(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-13
(45)【発行日】2023-07-24
(54)【発明の名称】乳首カバーパッド
(51)【国際特許分類】
A41C 3/00 20060101AFI20230714BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20230714BHJP
C09J 7/29 20180101ALI20230714BHJP
A61F 13/02 20060101ALI20230714BHJP
A61F 13/14 20060101ALI20230714BHJP
A61F 13/00 20060101ALI20230714BHJP
B32B 25/10 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
A41C3/00 Z
C09J7/38
C09J7/29
A61F13/02 350
A61F13/14 A
A61F13/02 310J
A61F13/00 355G
A41C3/00 A
B32B25/10
(21)【出願番号】P 2022181590
(22)【出願日】2022-11-14
【審査請求日】2022-11-14
(31)【優先権主張番号】10-2022-0042733
(32)【優先日】2022-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522444612
【氏名又は名称】ナ ヨンヤン
(74)【代理人】
【識別番号】110001885
【氏名又は名称】弁理士法人IPRコンサルタント
(72)【発明者】
【氏名】ナ ヨンヤン
【審査官】山尾 宗弘
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第5998693(US,A)
【文献】特開昭60-71702(JP,A)
【文献】特開2014-1193(JP,A)
【文献】特開平11-323616(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0149114(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41C 3/00
C09J 7/38
C09J 7/29
A61F 13/02
A61F 13/14
A61F 13/00
B32B 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳首及びその周辺の皮膚に粘着される粘着層を有する粘着シートと、
前記粘着シートの外面に貼り付けられるカバーシートと、
前記カバーシートの外面に貼り付けられ、伸縮性を有するエラストマーシートと、を含んでなる乳首カバーパッドであって、
前記カバーシートは、メッシュ構造の生地を用いて乳首の押圧機能を強化することを特徴とする、乳首カバーパッド。
【請求項2】
前記粘着シートの内面に貼り付けられて粘着シートの粘着性を遮断し、乳首を押圧するラッセルシートをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の乳首カバーパッド。
【請求項3】
前記粘着層は、洗浄によって再利用が可能なシリコンゲルを用いることを特徴とする、請求項1または2に記載の乳首カバーパッド。
【請求項4】
前記粘着シートには、展開状態を維持させる展開維持パターンが具備され、
前記展開維持パターンは、体温で溶ける物質からなることを特徴とする、請求項1または2に記載の乳首カバーパッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳首の周辺を覆って乳首が突出しないように押さえてカバーする乳首カバーパッドに関し、より詳しくは、薄くて軽くて柔らかいので肌への貼り付けによる異物感が少なく、メッシュ構造の生地を用いたカバーシートによって乳首の押圧が強化されてカバー力が改善され、粘着層としてシリコンゲルを用いて皮膚刺激を最小化するとともに洗浄によって繰り返し使用できる乳首カバーパッドに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ブラジャーは、女性のバストが垂れることを防止するとともに、バストの形を美しく整えて着こなしをよくするためのものである。しかし、ブラジャーを着用すると、胸が圧迫されて息苦しく、健康にも良くない。さらに、夏には暑くて汗も多く出るので一層不便である。
【0003】
このような理由から、ブラジャーの着用を嫌う女性も多い。しかし、ブラジャーを着用しなければ乳首が浮くので、外観上良くなく、着こなしもよくない。
なお、このような問題はもっぱら女性だけが悩む問題ではない。男性がタイトなTシャツなどを着る場合にも乳首が浮いて見えるため、外観上良くない。
【0004】
このように乳首が上着の外に浮いて見える問題の解決のために、韓国登録実用新案第20-0322617号の「乳首カバー」、韓国登録実用新案第20-0485610号の「乳首隠しバンドパッケージ」等の従来の技術が提案された。
前記韓国登録実用新案第20-0322617号の「乳首カバー」は、乳首及びその周辺を覆う本体と、本体の内面に設けられて皮膚に接着される接着部材と、を含んでなり、前記韓国登録実用新案第20-0485610号の「乳首隠しバンドパッケージ」は、乳首及びその周辺を覆う乳首隠しバンドと、乳首隠しバンドの内面に形成される粘着層とを含んでなる。
