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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-13
(45)【発行日】2023-07-24
(54)【発明の名称】包装用容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/26 20060101AFI20230714BHJP
   A61F 13/00 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
B65D81/26 B
A61F13/00 P
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021527606
(86)(22)【出願日】2020-06-05
(86)【国際出願番号】 JP2020022444
(87)【国際公開番号】W WO2020261948
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2021-12-15
(31)【優先権主張番号】P 2019122171
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】515279946
【氏名又は名称】株式会社ジーシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 薫
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-016395(JP,A)
【文献】実開平04-136483(JP,U)
【文献】特開2012-046225(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/26
A61F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と、
前記第1部材と一体的に嵌合する第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材との間に配置される中蓋と、
前記第1部材の前記第2部材との嵌合部分に開口し、収容物を収容する収容物収容部と、
前記第2部材の前記第1部材との前記嵌合部分に開口し、かつ、前記収容物収容部と区分して形成され、薬剤を収容する薬剤収容部と、
前記第1部材及び前記第2部材の内部に形成され、前記収容物収容部と前記薬剤収容部とを連通する通気経路と、
を備え
前記中蓋は、前記収容物収容部と前記薬剤収容部の開口部を塞ぐよう配置され、
前記薬剤収容部は前記第2部材の内壁により形成され、
前記中蓋は、前記第2部材に脱着可能に係合される、
包装用容器。
【請求項2】
前記通気経路は、前記収容物収容部の側方に形成される、
請求項1に記載の包装用容器。
【請求項3】
前記収容物収容部の内壁の一面の周方向両側にそれぞれ端部が設けられ、両方の端部を接続する略C字状に形成され、前記第1部材と前記第2部材とが嵌合する際に少なくとも一部が前記薬剤収容部と対向する位置に配置される溝と、
前記中蓋から側方に延びて形成され、前記第1部材と前記第2部材とが嵌合する際に前記溝と対向して配置される耳部と、
前記耳部の端部から前記中蓋の中央側へ凹んで形成され、前記第1部材と前記第2部材とが嵌合する際に前記溝の一部と前記薬剤収容部との間に配置される凹み部と、
を備え、
前記溝及び前記凹み部が前記通気経路を形成する、
請求項2に記載の包装用容器。
【請求項4】
前記中蓋は、前記第1部材と前記第2部材との間に配置されるとき前記第1部材に向く主面上に前記収容物収容部の外縁と嵌合する環状突起を備える、
請求項1に記載の包装用容器。
【請求項5】
前記収容物収容部の底面は、前記第1部材の底面と平行かつ前記第1部材の底面より前記嵌合部分側に入り込んで形成される、
請求項1に記載の包装用容器。
【請求項6】
前記収容物収容部の底面には、前記嵌合部分側に突出して形成され、収容物を支持する凸状パターンが設けられる、
請求項1に記載の包装用容器。
【請求項7】
前記第1部材と前記第2部材とは、一部材として形成され、境界部分を折り畳むことによって嵌合する、
請求項1に記載の包装用容器。
【請求項8】
前記収容物は、口腔手術用の組織再生用吸収性膜である、
請求項1に記載の包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
医療器具や食品等の分野において、無菌性や乾燥性が要求される商品(収容物)を収容保管するため、酸素吸収剤や乾燥剤等の薬剤を同梱した包装用容器が用いられている。このような包装用容器では、例えば収容物の収容空間と薬剤の収容空間との間を中蓋や隔膜などで区分して、収容物と薬剤とが容器内に収容される(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8―230952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の包装用容器では、薬剤の効果が収容物に作用するまでに時間がかかるため、例えば酸素を除去して保存した収容物が酸素と触れて酸化するなど、収容物の保存状態が劣化する場合がある。
