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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-13
(45)【発行日】2023-07-24
(54)【発明の名称】防藻剤
(51)【国際特許分類】
   A01N 59/16 20060101AFI20230714BHJP
   A01N 25/10 20060101ALI20230714BHJP
   A01P 13/00 20060101ALI20230714BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20230714BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20230714BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
A01N59/16 Z
A01N25/10
A01P13/00
C09D201/00
C09D7/61
B32B27/18 F
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022510552
(86)(22)【出願日】2021-03-23
(86)【国際出願番号】 JP2021012018
(87)【国際公開番号】W WO2021193644
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-08-10
(31)【優先権主張番号】P 2020052661
(32)【優先日】2020-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000162113
【氏名又は名称】共同印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100122404
【弁理士】
【氏名又は名称】勝又 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】寺田 暁
(72)【発明者】
【氏名】小林 文人
(72)【発明者】
【氏名】狩野 真啓
(72)【発明者】
【氏名】山田 厚
【審査官】水島 英一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-272320(JP,A)
【文献】特開平5-1245(JP,A)
【文献】特開平4-230609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
A01P
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記組成式(1)で表される、防藻剤。
Ln2xFe2(1-x) (1)
(式(1)中、Lnは、ランタン、プラセオジム、ネオジム、及びイットリウムから選択される希土類元素であり、xは、0.55以上1.00未満の数である。)
【請求項2】
前記式(1)中のxが、0.55以上0.85以下の数である、請求項1に記載の防藻剤。
【請求項3】
前記式(1)中のxが、0.55以上0.75以下の数である、請求項2に記載の防藻剤。
【請求項4】
前記式(1)中のLnが、ランタンである、請求項1~3のいずれか一項に記載の防藻剤。
【請求項5】
基体、及び前記基体上の防藻層を含む、防藻製品であって、
前記防藻層が、請求項1~4のいずれか一項に記載の防藻剤を含む層である、
防藻製品。
【請求項6】
前記防藻層が、樹脂を更に含む、請求項5に記載の防藻製品。
【請求項7】
船舶、護岸、建材、漁網、養殖網、水槽、プール、プール用コースロープ、ブイ、及びタイルから選択される、請求項5又は6に記載の防藻製品。
【請求項8】
請求項1~4のいずれか一項に記載の防藻剤を含む、防藻性塗料。
【請求項9】
樹脂、及び溶剤を更に含む、請求項8に記載の防藻性塗料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防藻剤に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶、護岸、建材、漁網等に、藻が発生することを防止する目的で、防藻剤が使用されている。
【0003】
優れた防藻効果を発現する防藻剤として、従来から、有機スズ化合物、亜酸化銅、第4級アミン化合物等が知られている。しかしこれらの防藻剤は、環境汚染の観点から忌避されつつある。
【0004】
