣接するものが互いに連結された態様で並設された複数の板状部材からなる請求項に記載の外構床落下防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外構床落下防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
免震構造の建物が建築された場合、建物側と外部側の間の地面に、建物の全周に亘って、免震による建物の最大変動幅が考慮された免震溝が設けられることがある。その場合、免震溝を跨いで塞ぐように、エキスパンションジョイントの外構床が設置される。免震溝にエキスパンションジョイントの外構床を設置することにより、地震発生時に建物が横揺れにより水平方向に移動して免震溝の幅が広がったり狭まったりしたときに、外構床が建物と一体となって変位することにより、免震溝が外構床で塞がれた状態を維持することができる。
【0003】
特許文献1においては、エキスパンションジョイントに用いられるパネル干渉緩和装置が開示されている。該パネル干渉緩和装置においては、建物側に固定されて外部側に延出した外構床(特許文献1においてはパネル)が、免震溝(特許文献1においてはクリアランススペース)を塞ぐように配置されている。地震が発生して免震溝の幅が狭くなったときには、外構床が傾斜係止部をせり上がり台座下部モルタルより上のパネル周辺モルタルに乗り上げる。また、地震が発生して免震溝の幅が広くなったときには、外構床が台座下部モルタルに支持された状態で摺動する。
【0004】
地震が発生したときにおける建物の最大移動量(免震溝の最大変動幅)は、平常時に対して、例えば±600mmであることが規定されており、この範囲内で外構床が破損することなく免震溝を塞いだ状態を維持することが求められている。したがって、この場合、外構床が変動幅方向で600mmを超えて台座下部モルタルに支持される必要がある。もし支持幅が600mm以下であると、地震が発生して免震溝の幅が平常時より600mm広くなったときに、外構床が免震溝に落下してしまうからである。また、免震構造の建物に隣り合って別の建物や塀等の障害物がある場合、外構床の先端から障害物までの距離が600mm以上である必要がある。もし600mm未満であると、地震が発生して免震溝の幅が平常時より600mm狭くなったときに、パネル周辺モルタルに乗り上げた外構床が障害物に衝突して破損するからである。このように、台座下部モルタルによる外構床の支持幅が600mmを超え、かつ外構床の先端から障害物までの距離が600mm以上であれば、地震が発生して免震溝の幅が変化した場合でも、外構床が免震溝に落下することも破損することもなく、免震溝を塞いだ状態が維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-147912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
仮に、外構床の先端から障害物までの距離が600mm以上確保できず、例えば300mmしか確保できない場合、台座下部モルタルによる外構床の支持幅が600mmを超える構成であれば、地震が発生して免震溝の幅が平常時より600mm広くなったときでも外構床は免震溝に落下しない。しかし、地震が発生して免震溝の幅が平常時より300mm以上狭くなると、パネル周辺モルタルに乗り上げた外構床が障害物に衝突して破損するおそれがある。
【0007】
これに対し、台座下部モルタルによる外構床の支持幅を300mm以下にすると、外構床の先端から障害物までの距離が600mm以上になるので、地震が発生して免震溝の幅が平常時より600mm狭くなったときでも、外構床が障害物に衝突して破損するおそれはない。しかし、地震が発生して免震溝の幅が平常時より300mm以上広くなったときには、外構床が免震溝に落下してしまう。このように、外構床の先端から障害物までの距離を600mm以上確保するために台座下部モルタルによる外構床の支持幅を600mm以下にした場合、外構床の免震溝への落下を防止するために、更なる改良の余地がある。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、免震構造の躯体に近接して障害物があった場合でも、地震が発生したときに、外構床が破損することなく免震溝を塞いだ状態を維持することができる外構床落下防止装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る外構床落下防止装置の一つの実施形態は、躯体に隣接しかつ外構床で覆われた免震溝に配置される外構床落下防止装置であって、前記躯体の側に位置する第1溝側面から離間するように、前記躯体とは反対側に位置する前記免震溝の第2溝側面に配置され、変形可能かつ前記外構床を支持可能な可変構造体と、弾性力により、変形した前記可変構造体を元の形状に復帰させる弾性部材と、を備えている。
