(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-14
(45)【発行日】2023-07-25
(54)【発明の名称】卓上連続撹拌槽型反応器
(51)【国際特許分類】
B01J 19/18 20060101AFI20230718BHJP
B01F 27/213 20220101ALI20230718BHJP
B01F 35/33 20220101ALI20230718BHJP
B01F 35/52 20220101ALI20230718BHJP
【FI】
B01J19/18
B01F27/213
B01F35/33
B01F35/52
(21)【出願番号】P 2019085055
(22)【出願日】2019-04-26
【審査請求日】2022-04-04
(73)【特許権者】
【識別番号】515358023
【氏名又は名称】マックエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003085
【氏名又は名称】弁理士法人森特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100114535
【氏名又は名称】森 寿夫
(74)【代理人】
【識別番号】100075960
【氏名又は名称】森 廣三郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155103
【氏名又は名称】木村 厚
(74)【代理人】
【識別番号】100194755
【氏名又は名称】田中 秀明
(72)【発明者】
【氏名】小谷 功
(72)【発明者】
【氏名】小谷 研太朗
(72)【発明者】
【氏名】中山 伸之
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-094016(JP,A)
【文献】特開2018-192384(JP,A)
【文献】特開昭50-125083(JP,A)
【文献】特開昭60-012122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 19/18
B01F 27/00 - 27/96
B01F 35/40 - 35/53
B01L 3/00 - 3/18
G01N 1/38
G01N 35/02
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
卓上で使用される連続撹拌槽型反応器であって、
卓上連続撹拌槽型反応器は、
連通部により互いに連通される複数の反応槽と、
複数の反応槽内に配置される撹拌子と、
先端部に撹拌子が接続され、基端部に従動部が接続される駆動軸と、
動力軸を備えており、動力軸の先端部に駆動部が接続される動力源とを含んでおり、
従動部、駆動軸、及び撹拌子は、複数の反応槽の開口部を覆う蓋体に対して組付けられており、
動力源から供給される動力を、動力軸、駆動部、従動部、及び駆動軸に伝達し、撹拌子を駆動し、反応槽に含まれる液体を撹拌する卓上連続撹拌槽型反応器。
【請求項2】
一つの動力源により、複数の従動部を介して、複数の駆動軸及び複数の撹拌子を駆動する請求項1に記載の卓上連続撹拌槽型反応器。
【請求項3】
従動部又は駆動部は、スプロケット、チェーン、歯車、プーリー、又はベルトである請求項1又は2に記載の卓上連続撹拌槽型反応器。
【請求項4】
複数の反応槽は、単一の部材として構成される請求項1ないし3のいずれかに記載の卓上連続撹拌槽型反応器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卓上で使用される連続撹拌槽型反応器に関する。
【背景技術】
【0002】
化学工業では、所望の化学物質を製造するために連続式の反応器が使用されることがある。連続型の反応器としては、管の中に流体を流しながら反応させる管型反応器と、複数のバッチ型の反応槽を連結して、各反応槽で流体を撹拌しながら反応させる連続撹拌槽型反応器が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1のように管型反応器に関しては、小型の管型反応器が多数開発されている。このような管型反応器はマイクロリアクターと呼ばれている。
【0004】
