(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-13
(45)【発行日】2023-07-24
(54)【発明の名称】フィコビリタンパク質の精製
(51)【国際特許分類】
C07K 14/405 20060101AFI20230714BHJP
C07K 1/30 20060101ALI20230714BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20230714BHJP
A23L 5/46 20160101ALI20230714BHJP
【FI】
C07K14/405 ZNA
C07K1/30
C12P21/02 A
A23L5/46
(21)【出願番号】P 2019552498
(86)(22)【出願日】2018-03-30
(86)【国際出願番号】 EP2018058294
(87)【国際公開番号】W WO2018178334
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-03-01
(32)【優先日】2017-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513127711
【氏名又は名称】フェルメンタル
(74)【代理人】
【識別番号】100094640
【氏名又は名称】紺野 昭男
(74)【代理人】
【識別番号】100103447
【氏名又は名称】井波 実
(74)【代理人】
【識別番号】100111730
【氏名又は名称】伊藤 武泰
(74)【代理人】
【識別番号】100180873
【氏名又は名称】田村 慶政
(72)【発明者】
【氏名】カニャク、オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】アタネ、アクセル
(72)【発明者】
【氏名】デモル、ジュリアン
【審査官】山本 晋也
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-271783(JP,A)
【文献】特開昭62-006691(JP,A)
【文献】特開2017-123816(JP,A)
【文献】国際公開第2017/050918(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/050917(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/099261(WO,A1)
【文献】Shi-Gan Yan et al.,J Appl Phycol,2011年,Vol. 23,p. 1-6
【文献】ORANDA H. et al.,Biochem. J.,1975年,Vol.147,p.63-70
【文献】Leslie E. Eisele et al.,Biochimica et Biophysica Acta,2000年,Vol.1456,p.99-107
【文献】Myounghoon Moon et al.,Korean J. Chem. Eng.,2014年,Vol.31, No.3,p.490-495
【文献】Laila Sorensen et al.,J Sci Food Agric,2013年04月05日,Vol. 93,p. 2933-2938
【文献】Gerald Schonknecht et al,Science,2013年03月08日,Vol. 339,p. 1207-1210
【文献】D. Y. Rahman et al,J Appl Phycol,2016年11月21日,Vol. 29,p. 1233-1239
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K
C12N
C12P
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シアニディオスキゾン、シアニジウムまたはガルディエリア属の微細藻類株から選択されるフィコシアニン産生微生物の細胞からの酸pH耐性フィコシアニンの粗抽出物から、酸pH耐性フィコシアニンを精製する方法であって、
前記酸pH耐性フィコシアニンが、4~2の範囲のpHで安定であり、
前記酸pH耐性フィコシアニンの粗抽出物が、前記微生物を培養した後の発酵マストから前記微生物の細胞を分離すること、分離した細胞を溶解すること、溶解した細胞を水に懸濁させること、得られた懸濁液から固体を分離することを含む方法により得られる水性溶液であり、
当該方法が、
a)前記酸pH耐性フィコシアニンの粗抽出物のpHを5未満のpHに調整して、前記酸pH耐性フィコシアニン以外の有機物を沈殿させる工程と、
b)工程a)で得られた、酸pH耐性フィコシアニンを含む上清を回収する工程と、
c)前記上清から酸pH耐性フィコシアニンを分離する工程と
