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特許7313576車両に備えられる支援システムにより車両の省エネルギー運転に関する推奨事項を出力するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-13
(45)【発行日】2023-07-24
(54)【発明の名称】車両に備えられる支援システムにより車両の省エネルギー運転に関する推奨事項を出力するための方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 40/09 20120101AFI20230714BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20230714BHJP
   B60W 30/182 20200101ALI20230714BHJP
【FI】
B60W40/09
B60W50/14
B60W30/182
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022563224
(86)(22)【出願日】2021-04-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-12
(86)【国際出願番号】 EP2021059627
(87)【国際公開番号】W WO2021213855
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】102020110866.4
(32)【優先日】2020-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100090583
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 清
(74)【代理人】
【識別番号】100098110
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 みどり
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・ピーターズ
(72)【発明者】
【氏名】ライナー・ペッツォルト
(72)【発明者】
【氏名】テレサ・ボートシェン
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・シュミット
(72)【発明者】
【氏名】フランク・ネーベル
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・ウルテス
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング・マイアー
(72)【発明者】
【氏名】インゴ・クロイツ
【審査官】竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-060309(JP,A)
【文献】特開2013-122441(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の省エネルギー運転に関する推奨事項を出力するための方法であって、
前記車両は、少なくとも2つの運転モードを有し、前記少なくとも2つの運転モードから、前記車両を運転するために指定されたトリガ(2)に応じて、駆動制御装置(15)によって、1つの運転モード(1)がそれぞれ選択されるものであり、以下の方法ステップ:
車両運転者の運転状況又は運転行動によって引き起こされるトリガ(2)によって作動する運転モードの変更を決定するステップ、
前記トリガによって作動する前記運転モードの変更の各決定時に、前記運転モードの変更の頻度をカウントアップするステップ、
前記頻度を分析するステップであって、
前記運転モードの変更の前記頻度が、事前設定された値と比較され、
前記運転モードの変更の種類及び前記比較の結果に応じて、前記運転モードの変更に関する通知(6)が生成され、
前記通知(6)が、前記車両に備えられる少なくとも1つの出力手段(7)を介して出力される、前記分析するステップ、
を備える方法において、
前記運転モードの変更の前記頻度は、ユーザプロファイルにおいて、直近の有効な前記運転モード及び/又は選択された前記運転モード(1)、並びに前記変更を引き起こす前記トリガに割り当てられるように、データフィールドに保存されること、
を特徴とする、方法。
【請求項2】
前記運転モードの変更に関する前記通知(6)は、以下の要素:
現在選択されている前記運転モード(1)に関する情報、
現在の前記運転モード(1)が選択された理由、及び/又は
前記車両の省エネルギー運転に関する推奨事項、
