(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-13
(45)【発行日】2023-07-24
(54)【発明の名称】デュアル表示パネルに画像を表示するための方法及びその装置
(51)【国際特許分類】
G09G 3/36 20060101AFI20230714BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20230714BHJP
G09G 3/34 20060101ALI20230714BHJP
G09F 9/46 20060101ALI20230714BHJP
G09F 9/35 20060101ALI20230714BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20230714BHJP
H04N 5/66 20060101ALI20230714BHJP
G02F 1/1333 20060101ALN20230714BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/20 621E
G09G3/34 J
G09G3/20 642E
G09G3/20 680E
G09G3/20 612U
G09G3/20 641C
G09G3/20 642J
G09G3/20 631V
G09G3/20 670Q
G09G3/20 642P
G09G3/20 632G
G09G3/20 641Q
G09G3/20 611A
G09G3/20 670L
G09G3/20 642B
G09F9/46 A
G09F9/35
G02F1/133 505
H04N5/66 102A
H04N5/66 102B
G02F1/1333
(21)【出願番号】P 2019565494
(86)(22)【出願日】2018-11-16
(86)【国際出願番号】 CN2018115994
(87)【国際公開番号】W WO2020097930
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2021-11-10
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】512116114
【氏名又は名称】北京京▲東▼方▲顯▼示技▲術▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING BOE DISPLAY TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.118 Jinghaiyilu,BDA,Beijing 100176,P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】郭 俊
(72)【発明者】
【氏名】黄 翠▲蘭▼
(72)【発明者】
【氏名】郭 魯▲強▼
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲潔▼▲瓊▼
(72)【発明者】
【氏名】占 ▲紅▼明
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 瑞辰
【審査官】塚本 丈二
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-169554(JP,A)
【文献】特開2008-051912(JP,A)
【文献】特開2018-054679(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108510947(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/36
G09G 3/20
G09G 3/34
G09F 9/35
G09F 9/46
G02F 1/133
G02F 1/1333
H04N 5/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の調光領域を含む調光スクリーンと、複数の表示領域を含む表示スクリーンとを備えるデュアル表示パネルに画像を表示するための方法であって、
前記画像の画像データによって、前記調光スクリーン用の第1の画像データを生成するステップと、
前記調光スクリーン用の階調-調光駆動電圧関係によって、前記第1の画像データに対応する前記複数の調光領域用の調光駆動電圧を特定するステップと、
前記表示スクリーン用の階調-表示駆動電圧関係によって、前記画像データに対応する前記複数の表示領域用の表示駆動電圧を特定するステップと、
前記調光駆動電圧および前記表示駆動電圧を用いて、前記調光スクリーンおよび前記表示スクリーンをそれぞれ駆動して前記画像を表示するステップと、を含み、
前記階調-調光駆動電圧関係は、
複数の階調のそれぞれについて、前記表示スクリーン用の第1の階調-透過率関係曲線および前記デュアル表示パネル用の第2の階調-透過率関係曲線に基づいて、前記階調に対応する前記調光スクリーンの第1の所望の透過率を特定するステップと、
前記第1の所望の透過率に基づいて、前記調光スクリーンの透過率-駆動電圧関係曲線によって、前記階調に対応する初期の調光駆動電圧を特定するステップと、
前記第1の階調-透過率関係曲線および前記表示スクリーンの透過率-駆動電圧関係曲線に基づいて、前記階調に対応する表示駆動電圧を特定するステップと、
前記初期の調光駆動電圧および前記表示駆動電圧を用いて、前記調光スクリーンおよび前記表示スクリーンをそれぞれ駆動するステップと、
前記デュアル表示パネルの実際の総透過率を測定するステップと、
前記デュアル表示パネルの所望の総透過率と前記実際の総透過率との差分値が透過率閾値よりも大きいことに応じて、前記差分値が前記透過率閾値以下になるまで前記調光駆動電圧を調整するステップと、
前記複数の階調と、相応的な前記調光駆動電圧とを関連付けて記憶し、前記階調-調光駆動電圧関係を作成するステップと
により作成され
、
前記表示スクリーン用の階調調整関係によって、前記画像データを調整して前記表示スクリーン用の第2の画像データを生成するステップをさらに含み、
前記第2の画像データを用いて前記表示駆動電圧を特定し、
前記階調調整関係は、各原色の原色階調調整テーブルを含み、
前記各原色の原色階調調整テーブルは、
前記複数の階調のそれぞれについて、原色の所望の階調-透過率関係曲線に基づいて、前記デュアル表示パネルの前記原色の所望の総透過率を特定するステップと、
