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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-13
(45)【発行日】2023-07-24
(54)【発明の名称】処理システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20230714BHJP
   B25J 9/06 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B25J9/06 D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019145018
(22)【出願日】2019-08-07
(65)【公開番号】P2021027210
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】小林 敏之
(72)【発明者】
【氏名】細川 正己
(72)【発明者】
【氏名】河原 啓之
(72)【発明者】
【氏名】橋本 光治
(72)【発明者】
【氏名】菊本 憲幸
(72)【発明者】
【氏名】墨 周武
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-182817(JP,A)
【文献】特開2017-183666(JP,A)
【文献】特開2003-282666(JP,A)
【文献】特開2015-207602(JP,A)
【文献】特開2003-92335(JP,A)
【文献】特開2009-32877(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B25J 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象物に対して所定の処理を行う処理装置と、前記処理装置からの前記処理対象物の搬出および前記処理装置への前記処理対象物の搬入の少なくともいずれか一方を行う搬送ロボットとを備え、
前記処理装置には、前記処理装置の内部と前記処理装置の外部との間で前記処理対象物を搬送するための開口部が形成され、
前記搬送ロボットは、前記処理対象物が載置されるハンドと、一定方向を向いた状態の前記ハンドを直線的に移動させるハンド移動機構と、前記ハンドよりも下側に配置され前記処理対象物からの落下物を受けるための受け部材と、前記受け部材の少なくとも一部を前記ハンドの往復移動方向に移動させる受け部材移動機構とを備え、
前記ハンド移動機構は、前記開口部から前記処理装置に入り込んだ前記ハンドが前記処理装置の内部に配置される第1位置と、前記ハンドが前記処理装置の外部に配置される第2位置との間で前記ハンドを移動させ、
前記受け部材は、前記第2位置に配置された前記ハンドに載置される前記処理対象物の下側に少なくとも配置され、
前記受け部材移動機構は、前記開口部から前記処理装置に入り込んだ前記受け部材の一部が前記処理装置の内部に配置される第3位置と、前記受け部材が前記処理装置の外部に配置される第4位置との間で前記受け部材の少なくとも一部を移動させるとともに、少なくとも前記処理対象物が載置された状態の前記ハンドが前記第1位置と前記第2位置との間を移動するときに、前記受け部材の少なくとも一部を前記第3位置に移動させることを特徴とする処理システム。
【請求項2】
前記第1位置から前記第2位置に向かって移動する前記ハンドの移動方向を第1方向とし、前記ハンドの往復移動方向と上下方向とに直交する方向を第2方向とすると、
前記搬送ロボットは、前記第2位置に配置される前記ハンドを上下方向の両側、第2方向の両側および第1方向側から覆うカバー部材を備え、
前記カバー部材の底部が前記受け部材となっていることを特徴とする請求項1記載の処理システム。
【請求項3】
前記カバー部材は、固定カバーと、前記固定カバーに対して移動可能な可動カバーとを備え、
前記受け部材移動機構は、少なくとも前記処理対象物が載置された状態の前記ハンドが前記第1位置と前記第2位置との間を移動するときに、前記可動カバーを前記第3位置に移動させて、前記可動カバーの一部を前記処理装置の内部に配置することを特徴とする請求項2記載の処理システム。
【請求項4】
前記搬送ロボットは、前記カバー部材の内部から空気を吸引する吸引機構を備えることを特徴とする請求項2または3記載の処理システム。
【請求項5】
前記カバー部材は、金属で形成されていることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の処理システム。
【請求項6】
前記受け部材移動機構は、エアシリンダを備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の処理システム。
【請求項7】
前記ハンド移動機構は、前記ハンドが先端側に回動可能に連結される多関節アームと、前記多関節アームを伸縮させるアーム駆動機構とを備え、
前記第1位置は、前記多関節アームが所定位置まで伸びているときの前記ハンドの位置であり、
前記第2位置は、前記多関節アームが所定位置まで縮んでいるときの前記ハンドの位置であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の処理システム。
