IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ENTOENTOの特許一覧

特許7313737賃金シミュレーション方法、賃金シミュレーションシステム、及び、賃金シミュレーションプログラム
<>
  • 特許-賃金シミュレーション方法、賃金シミュレーションシステム、及び、賃金シミュレーションプログラム 図1
  • 特許-賃金シミュレーション方法、賃金シミュレーションシステム、及び、賃金シミュレーションプログラム 図2
  • 特許-賃金シミュレーション方法、賃金シミュレーションシステム、及び、賃金シミュレーションプログラム 図3
  • 特許-賃金シミュレーション方法、賃金シミュレーションシステム、及び、賃金シミュレーションプログラム 図4
  • 特許-賃金シミュレーション方法、賃金シミュレーションシステム、及び、賃金シミュレーションプログラム 図5
  • 特許-賃金シミュレーション方法、賃金シミュレーションシステム、及び、賃金シミュレーションプログラム 図6
  • 特許-賃金シミュレーション方法、賃金シミュレーションシステム、及び、賃金シミュレーションプログラム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-14
(45)【発行日】2023-07-25
(54)【発明の名称】賃金シミュレーション方法、賃金シミュレーションシステム、及び、賃金シミュレーションプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/1053 20230101AFI20230718BHJP
   G06Q 10/067 20230101ALI20230718BHJP
   G06Q 40/12 20230101ALI20230718BHJP
【FI】
G06Q10/1053
G06Q10/067
G06Q40/12 420
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022101940
(22)【出願日】2022-06-24
【審査請求日】2022-06-24
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-19
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512296793
【氏名又は名称】株式会社ENTOENTO
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】松本 順市
【合議体】
【審判長】渡邊 聡
【審判官】松田 直也
【審判官】松尾 俊介
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-138444(JP,A)
【文献】JOYFUL2 給与情報システム 昇給シミュレーションシステム 運用ガイド,富士通株式会社,1998年02月,第1版,第1-15,113-116頁
【文献】給与計算システム「Cells給与」,[online],2021年10月24日,[検索日:2022年9月20日],インターネット:<URL:https://web.archive.org/web/20211024115235/https://www.cells.co.jp/kyuyo-p/>
【文献】顧問先Cells給与,[online],2021年9月19日,[検索日:2022年9月20日],インターネット:<URL:https://web.archive.org/web/20210919052654/https://www.cells.co.jp/kyuyo-p/example-of-use/komonsaki-cells>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
賃金制度の設計に用いるための賃金シミュレーション方法であって、
賃金を決定するための基準項目と金額の関係を定義する複数種の賃金テーブル情報を一組のテーブルセット情報として入力を受け付ける、テーブルセット情報入力ステップと、
各社員の該当する基準項目を示す社員基準情報を含む社員情報の入力を受け付ける、社員情報入力ステップと、
前記各社員基準情報を、一のテーブルセット情報を構成する複数の賃金テーブル情報に照合し、各社員の賃金を算出して、明細情報を生成する、明細情報生成ステップと、
前記生成した明細情報を、シミュレーション結果として画面表示処理する、シミュレーション結果表示ステップと、をコンピュータが実行し
前記テーブルセット情報入力ステップは、テーブルセット情報を構成する賃金テーブル情報のうち金額の情報が異なる、複数のテーブルセット情報の入力を受け付け、
前記明細情報生成ステップは、前記複数のテーブルセット情報を用いた算出により複数の明細情報を生成し、各明細情報を、算出に用いたテーブルセット情報と対応付けて保存することを含む、
賃金シミュレーション方法。
【請求項2】
前記テーブルセット情報入力ステップは、すでに入力が受け付けられたテーブルセット情報に含まれる複数の賃金テーブル情報を、編集可能な状態で複製することを含む、請求項1に記載の賃金シミュレーション方法。
