IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イスカル リミテッドの特許一覧

特許7313147上方に立ち上がるリッジを備えたチップフォーマ構成を有するスイス型旋削用インサート
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-13
(45)【発行日】2023-07-24
(54)【発明の名称】上方に立ち上がるリッジを備えたチップフォーマ構成を有するスイス型旋削用インサート
(51)【国際特許分類】
   B23B 27/22 20060101AFI20230714BHJP
   B23B 27/14 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
B23B27/22
B23B27/14 C
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2018538861
(86)(22)【出願日】2017-02-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-04-04
(86)【国際出願番号】 IL2017050133
(87)【国際公開番号】W WO2017141231
(87)【国際公開日】2017-08-24
【審査請求日】2020-01-16
【審判番号】
【審判請求日】2022-03-30
(31)【優先権主張番号】15/043,685
(32)【優先日】2016-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514105826
【氏名又は名称】イスカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】マクリン ディマ
(72)【発明者】
【氏名】チストヤコフ セルゲイ
【合議体】
【審判長】刈間 宏信
【審判官】田々井 正吾
【審判官】大山 健
(56)【参考文献】
【文献】実開平07-037504(JP,U)
【文献】特開2007-203379(JP,A)
【文献】特開平01-115503(JP,A)
【文献】実開昭63-097402(JP,U)
【文献】特開平10-202406(JP,A)
【文献】特表2016-502940(JP,A)
【文献】米国特許第5725334(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0348601(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 27/00 - 27/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイス型インサートであって、
対向するインサート第1および第2側面と、
前記インサート第1および第2側面を接続する対向するインサート上面および下面と、
前記インサート上面および下面と前記インサート第1および第2側面とを接続する対向するインサート前面および後面と、
前記第1および第2側面と前記インサート上面および前面とが交わる部分に形成された第1コーナと、
前記第1および第2側面と前記インサート上面および後面とが交わる部分に形成された第2コーナと、
前記第1および第2側面と前記インサート下面および前面とが交わる部分に形成された第3コーナと、
前記第1および第2側面と前記インサート下面および後面とが交わる部分に形成された第4コーナと、
前記インサート第1および第2側面に開口するねじ穴と、
前記インサート第1および第2側面に垂直に延在して前記インサート第1および第2側面を貫通延在するインサート厚さ軸線(A)と、
前記インサート厚さ軸線に垂直に延在して前記インサート上面および下面を貫通延在するインサート高さ軸線(A)と、
前記インサート厚さおよび高さ軸線に対して直角に延在して前記インサート前面および後面を貫通延在するインサート長手軸線(A)と、
前記インサート長手軸線(A)と前記インサート高さ軸線(A)とによって規定された長手平面(P)と、
前記インサート厚さ軸線(A)と前記インサート長手軸線(A)とによって規定された厚さ平面(Ρ)と、
前記インサート高さ軸線(A)と前記インサート厚さ軸線(A)とによって規定された高さ平面(P)と、
前記インサート厚さ軸線(A に沿って測定可能な最大インサート厚と、
前記インサート高さ軸線(A に沿って測定可能な、前記最大インサート厚より大きい最大インサート高さと、
前記インサート長手軸線(A に沿って測定可能な、前記最大インサート高さより大きい最大インサート長と、
を備え、
前記インサート高さ軸線(A)は、前記インサートの中心から前記インサート上面に向かう上方向(D)を規定し、更には前記上方向(D とは逆の下方向(D)を規定し、
前記インサート厚さ軸線(A)は、前記インサートの前記中心から前記インサート第1側面に向かう第1横方向(DS1)を規定し、更には前記第1横方向(D S1 とは逆の第2横方向(DS2)を規定し、
前記インサート長手軸線(A)は、前記インサートの前記中心から前記インサート前面に向かう前方向(D)を規定し、更には前記前方向(D とは逆の後方向(D)を規定し、
前記第1コーナは、
切刃と、
上面に形成されたチップフォーマ構成と、
を備え、
前記切刃は、
前記上面と前記第1側面とが交わる部分に沿って延在する第1副刃であって、前記インサート長手軸線(A )に沿って直線状に延在する第1副刃と、
前記上面と前記第2側面とが交わる部分に沿って延在する第2副刃であって、前記インサート長手軸線(A )に沿って直線状に延在する第2副刃と、
前記上面と前記前面とが交わる部分に沿って延在する第3副刃と、
前記第1副刃と前記第3副刃とを接続する第1コーナ刃と、
前記第2副刃と前記第3副刃とを接続する第2コーナ刃と、
を備え、
前記チップフォーマ構成は、
前記第1副刃に隣接する第1チップ表面であって、前記第3副刃から第1チップ後縁まで延在し、これにより第1切り込み深さ(LC1)を画成する第1チップ表面と、
前記第副刃に隣接する第2チップ表面であって、前記第3副刃から第2チップ後縁まで延在し、これにより第2切り込み深さ(LC2)を画成する第2チップ表面と、
前記チップフォーマ構成の総切り込み深さ(LGC)であって、(i)前記第1および第2切り込み深さ(LC1、LC2)の小さい方として画成される、または(ii)前記第1および第2切り込み深さが等しい場合は、前記第1および第2切り込み深さ(LC1、LC2)の両方の深さとして画成される、総切り込み深さ(LGC)と、
前記第1および第2チップ表面に接続されたリッジであって、前記第3副刃に近接するリッジ前端と、前記第3副刃からの位置が前記リッジ前端より離れているリッジ後端とを備え、前記リッジと前記第1および第2チップ表面とが接続される前記上面の位置から前記上方向(D に立ち上がり、かつ、前記切刃の上方に延在するリッジと、
を備え、
前記切刃に隣接する前記インサートの第1および第2側面および前面は逃げ面として構成され、前記逃げ面は、
前記第1側面に前記下方向(D 前記第2横方向(D S2 とが組み合わされた方向にテーパが付けられ、
前記第2側面に前記下方向(D 前記第1横方向(D S1 とが組み合わされた方向にテーパが付けられ、
前記前面に前記下方向(D 前記後方向(D とが組み合わされた方向にテーパが付けられる、
