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  • 特許-脱液装置及び脱液対象物の脱液方法 図1
  • 特許-脱液装置及び脱液対象物の脱液方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-13
(45)【発行日】2023-07-24
(54)【発明の名称】脱液装置及び脱液対象物の脱液方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 29/17 20060101AFI20230714BHJP
   B01D 29/25 20060101ALI20230714BHJP
   B01D 29/37 20060101ALI20230714BHJP
   B01D 24/00 20060101ALI20230714BHJP
   B01D 29/00 20060101ALI20230714BHJP
   B01D 29/11 20060101ALI20230714BHJP
   B01D 29/50 20060101ALI20230714BHJP
   B30B 9/14 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
B01D29/30 501
B01D29/00 B
B01D29/10 510C
B01D29/10 530D
B01D29/26 A
B30B9/14 H
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023067545
(22)【出願日】2023-04-18
【審査請求日】2023-04-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】598110507
【氏名又は名称】株式会社マシンテック中澤
(74)【代理人】
【識別番号】100121658
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 昌義
(72)【発明者】
【氏名】中澤 誠
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-88896(JP,A)
【文献】特開2019-188345(JP,A)
【文献】特開2010-149094(JP,A)
【文献】登録実用新案第3199693(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 24/00-35/05
B01D 35/10-37/04
C02F 11/00-11/20
B30B 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外筒と、
前記外筒の下面を覆う底部材と、
前記外筒の内側に配置される第一のスリットフィルタと、
前記第一のスリットフィルタの内側に配置される第二のスリットフィルタと、
前記第二のスリットフィルタの内側に配置される第三のスリットフィルタと、
前記第三のスリットフィルタ内に配置される、回転軸及び前記回転軸の周囲に配置された螺旋羽根を備えるスクリューと、を備える脱液装置であって、
前記第三のスリットフィルタは、前記スクリューに脱液対象物の供給路となる間隙を前記底部材近傍において形成しており、
前記第一のスリットフィルタと前記第二のスリットフィルタの間の領域は、脱液対象物の導入路であるとともに前記間隙に接続されている脱液装置。
【請求項2】
前記外筒と前記第一のスリットフィルタの間の領域は、排液路となっており、
前記第二のスリットフィルタと前記第三のスリットフィルタの間の領域も、排液路となっている請求項1記載の脱液装置。
【請求項3】
前記外筒の上面を覆う蓋部材を備える請求項1記載の脱液装置。
【請求項4】
前記スクリューの前記回転軸は、上面側から下面側に行くに従い細くなっている請求項1記載の脱液装置。
【請求項5】
前記スクリューの前記螺旋羽根のピッチは、下面側よりも上面側の方が短くなっている請求項1記載の脱液装置。
【請求項6】
前記スクリューを回転させる動力装置を備える請求項1記載の脱液装置。
【請求項7】
前記スクリューの上面側において脱液ケーキを排出する排出口部材が形成されてなる請求項1記載の脱液装置。
【請求項8】
前記底部材は、テーパー部を備える請求項1記載の脱液装置。
【請求項9】
前記第一のスリットフィルタ、前記第二のスリットフィルタ及び前記第三のスリットフィルタの少なくともいずれかは、微小なスリットを設けながら巻きまわされる細線によって構成される請求項1記載の脱液装置。
【請求項10】
円筒形状の第一のスリットフィルタと、前記第一のスリットフィルタの内側に配置される円筒形状の第二のスリットフィルタの間に脱液対象物を導入し、
