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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-13
(45)【発行日】2023-07-24
(54)【発明の名称】洗濯ばさみ
(51)【国際特許分類】
   D06F 55/00 20060101AFI20230714BHJP
【FI】
D06F55/00 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018231786
(22)【出願日】2018-12-11
(65)【公開番号】P2020092787
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-12-09
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500560129
【氏名又は名称】株式会社ニトリホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小池 真人
(72)【発明者】
【氏名】山枡 孝郷
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-028990(JP,A)
【文献】特開2005-137746(JP,A)
【文献】実開昭54-044140(JP,U)
【文献】特開2014-057612(JP,A)
【文献】実開昭63-117483(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 55/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支軸部を介して互いに回転可能に連結され、それぞれ一端が把持部を形成しかつ他端が挟持部を形成する1対の挟持片と、
前記1対の挟持片間に設けられ、前記1対の挟持片の前記挟持部同士が当接する閉状態となるように付勢する付勢手段とを備え、
前記1対の挟持片の前記把持部は、前記1対の挟持片の前記挟持部が最も離れる開位置で、端部同士が当接し合い、
前記把持部の前記端部の内側表面は、前記支軸部の軸方向に視て、外側に開く方向に傾斜する一端部と、前記支軸部側の他端部に向けて直線状に延在する中間部とを有し、
前記支軸部の軸方向に視て、前記把持部の内側表面に接する接線よりも外側に前記端部の内側表面が位置し、
前記接線は、前記中間部のうち前記支軸部に最も近い部分で前記把持部の内側表面に接し
前記把持部の前記端部の内側表面は、外側表面に向けて窪む窪み部を有し、
前記1対の挟持片が前記開位置にあるときに、前記付勢手段に取り付けられた鎖が前記窪み部に収容可能とされる、洗濯ばさみ。
【請求項2】
前記付勢手段は、線バネであり、前記支軸部の軸方向に視て、前記支軸部よりも前記把持部側に延在する部位が、非円形かつ凸状の形態である、請求項1に記載の洗濯ばさみ。
【請求項3】
前記1対の挟持片のそれぞれは、第1円弧状部位と、前記支軸部の軸方向で両側から相手側の前記第1円弧状部位を挟持する第2円弧状部位とを有し、
前記第1円弧状部位は、前記支軸部の軸方向に視て、前記第2円弧状部位よりも外形が大きい、請求項1又は2に記載の洗濯ばさみ。
【請求項4】
前記把持部の外側表面は、前記内側表面に向けて凹む凹部を有する、請求項1~3のうちのいずれか1項に記載の洗濯ばさみ。
【請求項5】
前記付勢手段は、前記1対の挟持片の前記把持部側を内側から外側に押し広げる方向に付勢する、請求項1~4のうちのいずれか1項に記載の洗濯ばさみ。
【請求項6】