ことによって構成される、
インサート。
【請求項2】
前記インサート上面から下面への前記下方向(D )にみて、前記第1および第2コーナ刃の一方または両方は、前記第3副刃に接続され、かつ、前記第1および第2副刃の近い方と直角を成すワイパ部を備え、前記第3副刃は各ワイパ部に対して内側に凹む、請求項1に記載のインサート。
【請求項3】
前記第1および第2コーナ刃の各々は、前記ワイパ部と凸状部とを備え、前記凸状部は、その第1端において前記第1および第2副刃の近い方に接続され、第2端において前記ワイパ部に接続される、請求項2に記載のインサート。
【請求項4】
前記インサート上面から下面への前記下方向(D )にみて、前記第1および第2チップ表面の一方または両方は、前記第3副刃に隣接する部分における前記インサート厚さ軸線(A )に沿って測定された第1の幅(LW1)が前記第3副刃からより離れた別の位置における前記インサート厚さ軸線(A )に沿って測定された第2の幅W2 よりも幅広になるテーパ形状を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のインサート。
【請求項5】
各テーパ形状は、前記第3副刃に隣接する部分の方が前記第3副刃からより離れている別の位置より幅広である、請求項4に記載のインサート。
【請求項6】
前記第1および第2チップ表面の一方または両方が平面形状を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のインサート。
【請求項7】
前記第1および第2チップ表面の一方または両方が前記厚さ平面(Ρ)と側角αを形成し、前記側角αは条件-15°<α<15°を満たす、請求項1~6のいずれか一項に記載のインサート。
【請求項8】
前記切刃全体は150ミクロン未満の高さを有する切刃平面に収まる、請求項1~7のいずれか一項に記載のインサート。
【請求項9】
前記インサートは、前記インサート厚さ軸線(A)に平行に前記インサートの前記中心を貫通延在する軸線を中心に180°の角度においてのみ回転対称である、請求項1~8のいずれか一項に記載のインサート。
【請求項10】
前記リッジは、前記リッジを前記チップ表面に接続する第1および第2凹状側部を備え、前記第1凹状側部は前記第1横方向(DS1)に開き、前記第2凹状側部は前記第2横方向(DS2)に開く、請求項1~9のいずれか一項に記載のインサート。
【請求項11】
前記リッジ前端は、前記前方向(D)に開く凹状前部を備える、請求項1~10のいずれか一項に記載のインサート。
【請求項12】
前記チップフォーマ構成は、前記上方向(D)に前記第1および第2副刃の上方100ミクロン以下の高さの中間平坦域を前記リッジ前端と前記第3副刃との間に備える、請求項1~11のいずれか一項に記載のインサート。
【請求項13】
前記中間平坦域は平面形状を有する、請求項12に記載のインサート。
【請求項14】
前記インサート前面から後面への前記後方向(D )にみて、前記第1および第2側方副刃より上方の高さにおける前記インサート厚さ軸線(A )に沿って測定された前記リッジの幅(L)は、前記インサート厚さ軸線(A)に沿って測定された前記第1および第2側方副刃の間の総厚(L)の半分未満である、請求項1~13のいずれか一項に記載のインサート。
【請求項15】
前記リッジは、前記インサート長手軸線(A)に平行な方向に細長い、請求項1~14のいずれか一項に記載のインサート。
【請求項16】
前記インサート長手軸線(A)に沿って測定可能な、前記第3副刃と前記リッジ前端との間の前方離間長(LFS)は、前記総切り込み深さ(LGC)の少なくとも5%である、請求項1~15のいずれか一項に記載のインサート。
【請求項17】
前記前方離間長(LFS)は、前記総切り込み深さの10%±5%として規定される、請求項16に記載のインサート。
【請求項18】
前記インサート第1および第2側面間の前記第1および第2横方向(D S1 、D S2 )にみて、前記リッジは前記上方向(D )に向かって凸状の基本形状を有し、前記リッジ前端は前記前方向(D 前記下方向(D とが組み合わされた方向にテーパが付けられ、前記リッジ後端は前記後方向(D 前記下方向(D とが組み合わされた方向にテーパが付けられる、請求項1~17のいずれか一項に記載のインサート。
【請求項19】
後縁平面(PRE)が前記高さ平面(P)に平行であり、前記総切り込み深さ(LGC)だけ前記第3副刃から離れており、前記リッジ後端に前記後方向(D 前記下方向(D とが組み合わされた方向にテーパが付けられ始める位置と前記後縁平面(PRE)との間の後方離間長(LRS)が前記総切り込み深さ(LGC)の少なくとも5%である、請求項18に記載のインサート。
【請求項20】
前記後方離間長(LRS)は前記総切り込み深さ(LGC)の15%±10%として規定される、請求項19に記載のインサート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の主題は、特に、旋削加工用のチップフォーマ構成を有する、および上方に立ち上がるリッジを含むチップフォーマ構成を含む、精密機械加工用のスイス型旋削用インサート(以下においては「インサート」とも呼称)に関する。
【背景技術】
【0002】
スイス型旋削用インサート(swiss turning inserts)およびツールホルダは、高精密機械加工用に一般に使用されるスイス型CNC工作機械(旋盤)での使用のために設計された専用ツールである。
【0003】
被削材の張り出しを最小化するべく被削材(workpiece)がブッシュの近くに保持されることによって、高精度が達成される(例えば、本願の図4を参照)。
【0004】
このようなインサートの設計は、ギャング(gang)内のブッシュおよび他のツール組立体の極めて近くで機械加工する必要性によって制限される(例えば、本願の図5Aおよび図5Bを参照)。図5Aに示されているように、ギャング内の各スイス型インサートの右上の切刃(cutting edge)は、一般に、ギャングのその他のツールと同じ位置にある。隣接するツール組立体の近接故に、各スイス型インサートは鉛直方向に(すなわち、上方または下方のツール組立体に向かって)過度に延在できないことも理解されるであろう。
【0005】
本願の一目的は、改良されたスイス型旋削用インサートを提供することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
スイス型CNC工作機械の特殊な被削材保持構成の故に、リッジを有するスイス型インサートは、一方の横方向にのみ機械加工するように構成されることが知られている。下記の本願の主題は、追加の第2の横方向への機械加工機能を提供する。被削材は一端でのみ保持されるので、第2方向への機械加工の必要性は、より稀な事例としてのみ想定されていた。このような場合は、更なる機械加工のために、ツールまたは被削材が再配置されることが知られている。公知のリッジを改造するという考えが想定された場合、このような改造は、一次加工方向における機能を犠牲にして実現されるであろうと初めは考えられていた。驚くべきことに、改造されたリッジは、一次方向においても、比較テストされた他のインサートに比べ、等しい、またはより良好な、仕上げ結果およびツール寿命をもたらすことが分かった。更に、スイス型機械加工の主目的である極めて高品質の仕上げをもたらすために、リッジ以外の複数の特徴が寄与すると考えられる。