前記第二のスリットフィルタの内側に配置される円筒形状の第三のスリットフィルタが下側において形成する間隙から、前記第三のスリットフィルタ内に前記脱液対象物を供給し、
前記第三のスリットフィルタ内に設けられる回転軸及び前記回転軸の周囲に配置された螺旋羽根を備えるスクリューを回転させて前記脱液対象物を脱液して脱液ケーキとして排出する、脱液対象物の脱液方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱液装置及び脱液対象物の脱液方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体と固形物が混合されているスラリー状の物質に対し、液体と固形物を分離する必要がある場合に、固形分と水分を除去するため脱液装置が用いられている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、筒状の濾過面内に、螺旋羽根が形成された回転軸を有するスクリューを設け、この濾過面内にスラリー状の物質を投入し、濾過面から水を排出し、下部から脱水ケーキとして排出するスクリュープレス式脱水装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-88896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
確かに、上記特許文献1に記載の技術はスラリー状の物質に対して脱水させることができる観点において有用であるといえる。しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、脱水能力においてまだ改善の余地があるといえる。
【0006】
そこで、本発明は、より脱液能力を向上させた脱液装置及び脱液方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明の一観点にかかる脱液装置は、外筒と、外筒の下面を覆う底部材と、外筒の内側に配置される第一のスリットフィルタと、第一のスリットフィルタの内側に配置される第二のスリットフィルタと、第二のスリットフィルタの内側に配置される第三のスリットフィルタと、第三のスリットフィルタ内に配置される、回転軸及び回転軸の周囲に配置された螺旋羽根を備えるスクリューと、を備える脱液装置であって、第三のスリットフィルタは、スクリューに脱液対象物の供給路となる間隙を底部材近傍において形成しており、第一のスリットフィルタと第二のスリットフィルタの間の領域は、脱液対象物の導入路であるとともに間隙に接続されているものである。
【0008】
また、本観点において、限定されるわけではないが、外筒と第一のスリットフィルタの間の領域は、排液路となっており、第二のスリットフィルタと第三のスリットフィルタの間の領域も、排液路となっていることが好ましい。
【0009】
また、本観点において、限定されるわけではないが、外筒の上面を覆う蓋部材を備えることが好ましい。
【0010】
また、本観点において、限定されるわけではないが、スクリューの回転軸は、上面側から下面側に行くに従い細くなっていることが好ましい。
【0011】
また、本観点において、限定されるわけではないが、スクリューの螺旋羽根のピッチは、下面側よりも上面側の方が短くなっていることが好ましい。
【0012】
また、本観点において、限定されるわけではないが、スクリューを回転させる動力装置を備えることが好ましい。また、スクリュー軸の下部の支えがあることが好ましい。
【0013】
また、本観点において、限定されるわけではないが、スクリューの上面側において脱液ケーキを排出する排出口部材が形成されてなることが好ましい。
【0014】
また、本観点において、限定されるわけではないが、底部材は、テーパー部を備えることが好ましい。
【0015】
また、本観点において、限定されるわけではないが、第一のスリットフィルタ、第二のスリットフィルタ及び第三のスリットフィルタの少なくともいずれかは、微小なスリットを設けながら巻きまわされる細線によって構成されることが好ましい。
【0016】
また、本発明の他の一観点にかかる脱液対象物の脱液方法は、円筒形状の第一のスリットフィルタと、第一のスリットフィルタの内側に配置される円筒形状の第二のスリットフィルタの間に脱液対象物を導入し、第二のスリットフィルタの内側に配置される円筒形状の第三のスリットフィルタの下側において形成する間隙から、第三のスリットフィルタ内に脱液対象物を供給し、第三のスリットフィルタ内に設けられる回転軸及び回転軸の周囲に配置された螺旋羽根を備えるスクリューを回転させて脱液対象物を脱液して脱液ケーキとして排出するものである。
【発明の効果】
【0017】
