(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-13
(45)【発行日】2023-07-24
(54)【発明の名称】貨物自動車評価システム及び貨物自動車評価方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/08 20120101AFI20230714BHJP
【FI】
G06Q30/08
(21)【出願番号】P 2022050857
(22)【出願日】2022-03-25
【審査請求日】2022-04-05
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年12月1日に、株式会社いすゞユーマックスの全会員に対してFAX送信 令和3年12月1日に、いすゞモーターオークション東京会場、神戸会場、九州会場にて掲示 令和3年12月1日に、株式会社いすゞユーマックスのホームページ(http://www.umax.co.jp等)にて公開
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500466289
【氏名又は名称】株式会社いすゞユーマックス
(74)【代理人】
【識別番号】100181630
【氏名又は名称】原 晶子
(72)【発明者】
【氏名】利波 大作
【審査官】田上 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-106052(JP,A)
【文献】特開2004-287617(JP,A)
【文献】特開2008-269087(JP,A)
【文献】特開2010-009572(JP,A)
【文献】特開2004-164019(JP,A)
【文献】特開2003-157371(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャブ、フレーム及びボディから構成され、且つ、ボディの交換が可能な貨物自動車の車両のキャブ、フレーム及びボディの各部位の状態に基づき、各部位の損傷の程度に応じて各部位の状態を複数の段階で評価した情報を示す各部位の評価情報を入力する評価情報入力部と、
前記各部位の評価情報に対して予め設定されている評価ポイントに従って、各部位の評価ポイントを算出する評価ポイント算出部と、
前記各部位の評価ポイントから車両の状態に基づく車両の評価点を算出する評価点算出部と、を備え、
前記評価点算出部は、前記各部位のうちの優先すべき部位の評価情報に基づいて定められる優先係数を利用して前記車両の評価点を算出する貨物自動車評価システム。
【請求項2】
前記評価情報入力部は、車両の修復歴情報及び車両の特別瑕疵情報の少なくとも一方を入力可能に構成され、
前記評価点算出部は、前記評価情報入力部で入力された前記車両の修復歴情報及び前記車両の特別瑕疵情報を加味して前記車両の評価点を算出する請求項1に記載の貨物自動車評価システム。
【請求項3】
キャブ、フレーム及びボディから構成され、且つ、ボディの交換が可能な貨物自動車の車両のキャブ、フレーム及びボディの各部位の状態に基づき、各部位の損傷の程度に応じて各部位の状態を複数の段階で評価した情報を示す各部位の評価情報をサーバ装置に入力するステップと、
前記サーバ装置が、前記各部位の評価情報に対して予め設定されている評価ポイントに従って、各部位の評価ポイントを算出するステップと、
前記サーバ装置が、前記各部位の評価ポイントから車両の状態に基づく車両の評価点を算出するステップと、を備え、
前記車両の評価点を算出するステップは、前記各部位のうちの優先すべき部位の評価情報に基づいて定められる優先係数を利用して前記車両の評価点を算出する貨物自動車評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中古の貨物自動車の価値を評価する貨物自動車評価システム及び貨物自動車評価方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
中古車を売買する際には、中古車の販売価格を設定するために、中古車の価値を評価することが必要となる。一般に、中古車の価値の評価は、車両の外装、車両の内装及び車両の機構に分類し、各部位の損傷の程度を判断して行われる(特許文献1~3参照)。
【0003】
