(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-14
(45)【発行日】2023-07-25
(54)【発明の名称】熱媒体が供給されるピンミキサ
(51)【国際特許分類】
B01F 27/1121 20220101AFI20230718BHJP
B01F 27/116 20220101ALI20230718BHJP
B01F 27/808 20220101ALI20230718BHJP
B01F 27/94 20220101ALI20230718BHJP
B01F 35/95 20220101ALI20230718BHJP
H01M 4/06 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
B01F27/1121
B01F27/116
B01F27/808
B01F27/94
B01F35/95
H01M4/06 T
(21)【出願番号】P 2021561064
(86)(22)【出願日】2019-11-28
(86)【国際出願番号】 JP2019046512
(87)【国際公開番号】W WO2021106135
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000207724
【氏名又は名称】大平洋機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147072
【氏名又は名称】杉谷 裕通
(74)【代理人】
【識別番号】100097696
【氏名又は名称】杉谷 嘉昭
(72)【発明者】
【氏名】増田 健太
(72)【発明者】
【氏名】寺野 剛
【審査官】小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-114254(JP,A)
【文献】特開昭62-289225(JP,A)
【文献】特開平02-035943(JP,A)
【文献】実開昭61-195339(JP,U)
【文献】特開2004-241233(JP,A)
【文献】米国特許第03092180(US,A)
【文献】米国特許第03563710(US,A)
【文献】中国特許出願公開第110756290(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 27/1121
B01F 27/116
B01F 27/808
B01F 27/94
B01F 35/95
H01M 4/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直な回転軸の先端に設けられた回転体と、該回転体を収納する所定の容器とからなり、該回転体の表面に複数本のピンが設けられ、前記容器内の上部に設けられている所定の投入部から被混合物を投入すると共に前記回転体を回転すると、被混合物が分散・混合されて前記容器の下部に設けられている出口部から連続的に排出されるようになっているピンミキサであって、
前記回転体は略球状もしくは略半球状に形成されていると共にその内部は中空に形成されて熱媒体が入れられるようになっており、
前記回転軸はその中心軸が所定径でくり抜かれていると共に該くり抜き内に該くり抜きの径より小径のパイプが挿入され、それによって前記くり抜きと前記パイプの間に隙間流路が形成されており、
前記回転体内の中空の部分には熱媒体が供給される複数個の供給口と、熱媒体が排出される複数個の排出口とが設けられ、前記供給口と前記排出口のいずれか一方は前記中空の部分の下部に、そして他方は上部にそれぞれ配置され、
前記パイプ内の流路もしくは前記隙間流路のうち一方は前記供給口に接続されて熱媒体が前記回転体内に供給されるようになっており、そして他方は前記排出口に接続されて前記回転体内の熱媒体が排出されるようになっている、ピンミキサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その表面に複数本のピンが設けられた回転体を所定の容器内で回転して被混合物を混合するピンミキサに関するものであり、より詳しくは、回転体が略球状等の所定の大きさの立体形状からなるピンミキサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ピンミキサは周知のように、回転体とこの回転体を収容する容器とから概略構成され、回転体の表面には複数本のピンが設けられている。回転体を容器内で回転させ被混合物を容器に投入すると、高速で複数本のピンが被混合物にぶつかって強い分散作用を奏する。これによって被混合物が均一に混合される。このようなピンミキサは、粉体と液体の混合ように付着性の大きい被混合物を適切に混合するのに優れている。また混合後に早期に硬化するような被混合物を速やかに混合するのにも優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭53-148067号公報