以上、本発明によって、より脱液能力を向上させた脱液装置及び脱液方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態に係る脱液装置の概略を示す図である。
図2】実施形態に係る脱液装置の断面の概略を示す図である。
図3】実施形態に係るスリットフィルタの概略を示す図である。
図4】実施形態に係る押出羽根の概略を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、以下に示す実施形態、実施例に記載される例示にのみ限定されるわけではない。
【0020】
図1は、本実施形態にかかる脱液装置(以下「本装置」という。)1の概略を示す図であり、図2は、その断面図である。
【0021】
本図に示すように、本装置1は、外筒2と、外筒2の下面を覆う底部材3と、外筒2の内側に配置される第一のスリットフィルタ4と、第一のスリットフィルタ4の内側に配置される第二のスリットフィルタ5と、第二のスリットフィルタ5の内側に配置される第三のスリットフィルタ6と、第三のスリットフィルタ6内に配置される、回転軸71及び回転軸71の周囲に配置された螺旋羽根72を備えるスクリュー7と、を備える脱液装置であって、第三のスリットフィルタ6は、スクリュー7に脱液対象物Sの供給路となる間隙61を底部材3近傍において形成しており、第一のスリットフィルタ4と第二のスリットフィルタ5の間の領域は、脱液対象物Sの導入路であるとともに間隙61に接続されているものである。
【0022】
本装置1は、上記の構成により、まず外側のフィルタによって挟まれた領域で一次脱液を行い、その後これらフィルタ内に設けられるスクリュー7によって二次脱液を行うことができる。すなわち、多段で連続的に脱液処理が可能となることで、より効率の良い脱液が可能となるといった利点がある。より具体的な説明を以後詳細に行う。
【0023】
まず、本装置1は、上記の通り、脱液対象物Sから液体を分離して脱液ケーキCとすることができる。すなわち本装置1が対象とする「脱液対象物」とは、液体と固形物とが混在する物質である。脱液対象物の具体的な例は特に限定されるわけではないが、土木、食品、化学品等様々な分野で用いることができる。例えば土木分野であれば、工事現場において発生する泥を想定することができる、また、食品分野であれば、野菜や果物等の果汁から果肉と水分を分離する場合を想定することができる。また、化学品分野であれば、化学反応において生じる沈殿物を分離する場合を想定することができる。
【0024】
また、本装置1では、この脱液対象物Sは、外部の脱液対象物収容タンクTに収容され、これが上記第一のスリットフィルタ4及び第二のスリットフィルタ5の間の領域に投入されるようになっている。このように第一のスリットフィルタ4と第二のスリットフィルタ5の間の領域が第一の脱液領域となる。なおこの場合において、上記脱液対象物収容タンクTには、脱液対象物Sに対して加圧するための加圧手段Pが設けられていることが好ましい。加圧手段Pを設けることで加圧供給が可能となり、脱水効率をより高めることができる。加圧手段Pの具体的な構成としては特に限定されるわけではないが、ポンプであることが好ましい。
【0025】
本装置1は、上記の通り外筒2を備える。外筒2は、本装置1の主要な骨格をなす部材である。外筒2としては、この内側に第一のスリットフィルタ4、第二のスリットフィルタ5、第三のスリットフィルタ6及びスクリュー7を内包させることができる限りにおいて限定されるわけではないが、円筒形状であることが好ましい。またこの場合において、断面である円の内径としては、上記各要素を収容することができる限りにおいて限定されるわけではないが、30cm以上150cm以下であることが好ましく、より好ましくは50cm以上100cm以下の範囲である。また、外筒2の長さとしては、上記の通り上記各要素を収容することができる限りにおいて限定されるわけではないが、30cm以上150cm以下であることが好ましく、より好ましくは50cm以上100cm以下の範囲である。
【0026】
外筒2の材質としては、処理対象となる脱液対象物Sから液体の漏れがないようにできる限りその材質は限定されず、金属や樹脂を採用することができる。なお金属の場合、水などによって腐食しないよう、ステンレス等の鉄やアルミニウム等の金属であることが好ましく、また樹脂の場合、液体として酸やアルカリによって損傷を受けないようこれらに強いフッ素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等を用いることが好ましい。
【0027】
また、本装置1は、上記の通り、外筒2の下面を覆う底部材3を備える。底部材3は外筒2と一体に構成されていることが好ましいが、別々の部材によって構成されていてもよい。底部材3を設けることで、外筒2と相まって、上記の各要素を収容することができるようになる。