前記付勢手段は、前記支軸部よりも前記把持部側に延在する部位において、凸状部位と、前記凸状部位よりも曲率が小さい曲線状または直線状に形成され、前記凸状部位に連続する連続部位と、を有する、請求項1~5のうちのいずれか1項に記載の洗濯ばさみ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、洗濯ばさみに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、干し物等や布団などを干す場合に落下しないよう挟んでとめる留め具として洗濯ばさみが知られている。挟持片の把持部を押さえることによって挟持部の部分が開き、手を離すと固定される仕組みとなっている。干し物等を乾燥させるためにひもや物干しざおなどにかけるとき、かけた干し物等を落ちないように固定するために使われ、様々なデザインや色彩のものがある。そして、洗濯ばさみは色々と機能的に工夫されているものがある。例えば、洗濯ばさみを使用する際に干し物等を掴みやすく工夫されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】意匠登録第1173548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来技術では、挟持部の開き(最大に開いたときの開き)が比較的小さいため、洗濯ばさみで厚い干し物等を挟む際に不便であった。
【0005】
そこで、1つの側面では、本発明は、把持部を把持した場合に挟持部が比較的大きく開く洗濯ばさみを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の側面では、支軸部を介して互いに回転可能に連結され、それぞれ一端が把持部を形成しかつ他端が挟持部を形成する1対の挟持片と、前記1対の挟持片間に設けられ、前記1対の挟持片の前記挟持部同士が当接する閉状態となるように付勢する付勢手段とを備え、前記1対の挟持片の前記把持部は、前記1対の挟持片の前記挟持部が最も離れる開位置で、端部同士が当接し合い、前記把持部の前記端部の内側表面は、前記支軸部の軸方向に視て、外側に開く方向に傾斜している、洗濯ばさみが提供される。
【0007】
これにより、洗濯ばさみの挟持片の挟持部の先端同士が大きく開き、厚い干し物等でも挟むことができる。更に、洗濯ばさみを干し物等に挿入する際の先端がガイドの役割を果たすため洗濯ばさみの先端が比較的大きく開くことにより簡単に干し物等に挟持部を挿入することができる。
【0008】
第2の側面では、前記付勢手段は、線バネであり、前記支軸部の軸方向に視て、前記支軸部よりも前記把持部側に延在する部位が、非円形かつ凸状の形態である、洗濯ばさみが提供される。
【0009】
これにより、洗濯ばさみを鎖に吊り下げたとき凸状付近に鎖が位置することになり安定した吊り下げが可能になる。
【0010】
第3の側面では、前記1対の挟持片のそれぞれは、第1円弧状部位と、前記支軸部の軸方向で両側から相手側の前記第1円弧状部位を挟持する第2円弧状部位とを有し、前記第1円弧状部位は、前記支軸部の軸方向に視て、前記第2円弧状部位よりも外形が大きい、洗濯ばさみが提供される。
【0011】
これにより、洗濯ばさみの挟持片同士が頑丈に回転可能に連結し簡単には分解されない。
【0012】
第4の側面では、前記把持部の外側表面は、前記内側表面に向けて凹む凹部を有する、洗濯ばさみが提供される。
【0013】
これにより、把持部を指でつまみやすくなる。
【0014】
第5の側面では、支軸部を介して互いに回転可能に連結され、それぞれ一端が把持部を形成しかつ他端が挟持部を形成する1対の挟持片と、前記1対の挟持片間に設けられ、前記1対の挟持片の前記挟持部同士が当接する閉状態となるように付勢する付勢手段とを備え、前記付勢手段は、前記支軸部の軸方向に視て、前記支軸部よりも前記把持部側に延在する部位が、非円形かつ前記挟持部側が凸状の形態であり、前記1対の挟持片のそれぞれは、第1円弧状部位と、前記支軸部の軸方向で両側から相手側の前記第1円弧状部位を挟持する第2円弧状部位とを有し、前記第1円弧状部位は、前記支軸部の軸方向に視て、前記第2円弧状部位よりも外形が大きく、前記把持部の外側表面は、前記内側表面に向けて凹む凹部を有する、洗濯ばさみが提供される。
【0015】
これにより、洗濯ばさみの挟持片の挟持部の先端同士が大きく開き、厚い干し物等でも挟むことができる。更に、洗濯ばさみを干し物等に挿入する際の先端がガイドの役割を果たすため洗濯ばさみの先端が比較的大きく開くことにより簡単に干し物等に挟持部を挿入することができる。また、洗濯ばさみを鎖に吊り下げたとき凸状付近に鎖が位置することになり安定した吊り下げが可能になる。更に、洗濯ばさみの挟持片同士が頑丈に回転可能に連結し簡単には分解されない。そして、把持部を指でつまみやすくなる。
