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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-13
(45)【発行日】2023-07-24
(54)【発明の名称】仕上げ媒体および仕上げ懸濁液
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/379 20170101AFI20230714BHJP
   B29C 64/188 20170101ALI20230714BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20230714BHJP
   B33Y 70/10 20200101ALI20230714BHJP
   B29C 64/135 20170101ALI20230714BHJP
   B29C 64/112 20170101ALI20230714BHJP
   B29C 64/118 20170101ALI20230714BHJP
   C09K 3/14 20060101ALI20230714BHJP
   B29C 64/314 20170101ALI20230714BHJP
   B29C 64/40 20170101ALI20230714BHJP
【FI】
B29C64/379
B29C64/188
B33Y10/00
B33Y70/10
B29C64/135
B29C64/112
B29C64/118
C09K3/14 550Z
B29C64/314
B29C64/40
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020557292
(86)(22)【出願日】2019-04-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 US2019028567
(87)【国際公開番号】W WO2019204822
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2022-02-15
(31)【優先権主張番号】62/660,740
(32)【優先日】2018-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519127340
【氏名又は名称】ポストプロセス テクノロジーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(72)【発明者】
【氏名】ハッチンソン, ダニエル, ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】ファーファグリア, マーク
(72)【発明者】
【氏名】グラント, キャシディ
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-531759(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106675875(CN,A)
【文献】特表2008-530279(JP,A)
【文献】特開2001-303095(JP,A)
【文献】特開2014-083744(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上げ懸濁液をAMT物体へと接触させ、前記AMT物体の一部および/または支持材料またはその一部を除去することを含む、積層造形技術によって形成された物体(AMT物体)の仕上げ方法であって、
前記仕上げ懸濁液が、
媒体粒子、および
1~20重量%のポリオールと、
0.001~10重量%のヒドロトロープと、
水を含む仕上げ媒体
を有するものであり、
前記仕上げ懸濁液を接触させることは、前記AMT物体への前記仕上げ懸濁液の噴霧を含む方法
【請求項2】
前記仕上げ懸濁液は0~413.7キロパスカルの圧力で噴霧される請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記仕上げ懸濁液は摂氏10~60度の温度である請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記AMT物体は、熱溶解積層法、選択的レーザ焼結法、光造形法、マルチジェットフュージョン方式、直接金属レーザ焼結法/バインダージェッティング方式、またはその組み合わせによって形成される請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記仕上げ媒体は、
1~20重量%のポリオールと、
1~20重量%の防食剤と、
0.001~10重量%のヒドロトロープを含み、
残りが水である請求項1記載の方法
【請求項6】
前記ポリオールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、メトキシトリグリコール、エトキシトリグリコール、ブトキシトリグリコール、ジエチレングリコールn-ブチル30エーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールn-ブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、2-ブトキシエタノール、およびその組み合わせから選ばれる請求項1記載の方法
