(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-13
(45)【発行日】2023-07-24
(54)【発明の名称】部品実装機
(51)【国際特許分類】
H05K 13/00 20060101AFI20230714BHJP
H05K 13/08 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
H05K13/08 B
(21)【出願番号】P 2022518473
(86)(22)【出願日】2020-04-28
(86)【国際出願番号】 JP2020018066
(87)【国際公開番号】W WO2021220385
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100162237
【氏名又は名称】深津 泰隆
(74)【代理人】
【識別番号】100191433
【氏名又は名称】片岡 友希
(72)【発明者】
【氏名】志摩 翔太
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-108322(JP,A)
【文献】国際公開第2019/202655(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/029750(WO,A1)
【文献】特開2008-135431(JP,A)
【文献】特開2019-110347(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を基板に実装する部品実装機であって、
前記電子部品を保持するノズルと、
前記ノズルに形成され、前記電子部品の実装状態を検知するセンサーが設けられる回路と、
前記ノズルが前記部品実装機で用いられる際に前記回路に電力を供給する給電部と、
前記センサーで生成される信号を受け取る受信部と、
前記回路に設けられ、前記信号を記憶する記憶部と、
前記ノズルを移動させて、前記電子部品を前記基板に装着するヘッドと、
前記ノズルを収納するノズルステーションと、を備え、
前記ヘッドは、前記給電部を備え
、
前記ノズルステーションは、前記給電部及び前記受信部のうち、少なくとも前記受信部を備え、
前記受信部は、前記記憶部に記憶されている前記信号を、前記ノズルが前記ヘッドで前記ノズルステーションに収納されるときに受け取る部品実装機。
【請求項2】
前記ノズルを移動させて、前記電子部品を前記基板に装着するヘッドを備え、
前記ヘッドは、前記給電部及び前記受信部を備える請求項1に記載の部品実装機。
【請求項3】
前記センサーは、前記電子部品の装着時に前記ノズルが受ける衝撃を検知する請求項2に記載の部品実装機。
【請求項4】
前記センサーは、前記電子部品の装着時における前記ノズルの周辺の温度又は湿度の少なくとも一方を検知する
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の部品実装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板に実装される電子部品を保持するノズルから情報を取得する部品実装機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記部品実装機に関し、種々の技術が提案されている。例えば、下記特許文献1に記載の技術は、部品保持部材を用いて部品を保持して、基板上に前記部品を実装する部品実装機であって、前記部品を保持する部品保持部材に取り付けられた記憶部から、前記部品保持部材に関する内容を読み出す読み込み手段と、前記読み出された内容に基づいて、装着ヘッド部に取り付けられた複数の前記部品保持部材の配列を特定し、特定した配列と正しい配列とを照合する照合手段とを備えることを特徴とする。
【0003】
下記特許文献1の記載によれば、上記部品実装機は、記憶部として、例えば、ICタグを用いることにより、装着ヘッド部に取り付けられるノズル等の部品保持部材の配列照合を適切に行うことができ、ノズルの装着誤りによる立ち吸着や未吸着などの実装エラーの発生や装着時の部品の位置ずれを未然に防止することができるようになり、生産される基板の品質を確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、装着ヘッド部に取り付けられるノズル等の部品保持部材の配列が正しくても、実装エラーが発生することがある。そのような場合、実装エラー発生時における部品保持部材に関する情報を取得できれば、実装エラーの対応策に有用である。
【0006】