【発明の効果】
【0016】
1つの側面では、本発明によれば、洗濯ばさみの1対の挟持片の把持部は、1対の挟持片の挟持部が最も離れる開位置で、端部同士が当接し合い、把持部の端部の内側表面は、支軸部の軸方向に視て、外側に開く方向に傾斜しているので挟持部が比較的大きく開くことが可能となる。これにより、厚い干し物等も容易に挟むことが可能となるとともに干し物等に洗濯ばさみを容易に挿入できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(a)は洗濯ばさみの閉じた状態の斜視図である。(b)は洗濯ばさみの開いた状態の斜視図である。
図2】(a)は挟持片の正面図である。(b)は挟持片の左側面図である。(c)は挟持片の右側面図である。(d)は挟持片の背面図である。(e)は挟持片の平面図である。(f)は挟持片の底面図である。
図3】(a)は挟持片の正面図である。(b)は挟持片の左側面図である。(c)は挟持片の右側面図である。(d)は挟持片の背面図である。(e)は挟持片の平面図である。(f)は挟持片の底面図である。
図4】線バネを説明する説明図である。
図5】洗濯ばさみの動作を正面図で説明する説明図である。
図6】洗濯ばさみの動作を平面図で説明する説明図である。
図7】洗濯ばさみの動作を正面図で説明する説明図である。
図8】洗濯ばさみの動作を平面図で説明する説明図である。
図9】洗濯ばさみの比較例を正面図で説明する説明図である。
図10】洗濯ばさみの比較例を平面図で説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら各実施例について詳細に説明する。なお、添付図面では見易さのために、複数存在する同一属性の部位には、一部のみしか参照符号が付されていない場合がある。
【0019】
図1(a)(b)、図2(a)(b)(c)(d)(e)(f)、図3(a)(b)(c)(d)(e)(f)を参照し洗濯ばさみ1を説明する。図1(a)は洗濯ばさみ1が閉じている状態での斜視図である。図1(b)は洗濯ばさみ1が開いている状態での斜視図である。
【0020】
図2(a)は挟持片3の正面図である。(b)は挟持片3の左側面図である。(c)は挟持片3の右側面図である。(d)は挟持片3の背面図である。(e)は挟持片3の平面図である。(f)は挟持片3の底面図である。
【0021】
図3(a)は挟持片5の正面図である。(b)は挟持片5の左側面図である。(c)は挟持片5の右側面図である。(d)は挟持片5の背面図である。(e)は挟持片5の平面図である。(f)は挟持片5の底面図である。
【0022】
図1(a)に示すように、洗濯ばさみ1は支軸部9、支軸部15(支軸部9と支軸部15とが回転可能に連結され回転可能な機構を形成している)を介して互いに回転可能に連結され、それぞれ一端が把持部3A、把持部5Aを形成しかつ他端が挟持部3B、挟持部5Bを形成する1対の挟持片3と挟持片5を備える。ここで、挟持片3と挟持片5とは同一の形状であるが説明を解りやすくするため、それぞれ別符号を付している。
【0023】
更に、洗濯ばさみ1は、1対の挟持片3と挟持片5との間に設けられ、1対の挟持片3と挟持片5の挟持部3Aと挟持部5A同士が当接する閉状態となるように付勢する付勢手段(例えば、線バネ7)を備える。
【0024】
挟持片3の把持部3Aと挟持片5の把持部5Aとは、挟持片3の挟持部3Bと挟持片5の挟持部5Bとが最も離れる開位置で、端部3Cと端部5C同士が当接し合う。本明細書において、“当接”は、弾性変形(しなり)を伴って実現される態様を含む。そして、把持部3Aの端部3Cの内側表面は、回転可能に連結された支軸部9、支軸部15の軸AXの方向(軸AXは空間に定義される直線とした場合に、この軸AXが点に見える方向)に視て、外側に開く方向に傾斜している。更に、把持部5Aの端部5Cの内側表面は、回転可能に連結された支軸部9、支軸部15の軸AXの方向に視て、外側に開く方向に傾斜している。
【0025】
