(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-14
(45)【発行日】2023-07-25
(54)【発明の名称】無担保ファンディングシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/02 20230101AFI20230718BHJP
【FI】
G06Q40/02
(21)【出願番号】P 2019129542
(22)【出願日】2019-07-11
【審査請求日】2022-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】501093974
【氏名又は名称】ガブリエル サイオン
【氏名又は名称原語表記】Gabriel Scion
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエル 西園
【審査官】菅原 浩二
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-073970(JP,A)
【文献】特開2002-015130(JP,A)
【文献】特開2003-067567(JP,A)
【文献】特開2016-164717(JP,A)
【文献】特許第6413110(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンディングシステム加盟賃貸オーナーが管理する賃貸管理端末と、
ファンディング事業者が使用するシステムセンタサーバと、
家賃収納代行会社が使用する家賃収納代行管理サーバと、
家賃保証会社が使用する家賃保証管理サーバと、が通信ネットワークで接続され、前記ファンディングシステム加盟賃貸オーナーの未確定の将来家賃収入債権の買取りを支援する無担保のファンディングシステムであって、
前記賃貸管理端末は、
所定の期間ごとに、前記ファンディングシステム加盟賃貸オーナーの賃貸物件について、空室状況、家賃収入を前記システムセンタサーバに通知する賃貸管理情報通知手段と、
前記ファンディングシステム加盟賃貸オーナーの賃貸物件の未確定の将来家賃収入債権の売却を申請するファンディング申請手段と、を有し、
前記家賃収納代行管理サーバは、所定期間ごとに家賃収納状況を記録した家賃収納状況情報を前記賃貸管理端末、前記家賃保証管理サーバ、前記システムセンタサーバに通知する家賃収納状況情報通知手段を有し、
前記家賃保証管理サーバは、所定期間ごとに家賃収納状況を記録した家賃保証状況情報を前記賃貸管理端末、前記家賃収納代行管理サーバ、前記システムセンタサーバに通知する家賃保証状況情報通知手段を有し、
前記システムセンタサーバは、
所定期間の前記賃貸管理情報、前記家賃収納状況情報、前記家賃保証状況情報の空室状況、家賃収納状況、家賃保証状況から評価指数を算出し、該評価指数と予め定められた評価基準に基づいて、前記ファンディングシステム加盟賃貸オーナーの賃貸物件の評価ランクを決定し、予め定められた合格基準により賃貸管理状況評価を行い、前記評価ランクが前記合格基準を満たし、ファンディング可能と判断された場合、前記賃貸管理端末にファンディング可能通知を送信し、前記評価ランクが前記合格基準を満たさず、ファンディング不可と判断された場合、前記賃貸管理端末に前記賃貸管理状況評価の所定期間の期間延長の通知を送信する賃貸管理状況評価手段と、
前記ファンディング可能と判断された前記ファンディングシステム加盟賃貸オーナーの賃貸物件の未確定の将来家賃収入債権について、前記賃貸物件の評価ランクに基づいて将来家賃収入債権の債券化割合を設定し、将来家賃収入債権の債券買取りプランを作成する債券化仕様設計手段と、を有することを特徴とする無担保ファンディングシステム。
【請求項2】
前記賃貸管理状況評価手段が行う賃貸管理状況評価の評価指数は、空室率、収納遅延事案発生回数、家賃保証事案発生回数であることを特徴とする請求項1記載の無担保ファンディングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファンディングシステム加盟賃貸オーナーの未確定の将来家賃収入債権の買取りを支援する無担保のファンディングシステムに関し、より詳しくは、所定期間の賃貸物件稼働評価によりファンディング可否判断を行い、賃貸物件稼働評価のランクに応じて債券化割合を設定するシステムセンタサーバを備えた無担保のファンディングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