【請求項8】
前記搬送ロボットは、前記多関節アームの基端側が回動可能に連結されるアーム支持部材と、前記アーム支持部材を昇降可能に保持する保持フレームと、前記保持フレームに対して前記アーム支持部材を昇降させる昇降機構と、上下方向を回動の軸方向として前記保持フレームを回動させる回動機構とを備え、
前記回動機構は、前記ハンドが前記第2位置にあるときに、前記保持フレームを回動させることを特徴とする請求項7記載の処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ等の処理対象物に対して所定の処理を行う処理装置と、処理装置に対する処理対象物の搬送を行う搬送ロボットとを備える処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウエハを搬送する産業用ロボットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の産業用ロボットは、半導体ウエハが載置されるハンドと、ハンドが回動可能に連結されるアームと、アームの基端側が回動可能に連結される本体部とを備えている。この産業用ロボットは、半導体製造システムに組み込まれて使用されており、半導体ウエハに対して所定の処理を行う処理装置からの半導体ウエハの搬出と、処理装置への半導体ウエハの搬入とを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-119326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体製造システムに組み込まれる処理装置の中には、可燃性の有機溶剤を使用して半導体ウエハに対する処理を行う処理装置がある。この場合、半導体製造システムに組み込まれる産業用ロボットは、可燃性の有機溶剤が上面に載っている半導体ウエハを搬送しなければならない状況が生じうる。可燃性の有機溶剤が上面に載っている半導体ウエハを産業用ロボットが搬送する場合、半導体ウエハの上面に載っている可燃性の有機溶剤が半導体ウエハからこぼれ落ちて処理装置の外部で拡散すると、種々の問題が生じるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明の課題は、処理対象物に対して所定の処理を行う処理装置と、処理装置に対する処理対象物の搬送を行う搬送ロボットとを備える処理システムにおいて、搬送ロボットが処理対象物を搬送するときに、処理対象物に載っている物が処理対象物からこぼれ落ちても、こぼれ落ちた物が処理装置の外部で拡散するのを抑制することが可能な処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明の処理システムは、処理対象物に対して所定の処理を行う処理装置と、処理装置からの処理対象物の搬出および処理装置への処理対象物の搬入の少なくともいずれか一方を行う搬送ロボットとを備え、処理装置には、処理装置の内部と処理装置の外部との間で処理対象物を搬送するための開口部が形成され、搬送ロボットは、処理対象物が載置されるハンドと、一定方向を向いた状態のハンドを直線的に移動させるハンド移動機構と、ハンドよりも下側に配置され処理対象物からの落下物を受けるための受け部材と、受け部材の少なくとも一部をハンドの往復移動方向に移動させる受け部材移動機構とを備え、ハンド移動機構は、開口部から処理装置に入り込んだハンドが処理装置の内部に配置される第1位置と、ハンドが処理装置の外部に配置される第2位置との間でハンドを移動させ、受け部材は、第2位置に配置されたハンドに載置される処理対象物の下側に少なくとも配置され、受け部材移動機構は、開口部から処理装置に入り込んだ受け部材の一部が処理装置の内部に配置される第3位置と、受け部材が処理装置の外部に配置される第4位置との間で受け部材の少なくとも一部を移動させるとともに、少なくとも処理対象物が載置された状態のハンドが第1位置と第2位置との間を移動するときに、受け部材の少なくとも一部を第3位置に移動させることを特徴とする。
【0007】
本発明の処理システムでは、ハンドよりも下側に配置され処理対象物からの落下物を受けるための受け部材は、第2位置に配置されたハンドに載置される処理対象物の下側(すなわち、処理装置の外部に配置された処理対象物の下側)に少なくとも配置されている。そのため、本発明では、ハンドに載置された処理対象物を処理装置の外部で搬送ロボットが搬送するときに、処理対象物に載っている物が処理対象物からこぼれ落ちても、こぼれ落ちた物が拡散(飛散)するのを受け部材によって抑制することが可能になる。
【0008】
また、本発明では、受け部材移動機構は、少なくとも処理対象物が載置された状態のハンドが第1位置と第2位置との間を移動するときに、開口部から処理装置に入り込んだ受け部材の一部が処理装置の内部に配置される第3位置に、受け部材の少なくとも一部を移動させている。そのため、本発明では、ハンドに載置された処理対象物を搬送ロボットが処理装置から搬出するときや、ハンドに載置された処理対象物を搬送ロボットが処理装置に搬入するときに、処理対象物に載っている物が処理対象物からこぼれ落ちても、こぼれ落ちた物が拡散するのを受け部材によって抑制することが可能になる。
【0009】