すなわち、端部3Cの内側表面と端部5Cの内側表面とは、はじめは所定の角度でテーパ状に開いているが当接する際には互いに平行になり内側表面同士が接触(面接触)する。より具体的には、挟持片3の把持部3Aと挟持片5の把持部5Aとは、端部に向かうほど端部3Cの内側表面と端部5Cの内側表面とが互いに対して離れるように、外側に向けて薄肉化されている(削られている)。以下、このように、挟持片3の把持部3Aと挟持片5の把持部5Aが、互いに向かい合う側(内側)において、端部に向けて互いに離れる方向に薄肉化されている構造を、「端部傾斜構造」とも称する。
【0026】
このような端部傾斜構造を有することで、洗濯ばさみの挟持片3の挟持部3B、挟持片5の挟持部5Bの先端同士が比較的大きく開き、厚い干し物等でも挟むことができる。更に、洗濯ばさみ1を干し物等に挿入する際に先端がガイドの役割を果たすため洗濯ばさみ1の先端が比較的大きく開くことにより簡単に干し物等を挟持部3B、挟持部5Bの間に挿入することができる。
【0027】
本例の洗濯ばさみ1はハンガー等(図示省略)に鎖21、鎖23を介して吊り下げて使ってもよいし、また、単独で干し物等を挟んで使ってもよいし、他の用途(例えばクリップ)で使ってもよい。
【0028】
洗濯ばさみ1の挟持片3と挟持片5との材質はプラスチック、木製、ステンレス等が使われている。また、付勢手段(線バネ7等)の材質は鋼等が用いられている。
【0029】
なお、プラスチックとしては特に制限されないが、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
【0030】
図2図3を参照すると、1対の挟持片3と挟持片5のそれぞれは、第1円弧状部位9A、第1円弧状部位15Aと、回転可能に連結された支軸部9、支軸部15の軸AXの方向で両側から相手側の第1円弧状部位15A、第1円弧状部位9Aのそれぞれを挟持する第2円弧状部位9B、第2円弧状部位9C、第2円弧状部位15B、第2円弧状部位15Cとを有する。
【0031】
すなわち、図2に示すように、挟持片3の把持部3Aと挟持部3Bとの間には挟持片3から背面側に突出した第1円弧状部位9Aと、第2円弧状部位9Bと、第2円弧状部位9Cとが形成されている。そして、第2円弧状部位9Bと、第2円弧状部位9Cとの間には間隔9Dが形成されている。この間隔9Dの底の部分は第1円弧状部位15Aと回転可能に嵌合するように凹状の円弧状部位に形成されている。
【0032】
一方、図3に示すように、挟持片5の把持部5Aと挟持部5Bとの間には挟持片5から背面側に突出した第1円弧状部位15Aと、第2円弧状部位15Bと、第2円弧状部位15Cとが形成されている。そして、第2円弧状部位15Bと、第2円弧状部位15Cとの間には間隔15Dが形成されている。この間隔15Dの底の部分は第1円弧状部位9Aと回転可能に嵌合するように凹状の円弧状部位に形成されている。
【0033】
そして、挟持片3と挟持片5とが回転可能に結合されたとき、間隔9Dの部分は第1円弧状部位15Aと回転可能に嵌合し、間隔15Dの部分は第1円弧状部位9Aと回転可能に嵌合する。ここで嵌合の強さは、挟持片3と挟持片5とが回転するに適正な隙間を空けられている。更に、隙間が大きすぎるとガタツキが生じ回転が安定しないので、安定、かつ、回転が円滑に行われる適正な微小な隙間に形成されている。
【0034】
また、第1円弧状部位9Aと第1円弧状部位15Aは、回転可能に連結された支軸部9、支軸部15の軸AXの方向に視て、第2円弧状部位9B、第2円弧部状位9C、第2円弧状部位15B、第2円弧状部位15Cよりも外形が大きく形成されている。これにより、洗濯ばさみ1の挟持片3、挟持片5同士が頑丈に回転可能に連結し簡単には分解されない。特に、洗濯ばさみ1に捻じれ方向等の力が伝達しても簡単には分解されないという効果を奏する。
【0035】
図1から図3を参照すると、洗濯ばさみ1の挟持片3の把持部3Aの外側表面は、内側表面に向けて凹む凹部3Dを有する。更に、洗濯ばさみ1の挟持片5の把持部5Dの外側表面は、内側表面に向けて凹む凹部5Dを有する。この凹部3Dと凹部5Dは指の形状と合致する。すなわち、指先の形状の凸状の部分が凹部3Dと凹部5Dに一致する。これにより、把持部3A、把持部5Aを指でつまみやすくなる。
【0036】
