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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-13
(45)【発行日】2023-07-24
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/72 20060101AFI20230714BHJP
   F24C 7/02 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
H05B6/72 A
F24C7/02 511G
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020076120
(22)【出願日】2020-04-22
(65)【公開番号】P2021174630
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2022-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】増田 一郎
(72)【発明者】
【氏名】及川 貴裕
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-167871(JP,A)
【文献】特開2019-169357(JP,A)
【文献】特開2019-052801(JP,A)
【文献】特開平06-295786(JP,A)
【文献】実開昭62-010393(JP,U)
【文献】特開2019-003868(JP,A)
【文献】特開2010-251129(JP,A)
【文献】特開平08-138862(JP,A)
【文献】特開2010-255872(JP,A)
【文献】特開2002-198166(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/64- 6/80
F24C 7/00- 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物が収容される加熱庫と、
マイクロ波を生成するマグネトロンと、
前記マグネトロンが生成した前記マイクロ波を伝搬する導波管と、
前記加熱庫の側壁または背壁の外面に対向するように設けられ、前記導波管により伝搬された前記マイクロ波を前記加熱庫内へ放射するアンテナと、
前記アンテナが固定されるアンテナシャフトと、
前記アンテナを回転させるモータと、
前記モータの回転力を前記アンテナシャフトに伝達するモータシャフトと、
前記アンテナと前記加熱庫の前記側壁または前記背壁の外面との間に設けられたスペーサと、
を備え
前記アンテナシャフトの軸方向の一端であって、前記モータと対向する端部には第1凹部が形成され、前記アンテナシャフトの前記軸方向の他端であって、前記側壁または前記背壁の外面と対向する端部には第2凹部が形成されており、
前記アンテナシャフトの前記第1凹部に前記モータシャフトが挿入され、前記第2凹部に前記スペーサが挿入されている加熱調理器。
【請求項2】
前記スペーサの端部は、前記加熱庫の前記側壁または前記背壁と接触している請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記スペーサと、前記加熱庫の前記側壁または前記背壁との間には、隙間が設けられている請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記スペーサの前記加熱庫の前記側壁または前記背壁と対向する端部は球形状である請求項1~の何れか一項に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記スペーサはセラミックで構成される請求項1~の何れか一項に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記スペーサは金属で構成される請求項1~の何れか一項に記載の加熱調理器。
【請求項7】
前記アンテナは、前記導波管の給電口からλ/4の範囲に配置される電界集中部を有する請求項1~の何れか一項に記載の加熱調理器。
【請求項8】
