IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フィリップス ルミレッズ ライティング カンパニー リミテッド ライアビリティ カンパニーの特許一覧

特許7313565好ましい演色を有するチューナブル照明システム
<>
  • 特許-好ましい演色を有するチューナブル照明システム 図1
  • 特許-好ましい演色を有するチューナブル照明システム 図2A
  • 特許-好ましい演色を有するチューナブル照明システム 図2B
  • 特許-好ましい演色を有するチューナブル照明システム 図3
  • 特許-好ましい演色を有するチューナブル照明システム 図4
  • 特許-好ましい演色を有するチューナブル照明システム 図5
  • 特許-好ましい演色を有するチューナブル照明システム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-13
(45)【発行日】2023-07-24
(54)【発明の名称】好ましい演色を有するチューナブル照明システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/50 20100101AFI20230714BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20230714BHJP
   F21V 9/38 20180101ALI20230714BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20230714BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230714BHJP
【FI】
H01L33/50
F21S2/00 110
F21V9/38
F21V23/00 140
F21V23/00 160
F21Y115:10
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022536979
(86)(22)【出願日】2020-12-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-22
(86)【国際出願番号】 US2020064065
(87)【国際公開番号】W WO2021126635
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】16/723,265
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】20155176.9
(32)【優先日】2020-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500507009
【氏名又は名称】ルミレッズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ソエル,ワウテル
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-173622(JP,A)
【文献】特開2014-150293(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109216333(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成白色光の赤色スペクトル成分を単独で発するように構成された、第1のLED及び第1の蛍光体と、
前記合成白色光の青色スペクトル成分を単独で発するように構成された、前記第1のLED及び前記第1の蛍光体とは別個の第2のLED及び第2の蛍光体と、
前記合成白色光の緑色スペクトル成分を発するように構成された、前記第1のLED及び前記第1の蛍光体並びに前記第2のLED及び前記第2の蛍光体とは別個の第3のLED及び第3の蛍光体であり、前記緑色スペクトル成分は、500nmと580nmとの間の第1のピーク波長と、630nmよりも長い第2のピーク波長とを持ち、且つ総放射束の少なくとも30%を630nmから780nmの波長範囲内に持つ、第3のLED及び第3の蛍光体と、
を有する発光デバイス。
【請求項2】
前記第3の蛍光体は、TM-30-18により-5%以上のRCS,h1を持つ緑色スペクトル成分を提供するように構成される、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項3】
前記赤色スペクトル成分、前記青色スペクトル成分、及び前記緑色スペクトル成分の各々が、0.95未満の刺激純度を持つ、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項4】
前記赤色スペクトル成分は0.8から0.94の範囲内の刺激純度を持ち、前記緑色スペクトル成分は0.8から0.94の範囲内の刺激純度を持ち、前記青色スペクトル成分は0.4から0.5の範囲内の刺激純度を持つ、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項5】
前記合成白色光は、90以上のRa及び50以上のR9を有する演色評価数(CRI)を持つ、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項6】
前記合成白色光は、2700Kから6500Kのターゲット相関色温度(CCT)範囲にわたって100以上のTM-30-18色域指数(Rg)を持つ、請求項5に記載の発光デバイス。
【請求項7】
前記合成白色光は、前記ターゲットCCT範囲にわたって0%から15%の範囲内の、色相ビン1に対するTM-30-18クロマシフト(RCS,h1)を持つ、請求項6に記載の発光デバイス。
【請求項8】
前記第1のLED、前記第2のLED、及び前記第3のLEDの各々が藤紫色光を発するように構成されている、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項9】
