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特許7313488砂製造装置、砂研磨装置、及び砂分級装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-13
(45)【発行日】2023-07-24
(54)【発明の名称】砂製造装置、砂研磨装置、及び砂分級装置
(51)【国際特許分類】
   B22C 5/04 20060101AFI20230714BHJP
   B22C 5/06 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
B22C5/04
B22C5/06
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021573638
(86)(22)【出願日】2020-01-27
(86)【国際出願番号】 JP2020002777
(87)【国際公開番号】W WO2021152663
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-07-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000231855
【氏名又は名称】日本鋳造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 秀勝
【審査官】坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-214178(JP,A)
【文献】特開2000-176598(JP,A)
【文献】特開平07-080594(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22C 5/04
B22C 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理容器と、前記処理容器の内部に設置された有底筒状の回転ドラムと、前記回転ドラムの上端から上方の外周を囲む環状棚と、を備え、前記回転ドラムを回転させることにより前記回転ドラムの内部に供給された砂に力を付与する砂研磨装置と、
前記砂研磨装置と接続され、前記砂研磨装置から供給された砂を圧縮空気により流動させる砂分級装置と、
前記砂分級装置に空気を送り込む送風機と、を備え、
前記砂分級装置は、
下部に前記送風機からの空気を圧縮する風箱と、
前記風箱の上方に位置し、砂から微粉を分離する分級室と、を備え、
前記分級室は、
上部に前記分級室内の空気が流入する集塵口を備え、
前記処理容器は、
前記回転ドラムの上方に配置されたホッパと、
下部に当該処理容器の外部に砂を搬出する砂搬送路と、
上部に当該処理容器の内部の空気を吸引し外部に送る集塵路と、を備え、
前記砂搬送路は、
前記処理容器の下部と前記分級室とを接続し、
前記集塵路は、
前記処理容器の上部と前記分級室の上部とを接続し、
前記集塵路を通過した空気は、
前記分級室を経て前記集塵口へと吸引される、砂製造装置。
【請求項2】
前記ホッパは、
下端部に中央部に孔を有する板状の砂供給部材を備え、
前記孔は、
砂供給口であり、前記回転ドラムの回転中心軸上に配置される、請求項1に記載の砂製造装置。
【請求項3】
前記回転ドラムは、
中央部であって前記砂供給部材の下方に保護部材を備え、
前記保護部材は、
少なくとも前記砂供給部材を向いた側の表面を構成する外部材と、
前記外部材の内側に位置し前記外部材と一体となっている内部材と、を備え、
前記外部材の硬度は、
前記内部材の硬度よりも高い、請求項2に記載の砂製造装置。
【請求項4】
前記砂研磨装置は、
前記処理容器の前記回転ドラムの下方に設置された空気流路を備え、
前記回転ドラムの下方において前記回転ドラムの回転中心から半径方向に向かって空気が噴き出すように構成される、請求項1~3の何れか1項に記載の砂製造装置。
【請求項5】
前記砂分級装置は、
前記風箱と前記分級室とを仕切る仕切板と、
前記仕切板の前記分級室側の面に設置されたノズルと、を備え、
前記ノズルは、
前記面から前記分級室側に突出しており、
突出する方向に対して交差する方向に向かって開口している噴出孔を備える、請求項1~4の何れか1項に記載の砂製造装置。
【請求項6】
前記ノズルは、
