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特許7313327微小電気機械システム(MEMS)導波デバイスを作製する方法及び微小電気機械システム(MEMS)導波デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-13
(45)【発行日】2023-07-24
(54)【発明の名称】微小電気機械システム(MEMS)導波デバイスを作製する方法及び微小電気機械システム(MEMS)導波デバイス
(51)【国際特許分類】
   H03H 3/007 20060101AFI20230714BHJP
   H03H 3/10 20060101ALI20230714BHJP
   H03H 9/145 20060101ALI20230714BHJP
   H03H 9/24 20060101ALI20230714BHJP
   H03H 9/25 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
H03H3/007
H03H3/10
H03H9/145 C
H03H9/24 Z
H03H9/25 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020195259
(22)【出願日】2020-11-25
(62)【分割の表示】P 2017551574の分割
【原出願日】2015-12-17
(65)【公開番号】P2021044835
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2020-12-14
(31)【優先権主張番号】62/093,184
(32)【優先日】2014-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/093,753
(32)【優先日】2014-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517216431
【氏名又は名称】コルボ ユーエス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】バタチャルジー クシャール
【審査官】志津木 康
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/004741(WO,A1)
【文献】特開平05-304436(JP,A)
【文献】特開2005-223610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H3/007-H03H3/10
H03H9/00-H03H9/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微小電気機械システム(MEMS)導波デバイスを作製する方法であって、
第1の厚さ領域及び第2の厚さ領域を画定するため、単結晶圧電材料層を局所的に薄化することであって、前記第1の厚さ領域の厚さは前記第2の厚さ領域の厚さと異なる、前記薄化すること、
結合界面を設けるため、前記局所的に薄化した単結晶圧電材料層を下地層上にまたは前記下地層を覆って結合させること、
前記第1の厚さ領域上にまたは前記第1の厚さ領域に隣接して配置され、前記第1の厚さ領域内で波長λ1を有するメインモード横音響波の変換のために構成される第1の複数の電極を画定すること、及び、
前記第2の厚さ領域上にまたは前記第2の厚さ領域に隣接して配置され、前記第2の厚さ領域内で波長λ2を有するメインモード横音響波の変換のために構成される第2の複数の電極を画定することを含む、微小電気機械システム(MEMS)導波デバイスを作製する方法。
【請求項2】
前記局所的に薄化した単結晶圧電材料層を前記下地層上にまたは前記下地層を覆って結合させる前に、前記単結晶圧電材料層の少なくとも1つの表面を平坦化することを更に含む、請求項1に記載の微小電気機械システム(MEMS)導波デバイスを作製する方法。
【請求項3】
温度補償材料を、前記第1の厚さ領域または前記第2の厚さ領域の少なくとも一方の表面上に堆積させることを更に含む、請求項1または2に記載の微小電気機械システム(MEMS)導波デバイスを作製する方法。
【請求項4】
前記温度補償材料は、前記第1の厚さ領域に近接して第1の温度補償層厚を含み、また、前記第2の厚さ領域に近接して第2の温度補償層厚を含み、前記第2の温度補償層厚は前記第1の温度補償層厚とは異なる、請求項3に記載の微小電気機械システム(MEMS)導波デバイスを作製する方法。
【請求項5】
前記第1の複数の電極は前記第2の複数の電極に関して実質的に共面的である、請求項1から4のいずれか一項に記載の微小電気機械システム(MEMS)導波デバイスを作製する方法。
【請求項6】
前記第1の複数の電極は前記第2の複数の電極に関して非共面的である、請求項1から4のいずれか一項に記載の微小電気機械システム(MEMS)導波デバイスを作製する方法。
【請求項7】
前記下地層は、高速波伝搬層、ブラッグミラー、または基板の少なくとも1つを備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の微小電気機械システム(MEMS)導波デバイスを作製する方法。
【請求項8】
前記第1の複数の電極は第1のインターデジタル変換器を備え、前記第2の複数の電極は第2のインターデジタル変換器を画定する、請求項1から7のいずれか一項に記載の微小電気機械システム(MEMS)導波デバイスを作製する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2014年12月17日に出願された米国仮特許出願第62/093,184号及び2014年12月18日に出願された米国仮特許出願第62/093,753号に対する優先権を主張する。先の出願の全体の内容は、本明細書で完全に述べられるかのうように参照により組込まれる。
【0002】
本開示は、圧電層内で音響波伝搬を利用する電気機械式コンポーネントに関し、特に、改良型板波構造及びこうした構造を作るための方法に関する。こうした構造は、例えば、無線周波数伝送回路、センサシステム、信号処理システム、及び同様なものにおいて使用されてもよい。
【背景技術】
【0003】
微小電気機械システム(MEMS:Micro-electrical-mechanical system)デバイスは、種々のタイプで出現し、広い範囲のアプリケーションにわたって利用される。無線周波数(RF:radio frequency)回路要素等のアプリケーションで使用される場合がある1つのタイプのMEMSデバイスは、MEMS振動デバイス(共振器としても知られる)である。MEMS共振器は、一般に、圧電層がその中で1つまたは複数の伝導層に接触状態である振動体を含む。圧電材料は、圧縮されると、捻じられると、または歪まされると、電荷を採取する。この特性は、電気的及び機械的発振または振動の間に変換器効果を提供する。MEMS共振器において、音響波は、交流電気信号の存在下で、圧電層内で励起される場合がある、または、圧電材料内での弾性波の伝搬は、電気信号の発生をもたらす場合がある。圧電層の電気的特性の変化は、MEMS共振器デバイスに接続される回路要素によって利用されて、1つまたは複数の機能を実施する場合がある。
【0004】
導波共振器は、音響波が、圧電層内に等、或る構造の一部内に閉じ込められるMEMS共振器デバイスを含む。閉じ込めは、固体/空気界面における反射によって、または、音響波を反射することが可能な音響ミラー(例えば、ブラッグミラーと呼ばれる層の積重体)によって提供されてもよい。こうした閉じ込めは、基板または他のキャリア構造内での音響放射の消散を大幅に減少させるまたは回避する場合がある。
【0005】
横励起のためにインターデジタル変換器(IDT:interdigital transduser)電極及び周期分極反転変換器(PPT:periodically poled transducer)(PPT)を組込むデバイスを含む、種々のタイプのMEMS共振器デバイスが知られている。こうしたデバイスの例は、RF Micro Device(米国ノースカロライナ州グリーンズボロー所在(Greensboro,NC,USA))に譲渡された、米国特許第7,586,239号、米国特許第7,898,158号、及び米国特許第8,035,280号において開示され、先の特許の内容は、参照により本明細書に組込まれる。これらのタイプのデバイスは、フィルムバルク音響共振器(FBAR:film bulk acoustic resonator)と構造的に類似する。こうしたデバイス(特に、IDTタイプデバイスを含む)は、構造内の熱伝導が不十分であるため、指抵抗及び電力ハンドリングの制限を受ける。更に、IDTタイプまたはPPTタイプの膜デバイスは、真空に近い環境による、密封パッケージング等の厳格なカプセル化を要求する場合がある。
【0006】
Reinhardt等に対する米国特許出願公開第2010-0327995 A1号(「Reinhardt」)に述べるような、板波(ラム波としても知られている)共振
器デバイスが同様に知られている。表面音響波(SAW:surface acoustic wave)デバイスと比較して、板波共振器は、シリコンまたは他の基板の上に作製されてもよく、また、無線周波数回路内により容易に集積されてもよい。Reinhardtは、マルチ周波数板波タイプ共振器デバイスを開示し、そのデバイスは、シリコン基板、ブラッグミラーを構成する堆積済み層(例えば、SiOC、SiN、SiO、及びMo)の積重体、堆積済みAIN圧電層、及びSiNパッシベーション層を含む。Reinhardtによれば、少なくとも1つの共振器は、決定される有用な帯域幅を有するために、共振器のカップリング係数を修正するために配置された識別層を含む。Reinhardtの教示の1つの制限は、非常に異なる格子構造を有する下地材料を覆うAIN圧電材料の(例えば、エピタキシによる)堆積が、一般に単結晶材料の形成を排除し、代わりに、完全配向から或る程度逸脱した低品質材料が、通常生成されることである。更なる制限は、Reinhardtのアプローチが、単一基板上で広く異なる(例えば、オクターブの差の)周波数の共振器を生成することが可能であるように見えないことである。更に、少なくとも或る状況において、層厚の一貫して高い再現性を有するブラッグミラーを生成することが困難である場合がある。
【0007】
したがって、効率的に製造される可能性がある導波デバイスについての必要性が存在する。望ましいデバイスは、膜タイプデバイスに関連する、熱伝導及び厳格なパッケージングの懸念に対処するであろう。高品質圧電材料を組込んでもよいデバイスを提供する更なる必要性が存在する。単一基板上で広く異なる周波数の生成を可能にしてもよいデバイスについてのなお更なる必要性が存在する。
【発明の概要】
【0008】
本開示は、単結晶圧電層及び単結晶圧電層内に横励起波を閉じ込めるように構成される少なくとも1つの導波閉じ込め構造を利用する微小電気機械システム(MEMS)導波デバイスを提供する。1つまたは複数の導波閉じ込め構造が提供されてもよい。1つの導波閉じ込め構造は、高速波伝搬材料を含んでもよい。代替的に、1つの導波閉じ込め構造は、低速波伝搬層または温度補償層によって単結晶圧電層から分離されるブラッグミラーを含んでもよい。いずれの事例においても、別の導波閉じ込め構造は、高速波伝搬材料またはブラッグミラーを含んでもよい。単結晶圧電材料(例えば、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、及び同様なもの)は、事前作製とそれに続く結合界面を形成するための導波デバイスの下地層への結合によって等で、こうしたデバイスに組込まれてもよい。単結晶圧電層内にまたはその上に配置される複数の電極は、横音響波の変換のために構成される。
【0009】
