(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-14
(45)【発行日】2023-07-25
(54)【発明の名称】接合システム
(51)【国際特許分類】
E01D 19/12 20060101AFI20230718BHJP
E01C 5/10 20060101ALI20230718BHJP
E04B 5/02 20060101ALI20230718BHJP
E04B 1/61 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
E01D19/12
E01C5/10
E04B5/02 B
E04B1/61 502C
(21)【出願番号】P 2020015251
(22)【出願日】2020-01-31
【審査請求日】2022-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000227593
【氏名又は名称】日之出水道機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001601
【氏名又は名称】弁理士法人英和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 俊之
(72)【発明者】
【氏名】永田 誠
(72)【発明者】
【氏名】木村 哲夫
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-240205(JP,A)
【文献】特開2001-146715(JP,A)
【文献】特開2010-196437(JP,A)
【文献】特開平07-102530(JP,A)
【文献】実開昭53-109310(JP,U)
【文献】特開2001-020428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 19/12
E01C 5/10
E04B 5/02
E04B 1/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の一対のセグメントを、各セグメントの幅方向に沿う第1の方向に延びる対向部同士を対向させた状態で、各セグメントの厚み方向に沿う第2の方向に直角な方向に接合する接合システムであって、
一方のセグメントの対向部に前記第1の方向に沿って配置される複数の第1の接合部と、
前記複数の第1の接合部のそれぞれの前記第2の方向の少なくとも一方側に向けて1つずつ開放される複数の第1の開放部と、
他方のセグメントの対向部に前記第1の方向に沿って配置される複数の第2の接合部であって、前記複数の第1の接合部のそれぞれに対して前記一方側から前記複数の第1の開放部のそれぞれを通って近付けることにより前記複数の第1の接合部のそれぞれと前記第2の方向に1つずつ重なる複数の第2の接合部と
、
前記複数の第1の接合部および前記複数の第2の接合部の前記第2の方向に重なる複数の一対の接合部のそれぞれに対して、前記第2の方向から1つずつ嵌め込まれることにより前記一対のセグメント間にくさび力を付与する複数の第1の接合部材とを備える、接合システム。
【請求項2】
請求項
1において、
前記複数の第1の接合部は、当該複数の第1の接合部のそれぞれの前記第2の方向に1つずつ開口する複数の第1のループ状部を含み、
前記複数の第2の接合部は、当該複数の第2の接合部のそれぞれの前記第2の方向に1つずつ開口する複数の第2のループ状部を含み、
前記複数の第1の接合部材は、前記複数の第1のループ状部のそれぞれを介して前記一方のセグメントを前記他方のセグメントの側に引っ張るように、前記複数の第1のループ状部の内周部のそれぞれに1つずつ押し当てられる複数の第1の押し当て部と、
前記複数の第2のループ状部のそれぞれを介して前記他方のセグメントを前記一方のセグメントの側に引っ張るように、前記複数の第2のループ状部の内周部のそれぞれに1つずつ押し当てられる複数の第2の押し当て部とを含む、接合システム。
【請求項3】
板状の一対のセグメントを、各セグメントの幅方向に沿う第1の方向に延びる対向部同士を対向させた状態で、各セグメントの厚み方向に沿う第2の方向に直角な方向に接合する接合システムであって、
一方のセグメントの対向部に前記第1の方向に沿って配置される複数の第1の接合部と、
前記複数の第1の接合部のそれぞれの前記第2の方向の少なくとも一方側に向けて1つずつ開放される複数の第1の開放部と、
他方のセグメントの対向部に前記第1の方向に沿って配置される複数の第2の接合部であって、前記複数の第1の接合部のそれぞれに対して前記一方側から前記複数の第1の開放部のそれぞれを通って近付けることにより前記複数の第1の接合部のそれぞれと前記第2の方向に1つずつ重なる複数の第2の接合部とを備え、
前記複数の第1の接合部は、当該複数の第1の接合部のそれぞれの前記第2の方向に1つずつ開口する複数の第1のループ状部を含み、
前記複数の第2の接合部は、当該複数の第2の接合部のそれぞれの前記第2の方向に1つずつ開口する複数の第2のループ状部を含み、
前記複数の第1のループ状部および前記複数の第2のループ状部の前記第2の方向に重なる複数の一対のループ状部のそれぞれに対して、前記第2の方向から1つずつ挿入可能な複数の第1の挿入部材をさらに備え、
前記複数の第1の挿入部材は、当該複数の第1の挿入部材のそれぞれが、前記複数の一対のループ状部のそれぞれから前記第2の方向の一方側および他方側に抜け落ちないように、前記複数の一対のループ状部のそれぞれに対して1つずつ仮止めされる複数の第1の仮止め部を含む、接合システム。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれか一項において、
前記複数の第1の接合部に対して前記第1の方向および前記第2の方向の位置を変えるように、前記一方のセグメントの対向部に前記第1の方向に沿って配置される複数の第3の接合部と、
前記複数の第3の接合部のそれぞれの前記第2の方向の前記一方側に向けて1つずつ開放される複数の第2の開放部と、
前記他方のセグメントの対向部に前記第1の方向に沿って配置される複数の第4の接合部であって、前記複数の第3の接合部のそれぞれに対して前記一方側から前記複数の第2の開放部のそれぞれを通って近付けることにより前記複数の第3の接合部のそれぞれと前記第2の方向に1つずつ重なる複数の第4の接合部とをさらに備える、接合システム。
【請求項5】
請求項
4において、
前記複数の第3の接合部および前記複数の第4の接合部の前記第2の方向に重なる複数の一対の接合部のそれぞれに対して、前記第2の方向から1つずつ嵌め込まれることにより前記一対のセグメント間にくさび力を付与する複数の第2の接合部材をさらに備える、接合システム。
【請求項6】
請求項
5において、
前記複数の第3の接合部は、当該複数の第3の接合部のそれぞれの前記第2の方向に1つずつ開口する複数の第3のループ状部を含み、
前記複数の第4の接合部は、当該複数の第4の接合部のそれぞれの前記第2の方向に1つずつ開口する複数の第4のループ状部を含み、
前記複数の第2の接合部材は、前記複数の第3のループ状部のそれぞれを介して前記一方のセグメントを前記他方のセグメントの側に引っ張るように、前記複数の第3のループ状部の内周部のそれぞれに1つずつ押し当てられる複数の第3の押し当て部と、
前記複数の第4のループ状部のそれぞれを介して前記他方のセグメントを前記一方のセグメントの側に引っ張るように、前記複数の第4のループ状部の内周部のそれぞれに1つずつ押し当てられる複数の第4の押し当て部とを含む、接合システム。