前記仕切板の上に配置された複数のノズルから構成される、請求項5に記載の砂製造装置。
【請求項7】
空気を吸引する集塵装置を備え、
前記集塵口は、
前記集塵装置に接続される、請求項1~6の何れか1項に記載の砂製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砂の付着物を除去することにより砂を再生する砂製造装置、砂研磨装置、及び砂分級装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば使用済みの鋳物砂を再生させるために、回収した鋳物砂を回転ドラム内に投入し、鋳物砂に摩擦等を加えることにより付着物を除去する砂再生装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭54-093629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の砂再生装置においては、回転ドラムにより砂同士の衝突による衝撃及び砂粒間の摩擦により、砂に付着した粘結剤又は塗型材、若しくは熱衝撃等により微粉化した砂粒等の不要物を分離する。粘結剤、塗型材、及び微粉化した砂粒は、回転ドラムから砂が飛散する際に舞い上がり、粉塵回収部から吸引されることにより、砂と分離される。しかし、粘結剤、塗型材、及び微粉化した砂粒の一部は、砂から分離しきれずに残存するという課題があった。
【0005】
本発明は、上述のような課題を解決するためのものであり、砂に含まれる不要物の除去を効率良く行える砂製造装置、砂研磨装置、及び砂分級装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る砂製造装置は、処理容器と、前記処理容器の内部に設置された有底筒状の回転ドラムと、前記回転ドラムの上端から上方の外周を囲む環状棚と、を備え、前記回転ドラムを回転させることにより前記回転ドラムの内部に供給された砂に力を付与する砂研磨装置と、前記砂研磨装置と接続され、前記砂研磨装置から供給された砂を圧縮空気により流動させる砂分級装置と、前記砂分級装置に空気を送り込む送風機と、を備え、前記砂分級装置は、下部に前記送風機からの空気を圧縮する風箱と、前記風箱の上方に位置し、砂から微粉を分離する分級室と、を備え、前記分級室は、上部に前記分級室内の空気が流入する集塵口を備え、前記処理容器は、前記回転ドラムの上方に配置されたホッパと、下部に当該処理容器の外部に砂を搬出する砂搬送路と、上部に当該処理容器の内部の空気を吸引し外部に送る集塵路と、を備え、前記砂搬送路は、前記処理容器の下部と前記分級室とを接続し、前記集塵路は、前記処理容器の上部と前記分級室の上部とを接続し、前記集塵路を通過した空気は、前記分級室を経て前記集塵口へと吸引される。
【0007】
本発明に係る砂研磨装置は、処理容器と、前記処理容器の内部に設置された有底筒状の回転ドラムと、前記回転ドラムの上端から上方の外周を囲む環状棚と、を備え、前記処理容器は、前記回転ドラムの上方に配置されたホッパと、下部に当該処理容器の外部に砂を搬出する砂搬送路と、上部に当該処理容器の内部の空気を吸引し外部に送る集塵路と、を備え、前記ホッパは、下端部に中央部に孔を有する板状の砂供給部材を備え、前記孔は、砂供給口であり、前記回転ドラムの回転中心軸上に配置され、前記回転ドラムは、回転されて前記回転ドラムの内部に供給された砂に力を付与し、中央部であって前記砂供給部材の下方に保護部材を備え、前記保護部材は、少なくとも前記砂供給部材を向いた側の表面を構成する外部材と、前記外部材の内側に位置し前記外部材と一体となっている内部材と、を備え、前記外部材の硬度は、前記内部材の硬度よりも高いものである。
【0008】
本発明に係る砂分級装置は、下部に送風機からの空気を圧縮する風箱と、前記風箱の上方に砂から微粉を分離する分級室と、前記風箱と前記分級室とを仕切る仕切板と、外部から砂が流入する搬入口と、外部の空気が流入する流入口と、を備え、前記分級室は、上部に前記分級室内の空気が流入する集塵口を備え、前記仕切板は、前記分級室側の面に設置されたノズルを備え、前記ノズルは、前記面から前記分級室側に突出しており、噴出孔を備え、外部から供給された砂を前記噴出孔から吹き出された圧縮空気により流動させ、前記仕切板の前記面から上方に延び中央部に流通孔が設けられた筒体と、前記筒体の上面を覆うドーム部と、を備え、前記噴出孔は、前記筒体の前記上面と前記ドーム部とにより囲まれて形成される空間と、前記分級室とを連通し、前記ノズルが前記面から突出する方向に対して交差する方向に向かって開口している