導波閉じ込めを提供するため高速波伝搬材料を組込む実施形態は、或る状況においてブラッグミラーの生成と比較して作製の容易さから利益を受ける場合がある。少なくとも1つのブラッグミラーが、或る実施形態において使用される場合がある、例えば、波反射パラメータを調節するために有用である場合がある、また同様に、超高速音響波を閉じ込める状況において有用である場合がある。或る実施形態は、圧電材料の1つの(例えば、第1の)表面上にまたはそれに隣接して高速波伝搬材料を組込み、圧電材料の別の(例えば、第2の)表面に隣接してブラッグミラーを組込む。
【0010】
本明細書で開示される種々の電極構成を組込む導波デバイスは、単層共面インターデジタル変換器(IDT)だけ、複数層共面IDTだけ、連続層電極(例えば、非対称波の発射を可能にする浮遊電極または短絡電極として使用可能である)と組合せたIDT、圧電層内に少なくとも部分的に埋め込まれるIDT、非共面IDT、単結晶圧電層区分に位置合せされるIDT、及び周期分極反転変換器(PPT)を含むが、それに限定されない。或る実施形態において、電極は、(i)圧電材料、または、(ii)低速波伝搬材料及び/または温度補償材料内に部分的に埋め込まれてもよい、及び/または、種々の電極間の
ギャップは、(i)圧電材料、または、(ii)低速波伝搬材料及び/または温度補償材料を、全体的にまたは部分的に充填されてもよい。IDTによって変換される音響波の波長λは、逆極性の隣接電極(指)間のピッチまたは分離距離の2倍に等しく、波長λは、同様に、同じ極性の最も近い電極(指)間の分離距離に等しい。
【0011】
或る実施形態において、MEMS導波デバイスは、片面閉じ込めを使用し、片面閉じ込めにおいて、少なくとも1つの閉じ込め構造が単結晶圧電層の第1の表面に隣接して設けられ、固体/空気界面が単結晶圧電層の第2の対向表面に隣接して設けられる。他の実施形態において、MEMS導波デバイスは、両面閉じ込めを使用し、両面閉じ込めにおいて、第1及び第2の閉じ込め構造が、単結晶圧電層の、それぞれ第1及び第2の対向表面に隣接して設けられる。
【0012】
一態様において、MEMS導波デバイスは、単結晶圧電層内にまたは単結晶圧電層上に配置され、単結晶圧電層内での横音響波の変換のために構成される複数の電極を含む。単結晶圧電層に近接して配置される少なくとも1つの導波閉じ込め構造(は、単結晶圧電層内に波長λを有する横励起波を閉じ込める。少なくとも1つの導波閉じ込め構造は、高速波伝搬層を含み、各導波閉じ込め構造は、5λより小さい厚さを備える。或る実施形態において、結合界面が、単結晶圧電層とデバイスの少なくとも1つの下地層(導波閉じ込め構造、任意選択で設けられる低速波伝搬層、または基板等)との間に設けられる。
【0013】
或る実施形態において、単結晶圧電層は、第1の表面及び第1の表面に対向する第2の表面を含み、少なくとも1つの導波閉じ込め構造は、第1の表面に近接する第1の導波閉じ込め構造を含み、また、第2の表面に近接する第2の導波閉じ込め構造を含む。或る実施形態において、第1の導波閉じ込め構造は第1の高速波伝搬層を備え、第2の導波閉じ込め構造はブラッグミラーまたは第2の高速波伝搬層を含む。或る実施形態において、少なくとも1つの低速波伝搬層は、少なくとも1つの導波閉じ込め構造と単結晶圧電層との間に設けられてもよい。或る実施形態において、第1及び第2の低速波伝搬層が設けられてもよく、第1の低速波伝搬層は圧電層の第1の表面と第1の導波閉じ込め構造との間に配置され、第2の低速波伝搬層は圧電層の第2の表面と第2の導波閉じ込め構造との間に配置される。或る実施形態において、少なくとも1つの(またはそれぞれの)低速波伝搬層は、少なくとも1つの導波閉じ込め構造の各層の厚さと異なる厚さを含む。或る実施形態において、複数の電極は、少なくとも1つの低速波伝搬層内にかつ単結晶圧電層と接触状態で配置される。或る実施形態において、第1のIDTは、第1の極性の第1の電極の群及び第1の極性と反対の第2の極性の第2の電極の群を含む。或る実施形態において第2の電極の群は、圧電層内の複数のリセス領域内に配置され、第1の電極の群に関して非共面的に配置されてもよい。或る実施形態において、少なくとも1つの機能層は少なくとも幾つかの電極を少なくとも部分的に覆うように配置されてもよい。或る実施形態において、第1のインターデジタル変換器(IDT)は、圧電層の第1の表面上にまたは第1の表面内に配置され(例えば、少なくとも部分的に埋め込まれる)、任意選択で、圧電層の第2の表面上にまたは第2の表面内に配置される第2のIDTと組合せて、配置される。或る実施形態において、複数の電極及び圧電層は、結合して、周期分極反転変換器(PPT:periodically poled transducer)を具現化し、少なくとも1つの低速波伝搬層は、PPTと少なくとも1つの導波閉じ込め構造との間に設けられる。
【0014】
別の態様において、MEMS導波デバイスは、単結晶圧電層内にまたは単結晶圧電層上に配置され、単結晶圧電層内で横音響波の変換のために構成される複数の電極を含む。少なくとも1つの導波閉じ込め構造は、圧電層に近接してブラッグミラーを含み、ブラッグミラーは、単結晶圧電層内において、横励起波を閉じ込めるように構成される。また、ブラッグミラーは、低速波伝搬層によって単結晶圧電層から分離される。或る実施形態にお
いて、ブラッグミラーは、少なくとも1つの低インピーダンス層及び少なくとも1つの高インピーダンス層の少なくとも1つの群を含み、少なくとも1つの低インピーダンス層は、少なくとも1つの群内で少なくとも1つの高インピーダンス層とシーケンシャルに配置される。或る実施形態において、単結晶圧電層内の横励起波は波長λを有し、少なくとも1つの導波閉じ込め構造の各導波閉じ込め構造は5λの厚さを含む。或る実施形態において、結合界面は、単結晶圧電層とデバイスの少なくとも1つの下地層(導波閉じ込め構造、任意選択で設けられる低速波伝搬層、または基板等)との間に設けられる。
【0015】
或る実施形態において、単結晶圧電層は、第1の表面及び第1の表面に対向する第2の表面を含み、少なくとも1つの導波閉じ込め構造は、第1の表面に近接する第1の導波閉じ込め構造を含み、また、第2の表面に近接する第2の導波閉じ込め構造を含む。或る実施形態において、第1の導波閉じ込め構造は第1のブラッグミラーを含み、第2の導波閉じ込め構造は、高速波伝搬層または第2のブラッグミラーを含む。或る実施形態において、第1及び第2の低速波伝搬層が設けられ、第1の低速波伝搬層は圧電層の第1の表面と第1の導波閉じ込め構造との間に配置され、第2の低速波伝搬層は圧電層の第2の表面と第2の導波閉じ込め構造との間に配置される。或る実施形態において、少なくとも1つの(またはそれぞれの)低速波伝搬層は、少なくとも1つの導波閉じ込め構造の各層の厚さと異なる厚さを含む。或る実施形態において、複数の電極は、少なくとも1つの低速波伝搬層内にかつ単結晶圧電層と接触状態で配置される。或る実施形態において、第1のIDTは、第1の極性の第1の電極の群及び第1の極性と反対の第2の極性の第2の電極の群を含む。或る実施形態において、第2の電極の群は、第1の電極の群に関して非共面的に配置される圧電層内の複数のリセス領域内に配置されてもよい。或る実施形態において、少なくとも1つの機能層は、少なくとも幾つかの電極を少なくとも部分的に覆うように配置されてもよい。或る実施形態において、第1のインターデジタル変換器(IDT)は、圧電層の第1の表面上にまたは第1の表面内に配置され(例えば、少なくとも部分的に埋め込まれる)、任意選択で、圧電層の第2の表面上にまたは第2の表面内に配置される第2のIDTと組合せて配置される。或る実施形態において、複数の電極及び圧電層は、結合して、周期分極反転変換器(PPT)を具現化し、少なくとも1つの低速波伝搬層は、PPTと少なくとも1つの導波閉じ込め構造との間に設けられる。
【0016】
別の態様において、MEMS導波デバイスは、単結晶圧電層内にまたは単結晶圧電層上に配置され、単結晶圧電層内での横音響波の変換のために構成される複数の電極を含む。単結晶圧電層に近接して配置される少なくとも1つの導波閉じ込め構造は、単結晶圧電層内に波長λを有する横励起波を閉じ込め、各導波閉じ込め構造は、5λより小さい厚さを備える。導波デバイスは、以下の特徴(i)及び(ii)の少なくとも一方を含む。すなわち、(i)少なくとも1つの導波閉じ込め構造は高速波伝搬層を含む、または(ii)少なくとも1つの導波閉じ込め構造はブラッグミラーを含み、ブラッグミラーは低速波伝搬層によって単結晶圧電層から分離される。或る実施形態において、導波デバイスは、電極と少なくとも1つの(またはそれぞれの)導波閉じ込め構造との接触がない。或る実施形態において、導波閉じ込め構造と単結晶圧電層との間の間隔は、少なくとも1つの低速波伝搬層及び/または温度補償層(適切な事例において、両方のユーティリティは、任意選択で、単一材料によって提供されてもよい)によって設けられてもよく、こうした間隔を提供する層は、少なくとも1つの導波閉じ込め構造の各層の厚さと異なる厚さを具現化してもよい。結合界面は、好ましくは、単結晶圧電層と少なくとも1つの下地層(限定はしないが、(i)少なくとも1つの導波閉じ込め構造の1つの導波閉じ込め構造または(ii)単結晶圧電層と少なくとも1つの導波閉じ込め構造の1つの導波閉じ込め構造との間に配置される任意選択で設けられる低速波伝搬層)との間に配置される。
【0017】
別の態様において、MEMS導波デバイスの単結晶圧電層は、異なる第1及び第2の厚さ領域、第1の厚さ領域上にまたは第1の厚さ領域に隣接して配置され、第1の厚さ領域
内で波長λを有する第1の横音響波の変換のために構成される第1の電極の群、及び、第2の厚さ領域上にまたは第2の厚さ領域に隣接して配置され、第2の厚さ領域内で波長λを有する第2の横音響波の変換のために構成される第2の複数の電極を含み、λはλと異なる。デバイスは、第1の厚さ領域内に第1の横音響波を閉じ込めるように構成され、第2の厚さ領域内に第2の横音響波を閉じ込めるように構成される少なくとも1つの導波閉じ込め構造を更に含む。或る実施形態において、少なくとも1つの導波閉じ込め構造は、高速波伝搬材料を含む。或る実施形態において、少なくとも1つの導波閉じ込め構造は、少なくとも1つの低インピーダンス層及び少なくとも1つの高インピーダンス層の少なくとも1つの群を含むブラッグミラーを含み、少なくとも1つの低インピーダンス層は、少なくとも1つの群内で少なくとも1つの高インピーダンス層とシーケンシャルに配置される。或る実施形態において、ブラッグミラーは、温度補償層によって単結晶圧電層から分離される。
【0018】
或る実施形態において、第1及び第2の電極の群は、第1及び第2のIDTを含む、及び/または、第1及び第2の電極の群は、互いに対して非共面的である。或る実施形態において、少なくとも1つの温度補償層は、少なくとも1つの導波閉じ込め構造と単結晶圧電層の少なくとも一部分との間に設けられる。任意選択で、温度補償層は、圧電層の第1の厚さ領域に近接して第1の温度補償層厚を含んでもよく、また、圧電層の第2の厚さ領域に近接して第2の温度補償層厚を含んでもよい。或る実施形態において、温度補償層は同様に、低速波伝搬材料を具現化してもよい。
【0019】
或る実施形態において、本明細書で開示されるMEMS導波デバイスは、単結晶圧電層内に閉じ込められる横励起波の波長λラムダの5倍より大きい厚さを備えるキャリア基板を更に含み、少なくとも1つの導波閉じ込め構造は、キャリア基板と圧電層との間に配置される。或る実施形態において、MEMS導波デバイスは、キャリア基板に強固に実装される、または、MEMS導波デバイスの所定の部分は、キャリア基板の上に懸垂保持され、介在キャビティによって分離されてよい。他の実施形態において、本明細書で開示されるMEMS導波デバイスは、キャリア基板がない。
【0020】