前記アンテナは、折り返し部を有する請求項1~の何れか一項に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マイクロ波式加熱源を有する加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、天板上に載置される被加熱物を加熱する加熱コイルと、輻射式電気加熱源、電磁誘導式加熱源、マイクロ波式加熱源、または熱風循環式加熱源などの加熱源を有する加熱庫とを備える加熱調理器が知られている。例えば、特許文献1には、加熱コイルと、マイクロ波式加熱源を有する加熱庫と、を備える加熱調理器が提案されている。特許文献1の加熱調理器は、マイクロ波を発生させるマグネトロンと、加熱庫の側壁に対向するようにして設けられ、マグネトロンが発生させたマイクロ波を加熱庫内へ放射するアンテナと、アンテナを回転させるモータと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-169357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1における加熱調理器のように、アンテナがモータのシャフトに篏合して取り付けられている場合、加熱調理器をキッチンに組込む際の衝撃、または加熱調理器の使用時の振動等により、アンテナがモータのシャフトから抜け落ちる可能性がある。または、アンテナが抜け落ちないまでも、アンテナの位置がモータシャフトの軸方向にずれることで加熱庫内のインピーダンス整合が変化し、加熱ムラが生じてしまうことがある。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するものであり、アンテナの位置ずれを抑制することができる加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る加熱調理器は、被加熱物が収容される加熱庫と、マイクロ波を生成するマグネトロンと、マグネトロンが生成したマイクロ波を伝搬する導波管と、加熱庫の側壁または背壁の外面に対向するように設けられ、導波管により伝搬されたマイクロ波を加熱庫内へ放射するアンテナと、アンテナが固定されるアンテナシャフトと、アンテナを回転させるモータと、モータの回転力をアンテナシャフトに伝達するモータシャフトと、アンテナと加熱庫の側壁または背壁の外面との間に設けられたスペーサと、を備え、アンテナシャフトの軸方向の一端であって、モータと対向する端部には第1凹部が形成され、アンテナシャフトの軸方向の他端であって、側壁または背壁の外面と対向する端部には第2凹部が形成されており、アンテナシャフトの第1凹部にモータシャフトが挿入され、第2凹部にスペーサが挿入されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示の加熱調理器によれば、アンテナと加熱庫の側壁または背壁の外面との間に設けられたスペーサによって、アンテナの加熱庫の側壁または背壁側への移動が制限されるため、アンテナの位置ずれを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る加熱調理器の斜視図である。
図2】実施の形態1に係る加熱調理器の上面図である。
図3図2のA-A断面模式図である。
図4図2のB-B断面模式図である。
図5図3のC-C断面模式図である。
図6】実施の形態1に係る加熱調理器のスペーサを説明する図である。
図7】変形例1に係る加熱調理器のスペーサを説明する図である。
図8】変形例2に係る加熱調理器のスペーサを説明する図である。
図9】変形例3に係る加熱調理器のアンテナを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る加熱調理器について図面を参照して説明する。図面に示す加熱調理器は一例であり、図面に示された加熱調理器によって本開示の適用機器が限定されるものではない。また、以下の説明において、理解を容易にするために方向を表す用語(例えば「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、「後」など)を適宜用いるが、これらは説明のためのものである。また、各図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る加熱調理器100の斜視図である。本実施の形態の加熱調理器100は、例えばキッチン家具に設けられた設置口に嵌め込まれて使用されるビルトイン型のIHクッキングヒータである。図1に示すように、加熱調理器100は、上部ユニット1および下部ユニット2を備え、それらを上下に重ねた状態で、結合されて一体化されている。このとき、上部ユニット1は下部ユニット2の上に配置される。
【0011】
上部ユニット1は、上面が開口した箱形状の上部ケース10と、上部ケース10の上面の開口を覆うように設けられた平板状のトッププレート11とを備える。上部ケース10は、板金で構成される。トッププレート11は、例えば耐熱ガラスなどの非磁性体で構成される。トッププレート11の後部には、加熱調理器100からの排気を行う排気口4が設けられている。排気口4には、通気性を有するカバーが設けられ、上部ケース10内部への埃または異物侵入を防止している。