【請求項7】
前記防食剤は、1つ以上の有機酸素化合物、1つ以上の有機アミン化合物、1つ以上の有機硫黄化合物、1つ以上の有機リン化合物、およびその組み合わせから選ばれる請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記防食剤は、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、ベンゾトリアゾール、ジブチルアミン、およびその組み合わせから選ばれる請求項5記載の方法。
【請求項9】
前記ヒドロトロープは、キシレンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸、キシレンスルホン酸カルシウム、キシレンスルホン酸カリウム、クメンスルホン酸、クメンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸、トルエンスルホン酸ナトリウム、およびその組み合わせから選ばれる請求項1記載の方法
【請求項10】
前記ヒドロトロープは、ヒドロトロープ異性体の混合物である請求項9記載の方法
【請求項11】
前記ヒドロトロープは、ヒドロトロープを1~50重量%含む水溶液を介して与えられる請求項9記載の方法
【請求項12】
前記仕上げ媒体のpHは4~14である請求項1記載の方法
【請求項13】
前記ポリオールはプロピレングリコール、
前記防食剤はトリエタノールアミン、
前記ヒドロトロープはキシレンスルホン酸ナトリウムを40重量%含む水溶液である請求項5記載の方法。
【請求項14】
前記仕上げ媒体は、
プロピレングリコールを10重量%、
トリエタノールアミンを10重量%、
キシレンスルホン酸ナトリウムを40重量%含む水溶液を4重量%、および
水を76重量%、含み、
前記仕上げ媒体のpHは4~14である請求項1記載の方法
【請求項15】
前記媒体粒子は、アルミニウム系粒子、ステンレス鋼粒子、スチール粒子、セラミック粒子、およびその組み合わせから選ばれる請求項1記載の方法
【請求項16】
前記媒体粒子は、ガラス玉、酸化アルミニウム、シリカ、酸化ジルコニウム、ジルコニア、ジルコニウム、炭化ケイ素、プラスチック、ガーネット、銅、コーンコブ、クルミ殻、雲母、長石、軽石、およびその組み合わせから選ばれる請求項1記載の方法
【請求項17】
前記媒体粒子は、1~1000μmの最大長さ寸法を有する請求項1記載の方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(参照出願)
本特許出願は、2018年4月20日に出願された米国仮特許出願番号第62/660740号の優先権を主張するものであって、その開示が参照することにより組み込まれるものである。
【0002】
本願は概して、積層造形技術(AMT)によって形成された物体から支持材料を除去するための、および/または、その表面仕上げのための仕上げ媒体に関する。いくつかの積層造形技術は一般に“3Dプリント”と称される。こうした3Dプリント技術は、ポリジェット方式、熱溶解積層法(FDM)、選択的レーザ焼結法(SLS)、光造形法(SLA)、マルチジェットフュージョン方式(MJF)、直接金属レーザ焼結法(DMLS)、バインダージェッティング方式などを含む。
【背景技術】
【0003】
AMT工程は通常、材料を逐次供給することによって物体(AMT物体)を形成するコンピュータ制御の装置(例えばプリンタ)によって実行される。すなわちAMT物体は、例えば、スターティングプラットフォーム(プリントトレーまたは形成トレー)からAMT物体が形成(プリント)されるように材料を付加的に堆積させるインクジェットプリンタヘッドを用いて“プリント”される。しばしば、3Dプリントを含むAMT工程は一般的に、プリント中にAMT物体の局所を支持する目的で、追加的な材料(支持材料)の印刷を必要とする。この支持材料はAMT物体を支え、垂れ下がり(sagging)などの問題を防ぐ。最終的には、例えばプリントの終了後に、支持材料の一部またはすべてを除去することが望ましいものとなり得る。さらに、AMT工程によって形成された物体は、粗い、未仕上げの表面を有するものとなり得る。こうした表面は、AMT工程中にどう材料がプリントされたかが分かる形成線を示すものとなり得る。本明細書においては特に注記しない限り、“仕上げ”との用語は、完成AMT物体を作り出すためにAMT物体から不要な材料を除去することを指す。仕上げは1つ以上の工程、すなわち、不要な金属粉の除去、不要なプリント材料の除去、不要な支持材料の除去、および/または、粗い表面の平滑化、を含み得るが、これに限定されるものではない。3Dプリント業界におけるように、仕上げが“洗浄”と呼ばれる場合もあり得る。
【0004】
従来の仕上げ方法は、仕上げ処理の実行および管理(しばしば物体ごとに)に人員を必要とする技術に頼っているが、これは費用がかかり、一貫性に欠け、プロダクションランが数個より多い場合には容易に対応できない。このように、AMT物体を仕上げる時に人間が必要とする時間と注意を減らせ、物体ごとに一貫性があり、プロダクションランの増加に対応できる仕上げ媒体/懸濁液が求められている。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、積層造形技術によって形成された物体の支持材料の除去、および/または、その表面仕上げのための仕上げ媒体および仕上げ懸濁液を述べている。仕上げ媒体は媒体粒子を浮遊させることができ、仕上げ媒体は、仕上げ中のAMT物体へと仕上げ媒体を接触させる(例えば噴霧する)装置を流れるものとできる。仕上げ媒体と媒体粒子の組み合わせを“仕上げ懸濁液”と呼ぶことができる。本発明に基づく仕上げ懸濁液を用いた場合、仕上げの主たる手段の性質は、機械的かつ化学的である。