【請求項7】
請求項
4において、
前記複数の第3の接合部は、当該複数の第3の接合部のそれぞれの前記第2の方向に1つずつ開口する複数の第3のループ状部を含み、
前記複数の第4の接合部は、当該複数の第4の接合部のそれぞれの前記第2の方向に1つずつ開口する複数の第4のループ状部を含み、
前記複数の第3のループ状部および前記複数の第4のループ状部の前記第2の方向に重なる複数の一対のループ状部のそれぞれに対して、前記第2の方向から1つずつ挿入可能な複数の第2の挿入部材をさらに備える、接合システム。
【請求項8】
請求項
7において、
前記複数の第2の挿入部材は、当該複数の第2の挿入部材のそれぞれが、前記複数の一対のループ状部のそれぞれから前記第2の方向の一方側および他方側に抜け落ちないように、前記複数の一対のループ状部のそれぞれに対して1つずつ仮止めされる複数の第2の仮止め部を含む、接合システム。
【請求項9】
板状の一対のセグメントを、各セグメントの幅方向に沿う第1の方向に延びる対向部同士を対向させた状態で、各セグメントの厚み方向に沿う第2の方向に直角な方向に接合する際に、一方のセグメントの対向部に配置される一方の接合部と、前記一方の接合部と前記第2の方向に重なるように他方のセグメントの対向部に配置される他方の接合部とに対して、前記第2の方向から嵌め込まれることにより前記一対のセグメント間にくさび力を付与する接合部材。
【請求項10】
板状の一対のセグメントを、各セグメントの幅方向に沿う第1の方向に延びる対向部同士を対向させた状態で、各セグメントの厚み方向に沿う第2の方向に直角な方向に接合する際に、一方のセグメントの対向部に配置される一方のループ状部と、前記一方のループ状部と前記第2の方向に重なるように他方のセグメントの対向部に配置される他方のループ状部とに対して、前記第2の方向から挿入可能
な挿入部材であって、当該挿入部材が、一対のループ状部から前記第2の方向の一方側および他方側に抜け落ちないように、前記一対のループ状部に対して仮止めされる仮止め部を含む、挿入部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状の一対のセグメントを接合する接合システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コンクリートのひび割れを防ぎ、かつ強度を向上させることができ、しかも施工性も良好な合成床版を提供することが記載されている(要約参照)。また、特許文献1には、RCまたはPCプレキャスト版を桁上に配設するに際して、桁とRCまたはPCプレキャスト版間にシール部材としてシールスポンジを配設し、このシールスポンジ相互間に無収縮モルタルを敷いて設置床部を形成し、RCまたはPCプレキャスト版はこの設置床部の上に載置することが記載されている(段落番号0027参照)。また、特許文献1には、RCまたはPCプレキャスト版から接合鉄筋を突出させ、この接合鉄筋同士を重ね継手で接続することが記載されている(段落番号0028参照)。
【0003】
特許文献1においては、各プレキャスト版から上下2段に接合鉄筋が突出しているため(
図1参照)、一対のプレキャスト版の接合鉄筋同士を上下方向に重ねるためには各プレキャスト版を水平方向に近付ける必要があるが、桁とプレキャスト版間にシール部材としてシールスポンジを配設している場合、各プレキャスト版を水平方向に移動させる際に各プレキャスト版とシールスポンジとが干渉し、シールスポンジを損傷するおそれがあるため、慎重な作業が要求され、施工性を向上させることは容易ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、簡易な構成で、板状の一対のセグメントを接合する際の施工性を向上させることが可能な接合システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、板状の一対のセグメントを、各セグメントの幅方向に沿う第1の方向に延びる対向部同士を対向させた状態で、各セグメントの厚み方向に沿う第2の方向に直角な方向に接合する接合システムである。この接合システムは、一方のセグメントの対向部に第1の方向に沿って配置される複数の第1の接合部と、複数の第1の接合部のそれぞれの第2の方向の少なくとも一方側に向けて1つずつ開放される複数の第1の開放部と、他方のセグメントの対向部に第1の方向に沿って配置される複数の第2の接合部であって、複数の第1の接合部のそれぞれに対して一方側から複数の第1の開放部のそれぞれを通って近付けることにより複数の第1の接合部のそれぞれと第2の方向に1つずつ重なる複数の第2の接合部とを備える。
【0007】
この接合システムによれば、第1の方向に沿って配置される各第1の接合部の第2の方向の少なくとも一方側が開放されているため、各第1の接合部と各第2の接合部とを第2の方向に重ねるために、一方のセグメントに対して他方のセグメントを第2の方向の一方側から直線的に近付けることができる。典型的には、板状のセグメントの幅方向に沿う水平方向(第1の方向)に沿って配置される各第1の接合部の鉛直方向(第2の方向)の少なくとも上方側(一方側)が開放されているため、各第1の接合部と各第2の接合部とを鉛直方向(第2の方向)に重ねるために、一方のセグメントに対して他方のセグメントを鉛直方向(第2の方向)の上方側(一方側)から直線的に降下させることができる。このため、各セグメントの対向部同士を対向させた状態、すなわちセグメント同士が接合可能となる位置に、各セグメントを効率よく配置することができる。したがって、一対のセグメントを接合する際の施工性を向上させることができる。
【0008】
接合システムは、複数の第1の接合部および複数の第2の接合部の第2の方向に重なる複数の一対の接合部のそれぞれに対して、第2の方向から1つずつ嵌め込まれることにより一対のセグメント間にくさび力を付与する複数の第1の接合部材をさらに備えることが好ましい。各第1の接合部材を第2の方向(典型的には鉛直方向)から嵌め込むことにより、第1の方向(典型的には水平方向)にわたって、効率よく一対のセグメント間にくさび効果を発現させることができ、一対のセグメントを強固に接合することができる。このため、プレキャスト床版等のセグメント同士を接合する場合、各セグメントのガタつきを抑制することができる。
【0009】
複数の第1の接合部は、当該複数の第1の接合部のそれぞれの第2の方向に1つずつ開口する複数の第1のループ状部を含み、複数の第2の接合部は、当該複数の第2の接合部のそれぞれの第2の方向に1つずつ開口する複数の第2のループ状部を含み、複数の第1の接合部材は、複数の第1のループ状部のそれぞれを介して一方のセグメントを他方のセグメントの側に引っ張るように、複数の第1のループ状部の内周部のそれぞれに1つずつ押し当てられる複数の第1の押し当て部と、複数の第2のループ状部のそれぞれを介して他方のセグメントを一方のセグメントの側に引っ張るように、複数の第2のループ状部の内周部のそれぞれに1つずつ押し当てられる複数の第2の押し当て部とを含むことが好ましい。各第1のループ状部および各第2のループ状部に対して各第1の接合部材を嵌め込む際に付与する力を、各ループ状部の内周部に直接的に付与することができる。このため、第1の方向(典型的には水平方向)にわたって、一対のセグメントに対して効率よくかつ均等にくさび力を付与しやすい。
【0010】