このように本発明では、処理装置の外部で処理対象物を搬送ロボットが搬送するときに、処理対象物に載っている物が処理対象物からこぼれ落ちても、また、搬送ロボットが処理対象物を処理装置から搬出するときや、搬送ロボットが処理対象物を処理装置に搬入するときに、処理対象物に載っている物が処理対象物からこぼれ落ちても、こぼれ落ちた物が拡散するのを受け部材によって抑制することが可能になる。したがって、本発明では、搬送ロボットが処理対象物を搬送するときに、処理対象物に載っている物が処理対象物からこぼれ落ちても、こぼれ落ちた物が処理装置の外部で拡散するのを抑制することが可能になる。
【0010】
本発明において、第1位置から第2位置に向かって移動するハンドの移動方向を第1方向とし、ハンドの往復移動方向と上下方向とに直交する方向を第2方向とすると、搬送ロボットは、第2位置に配置されるハンドを上下方向の両側、第2方向の両側および第1方向側から覆うカバー部材を備え、カバー部材の底部が受け部材となっていることが好ましい。このように構成すると、揮発性が高い物が処理対象物に載っていて、処理対象物に載っていた物が気化する場合であっても、第2位置に配置されるハンドを上下方向の両側、第2方向の両側および第1方向から覆うカバー部材によって、気化した物が処理装置の外部で拡散するのを抑制することが可能になる。
【0011】
本発明において、カバー部材は、固定カバーと、固定カバーに対して移動可能な可動カバーとを備え、受け部材移動機構は、少なくとも処理対象物が載置された状態のハンドが第1位置と第2位置との間を移動するときに、可動カバーを第3位置に移動させて、可動カバーの一部を処理装置の内部に配置することが好ましい。このように構成すると、受け部材移動機構がカバー部材の全体を移動させる場合と比較して、受け部材移動機構の駆動力が小さくても、可動カバーを移動させることが可能になる。したがって、受け部材移動機構の構成を簡素化して、受け部材移動機構を小型化することが可能になる。
【0012】
本発明において、搬送ロボットは、カバー部材の内部から空気を吸引する吸引機構を備えることが好ましい。このように構成すると、揮発性が高い物が処理対象物に載っていて、処理対象物に載っていた物がカバー部材の内部で気化する場合であっても、気化した物を空気と一緒に吸引してカバー部材の外部の所定の位置に排出することが可能になる。したがって、揮発性が高い物が処理対象物に載っている場合であっても、気化した物が処理装置の外部で拡散するのを効果的に抑制することが可能になる。また、このように構成すると、処理対象物から受け部材(すなわち、カバー部材の底部)にこぼれ落ちた落下物を空気と一緒に吸引してカバー部材の外部の所定の位置に排出することが可能になる。したがって、処理対象物に載っている物が処理対象物からこぼれ落ちても、こぼれ落ちた物が処理装置の外部で拡散するのを効果的に抑制することが可能になる。
【0013】
本発明において、カバー部材は、たとえば、金属で形成されている。また、本発明において、受け部材移動機構は、たとえば、エアシリンダを備えている。
【0014】
本発明において、たとえば、ハンド移動機構は、ハンドが先端側に回動可能に連結される多関節アームと、多関節アームを伸縮させるアーム駆動機構とを備え、第1位置は、多関節アームが所定位置まで伸びているときのハンドの位置であり、第2位置は、多関節アームが所定位置まで縮んでいるときのハンドの位置である。
【0015】
また、本発明において、たとえば、搬送ロボットは、多関節アームの基端側が回動可能に連結されるアーム支持部材と、アーム支持部材を昇降可能に保持する保持フレームと、保持フレームに対してアーム支持部材を昇降させる昇降機構と、上下方向を回動の軸方向として保持フレームを回動させる回動機構とを備え、回動機構は、ハンドが第2位置にあるときに、保持フレームを回動させる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明では、処理対象物に対して所定の処理を行う処理装置と、処理装置に対する処理対象物の搬送を行う搬送ロボットとを備える処理システムにおいて、搬送ロボットが処理対象物を搬送するときに、処理対象物に載っている物が処理対象物からこぼれ落ちても、こぼれ落ちた物が処理装置の外部で拡散するのを抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態にかかる処理システムの構成を説明するための平面図である。
図2図1に示す処理システムの構成を説明するための側面図である。
図3図1に示す搬送ロボットの斜視図である。
図4図3に示す搬送ロボットの構成を説明するためのブロック図である。
図5図2のE-E方向からハンド、アーム支持部材およびカバー部材等を示す図である。
図6図3に示す搬送ロボットの動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0019】
(処理システムの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる処理システム1の構成を説明するための平面図である。図2は、図1に示す処理システム1の構成を説明するための側面図である。
【0020】