のうちの少なくとも1つを含むこと、
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記通知(6)の前記出力は、視覚的、聴覚的、及び/又は触覚的に行われ、前記車両に備えられる前記少なくとも1つの出力手段(7)は、ディスプレイ機器(8)、スピーカ(9)、及び/又はステアリングホイールとして形成されており、
前記通知(6)の前記出力が視覚的に行われるとき、前記通知(6)は、少なくとも1つのグラフィック及び/又はテキストを含み、
前記通知(6)の前記出力が聴覚的に行われるとき、前記通知(6)は、少なくとも1つの音声及び/又はテキストを含み、
前記テキストは、前記通知(6)の前記出力が視覚的に行われるとき既成のテキストモジュールで構成され、又は前記通知(6)の前記出力が聴覚的に行われるときテキスト・コンポーザー・アプローチを使用したテキスト読み上げシステムによって生成されること、
を特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記通知(6)の前記出力は、有効化及び無効化され得るものであり、ここで前記出力の前記無効化と前記通知(6)の内容との間の関係を確立することによって、特定の通知の自主的な無効化が学習されること、
を特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ユーザプロファイルに存在する値は、リセット可能であること、
を特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ユーザプロファイルに応じて、各データフィールドは、同じ事前設定された値を有するか、又は以下の個別の事前設定された値:
事前設定された固定値1、
前記車両の出荷前に車両メーカーによって事前設定された、任意の事前設定された固定値、
事前設定された可変値、
のうちの1つを有するものであり、前記事前設定された可変値の値は、特に、車両外部の中央処理装置(13)から前記車両への転送によって、任意の頻度で変化することができ、データ転送は、特に無線データ転送(14.1)用のインターフェース又は有線データ転送(14.2)用のインターフェースを介して行われること、
を特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
1つ又は複数の比較車両が、車両フリートを記述する匿名化されたデータセットから前記車両の装備及び/又は前記車両の特有な負荷プロファィルに応じて選択されること、及び
前記トリガによって作動される前記運転モードの変更の前記頻度が、前記1つ又は複数の比較車両の前記運転モードの変更の前記頻度と比較され、及び、生成される前記通知(6)は分析を含み、前記分析は自身の前記車両と前記1つ又は複数の比較車両との間の前記運転モードの変更の前記頻度の違いを含むこと、
を特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
支援システム(16)であって、
演算装置(5)と、
少なくとも1つの聴覚的及び/又は視覚的な出力手段(7)と、
前記演算装置(5)、駆動制御装置(15)、車両に備えられるセンサ(4)、及びオペレーティングシステム(12)の間のデータ接続と、
を有する、前記支援システム(16)において、
前記支援システム(16)は、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成されていること、
を特徴とする、支援システム(16)。
【請求項9】
車両であって、
前記車両は、前記車両を駆動するための駆動ユニットを有し、前記駆動ユニットは、少なくとも1つの内燃機関及び/又は少なくとも1つの電動モータを含む、前記車両において、
前記車両は、請求項8に記載の支援システム(16)を更に含む、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルにおいて詳細に定義された種類の、車両の省エネルギー運転に関する推奨事項を出力するための方法、請求項のプリアンブルにおいて詳細に定義された種類の支援システム、および請求項のプリアンブルにおいて詳細に定義された種類の、そのような支援システムを備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、支援システム、および車両に備えられる運転者支援システムを使用して情報を出力するための方法は、先行技術から公知である。このようなシステムによって出力される情報の範囲は、ナビゲーションシステム又はレストラン推奨におけるルート情報の出力といった快適機能から、例えば、オートマチックストップ/スタートが作動しない理由といった車両に関するステータス情報を経て、例えば、車間距離衝突警告の出力といった走行安全性の向上のための警告の出力までに至る。