複数の第1の接合部は、当該複数の第1の接合部のそれぞれの第2の方向に1つずつ開口する複数の第1のループ状部を含み、複数の第2の接合部は、当該複数の第2の接合部のそれぞれの第2の方向に1つずつ開口する複数の第2のループ状部を含み、接合システムは、複数の第1のループ状部および複数の第2のループ状部の第2の方向に重なる複数の一対のループ状部のそれぞれに対して、第2の方向から1つずつ挿入可能な複数の第1の挿入部材をさらに備えるものであってもよい。各第1の挿入部材を第2の方向(典型的には鉛直方向)から挿入することにより、第1の方向(典型的には水平方向)にわたって、効率よく各一対のループ状部の内側に各第1の挿入部材を配置することができる。
【0011】
複数の第1の挿入部材は、当該複数の第1の挿入部材のそれぞれが、複数の一対のループ状部のそれぞれから第2の方向の一方側および他方側に抜け落ちないように、複数の一対のループ状部のそれぞれに対して1つずつ仮止めされる複数の第1の仮止め部を含むことが好ましい。各一対のループ状部に対して結束作業等を行うことなく、各第1の挿入部材を各一対のループ状部の内側に仮止めすることができる。このため、一対のセグメントの継ぎ目にコンクリート等のグラウト材を充填する場合、第1の方向(典型的には水平方向)にわたって、各第1の挿入部材が各一対のループ状部の内側に配置されたままの状態でグラウト材を硬化させることができる。
【0012】
接合システムは、複数の第1の接合部に対して第1の方向および第2の方向の位置を変えるように、一方のセグメントの対向部に第1の方向に沿って配置される複数の第3の接合部と、複数の第3の接合部のそれぞれの第2の方向の一方側に向けて1つずつ開放される複数の第2の開放部と、他方のセグメントの対向部に第1の方向に沿って配置される複数の第4の接合部であって、複数の第3の接合部のそれぞれに対して一方側から複数の第2の開放部のそれぞれを通って近付けることにより複数の第3の接合部のそれぞれと第2の方向に1つずつ重なる複数の第4の接合部とをさらに備えることが好ましい。
【0013】
この接合システムによれば、各セグメントの対向部に、第1の方向(典型的には水平方向)の位置および第2の方向(典型的には鉛直方向)の位置(典型的には高さ)が異なる複数の接合部を、第1の方向(典型的には水平方向)に沿って2列配置することができる。このため、プレキャスト床版等のセグメント同士を接合する場合、各接合部に鉄筋を連結させることにより、各セグメントの圧縮側および引張側にバランスよく配筋することができる。さらに、各第1の接合部と同様に、各第3の接合部の第2の方向(典型的には鉛直方向)の一方側(典型的には上方側)も開放されているため、各第1の接合部と各第2の接合部とを第2の方向(典型的には鉛直方向)に重ねると同時に、各第3の接合部と各第4の接合部とを第2の方向(典型的には鉛直方向)に重ねることができる。このため、一方のセグメントに対して他方のセグメントを第2の方向の一方側(典型的には上方側)から直線的に近付けることができる。
【0014】
接合システムは、複数の第3の接合部および複数の第4の接合部の第2の方向に重なる複数の一対の接合部のそれぞれに対して、第2の方向から1つずつ嵌め込まれることにより一対のセグメント間にくさび力を付与する複数の第2の接合部材をさらに備えることが好ましい。
【0015】
複数の第3の接合部は、当該複数の第3の接合部のそれぞれの第2の方向に1つずつ開口する複数の第3のループ状部を含み、複数の第4の接合部は、当該複数の第4の接合部のそれぞれの第2の方向に1つずつ開口する複数の第4のループ状部を含み、複数の第2の接合部材は、複数の第3のループ状部のそれぞれを介して一方のセグメントを他方のセグメントの側に引っ張るように、複数の第3のループ状部の内周部のそれぞれに1つずつ押し当てられる複数の第3の押し当て部と、複数の第4のループ状部のそれぞれを介して他方のセグメントを一方のセグメントの側に引っ張るように、複数の第4のループ状部の内周部のそれぞれに1つずつ押し当てられる複数の第4の押し当て部とを含むことが好ましい。
【0016】
複数の第3の接合部は、当該複数の第3の接合部のそれぞれの第2の方向に1つずつ開口する複数の第3のループ状部を含み、複数の第4の接合部は、当該複数の第4の接合部のそれぞれの第2の方向に1つずつ開口する複数の第4のループ状部を含み、接合システムは、複数の第3のループ状部および複数の第4のループ状部の第2の方向に重なる複数の一対のループ状部のそれぞれに対して、第2の方向から1つずつ挿入可能な複数の第2の挿入部材をさらに備えるものであってもよい。
【0017】
複数の第2の挿入部材は、当該複数の第2の挿入部材のそれぞれが、複数の一対のループ状部のそれぞれから第2の方向の一方側および他方側に抜け落ちないように、複数の一対のループ状部のそれぞれに対して1つずつ仮止めされる複数の第2の仮止め部を含むことが好ましい。
【0018】
本発明の他の態様は、板状の一対のセグメントを、各セグメントの幅方向に沿う第1の方向に延びる対向部同士を対向させた状態で、各セグメントの厚み方向に沿う第2の方向に直角な方向に接合する際に、一方のセグメントの対向部に配置される一方の接合部と、一方の接合部と第2の方向に重なるように他方のセグメントの対向部に配置される他方の接合部とに対して、第2の方向から嵌め込まれることにより一対のセグメント間にくさび力を付与する接合部材である。
【0019】
本発明の他の態様は、板状の一対のセグメントを、各セグメントの幅方向に沿う第1の方向に延びる対向部同士を対向させた状態で、各セグメントの厚み方向に沿う第2の方向に直角な方向に接合する際に、一方のセグメントの対向部に配置される一方のループ状部と、一方のループ状部と第2の方向に重なるように他方のセグメントの対向部に配置される他方のループ状部とに対して、第2の方向から挿入可能な挿入部材である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第1の実施形態の接合システムを備えた接合体の概要を示す斜視図。
【
図2】一対のセグメントの対向部同士を対向させる前の様子を示す斜視図。
【
図3】一対のセグメントの対向部同士を対向させた後、各一対のループ状部に対して各第1の挿入部材を挿入する様子を示す断面図。
【
図4】各一対のループ状部に対して各第1の挿入部材を仮止めした様子を示す断面図。
【
図5】第2の実施形態の接合システムを備えた接合体の概要を示す斜視図。
【
図6】各一対のループ状部に対して各第1の接合部材を嵌め込む様子を示す断面図。
【
図7】各一対のループ状部に対して各第1の接合部材を嵌め込んだ後の様子を示す断面図。
【
図8】第3の実施形態の接合システムを備えた接合体の概要を示す斜視図。
【
図9】一対のセグメントの対向部同士を対向させる前の様子を示す斜視図。
【
図10】一対のセグメントの対向部同士を対向させた後、各一対のループ状部に対して各第2の接合部材の伝達材を取り付けた様子を示す断面図。
【
図11】各一対のループ状部に対して伝達材を介して嵌込材を嵌め込む様子を示す断面図。
【
図12】各一対のループ状部に対して伝達材を介して嵌込材を嵌め込んだ後の様子を示す断面図。
【
図13】第4の実施形態の接合システムを備えた接合体の概要を示す斜視図。
【
図14】一対のセグメントの対向部同士を対向させる前の様子を示す斜視図。
【
図15】一対のセグメントの対向部同士を対向させた後、各一対のループ状部に対して伝達材を介して嵌込材を嵌め込む様子を示す断面図。