【0028】
また、底部材3の材質としても、本装置1の機能を実現することができる限りにおいて限定されるわけではないが、上記外筒2と同じように、金属や樹脂を採用することができる。金属及び樹脂の種類についても外筒2と同様である。
【0029】
また、本装置1において、限定されるわけではないが、底部材3は、テーパー部31を備えることが好ましい。テーパー部31による効果については後述する本装置1の説明によって明らかとなるが、その中心に配置されるスクリュー7に脱液対象物Sが本装置1内に残ってしまわないよう集めることができるようになる。すなわち、テーパー部31は、その中心部が低くなる「すり鉢状」に形成されていることが好ましい。
【0030】
また、本装置1において、限定されるわけではないが、外筒2の上面を覆う蓋部材8を備えていることが好ましい。蓋部材8を備えることで、脱液対象物Sを確実に封入することができ、また本装置1内の圧力を高めることで濾過の効率をより高めることができるようになる。
【0031】
また、蓋部材8の材質としても、本装置1の機能を実現することができる限りにおいて限定されるわけではないが、上記外筒2と同じように、金属や樹脂を採用することができる。金属及び樹脂の種類についても外筒2と同様である。
【0032】
また、本装置1は、上記の通り、外筒2の内側に配置される第一のスリットフィルタ4を備える。「スリットフィルタ」とは、細い線材料を間隙を設けて重ね合わせてることにより、液体と固体、更には固体でもその大きさによってこれらを分離することができるものである。第一のスリットフィルタ4の全体の構造としては限定されるわけではないが、外筒2に収容できるよう、円筒形状となっていることが好ましい。円筒形状とすることで、外筒2と同心円的に配置することが可能となる。なお、本装置1においては、上述及び後述の記載から明らかであるが、複数のスリットフィルタを配置しており、これらを区別する必要がある。そのため、「第一」、「第二」、「第三」という助数詞を付することで区別する。ただし、その構造は、第一のスリットフィルタと第三のスリットフィルタは図3(a)であり、第二のスリットフィルタは(b)である。その構造は同様であり、特に言及しない限りにおいてその材質や構造については同様のものを採用することができ、これら助数詞自体に技術的な意味は含まれない。
【0033】
本装置1では、後述の記載からも明らかであるが、第二のスリットフィルタ5、第三のスリットフィルタ6等の部材をその内部に収容するが、第一のスリットフィルタ4がこれらのうちでもっとも外側に配置される構成となる。また、この点も後述の記載から明らかとなるが、第二のスリットフィルタ5と第三のスリットフィルタ6の間に脱液対象物Sが投入されることとなるため、外筒2と第一のスリットフィルタ4の間の空間に脱液対象物Sから分離される液体及び第一のスリットフィルタ4の間隙以下の固形物を排出するための空間となる。すなわち、第一のスリットフィルタ4から外筒2側に液体等が排出されることになる。
【0034】
本装置1において、限定されるわけではないが、第一のスリットフィルタ4は、微小なスリットを設けながら巻きまわされる細線によって構成されることが好ましい。この場合のイメージについて図3(a)、(b)に示しておく。微小なスリットを設けて巻きまわすことで、液体と固体、更には固体においてもこのスリットの間隙以上のものは透過させず分離するための濾過装置として機能することになる。本図3(a)で示すように、第一のスリットフィルタ4と第三のスリットフィルタ6は、細線41を巻きまわす一方、外側の支持軸42に固定されており、本図3(b)で示すように、第二のスリットフィルタ5は、支持軸42の周りに細線41を巻きまわすように固定されている。これにより細線41間に形成される間隙43を確実に保持することができる。
【0035】
また、本装置1における第一のスリットフィルタ4の細線の断面は三角形状となっており、その一辺が脱液対象物Sに接触する面となるよう、複数の細線が並列して配置されていることが好ましい。脱液対象物Sに接触する面を平らに配置することで、脱液対象物S内に混在する固形物が引っかかってしまうのを防ぐことができる一方、三角形の他の二辺を反対側(排出側)にすることでより広い空間を確保することができここでいわゆる「詰まり」を防止することができるといった利点がある。
【0036】
また、第一のスリットフィルタ4において、細線41の材質としては、フィルタとしての機能を有することができる限りにおいて特に限定されず、樹脂や金属を用いることができるが強度の観点から金属であることが好ましい。
【0037】
また、本装置1は、上記の通り、第一のスリットフィルタ4の内側に配置される第二のスリットフィルタ5を備える。第二のスリットフィルタ5は、上記の通り第一のスリットフィルタ4の内側に配置されることで、第一のスリットフィルタ4と第二のスリットフィルタ5の間が空間となり、この間に脱液対象物Sが投入されるとこの両側に脱液対象物Sの液体が排出されていくことになる。
