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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-13
(45)【発行日】2023-07-24
(54)【発明の名称】水底形状測定装置
(51)【国際特許分類】
   B63B 35/00 20200101AFI20230714BHJP
   B63B 13/00 20060101ALI20230714BHJP
   G01C 13/00 20060101ALI20230714BHJP
   G01C 15/00 20060101ALI20230714BHJP
   B63C 11/00 20060101ALI20230714BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20230714BHJP
   B64D 1/22 20060101ALI20230714BHJP
   B63G 8/22 20060101ALI20230714BHJP
   B64U 10/14 20230101ALI20230714BHJP
   B64U 101/32 20230101ALN20230714BHJP
【FI】
B63B35/00 N
B63B13/00 Z
G01C13/00 D
G01C15/00 102C
B63C11/00 G
B64C39/02
B64D1/22
B63G8/22
B64U10/14
B64U101:32
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019182384
(22)【出願日】2019-10-02
(65)【公開番号】P2021054378
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 光男
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-073160(JP,A)
【文献】特開平06-099889(JP,A)
【文献】実開昭62-177597(JP,U)
【文献】実開昭49-134903(JP,U)
【文献】特開2018-146328(JP,A)
【文献】特開2015-104934(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 35/00
B63B 13/00
G01C 13/00
G01C 15/00
B63C 11/00
B64C 39/02
B64D 1/22
B63G 8/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水底の形状を測定する水底形状測定装置であって、
遠隔制御される無人飛行体と、
前記無人飛行体にワイヤを介して吊り下げられた筐体と、
前記筐体に浮力を与える浮体と、
前記浮体の浮力を制御する浮力制御部と、
前記筐体に収容され前記筐体が水中に位置した状態で前記水底の3次元形状を測定し3次元形状情報を生成する3次元形状測定部と、
前記無人飛行体に搭載され測位衛星から受信した測位信号に基づいて前記無人飛行体の位置を測位し測位情報として生成する測位部と、
前記3次元形状情報および前記測位情報に基づいて前記水底の形状を地球上の座標位置で示される水底形状情報として生成する水底形状情報生成部と、を備え
前記浮体は、その内部に気体が給排されることで膨張収縮し、その内部の前記気体の容積によって浮力が調整される袋体で構成され、
前記浮力制御部は、
前記袋体に前記気体を供給する気体供給部と、
前記袋体に充填された気体を排出させる気体排出部とを備え、
前記袋体は、前記筐体の外部に設けられ、
膨張した状態の前記袋体の全体を覆うと共に、水の出入りが可能に形成された袋体保護ケースを更に備える、
ことを特徴とする水底形状測定装置。
【請求項2】
前記気体供給部から前記袋体に供給される前記気体は水上の空気である、
ことを特徴とする請求項記載の水底形状測定装置。
【請求項3】
前記気体供給部から前記袋体に供給される前記気体は、前記筐体に収容されたボンベ内の気体である、
ことを特徴とする請求項記載の水底形状測定装置。
【請求項4】
前記浮力制御部による浮力の制御は、前記筐体の少なくとも一部を水面上に位置させる浮力を前記浮体に与えるようになされる、
ことを特徴とする請求項1からの何れか1項記載の水底形状測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水底形状測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
海底、湖底、河床などに対する浚渫作業や構造物の構築作業に際しては、海底、湖底、河床の底の水底形状を正確に測定することが必要である。
水底形状測定装置として、観測船から支持フレームを介してソナーを水中に配置し、ソナーによって測定した水底の3次元形状情報と、観測船に搭載したGPS測位装置で測位された測位情報に基づいて水底の形状を地球上の座標位置で示される水底形状情報として生成する技術が提案されている(特許文献1参照)。
上記従来技術では、波浪による観測船の揺れによって生じる測定誤差を補正するために、観測船側に3次元位置センサを設けて観測船の3次元位置を取得すると共に、地上側にトータルステーションを設け、トータルステーションによって観測船の位置を測定して測位データを求め、これら観測船の3次元位置と測位データを用いて水底形状情報を補正するようにしている。
【0003】
しかしながら、上記従来技術では、そもそも水底形状情報を得るために観測船と観測船を運行するための船舶免許資格者が必要となり、設備コスト、運用コストが高いものとなっている。
また、波浪による観測船の揺れによって生じる測定誤差を補正するために3次元位置センサ、トータルステーションといった装置が必要となり、また、測定誤差の補正を行なうための演算処理が必要となり、構成の簡素化、コストの低減を図る上で不利となる。
そこで、本出願人は、無人飛行機に吊り下げた3次元形状測定部を水中に位置させることで水底形状の3次元形状である水底形状情報を生成し、観測船を用いることに伴う様々なコストを低減する上で有利な水底形状測定装置を既に提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-30340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、無人飛行機がそれに搭載されたバッテリの電力によってロータを回転させて飛行するものである場合、あるいは、無人飛行機がそれに搭載された化石燃料によって動作する内燃機関(エンジン)によってロータを回転させるものである場合には、バッテリあるいは化石燃料の容量によって飛行時間、飛行距離が制約される。
特に、無人飛行機で3次元形状測定部を吊り下げて飛行させる場合は、無人飛行機に3次元形状測定部の重量が加わることから飛行時間、飛行距離が低下することが懸念され、水底形状情報の生成を効率よく行なう上で改善の余地がある。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、水底形状情報の生成を効率よく行なう上で有利な水底形状測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するため、本発明は、水底の形状を測定する水底形状測定装置であって、遠隔制御される無人飛行体と、前記無人飛行体にワイヤを介して吊り下げられた筐体と、前記筐体に浮力を与える浮体と、前記浮体の浮力を制御する浮力制御部と、前記筐体に収容され前記筐体が水中に位置した状態で前記水底の3次元形状を測定し3次元形状情報を生成する3次元形状測定部と、前記無人飛行体に搭載され測位衛星から受信した測位信号に基づいて前記無人飛行体の位置を測位し測位情報として生成する測位部と、前記3次元形状情報および前記測位情報に基づいて前記水底の形状を地球上の座標位置で示される水底形状情報として生成する水底形状情報生成部とを備えることを特徴とする。
また、本発明は、前記浮体は、その内部に気体が給排されることで膨張収縮し、その内部の前記気体の容積によって浮力が調整される袋体で構成され、前記浮力制御部は、前記袋体に前記気体を供給する気体供給部と、前記袋体に充填された気体を排出させる気体排出部とを備えることを特徴とする。