前記赤色スペクトル成分は、380nmから780nmの波長範囲内で600nmよりも長い波長に最大強度を持つ光を有し、前記青色スペクトル成分は、380nmから780nmの波長範囲内で500nmよりも短い波長に最大強度を持つ光を有する、請求項8に記載の発光デバイス。
【請求項10】
複数のRGB LEDグループが存在し、各RGB LEDグループが、前記第1のLED、前記第1の蛍光体、前記第2のLED、前記第2の蛍光体、前記第3のLED、及び前記第3の蛍光体を有する、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項11】
前記第1のLED及び前記第1の蛍光体の各々が第1のLEDパッケージ内に収容され、前記第2のLED及び前記第2の蛍光体の各々が第2のLEDパッケージ内に収容され、前記第3のLED及び前記第3の蛍光体の各々が第3のLEDパッケージ内に収容されている、請求項10に記載の発光デバイス。
【請求項12】
複数の前記第1のLEDパッケージの各々が直列に接続され、複数の前記第2のLEDパッケージの各々が直列に接続され、複数の前記第3のLEDパッケージの各々が直列に接続されている、請求項11に記載の発光デバイス。
【請求項13】
直列に接続された複数の前記第1のLEDパッケージ、直列に接続された複数の前記第2のLEDパッケージ、及び直列に接続された複数の前記第3のLEDパッケージが、共通カソードを共有する、請求項12に記載の発光デバイス。
【請求項14】
合成白色光の非飽和赤色スペクトル成分を発するように構成された第1のLED及び第1の蛍光体と、
前記合成白色光の非飽和青色スペクトル成分を発するように構成された、前記第1のLED及び前記第1の蛍光体とは別個の第2のLED及び第2の蛍光体と、
前記合成白色光の非飽和緑色スペクトル成分を発するように構成された、前記第1のLED及び前記第1の蛍光体並びに前記第2のLED及び前記第2の蛍光体とは別個の第3のLED及び第3の蛍光体であり、当該第3の蛍光体は、当該第3のLEDから放射された光に深紅色スペクトル波長を追加するように構成された緑色蛍光体を有し、前記緑色スペクトル成分は、500nmと580nmとの間の第1のピーク波長と、630nmよりも長い第2のピーク波長とを持ち、且つ総放射束の少なくとも30%を630nmから780nmの波長範囲内に持つ、第3のLED及び第3の蛍光体と、
を有し、
前記合成白色光は、90以上のRaを有する演色評価数(CRI)を持ち、且つ2700Kから6500KのターゲットCCT範囲にわたって0%から15%の範囲内の、色相ビン1に対するTM-30-18クロマシフト(RCS,h1)を持つ、
発光デバイス。
【請求項15】
合成白色光の赤色スペクトル成分を発するように構成された、複数の第1のLED及び第1の蛍光体であり、当該複数の第1のLEDの各々が直列に接続されている、複数の第1のLED及び第1の蛍光体と、
前記合成白色光の青色スペクトル成分を発するように構成された、前記複数の第1のLED及び第1の蛍光体とは別個の複数の第2のLED及び第2の蛍光体であり、当該複数の第2のLEDの各々が直列に接続されている、複数の第2のLED及び第2の蛍光体と、
前記合成白色光の緑色スペクトル成分を発するように構成された、前記複数の第1のLED及び第1の蛍光体並びに前記複数の第2のLED及び第2の蛍光体とは別個の複数の第3のLED及び第3の蛍光体であり、前記緑色スペクトル成分は、500nmと580nmとの間の第1のピーク波長と、630nmよりも長い第2のピーク波長とを持ち、放射束の少なくとも30%が630nmから780nmの波長範囲内に存在し、当該複数の第3のLEDの各々が直列に接続されている、複数の第3のLED及び第3の蛍光体と、
前記複数の第1のLED、前記複数の第2のLED、及び前記複数の第3のLEDに対する入力電力を独立に制御するように構成されたコントローラと、
を有する発光デバイス。
【請求項16】
前記合成白色光は、90以上のRaを有する演色評価数(CRI)を持つ、請求項15に記載の発光デバイス。
【請求項17】
前記合成白色光は、前記赤色スペクトル成分、前記青色スペクトル成分、及び前記緑色スペクトル成分について0.95未満の刺激純度を持つ、請求項15に記載の発光デバイス。
【請求項18】
前記赤色スペクトル成分は0.8から0.94の範囲内の刺激純度を持ち、前記緑色スペクトル成分は0.8から0.94の範囲内の刺激純度を持ち、前記青色スペクトル成分は0.4から0.5の範囲内の刺激純度を持つ、請求項15に記載の発光デバイス。
【請求項19】
前記合成白色光は、50以上のR9を持つ、請求項15に記載の発光デバイス。
【請求項20】
前記合成白色光は、2700Kから6500KのターゲットCCT範囲にわたって100以上のTM-30-18色域指数(Rg)を持ち、且つ前記ターゲットCCT範囲にわたって0%から15%の範囲内の、色相ビン1に対するクロマシフト(RCS,h1)を持つ、請求項15に記載の発光デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2019年12月20日に出願された米国特許出願第16/723,265号、及び2020年2月3日に出願された欧州特許出願第20155176.9号に対する優先権の利益を主張するものであり、それらの各々をその全体にてここに援用する。
【0002】
本開示の実施形態は、概して、発光ダイオード(LED)デバイス及びそれを製造するための方法に関する。特に、本開示の実施形態は、高い色忠実度を有する発光ダイオード(LED)デバイスに向けられる。
【背景技術】
【0003】
発光ダイオード(LED)は、それを電流が流れるときに可視光を発する半導体光源である。LEDは、P型半導体をN型半導体と組み合わせて、発光するデバイスを形成する。LEDは一般的に、III-V族化合物半導体を使用し、これは、安定した動作を、他の半導体を用いるデバイスよりも高い温度で提供する。III-V族化合物半導体は典型的に、サファイア(酸化アルミニウム、Al)又は炭化ケイ素(SiC)で形成された基板上に形成される。
【0004】
