(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-14
(45)【発行日】2023-07-25
(54)【発明の名称】軟性-硬性ハイブリッド内視鏡および器具アタッチメント
(51)【国際特許分類】
A61M 25/10 20130101AFI20230718BHJP
A61M 29/00 20060101ALI20230718BHJP
A61B 1/018 20060101ALI20230718BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
A61M25/10 540
A61M29/00
A61B1/018 515
A61B1/00 650
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021149888
(22)【出願日】2021-09-15
(62)【分割の表示】P 2020507507の分割
【原出願日】2018-04-20
【審査請求日】2021-10-14
(32)【優先日】2017-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519373327
【氏名又は名称】レズネント,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ノイエス,ウィラード エス.
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0287851(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02522272(EP,A1)
【文献】特開昭63-230163(JP,A)
【文献】特開2013-106712(JP,A)
【文献】米国特許第04459984(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0119923(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/10
A61M 29/00
A61B 1/018
A61B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルーン拡張器システムであって、
内視鏡の近位端に取外し可能に連結するためのアタッチメント機構を備えるハンドピースと、
膨張可能なバルーンを含むバルーンカテーテルの遠位端を挿入するための
、前記ハンドピースの側面の穴と、
前記ハンドピースから遠位方向に延在する
中空案内管であって、前記
中空案内管の近位端は前記穴を通って挿入された
ときに前記バルーンカテーテルを受け、前記バルーンカテーテルを、前記バルーンカテーテルの前記遠位端が前記
中空案内管の遠位端から脱出するように
案内するように構成され
る中空案内管と、を備え、
前記中空案内管は軟性であり、前記内視鏡の軟性の遠位端に連結されるように構成された、湾曲した遠位端を含み、前記内視鏡の前記軟性の遠位端は、前記中空案内管の前記湾曲した遠位端に連結されるとき、前記中空案内管の湾曲した部分に沿う、バルーン拡張器システム。
【請求項2】
前記バルーンカテーテルをさらに備え、前記バルーンカテーテルは、前記バルーンが膨張する前に、前記バルーンカテーテルを食道に挿入するために、内視鏡で距離を概算するために前記バルーンの近位に位置するマーキングを備える、請求項
1に記載のバルーン拡張器システム。
【請求項3】
前記ハンドピースは、作動されると、前記膨張可能なバルーンを膨張するために、加圧された流体を圧送するポンプハンドルを備える、請求項1に記載のバルーン拡張器システム。
【請求項4】
前記ハンドピースは、前記膨張可能なバルーンを膨張するために圧送された、前記加圧された流体の圧力を測定するように構成された圧力計と、作動されると、圧力を解放し、前記膨張可能なバルーンを収縮する制御装置をさらに備える、請求項
3に記載のバルーン拡張器システム。
【請求項5】
前記内視鏡をさらに備える、請求項
4に記載のバルーン拡張器システム。
【請求項6】
前記内視鏡の前記
軟性の遠位端を、前記
中空案内管の
前記湾曲した遠位端に取外し可能に連結するように構成された取外し可能なインサートをさらに備え、前記取外し可能なインサートは、前記内視鏡の前記
軟性の遠位端に取外し可能に連結するための第1のチャネル溝と、前記
中空案内管の
前記湾曲した遠位端に取外し可能に連結するための第2のチャネル溝と、を備え
、前記取外し可能なインサートは前記中空案内管の前記湾曲した部分に合うように構成される、請求項
1に記載のバルーン拡張器システム。
【請求項7】
前記アタッチメント機構は、前記ハンドピースを内視鏡の近位端に取外し可能に連結するためのレバー式トップダウン型ラチェット機構である、請求項1に記載のバルーン拡張器システム。
【請求項8】
軟性チューブを通って加圧された流体を圧送し、
細長い膨張可能なバルーンを膨張するように構成されたバルーンポンプ・ハンドピースであって、前記バルーンポンプ・ハンドピースを、内視鏡の
硬性の近位端に取外し可能に連結するためのアタッチメント機構を備えるバルーンポンプ・ハンドピースと、
前記軟性チューブであって、前記軟性チューブの第1の端で、前記バルーンポンプ・ハンドピースと、および、前記軟性チューブの第2端部で前記
細長い膨張可能なバルーンと、流体連結
および接続するように構成された前記軟性チューブと、
前記バルーンポンプ・ハンドピースから離隔した中空の内側カニューレ
であって、前記中空の内側カニューレは、その近位端に第1の開口を、その遠位端に第2の開口を備え、前記第1の開口は、前記内視鏡の軟性の前記遠位端の先端が、前記中空の内側カニューレの前記第2の開口から脱出するまで、前進する前記内視鏡の軟性の遠位端を受けるように構成された中空の内側カニューレと、
前記
細長い膨張可能なバルーンであって、前記中空の内側カニューレの近位端と中空の内側カニューレの遠位端の間に、前記中空の内側カニューレの外部かつ円周上に取り付けられた前記
細長い膨張可能なバルーンと、を備える、バルーン拡張器システム。
【請求項9】
前記バルーンポンプ・ハンドピースは、前記膨張可能なバルーンを膨張するために圧送された、前記加圧された流体の圧力を測定するように構成された圧力計と、作動されると、圧力を解放し、前記膨張可能なバルーンを収縮する制御装置をさらに備える、請求項
8に記載のバルーン拡張器システム。
【請求項10】
前記バルーンポンプ・ハンドピースは、前記バルーンポンプ・ハンドピースの基部に接続部をさらに備え、前記接続部は前記軟性チューブの前記第1の端に流体連結するよう構成される、請求項
8に記載のバルーン拡張器システム。
【請求項11】
軟性チューブを通って加圧された流体を圧送し、膨張可能なバルーンを膨張するように構成されたバルーンポンプ・ハンドピースであって、前記バルーンポンプ・ハンドピースを、内視鏡の近位端に取外し可能に連結するためのアタッチメント機構を備えるバルーンポンプ・ハンドピースと、
前記軟性チューブであって、前記軟性チューブの第1の端で、前記バルーンポンプ・ハンドピースと、および、前記軟性チューブの第2端部で前記膨張可能なバルーンと、流体連結するように構成された前記軟性チューブと、
中空の内側カニューレと、
前記膨張可能なバルーンであって、前記中空の内側カニューレの近位端と中空の内側カニューレの遠位端の間に、前記中空の内側カニューレの外部かつ円周上に取り付けられた前記膨張可能なバルーンと、
前記膨張可能なバルーン近傍の前記中空の内側カニューレに配置され、前記膨張可能なバルーンの膨張中、前記バルーン拡張器システムを安定させるように構成された、取外し可能なストッパ
と、を備えるバルーン拡張器システム。
【請求項12】
前記取外し可能なストッパは、ばねおよび横方向の突起を備え、前記ばねおよび横方向の突起は前記ばねを作動するとともに前記ストッパを解放するために締め付け可能である、請求項
11に記載のバルーン拡張器システム。
【請求項13】
前記内視鏡が前記中空の内側カニューレに挿入されておらず、前記膨張可能なバルーンが膨張されているとき、患者は前記中空の内側カニューレを通じて呼吸することができる、請求項
8に記載のバルーン拡張器システム。
【請求項14】
軟性チューブを通って加圧された流体を圧送し、膨張可能なバルーンを膨張するように構成されたバルーンポンプ・ハンドピースであって、前記バルーンポンプ・ハンドピースを、内視鏡の近位端に取外し可能に連結するためのアタッチメント機構を備えるバルーンポンプ・ハンドピースと、
前記軟性チューブであって、前記軟性チューブの第1の端で、前記バルーンポンプ・ハンドピースと、および、前記軟性チューブの第2端部で前記膨張可能なバルーンと、流体連結するように構成された前記軟性チューブと、
中空の内側カニューレと、
前記膨張可能なバルーンであって、前記中空の内側カニューレの近位端と中空の内側カニューレの遠位端の間に、前記中空の内側カニューレの外部かつ円周上に取り付けられた前記膨張可能なバルーンと、
前記軟性チューブおよび中空の内側カニューレに渡ってスライドするように構成された気管切開チューブ
を備える、バルーン拡張器システム。
【請求項15】
前記気管切開チューブは、
第1の膨張ポートと、
第2の膨張ポートと、
前記第1の膨張ポートを介して膨張されるように構成された遠位のバルーンと、前記第1の膨張ポートを介して膨張される前記遠位のバルーンよりも高圧に、前記第2の膨張ポートを介して膨張されるように構成された近位のバルーンとを備えるシャフトと、を備える、請求項
14に記載のバルーン拡張器システム。
【請求項16】
前記遠位のバルーンは患者の気管内腔内で前進され、前記第1の膨張ポートを介して膨張されるように構成され、
前記近位のバルーンは、前記患者の気管孔内で前進され、前記第2の膨張ポートを介して膨張され、前記気管孔を拡張するように構成される、請求項
15に記載のバルーン拡張器システム。
【請求項17】
前記アタッチメント機構は、内視鏡の近位端に前記ハンドピースを取外し可能に連結するためのレバー式トップダウン型ラチェット機構である、請求項
8に記載のバルーン拡張器システム。
【請求項18】
前記バルーンポンプ・ハンドピースは、作動されると、前記軟性チューブを通って加圧された流体を圧送するポンプハンドルを備える、請求項
8に記載のバルーン拡張器システム。
【請求項19】
軟性チューブの第1の端で流体ポンプに、および前記軟性チューブの第2の端で
細長い膨張可能なバルーンに流体接続するように構成された軟性チューブと、
前記軟性チューブに連結された中空の内側カニューレであって、その近位端にある第1の開口と、その遠位端にある第2の開口を備え、前記第1の開口は、前記内視鏡の前記遠位端の先端が、前記中空の内側カニューレの前記第2の開口から脱出するまで、前進する前記内視鏡の遠位端を受けるように構成される中空の内側カニューレと、
前記
細長い膨張可能なバルーンであって、前記中空の内側カニューレの近位端と中空の内側カニューレの遠位端の間に、前記中空の内側カニューレの外部かつ円周上に取り付けられた前記
細長い膨張可能なバルーンと、を備え