【0006】
本発明に基づく仕上げ媒体は、1つ以上の媒体粒子と組み合わせて仕上げ懸濁液を形成するものとできる。媒体粒子は、機械的な力を与え、支持材料および/または仕上げ中の物体の一部を除去するのに役立つことができる。媒体粒子の例には、ガラス玉、スチール(例えばステンレス鋼)粒子、セラミック材料/粒子、酸化アルミニウム粒子(例えばアルミナ粒子)、酸化ケイ素粒子(例えばシリカ粒子)、酸化ジルコニウム粒子(例えばジルコニア粒子)、ジルコニウム粒子、炭化ケイ素粒子、プラスチック粒子、ガーネット粒子、銅粒子、コーンコブ粒子、クルミ殻、雲母粒子、長石粒子、軽石粒子などが含まれるが、これに限定されるものではない。仕上げ媒体は1種類の媒体粒子(例えばアルミナ、ステンレス鋼粒子、セラミック粒子(例えばシリカ系粒子、シリコン系粒子など)などのいずれか)と組み合わされるものとできる。あるいは、仕上げ懸濁液は、2種類以上の媒体粒子(例えばアルミナ、ステンレス鋼粒子、セラミック粒子(例えばシリカ系粒子、シリコン系粒子など)など、およびその組み合わせ)、および/またはサイズの異なる媒体粒子(例えばアルミナおよびステンレス鋼粒子であり、アルミナ粒子はすべてが同じ平均サイズであり、ステンレス鋼粒子は平均サイズが異なる;あるいはアルミナであって、アルミナ粒子がさまざまなサイズである)を含むものとできる。このような媒体粒子は、0.1~1000μmの最大長さ寸法(例えば直径または半径)を有するものでき、これは0.1μmの値および間の範囲(例えば1~700μmまたは1~500μm)のすべてを含む。媒体粒子は、例えば球状、細長状、不揃い状、ギザギザ状(jagged)、有角状(angular)、立方体状、長方形状、円柱状などのさまざまな形状を有するものとできる。ある形状の媒体粒子を他の形状の媒体粒子と共に用いることも可能である(例えば球状粒子をギザギザ状粒子と共に用いてもよい)。媒体粒子は、AMT物体をすり減らす(abrade)ために、および/または、研磨する(polish)ために用いられるものとできる。すり減らしおよび/または研磨効果は、媒体粒子の形状とサイズ、および印加される圧力によって変わり得る。例えば、1~100ポンドの媒体粒子(これは0.1ポンドの値および間の範囲のすべてを含む)が、仕上げ媒体25~30ガロンごとに(これは0.1ガロンの値および間の範囲のすべてを含む)与えられるものとできる。よって媒体粒子の仕上げ媒体に対するポンド/ガロン比は、1:30~4:1とでき、これはあらゆる整数比の値および間の範囲を含む。他のさまざまな例においては、仕上げ懸濁液は、仕上げ媒体1ガロンにつき1~2ポンドの媒体粒子を含むものであり、これは0.01ポンドの値および間の範囲のすべてを含む。
【0007】
本開示が述べる仕上げ媒体は、
1~20重量%のポリオールと、
任意なものとして1~20重量%の防食剤と、
0.001~10重量%のヒドロトロープを含み、
残りは水である。
【0008】
仕上げ媒体のポリオールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、メトキシトリグリコール、エトキシトリグリコール、ブトキシトリグリコール、ジエチレングリコールn-ブチル30エーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールn-ブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、2-ブトキシエタノールなど、およびその組み合わせから選ばれるものとできる。仕上げ媒体の防食剤は、有機酸素化合物、有機アミン化合物、有機硫黄化合物、有機リン化合物、およびその組み合わせから選ばれるものとできる。防食剤の例には、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、ベンゾトリアゾール、ジブチルアミン、およびその組み合わせが含まれるが、これに限定されるものではない。仕上げ媒体のヒドロトロープは、キシレンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸、キシレンスルホン酸カルシウム、キシレンスルホン酸カリウム、クメンスルホン酸、クメンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸、トルエンスルホン酸ナトリウム、およびその組み合わせから選ばれるものとできる。ヒドロトロープは、ヒドロトロープ異性体の混合物であってもよい。ヒドロトロープは、ヒドロトロープを1~50重量%含む水溶液を介して与えられるものとできる。
【0009】
仕上げ媒体はさらに媒体粒子を含み、仕上げ懸濁液を形成するものとできる。媒体粒子はアルミニウム系粒子、ステンレス鋼粒子、セラミック粒子、およびその組み合わせから選ばれるものとできる。媒体粒子は1~1000μmのサイズを有するものとできる。