【文献】特許第4384859号公報
【0004】
ピンミキサには色々な形状があり、例えば特許文献1に記載されているように、回転体が所定の板厚の円盤からなるものがある。特許文献1に記載のピンミキサはこの円盤からなる回転体の上面に複数本のピンが上向きに設けられている。そしてこの回転体を収納している容器の天井にも複数本のピンが下向きに設けられている。容器に設けられているピンと、回転体に設けられているピンと互いにぶつからないように配置されており、回転体を回転して回転中心部から被混合物を連続的に投入すると、被混合物はピンによって分散・混合されながら遠心力で外方に送られる。そうすると、容器に設けられた所定の排出口から排出される。このように回転体が円盤からなるピンミキサもあるが、特許文献2に記載されているピンミキサのように回転体が立体的な形状からなるピンミキサも周知である。特許文献2に記載のピンミキサは回転体が略半球体に形成されている。より詳しく説明すると、球体は円盤状の上面と、この上面に対して垂直に接続されている高さの低い円筒状の側面と、この側面の下方に接続されている下向きの円錐状の円錐面とから概略構成されており、全体的に半球体状を呈している。このような立体的な形状の回転体において、上面と側面と円錐面とに複数本のピンが設けられている。従って、回転体を回転して、容器の上部から被混合物を容器内に連続的に投入すると、被混合物は分散・混合されながら次第に容器の下方に送られる。そして均一に混合された被混合物が連続的に容器の下方から排出される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のピンミキサも、特許文献2に記載のピンミキサも、いずれも連続的に被混合物を均一に混合でき優れてはいる。しかしながら、解決すべき課題も見受けられる。ピンミキサは強い分散作用と混合作用とによって被混合物を効率よくかつ均一に混合することができるが、この強い分散作用と混合作用とによって被混合物の温度が上昇してしまうという問題がある。被混合物によっては加熱されると品質に悪影響が生じるものもあるので、適切に冷却する必要がある。例えば、容器の周囲に冷却ジャケット等を設けて冷水等の熱媒体により容器を冷却し、それによって被混合物を冷却する方法を採用することができる。しかしながら容器からの冷却のみによっては十分に被混合物の温度上昇を抑制できない場合もある。例えばピンが設けられている回転体を適切に冷却することができれば被混合物を効率よく冷却することはできる。例えば回転体の内部に冷却水を供給することが考えられる。しかしながら、特許文献1に記載のピンミキサにおいては回転体が円盤状を呈しているので、回転体の内部に冷却水を供給することは困難である。一方、特許文献2に記載のピンミキサの場合には、回転体は所定の容積を備えているので、回転体の内部に冷却水を供給することはできそうである。しかしながらどこから冷却水を供給すればいいか、問題もある。さらには、回転体内に冷却水を供給できたとしても単に冷却水を供給するだけでは、回転体を均一に冷却できない可能性もある。回転体は回転するので冷却水に強い遠心力が作用するからであり、冷却水の循環が適切にされずに滞留し回転体全体を均一に冷却できない場合があるからである。なお、被混合物によっては冷却するのではなく、積極的に加熱が必要な場合もある。そのような場合には加熱用の熱媒体、例えば熱水により加熱したい。しかしながら従来のピンミキサによっては効率よく加熱ができない。
【0006】
本発明は、上記したような問題点を解決したピンミキサを提供することを目的とし、具体的には、被混合物を混練するとき冷却したり加熱したり等適切に温度制御でき、それによって品質の高い混合物を得ることができるピンミキサを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、垂直な回転軸の先端に設けられた回転体と、回転体を収納する所定の容器とからなり、回転体の表面に複数本のピンが設けられているピンミキサを対象とする。回転体は略球状もしくは略半球状に形成され、その内部は中空に形成して熱媒体が入れられるように構成する。そして回転軸はその中心軸を所定径でくり抜き、このくり抜き内に小径のパイプを挿入する。そうすると、パイプ内の流路と、パイプとくり抜きの隙間の流路とが確保される。一方の流路を供給用にして熱媒体を回転体内に供給し、他方の流路を排出用にして熱媒体を排出するように構成する。また、回転体内の中空の部分には熱媒体が供給される複数個の供給口と熱媒体が排出される複数個の排出口とを設けるようにし、供給口と排出口のうち一方は中空の部分の下部に、そして他方は上部にそれぞれ配置するようにする。