【0007】
本願の主題の第1態様によると、スイス型インサート用のチップフォーマ構成が提供される。このチップフォーマ構成(chip former arrangement)は、リッジを取り囲む切刃を備える。この切刃は、第1および第2の副刃(sub-edge)を備える。第1および第2副刃は、リッジの両側に位置し、コーナ刃によって第3副刃に接続される。このチップフォーマ構成は、リッジと第1および第2副刃との間にそれぞれ位置する第1および第2チップ表面を更に備える。
【0008】
本願の主題の第2態様によると、スイス型インサート用のチップフォーマ構成が提供される。このチップフォーマ構成は、リッジを取り囲む切刃を備える。この切刃は、第1および第2副刃を備える。第1および第2副刃は、一側面図において直線をたどり、リッジの両側に位置し、コーナ刃によって第3副刃に接続される。このチップフォーマ構成は、リッジと第1および第2副刃との間にそれぞれ位置する第1および第2チップ表面を更に備える。
【0009】
本願の主題の第3態様によると、スイス型インサート用のチップフォーマ構成が提供される。このチップフォーマ構成は、リッジを取り囲む切刃を備える。この切刃は、第1および第2副刃を備える。第1および第2副刃は、リッジの両側に位置し、下方向に沿った図において内側に凹んだ第3副刃にコーナ刃によって接続される。
【0010】
本願の主題の第4態様によると、第1、第2、および第3態様のいずれか1つによるチップフォーマ構成を備えたスイス型インサートが提供される。
【0011】
このインサートは、平行六面体部分の両側に切削コーナを備えたインサートとして一般に画成され得る。ギャング内での使用のために構成されたスイス型インサートの場合、平行六面体部分は直方体または菱面体であることが好ましい。同じ理由により、多くの場合、厳密に2つの(好ましくは、同一の切刃およびチップフォーマ構成を有する)切削コーナが存在することが好ましい。
【0012】
必須ではないが、スイス型インサートは、厳密に2つの切削コーナ(すなわち、切刃を備えたコーナ)をインサートの対角線上の対向部分に備えることが好ましい。
【0013】
一般に、スイス型インサートは、本体部分の両側に開口するねじ穴を1つまたは2つ有する。
【0014】
本明細書に記載されている特徴の多くは、他のCNC工作機械または方法を用いて機械加工された被削材に比べてもより高い、向上された仕上げをもたらすことを目的とする。
【0015】
言い換えると、スイス型インサートは、対向するインサート第1および第2側面と、インサート第1および第2側面を接続する対向するインサート上面および下面と、インサート上面および下面とインサート第1および第2側面とを接続する対向するインサート前面および後面と、第1および第2側面とインサート上面および前面とが交わる部分に形成された第1コーナと、第1および第2側面とインサート上面および後面とが交わる部分に形成された第2コーナと、第1および第2側面とインサート下面および前面とが交わる部分に形成された第3コーナと、第1および第2側面とインサート下面および後面とが交わる部分に形成された第4コーナと、インサート第1および第2側面に開口するねじ穴と、インサート第1および第2側面に垂直に延びてインサート第1および第2側面を貫通延在するインサート厚さ軸線と、インサート厚さ軸線に垂直に延びてインサート上面および下面を貫通延在するインサート高さ軸線と、インサート厚さおよび高さ軸線に直角に延びてインサート前面および後面を貫通延在するインサート長手軸線と、インサート厚さ軸線に沿って測定可能な最大インサート厚と、インサート高さ軸線に沿って測定可能な、最大インサート厚より大きい最大インサート高さと、インサート長手軸線に沿って測定可能な、最大インサート高さより大きい最大インサート長とを備えるとして規定され得る。インサート高さ軸線は、インサートの中心からインサート上面に向かう上方向を規定し、更には上方向とは逆の下方向を規定する。インサート厚さ軸線は、インサートの中心からインサート第1側面に向かう第1横方向を規定し、更には第1横方向とは逆の第2横方向を規定する。インサート長手軸線は、インサートの中心からインサート前面に向かう前方向を規定し、更には前方向とは逆の後方向を規定する。第1コーナは、切刃を備える。切刃に隣接するインサートの第1および第2側面および前面は、逃げ面として構成される。これら逃げ面は、第1側面に下方向と第2横方向とが組み合わされた方向にテーパが付けられ、第2側面に下方向と第1横方向とが組み合わされた方向にテーパが付けられ、前面に下方向と後方向とが組み合わされた方向にテーパが付けられることによって構成される。
【0016】
本願の主題の第5態様によると、スイス型インサートが提供される。このスイス型インサートは、対向するインサート第1および第2側面と、インサート第1および第2側面を接続する対向するインサート上面および下面と、インサート上面および下面とインサート第1および第2側面を接続する対向するインサート前面および後面と、第1および第2側面とインサート上面および前面とが交わる部分に形成された第1コーナと、第1および第2側面とインサート上面および後面とが交わる部分に形成された第2コーナと、第1および第2側面とインサート下面および前面とが交わる部分に形成された第3コーナと、第1および第2側面とインサート下面および後面とが交わる部分に形成された第4コーナと、インサート第1および第2側面に開口するねじ穴と、インサート第1および第2側面に垂直に延びてインサート第1および第2側面を貫通延在するインサート厚さ軸線と、インサート厚さ軸線に垂直に延びてインサート上面および下面を貫通延在するインサート高さ軸線と、インサート厚さおよび高さ軸線に直角に延びてインサート前面および後面を貫通延在するインサート長手軸線と、インサート厚さ軸線に沿って測定可能な最大インサート厚と、インサート高さ軸線に沿って測定可能な、最大インサート厚より大きい最大インサート高さと、インサート長手軸線に沿って測定可能な、最大インサート高さより大きい最大インサート長とを備える。インサート高さ軸線は、インサートの中心からインサート上面に向かう上方向を規定し、更には上方向とは逆の下方向を規定する。インサート厚さ軸線は、インサートの中心からインサート第1側面に向かう第1横方向を規定し、更には第1横方向とは逆の第2横方向を規定する。インサート長手軸線は、インサートの中心からインサート前面に向かう前方向を規定し、更には前方向とは逆の後方向を規定する。第1コーナは、切刃と、上面に形成されたチップフォーマ構成とを備える。この切刃は、上面と第1側面とが交わる部分に沿って延在する第1副刃であって、第2横方向に沿った図において直線をたどる第1副刃と、上面と第2側面とが交わる部分に沿って延在する第2副刃であって、第1横方向に沿った図において直線をたどる第2副刃と、上面と前面とが交わる部分に沿って延在する第3副刃と、第1副刃を第3副刃に接続する第1コーナ刃と、第2副刃を第3副刃に接続する第2コーナ刃とを備える。このチップフォーマ構成は、第1副刃に隣接する第1チップ表面であって、第3副刃から第1チップ後縁まで延在し、これにより第1切り込み深さを画定する第1チップ表面と、第副刃に隣接する第2チップ表面であって、第3副刃から第2チップ後縁まで延在し、これにより第2切り込み深さを画定する第2チップ表面と、(i)第1および第2切り込み深さの小さい方として、または(ii)、第1および第2切り込み深さが等しい場合は、第1および第2切り込み深さの両方の深さとして、規定されるチップフォーマ構成の総切り込み深さと、第1および第2チップ表面に接続されたリッジとを備える。リッジは、第3副刃に近接するリッジ前端と、第3副刃からの位置がリッジ前端より離れているリッジ後端とを備える。リッジは、リッジと第1および第2チップ表面とが接続される上面位置から上方向に立ち上がる。切刃に隣接するインサートの第1および第2側面および前面は、逃げ面として構成される。これら逃げ面は、第1側面に下方向と第2横方向とが組み合わされた方向にテーパが付けられ、第2側面に下方向と第1横方向とが組み合わされた方向にテーパ付けられ、前面に下方向と後方向とが組み合わされた方向にテーパが付けられることによって構成される。