【
図16】各一対のループ状部に対して伝達材を介して嵌込材を嵌め込んだ後の様子を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に、本発明の第1の実施形態の接合システム1Aを備えた接合体100の概要を示している。
図1に示すように、接合体100は、板状の一対のセグメント10,20と、一対のセグメント10,20同士を接合する接合システム1Aと、一対のセグメント10,20の継ぎ目Sに充填されたグラウト材が硬化したグラウト硬化部30とを備える。なお、
図1においては、説明の便宜上、グラウト硬化部30を透過させることにより接合システム1Aを図示している。
【0022】
典型的なセグメント10,20は、鉄筋コンクリート製のプレキャスト床版であり、橋梁や高架道路等(以下、「橋梁等」という。)の上部構造物を施工する場合等に用いられる。セグメント10,20の大きさおよび形状の一例は、橋梁等の延長方向(橋軸方向)に沿う方向を長さ方向X、橋軸方向に水平かつ直角な方向(以下、「橋軸直角方向」という。)に沿う方向を幅方向Y、長さ方向Xおよび幅方向Yに直角な方向を厚み方向Zとした場合、長さ約2.0~2.5m×幅約2.0~11.0m×厚み約0.2~0.3mの平板状である。なお、
図1においては、セグメント10,20の長さ方向Xおよび幅方向Yの延長を省略して図示している。以降の実施形態においても同様である。
【0023】
なお、セグメント10,20の材質、構造、大きさおよび形状等は、これらに限定されない。例えば、セグメント10,20は、金属製(鋼製、鋳鉄製等)や樹脂製等のように、コンクリート製以外の材料により構成されていてもよい。また、セグメント10,20は、PC床版(プレストレスを導入した床版)、鋼床版、合成床版(鋼とコンクリートとを合成した床版)等のように、RC床版(鉄筋コンクリートを用いた床版)以外の構造であってもよい。また、セグメント10,20は、曲板状や湾曲板状等のように、平板状以外の板状に形成されていてもよい。曲板状のセグメント10,20は、トンネルの内壁等の円弧状や円筒状の構造物を施工する場合等に好適である。
【0024】
一方のセグメント10は、平板状の本体部11と、本体部11の側面を構成するように幅方向Yに沿う第1の方向(水平方向)D1に延びる対向部(側面部)12と、対向部12から長さ方向Xに沿う第3の方向(水平方向)D3に突出する突出部13とを含む。突出部13は、対向部12の厚み方向Zに沿う第2の方向(鉛直方向)D2の一方側(上方側)D21の端部よりも他方側(下方側)D22の端部に近接して設けられている。他方のセグメント20は、平板状の本体部21と、本体部21の側面を構成するように第1の方向(水平方向)D1に延びる対向部(側面部)22とを含む。セグメント10,20は、対向部12,22同士を第3の方向(水平方向)D3に対向させた状態で、接合システム1Aにより第3の方向(水平方向)D3、すなわち橋軸方向に接合されている。
【0025】
図1に示すように、一対のセグメント10,20同士を接合する接合システム1Aは、セグメント10の対向部12に水平方向D1に沿って配置された複数の第1の接合部40と、複数の第1の接合部40のそれぞれに対して鉛直方向D2に1つずつ重なるように、セグメント20の対向部22に水平方向D1に沿って配置された複数の第2の接合部50とを含む。
【0026】
複数の第1の接合部40は、当該複数の第1の接合部40のそれぞれの鉛直方向D2に1つずつ開口した複数の第1のループ状部41を含む。典型的な各第1のループ状部41は、ループ状に形成された鉄筋(ループ筋)であり、対向部12から水平方向D3に突出する2つの直線状部42,43と、2つの直線状部42,43同士を連結するU字状の曲線状部44と、直線状部42,43および曲線状部44により囲まれ鉛直方向D2に開口した開口部41hとを含む。また、複数の第2の接合部50は、当該複数の第2の接合部50のそれぞれの鉛直方向D2に1つずつ開口した複数の第2のループ状部51を含む。典型的な各第2のループ状部51は、ループ筋であり、対向部22から水平方向D3に突出する2つの直線状部52,53と、2つの直線状部52,53同士を連結するU字状の曲線状部54と、直線状部52,53および曲線状部54により囲まれ鉛直方向D2に開口した開口部51hとを含む。接合システム1Aは、複数の第1のループ状部41および複数の第2のループ状部51の鉛直方向D2に重なった複数の一対のループ状部41,51のそれぞれに対して、鉛直方向D2から1つずつ挿入された複数の第1の挿入部材60をさらに含む。なお、セグメント10は、各第1のループ状部41の2つの直線状部42,43と一体または別体として連なるように配筋された複数の鉄筋(不図示)を含み、セグメント20は、各第2のループ状部51の2つの直線状部52,53と一体または別体として連なるように配筋された複数の鉄筋(不図示)を含む。
【0027】
図2~
図4に、接合システム1Aにより一対のセグメント10,20を接合する様子を示している。
図2は、セグメント10,20の対向部12,22同士を対向させる前の様子を示す斜視図、
図3は、セグメント10,20の対向部12,22同士を対向させた後、各一対のループ状部41,51に対して各第1の挿入部材60を挿入する様子を示す断面図、
図4は、各一対のループ状部41,51に対して各第1の挿入部材60を仮止めした様子を示す断面図である。
【0028】
図2に示すように、接合システム1Aは、複数の第1のループ状部41のそれぞれの鉛直方向D2の上方側D21に向けて1つずつ開放された複数の第1の開放部70aをさらに含む。本例の各第1の開放部70aは、各第1のループ状部41の上方側D21に他のループ状部等が存在しない空間である。また、接合システム1Aは、複数の第2のループ状部51のそれぞれの鉛直方向D2の下方側D22に向けて1つずつ開放された複数の開放部70bをさらに含む。本例の各開放部70bは、各第2のループ状部51の下方側D22に他のループ状部等が存在しない空間である。このため、クレーン等によりセグメント20をセグメント10の上方側D21に位置させた後、各第2のループ状部51を各第1のループ状部41に対して上方側D21から各第1の開放部70aを通って近付けることができる。したがって、各第1のループ状部41と各第2のループ状部51とを鉛直方向D2に重ねるために、一方のセグメント10に対して他方のセグメント20を水平方向D1またはD3に移動させることなく、鉛直方向D2の上方側D21から直線的に降下させることができる。このため、セグメント10,20の対向部12,22同士を対向させた状態、すなわちセグメント10,20同士が接合可能となる位置に、各セグメント10,20を効率よく配置することができる。さらに、主桁(不図示)と各セグメント10,20との間にシールスポンジ等のシール材が設置されている場合であっても、一方のセグメント10に対して他方のセグメント20を水平方向D1またはD3に移動させる必要がないため、シール材に対する損傷を抑制することができる。したがって、一対のセグメント10,20を接合する際の施工性を向上させることができる。
【0029】
次に、
図3に示すように、各第1の挿入部材60を、鉛直方向D2に重なった各一対のループ状部41,51に対して上方側D21から挿入する。各第1の挿入部材60は、各一対のループ状部41,51の内側、すなわち各一対の開口部41h,51hを鉛直方向D2に貫く内部空間ISを通過可能な姿勢を含む。このため、各第1の挿入部材60を鉛直方向D2から挿入することにより、水平方向D1(
