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特許7313353組織又はアーチファクト特性を決定するために使用される小型システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-13
(45)【発行日】2023-07-24
(54)【発明の名称】組織又はアーチファクト特性を決定するために使用される小型システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/29 20060101AFI20230714BHJP
【FI】
A61B17/29
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020534481
(86)(22)【出願日】2018-12-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 US2018067069
(87)【国際公開番号】W WO2019126633
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-12-20
(31)【優先権主張番号】62/609,746
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514226350
【氏名又は名称】ブライトシード・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】BRITESEED,LLC
【住所又は居所原語表記】4660 N Ravenswood Ave.,Chicago,IL 60640 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・ガン
(72)【発明者】
【氏名】スティーブ・マクフィリアミー
(72)【発明者】
【氏名】ハリハラン・サブラマニアン
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ル・ローランド
(72)【発明者】
【氏名】アマル・チャターベディ
(72)【発明者】
【氏名】キース・エイ・グライダー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ジェイ・グリーン
(72)【発明者】
【氏名】ショーン・コリガン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・マトゥサイティス
(72)【発明者】
【氏名】メルキュール・スティーブン・パパドプーロス
【審査官】菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/139642(WO,A1)
【文献】特表2016-518171(JP,A)
【文献】特開2010-264260(JP,A)
【文献】特開2017-113545(JP,A)
【文献】特開2015-157066(JP,A)
【文献】特開2008-000612(JP,A)
【文献】特開2005-058553(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/29-17/295
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用システムであって、
近位端部及び遠位端部を有する管状シャフトと、
前記管状シャフトの前記遠位端部に枢動自在に取り付けられた第1ジョー及び第2ジョーと、
少なくとも1個の発光素子及び少なくとも1個の光センサと
を備え、前記少なくとも1個の発光素子は前記第1ジョーに取り付けられ、前記少なくとも1個の光センサは前記第2ジョーに取り付けられ、前記少なくとも1個の発光素子及び前記少なくとも1個の光センサはそれぞれ第1リード及び第2リードに結合され、
前記第1ジョー及び前記第2ジョーのそれぞれ第1クリアランス及び第2クリアランスを少なくとも部分的に画定する内向きの対向表面を有し、前記少なくとも1個の発光素子に結合された前記第1リードは前記第1クリアランス内に配置され、前記少なくとも1個の光センサに結合された前記第2リードは前記第2クリアランス内に配置され、
前記第1ジョー及び前記第2ジョーの2つの内向きの対向表面間にはスペーサが配置され、前記2つの内向きの対向表面及び前記スペーサが前記第1クリアランス及び第2クリアランスを画定し、前記第1クリアランスを通して第1リードが配置され、前記第2クリアランスを通して第2リードが配置され、前記第1リードが前記少なくとも1個の発光素子に結合され、第2リードが前記少なくとも1個の光センサに結合される、外科用システム。
【請求項2】
前記シャフトの前記遠位端部が開口部を有し、前記第1ジョー及び前記第2ジョーのそれぞれが前記シャフトの前記遠位端部の前記開口部と整列した開口部を有し、前記スペーサと、前記シャフトの前記遠位端部の前記開口部と、前記第1ジョー及び前記第2ジョーの前記開口部とを介して棒状のファスナーが配置されて、前記第1ジョー及び前記第2ジョーを前記シャフトの前記遠位端部に枢動自在に取り付けられている、請求項1に記載の外科用システム。
【請求項3】
前記第1リード及び第2リードのそれぞれが複数のワイヤを含む、請求項1又は2に記載の外科用システム。
【請求項4】
前記第1ジョー及び前記第2ジョーを開閉するための機構をさらに備え、前記機構において、
前記第1ジョー及び前記第2ジョーは、それぞれ、端部を貫通して形成されたスロットを有する近位端部を有し、前記スロットは、前記第1ジョー及び前記第2ジョーの長手方向軸に概ね沿って配置され、
前記スロット内にはピンが配置され、前記ピンは、前記スロットの第1端部と前記スロットの第2端部との間で前記スロットに沿って移動可能であり、
前記ピンがアクチュエータの遠位端部に取り付けられている、
請求項1~のいずれかに記載の外科用システム。
【請求項5】
前記アクチュエータは、前記シャフト内において中央に配置され、前記シャフトは内側表面を有し、前記アクチュエータは外側表面を有し、前記内側表面及び前記外側表面は、前記シャフトの遠位端部と前記近位端部との間でリードが延在することのできる通路を画定する、請求項に記載の外科用システム。
【請求項6】
前記アクチュエータは、前記シャフトの近位端部に配置された挟み締めグリップ又はトリガーグリップに取り付けられている、請求項又はに記載の外科用システム。
【請求項7】
前記アクチュエータは弾力性部材の使用を通じて偏っており、それによって前記第1ジョー及び前記第2ジョーがデフォルトで開いている、請求項4~6のいずれかに記載の外科用システム。
【請求項8】
前記弾力性部材がバネである、請求項に記載の外科用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
本発明は、脈管などの組織又はアーチファクト特性を決定するために使用されるシステム、特に、組織又はアーチファクト特性を決定するために使用されるシステムであって、該システムが特定の部品を保持するための可撓性基材を利用するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
外科分野において、外科処置中にアーチファクト、特に脈管を識別するシステム及び方法は、外科医又は外科チームに貴重な情報を提供する。米国の病院は、手術中の不注意による血管損傷のため、毎年数十億ドルを払い戻し不能なコストとして失っている。さらに、関係する患者は、32%までの死亡率に直面しており、是正処置を必要とするためさらに9日間病院に留まることが必要となる可能性が高く、数十万ドルではないにしても数万ドルの追加の治療費が発生することになる。結果として、これらの費用を削減又は回避できるように、外科分野において血管などの脈管の存在を正確に決定するのを可能にする方法及びシステムから重要な価値が得られる。
【0003】