店舗のキャッシュフローの改善策として、発明者は、クレジットカード決済の所定期間の売上実績に基づく未確定の将来クレジット債権を債券化して、無担保で加盟店の短期的な売上高の変動に影響されない、クレジットカード加盟店へのファンディングシステムを提案しており、店舗においては、売上高の変動の影響を受けることなく手元流動性資金を潤沢に確保することが可能となっている(特許文献1参照)。
【0003】
また、上記提案では、クレジットカードの利用率の高い店舗では有用であるが、現金払や各種電子マネー決済等クレジットカード以外の決済方法が主体の店舗においてはファンディングを有効に利用できないという欠点を有していたため、発明者は、店舗の商取引の決済及び入金が完了した確定売上高を集計し、期間別確定売上高を計算する確定売上高集計部の機能、及びファンディング事業者に支払う分別支払金額及び決済及び/又は分別支払の代行事業者に預託する留保金額の計算を行う分別支払設定部の機能を有するキャッシュレジスタ又は券売機を用いて、所定期間の売上実績に基づく未確定の将来売上債権を債券化して、無担保で加盟店の短期的な売上高の変動に影響されないように店舗を支援する無担保ファンディングシステムを提案しており、現金払等クレジットカード以外の決済方法が主体の店舗において、売上高の変動の影響を受けることなく手元流動性資金を潤沢に確保することが可能となっている(特許文献2参照)。
【0004】
賃貸物件を所有するオーナーにおいて、賃貸物件の家賃収入は売上高に相当するので、上記過去の売上実績に基づく未確定の将来売上債権の債券化による無担保ファンディングシステムを利用することが考えられるが、賃貸物件の家賃収入の場合、賃借人がない状態では債券の償還が不能となるため、上記システムをそのまま利用することは難しいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際特許公開第2014/024520号明細書
【文献】特開2016-164717号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、所定期間の賃貸物件稼働評価によりファンディング可否判断を行い、賃貸物件稼働評価のランクに応じて債券化割合を設定するシステムセンタサーバを備えた無担保のファンディングシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による無担保ファンディングシステムは、ファンディングシステム加盟賃貸オーナーが管理する賃貸管理端末と、ファンディング事業者が使用するシステムセンタサーバと、家賃収納代行会社が使用する家賃収納代行管理サーバと、家賃保証会社が使用する家賃保証管理サーバと、が通信ネットワークで接続され、前記ファンディングシステム加盟賃貸オーナーの未確定の将来家賃収入債権の買取りを支援する無担保のファンディングシステムであって、前記賃貸管理端末は、所定の期間ごとに、前記ファンディングシステム加盟賃貸オーナーの賃貸物件について、空室状況、家賃収入を前記システムセンタサーバに通知する賃貸管理情報通知手段と、前記ファンディングシステム加盟賃貸オーナーの賃貸物件の未確定の将来家賃収入債権の売却を申請するファンディング申請手段と、を有し、前記家賃収納代行管理サーバは、所定期間ごとに家賃収納状況を記録した家賃収納状況情報を前記賃貸管理端末、前記家賃保証管理サーバ、前記システムセンタサーバに通知する家賃収納状況情報通知手段を有し、前記家賃保証管理サーバは、所定期間ごとに家賃収納状況を記録した家賃保証状況情報を前記賃貸管理端末、前記家賃収納代行管理サーバ、前記システムセンタサーバに通知する家賃保証状況情報通知手段を有し、前記システムセンタサーバは、所定期間の前記賃貸管理情報、前記家賃収納状況情報、前記家賃保証状況情報の空室状況、家賃収納状況、家賃保証状況から評価指数を算出し、該評価指数と予め定められた評価基準に基づいて、