(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-14
(45)【発行日】2023-07-25
(54)【発明の名称】自転車および電動自転車のブレーキ装置
(51)【国際特許分類】
B62L 3/02 20060101AFI20230718BHJP
【FI】
B62L3/02 Z
(21)【出願番号】P 2022084844
(22)【出願日】2022-05-06
【審査請求日】2022-06-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520418798
【氏名又は名称】北川 功
(72)【発明者】
【氏名】北川 功
【審査官】前原 義明
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-526011(JP,A)
【文献】特開2018-176860(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62L 3/02
B60T 7/00
G05G 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車または電動自転車の前後車輪近傍に配されたブレーキ機構に基端側が固定されたブレーキワイヤーの先端側を、前記自転車または電動自転車のハンドルバーの両先端部に連結したブレーキレバーの基端に夫々接続し、前記ブレーキレバーを押し下げることにより前記ブレーキレバーの基端側を展開することで、前記ブレーキ機構により前後車輪にブレーキ動作を行う自転車または電動自転車のブレーキ装置において、
前記ハンドルバーの両端に展開可能に接続した一対のブレーキレバーと、
前記ハンドルバーの先端面と前記ブレーキレバーの基端面を当接して展開可能に連結する一対の連結具からなり、
前記連結具には前記ブレーキワイヤーを挿通する挿通孔と前記ブレーキワイヤー
の先端側の先端部を保持するワイヤーエンド受部が形成されていることを特徴とする、自転車または電動自転車のブレーキ装置。
【請求項4】
前記ブレーキ装置は、両側を同時に、または左右のいずれかを単独で操作できることを特徴とする、請求項1
または2に記載の自転車または電動自転車のブレーキ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車および電動自転車(以下、自転車という)のハンドルの両端部に設置され、自転車の走行を停止することができるブレーキ装置に関し、操作が容易であり、且つ、確実にブレーキ動作が行えるブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な自転車のブレーキは、ハンドルの両端部に備え付けられたブレーキレバーを手の握力を使って手前に引くことにより、ブレーキワイヤーが引っ張られ、該ブレーキワイヤーの引張力に伴って、車輪に設けられたブレーキ機構が作用して、車輪の回転を止める仕組みである。ブレーキレバーを手で握るだけという簡単な操作で、自転車を停止することができることから、操作が分かり易いという利点がある。
【0003】
しかしながら、走行中においてハンドルを握ったまま、一部の指でブレーキレバーを握り締める握力により、ブレーキ操作をする構造であるため、緊急時に充分な力が入らなかったり操作が遅れる等により、事故を防止することができない虞れがあった。
【0004】
前記事故を防止するために、様々なブレーキ装置が開示されている。例えば、内部に貫通孔を形成する内壁面と、当該内壁面と離隔し、一部を円周方向に沿って開放したスリットを有する切欠き円筒形状の外壁面から構成され、当該貫通孔に前記ハンドルを収容して固定可能な固定部と、前記内壁面と前記外壁面との間に形成される空洞部に、前記ハンドルに対して回動自在に収納され、前記ブレーキワイヤーの他端側と固定され、当該ハンドルに対して周方向に巻き取る曲線形状で構成された巻取部と、前記スリットを介して前記巻取部に接続され、前記スリットに沿って可動性を有する突起状の操作レバーから形成される操作部とを備えるブレーキ装置が開示されている(特許文献1参照。)。
【0005】