前記階調-調光駆動電圧関係および前記調光スクリーンの透過率-駆動電圧関係曲線によって、前記階調に対応する前記調光スクリーンの実際の透過率を推定するステップと、
前記原色の所望の総透過率と推定した前記調光スクリーンの実際の透過率との比の値を、前記表示スクリーンの前記原色の所望の透過率として計算するステップと、
前記表示スクリーンの前記原色の所望の透過率に基づいて、前記第1の階調-透過率関係曲線によって、調整後の階調を特定するステップと、
前記複数の階調と、相応的な前記調整後の階調とを関連付けて記憶し、前記原色の前記原色階調調整テーブルを作成するステップと
により作成されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記調光スクリーン用の第1の画像データを生成するステップは、
前記画像データによって、各表示領域の表現階調を特定するステップと、
各表示領域の前記表現階調に基づいて、各調光領域の階調を特定して前記第1の画像データを構成するステップと、を含む
ことを特徴とする請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
各表示領域の表現階調を特定するステップは、
前記画像データによって、各表示領域における各原色の階調を特定するステップと、
各表示領域に対して、各原色の前記階調のうち最大の階調を、当該表示領域の表現階調として特定するステップと、を含む
ことを特徴とする請求項
2に記載の方法。
【請求項4】
1つの調光領域が1つの表示領域に対応する場合、
各調光領域の階調は、対応する表示領域の表現階調として特定される
ことを特徴とする請求項
2に記載の方法。
【請求項5】
1つの調光領域が複数の表示領域に対応する場合、
各表示領域の表現階調に基づいて、各調光領域の階調を特定するステップは、
各調光領域に対して、対応する複数の表示領域の表現階調のうち最大の表現階調を、当該調光領域の階調として特定するステップを含む
ことを特徴とする請求項
2に記載の方法。
【請求項6】
前記表示スクリーン用の階調調整関係によって、前記画像データを調整して前記表示スクリーン用の第2の画像データを生成するステップは、
前記画像データにおける各原色の階調データに対して、相応的な原色階調調整テーブルを用いて、各原色の調整後の階調データを取得するステップを含む
ことを特徴とする請求項
1に記載の方法。
【請求項7】
前記階調調整関係は、調光式を含み、
前記表示スクリーン用の階調調整関係によって、前記画像データを調整して前記表示スクリーン用の第2の画像データを生成するステップは、
前記画像データによって、前記複数の表示領域の階調を取得するステップと、
前記複数の表示領域の階調に基づいて、前記調光式を用いて、前記複数の表示領域の調整後の階調を算出するステップと、
前記調整後の階調によって、調整後の画像データを、前記第2の画像データとして取得するステップと、を含む
ことを特徴とする請求項
1に記載の方法。
【請求項8】
前記階調に対応する前記調光スクリーンの第1の所望の透過率を特定するステップは、
前記第1の階調-透過率関係曲線によって、前記階調に対応する前記表示スクリーンの第2の所望の透過率を特定するステップと、
前記第2の階調-透過率関係曲線によって、前記階調に対応する前記デュアル表示パネルの所望の総透過率を特定するステップと、
前記所望の総透過率と前記第2の所望の透過率との比の値を、前記第1の所望の透過率として算出するステップと、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記原色の所望の階調-透過率関係曲線は、
バックライト光源から発されるバックライトの総輝度および前記バックライトにおける前記原色の輝度を測定するステップと、
前記原色の輝度が前記総輝度に占める割合を算出するステップと、
前記割合および前記デュアル表示パネル用の第2の階調-透過率関係曲線によって、前記原色の所望の階調-透過率関係曲線を取得するステップと
により取得されることを特徴とする請求項
1に記載の方法。
【請求項10】
前記階調調整関係は、
トレーニング画像データおよび前記階調-調光駆動電圧関係によって、各調光領域用のトレーニング調光駆動電圧を特定するステップと、
前記トレーニング画像データおよび前記デュアル表示パネル用の第2の階調-透過率関係曲線によって、前記デュアル表示パネルの所望の総透過率を特定するステップと、
調光式を用いて、前記トレーニング画像データの階調を調整するステップと、
調整後の階調および前記階調-表示駆動電圧関係によって、各表示領域用のトレーニング表示駆動電圧を特定するステップと、
前記トレーニング調光駆動電圧および前記トレーニング表示駆動電圧を用いて、前記調光スクリーンおよび前記表示スクリーンを駆動するステップと、
前記デュアル表示パネルの実際の総透過率を測定するステップと、
前記デュアル表示パネルの前記所望の総透過率と前記実際の総透過率との差分値が透過率閾値よりも大きいことに応じて、前記差分値が前記透過率閾値以下になるまで、前記調光式の調整係数を調整するステップと、
前記差分値が前記透過率閾値以下であることに応じて、現在の前記調光式を前記階調調整関係として特定するステップと
によって作成されることを特徴とする請求項
1に記載の方法。
【請求項11】
前記調光式は、
Y=y+a*y*(b*y_feature-y)/y_featureであり、
ただし、Yは調整後の階調を示し、yは初期の階調を示し、y_featureは特徴階調を示し、aおよびbは調整係数を示す
ことを特徴とする請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
トレーニング画像データおよび前記階調-調光駆動電圧関係によって、各調光領域用のトレーニング調光駆動電圧を特定するステップは、
前記トレーニング画像データによって、各表示領域の表現階調を特定するステップと、
各表示領域の表現階調に基づいて、各調光領域の階調データを特定するステップと、
前記階調-調光駆動電圧関係及び各調光領域の前記階調データによって、各調光領域用のトレーニング調光駆動電圧を特定するステップと、を含む
ことを特徴とする請求項
10に記載の方法。
【請求項13】
各表示領域の表現階調を特定するステップは、
前記トレーニング画像データによって、各表示領域における各原色の階調データを特定するステップと、
各表示領域に対して、前記階調データのうち最大の階調データを、当該表示領域の表現階調として特定するステップと、を含む