【0012】
下部ユニット2は、上面および前面が開口した箱形状の下部ケース20を備える。下部ケース20は、複数の板金で構成される。下部ユニット2の上面の開口は、上部ケース10の下部の外周よりも大きくなっており、上部ユニット1と下部ユニット2との結合時に下部ユニット2の上面の開口に、上部ユニット1の上部ケース10が挿入される。
【0013】
下部ユニット2の内部には、前面が開口した加熱庫5が設けられている。下部ユニット2の前面には、加熱庫5の前面の開口を開閉自在に覆う前面扉51が設けられている。前面扉51には、取っ手52が設けられており、取っ手52を掴んで前面扉51を開けることで、前方から被加熱物を加熱庫5に出し入れすることができる。
【0014】
図2は、実施の形態1に係る加熱調理器100の上面図である。図2に示すように、トッププレート11の上面には、2つの加熱口30が設けられている。加熱口30は、鍋またはフライパンなどの調理容器が載置される領域を示すものである。加熱口30の下方には、加熱コイル3が設けられている(図3)。また、トッププレート11の前部には、操作表示部12が設けられている。操作表示部12は、加熱コイル3および加熱庫5における加熱を操作するための操作部と、操作部により設定された内容および加熱コイル3および加熱庫5における加熱状況を表示する表示部とからなる。
【0015】
続いて、加熱調理器100の内部の構成について説明する。図3は、図2のA-A断面模式図であり、図4は、図2のB-B断面模式図である。また、図5は、図3のC-C断面模式図である。図3および図4に示すように、上部ユニット1の内部であって、トッププレート11の加熱口30の下方には、銅線またはアルミ線などの導線が巻回してなる円形の加熱コイル3が設けられている。加熱コイル3は、高周波電流が供給されることで高周波磁界を発生する。これにより、加熱口30上に配置された調理容器が誘導加熱される。なお、2つの加熱口30の何れか一方または両方の下方に、加熱コイル3に替えて電気ヒータ(例えばニクロム線またはハロゲンヒータ、ラジェンドヒータ等)を設けてもよい。また、加熱口30および加熱コイル3の数は2つに限定されず、1つあるいは3つ以上であってもよい。
【0016】
加熱コイル3の下方には、第1回路基板31が設けられている。第1回路基板31には、加熱コイル3に高周波電力を供給するインバータ回路、インバータ回路を制御する制御回路、およびアルミニウム製のヒートシンクなどが搭載されている。
【0017】
図4に示すように、加熱コイル3の下方であって、下部ユニット2の内部には、加熱庫5が設けられている。加熱庫5の前面に設けられた前面扉51は、下部ケース20とヒンジおよびアーム(図示せず)により回動自在に支持されている。これにより、前面扉51は、下端部を支点(回動中心)として前方に開く構成となっている。また、図3に示すように、前面扉51と対向して、前面扉51の開閉を検知するための開閉検知部53が設けられている。開閉検知部53は、例えばマイクロスイッチである。
【0018】
図3図5に示すように、下部ユニット2の内部であって、加熱庫5の外側には、加熱庫5内に収容される調理容器内の被加熱物を加熱するマイクロ波式加熱手段が設けられている。マイクロ波式加熱手段は、マグネトロン61と、導波管62と、アンテナ63と、モータ64と、第2回路基板65と、からなる。
【0019】
図5に示すように、マグネトロン61は、加熱庫5の側壁501の外側に配置され、2.45GHz程度のマイクロ波を生成するマイクロ波生成器である。また、図5に示すように、導波管62は、加熱庫5の後方に左右に延びて設けられている。導波管62は、マグネトロン61に接続される取付口621(図3)と、アンテナ63が収容されるアンテナ室66に接続される給電口622(図4)とを有し、マグネトロン61が生成したマイクロ波をアンテナ63に伝搬する。
【0020】
導波管62の後方には、第2回路基板65が配置される。第2回路基板65には、マイクロ波式加熱手段の各部に電力を供給する電源回路、およびマイクロ波式加熱手段による加熱を制御する制御回路などが搭載されている。
【0021】
図4および図5に示すように、アンテナ63は、加熱庫5の後方に形成されるアンテナ室66に収容される。アンテナ63は、平板状の金属で構成され、平板面が加熱庫5の背壁を構成する背面板502の外面と対向するように配置され、導波管62により伝搬されたマイクロ波を加熱庫5内へ放射する。背面板502は、セラミックで構成される。また、アンテナ63は、アンテナシャフト67にカシメ等により固定される。