【0010】
仕上げ媒体は、プロピレングリコール、トリエタノールアミン、キシレンスルホン酸ナトリウム(SXS)を含むものとできる。SXSは、SXSを40重量%含む水溶液として供給されるものとできる。
【0011】
仕上げ媒体は、
プロピレングリコールを10重量%、
トリエタノールアミンを10重量%、
SXSを40重量%含む水溶液を4重量%、および
水を76重量%、含むものとでき、
ここで仕上げ媒体のpHは4~14(例えばpHは7~14、または4~9、または8)である。媒体粒子が仕上げ媒体中に浮遊させられ、これにより懸濁液を形成するものとできる。
【0012】
AMT物体の仕上げ方法は、
(i)本発明に基づく仕上げ媒体をAMT物体へと接触させ、AMT物体の一部を除去するものとできる。
【0013】
仕上げ媒体はAMT物体へと噴霧されるものとできる。仕上げ媒体は、華氏50~140度の温度で、最大60psiの圧力で噴霧されるものとできる。
【0014】
本発明に基づく仕上げ媒体は、4~14のpHを有するものとできる。
【0015】
ATM物体は、熱溶解積層法、選択的レーザ焼結法、光造形法、マルチジェットフュージョン方式、および/または、直接金属レーザ焼結法/バインダージェッティング方式によって形成されるものとできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の本質および目的をより完璧に理解してもらうために、添付の図面と共に以下の詳細な説明を参照されたい。
図1図1Aおよび図1Bはそれぞれ、仕上げ前の、直接金属レーザ焼結法(DMLS)によって形成されたAMT物体の写真である。図1Aは物体の側面を示し、図1Bは物体の底面を示している。図1Cおよび図1Dはそれぞれ、本発明に基づく仕上げ媒体を接触させた後の、図1Aおよび1Bに示されたのと同一のAMT物体の写真である。図1Cは仕上げ後の物体の側面と底面を示し、図1Dは仕上げ後の物体の底面を示している。
図2図2は、本発明に基づく仕上げ媒体を接触させるのに用いられる装置の概略図である。図2は、1軸一斉噴出孔(single-axis fusillade jet)(1)、圧縮空気(2)、溶剤(すなわち仕上げ媒体)(3)、浮遊固体(すなわち媒体粒子)(4)、回転するT型穴あきターンテーブル(5)、デブリフィルタ(6)、溶剤/スラリ(すなわち仕上げ懸濁液)(7)、ポンプ吸引(8)、1軸一斉噴出孔(9)を示している。このような装置は、米国特許出願番号16/209778に開示された装置と同一または類似したものとできる。
図3図3は、本発明に基づく仕上げ懸濁液を用いる方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体的な例に基づいて説明するが、他の例(明細書中で説明された利点および特徴のすべてを提供するものではない例も含む)もまた本発明の範囲内となる。仕上げ媒体または仕上げ懸濁液の組成、および/またはAMT物体の仕上げ方法に対するさまざまな変更が、本発明の範囲から逸脱することなくなし得るものである。
【0018】
以下には数値範囲が開示されている。当該範囲は下限値(LLV)と上限値(ULV)を提示する。特に明記されていない限り、LLV、ULV、およびLLVとULVの間のすべての値が当該範囲の一部となる。
【0019】
本開示は、支持材料の除去およびAMT物体の表面仕上げのための仕上げ媒体を述べている。仕上げ媒体は媒体粒子を浮遊させ(仕上げ懸濁液を形成)、かつ仕上げ中のAMT物体へと仕上げ懸濁液を接触させる(例えば噴霧する)装置を媒体粒子が流れることを許容するものである。本発明に基づく仕上げ懸濁液を用いた仕上げの主たる手段の性質は、機械的かつ化学的である。この機械的側面はAMT物体の外表面に衝突する媒体粒子によって達成され得るもので、化学的側面はAMT物体の溶解可能部分の溶解を介して達成され得るものである。
【0020】
本明細書においては特に注記しない限り、“支持材料”の用語は、積層造形工程中にAMT物体の局所を支持するように効果的に配置された材料を指すが、これは製造工程終了後には不要なものとなる。支持材料は製造中の物体と同じ材料からなるものであってもよいし、異なる材料からできていてもよい。仕上げ中に除去可能な材料には、ポリジェット方式3Dプリントで用いられる材料(例えばSUP705、SUP706、SUP707、SUP708など、およびその組み合わせ)、熱溶解積層法(FDM)3Dプリントで用いられる材料(例えばSR20、SR30、SR100、SR110など、およびその組み合わせ)、選択的レーザ焼結法(SLS)3Dプリントで用いられる材料(例えばナイロン、ポリスチレン、スチール、チタンなど)、光造形法(SLA)3Dプリントで用いられる材料(例えばフォトポリマ、感光性樹脂(light-activated resin)など)、マルチジェットフュージョン方式(MJF)3Dプリントで用いられる材料(例えばPA12(ポリアミド)など)、DMLSおよびバインダージェッティング方式3Dプリントで用いられる材料(例えばスチール、アルミニウム、チタン、銅など、およびその組み合わせ)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、および/またはPLA(ポリ乳酸)が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0021】