ことを特徴とする請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
1つの調光領域は、1つの表示領域に対応し、
各調光領域の階調データは、対応する表示領域の表現階調として特定される
ことを特徴とする請求項
12又は
13に記載の方法。
【請求項15】
1つの調光領域は、複数の表示領域に対応し、
各表示領域の表現階調に基づいて、各調光領域の階調データを特定するステップは、
各調光領域に対して、対応する複数の表示領域の表現階調のうち最大の表現階調を、当該調光領域の階調データとして特定するステップを含む
ことを特徴とする請求項
12又は
13に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の画像データに対してぼかし処理を行うステップをさらに含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の階調-透過率関係曲線は、ガンマ値が2.2であるガンマ曲線であり、
前記第2の階調-透過率関係曲線は、ガンマ値が2.2より大きいガンマ曲線である
ことを特徴とする請求項1~
15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
デュアル表示パネルに画像を表示するための装置であって、
1つまたは複数のプロセッサと、
前記プロセッサに結合され、コンピュータプログラム命令が記憶されているメモリと、を含み、
前記コンピュータプログラム命令は、前記プロセッサによって実行される場合、前記装置に、請求項1~
17のいずれか一項に記載の方法を実行させる
ことを特徴とする装置。
【請求項19】
デュアル表示パネルであって、
バックライト光源と、調光スクリーンと、表示スクリーンと、請求項
18に記載の装置と、を備え、
前記調光スクリーンは、前記バックライト光源と前記表示スクリーンとの間に設置されている
ことを特徴とするデュアル表示パネル。
【請求項20】
前記調光スクリーンは白黒液晶表示スクリーンであり、
前記表示スクリーンはカラー液晶表示スクリーンである
ことを特徴とする請求項
19に記載のデュアル表示パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示技術分野に関し、特に、デュアル表示パネルに画像を表示するための方法及びその装置、並びに相応的なデュアル表示パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の表示装置では、バックライトのグローバルディミング(Global dimming)技術が一般的に用いられている。しかしながら、グローバルディミング技術を採用した表示装置では、ユーザが輝度を設定した後に、バックライト輝度が表示過程に一定であるため、コントラストが低く、消費電力が大きく、発熱の影響が大きい等の問題があった。現在、ローカルディミング(Local dimming)技術が提案されており、画像データに応じてバックライトをリアルタイムで部分調光できるようにして、画像コントラストを向上させ、消費電力を低減し、発熱を低減している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示の実施例は、デュアル表示パネルに画像を表示するための方法及びその装置、並びに相応的なデュアル表示パネルを提供している。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の第1の態様によれば、デュアル表示パネルに画像を表示するための方法を提供している。デュアル表示パネルは、複数の調光領域を含む調光スクリーンと、複数の表示領域を含む表示スクリーンとを含む。当該方法は、画像の画像データによって、調光スクリーン用の第1の画像データを生成するステップと、調光スクリーン用の階調-調光駆動電圧関係によって、第1の画像データに対応する複数の調光領域用の調光駆動電圧を特定するステップと、表示スクリーン用の階調-表示駆動電圧関係によって、画像データに対応する複数の表示領域用の表示駆動電圧を特定するステップと、調光駆動電圧および表示駆動電圧とを用いて、調光スクリーンおよび表示スクリーンをそれぞれ駆動して画像を表示するステップとを含む。
【0005】
本開示の実施例において、当該方法は、表示スクリーン用の階調調整関係によって、画像データを調整して表示スクリーン用の第2の画像データを生成するステップをさらに含む。実施例では、第2の画像データを用いて表示駆動電圧を特定する。
【0006】
本開示の実施例において、調光スクリーン用の第1の画像データを生成するステップは、画像データによって、各表示領域の表現階調を特定するステップと、各表示領域の表現階調に基づいて、各調光領域の階調データを特定して第1の画像データを構成するステップと、を含む。
【0007】
本開示の実施例において、各表示領域の表現階調を特定するステップは、画像データによって、各表示領域における各原色の階調データを特定するステップと、各表示領域に対して、当該階調データのうち最大の階調データを、当該表示領域の表現階調として特定するステップと、を含む。
【0008】
本開示の実施例において、1つの調光領域が1つの表示領域に対応する場合、各調光領域の階調データは、対応する表示領域の表現階調として特定される。
【0009】
本開示の実施例において、1つの調光領域が複数の表示領域に対応する場合、各表示領域の表現階調に基づいて、各調光領域の階調データを特定するステップは、各調光領域に対して、対応する複数の表示領域の表現階調のうち最大の表現階調を、当該調光領域の階調データとして特定するステップを含む。
【0010】
本開示の実施例において、階調調整関係は、各原色の原色階調調整テーブルを含む。当該実施例では、表示スクリーン用の階調調整関係によって、画像データを調整して表示スクリーン用の第2の画像データを生成するステップは、画像データにおける各原色の階調データに対して、相応的な原色階調調整テーブルを用いて、各原色の調整後の階調データを取得するステップを含む。
【0011】
本開示の実施例において、階調調整関係は、調光式を含む。当該実施例では、表示スクリーン用の階調調整関係によって、画像データを調整して表示スクリーン用の第2の画像データを生成するステップは、画像データによって、複数の表示領域の階調を取得するステップと、複数の表示領域の階調に基づいて、当該調光式を用いて、当該複数の表示領域の調整後の階調を算出するステップと、調整後の階調によって、調整後の画像データを、第2の画像データとして取得するステップと、を含む。