本形態の処理システム1は、半導体を製造するための半導体製造システムの一部を構成している。処理システム1は、処理対象物である半導体ウエハ2(以下、「ウエハ2」とする。)に対して所定の処理を行う処理装置3と、処理装置3からのウエハ2の搬出および処理装置3へのウエハ2の搬入の少なくともいずれか一方を行う搬送ロボット4(以下、「ロボット4」とする。)とを備えている。ウエハ2は、円板状に形成されている。
【0021】
処理装置3の内部には、ウエハ2を処理するための各種の機器が配置されている。処理装置3には、処理装置3の内部と処理装置3の外部との間でウエハ2を搬送するための開口部3aが形成されている(図2参照)。すなわち、処理装置3の筐体には、処理装置3の内部と処理装置3の外部との間でウエハ2を出し入れするための開口部3aが形成されている。開口部3aは、水平方向の細長い長方形に形成されている。本形態では、処理装置3でのウエハ2の処理工程、および、処理装置3でのウエハ2の処理工程の前工程の少なくともいずれか一方において、可燃性の有機溶剤(薬液)が使用される。そのため、処理装置3から搬出されるウエハ2の上面、および、処理装置3に搬入されるウエハ2の上面の少なくともいずれか一方には、可燃性の有機溶剤が載っている。
【0022】
ロボット4は、水平多関節型ロボットである。ロボット4は、ウエハ2が載置されるハンド6と、ハンド6が先端側に回動可能に連結される多関節アーム7(以下、「アーム7」とする。)と、アーム7の基端側が連結される本体部8とを備えている。以下、ロボット4の構成およびロボット4の概略動作を説明する。
【0023】
(搬送ロボットの構成および概略動作)
図3は、図1に示すロボット4の斜視図である。図4は、図3に示すロボット4の構成を説明するためのブロック図である。図5は、図2のE-E方向からハンド6、アーム支持部材9およびカバー部材15等を示す図である。図6は、図3に示すロボット4の動作を説明するための図である。
【0024】
上述のように、ロボット4は、ハンド6とアーム7と本体部8とを備えている。本体部8は、アーム7の基端側が回動可能に連結されるアーム支持部材9と、アーム支持部材9を昇降可能に保持する保持フレーム10と、ロボット4の下端部を構成するベース部材11とを備えている。また、ロボット4は、アーム7を伸縮させるアーム駆動機構12と、保持フレーム10に対してアーム支持部材9を昇降させる昇降機構13と、上下方向を回動の軸方向としてベース部材11に対して保持フレーム10を回動させる回動機構14とを備えている。
【0025】
また、ロボット4は、ハンド6およびアーム7を覆うためのカバー部材15を備えている。カバー部材15は、固定カバー16と、固定カバー16に対して移動可能な可動カバー17とを備えている。本形態のカバー部材15は、固定カバー16と可動カバー17とから構成されている。固定カバー16および可動カバー17は、金属で形成されている。すなわち、カバー部材15は、金属で形成されている。ロボット4は、さらに、可動カバー17を移動させるカバー移動機構18(図2参照)と、カバー部材15の内部から空気を吸引する吸引機構19、20(図5参照)とを備えている。
【0026】
アーム7は、第1アーム部22と第2アーム部23とから構成されている。第1アーム部22の基端側は、本体部8に回動可能に連結されている。第2アーム部23の基端側は、第1アーム部22の先端側に回動可能に連結されている。ハンド6は、ウエハ2が載置されるウエハ載置部24と、アーム7に連結されるハンド基部25とから構成されている。ウエハ載置部24は、二股状に形成されている。ウエハ載置部24の基端部は、ハンド基部25の先端部に固定されている。ハンド基部25の基端側は、第2アーム部23の先端側に回動可能に連結されている。ハンド6、第2アーム部23および第1アーム部22は、上側からこの順番で配置されている。
【0027】
アーム支持部材9は、中空のブロック状に形成されている。第1アーム部22の基端側は、アーム支持部材9の上面に回動可能に連結されている。保持フレーム10は、アーム7を挟んで配置される2本の柱部26を備えている。柱部26は、上下方向を長手方向とする柱状に形成されている。また、保持フレーム10は、柱部26の下端部が固定されるとともに保持フレーム10の下端部を構成するフレーム下部27を備えている。ベース部材11は、平板状に形成されている。保持フレーム10の下端部は、ベース部材11の上面に回動可能に連結されている。
【0028】
昇降機構13は、モータと、モータの動力をアーム支持部材9に伝達する動力伝達機構と、アーム支持部材9を上下方向に案内するガイド機構とを備えている。動力伝達機構は、たとえば、柱部26の内部に配置されるボールねじを備えている。あるいは、動力伝達機構は、柱部26の内部に配置されるベルトおよびプーリを備えている。ガイド機構は、柱部26に沿って配置されるガイドレールと、ガイドレールに係合するガイドブロックとを備えている。回動機構14は、モータと、モータの動力をフレーム下部27に伝達する動力伝達機構とを備えている。回動機構14の動力伝達機構は、たとえば、フレーム下部27の内部に配置されるベルトおよびプーリを備えている。
【0029】
