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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-13
(45)【発行日】2023-07-24
(54)【発明の名称】衣類
(51)【国際特許分類】
   A41H 43/04 20060101AFI20230714BHJP
   A41D 27/00 20060101ALI20230714BHJP
   A41D 27/10 20060101ALI20230714BHJP
   A41B 9/06 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
A41H43/04
A41D27/00 A
A41D27/10 E
A41B9/06 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019212686
(22)【出願日】2019-11-25
(65)【公開番号】P2021085104
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】519053094
【氏名又は名称】東麗(香港)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 大地
(72)【発明者】
【氏名】谷口 卓充
(72)【発明者】
【氏名】松本 真吾
(72)【発明者】
【氏名】大塚 亜津希
【審査官】山尾 宗弘
(56)【参考文献】
【文献】実開平7-40710(JP,U)
【文献】特許第6153544(JP,B2)
【文献】特開2018-119255(JP,A)
【文献】特開2017-222969(JP,A)
【文献】登録実用新案第3210964(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41H 43/04
A41D 27/00
A41D 27/10
A41B 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮性を有する生地からなり、着用者の人体部位を通過させる開口部を有する衣類であって、
前記開口部は、生地端を二つに折り返した構造からなり、前記生地端に沿って単列または複列状に付設されたドット状の接着剤により前記生地端と生地本体とが固着されており、
前記生地の端部側に付設された前記接着剤の列は、前記生地の端部から2mm以内に付設され、
前記ドット状の接着剤は、密に隣接する部分と疎に隣接する部分とを有し、
前記ドット状の接着剤の密に隣接する部分は、身頃の中心線に対して左右対称に配置されている衣類。
【請求項2】
前記ドット状の接着剤の密に隣接する部分の3cm区間に付設された接着剤の付設間隔の平均値と、前記ドット状の接着剤の疎に隣接する部分の3cm区間に付設された接着剤の付設間隔の平均値との差が、15%以上である請求項1に記載の衣類。
【請求項3】
前記開口部は襟ぐりであって、前身頃の左右の肩部に前記ドット状の接着剤の密に隣接する部分が配置されている請求項1または2に記載の衣類。
【請求項4】
前記開口部は襟ぐりであって、前身頃の左右の肩部と前身頃の中心線との中間部に前記ドット状の接着剤の密に隣接する部分が配置されている請求項1または2に記載の衣類。
【請求項5】
前記開口部は襟ぐりであって、後身頃に前記ドット状の接着剤の密に隣接する部分が配置されている請求項1~4のいずれか一つに記載の衣類。
【請求項6】
前記ドット状の接着剤の密に隣接する部分は、前記ドット状の接着剤の端部が接触して配置されている請求項1~5のいずれか一つに記載の衣類。
【請求項7】
前記接着剤が反応型ホットメルトである請求項1~6のいずれか一つに記載の衣類。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衣類を構成する生地の端部、例えば開口端部を処理する技術として、二つ折りした生地の端を接着テープで貼り合わせて固着する技術が知られている。例えば特許文献1には、水着の裾部など表生地を折り返す場合、ホットメルトシートを接着して構成する関連技術が提案されている。
他方、衣類を構成する複数の生地どうしを接合する技術として、衣類を構成する生地どうしをドット状に付設した接着剤を用いて接合する技術が知られている。例えば特許文献2には、アンダーシャツの身頃と袖とを接合する場合に、ドット状に繰り返し設けた接着剤により貼り合わせる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-264394号公報
【文献】特許第6249821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