、前記細長い膨張可能なバルーンは、患者の気管孔内に配置されるとともに患者の気管孔を拡張するように構成され、前記内視鏡が前記中空の内側カニューレに挿入されておらず、前記膨張可能なバルーンが膨張されているとき、前記患者は前記中空の内側カニューレを通じて呼吸することができる、
内視鏡気管バルーン拡張器システム。
【請求項20】
前記軟性チューブおよび中空の内側カニューレに渡ってスライドするように構成された気管切開チューブをさらに備える、請求項19に記載の内視鏡気管バルーン拡張器システム。
【請求項21】
前記レバー式トップダウン型ラチェットアタッチメント機構は、前記ハンドピースの上側で結合され、前記内視鏡をトップダウン方式で取外し可能に連結するための、細長い開チャネルを含むハウジングを備える、請求項7に記載のバルーン拡張器システム。
【請求項22】
ハウジングは、
前記内視鏡の硬性の近位アタッチメントセグメントの各横方向スロットを受けるための、垂直方向に離隔されたリッジと、
前記内視鏡の硬性の前記近位アタッチメントセグメントの長手方向のスロットに係合するための、前記開チャネルの前記内側面に位置する引込み式内部突起と、を備える、請求項20に記載のバルーン拡張器システム。
【請求項23】
前記アタッチメント機構は、前記ハンドピースの上側で結合される挿入型ラチェットアタッチメント機構である、請求項1に記載のバルーン拡張器システム。
【請求項24】
前記挿入型ラチェットアタッチメント機構は、前記内視鏡が通過して挿入可能な開口と出口開口とを含むチャネルを伴う外側のハウジングを備え、前記ハウジングは、前記内視鏡を適所に固定するために前記内視鏡の横方向スロットに係合するように構成された引き込み式内部突起を含み、前記引き込み式内部突起はハウジングの外側のボタンによって作動されるように構成されている、請求項22に記載のバルーン拡張器システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
内視鏡は、内視鏡検査と呼ばれる処置において体腔内部を見るために使用される、アイピースまたはカメラを備える照明付きの管状器具である。患者の体腔内に挿入される器具を用いる医療処置を実行する間、内視鏡は、処置の間に医療器具および体腔を視覚化するために使用され得る。例えば、内視鏡は、医師が、腔から組織を除去するために吸引または把持鉗子を用いる間に患者の腔内の組織または他の物質を見ることができるようにするために使用され得る。
【0002】
医療機器を内視鏡と組み合わせて利用する処置において、内視鏡は、通常は、医療器具とは別に操作される硬性または軟性ツールである。処置の間、医療従事者は、内視鏡を片手で保持して案内し、器具は、もう一方の手で患者を治療するために使用される。このような内視鏡は、硬性であることもあれば、軟性であることもある。
【0003】
現時点の硬性内視鏡の実装には、処置の間に患者の体腔を視覚化することに関して重大な制限がある。例えば、現時点の硬性鼻内視鏡の実装では、到達しづらい副鼻洞組織の除去または到達しづらい出血部位の焼灼を直に視覚化することができない。硬性内視鏡は、前頭洞へ直に挿入することができず、あるいは、上顎洞腔内側下を適切に視覚化することができない。喉頭の組織および異物、ならびに鼻咽頭狭窄患者の組織の除去も、視覚化が不十分でありかつ所望される解剖学的部位へ到達しにくいという理由で困難である。さらに、角度がついた硬性鏡の視覚化は、外科医の遠近感を歪めることが多く、小さい腔内で鉗子等の二次器具と併せて用いることは厄介である。
【0004】
その結果、耳鼻咽喉科(ENT)の医師は、通常は、内視鏡下副鼻腔手術の間に全ての上顎洞組織除去を直に視覚化することができない。副鼻腔用器具が届きにくい領域で作業を行おうとする場合、内視鏡の硬性および視覚化の角度は、外科医にとって障害となることが多い。外科医は、角度のついた硬性鏡の視覚化が有効である場合でも、なお不利な状況にある。さらには、特に小児の場合、単純に鼻孔または副鼻腔開口部に複数の器具を同時に挿入するだけのスペースがない。
【0005】
同様に、現時点で軟性内視鏡の実装も独自の問題を呈している。現時点で市場に出回っている軟性内視鏡システムの中には、軟性内視鏡の全長に組み込まれる微小器具チャネルにツールを通す必要のあるものがある。このようなシステムでは、ツールのサイズが内視鏡チャネルの直径に制限され、よって、内視鏡による組織操作に利用可能なツールのオプションが大幅に制限される。例えば、典型的な耳鼻咽喉(ENT)用軟性鼻咽頭鏡は、体腔内の角の周りを視覚化するために使用され得るが、把持鉗子、レーザ、バルーン、焼灼器または他の適切なサイズの外科用ツールを収容するためのチャネルを持たない。
【0006】
逆に、より大きい器具またはシャフトの外側へ付着されるチャネルに細い軟性内視鏡を通そうとすることも困難である。このために使用される軟性内視鏡は、通常は、長くて細く、備えるファイバは脆弱である。これらの軟性内視鏡は、安定化が難しく、器具の後ろに垂れ下がり、ある器具から別の器具への接続または移動が容易ではない。現在利用可能な軟性内視鏡を用いるには、両手が必要であって、片手で先端の屈曲部を操作し、もう一方の手でその先端を鼻孔で安定させる。例えば、Botoxおよび/またはRadeisse(登録商標)ヒドロキシルアペタイト・ペーストの経口喉頭注入のため現行方法は、厄介なものである。これらの方法は、鼻中の軟性鼻咽頭鏡および別個の針注入器が、経口で、医師にとっては扱いにくく患者にとっては不快な方式により同時に操作されることを必要とする。医師が軟性内視鏡の案内下で生検、焼灼または注入の実施を希望する場合、
鼻孔に置く手を、第2の器具、バルーン、焼灼器または吸引器を作動させるために離さなくてはならない。
【発明の概要】
【0007】
本明細書に記述する実装は、内視鏡を様々な異なる器具の取っ手部分および/またはツール部分へ取外し可能に着脱するように改良された、内視鏡およびアタッチメント機構の軟性-硬性ハイブリッド設計に関する。本明細書に記述するさらなる実装は、本明細書に記述する軟性-硬性内視鏡または他の内視鏡へ連結され得る器具の設計に関する。本明細書に記述するさらなる実装は、ケーブルコネクタを用いて制御ボックスへ取外し可能に連結する内視鏡を含む、軽量かつ軟性の内視鏡システム設計に関する。
【0008】
ある実施形態において、内視鏡は、硬性の近位端であって、内視鏡をある器具の取っ手部分へ取外し可能に連結するための硬性の近位アタッチメントセグメントを含む硬性の近位端と、患者の体腔に挿入されて体腔を撮像するための軟性の遠位端とを含む。場合によっては、内視鏡は、硬性の近位端と軟性の遠位端との間に先細の移行部を含んでもよい。
【0009】
実装によっては、遠位の軟性セグメントの長さに沿って金属バンドが間隔を置いて存在してもよい。金属バンドは、遠位の軟性セグメントを保護するため、かつ/または遠位の軟性セグメントを器具のツール部分へ磁気的に連結するためのものであってもよい。
【0010】
実装によっては、硬性の近位端は、硬性の近位アタッチメントセグメントと、遠位の非アタッチメントセグメントとを含む。硬性の近位アタッチメントセグメントは、内視鏡を器具へ取外し可能に連結するための長手方向に離隔された複数のスロットを含んでもよく、これらのスロットは、器具のアタッチメント機構のリッジへ挿入されるべきものである。硬性の近位アタッチメントセグメントは、内視鏡を器具へ取外し可能に連結するための複数の長手方向溝も含んでもよい。実装によっては、硬性の近位アタッチメントセグメントは、長方形または円形の断面を有する。
【0011】
実装によっては、近位アタッチメントセグメントは、内視鏡を器具へ取外し可能に連結するための1つまたは複数の突起を含むツイストロック機構を含む。
【0012】
実装において、内視鏡は、軟性の遠位端の先端に位置合わせされるレンズおよび発光体であって、前記発光体は腔を照らしかつ前記レンズは腔により反射される光を集める、レンズおよび発光体と、硬性の近位端へ連結されるアイピース(接眼部)またはカメラアッセンブリとを含んでもよい。
【0013】
実装において、内視鏡は、硬性の近位端に近接するハウジングであって、照明デバイス(例えば、1つまたは複数のLED)を含むハウジングと、ハウジングに近接するコネクタであって、内視鏡を制御ボックスへ接続するコネクタケーブルへ取外し可能に連結するコネクタとを含んでもよく、前記制御ボックスは、バッテリパック、画像センサおよびWIFIモジュールのうちの1つまたはそれ以上を含む。
【0014】
実装によっては、硬性の近位端は、10cm~20cmの長手方向長さおよび0.5cm~2cmの厚さを有し、かつ軟性の遠位端は、2.5cm~15cmの長手方向長さおよび1mm~4mmの厚さを有する。
【0015】
別の実施形態において、内視鏡システムは、軟性の遠位端および硬性の近位端を含む内視鏡と、内視鏡の硬性の近位端および軟性の遠位端の双方で内視鏡へ取外し可能に連結する器具とを含む。この実施形態では、内視鏡の硬性の近位端は、器具の取っ手部分へ取外し可能に連結されてもよく、かつ内視鏡の軟性の遠位端は、器具のツール部分へ取外し可
能に連結されてもよい。例えば、器具のハンドル部分は、本明細書に記述する、ハンドル部分を硬性の近位端へ取外し可能に連結するための様々な手段を含んでもよく、かつ/または器具のツール部分は、本明細書に記述する、ハンドル部分を硬性の近位端へ取外し可能に連結するための様々な手段を含んでもよい。
【0016】
実装によっては、器具は、器具のハンドル部分の作動部分より上に位置決めされるチャネルハウジング(管状ハウジング)を含み、前記ハウジングは、内視鏡の硬性の近位端上の長手方向に離隔された1つまたは複数のスロットに係合する引込み式内部突起を作動させる押下げ可能なボタンを含む。
【0017】
実装によっては、硬性の近位端は、長手方向に離隔されるスロットと、少なくとも1つの長手方向溝とを含み、器具の取っ手部分は、長手方向に離隔されるスロットと位置合わせするように離隔されるリッジを有する細長いチャネル(管)と、長手方向溝に係合するための引込み式内部バーとを含む。
【0018】
実装によっては、内視鏡の硬性の近位端は、ツイストロック機構を含む近位アタッチメントセグメントを含み、前記ツイストロック機構は、1つまたは複数の突起を含み、かつ器具は、突起を受け入れるスロット付きの器具チャネルを含む。
【0019】
実装によっては、器具のツール部分は、軟性-硬性ハイブリッド内視鏡の軟性の遠位端に係合するループを含む。
【0020】
実装によっては、軟性の遠位端は、軟性の遠位端の長さに沿って離隔される金属または磁性バンドを含み、かつ器具のツール部分は、金属バンドへ磁気的に連結する金属または磁化セグメントを有する器具シャフトを含む。
【0021】
実装によっては、器具のツール部分は、軟性の遠位端へ付着する一連のクリップを有する器具シャフトを含む。
【0022】
実装によっては、器具のツール部分は、内視鏡の軟性の遠位端が挿入される器具の遠位シャフトに沿って離隔される1つまたは複数の細長いチューブを含む。
【0023】
実装によっては、内視鏡システムは、さらに、第1および第2のチャネル溝を有する取外し可能なインサートを含み、前記第1のチャネル溝は、器具の器具シャフトへ付着し、かつ前記第2のチャネル溝は、内視鏡の軟性の遠位端へ付着する。特定の実装において、取外し可能なインサートは、さらに、吸引器または灌注器の少なくとも一方を送達するように構成される1つまたは複数の中空チャネルを含む。