図3の紙面貫通方向)にわたって、効率よく各一対のループ状部41,51の内側に各第1の挿入部材60を配置することができる。
【0030】
次に、
図4に示すように、各第1の挿入部材60の姿勢を、水平方向D1(
図4の紙面貫通方向)を回転軸として回転させることにより、各一対のループ状部41,51に対して仮止めする。複数の第1の挿入部材60は、当該複数の第1の挿入部材60のそれぞれが、複数の一対のループ状部41,51のそれぞれから鉛直方向D2の上方側D21および下方側D22に抜け落ちないように、複数の一対のループ状部41,51のそれぞれに対して1つずつ仮止めされる複数の第1の仮止め部61を含む。本例の各第1の仮止め部61は、上方側D21への移動が規制されるように第1のループ状部41に引っ掛かる部分62aおよび第2のループ状部42に引っ掛かる部分62bと、下方側D22への移動が規制されるように第1のループ状部41に引っ掛かる部分63aおよび第2のループ状部51に引っ掛かる部分63bと、水平方向D3の一方側への移動が規制されるように第1のループ状部41に引っ掛かる部分64とを含む。このため、各一対のループ状部41,51に対して結束作業等を行うことなく、各第1の挿入部材60を各一対のループ状部41,51の内側に仮止めすることができる。さらに、セグメント10の突出部13とセグメント20の対向部22との隙間の少なくとも一部を塞ぐように閉塞部材80を設置した後、一対のセグメント10,20の継ぎ目Sにコンクリート等のグラウト材を充填する際に、各第1の挿入部材60が、上方側D21に浮き上がったり、下方側D22に沈み込んだりする事態を未然に防止することができる。したがって、水平方向D1(
図4の紙面貫通方向)にわたって、各第1の挿入部材60が各一対のループ状部41,51の内側に配置されたままの状態でグラウト材を硬化させることができる。このように、各第1の挿入部材60を各一対のループ状部41,51の内側に配置したままの状態でグラウト硬化部30(
図1参照)を形成することにより、一対のセグメント10,20に作用する引張応力に起因して各一対のループ状部41,51の内側にひび割れが発生することを抑制することができる。なお、各一対のループ状部41,51の内側には鉄筋やパイプ等を挿入するようにしてもよいが、各第1の挿入部材60によれば、各一対のループ状部41,51に対する結束作業等を省略することができるため、施工効率を向上させやすい。また、各第1の仮止め部61は、水平方向D3の他方側への移動が規制されるように第2のループ状部51に引っ掛かる部分をさらに含むものであってもよい。
【0031】
図5に、本発明の第2の実施形態の接合システム1Bを備えた接合体200の概要を示している。
図5に示すように、接合体200は、板状の一対のセグメント10,20と、一対のセグメント10,20同士を接合する接合システム1Bと、一対のセグメント10,20の継ぎ目Sに充填されたグラウト材が硬化したグラウト硬化部30とを備える。なお、
図5においては、説明の便宜上、グラウト硬化部30を透過させることにより接合システム1Bを図示している。また、本実施形態において、第1の実施形態と共通の構成については共通の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0032】
接合システム1Bの複数の第1の接合部40は、対向部12から水平方向D3に突出する複数の直線状部45と、複数の直線状部45のそれぞれに連結するとともに鉛直方向D2に1つずつ開口した複数の第1のループ状部41とを含む。また、接合システム1Bの複数の第2の接合部50は、対向部22から水平方向D3に突出する複数の直線状部55と、複数の直線状部55のそれぞれに連結するとともに鉛直方向D2に1つずつ開口した複数の第1のループ状部51とを含む。接合システム1Bは、複数の第1のループ状部41および複数の第2のループ状部51の鉛直方向D2に重なった複数の一対のループ状部41,51のそれぞれに対して、鉛直方向D2から1つずつ嵌め込まれた複数の第1の接合部材90をさらに含む。なお、セグメント10は、各第1の接合部40の直線状部45と一体または別体として連なるように配筋された複数の鉄筋(不図示)を含み、セグメント20は、各第2の接合部50の直線状部55と一体または別体として連なるように配筋された複数の鉄筋(不図示)を含む。
【0033】
図6および
図7に、接合システム1Bにより一対のセグメント10,20を接合する様子を示している。
図6は、各一対のループ状部41,51に対して各第1の接合部材90を嵌め込む様子を示す断面図、
図7は、各一対のループ状部41,51に対して各第1の接合部材90を嵌め込んだ後の様子を示す断面図である。
【0034】
図6に示すように、接合システム1Bにおいても、クレーン等によりセグメント20をセグメント10の上方側D21に位置させた後、各第2のループ状部51を各第1のループ状部41に対して上方側D21から各第1の開放部70aを通って近付けることにより、各第1のループ状部41と各第2のループ状部51とを鉛直方向D2に重ねることができる。各第1の接合部材90は、鉛直方向D2の上方側D21から下方側D22に向けて先細りする円錐台状部91を含む。各第1のループ状部41は、円錐台状部91の外周面91aと接触するように上方側D21から下方側D22に向けて先細りするように傾斜した内周面(内周部)41aと、内周面41aにより囲まれ鉛直方向D2に開口した開口部41hとを含む。また、各第2のループ状部51は、円錐台状部91の外周面91aと接触するように上方側D21から下方側D22に向けて先細りするように傾斜した内周面(内周部)51aと、内周面51aにより囲まれ鉛直方向D2に開口した開口部51hとを含む。したがって、円錐台状部91の外周面91aは、第1のループ状部41の内周面41aに押し当てられる第1の押し当て部92aと、第2のループ状部51の内周面51aに押し当てられる第2の押し当て部92bとを含む。このため、円錐台状部91を内周面41a,51aに対して上方側D21から押し込むと、第1の押し当て部92aが内周面41aに押し当てられることにより第1のループ状部41を介してセグメント10がセグメント20の側に引っ張られるとともに、第2の押し当て部92bが内周面51aに押し当てられることにより第2のループ状部51を介してセグメント20がセグメント10の側に引っ張られる。したがって、一対のセグメント10,20を第3の方向D3に引き寄せることができる。ここで、セグメント10の突出部13とセグメント20の対向部22との隙間の少なくとも一部を塞ぐように閉塞部材80を設置した場合、一対のセグメント10,20が第3の方向D3に引き寄せられることにより、突出部13と対向部22とが閉塞部材80を挟んで互いに押し当て合う(押圧し合う)。なお、閉塞部材80を設置せずに突出部13と対向部22とが直に押し当て合うようにしてもよい。
【0035】
図7に示すように、突出部13と対向部22とが閉塞部材80を挟んで互いに押し当て合う状態から、さらに円錐台状部91を内周面41a,51aに対して下方側D22に押し込むと、各セグメント10,20は閉塞部材80から反力を受けるが、この反力に逆らうように円錐台状部91を押し込むことにより、各第1の接合部材90と各一対のループ状部41,51との間にくさび力を発生させることができる。このように、接合システム1Bによれば、各第1の接合部材90を各一対のループ状部41,51に対して嵌め合せることにより、水平方向D1(