【0005】
本開示は、薬剤の効果を収容物に迅速に作用させることができる包装用容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態の一観点に係る包装用容器は、第1部材と、前記第1部材と一体的に嵌合する第2部材と、前記第1部材と前記第2部材との間に配置される中蓋と、前記第1部材の前記第2部材との嵌合部分に開口し、収容物を収容する収容物収容部と、前記第2部材の前記第1部材との前記嵌合部分に開口し、かつ、前記収容物収容部と区分して形成され、薬剤を収容する薬剤収容部と、前記第1部材及び前記第2部材の内部に形成され、前記収容物収容部と前記薬剤収容部とを連通する通気経路と、を備え、前記中蓋は、前記収容物収容部と前記薬剤収容部の開口部を塞ぐよう配置され、前記薬剤収容部は前記第2部材の内壁により形成され、前記中蓋は、前記第2部材に脱着可能に係合される

【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、薬剤の効果を収容物に迅速に作用させることができる包装用容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る包装用容器の組立斜視図である。
図2図1に示す包装用容器を下方から視た組立斜視図である。
図3図1に示す包装用容器を上方から視た平面図である。
図4図1に示す包装用容器の分解斜視図である。
図5】開蓋状態の本体に中蓋を係合した状態の斜視図である。
図6図3中のA-A断面図であり、通気経路を示す図である。
図7】開蓋状態の本体と、中蓋を重畳表示した図であり、通気経路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0010】
なお、以下の説明において、x方向、y方向、z方向は互いに垂直な方向である。x方向及びy方向は典型的には水平方向であり、z方向は典型的には鉛直方向である。x方向は包装用容器1の長辺の延在方向である。y方向は、包装用容器1の短辺の延在方向である。また、以下では説明の便宜上、z正方向側を上側、z負方向側を下側とも表現する場合がある。
【0011】
図1は、実施形態に係る包装用容器1の組立斜視図である。図2は、図1に示す包装用容器1を下方から視た組立斜視図である。図3は、図1に示す包装用容器1を上方から視た平面図である。図4は、図1に示す包装用容器1の分解斜視図である。図5は、開蓋状態の本体2に中蓋5を係合した状態の斜視図である。図6は、図3中のA-A断面図であり、通気経路6を示す図である。図7は、開蓋状態の本体2と、中蓋5を重畳表示した図であり、通気経路6を示す図である。
【0012】
図1図3に示す包装用容器1は、図6に示すように、内部に収容物7と薬剤8とを直接接触しないように区分して収容することができる容器である。
【0013】
収容物7としては、例えば口腔手術用の組織再生用吸収性膜が挙げられる。組織再生用吸収性膜は、例えば、口腔手術において顎部に人工骨を埋め込む際に、人工骨と歯茎などの軟組織と間に配置され、人工骨と軟組織との癒着を防止するために用いられる。組織再生用吸収性膜は、酸素や水分によって分解する特性を有し、手術後には一定時間経過後には体内で分解されて吸収されるので、再度手術を行って体外に取り出す手間がない。組織再生用吸収性膜は、外力を受けて圧迫されたり変形すると、上記の特性が劣化する虞がある。
【0014】
包装用容器1は、収容物7が外力を受けるのを防止するように収容物7を保持するための容器である。図1図3に示すように、包装用容器1は、上部が略十字状に突出する構成によって、上方からの外力に対する強度を高めている。また、図2に示すように、底面が上げ底状に形成されることによって、収容物7が下方からの外力を直接受けない構成となっている。
【0015】
収容物7としての組織再生用吸収性膜は、例えば、15×25mm、25×25mm、30×40mmの3種類の矩形状に形成されるものであり、主面の一方が粘着面の場合がある。
【0016】
また、収容物7としての組織再生用吸収性膜は、上述のとおり酸素や水分と接触することによって分解する特性を有するので、包装用容器1への収容時には収容物7の周囲から酸素や水分を除去する必要がある。この目的のために、脱酸素性及び/又は脱水性の特性を有し、周囲の酸素及び/又は水分を吸着することができる薬剤8が、包装用容器1内に収容される。
【0017】