特許文献1では、査定対象車の表面をボンネット、フロントバンパー、右サイドスポイラー等の数十箇所の部位に区分して表示する外装展開図に、外装面各部の瑕疵の有無並びに瑕疵の大きさ及び種類等を入力している。また、外装以外に、査定対象車の骨格(フレーム等)に存在する修復歴、エンジンルーム内等の機関走行系の修復歴、右前シート等の内装の瑕疵の有無及び瑕疵の程度等を入力している。そして、入力された査定車両データを、過去にオークション等で落札された落札車両データと比較し、最も近似する落札車両データの落札価格に基づいて、査定対象車の適正価格を算出している。
【0004】
特許文献2では、買取車両における外装の現況、内装の現況、機構の現況等に対する現況加減算額を算定し、車種等に基づいて算出される買取り参考査定額に対して現況加減算額を加減算して確定買取り査定額を算出している。外装については、バンパー、フェンダー、エプロン、ドア、ミラー、ステップ、ボンネット、ルーフ、トランク、インナーパネル、ラジエータセル等の損傷の状態等を判定し、各部位の損傷の程度に応じて決められている減額に基づいて減額を算定している。
【0005】
特許文献3では、車両の部位毎に、設定された算定条件に基づいてダメージ係数を算出し、部位毎のダメージ係数を総計して車両全体のダメージ評価値を算出している。そして、車種並びに車両の経過月数及び走行距離に基づいて算出した評価基準値と、車両のダメージ評価値とに基づいて、車両の総合評価値を算出している。車両の部位は、フロントグリル、フロントバンパー、フロントロワーパネル、ボンネット、フロント右フェンダー、フロント右タイヤ、フロント右ドア、フロント左ドア、右サイドシル、リア右フェンダー、リア右タイヤ、フロントガラス、フロント右ガラス、リア右ガラス、ルーフ、リアガラス、トランクリッド、リアパネル、リアバンパー、及びリアロワーパネル等に分割されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-287617号公報
【文献】特開平10-240817号公報
【文献】特開2003-157371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、中古車の車両の損傷の程度は、車両によって千差万別である。そのため、特許文献1のように過去にオークション等で落札された落札車両と損傷の程度を比較する方法では、過去にオークション等で落札された落札車両データを多数保有していたとしても、損傷が略同程度の落札車両が無い場合もある。そのような場合、損傷が最も近い落札車両のデータと比較しているが、それでは中古車の価値を適切に評価できないという問題があった。
【0008】
また、特許文献2及び3では、例えば車両の外装の評価において、外装を各部位に分割して行った評価を総合して車両全体の外装の評価を行っている。貨物自動車の場合、
図1に示すように、車両30は、キャブ31、フレーム32、ボディ33から構成されており、ボディ33は貨物自動車の用途によって載せ替えることができる。このような貨物自動車に、特許文献2及び3のような評価方法を適用すると、キャブ31及びボディ33の外装は一体で評価される。そのため、交換が容易なボディ33を状態の良いボディ33に載せ替えて高く売ろうとしても、キャブ31の損傷の程度によってはキャブ31の評価が大きく影響して車両30全体の評価が下がってしまう。その結果、ボディ33の状態が良く、価値を高く評価されてもよい貨物自動車に対して、価値を適切に評価しづらいという問題があった。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、貨物自動車の価値を適切に評価できる貨物自動車評価システム及び貨物自動車評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の貨物自動車評価システムは、車両のキャブ、フレーム及びボディの各部位の状態に基づく各部位の評価情報を入力する評価情報入力部と、各部位の評価情報に対して予め設定されている評価ポイントに従って、各部位の評価ポイントを算出する評価ポイント算出部と、各部位の評価ポイントから車両の状態に基づく車両の評価点を算出する評価点算出部とを備える。
【0011】
好ましい実施形態の貨物自動車評価システムでは、評価点算出部は、各部位のうちの優先すべき部位の評価情報に基づいて定められる優先係数を利用して車両の評価点を算出する。
【0012】
また、好ましい実施形態の貨物自動車評価システムでは、評価情報入力部は、車両の修復歴情報及び車両の特別瑕疵情報の少なくとも一方を入力可能に構成される。評価点算出部は、評価情報入力部で入力された車両の修復歴情報及び車両の特別瑕疵情報を加味して車両の評価点を算出する。
【0013】