前記従来の技術において、前記本体はポリウレタンを用い、前記乳首隠しバンドはPVCのような合成樹脂を用いる。
【0005】
従来の技術による本体や乳首隠しバンドは、厚くて重くて付着した肌への異物感が大きいので着心地が良くない。しかも荒い表面を有するので露出する外面は周辺の柔らかい皮膚と肌触りが明確に異なり、乳首及びその周辺の皮膚に触れる内面は皮膚を刺激することになる。さらに、本体及び乳首隠しバンドが乳首を抑える力とその力の持続力が弱いことから、乳首の突出現象(浮き)を防ぐ効率性があまり高くなく、周辺に馴染んで目立たないようにするカバー力が弱い。
従来の技術で使用する接着部材や粘着層は、一度使用した後は接着力(粘着力)が著しく低下し、再利用が困難である。すなわち、従来の技術による乳首カバーパッドは再利用できない使い捨て製品であって、費用負担が大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】韓国登録実用新案第20-0322617号公報
【文献】韓国登録実用新案第20-0485610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このように従来の技術による乳首カバーパッドが有する問題を解決するために案出された発明であり、異物感が少なく着心地が良く、乳首の突出現象を確かに防ぐとともにカバー力に優れており、皮膚刺激を最小化した乳首カバーパッドを提供することを目的とする。
また、離型フィルムから剥離するとき、折れてしまって粘着層が互いにくっつかず、乳首及びその周辺の皮膚への貼り付け時に折れや曲げが発生することなく簡便かつ迅速に貼ることができる乳首カバーパッドを提供することを本発明の他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明による乳首カバーパッドは、
乳首及びその周辺の皮膚に粘着される粘着層を有する粘着シートと、
前記粘着シートの外面に貼り付けられるカバーシートと、
前記カバーシートの外面に貼り付けられ、伸縮性を有するエラストマーシートと、を含んでなる乳首カバーパッドであって、
前記カバーシートは、メッシュ構造の生地を用いて乳首の押圧機能を強化することを特徴とする。
【0009】
また、前記粘着シートの内面に貼り付けられて粘着シートの粘着性を遮断し、乳首を押圧するラッセルシートをさらに含むことを特徴とし、
前記粘着層は、洗浄によって再利用が可能なシリコンゲルを用いることを特徴とし、
前記粘着シートには、展開状態を維持させる展開維持パターンが具備され、前記展開維持パターンは、体温で溶ける物質からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
このように構成される本発明による乳首カバーパッドは、メッシュ構造の生地を用いたカバーシートが乳首及びその周辺を強く押圧することで乳首の突出現象を確かに防ぎ、乳首カバーパッドが貼り付けられた部位及びその周辺が目立たないように馴染んでカバー力が高く、エルラストモシートは、表面が皮膚のような柔らかい肌触りを与え、伸縮性に優れて楽な動きを可能にし、粘着層にメディカルレベルのシリコンゲルを用いて皮膚刺激を最小化し、洗浄によって繰り返し使用が可能であるから費用負担が軽減し、必要に応じて、ラッセルシートを追加することにより粘着層の不便な粘着感と皮膚刺激を遮断し、カバー力を高めることができ、全体的に薄く軽く柔らかいので異物感が少なく、卓越した着心地を有する製品であり、尚、離型フィルムからの剥離時、展開状態を維持し、折れや曲げの発生なしに乳首周辺の皮膚に簡便に貼ることができ、貼り付け後は展開維持機能が消滅して変形自在になって柔らかい肌触りと自由な動きを提供する製品であって、産業発展に非常に有用な発明である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明による乳首カバーパッドの斜視図及び断面図である。
【
図3】展開維持パターンが具備された粘着シートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付図面に示すように、本発明による乳首カバーパッドNは、粘着シート10、カバーシート20、及びエラストマーシート30を含み、必要に応じて、ラッセルシート40を更に含むことができ、生産及び流通時に粘着シート10の粘着層11を保護する離型フィルム50を含む。
【0013】
前記粘着シート10は、乳首及びその周辺の皮膚を覆う。
前記粘着シート10の内面には、乳首及びその周辺の皮膚に粘着される粘着層11が形成され、粘着層11が粘着された皮膚から剥がれにくい粘着力を有する。
前記粘着層11には、メディカル(医療用)レベルのシリコンゲルを用い、敏感な乳首及びその周辺の皮膚への接触時の刺激を最小化することが望ましい。
【0014】
そして、シリコンゲルは、洗浄によって再利用が可能であり、乳首カバーパッドを数回繰り返し使用可能にしてユーザの費用負担を画期的に減らすことができる。すなわち、通常、粘着層は一度使用すると表面に異物が付着して粘着力が劣るので再利用が困難であるが、シリコンゲルは、洗浄により付着した異物を取り除くことができ、洗浄後にも粘着力が相当部分維持されて再利用が可能である。実験の結果、シリコンゲルを用いた粘着層は、普通の水で洗浄する際に約5回再利用が可能であり、水で洗浄しても異物が除去されなくて粘着力が劣化すると、専用洗浄剤で洗浄して粘着力を回復させることができ、専用洗浄剤を使用する場合、約20回再利用が可能である。