外科分野において血管の存在に関する情報を提供するシステム及び方法は、低侵襲外科処置中には特に重要である。従来、外科医は、外科手術中に、血管を識別し、これらの血管への不用意な損傷を避けるために触覚に頼ってきた。腹腔鏡手術及びロボット手術などの低侵襲手術に移行したため、外科医は、手術野内の血管の存在について判断を下すために直接的な視覚化及び触覚を使用する能力を失ってしまった。その結果、外科医は、主として慣習と経験に基づいて手術野に血管が存在するかどうかを判断せざるを得ない。残念ながら、先天的異常、過去の手術による瘢痕、及び体質(例えば肥満)のため、解剖学的な不規則性が頻繁に発生する。このような状況下で、外科医が手術中に(場合によってはリアルタイムで又はリアルタイムに近い状態で)手術野内における脈管の存在及び/又は特性を決定することを可能にするシステム及び方法が大きな利点となるであろう。
【0004】
一方、手術野内における血管の存在に関する情報を提供するシステム及び方法を備えることは有利であると考えられるが、これらのシステム及び方法が、関連する外科用器具の製造及び/又は使用を複雑にしたとすれば、当該システム及び方法の採用は妨げられたであろう。このことは、特に、外科用器具の設計が、競合する利益の複雑なバランスを伴い、新技術を統合するためのスペースがかなり貴重である低侵襲手術の分野においても同様である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以下でさらに詳細に説明するように、本発明は、外科用器具又は外科用処置を過度に複雑にすることなく、脈管などのアーチファクトを回避又は分離するための識別の改善を与えることができる、既存のシステム及び方法に対する有利な代替手段を具現化するユーザインタフェースを説明する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
本発明の一態様によれば、外科用システムは、近位端部及び遠位端部を有する管状シャフトと、前記管状シャフトの前記遠位端部に枢動自在に取り付けられた第1ジョー及び第2ジョーと、少なくとも1個の発光素子及び少なくとも1個の光センサとを備える。前記少なくとも1個の発光素子は前記第1ジョーに取り付けられ、前記少なくとも1個の光センサは前記第2ジョーに取り付けられ、前記少なくとも1個の発光素子及び前記少なくとも1個の光センサのそれぞれは、少なくとも1個のリードに結合されている。前記第1ジョー及び前記第2ジョーは、前記少なくとも1個の発光素子に結合された少なくとも1個のリード及び前記少なくとも1個の光センサに結合された少なくとも1個のリードが配置される少なくとも1個以上のクリアランスを少なくとも部分的に画定する内向きの対向表面を有する。
【0007】
本発明の別の態様によれば、外科用システムは、外表面を画定する壁部と、内部空間の周りに配置された内部表面とを有する管状シャフトを備え、前記管状シャフトは、近位端部と遠位端部とを有する。また、前記外科用システムは、管状シャフトの遠位端部に配置された少なくとも1個の発光素子及び少なくとも1個の光センサと、少なくとも1個の発光素子又は少なくとも1個の光センサに電気的に結合された1個以上の導体とを備える。前記1個以上の導体は、可撓性基材上に形成されており、前記可撓性基材は、前記基材が前記内部空間に配置された変形状態を有する。
【0008】
本発明のさらに別の態様によれば、外科用システムの製造方法は、可撓性基材上に複数の導体を形成し、及び前記複数の導体を少なくとも1個の発光素子及び少なくとも1個の光センサに結合させることを含む。また、この方法は、可撓性基材を変形させ、及び変形した可撓性基材を管状シャフトの内部空間に配置することを含み、前記管状シャフトは近位端部及び遠位端部を有し、前記変形した可撓性基材は、少なくとも1個の発光素子及び少なくとも1個の光センサが管状シャフトの遠位端部に配置されるように内部空間内に配置される。
【0009】
本発明のさらなる態様によれば、外科用システムは、近位端部及び遠位端部を有するシャフトと、管状シャフトの遠位端部に配置される一対のジョーとを備える。このシステムは、1個以上の導体が配置された可撓性基材をさらに備え、該可撓性基材は、該基材が一対のジョーに取り付けられた変形状態を有し、前記少なくとも1個の導体には、少なくとも1個の発光素子と少なくとも1個の光センサとが電気的に結合され、前記少なくとも1個の発光素子が前記一対のジョーのうちの第1ジョーに取り付けられ、前記少なくとも1個の光センサが一対のジョーのうちの第2ジョーに取り付けられている。
【0010】
本発明のさらなる態様によれば、外科用システムの製造方法であって、可撓性基材上に1個以上の導体を形成し、前記1個以上の導体を少なくとも1個の発光素子及び少なくとも1個の光センサに結合させ、及び前記可撓性基材を変形させることを含む方法である。この方法は、変形した可撓性基材を、発光素子が一対のジョーのうちの第1ジョーに取り付けられ、光センサが一対のジョーのうち第2ジョーに取り付けられるように一対のジョーに取り付けることをさらに含む。
【0011】
本発明は、添付図面に関連した以下の説明から、より完全に理解されるであろう。図のいくつかは、選択された構成要素を、他の構成要素をより明確に示すために省略することによって簡略化されている場合がある。いくつかの図中における構成要素の当該省略は、対応する書面による説明で明示的に定義される場合を除き、例示的な実施形態のいずれかにおいて特定の構成要素が存在すること又は存在しないことを必ずしも示すものではない。図面のいずれも、必ずしも縮尺通りではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る外科用システムの概略図である。
図2図2は、本発明の別の実施形態に係る外科用システムの概略図である。
図3図3は、固定された間隔の発光素子及び光センサを備える、図1の外科用器具の反射率に基づく実施形態の拡大部分図であり、脈管の断面が発光素子及び光センサに近接するように示されている。
図4図4は、固定された間隔の発光素子及び光センサを備える、図2の外科用器具の反射率に基づく実施形態の拡大部分図であり、脈管の断面が発光素子及び光センサに近接するように示されている。
図5図5は、互いに調節可能な間隔を有する発光素子及び光センサを備える、図2の外科用器具の別の反射率に基づく実施形態の拡大部分図であり、脈管の断面が発光素子及び光センサに近接するように示されている。
図6図6は、発光素子及び光センサを備える、図2の外科用器具の透過率に基づく実施形態の拡大部分図であり、脈管の断面が発光素子と光センサとの間に配置されるように示されている。
図7図7は、上部に複数の導体が形成された可撓性基材の拡大透視図である。
図8図8は、図7の基材を変形状態で湾曲形状に折り畳んだ状態の拡大斜視図である。
図9図9は、図7の折り畳み基材を中空軸の内部空間に配置した状態の拡大斜視図である。
図10図10は、図7の基材を変形状態で折り畳んで屈曲した又は角度の付いた形状にした状態の拡大斜視図である。
図11図11は、少なくとも1個の発光素子と少なくとも1個の光センサとが上部に形成された可撓性基材の拡大平面図である。
図12図12は、図11の可撓性基材を2個のジョーの外科用器具と共に組み立てる方法を示す拡大側面図である。
図13図13は、少なくとも1個の発光素子と少なくとも1個の光センサとが上部に形成された可撓性基材の拡大平面図である。
図14図14は、図13の可撓性基材を、2個のジョーの外科用器具と共に組み立てるために折り畳んだ状態の拡大側面図である。
図15図15は、図13の可撓性基材を2個のジョーの外科用器具と共に組み立てることができる方法を示す拡大側面図である。
図16図16は、少なくとも1個の発光素子及び少なくとも1個の光センサが取り付けられた2個のジョーの外科用器具の一実施形態の拡大正面図である。
図17図17は、図16の2個のジョーの外科用器具の拡大部分正面図である。
図18図18は、ジョーの内部にある、少なくとも1個の発光素子及び少なくとも1個の光センサに結合されたリードを露出させるためにジョーの一部を除去した、図16の2個のジョー外科用器具の部分断面図である。
図19図19は、ジョーを移動させるための機構の実施形態を例示するためにシャフト壁の一部が取り除かれた、図16の2個のジョーの外科用器具の部分断面図である。
図20図20は、ビデオシステムと共に使用される外科用システムを例示する、ビデオシステムの一実施形態と組み合わせた本発明の一実施形態に係る外科用システムの概略図である。
