IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ レッド.コム,インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特許-電子機器でのビデオ画像データ処理 図1A
  • 特許-電子機器でのビデオ画像データ処理 図1B
  • 特許-電子機器でのビデオ画像データ処理 図1C
  • 特許-電子機器でのビデオ画像データ処理 図1D
  • 特許-電子機器でのビデオ画像データ処理 図2
  • 特許-電子機器でのビデオ画像データ処理 図3A
  • 特許-電子機器でのビデオ画像データ処理 図3B
  • 特許-電子機器でのビデオ画像データ処理 図4
  • 特許-電子機器でのビデオ画像データ処理 図5
  • 特許-電子機器でのビデオ画像データ処理 図6
  • 特許-電子機器でのビデオ画像データ処理 図7
  • 特許-電子機器でのビデオ画像データ処理 図8
  • 特許-電子機器でのビデオ画像データ処理 図9A
  • 特許-電子機器でのビデオ画像データ処理 図9B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-13
(45)【発行日】2023-07-24
(54)【発明の名称】電子機器でのビデオ画像データ処理
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/13 20140101AFI20230714BHJP
   H04N 19/136 20140101ALI20230714BHJP
   H04N 19/18 20140101ALI20230714BHJP
   H03M 7/40 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
H04N19/13
H04N19/136
H04N19/18
H03M7/40
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020500037
(86)(22)【出願日】2018-07-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-31
(86)【国際出願番号】 US2018040804
(87)【国際公開番号】W WO2019010233
(87)【国際公開日】2019-01-10
【審査請求日】2021-06-21
(31)【優先権主張番号】62/528,968
(32)【優先日】2017-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/529,455
(32)【優先日】2017-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/679,710
(32)【優先日】2018-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509139391
【氏名又は名称】レッド.コム,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャナード、ジェイムス、エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ランド、ピーター ジャレッド
(72)【発明者】
【氏名】バート、マンジュナート サブレイ
【審査官】間宮 嘉誉
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-531467(JP,A)
【文献】特表2010-537534(JP,A)
【文献】特開平8-9373(JP,A)
【文献】特開平10-336661(JP,A)
【文献】特表2013-515395(JP,A)
【文献】特表2017-511633(JP,A)
【文献】特表2005-507184(JP,A)
【文献】国際公開第2011/013192(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0171371(US,A1)
【文献】KARCZEWICZ, Marta et al.,VLC Coefficients Coding for High Bitrate,JVT-B072,ITU,2005年01月17日,pp.1-6,JVT-B072r1.doc
【文献】KORODI, Gergely et al.,QuYK: A Universal, Lossless Compression Method for Quantization Matrices,JCTVC-E435 (version 4),ITU,2011年03月20日,pp.1-13,JCTVC-E435.doc
【文献】SOLE, Joel et al.,Transform Coefficient Coding in HEVC,IEEE Transactions on Circuits and Systems for Video Technology,Vol.22, No.12,IEEE,2012年10月05日,pp.1765-1777,[online],[retrieved on 2023-06-14],Retrieved from the Internet: <URL: https://ieeexplore.ieee.org/document/6324418>
【文献】DING, Jian-Jiun et al.,Adaptive Golomb Code for Joint Geometrically Distributed Data and Its Application in Image Coding,IEEE Transactions on Circuits and Systems for Video Technology,IEEE,2012年08月06日,Vol.23, No.4,pp.661-670,[online],[retrieved on 2023-06-14],Retrieved from the Internet: <URL: https://ieeexplore.ieee.org/abstract/document/6261530>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03M 3/00- 9/00
H04N 7/12
H04N 19/00-19/98
IEEE Xplore
SPIE Digital Library
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
画像センサであって、該画像センサに入射する光から画像データを生成するように構成される、画像センサと、
メモリデバイスと、
1つ以上のプロセッサと、
を備え、
前記プロセッサは、
前記画像データを変換して変換係数を取得し、
前記変換係数を量子化して、第1の量子化変換係数及び前記第1の量子化変換係数とは異なる第2の量子化変換係数を含む量子化変換係数を取得し、
前記量子化変換係数を符号化して符号化係数を取得する、
ように構成され、
前記量子化変換係数は、少なくとも、
前記第1の量子化変換係数が含まれる複数の範囲のうちの第1の範囲を決定し、
前記第2の量子化変換係数が含まれる前記複数の範囲のうちの第2の範囲を決定し、
前記第1の量子化変換係数が対応する前記第1の範囲内の第1の値を決定し、
前記第2の量子化変換係数が対応する前記第2の範囲内の第2の値を決定し、
第1のアルゴリズムを使用して、前記第1の範囲を第1の範囲コードとして及び前記第2の範囲を第2の範囲コードとして符号化し、及び、
前記第1のアルゴリズムとは異なる第2のアルゴリズムを使用して、前記第1の値を第1の値コードとして及び前記第2の値を第2の値コードとして符号化する、
ことによって符号化され、
前記プロセッサは、前記符号化係数を前記メモリデバイスに記憶するように構成され、前記符号化係数は、前記第1の範囲コード、前記第2の範囲コード、前記第1の値コード、及び、前記第2の値コードを含み、
前記1つ以上のプロセッサは、前記画像データの処理中に前記第1のアルゴリズムを変更するように構成される
電子機器。
【請求項2】
前記第1のアルゴリズムがハフマンコードであり、前記第2のアルゴリズムがゴロムコードである、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記1つ以上のプロセッサは、前記第1のアルゴリズムを前記画像データの第1のフレームを処理することから前記画像データの第2のフレームを処理することへと変更するように構成される、請求項に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第2のアルゴリズムは、前記1つ以上のプロセッサによる前記画像データの処理中に一定のままである、請求項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記量子化変換係数は、前記第1の量子化変換係数及び前記第2の量子化変換係数とは異なる第3の量子化変換係数を含み、前記1つ以上のプロセッサは、少なくとも、
前記第3の量子化変換係数が含まれる複数の範囲のうちの第3の範囲を決定し、
前記第3の量子化変換係数が対応する前記第3の範囲内の第3の値を決定せず、及び、
前記第1のアルゴリズムを使用して、前記第3の範囲を第3の範囲コードとして符号化する、
ことによって前記量子化変換係数を符号化するように構成され、前記符号化係数が前記第3の範囲コードを含む、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
前記1つ以上のプロセッサは、離散コサイン変換を使用して前記画像データを変換するように構成される、請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
前記離散コサイン変換が16×16離散コサイン変換である、請求項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記1つ以上のプロセッサは、少なくとも前記量子化変換係数のDC係数を前記量子化変換係数のAC係数とは異なって符号化することにより前記量子化変換係数を符号化するように構成される、請求項1に記載の電子機器。
【請求項9】
前記1つ以上のプロセッサは、前記符号化係数のためのフレームヘッダに前記第1のアルゴリズムのためのパラメータを記憶するように構成される、請求項1に記載の電子機器。
【請求項10】
前記1つ以上のプロセッサは、前記画像データの緑ピクセルのための第1の量子化テーブルと、前記画像データの赤ピクセル及び青ピクセルのための第2の量子化テーブルとを少なくとも使用することによって前記変換係数を量子化するように構成され、前記第1の量子化テーブルが前記第2の量子化テーブルとは異なる、請求項1に記載の電子機器。
【請求項11】
前記画像データが生モザイク画像データである、請求項1に記載の電子機器。
【請求項12】
前記ハウジングは、前記画像センサ、前記メモリデバイス、及び、前記1つ以上のプロセッサを収容するように構成され、前記ハウジングは、携帯電話に取り外し可能に取り付けるように構成される、請求項1に記載の電子機器。
【請求項13】
前記画像データから前記1つ以上のプロセッサにより生成されるホログラフィック画像を提示するように構成されるディスプレイを更に備える、請求項1に記載の電子機器。
【請求項14】
電子機器を使用して画像データを符号化する方法であって、
画像センサにより、前記画像センサに入射する光から画像データを生成するステップと、
1つ以上のプロセッサにより、前記画像データを変換して変換係数を取得するステップと、
前記1つ以上のプロセッサにより、前記変換係数を量子化して、第1の量子化変換係数と前記第1の量子化変換係数とは異なる第2の量子化変換係数とを含む量子化変換係数を取得するステップと、
前記1つ以上のプロセッサにより、前記第1の量子化変換係数を含む複数の範囲のうちの第1の範囲と、前記第2の量子化変換係数を含む前記複数の範囲のうちの第2の範囲とを決定するステップと、
前記1つ以上のプロセッサにより、前記第1の量子化変換係数に対応する前記第1の範囲内の第1の値と、前記第2の量子化変換係数に対応する前記第2の範囲内の第2の値とを決定するステップと、
前記1つ以上のプロセッサにより、第1のアルゴリズムを使用して、前記第1の範囲を第1の範囲コードとして及び前記第2の範囲を第2の範囲コードとして符号化するステップと、
前記1つ以上のプロセッサにより、前記第1のアルゴリズムとは異なる第2のアルゴリズムを使用して、前記第1の値を第1の値コードとして及び前記第2の値を第2の値コードとして符号化するステップと、
前記第1の範囲コード、前記第2の範囲コード、前記第1の値コード、及び、前記第2の値コードをメモリデバイスに記憶するステップと、
を含み、
前記1つ以上のプロセッサは、前記画像データの処理中に前記第1のアルゴリズムを変更するように構成される、方法。
【請求項15】
前記第1及び第2の範囲を符号化する前記ステップ及び前記第1及び第2の値を符号化する前記ステップがロスレス圧縮を使用して実行される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1及び第2の範囲を符号化する前記ステップ及び前記第1及び第2の値を符号化する前記ステップが可変長符号化を使用して実行される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記メモリデバイスから前記第1の範囲コード、前記第2の範囲コード、前記第1の値コード、及び、前記第2の値コードを検索するステップと、
前記1つ以上のプロセッサにより、前記第1の範囲コード、前記第2の範囲コード、前記第1の値コード、及び、前記第2の値コードを復号して、前記第1の範囲、前記第2の範囲、前記第1の値、及び、前記第2の値を取得するステップと、
を更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
復号された前記第1の範囲、前記第2の範囲、前記第1の値、及び、前記第2の値を使用して、前記電子機器のディスプレイ上に表示するためのホログラフィックコンテンツを生成するステップを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の範囲及び前記第2の範囲は、ハフマンコードを使用して、前記第1の範囲コード及び前記第2の範囲コードとして符号化され、前記第1の値及び前記第2の値は、ゴロムコードを使用して、前記第1の値コード及び前記第2の値コードとして符号化される、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記画像データを変換する前記ステップが16×16離散コサイン変換を使用して実行される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[関連出願の相互参照]