本発明に基づく仕上げ媒体は、支持材料を除去するための、および/または、仕上げ中の物体の一部を除去するための粒子を運ぶために用いられるものとできる。仕上げ媒体と媒体粒子の組み合わせは、本明細書において仕上げ懸濁液と呼ばれる。
【0022】
仕上げ媒体は、ポリオール、防食剤、ヒドロトロープ、および水を含むものとできる。このような仕上げ媒体は、pHが4~14(例えば7~14、または8)とすることができる。
【0023】
仕上げ媒体は、
(a)1~20重量%のポリオール(0.01%の値および間の範囲のすべてを含む)と、
(b)任意なものとして1~20重量%の防食剤(0.01%の値および間の範囲のすべてを含む)と、
(c)0.001~10重量%のヒドロトロープ(0.0001%の値および間の範囲のすべてを含む)を含み、
(d)残りは水とすることができる。
【0024】
このような仕上げ媒体は、pHが4~14(例えば7~14、または8)とすることができる。
【0025】
本発明に基づく仕上げ媒体で潤滑剤として機能可能なポリオールは、仕上げ中の物体をコーティングするのに役立つことができる。このようなコーティングは不要な支持材料を溶解するのに役立つことができる。本発明に基づく仕上げ媒体に好適なポリオール(例えばグリコールおよびグリコールエーテル)の例には、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセロール、メトキシトリグリコール、エトキシトリグリコール、ブトキシトリグリコール、ジエチレングリコールn-ブチル30エーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールn-ブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、2-ブトキシエタノールなど、およびその組み合わせが含まれるが、これに限定されるものではない。例えば、本発明に基づく仕上げ媒体は、仕上げ媒体の総重量に対してポリオールが1~50重量%(0.01%の値および間の範囲のすべてを含む)とすることができる。実施例において、本発明に基づく仕上げ媒体は、ポリオールが1~20重量%、ポリオールが1~10重量%、ポリオールが10~20重量%、あるいはポリオールが1~15重量%とすることができる。
【0026】
本発明に基づく仕上げ媒体の防食剤は、仕上げ装置および形成プレートの金属部品を腐食から守るために含まれるものとできる。防食剤は例えば、有機酸素化合物、有機アミン化合物、有機硫黄化合物、有機リン化合物、またはその組み合わせとすることができる。本発明に基づく仕上げ媒体に好適な防食剤の例には、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、ベンゾトリアゾール、ジブチルアミン、その組み合わせなどが含まれるが、これに限定されるものではない。例えば、本発明に基づく仕上げ媒体は、仕上げ媒体の総重量に対して防食剤が1~20重量%(0.01%の値および間の範囲のすべてを含む)とすることができる。
【0027】
ヒドロトロープは、水に対して有機物(例えば仕上げ媒体の有機成分と物体由来の樹脂)を可溶性とすることを助けるために、本発明に基づく仕上げ媒体に含まれるものとできる。本発明に基づく仕上げ媒体に好適なヒドロトロープの例には、SXS、キシレンスルホン酸、キシレンスルホン酸カルシウム、キシレンスルホン酸カリウム、クメンスルホン酸、クメンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸、トルエンスルホン酸ナトリウム、およびその組み合わせが含まれるが、これに限定されるものではない。このようなヒドロトロープは、固体として仕上げ媒体に与えられてもよいし、あるいはヒドロトロープを1~50重量%(1%の値および間の範囲のすべてを含む)含む水溶液として仕上げ媒体に与えられてもよい。このようなヒドロトロープは、異性体(例えば立方異性体、構造異性体など)の混合物であってもよい。例えば、本発明に基づく仕上げ媒体は、仕上げ媒体の総重量に対してヒドロトロープが0.001~10重量%(0.0001%の値および間の範囲のすべてを含む)とすることができる。
【0028】
本発明に基づく仕上げ媒体は、1つ以上の媒体粒子と組み合わされるものとできる。本明細書では、媒体粒子を含む仕上げ媒体の組み合わせが仕上げ懸濁液と称される。媒体粒子は、機械的な力を与え、支持材料および/または仕上げ中の物体の一部を除去するのに役立つことができる。媒体粒子の例には、ガラス玉、スチール(例えばステンレス鋼)粒子、セラミック材料/粒子、酸化アルミニウム粒子(例えばアルミナ粒子)、酸化ケイ素粒子(例えばシリカ粒子)、酸化ジルコニウム粒子(例えばジルコニア粒子)、ジルコニウム粒子、炭化ケイ素粒子、プラスチック粒子、ガーネット粒子、銅粒子、コーンコブ粒子、クルミ殻、雲母粒子、長石粒子、軽石粒子などが含まれるが、これに限定されるものではない。仕上げ媒体は1種類の媒体粒子(例えばアルミナ、ステンレス鋼粒子、セラミック粒子(例えばシリカ系粒子、シリコン系粒子など)などのいずれか)と組み合わされるものとできる。