また、自転車の左右のハンドル端部に装着されるブレーキ装置であって、車輪近傍に配されたブレーキ機構に一端側が固定されたブレーキワイヤーの他端側と接続し、当該ブレーキワイヤーの他端側を引張することにより、当該ブレーキ機構によって当該車輪にブレーキ動作を行うブレーキ装置において、一端に円形底面を有し他端が開放された中空状の筒体で形成されると共に、当該円形底面の中心領域上に突起状の円柱形状の軸を有し、当該筒体の内部に左右の前記ハンドルを収容して固定する固定部と、前記固定部の軸を周回して配設され、前記ブレーキワイヤーの他端側を巻回して周方向に巻き取る巻取部を有し、前記ハンドルの断面中心を中心軸として上下方向の可動性を有する突起状の操作レバーから形成される操作部を備えたブレーキ装置が開示されている(特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第6558647号公報
【文献】実用新案登録第3206393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1のブレーキ装置は、ハンドルの端部近傍に該ハンドルの外周円の円周面を回動自在に抱着した操作レバーを取り付け、前記ハンドルを把持したまま両手で操作レバーを上方または下方に回転させることにより制動するブレーキ装置である。この場合、自転車走行中は、前記操作レバーを手のひらで常時把持しておく必要があり、従来のようにハンドルのみを保持する場合に比べ、手のひらに違和感があるだけでなく、ハンドル操作が不安定になるという問題があった。
【0008】
一方、上記特許文献2のブレーキ装置の操作部は、一端に円形底面を有し他端が開放された中空状の筒体で形成されると共に、前記円形底面の中心領域上に突起状の円柱形状の軸を有し、前記筒体の内部に左右のハンドルを収容して固定する固定部が設けられており、前記固定部の軸を周回して配設され、前記ハンドルの断面中心を中心軸として上下方向の可動性を有する突起状の操作レバーから形成されている。このブレーキ装置も特許文献1と同様に、自転車走行中は前記操作レバーを手のひらで常時把持しておく必要があり、従来のようにハンドルのみを保持する場合に比べ、手のひらに違和感があるだけでなくハンドル操作が不安定になるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、自転車の前後車輪近傍に配されたブレーキ機構に基端側が固定されたブレーキワイヤーの先端側を、前記自転車のハンドルバーの両先端部に連結したブレーキレバーの基端に夫々接続し、前記ブレーキレバーを押し下げることにより前記ブレーキレバーの基端側を展開することで、前記ブレーキ機構により前後車輪にブレーキ動作を行う自転車のブレーキ装置である。
【0010】
即ち、前記ハンドルバーの両端に展開可能に接続した一対のブレーキレバーと、前記ハンドルバーの先端面と前記ブレーキレバーの基端面を展開可能に連結する一対の連結具と、前記ブレーキレバーの基端側外周部に設けられ前記ブレーキワイヤーの先端を保持するワイヤーエンド受部とより構成されている。
【0011】
前記連結具は、ハンドルバー拘持側筒とブレーキレバー拘持側筒より構成されており、前記ハンドルバー拘持側筒と前記ブレーキレバー拘持側筒が当接する円周面には、展開と当接を繰り返すことによるズレを防止するために、凹凸の勘合部が設けられている。
【0012】
前記一対の連結具の展開方向は、前記ブレーキレバーの軸線に対して、水平前方から垂直下方の範囲である。
【0013】
前記ブレーキ装置は、ハンドルバーの両先端部に連結されており、ブレーキ操作時は、両側のブレーキレバーを同時または左右いずれかのブレーキレバーを単独で操作することが可能な自転車のブレーキ装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ハンドルバーの両端部に連接されるブレーキレバーを、走行中は常に握持しており、緊急時にはブレーキレバーを押し下げることでブレーキ装置が作動するため、歩行者等の飛び出し等の緊急時にも素早く対応することができる。
【0015】
また、常にブレーキレバーを握ったままで走行し、緊急時は、握ったままのブレーキレバーを押し下げるという簡単かつ確実な操作によって、弱い力であってもブレーキワイヤーを引く力が増幅されて前記ブレーキワイヤーの基端側がより効率的に引張されることとなり、運転者は手の握力を必要とすることなく、弱い力で容易な操作により、強固なブレーキ動作を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第一実施形態に係るブレーキ装置の構成を示す断面図である。
【
図2】本発明の第一実施形態に係るブレーキ装置の作動状態を示す断面図である。