また、本発明の貨物自動車評価方法は、車両のキャブ、フレーム及びボディの各部位の状態に基づく各部位の評価情報を入力するステップと、各部位の評価情報に対して予め設定されている評価ポイントに従って、各部位の評価ポイントを算出するステップと、各部位の評価ポイントから車両の状態に基づく車両の評価点を算出するステップとを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、貨物自動車の価値を適切に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明によって価値を評価する貨物自動車の車両の一例を示す分解図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る貨物自動車評価システムの機能を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る貨物自動車評価方法を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の一実施例で使用する評価ポイント算出データベースの一例を示す図である。
【
図5】本発明の一実施例で使用する評価点算出データベースの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。本発明の貨物自動車評価システムは、中古車オークションに中古車として出品される中古貨物自動車の価値を評価するシステムである。すなわち、本発明の貨物自動車評価システムは、中古貨物自動車の販売価格を算定するための評価システムではなく、中古車オークションにおいて買い手が中古貨物自動車の入札可否を判断する材料として利用する中古貨物自動車の価値を評価するための評価システムである。
【0017】
本明細書において、「中古車」には、一定期間ユーザが使用した中古車に限らず、新車登録されているがほとんど使用されていない未使用車(新古車)を含む。また、「貨物自動車」は、一般にトラックと呼ばれる貨物運搬用の大型荷台を持つ自動車である。「貨物自動車」には、ダンプ、トラクタ、ミキサー車、トラッククレーン、トラック式高所作業車等と呼ばれる種々の形状の貨物自動車を含む。
【0018】
図1及び
図2を参照して、本実施形態に係る貨物自動車評価システム1について説明する。
図1は、本発明によって価値を評価する貨物自動車の車両の一例を示す分解図である。
図2は、本実施形態に係る貨物自動車評価システム1の機能を示すブロック図である。
【0019】
図1に示すように、貨物自動車の車両30は、キャブ31、フレーム32及びボディ33によって構成される。キャブ31は、運転席など、人が乗る部分である。フレーム32は、エンジン及びタイヤ等の走行を行うための機構を支え、キャブ31及びボディ33を載せる部分である。ボディ33は、荷台又は荷室等の荷役用の部分である。
【0020】
図2に示すように、貨物自動車評価システム1は、評価ポイント算出部11と、評価点算出部12と、評価情報入力部21とを備える。また、貨物自動車評価システム1は、価値評価部13と、車両情報入力部22とをさらに備えてもよい。
【0021】
具体的には、貨物自動車評価システム1は、サーバ装置10と端末装置20とから構成される。サーバ装置10が、評価ポイント算出部11、評価点算出部12、及び、価値評価部13を備える。そして、端末装置20が、評価情報入力部21及び車両情報入力部22を備える。また、サーバ装置10は、制御部14及び記憶部15を備える。端末装置20は、表示部23及び制御部24を備える。
【0022】
サーバ装置10は、例えば、コンピュータである。端末装置20は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレットコンピュータ又はスマートフォンである。このサーバ装置10と端末装置20とは、ネットワークを介して互いに接続されており、互いに情報及びデータを送受信することが可能である。
【0023】
評価情報入力部21は、作業員からの入力を受け付ける装置である。評価情報入力部21は、車両30のキャブ31、フレーム32及びボディ33の各部位の状態に基づく各部位の評価情報を入力可能に構成されている。また、評価情報入力部21は、車両30の修復歴情報及び車両30の特別瑕疵情報の少なくとも一方を入力可能に構成されている。
【0024】