包装用容器1の内部に収容物7及び薬剤8を収容することにより、収容物7の周囲の酸素及び/又は水分を薬剤8が吸着するため、収容物7の品質を保持することができる。また、包装用容器1の内部に収容物7及び薬剤8が収容された状態で、包装用容器1がアルミ袋等に密封されるのが好ましい。これにより、アルミ袋等の外部からの酸素及び/又は水分の侵入を抑えることができ、収容物7の品質をより確実に保持することができる。ここで、アルミ袋等を密封する際には、アルミ袋等の内部を真空脱気した上で、窒素等の不活性ガスを充填することが好ましい。
【0018】
図4図5に示すように、包装用容器1は、本体2と中蓋5を備える。図1図6に示すように、本体2は、身部3(第1部材)と蓋部4(第2部材)とを有する。包装用容器1の材質は、例えばPET(ポリエチレンテレフタラート)樹脂であり、この場合は透明であるが、各図では形状を見やすくするため非透明な物体として図示されている。
【0019】
図4図5に示すように、本体2の身部3と蓋部4とは、平面視において略長方形状に形成され、それぞれの長辺の一辺同士を繋ぐ境界部分21にて連結されて一体的に形成されている。
【0020】
身部3は、蓋部4と対向する側へ突出して形成される凸部22と、凸部22の外縁に沿って形成される矩形環状の下側第1平面部23と、を有する。
【0021】
蓋部4は、身部3と対向する側から窪んで形成される凹部24と、凹部24の外縁に沿って形成される矩形環状の上側第1平面部25と、を有する。
【0022】
身部3と蓋部4との長辺に沿った境界部分21を折り曲げることにより、凹部24が身部3の凸部22と嵌合して、上側第1平面部25と下側第1平面部23とが当接する。これにより、包装用容器1が組み立てられて、その内部に収容空間が形成される。
【0023】
身部3の凸部22は、下側第2平面部32と、下側第3平面部33とを有する。下側第2平面部32は、下側第1平面部23の内側に沿って段差状に突出して矩形環状に形成される。下側第3平面部33は、下側第2平面部32の内側にて、下側第1平面部23と下側第2平面部32との間のz方向の位置に配置される矩形状の平面である。下側第3平面部33は、収容物収容部31の一部を形成する。
【0024】
また、下側第3平面部33のx方向両側には、通気経路6の一部を形成する溝34などが配置される。通気経路6の詳細については後述する。溝34は、下側第2平面部32の面からz負方向に凹んで形成され、溝34の底面は下側第3平面部33よりz正方向側となる。溝34は略C字状に形成され、その両端は下側第3平面部33の矩形状の短辺の両端で収容物収容部31に接続されている。溝34と下側第3平面部33との間には、下側第2平面部32と同じ高さの中壁部37が形成される。中壁部37は、下側第3平面部33の矩形状の短辺に沿って延在する。
【0025】
下側第3平面部33の長辺部分は下側第2平面部32との間の内周面38によって区画され、短辺部分は中壁部37によって区画されて、収容物収容部31の下部分が形成されている。下側第3平面部33の表面には、複数の半球状の突起からなる凸状パターン39が形成されている。
【0026】
蓋部4の凹部24は、上側第2平面部42と、上側第3平面部43とを有する。上側第2平面部42は、上側第1平面部25の内側に沿って段差状に凹んで形成される。上側第3平面部43は、上側第2平面部42からさらに段差状に凹んで形成される。上側第3平面部43は、平面視においてx方向、y方向に延在する略十字状の平面である。上側第3平面部43は、薬剤収容部41の一部を形成する。
【0027】
図2図4図5に示すように、身部3の下側第1平面部23と下側第2平面部32との間の外周面35には、蓋部4との係合用の身部側ロック部36が設けられる。また、図1図3図4図5に示すように、蓋部4の上側第1平面部25と上側第2平面部42との間の内周面44には、身部3との係合用の蓋部側ロック部45が設けられる。本実施形態では、外周面35の平面視における矩形状の一対の短辺に一対の身部側ロック部36が設けられる。また、内周面44の平面視における矩形状の一対の短辺のうち、身部3と蓋部4との嵌合時に対向する位置に、一対の蓋部側ロック部45が設けられる。身部側ロック部36と蓋部側ロック部45は、共に短辺の延在方向に沿って形成される線状の突起である。
【0028】
蓋部側ロック部45と上側第1平面部25との間の距離は、身部側ロック部36と下側第1平面部23との間の距離より小さい。この構成により、組み付け時には、蓋部側ロック部45が、身部側ロック部36を乗り越えて進出することができ、身部側ロック部36と下側第1平面部23との間に配置される。これにより、蓋部側ロック部45の蓋部4が開く側(図4図5のz正方向側、下側第2平面部32側)への移動が身部側ロック部36により規制されるので、この結果、身部3と蓋部4とが係合される。
【0029】
さらに、図2図4図5に示すように、蓋部4の上側第1平面部25の一対の長辺のうち、身部3との境界部分21が無いほうの一辺の略中央の位置には、係止用の爪部46が設けられる。爪部46は、例えば上側第1平面部25の一部に略半円状の切り込みを入れて設けられる。この切り込みは、円弧が容器1の中心側に向かって凸となるように形成され、図1図2に示すように、この切れ込みの間に身部3の下側第1平面部23の外縁端が挿入されて、身部3と蓋部4とがより強固に固定される。