【0012】
本開示の実施例において、階調-調光駆動電圧関係は、複数の階調のそれぞれについて、表示スクリーン用の第1の階調-透過率関係曲線およびデュアル表示パネル用の第2の階調-透過率関係曲線に基づいて、当該階調に対応する調光スクリーンの第1の所望の透過率を特定するステップと、第1の所望の透過率に基づいて、調光スクリーンの透過率-駆動電圧関係曲線によって、階調に対応する初期の調光駆動電圧を特定するステップと、第1の階調-透過率関係曲線および表示スクリーンの透過率-駆動電圧関係曲線に基づいて、階調に対応する表示駆動電圧を特定するステップと、初期の調光駆動電圧および表示駆動電圧を用いて、調光スクリーンおよび表示スクリーンをそれぞれ駆動するステップと、デュアル表示パネルの実際の総透過率を測定するステップと、デュアル表示パネルの所望の総透過率と実際の総透過率との差分値が透過率閾値よりも大きいことに応じて、差分値が当該透過率閾値以下になるまで調光駆動電圧を調整するステップと、複数の階調と、相応的な調光駆動電圧とを関連付けて記憶するステップと、階調-調光駆動電圧関係を作成するステップとにより作成される。
【0013】
本開示の実施例において、階調に対応する調光スクリーンの第1の所望の透過率を特定するステップは、第1の階調-透過率関係曲線によって、階調に対応する表示スクリーンの第2の所望の透過率を特定するステップと、第2の階調-透過率関係曲線によって、階調に対応するデュアル表示パネルの所望の総透過率を特定するステップと、所望の総透過率と第2の所望の透過率との比の値を、第1の所望の透過率として算出するステップと、を含む。
【0014】
本開示の実施例において、階調調整関係は、各原色の原色階調調整テーブルを含む。当該実施例では、各原色の原色階調調整テーブルは、複数の階調のそれぞれについて、原色の所望の階調-透過率関係曲線に基づいて、デュアル表示パネルの当該原色の所望の透過率を特定するステップと、階調-調光駆動電圧関係および調光スクリーンの透過率-駆動電圧関係曲線によって、階調に対応する調光スクリーンの実際の透過率を推定するステップと、当該原色の所望の総透過率と推定した調光スクリーンの実際の透過率との比の値を、表示スクリーンの当該原色の所望の透過率として計算するステップと、表示スクリーンの当該原色の所望の透過率に基づいて、第1の階調-透過率関係曲線によって、調整後の階調を特定するステップと、複数の階調と、相応的な調整後の階調とを関連付けて記憶するステップと、当該原色の原色階調調整テーブルを作成するステップとにより作成される。
【0015】
本開示の実施例において、原色の所望の階調-透過率関係曲線は、バックライト光源から発されるバックライトの総輝度およびバックライトにおける原色の輝度を測定するステップと、原色の輝度が総輝度に占める割合を算出するステップと、算出した割合およびデュアル表示パネル用の第2の階調-透過率関係曲線によって、原色の所望の階調-透過率関係曲線を取得するステップとにより取得される。
【0016】
本開示の実施例において、階調調整関係は、トレーニング画像データおよび階調-調光駆動電圧関係によって、各調光領域用のトレーニング調光駆動電圧を特定するステップと、トレーニング画像データおよびデュアル表示パネル用の第2の階調-透過率関係曲線によって、デュアル表示パネルの所望の総透過率を特定するステップと、調光式を用いて、トレーニング画像データの階調を調整するステップと、調整後の階調および階調-表示駆動電圧関係によって、各表示領域用のトレーニング表示駆動電圧を特定するステップと、トレーニング調光駆動電圧およびトレーニング表示駆動電圧を用いて調光スクリーンおよび表示スクリーンを駆動するステップと、デュアル表示パネルの実際の総透過率を測定するステップと、デュアル表示パネルの所望の総透過率と実際の総透過率との差分値が透過率閾値よりも大きいことに応じて、当該差分値が当該透過率閾値以下になるまで、調光式の調整係数を調整するステップと、当該差分値が当該透過率閾値以下であることに応じて、現在の調光式を階調調整関係として特定するステップとによって作成される。
【0017】
本開示の実施例において、調光式は、Y=y+a*y*(b*y_feature-y)/y_featureであり、ただし、Yは調整後の階調を示し、yは初期の階調を示し、y_featureは特徴階調を示し、aおよびbは調整係数を示す。
【0018】
本開示の実施例において、トレーニング画像データおよび階調-調光駆動電圧関係によって、各調光領域用のトレーニング調光駆動電圧を特定するステップは、トレーニング画像データによって、各表示領域の表現階調を特定するステップと、各表示領域の表現階調に基づいて、各調光領域の階調データを特定するステップと、階調-調光駆動電圧関係及び各調光領域の階調データによって、各調光領域用のトレーニング調光駆動電圧を特定するステップと、を含む。
【0019】
本開示の実施例において、各表示領域の表現階調を特定するステップは、トレーニング画像データによって、各表示領域における各原色の階調データを特定するステップと、各表示領域に対して、階調データのうち最大の階調データを、当該表示領域の表現階調として特定するステップと、を含む。
【0020】
本開示の実施例において、当該方法は、第1の画像データに対してぼかし処理を行うステップをさらに含む。
【0021】
本開示の実施例において、第1の階調-透過率関係曲線は、ガンマ値が2.2であるガンマ曲線であり、第2の階調-透過率関係曲線は、ガンマ値が2.2より大きいガンマ曲線である。
【0022】
本開示の第2の態様によれば、デュアル表示パネルに画像を表示するための装置を提供している。当該装置は、1つまたは複数のプロセッサと、プロセッサに結合され、コンピュータプログラム命令が記憶されているメモリと、を含み、コンピュータプログラム命令は、プロセッサによって実行される場合、装置に、本開示の第1の態様に記載の方法を実行させる。
【0023】
本開示の第3の態様によれば、デュアル表示パネルを提供している。当該デュアル表示パネルは、バックライト光源と、調光スクリーンと、表示スクリーンと、本開示の第2の態様による装置とを備える。ただし、調光スクリーンは、バックライト光源と表示スクリーンとの間に設置されている。
【0024】