国内優先権主張が本出願の出願データシートで特定される任意の全ての出願は、37CFR1.57の下で参照により本願に組み入れられる。
【0002】
ハイエンドビデオキャプチャ機能は進歩し続けている。プロの撮影技師及び益々多くなる消費者は、従来のデジタルビデオカメラだけでなく、携帯電話/スマートフォン、タブレットなどを含む他のビデオカメラを備えた電子機器でも、高品質のビデオ録画機能を要求している。
【発明の概要】
【0003】
本明細書中に記載される様々な実施形態は、圧縮された生の(例えば、ベイヤーパターンカラーフィルタアレイまたは他のタイプのカラーフィルタアレイに従ってモザイク化された)、高解像度(例えば、少なくとも2k、4k、6k、8k、10k、又は、これらの解像度レベルのいずれかの間の値の範囲)ビデオ画像データの捕捉及びオンボード記憶を可能にする画像捕捉機器に関する。圧縮された生の画像データは、圧縮及び記憶の前に特定の画像処理画像改良ステップが画像データに対して実行されないように、ビデオデータが「改良」されないという意味で「生」となり得るものである。そのようなステップは、1つ以上の補間(例えば、デベイヤーリング又は他のデモザイク解除)、カラー処理、色調処理、ホワイトバランス、及び、ガンマ補正を含み得る。例えば、圧縮された生の画像データは、モザイク処理(例えば、色補間なし、モザイく解除なし)、色処理なし、色調処理なし、ホワイトバランスなし、ガンマ補正なしのうちの1つ以上となり得る。むしろ、そのようなステップは、オフボード後処理などの記憶後まで延期することができ、それにより、カメラで特定の処理決定を「ベイクイン」するのではなく、創造的な柔軟性を維持する。
【0004】
本明細書中に記載される画像処理及び圧縮技術は、様々な因子で実装され得る。例えば、圧縮された生の画像データの圧縮及びオンボード記憶のための本明細書に記載される技術は、一体型カメラ(或いは、フロントカメラ、リアカメラ、又は、小型フォームファクタカメラを含む複数のカメラ)を有するスマートフォンなどの比較的小さなフォームファクタ機器で実装され得る。例えば、特定の実施形態に係る処理技術は、比較的限られた電力バジェット、処理能力、及び、電子部品などを組み込むための物理的面積を有する小型フォームファクタ機器での実装に合わせて調整される。他の例において、本明細書中に記載される圧縮技術は、デジタルシネマカメラを含む比較的大きなフォームファクタカメラで実装され得る。
【0005】
特定の態様によれば、画像捕捉機器は、生のモザイク画像データを捕捉し、生の画像データを圧縮し、画像捕捉機器のオンボードメモリに画像データを記憶するように構成され得る。
【0006】
画像捕捉機器に存在する電子機器は、圧縮の一部として、離散コサイン変換(DCT)又は他の変換(異なる周波数で振動する関数の和に関するデータポイントの有限シーケンスを規定する変換など)を使用して生のモザイク画像データを変換して変換係数を取得するとともに変換係数を圧縮するように構成され得る。幾つかの実施形態によれば、電子機器は、処理目的でフル画像フレームを記憶する画像フレームメモリ(例えば、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM))を使用せずに圧縮を実行するように構成され得る。例えば、電子機器は、画像処理チップ(例えば、特定用途向け集積回路[ASIC]又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA])と一体化されるオンチップの第1のメモリ(例えば、スタティックランダムアクセスメモリ[SRAM])を使用して、チップ外に位置決めされる第2のDRAM又は他のメモリは何ら使用することなく、変換係数を圧縮できる。
【0007】
それにもかかわらず、特定の実施形態において、電子機器はDRAM又は他の第2のメモリオフチップを含むことができる。しかしながら、そのような実施形態のオフチップメモリは、ピクセル欠陥補正、ピクセルパターンノイズの対処などのために、生のビデオ画像データの圧縮以外の目的に使用されてもよい。これは、オフチップDRAMを使用して画像圧縮を実行するスマートフォンなどの既存の画像捕捉機器とは異なる。例えば、既存の画像捕捉機器の中には、オフチップDRAMを使用してH.264圧縮の動きベクトルを計算するものがある。本明細書中に記載される特定の実施形態は、DCT技術を使用することにより、動きベクトルを計算したりオフチップメモリを使用したりすることなく、メモリ効率の良い圧縮を促進する。
【0008】
フルイメージフレームメモリ(例えば、オフチップDRAM)を使用せずに圧縮を実行すると、電力効率が向上し(一部の実施では例えば約0.5ワット(W)向上し)、これは、スマートフォンなどの小型フォームファクタ機器において特に有益である。特定の態様によれば、画像捕捉機器の電子機器は、動作中に15W未満又は約20W未満を消費する。
【0009】
本明細書中に開示される特徴は、特定の実施形態において、可能な限り多くのフレームをリアルタイムで解凍する手法を提供し、24フレーム/秒(fps)よりも速い速度での解凍を可能にし得る。更に、幾つかの実施において、手法は、電子機器のグラフィカル処理ユニット(GPU)を広範囲に使用し、高画質を維持できるようにしつつ動作の大幅な並列化を可能にする。
【0010】
幾つかの態様によれば、画像捕捉機器は、生のモザイク画像データが電子回路によって処理される(例えば、圧縮される)タイミングを制御するように構成されるクロックを含み、また、電子回路は、クロックが一定時間停止しているにもかかわらず生のモザイク画像データを正しく処理するように構成される。これは、少なくとも、リフレッシュを必要としないメモリを使用して生のモザイク画像データを電子回路で処理できるからである。
【0011】
特定の態様によれば、画像捕捉機器は、生のモザイク画像データを変換して変換係数を取得するように構成される。機器は、変換係数を量子化して量子化係数を取得し、また、以下、すなわち、各量子化係数を複数の範囲及び複数の範囲内の値に分割すること、各量子化係数が含まれる個々の範囲に従ってそれぞれの量子化係数ごとにハフマンコードを決定すること、及び、各量子化係数が含まれる個々の範囲内の個々の値に従ってそれぞれの量子化係数ごとにゴロムコードを決定すること、のうちの1つ以上を実行することにより、量子化係数の少なくとも一部を符号化する。
【0012】
幾つかの実施形態では、電子機器が開示される。電子機器は、ハウジング、画像センサ、メモリデバイス、及び、1つ以上のプロセッサを含む。画像センサは、画像センサに入射する光から画像データを生成できる。1つ以上のプロセッサは、画像データを変換して変換係数を取得し、変換係数を量子化して、第1の量子化変換係数と第1の量子化変換係数とは異なる第2の量子化変換係数とを含む量子化変換係数を取得し、量子化変換係数を符号化して符号化係数を取得し、符号化係数をメモリデバイスに記憶する。量子化変換係数は、少なくとも、第1の量子化変換係数が含まれる複数の範囲のうちの第1の範囲を決定し、第2の量子化変換係数が含まれる複数の範囲のうちの第2の範囲を決定し、第1の量子化変換係数が対応する第1の範囲内の第1の値を決定し、第2の量子化変換係数が対応する第2の範囲内の第2の値を決定し、第1のアルゴリズムを使用して、第1の範囲を第1の範囲コードとして及び第2の範囲を第2の範囲コードとして符号化し、及び、第1のアルゴリズムとは異なる第2のアルゴリズムを使用して、第1の値を第1の値コードとして及び第2の値を第2の値コードとして符号化することによって符号化され得る。符号化係数は、第1の範囲コード、第2の範囲コード、第1の値コード、及び、第2の値コードを含むことができる。
【0013】
前の段落の電子機器は、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。第1のアルゴリズムがハフマンコードであり、第2のアルゴリズムがゴロムコードである。1つ以上のプロセッサは、画像データの処理中に第1のアルゴリズムを変更し得る。1つ以上のプロセッサは、第1のアルゴリズムを画像データの第1のフレームを処理することから画像データの第2のフレームを処理することへと変更することができる。第2のアルゴリズムは、1つ以上のプロセッサによる画像データの処理中に一定のままとなり得る。量子化変換係数は、第1の量子化変換係数及び第2の量子化変換係数とは異なる第3の量子化変換係数を含むことができ、また、1つ以上のプロセッサは、少なくとも、第3の量子化変換係数が含まれる複数の範囲のうちの第3の範囲を決定し、第3の量子化変換係数が対応する第3の範囲内の第3の値を決定せず、及び、第1のアルゴリズムを使用して、第3の範囲を第3の範囲コードとして符号化することによって量子化変換係数を符号化することができ、符号化係数は第3の範囲コードを含む。1つ以上のプロセッサは、離散コサイン変換を使用して画像データを変換できる。離散コサイン変換は16×16離散コサイン変換となり得る。1つ以上のプロセッサは、少なくとも量子化変換係数のDC係数を量子化変換係数のAC係数とは異なって符号化することにより量子化変換係数を符号化できる。1つ以上のプロセッサは、符号化係数のためのフレームヘッダに第1のアルゴリズムのためのパラメータを記憶することができる。1つ以上のプロセッサは、画像データの緑ピクセルのための第1の量子化テーブルと、画像データの赤ピクセル及び青ピクセルのための第2の量子化テーブルとを少なくとも使用することによって変換係数を量子化することができ、第1の量子化テーブルが第2の量子化テーブルとは異なる。画像データはモザイク画像データとなり得る。画像データは生モザイク画像データとなり得る。ハウジングは携帯電話ハウジングとなり得る、及び、携帯電話ハウジングは、画像センサ、メモリデバイス、及び、1つ以上のプロセッサをサポートできる。ハウジングは、画像センサ、メモリデバイス、及び、1つ以上のプロセッサを収容でき、また、ハウジングは携帯電話に取り外し可能に取り付けることができる。電子機器は、画像データから1つ以上のプロセッサによって生成されたホログラフィック画像を提示するように構成されるディスプレイを更に含むことができる。
【0014】
幾つかの実施形態では、電子機器を使用して画像データを符号化する方法が開示される。方法は、画像センサにより、画像センサに入射する光から画像データを生成するステップと、1つ以上のプロセッサにより、画像データを変換して変換係数を取得するステップと、1つ以上のプロセッサにより、変換係数を量子化して、第1の量子化変換係数と第1の量子化変換係数とは異なる第2の量子化変換係数とを含む量子化変換係数を取得するステップと、1つ以上のプロセッサにより、第1の量子化変換係数を含む複数の範囲のうちの第1の範囲と、第2の量子化変換係数を含む複数の範囲のうちの第2の範囲とを決定するステップと、1つ以上のプロセッサにより、第1の量子化変換係数に対応する第1の範囲内の第1の値と、第2の量子化変換係数に対応する第2の範囲内の第2の値とを決定するステップと、1つ以上のプロセッサにより、第1の範囲を第1の範囲コードとして及び第2の範囲を第2の範囲コードとして符号化するステップと、1つ以上のプロセッサにより、第1の値を第1の値コードとして及び第2の値を第2の値コードとして符号化するステップと、第1の範囲コード、第2の範囲コード、第1の値コード、及び、第2の値コードをメモリデバイスに記憶するステップとを含むことができる。
【0015】
前の段落の方法は、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。第1及び第2の範囲を符号化するステップ及び第1及び第2の値を符号化するステップがロスレス圧縮を使用して実行され得る。第1及び第2の範囲を符号化するステップ及び第1及び第2の値を符号化するステップが可変長符号化を使用して実行され得る。方法は、メモリデバイスから第1の範囲コード、第2の範囲コード、第1の値コード、及び、第2の値コードを検索するステップと、1つ以上のプロセッサにより、第1の範囲コード、第2の範囲コード、第1の値コード、及び、第2の値コードを復号して、第1の範囲、第2の範囲、第1の値、及び、第2の値を取得するステップとを更に含むことができる。第1の範囲及び第2の範囲は、ハフマンコードを使用して、第1の範囲コード及び第2の範囲コードとして符号化され得る、或いは、第1の値及び第2の値は、ゴロムコードを使用して、第1の値コード及び第2の値コードとして符号化され得る。画像データの変換は、16×16離散コサイン変換を使用して実行され得る。
【0016】
特定の実施形態は、特定の解像度(例えば、少なくとも2k又は少なくとも4k)又はフレームレート(例えば、少なくとも23フレーム/秒)に関して記載されるが、そのような実施形態は、それらのフレームレート又は解像度レベルに限定されない。例えば、実施形態に応じて(例えば、センササイズに応じて)、本明細書中に記載される圧縮生画像データのオンボード記憶のための技術は、少なくとも2k、3k、4k、4.5k、5k、6k、8k、10k、12k、15k、20kの解像度レベル、或いは、それ以上の解像度レベル、又は、前述の解像度レベルのいずれかを含めてそれらの間の解像度レベル(例えば、4k及び12kを含めてこれらの間)を達成することができる。同様に、実施形態に応じて、本明細書中に記載される圧縮生画像データのオンボード記憶のための技術は、少なくとも23、24、25、120、150又は240或いはそれ以上のfpsのフレームレートで或いは前述の解像度レベルのいずれかを含めてこれらの間のフレームレート(例えば23fps及び120fpsを含めてこれらの間)で画像データを捕捉又は記憶することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A】電話機の一例の上面、前面、及び、左側面の斜視図を示す。
【0018】
図1B図1Aの電話機の下面、後面、及び、右側面の斜視図を示す。
【0019】
図1C】例示的なカメラモジュールに取り付けるために位置決めされる図1Aの電話機の側面図を示す。
【0020】
図1D図1Aの電話機と図1Cのカメラモジュールとを取り付けたときの斜視図を示す。
【0021】
図2】ビデオカメラの一例の斜視図を示す。
【0022】
図3A図1Aの電話機、図1Cのカメラモジュール、又は、図2のビデオカメラなどの例示的な画像捕捉機器の構成要素を示す。
図3B図1Aの電話機、図1Cのカメラモジュール、又は、図2のビデオカメラなどの例示的な画像捕捉機器の構成要素を示す。
【0023】
図4図3Aの画像捕捉機器などの画像捕捉機器によって実行可能な画像データを処理するための例示的なプロセスを示す。
【0024】
図5】プリエンファシス機能の一例を示すプロットである。
【0025】
図6図3Aの画像捕捉機器などの画像捕捉機器によって実行可能なビデオ画像データを圧縮するための例示的なプロセスを示す。