【0015】
水や専用洗浄剤で粘着層11を洗浄した乳首カバーパッドは、粘着層を乾燥させた後、離型フィルム50に貼って保管し、必要に応じて再利用する。
【0016】
前記粘着シート10としては、不織布、合成樹脂、紙、複合素材などを使用することができ、これらを別途使用せずに粘着層11それ自体を粘着シートとして使用してもよい。
【0017】
前記カバーシート20は、前記粘着シート10の外面に貼り付けられる。
前記カバーシート20は、堅固な織り目のメッシュ構造を持つ生地を用いて、乳首及び乳輪を含むその周辺の皮膚を一緒に掴んで強く押さえ、それによって、乳首の突出現象を防ぐとともに、周囲の皮膚に馴染んで乳首カバーパッドを貼り付けたことが目立たないようにするカバー力を高める。
【0018】
前記エラストマーシート30は、前記カバーシート20の外面に貼り付けられる。
前記エラストマーシート30は、優れた伸縮性を有し、日常生活で快適な動きを提供する。また、表面は肌のような柔らかな肌触りを提供する。
前記エラストマーシート30は、シリコンを用いて伸縮性及び弾性に優れたエラストマー層31と、PU樹脂を用いて肌のような柔らかい肌触りを提供する皮膚様層32から構成される。
【0019】
前記ラッセルシート40は、ユーザの選択によって前記粘着シート10の内面に貼り付けられることができる。
粘着シート10の粘着層11が肌に粘着される感じが嫌いか、粘着層11の粘着による皮膚刺激を受けるユーザは、敏感な乳首及び乳輪を覆うラッセルシート40を粘着シート10の中央部に貼り付けて使用し得る。
【0020】
前記ラッセルシート40は、微細な通気性構造を持ち、柔らかく堅固な性質の不織布を使用する。
前記ラッセルシート40は、前記粘着層11の粘着性を遮断し、貼り付けられた乳首及び乳輪を押圧して乳首の突出現象(浮き)もう一度防止するとともに、カバー力を更に高める。
【0021】
前記離型フィルム50は、前記粘着シート10の粘着層11を覆うことで、生産並びに使用前の運搬、保管時に粘着層を保護し、使用時には粘着シート10から除去されて粘着層11を皮膚に粘着させる。
【0022】
乳首カバーパッドNは、乳首及びその周辺の皮膚への貼り付け時に、貼り付けた皮膚の自由な動きができるように柔らかく、且つ変形自在である。
そこで、乳首カバーパッドNは、離型フィルム50から剥離される時、しばしば内側に折れてしまって粘着シート10の粘着層11が互いに粘着される。
【0023】
そして、乳首カバーパッドNを乳首周辺の皮膚に貼る時、乳首カバーパッドNのあちこちを指で引っ張りながら強制的に広げて貼り付けなければならない煩わしさがあり、それにも拘わらずあちこちに屈曲がある状態で貼り付けられやすい。
【0024】
図3を参照すると、このような問題を解決するために、本発明は、前記粘着シート10に展開維持パターン13を備え、離型フィルム50から剥離された乳首カバーパッドNが展開状態を維持できるようにする。前記展開維持パターン13は、前記粘着シート10の内部に備えられて外に露出しない。
【0025】
この時、乳首周辺の皮膚に貼り付けられた以後にも、前記展開維持パターン13による展開状態が維持されれば柔らかい肌触り及び付着皮膚の自由な動きが阻害される。したがって、前記展開維持パターン13は、体温で溶ける物質を用いて皮膚への貼り付け時、展開状態が消滅するようにする。
【0026】
前記展開維持パターン13は、常温では固体状態であり、約30度では溶けて液体状態になる物質を用いる。このような物質としては、ガリウム、セシウム、ココアバターなどが挙げられる。
【0027】
図3を参照すると、前記展開維持パターン13は、内外側に配置される二つのリングと、これらの二つのリングを連結する連結線で構成されることができる。
【0028】
このように展開維持パターン13を導入し、本発明による乳首カバーパッドNは、離型フィルムから剥離される際に展開状態を維持するため、乳首及びその周辺の皮膚への貼り付け時に折れや曲げが発生することなく簡便かつ迅速に貼ることができ、貼り付け済み後は、展開状態維持力が消滅して変形自在なので、柔らかい肌触り及び自由な動きを提供する。
【0029】
以上、本発明を説明するにあたって、添付された図面を参照して特定の形状と構造を有する乳首カバーパッドについて説明したが、本発明は当業者によって多様な変形及び変更が可能であり、このような変形及び変更は本発明の保護範囲に属するものと解釈されなければならない。
【符号の説明】
【0030】
10 粘着シート
11 粘着層
13 展開維持パターン
20 カバーシート
30 エラストマーシート
31 エラストマー層
32 皮膚様層
40 ラッセルシート
50 離型フィルム
【要約】
【課題】薄くて軽くて柔らかいので肌への貼り付けによる異物感が少なく、メッシュ構造の生地を用いたカバーシートによって乳首の押圧が強化されてカバー力が改善され、粘着層としてシリコンゲルを用いて皮膚刺激を最小化するとともに洗浄によって繰り返し使用できる乳首カバーパッドを提供する。
【解決手段】乳首及びその周辺の皮膚に粘着される粘着層を有する粘着シートと、粘着シートの外面に貼り付けられるカバーシートと、カバーシートの外面に貼り付けられ、伸縮性を有するエラストマーシートと、を含んでなる。
【選択図】
図1