別の態様において、MEMS導波デバイスは、区分化単結晶圧電層を含み、複数の電極は、区分化単結晶圧電層内にまたは区分化単結晶圧電層上に配置され、圧電層内で波長λを有する横音響波の変換のために構成され、複数の電極は、第1の電極の区分化層を含む。少なくとも1つの導波閉じ込め構造(好ましくは、5λより小さい厚さを有する)は、区分化圧電層に近接して配置され、区分化圧電層内に横励起波を閉じ込めるように構成される。また、区分化単結晶圧電層の区分は、第1の電極の区分化層の区分に実質的に位置合せされる(例えば、オーバラップされる)。或る実施形態において、第2の電極(例えば、実質的に連続な層、あるいは、不連続なまたは区分化された層を含む)は、第1の電極の区分化層と接触状態の圧電層の第1の表面に対向する圧電層の第2の表面に沿って等で、更に設けられる。或る実施形態において、第1及び第2の導波閉じ込め構造が設けられ、第1の電極の区分化層の区分の間のギャップ及び区分化単結晶圧電層の区分の間のギャップは低速波伝搬材料及び/または温度補償材料で充填される。或る実施形態において、低速波伝搬材料及び/または温度補償材料の層は、(i)第1の電極の区分化層と(ii)第1の導波閉じ込め構造または第2の導波閉じ込め構造の少なくとも一方との間に設けられてもよい。
【0021】
別の態様において、異なる厚さ領域を有する単結晶圧電材料層を含む微小電気機械システム(MEMS)導波デバイスを作製する方法が提供される。単結晶圧電層は、厚さが異なる第1の及び第2の厚さ領域を画定するため、局所的に薄化される。局所的に薄化された圧電層は、結合界面を設けるため、下地層(例えば、(i)高速波伝搬層、(ii)ブラッグミラー、または(iii)基板の少なくとも1つ)上にまたは下地層を覆って結合
される。こうした結合は、当技術分野で知られているウェハ結合を使用して実施されてもよい。第1及び第2の電極の群は、それぞれ、第1の厚さ領域内で第1の波長λを有する第1の横音響波の変換のため、また、第2の厚さ領域内で第2の波長λを有する第2の横音響波の変換のために、それぞれ、第1の厚さ領域及び第2の厚さ領域上にまたはその上に画定される。或る実施形態において、圧電材料層の少なくとも1つの表面は、(例えば、結合準備ステップとして)結合する前に平坦化される、及び/または、(圧電層の厚さを調整するため)結合した後に平坦化される。或る実施形態において、温度補償材料は、圧電層の下に設けられてもよく、温度補償材料は、任意選択で、互いに異なる、第1の温度補償層厚さ領域及び第1の温度補償層厚さ領域を含む。或る実施形態において、温度補償材料は、第1の厚さ領域または第2の厚さ領域の少なくとも一方の表面上にまたはそれを覆って堆積される。
【0022】
別の態様において、先の態様、及び/または、本明細書で述べる種々の別個の態様及び特徴の任意のものは、更なる利点のために組合されてもよい。本明細書で開示される種々の特徴及び要素の任意のものは、本明細書でそれと反対の指示がない限り、1つまたは複数の他の開示される特徴及び要素と組合されてもよい。
【0023】
当業者は、本発明の範囲を理解し、添付図面に関連して以下の詳細な説明を読んだ後、それの更なる態様を認識するであろう。
【0024】
本明細書に組込まれかつ本明細書の一部を形成する添付図面は、本発明の幾つかの態様を示し、説明と共に、本発明の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本開示の一実施形態による、圧電層、オプションの低速波伝搬層、及び導波閉じ込め構造を覆って配置される、IDT及び2つの反射器格子を含むMEMS導波デバイスの斜視図である。
図2】本開示の一実施形態による、アンカーの間で懸垂保持される圧電層及び導波閉じ込め構造の所定の部分を覆って配置されるIDTを含むMEMS導波デバイスの斜視図である。
図3】本開示の一実施形態による、アンカーの間の狭い機械式支持体によって懸垂保持される圧電層及び導波閉じ込め構造の所定の部分を覆って配置されるIDTを含むMEMS導波デバイスの斜視図である。
図4】本開示の一実施形態による、圧電層、低速波伝搬層、片面導波閉じ込め構造として役立つ高速波伝搬層、及びキャリア基板を覆って配置されるIDTの形態の上面側電極を含むMEMS導波デバイスの側断面図である。
図5】本開示の一実施形態による、圧電層、低速波伝搬層、片面導波閉じ込め構造として役立つブラッグミラー、及びキャリア基板を覆って配置されるIDTの形態の上面側電極を含むMEMS導波デバイスの側断面図である。
図6】本開示の一実施形態による、低速波伝搬層が電極と圧電層を挟み、両面導波閉じ込めが第1及び第2の高速波伝搬層によって提供される状態の、圧電層の片面だけの上に配置されるIDTの形態の電極を含むMEMS導波デバイスの側断面図である。
図7】本開示の一実施形態による、低速波伝搬層が電極と圧電層を挟み、両面導波閉じ込めが第1及び第2のブラッグミラーによって提供される状態の、圧電層の片面上に配置されるIDTの形態の電極を含むMEMS導波デバイスの側断面図である。
図8】本開示の一実施形態による、低速波伝搬層が電極と圧電層を挟み、両面導波閉じ込めが第1及び第2の高速波伝搬層によって提供される状態の、圧電層の第1及び第2の面上にそれぞれ配置される第1及び第2のIDTの形態の電極を含むMEMS導波デバイスの側断面図である。
図9】本開示の一実施形態による、低速波伝搬層が電極と圧電層を挟み、両面導波閉じ込めが第1及び第2のブラッグミラーによって提供される状態の、圧電層の第1及び第2の面上にそれぞれ配置される第1及び第2のIDTの形態の電極を含むMEMS導波デバイスの側断面図である。
図10】本開示の一実施形態による、低速波伝搬層を有し、片面導波閉じ込めが高速波伝搬層によって提供される状態の、圧電層の片面だけの上に配置されるIDTの形態の電極を含むMEMS導波デバイスの側断面図である。
図11】本開示の一実施形態による、低速波伝搬層を有し、片面導波閉じ込めがブラッグミラーによって提供される状態の、圧電層の片面だけの上に配置されるIDTの形態の電極を含むMEMS導波デバイスの側断面図である。
図12】本開示の一実施形態による、低速波伝搬層が電極と圧電層を挟み、両面導波閉じ込めが第1及び第2の高速波伝搬層によって提供される状態の、圧電層の全体の厚さ内に埋め込まれかつそこを通して延在するIDTの形態の電極を含むMEMS導波デバイスの側断面図である。
図13】本開示の一実施形態による、低速波伝搬層が電極と圧電層を挟み、両面導波閉じ込めが第1及び第2のブラッグミラーによって提供される状態の、圧電層の全体の厚さ内に埋め込まれかつそこを通して延在するIDTの形態の電極を含むMEMS導波デバイスの側断面図である。
図14】本開示の一実施形態による、低速波伝搬層が電極及び圧電層に接触し、片面導波閉じ込めが高速波伝搬層によって提供される状態の、圧電層の単一面内に埋め込まれるIDTの形態の電極を含むMEMS導波デバイスの側断面図である。
図15】本開示の一実施形態による、低速波伝搬層が電極及び圧電層に接触し、片面導波閉じ込めがブラッグミラーによって提供される状態の、圧電層の単一面内に埋め込まれるIDTの形態の電極を含むMEMS導波デバイスの側断面図である。
図16】本開示の一実施形態による、交互極性領域を有する圧電層を挟む電極層を有する周期分極反転変換器(PPT)を含み、また、低速波伝搬層、片面導波閉じ込め構造として役立つ高速波伝搬層、及びキャリア基板を更に含むMEMS導波デバイスの側断面図である。
図17】本開示の一実施形態による、交互極性領域を有する圧電層を挟む電極層を有するPPTを含み、また、低速波伝搬層、片面導波閉じ込め構造として役立つブラッグミラー、及びキャリア基板を更に含むMEMS導波デバイスの側断面図である。
図18】本開示の一実施形態による、交互極性領域を有する圧電層を挟む電極層を有するPPTを含み、また、PPTを挟む低速波伝搬層、両面導波閉じ込め構造として役立つ第1及び第2の高速波伝搬層、及びキャリア基板を更に含むMEMS導波デバイスの側断面図である。
図19】本開示の一実施形態による、交互極性領域を有する圧電層を挟む電極層を有するPPTを含み、また、PPTを挟む低速波伝搬層、両面導波閉じ込め構造として役立つ第1及び第2のブラッグミラー、及びキャリア基板を更に含むMEMS導波デバイスの側断面図である。
図20】本開示の一実施形態による、連続電極と、区分化圧電層に位置合せされた区分化電極との間に配置される、区分化圧電層を含むMEMS導波デバイスであって、低速波伝搬層、片面導波閉じ込め構造として役立つ高速波伝搬層、及びキャリア基板を含む、MEMS導波デバイスの側断面図である。
図21】本開示の一実施形態による、連続電極と、区分化圧電層に位置合せされた区分化電極との間に配置される、区分化圧電層を含むMEMS導波デバイスであって、低速波伝搬層を含み、片面導波閉じ込め構造として役立つブラッグミラーを含み、キャリア基板を含む、MEMS導波デバイスの側断面図である。
図22】本開示の一実施形態による、連続電極と、区分化圧電層に位置合せされた区分化電極との間に配置される、区分化圧電層を含むMEMS導波デバイスであって、(i)区分化圧電層と区分化電極との間にあり、(ii)電極を挟む低速波伝搬材料を含み、両面導波閉じ込め構造として役立つ高速波伝搬層を含み、キャリア基板を含む、MEMS導波デバイスの側断面図である。
図23】本開示の一実施形態による、連続電極と、区分化圧電層に位置合せされた区分化電極との間に配置される、区分化圧電層を含むMEMS導波デバイスであって、(i)区分化圧電層と区分化電極との間にあり、(ii)電極を挟む低速波伝搬材料を含み、両面導波閉じ込め構造として役立つブラッグミラーを含み、キャリア基板を含む、MEMS導波デバイスの側断面図である。
図24】本開示の一実施形態による、低速波伝搬層が電極と圧電層を挟む状態で、両面導波閉じ込めが圧電層の下に配置される高速波伝搬層及び圧電層の上に配置されるブラッグミラーによって提供される状態で、そしてキャリア基板を有する、圧電層の全体の厚さ内に埋め込まれかつそこを通して延在するIDTの形態の電極を含むMEMS導波デバイスの側断面図である。
図25】本開示の一実施形態による、低速波伝搬層が電極と圧電層を挟む状態で、両面導波閉じ込めが圧電層の下に配置されるブラッグミラー及び圧電層の上に配置される高速波伝搬層によって提供される状態で、そしてキャリア基板を有する、圧電層の全体の厚さ内に埋め込まれかつそこを通して延在するIDTの形態の電極を含むMEMS導波デバイスの側断面図である。
図26】本開示の一実施形態による、或る電極が圧電層内に画定されるリセス内に堆積され他の電極が圧電層の上に堆積された状態のIDTの形態の電極を含むMEMS導波デバイスであって、低速波伝搬層、高速波伝搬層によって提供される片面導波閉じ込め、及びキャリア基板を更に含む、MEMS導波デバイスの側断面図である。
図27】本開示の一実施形態による、或る電極が圧電層内に画定されるリセス内に堆積され他の電極が圧電層の上に堆積された状態のIDTの形態の電極を含むMEMS導波デバイスであって、低速波伝搬層、ブラッグミラーによって提供される片面導波閉じ込め、及びキャリア基板を更に含む、MEMS導波デバイスの側断面図である。
図28】本開示の一実施形態による、低速波伝搬層が電極と圧電層を挟む状態で、両面導波閉じ込めが低速波伝搬層の上及び下に配置される高速波伝搬層によって提供される状態で、そしてキャリア基板を有する、或る電極が圧電層内に画定されるリセス内に堆積され、他の電極が圧電層の上に堆積された状態のIDTの形態の電極を含むMEMS導波デバイスの側断面図である。
図29】本開示の一実施形態による、低速波伝搬層が電極と圧電層を挟む状態で、両面導波閉じ込めが低速波伝搬層の上及び下に配置されるブラッグミラーによって提供される状態で、そしてキャリア基板を有する、或る電極が圧電層内に画定されるリセス内に堆積され他の電極が圧電層の上に堆積された状態のIDTの形態の電極を含むMEMS導波デバイスの側断面図である。
図30】本開示の一実施形態による、第1及び第2の厚さ領域を画定するため圧電層を局所的に薄化することであって、薄い領域は温度補償材料で充填される、局所的に薄化することに続き、かつ、高速波伝搬層及びキャリア基板を覆って配置される温度補償層を含むサブアセンブリに圧電層をウェハ結合する前の、作製中のMEMS導波デバイスのサブアセンブリの側断面図である。