前記ファンディングシステム加盟賃貸オーナーの賃貸物件の評価ランクを決定し、予め定められた合格基準により賃貸管理状況評価を行い、前記評価ランクが前記合格基準を満たし、ファンディング可能と判断された場合、前記賃貸管理端末にファンディング可能通知を送信し、前記評価ランクが前記合格基準を満たさず、ファンディング不可と判断された場合、前記賃貸管理端末に前記賃貸管理状況評価の所定期間の期間延長の通知を送信する賃貸管理状況評価手段と、前記ファンディング可能と判断された前記ファンディングシステム加盟賃貸オーナーの賃貸物件の未確定の将来家賃収入債権について、前記賃貸物件の評価ランクに基づいて将来家賃収入債権の債券化割合を設定し、将来家賃収入債権の債券買取りプランを作成する債券化仕様設計手段と、を有することを特徴とする無担保ファンディングシステム。
【0008】
前記賃貸管理状況評価手段が行う賃貸管理状況評価の評価指数は、空室率、収納遅延事案発生回数、家賃保証事案発生回数であることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のファンディングシステムによれば、ファンディング前の賃貸管理状況評価によりファンディングの可否が評価されるので、賃貸物件を所有するオーナーにおいても、賃貸物件の家賃収入に対応した未確定の将来家賃収入債権の債券化による無担保ファンディングシステムを利用することが可能となり、ファンディングシステム加盟賃貸物件オーナーは必要な手元流動性資金を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態による無担保ファンディングシステムのスキームを説明するための図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるシステムセンタサーバを用いた無担保ファンディングシステムの構成を説明するためのブロック図である。
【
図3】
図2に示すシステムセンタサーバの構成を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の無担保のファンディングシステムを実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態の無担保ファンディングシステムのスキームを説明するための図である。
【0012】
本スキームは、ファンディングシステム加盟賃貸オーナー10とファンディング事業者50の間での債権買い取り代金譲渡契約の締結を前提としている。
図1を参照して、本スキームの流れを説明する。ファンディングシステム加盟賃貸オーナー10は、ファンディング事業者50に賃貸物件について、空室状況、家賃収納代行会社による家賃収納状況、家賃保証会社による家賃保証状況を記録した賃貸管理情報を通知し、ファンディング事業者50は、賃貸管理情報に基づいてファンディングシステム加盟賃貸オーナー10の賃貸管理状況評価によるファンディング可否判断を行う。
ファンディング事業者50は、ファンディングが可能と判断されれば、ファンディング可能通知をファンディングシステム加盟賃貸オーナー10に通知する。ファンディング可能通知を受けたファンディングシステム加盟賃貸オーナー10は、ファンディングシステム加盟賃貸オーナー10の賃貸物件に係る未確定の将来家賃収入債権の債券売却を申請し、ファンディング事業者50は、ファンディングシステム加盟賃貸オーナー10の賃貸物件に係る未確定の将来家賃収入債権の債券買取りプランをファンディングシステム加盟賃貸オーナー10に通知する。
【0013】
ファンディング事業者50は、ファンディングシステム加盟賃貸オーナー10の賃貸物件に係る未確定の将来家賃収入債権の債券を買取り、ファンディングシステム加盟賃貸オーナー10に将来売上債権の債券買取り代金を支払う。これにより、ファンディングシステム加盟賃貸オーナー10は、無担保で必要な手元流動性の資金を確保する。
ファンディング事業者50は、購入した将来売上債権の債券化対象期間になれば、ファンディングシステム加盟賃貸オーナー10の賃貸物件の空室状況、家賃収納代行会社による家賃収納状況、家賃保証会社による家賃保証状況を記録した賃貸管理情に基づいて、ファンディングシステム加盟賃貸オーナー10の賃貸物件に係る将来売上債権の債券の償還金を計算してファンディングシステム加盟賃貸オーナー10に通知する。