【0038】
上記の通り第二のスリットフィルタ5は、ほぼ第一のスリットフィルタ4と同様の構成を採用することができるが、第一のスリットフィルタは外側(回転軸から離れる方向)に液体を排出するために用いられるものであるが、第二のスリットフィルタ5は内側(回転軸の方向)に液体を排出するために用いられるものである。
【0039】
また、本装置1において、限定されるわけではないが、第二のスリットフィルタ5は、上記第一のスリットフィルタ4と同様に、微小なスリットを設けながら巻きまわされる細線によって構成されることが好ましい。ただし、上記の通り、第二のスリットフィルタ5は、内側に液体を排出するために用いられるものであるため、外側が平坦な面になっている。
【0040】
また、本装置1は、上記の通り、第二のスリットフィルタ5の内側に配置される第三のスリットフィルタ6を有する。
【0041】
また、本装置1において、限定されるわけではないが、第三のスリットフィルタ6は、上記第一のスリットフィルタ4と同様に、微小なスリットを設けながら巻きまわされる細線によって構成されることが好ましい。
【0042】
また、本装置1の第三のスリットフィルタ6は、スクリュー7に脱液対象物Sの供給路となる間隙61を底部材3近傍において形成している。
【0043】
また、第一のスリットフィルタ4と第二のスリットフィルタ5の間の領域は、脱液対象物Sの導入路であるとともに間隙61に接続されているものである。
【0044】
また、本装置1において、外筒2と第一のスリットフィルタ4の間の領域は、上記したとおりであるが、排液路となっており、第二のスリットフィルタ5と第三のスリットフィルタ6の間の領域も、排液路となっていることが好ましい。
【0045】
また、本装置1は、上記の通り、第三のスリットフィルタ6内に配置されるスクリュー7を備える。このスクリュー7と相まって第三のスリットフィルタ6の内部空間が第二の脱液領域となる。
【0046】
また、本装置1のスクリュー7は、回転軸71及び回転軸71の周囲に配置された螺旋羽根72を備える。
【0047】
また、本装置1のスクリュー7における回転軸71は、底部材3の近傍に溜まった脱液対象物Sを再び上部に引き上げるために用いられる軸部材である。
【0048】
また、本装置1において、限定されるわけではないが、スクリュー7の回転軸71は、上面側から下面側に行くに従い細くなっていることが好ましい。
【0049】
また、本装置1のスクリュー7における螺旋羽根72は、上記の通り、スクリュー7の回転軸71の周囲に固定して配置されている。本装置1では、このスクリュー7を回転させることで螺旋羽根72も同様に回転し、脱液対象物Sを鉛直方向下側から上側に対して送り出すことが可能となる。
【0050】
また、本装置1において、限定されるわけではないが、スクリュー7の螺旋羽根72のピッチは、下面側よりも上面側の方が短くなっていることが好ましい。
【0051】
また、本装置1では、スクリュー7の回転軸71において、螺旋羽根72の鉛直方向上側には回転軸71に対して垂直な面に対して脱液対象物Sから液体が除去された脱液ケーキCを押し出すための押出羽根74が設けられていることも好ましい。すなわち、鉛直方向下側から押し出された脱液対象物Sは上昇するに従い、螺旋羽根72及び第三のスリットフィルタ6によって圧力が加えられるとともに脱液され脱液ケーキCとなるが、脱液ケーキは螺旋羽根72の回転によって下側から上側への力が主となるが、排出口部材9は螺旋羽根72によって回転軸の方向にしか力が加わらない。そこで本装置1では、押出羽根74を設けておくことで、この回転軸71に対して垂直な方向に対しても脱液ケーキCを押し出すことができるようになる。この場合のイメージを図4に示しておく。
【0052】
また、本装置1において、限定されるわけではないが、スクリュー7を回転させる動力装置73を備えることが好ましい。
【0053】
また、本装置1において、限定されるわけではないが、スクリュー7の上面側において脱液ケーキCを排出する脱液ケーキのための排出口部材9が形成されてなることが好ましい。
【0054】
ところで、本装置1では、上記の図1等では、縦(回転軸71を水平面に対して垂直)となるように配置しているが、(回転軸71を水平面から)傾けて配置するようにしてもよい。傾けることで螺旋羽根72によって形成されるピッチ間の空間を脱液対象物Sの保持空間とし、回転軸71を回転させることで上方に送り出すことができるようになる。
【0055】
(脱液方法)
ここで、本実施形態に係る脱液対象物の脱液方法(以下「本方法」という。)について説明する。本方法は、本装置1以外の方法による実施を否定するわけではないが、具体的には、本装置1を用いて実現することが簡便である。