【0010】
本実施形態によると、外構床落下防止装置は、躯体の側に位置する第1溝側面から離間するように、躯体とは反対側に位置する免震溝の第2溝側面に配置され、変形可能かつ外構床を支持可能な可変構造体を備えている。そのため、地震が発生して免震溝の幅が狭くなって第1溝側面が外構床落下防止装置に当接したときでも、可変構造体が変形するので免震溝の幅の変化に対応することができる。また、外構床落下防止装置は、変形した可変構造体を元の形状に復帰させる弾性部材を備えているので、免震溝の幅が狭くなった後に広くなった場合でも、弾性部材の弾性力により可変構造体を元の形状に復帰させることができる。
【0011】
本発明に係る外構床落下防止装置の他の一つの実施形態において、前記可変構造体は、前記第2溝側面に配置されて固定された矩形状の基台と、前記基台から前記第1溝側面に向かって突出するように配置された変形体とを含む略直方体状を有しており、前記可変構造体が変形するときには、前記変形体のうち前記第1溝側面に最も近い先端部が前記基台に対して側方に移動する。
【0012】
通常、免震溝は躯体の全周に亘って所定の溝深さで形成されている。本実施形態によると、可変構造体が変形するときには、変形体のうち第1溝側面に最も近い先端部が基台に対して側方に移動するので、変形体の変形前と変形後とでは、外構床落下防止装置の溝深さ方向に沿う長さは変わらない。したがって、可動構造体の変形を考慮して免震溝の溝深さを深くする必要がない。
【0013】
本発明に係る外構床落下防止装置の他の一つの実施形態において、前記弾性部材は、前記変形体の内部を通らない態様で、前記変形体の前記先端部と前記基台とに亘って架け渡されている。
【0014】
本実施形態によると、弾性部材が変形体の内部を通らない態様で架け渡されているので、変形体の構成の自由度が高まる。また、弾性部材が変形体の先端部と基台とに亘って架け渡されているので、変形体を確実に元の形状に復帰させることができる。
【0015】
本発明に係る外構床落下防止装置の一つの実施形態は、前記弾性部材は、前記基台と前記変形体とに係止する態様で、前記変形体のうち前記基台に最も近い部位に取付けられたトーションバネである。
【0016】
本実施形態によると、弾性部材が、基台と変形体とに係止する態様で、変形体のうち基台に最も近い部位に取付けられたトーションバネであるため、弾性部材を取付けるスペースを削減しつつ、変形体を元の形状に確実に復帰させることができる。
【0017】
本発明に係る外構床落下防止装置の他の一つの実施形態において、前記変形体の過度の復帰を防止するストッパを更に備え、前記ストッパは、前記変形体の内部を通る態様で、前記変形体の前記先端部と前記基台若しくは前記変形体のうち前記基台に最も近い部位とに亘って架け渡されている。
【0018】
本実施形態によると、ストッパを備えることにより、弾性部材の復帰により変形体の過度の復帰力が作用した場合でも、過度に復帰して変形体が初期の形状に戻らなくなるおそれがなく、確実に初期の形状に戻すことができる。
【0019】
本発明に係る外構床落下防止装置の他の一つの実施形態において、前記変形体の前記先端部には、前記第1溝側面に向かって突出し、鉛直方向に沿う回転軸を有する回転体が配置されている。
【0020】
本実施形態によると、変形体の先端部には、第1溝側面に向かって突出する回転体が配置されているので、地震が発生して免震溝の幅が狭くなっときに、第1溝側面は外構床落下防止装置の回転体に最初に当接する。回転体は鉛直方向に沿う回転軸を有しているので、第1溝側面を回転しつつ転がるので、先端部をスムーズに側方に移動させることができる。
【0021】
本発明に係る外構床落下防止装置の他の一つの実施形態において、前記変形体と前記外構床との間に配置されたカバー体を更に備え、前記カバー体は、一端が前記基台に固定され、前記第2溝側面から前記第1溝側面に向かって、隣接するものが互いに連結された態様で並設された複数の板状部材からなる。
【0022】
本実施形態によると、変形体と外構床との間にカバー体が配置されているので、地震が発生して免震溝の幅が広くなったときでも、外構床はカバー体に支持されるので、外構床が免震溝に落下するおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施形態に係る外構床落下防止装置の使用状態を表す断面図である。
図2】外構床落下防止装置の構成を表す斜視図である。
図3】外構床落下防止装置の平常時の姿勢を表す図である。
図4】免震溝が狭くなったときの外構床落下防止装置の姿勢を表す図である。