本開示は、上述した点を鑑みてなされたものであり、基板に実装される電子部品を保持するノズルにおいて検知される実装状態に関する情報を、当該ノズルから取得することが可能な部品実装機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書は、電子部品を基板に実装する部品実装機であって、電子部品を保持するノズルと、ノズルに形成され、電子部品の実装状態を検知するセンサーが設けられる回路と、ノズルが部品実装機で用いられる際に回路に電力を供給する給電部と、センサーで生成される信号を受け取る受信部と、回路に設けられ、信号を記憶する記憶部と、ノズルを移動させて、電子部品を前記基板に装着するヘッドと、ノズルを収納するノズルステーションと、を備え、ヘッドは、給電部を備え、ノズルステーションは、給電部及び受信部のうち、少なくとも受信部を備え、受信部は、記憶部に記憶されている信号を、ノズルがヘッドでノズルステーションに収納されるときに受け取る部品実装機を開示する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、部品実装機は、基板に実装される電子部品を保持するノズルにおいて検知される実装状態に関する情報を、当該ノズルから取得することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図4】装着ヘッドと吸着ノズルを示す側面図である。
【
図5】装着ヘッドと吸着ノズルとノズルステーションを示すブロック図である。
【
図6】装着ヘッドと吸着ノズル等を示す側面図である。
【
図7】第2センサーの出力信号の経時変化を示すグラフである。
【
図8】第1センサーの出力信号の記憶形式を示す模式図である。
【
図9】吸着ノズルとノズルステーションを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示を実施するための形態として、本開示の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。
【0011】
図1には、システムベース12の上に隣接された2台の部品実装機14が示されている。なお、部品実装機14の並ぶ方向をX軸方向と称し、その方向に直角な水平の方向をY軸方向と称し、それらの方向に直角な鉛直方向(上下方向)をZ方向と称する。
【0012】
各部品実装機14は、主に、実装機本体20、搬送装置22、装着ヘッド移動装置(以下、移動装置と略す場合がある)24、装着ヘッド26、供給装置27、マークカメラ(
図3参照)28、パーツカメラ29、ノズルステーション30、制御装置(
図3参照)31を備えている。実装機本体20は、フレーム32と、そのフレーム32に上架されたビーム34とによって構成されている。
【0013】
搬送装置22は、2つのコンベア装置40,42を備えている。それら2つのコンベア装置40,42は、互いに平行、かつ、X軸方向に延びるようにフレーム32に配設されている。2つのコンベア装置40,42の各々は、電磁モータ(
図3参照)46によって各コンベア装置40,42に支持される回路基板(
図6参照)110をX軸方向に搬送する。また、回路基板110は、所定の位置において、基板保持装置(
図3参照)48によって固定的に保持される。
【0014】
移動装置24は、XYロボット型の移動装置である。移動装置24は、スライダ50をX軸方向にスライドさせる電磁モータ(
図3参照)52と、Y軸方向にスライドさせる電磁モータ(
図3参照)54とを備えている。スライダ50には、装着ヘッド26が取り付けられており、その装着ヘッド26は、2つの電磁モータ52,54の作動によって、フレーム32上の任意の位置に移動させられる。
【0015】
装着ヘッド26は、回路基板110に対して電子部品(
図6参照)112を装着するものである。装着ヘッド26は、1つの装着ユニット(図示省略)を備えており、装着ユニットの先端部に、吸着ノズル60が装着される。吸着ノズル60は、
図2に示すように、胴体筒62とフランジ部64と吸着管66とによって構成されている。胴体筒62は、円筒状をなし、フランジ部64は、胴体筒62の外周面に張り出すようにして固定されている。また、吸着管66は、細いパイプ状をなし、胴体筒62の下端部から下方に向かって延び出した状態で胴体筒62に連結されている。一方、装着ヘッド26の装着ユニットには、フランジ部64に応じた形状の装着面が形成されており、その装着面にエアを吸引するための吸引口が開口している。そして、吸着ノズル60のフランジ部64が、装着ユニットの装着面に密着した状態において、吸引口からエアが吸引されることで、吸着ノズル60が、フランジ部64において、装着ユニットの装着面に工具を用いることなくワンタッチで着脱可能に装着される。この際、装着ユニットに装着された吸着ノズル60は、負圧エア、正圧エア通路を介して、正負圧供給装置(
図3参照)70に連通する。これにより、吸着ノズル60は、負圧によって電子部品112を吸着管66の先端で吸着保持し、保持した電子部品112を正圧によって吸着管66の先端から離脱する。また、装着ユニットは、ユニット昇降装置(