【0056】
具体的に、本方法は、(S1)円筒形状の第一のスリットフィルタと、第一のスリットフィルタの内側に配置される円筒形状の第二のスリットフィルタの間に脱液対象物を導入し、(S2)第二のスリットフィルタの内側に配置される円筒形状の第三のスリットフィルタの下側において形成する間隙から、第三のスリットフィルタ内に脱液対象物を供給し、(S3)第三のスリットフィルタ内に設けられる回転軸及び回転軸の周囲に配置された螺旋羽根を備えるスクリューを回転させて脱液対象物を脱液して脱液ケーキとして排出する、ものである。
【0057】
まず、本方法では、(S1)円筒形状の第一のスリットフィルタと、第一のスリットフィルタの内側に配置される円筒形状の第二のスリットフィルタの間に脱液対象物を導入する。この間に導入された脱液対象物は、第一のスリットフィルタ及び第二のスリットフィルタに挟まれており、脱液対象物中の液体はこの第一のスリットフィルタ及び第二のスリットフィルタを介して脱液対象物から分離され、脱液対象物中の水分は減少する。
【0058】
また、本方法では、次に、(S2)第二のスリットフィルタの内側に配置される円筒形状の第三のスリットフィルタの下側において形成する間隙から、第三のスリットフィルタ内に脱液対象物を供給する。上記ステップ(S1)によると、まず第一のスリットフィルタ及び第二のスリットフィルタにより第一段階目の脱液が行われる。しかしながら、これだけではまだ十分な脱液が行われていないため、この内側にある第三のスリットフィルタ内に脱液対象物を供給することで、後段の回転軸及び螺旋羽根によってさらに脱液されることになる。
【0059】
また、本方法では、次に、(S3)第三のスリットフィルタ内に設けられる回転軸及び回転軸の周囲に配置された螺旋羽根を備えるスクリューを回転させて脱液対象物を脱液して脱液ケーキとして排出する。すなわち、これにより、下方(鉛直方向下側)から上方(鉛直方向上側)に脱液対象物を持ち上げて脱液しつつさらにこの周囲に配置された第三のスリットフィルタを介して液体を排出させることができる。
【0060】
特に、本ステップ(S3)では、螺旋羽根の巻きの間隔(ピッチ)が上方に行くに従い短くなっている。これにより、上方に行けば行くほど脱液対象物にはより高い圧力がかかるようになり、効率的な脱液処理となる。そして、排出口部材より十分に脱液処理された脱液対象物が排出されることになる。
【0061】
以上、本発明によって、より脱液能力を向上させた脱液装置及び脱液方法を提供することができる。
【0062】
なお、第一のスリットフィルタ4、第二のスリットフィルタ5、第三のスリットフィルタ6の表面は脱液の際、固形物がスリットに挟まってしまうことがある。そのため、スリットフィルタの排液路の隙間が固形物で目詰まりしたものを取り除くために、排液路側からエアー、清水等を共有し逆洗することで目詰まりを解消することができる。特に、本装置1を用いている場合、第一のスリットフィルタ4、第二のスリットフィルタ5及び第三のスリットフィルタ6を断面形状が三角の細い金属線を用いるとその表面が円滑となる。したがって、この表面は簡単に洗浄することが可能となるため、メンテナンスが簡単になるといった利点もある。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、脱液装置及び脱液方法として産業上の利用可能性がある。
【符号の説明】
【0064】
1…脱液装置
2…外筒
3…底部材
31…テーパー部
4…第一のスリットフィルタ
5…第二のスリットフィルタ
6…第三のスリットフィルタ
61…間隙
7…スクリュー
71…回転軸
72…螺旋羽根
73…動力装置
8…蓋部材
9…排出口部材
S…脱液対象物
C…脱液ケーキ

【要約】
本発明は、より脱液能力を向上させた脱液装置及び脱液方法を提供する。
【解決手段】本発明の一観点にかかる脱液装置は、外筒2と底部材3と第一のスリットフィルタ4と第二のスリットフィルタ5と第三のスリットフィルタ6と回転軸71及び螺旋羽根72を備えるスクリュー7と、を備える脱液装置であって、第三のスリットフィルタは、スクリューに脱液対象物Sの供給路となる間隙61を形成しており、第一のスリットフィルタと第二のスリットフィルタの間の領域は、脱液対象物の導入路であるとともに間隙に接続されており、本発明の他の一観点にかかる脱液方法は、円筒形状の第一のスリットフィルタと第二のスリットフィルタの間に脱液対象物を導入し、第三のスリットフィルタの下側に形成する間隙から脱液対象物を供給し、回転軸及び螺旋羽根を備えるスクリューを回転させて脱液対象物を脱液して脱液ケーキCとして排出する。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4