を含んでなることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記フィコシアニンが、c-フィコシアニン(C-PC)とアロフィコシアニン(APC)の混合物を含み、ここで、C-PC/APCモル比は少なくとも5である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程a)において、前記酸pH耐性フィコシアニンの粗抽出物のpHを、アロフィコシアニン(APC)の等電点未満に調整することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記フィコシアニンが、少なくとも95%の酸pH耐性C-PCと5モル%未満のAPCを含み、ここで、パーセンテージはAPCとC-PCの合計に対する割合を表す、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記上清の回収を濾過によって行う、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記微細藻類が、ガルディエリア・スルフラリア、シアニジウム・カルダリウムおよびシアニディオスキゾン・メロラエの菌株から選択される、請求項
1~5
のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程a)において、前記酸pH耐性フィコシアニンの粗抽出物のpHを5未満のpHに調整して得られた沈殿物のペレットに含まれる、上清中に溶解せずに沈殿してしまったフィコシアニンを酸pHの水溶液に可溶化し、不純物から分離し、工程b)とc)を繰り返すことによって単離する、請求項1~
6のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィコビリタンパク質、特に酸pH耐性フィコビリタンパク質を精製するための新規方法、得られたフィコビリタンパク質、およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ガルディエリア・スルフラリア(Galdieria Sulphuraria)のフィコビリタンパク質、特にC-フィコシアニン(C-PC)の精製は、アルスロスピラ・プラテンシス(Arthrospira platensis)(スピルリナ)または他のシアノバクテリアの精製よりもはるかに複雑である。この理由の一つにガルディエリア・スルフラリア細胞壁の組成があり、これを破砕するには機械的作用を必要とする(Sorensen et al.,2013)。機械的な溶解の結果、ミセルが形成されるが、これは超遠心分離によって部分的にのみ除去される。これらのミセル中に、クロロフィルaと、溶解したカロテノイドが存在していると、280nmでの吸光度値(タンパク質固有のUV吸光度)が高まり、これによりスピルリナ粗抽出物と比較してC-PC粗抽出物の低純度レベルを説明することができる(Sorensen et al.,2013)。したがって、ミセルとフィコビリタンパク質以外の可溶性タンパク質を除去することによって、粗抽出物の純度レベルを高めることができる。
【0003】
シアニディオシゾン・メロラエ(Cyanidioschyzon merolae)、シアニジウム・カルダリウム(Cyanidium caldarium)、ガルディエリア・スルフラリアおよびスピルリナ(Spirulina)から抽出されたフィコビリタンパク質を硫酸アンモニウムを用いて沈殿させる精製法が文献に記載されているが(WO2016099261;Eisele et al.,2000;Kao et al.Moon et al.,1975;2015;Cruz de Jesus et al.,2006)、大量の硫酸アンモニウムを必要とし、この硫酸アンモニウムと上清の再処理という重大な問題を引き起こすことから工業規模での適用は非常に難い。
【0004】
クロマトグラフ法のような純度レベルを得る他の公知の精製法は、実施に非常に費用がかかるものであった。
【0005】
したがって、本発明は、フィコビリタンパク質産生微生物のバイオリアクター培養によって産生されたフィコビリタンパク質を精製する方法に関し、この方法は実施が容易であり、工業規模の実施に経済的に適している。
【0006】
さらに、フィコビリタンパク質、特にフィコシアニンは、c-フィコシアニンとアロフィコシアニンの混合物である。既知の精製方法では、工業的に制御してそれらを分離することはできない。硫酸アンモニウムを用いた沈殿による精製では、両方のタンパク質が制御されずに同伴されるため、安定した特性を有する色素を得ることは困難であり得る。この沈殿方法の結果、実質的な抽出収率の損失も生じる(Cruz de Jesus et al.,2006)。
【0007】
したがって、本発明はまた、精製フィコビリタンパク質、特に本質的にc-フィコシアニンまたは本質的にアロフィコシアニンを含む精製フィコシアニン、特にフィコシアニンにおける制御された組成の酸pH耐性フィコビリタンパク質の調製、アスコルビン酸(WO2005/065697)またはポリフェノール(WO2015/090697)などの安定剤の添加を必要としない酸pHに対する耐性に関する。
【発明の概要】
【0008】
したがって、本発明は、酸pH耐性フィコビリタンパク質の粗抽出物から酸pH耐性フィコビリタンパク質を精製する方法に関し、この方法は、