アーム駆動機構12は、モータと、モータの動力をアーム7に伝達する動力伝達機構とを備えている。アーム駆動機構12の動力伝達機構は、アーム7の内部に配置されるベルトおよびプーリ等を備えている。アーム駆動機構12は、ハンド6が一定方向を向いた状態で直線的に移動するようにアーム7を伸縮させる。具体的には、アーム駆動機構12は、ハンド6が一定方向を向いた状態で、かつ、ハンド6とアーム7との連結部分が直線的に移動するようにアーム7を伸縮させる。たとえば、アーム駆動機構12は、ハンド6の先端が図1の左側を向いた状態でハンド6が図1の左右方向に直線的に移動するようにアーム7を伸縮させる。
【0030】
また、アーム駆動機構12は、処理装置3の開口部3aから処理装置3に入り込んだハンド6が処理装置3の内部に配置される第1位置6A(図6(B)参照)と、ハンド6が処理装置3の外部に配置される第2位置6B(図1図6(A)参照)との間でハンド6が移動するようにアーム7を伸縮させる。本形態では、アーム7とアーム駆動機構12とによって、一定方向を向いた状態のハンド6を直線的に移動させるハンド移動機構が構成されており、このハンド移動機構は、第1位置6Aと第2位置6Bとの間でハンド6を移動させる。
【0031】
第1位置6Aは、アーム7が所定位置まで伸びているときのハンド6の位置である。本形態では、第1位置6Aにハンド6があるときに、ハンド6と処理装置3との間でウエハ2の受渡しが行われる。第2位置6Bは、アーム7が所定位置まで縮んでいるときのハンド6の位置である。本形態では、ハンド6が第2位置6Bにあるときに、回動機構14によって上下方向を回動の軸方向として回動するロボット4の回動半径が最も小さくなる。回動機構14は、ハンド6が第2位置6Bにあるときに、保持フレーム10を回動させる。すなわち、回動機構14は、ハンド6が第2位置6Bにあるときに、ロボット4を回動させる。
【0032】
以下の説明では、説明の便宜上、ハンド6の往復移動方向(図1等のX方向)を前後方向とし、前後方向と上下方向とに直交する図1等のY方向を左右方向とする。また、前後方向のうちの、第2位置6Bから第1位置6Aに向かって移動するハンド6の移動方向(図1等のX1方向)を「前」方向とし、前後方向のうちの、第1位置6Aから第2位置6Bに向かって移動するハンド6の移動方向(図1等のX2方向)を「後ろ」方向とする。本形態の後ろ方向(X2方向)は第1方向であり、左右方向(Y方向)は第2方向である。
【0033】
固定カバー16は、前面が開口する略直方体の箱状に形成されている。固定カバー16は、アーム支持部材9の上面に固定されている。上述のように、固定カバー16は、金属で形成されている。具体的には、固定カバー16は、ステンレス鋼板で形成されている。固定カバー16は、固定カバー16の底面を構成する底板16aと、固定カバー16の上面を構成する天板16bと、固定カバー16の左右の側面を構成する2枚の側板16cと、固定カバー16の後面を構成する後面板16dとから構成されている。底板16aおよび天板16bは、上下方向に直交する平板状に形成され、側板16cは、左右方向に直交する平板状に形成されている。
【0034】
可動カバー17は、前面の一部および後面が開口する略直方体の箱状に形成されている。上述のように、可動カバー17は、金属で形成されている。具体的には、可動カバー17は、ステンレス鋼板で形成されている。可動カバー17は、可動カバー17の底面を構成する底板17aと、可動カバー17の上面を構成する平板状の天板17bと、可動カバー17の左右の側面を構成する平板状の2枚の側板17cとから構成されている。天板17bは、上下方向に直交する平板状に形成され、側板17cは、左右方向に直交する平板状に形成されている。
【0035】
底板17aは、底板17aの前端側部分を構成する底板部17d、17eと、底板17aの、底板部17d、17eを除いた部分である底板部17fとを備えている。底板17d~17fは、上下方向に直交する平板状に形成されている。底板部17dは、底板部17eよりも前側に配置されている。底板部17eは、底板部17fよりも上側に配置され、底板部17dは、底板部17eよりも上側に配置されている。底板部17fは、底板16aよりも上側に配置されている。
【0036】
また、底板17aは、底板部17dの後端と底板部17eの前端とを繋ぐ段差部17gと、底板部17eの後端と底板部17fの前端とを繋ぐ段差部17hとを備えている。本形態の底板17aは、底板部17d~17fと、段差部17g、17hとから構成されている。段差部17g、17hは、前後方向に直交する平板状に形成されており、底板17aは、階段状に形成されている。可動カバー17の前面では、底板部17dと天板17bとの間が開口している。
【0037】
可動カバー17の後端側部分は、固定カバー16の中に収容されている。可動カバー17の、底板部17d、17eが形成されている部分は、固定カバー16の前端よりも前側に配置されている。可動カバー17は、固定カバー16に対して前後方向へ移動可能になっている。また、可動カバー17は、アーム支持部材9に対して前後方向への移動が可能となるように、アーム支持部材9の上面側に配置されている。
【0038】
底板部17dは、ハンド6よりも下側に配置されている。すなわち、底板16a、17aは、ハンド6よりも下側に配置されている。本形態では、底板16aと底板17aとによってカバー部材15の底部15aが構成されている。また、本形態の底部15aは、ハンド6よりも下側に配置されウエハ2からの落下物を受けるための受け部材となっている。なお、以下の説明では、可動カバー17の、底板部17dが形成されている部分を「前端部17j」とする。