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、砂研磨装置により不要物を分離した砂を更に砂分級装置に送り込み、砂に含まれている微粉になっている不要物をさらに分離することができるため、砂に含まれる不要物の除去率が向上する。砂研磨装置と砂分級装置とは、微粉となった不要物を吸引する集塵部が接続されており、集塵装置を共通化しているため、分離した不要物の回収も効率良く行うことができる。また、砂研磨装置及び砂分級装置は、それぞれ砂製造装置を構成するものであり、上記構成を備えることにより効率良く不要物の分離を行え、集塵路が流入口に接続し、砂搬送路が搬入口にそれぞれ接続することにより、互いに接続するのに適した構造を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る砂製造装置100の構成を示す模式図である。
図2】実施の形態1に係る砂製造装置100を構成する砂研磨装置10の斜視図である。
図3図2の回転ドラム13の周辺の拡大図である。
図4】実施の形態1に係る砂製造装置100の砂研磨装置10の砂の動きの説明図である。
図5】実施の形態1に係る砂製造装置100の砂研磨装置10の空気の動きの説明図である。
図6】実施の形態1に係る砂製造装置100の砂分級装置20の構造を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態1に係る砂製造装置、砂研磨装置、及び砂分級装置について図面等を参照しながら説明する。なお、図1を含む以下の図面では、各構成部材の相対的な寸法の関係及び形状等が実際のものとは異なる場合がある。また、以下の図面において、同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものであり、このことは明細書の全文において共通することとする。また、理解を容易にするために方向を表す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、「後」など)を適宜用いるが、それらの表記は、説明の便宜上、そのように記載しているだけであって、装置あるいは構成部材の配置及び向きを限定するものではない。明細書中において、各構成部材同士の位置関係、各構成部材の延伸方向、及び各構成部材の配列方向は、原則として、装置が使用可能な状態に設置されたときのものである。
【0012】
実施の形態1.
(砂製造装置100)
図1は、実施の形態1に係る砂製造装置100の構成を示す模式図である。砂製造装置100は、鋳物を製造するための鋳物砂を製造するためのものである。従来、鋳造工場においては、鋳物砂を造型して鋳型が作られ、鋳型に熔湯が流し込まれ、その後鋳型が冷却される。冷却後、鋳型が破砕され、鋳型の内部の鋳物が取り出される。砂製造装置100は、鋳型を製造するための鋳物砂を製造又は再生する装置である。以下の説明においては、一度鋳造に用いられた鋳物砂を再生し再度使用可能にする場合について説明するが、砂製造装置100は、鋳物砂を新たに製造する場合にも使用できるものであり、砂の粒径を揃えるために用いることができる。
【0013】
砂製造装置100は、砂研磨装置10と砂分級装置20とを備える。砂研磨装置10は、砂分級装置20と集塵路31及び砂搬送路32で接続されている。砂製造装置100は、砂研磨装置10において研磨された砂が砂搬送路32を経て砂分級装置20へ搬送され、砂分級装置20にて砂に混入している微粉を分離する。砂製造装置100は、砂に含まれた不要物を取り除くことにより、使用済みの砂を再度砂型として使用できる状態に再生する。
【0014】
(砂研磨装置10)
図2は、実施の形態1に係る砂製造装置100を構成する砂研磨装置10の斜視図である。なお、図2においては、部分的に断面構造が示されている。砂研磨装置10は、処理容器11と、処理容器11の内部に設置された有底筒状の回転ドラム13と、回転ドラム13の上端から上方の外周を囲む環状棚14と、を備える。処理容器11の上部にはホッパ12が配置されている。処理容器11には、投入口30が形成されており、投入口30からホッパ12に再生処理が必要な砂が供給される。ホッパ12は、すり鉢状に形成されている。ホッパ12の下部には、板状の砂供給部材15が配置されている。砂供給部材15は、板状で中央部に孔が開けられている。孔は、回転ドラム13に砂を供給する砂供給口15aである。砂供給口15aは、回転ドラム13の上方であって回転ドラム13の回転中心軸上に配置されている。