【0030】
図4~6に示すように、中蓋5は、包装用容器1の組立時には、第1主面51が身部3の下側第2平面部32と対向し、第2主面52が蓋部4の上側第2平面部42と対向して配置される。第1主面51のうち下側第3平面部33と対向する位置に環状突起53が立設されている。環状突起53は、下側第3平面部33の外形に沿って略矩形状に形成される。環状突起53の長辺部分は、下側第2平面部32の内周面38と当接することによってy方向への中蓋5の移動が規制され、また、環状突起53の短辺部分は、中壁部37と当接することによってx方向への中蓋5の移動が規制される。
【0031】
また、第1主面51のうち環状突起53の内側には、複数の半球状の突起からなる凸状パターン56が形成されている。包装用容器1の組立時には、中蓋5の環状突起53が下側第2平面部32の内周面38と、一対の中壁部37との内側に嵌合される。このとき、下側第3平面部33と、中蓋5の第1主面51と、一対の中壁部37と、下側第2平面部32の内周面38とによって、収容物収容部31が形成される。
【0032】
中蓋5の環状突起53よりx方向両側には耳部54が設けられ、耳部54のy方向中央には環状突起53側に窪んだ凹み部55が設けられる。
【0033】
図1、3~5に示すように、蓋部4の内周面44のうち矩形状の一対の長辺部分の略中央の位置には、中蓋5の係合用の一対のロック部48が設けられる。ロック部48は、長辺の延在方向に沿って形成される線状の突起である。
【0034】
図4図5に示すように、容器組立時には中蓋5が蓋部4の凹部24に挿入されて、中蓋5の長辺側の両端部がそれぞれロック部48を乗り越えて進出し、ロック部48と上側第2平面部42との間に配置される。これにより、中蓋5が離間する側(図4図5のz正方向側、上側第1平面部25側)への中蓋5の長辺側の両端部の移動がロック部48により規制されるので、この結果、中蓋5が蓋部4の凹部24に係合される。このとき、蓋部4の上側第3平面部43と、中蓋5の第2主面52と、上側第2平面部42と上側第3平面部43との間の内周面47によって、薬剤収容部41が形成される。
【0035】
また、図2、4、5に示すように、身部3の下側第1平面部23と下側第2平面部32との間の外周面35のうち、平面視における矩形状の一対の長辺の略中央には、一対の収容溝40が設けられる。収容溝40は、下側第2平面部32からz負方向に沿って外周面35が凹むよう形成されている。収容溝40は、蓋部4のロック部48と対向する位置に設けられる。これにより、身部3と蓋部4とが嵌合する際には、ロック部48が収容溝40に入り込むので、ロック部48が嵌合を阻害することなくスムーズに身部3と蓋部4との嵌合を行うことができる。
【0036】
図6に示すように、中蓋5の環状突起53の第1主面51からの突出量は、容器組立時には身部3の溝34と収容物収容部31との連通部分を塞がず、溝34との間に隙間があくように形成されている。これにより、溝34と収容物収容部31との連通状態が確保される。
【0037】
また、図7に示すように、中蓋5のx方向両端の凹み部55によって、中蓋5が蓋部4に係合された状態でも、中蓋5は薬剤収容部41を完全には塞がずに、x方向両端の一部に開口部26(図7の斜線部分)を形成する。同様に、中蓋5が身部3に係合された状態でも、中蓋5は、収容物収容部31のx方向両側にある一対の溝34を完全には塞がずに、溝34のy方向中央の一部に開口部27(図7の斜線部分)を形成する。これらの開口部26と開口部27とは、容器組立時には対向して少なくとも一部が重畳する。つまり、図6図7に示すように、身部3の溝34と、中蓋5の凹み部55とによって、収容物収容部31と薬剤収容部41とを連通する通気経路6が、本体2の内部に形成される。
【0038】
次に本実施形態に係る包装用容器1の効果を説明する。本実施形態の包装用容器1は、身部3と、この身部3と一体的に嵌合する蓋部4と、身部3と蓋部4との間に配置される中蓋5と、身部3の蓋部4との嵌合部分に開口し、シート状の収容物7を収容する収容物収容部31と、蓋部4の身部3との嵌合部分に開口し、かつ、収容物収容部31と区分して形成され、脱酸素性及び/又は脱水性の薬剤8を収容する薬剤収容部41と、身部3及び蓋部4の内部に形成され、収容物収容部31と薬剤収容部41とを連通する通気経路6と、を備える。
【0039】
この構成により、収容物7と薬剤8とを容器内部に区分して収容しつつ、通気経路6を介して収容物収容部31と薬剤収容部41との連通状態を確保できるので、薬剤8による収容物収容部31内の酸素及び/又は水分の吸着を促進でき、薬剤8の効果を収容物7に迅速に作用させることができる。また、収容物7が薬剤8に接触することが無いので、薬剤8との接触による収容物7の変質や機能劣化を防止でき、収容物7の品質を確実に保持できる。
【0040】