また、例えば、連続撹拌槽型反応器としては、特許文献2のような、卓上連続撹拌槽型反応器が知られている。この反応器は、複数の有底の反応槽を備えており、それぞれの有底の反応槽は連通された構成となっている。有底の反応槽には、撹拌子を投入する。マグネチックスターラーで撹拌子を回転させることにより、反応を進行させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-279468号公報
【文献】特開2018-192384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
粘性の高い液体を特許文献1に示されたような管型反応器で反応させようとした場合は、微細な管路中を高い粘性を有する液体が流れにくく、所望の反応を効率よく行うことができない場合があった。
【0007】
特許文献2のようなマグネチックスターラーを使用する連続撹拌槽型反応器において、粘性の高い液体を反応させようとした場合は、液の粘性によって、撹拌子が十分に回転せず、所望の反応を行うことができない場合があった。
【0008】
本発明は、粘性の高い液体であっても、反応槽において十分に撹拌することが可能な卓上連続撹拌槽型反応器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
卓上で使用される連続撹拌槽型反応器であって、該卓上連続撹拌槽型反応器は、連通部により互いに連通される複数の反応槽と、複数の反応槽内に配置される撹拌子と、先端部に撹拌子が接続され、基端部に従動部が接続される駆動軸と、動力を出力する動力軸を備えており、動力軸の先端部に駆動部が接続される動力源とを含んでおり、動力源から供給される動力を、動力軸、駆動部、従動部、及び駆動軸に伝達し、撹拌子を駆動し、反応槽に含まれる液体を撹拌する卓上連続撹拌槽型反応器により、上記の課題を解決する。上記の卓上連続撹拌槽型反応器では、磁力を利用したマグネッチックスターラーではなく、駆動軸を含む動力伝達機構によって、駆動させるので、粘性の高い液体でも効率的に撹拌することが可能である。
【0010】
上記の卓上連続撹拌槽型反応器は、一つの動力源により、複数の従動部を介して、複数の駆動軸及び複数の撹拌子を駆動する構成とすることが好ましい。これにより、装置を小型化することができる。
【0011】
上記の卓上連続撹拌槽型反応器において、従動部又は駆動部は、例えば、スプロケット、チェーン、歯車、プーリー、又はベルトで構成することができる。
【0012】
上記の卓上連続撹拌槽型反応器において、複数の反応槽は、単一の部材として構成することが好ましい。これにより、複数の反応槽をひとつのユニットとして扱うことができるので、例えば、卓上連続撹拌槽型反応器を分解又は組み上げる際に、取り扱いが容易になるし、卓上連続撹拌槽型反応器を移動させる際にも、取り扱いが容易となる。
【0013】
上記の卓上連続撹拌槽型反応器において、従動部、駆動軸、及び撹拌子は、複数の反応槽の開口部を覆う蓋体に対して組み付けられる構成とすることが好ましい。これにより、従動部、駆動軸、撹拌子、及び蓋体をひとつのユニットとして取り扱うことが可能になるので、卓上連続撹拌槽型反応器を分解又はくみ上げたり、反応槽に対して蓋を被せる際に、取り扱いが容易となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、粘性の高い液体であっても、反応槽において十分に撹拌することが可能な卓上連続撹拌槽型反応器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】卓上連続撹拌槽型反応器の一実施形態の斜視図である。
【
図2】
図1の卓上連続撹拌槽型反応器の分解状態を示す斜視図である。
【
図3】
図1の卓上連続撹拌槽型反応器の動力軸、駆動部、従動部、駆動軸、及び撹拌子を示す斜視図である。
【
図4】卓上連続撹拌槽型反応器を組み上げた状態における、
図2のAA部における断面図である。
【
図9】他の実施形態に係る卓上連続撹拌槽型反応器の斜視図である。
【
図10】
図9の卓上連続撹拌槽型反応器の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。最初に歯車式の卓上連続撹拌槽型反応器の実施形態について説明し、その後、ベルト式の卓上連続撹拌槽型反応器の実施形態について説明する。
【0017】
[歯車式の卓上連続撹拌槽型反応器]
図1ないし
図10に、歯車式の卓上連続撹拌槽型反応器1(以下、単に槽型反応器という。)を示す。