ファンディングシステム加盟賃貸オーナー10は、通知された償還金をファンディング事業者50に支払う。
ファンディング事業者50に支払われる債券の償還は、ファンディング事業者50が買い取った債券の額面額と、ファンディング事業者50が償還を受けた償還累積額とが一致するまで続けられる。
【0014】
図2は、本実施形態によるシステムセンタサーバを用いた無担保ファンディングシステムの構成を説明するためのブロック図である。
図2に示すように、本実施形態による無担保ファンディングシステムは、ファンディングシステム加盟賃貸オーナー10が用いる賃貸管理端末100と、家賃収納代行会社20が用いる家賃収納代行管理サーバ200と、家賃保証会社30が用いる家賃保証管理サーバ300と、ファンディング事業者50が用いるシステムセンタサーバ500と、が通信回線を介して接続される。
【0015】
賃貸管理端末100は、市販のPC(パーソナルコンピュータ)等を用いて構成することができ、家賃収納代行管理サーバ200、家賃保証管理サーバ300、システムセンタサーバ500もまた、市販のPC(パーソナルコンピュータ)等を用いて構成することができ、PCを構成するCPU(中央制御装置)、メモリ、データベースを構成するハードディスク等の記憶装置、管理用として画像やテキスト等を表示する表示装置、キーボードやマウス等の入力装置、及び通信に関連するその他の入力装置等の説明及びその構成図面は省略する。また、これらを用いてソフトウェアプログラムの実行により機能する各構成部についても詳細な説明は省略する。
【0016】
本実施形態において、家賃収納代行会社20が用いる家賃収納代行管理サーバ200は、賃貸管理端末100、家賃保証管理サーバ300、及びシステムセンタサーバ500に所定期間ごとに家賃収納状況を記録した家賃収納状況情報を通知する家賃収納状況情報通知手段250を有し、家賃保証会社30が用いる家賃保証管理サーバ300は、賃貸管理端末100、家賃収納代行管理サーバ200、及びシステムセンタサーバ500に所定期間ごとに家賃保証状況を記録した家賃保証状況情報を通知する家賃保証状況情報通知手段350を有する。
【0017】
本実施形態において賃貸管理端末100は、ファンディングシステム加盟賃貸オーナー10の賃貸物件について、所定期間ごとの家賃収入額、空室状況を記録した賃貸管理情報を、システムセンタサーバ500に通知する賃貸管理情報通知手段120と、ファンディングシステム加盟賃貸オーナー10の賃貸物件の未確定の将来家賃収入債権の売却を申請するファンディング申請手段140と、を有する。
【0018】
賃貸管理情報通知手段120が発信する賃貸管理情報、家賃収納状況情報通知手段250が発信する家賃収納状況情報、及び家賃保証管理サーバ300が発信する家賃保証状況情報は、所定期間ごとに、好ましくは月単位で送信される。
ファンディング申請手段140は、システムセンタサーバ500からのファンディング可能通知を受信したファンディングシステム加盟賃貸オーナー10が将来家賃収入債権の債券の売却申請をシステムセンタサーバ500に送信するために用いる。
【0019】
ファンディング事業者50が用いるシステムセンタサーバ500は、賃貸管理端末100、家賃収納代行管理サーバ200、及び家賃保証管理サーバ300と公衆回線網・専用回線等の通信ネットワークを介して接続され、ファンディング事業者50の通信業務全般を扱うセンタサーバ通信手段510、データ保存手段520、賃貸管理状況評価によるファンディング可否判断を行う賃貸管理状況評価手段530、ファンディングシステム加盟賃貸オーナー10の賃貸物件に係る家賃収入を記録した家賃収入リストを作成する家賃収入リスト作成手段540、将来家賃収入債権の債券化仕様の設計を行う債券化仕様設計手段550、将来家賃収入債権の債券の償還管理を行う償還管理手段560を有する。
【0020】
図3は、
図2に示すシステムセンタサーバ500の構成を説明するためのブロック図である。
図3を参照して、本実施形態によるシステムセンタサーバ500の賃貸管理状況評価手段530、家賃収入リスト作成手段540、債券化仕様設計手段550、償還管理手段560各部の構成、機能、動作について説明する。