【0015】
図3は、図2の回転ドラム13の周辺の拡大図である。回転ドラム13は、有底筒状に形成されており、回転軸16に中心軸を合わせて接続されている。回転軸16は、動力装置90により駆動され、回転ドラム13に動力を伝達する。回転ドラム13は、回転軸16が中央部13aに挿し込まれ、回転軸16からのトルクが伝達する様に接続されている。具体的には、回転軸16の先端にはキー16aが設けられており、キー16aが回転ドラム13側に設けられたキー溝に嵌まる構造になっている。また、回転ドラム13と回転軸16とは、止めねじ16bにより固定され、回転ドラム13が回転軸16の軸方向に外れない様に固定されている。
【0016】
保護部材50は、雌ねじが形成されている内部材52と、内部材52の上側部分を覆う外部材51と、を備える。保護部材50は、内部材52の雌ねじと回転ドラム13に形成された雄ねじ部13bとを螺合させて、回転ドラム13の中央部13aに固定され、回転ドラム13の中央部13aを保護するものである。また、回転ドラム13の底面13cの上であり、中央部13aの周囲にはライナー57が配置されている。ライナー57は、回転ドラム13の雄ねじ部13bに螺合した保護部材50により抑えられている。
【0017】
保護部材50は、砂供給口15aの真下に位置しており、砂供給口15aから落下する砂が直接衝突する部分である。そのため、保護部材50の外部材51は、例えば高クロム鋳鉄で構成されており、硬度が高く、砂が衝突しても摩耗しにくくなっている。内部材52は、雌ねじを設けるため切削加工が行われるため、例えば一般用構造用圧延鋼材等の加工しやすい材料で構成されている。外部材51は、砂供給口15a側を向いた側の面及び側面を構成する部分であり、砂と接触する部分である。その内部に内部材52が配置されている。内部材52は、回転ドラム13の中央部13aと嵌合する部分である。外部材51と内部材52とは、例えば鋳ぐるみ鋳造で行われる。鋳ぐるみ鋳造は、予め鋳型内に内部材52を入れ、外部材51を構成する金属を溶かして鋳型に流し込むことにより内部材52と外部材51とを一体化する鋳造である。保護部材50は、鋳ぐるみ鋳造により外部材51が硬度の高い材料で構成されているため、砂供給口15aの真下に位置していても摩耗が抑制され、耐久性が高い。また、回転ドラム13の中央部13aの周囲に配置されているライナー57は、中央に穴が空いた円盤形状であり、例えば高クロム鋳鉄で構成されている。従って、砂供給口15aから保護部材50に衝突し飛散した砂がライナー57に衝突するため、回転ドラム13は砂による損傷が低減する。なお、実施の形態1において、回転ドラム13は、有底筒形状で中央部13aに凸部を備える複雑な形状であるため、加工しやすい金属により形成されている。このように構成されることにより、砂製造装置100の砂研磨装置10は、回転ドラム13が砂を飛散させて研磨するのに適した形状をとることができるとともに、保護部材50及びライナー57により耐久性が向上する。
【0018】
回転ドラム13の上端から上方の外周には、環状棚14が配置されている。環状棚14は、回転ドラム13の回転中心軸Cに沿った断面においてコ字形状となっている。コ字形状となっている環状棚14は、コ字形状の開放されている部分を回転ドラム13の回転中心軸C側に向けて配置されている。実施の形態1においては、環状棚14の断面形状は、例えばコ字形状であるが、U字形状であっても良い。環状棚14は、処理容器11内において、受座63により下側から支持されている。また、環状棚14は、上方向に移動しないように上側ストッパー61により上側から抑えつけられている。少なくとも上側ストッパー61は、着脱自在に構成されており、環状棚14を取り外せる様に構成されている。環状棚14は、例えば高さ方向、回転中心軸Cに沿った方向の寸法を変更したものに交換することができる。砂研磨装置10は、環状棚14を交換できるように構成されることにより、処理できる砂の量及び砂の研磨の度合いを調整することができる。環状棚14は、高さ方向の寸法を変更することにより、コ字形状の内側の空間に堆積するセルフライニング砂S1(図4参照)の量が調整される。環状棚14に堆積するセルフライニング砂S1これに伴い、回転ドラム13に堆積するセルフライニング砂S2(図4参照)の摩擦面に加わる荷重の強弱を調整できるとともに、砂が回転ドラム13及び環状棚14の内側に滞留する時間が調整される。セルフライニング砂S1及びS2は、環状棚14及び回転ドラム13に堆積した砂であり、砂はセルフライニング砂との境界面に衝突、又は摩擦力を受けることにより研磨される。セルフライニング砂S1及びS2が形成されることにより、回転ドラム13及び環状棚14は、砂と直接衝突することによる摩耗が抑制される。