本開示の実施例において、調光スクリーンは白黒液晶表示スクリーンであり、表示スクリーンはカラー液晶表示スクリーンである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本開示の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下、実施例の図面を簡単に説明する。但し、以下に説明される図面は、本開示のいくつかの実施例のみに関し、本開示を制限するものではないことを理解すべきであり、これらの図面において、対応参照番号は、対応部品又は特徴を示している。
【0026】
【
図1】デュアル表示パネルの概略構成の概略図を示している。
【
図2】本開示の実施例によるデュアル表示パネルに画像を表示するための方法の概略的なフローチャートを示している。
【
図3】本開示の実施例による階調-調光駆動電圧関係を特定するための過程のフローチャートを示している。
【
図4】本開示の実施例によるデュアル表示パネルに画像を表示するための方法の概略的なフローチャートを示している。
【
図5】本開示の実施例による原色の原色階調調整テーブルを作成するための過程のフローチャートを示している。
【
図6】本開示の実施例による調光式を階調調整関係として特定するための過程のフローチャートを示している。
【
図7】本開示の実施例によるデュアル表示パネルに画像を表示するための装置の概略図を示している。
【
図8】本開示の実施例によるデュアル表示パネルの概略図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本開示の実施例の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、図面を組み合わせて、本開示の実施例の技術案を明確かつ完全に説明する。記載される実施例が、本開示の一部の実施例のみであり、全ての実施例ではないことが明らかである。記載される本開示の実施例に基づいて、当業者が創造的な労力によらずに取得した全ての他の実施例も本開示の保護範囲に含まれる。
【0028】
本開示の要素及びその実施例を説明するとき、「一」、「1つ」、「当該」及び「前記」という冠詞は、1つ又は複数の要素があることを意味する。「備える」、「含む」、「含有」及び「有する」という用語は、包括的であることを意図し、列挙された要素以外の他の要素が存在し得ることを意味する。
【0029】
以下の説明のために、図面に方向が特定されるように、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂部」、「底部」及びそれらの派生語という用語は、開示に関するものである。「上にある」、「・・・の頂部にある」、「・・・の上に位置する」又は「・・・頂部に位置する」という用語は、第1の構造のような第1の要素が第2の構造のような第2の要素上に存在しており、第1の要素と第2の要素との間に、例えばインターフェース構造のような中間要素が存在し得ることを意味する。「接触」という用語は、第1の構造のような第1の要素と第2の構造のような第2の要素とを接続し、2つの要素の境界に他の要素があってもよくなくてもよいことを意味する。
【0030】
別途に定義されない限り、ここで使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本開示主題が属する技術分野の当業者が通常に理解するものと同じ意味を有している。別途に定義されない限り、通常に使用される辞書に定義される用語を、明細書の文脈及び関連技術における意味と同じするように解釈すべきであり、理想的に又は過度に正式的に解釈しないことがさらに理解される。例えば、ここで使用される、2つ以上の部分を「接続」または「連結」するという記述は、これらの部分が直接に接合され、または1つ以上の中間部材を介して接合されることを意味する。
【0031】
また、「第1の」及び「第2の」などの用語は、一つの部品(又は部品の一部)を別の部品(又は部品の他部)から区別するためにのみ使用される。
【0032】
従来のローカルディミング技術は、一般的に、バックライト光源を直接に領域制御することで実現される。表示パネルの製造プロセス、バックライトの領域分割アルゴリズム、駆動回路の応答速度等の制限により、バックライト制御の精度が高くなく、表示パネルにハレーションや残像等の不具合が発生し、表示パネルの画質を影響している。
【0033】
図1は、デュアル表示パネルの概略構成を示す模式図である。
図1に示すように、デュアル表示パネルは、バックライト光源101、調光スクリーン102、表示スクリーン103を有する。更に、調光スクリーン102は、複数の調光領域104を含み、表示スクリーン103は、複数の表示領域105を含む。
【0034】
図1に示すように、調光スクリーン102は、バックライト光源101と表示スクリーン103との間に設置されている。調光スクリーン102及び表示スクリーン103は、いずれもカラー液晶表示スクリーン又は白黒液晶表示スクリーンであってもよいし、それぞれカラー液晶表示スクリーン及び白黒液晶表示スクリーンであってもよい。説明の便宜上、本開示の実施例では、調光スクリーン102が白黒液晶表示スクリーンであり、表示スクリーン103がカラー液晶表示スクリーンであることを例として説明する。本開示のいくつかの実施例において、調光領域104は、少なくとも1つの表示領域105に対応することができる。
図1の例示では、調光領域104は、9つの表示領域105に対応している。
【0035】
図2は、本開示の実施例によるデュアル表示パネルに画像を表示するための方法を概略的なフローチャートである。本開示の実施例による方法は、
図1に示すデュアル表示パネルに適用され得る。以下、本実施例の方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0036】
図2に示すように、ステップ210では、表示されようとする画像の画像データに基づいて、調光スクリーン用の第1の画像データを生成する。本開示の実施例において、画像データは、RGB色空間の画像データであり、各原色(例えば、赤(R)、緑(G)、青(B))の階調及び位置情報を含む。本開示の実施例において、階調は、範囲が0~255である8ビット階調、または範囲が0~65536である16ビット階調などであってよい。
【0037】