図3参照)71によって昇降する。これにより、吸着ノズル60に吸着保持された電子部品112の上下方向(Z方向)の位置が変更される。
【0016】
供給装置27は、フィーダ型の供給装置であり、
図1に示すように、複数のテープフィーダ72を有している。テープフィーダ72は、テープ化部品を巻回させた状態で収容している。テープ化部品は、電子部品112がテーピング化されたものである。そして、テープフィーダ72は、送り装置(
図3参照)74によって、テープ化部品を送り出す。これにより、フィーダ型の供給装置27は、テープ化部品の送り出しによって、電子部品112を供給位置において供給する。
【0017】
マークカメラ(
図3参照)28は、移動装置24のスライダ50に下を向いた状態で固定されており、移動装置24の作動により任意の位置に移動する。これにより、マークカメラ28は、フレーム32の任意の位置を撮像する。また、パーツカメラ29は、フレーム32の上面において、搬送装置22と供給装置27との間に、上を向いた状態で配設されている。これにより、パーツカメラ29は、吸着ノズル60に保持された電子部品112などを撮像する。
【0018】
ノズルステーション30は、ノズルトレイ76を有している。ノズルトレイ76には、吸着ノズルを収容するための収容部78が複数、形成されている。このノズルステーション30では、装着ヘッド26の装着ユニットに装着されている吸着ノズル60と、ノズルトレイ76の収容部78に収容されている吸着ノズルとの交換等が、自動的にワンタッチで行われる。なお、ワンタッチでの吸着ノズルの交換とは、工具等が用いられることなく行われる吸着ノズルの交換を意味する。
【0019】
制御装置31は、
図3に示すように、コントローラ100と、複数の駆動回路102とを備えている。複数の駆動回路102は、上記電磁モータ46,52,54、基板保持装置48、正負圧供給装置70、ユニット昇降装置71、送り装置74に接続されている。コントローラ100は、CPU100A、ROM100B、RAM100C等を備え、コンピュータを主体とするものであり、複数の駆動回路102に接続されている。これにより、搬送装置22、移動装置24等の作動が、コントローラ100によって制御される。また、コントローラ100は、画像処理装置106にも接続されている。画像処理装置106は、マークカメラ28及びパーツカメラ29により撮像された撮像データを処理するための装置である。これにより、コントローラ100は、撮像データから各種情報を取得する。
【0020】
なお、装着ヘッド26には、給電回路82及び受信回路84が設けられている。給電回路82は、制御装置31の電源(図示省略)等と接続されており、制御装置31の電源等から電力を供給する。受信回路84は、コントローラ100と接続されており、外部からの情報を受け取り、その情報をコントローラ100に入力する。同様にして、ノズルステーション30には、給電回路86及び受信回路88が設けられている。
【0021】
部品実装機14では、上述した構成によって、搬送装置22に保持された回路基板110に対して、装着ヘッド26によって装着作業を行うことが可能である。具体的には、コントローラ100の指令により、回路基板110が作業位置まで搬送され、その位置において、回路基板110が、基板保持装置48によって固定的に保持される。次に、マークカメラ28が、コントローラ100の指令により、回路基板110の上方に移動し、回路基板110を撮像する。これにより、回路基板110の保持位置等に関する情報が得られる。また、テープフィーダ72は、コントローラ100の指令により、テープ化部品を送り出し、電子部品112を供給位置において供給する。
【0022】
そして、装着ヘッド26が、コントローラ100の指令により、電子部品112の供給位置の上方に移動し、吸着ノズル60によって電子部品112を吸着保持する。続いて、装着ヘッド26が、パーツカメラ29の上方に移動し、吸着ノズル60によって保持された電子部品112が、パーツカメラ29によって撮像される。これにより、電子部品112の保持姿勢等に関する情報が得られる。そして、装着ヘッド26が、回路基板110の上方に移動し、回路基板110の保持位置、電子部品112の保持姿勢等に基づいて、電子部品112を回路基板110に装着する(
図6参照)。
【0023】
なお、回路基板110に装着される電子部品のサイズ、形状等に応じて、装着ヘッド26の装着ユニットに装着されている吸着ノズル60が、ノズルステーション30のノズルトレイ76の収容部78に収容されている吸着ノズルと交換される。
【0024】
図4及び