【0024】
実装によっては、器具は、ガンハンドル、シリンジおよび注入針を含むシリンジガンであり、かつ内視鏡の硬性の近位端は、ガンハンドルの上部分へ取外し可能に連結する。
【0025】
実装によっては、器具は、中空管材のバルーンカニューレを含むエウスタキオ管拡張器であって、内視鏡の軟性の遠位端は、中空バルーンカニューレの遠位部分へ取外し可能に連結される。
【0026】
実装によっては、器具は、バルーン拡張器であって、内視鏡の硬性の近位端は、器具のバルーンポンプ・ハンドピースへ取外し可能に連結される。
【0027】
実装によっては、器具は、内視鏡経口的または経鼻的食道バルーン拡張器であって、ハンドピースと、ハンドピースから延びる中空管とを含み、前記中空管は、バルーンカテー
テルを受け入れ、内視鏡の硬性の近位端は、ハンドピースへ取外し可能に連結される。
【0028】
ある実施形態において、内視鏡システムは、内視鏡と、内視鏡へケーブルコネクタを用いて取外し可能に連結され得る携帯制御ボックスとを含む。このシステムの内視鏡は、軟性の遠位端と、硬性の近位端と、硬性の近位端に近接するハウジングであって、照明デバイスを含むハウジングと、ケーブルコネクタの第1の端へ取外し可能に連結するコネクタとを含んでもよい。このシステムの携帯制御ボックスは、ケーブルコネクタの第2の端へ連結してもよく、かつこの携帯制御ボックスは、内視鏡に給電するための電源と、内視鏡により捕捉される光を集める画像センサと、ネットワークインタフェースとを含んでもよい。
【0029】
開示する技術の他の特徴および態様は、以下の詳細な説明を、開示する技術の実装による特徴を例として示す添付の図面に関連して解釈すれば明らかとなるであろう。発明の概要に、本明細書に記述する如何なる発明の範囲をも限定する意図はなく、発明は、特許請求の範囲およびその等価物によって規定される。
【0030】
前述の概念の全ての組合せは(このような概念が相互に矛盾するものでない限り)、本明細書に開示する発明の主題の一部であることが企図される点は、認識されるべきである。具体的には、本開示の最後に現出する特許請求の範囲に記載された主題の全ての組合せは、本明細書に開示する発明の主題の一部であることが企図される。
【0031】
本開示を、1つまたは複数の実装により、以下の図面を参照して詳細に説明する。図面は、単に例示を目的として提供するものであって、描画する実装は、単なる例示である。さらに、図示を明確かつ簡単にするために、図中のエレメントは、必ずしも縮尺通りに描かれていないことに留意されたい。
【0032】
本明細書に包含する一部の図面は、開示する技術の様々な実装を異なる視野角から示している。添付の説明文では、これらの図を「上面図」、「底面図」または「側面図」として言及することがあるが、こうした言及は、単に説明的なものであって、別段で明示的な言明のない限り、開示する技術が特定の空間的方向性で実装または使用されることを含意または要求するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】実装による、正方形の近位アタッチメントセグメントを含む軟性-硬性ハイブリッド内視鏡を示す斜視図である。
【
図2】
図1の軟性-硬性ハイブリッド内視鏡の側面図を示す。
【
図3】本開示の実装による、円形の近位アタッチメントを含む別の軟性-硬性ハイブリッド内視鏡を示す斜視図である。
【
図4】本開示の実装による、長方形の近位アタッチメントセグメントを含む軟性-硬性ハイブリッド内視鏡を示す斜視図である。
【
図5】
図4の軟性-硬性ハイブリッド内視鏡の側面図を示す。
【
図6】本開示の実装による、正方形の近位アタッチメントセグメントを含む別の軟性-硬性ハイブリッド内視鏡を示す斜視図である。
【
図7】本開示の実装による、別の軟性-硬性ハイブリッド内視鏡を示す斜視図である。
【
図8】本開示の実装による、内視鏡が連結し得るトップダウン型ラチェットアタッチメント機構を含む喉頭鉗子器具を示す斜視図である。
【
図10】連結された内視鏡を含む、
図8の喉頭鉗子器具の斜視図を示す。
【
図11】喉頭鉗子のツール部分へ磁気的に連結された内視鏡の軟性の遠位端を示す斜視図である。
【
図12】喉頭鉗子のツール部分へ磁気的に連結された内視鏡の軟性の遠位端を示す斜視図である。
【
図13】実装による、喉頭鉗子器具を示す斜視図であって、前記喉頭鉗子器具は、内視鏡の軟性の遠位端が連結し得る1つまたは複数のクリップを備える湾曲した開チャネルを含む。
【
図15】喉頭鉗子のツール部分へ連結された内視鏡の軟性の遠位端を示す斜視図であり、前記ツール部分は、軟性の遠位端に連結するための1つまたは複数のクリップを備える開チャネルを含む。
【
図16】喉頭鉗子のツール部分へ連結された内視鏡の軟性の遠位端を示す斜視図であり、前記ツール部分は、軟性の遠位端に連結するための1つまたは複数のクリップを備える開チャネルを含む。
【
図17】実装による、喉頭鉗子器具を示す斜視図であって、前記喉頭鉗子器具は、内視鏡の軟性の遠位端が連結し得る1つまたは複数の細長い管を備える湾曲した開チャネルを含む。
【
図19】喉頭鉗子のツール部分へ連結された内視鏡の軟性の遠位端を示す斜視図であり、前記ツール部分は、軟性の遠位端に連結するための1つまたは複数の細長い管を備える開チャネルを含む。
【
図20】喉頭鉗子のツール部分へ連結された内視鏡の軟性の遠位端を示す斜視図であり、前記ツール部分は、軟性の遠位端に連結するための1つまたは複数の細長い管を備える開チャネルを含む。
【
図21】本開示の実装による、内視鏡が連結されるトップダウン型ラチェットアタッチメント機構を含む喉頭鉗子器具を示す斜視図である。
【
図22】本開示の実装による、内視鏡が連結し得る挿入型ラチェットアタッチメント機構を含む喉頭鉗子器具を示す斜視図である。
【
図25】連結された内視鏡を含む、
図22の喉頭鉗子器具の斜視図を示す。
【
図26】本開示の実装による、内視鏡が連結し得る挿入型ラチェットアタッチメント機構を含む副鼻腔鉗子器具を示す斜視図である。
【
図28】連結された内視鏡を含む、
図26の副鼻腔鉗子器具の斜視図を示す。
【
図29】本開示の実装による、内視鏡が連結し得る挿入型ツイスト機構を含む喉頭鉗子器具を示す斜視図である。
【
図31】本開示の実装による、内視鏡を器具へ連結するための挿入型ツイスト機構の内部コンポーネントを示す。
【
図32】本開示の実装による、内視鏡を連結するための機構を含む注入シリンジガンを示す斜視図である。
【
図34】本開示の実装による、連結された針および内視鏡を含む
図32の注入シリンジガンを示す側面図である。
【
図35】本開示の実装による、連結された針および内視鏡を含む
図32の注入シリンジガンを示す斜視図である。
【
図36】本開示の実装による、注入シリンジガンと共に使用され得る、内視鏡の遠位端を固定するためのリングを含む針を示す斜視図である。
【
図37】本開示の実装による、内視鏡と吸引ラインおよび灌注ラインとが連結された注入シリンジガンを示す側面図である。
【
図39】本開示の実装による、注入シリンジガンと共に使用され得る針を示す斜視図である。
【
図40】本開示の実装による、器具および内視鏡の遠位端へ連結され得る吸引ラインおよび灌注ラインアッセンブリを示す。
【
図41】本開示の実装による、連結された内視鏡を含む別の注入シリンジガンを示す斜視図である。
【
図42】本開示の実装による、内視鏡を連結するための挿入型ラチェット機構を含む内視鏡エウスタキオ管バルーン拡張器を示す斜視図である。
【
図43】本開示の実装による、内視鏡とバルーンカテーテルとが連結された
図42の内視鏡エウスタキオ管バルーン拡張器を示す斜視図である。
【
図44】本開示の実装による、内視鏡とバルーンカテーテルとが連結された
図42の内視鏡エウスタキオ管バルーン拡張器を示す斜視図である。
【
図45】本開示の実装による、内視鏡とバルーンカテーテルとが連結された
図42の内視鏡エウスタキオ管バルーン拡張器を示す側面図である。
【
図46】本開示の実装による、内視鏡を器具の遠位端へ連結するために使用され得る取外し可能なインサートを示す斜視図である。
【
図47】
図46の取外し可能なインサートの別の斜視図を示す。
【
図48】本開示の実装による、内視鏡下の気管、副鼻洞または食道バルーン拡張の間に使用されるべきバルーン・ハンド・ポンプを示す斜視図である。
【
図49】
図48のバルーン・ハンド・ポンプの別の斜視図を示す。
【
図50】
図48のバルーン・ハンド・ポンプの別の斜視図を示す。
【
図51】連結された内視鏡および気管バルーン拡張アッセンブリを含む、
図48のバルーン・ハンド・ポンプを示す側面図である。
【
図52】連結された内視鏡およびバルーン拡張アッセンブリを含む、
図48のバルーン・ハンド・ポンプを示す側面図である。
【
図53】本開示の実装による、内視鏡気管拡張器と共に使用され得るストッパを示す。
【
図54】本開示の実装による、バルーン拡張器アッセンブリを示す。
【
図55】本開示の実装による、拡張用気管切開チューブを示す。
【
図56】本開示の実装による、内視鏡が連結し得る内視鏡経口的食道バルーン拡張器を示す斜視図である。
【
図57】本開示の実装による、内視鏡経口的食道バルーン拡張器と共に使用され得るバルーンカテーテルを示す。
【
図58】本開示の実装による、内視鏡が連結し得る内視鏡経口的食道バルーン拡張器を示す斜視図である。
【
図59】本開示の実装による、内視鏡が連結された
図58の内視鏡経口的食道バルーン拡張器を示す斜視図である。
【
図60】本開示の実装による、内視鏡が連結された内視鏡経口的食道バルーン拡張器を示す斜視図である。
【
図61】
図60の内視鏡が連結された内視鏡経口的食道バルーン拡張器の別の斜視図を示す。
【
図62】
図40の吸引ラインおよび灌注ラインアッセンブリのコネクタ内の灌注および吸引ポートの代替ロケーションを示す。
【
図63】実装による、内視鏡を器具へ取り付けるためのレバー式トップダウン型ラチェット機構に含まれる別の軟性-硬性ハイブリッド内視鏡を示す斜視図である。
【
図64】実装による、レバー式トップダウン型ラチェット機構を示す斜視図である。
【
図65】
図64のレバー式トップダウン型ラチェット機構の別の斜視図を示す。
【
図66】閉位置にある
図64のレバー式トップダウン型ラチェット機構を示す略側面図である。
【
図67】開位置にある
図64のレバー式トップダウン型ラチェット機構を示す略側面図である。
【
図68】本開示の実装による、内視鏡とバルーンカテーテルとが連結された別の内視鏡エウスタキオ管バルーン拡張器を示す側面図である。
【
図69】実装による、電荷結合素子軟性-硬性ハイブリッド内視鏡を示す側面図である。
【
図70】実装による、
図69の内視鏡へ着脱式に連結され得るケーブル、およびこの着脱式ケーブルを用いて内視鏡へ通信可能式に連結され得る携帯制御ボックスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
これらの図面は、網羅的なものではなく、よって本開示は、開示される正確な形態によって限定されない。
【0035】