本開示の実施例において、画像データ(例えば、RGBデータ)によって、各表示領域の画像データを特定することができる。表示領域105は、1つ又は複数の画素を含んでよい。表示領域が1つの画素を含む場合、表示領域の画像データは、1画素分のRGBデータである。表示領域が複数の画素を含む場合、表示領域の画像データは、対応する複数の画素のR、G、B階調の平均値または加重平均値からなるRGBデータであってよい。そして、各表示領域の画像データに基づいて、各表示領域における各原色の最大階調を各表示領域の表現階調として特定する。そして、各表示領域の表現階調に応じて、相応的な調光領域の階調を特定することができる。本開示のいくつかの実施例において、1つの調光領域は1つの表示領域に対応してよい。この場合、調光領域の階調は、表示領域の表現階調で表されることができる。本開示の他の実施例では、1つの調光領域は、複数の表示領域に対応してよい。この場合、調光領域に対応する複数の表示領域の最大表現階調を当該調光領域の階調として特定する。当業者にとって、調光領域の階調が、対応する複数の表示領域の表現階調の加重平均又は他の表現階調の関数として特定されてもよいことが理解される。以上の動作により、複数の調光領域の階調は、調光スクリーンの第1の画像データを構成している。
【0038】
付加的には、本開示のいくつかの実施例において、調光スクリーンの第1の画像データを生成した後、第1の画像データに対してぼかし処理を行って調光画像のエッジをぼかすことにより、デュアルスクリーンの位置合わせ精度に対する限界を低減することもできる。本開示の一実施例では、ぼかし処理は、フィルタテンプレートを使用して行われ得る。調光スクリーンが表示スクリーンに対して左にずれている場合、調光画像を右に移動させる必要がある。この場合、フィルタテンプレートの左側の重みを右側の重みよりも大きくして、画像の中央の画像データを左側に近づけるようにすることができる。ぼかし処理は、当業者にとって既知なものであり、ここでは具体的な説明を省略する。
【0039】
ステップ220で、調光スクリーン用の階調-調光駆動電圧関係に基づいて、第1の画像データに対応する複数の調光領域用の調光駆動電圧を特定することができる。本開示の実施例において、階調-調光駆動電圧関係は、予め作成され、第1のルックアップテーブルによって示されることができる。階調-調光駆動電圧関係の作成については、以下、
図4を参照して詳細に説明する。そこで、本開示の実施例において、各調光領域の階調を取得した後に、階調-調光駆動電圧関係を示す第1のルックアップテーブルを参照することにより、各調光領域の階調に対応する調光駆動電圧を特定することができる。
【0040】
ステップ230では、表示スクリーン用の階調-表示駆動電圧関係に応じて、画像データに対応する複数の表示領域用の表示駆動電圧を特定する。本開示の実施例において、階調-表示駆動電圧関係は、予め作成され、第2のルックアップテーブルによって示されることができる。本開示の実施例において、各表示領域のRGBデータを取得した後、当該表示領域のR、G、Bの3原色の階調のそれぞれに応じて、階調-表示駆動電圧関係を示す第2ルックアップテーブルを参照することによって、3原色の階調にそれぞれ対応する表示駆動電圧を特定し、当該表示領域に対する表示駆動電圧を取得することができる。
【0041】
本開示の実施例において、階調-表示駆動電圧関係は、以下の過程で特定されることができる。各階調に対して、所定の表示スクリーンの第1の階調-透過率関係曲線によって、各階調毎に対応する第2の所望の透過率を取得する。そして、予め定められた表示スクリーンの透過率-駆動電圧関係曲線によって、各階調毎に対応する液晶駆動電圧(以下「表示駆動電圧」という)を取得する。各階調とそれに対応する表示駆動電圧とを関連付けて記憶し、階調-表示駆動電圧関係を取得する。本開示の実施例において、第1の階調-透過率曲線は、ガンマ(GAMMA)値が2.2である階調-透過率曲線であってよい。しかしながら、当業者であれば、具体的な需要に応じて第1の階調-透過率関係曲線を特定してもよいことがわかる。
【0042】
ステップ240では、ステップ220で特定された調光駆動電圧、およびステップ230で特定された表示駆動電圧によって、調光スクリーン及び表示スクリーンをそれぞれ駆動して、画像を表示する。
【0043】
以上の説明から明らかなように、本開示の実施例の方法によれば、調光スクリーンの画像の輝度を調整することにより、画像表示の輝度を所望の輝度にすることができ、画像表示品質を向上させることができる。
【0044】
図3は、本開示の実施例による階調-調光駆動電圧関係を特定するための過程のフローチャートである。以下、図面を参照し、本実施例の方法を詳細に説明する。
【0045】
図3に示すように、ステップ310において、複数の階調のそれぞれについて、表示スクリーン用の第1の階調-透過率関係曲線と、デュアル表示パネル用の第2の階調-透過率関係曲線とに基づいて、当該階調に対応する調光スクリーンの第1の所望の透過率を特定する。通常、デュアル表示パネルの透過率は、調光スクリーンの透過率と表示スクリーンの透過率との積で算出される。これにより、本開示の実施例において、第2の階調-透過率関係曲線によって、各階調毎に対応する所望の総透過率を取得することができる。そして、第1の階調-透過率関係曲線によって、各階調に対応する表示スクリーンの第2の所望の透過率を取得することができる。本開示の実施例において、第1の階調-透過率関係曲線は、ガンマ(GAMMA)値が2.2である階調-透過率関係曲線であり、第2の階調-透過率曲線は、ガンマ値が2.2より大きい階調-透過率関係曲線であってよい。そして、各階調の所望の総透過率と第2の所望の透過率との比の値を、各階調に対応する調光スクリーンの第1の所望の透過率として算出する。
【0046】
ステップ320では、第1の所望の透過率に基づいて、調光スクリーンの透過率-駆動電圧関係曲線によって、階調に対応する初期調光駆動電圧を特定する。
【0047】
ステップ330では、第1の階調-透過率関係曲線及び表示スクリーンの透過率-駆動電圧関係曲線に基づいて、当該階調に対応する表示駆動電圧を特定する。本開示の実施例において、階調に対して、第1の階調-透過率関係曲線によって、対応する第2の所望の透過率を取得することができる。そして、第2の所望の透過率を用いて、予め定められた表示スクリーンの透過率-駆動電圧関係曲線によって、相応的な表示駆動電圧を取得することができる。
【0048】
ステップ340では、各階調に対して、相応的な初期調光駆動電圧及び表示駆動電圧によって、調光スクリーン及び表示スクリーンをそれぞれ駆動する。本開示の実施例において、ある階調に対して、相応的な各原色の階調が同じであってよい。従って、各原色の表示駆動電圧は、ステップ330で特定した表示駆動電圧を採用する。