図5】本実施形態の変形例に係る外構床落下防止装置の平常時の姿勢を表す図である。
図6】別実施形態に係る外構床落下防止装置の構成を表す部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る外構床落下防止装置の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に記載される実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施形態にのみ限定するものではない。したがって、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。
【0025】
〔外構床落下防止装置の構成〕
外構床落下防止装置Aは、図1に示されるように、免震装置(不図示)を備えた免震構造を有する第1躯体1(躯体の一例)と第2躯体2との間に形成された断面が矩形状の免震溝3に配置されている。免震溝3は第1躯体1の全周に亘って形成されている。地震が発生していないとき(以下、単に「平常時」ともいう)における免震溝3の幅W(第1躯体1と第2躯体2との間隔)は、例えば800mmである。以降、重力方法を鉛直方法、鉛直方向に直交する方向を水平方向ともいう。なお、本実施形態では、特に断りがない限り、「上」は鉛直方向に沿った上方向及び相対的な上側を意味し、「下」は鉛直方向に沿った下方向及び相対的な下側を意味するものとする。
【0026】
免震溝3は、第1躯体1と第2躯体2との間に架け渡された外構床4により覆われている。外構床4の第1躯体1側の端部は第1躯体1に固定されており、第2躯体2側の端部は第2躯体2の窪み2b上に載置されており固定はされていない。すなわち、外構床4の第2躯体2側は窪み2b上を摺動することができる。
【0027】
平常時には、外構床4の第2躯体2側の先端4bは第2躯体2の窪み2b内に位置しているため、外構床4は窪み2bに支持されると共に、免震溝3の全体が外構床4に覆われている。また、このとき、第1躯体1の表面1a、外構床4の表面4a、及び第2躯体2の表面2aは全体として面一になっている。
【0028】
平常時における外構床4の先端4bから第2躯体2の壁や塀等の障害物2cまでの長さW1は、地震が発生したときに免震溝3の幅Wが狭くなる方向への第1躯体1の最大移動量(例えば600mm)よりも大きい。また、平常時において外構床4が窪み2bと当接している当接長さW2は、地震が発生したときに免震溝3の幅Wが広くなる方向への第1躯体1の最大移動量(例えば600mm)よりも小さい。以下では、地震が発生したときの第1躯体1の最大移動量(免震溝3の最大変動幅)の平常時に対する規定値が、±600mmであるとして説明する。±600mmとは、地震が発生したときに、平常時の幅Wに対して第1躯体1が第2躯体2に600mm近づいたり、第2躯体2から600mm離れたりすることを意味する。
【0029】
外構床落下防止装置Aは、免震溝3の第2躯体2側の第2溝側面3bに配置され、第1躯体1側に向けて突出している。平常時は、外構床落下防止装置Aと免震溝3の第1躯体1側の第1溝側面3aとは互いに離間している。以下、外構床落下防止装置Aの詳細な構造について説明する。
【0030】
外構床落下防止装置Aは、図2に示されるように、基台11と変形体20とを含む略直方体状の可変構造体10と、可変構造体10に架け渡された引張ばね30(弾性部材の一例)とを備えている。
【0031】
可変構造体10の基台11は、全体として矩形状を有し、第2溝側面3bに配置されて固定されている。基台11は鉄等の金属からなる。基台11は、鉛直方向に延出する複数(本実施形態では三本)の第1固定部材11aと、第1固定部材11aに取付けられ水平方向に延出する複数(本実施形態では三本)の第2固定部材11bと、第2固定部材11bに対して第1固定部材11aと反対側で第2固定部材11bに取付けられ鉛直方向に延出する複数(本実施形態では二本)の支持部材11cとを含んで構成されている。複数の第1固定部材11aは、断面がU字状であり、互いに平行かつ離間して第2溝側面3bに取付けられて固定されている。第2固定部材11bは、断面が矩形状であり、互いに平行かつ複数の第1固定部材11aの全体に亘るように離間して取付けられている。本実施形態において、二本の支持部材11cは、それぞれ隣り合う第1固定部材11aの間に取付けられている。第2固定部材11bと支持部材11cとにより、後述するフレーム枠21の基端部材21aを内部に収容可能な正方形状断面の空間が形成されている。
【0032】