【0003】
今日、地球温暖化及び天然資源の枯渇により、持続可能に生活することが重要になる一方である。このために、既に自動車教習所では、予測運転が教えられており、それによって、通常、車両の運転時に燃料消費量を低減することができる。ただし、時間と共に、各車両運転者は、個人の運転スタイルを身に着け、その運転スタイルでは、スポーティーな運転方法の場合だけではなく、ぎこちない運転方法の場合でも、燃料消費量の増大を伴う。これから、気候に有害な行動パターンを減らすことを習得するために、熟練した車両運転者が意識的な運転方法について注意を払う必要性が生じる。
【0004】
更に、温室効果ガスを削減するための重要な鍵がモビリティの電化に認められる。しかし、電動車両又はハイブリッド車両によるエネルギー効率の良い移動には、そのような車両の制御装置に対して、従来型の内燃機関とは別の要件が求められる。多くの場合、車両運転者には、電動モータが内燃機関よりも有利になる運転状況、ハイブリッド車においてどのように電動モータと内燃機関とが協働するのか、又は、どのように車両を特にエネルギー効率良く制御できるのかについての知識が欠けている。
【0005】
特許文献1には、車両の情報システム、車両、及び車両の乗員の情報に関する方法が開示されている。その場合、車両は、車両を自律的に制御するための決定を行うためのプランニングユニットを備える。そのプランニングユニットは、車両を制御するための決定を行った選択の理由を、情報出力モジュールを介して、人間が理解しやすい形態で出力する。それにより、自律運転車の許容性が高まり、車両運転者が車両の制御に手動で介入する必要性が低減する。ただし、それについて本特許明細書には、車両運転者がより意識的な運転方法について注意を払うように求める注意書きはない。
特許文献2には、運転者認知を改善する方法が開示されており、この場合、エンジン回転数の現在値又は現在の車両速度が燃料節約目標を上回るイベント数が算出される。そのイベント数が事前設定された閾値を上回ると、ただちに情報がユーザに出力される。
特許文献3には、選択された運転モードが「プラグイン走行」(Charge Depleting)モードである場合、内燃機関の使用履歴に基づいて燃料効率と電力効率の表示を切り替えるハイブリッド車が記載されている。このモードでは、内燃機関の停止時に、電動モータの使用のみでの運転が最優先される。運転モードの変更の頻度は、内燃機関の起動継続時間を特定するのに使用される。
特許文献4には、自動エンジン停止の燃料節約効果を検知するための方法、及びエンジン始動装置の耐用期間の検知が開示されている。保存されたエンジン停止回数は、閾値と比較され、閾値を上回ると、エンジン始動装置の耐用期間は、限度に達し、情報がユーザに対して出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】DE 10 2019 001 445 A1
【文献】EP 3 412 534 A1
【文献】US 2016/272220 A1
【文献】EP 1 589 211 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、車両に備えられる支援システムを使用して、車両運転者のより意識的な運転方法を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、本課題は、請求項1に記載の特徴を有する車両の省エネルギー運転に関する推奨事項を出力するための方法、請求項に記載の特徴を有する支援システム、及び請求項に記載の特徴を有するそのような支援システムを備える車両によって解決される。有利な形態及び発展形態は、これらの従属請求項から明らかになる。
【0009】
車両の省エネルギー運転に関する推奨事項を出力するための方法であって、車両は、少なくとも2つの運転モードを有し、その少なくとも2つの運転モードから、車両を運転するために指定されたトリガに応じて、駆動制御装置によって、1つの運転モードがそれぞれ選択される方法は、本発明によれば、以下の方法ステップ:
車両に備えられるセンサを用いて運転状況を監視するステップ、
車両運転者の運転状況又は運転行動によって引き起こされるトリガによって作動する運転モードの変更を決定するステップ、
トリガによって作動する運転モードの変更の各決定時に、運転モードの変更の頻度をカウントアップするステップ、
頻度を分析するステップであって、
運転モードの変更の頻度が、事前設定された値と比較され、
場合に応じて及び比較の結果に応じて、運転モードの変更に関する通知(6)が生成され、
通知(6)が、車両に備えられる少なくとも1つの出力手段(7)を介して出力される、分析するステップ、
を含む。
【0010】