【0039】
第2位置6Bに配置されるハンド6は、カバー部材15の中に配置されている。第2位置6Bに配置されるハンド6の下側には、底部15a(すなわち、底板16a、17a)が配置されており、第2位置6Bに配置されるハンド6の全体は、底部15aによって下側から覆われている。また、底部15aは、第2位置6Bに配置されたハンド6に載置されるウエハ2の下側に配置されており、第2位置6Bに配置されたハンド6に載置されるウエハ2の全体は、底部15aによって下側から覆われている。
【0040】
また、第2位置6Bに配置されるハンド6の全体は、天板16b、17bによって上側から覆われ、側板16c、17cによって左右方向の両側から覆われるとともに、後面板16dによって後ろ側から覆われている。すなわち、カバー部材15は、第2位置6Bに配置されるハンド6を上下方向の両側、左右方向の両側および後ろ側から覆っている。具体的には、カバー部材15は、第2位置6Bに配置されるハンド6の全体を上下方向の両側、左右方向の両側および後ろ側から覆っている。また、カバー部材15は、第2位置6Bに配置されたハンド6に載置されるウエハ2の全体を上下方向の両側、左右方向の両側および後ろ側から覆っている。さらに、カバー部材15は、アーム7の全体を上下方向の両側、左右方向の両側および後ろ側から覆っている。
【0041】
吸引機構19、20は、たとえば、真空ポンプである。吸引機構19は、配管32を介してカバー部材15に接続され、吸引機構20は、配管33を介してカバー部材15に接続されている。吸引機構19は、カバー部材15の内部で気化(揮発)した有機溶剤を空気と一緒に吸引してカバー部材15の外部の所定位置に排出する機能を果たしている。配管32の端部は、たとえば、カバー部材15の上端側部分に接続されている。
【0042】
吸引機構20は、カバー部材15の内部でウエハ2からこぼれ落ちた液体状の有機溶剤を空気と一緒に吸引してカバー部材15の外部の所定位置に排出する機能を果たしている。配管33の端部は、たとえば、カバー部材15の底部15aに接続されている。なお、底部15aの上面には、ウエハ2からこぼれ落ちた液体状の有機溶剤を配管33に案内するドレーン(溝)が形成されている。
【0043】
カバー移動機構18は、可動カバー17を前後方向に移動させる。すなわち、カバー移動機構18は、ハンド6の往復移動方向に可動カバー17を移動させる。カバー移動機構18は、駆動源となるエアシリンダ30を備えている(図2参照)。エアシリンダ30は、アーム支持部材9の内部に配置されている。また、エアシリンダ30の本体部は、アーム支持部材9に固定されている。エアシリンダ30のロッドは、所定の部材を介して可動カバー17の底板17aに取り付けられている。本形態のカバー移動機構18は、受け部材である底部15aの一部をなす底板17aを前後方向に移動させる受け部材移動機構となっている。
【0044】
カバー移動機構18は、可動カバー17の前端部17jの一部が開口部3aから処理装置3の内部に入り込む第3位置17A(図2図6参照)と、可動カバー17の前端部17jが処理装置3の外部に配置される第4位置17B(図1参照)との間で可動カバー17を移動させる。すなわち、カバー移動機構18は、開口部3aから処理装置3に入り込んだ底部15aの一部が処理装置3の内部に配置される第3位置17Aと、底部15aが処理装置3の外部に配置される第4位置17Bとの間で可動カバー17を移動させる。
【0045】
また、カバー移動機構18は、少なくともウエハ2が載置された状態のハンド6が第1位置6Aと第2位置6Bとの間を移動するときに、可動カバー17を第3位置17Aに移動させて、前端部17jの一部を処理装置3の内部に配置する。すなわち、カバー移動機構18は、少なくともウエハ2が載置された状態のハンド6が第1位置6Aと第2位置6Bとの間を移動するときに、受け部材である底部15aの一部を第3位置17Aに移動させる。
【0046】
本形態では、ウエハ2が載置された状態のハンド6が第1位置6Aと第2位置6Bとの間を移動するとき、および、ウエハ2が載置されていない状態のハンド6が第1位置6Aと第2位置6Bとの間を移動するときのいずれにおいても、可動カバー17を第3位置17Aに移動させて、前端部17jの一部を処理装置3の内部に配置する。ただし、ウエハ2が載置された状態のハンド6が第1位置6Aと第2位置6Bとの間を移動するときのみに、可動カバー17を第3位置17Aに移動させて、前端部17jの一部を処理装置3の内部に配置しても良い。この場合、ウエハ2が載置されていない状態のハンド6が第1位置6Aと第2位置6Bとの間を移動するときには、可動カバー17は第4位置17Bに配置されている。
【0047】
なお、可動カバー17が第3位置17Aに配置されている状態においても、可動カバー17の後端側部分は、固定カバー16の中に収容されている。また、第2位置6Bに配置されるハンド6の全体は、可動カバー17が第3位置17Aおよび第4位置17Bのいずれの位置にあっても、カバー部材15によって、上下方向の両側、左右方向の両側および後ろ側から覆われている。また、本形態では、第1位置6Aに配置されるハンド6の後端部は、第3位置17Aに配置される可動カバー17の内部に配置されている(図6(B)参照)。
【0048】