図2ないし
図8に示したように、本実施形態の槽型反応器1は、連通部12により互いに連通される複数の反応槽11と、複数の反応槽内に配置される撹拌子14と、先端部に撹拌子14が接続され、基端部に従動部16が接続される駆動軸15と、動力軸18を備えており、動力軸18の先端部に駆動部19が接続される動力源17とを含む。
【0018】
本実施形態の槽型反応器1では、複数の反応槽11は、
図7及び
図8に示されているように、円柱状の基材13の上面に設けられており、基材13の底面まで達しない複数の有底の穴から構成される。これにより、複数の反応槽11は、ユニット化された単一の部材として構成される。複数の反応槽11は、これによって、単一の部材として取り扱うことができるため、槽型反応器1を移動させる際に、少ない動作で、移動させることが可能となる。また、槽型反応器を組み立てる際にも、少ない工程数で組み立てることが可能になる。さらに、反応槽11に対して、後述する蓋体を被せる際にも、取り扱いが容易になる。上記の反応槽11は、例えば、ステンレス鋼やプラスチックからなるブロックを切削することで複数の穴を穿孔することで形成することができる。
【0019】
本実施形態の槽型反応器1では、
図7及び
図8に示したように、隣接する反応槽11は、連通部12によって、互いに連通した状態とされている。これにより、複数の反応槽11の間で反応させる液体を移動させることができる。連通部は、例えば、円形や多角形状の貫通孔など、その形状は特に制限されず、反応槽を連通させるものであればよい。
図7及び
図8の例では、連通部12は、隣接する反応槽11を隔てる壁の上端から反応槽11の底にまで達しない長さのスリット孔から構成される。
【0020】
上記の複数の反応槽11には、
図3及び
図4に示したように、複数の撹拌子14が配置される。本実施形態の槽型反応器1では、撹拌子14は、複数の撹拌羽141と、撹拌羽141を固定する基部142とを有する。基部142は、環状の部材である。基部142の環状の部分に、棒状の駆動軸15の先端部が接続され固定されている。撹拌子の構成は、この例に限定されず、駆動軸に接続され、反応槽に貯留された液体を撹拌できる形状であればよい。
【0021】
駆動軸15の基端部には、
図3及び
図4に示したように、従動部16が接続及び固定されている。本実施形態の槽型反応器1では、従動部16は、平歯歯車から構成されており、駆動軸15は、金属製の棒で構成されている。後述する動力軸も同様に金属の棒で構成されている。駆動軸又は動力軸は、その他、プラスチックなど必要な強度を備える素材で適宜構成することができる。
【0022】
上記の従動部16は、複数個配置されている。本実施形態の槽型反応器1では、従動部16の数は、撹拌子14の数及び駆動軸15の数と同数である。そして、複数の従動部16には、平歯歯車から構成される駆動部19が係合している。本実施形態の槽型反応器1では、駆動部19の数は、ひとつであり、後述する動力軸18及び動力源17の数と同数である。これによって、槽型反応器1の小型化を図っている。
【0023】
上述の従動部16には、
図2及び
図4に示したように、動力源17から延びる動力軸18の先端部に配される駆動部19が係合している。具体的には、中央に配置される駆動部19を囲むように複数の従動部16が配置され、両者の歯車が相互に係合している。本実施形態の槽型反応器1では、平歯歯車から構成される駆動部19の穴に動力軸18の先端部が挿通された状態で固定されている。動力軸18は、動力源17から延びる第1動力軸181と駆動部19に接続される第2動力軸182とからなる。
図4に示したように、第1動力軸181と第2動力軸182とは、上面と下面に穴を有する連結部材183の前記穴にはめ込まれた状態で固定され、連結される。連結部材183は、円柱状の中実な部材であり、第1動力軸181及び第2動力軸182と同調して回転する。連結部材は、第1動力軸と第2動力軸を連結することできる構成であればよい。
【0024】
本実施形態の槽型反応器1では、動力源17として、単一の電動モーターを使用している。動力源は、動力を出力することができるものであればよく、例えば、複数の小型モーターなど、単一の電動モーター以外の構成としてもよい。
【0025】