また、本発明は、前記気体供給部から前記袋体に供給される前記気体は水上の空気であることを特徴とする。
また、本発明は、前記気体供給部から前記袋体に供給される前記気体は、前記筐体に収容されたボンベ内の気体であることを特徴とする。
また、本発明は、前記袋体は、前記筐体の外部に設けられ、膨張した状態の前記袋体の全体を覆うと共に、水の出入りが可能に形成された袋体保護ケースを更に備えることを特徴とする。
また、本発明は、前記筐体は、水の出入りが可能に構成され、前記袋体は、前記筐体の内部に設けられていることを特徴とする。
また、本発明は、前記浮体は、その内部に気体と水とが給排されることで浮力が調整されるバラストタンクで構成され、前記バラストタンクの上部と下部にそれぞれ開閉弁が設けられ、前記浮力制御部は、前記開閉弁を含んで構成されていることを特徴とする。
また、本発明は、前記浮力制御部は、前記バラストタンクの内部に気体を供給するボンベを含んで構成されていることを特徴とする。
また、本発明は、前記筐体は水密に構成され、前記バラストタンクは、前記筐体で構成されていることを特徴とする。
また、本発明は、前記浮力制御部による浮力の制御は、前記筐体の少なくとも一部を水面上に位置させる浮力を前記浮体に与えるようになされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、無人飛行体から吊り下げた3次元形状測定部を水中に位置させて水底の3次元形状を測定し3次元形状情報を生成すると共に、測位部により無人飛行体の位置を測位し測位情報として生成し、それら3次元形状情報および測位情報に基づいて水底の形状を地球上の座標位置で示される水底形状情報として生成するようにした。
したがって、従来のようにソナーを設けた観測船が不要となるため、観測船と観測船を運行するための船舶免許資格者が必要となり、設備コスト、運用コストを低減する上で有利となる。また、3次元形状測定部を支持する無人飛行体は、波浪の影響を受けることがなく、従来のように観測船の揺れを補正するための設備が不要となり、構成の簡素化、コストの低減を図る上で有利となる。
また、3次元形状測定部を収容する筐体に浮力を与える浮体を設けると共に、浮体の浮力を制御するようにしたので、無人飛行体によって筐体を水面に浮かべて水面に沿って移動させるにあたって、浮体の浮力の分だけ無人飛行体に加わる筐体の重量を軽減できるので、無人飛行体によって筐体を空中に位置させた状態で移動させる場合に比較して無人飛行体の負荷を軽減させることができる。
そのため、無人飛行体が飛行に要するバッテリあるいは化石燃料の消費量を抑制する上で有利となり、無人飛行体の飛行時間、飛行距離を確保する上で有利となり、広範囲にわたって水底の水底形状情報を生成する上で有利となり、水底形状情報の生成を効率よく行なう上で有利となる。
また、浮体を、その内部に気体が給排されることで膨張収縮し、その内部の気体の容積によって浮力が調整される袋体で構成すると、構成の簡素化を図り、無人飛行体の負荷を軽減する上で有利となる。
また、気体供給部から袋体に供給される気体を水上の空気とすると、特別なガスなどの気体を測定の都度新たに準備する必要がなく、水底形状測定装置の運用コストを低減する上で有利となる。
また、気体供給部から袋体に供給される気体を筐体に収容されたボンベ内の気体とすると、水上の空気を取り入れるためのホースが不要となるため、空中を移動する場合に生じるホースの空気抵抗を抑制する上で有利となり、無人飛行体が飛行に要するバッテリあるいは化石燃料の消費量を抑制する上で有利となり、無人飛行体の飛行時間、飛行距離を確保する上で有利となり、広範囲にわたって水底の水底形状情報を生成する上で有利となり、水底形状情報の生成を効率よく行なう上で有利となる。
また、膨張した状態の袋体の全体を覆うと共に、水の出入りが可能に形成された袋体保護ケースを設けると、袋体が岩や構造物などに干渉して損傷することが防止され、袋体の保護を図る上で有利となる。
また、筐体を水の出入りが可能に構成し、袋体を筐体の内部に設けると、袋体保護ケースを設けることなく、袋体が岩や構造物などに干渉して損傷することが防止され、袋体の保護を図る上で有利となる。
また、浮体を、その内部に気体と水とが給排されることで浮力が調整されるバラストタンクで構成すると、構成の簡素化を図り、無人飛行体の負荷を軽減する上で有利となる。
また、浮力制御部をバラストタンクの内部に気体を供給するボンベを含んで構成すると、バラストタンクから水を排出してバラストタンクによる浮力を発生させる際に、ボンベから供給される空気をバラストタンクの内部に導入すれば済む。そのため、無人飛行体を上昇させ、水中部の全体を空中まで上昇させてバラストタンクから水を排出する必要がなく、無人飛行体が飛行に要するバッテリあるいは化石燃料の消費量を抑制する上で有利となり、無人飛行体の飛行時間、飛行距離を確保する上で有利となり、広範囲にわたって水底の水底形状情報を生成する上で有利となり、水底形状情報の生成を効率よく行なう上で有利となる。
また、バラストタンクを水が出入りする筐体で構成すると、構成の簡素化、コスト低減を図る上で有利となる。
また、筐体の少なくとも一部を水面上に位置させる浮力を浮体に与えるように浮力制御部による浮力の制御を行なうと、無人飛行体によって筐体の全体を水中に位置させた状態で水面に沿って移動させる場合に比較して筐体に作用する水の抵抗を抑制できるため、無人飛行体の負荷を軽減させる上でより有利となり、無人飛行体の飛行時間、飛行距離を確保する上でより有利となり、水底形状情報の生成を効率よく行なう上でより一層有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施の形態の水底形状測定装置の構成を示すブロック図である。
図2】無人飛行体によって水中部が水中に配置された測定状態を示す説明図である。
図3】第1の実施の形態の水底形状測定装置の水中部の構成を示す縦断面図である。
図4図3のA-A線矢視図である。
図5】第1の実施の形態の水底形状測定装置の動作を示すフローチャートである。
図6】第2の実施の形態の水底形状測定装置の構成を示すブロック図である。
図7】第2の実施の形態の水底形状測定装置の水中部の構成を示す縦断面図である。
図8図7のA-A線矢視図である。
図9】第2実施の形態の水底形状測定装置の動作を示すフローチャートである。
図10】第3の実施の形態の水底形状測定装置の構成を示すブロック図である。
図11】第3の実施の形態の水底形状測定装置の水中部の構成を示す縦断面図である。
図12】第4の実施の形態の水底形状測定装置の構成を示すブロック図である。
図13】第4の実施の形態の水底形状測定装置の水中部の構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
図1に示すように、本実施の形態の水底形状測定装置10Aは、管理装置12と、無人飛行体14と、水中部16Aとを含んで構成されている。
管理装置12は、水底46(図2参照)の形状を測定する海、河川、湖などの近傍の地上に設けられている。
管理装置12は、遠隔操作司令部12Aと、管理装置側通信部12Bと、地図データベース部12Cと、表示部12Dと、管理装置側飛行制御部12Eと、水底形状情報生成部12Fと、情報処理部12Gと、記憶部12Hと、出力部12Iとを含んで構成されている。
【0010】
遠隔操作司令部12Aは、ジョイスティックなどの操作部材を作業者が操作することで無人飛行体14を遠隔操作するための飛行体操作指令情報を生成するものである。
また、遠隔操作司令部12Aは、操作ボタンなどの操作部材を作業者が操作することで無人飛行体14に搭載された測位部14Dの動作を開始させ、あるいは、停止させるための測位部14Dの操作指令情報を生成するものである。
また、遠隔操作司令部12Aは、ジョイスティックなどの操作部材を作業者が操作することで水中部16Aを遠隔操作するための水中部操作指令情報を生成するものである。
管理装置側通信部12Bは、無線回線Nを介して無人飛行体14と通信を行なうものであり、無人飛行体14に飛行体操作指令情報、測位部14Dの操作指令情報を送信し、無人飛行体14から送信される画像情報、測位情報、3次元形状情報を受信するものであり、図中符号1202は管理装置側通信部12Bのアンテナを示す。