ロボット4が、たとえば、処理装置3で処理された処理後のウエハ2を処理装置3から搬出するときには、第4位置17Bに配置された可動カバー17を第3位置17Aに移動させてから(図6(A)参照)、第2位置6Bに配置されるハンド6を第1位置6Aに移動させて、処理装置3からウエハ2を受け取る(図6(B)参照)。また、ウエハ2を受け取ったハンド6を第1位置6Aから第2位置6Bに移動させた後、第3位置17Aに配置された可動カバー17を第4位置17Bに移動させる。
【0049】
その後、アーム支持部材9を昇降させたり、保持フレーム10を回動させたりした後に、後工程が行われる処理装置にウエハ2を搬入する。なお、後工程が行われる処理装置にも、開口部3aと同様の開口部が形成されており、第4位置17Bに配置された可動カバー17を第3位置17Aに移動させてから、第2位置6Bに配置されるハンド6を第1位置6Aに移動させて、後工程が行われる処理装置にウエハ2を引き渡す。また、ウエハ2を引き渡したハンド6を第1位置6Aから第2位置6Bに移動させた後、第3位置17Aに配置された可動カバー17を第4位置17Bに移動させる。
【0050】
また、ロボット4が、たとえば、処理装置3に処理前のウエハ2を搬入するときには、第4位置17Bに配置された可動カバー17を第3位置17Aに移動させてから、第2位置6Bに配置されるハンド6を第1位置6Aに移動させて、処理装置3にウエハ2を引き渡す。また、ウエハ2を引き渡したハンド6を第1位置6Aから第2位置6Bに移動させた後、第3位置17Aに配置された可動カバー17を第4位置17Bに移動させる。
【0051】
なお、前工程が行われる処理装置にも、開口部3aと同様の開口部が形成されており、第4位置17Bに配置された可動カバー17を第3位置17Aに移動させてから、第2位置6Bに配置されるハンド6を第1位置6Aに移動させて、前工程が行われる処理装置からウエハ2を受け取る。また、ウエハ2を受け取ったハンド6を第1位置6Aから第2位置6Bまで移動させた後、第3位置17Aに配置された可動カバー17を第4位置17Bに移動させる。その後、アーム支持部材9を昇降させたり、保持フレーム10を回動させたりした後に、処理装置3にウエハ2を搬入する。
【0052】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、ハンド6よりも下側に配置されウエハ2からの落下物を受けるための底部15aは、第2位置6Bに配置されたハンド6に載置されるウエハ2の下側(すなわち、処理装置3の外部に配置されたウエハ2の下側)に配置されている。そのため、本形態では、ハンド6に載置されたウエハ2を処理装置3の外部でロボット4が搬送するときに、ウエハ2に載っている有機溶剤がウエハ2からこぼれ落ちても、こぼれ落ちた有機溶剤が拡散するのを底部15aによって抑制することが可能になる。
【0053】
また、本形態では、ウエハ2が載置された状態のハンド6が第1位置6Aと第2位置6Bとの間を移動するときに、カバー移動機構18は、可動カバー17の前端部17jの一部を開口部3aから処理装置3の内部に移動させて配置している。すなわち、本形態では、ウエハ2が載置された状態のハンド6が第1位置6Aと第2位置6Bとの間を移動するときに、カバー移動機構18は、底面部17dの前端部を開口部3aから処理装置3の内部に移動させて配置している。そのため、本形態では、ハンド6に載置されたウエハ2をロボット6が処理装置3から搬出するときや、ハンド6に載置されたウエハ2をロボット4が処理装置3に搬入するときに、ウエハ2に載っている有機溶剤がウエハ2からこぼれ落ちても、こぼれ落ちた有機溶剤が拡散するのを底部15aによって抑制することが可能になる。
【0054】
このように本形態では、処理装置3の外部でウエハ2をロボット4が搬送するときに、ウエハ2に載っている有機溶剤がウエハ2からこぼれ落ちても、また、ロボット4がウエハ2を処理装置3から搬出するときや、ロボット4がウエハ2を処理装置3に搬入するときに、ウエハ2に載っている有機溶剤がウエハ2からこぼれ落ちても、こぼれ落ちた有機溶剤が拡散するのを底部15aによって抑制することが可能になる。さらに、本形態では、第2位置6Bに配置されるハンド6が、上下方向の両側、左右方向の両側および後ろ側からカバー部材15に覆われているため、気化した有機溶剤が処理装置3の外部で拡散するのをカバー部材15によって抑制することが可能になる。したがって、本形態では、ロボット4がウエハ2を搬送するときに、有機溶剤が処理装置3の外部で拡散するのを抑制することが可能になる。
【0055】
特に本形態では、吸引機構20が、カバー部材15の内部でウエハ2からこぼれ落ちた液体状の有機溶剤を吸引してカバー部材15の外部の所定位置に排出する機能を果たしているため、ウエハ2からこぼれ落ちた有機溶剤が処理装置3の外部で拡散するのを効果的に抑制することが可能になる。また、本形態では、吸引機構19が、カバー部材15の内部で気化した有機溶剤を吸引してカバー部材15の外部の所定位置に排出する機能を果たしているため、気化した有機溶剤が処理装置3の外部で拡散するのを効果的に抑制することが可能になる。
【0056】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0057】