伸縮性を有する生地を使用する衣類において、開口部の生地の端を二つに折り返してドット状に付設した接着剤で接合すると、着用時に開口部が大きく伸長し、開口部の端が波打つ、いわゆる伸びだれが発生し、外観が低下するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、開口部において生地の端を二つに折り返してドット状の接着剤を用いて固着したときでも、着用による伸びだれを防止し、見栄えの低下を軽減しうる衣類を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る衣類は、伸縮性を有する生地からなり、着用者の人体部位を通過させる開口部を有する衣類であって、前記開口部は、生地端を二つに折り返した構造からなり、前記生地端に沿って単列または複列状に付設されたドット状の接着剤により前記生地端と生地本体とが固着されており、前記生地の端部側に付設された前記接着剤の列は、前記生地の端部から2mm以内に付設され、同列上に付設された前記ドット状の接着剤は、密に隣接する部分と疎に隣接する部分とを有し、前記ドット状の接着剤の密に隣接する部分は、身頃の中心線に対して左右対称に配置されている。
【0007】
本発明に係る衣類は、上記発明において、前記ドット状の接着剤の密に隣接する部分の3cm区間に付設された接着剤の付設間隔の平均値と、前記ドット状の接着剤の疎に隣接する部分の3cm区間に付設された接着剤の付設間隔の平均値との差が、15%以上である。
【0008】
本発明に係る衣類は、上記発明において、前記開口部は襟ぐりであって、前身頃の左右の肩部に前記ドット状の接着剤の密に隣接する部分が配置されている。
【0009】
本発明に係る衣類は、上記発明において、前記開口部は襟ぐりであって、前身頃の左右の肩部と前身頃の中心線との中間部に前記ドット状の接着剤の密に隣接する部分が配置されている。
【0010】
本発明に係る衣類は、上記発明において、前記開口部は襟ぐりであって、後身頃に前記ドット状の接着剤の密に隣接する部分が配置されている。
【0011】
本発明に係る衣類は、上記発明において、前記ドット状の接着剤の密に隣接する部分は、前記ドット状の接着剤の端部が接触して配置されている。
【0012】
本発明に係る衣類は、上記発明において、前記接着剤が反応型ホットメルトである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、開口部の生地端を二つに折り返してドット状に配置された接着剤で固着した場合であっても、着用時に開口部が大きく伸長した伸びだれを防止し、見栄えの低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施の形態1に係る衣類の外観を示す図である。
図2図2は、図1に示す衣類の開口部に接着剤が付設された様子を模式的に示す図である。
図3図3は、実施の形態1の変形例1に係る衣類の外観を示す図である。
図4図4は、実施の形態1の変形例2に係る衣類の外観を示す図である。
図5図5は、実施の形態2に係る衣類の外観を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という」)を説明する。なお、図面はあくまでも模式的なものであり、本発明の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示すものである。すなわち、本発明は、各図で例示された形状、大きさおよび位置関係のみに限定されるものではなく、図面の相互間においても、互いの寸法や比率が異なる部分が含まれている。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る衣類1の構成を示す図である。なお、図1の衣類1において、開口部3および4もドット状の接着剤11により生地の端部13と本体とが固着されているが、図示を省略している。実施の形態1では、図1に示す半袖肌着を例として説明するが、半袖肌着のほか、カップ付きインナー、Tシャツやカットソーなどのアウターウェアに適用することができ、その用途は限定されるものではない。
【0017】
衣類1は、頭、腕、胴体を通過させる開口部2、3、4を有する。開口部2、3および4は、図2に示すように、生地の端部13を折線12で二つに折り返した構造からなり、生地の端部13に沿って単列に付設されたドット状の接着剤11により生地の端部13と本体とが固着されている。図2は、図1に示す衣類1の開口部に接着剤11が付設された様子を模式的に示す図であり、図2(a)は折り返し前、図2(b)が折り返し後の図である。
【0018】