なお、画像情報、測位情報、3次元形状情報については後で詳述する。
また、管理装置側通信部12Bは、無線回線Nを介して無人飛行体14を経由して後述する水中部16Aの水中部側制御部26と通信を行なうものであり、水中部側制御部26に対して水中部操作司令情報を送信するものである。
【0011】
地図データベース部12Cは、水底46の形状を測定しようとする海、河川、湖などを含む地図情報を格納している。
【0012】
表示部12Dは、管理装置側通信部12Bで受信された画像情報、3次元形状情報を表示するものである。
したがって、作業者は、表示部12Dによって表示された画像情報、3次元形状情報に基づいて無人飛行体14の遠隔操作を行なうことが可能となっている。
また、表示部12Dは、管理装置側通信部12Bで受信された測位情報に基づいて、地図データベース部12Cに格納されている地図情報を読み出して表示すると共に、無人飛行体14の現在位置を表示部12Dの表示画面上に表示された地図の上に表示するように構成されている。
したがって、作業者は、表示部12Dによって表示された地図と無人飛行体14の現在位置とに基づいて無人飛行体14の遠隔操作を行なうことが可能となっている。
【0013】
管理装置側飛行制御部12Eは、作業者の遠隔操作に代えて、管理装置側通信部12Bで受信された測位情報と、予め定められた飛行ルートとに基づいて無人飛行体14を上記飛行ルートに沿って自動制御により飛行させるものである。
すなわち、地図データベース部12Cの地図情報に基づいて、無人飛行体14を測定すべき水底46に沿って飛行するような飛行コースを設定しておき、管理装置側飛行制御部12Eによって測位情報と飛行コースに基づいて飛行体操作指令情報を生成し、飛行体操作指令情報を管理装置側通信部12Bから無線回線Nを介して飛行体側通信部14Aに送信し、飛行体操作指令情報を飛行体側飛行制御部14Cに与えることで、無人飛行体14を自動制御することができる。
【0014】
水底形状情報生成部12Fは、管理装置側通信部12Bで受信された3次元形状情報および測位情報に基づいて水底46の形状を地球上の座標位置で示される、言い換えると、3次元座標で示される水底形状情報として生成するものである。
【0015】
情報処理部12Gは、水底形状情報を演算処理することで、水底46の形状を示す断面図、斜視図、等深線図などを生成するものである。
本実施の形態では、表示部12Dによる水底形状情報の表示は、情報処理部12Gによって生成された水底46の形状を示す断面図、斜視図、等深線図などを表示することでなされる。
【0016】
記憶部12Hは、水底形状情報生成部12Fで生成された水底形状情報、情報処理部12Gで生成された水底46の形状を示す断面図、斜視図、等深線図などを格納するものである。
出力部12Iは、記憶部12Hに記憶された水底形状情報や断面図、斜視図、等深線図などを出力するものであり、例えば、メモリカードなどの半導体記録媒体にそれら水底形状情報や図を記録し、あるいは、ネットワークを介して端末装置にそれら水底形状情報や図を送信したり、あるいは、プリンタを用いて紙媒体にそれら水底形状情報や図を印刷したりするものである。
【0017】
無人飛行体14は、図2に示すように、飛行体本体18と、飛行体本体18に設けられた複数のロータ20と、ロータ20毎に設けられロータ20を回転駆動する複数のモータ(不図示)と、モータに電力を供給するバッテリ(不図示)を備えている。
なお、本実施の形態では、無人飛行体14がバッテリの電力によってロータ20を回転させる場合について説明するが、本発明は、無人飛行体14が化石燃料で動作するエンジンによってロータ20を回転させるものであっても無論適用可能である。
また、無人飛行体14は、図1に示すように、飛行体側通信部14A、撮像部14B、飛行体側飛行制御部14C、測位部14Dを含んで構成されている。
【0018】
飛行体側通信部14Aは、管理装置12の管理装置側通信部12Bと無線回線Nを介して通信を行なうものであり、撮像部14Bで撮像された画像情報、測位部14Dで生成された測位情報、後述する水中部16Aに搭載された3次元形状測定部24で生成された3次元形状情報を、管理装置側通信部12Bに送信すると共に、管理装置側通信部12Bから無人飛行体操作指令情報および水中部操作指令情報を受信するものである。図中符号1402は飛行体側通信部14Aのアンテナを示す。
【0019】
撮像部14Bは、無人飛行体14の周囲を撮像して画像情報を生成するものである。
飛行体側飛行制御部14Cは、管理装置側通信部12Bから無線回線Nを介して飛行体側通信部14Aに送信された飛行体操作指令情報に基づいて各ロータ20を回転制御することで、無人飛行体14を飛行させるものである。
測位部14Dは、飛行体本体18に搭載され測位衛星から受信した測位信号に基づいて無人飛行体14の位置を測位し測位情報として生成するものである。
このような測位衛星は、GPS、GLONASS、Galileo、準天頂衛星(QZSS)等のGNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)で用いられるものであり、それら測量システムで使用される測位衛星の1つを用いてもよく、あるいは、2つ以上の測位衛星を組み合わせて用いても良い。
【0020】
なお、水底形状情報生成部12Fを無人飛行体14に設け、水底形状情報生成部12Fで生成された水底形状情報を無線回線Nを介して無人飛行体14から離れた管理装置12へ送信するようにしてもよい。
しかしながら、本実施の形態のように、無人飛行体14から離れた管理装置12に水底形状情報生成部12Fを設け、水底形状情報生成部12Fによる水底形状情報の生成を、無線回線Nを介して供給される3次元形状情報および測位情報に基づいて行なうようにすると、無人飛行体14に水底形状情報生成部12Fを設ける場合に比較して、無人飛行体14の省電力化、軽量化を図れることから、無人飛行体14の飛行継続時間を確保でき、したがって、無人飛行体14の一回の飛行によってより広い範囲の水底22の3次元形状の測定を行なうことができ、測定の効率化を図る上で有利となる。
【0021】
図1から図4に示すように、水中部16Aは、筐体22と、3次元形状測定部24と、水中部側制御部26と、ポンプ28と、気体排出弁30と、浮体32と、水中部バッテリ(不図示)を含んで構成されている。
筐体22は、水密に構成され、筐体22の内部に、3次元形状測定部24、水中部側制御部26、ポンプ28、気体排出弁30、水中部バッテリが収容され、筐体22の外部に浮体32が設けられている。
【0022】
筐体22は、飛行体本体18にワイヤ34を介して吊り下げられ、飛行体本体18の飛行により飛行体本体18と共に移動するものであり、空中あるいは水中に位置した状態とされるものである。
図3図4に示すように、本実施の形態では、筐体22は円柱状を呈し、円板状の底壁2202と、底壁2202の周囲から起立する円筒状の側壁2204と、側壁2204の上端を接続する円板状の上壁2206とを備えている。
上壁2206の外周寄りの箇所には周方向に等間隔をおいて4つの吊り下げ用フック2210が設けられている。
本実施の形態では、飛行体本体18から1本のワイヤ34が吊り下げられており、ワイヤ34の下部は4本の分岐部3402に分岐しており、それら分岐部3402が各吊り下げ用フック2210に結合されている。
なお、筐体22の形状は、円柱状に限定されるものではなく、四角柱状、多角形柱状、球状など任意である。
【0023】
浮体32は、筐体22に浮力を与えるものである。
本実施の形態では、浮体32は、その内部に気体としての空気が給排されることで膨張収縮し、その内部の気体(空気)の容積によって浮力が調整される袋体36で構成されている。
袋体36は、伸縮するゴム膜で形成され、本実施の形態では、筐体22の側壁2204の外周に沿って円環状に形成され、すなわち筐体22の周囲に沿って延在し、断面が均一な円形を呈している。
なお、図3図4において袋体36は膨張した状態を示しており、膨張した状態で袋体36は筐体22の周囲全周にわたって延在している。
袋体36は、その内周部の複数箇所が取り付け部材38を介して筐体22の側壁2204に固定されている。