上述した形態において、処理装置3で処理された処理後のウエハ2をロボット4が処理装置3から搬出する場合に、ハンド6を第2位置6Bから第1位置6Aに移動させながら、可動カバー17を第4位置17Bから第3位置17Aに移動させても良い。また、ハンド6を第1位置6Aから第2位置6Bに移動させながら、可動カバー17を第3位置17Aから第4位置17Bに移動させても良い。この場合であっても、第2位置6Bに向かって移動するハンド6に載置されたウエハ2の下側には、常に底部15aが配置されている。
【0058】
また、上述した形態において、ロボット4が処理装置3に処理前のウエハ2を搬入する場合に、ハンド6を第2位置6Bから第1位置6Aに移動させながら、可動カバー17を第4位置17Bから第3位置17Aに移動させても良い。この場合であっても、第1位置6Aに向かって移動するハンド6に載置されたウエハ2の下側には、常に底部15aが配置されている。また、ハンド6を第1位置6Aから第2位置6Bに移動させながら、可動カバー17を第3位置17Aから第4位置17Bに移動させても良い。
【0059】
上述した形態において、固定カバー16と可動カバー17とが一体化されていても良い。この場合には、ロボット4は、固定カバー16と可動カバー17とが一体化されて形成されたカバー部材15を前後方向に移動させるカバー移動機構を備えている。すなわち、この場合には、ロボット4は、受け部材である底部15aの全体を前後方向に移動させる受け部材移動機構としてのカバー移動機構を備えている。この場合、カバー移動機構は、アーム支持部材9に対してカバー部材15を前後方向に移動させても良いし、保持フレーム10に対してアーム支持部材9と一緒にカバー部材15を前後方向に移動させても良い。
【0060】
ただし、上述した形態のように、固定カバー16と可動カバー17とが別体で形成されていて、カバー移動機構18が可動カバー17のみを移動させる場合には、カバー部材15の全体を移動させる場合と比較して、カバー移動機構18の駆動力が小さくても、可動カバー17を移動させることが可能になる。したがって、上述した形態では、カバー移動機構18の構成を簡素化して、カバー移動機構18を小型化することが可能になる。
【0061】
上述した形態では、ロボット4は、カバー部材15の内部で気化した有機溶剤をカバー部材15の外部の所定位置に排出する吸引機構19と、カバー部材15の内部でウエハ2からこぼれ落ちた液体状の有機溶剤をカバー部材15の外部の所定位置に排出する吸引機構20とを個別に備えているが、ロボット4は、カバー部材15の内部で気化した有機溶剤およびカバー部材15の内部でウエハ2からこぼれ落ちた液体状の有機溶剤をカバー部材15の外部の所定位置に排出する共通の吸引機構を備えていても良い。
【0062】
上述した形態では、底部15aは、第2位置6Bに配置されるハンド6の全体を下側から覆っているが、底部15aは、第2位置6Bに配置されたハンド6に載置されるウエハ2の全体を下側から覆っているのであれば、第2位置6Bに配置されるハンド6の全体を下側から覆っていなくても良い。また、上述した形態において、カバー移動機構18は、エアシリンダ30以外の駆動源を備えていても良い。たとえば、カバー移動機構18は、駆動源となるモータを備えていても良い。
【0063】
上述した形態において、ロボット4は、アーム7およびアーム駆動機構12に代えて、ハンド6を前後方向にスライドさせるハンド移動機構を備えていても良い。この場合には、ハンド移動機構は、たとえば、モータ、ボールねじ、ガイドレールおよびガイドブロック等を備えている。あるいは、ハンド移動機構は、たとえば、モータ、ベルト、プーリ、ガイドレールおよびガイドブロック等を備えている。
【0064】
上述した形態において、処理装置3から搬出されるウエハ2の上面や、処理装置3に搬入されるウエハ2の上面に有機溶剤以外の物が載っていても良い。ウエハ2の上面に載っている物が揮発性のない物あるいは揮発性の低い物である場合には、ロボット4は、カバー部材15に代えて、たとえば、底板16aと底板17aとから構成される受け部材を備えていても良いし、底板17aによって構成される受け部材を備えていても良い。底板17aによって構成される受け部材をロボット4が備えている場合には、処理装置3の外部において、ハンド6に載置されるウエハ2の下側に受け部材が常に配置されるように、受け部材がハンド6と一緒に前後方向へ移動する。また、上述した形態において、ウエハ2以外の処理対象物が処理装置3で処理されても良い。たとえば、ガラス基板が処理装置3で処理されても良い。
【符号の説明】
【0065】
1 処理システム
2 ウエハ(半導体ウエハ、処理対象物)
3 処理装置
3a 開口部
4 ロボット(搬送ロボット)
6 ハンド
6A 第1位置
6B 第2位置
7 アーム(多関節アーム、ハンド移動機構の一部)
9 アーム支持部材
10 保持フレーム
12 アーム駆動機構(ハンド移動機構の一部)
13 昇降機構
14 回動機構
15 カバー部材
15a 底部(受け部材)
16 固定カバー
17 可動カバー
17A 第3位置
17B 第4位置
18 カバー移動機構(受け部材移動機構)
19、20 吸引機構
30 エアシリンダ
X ハンドの往復移動方向
X2 第1方向
Y 第2方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6