【
図3】本発明の第一実施形態に係るブレーキ装置の作動状態を示す斜視図である。
【
図4】本発明の第一実施形態に係るブレーキ装置を自転車に装着した状態を示す正面図で、(a)は走行状態を示したもので(b)はブレーキ作動状態を示したものである。
【
図5】本発明のブレーキ装置のブレーキレバー押し下げ方向を示す説明図である。
【
図6】本発明の第二実施形態に係るブレーキ装置の構成を示す正面図である。
【
図7】本発明の第二実施形態に係るブレーキ装置の作動状態を示す断面図である。
【
図8】本発明の第二実施形態に係るブレーキ装置の構成を示す右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第一実施形態)
以下、第一実施形態に係るブレーキ装置1について、図面に基づいて説明する。
図1に示すように、自転車の左右のハンドルに装着されるブレーキ装置1であって、前後車輪近傍に配されたブレーキ機構(図示しない、以下同様)に一端側(車輪側)が固定されたブレーキワイヤー4の他端側(ハンドルレバー側)と接続し、このブレーキワイヤー4の他端側を引張することにより、前記ブレーキ機構によってこの自転車の車輪にブレーキ動作を行うブレーキ装置1である。
【0018】
図1~
図3は、ハンドルの右手側に装着したブレーキ装置1を図示したものである。前記ブレーキ装置1は、ハンドルバー2の両端部に左右対称となるように一対の連結部5がハンドルバー2及びブレーキレバー3を拘持している。前記連結部5は、ハンドル拘持側筒51とブレーキレバー拘持側筒52の端面が相互に当接した状態で、底部に形成されたヒンジ53の回転軸54により開閉自在に拘持されている。なお、前記連結部5を前記ハンドルバー2及びブレーキレバー3に固着する手段(図示しない)は、ハンドル拘持側筒51及びブレーキレバー拘持側筒52の外周面からハンドルバー2及びブレーキレバー3の外周面に到達する複数のネジ穴を穿設して、該ネジ穴にビスを挿入して固定している。
【0019】
前記ハンドル拘持側筒51の円周上の頂部には、車輪近傍に配されたブレーキ機構に一端側が固定されたブレーキワイヤー4の他端側を貫通する貫通孔512が穿設されたブレーキワイヤー保持片511が設けけられている。前記ブレーキレバー拘持側筒52の円周上の頂部には、前記貫通孔512に対抗する位置にブレーキワイヤー4の他端側の端部を貫通して保持する貫通孔522を有するブレーキワイヤー保持片521が設けられており、前記貫通孔522の先端部にはブレーキワイヤー4の他端側の端部を係止するブレーキワイヤー端係止部523が設けられている。
【0020】
図2は、本ブレーキ装置1を作動させた状態を示す断面図であり、
図3は、理解を容易にするための斜視図である。
図2及び
図3に示すようにブレーキレバー3を、ハンドルバー2の中心軸に対して垂直方向に押し下げる(ハンドルバー2が水平でない場合は、該ハンドルバー2の中心軸に対して垂直方向)と、ヒンジ53の回転軸54を支点として、ブレーキレバー拘持側筒52が展開する。これに伴いブレーキワイヤー保持片521が円弧を描くように展開することで、車輪近傍に配されたブレーキ機構に一端側が固定されたブレーキワイヤー4が他端側に引っ張られることにより、自転車の車輪が制動される。次に、前記ブレーキレバー3を押し下げる力を解除すると、前記ブレーキ機構の反力により、前記ブレーキレバー3は
図1の状態に復帰して制動が解除される。
【0021】
前輪用のブレーキワイヤー4を右手側のブレーキワイヤー保持部511及びブレーキワイヤー保持部521に取り付ける手順を
図1で説明する。保護チューブ41から前記ブレーキワイヤー4を抜き出して、前記ブレーキワイヤー4の他端側の先端をブレーキレバー拘持筒52の貫通孔522に挿入し、次にハンドルバー拘持筒51の貫通孔512に挿入後、前記保護チューブ41をブレーキワイヤー4に被着させ、その端部を前記ハンドルバー拘持筒51の貫通孔512に当接させた後、先端側のブレーキワイヤー(図示しない)をブレーキレバー3を押し下げ操作しながらブレーキの作動状態を確認して前記前輪のブレーキ機構に固定する。なお、後輪用のブレーキワイヤー4を左手側のブレーキワイヤー保持部521に取り付ける手順も、前記と同様に行うことができる。
【0022】