【0022】
モータ64は、アンテナ63を回転される電動機であり、図4および図5に示すように、アンテナ室66の後方に配置される。モータ64は、モータ64の回転力をアンテナシャフト67に伝達するモータシャフト68を有する。モータシャフト68は、セラミックで構成され、アンテナシャフト67に嵌合される。
【0023】
マグネトロン61によって生成され、導波管62を介してアンテナ63に伝わったマイクロ波は、アンテナ63から加熱庫5内に放射される。モータ64が駆動され、アンテナ63が回転することで、加熱庫5内に照射されるマイクロ波のムラが軽減される。
【0024】
また、図4および図5に示すように、アンテナ63と背面板502との間には、スペーサ7が設けられている。スペーサ7は、アンテナ63およびアンテナシャフト67の前後方向、すなわちアンテナシャフト67の軸方向の移動を規制するものである。
【0025】
図6は、実施の形態1に係る加熱調理器100のスペーサ7を説明する図である。図6は、図4のスペーサ7の周辺を拡大して示している。図6に示すように、アンテナシャフト67の軸方向の一端であって、モータ64と対向する端部には、第1凹部671が形成される。また、アンテナシャフト67の軸方向の他端であって、背面板502と対向する端部には、第2凹部672が形成される。そして、アンテナシャフト67の第1凹部671にモータシャフト68が挿入され、第2凹部672にスペーサ7が挿入される。
【0026】
第1凹部671およびモータシャフト68の断面形状は、例えばD形状である。これにより、モータシャフト68の回転にともなって、アンテナシャフト67およびアンテナ63を回転させることができる。
【0027】
スペーサ7は、円筒形状を有し、セラミックで構成される。スペーサ7をセラミックで構成することで、電波を透過させることができ、電波に悪影響を与えることがない。スペーサ7の第2凹部672への挿入量は特に制限はないが、例えば5mmである。スペーサ7の断面の直径は、第2凹部672の直径よりも小さく形成される。スペーサ7は、第2凹部672の側面との間に隙間がないような大きさであってもよいし、第2凹部672の側面との間に隙間が発生するような大きさでもよい。また、スペーサ7は、第2凹部672に挿入された状態で、アンテナシャフト67の回転にともなって回転してもよいし、回転しなくてもよい。
【0028】
図6に示すように、スペーサ7は、第2凹部672の底面と背面板502の外面とに接触する長さを有している。スペーサ7の長さは、インピーダンス整合などにより適宜設定される。また、スペーサ7のアンテナシャフト67に挿入されていない方の端部70、すなわち背面板502と対向する端部70は、球形状を有し、背面板502と点接触している。背面板502と接触するスペーサ7の端部70を球形状とすることで、スペーサ7と背面板502との擦れを緩和できる。
【0029】
スペーサ7の効果について、以下に説明する。アンテナ63は、アンテナシャフト67を介してモータシャフト68に嵌合されているが、アンテナシャフト67とモータシャフト68とは固定されていない。そのため、スペーサ7を設けない場合は、アンテナシャフト67およびアンテナ63は、前後方向、すなわちアンテナシャフト67の軸方向に移動可能となる。そのため、加熱調理器100をキッチンに組込む際の衝撃、または加熱調理器100の使用時の振動等により、アンテナ63がモータシャフト68から抜け落ちてしまうことがある。特に、アンテナ63を加熱庫5の底壁に対向するよう配置する場合は、アンテナ63の自重により軸方向の移動は規制されるが、本実施の形態のようにアンテナ63を加熱庫5の背壁に対向するよう配置する場合は、軸方向の位置ずれが発生しやすい。
【0030】
アンテナシャフト67がモータシャフト68から抜け落ちることを防止するためには、図6に示すa寸法およびb寸法において、a>bの関係となるようにすることが望ましい。a寸法は、モータシャフト68のアンテナシャフト67への挿入量であり、b寸法はアンテナ63から背面板502の外面までの長さである。しかしながら、a寸法およびb寸法は、加熱庫5内のインピーダンス整合に影響するため、a>bに設定できない場合がある。また、アンテナ63がモータシャフト68から抜け落ちないまでも、アンテナ63が前後方向に移動して位置がずれることで、インピーダンス整合がとれなくなり、加熱ムラが生じる。
【0031】
また、アンテナシャフト67をモータシャフト68に接着剤などにより固定した場合も、接着剤が経年劣化することにより、アンテナ63の位置ずれが発生してしまう。また、アンテナシャフト67とモータシャフト68の嵌め合いをきつくすると、セラミックで構成されるモータシャフト68が破損する恐れがある。