LEDを“蛍光体”と組み合わせることで、より長い波長成分が増加した光を生成することができる。蛍光体は、ここで使用されるとき、蛍光体は、LEDのスペクトルパワー分布を変換又は変更する材料を指す。例えば、青色スペクトルレンジを示すLEDを、蛍光体を用いて転換することで、短めの波長である青色光をより長い波長(例えば、緑色又は赤色の波長)に変換して、全体的に観察される色を変化させることができる。蛍光体は、LEDからの光の一部を吸収し、電子を不安定なエネルギーレベルに昇らせる。励起状態の電子が基底状態に緩和するときに、光の形態をしたエネルギーが放射される。この放射光は、蛍光体によって最初に吸収された光よりも低いエネルギー(長い波長)を持つ。蛍光体は、波長変更コンポーネント又は波長変更組成物と称されることもある。
【0005】
蛍光体によって吸収及び放射される光の量は、とりわけ、蛍光体材料の組成及び/又は蛍光体材料の濃度に依存する。LEDによって発せられた光の全てが蛍光体材料によって吸収されるようにデバイスを構築することができる。従って、狭い波長レンジの光を放射するようにデバイスを構築することができる。代わりに、放射光がLEDからの波長と蛍光体からの波長との混ぜ合わせであるように、LEDからの光の全てより少しを吸収するようにデバイスを構成することもある。濃度及び/又は蛍光体材料種を変えることによって、光の色を調節(チューニング)することができる。
【0006】
非飽和の赤色、緑色及び青色蛍光体変換LEDを用いたカラーチューニングは、広い相関色温度(correlated color temperature;CCT)範囲にわたって高い効率及び光束の白色光を達成しながら高い色忠実度も提供するための効果的なアプローチである。
【0007】
多くの照明用途において、望まれる演色性能は、しばしば、最も高い色忠実度を与えるものではなく、最も高い主観的好みを与えるものである。多くの研究が示していることには、色忠実度がある一定の閾値を過ぎていれば、好みは、一般的な色忠実度よりも、赤色の飽和ともっと相関がある。高い忠実度の色の改善のためにカラープロファイルが調節される発光デバイスが望まれる。
【発明の概要】
【0008】
ここでのデバイスは、好適な演色を有する発光ダイオード(LED)デバイスである。本開示の1つ以上の実施形態は、発光ダイオード(LED)デバイスに関する。発光デバイスは、合成白色光の赤色スペクトル成分を発するように構成された第1のLED及び第1の蛍光体を含む。第2のLED及び第2の蛍光体が、合成白色光の青色スペクトル成分を発するように構成される。第3のLED及び第3の蛍光体が、合成白色光の緑色スペクトル成分を発するように構成される。
【0009】
緑色スペクトル成分は、630nmから780nmの波長範囲内に、総放射束のうちの少なくとも30%を持ち得る。一部の実施形態において、緑色スペクトル成分は、630nmから780nmの波長範囲内に、総放射束のうちの少なくとも30%を持つ。
【0010】
第3の蛍光体は、TM-30-18により-5%以上のRCS,h1を持つ緑色スペクトル成分を提供するように構成され得る。一部の実施形態において、第3の蛍光体は、TM-30-18により-5%以上のRCS,h1を持つ緑色スペクトル成分を提供するように構成される。
【0011】
赤色、青色及び緑色のスペクトル成分は、0.95未満の刺激純度を持ち得る。一部の実施形態において、赤色スペクトル成分、青色スペクトル成分及び緑色スペクトル成分の各々が、0.95未満の刺激純度を持つ。赤色スペクトル成分は、0.8から0.94の範囲内の刺激純度を持ち得る。緑色スペクトル成分は、0.8から0.94の範囲内の刺激純度を持ち得る。青色スペクトル成分は、0.4から0.5の範囲内の刺激純度を持ち得る。一部の実施形態において、赤色スペクトル成分及び緑色スペクトル成分は各々、0.8から0.94の範囲内の刺激純度を持ち、青色スペクトル成分は、0.4から0.5の範囲内の刺激純度を持つ。
【0012】
合成白色光は、90以上のRa及び50以上のR9を有する演色評価数(color rendering index;CRI)持ち得る。合成白色光は、2700Kから6500Kのターゲット相関色温度(CCT)範囲にわたって100以上のTM-30-18色域指数(Rg)を持ち得る。合成白色光は、ターゲットCCT範囲にわたって0%から15%の範囲内の、色相ビン1に対するTM-30-18クロマシフト(RCS,h1)を持ち得る。一部の実施形態において、合成白色光は、90以上のRa及び50以上のR9を有する演色評価数(CRI)を持つ。一部の実施形態において、合成白色光は、2700Kから6500Kのターゲット相関色温度(CCT)範囲にわたって100以上のTM-30-18色域指数(Rg)を持つ。一部の実施形態において、合成白色光は、ターゲットCCT範囲にわたって0%から15%の範囲内の、色相ビン1に対するTM-30-18クロマシフト(RCS,h1)を持つ。
【0013】
第1のLED、第2のLED、又は第3のLEDのうち1つ以上は、藤紫色(royal blue)光を発するように構成され得る。一部の実施形態において、第1のLED、第2のLED、及び第3のLEDの各々が藤紫色光を発するように構成される。
【0014】
赤色スペクトル成分は、380nmから780nmの波長範囲内で600nmよりも長い波長に最大強度を持ち得る。青色スペクトル成分は、380nmから780nmの波長範囲内で500nmよりも短い波長に最大強度を持ち得る。一部の実施形態において、赤色スペクトル成分は、380nmから780nmの波長範囲内で600nmよりも長い波長に最大強度を有し、青色スペクトル成分は、380nmから780nmの波長範囲内で500nmよりも短い波長に最大強度を有する。
【0015】
複数のRGB LEDグループが存在し得る。各RGB LEDグループが、第1のLED、第1の蛍光体、第2のLED、第2の蛍光体、第3のLED、及び第3の蛍光体を有し得る。一部の実施形態において、複数のRGB LEDグループが存在し、各RGB LEDグループが、第1のLED、第1の蛍光体、第2のLED、第2の蛍光体、第3のLED、及び第3の蛍光体を有する。
【0016】