あるいは、仕上げ懸濁液は、2種類以上の媒体粒子(例えばアルミナ、ステンレス鋼粒子、セラミック粒子(例えばシリカ系粒子、シリコン系粒子など)など、およびその組み合わせ)、および/またはサイズの異なる媒体粒子(例えばアルミナおよびステンレス鋼粒子であり、アルミナ粒子はすべてが同じ平均サイズであり、ステンレス鋼粒子は平均サイズが異なる;あるいはアルミナであって、アルミナ粒子がさまざまなサイズである)を含むものとできる。このような媒体粒子は、0.1~1000μmの最大長さ寸法(例えば直径または半径)を有するものでき、これは0.1μmの値および間の範囲(例えば1~700μmまたは1~500μm)のすべてを含む。媒体粒子は、例えば球状、細長状、不揃い状、ギザギザ状、有角状、立方体状、長方形状、円柱状などのさまざまな形状を有するものとできる。ある形状の媒体粒子を他の形状の媒体粒子と共に用いることも可能である(例えば球状粒子をギザギザ状粒子と共に用いてもよい)。媒体粒子は、AMT物体をすり減らすために、および/または、研磨するために用いられるものとできる。すり減らしおよび/または研磨効果は、媒体粒子の形状とサイズ、および印加される圧力によって変わり得る。例えば、1~100ポンドの媒体粒子(これは0.1ポンドの値および間の範囲のすべてを含む)が、仕上げ媒体25~30ガロンごとに(これは0.1ガロンの値および間の範囲のすべてを含む)与えられるものとできる。よって媒体粒子の仕上げ媒体に対するポンド/ガロン比は、1:30~4:1とでき、これはあらゆる整数比の値および間の範囲を含む。他のさまざまな例においては、仕上げ懸濁液は、仕上げ媒体1ガロンにつき1~2ポンドの媒体粒子を含むものであり、これは0.01ポンドの値および間の範囲のすべてを含む。
【0029】
本発明の特定な例においては、仕上げ媒体は、
(a)プロピレングリコールを1~20重量%(0.01%の値および間の範囲のすべてを含む)、
(b)トリエタノールアミンを1~20重量%(0.01%の値および間の範囲のすべてを含む)、
(c)SXSを0.001~10重量%(0.0001%の値および間の範囲のすべてを含む)含み、
(d)残りは水とすることができる。
【0030】
このような仕上げ媒体は、pHが4~14とすることができ、これは0.01pHの値および間の範囲(例えばpHは7~14、または4~9、または8)のすべてを含む。特定な例においては、仕上げ懸濁液は仕上げ媒体を含み、これは
(a)プロピレングリコールを10重量%、
(b)トリエタノールアミンを10重量%、
(c)SXSの40重量%水溶液を4重量%、含み、
(d)残りは水である。
【0031】
このような仕上げ媒体は、pHが約8とすることができる。
【0032】
例えば、仕上げ懸濁液は仕上げ媒体を含み、これは
(a)プロピレングリコールを1~20重量%(0.01%の値および間の範囲のすべてを含む)、
(b)トリエタノールアミンを1~20重量%(0.01%の値および間の範囲のすべてを含む)、
(c)キシレンスルホン酸ナトリウムを0.001~10重量%(0.0001%の値および間の範囲のすべてを含む)含み、
(d)残りは水であり、
媒体粒子が、アルミナ粒子、ステンレス鋼粒子、セラミック粒子(例えばシリカ系粒子、シリコン系粒子など)、およびその組み合わせからなる群れから選ばれるものとできる。仕上げ媒体1ガロンにつき媒体粒子は1~2ポンドとすることができる。このような仕上げ媒体/懸濁液は、pHが7~14とすることができ、これは0.01pHの値および間の範囲のすべてを含む。特定な例においては、仕上げ懸濁液は仕上げ媒体を含み、これは
(a)プロピレングリコールを10重量%、
(b)トリエタノールアミンを10重量%(0.01%の値および間の範囲のすべてを含む)、
(c)SXSの40重量%水溶液を4重量%、含み、
(d)残りは水であり、
媒体粒子が、アルミナ粒子、ステンレス鋼粒子、セラミック粒子、およびその組み合わせからなる群れから選ばれるものとできる。このような仕上げ媒体/懸濁液は、pHが約8(例えばpHが8±0.5)とすることができる。
【0033】
本発明に基づく仕上げ媒体は、媒体の損耗を減らすのに役立つことが可能である。媒体の損耗は、仕上げ懸濁液を接触させる装置内の媒体粒子が有効性の低い形状または効果のない形状へと崩壊する(例えば機械的に砕かれる)時に生じる。媒体粒子は、物体から材料を除去する目的でAMT物体に対して効果的な力を与えるのに十分な運動量を保持させるには粒子が小さすぎる場合に、有効性が低くなり、あるいは効果がなくなる。物体に衝突した時および/またはポンプ圧送による結果として大きな粒子が砕けることで粒子サイズは変化する。時間経過に伴い粒子の平均サイズは小さくなって質量が減り、よって各粒子は小さくなるにつれ物体から材料を除去する効果が低くなる。
【0034】
本発明は、仕上げ媒体/懸濁液を用いる方法として実施可能である。この方法のステップはAMT物体から不要な材料(例えば支持材料、不要なプリント材料、不要な金属など)を除去するのに十分なものとなり得る。該方法は、
(a)本発明に基づく仕上げ媒体/懸濁液を用意すること(図3の301)、および
(b)AMT物体へと仕上げ媒体/懸濁液を接触させ(例えば噴霧し)、物体の一部を除去すること(図3の303)、を含むものとできる。
【0035】