図21図21は、ビデオシステムと共に使用される外科用システムを説明する、ビデオシステムの別の実施形態と組み合わせた本発明の一実施形態に係る外科用システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
様々な実施形態の詳細な説明
本明細書に記載の実施形態は、発光素子及び光センサを使用して外科領域における組織及び/又はアーチファクト特性を決定するために使用されるシステムに使用する又は当該システムと共に使用するための構造を提供する。特に、外科用システムは、遠位端部と近位端部とを有するシャフトを備え、近位端部はグリップ又はハンドルを備える。また、このシステムは、シャフトの遠位端部に取り付けられた少なくとも1個の発光素子及び1個の光センサも備える。特定の実施形態によれば、発光素子及び光センサは、それぞれ、一対のジョーの一方に取り付けられていてもよい。少なくとも1個の光センサには、コントローラが接続されていてもよい。外科医は、処置の一部として当該外科用器具を使用することができ、又は外科医は、当該外科用器具を使用して外科領域を検査若しくは調査することができる。
【0014】
いずれの場合においても、細長いシャフトを有する当該器具は、低侵襲手術及びロボット手術で使用されるタイプのものとすることができる。このようなものとして、シャフトが配置される開口部の寸法を最小化したいという願望がある。開口部の最小化は、シャフトの外形寸法の最小化につながる。同様に、シャフトの外形寸法は、シャフト内の利用可能な空間に影響を及ぼす。
【0015】
上記のように、新技術を取り入れることによって手術器具やその使用が複雑になる場合には、その複雑さは新技術の採用を妨げる可能性が十分にある。したがって、新技術が、器具の構造、操作及び/又は使用に対する影響をできるだけ最小限に抑えることを可能にするシステムが望ましい。特に、低侵襲手術及び/又はロボット手術で使用することを目的とした技術では、新技術の空間的要件を最小化すること、及び/又は器具全体に統合するのを単純化することが望ましい。
【0016】
したがって、手術用器具の作動機構などの操作機構の再設計又は再パッケージ化を必要とすることなく、発光素子/光センサとコントローラとの結合を簡素化する構造が好ましい。さらに、このような解決手段が長尺部材又はシャフト内に追加の空隙を含めることを必要としない場合に好ましい。このような追加の空隙を含めると、シャフト内の既存の構造の配置を乱すことになるからである。さらに、ワイヤその他の導体を空隙に沿って配置するのに十分な精度で遠位端部から近位端部まで延びる空隙を有する管状シャフト又はロッドなどの長尺部材を作製することは、不可能ではないにしても、製造上困難な問題が生じる可能性がある。
【0017】
さらに、外科用器具が一対のジョーを備え、発光素子がこれらのジョーのうち一方のジョーに配置され、光センサがこれらジョーのうち他方のジョーに配置されている場合には、ジョーの配置及び操作に及ぼす影響を最小限に抑えるシステムを提供することが望ましいであろう。特に、このシステムが、ジョーの構造及び動作に対して、発光素子及び/又は光センサに必要とされる接続の複雑さを制限するものである場合に望ましい。さらに、このシステムが、必要とされる構成要素の全体数を制限し、それによって装置の組立方法を単純化する場合に望ましい。
【0018】
装置の構造、操作及び/又は使用の単純さを維持することによって、当該技術の採用性を高めることができる、発光素子及び/又は光センサと電気部品(例えばコントローラ)の残りとを電気的に結合させるために多数の実施形態を提案する。
【0019】
特に、図7~15に示される実施形態は、可撓性基材を利用して発光素子/光センサとコントローラとの接続を簡素化する。さらに、図7~15に示された特定の実施形態は、可撓性基材を利用して、2個のジョーの外科用器具、特に、2個のジョーのうちの少なくとも一方のジョーが、一対のジョーを接続し又は取り付けているシャフトに対して移動可能である2個のジョーの外科用器具への技術の統合を簡素化する。
【0020】
この技術は、透過率ベースの構成において、発光素子と光センサとが互いに対向して配置された構成で使用してもよいし、反射率ベースの構成において、発光素子と光センサとが概して同方向に配置された構成であってもよい。したがって、可撓性基材を組み込んだ実施形態の構造、動作、及びアセンブリを説明する前に、システムの一般的な構造及び動作を図1~6を参照して説明する。以下に説明するこれらの実施形態は、説明を目的としたものであり、限定を目的としたものではない。
【0021】
外科用システム100を図示する。このシステム100を使用して、例えば、外科用器具106の作業端部104に近接した組織Tの領域102内の脈管Vの特性(例えば、存在、直径等)を決定することができる。脈管Vは、組織Tの領域102と共に他の脈管につながっていてよく、さらに、脈管Vは、患者の体内にも見いだされる他の器官(例えば心臓)と流体連通するように領域102を越えて延びていてもよいことが分かるであろう。さらに、組織Tは、図1~6において、特定の深さまで脈管Vを完全に取り囲む(周辺及び長さの両方において)ように見えるが、これは、システム100を使用する全ての例においてそうである必要はない。例えば、組織Tは、脈管Vの周囲を部分的にのみ取り囲んでいてもよく、及び/又は脈管Vの長さの一部だけを取り囲んでいてもよく、あるいは、組織Tは、非常に薄い層が脈管Vを覆っていてもよい。さらなる例として、脈管Vは血管であってもよく、組織Tは結合組織、脂肪組織及び/又は肝臓組織であってもよいが、これに限定されない。
【0022】
図示された実施形態によれば、外科用器具106の作業端部104は、シャフト108の遠位端部でもある。したがって、作業端部及び遠位端部を、作業端部104又は遠位端部104という。また、シャフト108は、近位端部110も有し、シャフト108の近位端部110には、グリップ又はハンドル112(本明細書では区別なくグリップ112という)が配置されている。グリップ112は、器具106の性質に応じて設計される;図1に図示された解剖器具に関しては、グリップ112は、シャフト108の長さに沿って画定されていてもよく、一方、図2に図示された熱結紮装置に関しては、グリップ112は、トリガー114を含めたピストル型グリップであってもよい。さらなる選択肢として、略ハサミ型のグリップに配置された指リングを使用してもよい。
【0023】
作業端部又は遠位端部104とグリップ112を有する近位端部110とは、シャフト108の対向する最端部に配置されているように図示されているが、特定の外科用器具は、シャフトの対向する最端部に配置された作業端部(例えば、工具先端部が取り付けられるところ)と、対向する作業端部の中間に配置されるグリップ領域とを有することが分かるであろう。本明細書で使用される「遠位」及び「近位」という用語に従って、このような器具の作業端部を、本明細書では遠位端部といい、グリップ領域を近位端部という。しかしながら、図示された実施形態に対して、遠位端部及び近位端部は、シャフト108の対向する最(又は単に反対側の)端部に配置される。
【0024】
上記のように、図示された好ましい実施形態によれば、外科用システム100は、少なくとも1個の発光素子120(又は単に発光素子120)と、少なくとも1個の光センサ又は検出器122(又は単に光センサ122)とを有するセンサを備える。図3~6を参照されたい。図示された実施形態によれば、発光素子120及び光センサ122にはコントローラ124が結合されており、このコントローラ124は、以下に説明するように、スプリッタ126及びアナライザ128を備えることができる。図1及び図2を参照されたい。
【0025】
発光素子120は、外科用器具106の作業端部104に配置される。また、光センサ122も外科用器具106の作業端部104に配置される。図3及び図4に示されるように、システム100は、発光素子120と光センサ122とが、共通の方向に、固定された間隔で、例えば腹腔鏡解剖ツール若しくは解剖器具(図3)の鈍端上に、又は熱結紮装置(図4)などの2個のジョーの装置の単一ジョー上において対向することができるように、反射率ベースのアプローチに従って動作することができるが、発光素子120と光センサ122との間の相対角度は固定又は可変であってもよい。反射率ベースシステムの発光素子120及び光センサ122は、例えば、図5に示されるように、発光素子120を2個のジョーの装置の一方のジョーの端部又は先端部に配置し、光センサ122を2個のジョーの装置の他方のジョーの端部又は先端部に配置することによって、発光素子120と光センサ122との間隔を調節できるように構成されていてもよい。あるいは、システム100は、光センサ122が、図6に示されるように、例えば外科用器具106の対向するジョーに、発光素子120の反対側に対向して配置されるように、透過率ベースのアプローチに従って動作可能である。