本方法を使用して、車両運転者は、意識的な運転方法について注意を払うことができる。車両は、例えば、以下の運転モード:惰性走行、回生、ストップ/スタートシステムによるエンジンの停止、負荷点移動、バッテリ充電、ブーストなどの運転モードを備えることができる。それに関して、運転モードの変更に関する通知とは、あらかじめ例として挙げられた運転モードの変更の種類に関する通知であると理解されたい。車両の運転中、センサが現在及び/又は今後の運転状況を監視する。このために、例えば、車両と物体若しくは先行車である車両との間の距離、車両速度、又は車両運転者によるアクセルペダル及び/若しくはブレーキペダルの踏力が検知される。一般に、車両は、更なる特徴を監視する多数のセンサを備える。詳細な列挙は、本発明を実施するためには必要でないため、この箇所では省略する。車両に対して多数のトリガが定義されており、あらかじめプログラムされたトリガ値を上回る又は下回ることをセンサが検知することによって、トリガが認識される。トリガは、例えば、車間距離警告、アクセルペダル位置、ブレーキペダル位置、外気温度などである。トリガとは、運転状態の変化を特徴付けて、運転モードの変更を作動させるイベント又は状態として理解されたい。イベントとして理解されるべきトリガは、本明細書の文脈では、センサを使用して事前設定されたトリガ値に到達したことにより認識される、運転状態又は運転状態の変化に関する。トリガは、運転モードの変更を抑止することもまたできるのは、例えば、排ガスフィルタのクリーニングプロセスといったイベントが進行するからである。トリガ値は、センサ信号の閾値として理解されたく、その閾値を上回るか又は下回ると、運転モードの変更が起動される。その場合、トリガ値に対してヒステリシスが設けられていることがある、すなわち、例えば、第1のトリガ値に達したときには、第1の運転モードから第2の運転モードに変更され、値が第1のトリガ値の値よりも小さい第2のトリガ値に達したときには、逆に第2の運転モードから第1の運転モードへの変更が行われる。可能な各トリガ、又は可能なトリガの各組合せに対して、車両は、運転モードが1つのトリガ又は複数のトリガに応じて選択される、すなわち、有効な運転モードが終了し、新しい運転モードが有効になる固定した割当を含む。運転モードの変更を担当するトリガに割り当てられている運転モードの変更の頻度をカウントアップすることによって、車両が制御される運転方法を特徴付けることができる。運転方法は、例えば、エコ・コーチ(Eco-Coach)と称するプログラムによって分析され、これによって、最も適切にカスタマイズされた個別の推奨事項が、車両運転者の運転方法に合うように形成される。その際、運転モードの変更の頻度が少ない場合、推奨事項のうちの一部を出力することができ、運転モードの変更の頻度が多い場合、推奨事項のうちの一部を出力することができる。このために、運転モードの変更の頻度又は頻度値は、事前設定された値とそれぞれ比較され、場合に応じて、すなわち、運転モードの変更の種類及び比較の結果、すなわち、頻度がそれぞれの事前設定された値より少ない、同じ、又は多いに応じて、推奨事項が作成される。
【0011】
本発明によれば、本方法は、新規のユーザプロファイルが作成され得る、又は既存のユーザプロファイルが選択され得ることを企図しており、その場合、運転モードの変更の頻度は、ユーザプロファイルにおいて、直近の有効な運転モード及び/又は選択された運転モード、並びに変更を引き起こすトリガに割り当てられるように、データフィールドに保存される。その場合、ユーザプロファイルは、特にマトリックスの形式で保存され、マトリックスの列は、車両の運転モードを含み、マトリックスの行は、可能なトリガを含み、運転モードの変更の頻度を特徴付ける個々のマトリックス値は、マトリックスの生成時には値0に初期化される。更に、各運転モードの変更時に、少なくとも1つのマトリックス値が特定され、マトリックス値の列は、直近の有効な運転モード及び/又は選択された運転モードに対応し、マトリックス値の行は、運転モードの変更につながるトリガに対応する。その1つ以上のマトリックス値に含まれる値には、値1が加算される。
【0012】
ユーザプロファイルを使用することによって、車両が制御される運転方法は、適切に特定のユーザに割り当てることができる。複数のユーザプロファイルの作成及び使用によって、人が互いに車両を共有して使用する場合、人の行動に個別に応答することができる。これによって、例えば、私人又はレンタカーとしての車両の使用といった、特定の対象グループに応答することができる。更に、マトリックスとしてのユーザプロファイルの一形態は、運転モードの変更を担当したそれぞれの運転モードへのトリガの割当の頻度を調査するための、単純かつ目的どおりの実施である。
【0013】
本方法の更なる有利な実施形態は、運転モードの変更に関する通知が、以下の要素:
現在選択されている運転モードに関する情報、
現在の運転モードが選択された理由、及び/又は
車両の省エネルギー運転に関する推奨事項、
のうちの少なくとも1つを含むことを企図している。
【0014】
通知によって挙げられた要素を含むことにより、車両運転者は、運転モードの変更に関する理由と車両のエネルギー消費に対する影響との関係について指摘されるため、車両運転者に、意識的な運転方法を特に有効に指摘することができる。
【0015】
本方法の更なる有利な形態に対応して、通知の出力は、視覚的、聴覚的、及び/又は触覚的に行われ、その場合、車両に備えられる少なくとも1つの出力手段は、ディスプレイ機器及び/又はスピーカとして形成されており、
通知の出力が視覚的に行われるとき、通知は、少なくとも1つのグラフィック及び/又はテキストを含み、
通知の出力が聴覚的に行われるとき、通知は、少なくとも1つの音声及び/又はテキストを含み、
テキストは、既成のテキストモジュールで構成されるか、又はテキスト・コンポーザー(Text-Composer)・アプローチを使用したテキスト読み上げ(Text-to-Speech)システムによって生成される。視覚的な通知の出力によって、情報を提供するテキストの出力に加えて、情報の可視化のために、例えば、シンボル又はグラフといったグラフィックもまた表示することが可能になる。これにより、特に、出力された通知の理解を深めることができる。聴覚的な通知の出力によって、車両運転者は、通知を認識するために視覚的な出力手段を見る必要がないため、自身の視線を交通事象に引き続き専念して向けることが可能となり、その結果、車両運転者は路上で見られるものにより多くの注意を払うことができるため、道路交通の全般的な安全性を向上させることができる。聴覚的かつ視覚的な通知を同時に出力することが特に有利である。そのようにして、車両運転者は、例えば、通知を聞く一方で、車両内にいる別の人、例えば、助手席乗員は、通知を視覚的に受け取ることができ、これにより、例えば、シンボル又はグラフィックの感知によって追加情報を受け取ることができる。既成のテキストモジュールから通知を構成することは、通知を作成するために、特に単純かつ簡単に実現可能なアプローチである。テキスト・コンポーザー・アプローチを使用して生成される通知は、特により複雑かつより多様に構成することができ、これによって、車両運転者は、本方法に対して長時間持続する関心を形成することができる。
【0016】
本方法の有利な発展形態は、通知の出力が有効化及び無効化され得ることを企図しており、この場合、出力の無効化と通知の内容との関係を確立することによって、特定の通知の自主的な無効化が学習される。例えば、エコ・コーチがオンになっているとき、通知の出力は、ボタン操作及び/又は音声コマンドによって有効化及び無効化され得るものであり、ここでエコ・コーチには、学習能力があり、特定の通知の出力を止めることを自主的に学習する。
【0017】
特に、車両運転者が同一又は類似の通知を何度も認識した場合、本方法を使用して出力された通知が、ありきたりのもの又は煩わしいものとして車両運転者に受け取られることが起こり得る。この場合、車両運転者は、ボタンを押すことにより又は音声コマンドを発することにより、通知の出力を止めることを特に簡単に行うことができる。車両運転者の好みに合せて特定の通知を抑止することを、エコ・コーチが自主的に学習することによって、本方法の使用における快適性を更に向上させることができる。このために、エコ・コーチは、例えば、人工知能もまた含むことができる。この場合、エコ・コーチのネットワークは、様々な環境条件下で、異なるユーザと共に継続的に学習が行われるため、学習段階の後は、エコ・コーチがユーザに応じて望ましい抑止を予測し、自ら実施することができる。
【0018】
本方法の更なる有利な形態に対応して、マトリックス要素に存在する現在の値は、例えば、消去ボタンを操作することによって、又はユーザがデータ処理に同意しなくなった場合、特にマトリックス作成時に本来選択された初期値にリセット可能である。
【0019】
これにより、ユーザプロファイルを適応的に構成することができ、その結果、マトリックス要素の値をリセットすることによって、特定の通知を再度新たに出力することができる。これは特に、車両がレンタカーである場合に有利である。その結果、運転者が変わるたびに、マトリックスをリセットすることができ、それによって各新規運転者は、対応する通知を知ることができる。
【0020】
本方法の更なる有利な形態は、ユーザプロファイルに応じて、事前設定された同じ値が運転モードの変更を特徴付ける各データフィールドに適用されるか、又は下記の個別の値、特に:
事前設定された固定値1、
車両の出荷前に車両メーカーによって事前設定された、任意の事前設定された固定値、
事前設定された可変値、