図4は線バネ7を説明する説明図である。図4を参照すると、付勢手段は線バネ7であり、回転可能に連結された支軸部9、支軸部15の軸AXの方向に視て、回転可能に連結された支軸部9、支軸部15よりも把持部3A、把持部5A側に延在する部位が、非円形かつ凸状7Aの形態である。これにより、洗濯ばさみ1を鎖21に吊り下げたとき線バネ7の中心の凸状7A付近に鎖21が位置することになり安定した吊り下げが可能になる。
【0037】
具体的には、洗濯ばさみ1は、非円形の部分は曲率の大きい曲線部分である凸状部位7Aと、この凸状部位7Aに連続している部位7Bと部位7Cとを備える。部位7Bと部位7Cは凸状部位7Aより曲率が小さい曲線又は直線で形成されている。これにより、鎖21は、洗濯ばさみ1が吊り下げられた状態で、例えば、最初に曲率が小さい曲線又は直線である部位7B或いは部位7Cに当たっても、この部位7B或いは部位7C上を移動し曲率の大きい曲線部分である凸状部位7A上に停止する。一方、線バネ7の端部分7F、端部分7Gのそれぞれは、挟持片3に形成された溝部13、挟持片5に形成された溝部19に嵌り挟持片3、挟持片5同士を付勢する。なお、洗濯ばさみ1の挟持部3B、挟持部5Bが互いに開状態のとき、線バネ7の膨らみ部7D、膨らみ部7Eは、挟持片3に形成されたスリット11と挟持片5に形成されたスリット17に入り込むように構成されている。
【0038】
以上の説明した本実施例の洗濯ばさみ1は、支軸部9、支軸部15を介して互いに回転可能に連結され、それぞれ一端が把持部3A、把持部5Aを形成しかつ他端が挟持部3B、挟持部5Bを形成する1対の挟持片3と挟持片5と、1対の挟持片3、挟持片5との間に設けられ、1対の挟持片3、挟持片5の挟持部3B、挟持部5B同士が当接する閉状態となるように付勢する付勢手段(線バネ7等)とを備える。付勢手段(線バネ7等)は、連結された支軸部9、支軸部15の軸方向に視て、支軸部9、支軸部15よりも把持部3A、把持部5A側に延在する部位が、非円形かつ凸状の形態である。1対の挟持片3、挟持片5のそれぞれは、第1円弧状部位9A、第1円弧状部位15Aと、支軸部9、支軸部15の軸AXの方向で両側から相手側の第1円弧状部位9A、第1円弧状部位15Aのそれぞれを挟持する第2円弧状部位9B、第2円弧状部位9C、第2円弧状部位15B、第2円弧状部位15Cとを有する。第1円弧状部位9A、第1円弧状部位15Aは、支軸部9、支持部15の軸AXの方向に視て、第2円弧状部位9B、第2円弧状部位9C、第2円弧状部位15B、第2円弧状部位15Cよりも外形が大きく、把持部3A、把持部5Aの外側表面は内側表面に向けて凹む凹部3D、凹部5Dを有する。
【0039】
これにより、洗濯ばさみ1の挟持片3、挟持片5の挟持部3B、挟持部5Bの先端同士が比較的大きく開き、厚い干し物等でも挟むことができる。更に、洗濯ばさみ1を干し物等に挿入する際の先端がガイドの役割を果たすため洗濯ばさみ1の先端が比較的大きく開くことにより簡単に干し物等に挟持部3B、挟持部5Bを挿入することができる。また、洗濯ばさみ1を吊り下げたとき付勢手段(線バネ7等)の凸状付近に鎖21が位置することになり安定した吊り下げが可能になる。更に、洗濯ばさみ1の挟持片3、挟持片5同士が頑丈に回転可能に連結し簡単には分解されない。そして、把持部3A、把持部5Aを指でつまみやすくなる。更に、相乗効果として、例えば、洗濯ばさみ1の挟持部3Bと挟持部5B間を比較的大きく開かせるには、相応の把持力が必要になるが、把持部3A、把持部5Aは指でつまみ易くなっているので相応の把持力が把持部3Aと把持部5Aにかかっても安定してつまんでいられる。また、支軸部9と支軸部15とが頑丈に連結しているので把持部3Aと把持部5Aに相応の把持力が加わっても洗濯ばさみ1は簡単に分解等しない。
【0040】
次に、図5から図8を参照し洗濯ばさみ1の動作を説明する。
【0041】
図5を参照するに、洗濯ばさみ1が線バネ7を介して鎖21と鎖23に吊り下げられている状態が示される。ここで、例えば鎖23は洗濯ばさみハンガー等(図示省略)に取り付けられていてもよい。この状態では、挟持片3の把持部3Aの端と挟持片5の把持部5Aの端の寸法D1は例えば38.4mmである。支軸部9、支軸部15の端から把持部3Aの寸法D2は例えば14.3mmである。更に、挟持片3、挟持片5の寸法D3は例えば61mmである。そして、挟持部3A、挟持部5Aが閉じた時の洗濯ばさみ1の高さ寸法D4は例えば59.1mmである。挟持部3B、挟持部5Bの先端間の寸法D5は例えば8.1mmである。なお、本例では理解を容易にするため寸法を具体的な数値で示したが本発明はこの数値に限定されるものではない。