【0026】
発光素子120は、少なくとも1つの波長を有する光を放出するように構成されていてもよい。例えば、発光素子120は、660nmの波長を有する光を放出してもよい。これは、単一の素子、又は複数の素子(これらの素子は、以下で詳細に説明するように、例えば、整列して配置又は構成されてもよい)で達成できる。同様の態様において、光センサ122は、少なくとも1つの波長(例えば、660nm)の光を検出するように構成される。ここで説明する実施形態によれば、光センサ122は複数の素子を含み、これらの素子は整列して配置又は構成される。
【0027】
特定の実施形態によれば、発光素子120は、少なくとも2つの異なる波長の光を放出するように構成でき、光センサ122は、少なくとも2つの異なる波長の光を検出するように構成できる。一例として、発光素子120は、可視領域の光を放出し、光センサ122は、近赤外領域又は赤外領域の光を検出するように構成できる。具体的には、発光素子120は660nmの光を放出し、光センサ122は910nmの光を検出することができる。このような実施形態は、例えば、生体内条件下で血管V及びその周囲の組織Tの最適な透過を確保するために使用できる。
【0028】
血流の変化の影響によっては、第3の波長の光を放出及び検出してもよい。すなわち、検出方法が、関心のある血管内の血流速度の変化に影響を受けやすいことが分かった場合には、810nm(すなわち、等吸収点)の光を放出及び検出して、血流速度の変化の影響を制限又は排除するために結果を正規化することができる。
【0029】
いくつかの実施形態によれば、個別の光センサ122は、第1脈動性成分と第2非脈動性成分とを含む信号を生成するように構成される。第1脈動性成分は信号の交流(AC)成分とすることができ、第2非脈動性成分は直流(DC)成分とすることができることが分かるであろう。光センサ122がアレイの形態である場合には、脈動性情報及び非脈動性情報は、アレイの構成要素ごとに、又は少なくともアレイの少なくとも1つの縦列を画定するアレイの構成要素ごとに生成できる。
【0030】
脈動性成分に関して、血管は、1分当たり約60パルス(又は脈拍)の特徴的な脈動を有するものとして説明できることが分かるであろう。これは、患者の年齢及び状態によって変動する場合があるが、脈動の範囲は、典型的には、1分当たり約60~約100パルス(又は脈拍)である。光センサ122は、血管を通る血液の動きに対応する特定のAC波形を有する信号(これはコントローラ124に渡される)を生成する。特に、AC波形は、血管内の脈動血流によって吸収又は反射される光に相当する。一方、DC成分は、主として表層組織によって吸収され、反射され、及び/又は散乱された光に相当する。
【0031】
このような実施形態によれば、コントローラ124は、光センサ122に結合され、かつ、光センサアレイ122の構成要素ごとに第1脈動性成分と第2非脈動性成分とを分離するためのスプリッタ126を備えることができる。また、コントローラ124は、脈動性成分に基づいて(少なくとも部分的に)外科用器具106の作業端部104に近接する領域102内における脈管Vの存在及び/又は特性を決定するためのアナライザ128を備えることができる。
【0032】
上記のように、ここで説明する実施形態は、発光素子120/センサ122とコントローラ124とを接続するための構造を含むことができる。図7~10は、接続部の製造を簡素化すると共に、器具106の組み立てを簡素化できる当該構造を提供する実施形態を示す。さらに、このような実施形態は、接続部を形成する導体の空間的要件を減少させる又は単純化することができる。
【0033】
この実施形態によれば、可撓性基材140を準備する。基材140は、図7に示されるように初期には平面状態を有することができる。可撓性基材140は、図8又は図10に示されるように変形状態を有する。この変形状態では、基材140は、図8に示されるように、断面が湾曲した形状を有することができる。湾曲形状は、例えば円弧の形で開いた形状であってもよいし、円又は楕円の形で閉じた形状であってもよい。あるいは、基材140は、図10に示されるように、断面において屈曲する、角度が付いている、又は角張っている変形状態を有することができる。また、他の形状も可能である。
【0034】
変形状態の基材140の形状は、基材140が折り曲げや圧延などの変形プロセスを受けた後に基材140が呈する形状であってもよい。基材140は、変形プロセスが施された後も変形状態を維持していてもよいし、支持体又は支持構造体に挿入される前に変形プロセスを使用して基材140を特定の形状に形成してもよい。例えば、支持体又は支持構造体の一例が中空又は管状シャフトの形で図9に示されている。このような支持体は、基材を湾曲形状に維持するのに役立つ場合がある。
【0035】
しかしながら、基材140を支持体の一般的な形状に適合する形状に形成する必要はない。基材は、挿入に都合の良い形状に形成され、その後、支持体の構造の結果として変形状態の形状を呈することができる。例えば、基材140は、挿入用の中空又は管状シャフトの内径のよりも小さな外径の螺旋状断面で圧延されてもよく、基材140は、この中間状態から、シャフトの内面に突き当たるその変形状態に拡張することが可能である(例えば、図9に示されるように)。このような実施形態では、基材140は、支持体の内面に密接に近似していてもよいし、それに適合していてもよい。支持体(例えば、中空シャフト)の内面の断面が円形である場合には、基材の断面は、同様に湾曲していてもよい(又は、円形であってもよい)。
【0036】
図7~10に示された実施形態によれば、基材は、平面状態及び変形状態を有することができる。このことは、基材上に構造物を製造する観点から有利である。1個以上の導体142などの構造体を、基材の第1表面144(これを、図7の基材140の向きを考慮して便宜上上面ということがあるが、これに限定されるものではない)に塗布された材料の層から導電性のトレース、パッドなどがエッチングされる従来のプロセスを使用して平面状の基材上に形成することができる。基材の両面に構造体を形成することが可能であるため、その代わりに又は同様に、1個以上の導体を第2表面146又は反対側の表面146(これを、図7における基材140の向きを考慮して便宜上下側ということがあるが、これに限定されるものではない)に形成することが可能である。また、導電性のトレース、パッド等を形成する他の方法、例えば、望ましくない材料や不要な材料を除去する代わりに、必要に応じて導電性材料の層を塗布することによって導電性のトレース、パッド等を形成するアディティブ法を使用することができる。導体が表面144、146の一方又は両方に形成されたら、基材140を変形(例えば、圧延又は屈曲)させることができる。
【0037】
一実施形態によれば、基材は、デュポン社製のピラルックスAPから構成できる。この材料は、銅被覆鋼とポリイミドとの複合材料(ポリイミドと銅箔)からなる。この材料は、高温(180℃までの操作温度)に対する許容可能な抵抗を与える。デュポン社製ピラルックスAP製の基材の厚みは、特定の実施形態では、誘電体の厚み(1ミル~6ミル:25.4um~152.4um)と銅の痕跡(0.25oz./ft2~2oz./ft2:9um~70um)に応じて、約34.4μm~約222.4μmの範囲内にあることができる。FR4補強材を部品の下の基材に加えて、コードが屈曲して部品の接続部(例えば、はんだ接合部)が破損する可能性を防止することができる。
【0038】
可撓性基材140上に形成された1個以上の導体142を具備することの他に、発光素子120又はセンサ122を可撓性基材上に取り付けることができる。特に、基材140は、その上に1個以上のパッドが形成されていてよく、これらのパッドに発光素子120及び/又はセンサ122が取り付けられていてよく、それによって、発光素子120及び/又はセンサ122が基材140上に支持される。別の実施形態によれば、発光素子102及び/又はセンサ122は、基材140上に形成された導体に取り付けられてもよいが、基材140上には支持されない(例えば、発光素子102及び/又はセンサ122は、基材140から片持ちされてもよい)。いずれの選択肢も可能であり、他の選択肢も可能である。