図31】本開示の一実施形態による、ウェハ結合、圧電層の外側表面の平坦化/薄化、及び、圧電層の、それぞれ、第1及び第2の厚さ領域を覆う実質的に共面の第1及び第2の電極の群の堆積に続く、図30に示すサブアセンブリによって生成されるMEMS導波デバイスの側断面図である。
図32】本開示の一実施形態による、第1及び第2の厚さ領域を画定するため圧電層を局所的に薄化することであって、薄い領域は温度補償材料で充填される、局所的に薄化することに続き、かつ、ブラッグミラー及びキャリア基板を覆って配置される温度補償層を含むサブアセンブリに圧電層をウェハ結合する前の、作製中のMEMS導波デバイスのサブアセンブリの側断面図である。
図33】本開示の一実施形態による、ウェハ結合、圧電層の外側表面の平坦化/薄化、及び、圧電層の、それぞれ、第1及び第2の厚さ領域を覆う実質的に共面の第1及び第2の電極の群の堆積に続く、図32に示すサブアセンブリによって生成されるMEMS導波デバイスの側断面図である。
図34】本開示の一実施形態による、圧電層であって、第1及び第2の温度補償層厚を有する温度補償層を覆って配置され、第1及び第2の温度補償層厚はそれぞれ圧電層の第1及び第2の厚さ領域の下にあり、温度補償層は第1及び第2の高速波伝搬層厚を有する高速波伝搬層を覆って配置され、第1及び第2の高速波伝搬層厚は、第1及び第2の温度補償層厚さ領域の下にあり、導波閉じ込めユーティリティを提供し、高速波伝搬層はキャリア基板を覆って配置される、圧電層の、それぞれ、第1及び第2の厚さ領域を覆って配置される実質的に共面の第1及び第2の電極の群を含むMEMS導波デバイスの側断面図である。
図35】本開示の一実施形態による、圧電層であって、温度補償層、片面導波閉じ込めユーティリティを提供する高速波伝搬層、及びキャリア基板を覆って配置される、圧電層の、それぞれ第1及び第2の厚さ領域を境界付ける、非共面の上側表面を覆って配置される非共面の第1及び第2の電極の群を含むMEMS導波デバイスの側断面図である。
図36】本開示の一実施形態による、圧電層であって、温度補償層、片面導波閉じ込めユーティリティを提供するブラッグミラー、及びキャリア基板を覆って配置される、圧電層の、それぞれ第1及び第2の厚さ領域を境界付ける、非共面の上側表面を覆って配置される非共面の第1及び第2の電極の群を含むMEMS導波デバイスの側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下で述べる実施形態は、当業者が本発明を実施することを可能にし、本発明を実施する最良のモードを示すために必要な情報を示す。添付図面の図を考慮して以下の説明を読むと、当業者は、本発明の概念を理解することになり、また、本明細書で特に述べられていないこれらの概念の適用形態を認識することになる。これらの概念及び適用形態が本開示及び添付特許請求項の範囲内に入ることを理解されたい。
【0027】
用語、第1、第2等が、種々の要素を述べるために本明細書で使用される場合があるが、これらの要素がこれらの用語によって制限されるべきでないことが理解されるであろう。これらの用語は、1つの要素を別の要素と区別するために使用されるだけである。例えば、本開示の範囲から逸脱することなく、第1の要素は第2の要素と呼ばれる可能性があり、同様に、第2の要素は第1の要素と呼ばれる可能性がある。本明細書で使用するとき、用語「and/or(及び/または)」は、関連する挙げるアイテムの1つまたは複数の任意のまたは全ての組合せを含む。
【0028】
「below」または「above」または「upper」または「lower」または「horizontal」または「vertical」等の相対的用語が、本明細書で使用されて、図に示すように、1つの要素、層、または領域の別の要素、層、または領域に対する関係を述べてもよい。これらの用語及び先に論じた用語が、図に示す配向に加えてデバイスの異なる配向を包含することを意図されることが理解されるであろう。
【0029】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態だけを記述するためのものであり、本開示を制限することを意図してしない。本明細書で使用するとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数形も含むことを意図される。用語「comprises(備える)」、「comprising(備える)」、「includes(含む)」、及び/または「including(含む)」が、本明細書で使用されるとき、述べる特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/またはコンポーネントの存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、コンポーネント、及び/またはその群の存在または付加を排除しないことが更に理解されるであろう。本明細書で使用するとき、指定された層または要素に適用される用語「pro
ximate(隣接する)」及び「adjacent(隣接する)」は、他の層または要素に密接するまたはそれに近い状態を指し、本明細書で逆に指定されない限り、指定された層または要素に、他の層または要素のすぐ上にあるまたは直接接触状態にあることを必ずしも要求することなく、1つまたは複数の介在する層または要素の考えられる存在を包含する。
【0030】
別途規定されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術的用語及び科学的用語を含む)は、本開示が属する技術分野の専門家によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で使用される用語が、本明細書及び関連技術の文脈におけるその意味と一貫性のある意味を有するものと解釈されるべきであり、本明細書で明示的に規定されない限り、理想化されたまたは過度に公式的な意味で解釈されないことが更に理解されるであろう。
【0031】
本開示は、一態様において、単結晶圧電層及び単結晶圧電層内に横励起波を閉じ込めるように構成される少なくとも1つの導波閉じ込め構造(例えば、高速波伝搬層またはブラッグミラー)を利用する微小電気機械システム(MEMS)導波デバイスに関する。こうした閉じ込めは、基板または他のキャリア構造内での音響放射の消散を大幅に減少させるまたは回避する場合がある。MEMS導波デバイスは、支配的な横振動を有してよい。単結晶圧電層は、タンタル酸リチウムまたはニオブ酸リチウムを含んでよく、高精度を実現する場合がある正確なサイズ及び形状を有する振動構造を提供する場合があり、(少なくとも或る実施形態において)単一基板上で異なる共振周波数を有する複数の共振器の作製を可能にし得る。
【0032】
本明細書で述べる好ましいMEMS導波デバイスの振動構造は、単結晶圧電材料から形成され、機械的に効率的なMEMS構造を使用する。こうした振動構造は、高Q、低損失、安定、低い周波数温度係数であってよく、高い電気機械的カップリング効率を有し、高い再現性を有し、低い動インピーダンスを有する。或る実施形態において、単結晶圧電材料の非標準(例えば、オフカット)結晶配向が使用されて、低い周波数温度係数、高い電気機械的カップリング係数、または両方等の特定の振動特性を提供する場合がある。非格子整合材料を覆って単結晶圧電材料を(例えば、エピタキシによって)成長されることが極めて難しいため、好ましい実施形態において、単結晶圧電材料は、(例えば、ブールの成長とそれに続く薄いウェハの形成によって)事前作製され、(例えば、ほぼ原子レベルの平坦度を提供するための、化学機械平坦化(CMP:chemical mechanical planarization)及び研磨によって)表面仕上げされ、1つまたは複数の下地層に結合され、下地層は、例えば導波閉じ込め構造を含んでよく、導波閉じ込め構造は、任意選択で、低速波伝搬及び/または温度補償ユーティリティを提供する層によって覆われ、また、任意選択で、キャリア基板によって支持される。当技術分野で知られている任意の適したウェハ結合技法が使用される場合があり、ウェハ結合技法は、ファンデルワールス結合、水素結合、共有結合、及び/または機械的インターロッキングに依存してよい。或る実施形態において、直接結合が使用されてよい。或る実施形態において、結合は、1つまたは複数の表面活性化ステップ(例えば、プラズマ処理、化学処理、及び/または他の処理方法)とそれに続く熱及び/または圧力の印加、任意選択でそれに続く1つまたは複数のアニーリングステップを含んでよい。こうした結合は、圧電層と少なくとも1つの下地層との間に結合界面の形成をもたらす。或る実施形態において、結合界面は、圧電層の表面の少なくとも一部分(または、全体)上に配置される少なくとも1つの介在層を含んでよい。適した電極は、圧電層内での少なくとも1つの横音響波の変換のために圧電層内にまたは圧電層上に画定されてもよい。1つまたは複数の更なる層(例えば、更なる(両面)導波閉じ込めユーティリティを提供する1つまたは複数の層、及び、低速波伝搬ユーティリティを提供する1つまたは複数の層)は、圧電層を覆って更に設けられてもよい。
【0033】
或る実施形態において、(任意選択で、本明細書で論じたように、低速波伝搬及び/または温度補償ユーティリティを提供する1つまたは複数の更なる層と組合せて)単結晶圧電層、少なくとも1つの導波閉じ込め構造、及び電極を含む複合物は、キャリア基板に強固に実装される。他の実施形態において、こうした複合物の少なくとも一部分は、キャリア基板の上に、キャリア基板と複合物との間にギャップが配置された状態で懸垂保持されてもよい。好ましい実施形態によれば、圧電層のいずれの部分も、本明細書で述べる少なくとも1つの更なる層が存在しない状態で、それ自身の上に懸垂保持されない。これに関して、本開示は、膜タイプデバイスと対照的に、横波伝搬に適するプレートタイプまたは疑似プレートタイプ導波デバイスに関する。或る実施形態によれば、本明細書で述べるデバイスは、準せん断水平波、準縦波、及び/または厚み伸長(FBARタイプ)波の伝搬のために使用されてもよい。
【0034】
用語「高速波伝搬材料(fast wave propagation material)」または「高速波伝搬層(fast wave propagation layer)」は、関心の音響波が、その音響波がその中で変換される近接圧電層内よりも高速で移動する材料または層を指す。同様に、「低速波伝搬材料(slow wave propagation material)」または「低速波伝搬層(slow wave
propagation layer)」は、関心の音響波が、その音響波がその中で変換される近接圧電層内よりも低速で移動する材料または層を指す。或る実施形態に従って使用されてもよい高速波伝搬材料の例は、(限定はしないが)ダイヤモンド、サファイア、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ホウ素、及びシリコンを含む。或る実施形態に従って使用されてもよい低速波伝搬材料の例は、(限定はしないが)二酸化ケイ素を含む。
【0035】
本明細書で開示される或る実施形態は、音響ブラッグミラー(ブラッグ反射器としても知られる)を利用する。ブラッグミラーは、少なくとも1つの低インピーダンス層(例えば、二酸化ケイ素)及び少なくとも1つの高インピーダンス層(例えば、二酸化タングステンまたは二酸化ハフニウム)の少なくとも1つの群を含み、少なくとも1つの低インピーダンス層は、少なくとも1つの群内で少なくとも1つの高インピーダンス層とシーケンシャルに配置される。ブラッグミラーで使用される交互インピーダンス層の群の数は、要求される総合反射係数に依存する。
【0036】