図7の紙面貫通方向)にわたって、効率よく一対のセグメント10,20間にくさび効果を発現させることができる。このため、一対のセグメント10,20を強固に接合することができる。したがって、各セグメント10,20のガタつきを抑制することができる。
【0036】
なお、本実施形態においては、円錐台状部91を内周面41a,51aに対して上方側D21から押し込むことにより、一対のセグメント10,20を第3の方向D3に引き寄せる例を示したが、一対のセグメント10,20は水平方向D1(
図6の紙面貫通方向)および第3の方向D3に引き寄せることもできる。すなわち、各一対のループ状部41,51は、水平方向D1(
図6の紙面貫通方向)の位置がずれた状態で鉛直方向D2に重なっていてもよく、各第1のループ状部41と各第2のループ状部51とが鉛直方向D2に重なる状態は、各一対の開口部41h,51hを鉛直方向D2に貫く内部空間ISが形成される状態を含む。このため、円錐台状部91の円錐状の外周面91aを、内部空間ISを介して内周面41a,51aに対して上方側D21から押し込むことにより、一対のセグメント10,20を水平方向D1(
図6の紙面貫通方向)に引き寄せつつ第3の方向D3に引き寄せることができる。したがって、一対のセグメント10,20を接合する際に、橋軸方向および橋軸直角方向に対する位置合わせも同時に行うことができる。
【0037】
図8に、本発明の第3の実施形態の接合システム1Cを備えた接合体300の概要を示している。
図8に示すように、接合体300は、板状の一対のセグメント10,20と、一対のセグメント10,20同士を接合する接合システム1Cと、一対のセグメント10,20の継ぎ目Sに充填されたグラウト材が硬化したグラウト硬化部30とを備える。なお、
図8においては、説明の便宜上、グラウト硬化部30を透過させることにより接合システム1Cを図示している。また、本実施形態において、第1および第2の実施形態と共通の構成については共通の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0038】
接合システム1Cは、セグメント10の対向部12に水平方向D1に沿って配置された複数の第1の接合部40と、複数の第1の接合部40のそれぞれに対して鉛直方向D2に1つずつ重なるように、セグメント20の対向部22に水平方向D1に沿って配置された複数の第2の接合部50と、複数の第1の接合部40に対して水平方向D1および鉛直方向D2の位置を変えるように、セグメント10の対向部12に水平方向D1に沿って配置された複数の第3の接合部110と、複数の第3の接合部110のそれぞれに対して鉛直方向D2に1つずつ重なるように、セグメント20の対向部22に水平方向D1に沿って配置された複数の第4の接合部120とを含む。
【0039】
複数の第3の接合部110は、当該複数の第3の接合部110のそれぞれの鉛直方向D2に1つずつ開口した複数の第3のループ状部111を含む。典型的な各第3のループ状部111は、ループ筋であり、対向部12から水平方向D3に突出する2つの直線状部112,113と、2つの直線状部112,113同士を連結するU字状の曲線状部114と、直線状部112,113および曲線状部114により囲まれ鉛直方向D2に開口した開口部111hとを含む。また、複数の第4の接合部120は、当該複数の第4の接合部120のそれぞれの鉛直方向D2に1つずつ開口した複数の第4のループ状部121を含む。典型的な各第4のループ状部121は、ループ筋であり、対向部22から水平方向D3に突出する2つの直線状部122,123と、2つの直線状部122,123同士を連結するU字状の曲線状部124と、直線状部122,123および曲線状部124により囲まれ鉛直方向D2に開口した開口部121hとを含む
【0040】
接合システム1Cは、複数の第1のループ状部41および複数の第2のループ状部51の鉛直方向D2に重なった複数の一対のループ状部41,51のそれぞれに対して、鉛直方向D2から1つずつ嵌め込まれた複数の第1の接合部材90と、複数の第3のループ状部111および複数の第4のループ状部121の鉛直方向D2に重なった複数の一対のループ状部111,121のそれぞれに対して、鉛直方向D2から1つずつ嵌め込まれた複数の第2の接合部材130とをさらに含む。本例の各第1の接合部材90および各第2の接合部材130は、共通の構成であり、各一対のループ状部41,51(111,121)に対して取り付けられた一対の伝達材140a,140bと、一対の伝達材140a,140bの間に嵌め込まれた嵌込材150と、一対の伝達材140a,140bおよび嵌込材150を締結する締結材160とをそれぞれ含む。なお、セグメント10は、各第3のループ状部111の2つの直線状部112,113と一体または別体として連なるように配筋された複数の鉄筋(不図示)をさらに含み、セグメント20は、各第4のループ状部121の2つの直線状部122,123と一体または別体として連なるように配筋された複数の鉄筋(不図示)をさらに含む。
【0041】
図9~
図12に、接合システム1Cにより一対のセグメント10,20を接合する様子を示している。
図9は、セグメント10,20の対向部12,22同士を対向させる前の様子を示す斜視図、
図10は、セグメント10,20の対向部12,22同士を対向させた後、各一対のループ状部111,121に対して各第2の接合部材130の伝達材140a,140bを取り付けた様子を示す断面図、
図11は、各一対のループ状部111,121に対して伝達材140a,140bを介して嵌込材150を嵌め込む様子を示す断面図、
図12は、各一対のループ状部111,121に対して伝達材140a,140bを介して嵌込材150を嵌め込んだ後の様子を示す断面図である。
【0042】
図9に示すように、接合システム1Cは、複数の第1のループ状部41のそれぞれの鉛直方向D2の上方側D21に向けて1つずつ開放された複数の第1の開放部70aと、複数の第3のループ状部111のそれぞれの鉛直方向D2の上方側D21に向けて1つずつ開放された複数の第2の開放部170aとをさらに含む。本例の各第2の開放部170aは、各第3のループ状部111の上方側D21に他のループ状部等が存在しない空間である。また、接合システム1Cは、複数の第4のループ状部121のそれぞれの鉛直方向D2の下方側D22に向けて1つずつ開放された複数の開放部170bを含む。本例の各開放部170bは、各第4のループ状部121の下方側D22に他のループ状部等が存在しない空間である。
【0043】
接合システム1Cによれば、セグメント10の対向部12に、水平方向D1の位置および鉛直方向D2の位置(高さ)が異なるループ状部41,111を水平方向D1に沿って2列配置するとともに、セグメント20の対向部22に、水平方向D1の位置および鉛直方向D2の位置(高さ)が異なるループ状部51,121を水平方向D1に沿って2列配置することができる。したがって、各セグメント10,20の圧縮側および引張側にバランスよく配筋することができる。さらに、各第1のループ状部41と同様に、各第3のループ状部111の鉛直方向D2の上方側D21も開放されているため、各第1のループ状部41と各第2のループ状部51とを鉛直方向D2に重ねると同時に、各第3のループ状部111と各第4のループ状部121とを鉛直方向D2に重ねることができる。このため、一方のセグメント10に対して他方のセグメント20を鉛直方向D2の上方側D21から直線的に降下させることができる。なお、本例の各第1のループ状部41と各第3のループ状部111とは、水平方向D1の一方側から他方側に向けて交互に規則的に並んでいるが、並べ方はランダムであってもよい。また、セグメント10(20)の対向部12(22)には、水平方向D1の位置および鉛直方向D2の位置(高さ)が異なるループ状部を水平方向D1に沿って3列以上配置するようにしてもよい。