先に述べたように、現時点での内視鏡の実装には、処置の間に他の器具を用いることに関して制限がある。硬性内視鏡は、患者の体腔を効果的に視覚化するほどには曲がり得ず、軟性内視鏡は、別の医療器具と組み合わせると効果的に安定し得ず、または容易に使用され得ない。多くの場合、内視鏡が組織の把持または除去を視覚化することは困難であり得、よって、到達しにくい部位では、こうした処置が盲目的に行われ、結果的に組織の除去が不完全になることがある。さらに、医師が内視鏡と器具とを同時に操作しかつ位置合わせすることは、厄介であり得る。
【0036】
この目的に沿って、本開示の実装は、内視鏡の改良された軟性-硬性ハイブリッド設計、および内視鏡を様々な異なる器具へ取外し可能に着脱するための単純化された機構に関する。本明細書に記述するさらなる実装は、本明細書に記述する軟性-硬性内視鏡へ連結され得る器具の新規設計に関する。このような器具には、喉頭鉗子および副鼻腔鉗子、喉頭シリンジガン、内視鏡エウスタキオ管バルーン拡張器、内視鏡気管拡張器および内視鏡経口的食道バルーン拡張器が含まれる。
【0037】
後述する実装からさらに理解されるであろうが、本明細書に記述する内視鏡設計は、医師および患者の双方に様々な利点を提供し得る。例えば、内視鏡を器具へ取外し可能に連結するための迅速で単純化された信頼性の高い機構を提供することにより、本明細書に記述する内視鏡設計は、医師および患者の時間を節約し得る。さらに、本明細書に記述する内視鏡設計は、様々な異なる器具タイプへ取外し可能に連結されるように適合化され得るが、これにより、追加的なコスト節約および利便性が提供され得る。さらに、本明細書に記述する設計により、医師が様々な異なる器具を備えた内視鏡を片手で用いて患者の処置を容易にすることが見込まれ得る。場合によっては、これにより、処置を補助する2人目の医療専門家が不要となり得、かつ診療所で行われ得る外科手術が増え、これにより、様々な処置のコストが削減され得る。
【0038】
さらに、本明細書に記述する内視鏡設計は、内視鏡および器具を人体開口部(例えば、鼻または喉)へ同時に別々に挿入する必要性をなくし、かつ挿入される器具および内視鏡の全体的なプロファイルを減らすことにより、患者の快適さを改善し得る。さらに、本明細書に記述する内視鏡設計は、鼻咽頭、前頭洞、前上顎洞、舌根、他等の従来到達しづらい解剖学的部位における外科的アクセス、視覚化および計装を改善し得る。本明細書に記述する技術の実装により実現され得るこれらの利点および他の利点は、以下の説明からさらに認識され得る。
【0039】
図1~
図2は、本開示による軟性-硬性ハイブリッド内視鏡100の実装を示す。
図1
に示すように、内視鏡100は、アイピース110と、光源用の接続部120と、硬性の近位端130と、軟性の遠位端140と、遠位端140の端に配置される対物レンズ150とを含んでもよい。内視鏡100を操作する間、接続部120へ連結される光源(例えば、光ケーブル)は、光を発し、これが1つまたは複数の光ケーブル(不図示)によって遠位方向へ運ばれて内視鏡100の遠位端(例えば、端140)で発せられ得る。例えば、発せられる光は、患者の内部空洞を照らし得る。患者の内部空洞により反射される光は、対物レンズ150によって集められ、1つまたは複数の光ケーブル(不図示)により近位方向にアイピース110および/またはカメラへと運ばれ、内部空洞の画像が生成され得る。内視鏡100の遠位端で発する光を運ぶために使用される光ケーブル、および/または内視鏡100の近位端で画像を生成すべく対物レンズ150から集められる光を運ぶために使用される光ケーブルは、端130および端140によって封入されても、別段で包み込まれてもよい。
【0040】
図1の例において、光は、アイピース110へ戻され、アイピース110は、画像の倍率および/または焦点を調節するための制御装置を含んでもよい。アイピースは、生成されるビデオを表示するためのディスプレイモニタへ連結し得るビデオ・カメラ・ユニット(例えば、CCDセンサを含むユニット)へ連結されてもよい。例えば、内視鏡のアイピースは、ビデオ・カメラ・ユニットへ、適切なアダプタを用いて連結してもよい。実装によっては、ビデオ・カメラ・ユニットは、捕捉されるビデオを外部のディスプレイデバイスへ無線送信するための無線送信機(例えば、WIFI送信機)を含んでもよい。例えば、ビデオ・カメラ・ユニットは、ビデオを、ディスプレイ用モバイルデバイス、デスクトップのディスプレイデバイスまたは他の適切なディスプレイデバイスへ送信してもよい。実装によっては、ビデオ・カメラ・ユニットは、完全にアイピース110に取って代わってもよい。このような実装では、ビデオ・カメラ・ユニットが、画像の倍率、方向性および/または焦点を調節するための制御装置を含んでもよい。例えば、内視鏡は、光ファイバまたはアイピースの代わりに、レンズ系またはCCDセンサを収容する硬性または軟性のチューブを含んでもよい。
【0041】
実装によっては、内視鏡100に1つまたは複数の光源が(例えば、接続部120の代わりに)統合されてもよい。例えば、統合される光源は、異なる波長の光(例えば、赤、緑および青)を発するように構成されてもよい。実装によっては、内視鏡100は、バッテリ等の統合された電源を含んでもよい。
【0042】
内視鏡100は、近位端130が硬性であり、遠位端140が軟性である。近位端130の硬性構造は、安定性および内視鏡と器具との連結促進を提供し得る。硬性を提供する材料には、ステンレス鋼、磁性金属、プラスチック、セラミック、他が含まれてもよい。遠位端140の軟性は、遠位の内視鏡が曲がって様々な器具実装および解剖学的部位の曲がりおよび屈曲角形成に適合することを可能にし得る。両端間の接合部は、先細の移行部145であり、これは、硬くかつ柔軟であり得る。移行部145は、歪みを最小限に抑えて内視鏡100内の光ファイバの破損を防ぐことに役立ち得る。実装において、先細の移行部145は、近位端130または遠位端140の1つのセグメントであってもよい。
【0043】
内視鏡の長さおよびキャリパは、解剖学的部位、所望される用途および内視鏡へ取り付けられる器具に従って変わり得る。特定の実装において、アイピース110から遠位端140の端までの内視鏡の全長は、20~40cmであってもよい。アイピース110から遠位端まで延びる端130と端140との合計の長さは、医療用途に依存して変わり得るが、少なくとも一部の用途では、15~35cmであってもよい。特定の用途において、硬性の近位端130の長さは、10~20cmであってもよく、かつ軟性の遠位端140の長さは、4~15cmであってもよい。ある特定の実装では、移行部145を含む軟性の端140の長さは、約8.5cmであり、かつ硬性の端130の長さは、約15.5c
mである。実装において、硬性の近位端130は、0.8cm~1.5cmの範囲の厚さ(例えば、直径)を有してもよく、かつ軟性の遠位端140は、1.2cm~4cmの範囲の厚さ(例えば、直径)を有してもよい。特定の実装では、先細の移行部145の長さは、0.5cm~1.5cmであってもよい。
【0044】
この内視鏡の例100において、硬性の近位端130は、2つのセグメント、すなわち、内視鏡100を器具へ取外し可能に連結するための硬性の近位アタッチメントセグメント131と、移行部145において遠位端140へ移行する硬性の遠位セグメント132とを備える。
図1~
図2の例では、近位アタッチメントセグメント131は、正方形の断面を有し、かつその表面に、内視鏡が器具へ取外し可能に連結される際にその位置(延ては、その長さ)を調節するために使用され得る長手方向に離隔されたスロット133を有する。例えば、連続するスロット133の離隔距離が1cmであれば、取り付けられる器具に沿った内視鏡100の位置は、1cm間隔で調節され得る。セグメント131は、さらに、セグメント131の表面に沿って長手方向に延びる溝134を含む。溝134とスロット133との組合せは、ユーザが、様々なタイプおよび構成の器具への取り付けに際して、内視鏡を様々な周方向および長さ方向位置に構成しかつ固定することを可能にし得る。実装によっては、連続するスロットは、0.1cm~3.0cmの距離で離隔され得る。特定の実装では、連続するスロット133は、0.5cm~2.0cmの距離で離隔されてもよい。
【0045】
実装において、アタッチメントセグメントは、1~12個のスロットと、1~12個の溝とを備えてもよい。特定の実装では、アタッチメントセグメントは、アタッチメントセグメントの周囲に等距離で離隔される4~8個の溝を備えてもよい。
図1~
図2の例において、内視鏡100のアタッチメントセグメント131は、アタッチメントセグメントの周囲に等距離で離隔された5つのスロットおよび4つの溝を備える。
図3は、離隔された5つのスロット233と、セグメント231の表面に沿って長手方向に延びる6つの溝234とを備える円形のアタッチメントセグメント231を有する別の例示的な内視鏡200を示す。
【0046】
軟性の遠位端140は、患者の腔(例えば、鼻または喉)へ挿入される器具の遠位端へ連結するように構成される。後に図を用いてさらに説明するように、遠位端140は、適度に軟性であって医療器具の輪郭に沿って曲がり得る。この例示的な内視鏡100において、軟性の遠位端140は、その表面の長さに沿って離隔される磁性金属バンド141を備える。磁性バンド141は、遠位端140を器具の遠位端へ磁気的に連結しかつ固定するために使用され得る。磁性バンド141は、遠位端140に、内部の光ファイバまたは光部品を歪みおよび損傷から保護するための追加的な補強も加え得る。磁性バンドは、遠位端140上へ、その柔軟性および最大曲げ半径を保持するために配置されてもよい。バンドは、鉄、ニッケル、コバルトまたはこれらの合金等の適切な強磁性材料で製造されてもよい。他の実施形態では、遠位端140の表面は、端140の長さに沿って連続する磁性材料で被覆されても、別段で覆われてもよい。磁性材料は、使用の間の損傷を防止すべく適度に柔軟で曲げることができるものであり得る。さらに他の実装では、遠位端140は、磁性材料を含まず、代わりに、取り付けられる器具の上または内部に含まれる磁性材料へ連結する金属バンドを含んでもよい。また、遠位端140は、器具の遠位端へ、後に詳述する他の何らかのアタッチメント機構を用いて連結されてもよい。
図4~
図5は、このような、磁性材料を含まない内視鏡300の遠位端の一例340を示す。
【0047】
様々な実装では、軟性の遠位端140が保護的な軟性の外部シース(不図示)で覆われてもよい。シースは、用途の必要性に応じて医療処置の前に滅菌されてもよい。軟性の遠位端140がその表面に沿って磁性材料(例えば、磁性バンド141)を備える実装では、シースが磁性材料を覆ってもよく、かつ磁性材料により生成される磁場は、シースを通
じて、遠位端140を器具の遠位端へ連結しかつ固定するに足る強度であってもよい。
【0048】
図69は、実装による、電荷結合素子(CCD)軟性-硬性ハイブリッド内視鏡2000を示す側面図である。内視鏡2000は、硬性の近位端2030と、軟性の遠位端2040とを含む。硬性の近位端2030は、内視鏡2000を器具へ取外し可能に連結するための硬性の近位アタッチメントセグメント2031と、移行部2045において軟性の遠位端2040へ移行する硬性の遠位セグメント2032とを含む。硬性の近位アタッチメントセグメント2031は、正方形の断面を含み、かつその表面に、内視鏡が器具へ取外し可能に連結される際にその位置(延ては、その長さ)を調節するために使用され得る長手方向に離隔されたスロット2033を含む。セグメント2031は、さらに、セグメント2031の表面に沿って長手方向に延びる溝2034を含む。