近年、環境汚染度が低く、安全性にも優れた防藻剤として、フェライト化合物が提案された。例えば、特許文献1には、La、Pr、Nd、及びYから選択される希土類元素、鉄、及び酸素を含むオルソフェライトを主成分とする防藻用添加剤、これを用いた防藻性塗料、及び該塗料を基材表面に塗布した防藻製品が開示されている。特許文献1は、防藻効果を材料の磁性と関連付けて考えており、保磁力が小さく、植物の固有磁場に近い磁力を示す、希土類酸化物:Fe=1:1(モル比)のオルソフェライトが、防藻用添加剤として最も好ましいと説明している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-272320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術によって得られた防藻製品は、製造直後には一定の防藻効果を発現する。しかしながら、その効果は十分ではなく、また、時間の経過に伴って防藻効果は低下して行き、防藻効果が長期間継続するものではない。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、防藻効果に優れるとともに、防藻効果が長期間継続する、防藻剤等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下のとおりである。
【0009】
《態様1》下記組成式(1)で表される、防藻剤。
Ln2xFe2(1-x) (1)
(式(1)中、Lnは、ランタン、プラセオジム、ネオジム、及びイットリウムから選択される希土類元素であり、xは、0.55以上1.00未満の数である。)
《態様2》前記式(1)中のxが、0.55以上0.85以下の数である、態様1に記載の防藻剤。
《態様3》前記式(1)中のxが、0.55以上0.75以下の数である、態様2に記載の防藻剤。
《態様4》前記式(1)中のLnが、ランタンである、態様1~3のいずれか一項に記載の防藻剤。
《態様5》基体、及び前記基体上の防藻層を含む、防藻製品であって、
前記防藻層が、態様1~4のいずれか一項に記載の防藻剤を含む層である、
防藻製品。
《態様6》前記防藻層が、樹脂を更に含む、態様5に記載の防藻製品。
《態様7》船舶、護岸、建材、漁網、養殖網、水槽、プール、プール用コースロープ、ブイ、及びタイルから選択される、態様5又は6に記載の防藻製品。
《態様8》態様1~4のいずれか一項に記載の防藻剤を含む、防藻性塗料。
《態様9》樹脂、及び溶剤を更に含む、態様8に記載の防藻性塗料。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、防藻効果に優れるとともに、防藻効果が長期間継続する、防藻剤等が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
《防藻剤》
本発明の防藻剤は、
下記組成式(1)で表される、防藻剤である。
Ln2xFe2(1-x) (1)
(式(1)中、Lnは、ランタン、プラセオジム、ネオジム、及びイットリウムから選択される希土類元素であり、xは、0.55以上1.00未満の数である。)
【0012】
本発明者らは、希土類フェライトの組成と、その防藻効果について詳細に検討した。その結果、希土類フェライト中のLn:Fe比を、1:1(モル比)よりも希土類リッチな領域に設定することにより、防藻効果が向上し、かつ、その効果が継続する期間も長くなることを見出して、本発明に至った。
【0013】
本発明の防藻剤は、上記組成式(1)中のxが、0.55以上1.00未満である限り、どのようなものであってもよい。例えば、全体が均一な組成の固溶体を形成していてもよいし、LnFeO相とLn相との混合物であってもよいし、均一組成の固溶体とLnFeO相とLn相との混合物であってもよいし、これら以外の相を含んでいてもよい。
【0014】
組成式(1)中のxは、0.56以上、0.57以上、0.58以上、0.59以上、又は0.60以上であってもよく、0.95以下、0.90以下、0.85以下、0.80以下、0.75以下、0.70以下、0.65以下、又は0.60以下であってもよい。組成式(1)中のxは、典型的には、例えば、0.55以上0.75以下であってよい。
【0015】
組成式(1)中のLnは、防藻性及びコストの観点から、特に、ランタンであってよく、したがって本発明の防藻剤は、ランタンフェライトであってよい。
【0016】
本発明の防藻剤は、希土類源と鉄源とを所定の割合で含有する混合物に、適当な応力を印加して粉砕混合した後、焼成することにより、製造されてよい。ここで印加される応力としては、例えば、摩擦力、せん断力、ずり応力、衝撃力等であってよい。希土類源と鉄源との混合物に、このような応力を印加するには、例えば、ボールミル中で湿式粉砕する方法によってよい。
【0017】
希土類源としては、例えば、所望の希土類元素の酸化物を使用してよい他、バストネサイト、モナザイト、ゼノタイム等を使用してよい。
【0018】
鉄源としては、FeO、Fe、Fe等の酸化物;FeOOH、フェリヒドライト、シュベルマンライト等のオキシ酸化物;Fe(OH)、Fe(OH)等の水酸化物;等を使用してよい。
【0019】
希土類源と鉄源との混合物の粉砕混合を湿式粉砕による場合、液状媒体としては、例えば、水、アルコール等を使用してよい。
【0020】
希土類源と鉄源との混合物を粉砕混合した後、必要に応じて、加熱乾燥等の適宜の方法によって液状媒体を除去した後、焼成が行われる。この焼成は、例えば、400℃以上、500℃以上、600℃以上、700℃以上、800℃以上、900℃以上、又は1,000℃以上、かつ、例えば、1,500℃以下、1,400℃以下、1,300℃以下、1,200℃以下、1,100℃以下、又は1,000℃以下の温度において、例えば、1時間以上、2時間以上、3時間以上、4時間以上、6時間以上、8時間以上、12時間以上、又は15時間以上、かつ、72時間以下、48時間以下、36時間以下、24時間以下、18時間以下、又は15時間以下の時間で行われてよい。