【0019】
また、環状棚14は、回転ストッパー62が外周に向かって突出しており、受座63に当接している。実施の形態1に係る砂研磨装置10は、回転ドラム13により砂を回転させて砂の研磨を行うため、環状棚14は、回転力を受けるが、回転ストッパー62及び受座63により、回転方向への変位が抑制される。従って、砂が環状棚14に衝突しても環状棚14は動かないため、効率良く砂の研磨を行うことができる。また、環状棚14は、回転ストッパー62及び受座63により振動が抑えられ、騒音も抑えられる。
【0020】
環状棚14は、断面のコ字形状の内部の空間を円周方向に区切る様に区切り板60が複数設置されている。区切り板60の面は、環状棚14の径方向に対し傾斜させて配置されている。このように構成することにより、環状棚14内に安定してセルフライニング砂S1を形成できる。また、回転ドラム13からの砂が区切り板60の間に受け止められた後に、その砂が再度回転ドラム13へ戻ることにより、砂が環状棚14に衝突する回数が増え、また砂粒同士も衝突する頻度が増えるため、砂に付着した不要物の除去が効率良く行える。
【0021】
回転ドラム13の下方であって回転軸16の周囲には空気流路70が形成されている。空気流路70は、空気流入口17を通して流入した外部の空気を回転ドラム13の下面13dまで導くものである。空気流入口17には、開閉自在に構成されたダンパ54が設置されている。ダンパ54は、開閉度合いを調整することにより、処理容器11の内部に流入する空気の量を調整することができる。
【0022】
図1に示される様に、処理容器11の上部には、集塵口18が設けられている。集塵口18は、集塵路31により砂分級装置20の分級室21に連通している。砂研磨装置10の内部に漂う微粉は、集塵路31から砂研磨装置10外へと搬出される。また、処理容器11の下部には、砂搬出口19が設けられている。砂搬出口19は、砂搬送路32を経て砂分級装置20の分級室21に連通している。砂研磨装置10において研磨処理された砂は、砂搬出口19から砂研磨装置10外へと搬出される。
【0023】
(砂研磨装置10の動作)
図4は、実施の形態1に係る砂製造装置100の砂研磨装置10の砂の動きの説明図である。図5は、実施の形態1に係る砂製造装置100の砂研磨装置10の空気の動きの説明図である。以下、図4及び図5を用いて砂研磨装置10の動作について説明する。
【0024】
再生処理をする砂は、ホッパ12に投入される。ホッパ12は、例えば円錐状に形成されており、ホッパ12内に溜まった砂が砂供給口15aに順次供給されるように構成されている。ホッパ12の下端部に設置された砂供給部材15は、板状の部材であり中央部に孔が設けられている。その孔は、砂供給口15aとなっている。砂供給部材15は、オリフィスのようにホッパ12から回転ドラム13に向かって流出する砂の単位時間当たりの量を制御する。砂供給部材15は、着脱自在に構成されていて、単位時間あたりに回転ドラム13に供給したい砂の量に応じて、砂供給口15aの形状及び大きさを適宜変更することができる。これにより、砂製造装置100及び砂研磨装置10は、回転ドラム13に供給する砂の量を安定して調整することができるため、回転ドラム13の負荷も一定になり、砂の研磨処理を安定して行うことができる。
【0025】
砂研磨装置10は、回転ドラム13を回転させることにより回転ドラム13の内部に供給された砂に力を付与する。回転ドラム13は、有底筒状体の内部に供給された砂を回転による遠心力により外周側に移動させる。砂は、回転ドラム13及び環状棚14との衝突、回転ドラム13及び環状棚14に堆積した砂との摩擦及び衝突、並びに回転ドラム13及び環状棚14の間を移動する砂粒同士の衝突により、研磨処理される。研磨処理により、砂研磨装置10に供給された砂粒の表面の付着物が剥がれる。