a)酸pH耐性フィコビリタンパク質の粗抽出物のpHを6未満のpHに調整して、酸pH耐性フィコビリタンパク質以外の有機物を沈殿させる工程と、
b)酸pH耐性フィコビリタンパク質を含む上清を回収する工程と、
c)上清から酸pH耐性フィコビリタンパク質を分離する工程と
を含んでなることを特徴とする。
【0009】
本発明はまた、この方法により得られた酸pH耐性フィコビリタンパク質、特にc-フィコシアニンとアロフィコシアニンの混合物を含む酸pH耐性フィコシアニン、より具体的にはc-フィコシアニン対アロフィコシアニンのモル比が少なくとも2であるものに関する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】新鮮な細胞のライセートからのpHの関数としての粗抽出物の純度指数の増加を示す図である。
【
図2】異なるpHレベルで新鮮な細胞ライセートを遠心分離して得られた、異なる粗抽出物中のC-PCおよびAPCの濃度の測定を示す図である。APC濃度(mg/ml)は灰色で、C-PC濃度(mg/ml)は黒で示されている。
【
図3】異なるpHレベルで新鮮な細胞ライセートを遠心分離して得られた、ペレット中のC-PCおよびAPCの濃度の測定を示す図である。APC濃度(mg/g DM)は灰色で、C-PC濃度(mg/g DM)は黒で示されている。
【
図4】凍結乾燥および再水和された細胞のライセートからのpHの関数としての粗抽出物の純度指数の増加を示す図である。
【
図5】異なるpHレベルで凍結乾燥および再水和された細胞のライセートを遠心分離して得られた、異なる粗抽出物中のC-PCおよびAPCの濃度の測定を示す図である。APC濃度(mg/ml)は灰色で、C-PC濃度(mg/ml)は黒で示されている。
【
図6】タンジェンシャル濾過によるC-PCの精製および濃縮を示す図である。酸pHでの沈殿により前もって精製された粗抽出物は、中空糸膜系を使用して濾過される。
【
図7】中空糸膜濾過中の保持液中のC-PC濃度の増加を示す図である
【発明を実施するための形態】
【0011】
したがって、本発明は、酸pH耐性フィコビリタンパク質の粗抽出物から酸pH耐性フィコビリタンパク質を精製する方法に関する。
【0012】
フィコビリタンパク質の粗抽出物の取得は、一般的に、高容量バイオリアクターで工業的に成長させられた微生物の細胞から、好ましくは高密度のフィコビリタンパク質産生微生物を含む発酵マストが得られるように行われる(高密度は、一般的に、発酵マスト1リットルあたり50g超の乾燥物質(DM)、優先的には100g/L超として定義される)。これらの培養方法は、当業者に知られており、特にWO2017/050917、WO2017/050918号および2016年11月30日に出願されたPCT/EP2016/079325出願に記載される独立栄養、従属栄養または混合栄養で行うことができる。培養微生物によって産生されたフィコビリタンパク質は、細胞溶解後に放出されなければならない。実際、微生物細胞には大量のフィコビリタンパク質が含まれている(Moon et al.,2015, Sorensen et al.,2013,Eriksen 2008)。したがって、本発明による方法の実施には、まず発酵マストからの水性抽出物の調製が必要である。
【0013】
水性抽出物は、おそらく適切な量の水を添加して、発酵の終了時にリアクターから回収されるため、発酵マストから直接調製することができる。
【0014】
抽出物は、当業者に周知の任意の分離方法によって、発酵マストから分離された新鮮な細胞から調製することができる。抽出物はまた、保存のために凍結乾燥または乾燥された細胞から調製することもできる。
【0015】
本発明の好ましい実施形態によれば、水性抽出物は、培養後の発酵マストから分離された新鮮な細胞から調製される。
【0016】
細胞溶解は、当業者に知られている細胞溶解の任意の手段によって行うことができる。細胞溶解は、細胞が水、発酵マストまたは再構成された懸濁液に懸濁されている間に行うことができる。
【0017】
本発明の好ましい実施形態によれば、細胞溶解は、再懸濁される前に、発酵マストから分離された細胞で行われる。
【0018】
好ましくは、水性抽出物は、細胞溶解、特に濾過の固体残渣を除去するための当業者に公知の任意の分離手段によって、固体を分離することにより、溶解細胞を含む懸濁液から得られる。
【0019】
この結果、「フィコビリタンパク質の粗抽出物」または「粗抽出物」と呼ばれる水性抽出物が得られ、これには、所望のフィコビリタンパク質に加えて、特に酸pH耐性フィコビリタンパク質、ミセルなどの他の有機物質および他の水溶性タンパク質が含まれる。
【0020】
フィコビリタンパク質の粗抽出物は、新鮮な溶解細胞(発酵マスト中で直接もしくは発酵マストの分離後)から、または凍結乾燥もしくは乾燥された細胞から調製することがで、ここで、凍結乾燥または乾燥の前後に細胞溶解が行われる。
【0021】
本発明の好ましい実施形態によれば、粗抽出物は、新鮮な細胞から調製される。
【0022】
本発明による精製方法は、フィコビリタンパク質、特に酸pH耐性フィコビリタンパク質を、ミセルなどの他の有機物および他の水溶性タンパク質から分離することにある。