各部位の評価情報は、貨物自動車の価値を評価する作業員が、評価対象の貨物自動車を検査し、キャブ31、フレーム32及びボディ33のそれぞれに対して、損傷の程度に応じて、各部位の状態を5段階程度で評価した情報である。損傷の程度は、車両30の各部位の外装の塗膜及び塗装の状態、並びに、傷、凹み及び錆の程度を総合的に判断して評価される。また、キャブ31及びボディ33については、内装の状態(キャブ31のシートが汚損されている、ボディ33の内装に傷がある等)も総合して評価される。
【0025】
修復歴情報は、車両30の修復歴の有無を10段階程度で評価した情報である。特別瑕疵情報は、車両30の特別瑕疵の有無を10段階程度で評価した情報である。特別瑕疵とは、冠水車であるか、消火器散布が行われたか、フレーム32に割れや腐食穴があるか等である。
【0026】
車両情報入力部22は、作業員からの入力を受け付ける装置である。車両情報入力部22は、車両30の属性情報を入力可能に構成されている。属性情報は、車両30の新車登録からの経過月数及び車両30の走行距離である。
【0027】
評価情報入力部21及び車両情報入力部22は、キーボード、マウス、タッチパネル、音声入力装置等の端末装置20が備える入力装置によって構成される。
【0028】
表示部23は、価値評価部13によって評価された評価対象の貨物自動車の価値の評価結果(後述する価値評価点)を表示する。また、表示部23は、評価対象の貨物自動車を検査した作業員が入力した車両30の各部位の評価情報を表示してもよい。表示部23は、ディスプレイ等の端末装置20が備える表示装置によって構成される。
【0029】
制御部24は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサによって構成される。制御部24は、プログラムを実行することによって、評価情報入力部21、車両情報入力部22、及び表示部23の動作を制御する。
【0030】
評価ポイント算出部11は、評価情報入力部21で入力された各部位の評価情報に対して予め設定されている評価ポイントに従って、各部位の評価ポイントを算出する。具体的には、記憶部15には、各部位の評価情報を評価ポイントに変換するための評価ポイント算出データベースが保存されている。評価ポイント算出データベースには、各部位の評価情報と、その評価情報に伴う評価ポイントとが対応して記録されている。例えば、5段階程度で評価される各部位の評価情報が「3」であれば、その評価情報に対応するポイント「240pt」というように、あらゆる項目について各部位の評価情報と評価ポイントとの対応が記録されている。評価ポイント算出部11は、記憶部15に保存されている評価ポイント算出データベースから、評価情報入力部21で入力された各部位の評価情報に対応する評価ポイントを読み出して、各部位の評価ポイントを算出する。
【0031】
各部位の評価情報に対応する評価ポイントは、キャブ31、フレーム32及びボディ33の全ての部位で同じ評価ポイントに設定してもよいし、キャブ31、フレーム32及びボディ33の部位が異なると同一程度の損傷であっても異なる評価ポイントに設定してもよい。すなわち、同一程度の損傷であっても、例えば、交換が容易なボディ33は評価ポイントを高く設定し、貨物自動車の動作に直結するフレーム32は評価ポイントを低く設定してもよい。
【0032】
評価点算出部12は、評価ポイント算出部11で算出された各部位の評価ポイントから車両30の状態に基づく車両30の評価点を算出する。具体的には、まず、評価点算出部12は、各部位の評価ポイントを合算することで車両30の評価ポイントを算出する。記憶部15には、車両30の評価ポイントを車両30の評価点に変換するための評価点算出データベースが保存されている。評価点算出データベースには、評価ポイント算出データベースと同様にして、車両30の評価ポイントと、その評価ポイントに伴う評価点とが対応して記録されている。評価点算出部12は、車両30の評価ポイントを算出した後、記憶部15に保存されている評価点算出データベースから、算出した評価ポイントに対応する評価点を読み出して、車両30の評価点を算出する。
【0033】
車両30の評価ポイントは、各部位の評価ポイントを単純に合算するのではなく、キャブ31、フレーム32及びボディ33の各部位のうちの優先すべき部位の評価情報に基づいて定められる優先係数を利用して算出することもできる。優先すべき部位は、例えば、各部位のうちの最も評価情報が低い部位、車両30の使用に大きな影響を及ぼす部位(例えば、フレーム32)等の予め設定された基準に基づいて決定される。優先係数は、評価ポイント算出データベースに、各部位の評価情報に対応して評価ポイントと共に記録されている。優先係数は、評価情報が高評価の場合は高く、評価情報が低評価の場合は低くなっている。優先係数を利用する場合は、評価ポイント算出部11で各部位の評価情報に基づいて評価ポイントを算出する際に優先係数を算出し、評価ポイント算出部11から評価点算出部12に送られる。優先係数を利用することは、評価ポイント算出部11及び評価点算出部12に予め優先すべき部位を決定する基準と共に定められており、評価ポイント算出部11及び評価点算出部12が自動的に優先係数を考慮して評価点を算出してもよい。また、作業員が評価情報入力部21で、優先係数を利用すること、及び、優先すべき部位又は優先すべき部位を決定する基準を入力するようにしてもよい。