本明細書で開示する単結晶圧電層は、好ましくは、圧電層内で変換される横音響波の波長λの2倍を超えない(より好ましくは、その波長のわずか1倍、または、その波長のわずか0.5倍)厚さを含む。本明細書で開示されるように、単結晶圧電層に近接して配置される導波閉じ込め構造は、5λより小さい(例えば、1λ~5λの範囲内の)厚さを含む。(ブラッグミラー内で、各層は、ほぼ0.25λ~0.5λのオーダの厚さを含んでもよい。)設けられる場合、任意のオプションの低速波伝搬層は、約1λまでの範囲の個々の厚さを有してもよく、また、好ましくは、約0.5λより小さいまたは約0.25λより小さくてもよい。或る実施形態において、各低速波伝搬層は、隣接する単結晶圧電層の厚さより小さい厚さを有してもよい。この好ましい導波閉じ込め構造の厚さは、或る実施形態に従って提供され得るキャリア基板と対比され、こうしたキャリア基板は、好ましくは5λ(または異なる周波数の複数の共振器が単一導波デバイス内に設けられる実施形態における最大波長の5倍)より大きい厚さを含む。しかし、本明細書で述べる任意の構造に適用可能な代替の実施形態において、高速層は、5λより大きな厚さを有してもよく、また、任意の必要なまたは所望の厚さの基板を具現化してもよい。設けられると、少なくとも1つの機能層(例えば、低速波伝搬及び/または熱補償ユーティリティを提供する)は、望ましくは、2λを超えない厚さ、及び/または、少なくとも1つの導波閉じ込め構造の各層の厚さと異なる厚さを有してもよい。
【0037】
ニオブ酸リチウム及びタンタル酸リチウムが特に好ましい圧電材料であるが、或る実施形態において、石英、圧電セラミック、または堆積される圧電材料(窒化アルミニウムまたは酸化亜鉛等)等の任意の適した圧電材料が使用されてもよい。
【0038】
本明細書で開示される導波デバイスは、図面に示し本明細書で述べるように、電極構成及び導波閉じ込め構造構成の種々の組合せを組込んでもよい。或る実施形態において、電極は、対称導波励起のために、圧電層の中心厚に対して対称に配置される(例えば、圧電層の上と下の両方に配置される、または、圧電層の上側表面と下側表面との間で等距離の平面に沿って埋め込まれる)。他の実施形態において、電極は、非対称導波励起のために、圧電層の中心厚に対して非対称に配置される。或る実施形態において、本明細書で開示されるMEMS導波デバイスは、片面閉じ込めを使用してもよく、片面閉じ込めにおいて、少なくとも1つの閉じ込め構造が単結晶圧電層の第1の表面に隣接して設けられ、固体/空気界面が単結晶圧電層の第2の対向する表面に隣接して設けられる。片面閉じ込めは、対称励起または非対称励起と組合せて使用されてもよい。他の実施形態において、本明細書で開示されるMEMS導波デバイスは、2重または両面閉じ込めを使用してもよく、2重または両面閉じ込めにおいて、第1及び第2の閉じ込め構造が、単結晶圧電層の、それぞれ第1及び第2の対向する表面に近接して設けられる。或る実施形態において、第1の導波閉じ込め構造は圧電層の第1の表面に近接し、第2の導波閉じ込め構造は圧電層の第2の表面に近接する。両面閉じ込めは、対称励起または非対称励起と組合せて使用されてもよい。或る実施形態に従って使用されてもよい電極構成は、単層共面インターデジタル変換器(IDT)だけ、複数層共面IDTだけ、圧電層の第2の表面に沿う電極(例えば、浮遊または短絡電極あるいは区分化または不連続電極)と組合せたIDT、圧電層内に少なくとも部分的に埋め込まれたIDT、非共面IDT、単結晶圧電層区分と位置合せされたIDT、及び周期分極反転変換器(PPT)を含むが、それに限定されない。或る実施形態において、電極は、(i)圧電材料、または、(ii)低速波伝搬材料及び/または温度補償材料内に部分的に埋め込まれてもよい、及び/または、種々の電極間のギャップは、(i)圧電材料、または、(ii)低速波伝搬材料及び/または温度補償材料で、全体的にまたは部分的に充填されてもよい。
【0039】
本明細書で開示される両面閉じ込めを伴う各実施形態の場合、第2の(上部の)側部閉じ込め構造を省略する代替の実施形態が特に企図される。
【0040】
圧電性になる可能性を有する材料は、ランダム配向したダイポールを有する結晶構造を有し得る。材料は、分極処理によって生成される場合がある実質的に一様なダイポール配向を有するドメインを形成するようにダイポールを実質的に整列させることによって圧電性になる。分極処理は、ダイポールを実質的に整列状態にするよう材料の領域に強い分極電界を印加することを含んでもよい。電界が除去されると、整列の多くが残り、それにより、圧電材料と呼ばれる分極材料の圧電特性を提供する。或る事例において、第1のセットのドメインは公称ドメイン配向を有し、第2のセットのドメインは反転ドメイン(例えば、公称ドメインから約180°変換された)を有してもよい。公称ドメイン及び反転ドメインは、周期分極反転圧電層内に交互に配置されてもよい。こうした層が、第1の電極層と第2の電極層との間に配置されると、結果は、周期分極反転変換器である。
【0041】
インターデジタル変換器は、表面または層内にまたはその上に交差指形に分散される第1の伝導セクション及び第2の伝導セクションを有する電極を含む。IDTは当技術分野でよく知られている。
【0042】
或る実施形態において、少なくとも1つの機能層は、複数の電極のうちの少なくとも幾つかの電極を少なくとも部分的に覆うように配置される。或る実施形態において、少なく
とも1つの機能層は、1つの電極の群を覆うが、別の電極の群を覆わない。機能層は、変換される音響波の速度を修正してもよい、及び/または、MEMS導波デバイスの温度補償特性を変更してもよい。或る実施形態において、少なくとも1つの機能層は、温度補償材料または低速波伝搬材料を含む。
【0043】
本明細書で開示される種々の実施形態は単一共振器を含むが、単一のまたは複数の共振器及び/または反射器格子の直列の及び/または並列の任意の適した組合せ(そのものは、1つまたは複数のフィルタにおいて具現化される場合がある)が、単一MEMS導波デバイス内に設けられてもよいことが認識される。或る実施形態において、異なる波長の音響波の変換のために配置される複数の共振器及び/またはフィルタが、単一MEMS導波デバイス内に設けられてもよい。
【0044】
図1は、本開示の一実施形態によるMEMS導波デバイス10を示す。デバイス10は、単結晶圧電層12(ニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウム等)を含み、IDT18及び2つの反射器格子20がその上に設けられる。単結晶圧電層12は、導波閉じ込め構造16を覆って配置され、オプションの低速波伝搬層14が単結晶圧電層12と導波閉じ込め構造16との間に配置される。示さないが、或る実施形態において、オプションのキャリア基板が、導波閉じ込め構造16の下に設けられてもよい。IDT18及び反射器格子20は共に、それぞれのバスバー22に接続される幾つかの指24を含む。反射器格子20について、全ての指24は各バスバー22に接続する。IDT18について、交互指24は、示すように、異なるバスバー22に接続する。特に、実際の反射器格子20及びIDT18は、一般に、示すよりもずっと多い数の指24を含む。指24の数は、図面の明確さを促進しかつ本開示を説明することを容易にするために、図1及び種々の添付図面において少なくされている。
【0045】
指24は、互いに平行であり、反射器格子20及びIDT18がそこに存在するエリアを包含する音響領域内に整列される。IDT18が電気信号によって励起されるときに生成される1つまたは複数の波はこの音響領域内に本質的に存在する。音響波は、本質的に、指24の長さに垂直に移動する。高速波伝搬層またはブラッグミラーを含む場合がある導波閉じ込め構造16は、1つまたは複数の波を単結晶圧電層12内に閉じ込めるのに役立つ。
【0046】
MEMS導波デバイス10の動作周波数は、IDT18の指24の間の間隔を表すピッチ(P)の関数であり、波長λはピッチPの2倍に等しい。横モードデバイスは、同様に、横波の効率的な励起のために圧電層12用の好ましい厚さ範囲を有する。
【0047】
MEMS導波デバイス10を製造するため、単結晶圧電ウェハを作製してもよく、また別個に、低速波伝搬層14を、導波閉じ込め構造16(任意選択で、キャリア基板によって支持されてもよい)上に堆積させてもよい。圧電ウェハ及び低速波伝搬層14の隣接表面は、平坦化され研磨され、その後、従来の直接結合(例えば、ウェハ結合)プロセスまたは他のプロセスによって互いに付着される。1つまたは複数の結合促進層は、任意選択で、結合されるそれぞれの層の間に配置されてもよい。結合に続いて、圧電層12の露出した上側表面は、所望の厚さまで研削され(任意選択で、同様に平坦化され)、反射器格子20及びIDT18がその上に堆積される。
【0048】
或る実施形態において、低速波伝搬層14は、熱補償ユーティリティを提供してもよい。単結晶圧電ウェハを形成するために使用される材料は、通常、導波閉じ込め構造16の材料の熱膨張係数(TCE:thermal coefficients of expansion)と異なるTCEを有する。導波閉じ込め構造16が作成されると、圧電層12及び低速波伝搬層14は、温度が変化するのと類似の挙動で、膨張し収縮する傾向が
ある。したがって、温度変化によって圧電層12によって導波閉じ込め構造16に印加される膨張力及び収縮力は、中間配置される低速波伝搬層14によって印加される対向力によって実質的に打消される。結果として、中間配置される低速波伝搬層14を含む複合物構造は、温度が変化するときの屈曲または反りに抵抗し、それにより、圧電層12の膨張及び収縮を減少させ、圧電層12の有効TCEを減少させる。
【0049】
圧電層12と導波閉じ込め構造16との間に低速波伝搬層14を設けることが圧電材料の有効TCEを減少させるため、温度が変化するときの圧電層12の表面に沿う膨張量及び収縮量は減少する。したがって、温度が変化するときのIDT18の指24と反射器格子20との間の間隔またはピッチの変化が減少し、それにより、圧電層12の周波数特性の有効温度変化係数(TCF:thermal coefficient of frequency)を減少させて、温度の変化に伴うIDT18及び反射器格子20の総合周波数応答を改善する。
【0050】
図1に示すMEMS導波デバイス10は、キャリア基板に強固に実装されてもよい、または代替的に、こうした構造の少なくとも一部分は、キャリア基板上に、こうした構造とキャリア基板との間にギャップがある状態で懸垂保持されてもよい。
【0051】
図2は、本開示の一実施形態による、基板28の上に持ち上げられかつアンカー32と34との間に懸垂保持される、単結晶圧電層12と導波閉じ込め構造16を組合せたものの所定部分を覆って配置されるIDT18を含むMEMS導波デバイス30を示す。伝導層36は、圧電層12上に配置されて、第1の伝導セクション38及び第2の伝導セクション40を提供する電極を含むIDT18を形成する。単結晶圧電層12は、導波閉じ込め構造16を覆って配置され、これは、その周辺部分に沿って、基板28を覆って位置付けられる絶縁層26によって下から支持される。絶縁層26の中央部分は、(例えば、基板28または圧電層12及び導波閉じ込め構造16を貫通して画定されるバイヤまたは他の開口(図示せず)を使用して)エッチングによって除去され、中央キャビティを横方向に閉ざすアンカー32、34を残してもよい。導波閉じ込め構造16及び上に載る圧電層12(共に、実質的に連続形態の)の中央部分は、IDT18と共に、アンカー32、34の間に懸垂保持される。図示しないが、或る実施形態において、MEMS導波デバイス30は、単結晶圧電層12と導波閉じ込め構造16との間に低速波伝搬層を更に含んでもよく、低速波伝搬層は温度補償ユーティリティを提供してもよい。
【0052】