【0026】
図7図1Aの電話機などの例示的な電話機と通信する図3Aの画像捕捉機器を示す。
【0027】
図8図1Aの電話機又は図1Cのカメラモジュールの構成要素の例を示す。
【0028】
図9A】拡張モジュール及び図1Cのカメラモジュールに取り付けるために位置決めされる図1Aの電話機の斜視図を示す。
【0029】
図9B図1Aの電話機、図9Aの拡張モジュール、及び、図1Cのカメラモジュールが取り付けられたときの斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
I.前書き
この開示は、他の特徴の中でも、生のベイヤーデータなどのビデオ画像データを圧縮するための手法を説明する。特定の実施形態において、手法は、オンチップメモリの幾つかのラインを使用して、DRAMのようなフレームメモリを使用せずに、ビデオ画像データの圧縮を可能にし得る。ビデオ画像データの圧縮サイズは、設定されて、個々のフレームの対象とされ、フレーム間で適合され得る。更に、手法は、ビデオ画像データを圧縮する機器に関してサイズ及び消費電力の削減を可能にするハードウェアに優しい実装をもたらすことができる。結果として、本開示の特定の特徴は、電力消費及びシステムサイズを制限しながら高品質のビデオを保存することが望ましい場合があるスマートフォンなどの比較的小型又は低電力のハンドヘルド機器にとって特に望ましくなり得る。幾つかの実施形態では、そのような技法を使用して、生ではなく完全に処理されたYUVデータを圧縮することができる。
【0031】
本明細書中に記載される電子機器は主にスマートフォンとの関連で説明される場合があるが、本開示は、デジタルスチル及びモーションカメラ、パーソナルナビゲーション機器、モバイルインターネット機器、携帯ゲーム機、或いは、機能又は他の機能のいずれか又は組み合わせを有する機器を含む、携帯電話機能を伴う又は伴わない様々な電子機器のいずれに適用できる。
II.電子機器システムの概要
【0032】
図1Aは、本明細書中に記載される圧縮技術又は他の機能の1つ以上を実装し得る電話機10の上面、前面、及び、左側面の斜視図を示している。電話機10はスマートフォンであってもよい。電話機10の前面は、ディスプレイ11、カメラ12(例えば、図示のように4つのカメラ)、第1のスピーカグリル13A、及び、第2のスピーカグリル13B、並びに、1つ以上のマイクロフォン(図示せず)を含む。電話機10の左側面は第1の入力14を含む。
【0033】
図1Bは、電話機10の下面、後面、及び、右側面の斜視図を示している。電話機の下面は電源入力ポート15を含む。電話機10の左側面は第2の入力16を含む。電話機10の後面は、第2のカメラ17(例えば、図示のように2つのカメラ)、フラッシュ18、レーザフォーカス19、及び、モジュールコネクタ20を含む。
【0034】
ディスプレイ11は、様々なアプリケーション、機能、及び、情報を表示することができ、タッチスクリーン制御機能を組み込んでもよい。
【0035】
第1のカメラ12及び第2のカメラ17のそれぞれは、本明細書に記載されるような様々な又は調整可能な解像度及びアスペクト比を伴ってビデオ画像データフレームを捕捉する機能を含む。第1のカメラ12はそれぞれ一般に互いに同じ方向を向くことができ、また、第2のカメラ17は一般に互いに同じ方向を向くことができる。
【0036】
第1の入力14及び第2の入力16は、ボタンであってもよく、電話機10のユーザからユーザ入力を受けることができる。第1の入力14は、例えば、電話機10の電源ボタンとして機能することができ、ユーザが電話機10の電源を入れるか切るかを制御できるようにし得る。更に、第1の入力14は、ユーザが電話機10に或いは電話機10又は電話機10に結合される機器の1つ以上の機能に或いは電話機10又は電話機10に結合される機器に記憶されるファイルにアクセスする権限があるかどうかを電話機10が決定できるようにする指紋センサなどのユーザ識別センサとしての機能を果たす。第1の入力14は、機器ロック/ロック解除ボタン、写真の撮影を開始するボタン、ビデオの撮影を開始するボタン、又は、電話機10の選択ボタンとして機能することができる。第2の入力16は、電話機10のための音量アップボタン及び音量ダウンボタンとして機能することができる。第1の入力14及び第2の入力16の機能は、ユーザによって構成及び変更され得る。更に、電話機10の側面は、図1Aに示されるように及びその開示全体が参照により本願に組み入れられる米国特許第9,917,935号に記載されるようにスカラップ状又は鋸歯状の縁部を含むことができる。特に、第1の入力14が位置決めされるスカラップはセレーションを含まなくてもよいが、他のスカラップがセレーションを含んでもよく、これは、ユーザが電話機10の2つの縁部を互いに区別するとともに第1の入力14を第2の入力16から区別するのに役立ち得る。
【0037】
幾つかの実施形態において、電話機10は、ディスプレイ11を介する場合を除き、電話機10の前面へのユーザ入力を受けなくてもよい。したがって、電話機10の前面がボタンを含まなくてもよく、また、任意のボタンが電話機10の1つ以上の側面に配置されてもよい。好適には、そのような形態は、特定の実施形態において、電話機10の人間工学を改善し(例えば、ユーザがフロントボタンに手を伸ばす必要がないようにすることにより)、電話機10のディスプレイ11のために利用可能なスペースの大きさを増大させることができる。
【0038】
モジュールコネクタ20は、モジュールと交換可能に結合して、モジュール又はモジュールに結合される1つ以上の他の機器から電力又はデータを受信し或いはモジュール又はモジュールに結合される1つ以上の他の機器に電力又はデータを送信することができる。モジュールは、カメラ、ディスプレイ、ビデオゲームコントローラ、スピーカ、バッテリ、入出力拡張器、ライト、レンズ、プロジェクタ、及び、それらの組み合わせなどを含むことができる。更に、モジュールは、その開示全体が参照により本願に組み入れられる米国特許出願公開第2017/0171371号に記載されるような電話機10に結合される一連の接続モジュールを形成するために1つ以上の他のモジュールに積み重ねられてもよい。
【0039】
モジュールコネクタ20は、モジュールの対応するコネクタ上の接点と係合してデータを電子的に通信する複数の接点(例えば、他の可能性の中でも特に、3列の44個の接点又は1列の13個の接点)を含むことができる。複数の接点は、バネ荷重コネクタ又はモジュールの接点と係合できる。幾つかの実装形態において、電話機10は、モジュールに磁気的に取り付けられ又はモジュールを支持することができ、また、電話機10及びモジュールはそれぞれ、電話機10を引き付けて強固に結合させる磁石を含むことができる。電話機10及びモジュールは、電話機10の1つ以上の部分とモジュールの1つ以上の部分との間の摩擦嵌合、インターロック構造、締結具、機械的スナップ表面構造、機械的ラッチ表面構造、機械的締まり嵌め表面構造などを介して部分的に更に結合され得る。
【0040】
機器と1つ以上のモジュールとの間のデータの結合及び通信に関する更なる情報は、米国特許出願公開第2017/0171371号及び米国特許出願公開第2016/0044148号及び米国特許第9,568,808号において見出すことができ、これらの特許の開示内容は、その全体が参照により本願に組み入れられる。
【0041】
電話機10の寸法は特定の実施形態に応じて異なり得る。例えば、電話機10は、おおよそ、高さが100mm、幅が50mm、厚さが15mmとすることができる。他の例において、電話機10は、おおよそ、高さが150mm、幅が70mm、厚さが10mmとすることができる。更なる他の例において、電話機10は、おおよそ、高さが130mm、幅が70mm、厚さが10mmとすることができる。更に別の例において、電話機10は、おおよそ、高さが120mm、幅が60mm、厚さが10mmとすることができる。ディスプレイ11は、例えば、4インチ、4.5インチ、5インチ、5.5インチ、5.7インチ、6インチ、6.5インチ、7インチ、又は、7.5インチのディスプレイとすることができる。
【0042】
図1Cは、カメラモジュール30に取り付けるように位置決めされる電話機10の側面図を示し、また、図1Dは、電話機10とカメラモジュール30とを取り付けたときの斜視図を示す。カメラモジュール30は、単独で又は電話機10と組み合わせて、本明細書中に記載される1つ以上の圧縮技術又は他の機能を実装することができる。カメラモジュール30は、磁石34A,34Bと入力36とを支持するハウジングを含むことができる。磁石34A,34Cは、電話機10に対するハウジングの結合を容易にすることができる。入力36は、カメラモジュール30へのユーザ入力を受けてモードの変更又はビデオの捕捉開始のようなカメラモジュール30の動作を制御するために使用され得る。図1C及び図1Dには示されないが、カメラモジュール30は、カメラモジュール30のハウジングの図1Cに示される側とは反対の側に磁石を含み、その反対の側を電話機10のハウジングに結合することもできる。
【0043】
カメラモジュール30は、1つ以上の他の光学モジュールと交換可能であってもよい光学モジュール38に更に結合され得る。光学モジュール38は、例えば、目標位置に物体の画像を形成するために、レンズ、シャッター、プリズム、ミラー、アイリスなどの1つ以上の光学素子を含むことができる。カメラモジュール及び光学モジュールの実施形態並びにカメラモジュール及び光学モジュールを結合するための手法は、その開示全体が参照により本願に組み入れられる米国特許出願公開第2017/0171371号に更に記載される。
【0044】
光学モジュール38は取り外し可能なレンズ39及びレンズマウント41を含むことができ、この場合、レンズ39は、レンズマウント41の開口(図示せず)に挿入された後、レンズを所定位置に固定するべく回転されてもよい。1つの実施形態において、レンズマウント41は、レンズ39の取り外しを可能にするボタン又は他のタイプの制御器を含むことができる。例えば、ユーザは、ユーザがレンズ39を反対方向に回転させてレンズ39をレンズマウント41の開口部から取り外すことができるようにするインタフェース要素を押す又はさもなければインタフェース要素と相互作用することができる。幾つかの実施形態において、レンズマウント41自体は、穴45A、45B、45C、45Dを介して、例えば各穴に取り付けネジを挿通することにより取り外し可能及び再取り付け可能である。レンズマウント41又はレンズ39は、例えば、参照によりその全体が本願に組み入れられる米国特許第9,568,808号に記載されているものの1つとすることができる。
【0045】
カメラモジュール30は、モジュールコネクタ20と同様又は同じモジュールコネクタ31を含むことができ、このモジュールコネクタ31は、更なるモジュールと交換可能に結合(例えば、更なるモジュールの対応するコネクタの接点と係合)できるとともに、モジュール又はモジュールに結合される1つ以上の他の機器から電力又はデータを受ける或いはモジュール又はモジュールに結合される1つ以上の他の機器に電力又はデータを送ることができる。更なるモジュールは、カメラ、ディスプレイ、ビデオゲームコントローラ、スピーカ、バッテリ、入出力拡張器、ライト、レンズ、プロジェクタ、又は、それらの組み合わせなどを含むことができる。1つの例において、モジュールコネクタ31に接続される更なるモジュールは、入出力拡張器であってもよく、ユーザがカメラモジュール30の動作を制御できるようにする1つ以上の更なる入力を含むことができる。更なるモジュールは、更なるモジュールがレンズマウント41の配置又は使用を妨げることなく或いはカメラモジュール30内のイメージセンサからのレンズ39を通じた視界を妨げることなくモジュールコネクタ31に対する更なるモジュールの対応するコネクタの結合を可能にする形状因子を更に有してもよい(例えば、更なるモジュールは、モジュールコネクタ31を含むカメラモジュール30の表面全体を覆わなくてもよい)。幾つかの実施において、更なるモジュールは、カメラモジュールに磁気的に取り付けることができ又はカメラモジュールによって支持され得るとともに、更なるモジュール及びカメラモジュール30はそれぞれ、これらの2つを引き付けて強固に結合させる磁石を含むことができる。それに加えて又は代えて、少なくとも摩擦嵌合、インターロック構造、締結具、機械的スナップ表面構造、機械的ラッチ表面構造、機械的締まり嵌め表面構造などを介して結合を達成することができる。
【0046】
図2は、ビデオカメラ40の斜視図を示す。ビデオカメラ40は、ブレインモジュール42、レンズマウントモジュールインタフェース44、及び、レンズ46を含むことができる。ビデオカメラ40は、本明細書中に記載される圧縮技術又は他の特徴のうちの1つ以上を実装することができる。ビデオカメラ40及びその構成要素の実施形態は、その全体の開示が参照により本願に組み入れられる米国特許出願公開第2016/0295096号及び米国特許出願公開第2017/0171371号により詳細に記載されている。
【0047】
図3Aは、本明細書中に記載される圧縮技術又は他の特徴のうちの1つ以上を実装できる画像捕捉機器50を示す。画像捕捉機器50は、幾つかの実施形態において、電話機10、カメラモジュール30、又は、ビデオカメラ40の一部であってもよく或いはこれらの一部として組み込まれ得る。画像捕捉機器50は、光学素子51、画像センサ52(又は複数の画像センサ)、画像処理システム53、圧縮システム54、及び、メモリデバイス55を支持するように構成されるハウジングを含むことができる。幾つかの実施において、画像捕捉機器50はマルチメディアシステム56を更に含むことができる。画像センサ52、画像処理システム53、圧縮システム54、及び、マルチメディアシステム56は、画像捕捉機器50の動作中にハウジング内に収容されてもよい。メモリデバイス55も、ハウジング内に収容又は装着され得る、ハウジングの外部に装着され得る、又は、画像捕捉機器50の外部の有線又は無線通信により接続され得る。
【0048】
光学素子51は、入ってくる画像を画像センサ52に収束させるように構成される少なくとも1つのレンズを有するレンズ系の形態と成すことができる。幾つかの実施形態において、光学素子51は、可変ズーム、絞り、及び、焦点をもたらすマルチレンズ系の形態を成すことができる。光学素子51は、ハウジングによって支持されるレンズソケットの形態を成して、例えば複数の異なるタイプのレンズ系を受けることができるが、制限なく、光学素子51は、50-100ミリメートル(F2.8)ズームレンズ、18-50ミリメートル(F2.8)ズームレンズ、300ミリメートル(F2.8)レンズ、15ミリメートル(F2.8)レンズ、25ミリメートル(F1.9)レンズ、35ミリメートル(F1.9)レンズ、50ミリメートル(F1.9)レンズ、85ミリメートル(F1.9)レンズ、又は、任意の他のレンズを含む様々なサイズのレンズ系を受けるように構成されるソケットを含むことができる。前述のように、光学素子51は、それに対してレンズが取り付けられるにもかかわらず、画像を画像センサ52の感光面上に収束させることができるように構成され得る。そのようなレンズ系に関する更なる情報は、その開示全体が参照により本願に組み入れられる米国特許第9,568,808号において見出すことができる。