袋体36の内周部の箇所には、ポンプ28によって空気が供給される気体供給口3602と、気体排出弁30を介して空気が排出される気体排出口3604とが設けられている。
また、本実施の形態では、図3図4に示すように、膨張した状態の袋体36の全体を覆うと共に、水の出入りが可能に形成された袋体保護ケース40が設けられ、袋体保護ケース40は筐体22の側壁2204に取り付けられている。
袋体保護ケース40は、例えば、金網や多数の孔が形成された板金などで構成されている。
このような袋体保護ケース40を設けることで、袋体36が岩や構造物などに干渉して損傷することが防止され、袋体36の保護が図られている。
【0024】
3次元形状測定部24は、筐体22内部で底壁2202上に取り付けられ、筐体22が水中に位置した状態で水底46の3次元形状を測定し3次元形状情報を生成するものである。
3次元形状測定部24として、超音波50を用いるソナー、あるいは、レーザー光52を用いるレーザー測定機を用いることができる。
この場合、底壁2202には、超音波50あるいはレーザー光52を透過させる窓部が形成されている。
ソナーは、超音波50を水底46に照射すると共に、水底46からの反射波を受信し、受信波に基づいて3次元形状情報を生成するものである。
ソナーとして、単一のビーム状の超音波50を水底46に向かってスキャン(走査)するもの、あるいは、広がりを持った複数のビーム状の超音波50(マルチビーム)を同時に水底46に向かって照射するものの何れを用いても良く、このようなソナーとして従来公知の様々なソナーが使用可能である。
【0025】
このように3次元形状測定部24を、超音波50を水底46に照射すると共に、水底46からの反射波を受信し、受信波に基づいて3次元形状情報を生成するソナーを含んで構成すると、海、湖、河川などの水中の透明度の影響を受けることなく、正確な3次元形状情報を得る上で有利となり、水底形状情報生成部12Fにより得られる水底形状情報の精度を確保する上で有利となる。
【0026】
レーザー測定機は、レーザー光を水底46に照射すると共に、水底46から反射された反射光を受信し、受信した反射光に基づいて3次元形状情報を生成するものである。
レーザー測定機として、従来公知の単一のレーザー光52を水底46に向かってスキャン(走査)するものを使用することができる。
なお、形状測定に使用するレーザー光52としてはグリーンレーザーが用いられることが多く、これは、グリーンレーザーが水によって吸収されにくく水底46まで確実に届き、水底46からの反射光の強度を確保できるためである。
【0027】
このように3次元形状測定部24を、レーザー光52を水底46に照射すると共に、水底46から反射された反射光を受信し、受信した反射光に基づいて3次元形状情報を生成するレーザー測定機を含んで構成すると、レーザー光52が空中から水中に照射される場合に比較して、レーザー光52が空気(大気)と水面48との界面を通らないため、界面でレーザー光52が散乱して光量が低下することが抑制されるので、より深度の大きな水底46の水底形状情報を得る上で有利となる。
【0028】
水中部側制御部26は、飛行体側通信部14Aに対して、不図示の有線回線あるいは無線回線を介して接続されている。
水中部側制御部26は、3次元形状測定部24で測定された3次元形状情報を飛行体側通信部14Aに供給すると共に、遠隔操作司令部12Aから管理装置側通信部12B、無線回線N、飛行体側通信部14Aを介して送信された水中部操作指令情報に基づいて、3次元形状測定部24、ポンプ28、気体排出弁30の制御を行なうものである。
【0029】
ポンプ28は、袋体36に気体を供給する気体供給部を構成するものであり、気体吸入口2802と、気体吐出口2804とを備えている。
図3に示すように、気体吸入口2802は、筐体22を貫通してワイヤ34に沿って延在する空気取り入れ用のホース42の一端4202に接続され、図2に示すように、ホース42の他端4204は、筐体22が水中に位置した状態で空中に位置するよう設けられており、ホース42はその延在方向の中間の複数箇所が不図示の取付具を介してワイヤ34に取り付けられている。
図3に示すように、気体吐出口2804は、袋体36の気体供給口3602に連通されている。
したがって、水中部側制御部26の制御により、ポンプ28が動作することにより、空中の空気、すなわち水上の空気がホース42を介してポンプ28から袋体36に供給され、これにより、袋体36に空気が充填されることで袋体36が膨張し、浮体32による浮力が発生する。
このような浮力が筐体22に作用することにより、ワイヤ34を介して無人飛行体14に加わる筐体22の荷重を浮力の分だけ軽減することができる。
また、ポンプ28によって袋体36に充填される空気量(容積)を調整することで浮力を調整でき、これにより筐体22の少なくとも一部を水面48上に位置させることができる。
【0030】
気体排出弁30は、袋体36に充填された気体を排出させる気体排出部を構成し、気体排出弁30の一端は袋体36の気体排出口3604に連通し、気体排出弁30の他端は筐体22の上壁2206を貫通して筐体22の外部に連通する気体排出管44に接続しており、気体排出弁30は、水中部側制御部26の制御により開閉が制御される。
また、ポンプ28により袋体36に空気が供給される際、気体排出弁30は閉弁され、袋体36の空気が漏れないように図られている。
また、空気が充填された浮体32が水中に位置した状態で気体排出弁30が開弁されると、袋体36の内部の空気は、袋体36に加わる水圧により気体排出口3604、気体排出弁30、気体排出管44を介して袋体36の外部に排出され、これにより袋体36が収縮し、したがって、浮体32によって筐体22に作用する浮力がほぼゼロとなる。
したがって、本実施の形態では、ポンプ28(気体供給部)と気体排出弁30(気体排出部)によって浮体32の浮力を制御する浮力制御部が構成されている。
水中部バッテリは、3次元形状測定部24、水中部側制御部26、ポンプ28、気体排出弁30を駆動するための電力を供給するものである。
【0031】
次に、図5のフローチャートを参照して水底形状測定装置10Aの動作について説明する。
予め、無人飛行体14は、所定の待機場所に置かれているものとする。
まず、作業者は、管理装置12の遠隔操作司令部12Aを操作することにより、水中部制御指令を水中部側制御部26に与えてポンプ28を作動させ浮体32に空気を充填させた状態としておく(ステップS10)。
次いで、作業者は、管理装置12の遠隔操作司令部12Aを操作することにより、無人飛行体14を所定の待機場所から飛行させ、表示部12Dに表示される無人飛行体14周囲の画像情報を視認しつつ、水底形状を測定する海、湖、河川に向かって無人飛行体14を飛行させる(ステップS12)。
【0032】
そして、無人飛行体14が海、湖、河川などの水面48の上方に到達したならば、表示部12Dに表示される無人飛行体14周囲の画像情報を視認しつつ、無人飛行体14を水面48に向けて降下させ、水中部16Aを空中から水面48に移動させた状態でホバリングさせその状態を維持する(ステップS14)。
ここで、水中部16Aは、浮体32による浮力が筐体22に作用することで、筐体22が水面48に浮かび、筐体22の一部が水面48上に位置した状態となる(ステップS16)。
そして、作業者は、管理装置12の遠隔操作司令部12Aを操作することにより、無水底形状を測定する海、湖、河川の測定箇所に向かって無人飛行体14を飛行させ水中部16Aを筐体22が水面48に浮んだ状態で測定箇所に向かって曳行する(ステップS18)。
ここで、水中部16Aは、筐体22の一部が水面48上に位置した状態で、ワイヤ34を介して無人飛行体14によって測定箇所まで曳行されることになり、この際、無人飛行体14に加わる水中部16Aの重量はほぼゼロとなり、無人飛行体14に加わる水中部16Aの重量は無人飛行体14からワイヤ34で吊り下げられた水中部16Aが空中に位置している場合に比較して大幅に軽減されることになる。
厳密に言うと、筐体22が水面48に浮んだ状態で無人飛行体14により水中部16Aを曳行するため、無人飛行体14にワイヤ34を介して水中部16Aに作用する水の抵抗が加わるものの、その抵抗は、無人飛行体14からワイヤ34で吊り下げられた水中部16Aが空中に位置している場合に無人飛行体14に加わる重量に比較して大幅に軽減されている。