のうちの1つを有することを企図しており、事前設定された可変値の値は、特に、車両外部の中央処理装置から車両への転送によって、任意の頻度で変化することができ、データ転送は、特に無線データ転送用のインターフェース又は有線データ転送用のインターフェースを介して行われる。
【0021】
ユーザプロファイルに応じて第1の事前設定された値を使用することによって、通知の出力を様々なユーザに個別に適合させることができる。事前設定された固定値1を選択することによって、車両の新規ユーザが、車両の使用開始時にすぐに、車両の意識的な運転方法に関する通知を確実に受け取ることが保証される。しかし、より長時間にわたってユーザの行動を分析し、例えば、先行車との距離が短すぎるために惰性走行を中断するといった、特定の行動が特に頻繁に顕在化した場合に限り、通知を出力することが有意義であり得る。この場合、車両メーカーは、任意の各データフィールドに対して、複数の任意の事前設定された固定値を設定することができるため、例えば、特殊な事例が5回、20回、及び100回出現した場合、特殊なトリガに応じた運転モードの変更に関する通知の出力が何度も行われる。更に、事前設定された値が可変であるように構成されていることが可能であり、これは、事前設定された値が車両の耐用期間中、何度も任意の時点で変更されてもよいことを意味する。ここで、可変の事前設定された値を変更するために、車両は、外部の中央処理装置からデータを、特に無線又は有線で、例えば、サービス工場入庫中に受信することができる。
【0022】
好ましくは、1つ又は複数の比較車両が、車両フリートを記述する匿名化されたデータセットから車両の装備及び/又は車両の特有な負荷プロファイルに応じて選択され、トリガによって作動される運転モードの変更の頻度が、1つ又は複数の比較車両の運転モードの変更の頻度と比較される。車両ユーザに向けられる通知は分析を含み、この分析は自車と比較車両との間の運転モードの変更の頻度の違いを含む。
【0023】
これにより、代表的な比較車両として、例えば、車両フリートのうちの最も効率的な10パーセントが選択される、又は平均値が算出されることによって、車両運転者のユーザの行動の分析が可能となる。この比較車両の運転モードの変更の頻度に由来する値は、車両運転者のユーザプロファイルに保存されている頻度と比較される。その場合、分析によって、類似点及び違いを確認することができ、その類似点及び違いを用いて、車両運転者が効率的な運転方法に関して学習する、及び/又は動機付けられる、特に有効な推奨事項が生成される。車両運転者は、代表的な比較車両に対してどの可能性がまだあるかが、特に指摘される。代表的な車両は、同一ブランド、同一型式の車両、又は少なくとも、例えば、スタート/ストップ又は惰性走行機能といった、同一機能を備える車両を含む。代表的な車両の種類は、ユーザによって選択されてもよいか、又は自動的に特定されてもよい。更に、これに関して、例えば、年齢、経済的な運転者、又はスポーティーな運転者といった運転者カテゴリを考慮することができる。好適には、同じ走行プロファィルのフリート、すなわち、市街地走行、郊外走行、又は高速道路走行での車両との比較が行われる。有利な様式では、比較は、エリアごとのみで行われる、すなわち、自車は、同一経路又は一経路区間を走行したフリートの車両のみと比較される。その後、比較データは、好適には、必ず自車及び比較車両が走行したこの経路又は経路区間で収集される。
【0024】
特に、好適には車両運転者のユーザプロファイル内の運転モードの変更の頻度と比較される事前設定された値は、運転モードの変更の頻度に関してフリート車両から算出された値に、手作業で、及び/又は自動で適合することができる。
【0025】
好適にはエコ・コーチのプログラムを備える演算装置と、少なくとも1つの聴覚的及び/又は視覚的な出力手段と、演算装置、運転ストラテジ及び/又は駆動ストラテジを含む駆動制御装置、車両に備えられるセンサ、並びにオペレーティングシステムの間のデータ接続と、を備える支援システムは、本発明により、車両の省エネルギー運転に関する推奨事項を出力する方法を実行するように構成されている。更に、車両は、好適には、車両外部の中央処理装置とのデータ転送のためのインターフェースを含む。
【0026】
車両は、車両を駆動するための駆動ユニットを含み、駆動ユニットは、少なくとも1つの内燃機関及び/又は少なくとも1つの電動モータを含む。本発明によれば、車両は、車両の省エネルギー運転に関する推奨事項を出力するための方法を実行するように構成されている支援システムを有する。したがって、支援システムによって実行される方法は、従来型の内燃機関を備える車両の場合でも、電動モータを備える車両の場合でも、又はハイブリッド車両の場合でも、実行することができる。
【0027】