【0049】
内視鏡2030は、その近位端において、照明デバイス(例えば、LEDモジュール)を組み込み得るハウジング2020と、内視鏡を制御ボックスへ連結するために内視鏡2030へ取外し可能に連結され得るコネクタ2010とを実装する。例として、
図70は、内視鏡2000のコネクタ2010へコネクタケーブル2100を用いて連結し得る携帯制御ボックス2200を示す。図示されている例において、コネクタ2010は、メスのODUケーブルであり、コネクタケーブル2100の端2110は、コネクタ2010へ連結するオスのODUケーブルであって、コネクタケーブル2100の端2120は、制御ボックス2200へ連結するオスのUSBケーブルである。しかしながら、内視鏡2000を制御ボックス2200へ連結するために、様々な適切なコネクタタイプ(例えば、高解像度画像データをリアルタイムで転送することに適するタイプ)が使用され得ることは、認識されるべきである。例えば、USB3.xコネクタ、USB TYPE-Cコネクタ、THUNDERBOLTコネクタ、HDMI(登録商標)1.xまたは2.xコネクタ、他が使用されてもよい。実装において、コネクタケーブル2100の長さは、人間工学、制御ボックス2200と内視鏡2000との相対位置、他等の要因に基づいて調製されてもよい。例えば、コネクタケーブル2100の長さは、1メートル、2メートル、3メートル、5メートル、他であってもよい。
【0050】
この例において、制御ボックス2200は、内視鏡2000へ給電するバッテリパック、制御盤、ネットワークインタフェース(例えば、WIFIボード)、画像センサ(例えば、CCDまたはCMOSチップ)、および内視鏡2000の操作に使用され得る他のコンポーネントのうちの1つまたはそれ以上を収容してもよい。例えば、LED光源が内視鏡のハウジング2020内に含まれる一方で、他の全てのコンポーネントは、制御ボックス2200内に収容されてもよい。制御ボックスは、(例えば、ライブビデオを送信するために)スマートフォン、ラップトップまたはタブレット等のモバイルデバイスへ通信可能式に連結してもよい。
【0051】
ケーブル2100を用いて内視鏡2000を制御ボックス2200へ取外し可能に連結するこの構成により、内視鏡2000の人間工学が最適化または改善され得る。例えば、処置の間、医師は、携帯制御ボックス2200をベルトに挟んでも、制御ボックス2200をポケットまたは他の便利な場所に置いてもよい。この設計は、内視鏡の軽量化もし得、かつケーブルの分離は、内視鏡およびケーブルを別々に滅菌することを可能にする。このような設計は、ER、第三世界の国々、NASA、EMTにとって、および耳鼻咽喉科の診療所および外科手術室において実用的であり得る。これは、バッテリパック、制御盤およびカメラ等のコンポーネントが内視鏡自体に収容される、または取り付けられる、現在の嵩張ったWIFI内視鏡とは対照的である。これらの現在の内視鏡は、外科手術には重すぎて扱いにくいものであり得る。
【0052】
代替の実装において、ケーブル2100は、手術用ビデオ・タワー・ユニット上へ置く
ことも可能な非WiFiの配線式制御ボックスへ連結してもよい。
【0053】
軟性-硬性ハイブリッド内視鏡のアタッチメント機構
【0054】
先に示唆したように、本明細書に記述する軟性-硬性ハイブリッド内視鏡は、様々な異なるタイプの医療器具へ、アタッチメントの主たる2つの部位、すなわち硬性の近位端および軟性の遠位端、を用いて取外し可能に連結し得る。例えば、硬性の近位アタッチメントセグメント131、231、331、431、530は、器具の取っ手部分へ取外し可能に連結してもよい。さらに、器具およびツールのタイプに依存して、軟性の遠位端140、340は、軟性の遠位端の対物レンズが器具ツール(例えば、患者の腔へ入って処置を行う器具コンポーネント)の近位に位置合わせされるように、器具の遠位面または遠位端へ、かつその輪郭に沿って取外し可能に連結してもよい。この方式において、対物レンズは、患者に処置を実行する間に、器具のツールおよび患者の腔の適切な視覚化を提供し得る。
【0055】
内視鏡を器具へ取外し可能に連結するための迅速で安全かつ/または単純な機構を提供するように構成され得るこのようなアタッチメント機構については、
図8~
図61を参照して後に詳述する。本開示が本明細書に記述しかつ図示する特定のアタッチメント機構に限定されず、軟性-硬性内視鏡を器具へ取外し可能に連結するための他の機構も企図されることは、留意されるべきである。また、幾つかのアタッチメント機構は、主として特定の内視鏡(例えば、内視鏡100)のコンテキストにおいて記述されるが、アタッチメント機構は、当該アタッチメント機構との適合性があるという想定の下に、本明細書に記述する他の軟性-硬性内視鏡またはこれらの変形例に適用し得ることも、留意されるべきである。さらに、本明細書に記述する異なるアタッチメント機構は、相互に排他的なものではなく、よってこれらは、これらが互換的である限りにおいて共に使用され得ることも留意されるべきである。例えば、場合によっては、複数のアタッチメント機構が、内視鏡の硬性の近位端を器具の取っ手部分へ取り付けるために使用されてもよく、かつ/または、複数のアタッチメント機構が、内視鏡の軟性の遠位端を器具のツール部分へ取り付けるために使用されてもよい。
【0056】
磁性アタッチメント機構
【0057】
図1~
図6および
図8に示す一実装において、磁性アタッチメント機構は、内視鏡100の硬性の近位アタッチメントセグメント131、231、331、431、530を、ツールハウジング624の開チャネルセグメント625へトップダウン方式で取外し可能に連結するために使用されてもよい。このような実装では、セグメント625(例えば、開チャネルの表面)が磁化されても、かつ/または、軟性ハイブリッドスコープの硬性の近位アタッチメントセグメントが磁化されてもよい。このタイプの磁気実装は、単独で使用される可能性もあれば、本明細書に記述しかつ図示する他の特定のアタッチメント機構と組み合わせて使用される可能性もある。
【0058】
トップダウン型ラチェット機構
【0059】
図8~
図10、
図13~
図14、
図17~
図18、
図21、
図41、
図48~
図52および
図58~
図59に示す幾つかの実装では、内視鏡の硬性の近位アタッチメントセグメントを器具の取っ手部分へ固定するために、トップローディング式のラチェット機構が使用され得る。例えば、
図8~
図10、
図13~
図14および
図17~
図18に示すように、器具600の取っ手部分620は、硬性の近位アタッチメントセグメント131をハウジング624の細長い開チャネル625内へ押し下げることにより内視鏡100へトップダウンで取外し可能に連結するための細長い開チャネル625を有する器具ハウジング6
24を備えてもよい。
【0060】
器具ハウジング625の内面は、硬性の近位アタッチメントセグメント131の連続するスロット133間のスペーシングに対応する間隔(例えば、約1cm間隔)で離隔され得る、垂直方向に離隔されたリッジ626を含んでもよい。取り付けの間、ハウジング624の外側に位置決めされたボタン622が押され、開チャネル625の内側面に位置決めされた水平方向のバー628が引っ込められてもよい。バー628が引っ込むと、リッジ626がスロット133と位置合わせされてスロット133内へ挿入されてもよい。このようにして内側の垂直リッジを長手方向に離隔されたスロットに位置合わせすることにより、内視鏡が固定され、かつ前後の動きが防止される。内視鏡100が挿入されると(すなわち、リッジがスロットに挿入されると)、内視鏡がチャネル625の上方外側へと動くことを防止するために、ボタン622を解除してバー128がアタッチメントセグメントの長手方向溝134のうちの1つに固定されてもよい。内視鏡100の位置を変える(例えば、器具に沿って内視鏡を回す、または前後方向へ動かす)場合は、ボタン622を押して内視鏡100を持ち上げ、次にこれを、新しいスロット133および/または溝134がリッジ626および/またはバー628へ固定されるように押し下げてもよい。
【0061】
効果的には、本明細書に記述するトップローディング式のラチェット機構は、内視鏡を器具へ固定するための迅速かつ簡単な手段を提供する。器具内での内視鏡の連結、連結解除および/または位置変更は、単に、ボタン622を押して、リッジ626が特定のスロットセット133に挿入されるように内視鏡100を持ち上げ(位置変更の場合)かつ押し下げるだけのことである。
【0062】
特定の実装において、本明細書に記述するトップローディング式のラチェット機構は、レバー式のトップダウン型ラチェット機構として実装されてもよい。このような機構の特定の実装を、
図21、
図41、
図58~
図59および
図63~
図67に示す。特に
図63~
図67を参照すると、軟性-硬性ハイブリッド内視鏡1800は、器具の取っ手部分(不図示)に位置づけられ得るレバー式のトップローディング式ラチェット機構1810へ取外し可能に連結されてもよい。
【0063】
このトップローディング式のラチェット機構1810は、硬性の近位アタッチメントセグメントをハウジング1824の細長い開チャネル1825内へ押し下げることにより内視鏡1800へトップダウンで取外し可能に連結するための細長い開チャネル1825を有する器具ハウジング1824を含んでもよい。器具ハウジング1824の内面は、硬性の近位アタッチメントセグメントの連続するスロット1833間のスペーシングに対応する間隔で離隔され得る、垂直方向に離隔されたリッジ1826を含んでもよい。この特定の実装では、ハウジング1822の外側に位置づけられるボタン1822の作動により、ハウジング1824の内側に位置づけられるレバー1823の一部分1828が内側から引っ込められる。例えば、
図66は、閉位置または引っ込められていない位置にあるときのレバー1823を示し、かつ
図67は、開位置または引っ込められた位置にあるときのレバー1823を示す。
図66~
図67に示すように、レバー1823は、ボタン1822が作動されるとこの引き込めを可能にするピン1829でヒンジ留めにされてもよい。
【0064】
図21は、器具の取っ手部分920に組み込まれたレバー式のトップローディングラチェット機構を含む、別の例示的な器具実装900を示す。この例では、ボタン922を押すと、内視鏡の長手方向溝に固定されたレバー923が解除され得る。
【0065】
代替実装では、トップダウン型ラチェット機構が、内視鏡の硬性の近位アタッチメントセグメントのスロットをリッジに置き換え、かつ器具ハウジングのリッジをスロットに置き換えることによって実装されてもよい。
【0066】
代替実装では、内視鏡の硬性の近位セグメントを器具の取っ手部分へトップダウンで取外し可能に取り付けるために、他のアタッチメント機構が使用され得る。例えば、硬性の近位セグメントは、クランプ、ねじ式回転、圧入、スナップ嵌め、摩擦嵌め、磁気結合、二次デバイスによる取り付け、および/または内視鏡を確実に保持するための他の適切な手段によって取り付けられてもよい。