【0021】
(賃貸管理状況評価)
賃貸管理状況評価手段530は、賃貸管理情報、家賃収納状況情報、家賃保証状況情報に記載された空室状況、家賃収納状況、家賃保証状況から賃貸管理状況評価を行うための評価指数を計算する評価指数計算部532と、賃貸管理状況評価の評価指数と予め設定された判断基準に基づいて賃貸物件の評価ランクを設定する評価ランク設定部534と、評価ランク設定部534が設定した評価ランクと予め設定された判断基準に基づいてファンディングの可否を判断し、賃貸管理端末100にファンディング可能通知又は予約・実績評価期間延長通知を送信するファンディング判断部336を有する。
【0022】
システムセンタサーバ500のセンタサーバ通信手段510は、ファンディングシステム加盟賃貸オーナー10の賃貸物件に係る賃貸管理情報、家賃収納状況情報、家賃保証状況情報を受信すると、これらを評価指数計算部532に伝送する。
評価指数計算部532は、賃貸管理情報、家賃収納状況情報、家賃保証状況情報のデータを賃貸物件管理台帳に記録し、賃貸管理情報、家賃収納状況情報、家賃保証状況情報をデータ保存手段520に保存する。
評価対象の賃貸物件にはそれぞれに賃貸物件登録番号が付され、賃貸物件管理台帳には、賃貸物件登録番号に対応させて、登録日、賃借人の有無、月度家賃金額、月度家賃収納代行手数料、月度家賃保証料、賃借人の入居日、賃借人の退去日、収納遅延事案の発生の有無、家賃保証事案の発生の有無が月ごとに記録される。
また、賃貸物件管理台帳には、別途、賃貸管理状況評価結果の記載欄が設けられ、所定期間ごとの評価指数値、評価ランクが記録される。
【0023】
評価指数計算部532は、賃貸物件管理台帳のデータを用いて、所定の評価期間における空室率、収納遅延事案発生回数、家賃保証事案発生回数をカウントする。空室率は、賃貸物件の借り手がつかず空室であった日数を評価期間の日数で除して%で表したものであり、収納遅延事案発生回数は、所定の評価期間に家賃収納代行会社の管理範囲内で家賃収納に遅れが生じた回数であり、家賃保証事案発生回数は、所定の評価期間に家賃保証会社が家賃保証を行った事案発生回数である。
評価指数計算部532は、カウントした空室率、収納遅延事案発生回数、家賃保証事案発生回数を賃貸物件管理台帳に記録し、賃貸物件管理台帳をデータ保存手段520に保存し、ファンディングシステム加盟賃貸オーナー10の賃貸物件に係る評価用データ収集完了の通知を評価ランク設定部534に伝送する。
【0024】
評価ランク設定部534は、ファンディングシステム加盟賃貸オーナー10の賃貸物件に係る評価用データ収集完了の通知を受けると、データ保存手段520よりファンディングシステム加盟賃貸オーナー10の賃貸物件に係る賃貸物件管理台帳をデータ保存手段520より呼び出す。
評価ランク設定部534には、空室率、収納遅延事案発生回数、家賃保証事案発生回数の数値に対応した評価ポイント換算表と、評価ポイントの合計によりランク分けをする評価ランク基準表が備えられ、評価ランク設定部534は、これらの表を用いてファンディングシステム加盟賃貸オーナー10の賃貸物件の賃貸管理状況評価ランクを設定する。
【0025】
評価ランク設定部534は、ファンディングシステム加盟賃貸オーナー10の賃貸物件の賃貸管理状況評価ランクを賃貸物件管理台帳に記録し、賃貸物件管理台帳をデータ保存手段520に保存するとともに、ファンディングシステム加盟賃貸オーナー10の賃貸物件に係る賃貸管理状況評価完了の通知をファンディング判断部536に伝送する。
【0026】
ファンディング判断部536は、ファンディングシステム加盟賃貸オーナー10の賃貸物件に係る賃貸管理状況評価完了の通知を受けると、ファンディングシステム加盟賃貸オーナー10の賃貸物件に係る賃貸物件管理台帳をデータ保存手段520より呼び出し、評価ランク設定部534が設定した評価ランクと予め設定された判断基準に基づいてファンディングの可否を判断する。
ファンディング判断部536は、ファンディングシステム加盟賃貸オーナー10の賃貸物件の賃貸管理状況評価ランクが予め設定された判断基準に照らして合格レベルにあれば、賃貸管理端末100にファンディング可能通知を送信し、予め設定された判断基準に照らして不合格レベルにあれば、予約・実績評価期間延長通知を送信する。