【0032】
これに対し、本実施の形態では、アンテナ63と背面板502との間にスペーサ7を設けることで、アンテナ63の抜け落ちおよび位置ずれを抑制することができる。その結果、アンテナ63を所望の位置で回転させることができる。また、スペーサ7はセラミックで構成されているため、電波への影響を無視することができる。これにより、所望のインピーダンス整合をとることが可能となり、加熱庫5内の加熱ムラを抑制でき、調理時間を短縮することも可能となる。
【0033】
以上が本開示の実施の形態の説明であるが、本開示は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。例えば、スペーサ7は、背面板502およびアンテナシャフト67に接触しなくてもよい。図7は、変形例1に係る加熱調理器100のスペーサ7を説明する図である。図7に示すように、スペーサ7と背面板502との間に隙間を設けてもよい。スペーサ7と背面板502との間の距離は、0.2mm以下とする。アンテナ63の前後方向への位置ずれが0.2mm以下であれば、インピーダンス整合への影響はほとんどない。本変形例の構成とすることで、スペーサ7と背面板502との擦れをさらに緩和できる。
【0034】
図8は、変形例2に係る加熱調理器100のスペーサ7を説明する図である。図8に示すように、スペーサ7とアンテナシャフト67との間に隙間を設けてもよい。スペーサ7とアンテナシャフト67の第2凹部672の底面との間の距離は、0.2mm以下とする。この場合も、アンテナ63の前後方向への位置ずれが0.2mm以下となるため、インピーダンス整合に影響はほとんどない。
【0035】
図9は、変形例3に係る加熱調理器100のアンテナ63Aを説明する図である。図9に示すように、アンテナ63Aに、電界集中部631と、折り返し部632とを設けてもよい。電界集中部631は、導波管62の給電口622からλ/4の範囲内に配置される。λは、マイクロ波の波長である。また、折り返し部632は、アンテナ63Aに切り込みを入れ、折り返して形成される。これにより、アンテナ63Aの指向性が強くなり、加熱ムラの改善が期待できる。
【0036】
また、変形例3のスペーサ7Aは、例えばアルミなどの金属で構成される。これにより、スペーサ7Aをモノポール形状のアンテナとして用いることができ、電波の指向性が強くなり、被加熱物を局所的に加熱することができる。なお、スペーサ7Aを金属で構成した場合は、背面板502との間に隙間を設けることが望ましい。また、変形例3のスペーサ7Aをセラミックで構成してもよいし、実施の形態1のスペーサ7を金属で構成してもよい。
【0037】
また、上記実施の形態において、アンテナ63は、加熱庫5の背壁を構成する背面板502の外面と対向するように配置され、スペーサ7が背面板502の外面と接触または対向する構成としたが、これに限定するものではない。例えば、アンテナ63を加熱庫5の側壁501と対向するように配置し、スペーサ7を側壁501の外面と接触または対向するよう配置してもよい。
【0038】
また、上記実施の形態において、スペーサ7をアンテナシャフト67に挿入する構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、背面板502側にスペーサ7を設けてもよい。具体的には、背面板502の一部を突出させてスペーサ7としてもよい。
【0039】
さらに、加熱調理器100は、ビルトイン型に限定されるものではなく、据置型または可搬型であってもよい。また、加熱調理器100は、上部ユニット1を備えず、加熱庫5を備える下部ユニット2のみであってもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 上部ユニット、2 下部ユニット、3 加熱コイル、4 排気口、5 加熱庫、7、7A スペーサ、10 上部ケース、11 トッププレート、12 操作表示部、20 下部ケース、30 加熱口、31 第1回路基板、51 前面扉、52 取っ手、53 開閉検知部、61 マグネトロン、62 導波管、63、63A アンテナ、64 モータ、65 第2回路基板、66 アンテナ室、67 アンテナシャフト、68 モータシャフト、70 端部、100 加熱調理器、501 側壁、502 背面板、621 取付口、622 給電口、631 電界集中部、632 折り返し部、671 第1凹部、672 第2凹部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9