【0067】
挿入型ラチェット機構
【0068】
図22~
図28、
図32~
図35、
図37~
図38、
図42~
図45および
図60~
図61に示す幾つかの実装では、内視鏡の硬性の近位アタッチメントセグメントを器具へ固定するために、挿入型のラチェット機構が使用され得る。例えば、
図22~
図28に示すように、器具の取っ手部分1020は、取っ手部分の作動部分より上に位置決めされるハウジング1021を備えてもよい。ハウジング1021は、開口と出口開口とを含むチャネル1023を含んでもよい。取り付けの間、内視鏡100は、チャネル1023を介して挿入され得る。挿入の間、内視鏡(例えば、正方形または丸形のスコープ)の側面に位置決めされる長手方向に離隔されたスロット(例えば、スロット133、233、333、他)は、ハウジング外側のボタン1022により作動される引込み式内部突起1024(例えば、ばね懸架式突起)とぴったり合い得る。引込み式内部突起1024が長手方向に離隔されたスロットのうちの1つに挿入されると、内視鏡は、所定位置に固定され得る。
【0069】
挿入型ツイスト機構
【0070】
図7および
図29~
図31に示す幾つかの実装では、内視鏡の硬性の近位アタッチメントセグメントを器具へ固定するために、挿入型のツイスト機構が使用され得る。例えば、
図7を参照すると、軟性-硬性ハイブリッド内視鏡500は、1つまたは複数の一連の突起533(例えば、金属突起)を含む近位の細長い硬性アタッチメントセグメント530を含んでもよい。器具の取っ手部分または作動部分1220の上部のハウジング1221に位置決めされる、
図29~
図31に示すスロット付きの器具チャネル1223は、内視鏡を挿入する間に突起533を収容し得る。
【0071】
挿入の間、突起533は、内部チャネルのスロット1225を介して挿入され得、よって内視鏡が所望される長さまで挿入され得る。内視鏡は、突起533をチャネル1223の内側の溝1224と位置合わせしかつ内視鏡をねじって所定位置にロックすることにより所定の位置にロックされ得、これにより、前後の動きが防止される。内視鏡を取り外すには、ユーザは、内視鏡を回転させてその外側の突起533の位置をスロット1225に合わせ、チャネルから内視鏡を引き出してもよい。この特定のツイストロック実装例において、回転は、(例えば、ライトコードとカメラとを位置合わせし直すための)処置中のスコープ回転を許容する約120度の弧を介して有効化されてもよい。
【0072】
内視鏡の軟性遠位端の取り付け機構
【0073】
本明細書では、ハイブリッド内視鏡の軟性の遠位端140、340を器具の遠位端(例えば、ツール端)へ取り付けるための複数の機構について述べる。これらの例示的な機構は、必ずしも相互に排他的なものではなく、よって使用される器具のタイプおよび器具の用途に依存して、異なるアタッチメント機構を使用する必要があり得ることは、留意されるべきである。さらに、本明細書に記述するハイブリッド内視鏡の軟性の遠位端は、後に詳述する例示的な実装以外の他のアタッチメント機構を用いて取り付けられ得ることも、認識されるべきである。
【0074】
先に示唆したように、
図8~
図12、
図21および
図25~
図31に示す一実装では、内視鏡の軟性の遠位端140を器具の遠位/ツール部分へ取外し可能に連結するために、磁性アタッチメント機構が使用され得る。例えば、器具のツール部分610または1110は、内視鏡の遠位端を取り付けるための湾曲した開チャネル612または1112を含む器具シャフトまたは器具セグメント611または1111を含んでもよい。これらの例では、チャネル612または1112の表面は、遠位端140のバンド141へ磁気的に結合してもよい。このような実装では、セグメント611または1111(例えば、開チャネルの表面)が磁化されても、かつ/または器具のバンド141が磁化されてもよい。
【0075】
図13~
図16に示す別の実装において、器具のツール部分710は、内視鏡の軟性の遠位端を取り付けるための湾曲した開チャネル712を含む器具シャフトまたは器具セグメント711と、チャネルに沿って長手方向に離隔される、内視鏡の遠位端を所定位置で半円周方向に保持するための1つまたは複数のクリップ713(例えば金属クリップ)とを含んでもよい。この実装は、内視鏡の軟性の遠位端に追加的な安定性を提供しかつ前記遠位端の移動を防止するために、磁性アタッチメント実装と組み合わされてもよい。この実装は、内視鏡の軟性の遠位端が器具の遠位端へ磁気的に付着するように構成されない場合にも効果的であり得る。内視鏡を器具クリップまたは他のアタッチメント実装へ固定する際に繊細な内視鏡ファイバを保護するために、内視鏡の柔軟な遠位に沿って断続的に金属バンドが離隔配置されてもよい。
【0076】
図17~
図20に示す別の実装において、器具のツール部分810は、内視鏡の軟性の遠位端を取り付けるための湾曲した開チャネル812を含む器具シャフトまたは器具セグメント811と、チャネルに沿って長手方向に離隔される、内視鏡の遠位端を所定位置で円周方向に保持するための1つまたは複数の細長いチューブ813とを含んでもよい。この実装は、内視鏡の軟性の遠位端に追加的な安定性を提供しかつ前記遠位端の移動を防止するために、磁性アタッチメント実装と組み合わされてもよい。この実装は、内視鏡の軟性の遠位端が器具の遠位端へ磁気的に付着するように構成されない場合にも効果的であり得る。
【0077】
図34~
図36および
図41に示す別の実施形態において、内視鏡の軟性の端は、器具の遠位ツール部分(例えば針)へ付着された一連のループ129(例えば金属ループ)を介して前進されてもよい。
【0078】
図37~
図38、
図40、
図43~
図47および
図62に示す別の実装において、取外し可能な硬性または軟性の再使用可能または使い捨てインサート1333は、器具の各遠位シャフトの長さ、曲率および形状に適合可能であっても、かつ/またはこれらに合わせてカスタマイズされてもよい。取外し可能なインサートは、2つのチャネル溝1334および1335を有してもよく、これらは各々、溝1334より下の器具シャフトおよび溝1335より上のハイブリッド内視鏡の軟性の(かつ実装によっては硬性の一部)態様に固着する(または、器具の設計および用途に依存してこの逆)細長いクラスプとして機能し得る。このようなインサートの壁内には、吸引器1336、57または灌注器1337、56(
図40および
図62)が通って遠位の内視鏡、レンズまたは器具ツールコンポーネントへ送達される可能性もある1つまたは複数の中空チャネルが組み込まれてもよい。例えば、
図37~
図38および
図40は、インサート1333に近接して取り付けられ得る吸引ライン1338および灌注ライン1339を描いている。過剰なラインおよびもつれを最小限に抑えるために、灌注ラインおよび吸引ラインは、接合部1341で集束して、着脱式インサートから器具の取っ手または近位部分から離れたポイントまで延びる1つのラインとして機能するより小さい1つのキャリパ二重ライン1340となる。
【0079】
内視鏡の軟性の遠位端のアタッチメント機構の各々について、実装は、器具シャフトに沿った端点に、内視鏡の軟性の先端の安定化、患者の内部空洞および器具ツールを適正に視覚化するための先端の位置合わせ、および内視鏡のさらなる前進の防止を手助けするための小さい中空のリングまたはキャップ55を含んでもよい。
図62に示すように、リング/キャップ機構には、スコープの先端に付着する分泌物、血液または医療処置の間に遭遇しやすい他のデブリを除去することに役立つ吸引ポートおよび/または灌注ポート56、57が組み込まれてもよい。
【0080】
器具
【0081】
本明細書に記述する軟性-硬性内視鏡の実装は、以下で詳述する様々な異なる器具へ取外し可能に連結されてもよい。本明細書に記述する器具は、一部の例を示している。本明細書に記述する内視鏡が連結され得る器具のツール部分には、把持器、カッタ、咬鉗子、はさみ、バルーン、針注入器、焼灼器、レーザ、キュレット、培養ツール、吸引ツール、マイクロデブリッダ、スネア、ステープラ、ファスナ等の任意の数の外科用ツールが含まれてもよい。
【0082】
さらに、実装によっては、本明細書に記述する器具が、本明細書に記述する新規硬性-軟性ハイブリッド内視鏡に加えて、他の内視鏡へも連結され得ることは、留意されるべきである。
【0083】
喉頭鉗子
【0084】
実装によっては、本明細書に記述する軟性-硬性内視鏡は、喉頭鉗子器具へ連結されてもよく、
図8~
図25および
図29~
図30は、その実装を示す。使用の間、器具のツール部分またはシャフトは、患者の口から喉を介して患者の喉頭腔へ挿入されてもよい。例えば、喉頭鉗子600のブレード619は、除去する必要がある組織の近くに位置合わせされてもよい。鉗子600のブレード619を内視鏡100のレンズ150の直前に位置合わせすることは、医師が、ブレードが組織へ接触する際のブレードおよび喉頭腔を適正に視覚化することを可能にし得る。よって、医師は、ブレード619による組織の把持または切断を見ながら、鉗子600の取っ手629を作動し得る。
【0085】
副鼻腔鉗子
【0086】
実装によっては、本明細書に記述する軟性-硬性内視鏡は、副鼻腔鉗子器具へ連結されてもよく、
図26~
図28は、その実装を示す。使用の間、器具のツール部分またはシャフトは、鼻孔を介して患者の副鼻腔へ挿入されてもよい。例えば、鉗子1100のブレード1119は、除去する必要がある上顎洞内組織の近くに位置合わせされてもよい。副鼻腔鉗子1100のブレード1119を内視鏡100のレンズ150の直前に位置合わせすることは、医師が、ブレードが組織へ接触する際のブレードおよび副鼻腔を適正に視覚化することを可能にし得る。よって、医師は、ブレード1119による組織の把持または切断を見ながら、副鼻腔鉗子1100の取っ手1029を作動し得る。
【0087】
喉頭シリンジガン
【0088】
診療所で行われる内視鏡下注入(例えば、声帯注入)のための注入シリンジガン1300の実装例を、
図32~
図41に示す。図示されているように、シリンジガン1300の外側部分は、器具を保持するためのガンハンドル1345と、トリガ機構1357と、内視鏡アタッチメント機構1346と、針1353をルーティングするための1つまたは複数の溝またはチャネル1354とを含んでもよい。シリンジガン1300の内側は、シリ
ンジ1352と、コネクタ1355と、シリンジ1352を保持するクリップ1356と、ホイール1358と、バンド1359と、プランジャ1360と、ゴムストッパ1361とを含んでもよい。
【0089】
図36および
図39に示すように、シリンジガン1300と共に使用される注入針1353は、シリンジガン1300および内視鏡の軟性の遠位端の形状および輪郭に適応するように構成される予め曲げられた、または展性の針であってもよい。針1353は、コネクタ1355を介してシリンジへ連結されてもよい。設定の間、シリンジ1352および針1353は、シリンジを一連のクリップ1356に押し込み、かつ針1353をシリンジガンの上側部分に組み込まれた溝1354に押し込むことによって、シリンジガン1300内の所定位置にロックされてもよい。シリンジ1352は、局所麻酔用ヒドロキシルアペタイト・ペースト、または針先1351により処置部位(例えば、声帯)に注入される他の何らかの液体または物質で満たされてもよい。