【0033】
次いで、作業者は、表示部12Dに表示される無人飛行体14周囲の画像情報を視認して筐体22が測定箇所の上方に到達したならば、その位置で無人飛行体14をホバリングさせその状態を維持する(ステップS20)。
そして、作業者は、管理装置12の遠隔操作司令部12Aを操作することにより、水中部制御指令を水中部側制御部26に与えて気体排出弁30を開弁させ、これにより袋体36の内部の空気が水圧により袋体36の外部に排出されることで、筐体22に作用していた浮体32の浮力がほぼゼロとなる(ステップS22)。
そして、作業者は、表示部12Dに表示される無人飛行体14周囲の画像情報を視認しつつ、管理装置12の遠隔操作司令部12Aを操作することにより、無人飛行体14を水面48に向けて降下させ、水中部16Aを水面48から所定の深さに位置させた状態で、言い換えると、3次元形状測定部24による水底46の測定が適切に行われるに足る深さまで水中部16Aを沈めた状態で、無人飛行体14をホバリングさせその状態を維持する(ステップS24)。
【0034】
次いで、作業者は、管理装置12の遠隔操作司令部12Aを操作することにより、測位部14Dの操作指令情報を測位部14Dに与えると共に、水中部操作指令情報を3次元形状測定部24に与えることでそれら測位部14Dおよび3次元形状測定部24の動作を開始させる(ステップS26)。
これにより、測位部14Dで生成された測位情報および3次元形状測定部24で生成された3次元形状情報が無線回線Nを介して無人飛行体14から管理装置12の水底形状情報生成部12Fに送信され(ステップS28)、水底形状情報生成部12Fにより水底形状情報が生成される(ステップS30)。
さらに作業者は、表示部12Dに表示される画像情報、水底46の形状を示す断面図、斜視図、等深線図などを視認しつつ、まだ、形状測定がなされてない水底46の形状測定ができるように、遠隔操作司令部12Aを操作することにより、無人飛行体14を水面48に沿って飛行させ、測定箇所を移動させる(ステップS32)。
そして、作業者は、表示部12Dに表示される画像情報、水底46の形状を示す断面図、斜視図、等深線図などを視認することで、形状測定すべき水底46の領域の全域にわたって測定が終了したか否かを判断する(ステップS34)。
ステップS34が否定ならばステップS28に戻り同様の動作を行なう。
ステップS34が肯定ならば、管理装置12の遠隔操作司令部12Aを操作することにより、水中部制御指令を水中部側制御部26に与えてポンプ28を作動させ浮体32に空気を充填させ(ステップS36)、浮体32の浮力により水中部16Aを浮上させ筐体22の少なくとも一部が水面48上に位置するようにする(ステップS38)。
そして、作業者は、管理装置12の遠隔操作司令部12Aを操作することにより、待機場所に近い海、湖、河川の水面48に向かって無人飛行体14を飛行させ水中部16Aを曳行する(ステップS40)。
ここで、ステップS18の場合と同様に、水中部16Aは、筐体22が水面48に浮かび、筐体22の一部が水面48上に位置した状態で、ワイヤ34を介して無人飛行体14によって曳行されるため、無人飛行体14に加わる水中部16Aの重量はほぼゼロとなることになり、また、無人飛行体14に加わる水中部16Aが受ける水の抵抗が軽減されることになる。
そして、水中部16Aが待機場所に近い水面48の箇所に到達したならば、作業者は遠隔制御により無人飛行体14を上昇させ、水中部16Aを水面48から空中に引き上げ、表示部12Dに表示される画像を視認しつつ、無人飛行体14を所定の待機場所に向かって飛行させ、待機場所に着陸させる(ステップS42)。
そして、記憶部12Hに格納されていた水底46の領域の全域の水底形状情報が出力部12Iから出力され(ステップS44)、一連の測定動作が終了する。
【0035】
以上説明したように本実施の形態によれば、3次元形状測定部24を水中に位置させて水底46の3次元形状を測定し3次元形状情報を生成すると共に、測位部14Dにより無人飛行体14の位置を測位し測位情報として生成し、それら3次元形状情報および測位情報に基づいて水底形状情報生成部12Fにより水底46の形状を地球上の座標位置で示される水底形状情報として生成するようにした。
したがって、従来のようにソナーを設けた観測船が不要となるため、観測船と観測船を運行するための船舶免許資格者が必要となり、設備コスト、運用コストを低減する上で有利となる。
また、3次元形状測定部24を収容する筐体22をワイヤ34を介して吊り下げる無人飛行体14は、水面48から離れた水面48の上方に位置しているので、波浪の影響を受けることがなく、従来のように観測船の揺れを補正するための3次元位置センサやトータルステーションといった設備が不要となり、構成の簡素化、コストの低減を図る上で有利となる。
【0036】
また、本実施の形態では、3次元形状測定部24を収容する筐体22に浮力を与える浮体32を設けると共に、浮体32の浮力を制御するようにした。
したがって、無人飛行体14によって筐体22を水面48に浮かべて水面48に沿って移動させるにあたって、浮体32の浮力の分だけ無人飛行体14に加わる筐体22の重量を軽減できるので、無人飛行体14によって筐体22を含む水中部16Aを空中に位置させた状態で移動させる場合に比較して無人飛行体14の負荷を軽減させることができる。
そのため、無人飛行体14が飛行に要するバッテリの電力消費量を抑制する上で有利となり、無人飛行体14の飛行時間、飛行距離を確保する上で有利となり、広範囲にわたって水底46の水底形状情報を生成する上で有利となり、水底形状情報の生成を効率よく行なう上で有利となる。
【0037】
また、本実施の形態では、浮体32を、その内部に気体が給排されることで膨張収縮し、その内部の気体の容積によって浮力が調整される袋体36で構成し、浮力制御部を、袋体36に気体を供給する気体供給部と、袋体36に充填された気体を排出させる気体排出部とで構成したので、構成の簡素化を図り、無人飛行体14の負荷を軽減する上で有利となる。
また、本実施の形態では、気体として水上の空気を用いたので、特別なガスなどの気体を測定の都度新たに準備する必要がなく、水底形状測定装置10Aの運用コストを低減する上で有利となる。
【0038】
なお、浮力制御部による浮力の制御は、筐体22の全体が水中に位置した状態に留まるような浮力を浮体32に与えるようにしてもよい。
しかしながら、本実施の形態のように、浮力制御部による浮力の制御を、筐体22の少なくとも一部が水面48上に位置するに足る浮力を浮体32に与えるようにすれば、無人飛行体14によって筐体22の全体を水中に位置させた状態で水面48に沿って移動させる場合に比較して筐体22に作用する水の抵抗を抑制できるため、無人飛行体14の負荷を軽減させる上でより有利となる。
そのため、無人飛行体14が飛行に要するバッテリの電力消費量を抑制し、無人飛行体14の飛行時間、飛行距離を確保する上でより有利となり、広範囲にわたって水底46の水底形状情報を生成する上でより有利となり、水底形状情報の生成を効率よく行なう上でより一層有利となる。
【0039】
なお、本実施の形態では、袋体36を筐体22の外部に設けた場合について説明したが、袋体36を筐体22の内部に設けてもよい。
その場合は、筐体22を構成する壁部に孔を設け、筐体22の内外に水が流通できるようにするとともに、筐体22内部において3次元形状測定部24、水中部側制御部26、ポンプ28をカバーで水密に覆い水に触れないようにしておく必要がある。
このようにしても第1の実施の形態と同様の効果が奏されることは無論のこと、袋体保護ケース40を設けること無く、袋体36の保護を図る上で有利となる。
【0040】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態に係る水底形状測定装置10Bについて図6から図9を参照して説明する。
なお、以下の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の部分、部材については第1の実施の形態と同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分について重点的に説明する。