図3は、本開示の一実施形態による、基板28の上に持ち上げられかつアンカー32と34との間で狭隘化された機械的支持体44、46によって懸垂保持される、単結晶圧電層12と導波閉じ込め構造16を組合せたものの所定部分を覆って配置されるIDT18を含むMEMS導波デバイス42を示す。伝導層36は、圧電層12上に配置されて、第1の伝導セクション38及び第2の伝導セクション40を提供する電極を含むIDT18を形成する。単結晶圧電層12は、導波閉じ込め構造16を覆って配置され、導波閉じ込め構造16は、その周辺部分に沿って、基板28を覆って位置付けられる絶縁層26によって下から支持される。絶縁層26の所定の部分は、エッチングによって除去され、中央キャビティを横方向に閉ざすアンカー32、34を残してもよい。更に、単結晶圧電層12及び導波閉じ込め構造16の所定の部分が除去されて、狭隘化された機械的支持体44、46だけを残し、それにより、アンカー32と34との間で圧電層12及び導波閉じ込め構造16(ならびにIDT18)の中央部分を支持する。図示しないが、或る実施形態において、MEMS導波デバイス42は、単結晶圧電層12と導波閉じ込め構造16との間に低速波伝搬層を更に含んでもよく、低速波伝搬層は温度補償ユーティリティを提供してもよい。
【0053】
更なる電極構成及び導波閉じ込め構造構成を含むMEMS導波デバイスは以下の図に示
される。以下の図は、キャリア基板に強固に実装されているように見える単結晶圧電層及び導波閉じ込め構造を示すが、各事例において、示す単結晶圧電層及び導波閉じ込め構造は(付随する電極と共に)、基板がなくてもよい、または、(図2~3に示すように)キャリア基板の上に懸垂保持されてもよいことが理解される。
【0054】
図4は、本発明の一実施形態による、単結晶圧電層12、オプションの低速波伝搬層14、片面導波閉じ込め構造16として役立つ高速波伝搬層、及びオプションのキャリア基板28を覆って配置されるIDTの形態の交互の上面側電極38、40を含むMEMS導波デバイスを示す。電極38、40は、圧電層12の上部表面だけに配設され、したがって、圧電層12の中心に対して非対称に配置される。導波閉じ込め構造16及びオプションの低速波伝搬層14は基板28を覆って堆積されてもよい。MEMS導波デバイスは、事前作製済み単結晶圧電ウェハを導波閉じ込め構造16の上に(例えば、低速波伝搬層14が両者の間にある状態で)結合させ、圧電層12をもたらすため圧電ウェハの露出表面を所望の厚さになるよう処理し、電極38、40を圧電層12上に堆積させることによって形成されてもよい。
【0055】
図5は、本発明の一実施形態による、単結晶圧電層12、オプションの低速波伝搬層14、片面導波閉じ込め構造16として役立つブラッグミラー、及びオプションのキャリア基板28を覆って配置されるIDTの形態の交互の上面側電極38、40を含むMEMS導波デバイスを示す。図5のデバイスは、図4のデバイスと類似の方法で作製されてもよい。
【0056】
図6は、本発明の一実施形態による、単結晶圧電層12の一方の表面を覆って配置されるIDTの形態の交互の電極38、40を含むMEMS導波デバイスを示す。オプションの低速波伝搬層14A、14Bは、電極38、40及び圧電層12を挟む。上側低速波伝搬層14Bの一部分は、電極38と40との間のギャップ48を少なくとも部分的に(また好ましくは完全に)充填するように配置される。両面導波閉じ込めは、低速波伝搬層14A、14Bを挟む第1及び第2の導波閉じ込め構造16A、16Bとして役立つ第1及び第2の高速波伝搬層によって提供される。オプションの基板28は、第1の導波閉じ込め構造16Aの下に配設される。電極38、40は、圧電層12の一方の表面上だけに配設され、したがって、圧電層12の中心に対して非対称に配置される。図6のデバイスの下側部分は、図4のMEMS導波デバイスと類似の方法で作製されてもよい。電極38、40の形成後に、オプションの第2の低速波伝搬層14Bが、圧電層12及び電極38、40を覆って堆積され、第2の導波閉じ込め構造16Bは、第2の低速波伝搬層14Bを覆って堆積される。
【0057】
図7は、第1及び第2のブラッグミラーが第1及び第2の高速波伝搬層16A、16Bの代わりに使用されることを除いて、図6のデバイスと実質的に類似のMEMS導波デバイスを示す。図7のデバイスの作製は、図6のデバイスの作製と実質的に類似する。図6及び7は両面閉じ込めを有するMEMS導波デバイスを示すが、代替の実施形態において、第2の(上面)側の閉じ込め構造が省略されてもよい。
【0058】
図8は、本開示の一実施形態による、圧電層12の上側表面上に配置される第2のIDTの形態の交互の上面側電極38B、40B及び単結晶圧電層12の下側表面上に配置される第1のIDTの形態の交互の電極38A、40Aを含むMEMS導波デバイスを示す。オプションの低速波伝搬層14A、14Bは、電極38A、40A、38B、40B及び圧電層12を挟み、低速波伝搬層14A、14Bの所定の部分は、電極38A、40A、38B、40Bの間のギャップ48A、48Bを少なくとも部分的に(また好ましくは完全に)充填するように配置される。電極38A、40A、38B、40Bは、圧電層12の中心に対して対称に配置される。両面導波閉じ込めは、低速波伝搬層14A、14B
を挟む第1及び第2の導波閉じ込め構造16A、16Bとして役立つ第1及び第2の高速波伝搬層によって提供される。オプションの基板28は、第1の導波閉じ込め構造16Aの下に配設される。図8のMEMS導波デバイスを作製するため、基板28を含む下側サブアセンブリ、第1の導波閉じ込め構造16A、及び第1の低速波伝搬層14Aが生成される。リセスが、第1の低速波伝搬層14Aの上側表面内に(例えば、エッチングによって)画定されてもよく、また、金属がリセス内に堆積されて、下側電極38A、40Aを形成してもよい。第1の低速波伝搬層14A及び下側電極38A、40Aの平坦化及び研磨に続いて、事前作製済み単結晶圧電ウェハが、下側サブアセンブリに直接結合され、所望の厚さまで(例えば、研削及び研磨によって)処理されて、圧電層12を形成してもよい。その後、上側電極38B、40Bが、圧電層12上に堆積され、それに続いて、第2の低速波伝搬層14B及び第2の導波閉じ込め構造16Bの堆積が行われてもよい。
【0059】
図9は、第1及び第2のブラッグミラーが、第1及び第2の導波閉じ込め構造16A、16Bとして第1及び第2の高速波伝搬層の代わりに使用されることを除いて、図8のデバイスと実質的に類似のMEMS導波デバイスを示す。図9のデバイスの作製は、図8のデバイスの作製と実質的に類似する。図8及び9は両面閉じ込めを有するMEMS導波デバイスを示すが、代替の実施形態において、第2の(上面)側の閉じ込め構造16Bが、任意選択で、第2の低速波伝搬層14Bの省略と組合せて省略されてもよい。
【0060】
図8及び9は、位相が合った2つのIDT(対応するタイプの電極(例えば、38A、38B、または40A、40B)が、正が正の上にあり、負が負の上にあるように圧電層12の対向面上に互いに整列する)を示すが、代替の実施形態において、IDTは、位相がずれて配置されてもよく、対向するタイプの電極(例えば、38A、40B、または40A、38B)は、正が負の上にあり、負が正の上にあるように圧電層12の対向面上に互いに整列する。この修正は、複数のIDTが圧電層の対向面上にまたはそれに隣接して配置される、本明細書で開示される任意の実施形態に適用されてもよい。
【0061】
図10は、本開示の一実施形態による、単結晶圧電層12の下側表面上に配置されるIDTの形態の交互の電極38、40を含むMEMS導波デバイスを示す。オプションの低速波伝搬層14、片面導波閉じ込め構造16として役立つ高速波伝搬層、及びオプションのキャリア基板28は、電極38、40及び圧電層12の下に配置される。電極38、40は、圧電層12の下部表面上だけに配設され、したがって、圧電層12の中心に対して非対称に配置される。導波閉じ込め構造16及びオプションの低速波伝搬層14は基板28を覆って堆積されてもよい。低速波伝搬層14の一部分は、電極38、40の間のギャップ48を少なくとも部分的に(また好ましくは完全に)充填するように配置される。図10のMEMS導波デバイスを作製するため、基板28を含む下側サブアセンブリ、導波閉じ込め構造16、及び低速波伝搬層14が生成される。リセスが、低速波伝搬層14の上側表面内に(例えば、エッチングによって)画定されてもよく、また、金属がリセス内に堆積されて、電極38、40を形成してもよい。低速波伝搬層14及び電極38、40の平坦化及び研磨に続いて、事前作製済み単結晶圧電ウェハが、下側サブアセンブリに直接結合され、所望の厚さまで(例えば、研削及び研磨によって)処理されて、圧電層12を形成してもよい。代替的に、電極38、40は、単結晶圧電層上でパターン化されてもよく、低速波伝搬層14は、電極を覆って堆積されてもよく、平坦化後に、低速波伝搬層14は、基板28に結合されてもよい。
【0062】
図11は、ブラッグミラーが、導波閉じ込め構造16として高速波伝搬層の代わりに使用されることを除いて、図10のデバイスと実質的に類似のMEMS導波デバイスを示す。図11のデバイスの作製は、図10のデバイスの作製と実質的に類似する。
【0063】
図12は、低速波伝搬層14A、14Bが電極38、40及び圧電層12を挟む状態で
、圧電層12の全体の厚さ内に埋め込まれかつそこを通して延在するIDTの形態の電極38、40を含むMEMS導波デバイスを示す。両面導波閉じ込めは、低速波伝搬層14A、14Bを挟む第1及び第2の導波閉じ込め構造16A、16Bとして役立つ第1及び第2の高速波伝搬層によって提供される。オプションの基板28は、第1の導波閉じ込め構造16Aの下に配設される。電極38、40は、圧電層12の一方の表面上だけに配設され、したがって、圧電層12の中心厚に対して対称に配置される。図12のMEMS導波デバイスを作製するため、基板28を含む下側サブアセンブリ、第1の導波閉じ込め構造16A、及び第1の低速波伝搬層14Aが生成される。第1の低速波伝搬層14Aの平坦化及び研磨に続いて、事前作製済み単結晶圧電ウェハが、下側サブアセンブリに直接結合されてもよい。その後、アパーチャまたはリセスが、イオンミリング等の任意の適した技法によって圧電ウェハ内に画定されてもよく、また、金属が、アパーチャまたはリセス内に(例えば、蒸着によって)堆積されて、電極38、40を形成してもよい。圧電ウェハ及び堆積された電極は、その後、電極38、40を露出する所望の厚さまで(例えば、研削及び研磨によって)処理されて、電極38、40が圧電層12の全体の厚さを通して延在する状態で圧電層12を形成してもよい。その後、第2の低速波伝搬層14B及び第2の導波閉じ込め構造16Bは、圧電層12を覆ってシーケンシャルに堆積されてもよい。
【0064】
図13は、第1及び第2のブラッグミラーが、第1及び第2の導波閉じ込め構造16A、16Bとして第1及び第2の高速波伝搬層の代わりに使用されることを除いて、図12のデバイスと実質的に類似のMEMS導波デバイスを示す。図13のデバイスの作製は、図12のデバイスの作製と実質的に類似する。図12及び13は両面閉じ込めを有するMEMS導波デバイスを示すが、代替の実施形態において、第2の(上面)側の閉じ込め構造16Bが、任意選択で、第2の低速波伝搬層14Bの省略と組合せて省略されてもよい。
【0065】
図14は、本開示の一実施形態による、低速波伝搬層14が電極38、40及び圧電層12に接触し、片面導波閉じ込めが、導波閉じ込め構造16として役立つ高速波伝搬層によって提供される状態の、単結晶圧電層12の下側面内に埋め込まれるIDTの形態の電極38、40を含むMEMS導波デバイスを示す。電極38、40は、圧電層12の中心に対して非対称に配置され、電極38、40の間のギャップ52は圧電材料によって充填される。図14のMEMS導波デバイスを作製するため、導波閉じ込め構造16及びオプションの低速波伝搬層14は、基板28を覆って堆積されて、下側サブアセンブリを形成してもよい。別々に、リセスが、フォトリソグラフィックエッチング等の任意の適した技法によって単結晶圧電ウェハの表面内に画定されてもよく、また、金属がリセス内に堆積されて、電極38、40を形成してもよい。堆積された電極材料を含む圧電ウェハ表面は、平坦化され研磨され、低速波伝搬層14の平坦化され研磨された表面に直接結合される。その後、圧電ウェハの露出した上側表面は、所望の厚さまで(例えば、研削によって)処理されて、電極38、40が圧電層12の下側部分に埋め込まれた状態の圧電層12をもたらしてもよい。