【0008】
かくして請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するために、垂直な回転軸の先端に設けられた回転体と、該回転体を収納する所定の容器とからなり、該回転体の表面に複数本のピンが設けられ、前記容器内の上部に設けられている所定の投入部から被混合物を投入すると共に前記回転体を回転すると、被混合物が分散・混合されて前記容器の下部に設けられている出口部から連続的に排出されるようになっているピンミキサであって、前記回転体は略球状もしくは略半球状に形成されていると共にその内部は中空に形成されて熱媒体が入れられるようになっており、前記回転軸はその中心軸が所定径でくり抜かれていると共に該くり抜き内に該くり抜きの径より小径のパイプが挿入され、それによって前記くり抜きと前記パイプの間に隙間流路が形成されており、前記回転体内の中空の部分には熱媒体が供給される複数個の供給口と、熱媒体が排出される複数個の排出口とが設けられ、前記供給口と前記排出口のいずれか一方は前記中空の部分の下部に、そして他方は上部にそれぞれ配置され、前記パイプ内の流路もしくは前記隙間流路のうち一方は前記供給口に接続されて熱媒体が前記回転体内に供給されるようになっており、そして他方は前記排出口に接続されて前記回転体内の熱媒体が排出されるようになっている、ピンミキサとして構成される。
【発明の効果】
【0009】
以上のように本発明は、所定のミキサを対象としている。すなわち、垂直な回転軸の先端に設けられた回転体と、該回転体を収納する所定の容器とからなり、該回転体の表面に複数本のピンが設けられ、容器内の上部に設けられている所定の投入部から被混合物を投入すると共に回転体を回転すると、被混合物が分散・混合されて容器の下部に設けられている出口部から連続的に排出されるようになっているピンミキサを対象としている。そして本発明によると、回転体は略球状もしくは略半球状に形成されていると共にその内部は中空に形成されて熱媒体が入れられるように構成されている。つまり、本発明のピンミキサは、熱媒体によって回転体を冷却し、あるいは加熱して被混合物の温度を管理することができるようになっている。このような熱媒体は供給方法が問題になるが、本発明によると、回転軸はその中心軸が所定径でくり抜かれていると共に該くり抜き内に該くり抜きの径より小径のパイプが挿入され、それによってくり抜きとパイプの間に隙間流路が形成されており、熱媒体はパイプ内の流路もしくは隙間流路のうち一方から回転体内に供給され、そして他方から排出されるように構成されている。従って、回転軸の2個の流路を利用して、回転体の内部に適切に熱媒体を供給し、そして排出することができる。これによって、被混合物の温度を所望の範囲に維持することができ、品質の高い混合物を得ることができる。さらに、回転体内の中空の部分には熱媒体が供給される複数個の供給口と熱媒体が排出される複数個の排出口とが設けられ、供給口と排出口のうち一方は中空の部分の下部に、そして他方は上部にそれぞれ配置されている。回転体が回転するとき内部に入れられている熱媒体に遠心力が作用する。この遠心力によって熱媒体には半径方向外方への力が作用して回転体内部で滞留しやすい。そうすると回転体の温度にムラが生じる。熱媒体は回転体内の中空の部分の下部から、あるいは上部から供給され、そして上部あるいは下部から排出されるので、熱媒体には上下方向の強制的な流れが発生する。これによって熱媒体は適切に回転体内を循環して温度が均一に維持されることが保証される。従って、品質の高い混合物が得られる。特に供給口と排出口はそれぞれ複数個になっているので、熱媒体の上下方向の流れはスムーズになり、回転体の温度は一様になり、混合物の品質が均一になることが保証される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施の形態に係るピンミキサの正面断面図である。
【
図2】本実施の形態に係るピンミキサの回転軸の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明の実施の形態に係るピンミキサ1は、