【請求項3】
前記テーブルセット情報を構成する賃金テーブル情報の少なくとも一つは、前記基準項目を人事評価の基準に関する項目とする評価テーブル情報であり、
前記社員基準情報は、所定期間内における各社員の人事評価情報を含み、
前記明細情報生成ステップは、前記評価テーブル情報と前記人事評価情報に基づいて、社員の昇給額及び賞与額の少なくとも何れかを算出することを含む、請求項1に記載の賃金シミュレーション方法。
【請求項4】
前記テーブルセット情報入力ステップは、処遇基準の分類を示す処遇カテゴリー情報と対応付けて前記賃金テーブル情報の入力を受け付け、
前記社員情報は、さらに、各社員の処遇カテゴリー情報を含み、
前記明細情報生成ステップは、各社員の処遇カテゴリー情報に対応する処遇カテゴリー情報に対応付けられた前記賃金テーブル情報を用いて、各社員の賃金を算出する、請求項1に記載の賃金シミュレーション方法。
【請求項5】
さらに、前記明細情報と、これに対応付けて保存したテーブルセット情報を、社外の関係者に編集可能な状態で共有する、情報共有ステップを含む、請求項1に記載の賃金シミュレーション方法。
【請求項6】
賃金制度の設計に用いるための賃金シミュレーションシステムであって、
賃金を決定するための基準項目と金額の関係を定義する複数種の賃金テーブル情報を一組のテーブルセット情報として入力を受け付ける、テーブルセット情報入力手段と、
各社員の該当する基準項目を示す社員基準情報を含む社員情報の入力を受け付ける、社員情報入力手段と、
前記各社員基準情報を、一のテーブルセット情報を構成する複数の賃金テーブル情報に照合し、各社員の賃金を算出して、明細情報を生成する、明細情報生成手段と、
前記生成した明細情報を、シミュレーション結果として画面表示処理する、シミュレーション結果表示手段と、を含み、
前記テーブルセット情報入力手段は、テーブルセット情報を構成する賃金テーブル情報のうち金額の情報が異なる、複数のテーブルセット情報の入力を受け付け、
前記明細情報生成手段は、前記複数のテーブルセット情報を用いた算出により複数の明細情報を生成し、各明細情報を、算出に用いたテーブルセット情報と対応付けて保存することを含む、
賃金シミュレーションシステム。
【請求項7】
賃金制度の設計に用いるための賃金シミュレーションプログラムであって、コンピュータを、
賃金を決定するための基準項目と金額の関係を定義する複数種の賃金テーブル情報を一組のテーブルセット情報として入力を受け付ける、テーブルセット情報入力手段と、
各社員の該当する基準項目を示す社員基準情報を含む社員情報の入力を受け付ける、社員情報入力手段と、
前記各社員基準情報を、一のテーブルセット情報を構成する複数の賃金テーブル情報に照合し、各社員の賃金を算出して、明細情報を生成する、明細情報生成手段と、
前記生成した明細情報を、シミュレーション結果として画面表示処理する、シミュレーション結果表示手段と、として機能させ、
前記テーブルセット情報入力手段は、テーブルセット情報を構成する賃金テーブル情報のうち金額の情報が異なる、複数のテーブルセット情報の入力を受け付け、
前記明細情報生成手段は、前記複数のテーブルセット情報を用いた算出により複数の明細情報を生成し、各明細情報を、算出に用いたテーブルセット情報と対応付けて保存することを含む、
賃金シミュレーションプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、賃金シミュレーション方法、賃金シミュレーションシステム、及び、賃金シミュレーションプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、賃金体系をシミュレーションするシステムが提案されている。
【0003】
特許文献1では、シミュレーション内容を複数の実行手法に分解し、各実行手法の実行要否と、実行順番と、実行条件をコントロールするシナリオテーブルを持ち、当該シナリオテーブルには標準的な設定内容が準備されており、標準的な設定内容とシミュレーション対象の退職金制度等の内容に基づきシミュレーションを実行する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-206891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
設立後間もない会社では、賃金制度がないところも多く、経営者の感覚で、個々の社員の賃金を決定しているケースも少なくない。しかし、会社が成長するにつれて、社員の不平不満の解消のために、あるいはより魅力ある会社にするために、賃金制度の公平性や公正性を担保した賃金決定を新たに設計したいと考える経営者は少なくない。このような場合には、現実に個々の社員に支払っている賃金から大きく乖離することなく且つ将来的に運用可能な制度設計をする必要がある。
しかし、賃金を決定する要素が基本給だけでなく様々な手当など、検討して整合性を保つための条件は多岐に渡るため、この作業プロセスは容易ではない。これら全手当を明確化した賃金テーブルの仮説を作り、それを全従業員に適用して試算シミュレーションする作業が必要となるため、膨大な検討作業を必要としていた。
【0006】