【0023】
フィコビリタンパク質を産生するために培養された微生物は、当業者に周知であり、特に、アルスロスピラ・プラテンシス(スピルリナ)、スピルリナ・マキシマ(Spirulina maxima)、シネココッカス・エロンガトゥス(Synechococcus elongatus)などの藍藻類、またはガルディエリア・スルフラリア、シアニディウム・カルダリウム、シアニディオシゾン・メロラエなどのイデユコゴメ綱の群から選択される。
【0024】
好ましくは、フィコビリタンパク質は、酸pH耐性フィコシアニンである。酸pH耐性フィコビリタンパク質または酸pH耐性フィコシアニンは、酸pHで沈殿に耐えるフィコビリタンパク質として定義される。本発明によれば、酸pHは、7未満、有利には6以下のpHを意味する。有利には、酸pH耐性フィコビリタンパク質は、6未満のpHレベルでは水溶液中に沈殿しない。このタンパク質は、酸pHで耐性または安定であると言い表すこともできる。
【0025】
当然ながら、本発明による精製フィコビリタンパク質は、考慮された酸pHに応じて多かれ少なかれ安定であろう。約6のpH値範囲で安定するものもあれば、6を大きく下回るpH値で安定するものもある。結果として、酸pH耐性フィコビリタンパク質は、フィコビリタンパク質の混合物としても定義され、その大部分は7未満、有利には6以下のpHで沈殿しない。
【0026】
有利には、本発明は、pHが5未満、優先的には4以下、より優先的には4~2の範囲、さらに優先的には3.5以下で安定なフィコビリタンパク質に関する。
【0027】
そのような酸pH耐性フィコシアニンは、当業者に知られており、特にWO2016/099261またはWO2017/050918の出願に記載されている。特に、これらは、特にシアニディオシゾン・メロラエ 10D種、シアニディオシゾン・メロラエ DBV201種、シアニジウム・カルダリウム種、シアニジウム・ダエダルム(Cyanidium daedalum)種、シアニジウム・マキシマム(Cyanidium maximum)種、シアニジウム・パルチツム(Cyanidium partitum)種、シアニジウム・ルンペンス(Cyanidium rumpens)種、ガルディエリア・ダエダラ(Galdieria daedala)種、ガルディエリア・マキシマ(Galdieria maxima)種、ガルディエリア・パルチタ(Galdieria partita)種、ガルディエリア・スルフラリア種から選択されるシアニディオシゾン属、シアニジウム属またはガルディエリア属の微細藻類株、特にガルディエリア・スルフラリア、シアニジウム・カルダリウムおよびシアニディオシゾン・メロラエの菌株によって産生されたフィコシアニンである。
【0028】
これらのフィコシアニンは、c-フィコシアニン(C-PC)とアロフィコシアニン(APC)の混合物である。
【0029】
有利には、C-PCのアポタンパク質は、配列番号1または配列番号2のタンパク質またはその変異体を含む。特に、C-PCのαサブユニットのアポタンパク質は、配列番号1のタンパク質を含み、C-PCのβサブユニットのアポタンパク質は、配列番号2のタンパク質またはその変異体を含む:
【化1】
【0030】
有利にはまた、前記APCのαサブユニットは、配列番号3またはその変異体を含み、前記APCのβサブユニットのアポタンパク質は、配列番号4またはその変異体を含む:
【化2】
【0031】
同じフィコシアニン源からのC-PCおよびAPCのアポタンパク質は、一般的に、異なる等電点を有している。pHを下げることによって、C-PCをAPCから少なくとも部分的に分離することが可能になる。
【0032】
実際、本発明者らは、粗抽出物のpHをより低く調整するほど、得られたC-PCがより純粋になることを見出した。
【0033】
有利には、フィコビリタンパク質が酸pH耐性フィコシアニンである場合、pHをAPCの等電点よりも下げると、少なくとも5、優先的には少なくとも10、より優先的には少なくとも15のモル比を有するC-PC/APC混合物を含むフィコシアニンが生じる。
【0034】
好ましくは、工程a)における粗抽出物のpHは、5未満のpHに調整される。したがって、5モル%未満、優先的には1モル%未満、より優先的には0.1モル%未満のAPCを含む酸pH耐性フィコシアニンを得ることが可能であり、ここで、パーセンテージはAPCとC-PCの合計に対する割合を表す。
【0035】
工程a)では、pH調整は、固体または溶液の形態の強いまたは弱い鉱酸または有機酸を添加することによって行われ、ここで、添加される酸の量は、処理すべき粗抽出物のpHおよび当業者が得ようと努めるpH値によって決定される。当業者に周知の鉱酸の中でも、塩酸およびリン酸を特に挙げることができる。当業者に周知の有機酸の中でも、酢酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、好ましくはクエン酸を特に挙げることができる。また、ロスマリン酸、タンニン酸、二没食子酸、カシ属タンニン酸、ガロタンニン酸などの酸性ポリフェノール、ケルセチン、エラギタンニン、カスタラギン、カスタリン、カスアリクチン、グランジニン、プニカリギン、プニカリン、ロブリンA、テリマグランジンII、テルフラビンB、ベスカラギン、ペズンクラギン、カジュアリニン、カストリン、ベスカリンなどの酸性タンニン、好ましくはタンニン酸も挙げることができる。好ましくは、使用される酸は、食品での使用が認可されている酸、特にリン酸、クエン酸またはタンニン酸である。