衣類1は、図2(a)に示すように、開口部2、3、4の生地の端部13に沿ってドット状の接着剤11を連続して付設し、図2(b)に示すように、生地の端部13を折線12で二つに折り返して、生地の端部13と本体とを固着している。生地の端部13と接着剤11の列との距離d1が大きくなると、生地の端部13を折線12で二つに折り返したとき、生地の端部13が自由端となって反り返る不具合が出やすい。したがって、生地の端部13と接着剤11の列との距離d1は、2mm以内とすることが重要であり、好ましくは1mm以内である。なお、接着剤11は、折線12より生地端側に配置しているが、折線12より生地本体側に配置することも考えられる。しかしながら、折線12よりも生地本体側に接着剤11を配置し、生地端の折り返し量を小さくした場合、接着剤11の配置精度や、生地端の折り返し量の精度によっては、接着剤11により生地端と生地本体との確実な接着ができないおそれがある。したがって、接着剤11は折線12よりも生地端側に配置することが好ましい。
【0019】
また、開口部2、3、4において、接着剤11と折線12との距離d4は、0.5mm以上であることが好ましい。開口部2、3、4の折線12と接着剤11が近接する場合、開口部2、3、4の折り端を引き延ばした時に、連続して付設されたドット状の接着剤11のアタリが発現し、開口部2、3、4の端部に凹凸ができ見た目が悪くなる。これにより、接着剤11は、開口部の端部となる折線12の位置から0.5mm以上の間隔を空けて付設されることが好ましい。より好ましくは1.0mm以上の間隔を空けて付設される。
【0020】
衣類1は、襟ぐりの開口部2において、付設されたドット状の接着剤11が密に隣接する部分11Aと疎に隣接する部分11Bとを有している。衣類1では、前身頃の左右の肩部にドット状の接着剤11が密に隣接する部分11Aを設けている。ドット状の接着剤11により伸縮性を有する生地の端部13を生地本体に固着する場合、接着剤11が付設されていない部分14は、縫製やホットメルトシートにより生地の端部13と生地本体とを接続する場合に比べて伸長しやすく、着用時に大きく伸長し、開口部2の端が波打つ、伸びだれが起こりやすくなる。実施の形態1の衣類1では、開口部2の前身頃の左右の肩部にドット状の接着剤11が密に隣接する部分11Aを設けることにより、着用時の伸長を制限し、伸びだれの発生を防止する。これにより、見栄えの低下を防止することができる。左右の肩部にドット状の接着剤11が密に隣接する部分11Aを設けることにより、開口部2の縦方向の伸長を制限することができる。また、ドット状の接着剤11の密に隣接する部分11Aは、身頃の中心線Cに対して左右対称に配置されている。これにより、衣類1の外観性を向上することができる。
【0021】
衣類1の開口部2において、ドット状の接着剤11の密に隣接する部分11Aの3cm区間に付設された接着剤11の配置間隔dsと、疎に隣接する部分11Bの3cm区間に付設された接着剤11の配置間隔dbの平均値の差は15%以上とすることが好ましい。接着剤11の密に隣接する部分11Aと、接着剤11の疎に隣接する部分11Bの3cm区間に付設された接着剤11の配置間隔d3の平均値の差は下記式から算出することができる。
接着剤の配置間隔d3の平均値の差=[(ds-db)/db]×100
ds:接着剤11の密に隣接する部分の3cm区間に付設された接着剤11の配置間隔d3の平均値
db:接着剤11の疎に隣接する部分の3cm区間に付設された接着剤11の配置間隔d3の平均値
【0022】
接着剤11の密に隣接する部分11Aは、開口部2の長さの4~96%の割合で設けることが好ましい。これにより、開口部2が適度に伸長して着用しやすくなるとともに、伸びだれの発生を抑制することができる。接着剤11の密に隣接する部分11Aの割合は、開口部2の長さの20~50%であることが特に好ましい。
【0023】
衣類1の開口部2において、ドット状の接着剤11の密に隣接する部分11Aの3cm区間とは、接着剤11の密に隣接する部分11Aに概ね一致する曲率半径の円の接点を中心とした両側1.5cmの範囲のことをいう。ドット状の接着剤11の疎に隣接する部分11Bについても同様である。
衣類1の開口部2のドット状の接着剤11の疎に隣接する部分11Bとは、場合によっては限りなく直線に近いパターンで構成されていても良い。
【0024】
接着剤11の密に隣接する部分11Aにおいて接着剤11の付設間隔d3に対する接着剤11の直径d2の割合は、10~80%であることが好ましいが、ドット状の接着剤11の端部は隣接する接着剤と接触(d2=d3)して配置されていてもよい。接着剤11の密に隣接する部分11Aにおいて、接着剤11の付設間隔d3に対する接着剤11の直径d2の割合は、15~77%であることがさらに好ましい。なお、開口部2は湾曲しているため、生地の端部13を折線12で二つに折り返した時、接着剤11を配置した生地の端部13は湾曲の内外周差によって引き広げられる状態となる。したがって、図2(a)に示す生地の端部に塗布した際の接着剤11の配置間隔d3’より、図2(b)に示す折線12で折り返し後の接着剤11の配置間隔d3は広がった状態となる。接着剤11の密に隣接する部分11Aおよび接着剤11の疎に隣接する部分11Bにおいて、接着剤の配置間隔d3を所望の間隔とするために、配置部分の曲率に伴う配置間隔d3の広がりを考慮して、接着剤11の配置間隔d3’を設定することが好ましい。