上記事情を鑑みて、本発明は、賃金シミュレーション方法、当該方法に用いる賃金シミュレーションシステムに係る新規な技術を提供することを、解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、賃金制度の設計に用いるための賃金シミュレーション方法であって、賃金を決定するための基準項目と金額の関係を定義する複数種の賃金テーブル情報を一組のテーブルセット情報として入力を受け付ける、テーブルセット情報入力ステップと、各社員の該当する基準項目を示す社員基準情報を含む社員情報の入力を受け付ける、社員情報入力ステップと、前記各社員基準情報を、一のテーブルセット情報を構成する複数の賃金テーブル情報に照合し、各社員の賃金を算出して、明細情報を生成する、明細情報生成ステップと、前記生成した明細情報を、シミュレーション結果として画面表示処理する、シミュレーション結果表示ステップと、を含み、前記テーブルセット情報入力ステップは、テーブルセット情報を構成する賃金テーブル情報のうち金額の情報が異なる、複数のテーブルセット情報の入力を受け付け、前記明細情報生成ステップは、前記複数のテーブルセット情報を用いた算出により複数の明細情報を生成し、各明細情報を、算出に用いたテーブルセット情報と対応付けて保存することを含む、ことを特徴とする。このような構成とすることで、本発明は、基準項目の異なる複数の賃金テーブル情報の管理を行い、テーブルセット単位でのシミュレーションを行うことができる。
【0008】
本発明の好ましい形態では、前記テーブルセット情報入力ステップは、すでに入力が受け付けられたテーブルセット情報に含まれる複数の賃金テーブル情報を、編集可能な状態で複製することを特徴とする。このような構成とすることで、本発明は、既に入力されている賃金テーブル情報に基づき算出される明細情報と、複製・変更した賃金テーブル情報に基づき算出される明細情報と、を利用者が比較することができる。
【0009】
本発明の好ましい形態では、前記テーブルセット情報を構成する賃金テーブル情報の少なくとも一つは、前記基準項目を人事評価の基準に関する項目とする評価テーブル情報であり、前記社員基準情報は、所定期間内における各社員の人事評価情報を含み、前記明細情報生成ステップは、前記評価テーブル情報と前記人事評価情報に基づいて、社員の昇給額及び賞与額の少なくとも何れかを算出することを特徴とする。このような構成とすることで、本発明は、テーブルセット単位での昇給・賞与のシミュレーションを行うことができる。
【0010】
本発明の好ましい形態では、前記テーブルセット情報入力ステップは、処遇基準の分類を示す処遇カテゴリー情報と対応付けて前記賃金テーブル情報の入力を受け付け、前記社員情報は、さらに、各社員の処遇カテゴリー情報を含み、前記明細情報生成ステップは、各社員の処遇カテゴリー情報に対応する処遇カテゴリー情報に対応付けられた前記賃金テーブル情報を用いて、各社員の賃金を算出することを特徴とする。このような構成とすることで、本発明は、処遇カテゴリー毎に異なる賃金テーブル情報に基づく各社員の賃金を、一つの明細情報として算出することができる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、さらに、前記明細情報と、これに対応付けて保存したテーブルセット情報を、社外の関係者に編集可能な状態で共有する、情報共有ステップを含むことを特徴とする。このような構成とすることで、本発明は、社労士等の外部の関係者に明細情報の確認を依頼することができる。
【0012】
上記課題を解決するために、本発明は、賃金を決定するための基準項目と金額の関係を定義する複数種の賃金テーブル情報を一組のテーブルセット情報として入力を受け付ける、テーブルセット情報入力手段と、各社員の該当する基準項目を示す社員基準情報を含む社員情報の入力を受け付ける、社員情報入力手段と、前記各社員基準情報を、一のテーブルセット情報を構成する複数の賃金テーブル情報に照合し、各社員の賃金を算出して、明細情報を生成する、明細情報生成手段と、前記生成した明細情報を、シミュレーション結果として画面表示処理する、シミュレーション結果表示手段と、を含み、前記テーブルセット情報入力手段は、テーブルセット情報を構成する賃金テーブル情報のうち金額の情報が異なる、複数のテーブルセット情報の入力を受け付け、前記明細情報生成手段は、前記複数のテーブルセット情報を用いた算出により複数の明細情報を生成し、各明細情報を、算出に用いたテーブルセット情報と対応付けて保存することを含むことを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明は、賃金制度の設計に用いるための賃金シミュレーションプログラムであって、コンピュータを、賃金を決定するための基準項目と金額の関係を定義する複数種の賃金テーブル情報を一組のテーブルセット情報として入力を受け付ける、テーブルセット情報入力手段と、各社員の該当する基準項目を示す社員基準情報を含む社員情報の入力を受け付ける、社員情報入力手段と、前記各社員基準情報を、一のテーブルセット情報を構成する複数の賃金テーブル情報に照合し、各社員の賃金を算出して、明細情報を生成する、明細情報生成手段と、前記生成した明細情報