AMT物体へと仕上げ媒体を接触させることは、噴霧、および/または、そうではない物体のコーティングを含むものとでき、機械的な力が物体に作用するように仕上げ媒体/懸濁液が物体へと接触させられる。ノズルから出ていく仕上げ媒体/懸濁液の速度および圧力を上げるために、仕上げ媒体/懸濁液と同じノズルを通って空気が同時に押し出され、ノズルから出ていく仕上げ媒体/懸濁液の速度を増加させる。AMT物体は、最大60psi(例えば35psi)の圧力で仕上げ媒体/懸濁液を噴霧されるものとできる。仕上げ媒体/懸濁液と共に、仕上げ媒体/懸濁液を運ぶ管路へと空気が送り込まれてもよい。
【0036】
本発明に基づく仕上げ媒体または仕上げ懸濁液は、接触(例えば噴霧)に先んじ、またはその最中に、加熱されてもよい(図3の302)。仕上げ媒体または仕上げ懸濁液は、華氏50~140度(例えば華氏70~100度)の温度を有するものとでき、これは華氏0.01度の値および間の範囲のすべてを含む。仕上げ媒体/懸濁液の接触後には、仕上げ媒体または懸濁液を除去するために物体が例えば水で洗浄され、さらにAMT物体が乾燥させられてもよい(図3の304)。
【0037】
本発明に基づく仕上げ媒体または仕上げ懸濁液は、任意の装置(例えばポストプロセス社製の登録商標DECI DUOの仕上げ装置)によって与えられるものとできる。このような装置は、米国特許出願番号16/209778に開示された装置と同一または類似したものとできる。このような装置は、仕上げ媒体または仕上げ懸濁液を、物体に向けられたノズルを介してポンプで押し出すことができる。仕上げ媒体または仕上げ懸濁液は高速でノズルから押し出されるものとできる。このように与えられた場合(例えば噴霧中)、物体は、仕上げ媒体または仕上げ懸濁液(例えばアルミナ粒子、ステンレス鋼粒子、セラミック粒子などを含む)の噴霧を受けることができる。仕上げ媒体(および媒体粒子)は、物体の外表面に衝突する。物体外表面への衝突の力が不要な材料(例えば不要な樹脂、不要なプリント材料、不要な金属粉、不要な支持材料など)の除去を助ける。仕上げ媒体または仕上げ懸濁液が与えられる間、AMT物体は、AMT物体が仕上げ媒体および/または媒体粒子によってくまなく覆われる/衝撃を与えられるように回転させられる(例えばターンテーブルによって回転させられる)ものとできる。通常、最初の仕上げステップではより大きな媒体粒子(例えば酸化アルミニウム、炭化ケイ素、ステンレス鋼、チタンなどのより大きな媒体粒子)を有する仕上げ懸濁液を用い、次いでより小さな懸濁粒子(例えば登録商標ZIRBLASTや登録商標MICROBLASTなどの噴流媒体(blasting media)のセラミック媒体粒子)を有する仕上げ懸濁液で研磨されるものとできる。例えば、すり減らしにより大きな、および/または、ギザギザ状の粒子を用い、研磨に球状粒子を用いるものとできる。
【0038】
物体の仕上がりの判断には粗さ平均値(Ra)を用いることができる。Raが小さいほど物体が滑らかなことを、Raが大きいほど物体が粗いことを意味する。所望のRaに達するまで物体の仕上げを行うものとできる。Raはしばしばマイクロインチ単位で測定される。粗さ平均値が小さいほど物体が滑らかなことを意味する。
【0039】
以下のステートメントは、本発明に基づいた非制限的な例を説明するものである。
<ステートメント1>
1~20重量%のポリオールと、任意なものとして1~20重量%の防食剤と、0.001~10重量%のヒドロトロープと、水(例えば仕上げ媒体の残りは水とすることができる)を含む仕上げ媒体。
【0040】
<ステートメント2>
ステートメント1に記載の仕上げ媒体であって、ポリオールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、メトキシトリグリコール、エトキシトリグリコール、ブトキシトリグリコール、ジエチレングリコールn-ブチル30エーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールn-ブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、2-ブトキシエタノール、およびその組み合わせから選ばれる。
【0041】
<ステートメント3>
ステートメント1またはステートメント2に記載の仕上げ媒体であって、防食剤は、1つ以上の有機酸素化合物、1つ以上の有機アミン化合物、1つ以上の有機硫黄化合物、1つ以上の有機硫黄化合物、1つ以上の有機リン化合物、およびその組み合わせから選ばれ、非制限的な例には、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、ベンゾトリアゾール、ジブチルアミン、およびその組み合わせが含まれる。
【0042】
<ステートメント4>
先行するステートメントのいずれかに記載の仕上げ媒体であって、ヒドロトロープは、キシレンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸、キシレンスルホン酸カルシウム、キシレンスルホン酸カリウム、クメンスルホン酸、クメンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸、トルエンスルホン酸ナトリウム、およびその組み合わせから選ばれる。
【0043】
<ステートメント5>
ステートメント4に記載の仕上げ媒体であって、ヒドロトロープは、ヒドロトロープ異性体の混合物である。
【0044】
<ステートメント6>
ステートメント4またはステートメント5に記載の仕上げ媒体であって、ヒドロトロープは、ヒドロトロープを1~50重量%含む水溶液を介して与えられる。