第1のLED及び第1の蛍光体は、第1のLEDパッケージ内に収容され得る。第2のLED及び第2の蛍光体は、第2のLEDパッケージ内に収容され得る。第3のLED及び第3の蛍光体は、第3のLEDパッケージ内に収容され得る。複数の第1のLEDパッケージが直列に接続され得る。複数の第2のLEDパッケージが直列に接続され得る。複数の第3のLEDパッケージが直列に接続され得る。直列に接続された第1のLEDパッケージ、直列に接続された第2のLEDパッケージ、及び直列に接続された第3のLEDパッケージが、共通カソードを共有し得る。一部の実施形態において、第1のLED及び第1の蛍光体の各々が第1のLEDパッケージ内に収容され、第2のLED及び第2の蛍光体の各々が第2のLEDパッケージ内に収容され、第3のLED及び第3の蛍光体の各々が第3のLEDパッケージ内に収容される。一部の実施形態において、第1のLEDパッケージの各々が直列に接続され、第2のLEDパッケージの各々が直列に接続され、第3のLEDパッケージの各々が直列に接続される。一部の実施形態において、直列に接続された第1のLEDパッケージ、直列に接続された第2のLEDパッケージ、及び直列に接続された第3のLEDパッケージが、共通カソードを共有する。
【0017】
本開示の更なる実施形態は、第1のLEDと第1の蛍光体、第2のLEDと第2の蛍光体、及び第3のLEDと第3の蛍光体を有する発光デバイスに関する。第1のLED及び第1の蛍光体は、合成白色光の非飽和赤色スペクトル成分を発するように構成され得る。第2のLEDと第2の蛍光体は、合成白色光の非飽和青色スペクトル成分を発するように構成され得る。第3のLEDと第3の蛍光体は、合成白色光の非飽和緑色スペクトル成分を発するように構成され得る。第3の蛍光体は、第3のLEDから放射された光に深紅色スペクトル波長を追加するように構成された緑色蛍光体を含み得る。緑色スペクトル成分は、630nmから780nmの波長範囲内に、総放射束の少なくとも30%を持ち得る。合成白色光は、90以上のRaを有する演色評価数(CRI)を持ち得る。合成白色光は、ターゲットCCT範囲にわたって0%から15%の範囲内の、色相ビン1に対するTM-30-18クロマシフト(RCS,h1)を持ち得る。
【0018】
本開示の一部の実施形態は、第1のLEDと第1の蛍光体、第2のLEDと第2の蛍光体、及び第3のLEDと第3の蛍光体を有する発光デバイスに関する。第1のLED及び第1の蛍光体は、合成白色光の非飽和赤色スペクトル成分を発するように構成される。第2のLEDと第2の蛍光体は、合成白色光の非飽和青色スペクトル成分を発するように構成される。第3のLEDと第3の蛍光体は、合成白色光の非飽和緑色スペクトル成分を発するように構成される。第3の蛍光体は、第3のLEDから放射された光に深紅色スペクトル波長を追加するように構成された緑色蛍光体を有する。緑色スペクトル成分は、630nmから780nmの波長範囲内に、総放射束の少なくとも30%を持つ。合成白色光は、90以上のRaを有する演色評価数(CRI)と、ターゲットCCT範囲にわたって0%から15%の範囲内の、色相ビン1に対するTM-30-18クロマシフト(RCS,h1)とを持つ。
【0019】
本開示の更なる実施形態は発光デバイスに関する。当該発光デバイスは、合成白色光の赤色スペクトル成分を発するように構成された複数の第1のLED及び第1の蛍光体を含み得る。第1のLEDの各々が直列に接続され得る。当該発光デバイスは、合成白色光の青色スペクトル成分を発するように構成された複数の第2のLED及び第2の蛍光体を含み得る。第2のLEDの各々が直列に接続され得る。当該発光デバイスは、合成白色光の緑色スペクトル成分を発するように構成された複数の第3のLED及び第3の蛍光体を含み得る。緑色スペクトル成分は、630nmから780nmの波長範囲内に存在する少なくとも30%の放射束を持ち得る。第3のLEDの各々が直列に接続され得る。当該発光デバイスは、複数の第1のLED、複数の第2のLED、及び/又は複数の第3のLEDに対する入力電力を独立に制御するように構成されたコントローラを含み得る。
【0020】
本開示の一部の実施形態は、複数の第1のLEDと第1の蛍光体、複数の第2のLEDと第2の蛍光体、及び複数の第3のLEDと第3の蛍光体を有する発光デバイスに関する。複数の第1のLEDと第1の蛍光体は、合成白色光の赤色スペクトル成分を発するように構成され、第1のLEDの各々が直列に接続される。複数の第2のLEDと第2の蛍光体は、合成白色光の青色スペクトル成分を発するように構成され、第2のLEDの各々が直列に接続される。複数の第3のLEDと第3の蛍光体は、合成白色光の緑色スペクトル成分を発するように構成される。緑色スペクトル成分は、630nmから780nmの波長範囲内に存在する少なくとも30%の放射束を有し、第3のLEDの各々が直列に接続される。コントローラが、複数の第1のLED、複数の第2のLED、及び複数の第3のLEDに対する入力電力を独立に制御するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本開示の上述の特徴を詳細に理解することができるように、上で簡単に要約した本開示のより具体的な説明が、実施形態を参照して行われ、実施形態の一部が添付の図面に示される。しかしながら、言及しておくことには、添付の図面は、この開示の典型的な実施形態のみを示しており、それ故に、その範囲を制限するものとみなされるべきでなく、本開示は、等しく有効な他の実施形態を認め得るものである。
図1】本開示の1つ以上の実施形態に従った例示的な発光デバイスを示している。
図2A】本開示の1つ以上の実施形態に従った、ベースライン緑原色を含む赤、緑及び青の原色のスペクトルを示している。
図2B】本開示の1つ以上の実施形態に従った、ベースライン緑原色及びサンプル緑原色を有する図2Aの拡大図を示している。
図3】本開示の1つ以上の実施形態に従った、ベースライン及びサンプルについての、相関色温度の関数としての合成白色光の正規化したフラックスのグラフを示している。
図4】本開示の1つ以上の実施形態に従った、ベースライン及びサンプルについての、CCTの関数としてのTM-30-18色域指数(Rg)のグラフを示している。