【0021】
焼成時の周囲雰囲気は、酸化性雰囲気であってよく、例えば、空気中で焼成してよい。
【0022】
焼成後、必要に応じて、適宜の方法で粉砕、分級等を行うことにより、本発明所定の防藻剤が得られる。
【0023】
《防藻性塗料》
本発明の別の観点によると、上記に説明した防藻剤を含む、防藻性塗料が提供される。この防藻性塗料は、本発明の防藻剤の他に、樹脂及び溶剤を含んでいてよい。
【0024】
本発明の防藻性塗料に含まれる樹脂は、例えば、アクリル樹脂、アクリルシリコン樹脂、シリコン樹脂、アミノアルキド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フッ素樹脂等であってよい。
【0025】
本発明の防藻性塗料に含まれる溶剤は、例えば、水、アルコール、ケトン、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、エステル等から選択されてよい。
【0026】
本発明の防藻性塗料における防藻剤の含有量は、該塗料中の樹脂と防藻剤との合計に対する防藻剤の割合として、高い防藻性能を発現する観点から、例えば1質量%以上、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、特に好ましくは20質量%以上、とりわけ好ましくは30質量%以上であり、良好な塗布性を得る観点から、例えば80質量%以下、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下、特に好ましくは30質量%以下、とりわけ好ましくは20質量%以下又は15質量%以下である。
【0027】
本発明の防藻性塗料は、例えば、市販の合成樹脂塗料と、本発明の防藻剤とを、所定の割合で混合することにより、調製されてよい。
【0028】
本発明の防藻性塗料は、後述の防藻製品における防藻層の形成に用いることができる他、例えば、目地材(タイル、コンリート、煉瓦等の隙間の充填材)、シーリング材、コーキング材、接着剤等として用いてもよい。
【0029】
《防藻製品》
本発明の更に別の観点によると、
基体、及び基体上の防藻層を含む、防藻製品であって、
防藻層が、本発明の防藻剤を含む層である、
防藻製品が提供される。
【0030】
本発明の防藻製品における基体は、防藻性を付与すべきあらゆる物品であってよい。
【0031】
本発明の防藻製品における防藻層は、上記に説明した防藻性塗料の硬化物であってよい。したがって、本発明の防藻製品における防藻層は、本発明の防藻剤の他に、防藻性塗料に由来する樹脂を含んでいてよい。
【0032】
防藻層の厚みは、例えば、1μ以上1mm以下程度であってよい。
【0033】
防藻層の塗工量は、単位面積当たりの溶剤除去後の乾燥質量として、例えば、5g/m以上、10g/m以上、15g/m以上、20g/m以上、又は25g/m以上であってよく、例えば、200g/m以下、150g/m以下、120g/m以下、100g/m以下、80g/m以下、又は70g/m以下であってよい。
【0034】
本発明の防藻製品は、例えば、防藻性を付与すべき物品に、本発明の防藻性塗料を塗布することにより、製造されてよい。防藻性塗料の塗布に先立って、物品に、適宜のプライマーを塗布しておいてもよい。また、物品に防藻性塗料を塗布して形成された塗膜は、必要に応じて加熱して、溶剤除去、樹脂の硬化等を行ってもよい。
【0035】
本発明の防藻製品は、例えば、船舶、護岸、建材、漁網、養殖網、水槽、プール壁面、プール底面、プール用コースロープ、ブイ、タイル等であってよい。
【実施例
【0036】
《実施例1》
(1)ランタンフェライトの合成
粉砕メディアとして10mmΦのアルミナ球を使用するボールミル中に、0.3モル部のLa、0.4モル部のFeOOH、及び水を仕込み、5時間粉砕混合した。得られた粉砕物を、300℃にて15時間乾燥した後、回転式粉砕機で解砕した。得られた解砕物を、1,000℃にて15時間焼成した後、ハンマーミルで粉砕することにより、La:Fe=60:40(モル比)のランタンフェライト(組成式La1.2Fe0.8)を得た。
【0037】
(2)防藻性塗工液の調製
得られたランタンフェライトを、市販の合成樹脂塗料(コンクリート池用、塩化ビニル系樹脂含有)中に配合し、ペイントシェイカーにて振とう混合することにより、防藻性塗工液を調製した。この防藻性塗工液の組成は、合成樹脂塗料に含まれる樹脂90質量部に対して、ランタンフェライトの配合量が10質量%となるように調整した。
【0038】
(3)防藻製品の製造
基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のフィルム(厚み50μm)を用い、その片面上に、ワイヤーバー#32を用いて上記の防藻性塗工液を塗工した後、60℃にて2日間(48時間)乾燥することにより、PETフィルムの片面に防藻層を有する、防藻製品を作製した。防藻層の塗工量は、36.8g/mであった。