【0034】
また、評価点算出部12は、評価情報入力部21で入力された車両30の修復歴情報及び車両30の特別瑕疵情報を加味して車両30の評価点を算出してもよい。具体的には、記憶部15には、車両30の修復歴情報を車両30の修復歴ポイントに変換するための修復歴ポイント算出データベースが保存されている。修復歴ポイント算出データベースには、評価ポイント算出データベースと同様にして、車両30の修復歴情報と、その修復歴情報に伴う修復歴ポイントとが対応して記録されている。また、記憶部15には、車両30の特別瑕疵情報を車両30の特別瑕疵ポイントに変換するための特別瑕疵ポイント算出データベースが保存されている。特別瑕疵ポイント算出データベースには、評価ポイント算出データベースと同様にして、車両30の特別瑕疵情報と、その特別瑕疵情報に伴う特別瑕疵ポイントとが対応して記録されている。修復歴ポイント及び特別瑕疵ポイントは、修復歴及び特別瑕疵が無い場合は、0ポイントとなっている。一方、修復歴及び特別瑕疵があると、その程度に応じて車両30の評価を下げるマイナスポイントとなっている。評価点算出部12は、評価ポイントに修復歴ポイント及び特別瑕疵ポイントを加えて算出したポイントに基づき、評価点算出データベースから車両30の評価点を算出する。
【0035】
価値評価部13は、評価点算出部12で算出された車両30の評価点に、車両情報入力部22で入力された車両30の属性情報(経過月数及び走行距離)を加味して車両30の価値を評価し、最終的な車両30の価値を示す価値評価点を算出する。具体的には、記憶部15には、車両30の経過月数を車両30の経過月数点に変換する経過月数点算出データベースが保存されている。経過月数点算出データベースには、評価ポイント算出データベースと同様にして、車両30の経過月数と、その経過月数に伴う経過月数点とが対応して記録されている。また、記憶部15には、車両30の走行距離を車両30の走行距離点に変換する走行距離点算出データベースが保存されている。走行距離点算出データベースには、評価ポイント算出データベースと同様にして、車両30の走行距離と、その走行距離に伴う走行距離点とが対応して記録されている。価値評価部13は、車両情報入力部22で入力された車両30の属性情報(経過月数及び走行距離)から、経過月数点算出データベース及び走行距離点算出データベースを参照して、経過月数点及び走行距離点を算出する。そして、価値評価部13は、車両30の評価点、経過月数点及び走行距離点を比較し、最も低い点を車両30の価値を評価した価値評価点として算出する。
【0036】
制御部14は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサによって構成される。制御部14は、プログラムを実行することによって、評価ポイント算出部11、評価点算出部12、価値評価部13、及び記憶部15の動作を制御する。
【0037】
記憶部15は、種々の情報、データ、プログラムなどを記憶する。記憶部15は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)によって構成される。記憶部15には、評価ポイント算出部11、評価点算出部12及び価値評価部13を動作させる制御プログラムが保存されている。また、記憶部15には、評価ポイント算出データベース、評価点算出データベース、修復歴ポイント算出データベース、特別瑕疵ポイント算出データベース、経過月数点算出データベース及び走行距離点算出データベースが保存されている。なお、各種データベースは、それぞれ個々のデータベースとして記憶部15に保存されてもよいし、任意の2個以上のデータベースをまとめたデータベースとして記憶部15に保存されてもよい。
【0038】
次に、
図3も参照して、貨物自動車評価システム1に基づいて貨物自動車の価値を評価する貨物自動車評価方法について説明する。
図3は、本実施形態に係る貨物自動車評価方法を示すフローチャートである。
【0039】