図5】本開示の1つ以上の実施形態に従った、ベースライン及びサンプルについての、CCTの関数としてのTM-30-18色相ビン1クロマシフト(RCS,h1)のグラフを示している。
図6】本開示の1つ以上の実施形態に従った例示的な発光デバイスを示している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示の幾つかの例示的な実施形態を説明する前に、理解されるべきことには、本開示は、以下の説明に記載される構成又はプロセスステップの詳細に限定されるものではない。本開示は、他の実施形態が可能であり、様々なやり方で実施されたり実行されたりすることができる。
【0023】
本開示の一部の実施形態は、赤原色及び青原色を変更することなく、高色忠実度システムの緑原色を有利に変更する。1つ以上の実施形態において、緑原色は、実質的に緑である色点(カラーポイント)を維持しながら、例えばSLA(SrLiAl:Eu2+)などの狭い赤色蛍光体により深紅色スペクトル成分を加えることによって変更される。一部の実施形態において、深紅色スペクトル成分は、緑原色と、赤原色又は青原色のうち1つ以上とに加えられる。
【0024】
本開示の1つ以上の実施形態において、緑原色スペクトルは、狭い赤色ダウンコンバータにより深紅色スペクトル成分を加えることによって変更される。一部の実施形態において、緑原色は、CCTチューニング範囲の全体を通して高い利用率を有し、従って、任意のCCTにおいて合成白色スペクトルに大きく寄与する。狭い赤色ダウンコンバータは、例えばSLAなどの蛍光体、フッ化カリウムシリコン(KSiF)化合物、又は量子ドットダウンコンバータとし得る。一部の実施形態において、緑原色の深紅色スペクトル成分は、放射束の少なくとも30%が630nmから780nmの波長範囲内に存在することによって特徴付けられる。一部の実施形態において、緑原色の深紅色スペクトル成分は、TM-30-18に基づいて、-5%を超えるRCS,h1を持つとして特徴付けられる。
【0025】
一部の実施形態において、狭い赤色ダウンコンバータは量子ドットを有する。量子ドットは、例えば組成、形状及びサイズといった粒子の様々な特性を変えることによって調節可能な特定の波長の光を発するように構成されることができる粒子を有する。一部の実施形態において、量子ドットは、630nmから660nmの範囲内のピーク波長で発光する。
【0026】
従って、図1を参照するに、本開示の1つ以上の実施形態は発光デバイス100に関する。デバイス100は、第1のLED110と第1の蛍光体115、第2のLED120と第2の蛍光体125、及び第3のLED130と第3の蛍光体135を有する。図1に示す実施形態は、1つの第1のLED110、1つの第1の蛍光体115、1つの第2のLED120、1つの第2の蛍光体125、1つの第3のLED130、及び1つの第3の蛍光体135を示している。一部の実施形態において、2つ以上の、第1のLED110、第1の蛍光体115、第2のLED120、第2の蛍光体125、第3のLED130、及び第3の蛍光体135が存在する。一部の実施形態において、複数の第1のLEDの各々が電気的に直列接続される。一部の実施形態において、複数の第2のLED120の各々が電気的に直列接続される。一部の実施形態において、複数の第3のLED130の各々が電気的に直列接続される。図1に示す実施形態では、第1のLED110は左側にあり、第2のLED120は右側にあり、第3のLED130は中央にある。LEDのこの配置は、1つの取り得る構成を表しているに過ぎず、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきでない。
【0027】
第1のLED110は、初期スペクトル成分を有する光を放射する。該初期スペクトル成分は、第1の蛍光体115に入り、及び/又は第1の蛍光体115を通り抜ける。一部の実施形態において、初期スペクトル成分の一部が第1の蛍光体115を通り抜ける。一部の実施形態において、初期スペクトル成分の実質的に全てが、第1の蛍光体115によって吸収される。このように使用されるとき、“実質的に全て”は、それぞれの蛍光体によって初期スペクトル成分のうち約95%以上、98%以上、99%以上、又は99.5%以上が吸収されることを意味する。
【0028】
第1の蛍光体115は、初期スペクトル成分からの光を吸収して、変更されたスペクトル組成を有する光を発することができる組成物を有する。このように使用されるとき、“変更されたスペクトル組成”は、前述のLEDから可視スペクトル内で発せられた光の波長の少なくとも一部が相対強度において減少されるとともに、前述のLEDから可視スペクトル内で発せられた光の波長の少なくとも一部が相対強度において増加されることを意味する。第1の蛍光体115は、合成白色光190の赤色スペクトル成分150を発するように構成される。
【0029】
第2のLED120は、初期スペクトル成分を有する光を放射する。この初期スペクトル成分は、第2の蛍光体125に入り、及び/又は第2の蛍光体125を通り抜ける。一部の実施形態において、第2のLED120からの初期スペクトル成分は、第1のLED110からの初期スペクトル成分と実質的に同じである。このように使用されるとき、“実質的に同じ”は、対象としているコンポーネントのスペクトルが持つピーク波長及びピーク半値全幅(FWHM)がどちらも、それぞれ、関連付けられるコンポーネントのスペクトルのピーク波長及びピークFWHMの5nm以内であることを意味する。一部の実施形態において、第2のLED120からの初期スペクトル成分は、第1のLED110からの初期スペクトル成分とは異なる。一部の実施形態において、第2のLED120からの初期スペクトル成分の一部が第2の蛍光体125を通り抜ける。
【0030】
第2の蛍光体125は、初期スペクトル成分からの光を吸収して、変更されたスペクトル組成を有する光を発することができる組成物を有する。一部の実施形態において、第2の蛍光体125は、合成白色光190の青色スペクトル成分160を発するように構成される。
【0031】