【0039】
発光素子120及び/又はセンサ122が基材に取り付けられたいくつかの実施形態が図11~15に示されている。この発光素子120、センサ122及び基材の配置は、基材上に導電性トレースを形成することにより、発光素子120及び/又はセンサ122をコントローラ124に接続するために必要になるかなりの数のワイヤを排除することを可能にするという点で、システムの製作を簡素化することができる。さらに、発光素子120及び/又はセンサ122の可撓性基材への取り付けは、一対のジョーの一方又は両方で移動ができるサブアセンブリの製作を可能にする場合があり、それによってシステムの組み立ても同様に単純化される。
【0040】
第1の実施形態が図11及び図12に示されている。この実施形態によれば、サブアセンブリ160は、第1セクション164及び第2セクション166を有する可撓性基材162を備える。第1セクション164及び第2セクション166は、基材162によっても画定される一体成形ヒンジ168で接合される。基材162は、その上に1個以上の導体170が形成されていてよく、1個以上の導体に1個以上の導電性パッド172が結合されている。1個以上のワイヤが導体170に取り付けられてもよく、発光素子120は第1セットのパッド172に取り付けられ、センサ122(例えば、リニアセンサアレイなどのセンサアレイの形態)が第2セットのパッドに取り付けられる。
【0041】
図示された実施形態では、第1及び第2セクション164、166は、ほぼ等しい長さである。セクション164、166が取り付けられるジョー180、182もほぼ等しい長さであるからである。他の実施形態によれば、第1及び第2セクション164、166の長さは等しくなくてもよい。また、第1及び第2セクション164、166は、セクション164、166が取り付けられているジョー180、182の寸法のため、ほぼ等しい幅を有する。また、他の実施形態によれば、第1及び第2セクション164、166の幅は、等しくなくてもよい。図示されるように、第1及び第2セクション164、166は略長方形の形状であり、第1及び第2セクション164、166のそれぞれの一方の端部又は短い方の端部が一体成形ヒンジ168で取り付けられている。この場合も同様に、セクション164、166のための他の形状が可能である。
【0042】
一体成形ヒンジ168は、第1及び第2セクション162、164を連結する基材160のブリッジ174によって形成される。ブリッジ174の幅は、一体成形ヒンジ168の領域においてより大きな可撓性を可能にするために、第1及び第2セクションの幅よりも小さくてもよい。この目的のために、第1及び第2セクション162、164の端部(例えば、切欠き)の一部が除去されていてもよい。あるいは、ブリッジ174は、第1及び第2セクション162、164よりも小さい(又は狭い)幅で形成されていてもよい。一体成形ヒンジ168は、発光素子120及びセンサ122を備えるサブアセンブリが、ジョー180、182と共に移動することを可能にする。
【0043】
この実施形態によれば、図11において、導体170及びパッド172が基材160上に形成されてもよく、基材160はその平面状態にある。また、発光素子120及びセンサ122は、基材160がその平面状態にある状態でパッド172に取り付けられていてもよい。その後、基材160を、器具106の残りの部分との組み立てのために、一体成形ヒンジ168付近で変形させることができる。その後、変形された基材160が器具106のジョー180、182(例えば、表面184、186)に取り付けられ、そうすることによって、基材160、特にブリッジ174の可撓性によりサブアセンブリがジョー180、182の動きに従って移動することができる。
【0044】
図11及び図12の実施形態は、1個以上のワイヤを介してサブアセンブリをコントローラ124に接続した状態で、発光素子120及びセンサ122を搭載するために可撓性基材を利用するものであるが、同様にサブアセンブリをコントローラ124に接続するために可撓性基材を利用することも可能である。図13~15の実施形態は、このような実施形態を例示するものである。
【0045】
図13に示すように、基材190は、2個の一体成形ヒンジ198、200によって連結された3つのセクション192、194、196を備える。一体成形ヒンジ198、200は、器具106の残りの部分との組み立てのために、セクション192、194、196を互いに変形又は曲げること、及び少なくともセクション194、196を、ジョー180、182の一方又は両方の動きに応じて互いに移動させることを可能にする。ヒンジ198、200は、3つのセクション192、194、196の端部を接続する基材190のブリッジ202、204によって画定される。図示された実施形態によれば、発光素子120は第1セクション192に取り付けられるのに対し、センサ122は第2セクション194に取り付けられる。
【0046】
図示されるように、複数の導体206及びパッド208が、基材190の少なくとも一方の表面210上に形成されている。発光素子120及びセンサ122は、第1及び第2セットのパッド208に取り付けられる。導体206は、パッド208に取り付けられ、最終的にパッド208をコントローラ124に取り付ける。
【0047】
図14に示されるように、基材190を曲げることによって、第1及び第2セクション192、194をジョー180、182に取り付けることができると共に、第3セクション196をシャフト内に配置することができる。特に、第1及び第2セクション192、194を一体成形ヒンジ198付近で曲げることができ、それによって、第1及び第2セクション192、194の第1表面210が互いに対向するようになる。一方、第2及び第3セクション194、196は一体成形ヒンジ200付近で曲げられ、それによって、第2及び第3セクション194、196の第2表面212が互いに対向するようになる。
【0048】
この実施形態によれば、第3セクション196は、基材190の第1表面210がシャフトの内面に面した状態で、シャフトの内部空間に挿入されることになる。次いで、第2及び第3セクション194、196の折り畳み構造は、ジョー182(例えば、表面186)に取り付けられると共に、第1セクション192は、ジョー180(例えば、表面184)に取り付けられることになる。このようにして、第1セクション192は、第2セクション194及びジョー182に対してジョー180と共に移動することになる。
【0049】
図13~15の実施形態と類似するさらなる実施形態によれば、基材は、2個の一体成形ヒンジによって接続された3つのセクションを備える。一体成形ヒンジは、3つのセクションを、器具106の残りの部分との組み立てのために互いに曲げること、及び少なくとも2つのセクションをジョー180、182の一方又は両方の動きに応じて互いに移動させることを可能にする。これらのヒンジは、3つのセクションの端部を接続する基材のブリッジによって画定される。発光素子120は第1セクションに取り付けられ、センサ122は第2セクションに取り付けられる。
【0050】
基材は、図13~15の実施形態と同様の方法で折り畳まれる:第1及び第2セクションを、第1及び第2セクションの第1表面が互いに対向するように第1一体成形ヒンジ付近で曲げてもよく、一方、第2及び第3セクションを、第2及び第3セクションの第2表面が互いに対向するように第2一体成形ヒンジ付近で曲げてもよい。図13~15の実施形態とは異なり、第2及び第3セクションは、ジョー182の対向する表面に取り付けられ、第1セクションは、対向するジョー180に取り付けられる。このようにして、第1セクションは、第2セクションに対して移動でき、一方、第2セクションは、図13~15の実施形態のように、ヒンジ部においてそのような鋭く曲がった状態で折り畳まれることはない。これは、第2セクション及び第3セクションの第2表面が互いに対向するように基材を曲げることによって生じる応力を低減させることができる。