【0017】
本願の主題の第6態様によると、スイス型インサート用のチップフォーマ構成が提供される。このチップフォーマ構成は、下方向に沿った図において内側に凹んだ前方切刃(以下においては「第3副刃」と呼称)を備える。
【0018】
本願の主題の第7態様によると、上記態様のいずれか1つによるスイス型インサートとこのスイス型インサートを保持するための単一のインサート座を備えた細長いツールとを備えたツール組立体が提供される。
【0019】
本願の主題の第8態様によると、上記態様によるツール組立体を複数備えたギャングが提供される。
【0020】
本願の主題の第9態様によると、スイス型CNC工作機械において被削材を機械加工する方法が提供される。この方法は、第1横方向に機械加工するステップと、その後に第2横方向に機械加工するステップとを含む。
【0021】
このようなスイス型インサートおよび組立体は、特に鋼、ステンレス鋼、真鍮、銅、およびアルミニウム製の、金属被削材の精密機械加工に特に適用可能である。
【0022】
上記態様のいずれか1つによるスイス型インサートは、締め付け力(例えば、インサートの1つ以上のねじ穴を貫通延在する1つ以上のねじ)によってインサート座内の取り付け位置に保持されるように構成され得ることを理解されるであろう。特に、インサート座に接触するインサートの取り付け面は、厳密には、インサート下面と、インサート後面と、インサート第2側面(より精確には、そのようなものが存在する場合は、インサート第2側面に形成された支持構成)であり得る。
【0023】
上記は概要であり、上記態様のいずれも下記の特徴のいずれかを更に備え得ることを理解されるであろう。特に、以下の特徴は、単独で、または組み合わせて、上記態様のいずれにも適用され得る。
i.チップフォーマ構成は、リッジを備え得る。チップフォーマ構成は、切刃を備え得る。以下は例示的な切刃に関する記述であり、チップフォーマ構成は上面に関して説明されている。ただし、全ての記述において用語「上面」は「下面」に置き換えられ得ることを理解されるであろう。
ii.チップフォーマ構成は、第1および第2チップ表面を備え得る。
iii.チップフォーマ構成は、中間平坦域を備え得る。中間平坦域は、リッジ前端と第3副刃との間に位置し得る。中間平坦域は、第1および第2副刃の上方100ミクロンより高くなり得ない。中間平坦域は、平面状であり得る。
iv.切刃は、第1、第2、および第3副刃と第1および第2コーナ刃とを備え得る。
v.切刃全体は、150ミクロン未満、好ましくは100ミクロン未満、の高さを有する切刃平面内に収まり得る。
vi.切刃全体(言い換えると、第1、第2、および第3副刃の各々)は、ランドなしであり得る。
vii.第1副刃は、上面と第1側面とが交わる部分に沿って延在可能であり、第2横方向に沿った図において直線をたどり得る。第2副刃は、上面と第2側面とが交わる部分に沿って延在可能であり、第1横方向に沿った図において直線をたどり得る。詳しく説明すると、これは、第1および/または第2副刃は、切り込み深さ全体に沿って(例えば、第3副刃からチップ後縁まで)直線状であり得ることを意味する。これは、旋削用途に適した仕上げを実現するためである。総切り込み深さは、第1および第2切り込み深さの小さい方として、または、第1および第2切り込み深さが等しい場合は、両方として、規定される。以下に示す好適な例示的第1および第2副刃は長手軸線に平行に延在するが、複数の異なる用途においては、このような副刃を長手軸線に対して傾斜させることによってより良好な機械加工が行われ得ることを理解されるであろう。
viii.第1および第2副刃は、好ましくは10ミクロン未満の高さを有する、切刃平面内に収まり得る。
ix.第1および第2副刃は、一表面の両側に位置し得る。
x.第3副刃は、上面と前面とが交わる部分に沿って延在し得る。
xi.第3副刃は、下方向に沿った図において内側に凹み得る。これは旋削作業中に好都合な逃げをもたらし得ることを理解されるであろう。好適な一設計において、下方向に沿った図において、第3副刃は、複数の不連続点によって接続された湾曲部分と直線部分の両方を備え得る。非平滑刃が仕上げおよびツール寿命を低下させるとしても、実現される追加機能は公知の欠点を埋め合わせることが分かった。
xii.第1および第2副刃は、コーナ刃によって第3副刃に接続され得る。第1、第2、および第3副刃とコーナ刃とは、インサートのコーナの表面に沿って連続して延在し得る。
xiii.第1コーナ刃は、第1副刃と第3副刃とを接続し得る。
xiv.第2コーナ刃は、第2副刃と第3副刃とを接続し得る。
xv.第1および第2コーナ刃の一方または両方は、第3副刃に接続されたワイパ部を備え得る。このワイパ部は、下方向に沿った図において、第1および第2副刃の近い方に対して直角に延びる直線上に延在する。このような場合、第3副刃は、下方向に沿った図において、内側に凹むことが好ましい。言い換えると、第1および第2コーナ刃の両ワイパ部は、第1および第2副刃に垂直に延在する前縁平面に収まり得る。第3副刃は、その全体が前縁平面の後方に位置し得る(すなわち、第3副刃はワイパ部より後方に凹み得る)。内向きの凹みは、下方向に沿った図において、湾曲した形態を有し得る。
xvi.第1および第2コーナ刃の一方または両方は、凸状部を備え得る。各凸状湾曲部は、第1端において第1および第2副刃の近い方に、および第2端においてワイパ部に、接続され得る。
xvii.第1および第2チップ表面に接続されたリッジ。リッジの両側にチップ表面を設けることによって、2つの反対の横方向に沿った機械加工を容易にし得ることを理解されるであろう。
xviii.リッジは、後方向以外は、切刃によって取り囲まれ得る。言い換えると、リッジは、その4つの側面のうちの3つの側面において取り囲まれ得る。言い換えると、リッジは、切削インサートの各切削方向において切刃によって取り囲まれ得る。
xix.リッジは、第3副刃に近接したリッジ前端と、第3副刃からの位置がリッジ前端より離れているリッジ後端とを備え得る。
xx.リッジ前端は、前方向に開いた凹状前部を備え得る。リッジを第3副刃から凹ませるとツール寿命を縮めると考えられているが、延性材料の機械加工に好都合であることが分かっており、更には、前方向に沿った機械加工を二次機械加工工程であると考えると、このようなツール寿命の短縮という欠点は追加機能によって埋め合わされることが確認された。
xxi.リッジは、上方向に立ち上がり得る。より正確には、リッジは、リッジと第1および第2チップ表面とが接続された上面位置から上方に立ち上がり得る。