本発明による方法の更なる有利な形態は、以下で図面を参照して詳細に説明する実施例からもまた明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】車両が制御される運転モードを変更するためのプロセスの図である。
図2】マトリックスの形式でのユーザプロファイルの図である。
図3】車両の省エネルギー運転に関する推奨事項を出力するための方法のフロー図である。
図4】本方法を実行するための支援システムの図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
車両は、少なくとも2つの運転モードを有し、その少なくとも2つの運転モードから、車両を運転するために指定されたトリガ2に応じて、駆動制御装置15によって、1つの運転モード1がそれぞれ選択される。事前定義された運転モード又は運転ストラテジは、例えば、以下の種類:惰性走行、回生、オートマチックストップ/スタートによるエンジンの停止、負荷点移動、バッテリ充電、ブースト、又は任意の更なる通常の車両向け運転ストラテジのうちの少なくとも1つであり得る。駆動制御装置15によって認識されるそれらのトリガは、例えば、車間距離警告、アクセルペダル位置又はブレーキペダル位置、温度、例えば周囲温度又はオイル温度などであり得る。車両が内燃機関を備える場合、駆動制御装置は、特にエンジン制御装置として構成されている。以下の6つの例は、具体的な説明に用いられる。
【0030】
例1:ハイブリッド車両は、高速道路に合流するために加速車線で加速している。その場合、車両運転者は、アクセルペダルを強く踏み込み、それによって、駆動制御装置は、ハイブリッド車両に備えられる電動モータが、同様にハイブリッド車両に備えられる内燃機関を加速時に支援する運転モードに変更される。
【0031】
例2:ハイブリッド車両は、一定速度で走行している。その場合、駆動制御装置15は、内燃機関が最も効率的な範囲で作動するように負荷点移動が実行される運転モードに変更される。
【0032】
例3:電動車両が下り坂を一定速度で走行している。この場合、電動車両に備えられる電動モータは、走行速度を維持するのに電力を消費しない。これを惰性走行と称する。電動車両の前方では、別の車両が走行しており、その別の車両が減速することによって、車両間の距離は、最小距離を下回り、それにより、電動車両は、減速しなければならない。このとき、駆動制御装置15は、運転モードを、「惰性走行」から、「回生」に変更し、減速プロセスで発生するエネルギーを回収する。
【0033】
例4:内燃機関を備える車両が信号機で停止している。車両はオートマチックスタート/ストップを備えているが、目下エンジン診断プログラムが作動しているため、車両のエンジンは、停止しない。
【0034】
例5:ユーザによる短時間のフルスロットルの繰り返しは、加速の目的は達成されず、燃料消費量だけが増大する。
【0035】
例6:内燃機関を備える車両が、クラッチを使用して内燃機関をドライブトレインから切り離して連結を切ることにより、惰性走行している。先行車までの距離が短すぎることによって、又はブレーキ操作によって、運転モードが変更され、惰性走行プロセスが中断され、エンジンが始動し、先読みした運転方法によれば節約できたであろう燃料が消費される。
【0036】
これらの例は、特定のトリガ、すなわち、運転状態又は運転状態の変更が特定の運転モード又は運転モードの変更を制限する特殊な場合に相当する。これに基づいて、本方法を使用して、車両を意識的に運転するための個別の推奨事項が生成される。後の箇所で、上記の例に対応する推奨事項が一覧表示される。
【0037】
図2には、ユーザプロファイル作成時に生成されるマトリックス3が示されている。運転モードの変更の頻度は、マトリックス内でマトリックス値として表示される。マトリックス3の各列には、車両に備えられる運転モード又は運転ストラテジが含まれ、マトリックス3の各行には、運転モードを変更するための事前定義されたトリガ、例えば、ブレーキ操作、アクセルペダルから足を離す、車間距離が不足しているなどが含まれる。新しいユーザプロファイルを作成するとき、運転モードの変更の頻度をそれぞれ特徴付けする各マトリックス値が値0で記載される。車両運転者の運転状況又は運転行動に基づいて、トリガ値が達成される、すなわち、例えば、上回る、又は下回る場合、これは駆動制御装置15によって検出され、これにより運転モードが変更される。その結果、マトリックス要素は、出現したトリガを含む対応する行と、終了した運転モード又は変更された運転モードを含むマトリックスの対応する列と、を含むことにより決定され、かつ選択される。このようなマトリックス要素に含まれるマトリックス値に、値1が加算される。したがって、車両の運転継続時間の経過に伴い、運転モードの変更を計数するマトリックス値が増加する。その場合、マトリックス値は、増加し続けるか、又は特定のイベントによってその元の値にリセットすることが可能である。これは、例えば、ユーザコマンド、エンジンが停止されている間の特定の時間、ユーザプロファイルの変更、又は車両外部の中央処理装置から伝送されるデータフローの受信であり得る。一般に、マトリックス値のリセットは、詳細には定義されていない任意の更なるイベントによって実施される、及び/又はマトリックス値がそれぞれの初期値に相当する値になるまでの時間にわたって低下し続ける「フェーディング」によって実施され、フェーディングは、例えば、マトリックス値が再び増加することによって中断されてもよい。