【0051】
可撓性基板を利用した様々な実施形態の構造、操作、及びアセンブリについて検討してきたが、少なくとも1個の発光素子及び少なくとも1個の光センサを有する2個のジョーを具備する外科用器具のさらなる実施形態を図16~19に示す。この実施形態は、少なくとも1個の発光素子及び少なくとも1個の光センサを器具の残りの部分に接続するために、リード線又はワイヤの形の導線を利用するが、図16~18の実施形態に係るジョーの形状及び配置を利用して、同様に可撓性基材が外科用器具のシャフトに入りかつシャフトから出ることを可能にすることができる。
【0052】
図16~19は、第1ジョー220及び第2ジョー222を備える2個のジョーの外科用器具を図示している。第1及び第2ジョー220、222は、ピボット又はヒンジ226でシャフト224に取り付けられている。図16から最もよく分かるように、ジョー220、222のそれぞれは、シャフト224の遠位端部236の開口部又は通路232、234と整列する開口部又は通路228、230を有する。開口部又は通路228、230、232、234を通ってピン又は棒状のファスナー238を配置して、ジョー220、222をシャフト224に接合している。ファスナー238の端部は、図16及び図17ではシャフト224の外面を越えて延在するように図示されているが、他の実施形態によれば、端部は外面の近くで終端していてもよい。
【0053】
図18及び図19に示されるように、シャフト224は、概して遠位端部236から近位端部まで延在する長手方向軸240を有し、そこにはハンドル又はグリップが配置されていてもよい。図19から最もよく分かるように、各ジョー220、222は、長手方向軸240に沿って遠位方向にヒンジ226から懸垂する第1遠位アーム又は端部242、244と、長手方向軸240に沿って近位方向にヒンジから懸垂する第2近位アーム又は端部246、248とを有する。図16及び図18から分かるように、少なくとも1個の発光素子250は、ジョー220の遠位端部242に取り付けられ、一方、少なくとも1個の光センサ252は、ジョー222の遠位端部244に取り付けられる。
【0054】
図16及び図18に示されるように、外科用器具は、少なくとも1個の発光素子250及び少なくとも1個の光センサ252を器具の残りの部分に結合するための1個以上のリード254、256を備えることができ、シャフト224の近位端部に位置していてもよく、又はシャフト224の遠位端部236からさらに離れていてもよい。リード254及びリード256は、実際には、一単位として組み立てられても一単位として組み立てられなくてもよい複数のリード又はワイヤ(例えば、少なくとも1個の発光素子250用の6本のワイヤ及び少なくとも1個の光センサ252用の6本のワイヤであってもよく、これらのワイヤは、例えば、AWG32又は36のゲージを有する絶縁撚り線又は絶縁ソリッドコアワイヤであってもよく、好ましくはリボンケーブルの形である)を備えることができるが、議論を容易にするために、リード254、256は、それぞれ単数形で言及する。リード254は遠位端部258で少なくとも1個の発光素子250に結合され、リード256は少なくとも1個の光センサ252の遠位端部260に結合され、一方、両リード254、256の近位端部は装置の残りの部分に結合していてもよい。
【0055】
リード254、256を収容するために、遠位アーム又は端部242、244は、リードが中空であるシャフト224に出入りすることを可能にするように、互いに離間している。図17から最もよく分かるように、ジョー220、222の内向き対向表面又は内側表面264、266間にスペーサ262が導入される。スペーサ262は、表面264に突き当たる第1端部268と、表面266に突き当たる第2端部270とを有することができる。図示されるように、スペーサ262は、ジョー222と一体的に(すなわち、一体物として)形成されているが、他の実施形態によればそうである必要はない。
【0056】
スペーサ262は、図16及び図17に示されるように、リード254、256用のクリアランス272、274を画定する。クリアランス272、274は、リード254、256が、リード254、256を圧着し、挟み、又は押しつぶすようにジョー220、222の他の構造物がリード254、256に衝突することなく、リード254、256がシャフト224から出入りすることができる容積部である。クリアランス272、274は、ジョー220、222の内面264、266及びスペーサ262によって画定できる。クリアランス272、274は、例えば幅1.75mm、高さ1.25mmの断面積を有することができる。
【0057】
また、外科用器具は、ジョー220、222を開閉する(すなわち、移動面276、278をさらに遠く及び近くに移動させる)ための機構を備える。このような機構の一実施形態を図18及び図19に示しているが、他の機構を使用してジョー220、222を開閉してもよい。例えば、図示された機構は、図18及び19において遠位端部236よりもシャフト224の近位端部に近い位置に配置されているが(ヒンジ226に対して)、他の機構は、ヒンジ226の反対側からジョー220、222を操作する。
【0058】
図示されるように、ジョー220,222の近位端部246、248は、それぞれ、端部246、248を貫通して形成されたレース又はスロット280、282を有する。スロット280、282は、それぞれのジョー220、222の長手方向軸284、286に概ね沿って配置されている。図示されるように、スロット280、282は、それぞれの長手方向軸284、286に対してわずかな角度で配置されていてもよい。スロット280、282内にはピン、ロッド又はカム288が受容され、これはスロット280、282の第1端部290、292とスロット280、282の第2端部294、296との間でスロット280、282に沿って移動することができる。
【0059】
ピン288は、図示されるように、ヨーク302及びプッシュロッド304を備えることができるアクチュエータ300の遠位端部298に取り付けられる。アクチュエータ300の近位端部は、シャフト224の近位端部に配置されていてもよい挟み締めグリップ又はトリガーグリップなどの機構に取り付けられていてもよい。図19に示された向きを参照すると、アクチュエータ300の略長手方向の右方向への移動によって、ピン288が第1端部290、292からスロット280、282の第2端部294、296に移動し、これによって表面276、278が互いに向かって移動する(すなわち、ジョー220、222を閉じる)。図19に示された方向を参照すると、アクチュエータ300の略長手方向の左方向への移動によって、ピン288が、スロット280、282の第2端部294、296から第1端部290、292に移動し、それによって表面276、278が移動して離れる(すなわち、図19に示されるようにジョー220、222を開く)。アクチュエータ300は、左に向かって偏っていてもよい(例えば、ばね又は他の弾力性のある部材を使用して)ため、ジョー220、222はデフォルトでは開いている。
【0060】
図18に示されるように、アクチュエータ300がシャフト224内において中央に配置される場合には、シャフト224の内側表面306及びアクチュエータ300の外側表面308は、シャフト224の遠位端部236と近位端部との間に通路310を画定する。通路310は、環状であってもよいし、他の形状であってもよい。通路310は、特定の実施形態では、クリアランス272に整列した離散的なセクションと、クリアランス274に整列した離散的なセクションとが存在するように、不連続であってもよい。通路310は、リード254、256が、シャフト224の遠位端部236と近位端部236との間で延在する又は懸垂することを可能にする。
【0061】
ここで、センサ、コントローラ、及び他の付属器具についてさらに詳しく説明する。
【0062】
発光素子120は、上記のように、1個以上の素子を含むことができる。図6に模式的に示された実施形態によれば、光センサ122は、第1発光素子120-1、第2発光素子120-2、及び第3発光素子120-3を備えることができる。発光素子の全ては、特定の波長(例えば、660nm)で光を放出するように構成されていてもよく、又は特定の発光素子は、他の発光素子とは異なる波長で光を放出してもよい。各発光素子は、例えば、発光ダイオードとすることができる。