【0049】
画像センサ52は、例えば、CCD、CMOS、Foveon(登録商標)センサなどの垂直に積み重ねられたCMOS機器、又は、光をセンサ間で分割するためにプリズムを使用するマルチセンサアレイを含むがこれらに限定されない任意のタイプのビデオ感知機器となり得る。画像センサ52は、画像センサ52の個々のフォトセルによって検出される赤、緑、又は、青の光の大きさを表わすデータを出力するベイヤーパターンフィルタなどのカラーフィルタアレイを更に含むことができる。幾つかの実施形態において、画像センサ52は、約1200万個のフォトセルを有するCMOS機器を含むことができる。しかしながら、他のサイズのセンサも使用できる。幾つかの形態において、ビデオカメラ10は、「2k」(例えば、2048×1152ピクセル)、「4k」(例えば、4,096×2,540ピクセル)、「4.5k」、「5k」、「6k」、「8k」、又は、「16k」以上の解像度でビデオを出力するように構成され得る。本明細書中で使用される「xk」(上記の「2k」及び「4k」など)の形式で表現される用語では、「x」量がおおよその水平解像度を指す。したがって、「4k」解像度は約4000以上の水平ピクセルに対応し、「2k」解像度は約2000以上のピクセルに対応する。現在市販されているハードウェアを使用すると、画像センサ52は、約0.5インチ(8mm)程度に小さくすることができるが、約1.0インチ以上にすることができる。更に、画像センサ52は、画像センサ52の所定の部分のみを選択的に出力することによって可変解像度をもたらすことができる。例えば、画像センサ52又は画像処理システム53は、ユーザがビデオデータ出力の解像度を特定できる、設定できる、選択できる、又は、規定できるようにするべく構成され得る。センサ及びセンサからの出力に関する更なる情報は、その開示全体が参照により本願に組み入れられる米国特許第8,174,560号において見出すことができる。
【0050】
画像処理システム53は、画像センサ52からのデータストリームをフォーマットすることができる。画像処理システム53は、例えば、緑、赤、及び、青の画像データを3つ又は4つの別個のデータ編集物に分離することができる。例えば、画像処理システム53は、赤色データを1つの赤色チャネル又はデータ構造に分離する、青色データを1つの青色チャネル又はデータ構造に分離する、及び、緑色データを1つの緑色チャネル又はデータ構造に分離するように構成され得る。また、画像処理システム53は、2×2ベイヤーパターンの対角線方向に隣接する緑色ピクセル間の視差を保持するために緑色を2つの別個の緑色データ構造に分離してもよい。画像処理システム53は、画素値を処理して、画素を結合、減算、乗算、除算、或いはさもなければ、修正し、画像データのデジタル表示を生成することができる。
【0051】
画像処理システム53は、解像度が低減された又は低減されていない画像データをマルチメディアシステム56に出力するように構成されるサブサンプリングシステムを更に含むことができる。例えば、そのようなサブサンプリングシステムは、6K、4K、2K、1080p、720p、又は、任意の他の解像度をサポートするべく画像データを出力するように構成され得る。更に、画像処理システム53は、他のモジュールを含むことができ又はガンマ補正プロセス、ノイズフィルタリングプロセスなどの他のプロセスを実行することができる。画像処理システム53によって与えられる機能の例は、参照によりその全体が本願に組み入れられる米国特許出願公開第2014/0226036号に記載される。
【0052】
圧縮システム54は、図7に関して説明される圧縮手法などの圧縮技術又は他の技術を使用して画像処理システム53からの画像データを圧縮することができる。圧縮システム54は、別個の1つ又は複数のチップ(例えば、FPGA、ASICなど)の形態を成すことができる。圧縮システム54は、ソフトウェア及び他のプロセッサで実装され得る或いはプロセッサ、ソフトウェア、又は、専用チップの組み合わせで実装され得る。例えば、圧縮システム54は、DCTベースのコーデックに従って圧縮技術を実行する1つ以上の圧縮チップを含むことができる
【0053】
圧縮システム54は、レート制御を伴うDCTベースのコーデックを使用して画像処理システム53からの画像データを圧縮することができる。幾つかの実施形態において、圧縮システム54は、ビデオデータの圧縮中に圧縮パラメータを修正又は更新する圧縮技術を実行する。修正又は更新された圧縮パラメータは、目標の又は所望のファイルサイズ、ビデオ品質、ビデオビットレート、又は、これらの任意の組み合わせを達成するように構成され得る。幾つかの実施形態において、圧縮システム54は、ユーザ又は他のシステムが圧縮パラメータを調整して圧縮システム54により出力される圧縮ビデオの品質又はサイズを変更できるようにするべく構成され得る。例えば、画像捕捉機器50は、圧縮システム54に圧縮パラメータを変更させるコマンドをユーザが入力できるようにするユーザインタフェース(図示せず)を含むことができる。
【0054】
圧縮システム54は、画像処理システム53からの画像データをリアルタイムで圧縮することができる。圧縮システム54は、ビデオフレームを圧縮するためにシングルパスを使用して圧縮を実行することができる。これは、幾つかの圧縮システムで使用される中間フレームメモリの使用を排除して複数の圧縮パスを実行する又は中間フレームメモリに記憶される1つ以上の以前のビデオフレームからのコンテンツに基づいて現在のビデオフレームを圧縮するために使用され得る。これは、オンボードビデオ圧縮を伴うビデオカメラのコスト及び複雑さを軽減できる。圧縮システム54は、画像データのフレームレートが少なくとも23フレーム/秒(fps)、少なくとも約24fps(例えば、23.976fps)、少なくとも約25fps、少なくとも約30fps(例えば29.97fps)、少なくとも約48fps、少なくとも約50fps、少なくとも約60fps(例えば59.94fps)、少なくとも約120fps、少なくとも約240fps、又は、約240fps以下であるときに画像処理システム53からの画像データをリアルタイムで圧縮できる。圧縮されたビデオは、その後、メモリデバイス55に送信され得る。
【0055】
メモリデバイス55は、例えば、これらに限定されないが、ハードディスク、フラッシュメモリ、又は、任意の他のタイプのメモリなどの任意のタイプのデジタル記憶装置の形態を成すことができる。幾つかの実施形態において、メモリデバイス55のサイズは、12メガピクセル解像度、12ビットカラー解像度、及び、60fpsでの少なくとも約30分のビデオに対応する圧縮システム54からの画像データを記憶するのに十分大きくなり得る。しかしながら、メモリデバイス55は任意のサイズを有することができる。
【0056】
マルチメディアシステム56を含む実施形態において、マルチメディアシステム56は、ユーザが動作中に画像センサ52により捕捉されるビデオ画像或いは圧縮システム54又はメモリデバイス55から受信されるビデオ画像を見ることができるようにし得る。幾つかの実施において、画像処理システム53は、解像度が低下した画像データをモニタシステム56に出力するように構成されるサブサンプリングシステムを含むことができる。例えば、そのようなサブサンプリングシステムは、「2k」1080p、720p又は任意の他の解像度をサポートするべくビデオ画像データを出力するように構成され得る。また、デモザイクのために使用されるフィルタは、ダウンサンプリング及びフィルタリングを同時に実行できるように、ダウンサンプリングフィルタリングを実行するべく適合され得る。マルチメディアシステム56は、画像処理システム53からのデータに対して任意のタイプの解凍プロセス又はモザイク解除プロセスを実行することができる。例えば、マルチメディアシステム56は、本明細書中に記載されるように圧縮されたデータを解凍することができる。その後、マルチメディアシステム56は、モザイク解除又は解凍された画像データをマルチメディアシステム56のディスプレイ又は他のディスプレイに対して出力することができる。
【0057】
図3Bは、幾つかの実施形態に係る画像捕捉機器50の更なる構成要素を示す。特に、図3Bは、図3Aよりも多くの画像捕捉機器50の実施形態の実施の詳細を描く。図示のように、画像捕捉機器50は更にフレームメモリ63と通信している。フレームメモリ63は、図4のRAM113などのDRAMであってもよい。
【0058】
画像捕捉機器50は画像処理ユニット60を更に含む。図示のように、画像処理ユニット60は、画像処理システム53、圧縮システム54、及び、オンチップメモリ62を含むことができる。オンチップメモリは例えばSRAMであってもよい。画像処理ユニット60の構成要素の一部又は全部は、画像捕捉機器50によって捕捉される画像データ(例えば、圧縮生ビデオ画像データ)の処理及び記憶のための使用に専用のものとなることができ、画像捕捉機器50と関連付けられる電話機能を実装するためなどの他の目的のために使用されなくてもよい。
【0059】
画像処理ユニット60は、実施に応じて、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、それらの組み合わせなどを含むことができる1つ以上の集積回路、チップ、又は、チップセットを含むことができる。特定の実施形態によれば、オンチップメモリ62は、画像処理システム23及び圧縮システム54などの画像処理ユニット60の他の構成要素と同じ機器(例えば、ASIC、FPGA、又は、他のチップ)内に配置され得る。例えば、画像処理ユニット60は、画像処理システム53、圧縮システム54、及び、オンチップメモリ62を実装するASIC又はFPGAを含むことができる。したがって、特定の実施形態によれば、オンチップメモリ62を「オンチップ」メモリと称することができ、一方、フレームメモリ63を「オフチップ」メモリと称することができる。
【0060】
図示のように、フレームメモリ63は、画像処理ユニット60とは別個に実装することができ、DRAMであってもよい。例えば、1つの実施形態において、フレームメモリ63及び画像処理ユニット60はそれぞれ、別個のパッケージに実装されて共通のプリント回路基板上に実装されるASIC及びFPGAである。フレームメモリ63は、処理目的で画像フレーム全体(例えば、1つの画像フレームのピクセルデータの全て又はほぼ全て)を同時に記憶するために使用され得る。例えば、フレームメモリ63は、幾つかの例としてのピクセル欠陥補正又はピクセルパターンノイズ補正などの特定の画像処理ステップ中に画像フレーム全体を記憶するために画像処理システム53によって使用され得る。特定の実施形態によれば、フレームメモリ63が幾つかのそのようなステップのために使用されてもよいが、画像捕捉機器50は、圧縮のためにフレームメモリ63を利用せずに圧縮生ビデオ画像データが処理される画像処理パイプラインを実装する。例えば、幾つかの実施形態における圧縮システム54は、例えば図6に関して本明細書中に記載される圧縮スキームのいずれかであり得るDCTベースの圧縮スキームを実装する。そのようなDCTベースの圧縮スキームはメモリ要件が比較的軽量となり得るため、圧縮システム61は、圧縮中にフレームメモリ63又は任意の他のフレームメモリではなくオンチップメモリ62を利用して圧縮を実行できる。
【0061】
圧縮中にフレームメモリの使用を回避することは、消費電力を大幅に削減でき、動きベクトルの計算にフレームメモリの使用を伴う他の特定の圧縮技術とは対照的である。例えば、本明細書中に記載される特定のDCTベースの圧縮技術によれば、圧縮システム54は、任意の所定の時間にビデオ画像フレームの離散セクション(例えば、フル画像フレームよりも小さいセクション)に作用し、処理直後にビデオ画像フレームの離散セクションを破棄する。例えば、1つの実施形態において、圧縮システム54は、一度にピクセルの32個の水平ラインのためのデータに作用し、圧縮目的でピクセルデータの64個のラインに対応するオンチップメモリ62内の記憶量のみを利用する(現在圧縮されているピクセルデータ32個のラインの画像データを保持するとともに、圧縮されるべき次の32個のラインのための画像データを保持するため)。実施形態に応じて、電力消費量は、様々な実施形態に従って画像捕捉機器50が動作中に約15又は20W未満を消費し且つ幾つかの実施形態では約10W~20W、約10W~25W、又は、約5W~25Wを消費するように減少され得る。例えば、幾つかの実施形態によれば、画像処理機器50の撮像構成要素(例えば、画像処理機器50のカメラ関連構成要素)は、約10W又は15W未満(例えば、約4W~10W又は約6W~10W)を消費し、一方、残りの非撮像構成要素(例えば、電話構成要素、ディスプレイ構成要素など)は、約10W未満(例えば、約3W~10W又は約5W~10W)を消費する。
【0062】
本明細書中に記載される圧縮技術は、復号/解凍速度の向上を可能にし得る。例えば、DCTベースの生圧縮技術は、DCTアルゴリズムが解凍中に高度に並列化された数学演算の使用を可能にするため、解凍を増進でき、それにより、グラフィックス処理ユニットを効率的に使用できる。実施形態に応じて、本明細書中に記載される生圧縮技術は、約1/23、1/24、1/25、又は、1/120秒以下でビデオ画像フレームの解凍を可能にすることができ、それにより、フレームレートに応じたリアルアタイムな解凍を可能にし得る。
III.画像データ処理
【0063】
図4は、電話機10、カメラモジュール30、ビデオカメラ40、又は、画像捕捉機器50などの画像捕捉機器によって実行可能なビデオ画像データを処理するための例示的なプロセスを示すフローチャート400である。フローチャート400は、メモリデバイス55、ROM112、RAM113、又は、メモリ175などのメモリデバイスに記憶される制御ルーチンを表わすことができる。更に、コントローラ110などのプロセッサが制御ルーチンを実行するように構成され得る。便宜上、フローチャート400は、画像捕捉機器50との関連で説明されるが、代わりに、本明細書中に記載される他のシステム又は図示されない他の適切なコンピュータシステムによって実施されてもよい。フローチャート400は、好適には、特定の実施形態において、携帯電話のような比較的小型の又は低電力のハンドヘルド機器がビデオ画像データを処理できる手法の一例を描く。
【0064】