を、シミュレーション結果として画面表示処理する、シミュレーション結果表示手段と、として機能させ、前記テーブルセット情報入力手段は、テーブルセット情報を構成する賃金テーブル情報のうち金額の情報が異なる、複数のテーブルセット情報の入力を受け付け、前記明細情報生成手段は、前記複数のテーブルセット情報を用いた算出により複数の明細情報を生成し、各明細情報を、算出に用いたテーブルセット情報と対応付けて保存することを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、賃金シミュレーション方法、当該方法に用いる賃金シミュレーションシステムに係る新規な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態のシステムの構成図。
図2】一実施形態のハードウェア構成図。
図3】一実施形態のデータベースDBに記憶される情報を示すER図。
図4】一実施形態の年齢給表、勤続給表、成長給表の明細データを示す図。
図5】一実施形態のシステムにおける賃金シミュレーションを行う際の全体手順を示す図。
図6】一実施形態のシステムにおけるシミュレーション開始画面0w1を示す図。
図7】一実施形態のシステムにおけるシミュレーション検討画面0w2を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書は、本発明の一実施形態にかかる構成や作用効果等について、図面を交えて、以下に説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されず、様々な構成を採用し得る。また、本発明の実施形態は、各実施形態のそれぞれにおける構成の一部を、本発明が目的とする作用効果の実現を阻害しない範囲で互いに採用してよい。
本発明において、賃金シミュレーションとは、基本給のシミュレーション、賞与額のシミュレーション、昇給額のシミュレーション等を含む概念である。
本実施形態では、まず、基本給のシミュレーション方法を例に挙げて説明する。
なお、本発明の賃金シミュレーションにおける各ステップの順序は、発明の目的が達成される限り限定されない。
【0017】
また、本実施形態では賃金シミュレーション方法の構成、動作等について説明するが、実行されるシステム、コンピュータプログラム等によっても、同様の作用効果を奏することができる。本実施形態におけるプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一過性の記録媒体として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、賃金シミュレーション方法でその機能を実現する為に外部のコンピュータにおいて当該プログラムを起動させてもよい(いわゆるクラウドコンピューティング)。
【0018】
また、本実施形態において「手段」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらハードウェア資源によって具体的に実現され得るソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含み得る。本実施形態において「情報」とは、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行され得る。
【0019】
広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)及びメモリ(Memory)等を適宜組み合わせることによって実現される回路である。即ち、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等を含むものである。
【0020】
<システム構成>
図1は、実施形態1における賃金シミュレーションシステムの概要図である。賃金シミュレーションシステムは、管理サーバ1と、複数の顧客端末2(2A、2B、2C・・・)と、を備える。管理サーバ1と複数の顧客端末2は、通信ネットワークNWを介して通信可能に構成されている。
【0021】
通信ネットワークNWは、インターネットなどのIP(Internet Protocol)網などから構成される。なお、以下の説明では、不明確にならない限り通信ネットワークNWの介在を省略する。
【0022】
<管理サーバ1>
管理サーバ1として、汎用のサーバ向けのコンピュータやパーソナルコンピュータ等を利用することが可能である。また、本実施形態において、複数のコンピュータを用いて管理サーバ1を構成することも可能である。
【0023】
<顧客端末2>
各顧客端末2は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン及びタブレット端末等であってよい。顧客端末2は、管理サーバ1に対してリクエストを行い、レスポンスを受け取るためのアプリケーション(典型的には、ウェブブラウザ)を有する。
【0024】
図2は、賃金シミュレーションシステムにおける、管理サーバ1と顧客端末2のハードウェア構成図である。
【0025】
<管理サーバ1のハードウェア構成>