本実施形態の槽型反応器1では、動力源17から供給される動力は、動力軸18、駆動部19、従動部16及び駆動軸15に伝達され、駆動軸15により撹拌子14が駆動されて回転する。そして、撹拌子14によって、反応槽11に含まれる液体が撹拌される。撹拌子は、磁力ではなく、このような動力伝達系によって、回転されるため、反応槽内の液体が粘性に富む場合でも、撹拌することができる。これにより、例えば、反応基質と触媒などを十分に混合させるなどして、意図した反応をより確実に生じさせることができるようになる。
【0026】
本実施形態の槽型反応器1では、
図4に示したように、複数の反応槽11を有する基材13は、凹穴211を有する円筒状の第1ケース21に収納される。反応槽11を第1ケース21の内部に収納した状態において、反応槽11の外面と、第1ケース21の内面との間には、凹穴211による空間が形成される。この空間211には、例えば、加熱用又は冷却用の媒体を通すことにより、複数の反応槽を加熱、冷却、又は保温などの温度管理を行えるように構成されている。媒体は液気体又は気体などの流体が挙げられる。
【0027】
図4に示したように、上記の従動部16、駆動軸15、及び撹拌子14は、複数の反応槽11を覆う蓋体221に対して取り付けられている。これによって、従動部16、駆動軸15、及び撹拌子14を、蓋体ごと、ひとつのユニットして取り扱うことができるようになり、取り扱いや組付けが容易になる。
図4の例では、複数の駆動軸15の基端部と中ほどに配されたベアリング223及び224を介して、蓋体221に設けられた複数の貫通孔222に対して、従動部16、駆動軸15、及び撹拌子14が蓋体221に対して、回転可能な状態で、固定されている。
【0028】
駆動軸15は、蓋体221に設けられた貫通孔222に挿通されている。そして、その状態で、駆動軸15の先端部には撹拌子14が接続されている。蓋体221の上面から突出する駆動軸の基端部には、従動部16が接続されている。従動部の上方には、動力源17が位置している。動力源17から延びる動力軸18とその先端部に取り付けられる駆動部19は、上方に変移させることにより、従動部16との係合関係を解除して、分解することができる。
【0029】
上記の蓋体221は、外縁部から上方に円筒状の壁部225が突出する形状となっており、第2ケース22を構成する。第2ケース22の内側に、上述の、従動部16、駆動軸15、及び撹拌子14が、収納される。第2ケース22によって、従動部16等が破損したり、塵芥などが従動部16等に混入することが防止される。
【0030】
蓋体は、駆動軸を挿通し、動力軸の端部を回転可能に支持する構造とすることが好ましい。蓋体は、上述の壁部225と一体に構成してもよいし、壁部とは別の部材として構成された板状としてもよい。
【0031】
第2ケース22には、
図3、
図5、及び
図6に示したように、その側壁面から蓋体221の底面へと連通する貫通孔227が設けられている。なお、図面における破線は、隠れた構造を示す。この貫通孔227の一端部は、複数に分岐しており、他端部はひとつに収束した形状である。この貫通孔227は、シリンジの先端部と対応する形状とされている。貫通孔227の一端部から、複数の反応基質などを導入し、任意の反応槽11に、貫通孔内に注入した反応基質などを導入できるように構成されている。
図5の例では、貫通孔227の他端部は、
図7及び
図8に示した、始端側の反応槽11の導入穴111と連通する。
図8においては、右端に始端側の反応槽が位置し、左端に終端側の反応槽が位置する。
【0032】
図7に示したように、導入穴111は、反応槽11の上端側から下端側へ向かって下り勾配となる斜面を有する孔であり、上記の貫通孔227の一端部から導入された反応基質などを始端側の反応槽11へと導くものである。本実施形態の槽型反応器1では、反応槽11の上方に駆動軸15や撹拌子14などの構造物を設けているため、第2ケース22の側面から、反応基質などを導入する構成とした。
【0033】
本実施形態の槽型反応器1では、
図2及び
図4に示したように、動力源17から延びる動力軸18及び連結部材183は、円筒状の第3ケース23に収納されている。第3ケース23は、その底面に配され、別部材として構成される、円盤状の支持体231を備えている。支持体231には、動力軸18の中ほどに配されたベアリング232を掛止する貫通孔233を備えている。また、支持体231には、上述の撹拌子に接続される駆動軸15の基端部がベアリング224を介して接続されている。動力軸18の先端側にも、ベアリング234が配されている。そして、第3ケース23は、その上方の開口を塞ぐように配され、別部材として構成される、円盤状の第2支持体24を備えている。第2支持体24には、貫通孔241を備えており、動力源17から延びる動力軸18を挿通することができる。第3ケース23を介して、動力源17、動力軸18、駆動部19は、一つのユニットとして取り扱うことが可能になる。