【0090】
シリンジおよび針が所定位置に固定されると、軟性-硬性ハイブリッドスコープが内視鏡アタッチメント機構1346においてガンハンドルに挿入されても、別段で取り付けられてもよい。
図34~
図35および
図37~
図38に示す例では、内視鏡は、ガン1300の上側部分の内視鏡アタッチメント機構1346へ、先に述べた挿入型ラチェット機構と同様の方法で取り付けられる。
図41に示す例では、内視鏡は、ガンの一部分である内視鏡アタッチメント機構へ、
図21を参照して先に述べたトップダウン型ラチェット機構と同様の方法で取り付けられる。内視鏡をシリンジガンへ取り付けるには、他のアタッチメント機構が使用されてもよい。内視鏡の軟性の遠位端1348は、針シャフト1349の湾曲を、軟性の遠位端1348の端に位置づけられる対物レンズ1350が針先1351に近接して位置合わせされるように辿ってもよい。スコープの軟性部分は、ある実施形態(例えば、
図34~
図36)では、製造された針1353に取り付けられる一連の金属ループ1329に通されてもよい。先に示唆したように、スコープの遠位を針に取り付けるための他の実装も想定される。図示されている構成では、針先1351が粘膜下組織へ進入する際の針先の直接的視覚化が、取り付けられた軟性-硬性ハイブリッド内視鏡を介して可能にされ得る。
【0091】
シリンジガン1330の全てのコンポーネントが組み立てられると、シリンジガンは、連結された内視鏡と共に、片手で保持されかつ位置合わせされ得、同時にもう一方の手を使って舌が安定されて伸ばされ、または他の何らかの作業が行われる。トリガ機構1357は、起動されると、薄くて引き締まった軟性のバンドまたはベルト1359(例えば、金属バンド)へ連結された1つまたは2つの円形ホイール1358を回転させ得る。(下側の第2のホイールの周りを回った後の)バンドの遠位端において、バンドは、針アタッチメントとは反対側の端で、シリンジ1352内に組み込まれるゴムストッパ1361と正反対にかつこれと接触して位置合わせされた円筒形の金属プランジャ1360(
図37)へ連結される。トリガが押し下げられる毎に、プランジャ1360が予め決められた距離だけシリンジ内へ前進し得、これにより、シリンジ1352内のゴムストッパ1361が近位へ動かされ、よって、予め決められた量(例えば、約0.1cc)の物質が針先1351から注入部位(例えば、喉頭組織)へ計量分配される。
【0092】
バンドが回って通るホイール1358の一方または双方は、電動式であってもよく、かつ滑りを防ぐためにバンド1359の長さに沿って穿孔1365と相互作用する歯1364を含んでもよい。バンド1359は、シリンジガンの取っ手内の狭い安定溝1362を通過してもよい。溝1362は、取っ手片1364の硬いプラスチックまたは機械加工された金属物質に組み込まれてもよい。実施において、シリンジガン1300の上部は、シリンジ針および内視鏡アタッチメントの真下に、(例えば、ホイールを回転させるためのモータに給電するための)1つまたは複数のバッテリを収容するバッテリ区画を含んでも
よい。
【0093】
使用後、シリンジ1352および針1353は、廃棄されてもよく、よってシリンジガン1300は、後続処置の間に新しいシリンジおよび針を用いて再使用されてもよい。他の機械的に起動される注入機構も、想定される。
【0094】
内視鏡エウスタキオ管バルーン拡張器
【0095】
本明細書に記述する軟性-硬性ハイブリッド内視鏡は、エウスタキオ管、副鼻腔、気管および食道の狭窄拡張に使用されるものを含む任意の数のバルーン・カテーテル・デバイスへ取外し可能に連結されてもよい。市場に出回っている現在のバルーン拡張デバイスは、外科医がバルーン拡張カテーテルおよび内視鏡を体腔内へ別々に挿入することを必要とする。これは、2つのデバイスを同時に制御するために両手を必要とし、かつ体腔におけるデバイスプロファイルを増加させ得ることから、問題である。
【0096】
図42~
図45および
図68は、本明細書に記述しているような内視鏡を取外し可能に連結するための機構を提供することによってこれらの従来設計を改善する、例示的な内視鏡エウスタキオ管バルーン拡張器1400を示す。図示されているように、拡張器1400は、内視鏡を挿入するためのハウジング1467と、バルーンカテーテル1468を挿入するための中空管材のバルーンカニューレ1466(硬性、半硬性、展性または軟性)とを含んでもよく、カニューレ1466は、遠位セグメント1472を有する。実装において、ハウジング1467は、カニューレ1466へ固定的に連結されても、取外し可能に連結されてもよい。ハイブリッド内視鏡1447は、ハウジング1467の近位開口1469を介して挿入されてもよい。図示されている例において、ハウジング1469は、先に述べたような内視鏡を固定するための挿入型ラチェット機構を含む。他の実装では、他の機構を用いて内視鏡が拡張器へ固定されてもよい。例えば、先に述べたようなトップダウン型ラチェット機構が利用されてもよい(
図68)。
【0097】
バルーンカテーテルのシャフトに沿って位置決めされるストッパ1470は、シースを介してバルーンを前進させるための簡易グリップを提供し、かつバルーンカテーテルの過度の前進を制限することに役立ち得る。別個の硬い、または軟性のコネクタ1333は、内視鏡の遠位の軟性セグメントをバルーンカニューレ1466の湾曲した遠位のセグメント1472へ固定するために使用され得る。例示されている拡張器は、限られた鼻腔内での空間利用、患者の快適さ、および外科医の器用さを最大化する、片手で1つの器具を扱う技術を可能にし得る。現在利用可能な副鼻腔バルーンカテーテル、例えば、Acclarent Aera(登録商標)も、
図42~
図45に示す方法と同様にしてハイブリッドスコープへ取り付けるように適合化される可能性もある。
【0098】
内視鏡気管拡張器
【0099】
時として、患者は、偶発的な気管切開チューブの外れに関連して選択的または緊急に気道障害を呈する。気管切開チューブが誤って取り外されると(抜管)、それが配置された小孔管が収縮することが多く、よって、気管切開チューブの再挿入が妨げられる。チューブの再挿入を強引に試みると、外傷、出血、気道障害が生じ、かつ時にはチューブが皮膚の下かつ気管内腔より外側の軟らかい組織管へ入り、結果的に患者が死亡する可能性がある。現時点で、気管孔狭窄の拡張に使用される確立された方法は、テーパ状のブジー拡張器を利用することである。残念ながら、これらのブジー拡張器(例えば、Cook(登録商標)Medical、Blue Rhino(登録商標))は、通過中に気道を塞ぎ、よって呼吸困難が生じて患者の不安を高める。現在のシステムは、拡張前に気管内腔内の拡張器の適切な位置合わせを視覚的に確認することができない。
【0100】
図48~55は、オペレータが気管孔および気管内腔内のバルーン拡張器1477の適正な位置合わせを膨張前に視覚的に確認できるようにする、内視鏡気管拡張器の一実装例を示す。拡張器は、軟性-硬性ハイブリッド内視鏡を器具のバルーンポンプ・ハンドピース1573へ取外し可能に連結するためのトップダウン型ラチェット機構1535を含む。機構1535は、先に述べたトップダウン型ラチェット機構と同様に動作し得る。例えば、これは、内視鏡の硬性の近位アタッチメントセグメントの連続するスロット間のスペーシングに対応する間隔で離隔され得る、離隔されたリッジ1536を含んでもよい。取り付けの間、ボタン1522は、内視鏡の硬性の近位アタッチメントセグメントの溝にロックするように構成されるバーを引っ込めるように作動され得る。この例では、トップダウン型ラチェットアタッチメント機構が示されているが、他の機構を用いて内視鏡が器具へ取外し可能に連結されてもよい。例えば、先に論じた挿入型ラチェット機構が使用されてもよい。
【0101】
バルーンポンプ・ハンドピース1573は、作動されるとバルーンポンプ・ハンドル1573の基部における接続部1576へ連結する軟性チューブ1575を介して空気または液体(例えば、水または生理食塩水)を圧送するポンプハンドル1574を備えてもよい。加圧された空気または流体は、次に、ポンプハンドル接続部1576の基部から軟性チューブ1575を介して、中空の内側カニューレ1578へ周方向に取り付けられる遠位バルーン1577へ伝達され得る。圧力は、ポンプハンドル1573に(例えば、図示されている例における左上部分に)組み込まれる圧力計1590によって測定されてもよい。
【0102】
圧力計の直下には、作動されるとバルーンから圧力を解放し得るボタン1591が存在してもよい。中空の内側カニューレは、その近位端に開口1583(
図54)を有してもよく、ハイブリッド内視鏡の軟性の遠位端は、この開口1583を介して挿入されかつ、遠位端の先端が中空の内側カニューレの遠位部1579を出るまで前進されてもよい。中空の内側カニューレ1578およびバルーン1577内に含まれるスコープの遠位端は、気管の管腔が視覚化されるまで気管孔狭窄(外皮と前気管壁との間の軟組織部位)を介して前進されてもよい。気管内部における内側カニューレの適正な位置合わせが確認されると、内視鏡は、引き抜かれてもよく、よって患者は、中空の内側カニューレ1578を介して呼吸し続けることができる。
【0103】
この例では、高圧バルーン拡張器が中空の内側カニューレ1578の外部にあることから、患者は、ポンプハンドルの作動によりバルーンが膨張される間も中空の内側カニューレを介して安全に呼吸し続け得る。バルーン1577の直近には、膨張の間に装置を手動で安定させる手助けをしかつ気道内部のバルーンまたはカニューレの不注意による前進のしすぎを防止するために、小さい取外し可能なストッパ1584(
図51~
図53)が置かれてもよい。小さい湾曲した軟性ばね1585は、中空の内側カニューレ1587上に位置合わせされるストッパクランプの拡大を可能にし得る。ストッパ上の横方向の突起1586同士を締め付けると、ばねが作動して、ストッパ1584をカニューレから取り外すことができるようになり得る。軟性チューブをハンドル基部のカップリングへ取り付ける前に、管材が気管切開チューブの内腔を完全に通過するように、別個の気管切開チューブ1582および1595が管材を超えて前進されてもよい。
【0104】
この実装の場合、#4の気管切開チューブが使用されてもよいが、軟性の管材および中空の内側カニューレの口径を収容するに足る小さい内径を有する如何なる気管切開チューブも使用され得る。小孔がバルーンで拡張されると、ストッパクランプ1584が取り外され得、よって気管切開チューブが軟性の管材および内側カニューレを超え、拡張された小孔を介して気管内腔へと前進され得る。チューブは、次に、不注意による抜管を防ぐた
めに固定されてもよい。
【0105】
この目的に沿った拡張用気管切開チューブ1595を、