【0025】
また、接着剤11の疎に隣接する部分11Bにおいて、接着剤11の付設間隔d3に対する接着剤11の直径d2の割合は、8~70%であることが好ましい。接着剤11の疎に隣接する部分11Bにおいて、接着剤11の付設間隔d3に対する接着剤11の直径d2の割合は、13~65%であることがさらに好ましい。
【0026】
ドット状の接着剤11は、衣類1を構成する生地の組織や厚さによって好ましい大きさが異なる。直径が1.0~2.0mm程度のドットであれば比較的強い接着強力が得られやすいが、生地が薄い場合は生地のおもて側にしみ出して目立ってしまい、外観を損ねる場合があるため、必要な接着強力が得られる範囲内で小さいものが好ましい。直径が1.0mm以下の接着剤11であれば、生地厚みが0.5~0.8mm程度のインナー生地の場合でもしみ出しにくく好ましい。更に直径が0.6mm以下の接着剤であれば、生地厚みが0.3~0.5mm程度の更に薄い生地でもしみ出しが目立ちにくく好ましい。接着剤11の直径(d2)が小さくなって接着強力が低下する場合は、接着剤11の配置間隔(d3)を小さくすることで補強することができる。なお、本明細書において、接着剤11の直径は、平面方向の長さを意図している。生地端に付設された際の接着剤11の高さは、直径とほぼ同程度であるが、固着されると生地内部に浸透するため衣類1の厚みへの影響はない。
【0027】
ドット状に付設された接着剤11は、実施の形態1において丸の形状であるが、これに限定されるものではない。接着剤11の配置間隔を変化させられるよう、接着剤11が分離した状態で繰り返し付設させられる形状であれば良く、線状のものや幾何学的な形状のものでも良いし、それらを組み合わせた形状であっても良い。
【0028】
接着剤11を構成する樹脂は、天然樹脂よりも合成樹脂の方が好ましく、その中でも熱可塑性樹脂がより好ましい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリエステル、ポリフェニレンスルファイド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミドイミドなどの他、高分子化合物からなるものであれば特に限定されず、種々のものを用いることができる。
【0029】
接着剤11を構成する樹脂の好ましい硬さとしては、「JIS K 7215 1986年」に記載されているプラスチックのデュロメーター硬さ試験方法に準じて測定したデュロメーターD硬さが10~90であり、より好ましくは10~60である。
【0030】
接着剤11を構成する樹脂の好ましい比重としては、「JIS K 7112 1999年」に記載されているプラスチックの比重測定方法に準じて測定した比重が1.00~1.30であり、より好ましくは1.10~1.20である。
【0031】
接着剤11を構成する樹脂は、反応性ホットメルトであることが好ましい。樹脂が反応性ホットメルトであるとき、樹脂が軟化または溶融して接着部位の構造間に浸み込んで、冷却固化した後に周囲の湿気と反応することにより架橋が進行し、耐熱性および耐溶剤性などに優れた接着構造を形成することができる。
【0032】
衣類1は、伸縮性を有する生地からなる。たとえば、衣類1に使用する生地は、一般の衣料用素材として提供される編物素材であれば、丸編や経編等、発明の実施に必要な伸縮性があり限定されるものではない。また、織物素材であっても、衣料用に伸縮性を持つ素材は本発明に好適である。衣類1に使用する生地は、縦方向または横方向のどちらか一方の伸長率が50%以上、300%以下であることが好ましい。伸長率が、50%以下であると動作時の伸びに追従せず、動作性が悪くなる。また、300%以上になると開口部2、3、4の伸びだれが発生しやすくなる。生地の伸長率は、縦方向および横方向ともに80%以上、200%以下であることがさらに好ましい。
【0033】
衣類1の開口部2、3、4を構成する生地の端部13は、生地を裁断したままの状態でも良いし、オーバーロックによる縁かがりやテープ状の縫製資材でパイピング処理されていても良く、あるいはヒートカットや裁断刃による裁断の切り端の状態であっても、生地端を二つ折りに返す処理ができるものであれば特に限定されるものではない。
【0034】
上記の実施の形態1では、接着剤11が密に隣接する部分11Aを、前身頃の左右の肩部に配置しているが、これに限定するものではない。図3は、実施の形態1の変形例1に係る衣類1Aの外観を示す図である。なお、図2の衣類1Aにおいて、開口3および4のドット状の接着剤11の図示を省略している。
【0035】