ブロック402において、画像センサ52は、画像センサ52に入射する光に応じてビデオ画像データを生成することができる。例えば、画像センサ52は、少なくとも毎秒約23フレームで且つ少なくとも2Kの解像度で生のモザイク画像データとしてビデオ画像データを生成することができる。更に、1つ以上の画像センサ202からの出力は、幾つかの実施では、それぞれ、15ビット出力とブラックサン効果用に設定された1ビットとを伴う少なくとも16ビット幅となり得る。画像センサ52は、場合によっては、3Dビデオ画像として処理して最終的に提示するために3Dビデオ画像データを生成するべく使用され得る。
【0065】
ブロック404において、画像処理システム53は、画像センサ52によって生成されるビデオ画像データをプリエンファシスすることができる。生成されたビデオ画像データは、生成されたビデオ画像データの生のピクセルへのロッシー変換を実行することによってプリエンファシスされ得る。プリエンファシスは、特定の実施形態では、望ましくは、ブロック406で処理されるビデオ画像データの量を減らすことができるが、それにもかかわらず、ビデオ画像データ品質を保つ。
【0066】
画像処理システム53は、例えば、生のピクセルを15ビット又は16ビットデータから12ビットデータに変換する区分的線形関数を実行することができる。区分的線形関数の勾配は、調和数列1、1/2、1/3、…、1/15、1/16に従い、256カウントごとに変化する。区分的線形関数の形状は、センサ特性データから画像センサ52に合わせて調整することができ、したがって、センサごとに又はセンサ製造業者ごとに異なり得る。区分的線形関数の入力範囲は、場合によっては、適用され得るブラックオフセットを考慮するべく許容される最大値を超える場合がある。
【0067】
図5は、生のピクセルを15ビットデータから12ビットデータに変換するための区分的線形関数の1つの例をグラフで示すプロット500である。以下の表1は、プロット500に沿ったポイントの例を与える。
【表1】
【0068】
プリエンファシスは、ビット範囲(0~32767を含む15ビット範囲など)内の全てのビデオ画像データ値が同じ情報を伝えるわけではないという理解の下で、画像処理システム53によって実行され得る。各ピクセルでの入射光は、各光レベルで異なるフォトンショットノイズ(PSN)をもたらすポアソンプロセスによって制御され得る。ポアソンランダム分布は、分布の分散が分布の平均に等しい固有の特性を有することができる。これにより、標準偏差が平均の平方根に等しくなる。
この関数から区分的線形関数を構成することにより、この関数の複雑さを軽減できる。この技術を使用すると、プリエンファシスによって付加される更なるノイズを例えば(最悪のシナリオの例ではフォトンショットノイズの1%のような)僅かなパーセンテージまで減らすことができる。
【0069】
変換関数を使用して、復号後にプリエンファシスされた値を変換できる。例えば、擬似コードで表わされる以下の関数を使用して、復号後に12ビットデータを元の15ビットデータに変換することができる。
【0070】
場合によっては、比較的単純な逆関数を有する変換関数(時としてプリエンファシス関数とも称される)を使用することは、並列処理を使用してハードウェアで圧縮画像を復号するのに役立ち得る。例えば、変換関数の一例が比較的単純な逆関数を有する場合、Graphical Processing Unit(GPU)を使用して、解凍後に12ビットデータを元の15ビットデータ形式に比較的迅速に変換できる。
【0071】
プリエンファシス技術に関する更なる情報は、その開示全体が参照により本願に組み入れられる米国特許第8,174,560号において見出すことができる。
【0072】
ブロック406において、圧縮システム54は、画像処理システム53によってプリエンファシスされるビデオ画像データを圧縮することができる。例えば、圧縮システム54は、図6に関して説明されたように又は他の圧縮アルゴリズムを使用してプリエンファシスされたビデオ画像データを圧縮することができる。圧縮システム54は、幾つかの実施では、以下のうちの1つ以上を実行でき、すなわち、(i)フル画像フレームを記憶するフレームメモリを使用せずにビデオ画像データを圧縮でき、(ii)1つのメモリデバイスを使用して且つ1つのメモリデバイスに対してチップ外に位置決めされるメモリを使用せずにビデオ画像データを圧縮でき、(iii)定期的に更新する必要があるダイナミックメモリではなく定期的に更新しなくてもよいスタティックメモリを使用してビデオ画像データを圧縮でき、及び、(iv)クロックのタイミングに従って動作して、5、10、20、又は、30秒或いは1、2、3、5、又は、10分などの期間にわたってクロックが停止しているにもかかわらず、ビデオ画像データを正確に圧縮できる。更に、圧縮システム54を使用して、3Dビデオ画像として提示可能なビデオ画像データを圧縮することができる。
【0073】
図6は、電話機10、カメラモジュール30、ビデオカメラ40、又は、画像捕捉機器50などの画像捕捉機器によって実行可能なビデオ画像データを圧縮するための例示的なプロセスを示すフローチャート600である。フローチャート600は、メモリデバイス55、ROM112、RAM113、又は、メモリ175などのメモリデバイスに記憶される制御ルーチンを表わすことができる。更に、コントローラ110などのプロセッサが制御ルーチンを実行するように構成され得る。便宜上、フローチャート600は、画像捕捉機器50との関連で説明されるが、代わりに、本明細書中に記載される他のシステム又は図示されない他の適切なコンピュータシステムによって実施されてもよい。フローチャート600は、好適には、特定の実施形態において、携帯電話のような比較的小型の又は低電力のハンドヘルド機器がビデオ画像データを圧縮できる手法の一例を描く。
【0074】
ブロック602において、圧縮システム54は、ビデオ画像データをシフト及び分割することができる。ビデオ画像データの値は、データのビット数に依存するビデオ画像データのための中央値に等しい量だけシフトされ得る(例えば、中央値がnビットデータに関して0.5・2となることができ、このことは、12ビットデータの場合に2048を意味する)。このシフトは、更なる処理のために0の値付近の値をシフトできる。また、値は、スライスとマクロブロックとに分割され得る。1つの実施において、スライスの最大サイズは256×32ピクセルである、最大サイズのスライスは左から右へパックされる。各行の最後に未だ幾つかのピクセルが残っている場合、値0のピクセルを最後にパックすることにより、サイズ256×32ピクセル、128×32ピクセル、64×32ピクセル、32×32ピクセル、又は、他のサイズのスライスを作成できる。ピクセルがベイヤーパターンに従う場合、各スライスは、128×16のGreen1、Green2、Red、及び、Blueピクセルを有することができ、また、ピクセルは、Green1、Green2、Red、及び、Blueピクセルの8個のマクロブロック(16×16ピクセル)に更に分割され得る。
【0075】
ブロック604において、圧縮システム54は、離散コサイン変換(DCT)又は他の変換を使用するなど、シフトされて分割されたビデオ画像データを変換することができる。1つの例において、圧縮システム54は、16×16DCTを使用して、シフトされて分割されたビデオ画像データの各マクロブロックを変換することができる。16×16DCTは、特に、場合によっては、8×8DCTよりも高い圧縮効率をもたらすことができる。更に、2次元16×16DCTは、32個の1次元の1×16DCT計算に分離できる。この分離可能性は、特定の実施形態において、圧縮を実行するときに、フレームメモリ(例えば、オンチップメモリ62の複数のライン)よりも小さい容量を有するメモリの使用を有利に促進することができる。変換からの出力は、ビデオ画像データのための変換係数となり得る。
【0076】
ブロック606では、圧縮システム54が変換係数を量子化することができる。量子化は2つの構成要素を含むことができる。第1の構成要素は、1つ以上の量子化テーブルからの量子化テーブル値となり得る。例えば、1つの量子化テーブルをGreen1チャネル及びGreen2チャネルのために使用でき、また、他の量子化テーブルを青チャネル及び赤チャネルのために使用できる。1つ以上の量子化テーブルをフレームヘッダで規定できる。第2の構成要素は量子化スケール係数となり得る。量子化スケール係数は、スライス内の各値に関して同じとなり得る、最小値(例えば1)から最大値(例えば255)まで変化し得る、スライスヘッダで規定され得る、目標スライスサイズを達成するために使用され得る。量子化スケール係数は、少なくとも目標フレームサイズ又は参照によりその全体が本願に組み入れられる米国特許第9,800,875号に記載されるような技術に基づいて決定され得る。量子化スケール係数は、場合によっては、圧縮画像サイズに関係なく特定の品質の圧縮ビデオを生成するために一定に設定されてもよい。1つの実施では、変換係数の量子化値が以下の式1を使用して決定され得る。
【数1】
【0077】
ブロック608において、圧縮システム54は、符号化のために量子化変換係数をスライスごとに配置することができ、それにより、緑、赤、及び、青構成要素がスライス内で別々に符号化されてもよい。1つのスライスのマクロブロックのDC係数は、左から右へ配置され得る。1つのスライスのマクロブロックのAC係数は、(i)スライス内の異なるマクロブロックからの16×16DCTテーブル内の全ての特定の位置AC係数が次々に配置されるように、及び、(ii)異なるAC係数が以下の表2により示されるジグザグスキャン順序により配置されるように、配置可能であり、この場合、表2中のインデックスは、量子化された変換係数のためのシーケンス内の位置を示す。
【表2】
【0078】
ブロック610において、圧縮システム54は、配置された変換係数を範囲及び範囲内の値に分割することができる。DC係数の範囲は、DC係数の想定し得る値の範囲とすることができ、また、AC係数の範囲は、AC係数の想定し得る値の範囲及び0値のグループ化のカウントとすることができる。
【0079】
ブロック612において、圧縮システム54は、配置された係数の範囲をハフマンコードとして符号化するとともに、配置された係数の範囲内の値の少なくとも幾つかをゴロムコードとして符号化することができる。範囲が1つしかない固有値を有する場合、その1つの固有値は、ゴロムコードではなくハフマンコードで符号化されてもよい。範囲が複数の固有値を有する場合、それらの値は、範囲に関するハフマンコードと範囲内の固有値に関するゴロムコードとの組み合わせによって符号化され得る。範囲及び範囲に関するゴロムコードは、製造時に設定されるなど、固定され又は事前に規定されてもよい。しかしながら、範囲に関するハフマンコードは、フレームヘッダで規定されている1つ以上のハフマンテーブルに伴ってフレームごとに異なり得る。符号器は、ハフマン符号化の適応性を使用でき、特定のビデオ画像データのための圧縮効率を最適化するべく次のフレームのために使用されるべき各フレームの終わりに1つ以上のハフマンテーブルを計算してもよい。1つの実施では、ハフマンコードの最大ビット数が12となり得る。
【0080】
スライス内の特定の構成要素のDC係数の値は、DC係数の以前の値からの差として符号化されてもよい。この差は差分係数と称される。スライス内の特定の構成要素のためのDC係数に関する初期値は0に設定され得る。個々のDC係数の値を符号化するために、圧縮システム54は、例えば、(i)個々のDC係数のための差分係数の絶対値を計算できる、(ii)個々のDC係数の範囲に対応するハフマンコードをビットストリームに付加することができる、(iii)個々のDC係数の範囲内の値に対応するゴロムコードをビットストリームに付加することができる、(iv)差分係数がゼロ以外の場合に符号ビット(例えば、正の場合は0、負の場合は1)をビットストリームに付加することができる。
【0081】
以下の表3は、DC符号化テーブルの一例を与える。表のハフマンコード部分は、圧縮統計データが未知となり得る場合に圧縮の開始時にデフォルト表として使用され得る。
【表3】
【0082】
例えば、表3から分かるように、差分係数が20となり得る場合には、ハフマンコードが11となり得る、ハフマンビットが2となり得る、ゴロムコードがGolomb-Rice(4、2)となり得る、及び、符号ビットが0となり得る。他の例として、差分係数が-75となり得る場合には、ハフマンコードが011となり得る、ハフマンビットが3となり得る、ゴロムコードがGolomb-Rice(11、4)となり得る、及び、符号ビットが1となり得る。更に他の例として、差分係数が300となり得る場合には、ハフマンコードが1010となり得る、ハフマンビットが4となり得る、ゴロムコードがGolomb-Rice(44、6)となり得る、及び、符号ビットが0となり得る。
【0083】
AC係数の値は、ゼロの連続とそれに続くゼロ以外の値によって表わされ得る。異なるハフマンコードは、ゼロの連続により先行されるAC係数の値と、ゼロの連続により先行されないAC係数の値とを示すことができる。ゼロでない個々のAC係数の値を符号化するために、圧縮システム54は、例えば、(i)個々のAC係数に関してEACV=|AC value|-1を計算できる、(ii)個々のAC係数が1つ以上のゼロによって先行されるかどうかを決定できる、(iii)個々のDC係数に関するEACVに対応するハフマンコードをビットストリームに付加できる、(iv)EACVが3を超える場合にEACVに対応するゴロムコードをビットストリームに付加できる、及び、(v)符号ビット(例えば、正の場合は0、負の場合は1)をビットストリームに付加できる。更に、ゼロの値を有する個々のAC係数の値を符号化するために、圧縮システム54は、例えば、(i)EACR=AC個のゼロ-1の連続を計算でき、(ii)EACRに対応するハフマンコードをビットストリームに付加できる、(iii)EACRが3を超える場合にEACRに対応するゴロムコードをビットストリームに付加できる。
【0084】
以下の表4は、AC符号化テーブルの一例を与える。表のハフマンコード部分は、圧縮統計データが未知となり得る場合に圧縮の開始時にデフォルト表として使用され得る。
【表4】
【0085】