第1の実施の形態では、浮体32を、その内部に空気(気体)が給排されることで膨張収縮し、その内部の空気(気体)の容積によって浮力が調整される袋体36で構成したのに対し、第2の実施の形態では、浮体32をバラストタンク54で構成した点が異なっている。
【0041】
図6に示すように、管理装置12および無人飛行体14の構成は第1の実施の形態と同様であるためその説明を省略し、水中部16Bについて説明する。
水中部16Bは、筐体22と、3次元形状測定部24と、水中部側制御部26と、水流通弁56と、気体流通弁58、バラストタンク54(浮体32)と、水中部バッテリ(不図示)を含んで構成されている。
図7図8に示すように、筐体22は、水密に構成され、筐体22の内部に、3次元形状測定部24、水中部側制御部26、水中部バッテリが収容され、筐体22の外部に浮体32が設けられており、筐体22は第1の実施の形態と同様の構成となっている。
【0042】
第2の実施の形態では、浮体32は、その内部に気体と水とが給排されることで浮力が調整されるバラストタンク54で構成されている。
バラストタンク54は、水中に位置したときに水圧で変形しない硬質な材料で構成され、このような硬質な材料として、金属材料、合成樹脂材料など従来公知の様々な材料が使用可能である。
バラストタンク54は、筐体22の側壁2204の外周全周にわたって円環状に形成され、すなわち筐体22の周囲に沿って延在し、断面が均一形状を呈している。
バラストタンク54は、筐体22の側壁2204に重ね合わされる内径で形成された円筒壁状の内周壁部5402と、内周壁部5402の上端からバラストタンク54の半径方向外側に延在する上壁部5404と、内周壁部5402の下端からバラストタンク54の半径方向外側に延在する下壁部5406と、それら上壁部5404および下壁部5406の先端を接続する外周壁部5408とを含んで構成され、バラストタンク54の中心軸を含む断面でバラストタンク54を破断したときに、外周壁部5408はバラストタンク54の半径方向外側に凸の湾曲面を形成している。
バラストタンク54は、その内周壁部5402が筐体22の側壁2204に重ね合わされて取り付けられている。
【0043】
バラストタンク54の上壁部5404に第1開閉弁58が設けられ、バラストタンク54の下壁部5406に第2開閉弁56が設けられている。
詳細に説明すると、第1開閉弁58の一端5802はバラストタンク54の気体流通口5412に連通し、第1開閉弁58の他端5804はバラストタンク54の上部でバラストタンク54の外部に開放されている。
また、第2開閉弁56の一端5602はバラストタンク54の水流通口5410に連通し、第2開閉弁56の他端5604はバラストタンク54の下部でバラストタンク54の外部に開放されている。
【0044】
第1の実施の形態と同様に、3次元形状測定部24は、筐体22内部で底壁2202上に取り付けられ、筐体22が水中に位置した状態で水底46の3次元形状を測定し3次元形状情報を生成するものである。
【0045】
水中部側制御部26は、飛行体側通信部14Aと有線回線あるいは無線回線を介して接続され、3次元形状測定部24で測定された3次元形状情報を飛行体側通信部14Aに供給すると共に、遠隔操作司令部12Aから管理装置側通信部12B、無線回線N、飛行体側通信部14Aを介して送信された水中部操作指令情報に基づいて3次元形状測定部24、第1開閉弁58、第2開閉弁56の制御を行なうものである。
【0046】
水中部16Bの下部が水中に位置した状態で、水中部側制御部26の制御により、第1開閉弁58および第2開閉弁56が開弁されることにより、水が第2開閉弁56を介してバラストタンク54の内部に導入されると共に、空気が第1開閉弁58を介して水中に排出される。
これにより、その内部が水で満たされることでバラストタンク54による浮力がほぼゼロとなる。
【0047】
また、水中部16Bの全体が空中に位置した状態で、水中部側制御部26の制御により、第1開閉弁58および第2開閉弁56が開弁されることにより、水が第2開閉弁56を介してバラストタンク54の内部から排出されると共に、空気が第1開閉弁58を介してバラストタンク54の内部に導入される。
ここで、第1開閉弁58および第2開閉弁56が閉弁されることにより、その内部が空気で満たされたバラストタンク54による浮力が発生する。
また、バラストタンク54の内部に導入される空気量(容積)を調整することで浮力を調整でき、これにより筐体22の少なくとも一部を水面48上に位置させることができる。
したがって、本実施の形態では、浮体32の浮力を制御する浮力制御部が第1開閉弁58と第2開閉弁56を含んで構成されている。
水中部バッテリは、3次元形状測定部24、水中部側制御部26、第1開閉弁58、第2開閉弁56を駆動するための電力を供給するものである。
【0048】
次に、図9のフローチャートを参照して水底形状測定装置10Bの動作について説明する。
予め、無人飛行体14は、所定の待機場所に置かれているものとする。
まず、作業者は、管理装置12の遠隔操作司令部12Aを操作することにより、水中部制御指令を水中部側制御部26に与えて第1開閉弁58および第2開閉弁56の双方を開弁しバラストタンク54の内部の水をバラストタンク54から排出したのち、第1開閉弁58および第2開閉弁56の双方を閉弁し、バラストタンク54の内部に空気が満たされた状態としておく(ステップS100)。なお、予めバラストタンク54の内部に空気が満たされた状態であるならば、ステップS100は省略される。
【0049】
次いで、作業者は、管理装置12の遠隔操作司令部12Aを操作することにより、無人飛行体14を所定の待機場所から飛行させ、表示部12Dに表示される無人飛行体14周囲の画像情報を視認しつつ、水底形状を測定する海、湖、河川に向かって無人飛行体14を飛行させる(ステップS102)。
【0050】
そして、無人飛行体14が海、湖、河川などの水面48の上方に到達したならば、表示部12Dに表示される無人飛行体14周囲の画像情報を視認しつつ、無人飛行体14を水面48に向けて降下させ、水中部16Bを空中から水面48に移動させた状態でホバリングさせその状態を維持する(ステップS104)。
ここで、水中部16Bは、バラストタンク54(浮体32)による浮力が筐体22に作用することで、筐体22が水面48に浮かび筐体22の一部が水面48上に位置した状態となる(ステップS106)。
そして、作業者は、管理装置12の遠隔操作司令部12Aを操作することにより、無水底形状を測定する海、湖、河川の測定箇所に向かって無人飛行体14を飛行させ水中部16Bを筐体22が水面48に浮んだ状態で測定箇所に向かって曳行する(ステップS108)。
ここで、水中部16Bは、筐体22が水面48に浮かび筐体22の一部が水面48上に位置した状態で、ワイヤ34を介して無人飛行体14によって測定箇所まで曳行されることになり、この際、無人飛行体14に加わる水中部16Bの重量はほぼゼロとなり、無人飛行体14からワイヤ34で吊り下げられた水中部16Bが空中に位置している場合に無人飛行体14に加わる重量に比較して大幅に軽減されることになる。
【0051】
次いで、作業者は、表示部12Dに表示される無人飛行体14周囲の画像情報を視認して筐体22が測定箇所の上方に到達したならば、その位置で無人飛行体14をホバリングさせその状態を維持する(ステップS110)。
そして、作業者は、管理装置12の遠隔操作司令部12Aを操作することにより、水中部制御指令を水中部側制御部26に与えて第1開閉弁58および第2開閉弁56の双方を開弁させ、これによりバラストタンク54の内部の空気が第1開閉弁58からバラストタンク54の外部に排出されると共に、第2開閉弁56から水がバラストタンク54の内部に導入され、やがて、バラストタンク54の内部の空気が排出され、バラストタンク54の内部が水で満たされる。これにより筐体22に作用していた浮力がほぼゼロとなる(ステップS112)。
そして、作業者は、表示部12Dに表示される無人飛行体14周囲の画像情報を視認しつつ、管理装置12の遠隔操作司令部12Aを操作することにより、無人飛行体14を水面48に向けて降下させ、水中部16Bを水面48から所定の深さに位置させた状態で、言い換えると、3次元形状測定部24による水底46の測定が適切に行われるに足る深さまで水中部16Bを沈めた状態で、無人飛行体14をホバリングさせその状態を維持する(ステップS114)。