xxii.第1および第2インサート横方向にそれぞれ沿った図において、リッジは凸状の基本形状を有し得る。詳しく説明すると、この凸形状は、前方向と下方向とが組み合わされた方向にテーパが付けられたリッジ前端と、後方向と下方向とが組み合わされた方向にテーパが付けられたリッジ後端とを含み得る。
xxiii.リッジ後端は、平面形状を有し得る。
xxiv.リッジは、インサート長手軸線に平行な方向に細長であり得る。それにもかかわらず、相対的に大きい深さにおいて相対的に低速の機械加工速度でより良好な結果がもたらされることが分かっているスイス型機械加工用途に適合させるように、(コーナ全体の長さに近い)比較的長い長さでリッジが構成されていることが分かるであろう。
xxv.リッジは、リッジをチップ表面に接続する第1および第2凹状側部を備え得る。第1凹状側部は第1横方向に開き得る。第2凹状側部は第2横方向に開き得る。
xxvi.リッジの幅は、後方向に沿った図において、第1および第2側方副刃より上方の高さにおいて、厚さ軸線に沿って測定された第1および第2側方副刃間の総厚の半分未満であり得る。
xxvii.インサート長手軸線に沿って測定可能な、第3副刃とリッジ前端との間の前方離間長は、チップフォーマ構成の総切り込み深さの少なくとも5%であり得る。前方離間長は、総切り込み深さの10%±5%であり得る。
xxviii.リッジ後端に前記後方向と下方向とが組み合わされた方向にテーパが付けられ始める位置と後縁平面との間の後方離間長は、チップフォーマ構成の総切り込み深さの少なくとも5%である。後方離間長は、総切り込み深さの15%±10%であり得る。後縁平面は、厚さ軸線および高さ軸線の両軸線に平行に延在し、第1および第2チップ後縁の後ろの方の後縁と交差する、または、第1および第2チップ後縁が等しい場合は、第1および第2チップ後縁の両方と交差する。
xxix.第1チップ表面は、第1副刃に隣接して位置し得る。第1チップ表面は、第3副刃から第1チップ後縁まで延在し得る。第1チップ表面は、第3副刃から第1チップ後縁まで第1切り込み深さを画成し得る。
xxx.第2チップ表面は、第2副刃に隣接して位置し得る。第2チップ表面は、第3副刃から第2チップ後縁まで延在し得る。第2チップ表面は、第3副刃から第2チップ後縁まで第2切り込み深さを画成し得る。
xxxi.下方向に沿った図において、第1および第2チップ表面の一方または両方は、テーパ形状を有し得る。詳しく説明すると、これは、テーパ形状が切り込み深さ全体に(例えば、第3副刃からチップ後縁まで)沿っていることを意味する。各テーパ形状は、第3副刃に隣接する部分が第3副刃からより離れた別の位置より幅広であり得ることが好ましい。
xxxii.第1および第2チップ表面の一方または両方は、平面形状を有し得る(言い換えると、本明細書における「平面形状/の」とは、「一平面内に収まる」ことを意味する)。各チップ表面は研磨され得ることが好ましい。
xxxiii.第1および第2チップ表面の一方または両方は、長さ軸線と厚さ軸線とが交わる部分によって画成された厚さ平面と側角αを形成し得る。この側角αは、条件-15°<α<15°を満たす。特に金属の機械加工の場合、この側角は0°<α<16°であることが好ましい。α値が8°に等しい試験結果が特に成功している。したがって、最も好適な側角は、4°<α<12°である。
xxxiv.インサートは、平行六面体部分の両側に切削コーナを備え得る。この平行六面体部分は、直方体または菱面体であり得ることが好ましい。
xxxv.インサートは、厳密に2つの切削コーナを備え得る。この厳密に2つの切削コーナは、インサートの対角線上の対向部分に位置し得ることが好ましい。
xxxvi.インサートのコーナは、切刃と、上面に形成されたチップフォーマ構成とを備え得る。
xxxvii.インサートは、本体部分(すなわち、インサートの切削コーナ間に位置する部分)の両側に開口する少なくとも1つのねじ穴、最も好ましくは厳密に1つまたは2つのねじ穴、を設けて形成され得る。言い換えると、ねじ穴(単数または複数)は、インサート第1および第2側面に開口し得る。単一のねじ穴が存在する場合、このねじ穴はインサートの中心に存在し得る。このような場合、厚さ軸線がねじ穴軸線も構成し得る。厳密に2つのねじ穴存在する場合、これらは長手軸線に沿って互いに隣接し得ることが好ましい。
xxxviii.インサートは、対向するインサート第1および第2側面を備え得る。
xxxix.切削コーナにおいて、第1および第2側面の各々および前面は、好ましくは研磨された、平面状であり得る。
xl.インサートは、対向するインサート上面および下面を備え得る。インサート上面および下面は、インサート第1および第2側面を接続し得る。インサート上面は、第1上端から第2上端まで後方に延在し得る。インサート下面は、第1下端から第2下端まで後方に延在し得る。
xli.下面は、確実な取り付けのために傾斜し得る。詳しく説明すると、例えば、下面がインサートの中心から第2横方向に更に延在するように、下面を傾斜させ得る。インサート上面および下面の両方を傾斜させる(傾斜した各表面は、インサートの異なる割り出し位置に対応)。上面がインサートの中心から第2横方向に更に延在するように、上面を傾斜させ得る(勿論、上面は、割り出し後に下面として機能する)。
xlii.インサートは、対向するインサート前面および後面を備え得る。インサート前面および後面は、インサート上面および下面を接続し得る。インサート前面および後面は、インサート第1および第2側面を接続し得る。インサート前面は、後方向と下方向とが組み合わされた方向に、第1上端から第1下端までテーパが付けられ得る。インサート後面は、後方向と下方向とが組み合わされた方向に、第2上端から第2下端までテーパが付けられ得る。
xliii.インサートは、第1、第2、第3、および第4コーナを備え得る。これらコーナのうちの1つ以上は、切削コーナであり得る(すなわち、チップフォーマ構成を設けて構成される)。厳密に2つのコーナが切削コーナであることが好ましい。第1コーナは、第1および第2側面とインサート上面および前面とが交わる部分に形成され得る。第2コーナは、第1および第2側面とインサート上面および後面とが交わる部分に形成され得る。第3コーナは、第1および第2側面とインサート下面および前面とが交わる部分に形成され得る。第4コーナは、第1および第2側面とインサート下面および後面とが交わる部分に形成され得る。
xliv.インサート厚さ軸線は、インサート第1および第2側面に垂直に延びてインサート第1および第2側面を貫通延在し得る。
xlv.最大インサート厚は、インサート厚さ軸線に沿って測定可能であり得る。
xlvi.インサート高さ軸線は、インサート厚さ軸線に垂直に延びてインサート上面および下面を貫通延在し得る。
xlvii.最大インサート高さは、インサート高さ軸線に沿って測定可能であり得る。最大インサート高さは、最大インサート厚より大きくなり得る。
xlviii.インサート高さ軸線は、インサートの中心からインサート上面に向かう上方向を規定し得る。インサート高さ軸線は、上方向とは逆の下方向を規定し得る。あるいは、インサート高さ軸線は、インサートの中心からインサート下面に向かう下方向を規定し得る。
xlix.インサート長手軸線は、インサート厚さおよび高さ軸線に直角に延びてインサート前面および後面を貫通延在し得る。
l.インサート厚さ軸線は、インサートの中心からインサート第1側面に向かう第1横方向を規定し得る。インサート厚さ軸線は、第1横方向とは逆の第2横方向を規定し得る。あるいは、インサート厚さ軸線は、インサートの中心からインサート第2側面に向かう第2横方向を規定し得る。