符号化のために表4がどのように使用され得るのかを例示するために、0、2、0、0、-10、50、0、0、0、0、0の11の係数シーケンスを符号化する一例について説明する。表4から分かるように、1つのゼロの連続の場合には、「AC Run-1」が0となり得る、ハフマンコードが1となり得る、ハフマンビットが1となり得る、及び、ゴロムコードが存在しない場合がある。次に、少なくとも1つのゼロの連続によって先行される値2の場合には、「|AC Value|-1」が1となり得る、ハフマンコードが1111となり得る、ハフマンビットが4となり得る、ゴロムコードが存在しない場合があり、及び、符号ビットが0となり得る。その後、2つのゼロの連続の場合には、「AC Run-1」が1となり得る、ハフマンコードが001となり得る、ハフマンビットが3となり得る、及び、ゴロムコードが存在しない場合がある。次に、少なくとも1つのゼロの連続によって先行される-10の値の場合には、「|AC Value|-1」が9となり得る、ハフマンコードが0011001となり得る、ハフマンビットが7となり得る、ゴロムコードがGolomb-Rice(2、1)となり得る、及び、符号ビットが1となり得る。その後、少なくとも1つのゼロの連続によって先行されない50の値の場合には、「|AC Value|-1」が49となり得る、ハフマンコードが0000100となり得る、ハフマンビットが7となり得る、ゴロムコードがGolomb-Rice(18、3)となり得る、及び、符号ビットが0となり得る。最後に、5つのゼロの残りの連続の場合には、「AC Run-1」が4となり得る、ハフマンコードが011となり得る、ハフマンビットが3となり得る、及び、ゴロムコードがGolomb-Rice(1、0)となり得る。
【0086】
フローチャート600のプロセスの更なる部分として、特定の実施において適合圧縮が実行されてもよい。例えば、圧縮フレームのサイズは、その全体が参照により既に本願に組み入れられる米国特許第9,800,875号に記載される技術を使用するなどして、目標バイト数付近に設定され得る。更に、その全体が参照により既に本願に組み入れられる米国特許第9,800,875号に記載される技術を使用するなどして、各スライスのエントロピー指数を更に計算することができる。エントロピー指数はエントロピー乗数と共に量子化スケール係数を計算するために使用され得る。DCT16×16の範囲は、同じ12ビット入力に関するDCT8×8の範囲よりかなり高くてもよい。
【0087】
場合によっては、生画像データの32個のラインを一度に処理できるため、画像を8つ以上のセクションに垂直に(又は別の方法で)分割できる。個々のセクションを処理した後、これまでの圧縮画像のサイズを利用できる。その後、圧縮画像のサイズを使用して、エントロピー乗数を更新できる。フレーム圧縮の終わりに、圧縮画像のサイズを目標サイズと比較して、エントロピー乗数を更に更新できる。
【0088】
本明細書中の幾つかの例はハフマンコード(又はアルゴリズム)及びゴロムコード(又はアルゴリズム)を使用して符号化範囲又は範囲内の値について説明するが、他のコード(又はアルゴリズム)を使用できる。例えば、ロスレスコード、ロッシーコード、可変長コード、又は、プレフィックスコードが使用されてもよい。
【0089】
幾つかの実施形態では、範囲を符号化するために第1のアルゴリズムを使用でき、また、範囲内の値を符号化するために第2のアルゴリズムを使用できる。第1のアルゴリズムは、場合によっては、第2のアルゴリズムとは異なり得るため、範囲と範囲内の値とが異なって符号化される場合がある。他の例では、第1のアルゴリズムを第2のアルゴリズムと同じにすることができる。
IV.ビデオストリーム仕様
【0090】
本明細書中に開示される1つ以上の手法を使用して圧縮されてもよいビデオ画像データは、ビデオストリーム仕様に従って編成され得る。ビデオストリーム仕様は、幾つかの実施では、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。
【0091】
圧縮ファイルのフレーム構造は、ヘッダ部分とデータ部分とに分割され得る。ヘッダは、ハードウェアに優しいように設計され得る。場合によっては、圧縮が始まる前に、圧縮されたフレームのサイズ以外のヘッダ内の全ての値が知られている場合がある。ファイル形式に改正がなされた場合には、ヘッダバージョンを使用して、例えばオンカメラ又はオフカメラでの再生のために圧縮ファイルを復号してもよい。例えば、ヘッダは600バイトを含むことができる。ヘッダの後には、左から右及び上から下に並べられたスライスが続くことができる。各スライスは整数のバイト数を含むことができる。以下の表5には、ヘッダ構造の1つの例が示される。
【表5】
【0092】
ハフマンテーブル内の個々のエントリは、2バイト(16ビット)幅となり得る。以下の表6により示されるように、ハフマンテーブル構造の最上位ビット(例えば最初の4ビット)はハフマンコードのサイズを表わすことができ、また、ハフマンテーブル構造の最下位ビット(例えば最後の12ビット)は、ゼロでパディングされた左右に揃えられ得るハフマンコード自体を表わすことができる。
【表6】
【0093】
各スライスはヘッダ(例えば9バイト)を有し、該ヘッダの後にはGreen1、Green2、Red、及びBlue構成要素が続く。各構成要素はバイト境界で始まり得る。構成要素が小数バイトを有し得る場合、構成要素にゼロをパディングして完全なバイトを形成できる。以下の表7は、スライス構造の一例を示す。
【表7】
【0094】
以下の表8は、スライスヘッダ構造の一例を示す。スライスヘッダ構造のビット数を指定して、パディングされたビットを値ゼロのハフマンコードと混同しないようにすることができる。構成要素のビット数が8の倍数でない場合、次の構成要素はバイト境界で始まり得る。
【表8】
V.3D画像表示
【0095】
本明細書中に記載される画像捕捉機器のディスプレイ又は画像捕捉機器に接続されるディスプレイ(例えば図1Aの機器10のディスプレイ11)は、幾つかの実施では、3Dディスプレイとなり得る又は3Dディスプレイを含むことができる。3Dディスプレイは、3D画像(時として「多次元コンテンツ」と称される)がユーザにより観察されるように光を生成するべく構成されてもよい。例えば、立体視ディスプレイを使用して、適切な角度で見たとき又は特別に設計されたアイウェアを使用するときに3Dであるようにユーザに見える画像を形成してもよい。少なくとも幾つかの実施形態は、ユーザがディスプレイを動かさずに複数の方向から3D画像を見ることができるように、3D空間にあるように見える画像を生成するべく構成されるディスプレイに関する。ディスプレイは、ユーザの視野内に位置決めされる必要がない場合がある。幾つかの実施形態において、3D画像は、ディスプレイの上側で停止又は浮遊しているように見える場合がある。したがって、ユーザは3D画像を「歩き回って」、画像内のコンテンツが物理的な物体であるかのように画像の様々なビューを観察できる場合がある。
【0096】
3Dディスプレイの幾つかの実施形態は、回折ライトフィールドバックライトシステムを含んでもよい。回折ライトフィールドバックライトシステムは、マルチビュー又は3Dディスプレイと、3Dディスプレイの背面照明用に構成された光源とを含んでもよい。マルチビューディスプレイは、その上に照射された光を複数の方向に向けるように構成される、それぞれが複数の回折格子を含む複数の回折要素を含んでもよい。光が向けられる方向は、回折要素の回折特性に基づいてもよい。一部の実施形態では、複数の方向が3D画像の異なるビューに対応し得る。同じ又は実質的に同様の方向に向けられた複数の光線は、3Dコンテンツの特定のビューに対応する画像を形成することができる。したがって、3Dコンテンツの複数のビューは、複数の回折要素に基づいて複数の方向に表示され得る。本明細書中の実施形態の幾つかの実施は、例えば、「マルチビーム回折格子に基づいたバックライト」と題された米国特許第9,128,226号及び「指向性バックライト」と題された米国特許第9,459,461号に詳細に記載されており、これらの特許の内容はそれぞれそれらの全体が本願に組み入れられる。3Dディスプレイは、2次元(2D)ディスプレイとは別個に動作可能である。3Dディスプレイは、例えば、2Dディスプレイの後ろ又は前に配置されてもよい。したがって、3Dディスプレイ又は2Dディスプレイはそれぞれ、他のディスプレイの使用に影響を与えることなくオン及びオフできる。
【0097】
3D画像を生成するために3Dディスプレイの他の実施形態が想定し得る。例えば、3Dディスプレイは、ホログラムと関連付けられるホログラフィック干渉縞の再構成に基づいて3D画像を表示するように構成されてもよい。干渉縞は、縞模様に記憶された特徴に基づいて再構成されてもよく、また、ディスプレイは、スクリーン上の干渉縞模様を複製するように駆動されるピクセルを含んでもよい。ピクセルは、3Dホログラフィック画像を生成するためにピクセルの干渉縞によって変換され(例えば、位相又は透過率が変化され)得る光源によって照らされる。幾つかの実施は、例えば、「動的画像制御を伴う透明ホログラフィックディスプレイ」と題された米国特許第9,304,491号及び「ホログラフィックディスプレイ」と題された米国特許第6,760,135号において見出されてもよく、これらの特許の内容はそれぞれ、それらの全体が本願に組み入れられる。他の実施形態において、ディスプレイは、例えば、その内容が全体として本願に組み入れられる「ホログラフィックステレオグラムを使用した環境の視覚化の強化」と題された米国特許第7,190,496号に記載されるように、空間光変調器を使用して照明変調される複数のホログラフィックピクセルを含んでもよい。
【0098】
好適には、3Dディスプレイは、特定の実施形態では、レンチキュラーレンズ又はアイトラッキング技術を利用する必要がない場合がある。特定の科学理論に加入することなく、本明細書中の実施形態は、レンチキュラーレンズを使用するディスプレイと比較してより高い解像度を提供でき、3Dディスプレイは標準の2Dディスプレイとは別個に動作可能であってもよく、及び、3Dディスプレイは複数のビューを有する多方向コンテンツを提供する。
【0099】
更に、本明細書中に記載される画像捕捉機器は、幾つかの実施では、3Dディスプレイによる再生のために3D画像を捕捉することができる。例えば、第1のカメラ12、第2のカメラ17、カメラモジュール30の画像センサ、又は、ビデオカメラの画像センサを使用して、3D画像を捕捉することができる。1つの例では、3D画像を捕捉するために第1のカメラ12、第2のカメラ17、又は、カメラモジュール30の画像センサを使用することができ、また、電話機10は、3D画像を記憶し、ディスプレイ11を使用して3D画像を再生することができる。そのような設計により、3D画像のライブ又は同時の捕捉及び表示が容易になる。
【0100】
3Dコンテンツ、ホログラフィックコンテンツ、又は、3Dディスプレイに表示される他のコンテンツは、例えば図3A図6に関連して説明された生画像データを圧縮する技術にしたがうなど、本明細書中に記載される技術のいずれかに従って圧縮され得る。例えば、電話機10は、2つ以上の第1のカメラ12を使用して、第2のカメラ17を使用して、又は、カメラモジュール30の画像センサの1つ以上を使用して(又は、電話機10に取り付けられる異なるカメラモジュールを使用して)、圧縮生画像データを捕捉してもよい。電話機10は、その後、電話機10のメモリデバイス上の1つ以上のファイル又は電話機10に取り付けられるモジュール内のメモリデバイスに圧縮画像データを記録することができる。電話機10は、その後、画像データにアクセスして、それを解凍し、また、必要に応じて3D、ホログラフィックコンテンツなどとしてディスプレイ11上で再生するためにその画像データを準備することができる。電話機10は、幾つかの実施形態によれば、更に、電話機10が記録している間に最初にコンテンツを圧縮及び記憶することなくリアルタイムで3D、ホログラフィック、又は、他のコンテンツを再生できる。
VI.更なる実施形態及び用語
【0101】
図7は、電話機100と通信する画像捕捉機器50を示す。画像捕捉機器50は、例えば、カメラモジュール30の実施形態となり得る、及び、電話機100は、例えば、電話機10の実施形態となり得る。電話機100は、モジュール式であり、本明細書中に記載されるように1つ以上のモジュールに結合され得る。例えば、電話機は、電源60、メモリデバイス62、又は入出力(I/O)機器64、並びに、画像捕捉機器50又は1つ以上の他のモジュール66に機械的又は電気的に接続され得る。更に、電話機100は、電源60、メモリデバイス62、入出力(I/O)機器64、及び、画像捕捉機器50を介して、1つ以上の他のモジュール61、63、65、67のそれぞれと電気的に通信することができ、また、1つ以上の他のモジュール61、63、65、67はそれぞれ、電源60、メモリデバイス62、入出力(I/O)機器64、及び、画像捕捉機器50に結合することができる。モジュラーフォン及びカメラモジュールの実施形態及び特徴は、その開示全体が参照により本願に組み入れられる米国特許出願公開第2017/0171371号に更に記載される。
【0102】
図8は、電話機100の構成要素を示す。電話機100は、サブ通信モジュール130、コネクタ165、及び、イヤホン接続ジャック167などの外部接続機器を使用することにより、外部機器に接続されてもよい。「外部機器」としては、電子機器から取り外し可能で且つケーブルを介して接続される、イヤホン、外部スピーカ、ユニバーサルシリアルバス(USB)メモリ、充電器、クレードル/ドック、デジタルマルチメディアブロードキャスト(DMB)アンテナ、電子決済関連機器、ヘルスケア機器(例えば血糖値テスター)、ゲームコンソール、車両ナビゲーション、携帯電話、スマートフォン、タブレットPC、デスクトップPC、サーバーなどの様々な機器を挙げることができる。
【0103】
電話機100は、タッチスクリーンディスプレイ190及びタッチスクリーンコントローラ195を含む。電話機100は、コントローラ110、モバイル通信モジュール120、サブ通信モジュール130、マルチメディアモジュール140、カメラモジュール150、全地球測位システム(GPS)モジュール155、入出力モジュール160、センサモジュール170、メモリ175、及び、電源180も含む。サブ通信モジュール130は、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)131及び短距離通信モジュール132のうちの少なくとも一方を含み、また、マルチメディアモジュール140は、ブロードキャスト通信モジュール141、オーディオ再生モジュール142、及び、ビデオ再生モジュール143のうちの少なくとも1つを含む。入出力モジュール160は、ボタン161、マイクロフォン162、スピーカ163、振動モータ164、コネクタ165、及び、キーパッド166のうちの少なくとも1つを含む。加えて、電子機器100は、1つの方向に面する第1の光153及び他の方向に面する第2の光154を含む1つ以上の光を含むことができる。
【0104】
コントローラ110は、中央処理装置(CPU)111、電話機100を制御するためのオペレーティングシステム(OS)などの制御プログラムを記憶するためのリードオンリーメモリ(ROM)112、及び、外部ソースから入力された信号又はデータを記憶するための又は電話機100の作業結果のためのメモリ空間として使用されるためのランダムアクセスメモリ(RAM)113を含んでもよい。CPU111は、シングルコア、デュアルコア、トリプルコア、又は、クアッドコアを含んでもよい。CPU111、ROM112、及び、RAM113は、内部バスを介して相互に接続されてもよい。