【0063】
図6又は図11~15のいずれかに示されるように、発光素子120が1個以上の発光ダイオードを備えるアレイの形態である実施形態に関して、ダイオードは、1次元アレイ、2次元アレイ又は3次元アレイの形態で配置できる。一次元アレイの例は、単一平面内の線に沿ってダイオードを配置することを含み、二次元アレイの例は、単一平面内の複数の縦列及び横列にダイオードを配置することを含むことができる。二次元アレイのさらなる例は、ダイオードを曲面上又は曲面内の線に沿って配置することを含むことができる。三次元アレイのさらなる例は、曲面上又は曲面内の複数の平面、例えば、複数の縦列及び横列に配置されたダイオードを含むことができる。
【0064】
また、光センサ122は、1個以上の素子を備えることもできる。また、図6に示された実施形態によれば、光センサ122は、第1光センサ122-1、第2光センサ122-2、第n光センサ122-nなどを備えることができる。発光素子120-1、120-2、120-3の場合と同様に、光センサ122-1、122-2、122-3はアレイ状に配置されていてもよく、上記アレイに関する説明がここでも同様に当てはまる。
【0065】
実際には、光センサ122のアレイが光センサの横列(図6のような)を含む場合には、アレイ122を、代替的に線形アレイということができる。アレイ122の個々の光センサ122は、互いに隣接して配置でき、又は光センサは互いに間隔をあけて配置できる。光センサの横列を画定する個々の光センサが、異なるアレイの横列又は縦列を画定する光センサによって互いに分離されていてもよい。しかしながら、特定の実施形態によれば、アレイは、電荷結合デバイス(CCD)、特に、複数の画素を含むリニアCCD撮像デバイスを備えることができる。別の選択肢として、CMOSセンサアレイを使用することができる。
【0066】
発光素子120及び光センサ122の配置は、図3~5の反射率ベースの実施形態に対して変更してもよいが、発光素子120及び光センサ122が複数の素子を備えていてもよいことについては同様である。
【0067】
図3~5に示された配置と、次の図6に示された配置とを対比すると、発光素子120及び光センサ122は、一般的に共通の方向(すなわち、目的の組織サンプルの方向)に対向して配置される。これは、発光素子120及び光センサ122を一般的に共通の平面内に配置することを要しないが、これが好ましい。特定の実施形態によれば、発光素子120及びセンサ122は、外科用器具106と一体的に(すなわち、一体物として)形成されていてもよい(図3~5参照)が、以下に説明するように、他の選択肢も可能である。このようにして、発光素子120によって放出されかつ目的の組織によって散乱された光は、光センサ122によって捕捉できる。
【0068】
さらに、発光素子120とセンサ122との間隔は、センサ122が受ける光に影響を及ぼす場合があると考えられる。現時点で理解されているように、光子が組織と接触した発光素子120を出た後に、独立した光子の集合が表面に戻り、センサ122に到達する。検出された光子のいくつかは、発光素子及び検出器の平面から短距離を移動し、センサ122の部位から出て行く一方で、いくつかの光子は、表面から出て行く前に、吸収されることなく組織の中をさらに遠くまで移動する(吸収される光子は、光電流に寄与できない)。センサ122に到達する光子の経路長分布及び浸透深さは、発光素子センサ分離の関数として変化し、最大有効光子浸透深さの値は、物理的な発光素子センサ分離よりも数倍大きい。例えば、発光素子120とセンサ122との間隔が5mmであれば、組織の表面から0mm~12mmの脈管を検出できることが決定されている。
【0069】
組織内包動脈内の収縮期圧力と拡張期圧力との差に起因する血液量の変化は、残存してセンサ122に到達する長距離移動光子の相対数に影響を及ぼす。光子軌道における動脈の存在に起因する長距離移動光子数の経時観察差は、脈動性(AC)信号の原因となる。小さな源-検出器分離について、短距離を移動する検出光子は、組織表面下のさらに深いところにある動脈の循環血液にさらされることが少ないため、収縮期条件と拡張期条件との間で残存する一定の可能性がある。源-検出器の分離が増すと、センサ122に到達するかなりの割合の光子が長距離移動光子となり、検出パルス振幅がさらに大きくなる。したがって、発光素子120とセンサ122との間隔を広くすることによって、光が組織内にさらに深く浸透することが可能になり、さらに深いところであっても脈管の検出が可能になると考えられる。
【0070】
さらに、発光素子120及び/又はセンサ122の角度を調整することで、同様の効果が得られる可能性があると考えられる。すなわち、発光素子120とセンサ122との間の直線距離の変化が、表面センサ122での様々な割合の長距離移動光子のサンプリングを可能にする方法と同様に、発光素子120及び/又はセンサ122の角度の変動は、センサ122によってサンプリングされる前に光子が移動する深さ及び距離を変化させることができる。その結果、発光素子及び/又はセンサの角度の変化は、器具106によって脈管が検出できる深さを変化させることできると考えられる。
【0071】
このように、ここで説明する実施形態によれば、発光素子120及びセンサ122は、互いに固定された関係で取り付けられるように配置されてもよいし、移動可能又は調節可能な関係で取り付けられるように配置されていてもよい。特に、図3及び図4は、発光素子120及びセンサ122が、互いに一定の間隔にあり、かつ、発光素子120とセンサ122との間に固定された角度関係を有する実施形態を例示する。このような実施形態は、ユーザが、検出血管が器具106の作業端部104から例えば12mm以内にあることを確信することを可能にすると考えられる。これに対し、図5の実施形態では、センサ122が器具106の第1ジョー180に取り付けられ、発光素子120が器具106の第2ジョー182に取り付けられている。このような実施形態では、ユーザは、器具106のジョー180、182間の距離を変化させるだけで検出の深さを変化させることができると考えられる:ジョー180、182を閉じた状態では、ユーザは、浅いところにある脈管(すなわち、組織表面から12mm以内に位置する脈管)を探索することができる一方で、ジョー180、182を開いた状態では、ユーザは、より深いところにある脈管(すなわち、組織表面から12mmよりも下に位置した脈管)を探索することができるであろう。図5に示された実施形態によれば、ジョー180、182を動作させるための制御構造は、ユーザがジョー180、182を視覚化することなくジョーの間隔(ひいては検出深さ)を決定できるように、ジョー180、182間の間隔を制御された方法で(例えば、離散的な増分で)変更するための機構を備えることができる。
【0072】
上記のように、図3~5のいずれかの実施形態の発光素子120は、1個以上の素子を備えることができる。このような実施形態によれば、素子の全ては、特定の波長(例えば660nm)で光を放出するように構成でき、又は特定の素子は、他の素子とは異なる波長で光を放出するように構成できる。複数の発光素子120及び/又は複数のセンサ122を有するシステムは、単一の発光素子120及びセンサ122を備えるシステムと比較して、信号対雑音比及び空間分解能を増大させると考えられる。
【0073】
発光素子120が1個以上の発光ダイオードを含むアレイの形態である実施形態に関して、ダイオードは、1次元アレイ、2次元アレイ、又は3次元アレイの形態で配置できる。一次元アレイの例は、単一平面内の線に沿ってダイオードを配置することを含むことができるのに対し、二次元アレイの例は、単一平面内の複数の横列及び複数の縦列にダイオードを配置することを含むことができる。二次元アレイのさらなる例は、ダイオードを曲面上又は曲面内の線に沿って配置することを含むことができる。三次元アレイのさらなる例は、複数の平面、例えば、曲面上又は曲面内の複数の横列及び縦列に配置されたダイオードを含むことができる。
【0074】
また、図3~5の実施形態に係る光センサ122は、1個以上の個々の素子を備えることができる。発光素子120の場合と同様に、光センサ122の素子は、アレイ状に配置されてもよく、上記アレイに関する説明はここでも同様に当てはまる。