変形体20は、複数(本実施形態においては二つ)のフレーム枠21と、二つのフレーム枠21を連結する第1連結部材22(先端部の一例)及び第2連結部材23(先端部の一例)と、回転体24とを含んで構成されている。二つのフレーム枠21は、二本の支持部材11cにそれぞれ支持されている。以下、二つのフレーム枠21を区別する必要があるときは、第1フレーム枠211、第2フレーム枠212と称する。図2においては、説明の関係で、第1連結部材22と第2連結部材23とは二点鎖線で図示されている。
【0033】
フレーム枠21は、棒状の基端部材21a、先端部材21b(先端部の一例)、及び二本(一対)の水平部材21cを組合わせた矩形状の枠体として構成されている。基端部材21aは延出方向に垂直な方向の断面が円形状の円棒若しくは円管であり、水平部材21cは延出方向に垂直な方向の断面が矩形の板状である。基端部材21aは、第2固定部材11bと支持部材11cとにより形成される断面矩形状の空間内に収容され、基端部材21aの中心軸Xを中心として基台11に対して回転可能である。
【0034】
一対の水平部材21cは、それぞれの一方の端部が支持部材11cを上下から挟むように基端部材21aの両端部に接続されている。一対の水平部材21cは、基端部材21aに対して溶接等の方法により固定されている。すなわち、一対の水平部材21cは、基端部材21aが基台11に対して回転するときには、基端部材21aと一体となって回転する。
【0035】
一対の水平部材21cのそれぞれの他方の端部は、上下から先端部材21bを挟むようにして先端部材21bに接続されている。先端部材21bは、外側部材21b1(先端部の一例)と内側部材21b2(先端部の一例)とから構成されている。外側部材21b1は延出方向に垂直な方向の断面が円形状の円管であり、内側部材21b2は延出方向に垂直な方向の断面が円形状の円棒若しくは円管である。先端部材21bは、外側部材21b1の管内に内側部材21b2が挿入されて構成されている。すなわち、内側部材21b2は、外側部材21b1に対して回転自在となる状態で、外側部材21b1に収容されている。
【0036】
内側部材21b2の延出方向の両端は、それぞれ溶接等の方法により水平部材21cに固定されている。一方、外側部材21b1は、水平部材21cに対して固定されておらず、水平部材21c及び内側部材21b2に対して回転自在である。したがって、基端部材21aと、一対の水平部材21cと内側部材21b2とは互いに固定されて一体化されており、基端部材21aが基台11に対して回転するときには、一対の水平部材21cと内側部材21b2とは基端部材21aと一体となって回転する。このとき、先端部材21bの外側部材21b1は、一対の水平部材21cに対して回転可能に接続されている。
【0037】
二つのフレーム枠21のそれぞれの先端部材21bの間に、棒状の第1連結部材22が架け渡されている。本実施形態で第1連結部材22は、延出方向に垂直な方向の断面が円形状の円管である。第1連結部材22は、二本の先端部材21bの外側部材21b1の上側の端部近傍にそれぞれ配置された支持板22aにより支持されており、第1連結部材22と二つの支持板22aとは、二本の外側部材21b1に対して溶接等の方法により固定されている。第1連結部材22の延出方向の長さは、二つのフレーム枠21の間隔(第1フレーム枠211と第2フレーム枠212との間隔)よりも長い。また、図3の下の図に示されるように、第1連結部材22の側面(外周面)のうち鉛直方向の最も上側に位置する箇所は、上側の水平部材21cの上面と鉛直方向で同じ位置若しくはそれより低い位置にある。さらに、支持板22aのうち最も第1溝側面3aに近いところに位置する箇所は、第1連結部材22の側面(外周面)のうち最も第1溝側面3aに近いところに位置する箇所よりも第2溝側面3bの側に位置している。
【0038】
二つのフレーム枠21のそれぞれの先端部材21bの間に、棒状の第2連結部材23が架け渡されている。第2連結部材23は第1連結部材22に対して下方に配置されている。本実施形態で第2連結部材23は、延出方向に垂直な方向の断面が矩形の板状である。第2連結部材23は、二本の先端部材21bの外側部材21b1の下側の端部近傍にそれぞれ配置された支持板23aにより支持されており、第2連結部材23と二つの支持板23aとは、二本の外側部材21b1に対して溶接等の方法により固定されている。第2連結部材23の延出方向の長さは第1連結部材22と同じであり、二つのフレーム枠21の間隔よりも長い。このように、互いに離間して配置されている第1フレーム枠211と第2フレーム枠212とは、第1連結部材22及び第2連結部材23を介して接続されており、第1フレーム枠211と第2フレーム枠212は連動する。
【0039】