ファンディング判断部536は、ファンディングシステム加盟賃貸オーナー10の賃貸物件の賃貸管理状況評価ランクが合格レベルにあれば、賃貸管理端末100にファンディング可能通知を送信するとともに債券化仕様設計手段540にファンディングシステム加盟賃貸オーナー10の賃貸物件の将来家賃収入債権の債券買取りプランの作成依頼を伝送する。
【0027】
(家賃収入リストの作成)
家賃収入リスト作成手段540は、賃貸管理端末100から送信された賃貸管理情報に記載されたファンディングシステム加盟賃貸オーナー10の賃貸物件の所定期間ごとの家賃収入額を家賃収入リストに記録する。
家賃収入リストには、賃貸物件管理台帳の賃貸物件登録番号に対応させて所定期間ごとの家賃収入が記載される。
家賃収入リスト作成手段540は、家賃収入リストの記録が終了すれば、賃貸管理情報、家賃収入リストをデータ保存手段520に保存する。
【0028】
(将来家賃収入債権の債券化仕様の設計)
債券化仕様設計手段550は、将来家賃収入債権の債券の債券化対象期間及び償還開始日を設定する債券化対象期間設定部551、将来家賃収入債権の債券化割合を設定する債券化割合設定部552、将来家賃収入債権の債券の債券額面額及びファンディングシステム加盟ホテル10からの債券買上げ価格を設定する債券額面設定部553、ファンディングシステム加盟賃貸オーナー10が支払う償還金の支払い条件を設定する償還条件設定部554、債券化対象期間、債券額面額、債券購入価格、償還金の支払い条件を設定した債券買取りプランを作成し、ファンディングシステム加盟賃貸オーナー10に提案する債券買取りプラン設定部555を有する。
【0029】
債券化仕様設計手段550は、ファンディングシステム加盟賃貸オーナー10の賃貸物件の将来家賃収入債権の債券買取りプランの作成依頼を受けると、データ保存手段520よりファンディングシステム加盟賃貸オーナー10の賃貸物件の賃貸物件管理台帳を呼び出し、ファンディングシステム加盟賃貸オーナー10に提案する債券買取りプランを作成する。
債券化対象期間設定部551は、将来家賃収入債権を債券化する債券化対象期間の設定を行う。債券化対象期間の設定は、賃貸管理状況評価の期間長さ応じて決定することが好ましく、例えば、3か月の賃貸管理状況評価の実績データ蓄積期間であれば、将来期間の3か月間を最大債券化対象期間長さとする。また、債券化の単位期間は、債券化、償還管理のしやすさから月単位とすることが好ましく、最大債券化対象期間長さは、債券化の単位期間の整数倍とすることが好ましい。
債券化対象期間設定部551は、設定した債券化対象期間を債券化割合設定部552及び債券買取りプラン設定部555に伝送する。
【0030】
債券化割合設定部552は、債券化対象期間の家賃収入のうちの債券化する割合である債券化割合を、予め設定された基準に基づいて設定する。債券化割合を設定する基準は、賃貸管理状況評価の評価指数の数値に基づいて設定する。
すなわち、空室率が高ければ、債券化割合は低めに設定し、収納遅延事案発生回数、家賃保証事案発生回数が多ければ債券化割合は低めに設定する。債券化割合設定部552は、設定した債券化割合を債券額面設定部553及び債券買取りプラン設定部555に伝送する。
【0031】
債券額面設定部553は、データ保存手段520より家賃収入リストを呼び出し、債券化対象期間に最も近い時期の家賃収入額から債券化対象期間中に得られると予想される金額に債券化割合を乗じて債券額面額を設定し、債券額面額から手数料、利息を差し引いてファンディングシステム加盟賃貸オーナー10からの債券買上げ価格を設定する。
債券額面設定部553は、設定した債券額面額及び債券買上げ価格を償還条件設定部554及び債券買取りプラン設定部555に伝送する。
【0032】
償還条件設定部554は、ファンディングシステム加盟賃貸オーナー10が支払う償還金の支払い条件を設定する。将来家賃収入債権の債券買取りに対して、ファンディングシステム加盟賃貸オーナー10がファンディング事業者30に支払う償還金は、債券化対象期間が到来すれば支払いが開始され、ファンディングシステム加盟賃貸オーナー10の債券化対象期間中の家賃収入に債券償還割合を乗じた額を所定期間ごとに支払い、支払った償還金が債券額面額と同一になるまで支払いが続けられる。