【0042】
図6は洗濯ばさみ1の挟持部3B、挟持部5Bが閉状態であり、図5の矢印AR1方向から見た図である。
【0043】
把持部3Aの端部3Cの内側表面は、回転可能に連結された支軸部9、支軸部15の軸AXの方向に視て、外側に開く方向に傾斜している。更に、把持部5Aの端部5Cの内側表面は、回転可能に連結された支軸部9、支軸部15の軸AXの方向に視て、外側に開く方向に傾斜している。端部3Cには、更に窪み部3Eが形成されている。また、端部5Cには、更に窪み部5Eが形成されている。窪み部3E及び窪み部5Eは、上縁まで延在し、上面視(図5の矢印AR1方向から見たビュー)で、可視である。窪み部3E、窪み部5Eは、把持部3A、把持部5Aの幅方向の中央部が最も窪む態様で形成される。
【0044】
図7を参照すると、挟持片3と挟持片5の外側表面は、内側表面に向けて凹部3Dと凹部5Dとを備えているので、この凹部3Dと凹部5Dとをつまみ洗濯ばさみ1の把持部3Bと把持部5Bとを最大の開状態とする。すなわち、把持部3Aの端部3Cと把持部5Aの端部5Cとは当接している状態である。このとき挟持部3Bの接触面(干し物等と接触するディンプル等が形成されている)と挟持部5Bの接触面との角度A1は、51度であり、接触面の端部と接触面の端部の寸法D6は例えば21.5mmである。このように、本実施例によれば、比較的広い開き角度A1を実現できるとともに、比較的広い開き幅D6を実現できる。
【0045】
なお、上記の開き角度A1及び開き幅D6が実現されるときの、挟持部3A、挟持部5Aが開いた時の洗濯ばさみ1の高さ寸法D7は、例えば60.4mmである。把持部3A、把持部5A間の寸法D8は7.2mmである。なお、本例では理解を容易にするため寸法を具体的な数値で示したが本発明はこの数値に限定されるものではない。
【0046】
図8は洗濯ばさみ1の挟持部3B、挟持部5Bが開状態であり、洗濯ばさみ1を図7の矢印AR2方向から見た図である。把持部3Aの端部3Cには、更に窪み部3Eが形成されている。また、把持部5Aの端部5Cには、更に窪み部5Eが形成されている。その窪み部3Eと窪み部5Eとの間に鎖21が収まり、両端の当接(しなりを伴う当接)が可能である。
【0047】
これにより、鎖21の太さ分、把持部3A、把持部5Aが回転可能となるので挟持部3Bと挟持部5Bの開きが、更に大きくなる。そして、厚い干し物等でも挟むことができる。特に、窪み部5Eが形成されるので、洗濯ばさみ1が鎖21を介して吊るされた状態のまま、洗濯ばさみ1の挟持部3B、挟持部5Bを最大に開くことができる。更に、洗濯ばさみを干し物等に挿入する際の先端がガイドの役割を果たすため洗濯ばさみ1の先端が比較的大きく開くことにより簡単に干し物等に挟持部3B、挟持部5Bを挿入することができる。
【0048】
ここで、把持部3A、把持部5Aの幅寸法D10は、例えば19mmである。挟持部3B、挟持部5Bの幅寸法D9は、例えば16mmである。なお、本例では理解を容易にするため寸法を具体的な数値で示したが本発明はこの数値に限定されるものではない。
【0049】
以上の実施例に関し、この実施例の内容をより明確にするため、更に以下の比較例を開示する。
<比較例>
図9を参照するに、比較例は、本実施例に対して、端部傾斜構造を有しておらず、かつ、窪み部3Eと窪み部5Eを有していない点が主に異なる。
【0050】
具体的には、比較例の洗濯ばさみ51は、支軸部59、65(支軸部59と支軸部65とが回転可能に連結し回転機構を形成している)を介して互いに回転可能に連結され、それぞれ一端が把持部53A、把持部55Aを形成しかつ他端が挟持部53B、挟持部53Bを形成する1対の挟持片53と挟持片55を備える。ここで、挟持片53と挟持片55とは同一の形状であるが説明を解りやすくするため、それぞれ別符号を付している。
【0051】
1対の挟持片53と挟持片55との間に設けられ、挟持部53Bと挟持部55B同士が当接する閉状態となるように付勢する付勢手段(例えば、線バネ57)を備える。1対の挟持部53Bと挟持部55Bとが最も離れる開位置で、端部53Cと端部55C同士が当接し合う。