自転車用ハンドルは、用途に応じて様々な形状がある。例えば、シティーサイクルではセミアップハンドルとフラットハンドル等があり、スポーツバイクのハンドルはフラットハンドルとドロップハンドル等がある。本発明のブレーキ装置は、殆どのハンドルに対応可能であるが、既設のハンドルは用途や形状に合わせて直径や横幅が相違しており、横幅が長いと狭い場所で駐輪し難くなる。また、他の自転車や歩行者とのすれ違い時に接触や衝突が生じる可能性があり注意を要する。したがって、本発明のブレーキ装置は、自転車に装着されている既成ハンドルの両端部を所望サイズに切断して、本発明のブレーキレバーを連結するか、横幅が短尺または狭いハンドルバーを採用することが望ましい。
【0023】
図4は、上記手順によりハンドルバー2に装着されたブレーキ装置を、車両前方から見た正面図の一例であり、(a)は停止または走行状態を示したもの、(b)はブレーキレバーを作動(押し下げ)した状態を示したものである。なお、自転車のハンドルバー2の両端部には、把持性や操作性の観点からゴムや樹脂等のグリップ6が取り付けられており、本発明においてもグリップ6を装着することが望ましい。
【0024】
図5は、本発明のブレーキ装置のブレーキレバー押し下げ方向を示す説明図である。ブレーキレバーは、ハンドルバー(およびブレーキレバー)の中心軸に対して、360°の全方向に折り曲げできるよう装着が可能である。しかし、
図5に示すようにハンドルバー(およびブレーキレバー)の中心軸に対して自転車走行方向の水平線を0°とし、垂直方向を90°とすると、前記ブレーキレバーの押し下げ方向は、好ましくは0°~90°(Aの範囲)であり、より好ましくは10°~80°(Bの範囲)である。したがって、連結部5を装着するときは、ハンドルバー2及びブレーキレバー3の中心軸に対する連結部5の傾斜角度は、自転車のハンドル形状や構造に応じて、前記した好ましい押し下げ方向を勘案して適宜設定する。
【0025】
ブレーキ装置1の形状は、ハンドルバー2の端部とブレーキレバー3の端部を当接させて、この当接面を拘持する構造であるから、左右兼用の構造となることとなり、右ハンドル側専用品及び左ハンドル側専用品を別々に製造することは不要となり、着脱や交換などの維持管理の手間も抑制され、使い勝手の良い優れたものとなる。
【0026】
すなわち、ブレーキ装置1は、リング形状で構成されることによって、左右同じ部品を使える設計とすることができ、別途の設計や部材を要することなく交換可能であり、製造も容易に行うことができる。
【0027】
このブレーキ装置に用いるブレーキレバー3は、特に材質は限定されず、各種金属の使用が可能であり、好ましくは鉄、ステンレスまたはアルミ素材、より好ましくはアルマイト処理されたアルミ素材である。これにより、軽量性と堅牢性が得られる。
【0028】
連結部51、52は、特に材質は限定されず、各種の合成樹脂や金属の使用が可能であるが、可動部を有するので強度が必要なことと、雨天使用されることより防錆材が好ましい。例えば、好ましくは強化プラスチック、ステンレスまたはアルミ素材であり、より好ましくは、ステンレスである。これにより耐水性と堅牢性が得られる。
【0029】
本発明では、従来の自転車のようなブレーキレバーを排して、ハンドルバー2の両端部にブレーキレバー3を回動自在に連接したものである。運転者は、従来の自転車のハンドルバーを両手で握るのと同様に、ブレーキレバー3を握って運転を行い、緊急時には、従来のようなブレーキレバーに手指の一部を係止して操作するのではなく、運転時に把持している前記ブレーキレバー3を押し下げればよい。
【0030】
これにより、ブレーキ装置1と運転者の手との固定性が高い状態が維持できることとなり、より安定性を高めてブレーキ動作を行うことができる。また、運転者が操作した時に、ブレーキレバー3の操作による制動操作の遅れや、違和感も感じ難いという優れた効果が得られる。
【0031】
前記ブレーキ操作は、テコの原理に従って、連結部のヒンジ53の回転軸54を支点としてブレーキレバー3を下方向に押し下げるだけの容易な操作により、ブレーキワイヤー4を引く力が伝達されて前記ブレーキワイヤー4の他端側がより効率的にブレーキレバー3側に引張されることとなり、自転車の運転者が強い握力を必要とすることなく、手首全体で押し下げるという容易な操作によって、強固なブレーキ動作が実現できる。
【0032】
(第二実施形態)
第二実施形態に係るブレーキ装置1aについて、図面に基づいて説明する。第二実施形態に係るブレーキ装置1aは、第一実施形態に係るブレーキ装置1において、連結部のヒンジ形状が