【0036】
酸pH耐性フィコビリタンパク質を含む上清を回収する工程b)については、特にセラミック膜またはポリエーテルスルホン中空糸膜などの有機膜でのタンジェンシャル濾過による、当業者に知られている任意の分離方法を使用することができる。これらのフィルターのカットオフは、標的フィコビリタンパク質よりも分子量の大きいまたは小さい分子を分離するために選択することができる。
【0037】
本発明の特定の実施形態によれば、工程b)における分離は、タンジェンシャル濾過によって行われる。この工程では、フィコビリタンパク質以外のタンパク質の一部が濃縮および除去され、ひいては最終産物の純度レベルが高められる。
【0038】
上清から酸pH耐性フィコビリタンパク質を乾燥/脱水する工程c)は、溶媒、この場合は水を除去する任意の方法によって、例えば大気圧または真空下での蒸発によって行われる。霧化、凍結乾燥、ゼオライトを用いた水和(zeodratation)、赤外線乾燥、または屈折窓乾燥を特に挙げることができる。
【0039】
加熱による蒸発の場合、当業者は、フィコビリタンパク質の変性を引き起こす可能性がある過度に高い温度を使用しないように注意する必要がある。
【0040】
工程b)で上清を回収した後、沈殿物に含まれるフィコビリタンパク質を再利用することが可能である。これを行うために、残留フィコビリタンパク質を約6以下の酸pHの水溶液に可溶化し、このpHでは、フィコビリタンパク質は可溶性でありながら不純物は不溶性のままである。
【0041】
次いで、これらの残留フィコビリタンパク質は不純物から分離され、方法の工程b)とc)を繰り返すことによって単離される。これは必要な回数だけ繰り返すことができる反復プロセスである。本発明による方法に使用される条件がC-PCの優先的な精製を可能にする場合、残留フィコビリタンパク質は、APCに富んだC-PC/APC混合物である。
【0042】
沈殿物を再利用することによって、モル比が5未満、特に4未満、有利には3~0.1の範囲のC-PC/APC混合物を含むフィコビリタンパク質が得られる。
【0043】
上記方法の工程a)~c)を繰り返すことによって、反復プロセスにより、C-PCの沈殿物を排出することが可能であり、この沈殿物を、前もって得られた画分に添加して、その内容物を富化し、APCにおけるフィコビリタンパク質の残留混合物を、少なくとも5、優先的には少なくとも10、より優先的には少なくとも15のAPC/C-PC比で富化することもできる。
【0044】
これにより、5モル%未満、好ましくは1モル%未満、より優先的には0.1モル%未満のCPCを含むAPC混合物を得ることが可能であり、ここで、パーセンテージはAPCとC-PCの合計に対する割合を表す。
【0045】
次いで、沈殿物から単離されたこれらのAPCは、例えばこれらの蛍光特性のために医用イメージングの分野で使用することができるアロフィコシアニンの産生のために当業者に周知の分取クロマトグラフィー技法によってさらに精製することができる。
【0046】
本発明はまた、精製プロセスによって得ることができる酸pH耐性フィコビリタンパク質、特にフィコシアニンに関する。
【0047】
本発明はまた、モル比が少なくとも2であるC-PC/APC混合物を含む、精製された酸pH耐性フィコシアニンに関する。
【0048】
特に、本発明は、少なくとも95モル%のC-PCと5モル%未満のAPC、優先的には少なくとも99モル%のC-PCと1モル%未満のAPCを含む酸pH耐性フィコシアニンに関し、ここで、パーセンテージはAPCとC-PCの合計に対する割合を表す。
【0049】
これらのC-PCは当業者に知られており、特に上記で定義されており、特にC-PCのαサブユニットが配列番号1のタンパク質を含み、C-PCのβサブユニットのアポタンパク質が配列番号2のタンパク質またはその変異体を含むものである。
【0050】
有利には、本発明による変異体は、C-PCのαサブユニットに対して少なくとも83%とC-PCのβサブユニットに対して少なくとも82%の配列同一性を有している。
【0051】
優先的には、本発明による変異体は、α(配列番号1)およびβ(配列番号2)サブユニットに対して少なくとも90%の同一性を有している。
【0052】
本発明はまた、本発明による方法によって得られるAPCに富んだ精製フィコシアニンに関する。
【0053】
特に、本発明は、C-PC/APCモル比が5未満、特に4、有利には3~0.1の範囲であるAPCに富んだ混合物を含む精製フィコシアニンに関する。
【0054】
本発明の特定の実施形態によれば、APCに富んだ混合物は、少なくとも5、好ましくは少なくとも10、より好ましくは少なくとも15のAPC/C-PC比を有している。
【0055】