図1に示されているように、回転体3と、この回転体3を収納する容器4とから概略構成されている。回転体3は内部に冷却液等の熱媒体が入れられる点に特徴があり、詳しくは後で内部構造を説明するが、その外面形状は略球状を呈する所定の立体に形成されている。すなわち回転体を外面形状で説明すると、その上面3aが円形に形成され、この上面3aには円錐の側面の一部からなる上傾斜側面3bが接続され、傾斜側面3bには円柱の側面に相当する垂直側面3cが接続され、そしてこの垂直側面3cには円錐の側面の一部からなる下傾斜側面3dが接続され、さらに下傾斜側面3dには円形の底面3eが接続されている。回転体3には、その上傾斜側面3bと垂直側面3cと下傾斜側面3dとにおいてそれぞれ複数本のピン6、6、…が設けられている。回転体3の大きさについて特に限定はないが、例えば直径を150~2000mmとすることができる。このような回転体3は垂直な回転軸8に設けられている。回転軸8は、図に示されていない駆動機構によって回転するようになっており、回転体3を回転できるようになっている。
【0012】
容器4は、その内周面が回転体3の形状に合わせて形成されており、ピン6、6、…の先端と近接している。つまり内周面とピン6、6、…の先端との隙間はわずかになっている。このように容器4の内周面が形成されているので、後で説明するように被混合物が容器4内に投入され、回転体3を回転すると被混合物のほとんどがピン6、6、…に直接接触することになり、適切に分散・混合されることになる。このような容器4の内周面は、被混合物によって摩耗しないように、必要に応じてゴムや樹脂等によってコーティングしてもよい。本実施の形態において容器4は、下半分を構成する容器本体部10と、この容器本体部10の上に設けられている容器蓋部11とから構成されている。容器蓋部11はメンテナンス時に取り外すことができ、取り外すと回転体3を露出させることができる。容器本体部10は、回転体3を支持する支持部12を備えており、支持部12に回転軸8が回転自在に挿入されている。この支持部12の上部には回転体3内に入れられる熱媒体が外部に漏れ出ないように、スリーブ13が設けられ、回転軸8および回転体3は支持部12に対して液密的に回転するようになっている。容器蓋部11には、その最上部に被混合物を投入する開口部、すなわち投入部15が設けられている。容器蓋部11には、その側面においてさらに数カ所の開口部が空けられている。本実施の形態においては、被混合物は粉体と液体とからなるが、粉体は最上部の投入部15から、そして液体は側面の数カ所の開口部つまり液体投入部16、16から、それぞれ容器4内に投入されるようになっている。容器本体部10にはその下方において混合された被混合物が排出される開口部、つまり出口部18が設けられている。出口部18には栓体19が設けられ、適宜出口部18を閉鎖・開放できるようになっている。
【0013】
本実施の形態に係るピンミキサ1は、回転体3内部に冷却水等の熱媒体が供給される点に特徴がある。熱媒体を供給、排出するために、回転軸8は所定の構造を備えている。回転軸8を
図1のX-X断面で切断したものが
図2に示されているが、回転軸8は中心軸が所定径でくり抜かれており、このくり抜き20に小径のパイプ21が挿入されている。パイプ21の内部は熱媒体が流れる流路、つまりパイプ内流路23になっているが、くり抜き20とパイプ21の外周面の環状の隙間も、熱媒体が流れる流路になっている。すなわち隙間流路24になっている。回転軸8は、
図1には示されていないが、その下部においてロータリージョイントによって接続されており、外部から供給される冷却水等の熱媒体が隙間流路24またはパイプ内流路23に供給されるようになっている。なお、
図2においてパイプ21はくり抜き20内に浮いた状態になっているように示されている。そうすると、パイプ21はくり抜き20内で不安定であり、横方向の力を受けると位置がずれるように見える。しかしながら、実際にはパイプ21はくり抜き20内に設けられた突起、あるいはパイプ21に設けられた突起によって押さえられており、軸芯がずれることはない。つまり横方向のずれは生じない。
【0014】