li.最大インサート長は、インサート長手軸線に沿って測定可能であり得る。最大インサート長は、最大インサート高さより大きくなり得る。
lii.インサート長手軸線は、インサートの中心からインサート前面に向かう前方向を規定し得る。インサート長手軸線は、前方向とは逆の後方向を規定し得る。あるいは、インサート長手軸線は、インサートの中心からインサート後面に向かう後方向を規定し得る。
liii.長手平面は、より正確にはその位置および向きは、そこに存在する長さおよび高さ軸線によって規定され得る。以下に使用される述語を用いてより簡単に述べると、長手平面は、インサート長手軸線とインサート高さ軸線とよって規定され得る。同様に、厚さ平面は、インサート厚さ軸線とインサート長手軸線とよって規定され得る。また、高さ平面は、インサート高さ軸線とインサート厚さ軸線とよって規定され得る。
liv.コーナは、チップフォーマ構成を備えた表面を除く、その全ての表面が(少なくとも、切刃に隣接するその複数部分において)逃げ面として構成され得る。例えば、切刃に隣接するインサートの第1および第2側面および前面は、逃げ面として構成され得る。例えば、第1側面は、下方向と第2横方向とが組み合わされた方向にテーパが付けられ得る。第2側面は、下方向と第1横方向とが組み合わされた方向にテーパが付けられ得る。前面は、下方向と後方向とが組み合わされた方向にテーパが付けられ得る。
lv.前面は、切刃から離れたその前方当接部において、下方向と後方向と第1横方向とが組み合わされた方向に傾斜し得る。前方当接部は、好ましくは研磨された、平面状であり得る。後面は、同様に傾斜した後方当接部を備える。
lvi.機械加工の一方法は、(例えば、インサートの厚さ軸線に平行に)第1横方向に機械加工するステップと、その後に第2横方向に機械加工するステップとを含み得る。この方法は、軸線方向に(例えば、インサートの長手軸線に沿って)機械加工するステップを更に含み得る。
lvii.インサートは、第2側面のみに形成された支持構成を備え得る。言い換えると、第1側面には支持構成がない。支持構成は、好ましくは研磨された、平面状の外面を備え得る。この外面は、長さ軸線および高さ軸線に沿って形成された長手平面に平行に延在し得る。
lviii.インサートは、支持構成を除き、長手平面の両側で鏡面対称であり得る。支持構成は、インサートの鏡面対称部分を越えて第2横方向に延在し得る。
lix.インサートは、厚さ軸線に平行に延びてインサートの中心を貫通延在する軸線を中心に180°の角度でのみ回転対称であり得る。
lx.切削コーナは、長手平面に沿って対称であり得る。
lxi.インサートは、インサート座の対応する各表面に接触する下面、後面(より正確には、そのようなものを有する設計の場合は、後面の後方当接部)、および第2側面(または、そこに形成された支持構成)によってのみ取り付けられるように構成され得る。
【0024】
本願の主題のより良好な理解のために、およびそれが実際に実施され得る方法を示すために、次に添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1A】ツール組立体の下方向に沿った図である(以下においては「上面図」とも呼称)。
図1B図1Aのツール組立体の後方向に沿った図である(以下においては「前端図」とも呼称)。
図1C図1Aのツール組立体の横方向に沿った図である(以下においては「側面図」とも呼称)。
図2A図1Aのツール組立体のツールの上面図である。
図2B図2Aのツールの前端図である。
図2C図2Aのツールの側面図である。
図3A図1Aのツール組立体のインサートの上面図である(すなわち、これは下方向に沿った図であり、180°回転された以外は同一の図が上方向に沿って示されることに注目されたい)。
図3B図3Aのインサートの前端図である(すなわち、これは後方向に沿った図であり、180°回転された以外は同一の図が前方向に沿って示されることに注目されたい)。
図3C図3Aのインサートの側面図である(すなわち、これは第2横方向に沿った図である)。
図3D図3Bに示されているようなインサートの部分拡大前端図である。
図3E図3Aに示されているようなインサートの左側面の部分拡大上面図である。
図3F図3Cに示されているようなインサートの左側面の部分拡大側面図である。
図4図1Aのツール組立体、およびスイス型CNC工作機械に典型的な構成において部分的に示されているブッシュによって保持されている被削材、の部分上面図である。
図5A図1Aの種類のツール組立体を4つ備えたギャングの正面図である。
図5B図5Aのギャングの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1A図1Cを参照すると、インサート12と、ツール14と、インサート12をツール14に固定するためのねじ16とを備えたツール組立体10が示されている。
【0027】
図3A図3Cを参照すると、インサート12は、第1、第2、第3、および第4コーナ18A、18B、18C、18Dを備え得る。第1および第3コーナ18A、18Cは、この例では切削コーナである。すなわち、このようなコーナの各々は、切刃20A、20Bとチップフォーマ構成22A、22Bとを備える。
【0028】
インサートの厚さ、高さ、および長手軸線A、A、Aは、インサート第1側面、第2側面、上面、下面、前面、および後面24A、24B、26A、26B、28A、28Bを貫通延在し、上方向、下方向、第1横方向、第2横方向、前方向、および後方向D、D、DS1、DS2、D、D、および厚さ平面、高さ平面、および長手平面Ρ、P、Pを規定する。最大インサート厚、高さ、および長さL、L、Lは、インサートの厚さ軸線、高さ軸線、および長手軸線A、A、Aにそれぞれ平行に測定される。
【0029】
インサート上面26Aは、第1上端26A1から第2上端26A2まで後方に延在するとも記述され得る。図3Bに最も良く示されているように、インサート上面26Aの少なくとも上方当接部26A3は、上方向および第2横方向D、DS2に傾斜し得る。インサート上面26Aは、その割り出し後に、ツール14に接触するためにのみ使用されることを以下において理解されるであろう。
【0030】
インサート下面26Bは、第1下端26B1から第2下端26B2まで後方に延在するとも記述され得る。インサート下面26Bの少なくとも下方当接部26B3は、下方向および第2横方向D、DS2に傾斜し得る。
【0031】
第2側面24Bは、全体が参照符号30で示されている支持構成を設けて形成され得る。支持構成30は、長手平面Pに平行に延在する平面状の支持面30Aを備え得る。支持面30Aは、ツール14へのインサート12の確実な取り付けのために研磨されることが好ましい。
【0032】
インサート前面28Aは、下方向および後方向D、Dに、第1上端26A1から第1下端26B1までテーパが付けられると全般的に記述され得る。加えて、切刃20Aから離れている前方当接部28A1は、下方向、後方向、および第1横方向D、D、DS1が組み合わされた方向に傾斜していると更に規定され得る。
【0033】
インサート12の回転対称を念頭に置くと、インサート後面28Bは、インサート前面28Aに対応する構造を備える。詳しく説明すると、インサート後面28Bは、下方向、後方向、および第1横方向D、D、DS1を組み合わせた方向に傾斜した後方当接部28B1を備える。
【0034】