【0038】
図3に示したフロー図では、車両は、現在の又は直近の交通状況を常時分析し、その中でイベント又はトリガが駆動ストラテジ又は駆動制御装置15の監視によって検知され、これにより、駆動制御装置15は、車両の運転モードを変更する。駆動制御装置15によってトリガが検出されない場合、すなわち、トリガ値に到達しない場合、駆動制御装置15は、更に監視を実施する。トリガ値に達した後に運転モードの変更が行われた場合、トリガが検知され、対応するマトリックス値がカウントアップされる。演算装置5に備えられるプログラムである、車両に備えられるエコ・コーチがオンになっている場合、マトリックスの分析が行われる。その場合、各マトリックス値は、それぞれのマトリックス要素、すなわち、該当する運転モードの変更に適した事前設定された値と比較され、実際のマトリックス値がそれぞれの事前設定された値を上回る場合、車両の省エネルギー運転の推奨事項、現在選択されている運転モード及び/又は現在の運転モードが選択された若しくは運転モードの変更が起こった理由に関する情報を含む、車両運転者への通知の出力が行われる。エコ・コーチが有効でない場合、ボタン操作及び/又は音声コマンドを使用してオンにすることができる。
【0039】
図4に示した支援システム16は、エコ・コーチという名称のプログラムを備える演算装置5を有する。エコ・コーチは、既に述べたように、運転モードの変更のそれぞれの頻度を有するユーザプロファイルを含むマトリックスの分析に使用される。演算装置5は、データを車両外部の中央処理装置13と交換することができるデータ転送14のためのインターフェースを備える。その場合、インターフェースは、特に、無線のデータ転送14.1のためのインターフェース又は有線のデータ転送14.2のためのインターフェースとして構成されている。更に、演算装置5は、駆動制御装置15、オペレーティングシステム12、及び車両に備えられるセンサ4とのデータ接続を有する。オペレーティングシステム12は、更に、音声コマンドを検出するための少なくとも1つのマイクロホン11と、物理的ボタンとして車両内の任意の箇所に、又はバーチャルボタンとして車両のディスプレイ機器、例えば、コンビネーションメータ又はヘッドユニットに配置されてもよい、少なくとも1つのボタン10と、を備える。ボタン10及び/又はマイクロホン11を使用して、エコ・コーチは、オン/オフすることができる。更に、演算装置5は、例えば、演算装置5によって生成された通知6を車両に備えられる出力手段7に転送するデータバス17の形態で、データ接続を備える。通知6は、特に、テキストモジュールで構成された、又はテキスト・コンポーザー・アプローチを使用して生成されたテキストを含む。更に、通知6は、任意選択的に更なる情報を有する。続いて、通知6は、ディスプレイ機器8上に視覚的に、及び/又はスピーカ9を使用して聴覚的に再生される。その場合、聴覚的な再生は、テキスト読み上げシステムを使用して行うことができる。既に紹介した4つの例に戻ると、通知は、以下のようになる。
【0040】
例1:「この高速道路の進入路では、E-ドライブが支援することによって、急激な加速にもかかわらず燃料消費量は少なくできた。」加えて、視覚的な出力手段上にグラフィック、例えば、消費量曲線及び充電曲線を表示することができる。
例2:「負荷点移動によって、エンジンがその最も効率的な範囲で作動するため、このような状況でいま、同じ速度でエネルギーが節約される。」
例3:「この場合、しばらくして先行車がレーダに映し出され、安全距離を維持するために減速する必要があったため、現在、惰性走行は若干不適切になっている。ただし、エネルギーは、回生によって大部分がバッテリに回収される。」
例4:「この場合、エンジン診断プログラムが作動しているため、アクセルペダルから足を離してもエンジンが停止することはない。」
例5:「ごく短時間フルスロットルにしても加速にはつながらず、燃料消費量が著しく増大する。」
例6:「距離をより多くとり、ブレーキペダルを踏まないようにすることによって、惰性走行での区間割合を伸ばし、燃料を節約することができる。」


図1
図2
図3
図4