【0026】
砂粒は、回転ドラム13と環状棚14との間を移動しながら研磨され、砂の量が所定以上に増えるとそのうちの一部が環状棚14の上面を乗り越えて環状棚14の外周側へ移動する。環状棚14の外周側には、砂が流下する流路72があり、砂は処理容器11の下方へと移動できる様に構成されている。また、砂粒は、回転ドラム13と環状棚14との間の隙間73に入り込む。隙間73から流出した砂も、処理容器11の下方へと移動する。付着物が除去された砂粒は、砂研磨装置10の処理容器11の下部の砂搬送路32から砂分級装置20に搬送される。
【0027】
また、砂粒から分離された付着物は、砂粒よりも比重が小さい粘結剤又は塗型材であり、微粉化され、処理容器11内を浮遊する。また、砂粒が衝突により微粉化する場合があり、微粉化した砂粒も処理容器11内を浮遊する。粘結剤、塗型材、及び微粉化した砂粒を総称して、単に微粉と呼ぶ場合がある。微粉は、処理容器11内を浮遊し、処理容器11内の空気とともに集塵口18から集塵路31に流入し、砂分級装置20に移動する。
【0028】
砂研磨装置10内の空気の流れは、空気流入口17から流入し、回転軸16の周囲を通過し回転軸16を冷却する。空気流路70は、回転軸16の周囲を囲む様に筒状に形成され、回転ドラム13の下面13d近くまで形成されている。空気流路70の上端部56と回転ドラム13の下面13dとは、所定の距離を持って配置されており、上端部56と下面13dとの間は吹出口71となっている。図5に示される様に、吹出口71から外側に吹き出された空気は、処理容器11内の段差部55及び壁面11aに沿って流れる。段差部55は、回転軸16を中心としたときに吹出口71の水平方向であって半径方向の外側に位置するため、空気が壁面11aに沿って集塵口18側に流れる様に形成されている。なお、処理容器11内の空気は、砂分級装置20側から吸引されていると良い。また、空気は、砂が流下する流路72を砂が流れる方向とは逆方向に流れるため、砂と微粉とを分離しやすい。
【0029】
(砂分級装置20)
図6は、実施の形態1に係る砂製造装置100の砂分級装置20の構造を説明する模式図である。実施の形態1に係る砂分級装置20は、下部に送風機91からの空気を圧縮する風箱23と、風箱23の上方に砂から微粉を分離する分級室21と、風箱23と分級室21とを仕切る仕切板27と、を備えている。分級室21は、上部に当該分級室21内の空気が流出する集塵口22を備える。仕切板27は、分級室21側の面に設置されたノズル40を備える。実施の形態1においては、ノズル40は、仕切板27上に複数、均等に配置されている。ノズル40は、仕切板27の面から分級室21側に突出している。ノズル40の側面には噴出孔43が形成されており、風箱23からの空気が噴出する。
【0030】
分級室21の側面には、砂搬入口28が設置されており、砂研磨装置10からの砂が流入する。また、分級室21の側面には砂流出口25が設置されており、仕切板27上の砂が所定量以上になると砂流出口25から流失する様に構成されている。図1に示される様に、仕切板27上には砂が溜まる様に構成されており、砂流出口25が設置されている側には堰26が配置され、堰26を越えた砂だけが、砂流出口25に入る様に構成されている。
【0031】
分級室21の上部には集塵口22が設けられている。集塵口22は、集塵装置92に接続され、分級室21内の空気を吸い込む様に構成されている。分級室21の上部には、集塵路31が接続される流入口29が設置されており、砂研磨装置10との接続ができる様に構成されている。
【0032】
(ノズル40)
ノズル40は、仕切板27の面から上方に延び中央部に流通孔が設けられた筒体と、筒体の上面を覆うドーム部と、を備える。噴出孔は、筒体の上面とドーム部とにより囲まれて形成される空間と、分級室21とを連通する。また噴出孔は、ノズル40が面から突出する方向に対して交差する方向に向かって開口している。ドーム部は、内側が円蓋形状となっているため、流通孔から流出した空気が空間内を効率良く流れ噴出孔から吹き出される。
【0033】