まず、中古車オークションへの出品依頼があると、車両情報入力部22から、出品される評価対象の貨物自動車の車両30の属性情報を入力する(S10)。その後、作業員が評価対象の貨物自動車を検査する。作業員は、評価対象の貨物自動車をキャブ31、フレーム32及びボディ33の各部位に分割し、各部位の状態を検査する。また、作業員は、評価対象の貨物自動車の修復歴及び特別瑕疵の有無及び程度を検査する。そして、評価情報入力部21から、車両30のキャブ31、フレーム32及びボディ33の各部位及び車両30の状態に基づいて、各部位の評価情報、車両30の修復歴情報及び車両30の特別瑕疵情報を入力する(S12)。入力された車両30の属性情報、修復歴情報及び特別瑕疵情報並びに各部位の評価情報は、サーバ装置10に送られる。
【0040】
各部位の評価情報が入力されると、評価ポイント算出部11は、評価ポイント算出データベースを参照して、入力された各部位の評価情報に基づく各部位の評価ポイントを算出する(S14)。算出された評価ポイントは、評価点算出部12に送られる。
【0041】
各部位の評価ポイントを受け取ると、評価点算出部12は、各部位の評価ポイントから車両30の状態に基づく車両30の評価点を算出する。具体的には、評価点算出部12は、各部位の評価ポイントを合算し、必要に応じて優先係数を掛けて車両30の評価ポイントを算出する(S16)。また、修復歴情報及び/又は特別瑕疵情報が有る場合は、修復歴ポイント算出データベース及び/又は特別瑕疵ポイント算出データベースを参照して、入力された修復歴情報及び/又は特別瑕疵情報の程度に基づいて修復歴ポイント及び/又は特別瑕疵ポイントを算出する。そして、車両30の評価ポイントに修復歴ポイント及び/又は特別瑕疵ポイントを加えて、修正した車両30の評価ポイントを算出する(S16)。その後、評価点算出部12は、評価点算出データベースを参照して、算出された車両30の評価ポイントに基づく車両30の評価点を算出する(S18)。算出された評価点は、価値評価部13に送られる。
【0042】
車両30の評価点を受け取ると、価値評価部13は、車両30の属性情報を加味して車両30の価値を評価し、最終的な車両30の価値を示す価値評価点を算出する。具体的には、価値評価部13は、車両30の評価点と共に、車両情報入力部22で入力された車両30の属性情報を受け取る。価値評価部13は、経過月数点算出データベース及び走行距離点算出データベースを参照して、入力された車両30の属性情報に基づいて経過月数点及び走行距離点を算出する(S20)。そして、価値評価部13は、車両30の評価点、経過月数点及び走行距離点を比較して、最終的な車両30の価値を示す価値評価点を算出する(S22)。算出された価値評価点は、端末装置20の表示部23に送られる。
【0043】
価値評価点を受け取ると、表示部23は、評価対象の貨物自動車の価値の評価結果(価値評価点)を表示する(S24)。このとき、表示部23は、評価対象の貨物自動車を検査した作業員が入力した車両30の各部位の評価情報を一緒に表示してもよい。
【実施例】
【0044】
次に、実施形態に係る貨物自動車評価システム1について、実施例を挙げて具体的に説明する。ここで示す評価情報、評価ポイント、評価点は一例であり、本発明はこれらの数値に限定されるものではない。
【0045】
本実施例では、各部位の評価情報、各部位の評価ポイント、車両30の評価ポイント、車両30の評価点の一例を示し、本発明の貨物自動車評価システム1及び貨物自動車評価方法で貨物自動車の価値が適切に評価されるかを検証する。
【0046】
図4及び
図5には、評価ポイント算出データベース及び評価点算出データベースの一例を示す。なお、
図4では、評価情報「A」が各部位の状態が良い高い評価で、評価情報「E」が各部位の状態が悪い低い評価である。また、
図5では、評価点「S」が車両30の状態が良い高い評価で、評価点「1」が車両30の状態が悪い低い評価である。
図5において、車両30の評価ポイントが同一であっても異なる評価点となっている部分がある。この部分は、車両30の属性情報によって車両30の評価点が分かれるため、車両30の属性情報によって決まる車両30の評価点の幅が示せるようになっている。すなわち、車両30の評価ポイントが「1200pt」の場合、評価点算出部12では最高評価の「S」が付くが、車両30の属性情報によって車両30の評価点が「S」、「6」、「5」のいずれかになることを示している。
【0047】
本実施例では、評価対象の貨物自動車は、各部位の状態に基づく各部位の評価情報は以下の通りとする。
キャブ31:C
フレーム32:B