【0044】
次に、
図10に示すように、各一対のループ状部111,121に対して、一対の伝達材140a,140bを水平方向D3に対向するように取り付ける。一方の伝達材140aは、第3のループ状部111の内周部111aに沿って窪んだ凹部(第3の押し当て部)141aと、上方側D21から下方側D22に向けて他方の伝達材140bに近付くように鉛直方向D2に対して傾斜した内周面142aとを含む。他方の伝達材140bは、第4のループ状部121の内周部121aに沿って窪んだ凹部(第4の押し当て部)141bと、上方側D21から下方側D22に向けて一方の伝達材140aに近付くように鉛直方向D2に対して傾斜した内周面142bとを含む。
【0045】
次に、
図11に示すように、締結材160を用いて一対の伝達材140a,140bの間に嵌込材150を嵌め込む。締結材160は、ボルト161と、ナット162と、ボルト頭部161aを載せるワッシャー163と、一対の伝達材140a,140bとナット162との間に挟むワッシャー164とを含む。嵌込材150は、鉛直方向D2の上方側D21から下方側D22に向けて先細りする円錐台状部151を含む。円錐台状部151は、伝達材140aの内周面142aおよび伝達材140bの内周面142bと接触するように上方側D21から下方側D22に向けて先細りするように傾斜した外周面151aと、ボルト軸部161bが挿入可能となるように当該円錐台状部151を鉛直方向D2に貫通する貫通孔152と、ワッシャー163を介してボルト頭部161aを載せる載置面153とを含む。このため、ナット162の回転を止めた状態でボルト頭部161aを回転させると、ボルト頭部161aが載置面153を下方側D22に押圧するため、円錐台状部151が内周面142a,142bに対して押し込まれることにより、一対の伝達材140a,140bが第3の方向D3に離れるように押し広げられる。その結果、伝達材140aの第3の押し当て部(凹部)141aが内周部111aに押し当てられることにより第3のループ状部111を介してセグメント10がセグメント20の側に引っ張られるとともに、伝達材140bの第4の押し当て部(凹部)141bが内周部121aに押し当てられることにより第4のループ状部121を介してセグメント20がセグメント10の側に引っ張られる。したがって、一対のセグメント10,20を第3の方向D3に引き寄せることができる。各一対のループ状部41,51においても同様である。ここで、セグメント10の突出部13とセグメント20の対向部22との隙間の少なくとも一部を塞ぐように閉塞部材80を設置した場合、一対のセグメント10,20が第3の方向D3に引き寄せられることにより、突出部13と対向部22とが閉塞部材80を挟んで互いに押し当て合う(押圧し合う)。
【0046】
図12に示すように、突出部13と対向部22とが閉塞部材80を挟んで互いに押し当て合う状態から、さらにボルト頭部161aを回転させると、各セグメント10,20は閉塞部材80から反力を受けるが、この反力に逆らうように円錐台状部151を一対の伝達材140a,140bの間に嵌め込むことにより、各接合部材90(130)と各一対のループ状部41,51(111,121)との間にくさび力を発生させることができる。このように、接合システム1Cによれば、各接合部材90(130)を各一対のループ状部41,51(111,121)に対して嵌め合せることにより、水平方向D1(
図12の紙面貫通方向)にわたって、効率よく一対のセグメント10,20間にくさび効果を発現させることができる。このため、一対のセグメント10,20を強固に接合することができる。したがって、各セグメント10,20のガタつきを抑制することができる。
【0047】
図13に、本発明の第4の実施形態の接合システム1Dを備えた接合体400の概要を示している。
図13に示すように、接合体400は、板状の一対のセグメント10,20と、一対のセグメント10,20同士を接合する接合システム1Dと、一対のセグメント10,20の継ぎ目Sに充填されたグラウト材が硬化したグラウト硬化部30とを備える。なお、本実施形態において、第1~第3の実施形態と共通の構成については共通の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0048】
一方のセグメント10は、平板状の本体部11と、本体部11の側面を構成するように水平方向D1に延びる対向部(側面部)12と、対向部12から水平方向D3に突出する突出部13とを含む。突出部13は、対向部12の鉛直方向D2の上方側D21の端部よりも下方側D22の端部に近接して設けられている。他方のセグメント20は、平板状の本体部21と、本体部21の側面を構成するように水平方向D1に延びる対向部(側面部)22と、対向部22から水平方向D3に突出する突出部23とを含む。突出部23は、対向部22の鉛直方向D2の下方側D22の端部よりも上方側D21の端部に近接して設けられている。セグメント10,20は、対向部12,22同士を水平方向D3に対向させ、かつ、突出部13,23同士を鉛直方向D2に重ねた状態で、接合システム1Dにより水平方向D3、すなわち橋軸方向に接合されている。
【0049】
図14~
図16に、接合システム1Dにより一対のセグメント10,20を接合する様子を示している。
図14は、セグメント10,20の対向部12,22同士を対向させる前の様子を示す斜視図、
図15は、セグメント10,20の対向部12,22同士を対向させた後、各一対のループ状部111,121に対して伝達材140a,140bを介して嵌込材150を嵌め込む様子を示す断面図、
図16は、各一対のループ状部111,121に対して伝達材140a,140bを介して嵌込材150を嵌め込んだ後の様子を示す断面図である。なお、
図14においては、説明の便宜上、セグメント20の本体部21を透過させることにより接合システム1Aを図示している。
【0050】
図14および
図15に示すように、セグメント10の突出部13は、本体部11の鉛直方向D2の下方側D22の下端面(底面)11aを基準として上方側D21に向けて第1の長さL11を有する第1の突出部14と、第1の長さL11よりも大きい第2の長さL21を有する第2の突出部15とを含む。本例の第1の突出部14と第2の突出部15とは、水平方向D1の一方側から他方側に向けて交互に規則的に並んでいる。また、本例のセグメント10は、ループ状部41(111)の下方側D22の半分程度と、凹部141aがループ状部41(111)の内周部41a(111a)に接触した状態における伝達材140aの下方側D22の一部と、締結材160のナット162およびワッシャー164とが、突出部14(15)に埋め込まれるように(ナット162は供回りしないように)、工場等において製作されたプレキャスト床板である。
【0051】