【0034】
支持体は、動力軸を挿通し、駆動軸の端部を回転可能に支持する構造とすることが好ましい。支持体は、上述の壁部を有する第3ケースと一体形状としてもよいし、第3ケースとは別の部材で構成された板状としてもよい。第2支持体は、動力軸を挿通する構成とすることが好ましい。第2支持体も同様に、壁部を有する第3ケースと一体形状としてもよいし、第3ケースとは別の部材で構成された板状としてもよい。
【0035】
第2ケース22に対して第3ケース23を取り付ける際には、第2ケース22の蓋体221に設けた凹穴226に対して、動力軸18の先端部に設けたベアリング234を掛止し、第2ケース22に支持された従動部16に対して、第3ケース23に支持された駆動部19を係合させる。第2ケース22と第3ケース23とを、相互に固定することにより、動力源17、動力軸18、駆動部19、従動部16、駆動軸15、及び撹拌子14は、単一の部材、すなわち、一つのユニットとして取り扱うことができるようになる。さらに、第2ケース22と、上述の第1ケース21とを、相互に固定することもできる。これにより、第1ケース21と、第2ケース22と、第3ケース23と、動力源17と、それらのケースに内蔵される部品は、
図1に示したように、一つの装置として取り扱うことができる。第1ケース21と、第2ケース22とを、固定するに際しては、
図2に示したように、円環状のスペーサー25を介装してもよい。
【0036】
本実施形態の槽型反応器では、反応器の下から上方に向けて順に、第1ケース21、第2ケース22、第3ケース23、及び駆動源17が配置され、それらが相互に接続された状態となっている。
【0037】
本実施形態の槽型反応器1では、
図7及び
図8に示したように、複数の反応槽11は、上端に開口部を有する円柱状である。反応槽の形状はこれに限定されず、例えば、円柱状の基部と、円錐状の先端部とが連通する先の尖った管状としてもよい。先の尖った、管状とすることによって、少ない液量でも、反応槽内の液位を上昇させて、反応させることができる。反応槽の形状は、その他、角柱状、円柱状の基部と球状の先端部とが連通する管状などとしてもよい。
【0038】
本実施形態の槽型反応器1では、反応槽の数は6個とした。複数の反応槽の数は、特に限定されず、例えば、2~20個など、適宜の数とすることができる。
【0039】
複数の反応槽を構成する基材の素材は、特に限定されず、ポリテトラフルオロエチレンなどの合成樹脂材料、ステンレス鋼などの金属材料などで構成することができる。複数の反応槽を構成する基材の形状も、特に限定されず、例えば、円柱状又は角柱状など任意の形状にすることができる。
【0040】
本実施形態の槽型反応器1では、第1ケース、第2ケース、及び第3ケースは、円筒状である。第1ケース、第2ケース、及び第3ケースは、従動部、駆動部、動力軸、又は駆動軸を内蔵することができるものであればよく、例えば、角筒状などにしてもよい。
【0041】
蓋体は、複数の反応槽の開口部を覆う形状でればよい。蓋体は、例えば、円筒の底面を構成する板状部を蓋体としてもよいし、板状の部材を蓋体としてもよいし、ブロック状の部材の底面を蓋体としてもよい。
【0042】
[ベルト式の卓上連続撹拌槽型反応器]
図9及び
図10に、ベルト式の卓上連続撹拌槽型反応器4(以下、単に槽型反応器という。)を示す。
図9及び
図10において、歯車式の槽型反応器1と同様の構成を有する部材には、
図1ないし
図8と同一の符号を付した。
【0043】
図9及び
図10に示したように、この槽型反応器4では、動力軸18に対して接続される駆動部19bとして駆動用プーリー191bと、ベルト192bとを使用している。そして、先端部に撹拌子14が接続される駆動軸15の基端部に接続される従動部16bとして、従動用プーリー161bを使用している。前記ベルト192bは、駆動用プーリー191bと従動用プーリー161bに掛け回される。プーリーの周面とベルトの内面には、滑り止め用の凹凸を設けてもよい。
【0044】