ボディ33:A
また、修復歴:無、特別瑕疵:無とし、優先係数を利用せずに車両30の評価点を求めることとする。
【0048】
本発明に基づいて車両30の評価点を求めると以下の通りとなる。まず、
図4に示す評価ポイント算出データベースに基づき、各部位の評価情報から各部位の評価ポイントを算出する。このとき、キャブ31の評価ポイントは240pt、フレーム32の評価ポイントは320pt、ボディ33の評価ポイントは400ptとなる。
【0049】
次に、各部位の評価ポイントを合算して車両30の評価ポイントを算出する。車両30の評価ポイントは、960ptとなる。修復歴及び特別瑕疵がないため、車両30の評価ポイントは、各部位の評価ポイントを合算した960ptとなる。そして、
図5に示す評価点算出データベースに基づき、車両30の評価ポイントから車両30の評価点を算出する。車両30の評価点は、4.5点となる。
【0050】
これに対し、同じ各部位の評価情報で、従来の通り、キャブ31、フレーム32及びボディ33を一体で評価した場合について検証する。一体で評価する場合、最も評価の低いキャブ31の評価情報「C」の評価が車両30の評価となる。キャブ31、フレーム32及びボディ33を一体で評価するために、キャブ31、フレーム32及びボディ33の全ての評価情報が「C」と仮定すると、車両30の評価ポイントは720ptとなり、評価点は「3.5点」となる。
【0051】
以上のことから、ボディ33の交換が容易で、キャブ31、フレーム32及びボディ33を分けて考えられる貨物自動車に対しては、従来の外装であれば車両全体の外装を一体として評価する方法では、状態の良いボディ33が備えられている貨物自動車も不当に低く評価されることが分かる。
【0052】
以上のように、本発明の貨物自動車評価システム1では、貨物自動車をキャブ31、フレーム32及びボディ33の各部位に分けてそれぞれ評価し、それぞれの評価に基づいて車両30の評価を行っている。これにより、ボディ33の交換が容易で、キャブ31、フレーム32及びボディ33に分けて考えられる貨物自動車に対して、貨物自動車の価値を適切に評価することができる。
【0053】
また、優先係数を使用して車両30の評価点を算出することで、各部位の中でも車両30の価値を評価する際に重要視すべき部位の評価を反映させた評価を行うことができ、より適切に貨物自動車の価値を評価することができる。
【0054】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
【0055】
例えば、上記実施形態では、キャブ31及びボディ33について、外装と内装とを総合して各部位の評価情報を入力しているが、必ずしもこの構成でなくてもよい。例えば、外装と内装とを個別に評価してもよい。この場合、貨物自動車を検査する作業員は、キャブ31及びボディ33について外装と内装とに分けて評価情報を入力する。また、評価ポイント算出データベースは、キャブ31及びボディ33について外装用と内装用とが準備される。評価点算出部12は、外装の評価ポイント及び内装の評価ポイントを合算等して車両30の評価点を算出する。なお、評価点算出部12は、外装の評価ポイントのみに基づいて車両30の評価点を算出し、価値評価部13において、内装の評価情報を加味して価値評価点を算出してもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、端末装置20で入力した情報をサーバ装置10に送ってサーバ装置10で貨物自動車の価値を評価しているが、必ずしもこの構成でなくてもよい。例えば、端末装置20が評価ポイント算出部11、評価点算出部12及び価値評価部13を備え、端末装置20単独で貨物自動車の価値を評価できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 貨物自動車評価システム
11 評価ポイント算出部
12 評価点算出部
21 評価情報入力部
30 車両
31 キャブ
32 フレーム
33 ボディ
【要約】
【課題】 貨物自動車の価値を適切に評価できる貨物自動車評価システムを提供する。
【解決手段】 本発明の貨物自動車評価システム1は、車両30のキャブ31、フレーム32及びボディ33の各部位の状態に基づく各部位の評価情報を入力する評価情報入力部21と、各部位の評価情報に対して予め設定されている評価ポイントに従って、各部位の評価ポイントを算出する評価ポイント算出部11と、各部位の評価ポイントから車両30の状態に基づく車両30の評価点を算出する評価点算出部12とを備える。
【選択図】
図2