図55に示す。拡張用気管切開チューブ1595は、独立して使用される可能性もあれば、小孔を最初のバルーン膨張により提供される直径を超えてさらに拡張させるために使用される可能性もある。例えば、より大きい直径である#6または#8の気管切開チューブが必要である場合、これが必要となり得る。拡張用チューブは、そのシャフト上に、2つの別々のバルーン、すなわち遠位のバルーン1580および近位のバルーン1581、を有してもよい。遠位のバルーン1580は、既に市販されているカフ付き気管切開チューブと同様の低圧カフであってもよい。この遠位のバルーン/カフは、典型的には、気管内腔内の一点まで前進され、その後、膨張されてもよい。標準的な気管切開術設計と同様に、低圧膨張ポート1588を介して膨張されると、遠位のカフは、気管壁に対するシールを生成することにより気道を保護するように機能し得る。
【0106】
近位のバルーン1581は、その非膨張状態において接着性を維持しかつチューブ1582と同一平面にあり得る高圧バルーンであってもよい。チューブが(膨張していない近位および遠位のバルーンと共に)最近に拡張された気管孔を介して前進されると、近位の高圧バルーンは、膨張ポート1589を介してより大きい直径まで膨張される可能性もあり、これにより、気管孔の直径が増大される。気管孔が最大限に拡張されると、近位のバルーン1581が収縮されかつ二重のバルーンチューブが取り外されてもよく、よってより大きい直径の、より従来的な気管切開チューブがその場所に挿入されることも可能である。これは、気管切開チューブのアップサイジングと呼ばれ、新生児、または十分な人工呼吸器サポートまたは気管/肺の衛生状態を提供するには不十分なサイズまたは直径であるより小さい気管切開チューブを有する慢性的な人工呼吸器患者に有益であり得る。
【0107】
内視鏡経口的食道バルーン拡張器
【0108】
頸部食道狭窄または慢性輪状咽頭痙攣に伴って嚥下が困難な患者は、食道拡張を必要とすることが多い。食道拡張は、診療所環境で行われることはほとんどなく、ほぼ常に、胃腸科専門医により鎮静麻酔下で行われる。食道拡張は通常、食道胃十二指腸内視鏡検査(EGD)と同時に行われる。EGDは、時には必要であるが、患者が拡張を必要とする度に必要なものではない。これは、特に、放射線療法または慢性咽喉頭逆流に続いて起こる場合もあるために経時的に複数の拡張を必要とする患者に当てはまる。現在の食道拡張技術は、漸増的なサイズのブジーカテーテルおよび食道バルーンカテーテルを用いる連続的拡張を伴い得る。
【0109】
図56~
図61は、本開示による、新規の内視鏡経口的食道バルーン拡張器システムの実装を示す。このシステムは、診療所環境において内視鏡ガイド下で、かつ麻酔または付随するEGD処置を必要とすることなく実行される可能性もある、簡単、低コスト、安全かつ効果的な頸管バルーン食道拡張を見込み得る。図示されていない別の実装は、経口的拡張器に類似する概念の内視鏡経鼻食道バルーン拡張器を含んでもよい。
【0110】
図56~
図59を参照すると、図示されているような内視鏡経口的食道バルーン拡張器システム1600は、ハンドピース1693へ取外し可能に連結される軟性-硬性ハイブリッド内視鏡1692を含む。ハンドピース1693は、使い捨てであっても、再使用可能であってもよい。
図56~
図59の例において、ハンドピース1693は、内視鏡1692の硬性の近位端を受け入れるためのレバー式トップダウン型ラチェットアタッチメント機構1699を含む。機構1699は、先に論じたレバー式トップダウン型ラチェットアタッチメント機構と同様であってもよい。例えば、機構1699は、内視鏡の硬性の近位アタッチメントセグメントのスロットを受け入れるためのリッジ1698と、ボタン1
697を押すことにより内視鏡の溝から引っ込められるレバーとを含んでもよい。
図60~
図61は、アタッチメント機構の別の例-挿入型ラチェット機構1799-を示し、これは、内視鏡経口的食道バルーン拡張器システムのハンドピース1793を内視鏡の硬性の近位端へ取外し可能に連結するために使用されてもよい。機構1799は、先に論じた挿入型ラチェットアタッチメント機構と同様であってもよい。他の実装では、他のアタッチメント機構を用いて、本開示による軟性-硬性ハイブリッド内視鏡が内視鏡経口的食道バルーン拡張器システムへ取外し可能に連結されてもよい。
【0111】
ハンドピース1693からは、硬性、展性または軟性である可能性もある中空のチューブ1694が延びてもよい。中空のチューブ1694の口径は、薄い軟性のバルーンカテーテル1695を内部に収容するに足るものであってもよい。軟性のバルーンカテーテル1695は、その遠位端に、膨張可能なバルーン1696を有してもよい。バルーンは、その非膨張状態において、ハンドピースの側面にある穴1697を介して前進される可能性もある。軟性のバルーンカテーテルは、バルーンが中空のチューブの遠位端を越えて延びることを可能にするに足る長さであってもよい。ハイブリッド内視鏡の軟性の端は、中空のチューブ1694の湾曲した側面へ、
図46~
図47に示すように、取外し可能な硬性または軟性のインサートによって取り付けられてもよい。内視鏡は、中空のチューブの遠位端から頸部食道内へ進むにつれてバルーン1696およびバルーンカテーテル1695を視覚化するために使用されてもよい。カテーテル上の、バルーンに近位の小さいマーキングは、バルーン膨張に先行してカテーテルを食道に挿入する適正な距離を内視鏡によって概算する手助けをするために使用されてもよい。
図48~図52に示すような気管バルーンポンプ・ハンドピースは、食道拡張器と共に使用するように適合化される可能性もあり、かつ片手による操作を促進し得る。
【0112】
本明細書に記述する内視鏡、アタッチメント機構および器具は、概して耳鼻咽喉科(耳、鼻および喉、ENT)の外科的用途に関連して説明されているが、本明細書に開示する内視鏡がこれらの用途に限定される必要のないことは、留意されるべきである。例えば、本明細書に記述する内視鏡は、一般外科、胃腸病学、呼吸器学、泌尿器科学、形成外科学、神経外科学および整形外科学等の他の外科および医学専門分野において、外科ステープリング等の用途に利用される可能性もある。本明細書に開示する技術の商業的な、非外科的用途も適用可能である。
【0113】
以上、様々な例示的実装および実装に関連して説明したが、個々の実装のうちの1つまたはそれ以上において説明されている様々な特徴、態様および機能の適用可能性は、それらが説明されている特定の実装に限定されるものではなく、単独または様々な組合せで、用途の他の実装のうちの1つまたはそれ以上へ、このような実装の記載の有無に関わらず、かつこのような特徴が、記述されている実装の一部として提示されているか否かに関わらず適用され得ることは、理解されるべきである。したがって、本出願の広さおよび範囲は、これまでに述べた例示的実装の何れによっても限定されるべきではない。
【0114】
前述の概念の全ての組合せは(このような概念が相互に矛盾するものでない限り)、本明細書に開示する発明の主題の一部であることが企図される点は、認識されるべきである。具体的には、本開示の最後に現出する特許請求の範囲に記載された主題の全ての組合せは、本明細書に開示する発明の主題の一部であることが企図される。
【0115】
特許請求の範囲を含む本開示を通して使用される「略」および「約」という用語が、処理の変異等に記述する僅かな変動を記述しかつ説明するために使用されることは、認識されるべきである。例えば、これらの用語は、±2%以下等、±1%以下等、±0.5%以下等、±0.2%以下等、±0.1%以下等、±0.05%以下等の±5%以下を指し得る。
【0116】
適用可能である限りにおいて、本明細書における「第1の」、「第2の」、「第3の」、他といった用語は、単に、これらの用語によって説明される個々のオブジェクトを別個のエンティティとして示すために使用されるものであって、本明細書において別段の明記のない限り、発生順の意味をもたせるためのものではない。
【0117】
本文書で使用している用語および言い回し、およびこれらの変形は、別段の明記のない限り、限定ではなく制約のないものとして解釈されるべきである。上記の例として、「を含む」という用語は、「を限定なしに含む」またはこの類を意味するものとして読み取られるべきであり、 「例」という用語は、論じているアイテムの幾つかのインスタンスを提供するために使用されるものであって、その網羅的または限定的なリストを提供するものではなく、「1つの」または「ある」という不定冠詞は、「少なくとも1つの」、「1つまたは複数の」またはこの類を意味するものとして読み取られるべきであり、「従来的」、「伝統的」、「一般的」、「標準的」、「既知の」といった形容詞および類似の意味をもつ用語は、記述されるアイテムを所与の時間期間において、または所与の時点において利用可能なアイテムに限定するものとして解釈されるべきではなく、代わりに、現在または将来のいつでも利用可能な、または知られるものであり得る従来的、伝統的、一般的または標準的な技術を包含するものとして読み取られるべきである。同様に、本文書は、一般的な当業者に明らかである、または知られると思われる技術に言及しているが、このような技術には、現在または将来のあらゆる時点で当業者に明らかな、または知られる技術が包含される。
【0118】
一部のインスタンスにおける「1つまたは複数の」、「少なくとも」、「但しこれに限定されない」または他の同様の言い回し等の拡大的な単語および言い回しの存在は、このような拡大的言い回しが存在しないようなインスタンスでは、より狭義の事例が意図または要求されることを意味するものと解釈されてはならない。「モジュール」という用語の使用は、モジュールの一部として記述または主張されるコンポーネントまたは機能が全て共通のパッケージ内に構成されることを含意しない。実際のところ、モジュールの様々なコンポーネントの何れかまたは全ては、制御論理であるか他のコンポーネントであるかに関わりなく、単一のパッケージに組み合わされることも、別々に保全されることも可能であり、かつさらに、複数のグルーピングまたはパッケージに、または複数のロケーションに渡って分散されることが可能である。
【0119】
さらに、本明細書に記載する様々な実装は、例示的なブロック図、フローチャートおよび他の図に関連して説明されている。本文書を読めば一般的な当業者には明らかとなるであろうが、図示された実装およびそれらの様々な代替実装は、図示された例に限定されることなく実装されてもよい。例えば、ブロック図およびそれに付随する説明は、特定の構造または構成を指令するものとして解釈されるべきではない。
【0120】
以上、本開示の様々な実装について述べたが、これらの実装は、単に例示として提示されたものであって限定でない点は、理解されるべきである。同様に、様々な図は、本開示の例示的な構造または他の構成を示すものであり得、これは、本開示に包含されることが可能な特徴および機能の理解を支援するために行われている。本開示は、説明された例示的な構造または構成に限定されるものではなく、所望される特徴は、様々な代替の構造および構成を用いて実装されることが可能である。実際に、当業者には、本開示の所望される特徴を実装するために、代替の機能的、論理的または物理的な区分および構成がどのように実装され得るかが明らかであろう。また、本明細書に示されているもの以外の多くの異なる構成モジュール名を、様々なパーティションに適用することができる。さらに、フロー図、動作の説明および方法のクレームに関連して、本明細書に提示されているステップの順序は、コンテキストによる別段の指摘のない限り、様々な実装が、列挙されている
機能を同じ順序で実行するように実装されることを義務づけるものではない。