【0052】
次いで、作業者は、管理装置12の遠隔操作司令部12Aを操作することにより、測位部14Dの操作指令情報を測位部14Dに与えると共に、水中部操作指令情報を3次元形状測定部24に与えることでそれら測位部14Dおよび3次元形状測定部24の動作を開始させる(ステップS116)。
これにより、測位部14Dで生成された測位情報および3次元形状測定部24で生成された3次元形状情報が無線回線Nを介して無人飛行体14から管理装置12の水底形状情報生成部12Fに送信され(ステップS118)、水底形状情報生成部12Fにより水底形状情報が生成される(ステップS120)。
さらに作業者は、表示部12Dに表示される画像情報、水底46の形状を示す断面図、斜視図、等深線図などを視認しつつ、まだ、形状測定がなされてない水底46の形状測定ができるように、遠隔操作司令部12Aを操作することにより、無人飛行体14を水面48に沿って飛行させ、測定箇所を移動させる(ステップS122)。
そして、作業者は、表示部12Dに表示される画像情報、水底46の形状を示す断面図、斜視図、等深線図などを視認することで、形状測定すべき水底46の領域の全域にわたって測定が終了したか否かを判断する(ステップS124)。
ステップS124が否定ならばステップS118に戻り同様の動作を行なう。
ステップS124が肯定ならば、管理装置12の遠隔操作司令部12Aを操作することにより、無人飛行体14を上昇させ、水中部16Bの全体を空中まで上昇させる(ステップS126)。
ここで、第1開閉弁58および第2開閉弁56の双方は開弁された状態であるため、第1開閉弁58からバラストタンク54の内部に空気が導入されると共に、第2開閉弁56から水がバラストタンク54の外部に排出され、やがて、バラストタンク54の内部が空気で満たされたならば、第1開閉弁58および第2開閉弁56の双方を閉弁し、バラストタンク54の内部に空気が満たされた状態とする(ステップS128)。
次いで、作業者は、管理装置12の遠隔操作司令部12Aを操作することにより、無人飛行体14を水面48に向けて降下させ、水中部16Bを空中から水面48に移動させた状態でホバリングさせその状態を維持する(ステップS130)。
ここで、水中部16Bは、バラストタンク54(浮体32)による浮力が筐体22に作用することで、筐体22が水面48に浮かび筐体22の一部が水面48上に位置した状態となる。
そして、作業者は、管理装置12の遠隔操作司令部12Aを操作することにより、待機場所に近い海、湖、河川の水面48に向かって無人飛行体14を飛行させ水中部16Bを筐体22が水面48に浮んだ状態で曳行する(ステップS132)。
ここで、ステップS108の場合と同様に、水中部16Bは、筐体22が水面48に浮かび筐体22の一部が水面48上に位置した状態で、ワイヤ34を介して無人飛行体14によって曳行されるため、無人飛行体14に加わる水中部16Bの重量はほぼゼロとなることになり、また、無人飛行体14に加わる水中部16Bが受ける水の抵抗が軽減されることになる。
そして、水中部16Bが待機場所に近い水面48の箇所に到達したならば、作業者は遠隔制御により無人飛行体14を上昇させ、水中部16Bの全体を水面48から空中に引き上げ、表示部12Dに表示される画像を視認しつつ、無人飛行体14を所定の待機場所に向かって飛行させ、待機場所に着陸させる(ステップS134)。
そして、記憶部12Hに格納されていた水底46の領域の全域の水底形状情報が出力部12Iから出力され(ステップS136)、一連の測定動作が終了する。
【0053】
以上説明したように第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、設備コスト、運用コストを低減する上で有利となり、また、構成の簡素化、コストの低減を図る上で有利となる。
また、第1の実施の形態と同様に、3次元形状測定部24を収容する筐体22に浮力を与える浮体32を設けると共に、浮体32の浮力を制御するようにしたので、無人飛行体14によって筐体22を含む水中部16Bを水面48に浮かべて水面48に沿って移動させるにあたって、浮体32の浮力の分だけ無人飛行体14に加わる筐体22の重量を軽減できるので、無人飛行体14の負荷を軽減させることができ、無人飛行体14が飛行に要するバッテリの電力消費量を抑制する上で有利となり、無人飛行体14の飛行時間、飛行距離を確保する上で有利となり、広範囲にわたって水底46の水底形状情報を生成する上で有利となり、水底形状情報の生成を効率よく行なう上で有利となる。
また、第1の実施の形態と同様に、浮力制御部による浮力の制御を、筐体22の少なくとも一部を水面48上に位置させるように浮力を浮体32に与えるようにすれば、無人飛行体14によって筐体22全体を水中に位置させた状態で水面48に沿って移動させる場合に比較して筐体22に作用する水の抵抗を抑制できるため、無人飛行体14の負荷を軽減させる上でより有利となる。
そのため、無人飛行体14が飛行に要するバッテリの電力消費量を抑制し、無人飛行体14の飛行時間、飛行距離を確保する上でより有利となり、広範囲にわたって水底46の水底形状情報を生成する上でより有利となり、水底形状情報の生成を効率よく行なう上でより一層有利となる。
【0054】
また、本実施の形態では、浮体32を、その内部に気体と水とが給排されることで浮力が調整されるバラストタンク54で構成し、バラストタンク54の上部と下部にそれぞれ第1開閉弁、第2開閉弁を設け、浮力制御部を第1開閉弁、第2開閉弁を含んで構成したので、構成の簡素化を図り、無人飛行体14の負荷を軽減する上で有利となる。
また、第1の実施の形態で必要であった、筐体の外側に設けられた空気取り入れ用のホース42が不要となるため、無人飛行体14から吊り下げられた筐体が空中を移動する場合に生じるホース42の空気抵抗を抑制する上で有利となる。
そのため、無人飛行体14が飛行に要するバッテリの電力消費量を抑制し、無人飛行体14の飛行時間、飛行距離を確保する上でより有利となり、広範囲にわたって水底46の水底形状情報を生成する上でより有利となり、水底形状情報の生成を効率よく行なう上でより一層有利となる。
【0055】
また、第2の実施の形態では、気体として水上の空気を用いたので、特別なガスなどの気体を用意する必要がなく、水底形状測定装置10Bの運用コストを低減する上で有利となる。
【0056】
なお、第2の実施の形態では、バラストタンク54を筐体22の外部に設けた場合について説明したが、バラストタンク54を筐体22で構成してもよい。
その場合は、筐体22内部において3次元形状測定部24、水中部側制御部26、水中部側バッテリをカバーで水密に覆い水に触れないようにしておく必要がある。
このようにしても第1の実施の形態と同様の効果が奏されることは無論のこと、バラストタンク54を筐体22で構成できるため、構成の簡素化、コスト低減を図る上で有利となる。
【0057】
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態の水底形状測定装置10Cについて図10図11を参照して説明する。
第3の実施の形態は、第1の実施の形態の変形例であり、気体供給部から袋体36に供給される気体が筐体22に収容されたボンベ60内の気体である点が第1の実施の形態と異なっている。
図10図11に示すように、ボンベ60は、例えば、圧縮された空気が気体として充填されたものである。
図11に示すように、ボンベ60と袋体36とは気体供給管62によって接続されている。
気体供給管62に気体供給弁64が設けられ、気体供給弁64は水中部側制御部26の制御により開閉が制御される。
したがって、水中部側制御部26の制御により、気体供給弁64が開弁されると、ボンベ60の気体が気体供給管62を介して袋体36に供給され、これにより、袋体36に空気が充填されることで袋体36が膨張し、浮体32による浮力が発生する。
また、袋体36に空気が供給される際、気体排出弁30は閉弁され、袋体36の空気が漏れないように図られている。
このような浮力が筐体22に作用することにより、ワイヤ34を介して無人飛行体14に加わる筐体22の荷重を浮力の分だけ軽減することができる。