第3のLED130は、初期スペクトル成分を有する光を放射する。一部の実施形態において、第3のLED130からの初期スペクトル成分は、第1のLED110又は第2のLED120のうちの1つ以上からの初期スペクトル成分と実質的に同じである。この初期スペクトル成分は、第3の蛍光体135に入り、及び/又は第3の蛍光体135を通過り抜ける。一部の実施形態において、初期スペクトル成分の一部が第3の蛍光体135を通り抜ける。一部の実施形態において、初期スペクトル成分の実質的に全てが、第3の蛍光体135によって吸収される。
【0032】
第3の蛍光体135は、初期スペクトル成分からの光を吸収して、変更されたスペクトル組成を有する光を発することができる組成物を有する。一部の実施形態において、第3の蛍光体135は、合成白色光190の緑色スペクトル成分170を発するように構成される。一部の実施形態において、第3のLED130及び第3の蛍光体135は、合成白色光190の緑色スペクトル成分170を発するように構成される。
【0033】
一部の実施形態において、緑色蛍光体は、630nmから780nmの波長範囲内に総放射束の少なくとも30%を持つ緑色スペクトル成分170を提供するように構成される。一部の実施形態において、緑色スペクトル成分170は、波長範囲630nmから780nmの波長範囲内に、総放射束の少なくとも25%、27.5%、30%、32.5%、35%、37.5%、40%、42.5%、45%、47.5%、又は50%を持つ。一部の実施形態において、緑色スペクトル成分170は、630nmから780nmの波長範囲内に、全放射束の25%から60%の範囲、又は27.5%から57.5%の範囲、又は30%から55%の範囲、又は32.5%から50%の範囲、又は35%から47.5%の範囲、又は37.5%から45%の範囲を持つ。
【0034】
一部の実施形態において、第3の蛍光体135(緑色蛍光体とも称する)は、TM-30-18によって測定されるとき、-5%以上の、色相角(hue-angle)ビン1(RCS,h1)における局所クロマシフトを持つ緑色スペクトル成分170を提供するように構成される。一部の実施形態において、緑色蛍光体は、-10%、-7.5%、-5%、-4%、-3%、-2%、-1%、0%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、又は9%以上の、TM-30-18によるRCS,h1値を持つ緑色スペクトル成分170を提供するように構成される。一部の実施形態おいて、緑色蛍光体は、-10%から20%の範囲、又は-5%から17.5%の範囲、又は0%から15%の範囲、又は0%から10%の範囲の、TM-30-18によるRCS,h1値を持つ緑色スペクトル成分170を提供するように構成される。
【0035】
緑色蛍光体の好適例は、以下に限られないが、例えばLuAl12:Ce3+及びYAl12:Ce3+などの、一般式(Lu1-x-y-a-bGd(Al1-zGa12:CePr、ただし、0<x<1、0<y<1、0<z≦0.1、0<a≦0.2、且つ0<b≦0.1、を持つアルミニウムガーネット蛍光体、Lu3-x-yAl5-z12:Ce、ただし、M=Y,Gd,Tb,Pr,Sm,Dy、A=Ga,Sc、且つ(0<x≦0.2)、Ca3-x-ySc2-zSi12:Ce、ただし、M=Y,Lu、A=Mg,Ga、且つ(0<x≦0.2)、Ba2-x-ySiO:Eu、ただし、M=Sr,Ca,Mg、且つ(0<x≦0.2)、Ba2-x-y-zSi1-z:Eu、ただし、M=Sr,Ca,Mg、且つ(0<x≦0.2)、Sr1-x-yAl2-zSi4-z:Eu、ただし、M=Ba,Ca,Mg、且つ(0<x≦0.2)、M1-xSi:Eu、ただし、M=Sr,Ba,Ca,Mg、且つ(0<x≦0.2)、M3-xSi:Eu、ただし、M=Sr,Ba,Ca,Mg、且つ(0<x≦0.2)、Sr1-x-yGa2-zAl:Eu、ただし、M=Ba,Ca,Mg、且つ(0<x≦0.2)、Ca1-x-y-zS:Ce、ただし、M=Ba,Sr,Mg、A=K,Na,Li、且つ(0<x≦0.2)、Sr1-x-zAl1+ySi4.2-y7-y0.4+y:Eu、ただし、M=Ba,Ca,Mg、且つ(0<x≦0.2)、Ca1-x-y-zSc:Ce、ただし、M=Ba,Sr,Mg、A=K,Na,Li、且つ(0<x≦0.2)、Mx-zSi6-y-2xAly+2x8-y:Eu、ただし、M=Ca,Sr,Mg、且つ(0<x≦0.2)、及びCa8-x-yMgSiOCl:Eu、ただし、M=Sr,Ba、且つ(0<x≦0.2)を含む。
【0036】
赤色蛍光体の好適例は、以下に限られないが、例えばSrSi:Eu2+などの、(Sr1-x-yBaCa2-zSi5-aAl8-a:Eu 2+、ただし、0≦a<5、0<x≦1、0≦y≦1、及び0<z≦1、Ca1-x-zS:Eu、ただし、M=Ba,Sr,Mg,Mn、且つ(0<x≦0.2)、Ca1-x-ySi1-zAl1+z3-z:Eu、ただし、M=Sr,Mg,Ce,Mn、且つ(0<x≦0.2)、MgGe1-xF:Mn、ただし、(0<x≦0.2)、M2-xSi5-yAl8-y:Eu、ただし、M=Ba,Sr,Ca,Mg,Mn、且つ(0<x≦0.2)、Sr1-x-ySi4-zAl1+z7-z:Eu、ただし、M=Ba,Ca,Mg,Mn、且つ(0<x≦0.2)、及びCa1-x-ySiN:Eu、ただし、M=Ba,Sr,Mg,Mn、且つ(0<x≦0.2)を含む。
【0037】
青緑色、黄色、及び/又は赤色発光蛍光体の好適例は更に、以下に限られないが、例えばSrSi:Eu2+を含む(Sr1-a-bCaBa)Si:Eu 2+(a=0.002-0.2、b=0.0-0.25、c=0.0-0.25、x=1.5-2.5、y=1.5-2.5、z=1.5-2.5);例えばSrGa:Eu2+を含む(Sr1-u-v-xMgCaBa)(Ga2-y-zAlIn):Eu2+;及び例えばCaS:Eu2+及びSrS:Eu2+を含む(Ca1-xSr)S:Eu2+、ただし、0<x<1を含む。
【0038】
特定の実施形態において、緑色スペクトル成分は、630nmから780nmの波長範囲内に総放射束の少なくとも30%を持つとともに、0%から15%の範囲内のTM-30-18によるRCS,h1値を持つ。