【0039】
(4)防藻製品の評価
得られた防藻製品を5cm×5cmの正方形にカットした評価試料を、底面積25cm×20cmの直方体状の水槽中にひもで吊るした。この水槽に、海から採取した海水を、水深10cmとなるように注入し、評価試料を海水中に完全に水没させた。この状態の水槽を、屋外の太陽光が当たる環境下に静置して、所定期間が経過するごとに、塗工面への藻の付着状態を目視で調べ、以下の基準で評価した。評価結果を表1に示す。
塗工面に藻の付着が全く見られなかった場合:「-」
藻の付着面積が、塗工面の面積の10%以下であった場合:「+」
藻の付着面積が、塗工面の面積の10%超50%以下であった場合:「++」
藻の付着面積が、塗工面の面積の50%を超えた場合:「+++」
【0040】
《実施例2》
La及びFeOOHの仕込み量を、それぞれ、0.4モル部及び0.2モル部に変更した他は、実施例1と同様にして、La:Fe=80:20(モル比)ランタンフェライト(組成式La1.6Fe0.4)を合成し、これを用いて防藻性塗工液を調製し、防藻製品を作製した。得られた防藻製品について、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0041】
《比較例1》
防藻性塗工液が塗工されていない状態のPETフィルムを5cm×5cmの正方形にカットしたものを評価試料とした他は、実施例1と同様にして、防藻製品の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0042】
《比較例2》
塗工液にランタンフェライトを配合しなかった他は、実施例1と同様にして、評価試料を作製し、評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0043】
《比較例3~5》
La及びFeOOHの仕込み量を、表1に記載のとおりに変更した他は、実施例1と同様にして、La:Fe比の異なるランタンフェライトを合成し、これを用いて防藻性塗工液を調製し、防藻製品を作製した。得られた防藻製品について、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
表1の結果から、ランタンフェライトを用いなかった比較例1及び2に比べて、ランタンフェライトを用いた比較例3~5及び実施例1では、防藻性が発現していることが確認された。しかしながら、La:Fe比が50:50(モル比)、又はこれよりもLa比が少ないランタンフェライトを用いた防藻製品では、防藻性を長期間維持することはできなかった(比較例3~5)。
【0046】
これに対して、La:Fe比を60:40(モル比)とした実施例1、及び80:20(モル比)とした実施例2の防藻製品では、8週間後でも塗工面に藻の発生は見られず、優れた防藻効果を示すことが確認された。
【0047】
《実施例3~5、及び比較例6~12》
La及びFeOOHの仕込み量を、それぞれ、表2に記載のとおりに変更した他は、実施例1と同様にして、La:Fe比の異なるランタンフェライトを合成した。得られたランタンフェライトを用い、ランタンフェライト及び樹脂の配合量を、それぞれ、表2に記載のように変更した他は、実施例1と同様にして、防藻性塗工液を調製し、これを用いて防藻製品を作製した。得られた防藻製品について、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を、実施例1及び2、並びに比較例1~5の結果とともに、表2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】
表2によると、La:Fe比が42:58(モル比)である、比較例6の防藻製品では、ランタンフェライトを用いなかった比較例1及び2と同様に、防藻効果が発現しないことが分かった。また、La:Fe比が46:54(モル比)である、比較例3、7、及び8の防藻製品では、若干の防藻効果が発現するが、その効果は低かった。
【0050】
一方、La:Fe比が50:50(モル比)である、比較例5、11、及び12の防藻製品は、一定の防藻効果が発現した。しかしながら、このLa:Fe比では、ランタンフェライトの配合量を多くしても、防藻製品の防藻性の維持期間が延長されることはなかった。
【0051】
これらに対して、La:Fe比を60:40(モル比)とした実施例1、3、及び4の防藻製品では、優れた防藻効果が発現された。塗工液中のランタンフェライト配合量が2質量%である、実施例2の場合でも、ランタンフェライトを用いなかった比較例1及び2に比べて、優れた防藻効果が発現することが確認された。また、実施例1及び4と、実施例3との比較により、ランタンフェライトの配合量を多くすると、防藻製品の防藻性の維持期間が延長されることが分かった。
【0052】
同様に、La:Fe比を80:20(モル比)とした実施例2及び5の防藻製品においても、優れた防藻効果を発現することが確認された。
【0053】
以上の結果から、本発明所定のランタンフェライトから成る防藻剤は、少量の使用で優れた防藻効果が発現し、ランタンフェライトの配合量を増やすことにより、防藻効果の維持される期間を延長できることが確認された。