本発明のより具体的な実施形態によれば、フィコシアニンは本質的にAPCからなり、少なくとも95モル%のAPCと5モル%未満のC-PC、好ましくは少なくとも99モル%のAPCと1モル%未満のC-PCを含み、ここで、パーセンテージはAPCとC-PCの合計に対する割合を表す。
【0056】
これらのAPCは当業者に知られており、特に上記で定義されており、特に前記APCのαサブユニットが配列番号3またはその変異体を含み、前記APCのβサブユニットのアポタンパク質が配列番号4またはその変異体を含むものである。
【0057】
有利には、本発明による変異体は、APCのαサブユニットに対して少なくとも83%とAPCのβサブユニットに対して少なくとも82%の配列同一性を有している。
【0058】
当業者には、自由に使用することができる通常の方法、特にBLASTPプログラム(http://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi)を使用してタンパク質配列の同一性を測定する方法は知られている。
【0059】
同様に、当業者には、酸pHでの単純な安定性試験により、前記配列の変異体を同定し、それらが同じ構造特性を保持していることを検証する方法は知られおり、例えばWO2017/050918の出願の例3に示される試験などの試験を実施することによって行う。
【0060】
ポリペプチドは、その機能を実質的に改変することなく、少なくとも1個のアミノ酸の置換、挿入および/または欠失によって改変することができることは当業者には知られている。
【0061】
例えば、所定の位置における化学的に等価な別のアミノ酸とのアミノ酸の置換は、タンパク質の特性に実質的に影響を与えない配列変異の既知の例である。
【0062】
これらの「保存的」置換は、次のアミノ酸基の中での交換として定義することができる:
- Ala、Ser、Thr、Pro、Gly
- Asp、Asn、Glu、Gln
- His、Arg、Lys
- Met、Leu、Ile、Val、Cysおよび
- Phe、Tyr、Trp
【0063】
したがって、本発明によるフィコシアニンおよび/またはアロフィコシアニンのアポタンパク質の変異体は、得られた変異体が参照タンパク質の特性および上述の相同性/同一性のパーセンテージを保持しているという条件で、特にフィコシアニンのαおよび/またはβサブユニットに関して、対応するいわゆる参照配列と比較して数が異なる1~30個のアミノ酸を含み得る。
【0064】
より正確には、本発明によれば、
- 置換、挿入および/または欠失から生じる、本発明による酸性組成物において使用可能なフィコシアニンのαサブユニットのアポタンパク質の変異体の場合、該変異体は、得られた変異体が参照タンパク質の特性および上述の同一性のパーセンテージを保持しているという条件で、対応するいわゆる参照配列とは異なる1~27個のアミノ酸を含み得る;
- 置換、挿入および/または欠失から生じる、本発明による酸性組成物において使用可能なフィコシアニンのβサブユニットのアポタンパク質の変異体の場合、該変異体は、得られた変異体が参照タンパク質の特性および上述の同一性のパーセンテージを保持しているという条件で、対応するいわゆる参照配列とは異なる1~30個のアミノ酸を含み得る;
- 置換、挿入および/または欠失から生じる、本発明による酸性組成物において使用可能なアロフィコシアニンのαサブユニットのアポタンパク質の変異体の場合、該変異体は、得られた変異体が参照タンパク質の特性および上述の同一性のパーセンテージを保持しているという条件で、対応するいわゆる参照配列とは異なる1~24個のアミノ酸を含み得る;
- 置換、挿入および/または欠失から生じる、本発明による酸性組成物において使用可能なアロフィコシアニンのβサブユニットのアポタンパク質の変異体の場合、該変異体は、得られた変異体が参照タンパク質の特性および上述の同一性のパーセンテージを保持しているという条件で、対応するいわゆる参照配列とは異なる1~20個のアミノ酸を含み得る。
【0065】
特に本発明によれば、および考慮された参照配列(フィコシアニンのαおよび/もしくはβサブユニットならびに/またはアロフィコシアニンのαおよび/もしくはβサブユニット)のいかんを問わず、前記サブユニットの変異体は、有利には、得られた変異体が参照タンパク質の特性および上記の同一性のパーセンテージを保持しているという条件で、対応するいわゆる参照配列と比較して1~15個の異なるアミノ酸、好ましくは1~10個の異なるアミノ酸、特に1または2または3または4または5または6または7または8または9または10個の異なるアミノ酸を含み得る。
【0066】
好ましくは、本発明は、サブユニットαタンパク質が配列番号1のタンパク質からなり、βサブユニットタンパク質が配列番号2のタンパク質からなるC-PCに関する。
【0067】
別の好ましい実施形態によれば、本発明は、サブユニットαタンパク質が配列番号3のタンパク質からなり、サブユニットβタンパク質が配列番号4のタンパク質からなるAPCに関する。
【0068】
フィコビリタンパク質は、主に食品の着色に使用される天然色素である。