【0052】
ここで、比較例では、本実施例とは異なり、上述した端部傾斜構造を有していないため、把持部53Aの角と把持部55Aの角の当接となり、挟持部53B、挟持部55Bはあまり開かない。具体的には、比較例では、開き幅D11は19mmであり、開き角度A2は45度である。
【0053】
これに対して、上述したように本実施例では、上述した端部傾斜構造を有することで、端部3Cの内側表面と端部5Cの内側表面との間で面接触が実現されるので、開き幅D6は21.5mmであり、開き角度A1は51度である。これから、端部傾斜構造を有する場合(本実施例)、比較例に比べて、開き角度及び開き幅を効果的に増加できることが分かる。
【0054】
また、比較例では、窪み部3Eと窪み部5Eを有していないため、図10に示すように、把持部53Aの角と把持部55Aの角の当接が鎖21により阻害されやすい。これに対して、上述したように本実施例では、窪み部3Eと窪み部5Eを有することで鎖21が窪み部3Eと窪み部5Eとの間の空間に収まりやすく(図8参照)、把持部3Aの端部3Cと把持部5Aの端部5Cとの当接が鎖21により阻害され難い。このため、上述したように本実施例では、鎖21を有する場合でも、上述のような比較的広い開き角度及び開き幅を実現できる。
なお、本実施例では、窪み部3Eと窪み部5Eは、把持部3Aの端部3Cと把持部5Aの端部5Cとが当接した際に、鎖21が収まるように形成されている。換言すると、窪み部3Eと窪み部5Eは、鎖21が存在した場合でも、把持部3Aの端部3Cと把持部5Aの端部5Cとが当接できるように形成される。ただし、変形例では、窪み部3Eと窪み部5Eは、把持部3Aの端部3Cと把持部5Aの端部5Cとが当接した際に、鎖21の一部だけが収まるような形態であってもよい。この場合、鎖21が存在した場合、把持部3Aの端部3Cと把持部5Aの端部5Cとが当接できないものの(すなわち接触を伴わずに近接する関係となるものの)、窪み部3Eと窪み部5Eを有さない場合に比べて依然として広い開き角度及び開き幅を実現できる。また、窪み部3Eと窪み部5Eを有する場合は、上述した端部傾斜構造は省略されてもよい。
【0055】
なお、ここで、端部傾斜構造を有さないで、挟持部53Bと挟持部55Bの寸法D11を21.5mm確保する方法として挟持部53Bと挟持部55Bを約4mm延伸することが考えられるが使用する樹脂の材料が増えてしまうという問題がある。また、支軸部59と支軸部65の位置を把持部53Aと把持部55A方向にずらすことが考えられるが把持力が約20%多くなるという問題がある(洗濯ばさみ51の全長を約60mmとすると、力点、支点、作用点の関係により3:2(36mm:24mm)から8:7(32mm:28mm)になる為である)。この比較からも本実施例は挟持部3Bと挟持部5Bを比較的広く開くために好適な構造であることが分かる。
【0056】
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
【0057】
例えば、洗濯ばさみ1の挟持部3Bの先端付近を回転可能に連結された支軸部9、支軸部15の軸AXの方向に視て、外側に開く方向に傾斜させてもよい。更に、挟持部5Bの先端付近を、回転可能に連結された支軸部9、支軸部15の軸AXの方向に視て、外側に開く方向に傾斜させてもよい。
【0058】
これにより、洗濯ばさみ1の挟持片3の挟持部3B、挟持片5の挟持部5Cの先端同士が、更に大きく開き、厚い干し物等でも挟むことができる。更に、洗濯ばさみ1を干し物等に挿入する際に先端がガイドの役割を果たすため洗濯ばさみ1の先端が比較的大きく開くことにより簡単に干し物等を挟持部3B、挟持部5Bの間を挿入することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 洗濯ばさみ
3 挟持片
3A 把持部
3B 挟持部
3C 端部
3D 凹部
3E 窪み部
5 挟持片
5A 把持部
5B 挟持部
5C 端部
5D 凹部
5E 窪み部
7 線バネ
9 支軸部
15 支軸部
21 鎖
23 鎖
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10