【0066】
図15は、ブラッグミラーが、導波閉じ込め構造16として高速波伝搬層の代わりに使用されることを除いて、図14のデバイスと実質的に類似のMEMS導波デバイスを示す。図15のデバイスの作製は、図14のデバイスの作製と実質的に類似する。
【0067】
図16は、本開示の一実施形態による、交互極性圧電領域12A、12Bを有する圧電層を挟む電極層54、56を有するPPT58を含み、また、オプションの低速波伝搬層14、片面導波閉じ込め構造16として役立つ高速波伝搬層、及びオプションのキャリア基板28を更に含むMEMS導波デバイスを示す。電極層54、56は、交互極性圧電領域12A、12Bからなる圧電層の中心に対して対称に配置される。図16のMEMS導
波デバイスを作製するため、導波閉じ込め構造16、オプションの低速波伝搬層14、及び第1の電極層54は、基板28を覆って堆積されて、下側サブアセンブリを形成してもよい。圧電ウェハは、下側サブアセンブリに直接結合され、それに先行して、また任意選択でそれに続いて、適切な平坦化及び/または研磨ステップが行われてもよい。或る実施形態において、交互極性圧電領域12A、12Bは、結合の前に(例えば、液体セル分極処理または電子ビーム書込みによって)画定されてもよく、他の実施形態において、交互極性圧電領域12A、12Bは、結合が終了した後に画定されてもよい。その後、第2の電極層56が、交互極性圧電領域12A、12Bを覆って堆積されて、PPT58を形成してもよい。PPT構造及びPPT作製技法の例は、参照により本明細書に組込まれる米国特許第7,898,158号に開示される。
【0068】
図17は、ブラッグミラーが、導波閉じ込め構造16として高速波伝搬層の代わりに使用されることを除いて、図16のデバイスと実質的に類似のMEMS導波デバイスを示す。図17のデバイスの作製は、図16のデバイスの作製と実質的に類似する。
【0069】
図18は、図16のデバイスと類似するPPTを有するが、2面閉じ込めが追加された状態のMEMS導波デバイスを示す。図18のデバイスは、交互極性圧電領域12A、12Bを有する圧電層を挟む電極層54、56を有するPPT58を含み、PPT58を挟むオプションの低速波伝搬層14A、14Bを更に含む。更に、第1及び第2の閉じ込め構造16A、16Bとして役立つ第1及び第2の高速波伝搬層は、両面閉じ込めを提供する。オプションの基板28は、第1の閉じ込め構造16Aの下に配設される。電極層54、56は、圧電層の中心厚に対して対称に配置される。図18のMEMS導波デバイスの下側部分の作製は、PPT58を覆って第2の低速波伝搬層14B及び第2の導波閉じ込め構造16Bを堆積させる更なるステップと共に、図16のデバイスを作製するときに使用されるステップに従って進められる。
【0070】
図19は、ブラッグミラーが、第1及び第2の導波閉じ込め構造16A、16Bとして高速波伝搬層の代わりに使用されることを除いて、図18のデバイスと実質的に類似のMEMS導波デバイスを示す。図19のデバイスの作製は、図18のデバイスの作製と実質的に類似する。
【0071】
図20は、連続電極層64と、圧電層72の所定の区分に実質的に位置合せされた電極区分を含む区分化電極層66との間に配置される、区分化単結晶圧電層72とを含むMEMS導波デバイスを示す。デバイスは、本開示の一実施形態に従って、オプションの低速波伝搬層14を含み、片面導波閉じ込め構造16として役立つ高速波伝搬層を含み、オプションのキャリア基板28を含む。区分化圧電層72の区分化及び区分化電極66の区分化は、区分化構造の間にギャップ68をもたらし、こうした区分化は、好ましくは、MEMS導波デバイスが、それぞれのフィーチャの位置合せを容易にするように形成された後に実施される。電極層64、66は、区分化圧電層72の中心に対して非対称に配置される。図20のMEMS導波デバイスを作製するため、導波閉じ込め構造16、オプションの低速波伝搬層14、及び連続電極層64は、基板28を覆って堆積されて、下側サブアセンブリを形成してもよい。その後、適切に平坦化され研磨された圧電ウェハは、下側サブアセンブリに結合される。圧電層の上側表面は、薄化され研磨され、それに続いて、上側電極層の堆積が行われてもよい。その後、アパーチャが、上側電極層及び圧電層内に(例えば、1回または複数回のフォトリソグラフィックエッチングステップによって)形成されて、区分化圧電層72の所定の区分に実質的に位置合せされる区分化電極層66の所定の区分を形成してもよい。図20の導波デバイスが使用されて、垂直成分ならびに横成分を含む混合波を生成してもよい。
【0072】
図21は、ブラッグミラーが、導波閉じ込め構造16として高速波伝搬層の代わりに使
用されることを除いて、図20のデバイスと実質的に類似のMEMS導波デバイスを示す。図21のデバイスの作製は、図20のデバイスの作製と実質的に類似する。
【0073】
代替の実施形態において、図20及び21のMEMS導波デバイスは、区分化電極層66の区分と区分化圧電層72の区分との間のギャップ68を少なくとも部分的に充填する(例えば、或る事例において、フラッシュ充填する)ように修正されてもよい。更にまたは代替的に、或る実施形態において、図20及び21のMEMS導波デバイスは、連続電極層64を(第2の)区分化電極層に置換するように修正され、それにより、電極と圧電層の中心厚との間で対称配置を提供してもよい。
【0074】
図22は、連続電極層64と、図21のデバイスと類似の圧電層72の区分に実質的に位置合せされた電極区分を含む区分化電極層66とを有するMEMS導波デバイスを示すが、2面閉じ込めが追加された状態のMEMS導波デバイスを示す。図22のデバイスは、連続電極層64と、圧電層72の所定の区分に実質的に位置合せされた区分を含む区分化電極層66との間に配置される、区分化単結晶圧電層72を含み、デバイスは、電極層64、66及び圧電層72を挟むオプションの低速波伝搬層14A、14Bを含み、区分化電極層66のそれぞれの区分と区分化圧電層72との間のギャップ68は、第2の低速波伝搬層14Bの低速波伝搬材料で少なくとも部分的に(また好ましくは完全に)充填される。更に、第1及び第2の導波閉じ込め構造16A、16Bとして役立つ第1及び第2の高速波伝搬層は、両面閉じ込めを提供する。オプションの基板28は、第1の導波閉じ込め構造16Aの下に配設される。電極64、66は、圧電層72の中心厚に対して非対称に配置される。図22のMEMS導波デバイスの下側部分の作製は、区分化電極層66及び区分化圧電層72を覆ってかつ両者の間に第2の低速波伝搬層14Bを堆積させる更なるステップと共に、図20のデバイスを作製するときに使用されるステップに従って進められ、それに続いて、第2の低速波伝搬層14Bを覆って第2の導波閉じ込め構造16Bを堆積させることが行われる。
【0075】
図23は、ブラッグミラーが、第1及び第2の導波閉じ込め構造16A、16Bとして高速波伝搬層の代わりに使用されることを除いて、図22のデバイスと実質的に類似のMEMS導波デバイスを示す。図23のデバイスの作製は、図22のデバイスの作製と実質的に類似する。図22及び23は、両面閉じ込めを有するMEMS導波デバイスを示すが、代替の実施形態において、第2の(上面)側の閉じ込め構造16Bが、任意選択で、第2の低速波伝搬層14Bの省略と組合せて省略されてもよい。更に、図20図23は連続電極層64を示すが、代替の実施形態において、こうした層64は、不連続(例えば、区分化)電極と置換されてもよい。
【0076】
図24及び図25は、2面導波閉じ込めが混合タイプの導波閉じ込め構造16A、16Bによって提供されることを除いて図12及び図13のデバイスと実質的に類似のMEMS導波デバイスを示す。図24は、低速波伝搬層14A、14Bが電極38、40及び圧電層12を挟む状態で、単結晶圧電層12の全体の厚さ内に埋め込まれかつそこを通して延在するIDTの形態の電極38、40を含むMEMS導波デバイスを示す。両面導波閉じ込めは、圧電層12の下に配置される第1の導波閉じ込め構造16Aとして役立つ高速波伝搬層によって、また、圧電層12の上に配置される第2の導波閉じ込め構造16Bとして役立つブラッグミラーによって提供される。低速波伝搬層14A、14Bは、それぞれの導波閉じ込め構造16A、16Bと圧電層12との間に更に設けられる。オプションの基板28は、第1の導波閉じ込め構造16Aの下に配設される。電極38、40は、圧電層12の中心厚に対して対称に配置される。図25は、両面導波閉じ込めが、圧電層12の下に配置される第1の導波閉じ込め構造16Aとして役立つブラッグミラーによって、また、圧電層12の上に配置される第2の導波閉じ込め構造16Bとして役立つ高速波伝搬層によって提供されることを除いて図24と実質的に類似する。MEMS導波デバイ
スの作製は、図12及び13に関連して述べる作製ステップと実質的に類似し、それに続いて、圧電層12を覆う第2の低速波伝搬層14B及び第2の導波閉じ込め構造16Bの堆積が行われる。図24及び図25は両面閉じ込めを有するMEMS導波デバイスを示すが、代替の実施形態において、第2の(上面)側の閉じ込め構造16Bが、任意選択で、第2の低速波伝搬層14Bの省略と組合せて省略されてもよい。
【0077】
図面に示す両面閉じ込めを有する特定の実施形態は、同じタイプの第1及び第2の(例えば、下側及び上側の)導波閉じ込め構造を有してもよい(例えば、両方とも高速波伝搬層である、または、両方ともブラッグミラーである)が、本明細書に示すいずれの実施形態も、混合タイプの導波閉じ込め構造16A、16Bを含むように修正されてもよいことが特に企図される。例えば、両面閉じ込めを提供するために、ブラッグミラーが圧電層の下に設けられてもよく、高速波伝搬層が圧電層の上に設けられてもよい、または、その逆も同様である。
【0078】
或る実施形態において、電極は、圧電層の表面上の異なる平面に沿って配置されてもよく、1つの電極の群は圧電層内に画定されるリセス内に配置される。交互電極を後退させることによって、周期性は半分だけ減少し、それにより、より高い動作周波数を可能にすることができる。更に、反対極性の電極を互いに非常に接近させることによって、より強い音響波励起が可能になり得る。圧電層内に画定されるリセスの深さが制御される場合、疑似応答が制御され得る。或る実施形態において、圧電層の上側表面上にかつリセス内に交互に画定される一部のまたは全ての電極は、平面のまたは起伏する上部表面を有する機能層(例えば、温度補償材料または低速波伝搬材料)で少なくとも部分的に覆われてもよい。或る実施形態において、こうした機能材料は、温度補償ユーティリティを提供してもよい。リセス電極を組込む非共面電極を含むMEMS導波デバイスは、図26図29に関連して述べられる。
【0079】
図26は、圧電層12上に堆積されたIDTの形態の電極38、40を有する、複数のリセス74を画定する圧電層12を含むMEMS導波デバイスを示す。第1の電極の群38は、圧電層12の一番上の表面上に配置され、第2の電極の群40は、リセス74内に配置され、それにより、第1の電極の群38は第2の電極の群40と共面的でない。図26のMEMS導波デバイスは、圧電層12の下のオプションの低速波伝搬層14及び片面導波閉じ込め構造16として役立つ高速波伝搬層を更に含む。オプションの基板28は、導波閉じ込め構造16の下に配設される。電極38、40は、圧電層12の中心厚に対して非対称に配置される。図26のMEMS導波デバイスを作製するため、基板28を含む下側サブアセンブリ、導波閉じ込め構造16、及び低速波伝搬層14が、シーケンシャルな堆積ステップによって生成されてもよい。低速波伝搬層14の平坦化及び研磨に続いて、事前作製済み単結晶圧電ウェハが、下側サブアセンブリに直接結合されてもよい。圧電ウェハは、所望の厚さまで(例えば、研削及び研磨によって)処理されてもよい。その後、リセスが、イオンミリング等の任意の適した技法によって圧電ウェハ内に画定されてもよく、また、金属が、(例えば、蒸着によって)堆積されて、リセス電極40及び非リセス電極38を形成してもよい。