【0069】
本発明はまた、本発明による方法によって得られた酸pH耐性フィコビリタンパク質、特に食品中の色素として上で定義された酸pH耐性フィコシアニンの使用に関する。
【0070】
本発明はまた、本発明による方法によって得られた酸pH耐性フィコビリタンパク質、特に上で定義された酸pH耐性フィコシアニンを含む組成物、特に食品組成物に関する。
【0071】
そのような使用およびそのような組成物は、当業者に知られている。
【0072】
優先的には、WO2017/050918の出願に定義されるように、食品または食品組成物は酸性組成物である。
【0073】
本発明によれば、酸性組成物は、鉱酸または有機酸とフィコシアニンを含む任意の組成物として定義される。この組成物は、酸pHを有する液体、流体または粘性、ペースト状または固体であってよく、その中に酸pH耐性フィコシアニンが組み込まれている。
【0074】
水性液体組成物の場合、pHは通常どおり測定される。非水性液体組成物またはペースト状または固体組成物の場合、無機酸または有機酸とフィコシアニンを含む可溶性化合物を溶解するのに十分な量の水に該組成物を溶解した後にpHが測定される。
【0075】
有利には、本発明による組成物は、任意にゲルの形態の水性液体組成物、または水溶液もしくは水を含む固体またはペースト状組成物に溶解することを意図したペースト状または固体組成物である。本発明の別の有利な実施形態によれば、酸性組成物は、湿潤環境で使用および/または保存されることを意図したペースト状または固体組成物である。
【0076】
本発明による組成物中に使用することができる鉱酸または有機酸は、当業者に周知である。鉱酸の中でも、炭酸、リン酸、塩酸、硫酸、過塩素酸、スルホン酸および硝酸を特に挙げることができる。有機酸の中でも、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、特にクエン酸を特に挙げることができる。
【0077】
本発明によれば、酸性食品組成物とは、上記の定義に含まれる、ヒトまたは動物による摂取を意図した任意の組成物を意味する。栄養補助食品の酸性組成物は、本発明の意味における酸性食品組成物の定義に含まれるものとみなされなければならない。
【0078】
本発明による酸性食品組成物は、当業者に周知である。この組成物は、その栄養素の寄与またはヒトもしくは動物の健康に有益な特性のために特定された活性化合物に関連する構造成分を含み得る賦形剤を含み得る。本発明による酸性食品組成物は、食品改良剤(texturizing agents)、香味剤、防腐剤などの食品添加剤も含んでいてよく、これらの添加剤はすべて当業者に周知である。賦形剤は、水および/またはタンパク質および/または脂肪および/または繊維および/または糖を含み得る。賦形剤の成分は構造的な特性しか有しないが、それらは一般的に栄養素を寄与することで知られている。
【0079】
本発明による酸性食品組成物は、すぐに使用できるか、または摂取可能な食品を調製するために固体、ペースト状または液体調製物に添加される食品添加剤の形態であってもよい。
【0080】
食品組成物の場合、酸は、承認された食物酸性化剤、特に炭酸、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸および乳酸、より具体的にはクエン酸のリストから選択されることが好ましい。
【0081】
本発明による食品組成物以外の酸性組成物に関して、それらは、とりわけ、医薬品、動物用医薬品または化粧品用であってよく、このタイプの組成物において既知で使用される任意の添加剤および/または活性薬剤をさらに含み得る。
【0082】
本発明による固体、液体またはペースト状の酸性組成物において、フィコシアニンは、例えば、粉末形態で組み込まれ得る。前記酸性組成物、特に前記酸性食品組成物は、クリーム、ゲル、フォーム、ペーストなどの任意の既知の通常の形態であり得る。特に固体食品組成物の場合、ケーキまたはビスケット、乾燥調理食品、希釈される粉末、固体または「ゼリー」ゼラチン様組成物、フォームなどを特に挙げることができる。
【0083】
本発明によれば、前記液体酸性組成物は、フィコシアニンが溶解されている水性組成物であってもよい。この組成物は、すぐに使用できる組成物の形態、または特に摂取のために希釈される液体濃縮物もしくはその調製もしくは摂取のために固体食品に添加される液体濃縮物、例えば液体コーティング濃縮物もしくはケーキの上に置かれて着色を付与する「トッピング」組成物であってもよい。これらの濃縮組成物の中でも、任意にアルコールを含むシロップを挙げることができる。
【0084】
本発明による液体酸性組成物は、可変粘度であってもよく、増粘剤、ゲル化剤、および当業者に既知で液体食品組成物の調製に慣用の他の構造化添加剤などの添加剤を含んでも含んでいなくてもよい。
【0085】
本発明の特定の実施形態によれば、液体食品組成物は、任意に炭酸化された酸性飲料であってもよい。これらには、ソーダ、ジュース、スポーツ飲料、スポーツ飲料、フィットネス飲料、回復飲料などが含まれ得る。これらの飲料の組成は、当業者に周知であり、特に、糖、ミネラル塩、食品添加剤、溶存ガスなどを含み得る。本発明による飲料は、通常使用される色素の全体または一部が、本発明による酸pH耐性フィコシアニンで置き換えられている通常の酸性飲料である。