図7に示すようなアーム形状・構造となっている点において相違している。なお、その他の形状、構造及び機能については第一実施形態と同一である。以下、相違点について説明する。
【0033】
図6において、本ブレーキ装置は、ハンドルバーの両端部に左右対称となるように一対の連結部5aが、ビス56及びビス穴57によりハンドルバー2及びブレーキレバー3に拘持されている。該連結部5aは、ハンドル拘持側筒51aとブレーキレバー拘持側胴52aの端面が相互に当接した状態で、下部に形成されたハンドル側アーム551とブレーキレバー側アーム552に装着された回転軸54により開閉自在に拘持されている。その他の形状・構造については第1実施形態と同様であるため、説明は省略する。
【0034】
図7は、本ブレーキ装置を作動させた状態を示す断面図である。
図7において両側または片側のブレーキレバー3を、ハンドルバー2の中心軸に対して垂直方向に押し下げると(ハンドルバー2が水平でない場合は、該ハンドルバー2の中心軸に対して垂直方向)、ハンドル側アーム551及びブレーキレバー側アーム552に挿入された回転軸54を支点として、ブレーキレバー拘持側筒52aが展開する。これに伴いブレーキワイヤー保持片521が円弧を描くように展開することで、車輪近傍に配されたブレーキ機構に一端側が固定されたブレーキワイヤー4が他端側に引っ張られることにより、自転車の前輪または後輪が制動される。次に、前記ブレーキレバー3を押し下げる力を解除すると、前記ブレーキ機構の反力により、前記ブレーキレバー3は
図6の状態に復帰して制動が解除される。
【0035】
図8は、本発明の第2実施形態に係るブレーキ装置の構成を示す右側面図である。
図8において、ブレーキレバー拘持側筒52aの上部には、ブレーキワイヤー保持部521が設けられており、ブレーキワイヤー4を挿入する貫通孔522と前記ブレーキワイヤー4の端部を保持するブレーキワイヤー端係止部523が形成されている。前記ブレーキレバー拘持側筒52aの円周面には、前記ブレーキレバー拘持側筒52aをブレーキレバー3の円周表面に固定するためにビス穴57及びビス56が設けられている。ブレーキレバー拘持側筒52aの下部には、前記ブレーキレバー拘持側筒52aを展開させるためのブレーキ側アーム552が、ハンドル側アーム551を挟むように設けられており、前記アーム552は回転軸54により回動自在に軸支されている。
【0036】
なお、図示しないが、他の実施形態として、連結部5をハンドルバー2及びブレーキレバー3に拘持する連結部5、5aの構造を、実施例1及び実施例2に示すような筒状ではなく、2分割としたり円周筒の1か所を切除して締結部を設け、前記締結部をハンドルバー2及びブレーキレバー3にビス等で締結してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、様々な用途や形状を有する自転車及び電動自転車に装着されるブレーキ装置として、好適に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0038】
1、1a ブレーキ装置
2 ハンドルバー
3 ブレーキレバー
4 ブレーキワイヤー
41 保護チューブ
5、5a 連結部
51、51a ハンドルバー拘持側筒
511 ブレーキワイヤー保持部
512 貫通孔
513 拘持胴当接用凹部
52,52a ブレーキレバー拘持側筒
521 ブレーキワイヤー保持部
522 貫通孔
523 ブレーキワイヤー端係止部
524 拘持胴当接凸部
53 ヒンジ
54 回転軸
55 アーム
551 ハンドル側アーム
552ブレーキ側アーム
56 ビス
57 ビス穴
6 グリップ
【要約】
【課題】 本発明は、自転車等のハンドルの両端部に設置され、自転車等の走行を停止する操作が容易で、且つ、確実にブレーキ動作が行えるブレーキ装置を提供する。
【解決手段】 自転車等の前後車輪近傍に配したブレーキ機構に基端側が固定されたブレーキワイヤー4の先端側を、ハンドルバー2の両先端部に連結したブレーキレバー3の基端に夫々接続し、ブレーキレバー3を押し下げることによりブレーキレバー3の基端側を展開し、ブレーキ機構により前後車輪にブレーキ動作を行う自転車等のブレーキ装置1であり、ハンドルバー2の両端に展開可能に接続した一対のブレーキレバー3と、ハンドルバー2の先端面とブレーキレバー3の基端面を展開可能に連結する一対の連結具5と、ブレーキレバー2の基端側外周部に設けられ、ブレーキワイヤー4の先端を保持するブレーキワイヤー端係止部より構成されている。
【選択図】
図1