衣類1Aでは、ドット状の接着剤11の密に隣接する部分11Aは、後身頃に配置されている。開口部2の後身頃にドット状の接着剤11が密に隣接する部分11Aを設けることにより、着用時の伸長を制限し、伸びだれの発生を防止する。これにより、見栄えの低下を防止することができる。後身頃にドット状の接着剤11が密に隣接する部分11Aを設けることにより、開口部2の横方向の伸長を制限することができる。また、ドット状の接着剤11の密に隣接する部分11Aは、身頃の中心線Cに対して左右対称に配置されている。衣類1Aでは、開口部2の後身頃の全域に接着剤11の密に隣接する部分11Aを設けているが、身頃の中心線Cに対して左右対称に配置するものであれば、開口部2の後身頃の一部に接着剤11の密に隣接する部分11Aを設けてもよい。
【0036】
さらに、接着剤11が密に隣接する部分11Aは、前身頃と後身頃に配置してもよい。図4は、実施の形態1の変形例2に係る衣類1Bの外観を示す図である。なお、図3の衣類1Bにおいて、開口3および4のドット状の接着剤11の図示を省略している。
【0037】
衣類1Bでは、ドット状の接着剤11の密に隣接する部分11Aは、前身頃の左右の肩部と前身頃の中心線との中間部、および後身頃の一部に配置されている。開口部2の前身頃の左右の肩部と前身頃の中心線との中間部、および後身頃の一部にドット状の接着剤11が密に隣接する部分11Aを設けることにより、着用時の伸長を制限し、伸びだれの発生を防止することができる。前身頃の左右の肩部と前身頃の中心線との中間部、および後身頃の一部にドット状の接着剤11が密に隣接する部分11Aを設けることにより、開口部2の縦方向、および横方向の伸長を制限することができる。また、ドット状の接着剤11の密に隣接する部分11Aは、身頃の中心線Cに対して左右対称に配置されている。衣類1Bでは、図4に示す位置に接着剤11の密に隣接する部分11Aを設けているが、身頃の中心線Cに対して左右対称に配置するものであれば、接着剤11の密に隣接する部分11Aを配置する部分は適宜変更することができる。
【0038】
上記の実施の形態1では、ドット状の接着剤11は単列で付設されているが、2列または3列等の複数列で付設されていてもよい。複数列で接着剤11が付設される場合、接着剤11が密に隣接する部分11Aは、身頃の中心線Cに対して左右対称に配置するものであれば、複数列中の一列にのみ配置されていてもよく、複数列にわたって付設されていてもよい。
【0039】
また、上記の実施の形態1では、開口部2のみに接着剤11が密に隣接する部分11Aを配置しているが、開口部3、開口部4に設けることもできる。開口部3、開口部4に、接着剤11が密に隣接する部分11Aを設ける場合も、開口部2と同様に、ドット状の接着剤11の密に隣接する部分は、身頃の中心線Cに対して左右対称に配置されていればよい。
【0040】
さらに、上記実施の形態1では、接着剤11の配置間隔d3は、接着剤11が密に隣接する部分11Aと、接着剤11が疎に隣接する部分11Bとで異なるものであるが、身頃の中心線Cに対して左右対称に配置するものであれば、接着剤11の配置間隔d3がそれぞれ異なる3以上の部分から構成してもよい。
【0041】
上記の実施の形態1では、開口部の全周を生地端に沿って単列または複列状に付設されたドット状の接着剤11により生地端と生地本体とを固着する形態について説明したが、本願発明はこれに限定されるものではない。例えば、前身頃の開口部2の生地端と生地本体とをミシン縫いで固定し、後身頃の開口部2をドット状の接着剤11により生地端と生地本体とを固着する場合においても、ドット状の接着剤11を、密に隣接する部分と疎に隣接する部分とを有し、かつドット状の接着剤11の密に隣接する部分は、身頃の中心線に対して左右対称に配置することで、着用時の伸長を制限し、伸びだれの発生を防止することができる。
【0042】
(実施の形態2)
図5は、実施の形態2に係る衣類20の構成を示す図である。なお、図5の衣類20において、開口22のドット状の接着剤11の図示を省略している。
【0043】
衣類20では、ドット状の接着剤11の密に隣接する部分11Aは、開口部21の前身頃の左右の一部と、後見頃の一部に配置されている。開口部21の前身頃の左右の一部と、後身頃の一部にドット状の接着剤11が密に隣接する部分11Aを設けることにより、着用時の伸長を制限し、伸びだれの発生を防止することができる。また、ドット状の接着剤11の密に隣接する部分11Aは、身頃の中心線Cに対して左右対称に配置されている。衣類20では、図5に示す位置に接着剤11の密に隣接する部分11Aを設けているが、身頃の中心線Cに対して左右対称に配置するものであれば、接着剤11の密に隣接する部分11Aを配置する部分は適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 衣類
2 開口部(襟ぐり)
3 開口部(袖口)
4 開口部(腹部)
11 接着剤
11A 接着剤が密に隣接する部分
11B 接着剤が疎に隣接する部分
12 折線
13 生地の端部
14 接着剤11が付設されていない部分
20 衣類
21 開口部(腹部)
22 開口部(脚部)
図1
図2
図3
図4
図5