償還条件設定部554は、償還金分割支払いの開始日及び分割支払い日の設定と債券償還割合の設定を行う。償還金分割支払いの開始日は、債券化対象期間の開始日の翌日以降であれば特に制限されないが、債券化対象期間の開始月の翌月とすることが好ましく、償還金分割支払い日も月単位の支払いとすることが好ましい。
債券償還割合は、通常、債券化割合と同一値に設定され、償還条件設定部556は、実績家賃収入に債券償還割合を乗じた償還金分割支払いモデルを作成する。
償還条件設定部554は、設定した償還金の支払い条件を債券買取りプラン設定部555に伝送する。
【0033】
債券買取りプラン設定部555は、ファンディングシステム加盟賃貸オーナー10の賃貸物件の将来家賃収入債権の債券買取りプランを作成し、センタサーバ通信部510を介して賃貸管理端末100に送信する。
債券の買取りプランには、債券化対象期間、債券化割合、債券額面額、償還金の支払い条件が記載される。
【0034】
(予約状況に基づく将来売上債権の債券の償還管理)
ファンディングシステム加盟賃貸オーナー10とファンディング事業者50との間で、債権買い取り代金譲渡契約が締結されて、ファンディングシステム加盟賃貸オーナー10の賃貸物件の将来家賃収入債権の買取り債券としてファンディング事業者50に売却されると、システムセンタサーバ500の償還管理手段560は、償還対象期間の家賃収入に基づいて償還金額を計算し、センタサーバ通信部510を介して賃貸管理端末100に送信する。
【0035】
償還管理手段560は、日次償還金額を計算する償還金額設定部562、償還の終了及び償還期間の延長を判断する償還状況判断部564、償還金額、償還終了及び償還期間延長を通知する償還通知部566を有する。
償還金額設定部562は、債券化対象期間が到来すれば、データ保存手段520から賃貸物件管理台帳を呼び出し、ファンディングシステム加盟賃貸オーナー10の賃貸物件の家賃収入に償還割合を乗じて日次償還金額を設定し、データ保存手段520に保存する。
償還金額が債券額面額に到達する最終日次家賃収入については、償還金額が債券額面額と同額となる分に相当する売上高を償還対象予定入金額とし、償還金額と債券額面額とが同額になるようにする。
【0036】
償還終了を判断する償還状況判断部564は、償還金額設定部562で設定された日次償還金額が債券額面額に到達すれば、債券の償還を終了とし、債券化対象期間を過ぎても日次償還金額が債券額面額に到達しなければ、償還期間を延長する。
償還期間の延長は、償還金額が債券額面額に到達するまで続けられる。
【0037】
償還通知部566は、償還金額設定部562で設定した日次償還金額及び償還状況判断部564で判断した債券の償還の終了又は償還期間の延長を賃貸管理端末100に日次償還金額通知として通信部510を介して通知する。
償還通知部566から通信部510を介して賃貸管理端末100に通知する日次償還金額通知は、日次償還金額、債券の償還の終了の有無及び償還期間の延長の有無の他に、将来家賃収入債権買取り債券額面額、債券化割合、債券化対象期間、償還開始日、当日償還金を含む累積償還金額、償還残額を含む。
【符号の説明】
【0038】
10 ファンディングシステム加盟賃貸オーナー
20 家賃収納代行会社
30 家賃保証会社
50 ファンディング事業者
100 賃貸管理端末
120 賃貸管理情報通知手段
140 ファンディング申請手段
200 家賃収納代行管理サーバ
250 家賃収納状況情報通知手段
300 家賃保証管理サーバ
350 家賃保証状況情報通知手段
500 システムセンタサーバ
510 センタサーバ通信手段
520 データ保存手段
530 賃貸管理状況評価手段
532 評価指数計算部
534 評価ランク設定部
536 ファンディング判断部
540 家賃収入リスト作成手段
550 債券化仕様設計手段
551 債券化対象期間設定部
552 債券化割合設定部
553 債券額面額設定部
554 償還条件設定部
555 債券買取りプラン設定部
560 償還管理手段
562 償還金額設定部
564 償還状況判断部
566 償還通知部