第2連結部材23は、一対の回転体24を保持している。回転体24は、円板形状のローラ24aとローラ24aを支持する支持板24bとを有している。支持板24bは、一端が第2連結部材23の側面のうち第1溝側面3aに対向する側面に溶接等の方法により固定されており、第1溝側面3aに向かうように第2連結部材23から突出している。ローラ24aは、回転軸が鉛直方向と平行になる姿勢で、支持板24bの第1溝側面3a側の端部に、支持板24bに対して回転自在に取付けられている。一対の回転体24は、第1フレーム枠211と第2フレーム枠212の近傍に配置されている。すなわち、一対の回転体24は互いに離間して配置されている。ローラ24aの側面のうち最も第1溝側面3aに近いところに位置する箇所は、第1連結部材22の側面のうち最も第1溝側面3aに近いところに位置する箇所よりも第1溝側面3aに近い。すなわち、第1連結部材22よりも回転体24の方が、第1溝側面3aに向けてより突出している。
【0040】
本実施形態の外構床落下防止装置Aの可変構造体10においては、図2に示されるように、変形体20の第1フレーム枠211の先端部材21bの外側部材21b1と基台11の第1固定部材11aとに亘って二本の引張ばね30が架け渡されている。具体的には、引張ばね30は両端にフックを有しており、一端のフックは、第1フレーム枠211の外側部材21b1に溶接等の方法により固定された係止板30aに形成された貫通孔に引っ掛けられている。引張ばね30の他端のフックは、第1フレーム枠211よりも外側(第2フレーム枠212と反対側)にある第1固定部材11aに形成された貫通孔に引っ掛けられている。すなわち、引張ばね30は、変形体20の内部を通らない態様で架け渡されている。変形体20の内部とは、基台11、二つのフレーム枠21、第1連結部材22、及び第2連結部材23で区画される閉空間である。
【0041】
また、変形体20の第1フレーム枠211の先端部材21bの外側部材21b1と基台11の支持部材11cとに亘って二本のワイヤロープ35(ストッパの一例)が架け渡されている。具体的には、ワイヤロープ35は両端にフックを有しており、一端のフックは、第1フレーム枠211の外側部材21b1に溶接等の方法により固定された係止板30aに形成された貫通孔に引っ掛けられている。つまり、外側部材21b1に固定された係止板30aには、引張ばね30とワイヤロープ35とが引っ掛けられている。ワイヤロープ35の他端のフックは、第1フレーム枠211に対して引張ばね30が架け渡された側と反対側にある支持部材11cに形成された貫通孔に引っ掛けられている。すなわち、ワイヤロープ35は、変形体20の内部を通る態様で架け渡されている。ワイヤロープ35はSUS等により構成され、引っ張り力が加えられた時の伸びが少なく、高強度かつ可撓性があるものが好ましい。
【0042】
図2においては、説明の都合上ワイヤロープ35を図示しているが、基台11と変形体20とを含む可変構造体10が略直方体状の姿勢になるのは、ワイヤロープ35が架け渡されていないときである。ワイヤロープ35が架け渡されていないときには、鉛直方向視で、基台11、二つのフレーム枠21、第1連結部材22を矩形状にすることができる。ワイヤロープ35が架け渡された状態では、ワイヤロープ35が最も張られた平常時の状態でも、図3の上の図に示されるように、鉛直方向視で、基台11、二つのフレーム枠21、第1連結部材22が平行四辺形状になる。このとき、第1フレーム枠211と基台11(第2固定部材11b)とのなす角度θが鋭角になり、ワイヤロープ35は平行四辺形の短い方の対角線の長さと同等の長さになる。また、このとき、引張ばね30は自然長よりも若干伸長している。すなわち、引張ばね30が架け渡された側のフレーム枠21(本実施形態では第1フレーム枠211)の先端部材21bが、鉛直方向視で、基台11の二本の支持部材11cの間に位置するように、ワイヤロープ35で引張っられている。
【0043】
図1図3図4に示されるように、二つのフレーム枠21のそれぞれの鉛直方向の上側にある水平部材21cの上には、カバー体40が配置されている。カバー体40は水平部材21cの上に載置されているだけであり、水平部材21cに固定されているのではない。カバー体40は、並設された複数の板状部材40aを有し、隣接する板状部材40aが連結体40bにより互いに連結されて一体化されている。隣接する板状部材40aは、連結体40bを軸にして互いに回動可能に接続されている。カバー体40は、一端が基台11に固定され、かつ複数の板状部材40aのそれぞれの延出方向が第2溝側面3bに平行になるように配置されている。カバー体40は、基台11から第1連結部材22に向かうように、すなわち第2溝側面3bから第1溝側面3aに向かうように配置されている。カバー体40の他端は、第1連結部材22よりも第1溝側面3aの側に突出している(図3の下の図参照)。外構床落下防止装置Aが第2溝側面3bに配置された状態で、カバー体40の上面40cが第2躯体2の窪み2bと面一になっており、上面40cと窪み2bとの境界は隙間なく滑らかに繋がっている(図1も参照)。