回転体3は前記したように回転軸8に設けられているが、詳しくは、回転軸8は回転体3の内部の所定の位置まで挿入されている。回転体3内において、挿入された回転軸8の端面には第1の部屋26が設けられ、この第1の部屋26に回転軸8の隙間流路24が連通している。本実施の形態においては、熱媒体は隙間流路24を介してこの第1の部屋26に供給され、第1の部屋26から回転体3内に供給されるようになっている。回転軸8に設けられているパイプ21は、回転軸8の端面を超え、さらに第1の部屋26を貫通して所定長さだけ延長している。回転体3内には第1の部屋26の上部に第2の部屋27が設けられているが、延長されたパイプ21の先端はこの第2の部屋27に開口している。本実施の形態においては、回転体3内を循環した熱媒体はこの第2の部屋27に集められ、そしてパイプ内流路23を介して外部に排出されるようになっている。
【0015】
本実施の形態に係る回転体3は、第1の部屋26に第1の管路29、29、…が、そして第2の部屋27に第2の管路30、30、…がそれぞれ設けられている。本実施の形態において第1の管路29、29、…、そして第2の管路30、30、…は複数本設けられているが、それぞれの端部つまり開口部の位置に特徴がある。つまり、第1の管路29、29、…はそれぞれの端部が回転体3の内部の最下方位置に設けられ、この最下方位置において熱媒体が供給されるようになっている。つまり熱媒体の供給口31、31、…になっている。そして第2の管路30、30、…はそれぞれの端部が回転体3の内部の最上方位置に設けられ、この最上方位置において熱媒体が排出されるようになっている。つまり熱媒体の排出口32、32、…になっている。このように供給口31、31、…と排出口32、32、…とが配置されているので、回転体3内に供給される熱媒体は強制的に下から上の流れが生じ、適切に循環することになる。
【0016】
本実施の形態に係るピンミキサ1の作用を説明する。例として、アルカリ電池に使用される負極ゲルを混合する方法を説明する。最初に栓体19を駆動して出口部18を閉鎖する。本実施の形態に係るピンミキサ1は連続的に被混合物を混合することができるが、運転開始時においては被混合物が少ないので、適切に混合されない可能性がある。従って、運転開始時において一時的に出口部18を閉鎖する。この状態で回転軸8を駆動して回転体3を回転する。回転体3の周速度は、例えば10~25m/sになるようにする。また熱媒体として冷却水を回転体3内に供給する。被混合物として亜鉛粉末、ポリアクリル酸ナトリウム等のゲル化剤、酸化亜鉛の粉体を所定の割合で投入部15より容器4内に投入する。続いて水酸化カリウム水溶液を液体投入部16、16、…より投入する。これらの投入は以後、連続的に実施する。容器4内で回転体3が回転するとピン6、6、…によって被混合物は分散・混合される。この分散・混合により熱が発生することになる。しかしながら、冷却水が
図1に示されているように隙間流路24、第1の部屋26、第1の管路29、29、…、供給口31、31、…より回転体3内に供給され、内部を下方から上方に流れて回転体3を冷却する。従って、被混合物の品質は劣化することなく、適切に混合される。冷却水はやがて排出口32、32、…第2の管路30、30、…、第2の部屋27、パイプ内流路23を経由して外部に排出される。被混合物が容器内4に所定量蓄積されてきたら適切に混合されていると判断して栓体19を開放する。被混合物は出口部18から排出される。以後、連続的に被混合物が混合され出口部18から排出される。
【0017】
本実施の形態に係るピンミキサ1は色々な変形が可能である。例えば、回転体3の形状を変形することができる。本実施の形態においては回転体3は略球状に形成されているが、例えば上面が平面になっている略半球状に形成するようにしてもよい。その形状には制約はなく、内部において熱媒体が循環し易い形状になっていればよい。また、熱冷媒の循環の方向も変形することができる。本実施の形態においては熱媒体の供給口31は回転体3の内部においてその下方に、そして排出口32はその上方にそれぞれ設けられているが、供給口31はその上方に、排出口32はその下方に設けるようにしてもよい。この場合には熱媒体は回転体3内を上から下方に循環して回転体3の温度を調整することになる。他にも変形が可能であり、回転軸8内の熱媒体の流路を変形することができる。すなわち隙間流路24は熱媒体の供給用、そしてパイプ内流路23は排出用であると説明したが、隙間流路24が排出用、パイプ内流路23が供給用であってもよい。
【符号の説明】
【0018】
1 ピンミキサ 3 回転体
4 容器 6 ピン
8 回転軸 15 投入部
16 液体投入部 18 出口部
19 栓体 20 くり抜き
21 パイプ 23 パイプ内流路
24 隙間流路 26 第1の部屋
27 第2の部屋 29 第1の管路
30 第2の管路 31 供給口
32 排出口