【0080】
図27は、ブラッグミラーが、導波閉じ込め構造16として高速波伝搬層の代わりに使用されることを除いて、図26のデバイスと実質的に類似のMEMS導波デバイスを示す。図27のデバイスの作製は、図26のデバイスの作製と実質的に類似する。
【0081】
図28及び図29は、図26及び図27のデバイスと類似するが、2面閉じ込めが追加された状態のMEMS導波デバイスを示す。
【0082】
図28のMEMS導波デバイスは、圧電層12上に堆積されたIDTの形態の電極38
、40を有する、複数のリセス74を画定する圧電層12を含むMEMS導波デバイスを示す。第1の電極の群38は、圧電層12のバルク上側表面上に配置され、第2の電極の群40は、リセス74内に配置され、それにより、第1の電極の群38は第2の電極の群40と共面的でない。オプションの低速波伝搬層14A、14Bは、圧電層12及び電極38、40を挟み、第2の低速波伝搬層14Bの所定の部分は、電極40の上でかつ電極38の間のギャップ68を更に充填する。更に、第1及び第2の導波閉じ込め構造16A、16Bとして役立つ第1及び第2の高速波伝搬層は、両面閉じ込めを提供し、低速波伝搬層14A、14Bを挟む。オプションの基板28は、導波閉じ込め構造16Aの下に配設される。電極38、40は、圧電層12の中心厚に対して非対称に配置される。図28のMEMS導波デバイスの下側部分の作製は、電極38、40及び圧電層12を覆って第2の低速波伝搬層14B及び第2の導波閉じ込め構造16Bを堆積させる更なるステップと共に、図26のデバイスを作製するときに使用されるステップに従って進められる。
【0083】
図29は、ブラッグミラーが、第1及び第2の導波閉じ込め構造16A、16Bとして高速波伝搬層の代わりに使用されることを除いて、図28のデバイスと実質的に類似のMEMS導波デバイスを示す。図29のデバイスの作製は、図28のデバイスの作製と実質的に類似する。図28及び29は両面閉じ込めを有するMEMS導波デバイスを示すが、代替の実施形態において、第2の(上面)側の閉じ込め構造16Bが、任意選択で、第2の低速波伝搬層14Bの省略と組合せて省略されてもよい。
【0084】
代替の実施形態において、図28及び図29のMEMS導波デバイスは、混合タイプの導波閉じ込め構造16A、16Bを含むように修正されてもよく、例えば、ブラッグミラーが圧電層の下に配置され、高速波伝搬層が圧電層の上に配置される、または、その逆も同様である。
【0085】
或る実施形態において、MEMS導波デバイスは、異なる第1及び第2の厚さ領域、第1の厚さ領域上にまたはそれに隣接して配置され、第1の厚さ領域内で波長λを有する第1の横音響波の変換のために構成される第1の電極の群、ならびに、第2の厚さ領域上にまたはそれに隣接して配置され、第2の厚さ領域内で波長λを有する第2の横音響波の変換のために構成される第2の電極の群を含み、λはλと異なる。少なくとも1つの導波閉じ込め構造は、第1の厚さ領域内に第1の横音響波を閉じ込めるように構成され、また、第2の厚さ領域内に第2の横音響波を閉じ込めるように構成される。こうして、単一デバイスの複数の共振器が、複数の広く異なる(例えば、オクターブの差)周波数の変換のために使用されてもよい。マルチ周波数MEMS導波デバイスの例は図30図36に示される。
【0086】
図30は、圧電層を下地層に直接結合する前に、圧電層82を局所的に薄化することに続く、作製中のMEMS導波デバイスを示す。図30において、下側サブアセンブリは、基板28、基板28を覆って配置される導波閉じ込め構造16として役立つ高速波伝搬層、及び導波閉じ込め構造16を覆って配置される温度補償層14を含む。上側サブアセンブリは、第1及び第2の厚さ領域をもたらすため、(例えば、イオンミリングまたはエッチング等の適切な技法によって)局所的に薄化された圧電ウェハを含む。ここで、2つの領域のより薄い一つは温度補償材料84で満たされる。下側及び上側サブアセンブリの形成後に、嵌合表面が、(例えば、平坦化及び研磨によって)処理され、直接結合されてもよい。その後、圧電層82の厚さは、上側表面を研削し研磨することによって調整されてもよく、電極は、圧電層を覆って堆積されてもよい。
【0087】
図31は、(圧電層の第1の厚さ領域82-1及び第2の厚さ領域82-2をもたらすための)圧電層の外側表面の結合、平坦化/薄化、及び圧電層を覆う電極38-1、40-1、38-2、40-2の堆積に続く、図30に示すサブアセンブリによって生成され
るMEMS導波デバイスを示す。第1の電極の群38-1、40-1(例えば、第1のIDTを形成する)は第1の厚さ領域82-1を覆って配置され、第2の電極の群38-2、40-2(例えば、第2のIDTを形成する)は第2の厚さ領域82-2を覆って配置され、全ての電極38-1、40-1、38-2、40-2は、実質的に共面的であり、非対称導波励起に対して配置される。図31に示すように、第1の電極の群38-1、40-1内の電極の周期性(または間隔)は、好ましくは、第2の電極の群38-2、40-2内の電極の周期性と異なる。上側サブアセンブリの温度補償材料84(図30に示す)を下側サブアセンブリの温度補償層14に付加することによって、結果として得られるMEMS導波デバイスは、第1の温度補償層厚さ領域14-1及び第2の温度補償層厚さ領域14-2を含み、こうした各領域14-1、14-2は異なる厚さを有する。図31のMEMS導波デバイスの動作時、横励起波は、第1の電極の群38-1、40-1及び第2の電極の群38-2、40-2をそれぞれ使用して、圧電層の第1及び第2の厚さ領域82-1、82-2内で刺激され、導波閉じ込め構造16(すなわち、高速波伝搬層)は、横励起波を第1及び第2の厚さ領域82-1、82-2内に閉じ込めるのに役立つ。
【0088】
図32及び図33は、ブラッグミラーが、導波閉じ込め構造16として高速波伝搬層の代わりに設けられることを除いて、図30及び図31のデバイスと実質的に類似する。図33のMEMS導波デバイスの作製は、導波閉じ込め構造16として役立つために高速波伝搬層をブラッグミラーと置換したことを除いて、図31のMEMS導波閉じ込め構造に関連して述べた作製ステップと実質的に類似する。
【0089】
図34は、第1の電極の群38-1、40-1及び第2の電極の群38-2、40-2がそれぞれ重ねられる圧電層の第1及び第2の厚さ領域82-1、82-2を含むMEMS導波デバイスを示す。各電極の群38-1、40-1、38-2、40-2は、実質的に共面的である。圧電層の第1及び第2の厚さ領域82-1、82-2は、第1の温度補償層厚さ領域14-1及び第2の温度補償層厚さ領域14-2を含む温度補償層の上に載る。その下に、第1の導波閉じ込め厚さ領域16-1及び第2の導波閉じ込め厚さ領域16-2を含む高速波伝搬材料の形態の導波閉じ込め構造16が設けられる。導波閉じ込め構造16は、任意選択で、下地構造28によって支持されてもよい。最終的に、第1の電極の群38-1、40-1(例えば、第1のIDTを形成する)は、圧電層の第1の厚さ領域82-1、第1の温度補償層厚さ領域14-1、及び第1の導波閉じ込め厚さ領域16-1を覆って配置される。同様に、第2の電極の群38-2、40-2(例えば、第2のIDTを形成する)は、圧電層の第2の厚さ領域82-2、第2の温度補償層厚さ領域14-2、及び第2の導波閉じ込め厚さ領域16-2を覆って配置される。こうして、波伝搬特性、温度補償特性、及び導波閉じ込め特性は、第1の電極の群38-1、40-1及び第2の電極の群38-2、40-2のそれぞれについて選択されてもよい。
【0090】
図34のMEMS導波デバイスは、複数のサブアセンブリから作製されてもよい。下側サブアセンブリは、基板28上に導波閉じ込め構造(例えば、高速波伝搬材料)を堆積させ、それに続いて、導波閉じ込め構造を局所的に薄化し、局所的に薄化したエリア内に温度補償材料を堆積させ、表面全体を覆って更なる温度補償材料を堆積させることによって形成されてもよい。上側サブアセンブリは、事前作製済み圧電ウェハを局所的に薄化し、局所的に薄化したエリア内に温度補償材料を堆積させることによって形成されてもよい。それぞれのサブアセンブリ嵌合表面の適切な平坦化及び研磨後に、上側及び下側サブアセンブリは、互いに直接結合されてもよい。その後、圧電層82の厚さは、研削及び研磨によって調整されてもよく、また、電極の群38-1、40-1、38-2、40-2は、圧電層82の上側表面上に堆積されてもよい。
【0091】
図35及び36は、異なる電極の群がそれを覆って配置される非共面上部表面を有する、異なる厚さ領域を圧電層が含む、MEMS導波デバイスを示す。図35を参照すると、
MEMS導波デバイスは、第1の電極の群38-1、40-1(例えば、第1のIDTを形成する)及び第2の電極の群38-2、40-2(例えば、第2のIDTを形成する)をそれぞれ重ねられる圧電層の第1及び第2の厚さ領域82-1、82-2を含む。第1及び第2の厚さ領域82-1、82-2の上部表面は非共面的であり、それにより、第1の電極の群38-1、40-1は第2の電極の群38-2、40-2と非共面的である。圧電層の第1及び第2の厚さ領域82-1、82-2は温度補償層14の上に載る。その下に、高速波伝搬材料の形態の導波閉じ込め構造16が設けられる。導波閉じ込め構造16は、任意選択で下にある基板28によって支持されてよい。図35のMEMS導波デバイスは、基板28上に導波閉じ込め構造16(例えば、高速波伝搬材料)を堆積させ、導波閉じ込め構造16を覆って温度補償層14を堆積させることによって作製されてもよい。温度補償層14の嵌合表面及び事前作製済み圧電ウェハの嵌合表面の適切な平坦化及び研磨後に、こうした表面は直接結合されてもよい。その後、圧電ウェハは、イオンミリングによって等で、局所的に薄化されて、第1及び第2の厚さ領域82-1、82-2を画定してもよく、また、電極の群38-1、40-1及び38-2、40-2は、厚さ領域上に堆積されてもよい。
【0092】
したがって、異なる厚さ領域を有する単結晶圧電材料を含む微小電気機械システム(MEMS)導波デバイスを作製する方法は、厚さが異なる第1及び第2の厚さ領域を画定するため単結晶圧電材料層を局所的に薄化することを含む。局所的に薄化した単結晶圧電材料層は、下地層(例えば、(i)高速波伝搬層、(ii)ブラッグミラー、または(iii)基板の少なくとも1つ)上にまたはそれを覆って結合されて、内部結合した界面を提供する。こうした結合は、当技術分野で知られているウェハ結合技法を使用して実施されてもよい。第1及び第2の電極の群は、第1の厚さ領域内での第1の波長λを有する第1の横音響波の変換のため、また、第2の厚さ領域内での第2の波長λを有する第2の横音響波の変換のために、第1の厚さ領域及び第2の厚さ領域上にまたはそれに隣接してそれぞれ画定される。圧電層の1つまたは複数の表面は、結合の前に(例えば、結合準備ステップとして)平坦化されてもよい、及び/または、(例えば、圧電層の厚さを調整するため)結合した後に平坦化されてもよい。好ましくは、温度補償層は、圧電層の下に設けられ、或る実施形態において、温度補償層は、互いに異なる、第1の温度補償層厚さ領域及び第2の温度補償層厚さ領域を含んでもよい。或る実施形態において、更なる温度補償材料が、第1の厚さ領域上にまたは第2の厚さ領域の少なくとも一方の表面上にまたはそれを覆って堆積されてもよい。
【0093】
添付図面の図を考慮して以下の説明を読むと、当業者は、本開示の概念を理解し、本明細書で特に述べられていないこれらの概念の適用を認識するであろう。当業者は、本開示の好ましい実施形態に対する改良及び修正を認識するであろう。全てのこうした改良及び修正は、本明細書で開示される概念及び添付特許請求項の範囲内にあると考えられる。本明細書で開示される種々の特徴及び要素のいずれの特徴及び要素も、本明細書でそれと反対の指示がない限り、1つまたは複数の他の開示される特徴及び要素と組合されてもよい。
図1
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