【0105】
コントローラ110は、モバイル通信モジュール120、サブ通信モジュール130、マルチメディアモジュール140、カメラモジュール150、GPSモジュール155、入出力モジュール160、センサモジュール170、メモリ175、電源180、タッチスクリーンディスプレイ190、及び、タッチスクリーンコントローラ195を制御してもよい。
【0106】
モバイル通信モジュール120は、コントローラ110の制御下で、少なくとも1対1アンテナ又は1対多アンテナを使用したモバイル通信を介して電子機器100を外部機器に接続する。モバイル通信モジュール120は、電話機100に入力される電話番号を持つ電話機を用いて、携帯電話、スマートフォン、タブレットPC、又は、他の機器に/から、音声通話、ビデオ会議通話、ショートメッセージサービス(SMS)メッセージ、又は、マルチメディアメッセージサービス(MMS)メッセージのための無線信号を送信する/受信する。
【0107】
サブ通信モジュール130は、WLANモジュール131及び短距離通信モジュール132の少なくとも1つを含んでもよい。例えば、サブ通信モジュール130は、WLANモジュール131又は短距離通信モジュール132のいずれか又は両方を含んでもよい。
【0108】
WLANモジュール131は、コントローラ110の制御下で、無線アクセスポイント(AP)がある場所でインターネットに接続されてもよい。WLANモジュール131は、WLAN電気電子学会(IEEE)802.11x標準規格をサポートする。短距離通信モジュール132は、コントローラ110の制御下で、電話機100と画像レンダリング機器との間の短距離通信を行なってもよい。短距離通信としては、BLUETOOTH SPECIAL INTEREST GROUP、INCから市販されている2.4 GHz帯域の短距離無線通信技術であるBLUETOOTH(商標)と互換性のある通信、Infrared Data Association(IrDA)、WI-FI(商標)DIRECT、WI-FI ALLIANCE、NFCから市販されているコンピューターネットワークを介したデータ交換のための無線技術などを挙げることができる。
【0109】
電話機100は、電話機100の性能要件に基づいて、モバイル通信モジュール120、WLANモジュール131、及び、短距離通信モジュール132のうちの少なくとも1つを含んでもよい。例えば、電話機100は、電話機100の性能要件に基づいて、モバイル通信モジュール120、WLANモジュール131、及び、短距離通信モジュール132の組み合わせを含んでもよい。
【0110】
マルチメディアモジュール140は、ブロードキャスト通信モジュール141、オーディオ再生モジュール142、又は、ビデオ再生モジュール143を含んでもよい。ブロードキャスト通信モジュール141は、コントローラ110の制御下で放送局から放送通信アンテナを介して送信される放送信号(例えば、テレビ放送信号、ラジオ放送信号、又は、データ放送信号)及び更なる放送情報(例えば、電気番組ガイド(EPG)又は電気サービスガイド(ESG))を受信してもよい。オーディオ再生モジュール142は、コントローラ110の制御下で記憶又は受信されたデジタルオーディオファイル(例えば、mp3、wma、ogg、又は、wayなどの拡張子を有するファイル)を再生することができる。ビデオ再生モジュール143は、コントローラ110の制御下で記憶又は受信されたデジタルビデオファイル(例えば、mpeg、mpg、mp4、avi、move、又はmkvなどの拡張子を有するファイル)を再生することができる。また、ビデオ再生モジュール143はデジタルオーディオファイルを再生してもよい。
【0111】
マルチメディアモジュール140は、ブロードキャスト通信モジュール141を除いて、オーディオ再生モジュール142及びビデオ再生モジュール143を含んでもよい。マルチメディアモジュール140のオーディオ再生モジュール142又はビデオ再生モジュール143は、コントローラ110に含まれてもよい。
【0112】
カメラモジュール150は、コントローラ110の制御下で静止画像又はビデオ画像を捕捉するための1つ以上のカメラを含んでもよい。更に、1つ以上のカメラは、画像を捕捉するための光量を与えるための補助光源(例えばフラッシュ)を含んでもよい。1つの例では、1つ以上のカメラが電話機100の前面に配置されてもよく、また、1つ以上の他のカメラが電話機100の後面に配置されてもよい。幾つかの実施では、3次元(3D)静止画像又は3Dビデオ画像を捕捉する2つ以上のカメラが互いに隣接して配置されてもよい(例えば、2つ以上のカメラ間の距離がそれぞれ1cm~8cmの範囲であってもよい)。
【0113】
GPSモジュール155は、地球の周りの軌道にある複数のGPS衛星から無線信号を受信し、また、GPS衛星から電話機100への到着時間を使用することにより電話機100の位置を計算してもよい。
【0114】
入出力モジュール160は、複数のボタン161、マイクロフォン162、スピーカ163、振動モータ164、コネクタ165、及び、キーパッド166のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0115】
ボタン161のうちの少なくとも1つは、電話機100のハウジングの前面、側面、又は、後面に配置されてもよく、電源/ロックボタン、音量ボタン、メニューボタン、ホームボタン、戻るボタン、検索ボタンのうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0116】
マイクロフォン162は、コントローラ110の制御下で声又は音を受信することにより電気信号を生成する。
【0117】
スピーカ163は、コントローラ110の制御下で、モバイル通信モジュール120、サブ通信モジュール130、マルチメディアモジュール140、又は、カメラモジュール150からの様々な信号(例えば、ラジオ信号、放送信号、デジタルオーディオファイル、デジタルビデオファイル又は写真信号)に対応する音を外部に出力してもよい。スピーカ163は、電子機器100によって実行される機能に対応する音(例えば、ボタンを押す音又は呼び出し音)を出力してもよい。電話機100のハウジング上又はハウジング内の少なくとも1つの位置に配置された1つ以上のスピーカ163が存在してもよい。
【0118】
振動モータ164は、コントローラ110の制御下で電気信号を機械的振動に変換してもよい。例えば、振動モードの電話機100は、他の機器から音声通話を受信するときに振動モータ164を作動させる。電話機100のハウジング内に少なくとも1つの振動モータ164が存在してもよい。振動モータ164は、タッチスクリーンディスプレイ190上でのタッチ行為又はユーザの連続タッチに応答して動作してもよい。
【0119】
コネクタ165は、電話機100を外部機器又は電源に接続するためのインタフェースとして使用されてもよい。コントローラ110の制御下で、電話機100は、コネクタ165に接続されたケーブルを介して電子機器100のメモリ175に記憶されたデータを外部機器に送信してもよく又は外部機器からデータを受信してもよい。更に、電話機100は、コネクタ165に接続されたケーブルを介して電源により給電されてもよく、又は、電源を使用してバッテリを充電してもよい。
【0120】
キーパッド166は、電話機100を制御するためにユーザからキー入力を受けてもよい。キーパッド166は、電話機100に形成される機械的キーパッド、又は、タッチスクリーンディスプレイ190に表示される仮想キーパッドを含む。電話機100に形成される機械的キーパッドは、電話機100の性能要件又は構造に応じて、電話機100の実装から随意的に省かれてもよい。
【0121】
イヤホンは、イヤホン接続ジャック167に挿入されてもよく、したがって、電話機100に接続されてもよい。
【0122】
スタイラスペン168は、電話機100に挿入されて取り外し可能に保持されてもよく、引き出されて電話機100から取り外されてもよい。
【0123】
スタイラスペン168の着脱に応じて動作するペン取り外し可能な認識スイッチ169は、スタイラスペン168が取り外し可能に保持される電話機100内の領域に装備され、スタイラスペン168の着脱に対応する信号をコントローラ110へ送信する。スタイラスペン168が領域に挿入されると、ペン取り外し可能認識スイッチ169は、スタイラスペン168と直接又は間接的に接触してもよい。ペン取り外し可能認識スイッチ169は、直接又は間接接触に基づいてスタイラスペン168の取り付け又は取り外しに対応する信号を生成し、その信号をコントローラ110に与える。
【0124】
センサモジュール170は、電話機100の状態を検出するための少なくとも1つのセンサを含む。例えば、センサモジュール170としては、電話機100へのユーザの近接を検出するための近接センサ、電子機器100の周囲光の量を検出するための照明センサ、電話機100の動き(例えば、電話機100の回転、電話機100に加えられる加速度又は振動)を検出する動きセンサ、地磁場を使用してコンパスのポイントを検出するための地磁気センサ、重力方向を検出するための重力センサ、及び、大気圧を測定することにより高度を検出するための高度計を挙げることができる。少なくとも1つのセンサは、状態を検出して、対応する信号を生成し、コントローラ110に送信してもよい。センサモジュール170のセンサは、電話機100の性能要件に応じて付加又は削除されてもよい。
【0125】
メモリ175は、コントローラ110の制御下で、モバイル通信モジュール120、サブ通信モジュール130、マルチメディアモジュール140、カメラモジュール150、GPSモジュール、入出力モジュール160、センサモジュール170、タッチスクリーンディスプレイ190の動作に従って入力される/出力される信号又はデータを記憶してもよい。メモリ175は、電話機100又はコントローラ110を制御するための制御プログラム及びアプリケーションを記憶してもよい。
【0126】
「ストレージ」という用語は、メモリ175を指すことができ、また、コントローラ110内のROM112、RAM113、又は、電話機100に組み込まれるメモリカード(例えば、セキュアデジタル(SD)カード、メモリスティックなど)を指すこともできる。また、ストレージは、不揮発性メモリ、揮発性メモリ、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)などを含んでもよい。
【0127】
電源180は、コントローラ110の制御下で、電話機100のハウジング内に配置される少なくとも1つのバッテリから電力を供給してもよい。したがって、少なくとも1つのバッテリは電話機100に給電できる。電源180は、コネクタ165に接続されたケーブルを介して外部電源から入力される電力を電話機100に供給してもよい。電源180は、無線充電技術を使用して外部電源から無線電力を電話機100に供給してもよい。
【0128】
タッチスクリーンコントローラ195は、コントローラ110によって処理される情報(例えば、通話、データ送信、放送、又は、写真撮影を行うために生成されるべき情報)を受信して、その情報をタッチスクリーンディスプレイ190に表示されるべきデータに変換するとともに、そのデータをタッチスクリーンディスプレイ190に与える。タッチスクリーンディスプレイ190は、タッチスクリーンコントローラ195から受信されるデータを表示する。例えば、通話モードにおいて、タッチスクリーンディスプレイ190は、通話に関するユーザインタフェース(UI)又はグラフィックユーザインタフェース(GUI)を表示してもよい。タッチスクリーンディスプレイ190は、液晶ディスプレイ、薄膜トランジスタ-液晶ディスプレイ、有機発光ダイオード、フレキシブルディスプレイ、3Dディスプレイ(例えば、本明細書中に記載される3D画像を与えるため)、マルチビューディスプレイ、電気泳動ディスプレイ、又は、それらの組み合わせなどのうちの少なくとも1つを含んでもよい。タッチスクリーンディスプレイ190は、更に、2Dビデオ画像、3Dビデオ画像、及び、2D/3D仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、及び、混合現実(MR)を含むなど、本明細書中に記載されるようなビデオ画像を提示するために使用され得る。幾つかの実施において、電話機100は、タッチスクリーンディスプレイ190又は電話機100の他のディスプレイ上など、提示用のホログラフィックビデオ画像を処理して出力するホログラフィックモジュールを更に含む。
【0129】
タッチスクリーンディスプレイ190は、出力機器として、また、入力機器としても使用することができ、また、後者の場合、タッチスクリーンとして動作するタッチスクリーンパネルを有することができる。タッチスクリーンディスプレイ190は、UI又はGUIへの少なくとも1つのタッチに対応するアナログ信号をタッチスクリーンコントローラ195に送信してもよい。タッチスクリーンディスプレイ190は、ユーザの物理的接触(例えば、親指を含む指による接触)による又はタッチ可能な入力機器(例えば、スタイラスペン)による少なくとも1つのタッチを検出してもよい。また、タッチスクリーンディスプレイ190は、少なくとも1つのタッチのうちでタッチのドラッグ移動を受信し、ドラッグ移動に対応するアナログ信号をタッチスクリーンコントローラ195に送信してもよい。タッチスクリーンディスプレイ190は、例えば、抵抗方式、容量方式、赤外線方式、音波方式などで少なくとも1つのタッチを検出するように実装されてもよい。
【0130】
「タッチ」という用語は、ユーザの物理的な接触又はタッチ可能な入力機器との接触による物理的なタッチに限定されず、タッチレス近接を含んでもよい(例えば、タッチスクリーンディスプレイ190とユーザの身体又はタッチ可能な入力機器との間で1mm未満の検出可能な距離を維持する)。タッチスクリーンディスプレイ190からの検出可能な距離は、電話機100の性能要件又は電話機100の構造に応じて変化する場合があり、より詳細には、タッチスクリーンディスプレイ190は、タッチ検出及びホバリング検出のための異なる値(例えば、現在の値)を出力して、ユーザの身体又はタッチ可能な入力機器及び非接触入力との接触によって発生したタッチイベント(例えばホバリングイベント)を区別して検出してもよい。更に、タッチスクリーンディスプレイ190は、ホバリングイベントが発生する場所からの距離にわたってホバリング検出のための異なる値(例えば、現在の値)を出力してもよい。
【0131】