ねじ穴32がインサート第1および第2側面24A、24Bの両方に開口する。ねじ穴32が第1および第2側面24A、24Bの中心に位置する場合、インサート厚さ軸線Aもインサート12の中心Iを貫通延在でき、インサート12の割り出しを行うための中心軸線を構成し得る(この中心軸線は、この場合、インサート厚さ軸線Aでもあり、この場合、ねじ軸線も構成し得る)。言い換えると、インサート12は、中心軸線を中心として厳密に180°でのみ回転対称であり得る。この中心軸線は、この場合、インサート厚さ軸線Aと同軸である。
【0035】
第1および第3コーナ18A、18Cは同一であるので、以下においては第1コーナ18Aについてのみ説明する。
【0036】
図3Aに示されているように、切刃20Aは、第1コーナ18Aの上面の周囲に連続して延在し得る。切刃20Aは、第1副刃34Aと、第2副刃34Bと、第3副刃34Cとを備える。第1および第3副刃34A、34Cは、第1コーナ刃34Dによって接続され、第2および第3副刃34B、34Cは、第2コーナ刃34Eによって接続される。
【0037】
第1および第2副刃34A、34Bは、ほぼ平行であることが好ましい。例えば、図3Bにおいて、第1および第2副刃はどちらも、10ミクロンの高さHCEを有する切刃平面PCE内に収まることが分かる。高さ(または、この平面の向きが異なる場合は、対応する寸法)を有する平面についての本明細書における各記述は、代わりに、理論上の高さとしてゼロを有する平面から一定距離内に存在すると指定される要素として述べられ得ることを理解されるであろう。一例として説明すると、切刃平面PCEが理論上の高さHCEとしてゼロを有する場合、第1および第2副刃34A、34Bはどちらも切刃平面PCEからの延在距離が±5ミクロン未満である。
【0038】
同様に、高さHCEが150ミクロン、より好ましくは100ミクロン、である場合は、切刃全体20Aが切刃平面PCE内に収まり得ることが好ましい。言い換えると、切刃は(理論上の高さHCEとしてゼロを有すると仮定すると)、切刃平面PCEから±75ミクロン、より好ましくは±50ミクロン、の距離を超えて延在し得ない。
【0039】
特に図3Eを参照すると、第1コーナ刃34Dは、第1コーナ不連続点34D3において第1コーナ部34D2に接続された第1ワイパ部34D1を備え得ることが示されている。第2コーナ刃34Eは、第2コーナ不連続点34E3において第2コーナ部34E2に接続された第2ワイパ部34E1を備え得る。
【0040】
第1および第2ワイパ部34D1、34E1の各々は、図示のように第1および第2副刃34A、34Bの近い方と直角を形成し得る(例えば、第1ワイパ部は図3Eに直角記号で例示されている)。
【0041】
第1および第2ワイパ部34D1、34E1は、それぞれの先端点となる第1および第2不連続点35A、35Bにおいて第3副刃34Cに接続される。
【0042】
第1および第2不連続点35A、35Bの間に、第3副刃34Cが内方に(すなわち、図3Eに示されている図では、後方向Dに向かって)延在する。特に、第3副刃34Cは、その全体が、第1および第2ワイパ部34D1、34E1がそこに沿って存在する前縁平面PFEの後方に位置し得る。
【0043】
第3副刃34Cは、下方向に沿った図(図3E)において、中心部35Cを更に備え得る。中心部35Cは、この図では凹状であり、第3および第4不連続点35D、35Eまで延在する。ただし、それにもかかわらず、中心部35Cは、後方向に沿った図(図3D)では、好ましくは厚さ平面Pに平行に、直線状に延在する。
【0044】
図3Dに示されている図における第3副刃34Cについて更に説明すると、チップフォーマ構成22Aは、リッジ36を備えることに注目されたい。リッジ36は、以下で更に説明する第1および第2凹状側部37A、37Bを備える。
【0045】
凹状側部37A、37Bは、第1および第2凹状前縁部35F、35Gを第3副刃34Cに形成する。第1および第2凹状前縁部35F、35Gは、後方向(すなわち、図3Dに示されている図)および下方向(すなわち、図3Eに示されている図)の両方向に沿って凹状に示されている。第1および第2凹状前縁部35F、35Gは、第3および第4不連続点35D、35Eから第5および第6不連続点35H、35Iまでそれぞれ延在する(後者は、下方向に沿った図にのみ見える)。
【0046】
第1および第2チップ表面38A、38Bは、第1および第2直線縁部35J、35Kを第3副刃34Cに形成する。第1および第2直線縁部35J、35Kは、どちらも後方向(すなわち、図3Dに示されている図)に直線状に示されている。
【0047】
第1直線縁部35Jは、第1不連続点35Aから第5不連続点35Hまで延在する。
【0048】
第2直線縁部35Kは、第2不連続点35Bから第6不連続点35Iまで延在する。
【0049】
更に、この図に示されているように、第1および第2コーナ部34D2、34E2は、どちらも(鋭角コーナの可能な代替案ではなく)凸状部である。
【0050】
第3副刃34Cの非平滑パスは、言い換えると、後方向および下方向の両方向に見て、その複数の異なる高さは、(被削材チップの破断を所望の長さで引き起こすために)被削材チップの複数の異なる部分をそれぞれ異なる方向に偏向させることによって、被削材チップの不安定化の点で有利であり得ることに気付かれるであろう。
【0051】
図3A図3Fの全てに注目すると、第1チップフォーマ構成22Aは、第1および第2チップ表面38A、38Bと、第1および第2チップ表面38A、38Bに接続されたリッジ36と、中間平坦域40とを備え得る(中間平坦域は好適な製作方法の結果として存在し、チップ形成機能がない)。
【0052】
この例における第1および第2チップ表面38A、38Bは、長手平面Pについて鏡面対称であるので、以下の一部の機能は、一方のチップ表面にのみ言及して説明されているが、両面に当てはまることを理解されたい。
【0053】
特に図3Aに注目すると、第2チップ表面38Bは、第1チップ後縁38B1を備え得る。長手軸線Aに平行な方向に沿って、第3副刃34Cから第2チップ後縁38B1まで第2切り込み深さLC2が画成される。第2チップ表面38Bは、第2副刃34Bからリッジ36の始点まで厚さ軸線に平行な方向に延在する。リッジ36は、上面が上方に立ち上がる部分から始まると規定される(この場合、上方に立ち上がる部分の始点は、図3Aに仮想弯曲線によって示されている第2凹状側部37Bの始点37B1である)。
【0054】
総切り込み深さLGCは、第1および第2切り込み深さLC1、LC2の小さい方として規定される。この場合、第1および第2切り込み深さLC1、LC2は等しいので、総切り込み深さLGCはこれらの両方に等しい。
【0055】
下方向に沿った図(図3A)において、第1および第2チップ表面38A、38Bは、テーパ形状を有し得る。このテーパ形状は、第3副刃34Cに隣接する部分が第3副刃34Cからより離れた別の位置より幅広になり得る(例えば、第1および第2の幅LW1、LW2を参照。ここで、第1の幅LW1は、第2の幅LW2より第3副刃34Cにより近く、第2の幅LW2より大きい)。チップテーパ角βは、好ましくは4°±2°であり得る。このようなテーパ化は、(被削材チップを所望の長さで破断させるために)被削材チップの複数の異なる部分をそれぞれ異なる方向に偏向させることによって、被削材チップの不安定化に好都合であり得る。
【0056】