筒体の上面は、中央部が周辺部よりも突出するように形成されている。中央部は、流通孔が開口されている。噴出孔は、中央部の面以下に設けられており、望ましくは中央部の面よりも低い位置に設けられている。つまり、筒体の上面は、段差が形成されており、高い方の面に流通孔が開口している。周辺部は、中央部に対し低く、ドーム部の下端が接合される。このように構成されることにより、送風機91が停止して噴出孔43から空気が吹き出していない状態において、ノズル40の周囲にある砂が噴出孔を経て流通孔及び風箱23に入るのを抑制できる。
【0034】
筒体は、仕切板27に設けられた孔27aと流通孔とが連通する様に仕切板27に接合される。筒体とドーム部との接合は、筒体と仕切板との接合前にされていても良いし、筒体と仕切板との接合後であっても良い。
【0035】
(砂分級装置20の動作)
砂研磨装置10から供給された砂Sは、噴出孔43から吹き出された圧縮空気により流動する。噴出孔43から吹き出された空気は、砂Sを通過して分級室21の上方へと移動する。その際に、空気は砂Sを流動させ、砂S内に含まれる不要物等の微粉を分級室21内に舞い上がらせる。分級室21内に舞い上がった微粉は、集塵口22に吸入される。集塵口22は、集塵装置92により分級室21内の空気を吸い込む様に設定されている。
【0036】
また、仕切板27上の砂Sは、ノズル40から吹き出される空気により流動し、図1に示されている堰26を越えた上部の砂が砂流出口25に流入し、再生された砂として回収される。
【0037】
(実施の形態の効果)
実施の形態1に係る砂製造装置100によれば、回転ドラム13を回転させることにより回転ドラム13の内部に供給された砂Sに力を付与する砂研磨装置10と、砂研磨装置10と接続され、砂研磨装置10から供給された砂を圧縮空気により流動させる砂分級装置20と、を備えている。そして、砂研磨装置10の処理容器11と砂分級装置20の分級室21とは、集塵路31により接続されている。分級室21は、集塵口22を備えており、集塵口22には集塵装置92が接続され、内部の空気を吸入している。つまり、集塵口22に接続された集塵装置92は、分級室21だけでなく砂研磨装置10の処理容器11の空気も吸入している。よって、砂製造装置100によれば、砂研磨装置10及び砂分級装置20の集塵を1つの集塵装置92で行っているため、効率が良い。
【0038】
砂製造装置100は、砂研磨装置10と砂分級装置20とが砂搬送路32で接続されている。そのため、砂研磨装置10で付着した不要物を除去された砂が砂分級装置20に流入し、そこでさらに砂に含まれた不要物が分離される。そのため、砂製造装置100から回収された砂は、砂研磨装置10又は砂分級装置20単独で処理された砂よりも不要物が少なく品質が向上する。また、砂研磨装置10から砂分級装置20への砂の移動は、自動で連続的に行われるため、処理速度も速く、効率が良い。
【0039】
なお、実施の形態1に係る砂製造装置100を構成する砂研磨装置10及び砂分級装置20は、それぞれ単独でも使用できる。また、実施の形態1においては、砂研磨装置10は1台であるが、砂分級装置20に複数の砂研磨装置10を接続しても良い。このように構成することにより、砂製造装置100は、砂分級装置20の処理能力に応じて、砂研磨装置10の設置数を変更し、処理能力を向上させることができる。砂製造装置100は、複数の砂研磨装置10を備えた場合であっても、1つの集塵装置92で集塵を行えるため、効率が良い。
【0040】
また、以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0041】
10 砂研磨装置、11 処理容器、11a 壁面、12 ホッパ、13 回転ドラム、13a 中央部、13b 雄ねじ部、13c 底面、13d 下面、14 環状棚、15 砂供給部材、15a 砂供給口、16 回転軸、16a キー、16b 止めねじ、17 空気流入口、18 集塵口、19 砂搬出口、20 砂分級装置、21 分級室、22 集塵口、23 風箱、25 砂流出口、26 堰、27 仕切板、27a 孔、28 砂搬入口、29 流入口、30 投入口、31 集塵路、32 砂搬送路、40 ノズル、43 噴出孔、50 保護部材、51 外部材、52 内部材、54 ダンパ、55 段差部、56 上端部、57 ライナー、60 区切り板、61 上側ストッパー、62 回転ストッパー、63 受座、70 空気流路、71 吹出口、72 流路、73 隙間、90 動力装置、91 送風機、92 集塵装置、100 砂製造装置、C 回転中心軸、S 砂、S1 セルフライニング砂、S2 セルフライニング砂。
図1
図2
図3
図4
図5
図6