【0086】
本発明によれば、本発明による組成物中のフィコシアニン含有量は、当業者の慣行に従ったものとすることができる。
【0087】
例えば、フィコシアニンが酸性組成物を着色するために使用される場合、前記組成物中のフィコシアニン含有量は、着色に関する当業者の慣行に従ったものとすることができる。
【0088】
本発明において定義される液体酸組成物において、フィコシアニン含有量は、2.5mg/Lから2500mg/Lの間、優先的には25mg/Lから300mg/Lの間であり得る。
【0089】
すぐに使用することができる液体飲料組成物において、フィコシアニン含有量は、一般的に25mg/Lから300mg/Lの間、好ましくは50mg/Lから100mg/Lの間であり得る。
【0090】
シロップなどの使用のために希釈される濃縮液体組成物において、フィコシアニン含有量は、一般的250mg/lから2500mg/lの間、優先的には500mg/Lから1000mg/Lの間であり得る。
【0091】
固体組成物において、フィコシアニン含有量は、一般的に0.01mg/gから10mg/gの間、優先的には0.1mg/gから5.0mg/gの間、非常に優先的には0.25mg/gから2.5mg/gの間であり得る。
【実施例】
【0092】
実施例1.新鮮な細胞での酸性沈殿による精製
遠心分離し、等量の水ですすいだガルディエリア・スルフラリア細胞の発酵マストを、pH6の水相でフィコビリタンパク質を放出するために機械的に粉砕する。粉砕した材料を、クエン酸の添加によって0.5pH単位の刻みで酸性化する。各レベルで、混合物のサンプルを採取し、次いで11,000gで10分間遠心分離する。フィコビリタンパク質を含む上清を収集し、分光光度計(Amersham Biosciences Ultra Spec 2100 Pro)を使用して618nmの吸光度対280nmの吸光度の比を測定することによって純度指数を測定する。
【0093】
pHが低いほど、純度指数が高くなることは明らかである(
図1)。純度指数のこの増加は、上清中の混在タンパク質の減少を反映しているが、C-PCは主に上清中に残留している。酸pHに対する耐性により、上清中のC-PC含有量の実質的な損失はない(
図2)。驚くべきことに、アロフィコシアニン(APC)は5未満のpH値で上清から完全に消失し、他の沈殿したタンパク質と細胞片を含むペレットになる(
図3)。このペレットにはC-PCとAPCも含まれており、APCの含有量が高い(
図3)。
【0094】
酸性化の結果、液相と固相の分離が改善され、細胞片とタンパク質のペレットがより緻密化され、水相から分離しやすくなる。
【0095】
実施例2.凍結乾燥および再水和された細胞での酸性沈殿による精製
遠心分離し、等量の水ですすいだガルディエリア・スルフラリア細胞の発酵マストを、pH6の水相でフィコビリタンパク質を放出するために機械的に粉砕する。粉砕した材料を、次いで凍結乾燥する。凍結乾燥した乾燥物質を、マストの初期体積に相当する量の水に懸濁し、クエン酸の添加によって0.5pH単位の刻みで酸性化する。各レベルで、混合物のサンプルを採取し、次いで11,000gで10分間遠心分離する。フィコビリタンパク質を含む上清を収集し、分光光度計(Amersham Biosciences Ultra Spec 2100 Pro)を使用して618nmの吸光度対280nmの吸光度の比を測定することによって純度指数を測定する。
【0096】
実施例1で前述したように、pHの低下と相関する純度指数の増加を確認することができる(
図4)。この場合も、酸性化の結果、液相と固相の分離が改善され、細胞片とタンパク質のペレットがより緻密化され、水相から分離しやすくなる。実施例1で観察されたものと同様に、5未満のpH値の場合、APCは水相にではなくペレット中に見出される(
図5)。pH値が6から5の間の場合、pHが低下すると、上清のAPCの量が減少する。
【0097】
実施例3.タンジェンシャル濾過によるC-PCの精製および濃縮
酸性沈殿および遠心分離後の粗抽出物を、中空糸膜タンジェンシャル濾過モジュールで濾過する。このメッシュを介した濾過はC-PC以外のタンパク質の一部を除去し、ひいては純度指数を増加させる(
図6)。この方法によって達成することができる純度指数は、二相抽出、または硫酸アンモニウムによる沈殿、またはさらにクロマトグラフィー法を含む、はるかに複雑な方法によって通常得られる値に近似する(Soresen et al.,2013;Cruz de Jesus et al.,2006)。精製プロセスと並行して、この濾過工程はC-PC抽出物から水を除去し(
図7)、その後の生成物の乾燥を促進する。
【0098】
参考文献
【表1】
- WO2005/065697、WO2015/090697、WO2016/099261、WO2017/050917、WO2017/050918および2016年11月30日に出願されたPCT/EP2016/079325
【配列表】