この実施形態の槽型反応器1では、動力源の動力は、動力軸18、駆動用プーリー191b、ベルト192b、従動用プーリー161b、及び駆動軸15を、この記載した順に経て、撹拌子14へと伝達される。このようにこの実施形態の槽型反応器1においても、駆動用プーリー191b、ベルト192b、従動用プーリーなどの動力伝達系により、撹拌子が駆動されるので、反応槽11の液体が粘性に富む場合においても、液体を撹拌させて、反応を意図したとおりに生じさせることができる。
【0045】
本実施形態の槽型反応器41では、蓋体221bは、上記の壁部225を備えておらず、円盤状である。また、支持体231bは、蓋体221bよりも面積の小さい板状であり、蓋体221bに設けられた、排出孔228を露出させる形状である。蓋体221bの排出孔228は、複数の反応槽のうち終端側の反応槽と連通している。このため、排出孔228を介して反応後の液体を簡単に排出することができるようになっている。
【0046】
本実施形態の槽型反応器1では、円柱状かつブロック状の基材13bの中ほどにも始端側の反応槽11bが設けられている。蓋体221bの中ほどにも、始端側の反応槽11bと連通する導入孔229が設けられている。蓋体221bの導入孔229を経て、始端側の反応槽11bに反応基質などの液体を導入することができるようになっている。支持体231bも、中ほどにおいては板が形成されておらず、導入孔229を露出させる形状とされている。
【0047】
本実施形態の槽型反応器4では、支持体231bの上面に、第1板251と第2板252と第1板251及び第2板252を連結する連結部253とを有する支持部材25を固定している。第1板251と第2板252との間には、第1動力軸18の端部と第2動力軸18の端部とを連結する連結部材183が配置されている。支持部材25の第1板251の上には、動力源17である電動モーターの筐体が固定されている。そして、第2板252は、支持体231bの上面に固定されている。このように構成された支持部材25により、動力源17が動力軸18と共回りしないようになっている。
【0048】
本実施形態に係る槽型反応器4では、
図10に示したように、駆動用プーリー191bの上方から突出する駆動軸15の基端部が、第2動力軸182bとしても機能する。動力源17からは第1動力軸181bが延びている。そして、第1動力軸181bと第2動力軸182bとは、連結部材183によって、連結される。
【0049】
図9及び
図10に示したように、本実施形態の槽型反応器4では、蓋体221bに対して、撹拌子14、駆動軸15、従動用プーリー191b、ベルト228、及び駆動用プーリー191bが固定されている。さらに、上記のようにして駆動源17を固定した支持体231bと、蓋体221bとで、動用プーリー191b、ベルト228、及び駆動用プーリー191bを挟むように、固定している。このため、撹拌子14、駆動軸15、従動用プーリー191b、ベルト228、駆動用プーリー191b、動力軸18、連結部材183、支持部材25、及び駆動源を、一つのユニットとして取り扱うことができる。
【0050】
駆動軸15は、蓋体221bに設けられた複数の貫通孔に挿通された状態で、ベアリングを介して蓋体に対して回転可能な状態で固定されている。駆動軸15の基端部は、支持体231bに設けられた複数の孔に挿通された状態でベアリングを介して支持体231bに対して回転可能な状態で固定されている。この点は、
図4に示した上記の実施形態に係る槽型反応器1の構成と同様である。
【0051】
駆動部及び従動部は、駆動用スプロケットと、従動用スプロケットと、駆動用スプロケット及び従動用スプロケットに対して巻回されるチェーンなどの動力伝達手段としてもよい。この場合、例えば、駆動用スプロケットは、動力源から延びる動力軸に接続することができる。また、従動用スプロケットは、撹拌子が接続される駆動軸の基端部に接続することができる。
【0052】
撹拌子を駆動するその他の構成として、例えば、歯車とチェーン及びスプロケットを組み合わせてもよいし、歯車とプーリー及びベルトを組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 連続撹拌槽型反応器
4 連続撹拌槽型反応器
12 連通部
11 反応槽
14 撹拌子
16 従動部
16b 従動部
19 駆動部
19b 駆動部
15 駆動軸
18 動力軸
17 動力源