【0044】
図1の外構床落下防止装置Aは、図3の上の図に示されるものと同様、ワイヤロープ35が架け渡された状態を示している。図3に示される外構床落下防止装置Aの姿勢が、平常時の姿勢である。この状態で、窪み2bと当接している外構床4の先端4bからフレーム枠21の水平部材21cの第1溝側面3a側の端部までの長さW3は、地震が発生したときに免震溝3の幅Wが広くなる方向への第1躯体1の最大移動量(例えば600mm)よりも大きい。
【0045】
〔外構床落下防止装置の作動〕
次に、地震が発生したときの外構床落下防止装置Aの作動について説明する。図1及び図3は、平常時における外構床落下防止装置Aの姿勢を示している。上述したように、外構床落下防止装置Aと外構床4を配置した状態で、外構床4の先端4bから第2躯体2の壁や塀等の障害物2cまでの長さW1は、地震が発生したときに免震溝3の幅Wが平常時より狭くなる方向への第1躯体1の最大移動量(規定値600mm)よりも大きくなっている。また、外構床4が窪み2bと当接している当接長さW2は、地震が発生したときに免震溝3の幅Wが広くなる方向への第1躯体1の最大移動量(規定値600mm)よりも小さくなっており、窪み2bと当接している外構床4の先端4bからフレーム枠21の水平部材21cの第1溝側面3a側の端部までの長さW3は、地震が発生したときに免震溝3の幅Wが平常時より広くなる方向への第1躯体1の最大移動量(規定値600mm)よりも大きくなっている。
【0046】
地震が発生して、免震溝3の幅Wが平常時より狭くなったとき、すなわち第1躯体1が第2躯体2に近づく方向に移動したときの外構床落下防止装置Aの状態を図4に示す。第1躯体1が第2躯体2に近づく(図1においては左方に移動)と、第1溝側面3aは、最初に外構床落下防止装置Aの可変構造体10の回転体24のローラ24aに当接する。第1躯体1とローラ24aとが当接した状態で、第1躯体1と第1連結部材22との間には、板状部材40aが入り込むことが可能な程度の隙間がある。そして、第1躯体1が第2躯体2に更に近づくと、変形体20の先端部材21b、第1連結部材22、第2連結部材23が基台11(第2溝側面3b)に近づきながら基台11に対して側方(図3図4の上の図では上方)に移動する。以下、変形体20の先端部材21b、第1連結部材22、第2連結部材23をまとめて先端部Bと称する。具体的には、一体化された基端部材21a、一対の水平部材21c、及び先端部材21bの内側部材21b2が、基端部材21aの中心軸Xを中心として基台11に対して回転することにより、先端部B(先端部材21b)が基台11に近づきつつ側方に移動する。ただし、先端部材21bの外側部材21b1は、水平部材21cに固定されていないので、外側部材21b1とこれに固定された第1連結部材22及び第2連結部材23は、先端部Bと一体となって回転することなく、第1溝側面3aと平行に対向した状態を維持したまま側方に移動する。
【0047】
このとき、第2連結部材23に固定された回転体24のローラ24aが第1溝側面3aを回転しつつ転がるので、先端部Bはスムーズに側方に移動する。先端部B(先端部材21b)が基台11に対して側方に移動することにより、基台11と先端部Bの先端部材21bとの間隔は平常時(図3参照)に比べて小さくなる。そして、このとき、第1フレーム枠211の先端部材21bと引張ばね30が架け渡された基台11の第1固定部材11aとの距離が平常時よりも長くなるので、引張ばね30は弾性変形して伸長する(図4の上の図参照)。また、第1フレーム枠211の先端部材21bとワイヤロープ35が架け渡された基台11の支持部材11cとの距離が平常時よりも短くなるので、ワイヤロープ35は緩む(図4の下の図参照)。
【0048】
また、基台11に対して先端部Bの先端部材21bが近づくことに伴い、カバー体40を構成する板状部材40aの一部が水平部材21cに支持されなくなるので、水平部材21cにより支持されなくなった板状部材40aは連結体40bを中心に回動して第1連結部材22と第1溝側面3aとの隙間に入り込む。ただし、入り込んだ板状部材40aも、連結体40bとの連結は維持されているので、カバー体40の一体化は維持されている(図4の下の図参照)。なお、支持板22aのうち最も第1溝側面3aに近いところに位置する箇所は、第1連結部材22の側面(外周面)のうち最も第1溝側面3aに近いところに位置する箇所よりも第2溝側面3bの側に位置しているので、支持板22aが隙間に入り込んだ板状部材40aと接触することはない。また、本実施形態に係る外構床落下防止装置Aにおいて、基台11と先端部Bとの間隔は、平常時に対して600mm以上接近することが可能になるように設定されている。