図5に示すように、吸着ノズル60には、絶縁皮膜でコーティングされた表面上において、電子回路90が設けられている。電子回路90は、MCU(Micro Controller Unit)91、第1センサー92、第2センサー93、受電回路94、及び送信回路95等を備えている。MCU91、第1センサー92、及び第2センサー93は、吸着管66に設けられている。MCU91は、フラッシュメモリ96を搭載し、第1センサー92と接続している。第1センサー92は、吸着管66の周辺の温度と湿度を同時に又は続いて検知してそれぞれ信号に置き換え、それらの信号をMCU91に出力する。第2センサー93は、吸着管66に対して外から加わる衝撃を検知して信号に置き換え、その信号を出力する。
【0025】
受電回路94及び送信回路95は、インクジェット等で設けられた金属膜の配線であって、胴体筒62、フランジ部64、及び吸着管66に亘って、それらの表面上に連続して形成されている。胴体筒62の外周面において、受電回路94及び送信回路95は、胴体筒62の周方向で所定間隔を置いて対向し、胴体筒62の軸方向に沿って延びている。フランジ部64の上下面及び側面において、受電回路94及び送信回路95は、フランジ部64の周方向で上記所定間隔を置いて対向し、フランジ部64の径方向及び軸方向に沿って延びている。吸着管66の外周面において、受電回路94は、MCU91、第1センサー92、及び第2センサー93と接続し、送信回路95は、MCU91及び第2センサー93と接続している。
【0026】
これに対して、装着ヘッド26の装着ユニットの内面には、上記した給電回路82及び受信回路84が設けられている。給電回路82及び受信回路84は、線状の導体であって、装着ユニットの内周面の周方向で上記所定間隔を置いて対向し、装着ユニットの軸方向に沿って延びている。なお、以下からは、装着ヘッド26の装着ユニットを、装着ヘッド26と略記する。
【0027】
従って、
図6に示すように、回路基板110に電子部品112が装着される装着作業の実行のために、装着ヘッド26に吸着ノズル60が装着されると、装着ヘッド26の給電回路82と吸着ノズル60の胴体筒62の受電回路94とが重なり合って接続されると共に、装着ヘッド26の受信回路84と吸着ノズル60の胴体筒62の送信回路95とが重なり合って接続される(上記
図5参照)。
【0028】
なお、装着ヘッド26に吸着ノズル60が装着される際において、装着ヘッド26と吸着ノズル60の相対的位置関係は、例えば、装着ヘッド26と吸着ノズル60とに設けられる凹凸形状の嵌め合い等によって確保される(図示省略)。また、装着ヘッド26に吸着ノズル60が装着された際は、上述したように、装着ヘッド26に吸着ノズル60のフランジ部64が密着するが、
図6では、装着ヘッド26の給電回路82及び受信回路84と、吸着ノズル60の胴体筒62の受電回路94及び送信回路95との相対的位置関係を明示するため、装着ヘッド26と吸着ノズル60のフランジ部64との間に隙間が設けられている。
【0029】
このようにして、装着ヘッド26の給電回路82と吸着ノズル60の胴体筒62の受電回路94とが重なり合って接続されると、吸着ノズル60のMCU91、第1センサー92、及び第2センサー93には、制御装置31の電源等から電力が供給される。これにより、回路基板110に電子部品112が装着される装着作業の実行時には、吸着ノズル60の吸着管66の周辺の温度と湿度が、第1センサー92で同時に又は続いて検知されると共に、吸着ノズル60の吸着管66に対して電子部品112を介して回路基板110から加わる衝撃が、第2センサー93で検知される。更に、装着ヘッド26の受信回路84と吸着ノズル60の胴体筒62の送信回路95とが重なり合って接続されると、第2センサー93の出力信号が、制御装置31のコントローラ100に入力される。
【0030】
具体的に説明すると、回路基板110に電子部品112が装着されたときには、吸着ノズル60の吸着管66に対して衝撃が電子部品112を介して回路基板110から加わるため、例えば、
図7のグラフ113に示すように、減衰振動していく信号が第2センサー93から出力される。これに対して、電子部品112が回路基板110に装着される前に吸着ノズル60の吸着管66から脱落した場合には、電子部品112が回路基板110に触れることがなく、吸着ノズル60の吸着管66に対して衝撃が回路基板110から加わらないため、略0の値の信号が第2センサー93から出力される。そして、第2センサー93の出力信号は、吸着ノズル60の送信回路95及び装着ヘッド26の受信回路84を介して、制御装置31のコントローラ100に入力され、コントローラ100等によってデータ処理される。
【0031】
一方、第1センサー92の出力信号は、MCU91に入力される。MCU91は、第1センサー92の出力信号から温度と湿度を算出し、その算出した温度と湿度を、例えば、
図8に示すデータテーブル114のように、その算出した時刻に関連付けて記憶する。データテーブル114は、MCU91内のフラッシュメモリ96に設けられる。時刻は、MCU91のタイマ機能により特定される。なお、
図8に示すデータテーブル114では、時刻t1と温度T1と湿度H1とが関連付けられ、時刻t2と温度T2と湿度H2とが関連付けられている。