また、セグメント20の突出部23は、本体部21の鉛直方向D2の上方側D21の上端面(上面)21aを基準として下方側D22に向けて第1の長さL21を有する第1の突出部24と、第1の長さL21よりも小さい第2の長さL22を有する第2の突出部25と、各突出部24,25を鉛直方向D2に貫通する貫通孔26とを含む。本例の第1の突出部24と第2の突出部25とは、水平方向D1の一方側から他方側に向けて交互に規則的に並んでいる。また、本例のセグメント20は、ループ状部51(121)の上方側D21の半分程度と、凹部141bがループ状部51(121)の内周部51a(121a)に接触した状態における伝達材140bの上方側D21の一部と、締結材160のナット162およびワッシャー164とが、突出部24(25)に埋め込まれるように(ナット162は供回りしないように)、工場等において製作されたプレキャスト床板である。
【0052】
接合システム1Dによれば、各第1のループ状部41および各第3のループ状部111の鉛直方向D2の上方側D21が開放されているため、各第1のループ状部41と各第2のループ状部51とを鉛直方向D2に重ねると同時に、各第3のループ状部111と各第4のループ状部121とを鉛直方向D2に重ねることができる。さらに、各第1の突出部14と各第1の突出部24とを鉛直方向D2に重ねると同時に、各第2の突出部15と各第2の突出部25とを鉛直方向D2に重ねることもできる。このため、一方のセグメント10に対して他方のセグメント20を鉛直方向D2の上方側D21から直線的に降下させることができるとともに、一対のセグメント10,20の継ぎ目Sを各突出部14,15,24,25により埋めることができる。したがって、継ぎ目Sの隙間を削減することが可能となり、グラウト材の充填量を減少するとともに施工期間を短縮することができる。
【0053】
次に、
図15に示すように、締結材160を用いて一対の伝達材140a,140bの間に嵌込材150を嵌め込む。接合システム1Dによれば、一対の伝達材140a,140b、ナット162およびワッシャー164が既に一対のセグメント20,10にそれぞれ埋め込まれている(予め設置されている)ため、各一対のループ状部111,121に対して、一対の伝達材140a,140bを取り付ける作業やナット162の回転を止める作業を省略することができる。このため、各一対のループ状部41,51と、各一対のループ状部111,121とをそれぞれ鉛直方向D2に重ねた後に、締結材160を用いて一対の伝達材140a,140bの間に嵌込材150を嵌め込む作業を行うことができる。その結果、第3の実施形態と同様に、一対のセグメント10,20を第3の方向D3に引き寄せることができる。各一対のループ状部41,51においても同様である。
【0054】
また、本例の嵌込材150の円錐台状部151は、第1の外周面151aの下方側D22に第1の外周面151aよりも急傾斜で先細りするように設けられた第2の外周面151bをさらに含む。このため、嵌込材150を各突出部24,25の貫通孔26を通して降下させた後、第1の外周面151aに先行して第2の外周面151bを一対の伝達材140a,140bの間に向けて挿入することにより、嵌込材150を一対の伝達材140a,140bの間にスムーズに誘導することができる。一対のセグメント10,20を接合する場合、第2の外周面151bは、少なくとも2箇所の円錐台状部151に設けることが好ましい。2箇所の第2の外周面151bを介して誘導される嵌込材150を基点として、他の各一対のループ状部111,121を鉛直方向D2に重ねる(位置決めする)ことができる。このため、他の全ての嵌込材150をスムーズに一対の伝達材140a,140bの間に嵌め込むことができる。
【0055】
図16に示すように、セグメント10の突出部13とセグメント20の対向部22との隙間の少なくとも一部を塞ぐように閉塞部材80を設置した場合、一対のセグメント10,20が第3の方向D3に引き寄せられることにより、突出部13と対向部22とが閉塞部材80を挟んで互いに押し当て合う(押圧し合う)。突出部13と対向部22とが閉塞部材80を挟んで互いに押し当て合う状態から、さらにボルト頭部161aを回転させると、各セグメント10,20は閉塞部材80から反力を受けるが、この反力に逆らうように円錐台状部151を一対の伝達材140a,140bの間に嵌め込むことにより、各接合部材90(130)と各一対のループ状部41,51(111,121)との間にくさび力を発生させることができる。その結果、第3の実施形態と同様に、接合システム1Dにおいても、水平方向D1(
図16の紙面貫通方向)にわたって、効率よく一対のセグメント10,20間にくさび効果を発現させることができる。このため、一対のセグメント10,20を強固に接合することができる。したがって、各セグメント10,20のガタつきを抑制することができる。
【0056】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されず、特許請求の範囲に規定されたものを含む。例えば、平板状のセグメント10,20において、長さ方向Xを橋軸直角方向に沿う方向、幅方向Yを橋軸方向に沿う方向としてもよく、この場合、第1の方向D1は橋軸方向に沿う方向、第2の方向D2は厚み方向に沿う方向、第3の方向D3は橋軸直角方向に沿う方向となり、平板状のセグメント10,20同士を橋軸直角方向に接合することができる。また、第1の方向D1および第3の方向D3は水平方向に限定されず、第2の方向D2は鉛直方向に限定されない。例えば、曲板状のセグメント10,20において、長さ方向をトンネルの延長方向(軸方向)に沿う方向、幅方向をトンネルの内壁等の周方向に沿う方向とした場合、第1の方向D1は周方向に沿う方向、第2の方向D2は厚み方向に沿う方向、第3の方向D3は軸方向に沿う方向となり、曲板状のセグメント10,20同士を軸方向に接合することができる。なお、曲板状のセグメント10,20において、長さ方向をトンネルの内壁等の周方向に沿う方向、幅方向をトンネルの延長方向(軸方向)に沿う方向としてもよく、この場合、第1の方向D1は軸方向に沿う方向、第2の方向D2は厚み方向に沿う方向、第3の方向D3は周方向に沿う方向となり、曲板状のセグメント10,20同士を周方向に接合することができる。また、第3および第4の実施形態においては、各一対のループ状部41,51に対して各第1の接合部材90を嵌め込み、各一対のループ状部111,121に対して各第2の接合部材130を嵌め込んでいるが、各一対のループ状部41,51に対して第1の実施形態における各第1の挿入部材60を挿入し、各一対のループ状部111,121に対して各第1の挿入部材60と共通の構成の各第2の挿入部材を挿入するようにしてもよい。
【0057】
なお、上記の実施形態では、「沿う」、「水平」、「直角」、「鉛直」といった表現を用いたが、厳密に「沿う」、「水平」、「直角」、「鉛直」であることを要しない。すなわち、これらの各表現は、製造精度、設置精度等のずれを許容するものとする。
【符号の説明】
【0058】
1A,1B,1C,1D 接合システム、 10 一方のセグメント、 20 他方のセグメント、 D1 第1の方向、 D2 第2の方向、 40 第1の接合部、 70a 第1の開放部、 50 第2の接合部、 90 第1の接合部材、 41 第1のループ状部、 51 第2のループ状部、 92a 第1の押し当て部、 92b 第2の押し当て部、 60 第1の挿入部材、 61 第1の仮止め部、 110 第3の接合部、 170a 第2の開放部、 120 第4の接合部、 130 第2の接合部材、 111 第3のループ状部、 121 第4のループ状部、 141a 第3の押し当て部、 141b 第4の押し当て部