タッチスクリーンコントローラ195は、タッチスクリーンディスプレイ190から受信されるアナログ信号をデジタル信号に変換し(例えば、タッチパネル上又はディスプレイスクリーン上のXY座標で)、そのデジタル信号をコントローラ110に送信する。コントローラ110は、タッチスクリーンコントローラ195から受信されるデジタル信号を使用することによりタッチスクリーンディスプレイ190を制御してもよい。例えば、タッチイベント又はホバリングイベントに応じて、コントローラ110は、タッチスクリーンディスプレイ190に表示されるショートカットアイコンを選択又は実行できるようにしてもよい。タッチスクリーンコントローラ195はコントローラ110に組み込まれてもよい。
【0132】
更に、タッチスクリーンコントローラ195は、タッチスクリーンディスプレイ190を介して出力される値(例えば、現在の値)を検出することにより、ホバリングイベントが発生する場所とタッチスクリーンディスプレイ190との間の距離を決定して、決定された距離をデジタル信号(例えば、Z座標)に変換し、そのデジタル信号をコントローラ110に与えてもよい。
【0133】
電話機100の構成要素又はモジュールのうちの1つ以上は、電話機100のハウジングに取り外し可能に結合され得る。この結合を説明するのに役立てるべく、電話機100のハウジングが電話機10であると理解されてもよいが、構成要素又はモジュールの1つ以上は、電話機10の機能を付加する又は削除するためにモジュールコネクタ20を介して電話機10に取り外し可能に結合され得る。1つの例として、電話機10にカメラモジュール30の一部又は全部の機能を与えるために、カメラモジュール30の一部又は全部を電話機10に取り外し可能に結合することができる。
【0134】
本明細書中で示されて説明される特定の電子機器は携帯電話であるが、他のハンドヘルド電子機器の実施形態は、携帯電話ではなく、電話機能を含まない。例えば、幾つかの実施形態は、本明細書中に記載される電子機器と同じ又は同様の外観を有するが、タブレットコンピュータ機器又はデジタルカメラの場合のような電話機能を含まない。それにもかかわらず、そのような実施形態は、本明細書中に記載される非電話構成要素及び機能の任意の組み合わせ、例えば、以下、すなわち、コントローラ110、タッチスクリーンディスプレイ190及びタッチスクリーンコントローラ195、カメラモジュール150、マルチメディアモジュール140、サブ通信モジュール130、第1のライト153、第2のライト154、GPSモジュール155、I/Oモジュール160、及び、メモリ176、又は、これらの一部のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0135】
図9Aは、拡張モジュール900及びカメラモジュール30に取り付けるように位置決めされる電話機10の斜視図を示し、また、図9Bは、電話機10、拡張モジュール900、及び、カメラモジュール30を取り付けたときの斜視図を示す。拡張モジュール900は、電話機10の容量を増強するためにメモリデバイス、バッテリ、又は、他の構成要素を含むことができる。拡張モジュール900は、磁石を支持するハウジングを含むことができ、磁石は、図1C及び図1Dのカメラモジュール30のものと構造及び機能が類似し得る。磁石は、一方側の電話機10及び他方側のカメラモジュール30に対するハウジングの結合を容易にし得る。それに加えて又は代えて、少なくとも摩擦嵌合、インターロック構造、締結具、機械的スナップ表面構造、機械的ラッチ表面構造、機械的締まり嵌め表面構造などを介して結合を達成することができる。
【0136】
拡張モジュール900は、モジュールと交換可能に結合できるとともにモジュール又はモジュールに結合される1つ以上の他の機器から電力又はデータを受信する又はモジュール又はモジュールに結合される1つ以上の他の機器に電力又はデータを送信することができる、モジュールコネクタ20と同様又は同じ、モジュールコネクタ(例えば、カメラモジュール30上の対応するコネクタ(図示せず)に結合するための1つの拡張モジュールコネクタ910との2つのモジュールコネクタ及びモジュールコネクタ20に結合するための他の拡張モジュールコネクタ(図示せず))を含むこともできる。
【0137】
ここでは、場合により、Green1及びGreen2が別々に又は異なって処理されるように記載される場合があるが、Green1とGreen2とが別々に又は異なって処理されてもよく又は処理されなくてもよい。例えば、Green1ピクセル及びGreen2ピクセルは、別個のDCTマクロブロックに分けられ得る又は別個のDCTマクロブロックに分けられなくてもよい。他の例として、Green1ピクセル及びGreen2ピクセルは、別個のスキャンに分けられ得る又は別個のスキャンに分けられなくてもよい。更に他の例において、スライス構造は、Green1及びGreen2のための別個の部分を有することができ又はGreen1及びGreen2のための別個の部分を有さなくてもよい。更なる例において、Green1及びGreen2は、スライスヘッダ構造内で別個のサイズを有することができ又はスライスヘッダ構造内で別個のサイズを有さなくてもよい。
【0138】
本明細書中では、様々な画像捕捉機器(又は機器の特定の構成要素)が1つ以上の機能を果たすように「構成される」として記載される場合がある。本明細書中で使用されるように、このことは、機器が指定された機能を果たす少なくとも1つのモード(例えば、ユーザが選択可能なモード)に機器を設定できることを意味する。例えば、機器は、必ずしも全ての動作モードで指定された機能を果たすとは限らない場合がある。これらのラインに沿って、「構成された」という表現の使用は、機能を果たすように「構成される」べく機器が実際に現在動作モードに設定されなければならないことを意味するのではなく、機器をそのモードに選択的に設定(例えば設定されるようにプログラム)できることを意味するにすぎない。
【0139】
項目のリストの「うちの少なくとも1つ」に言及する本明細書中で使用される表現は、単一の要素を含むそれらの項目の任意の組み合わせを指す。一例として、「a、b又はcのうちの少なくとも1つ」は、a、b、c、a-b、a-c、b-c及びa-b-cを網羅するように意図される。
【0140】
本明細書中に開示される実装に関連して記載される様々な例示的な論理、論理ブロック、モジュール、回路、及び、アルゴリズムステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア又は両方の組み合わせとして実装されてもよい。ハードウェアとソフトウェアの互換性は、機能に関して一般的に説明されており、上記の様々な例示的な構成要素、ブロック、モジュール、回路、及び、ステップに示される。そのような機能がハードウェアで実装されるかソフトウェアで実装されるかは、特定の用途とシステム全体に課される設計上の制約とに依存する。
【0141】
本明細書中に開示される態様に関連して記載される様々な例示的なロジック、論理ブロック、モジュール、及び、回路を実装するために使用されるハードウェア及びデータ処理装置は、シングルチップ又はマルチチッププロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又はその他のプログラマブルロジック機器、ディスクリートゲート又はトランジスタロジック、ディスクリートハードウェアコンポーネント、又は、本明細書中に記載される機能を果たすように設計されたこれらの任意の組み合わせを用いて実装又は実行されてもよい、プロセッサは、マイクロプロセッサ又は任意のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、或いは、状態機械であってもよい。プロセッサは、DSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと組み合わせた1つ以上のマイクロプロセッサ、或いは、任意の他のそのような構成など、電子機器の組み合わせとして実装されてもよい。幾つかの実施において、特定のステップ及び方法は、所定の機能に固有の回路によって実行されてもよい。
【0142】
1つ以上の態様において、記載される機能は、この明細書中に開示される構造及びそのそれらの構造的均等物を含むハードウェア、デジタル電子回路、コンピュータソフトウェア、ファームウェアで又はそれらの任意の組み合わせで実装されてもよい。この明細書中に記載される主題の実装は、1つ以上のコンピュータプログラムとして、例えば、データ処理装置による実行のために又はデータ処理装置の動作を制御するためにコンピュータ記憶媒体で符号化されるコンピュータプログラム命令の1つ以上のモジュールとして実装することもできる。
【0143】
ソフトウェアで実装される場合、機能は、コンピュータ可読媒体上の1つ以上の命令又はコードに記憶され或いはそのような命令又はコードとして送信されてもよい。本明細書中に開示される方法又はアルゴリズムのステップは、コンピュータ可読媒体上に存在し得るプロセッサ実行可能ソフトウェアモジュールで実施されてもよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体、及び、ある場所から他の場所にコンピュータプログラムを転送できるようにし得る任意の媒体を含む通信媒体の両方を含む。記憶媒体は、コンピュータによりアクセスされ得る任意の利用可能な媒体であってもよい。限定ではなく一例として、そのようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROM又は他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージ又は他の磁気記憶デバイス、又は、命令又はデータ構造の形態を成す所望のプログラムコードを記憶するために使用されてもよく且つコンピュータによりアクセスされてもよい任意の他の媒体を含んでもよい。上記の組み合わせもコンピュータ可読媒体の範囲内に含まれ得る。加えて、方法又はアルゴリズムの動作は、コンピュータプログラムプロダクトに組み込まれ得る機械可読媒体上及びコンピュータ可読媒体上のコード及び命令のうちの1つ又は任意の組み合わせ又はセットとして存在してもよい。
【0144】
この開示に記載される実施に対する様々な修正は、当業者に容易に明らかであり、また、本明細書中に規定される一般的な原理は、この開示の思想又は範囲から逸脱することなく他の実施に適用され得る。したがって、特許請求の範囲は、本明細書中に示される実施に限定されるように意図されず、この開示、原理、及び、本明細書中に開示される新規の特徴と一致する最も広い範囲を与えられるべきである。
【0145】
別個の実施との関連においてこの仕様で記載される特定の特徴は、単一の実施で組み合わせて実施することもできる。逆に、単一の実施との関連で記載される様々な特徴は、複数の実施で別個に又は任意の適切な部分的組み合わせで実施することもできる。更に、特徴は、特定の組み合わせで作用するものとして上記で説明され、当初はそのようなものとして特許請求の範囲に記載されもするが、特許請求の範囲に記載される組み合わせからの1つ以上の特徴は、場合によっては、組み合わせから削除可能であり、また、特許請求の範囲に記載される組み合わせは、部分的組み合わせ又は部分的組み合わせの変形を対象としてもよい。
【0146】
文脈が別段に明確に要求しなければ、説明及び特許請求の範囲の全体にわたって、「備える」、「備えている」などの単語は、排他的又は網羅的な意味とは対照的に、包括的な意味で、つまり、「~含むがこれに限定されない」という意味で解釈されるべきである。本明細書中で一般的に使用される「結合」という単語は、直接に接続されるか又は1つ以上の中間要素を介して接続されるかのいずれかであってもよい2つ以上の要素を指す。同様に、本明細書中で一般的に使用される「接続される」という単語は、直接に接続されるか又は1つ以上の中間要素を介して接続されるかのいずれかであってもよい2つ以上の要素を指す。更に、「本明細書中」、「上記」、「以下」という単語及び同様の意味の単語は、この出願で使用される場合、この出願の任意の特定の部分ではなくこの出願全体を指すものとする。文脈が許す場合、単数又は複数の数字を使用する上記の詳細な説明の単語はそれぞれ複数又は単数を含む場合がある。
2つ以上の項目のリストを参照する「又は」という単語は、その単語の以下の全ての解釈、すなわち、リスト内の項目のいずれか、リスト内の全ての項目、及び、リスト内の項目の任意の組み合わせを網羅する。
【0147】
更に、とりわけ、「できる」、「できた」、「してもよい」、「し得る」、「例えば」、「例として」、「など」のような本明細書中で使用される条件付き用語は、特に別段述べられなければ、或いは、使用される文脈内で別な態様で理解されなければ、一般に、特定の実施形態が特定の特徴、要素又は状態を含むが、他の実施形態がそれらを含まないことを伝えるべく意図される。したがって、そのような条件付き用語は、一般に、特徴、要素又は状態が1つ以上の実施形態に何らかの形で必要とされること或いは1つ以上の実施形態が著者の入力又はプロンプトの有無にかかわらずこれらの特徴、要素又は状態が任意の特定の実施形態に含まれる又は任意の特定の実施形態で実行されるかどうかを決定するためのロジックを必然的に含むことを意味するように意図されない。
【0148】
実施形態の上記の詳細な説明は、網羅的である又は上記で開示された正にその形態に限定しているように意図されない。例示の目的で特定の実施形態及び例が上記で説明されるが、当業者が認識するように、本明細書で説明された本発明の範囲内で様々な同等の修正が可能である。例えば、プロセス又はブロックは所定の順序で提示されるが、別の実施形態では、ステップを含むルーチンを実行したり、ブロックを含むシステムを異なる順序で使用したりすることができ、一部のプロセス又はブロックが削除、移動、追加、細分化、結合、又は変更されてもよい。これらのプロセス又はブロックはそれぞれ、様々な方法で実装されてもよい。また、プロセス又はブロックは連続して実行されるように示されている場合があるが、これらのプロセス又はブロックは代わりに並列で実行されるか、又は異なる時間に実行される場合がある。
【0149】
本明細書で提供される教示は、上記のシステムだけでなく、他のシステムにも適用され得る。上述の様々な実施形態の要素及び動作を組み合わせて、更なる実施形態を提供することができる。
【0150】
本発明の特定の実施形態を説明してきたが、これらの実施形態は例としてのみ提示されており、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。実際に、本明細書中に記載される新規の方法及びシステムは、様々な他の形態で具現化されてもよく、更に、本開示の思想から逸脱することなく、本明細書中に記載される方法及びシステムの形態における様々な省略、置換、及び、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲及びそれらの同等物は、本開示の範囲及び思想に含まれるような形態又は修正を網羅することを意図している。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B