【0039】
一部の実施形態において、第1のLED110、第2のLED120、及び第3のLED130の各々は、藤紫色光を発するように構成される。このように使用されるとき、用語“藤紫光”は、440nmと460nmとの間にピーク波長を有する光を指す。
【0040】
一部の実施形態において、赤色スペクトル成分は、380nmから780nmの波長範囲内で600nmよりも長い波長に最大強度を持つ光を有する。一部の実施形態において、青色スペクトル成分は、380nmから780nmの波長範囲内で500nmよりも短い波長に最大強度を持つ光を有する。特定の実施形態において、赤色スペクトル成分は、600nmよりも長い波長に最大強度を持つ光を有し、青色スペクトル成分は、380nmから780nmの範囲で、500nmよりも短い最大波長を持つ光を有する。
【0041】
一部の実施形態において、合成白色光190は、赤色スペクトル成分、青色スペクトル成分及び緑色スペクトル成分について0.95未満の刺激純度を持つ。刺激純度は、光源の白色点から同じ色相の色度図上の最遠点までの差の尺度である。CIE 1931色空間を用いると、刺激純度は、式Iによって計算されることができる。
【数1】

ここで、(x,y)は白色点の色度であり、(x,y)は、白色点までの線分が刺激の色度を含む周縁上の点である。
【0042】
一部の実施形態において、赤色スペクトル成分の刺激純度は、0.7から0.98の範囲内、又は0.75から0.96の範囲内、又は0.8から0.94の範囲内にある。一部の実施形態において、緑色スペクトル成分の刺激純度は、0.7から0.98の範囲内、又は0.75から0.96の範囲内、又は0.8から0.94の範囲内にある。一部の実施形態において、青色スペクトル成分の刺激純度は、0.3から0.6の範囲内、又は0.35から0.55の範囲内、又は0.4から0.5の範囲内にある。一部の実施形態において、赤色スペクトル成分は0.8から0.94の範囲の刺激純度を持ち、緑色スペクトル成分は0.8から0.94の範囲内の刺激純度を持ち、青色スペクトル成分は0.4から0.5の範囲内の刺激純度を持つ。
【0043】
本開示の1つ以上の実施形態に従った合成白色光は、90以上のRa及び50以上のR9を有する演色評価数(CRI)を持つ。一部の実施形態において、合成白色光は、80以上、85以上、90以上、又は95以上のRaを有するCRIを持つ。一部の実施形態において、合成白色光は、0以上、20以上、50以上、又は80以上のR9を有するCRIを持つ。一部の実施形態において、合成白色光は、80から100の範囲内のRaと0から100の範囲内のR9とを有するCRIを持つ。
【0044】
1つ以上の実施形態において、合成白色光は、2700Kから6500Kのターゲット相関色温度(CCT)範囲にわたって100以上のTM-30-18色域指数(Rg)を持つ。1つ以上の実施形態において、合成白色光は、2700Kから5000Kのターゲット相関色温度(CCT)範囲にわたって100以上のTM-30-18色域指数(Rg)を持つ。一部の実施形態において、合成白色光は、2700Kから6500KのターゲットCCTにわたって、95から120の範囲内又は100から115の範囲内の色域指数を持つ。
【0045】
本開示の特定の実施形態は、0.8から0.9の範囲内の刺激純度を有する赤色スペクトル成分、0.8から0.9の範囲内の刺激純度を有する緑色スペクトル成分、0.4から0.5の範囲内の刺激純度を有する青色スペクトル成分、90以上のRa及び50以上のR9を有する演色評価数(CRI)、並びに2700Kから6500Kのターゲット相関色温度(CCT)範囲にわたって100以上のTM-30-18色域指数(Rg)、を合成白色光が有するLEDデバイスに関する。
【0046】
図2Aは、本開示の1つ以上の実施形態に従った、赤色スペクトル成分150、青色スペクトル成分160、及び緑色スペクトル成分170の対応する原色スペクトルに分けられた、例示的な合成白色光190を示している。深紅色スペクトル成分のないベースライン緑色スペクトル成分172が含められている。図2Bは、本開示の1つ以上の実施形態に従った緑色スペクトル成分170及び深紅色スペクトル成分のないベースライン緑色スペクトル成分172の拡大図である。
【0047】
図3は、本開示の1つ以上の実施形態に従った、ベースライン及びサンプルの、相関色温度(CCT)の関数としての合成白色スペクトルの正規化したフラックス(光束)を示している。ベースラインは、図2A及び2Bに示したのと同じ赤色スペクトル成分150、青色スペクトル成分160、及びベースライン緑色スペクトル成分172を有する。図示したサンプル実施形態は、図2A及び2Bに示した赤色スペクトル成分150、青色スペクトル成分160及び緑色スペクトル成分170を有する。サンプルは、ベースラインと比較して、ターゲットCCT範囲内で~11%低いフラックスを有する。特定の動作理論に拘束されることなく、これは、赤色の過飽和を達成するために使用される深紅色スペクトル成分に固有の低めの効率によるものであると考えられる。サンプル実施形態の演色評価数(CRI)は、ベースラインと同様に、Ra>90及びR9>50を持つ。
【0048】
図4及び図5は、本開示の1つ以上の実施形態に従った、ベースライン及びサンプルの両方についての、TM-30-18の色域指数(Rg)及び色相ビン1に対するクロマシフト(RCS,h1)を示している。これらの図から見てとれるように、本開示の一実施形態に従ったサンプルは、ターゲットの2700-6500Kのチューニング範囲(及びそれを以上)で、Rg>100及び0%<RCS,h1<15%を有する。ベースラインサンプルは、これらの主観的好みの範囲内にない。
【0049】