【0049】
ステップ350では、デュアル表示パネルの実際の総透過率を測定する。本開示の実施例においては、各階調に対して、輝度検出装置を用いて、デュアル表示パネルの実際の総輝度を検出し、実際の総輝度と外部条件が変化しない場合におけるデュアル表示パネルの最大輝度との比の値を、デュアル表示パネルの実際の総透過率として算出する。
【0050】
ステップ360では、デュアル表示パネルの所望の総透過率と実際の総透過率との差分値を計算する。そして、差分値が透過率の閾値より大きいか否かを判断する。差分値が透過率閾値よりも大きければ、ステップ370で、調光駆動電圧を調整する。本開示の実施例では、例えば、0.01Vを調整ステップとして、調光駆動電圧を増加することができる。そして、ステップ340に戻り、調整された調光駆動電圧および表示駆動電圧を用いて調光スクリーンおよび表示スクリーンを再駆動する。
【0051】
差分値が透過率閾値以下である場合、ステップ380において、複数の階調を、相応的な調光駆動電圧に関連付けて記憶し、階調-調光駆動電圧関係を確立する。
【0052】
図4は、本開示の実施例によるデュアル表示パネルに画像を表示するための方法を概略的なフローチャートである。本開示の実施例では、
図2に示す方法に加えて、表示スクリーン用の画像データを調整するステップ430が追加される。
【0053】
図4に示すように、調光スクリーン用の第1の画像データを生成し(ステップ410)、相応的な調光駆動電圧を特定した(ステップ420)後、又はこれと並行して、ステップ430において、表示スクリーン用の階調調整関係によって、画像データを調整して表示スクリーン用の第2の画像データを生成する。本開示の実施例において、階調調整関係は、予め作成されている。階調調整関係の作成については後に詳述する。次に、ステップ440において、生成された第2の画像データに基づいて、相応的な複数の表示領域用の表示駆動電圧を特定する。
【0054】
本開示の実施例において、階調調整関係は、各原色の原色階調調整テーブルであってよい。この場合、ステップ430では、画像データにおける各原色の階調データについて、相応的な原色階調調整テーブルを用いて各原色の調整後の階調データを取得して第2の画像データを生成する。
【0055】
図5は、本開示の実施例による単一原色の原色階調調整テーブルを特定するための過程を概略的に示している。
図5に示すように、ステップ510では、複数の階調のそれぞれについて、単一原色の所望の階調-透過率関係曲線に基づいて、デュアル表示パネルの当該原色の所望の総透過率を特定する。本開示の実施例において、輝度測定装置により、デュアル表示パネルのバックライト光源から発されるバックライトの総輝度と、バックライトにおける当該原色の輝度を測定することができる。そして、当該原色の輝度と総輝度との割合を算出する。そして、算出された割合、およびデュアル表示パネルの所望の階調-透過率関係曲線(すなわち、第2の階調-透過率関係曲線)によって、当該原色の所望の階調-透過率関係曲線を特定する。本実施例では、当該原色の所望の階調-透過率関係曲線は、以下のように表されることができる:
Tr_sub=k*Tr_sum (式1)
ただし、Tr_subは、当該原色の所望の階調-透過率関係曲線を示し、Tr_sumは第2の階調-透過率関係曲線を示し、kは当該原色の輝度とバックライト総輝度との割合を示す。そして、当該原色の所望の階調-透過率関係曲線によって、各階調に対して、当該原色の所望の総透過率を取得する。
【0056】
ステップ520では、階調-調光駆動電圧関係および調光スクリーンの透過率-駆動電圧関係曲線によって、階調に対応する調光スクリーンの実際の透過率を推定する。本開示の実施例において、上述した
図3に示す過程で作成した階調-調光駆動電圧関係によって、各階調に対応する調光駆動電圧を特定する。そして、調光スクリーンの透過率-駆動電圧関係曲線によって、各階調の調光電圧に対応する調光スクリーンの実際の透過率を推定する。
【0057】
ステップ530では、当該原色の所望の総透過率と推定された調光スクリーンの実際の透過率との比の値を、表示スクリーンの当該原色の所望の透過率として計算する。本開示の実施例においては、各階調に対して、当該原色の所望の総透過率と、対応する推定された調光スクリーンの実際の透過率との比の値を、表示スクリーンの当該原色の所望の透過率として算出する。
【0058】
ステップ540では、各階調に対して、表示スクリーンの当該原色の所望の透過率に基づいて、第1の階調-透過率関係曲線によって、調整後の階調を特定する。そして、ステップ550では、複数の階調と相応的な調整後の階調とを関連付けて記憶し、当該原色の原色階調調整テーブルを作成する。
【0059】
したがって、各原色に対して、
図5に示す過程により、相応的な原色階調調整テーブルを作成することができる。
【0060】
本開示の実施例において、階調調整関係は、調光式であってよい。この場合、ステップ430では、複数の表示領域の階調に基づいて、調光式を用いて、複数の表示領域の調整後の階調を算出することができる。本開示の実施例において、調光式は、以下のように示され得る:
Y=y+a*y*(b*y_feature-y)/y_feature (式2)
ただし、Yは調整後の階調を示し、yは初期画像階調を示し、y_featureは特徴階調を示し、aおよびbは調整係数を示す。当該実施例では、複数の表示領域のそれぞれについて、当該表示領域の画像データを、RGB色空間からYCbCr色空間に変換する:
Y=0.299R+0.587G+0.114B
Cr=(0.500R-0.4187G-0.0813B)+128
Cb=(-0.1687R-0.3313G+0.500B)+12 (式3)
ただし、Yは階調を示し、Crは赤色度成分を示し、Cbは青色度成分を示す。そして、上述した調光式(2)を用いて、各表示領域の階調Yを調整し、調整後の階調を取得する。そして、調整後の階調、赤色度成分Cr及び青色度成分Cbを用いて、当該表示領域の調整後のRGBデータを取得する。
【0061】
図6は、調光式を特定する過程のフローチャートを示す。