【0032】
図9に示すように、ノズルステーション30のノズルトレイ76の表面上では、収容部78の周囲において、上記した給電回路86及び受信回路88が設けられている。給電回路86及び受信回路88は、線状の導体であって、収容部78の周方向で上記所定間隔を置いて対向し、収容部78の径方向に沿って延びている。従って、ノズルステーション30の収容部78に吸着ノズル60が収容されると、ノズルステーション30の給電回路86と吸着ノズル60のフランジ部64及び吸着管66の受電回路94とが重なり合って接続されると共に、ノズルステーション30の受信回路88と吸着ノズル60のフランジ部64及び吸着管66の送信回路95とが重なり合って接続される(上記
図5参照)。
【0033】
このようにして、ノズルステーション30の給電回路86と吸着ノズル60のフランジ部64及び吸着管66の受電回路94とが重なり合って接続されると、少なくとも、吸着ノズル60のMCU91には、制御装置31の電源等から電力が供給される。更に、ノズルステーション30の受信回路88と吸着ノズル60のフランジ部64及び吸着管66の送信回路95とが重なり合って接続されると、MCU91は、制御装置31のコントローラ100の要求等に応じて、フラッシュメモリ96に記憶されている時刻t、温度T、及び湿度Hの各データを関連させた状態でコントローラ100に送る。
【0034】
以上詳細に説明したように、本実施形態の部品実装機14では、回路基板110に実装される電子部品112を吸着保持する吸着ノズル60において、第1センサー92及び第2センサー93で検知される実装状態に関する情報(つまり、電子部品112の装着時に吸着ノズル60の吸着管66が受ける衝撃や、吸着ノズル60の吸着管66の周辺の温度及び湿度)が、当該吸着ノズル60から取得される。
【0035】
ちなみに、本実施形態において、装着ヘッド26は、ヘッドの一例である。吸着ノズル60は、ノズルの一例である。装着ヘッド26の給電回路82は、給電部の一例である。装着ヘッド26の受信回路84は、受信部の一例である。ノズルステーション30の給電回路86は、給電部の一例である。ノズルステーション30の受信回路88は、受信部の一例である。電子回路90は、回路の一例である。第1センサー92は、センサーの一例である。第2センサー93は、センサーの一例である。吸着ノズル60の受電回路94は、受電部の一例である。吸着ノズル60の送信回路95は、送信部の一例である。フラッシュメモリ96は、記憶部の一例である。回路基板110は、基板の一例である。
【0036】
尚、本開示は上記実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、装着ヘッド26の給電回路82と吸着ノズル60の受電回路94は、それらの間でワイヤレス給電が行われるように構成されてもよい。同様にして、ノズルステーション30の給電回路86と吸着ノズル60の受電回路94は、それらの間でワイヤレス給電が行われるように構成されてもよい。
【0037】
また、装着ヘッド26の受信回路84と吸着ノズル60の送信回路95は、それらの間で無線通信が行われるように構成されてもよい。同様にして、ノズルステーション30の受信回路88と吸着ノズル60の送信回路95は、それらの間で無線通信が行われるように構成されてもよい。
【0038】
また、MCU91は、第1センサー92の出力信号を、温度や湿度に算出することなく、時刻に関連させた状態でフラッシュメモリ96に記憶させてもよい。そのような場合、温度や湿度への算出は、第1センサー92の出力信号の送り先(例えば、制御装置31のコントローラ100等)で行われる。
【0039】
また、第1センサー92は、温度のみを検知するものであってもよいし、湿度のみを検知するものであってもよい。
【0040】
また、MCU91と第1センサー92は、吸着ノズル60のフランジ部64に設けられてもよい。
【0041】
また、ノズルステーション30の給電回路86は、省略されてもよい。そのような場合、ノズルステーション30の収容部78に吸着ノズル60が収容されたときに、MCU91がフラッシュメモリ96内の各データをコントローラ100に送るための電力は、装着ヘッド26に吸着ノズル60が装着された状態を維持することによって確保される。
【0042】
また、吸着ノズル60の加速度等を検知するためのセンサーを、第2センサー93と同様にして設けてもよい。
【符号の説明】
【0043】
14:部品実装機、26:装着ヘッド、30:ノズルステーション、60:吸着ノズル、82:給電回路、84:受信回路、86:給電回路、88:受信回路、90:電子回路、92:第1センサー、93:第2センサー、94:受電回路、95:送信回路、96:フラッシュメモリ、110:回路基板、112:電子部品、113:グラフ、114:データテーブル