【0049】
上述したように、外構床4の先端4bから第2躯体2の壁や塀等の障害物2cまでの長さW1は、600mmよりも大きい(図1参照)。このため、第1躯体1が免震溝3の幅Wが、平常時より600mm狭くなったとしても、外構床4が障害物2cに衝突することはない。
【0050】
図4に示された状態から第1躯体1が第2躯体2から遠ざかる方向に移動すると、外構床落下防止装置Aの変形体20においては、引張ばね30が弾性変形から復帰する力により、平常時の姿勢(図3参照)に戻ろうとする。具体的には、基台11と先端部Bの先端部材21bとの間隔が広がると共に、先端部Bが基端部材21aの中心軸Xを中心として基台11に対して回転することにより、先端部Bが側方(図3図4の上の図では下方)に移動する。このとき、回転体24のローラ24aは、第1溝側面3aに当接した状態を維持し、第1溝側面3aを回転しつつ転がる。また、緩んでいたワイヤロープ35は第1フレーム枠211の先端部材21bに引っ張られて緩みが解消していく。さらに、カバー体40うち第1連結部材22と第1溝側面3aとの間に入り込んでいた板状部材40aは、鉛直上方に引き上げられ水平部材21cに支持されるようになる。
【0051】
そして、ワイヤロープ35の緩みがなくなり完全に張られた状態(図3の上の図参照)になると、ワイヤロープ35はそれ以上伸びないので、外構床落下防止装置Aの変形体20における基台11と先端部Bの先端部材21bとの間隔はそれ以上広がらず、先端部Bの側方への移動も終了する。すなわち、外構床落下防止装置Aは平常時の姿勢に復帰する。
【0052】
そして、外構床落下防止装置Aが平常時の姿勢に戻った後も、第1躯体1が第2躯体2から遠ざかる方向に移動すると、第1溝側面3aは回転体24のローラ24aから離間する(図3参照)。
【0053】
次に、地震が発生して、免震溝3の幅Wが平常時より600mm広くなったとき、すなわち第1躯体1が第2躯体2から遠ざかる方向に600mm移動したときの外構床落下防止装置Aの動きについて説明する。第1躯体1が第2躯体2から遠ざかる(図1においては右方に移動)と、第1躯体1に固定された外構床4は、第1躯体1と共に第2躯体2から遠ざかる方向に移動する。すなわち、図1において、外構床4は第2躯体2の窪み2bを摺動しつつ右方に移動する。上述したように、平常時において外構床4が窪み2bと当接している当接長さW2は600mmよりも小さいので、第1躯体1が第2躯体2から600mm以上遠ざかった時点で、第2躯体2の窪み2bは外構床4を支持することができない。
【0054】
しかし、上述したように、外構床落下防止装置Aが第2溝側面3bに配置された状態で、カバー体40の上面40cが第2躯体2の窪み2bと面一になっており、上面40cと窪み2bとの境界は隙間なく滑らかに繋がっている。そのため、免震溝3の幅Wが平常時より600mm広がる過程で外構床4が第2躯体2の窪み2bに支持されなくなったとしても、外構床4はカバー体40により支持される。平常時において、外構床4の先端4bからフレーム枠21の水平部材21cの第1溝側面3a側の端部までの長さW3は、600mmよりも大きくなっているので、地震が発生して免震溝3の幅Wが平常時より600mm広くなった場合でも、外構床4は少なくとも水平部材21cに支持される。このため、地震が発生して免震溝3の幅Wが平常時より600mm広くなっても、外構床4が免震溝3に落下することはない。
【0055】
〔本実施形態の変形例〕
上記実施形態においては、一つの可変構造体10に一つのカバー体40を組合わせて外構床落下防止装置Aを構成していた。本変形例においては、図5に示されるように、複数(本変形例では二つ)の可変構造体10に一つのカバー体40を組合わせて外構床落下防止装置Aを構成している。このように、免震溝3の長さに応じてカバー体40の長さを設定し、最適な数の可変構造体10を用いて外構床落下防止装置Aを構成することができる。
【0056】
〔別実施形態〕
次に、別実施形態に係る外構床落下防止装置Aについて図6を用いて説明する。本実施形態においては、弾性部材として引張ばね30の代わりにトーションばね32を用いている点だけが異なり、他の構成は上記実施形態と同じである。したがって、上記実施形態と同じ構成については詳細な説明を省略する。
【0057】
本実施形態においては、変形体20のうち基台11に最も近い部位である、第1フレーム枠211の基端部材21aにトーションばね32を外嵌した上で、基台11の第2固定部材11bと支持部材11cとにより形成される空間にトーションばね32付きの基端部材21aを収容している。そして、変形体20が図3の姿勢でねじりトルクが発生しないか若干発生し、図4の姿勢のときにねじりトルクが大きく発生するように、トーションばね32の一端を基台11に係止し、他端を変形体20に係止する。