【0045】
<ステートメント7>
先行するステートメントのいずれかに記載の仕上げ媒体であって、仕上げ媒体のpHは4~14(例えば7~14、または4~9、または8)である。
【0046】
<ステートメント8>
先行するステートメントのいずれかに記載の仕上げ媒体であって、ポリオールはプロピレングリコール、防食剤はトリエタノールアミン、ヒドロトロープはキシレンスルホン酸ナトリウムを40重量%含む水溶液である。
【0047】
<ステートメント9>
先行するステートメントのいずれかに記載の仕上げ媒体であって、プロピレングリコールを10重量%、トリエタノールアミンを10重量%、キシレンスルホン酸ナトリウムを40重量%含む水溶液を4重量%、および水を76重量%、含み、仕上げ媒体のpHは4~14(例えば7~14、または4~9、または8)である。
【0048】
<ステートメント10>
媒体粒子と先行するステートメントのいずれかに記載の仕上げ媒体を含む仕上げ懸濁液。
【0049】
<ステートメント11>
ステートメント10に記載の仕上げ懸濁液であって、媒体粒子は、ガラス玉、スチール(例えばステンレス鋼)、セラミック材料、酸化アルミニウム/アルミナ、シリカ、ジルコニウム、炭化ケイ素、プラスチック、ガーネット、銅、コーンコブ、クルミ殻、雲母、長石、軽石、およびその組み合わせから選ばれ、ここで媒体粒子は、例えば球状、細長状、不揃い状、ギザギザ状、有角状、立方体状、長方形状、円柱状などのさまざまな形状を有するものとできる。
【0050】
<ステートメント12>
ステートメント10またはステートメント11に記載の仕上げ懸濁液であって、媒体粒子は、0.1~1000μm(例えば1~700μmまたは1~500μm)の最大長さ寸法を有する。
【0051】
<ステートメント13>
ステートメント10~12のいずれかに記載の仕上げ懸濁液をAMT物体へと接触させ、AMT物体の一部を除去することを含む、AMT物体の仕上げ方法。
【0052】
<ステートメント14>
ステートメント13に記載の方法であって、支持材料またはその一部が除去される。
【0053】
<ステートメント15>
ステートメント13に記載の方法であって、仕上げ懸濁液を接触させることは、AMT物体への仕上げ懸濁液の噴霧を含む。
【0054】
<ステートメント16>
ステートメント15に記載の方法であって、仕上げ懸濁液は0~60psiの圧力で噴霧される。
【0055】
<ステートメント17>
ステートメント13~16のいずれかに記載の方法であって、仕上げ懸濁液は華氏50~140度の温度である。
【0056】
<ステートメント18>
ステートメント13~17のいずれかに記載の方法であって、物体は、熱溶解積層法、選択的レーザ焼結法、光造形法、マルチジェットフュージョン方式、直接金属レーザ焼結法/バインダージェッティング方式、またはその組み合わせによって形成される。
【0057】
本発明の実施の形態を説明するために以下の実施例を提示する。これは本発明の範囲を限定する意図を含まない。
【実施例1】
【0058】
本実施例は、本発明に基づく仕上げ媒体/懸濁液を用いる方法を説明するものである。
【0059】
図1Aおよび図1BのAMT物体が、当該分野で公知のDMLS工程によって印刷された。Ti6Al4Vからなるこの物体は、以下の仕上げ媒体を用いて仕上げられた:
(a)プロピレングリコールを10重量%、
(b)トリエタノールアミンを10重量%、
(c)キシレンスルホン酸ナトリウムを40重量%含む水溶液を4重量%、含み、
(d)残りが水。
【0060】
この仕上げ媒体はpHが約8であった。仕上げ媒体は36グリット(450μm)の酸化アルミニウム媒体粒子と組み合わされた。得られた仕上げ懸濁液はまず華氏約80度の温度まで加熱され、次いで圧力35psiで物体に仕上げ懸濁液を噴霧することによってAMT物体がすり減らされた。ノズルの上流に位置する孔を介して仕上げ懸濁液へと空気が供給された。孔の上流で空気圧は70psiであった。仕上げ懸濁液は110分間物体へと与えられ(例えば噴霧され)、その間物体は、毎分10回転(rpm)で回転するターンテーブル上に置かれていた。
【0061】
次に物体は、サイズが300グリット(34μm)の登録商標ZIRBLAST(ジルコニア、シリカ、アルミナの組み合わせで、大半はジルコニア)と組み合わされた仕上げ媒体を用いて研磨された。仕上げ懸濁液は40分間物体へと与えられ(例えば噴霧され)、その間物体は、10rpmで回転するターンテーブル上に置かれていた。
【0062】
仕上げ前のAMT物体上の多くの箇所でRaの値を測定すると、仕上げ前のRaの最高値/最低値は649/787と判明した。仕上げ後のRaの最高値/最低値は58/98と判明した。
【0063】
当然ながら、本発明のさまざまな側面、および他の特徴および機能、またはその代案を望むがままに組み合わせて、他の多くの異なるシステムまたは用途とすることが可能である。さまざまな代案、変形、変異、または改良が今後当業者によってなされる可能性もあるが、それらもまた本発明によって包含されるものである。これまで本発明の実施の形態を説明してきたが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。よって本発明は、添付のクレームおよびその合理的解釈によってのみ限定されるものと見なされる。
図1
図2
図3