また、本実施形態の包装用容器1では、通気経路6は、収容物収容部31の側方(x方向両側)に形成されるので、容器のz方向の厚み増加を防止でき、省スペース化を図れる。
【0041】
また、本実施形態の包装用容器1は、収容物収容部31の内壁の一面の周方向両側にそれぞれ端部が設けられ、両方の端部を接続する略C字状に形成され、身部3と蓋部4とが嵌合する際に少なくとも一部が薬剤収容部41と対向する位置に配置される溝34と、中蓋5から側方に延びて形成され、身部3と蓋部4とが嵌合する際に溝34と対向して配置される耳部54と、耳部54の端部から中蓋5の中央側へ凹んで形成され、身部3と蓋部4とが嵌合する際に溝34の一部と薬剤収容部41との間に配置される凹み部55と、を備え、溝34及び凹み部55が通気経路6を形成する。
【0042】
この構成により、専用の通気経路6を設けずに、身部3及び中蓋5の一部分を組み合わせることで通気経路6が形成されるので、容器の組立容易性を担保しつつ、通気経路6を確保できる。また、溝34が略C字状に形成され、特に本実施形態では、溝34の両端が下側第3平面部33の矩形状の短辺の両端で収容物収容部31に接続されており、短辺の中央部分には中壁部37が配置されるため、収容物収容部31への通気経路6の開口部分を収容物収容部31の内壁の一面の両端部(中壁部37のy方向両側)に限定できる。これにより、収容物収容部31内のシート状の収容物7の矩形状の角部などが通気経路6に入り込みにくくなるので、収容物7が通気経路6に入り込むことによる変形を防止でき、収容物7の変形による変質や機能劣化を防止できる。
【0043】
また、本実施形態の包装用容器1では、中蓋5は、身部3と蓋部4との間に配置されるとき身部3に向く第1主面51上に、収容物収容部31の外縁と係合する環状突起53を備える。この構成により、収容物収容部31からの中蓋5側への収容物7の飛び出しを防止できる。また、身部3に対する中蓋5のx方向やy方向への相対的な移動を抑制でき、振動や騒音の発生を抑制できる。
【0044】
また、本実施形態の包装用容器1では、収容物収容部31の底面(下側第3平面部33)は、身部3の底面(下側第1平面部23)と平行、かつ、身部3の底面より嵌合部分側に入り込んで形成される。この構成により、収容物収容部31が上げ底状になるので、収容物収容部31内の収容物7が下方からの外力を直接受けない構造にでき、収容物7をより確実に保持できる。
【0045】
また、本実施形態の包装用容器1では、収容物収容部31の底面には、嵌合部分側に突出して形成され、収容物7を支持する凸状パターン39が設けられる。この構成により、収容物収容部31内の収容物7が接触する面積を縮小でき、収容物7の貼り付きが防止され、取り出しやすさが向上する。
【0046】
また、本実施形態の包装用容器1では、中蓋5は、蓋部4に脱着可能に係合される。これにより、蓋部4の開閉の際に、収容物収容部31の底面側が露出するので、収容物7の出し入れを容易にできる。
【0047】
また、本実施形態の包装用容器1では、身部3と蓋部4とは、一部材として形成され、境界部分21を折り畳むことによって嵌合する。この構成により、部品点数や製造コストを削減でき、組み立ても容易にできる。
【0048】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【0049】
上記実施形態では、身部3と蓋部4とが一体的に形成される構成を例示したが、身部3と蓋部4は別部材であってもよい。一方、上記実施形態では、身部3と蓋部4とを有する本体2と、中蓋5とが別部材である構成を例示したが、本体2と中蓋5とも一体的に形成される構成でもよい。この場合、中蓋5は、例えば身部3または蓋部4の長辺のうち境界部分21ではない方の一辺と連結される。
【0050】
上記実施形態では、身部3に収容物収容部31が設けられ、蓋部4に薬剤収容部41が設けられる構成を例示したが、この構成とは反対に、蓋部4に収容物収容部31が設けられ、身部3に薬剤収容部41が設けられる構成としてもよい。
【0051】
なお、上記実施形態では、シート状の収容物7を例示したが、収容物7の形状はシート状以外でもよい。また、上記実施形態では、脱酸素性及び/又は脱水性の薬剤8を例示したが、薬剤8の機能は脱酸素性や脱水性以外でもよい。
【0052】
本国際出願は2019年6月28日に出願された日本国特許出願2019-122171号に基づく優先権を主張するものであり、2019-122171号の全内容をここに本国際出願に援用する。
【符号の説明】
【0053】
1 包装用容器
2 本体
3 身部(第1部材)
31 収容物収容部
33 下側第3平面部(収容物収容部の底面)
34 溝
39 凸状パターン
4 蓋部(第2部材)
41 薬剤収容部
5 中蓋
51 第1主面
52 第2主面
53 環状突起
54 耳部
55 凹み部
6 通気経路
7 収容物
8 薬剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7