次に、特に図3Dを参照すると、第1および第2チップ表面38A、38Bは、それぞれ側角αを形成し得る。側角αは、この例では8°である。
【0057】
同じ後面図において、(この場合、第3副刃における第1および第2凹状部の始点と同じ、厚さ軸線に沿った位置に相当する)リッジ先端点42A、42B間で測定可能なリッジの幅Lは、インサート総厚Lの半分未満である。
【0058】
図3Aに戻ると、リッジ36は、リッジ前端36Aと、リッジ後端36Bと、その間に延在する中間部36Cとを備え得る。
【0059】
リッジ前端36Aは、凹状前部36A1と、前方第1平坦部36A2と、凹状前部36A1と前方第平坦部36A2とを接続する前方第2平坦部36A3とを備え得る。
【0060】
リッジ後端36Bの後方上面36B1は、平面状であり得る。
【0061】
前方第2平坦部36A3と後方上面36B1との間に中間部36Cの少なくとも上面36C1が接続され得る。
【0062】
図3Cの図から最も良く理解されるように、リッジ後端36Bは、下方向および後方向の両方向に延在し得る。
【0063】
図3Fに最も良く示されているように、リッジ36のリッジ前端36Aの少なくとも最前部(例えば、凹状前部36A1と中間平坦域40とが出会うリッジ不連続点36A4)は、上方向および後方向D、Dに延在し得る。したがって、図3Cにリッジ36全体によって示されているリッジ36は、凸状の基本形状を有し得る。このような形状は、(被削材チップを所望の長さで破断させるために)被削材チップの複数の異なる部分をそれぞれ異なる方向に偏向させることによって、被削材チップの不安定化に好都合であり得る。
【0064】
次に図3Fを参照すると、横方向への機械加工のためには、リッジの前縁が第3副刃まで延在する(これにより、切刃の主切削副刃、すなわち第1および第2副刃、に沿って更に延在する)ことが好都合であり得るが、この図においてリッジ前端36Aは凹状である。これは、特に延性材料の場合に、軸線方向への(すなわち、前方向Dへの)機械加工のために利点をもたらす。横方向への機械加工が圧倒的大部分の機械加工であるとしても、このような特徴は性能を著しく損なわないことが分かった。詳しく説明すると、インサート長手軸線に沿って測定可能な、第3副刃34Cとリッジのリッジ前端の始点(すなわち、この例においては、リッジ不連続点36A4)との間の前方離間長LFSは、総切り込み深さLGCの少なくとも5%であり得る(図3A)。
【0065】
次に図3Cを参照すると、リッジ36の不安定化効果と主切刃22Aの大半に沿った(すなわち、第1および第2副刃に沿った)ノーマル偏向機能とを共に実現するために、リッジ後端36Bをチップ縁に達する寸前まで下降させることができる。詳しく説明すると、リッジ後端36B2の開始位置と後縁平面PREとの間の後方離間長LRSは、総切り込み深さLGCの少なくとも5%である。図3Aおよび図3Cから分かるように、この後縁平面PREは、高さ平面(P)に平行であり、第3副刃34Cから前記総切り込み深さ(LGC)だけ離れている。
【0066】
図2A図2Cに注目すると、ツール14が示されている。ツール14は、ツール前端および後端44A、44Bと、その間に延在する細長い本体44Cとを備える。詳しく説明すると、ツール14は、ツール前面および後面46A、46Bと、ツール前面および後面46A、46Bの間に互いに直角に延在する第1、第2、第3、および第4ツール側面46C、46D、46E、46Fとを有し得る。
【0067】
ツール14は、ツール上方向、下方向、第1横方向、第2横方向、前方向、および後方向DTU、DTD、DTS1、DTS2、DTF、DTRも規定する。
【0068】
ツールは、単一のインサート座48をツール前端44Aに備え得る。より正確には、インサート座48は、ツール前面46Aと第1および第2ツール側面46C、46Dとが交わる部分に形成され得る。
【0069】
インサート座48は、ツール第1当接面48Aとそこに形成された少なくとも1つの雌ねじ付きツール穴50とを備え得る。
【0070】
ツール第1当接面48Aは、第2ツール側面46Dに平行に、またはほぼ平行に、延在し得る。ツール第1当接面48Aは、または少なくともその複数部分は、インサート12の精確な取り付けのために、平面状であり得る。
【0071】
インサート座48は、逃げ凹部48Dによって離されたツール第2および第3当接面48B、48Cを更に備え得る。これらは全てツール第1当接面の周囲に沿って延在する。
【0072】
ツール第2当接面48Bは、ツール前面46Aからツール後方向DTRに延在し得る。図2Bに示されているように、ツール14へのインサート12の確実な締着を助けるために、ツール第2当接面48Bは内側にも傾斜する。すなわち、ツール下方向および第2横方向DTD、DTS2に延在する。
【0073】
より良好な締着のために、ツール第3当接面48Cも傾斜させ得る。図示のように、ツール第3当接面48Cは、ツール後方向、第2横方向、および下方向DTR、DTS2、DTDに延在し得る。
【0074】
言い換えると、以下の対を成す表面の各々は、相互に傾斜している。ツール第1当接面48Aとインサートの第2側面24B(より正確には、支持構成30の支持面30A)、ツール第2当接面48Bとインサート下面26B(より正確には、その下方当接部26B3)、およびツール第3当接面48Cとインサート後面28B(より正確には、その後方当接部28B1)。
【0075】
図1A図1Cに注目すると、インサート12は、インサート座48に締着された姿勢で示されている。インサートとツールとの間の全ての締着用接触は、以下の表面によって実現される。ツール第1当接面48Aとインサートの第2側面24B(より正確には、支持構成30の支持面30A)、ツール第2当接面48Bとインサート下面26B(より正確には、その下方当接部26B3)、およびツール第3当接面48Cとインサート後面28B(より正確には、その後方当接部28B1)。この締着は、この例においてはねじ16によってもたらされる、締め付け力を更に含む。
【0076】
スイス型機械加工のために、第1コーナ刃34Dが第1および第2ツール側面46C、46Dの両方に位置合わせされることが好ましいことが図1Bから分かるであろう。
【0077】
同様に、第1副刃34Aは、図1Aおよび図1Bの両図に示されているツール第2側面46Dの共通縁に位置合わせされ得る。
【0078】
図4を参照すると、金属被削材52がスイス型CNC工作機械(図示せず)のための一般的な方法で挟持された状態で示されている。特に、被削材52は、被削材52の機械加工対象部分56に隣接するブッシュ54によって保持されており、被削材52の一端58は固定されていない。
【0079】
本願による第1切刃20Aおよびチップフォーマ構成22Aは、図示の第1および第2横方向DS1、DS2の両方向ならびに軸線方向(すなわち、前方向D、DTF)への機械加工を可能にすることを理解されるであろう。
【0080】
図5Aおよび図5Bは、4つのスイス型ツール組立体10(すなわち、インサート12とツール14とを備えたツール組立体10)から成る一般的なギャング60を説明するために示されている。この充密配置から、このようなギャング60には他の種類のインサート12が使用不可能である理由を理解されるであろう。
図1A
図1B
図1C
図2A-2C】
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4
図5A
図5B