【0058】
このようにトーションばね32を用いて外構床落下防止装置Aを構成しても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0059】
〔その他の実施形態〕
本発明は、上記の実施形態以外に以下のように構成してもよい(実施形態と同じ機能を有するものには、実施形態と共通の番号、符号を付している)。
【0060】
(1)上記実施形態において、基端部材21aは第2固定部材11bと支持部材11cとにより形成される空間に回転自在に収容されており、一対の水平部材21cは、基端部材21aに固定されていたが、これに限られるものではない。例えば、基端部材21aが第2固定部材11bと支持部材11cとにより形成される空間に固定されて収容されており、一対の水平部材21cが、基端部材21aに対して回転自在に接続されていてもよい。支持部材11cが、基台11に対して、第2固定部材11bと支持部材11cとにより形成される空間の上下方向の軸(基端部材21aの中心軸X)を中心に回転可能に支持されていればよい。
【0061】
(2)基台11の構成は、第1固定部材11a、第2固定部材11b、及び支持部材11cを組合わせたものに限られず、また、第1固定部材11a、第2固定部材11b、及び支持部材11cの断面形状に限られるものではない。地震発生時においても変形体20を保持できるのであれば、基台の構成や構成部材の断面形状は、任意の形状を採ることができる。
【0062】
(3)フレーム枠21の基端部材21aを除いて、変形体20を構成する各部材の延出方向垂直な断面形状は上記実施形態の形状に限られない。外構床落下防止装置Aの作動を妨げない限度において任意の形状を採ることができる。
【0063】
(4)引張ばね30は係止板30aにではなく、直接先端部材21bに架け渡すように構成してもよい。
【0064】
(5)上記実施形態において、回転体24の支持板24bは、第2連結部材23に固定されていたが、先端部材21bの外側部材21b1に固定されるように構成してもよい。
【0065】
(6)引張ばね30の本数は、変形体20の復帰に必要な復帰力が得られるのであれば、一本でも三本以上であってもよい。
【0066】
(7)ワイヤロープ35の本数も、変形体20の過度の復帰を防止できるのであれば、一本でも三本以上であってもよい。
【0067】
(8)上記実施形態では、引張ばね30とワイヤロープ35は共に一つの係止板30aに係止されていたが、引張ばね30とワイヤロープ35とでそれぞれ異なる係止板を設けて係止するように構成してもよい。
【0068】
(9)上記実施形態では、ワイヤロープ35の他端は、支持部材11cに架け渡されていたが、支持部材11cの代わりに第2固定部材11bであってもよい。また、ワイヤロープ35の他端は、変形体20の過度の復帰を防止することができるのであれば、変形体20の基端部材21a若しくは水平部材21cの基台11に最も近い部位に架け渡されるように構成してもよい。
【0069】
(10)引張ばね30による変形体20の過度の復帰を確実に防止できるのであれば、ワイヤロープ35は無くてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、外構床落下防止装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 :第1躯体(躯体)
3 :免震溝
3a :第1溝側面
3b :第2溝側面
4 :外構床
10 :可変構造体
11 :基台
20 :変形体
21b :先端部材(先端部)
22 :第1連結部材(先端部)
23 :第2連結部材(先端部)
24 :回転体
30 :引張ばね(弾性部材)
32 :トーションばね(弾性部材)
35 :ワイヤロープ(ストッパ)
40 :カバー体
40a :板状部材
A :外構床落下防止装置
B :先端部

【要約】
【課題】免震構造の躯体に近接して障害物があった場合でも、地震が発生したときに、外構床が破損することなく免震溝を塞いだ状態を維持することができる外構床落下防止装置を提供する。
【解決手段】外構床落下防止装置Aは、躯体1に隣接しかつ外構床で覆われた免震溝3に配置される。外構床落下防止装置Aは、躯体1の側に位置する第1溝側面3aから離間するように、躯体1とは反対側に位置する免震溝3の第2溝側面3bに配置され、変形可能かつ外構床を支持可能な可変構造体10と、弾性力により、変形した可変構造体10を元の形状に復帰させる弾性部材30と、を備えている。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6