また、気体供給弁64の開弁時間によって袋体36に充填される空気量(容積)を調整することで浮力を調整でき、これにより筐体22の少なくとも一部を水面48上に位置させることができる。
浮体32による浮力が得られたならば、水中部側制御部26の制御により、気体供給弁64が閉弁され、袋体36に必要以上の空気が充填されることを防止する。
【0058】
また、空気が充填された浮体32が水中に位置した状態で気体排出弁30が開弁されると、袋体36の内部の空気は、袋体36に加わる水圧により気体排出口3604、気体排出弁30、気体排出管44を介して袋体36の外部に排出され、これにより袋体36が収縮し、したがって、浮体32によって筐体22に作用する浮力がほぼゼロとなる。
【0059】
したがって、第3の実施の形態によれば、袋体36に気体を供給する気体供給部が、ボンベ60と気体供給弁64によって構成されている。
また、袋体36に充填された気体を排出させる気体排出部は、第1の実施の形態と同様に、気体排出弁30によって構成されている。
なお、第3の実施の形態の水底形状測定装置10Cによる一連の測定動作については、ボンベ60から袋体36へ空気を供給する点を除いて第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0060】
このような第3の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果が奏される。
また、第1の実施の形態で必要であった、筐体22の外側に設けられた空気取り入れ用のホース42が不要となるため、無人飛行体14から吊り下げられた筐体22が空中を移動する場合に生じるホース42の空気抵抗を抑制する上で有利となり、無人飛行体14のバッテリの電力消費量を抑制し、無人飛行体14の飛行時間、飛行距離を確保し、広範囲にわたって水底46の水底形状情報を生成する上でより有利となり、水底形状情報の生成を効率よく行なう上でより一層有利となる。
なお、ボンベ60に充填する気体としては、空気の他、二酸化炭素ガスなど従来公知の様々なガスが使用可能である。
【0061】
また、ボンベ60に代えて以下に示すガス発生装置を設けても良い。
ガス発生装置として、例えば、過酸化水素液と、二酸化マンガン粉末とを混合させることで発生する化学反応で得られる酸素ガスを発生させるものを用いることができる。
この場合、ガス発生装置は、水中部側制御部26の制御により過酸化水素液を吐出させる液体定量吐出装置(ディスペンサー)と、水中部側制御部26の制御により二酸化マンガン粉末を供給する粉体供給装置と、液体定量吐出装置から吐出される過酸化水素液と粉体供給装置から供給される二酸化マンガン粉末を混合する密閉された容器とを備え、容器に気体供給管62を接続すればよい。
このようにすると、容器内で過酸化水素液と二酸化マンガン粉末とが混合することで発生した酸素ガスを気体供給管62を介して袋体36に供給することができる。
【0062】
(第4の実施の形態)
次に第4の実施の形態の水底形状測定装置10Dについて図12図13を参照して説明する。
第4の実施の形態は、第2の実施の形態の変形例であり、浮力制御部がバラストタンク54の内部に気体を供給するボンベ66を含んで構成されている点が第2の実施の形態と異なっている。
図12図13に示すように、ボンベ66は、筐体22の内部に配置され、ボンベ66には圧縮された空気が気体として充填されている。
ボンベ66とバラストタンク54とは気体供給管68によって接続されている。
気体供給管68に気体供給弁70が設けられ、気体供給弁70は水中部側制御部26の制御により開閉が制御される。
【0063】
したがって、水中部16Dの下部が水中に位置した状態で、水中部側制御部26の制御により、気体供給弁70が閉弁され、第1開閉弁58および第2開閉弁56が開弁されることにより、水が第2開閉弁56を介してバラストタンク54の内部に導入されると共に、空気が第1開閉弁58を介して水中に排出される。
これにより、その内部が水で満たされることでバラストタンク54による浮力がほぼゼロとなる。
【0064】
また、水中部16Dの全体が水中に位置した状態で、水中部側制御部26の制御により、気体供給弁70が開弁され、第1開閉弁58が閉弁され、第2開閉弁56が開弁されることにより、ボンベ66から供給される空気がバラストタンク54の内部に導入されると共に、水が第2開閉弁56を介してバラストタンク54の内部から排出される。
ここで、気体供給弁70、第1開閉弁58、第2開閉弁56の全てが閉弁されることにより、その内部が空気で満たされたバラストタンク54による浮力が発生する。
また、バラストタンク54の内部に導入される空気量(容積)を調整することで浮力を調整でき、これにより筐体22の少なくとも一部を水面48上に位置させることができる。
したがって、第4の実施の形態では、浮体32の浮力を制御する浮力制御部が、ボンベ66と、気体供給弁70と、第1開閉弁58と、第2開閉弁56を含んで構成されている。
なお、第4の実施の形態の水底形状測定装置10Dによる一連の測定動作については、ボンベ66からバラストタンク54へ空気を供給する点を除いて第2の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0065】
第4の実施の形態によれば、第2の実施の形態と同様の効果が奏されることは無論のこと、バラストタンク54から水を排出してバラストタンク54による浮力を発生させる際に、ボンベ66から供給される空気をバラストタンク54の内部に導入すれば済むため、第2の実施の形態のように無人飛行体14を上昇させ、水中部16Dの全体を空中まで上昇させてバラストタンク54から水を排出する必要がない。
そのため、無人飛行体14が飛行に要するバッテリの電力消費量を抑制し、無人飛行体14の飛行時間、飛行距離を確保する上でより有利となり、広範囲にわたって水底46の水底形状情報を生成する上でより有利となり、水底形状情報の生成を効率よく行なう上でより一層有利となる。
また、第4の実施の形態においても、第3の実施の形態と同様に、ボンベ66に充填する気体としては、空気の他、二酸化炭素ガスなど従来公知の様々なガスが使用可能である。
また、ボンベ66に代えて前述したガス発生装置を設けても良い。
【0066】
なお、実施の形態では、作業者が無人飛行体14を遠隔制御する場合について説明したが、前述したように、自動制御により無人飛行体14を予め定められた飛行コースを飛行させ、飛行コースに沿った水底46の水底形状情報を得るようにしてもよく、その場合は、省人化を図りつつ水底形状の測定を効率的に行なう上で有利となる。
【符号の説明】
【0067】
10A、10B、10C、10D 水底形状測定装置
12 管理装置
12A 遠隔操作司令部
12B 管理装置側通信部
12C 地図データベース部
12D 表示部
12E 管理装置側飛行制御部
12F 水底形状情報生成部
12G 情報処理部
12H 記憶部
12I 出力部
14 無人飛行体
14A 飛行体側通信部
14B 撮像部
14C 飛行体側飛行制御部
14D 測位部
16A、16B、16C、16D 水中部
18 飛行体本体
20 ロータ
22 筐体
2202 底壁
2204 側壁
2206 上壁
2210 吊り下げ用フック
24 3次元形状測定部
26 水中部側制御部
28 ポンプ(気体供給部)
2802 気体吸入口
2804 気体吐出口
30 気体排出弁(気体排出部)
32 浮体
34 ワイヤ
3402 分岐部
36 袋体
3602 気体供給口
3604 気体排出口
38 取り付け部材
40 袋体保護ケース
42 ホース
44 気体排出管
46 水底
48 水面
50 超音波
52 レーザー光
54 バラストタンク
5402 内周壁部
5404 上壁部
5406 下壁部
5408 外周壁部
5410 水流通口
5412 気体流通口
58 第1開閉弁
5802一端
5804他端
56 第2開閉弁
5602 一端
5604 他端
60 ボンベ
62 気体供給管
64 気体供給弁
66 ボンベ
68 気体供給管
70 気体供給弁
N 無線回線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13