図6に示すように、ステップ610では、トレーニング画像データと階調-調光駆動電圧関係によって、各調光領域用のトレーニング調光駆動電圧を特定する。本開示の実施例において、トレーニング画像データによって、各表示領域における各原色の最大階調を、各表示領域の表現階調として特定することができる。そして、各表示領域の表現階調によって、相応的な調光領域の階調を特定することができる。本開示の実施例において、1つの調光領域は、1つの表示領域に対応することができる。この場合、調光領域の階調は、表示領域の表現階調として特定され得る。本開示の他の実施例では、1つの調光領域は、複数の表示領域に対応してもよい。この場合、調光領域に対応する複数の表示領域の最大表現階調を当該調光領域の階調として特定する。当業者であれば、調光領域の階調が、対応する複数の表示領域の表現階調の加重平均又は他の表現階調の関数として特定されてもよいことが理解される。そして、上記した
図3に示す過程で作成した階調-調光駆動電圧によって、各調光領域のトレーニング調光駆動電圧を特定する。
【0062】
ステップ620では、トレーニング画像データおよびデュアル表示パネル用の第2の階調-透過率関係曲線によって、デュアル表示パネルの各表示領域の所望の総透過率を特定する。本開示の実施例において、まず、第2の階調-透過率関係曲線を用いて、前記のような方式によって各原色の所望の階調-透過率関係曲線を取得する。そして、トレーニング画像データ(例えばRGBデータ)における各表示領域のRGBデータによって、各原色の所望の階調-透過率関係曲線を用いて、各表示領域のR、G、Bという各原色の所望の総透過率を特定する。そして、各表示領域の各原色の所望の総透過率の平均値を、各表示領域の所望の総透過率として算出する。もちろん、当業者であれば、各原色の所望の総透過率の他の関数を用いて各表示領域の所望の総透過率を算出することができることが理解される。
【0063】
ステップ630では、調光式を用いて、トレーニング画像データの階調を調整する。本開示の実施例において、調光式は、上述の式(2)である。式(2)により、トレーニング画像データの各原色の調整後の階調を取得することができる。本開示の実施例において、式(3)により、トレーニング画像データをYCbCr色空間の画像データに変換する。そして、式(2)を用いて階調Yを調整する。
【0064】
このとき、式(2)における調整係数a及びbの値は1である。当該実施例では、トレーニング画像データに対して、階調の大きい順に、各階調の数と表示スクリーンの表示領域の数との比の値を積算し、積算した比の値が所定値以上である場合に、積算に用いた階調のうち最小の階調を特徴階調として特定する。したがって、特徴階調は、画像データに基づいて得られる。当業者であれば、特徴階調を特定するための所定値が、必要に応じて設定され得ることが理解される。
【0065】
ステップ640では、調整後の階調と階調-表示駆動電圧関係とに基づいて、各表示領域用のトレーニング表示駆動電圧を特定する。本開示の実施例では、調整後の階調、赤色度成分Crおよび青色度成分Cbを用いて、各表示領域の調整後のRGB画像データを取得する。そして、
図2に示す過程で作成した階調-表示駆動電圧関係によって、調整後の画像データに対応するトレーニング表示駆動電圧を取得する。
【0066】
ステップ650では、トレーニング調光駆動電圧とトレーニング表示駆動電圧を用いて、調光スクリーン及び表示スクリーンを駆動する。次に、ステップ660では、デュアル表示パネルの各表示領域の実際の総透過率を測定する。本開示の実施例においては、輝度検出装置により、デュアル表示パネルの各表示領域の実際の輝度と、外界の状況が変化しないときの各表示領域の最大輝度を測定することができる。そして、各表示領域の実際の輝度と、対応する最大輝度との比の値を、デュアル表示パネルの各表示領域の実際の総透過率として特定する。
【0067】
ステップ670では、デュアル表示パネルの各表示領域の所望の総透過率と実際の総透過率との差分値を算出する。そして、差分値が透過率閾値より大きいか否かを判断する。差分値が透過率閾値よりも大きければ、ステップ680で、調光式の調整係数を調整する。本開示の実施例では、任意の表示領域の差分値が透過率閾値よりも大きい場合に、調整係数aおよび/またはbを調整する。そして、ステップ630に戻り、調整後の調光式を用いて、トレーニング画像データの階調を再調整する。
【0068】
差分値が透過率閾値以下であれば、ステップ690で、現在の調光式を階調調整関係として特定する。本開示の実施例において、各表示領域に対応する差分値が透過率閾値以下である場合に、現在の調光式を表示スクリーンの階調調整関係として特定する。
【0069】
以上の説明から分かるように、本開示の実施例の方法によれば、画像データの各原色の階調をより一層調整することができ、画像表示の品質をより一層向上させることができる。
【0070】
図7は、本開示の実施例による、デュアル表示パネルに画像を表示するための装置700の概略図である。
図7に示すように、当該装置700は、1つ以上のプロセッサ701と、プロセッサ701に結合されたメモリ702とを含める。当該装置700は、プロセッサ701及びメモリ702に結合されたI/Oデバイス703を更に含める。メモリ702には、コンピュータプログラム命令が記憶されている。当該コンピュータプログラム命令は、プロセッサ701によって実行される場合、装置700に、
図2~
図6を参照して記載された方法を実行させる。
【0071】
図8は、本開示の実施例によるデュアル表示パネル800の概略図である。
図8に示すように、デュアル表示パネル800は、バックライト光源101、調光スクリーン102、表示スクリーン103、及びデュアル表示パネルに画像を表示するための装置700を含める。本開示の実施例において、調光スクリーン102は、バックライト光源101と表示スクリーン103との間に設置されている。調光スクリーン102は、白黒液晶表示スクリーンであり、表示スクリーン103は、カラー液晶表示スクリーンであってよい。
【0072】
本開示のいくつかの実施例が本明細書で説明されているが、これらの実施例は、例として示されており、本開示の範囲を限定することを意図していない。実際には、本明細書に記載される新規の実施例は、様々な他の形態で実施され得る;さらに、本開示の精神から逸脱しない限り、本明細書に記載された実施例の形態の様々な省略、置換および変更を行うことができる。特許請求の範囲及びその均等物は、本開示の範囲及び精神に含まれる形態又は補正を覆う。
【符号の説明】
【0073】
101 バックライト光源
102 調光スクリーン
103 表示スクリーン
104 調光領域
105 表示領域
700 画像を表示するための装置
701 プロセッサ
702 メモリ
703 I/Oデバイス
800 デュアル表示パネル