【0075】
さらに、光センサ122は、所定範囲の角度からセンサ122に到達する光子を物理的に排除するための機構を備えることができる。この機構は、ほぼ垂直な角度ではセンサ122に到達しない任意の光子を物理的にフィルタリングするためのマスク又は格子状の層から構成できる。発光素子120を離れる光子の平均深さ浸透度は、源-検出器分離の距離のちょうど半分以上に等しいことが観察されている(本発明の5mmの間隔では~2.5mmの透過度)。この機構は、センサ122が受ける長距離移動光子及び深部透過光子の割合を増加させるため、器具によって脈管を検出できる深さを増大させることになる。
【0076】
上記実施形態の全てについて、システム100は、発光素子120、センサ122、及びコントローラ124に加えて、ハードウェア及びソフトウェアを備えることができる。例えば、1個以上の発光素子120を使用する場合には、個々の発光素子のスイッチングを制御するために、駆動コントローラを設けることができる。同様に、1個以上のセンサ122を備える場合には、マルチプレクサを設けることができ、このマルチプレクサは、センサ122及び増幅器に結合できる。さらに、コントローラ124は、必要に応じてフィルタ及びアナログ-デジタル変換を含むことができる。
【0077】
特定の実施形態によれば、スプリッタ126及びアナライザ128は、1個以上の電気回路構成部品によって画定できる。他の実施形態によれば、1個以上のプロセッサ(又は単にプロセッサ)は、スプリッタ126及びアナライザ128の動作を実行するようにプログラムできる。さらなる実施形態によれば、スプリッタ126及びアナライザ128は、部分的には電気回路部品によって画定され、部分的にはスプリッタ126及びアナライザ128の動作を実行するようにプログラムされたプロセッサによって画定されていてもよい。
【0078】
例えば、スプリッタ126は、第1脈動性成分と第2非脈動性成分とを分離するようにプログラムされたプロセッサを備えていてもよく、又は当該プロセッサによって定義されていてもよい。さらに、アナライザ128は、第1脈動性成分に基づいて、外科用器具106の作業端部104に近接する領域102内における脈管Vの存在を決定する(又は、例えば、その大きさを定量化する)ようにプログラムされたプロセッサを備えていてもよく、又は当該プロセッサによって定義されていてもよい。プロセッサがプログラムされる命令は、プロセッサに関連付けられたメモリ上に格納されていてもよく、このメモリは、コンピュータ実行可能命令が格納されている1個以上の有形非一時的コンピュータ可読メモリを備えることができ、このメモリは、プロセッサによって実行されると、1個以上のプロセッサに1以上の動作を実行させることができる。
【0079】
図19及び20は、例えば、従来から低侵襲手術又は腹腔鏡手術中に使用できるような、ビデオシステム320の実施形態と組み合わせた外科用システム100の実施形態を例示する。
【0080】
図19の実施形態では、ビデオシステム320は、ビデオカメラその他の画像キャプチャデバイス322と、ビデオその他の関連するプロセッサ324と、表示画面328を有するディスプレイ326とを備える。図示されるように、ビデオカメラ322は、2個の外科用器具106の作業端部104に近接する領域102に向けられている。図示されるように、外科用器具106の両方は、外科用システム100の一実施形態の一部である。なお、図示を容易にするために、外科用システム100の他の構成要素は省略されているが、スプリッタ126及びアナライザ128などのシステム100の構成要素は、ビデオプロセッサ324と同じ物理的ハウジング内に収容されていてもよい。ビデオカメラ322からの信号は、ビデオプロセッサ324を介してディスプレイ326に渡され、これによって、外科医又は外科チームの他のメンバーは、典型的には患者の内部にある領域102並びに外科器具106の作動端部104を見ることができる。
【0081】
図20は、外科用システム100の一実施形態に関連して使用できるビデオシステム320の別の実施形態を示す。この実施形態によれば、ビデオプロセッサ324は、ビデオカメラ322’とは別個のハウジング内に配置されるのではなく、ビデオカメラ322’と同じハウジング内に配置される。さらなる実施形態によれば、その代わりに、ビデオプロセッサ324は、表示画面328’としてのディスプレイ326’の残りの部分と同じハウジング内に配置できる。さもなくば、図19に示されたビデオシステム320の実施形態に関連する上記の説明は、図20に示されたビデオシステム320の実施形態にも同様に適用される。
【0082】
システム100は、図1及び図2に示されているような出力装置を備えることができ、システム320の構成要素を組み込んでもよい。例えば、手術に使用されているビデオモニタ340(例えば、図19及び図20のディスプレイ326、326’)にアラートを表示してもよいし、アラートによってモニタ上の画像の色を変更したり、点滅させたり、サイズを変更したり、そうでなければ外観を変更させたりすることができる。また、補助出力は、聴覚アラームを与えるスピーカ342の形であってもよいし、それを備えていてもよい。また、補助出力は、外科用器具106の使用を中断する、外科用器具106に関連付けられた安全ロックアウトの形であってもよく、又はそれを組み込んでいてもよい。例えば、ロックアウトは、外科用器具106が熱結紮装置である場合に、結紮又は焼灼を防止することができる。さらに追加の例として、補助出力は、バイブレータ344などの触覚フィードバックシステムの形であってもよく、これは、触覚指示又はアラームを与えるために外科用器具106のハンドル又はハンドピースに取り付けられていてもよいし、それと一体形成されていてもよい。補助出力のこれらの特定の形態の様々な組み合わせを使用してもよい。
【0083】
上記のように、一実施形態では、外科用器具106は、熱結紮装置とすることができる。別の実施形態では、外科用器具106は、単に、対向するジョーを有する把持器又は把持鉗子であってもよい。さらなる追加の実施形態によれば、外科用器具は、例えば、灌注器、外科用ステープラ、クリップアプライヤ、ロボット外科用システムなどの他の外科用器具であってもよい。さらに他の実施形態によれば、外科用器具は、ユーザインタフェース及びセンサを保持し、これらを外科領域内に配置すること以外の他の機能を有していなくてもよい。単一の実施形態の図示は、システム100を他の外科用器具又はツール106と併用することを排除するものではない。
【0084】
結論として、先の記載は、本発明の異なる実施形態の詳細な説明を示すものであるが、本発明の法的範囲は、本願に添付された特許請求の範囲の文言によって定義されるものであると解すべきである。詳細な説明は、単なる例示であると解釈すべきであり、本発明の全ての可能な実施形態を説明するものではない。本発明の全ての可能な実施形態を説明することは不可能ではないにしても非現実的であるからである。現在の技術又は本願の出願日以降に開発された技術を使用して、多数の他の実施形態を実施することが可能であるが、これらは依然として本発明を規定する特許請求の範囲に含まれよう。
【0085】
また、本発明において、ある用語が「ここで使用するときに、用語『』は~を意味するものとする」又は同様の文言を用いて明示的に定義されていない限り、その用語の意味を明示的又は暗示的に、その明瞭な意味又は通常の意味を超えて限定する意図はなく、このような用語は、本発明のいずれかの節でなされた任意の記載(特許請求の範囲の文言以外)に基づいて、その範囲が限定されるものと解釈すべきではないことも理解すべきである。読者を混乱させないように明確にするためだけに行われる、本願に添付した特許請求の範囲で言及されている用語を単一の意味と一致する態様で本発明において言及する範囲内では、このような請求項の用語を暗示その他の方法でその単一の意味に限定することを意図するものではない。最後に、クレーム要素を、用語「手段」と、いかなる構造も記載しない機能とを記載することによって定義しない限り、いかなるクレーム要素の範囲も、35 U.S.C.§112(f)の適用に基づいて解釈されることを意図するものではない。
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