図1及び図6を参照するに、本開示の一部の実施形態は、複数のRGB LEDグループ105を含む発光デバイスに関する。図6に示す実施形態は、3つのRGB LEDグループ105を有する。RGB LEDグループ105の各々が、第1のLED110、第1の蛍光体115、第2のLED120、第2の蛍光体125、第3のLED130、及び第3の蛍光体135を含む。第1のLED110及び第1の蛍光体115の各々は、第1のLEDパッケージ117内に収容される。第2のLED120及び第2の蛍光体125の各々は、第2のLEDパッケージ127内に収容される。第3のLED130及び第3の蛍光体135の各々は、第3のLEDパッケージ137内に収容される。
【0050】
一部の実施形態において、第1のLEDパッケージ117の各々が、図6に示すように直列に接続される。一部の実施形態において、第2のLEDパッケージ127の各々が、図6に示すように直列に接続される。一部の実施形態において、第3のLEDパッケージ137の各々が、図6に示すように直列に接続される。一部の実施形態において、複数の第1のLEDパッケージ117の少なくとも一部が、他の第1のLEDパッケージ117に対して並列に接続される。一部の実施形態において、第2のLEDパッケージ127の少なくとも一部が、他の第2のLEDパッケージ127に対して並列に接続される。一部の実施形態において、第3のLEDパッケージ137の少なくとも一部が、他の第3のLEDパッケージ137に対して並列に接続される。
【0051】
一部の実施形態において、第1のLEDパッケージ117は、第1のLEDパッケージに対する制御可能なアノード192aとして動作するコントローラ195に直列に接続される。一部の実施形態において、第2のLEDパッケージ127は、第2のLEDパッケージに対する制御可能なアノード192bとして動作するコントローラ195に直列に接続される。一部の実施形態において、第3のLEDパッケージ137は、第3のLEDパッケージに対する制御可能なアノード192cとして動作するコントローラ195に直列に接続される。コントローラ195は、当業者に知られた任意の好適な1つ以上の制御回路である。一部の実施形態において、直列接続された第1のLEDパッケージ117、直列接続された第2のLEDパッケージ127、及び直列接続された第3のLEDパッケージ137は、共通カソード194を共有する。
【0052】
ここで説明される材料及び方法を記述する文脈(特に、以下の請求項の文脈)における用語“a”、“an”及び“the”並びに類似の指し示しの使用は、ここで別段の断りがあったり文脈によって明らかに否定されたりしない限り、単数及び複数の両方をカバーすると解釈されるべきである。ここでの値の範囲の記載は、ここで別段の断りがない限り、その範囲内に入る各々別個の値を個々に言及することの速記法としての役割を果たすことを意図しているに過ぎず、各々別個の値が、あたかもここで個別に記載されたかのように本明細書に組み込まれる。ここに記載された方法は全て、ここで別段の断りがあったり文脈によって明らかに否定されたりしない限り、任意の好適な順序で実行されることができる。ここで提供された任意の及び全ての例、又は例示的言語(例えば、“例えば~など”)の使用は、材料及び方法をいっそう明らかにすることを意図しているに過ぎず、別段の主張がない限り、範囲に対して限定を課すものではない。明細書中のいかなる文言も、請求項にない要素を、開示された材料及び方法の実施に不可欠であると示すものとして解釈されるべきでない。
【0053】
ここでは、様々な要素を説明するために、この明細書を通して第1、第2、第3などの用語への言及は用いられることがあるが、それらの要素は、これらの用語によって限定されるべきでない。これらの用語は、1つの要素を別の要素から区別するために使用され得る。
【0054】
この明細書を通して、他の要素“上に”ある又は他の要素“上に”延びるとして、層、領域、又は基板に言及することは、それが他の要素上に直にあったり他の要素上に直に延びたりし得ること、あるいは介在要素も存在してよいことを意味する。ある要素が他の要素“上に直接”ある又は他の要素“上に直接”延びるとして言及されるとき、介在要素は存在しないとし得る。また、ある要素が他の要素に“接続される”又は“結合される”として言及されるとき、それは、他の要素に直接接続又は結合され及び/又は1つ以上の介在要素を介して他の要素に接続又は結合され得る。ある要素が他の要素に“直接接続される”又は“直接結合される”として言及されるとき、その要素と他の要素との間に介在要素は存在しない。理解されることには、これらの用語は、図に示される向きに加えて、異なる向きでのその要素を包含することを意図している。
【0055】
例えば“の下”、“の上”、“上側の”、“下側の”、“水平”、又は“垂直”などの相対的な用語は、ここでは、図に示されるような、1つの要素、区画、又は領域の、他の要素、区画、又は領域に対する関係を記述するために使用され得る。理解されることには、これらの用語は、図に示される向きに加えて、異なる向きでのそのデバイスを包含することを意図している。
【0056】
この明細書を通して、“一実施形態”、“特定の実施形態”、“1つ以上の実施形態”、又は“ある実施形態”への言及は、その実施形態に関連して記載される特定の機構、構造、材料、又は特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、例えば“1つ以上の実施形態において”、“特定の実施形態において”、“一実施形態において”、又は“ある実施形態において”などの言い回しがこの明細書中の様々な箇所に現れることは、必ずしも本開示の同じ実施形態に言及しているわけではない。1つ以上の実施形態において、特定の機構、構造、材料、又は特性は、任意の好適なやり方で組み合わされる。
【0057】
ここでの開示は特定の実施形態を参照して説明されているが、理解されるべきことには、これらの実施形態は単に本開示の原理及び用途を例示するものに過ぎない。当業者に明らかになることには、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、本開示の方法及び装置に様々な変更及び変形を加えることができる。従って、本開示は添付の請求項の範囲及びそれらの均等範囲の中での変更及び変形を含むことが意図される。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6