図2(a)は、管理サーバ1のハードウェア構成の一例を示す図である。管理サーバ1は、ハードウェア構成として、通信部11と、制御部12と、記憶部13と、を備える。
【0026】
通信部11は、通信ネットワークNWとの通信制御を実行して、管理サーバ1を同ささせるために必要な入力や、動作結果に係る出力を行う。
【0027】
制御部12は、CPU(Central Processing Unit)等の1又は複数のプロセッサを含み、本発明にかかる賃金シミュレーションプログラム、OS(Operating System)及びその他のアプリケーションを実行することで、管理サーバ1の動作処理全体を制御する。
【0028】
記憶部13は、HDD(hard disk drive)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等であって、本発明に係る賃金シミュレーションプログラム及び、制御部12がプログラムに基づき処理を実行する際に利用するデータ等を記憶する。
【0029】
<顧客端末2のハードウェア構成>
図2(b)は、顧客端末2のハードウェア構成の一例を示す図である。顧客端末2は、ハードウェア構成として、通信部21と、制御部22と、記憶部23と、出力部24と、入力部25と、を備える。
【0030】
顧客端末2の通信部21は、通信ネットワークNWとの通信を制御する。制御部22は、CPU等の1以上のプロセッサを含み、顧客端末2の動作処理全体を制御する。記憶部23は、HDD、ROM、RAM等であって、本発明に係る賃金シミュレーションプログラム及び、制御部22がプログラムに基づき処理を実行する際に利用するデータ等を記憶する。
【0031】
出力部24は、例としてモニタやディスプレイ等の、利用者に対して後述の画面を表示するためのインタフェースである。
【0032】
入力部25は、マウスやキーボード、タッチパネル等の、操作入力が可能なインタフェースである。
【0033】
<機能構成要素>
図2(a)に例示されるように、管理サーバ1は、受付手段101、生成手段102、出力処理手段103及びデータベースDBを有する。
【0034】
管理サーバ1において上述した機能構成要素を論理的に実現するには、記憶部13に賃金シミュレーションプログラムをアプリケーションプログラムとしてインストールしておく。そして、サーバ1においては、電源投入を契機に、制御部12が、記憶部13に記憶されている賃金シミュレーションプログラムに基づき処理を実行することによって、上述した機能構成が実現される。
【0035】
<設定情報の入力>
受付手段101は、入力部25を介して、利用者である会社の会社情報及び会社であらかじめ決められている各種基本情報を、設定情報としてデータベースDBに記憶する。会社情報は、会社IDと対応付けてデータベースDBに記憶され、後述する各種入力情報は、会社IDと対応付けて記憶される。
本発明の一実施形態では、受付手段101は、設定情報として、処遇カテゴリー情報を受け付けて、会社IDと対応付けて記憶することができる。処遇カテゴリー情報は、その会社の職種等に応じた処遇基準の分類を示す情報である。
【0036】
<テーブルセット情報の入力>
受付手段101は、入力部25を介して、賃金を決定するための基準項目と金額の関係を定義する賃金テーブル情報の入力を利用者から受け付け、受け付けた情報をデータベースDBに記憶する。
基準項目としては、賃金を決定するための基準として用いられる項目であれば特に制限されないが、例として、年齢、勤続年数及び等級が挙げられる。なお、賞与額のシミュレーションや昇給額のシミュレーションに用いる場合には、さらに、人事評価の基準に関する項目を基準項目とすることができる。
この際、受付手段101は、基準項目が異なる複数種の賃金テーブル情報をシミュレーションIDで対応付けてテーブルセット情報とし、データベースDBに記憶する。
例として、基準項目が年齢の賃金テーブル情報(年齢給表)と、基準項目が勤続年数の賃金テーブル情報(勤続給表)と、基準項目が等級の賃金テーブル情報(成長給表)を対応づけてテーブルセット情報とする等が挙げられる。また、昇給額のシミュレーションや賞与額のシミュレーションを行うためには、前記賃金テーブル情報として、基準項目が人事評価の基準に関する項目の賃金テーブル情報(昇給予定表や賞与ポイント表)を、さらに前記シミュレーションIDに対応付けて、一つのテーブルセット情報(評価テーブル情報)とすることが好ましい。
また、前記等級を複数年の人事評価情報に基づいて決定する場合には、複数年の人事評価情報と昇格条件や降格条件を定義した基準表(ステップアップ基準表)を含むことができる。前記定義としては、例えば、「等級8から9へステップアップする条件は、総合評価の評価値Aが3年間連続することである」といった情報が挙げられる。
本発明の賃金シミュレーション方法では、あるシミュレーションを実行する際に、シミュレーションIDを指定することで、特定のテーブルセット情報を特定し、すなわち複数種の賃金テーブル情報を特定する。
【0037】
また、受付手段101は、テーブルセット情報を構成する賃金テーブル情報のうち、金額の情報が異なる複数のテーブルセット情報の入力を受け付ける。本実施形態の6種の賃金テーブル情報を用いる場合を例にとると、採用する基準項目としては同一であるが、少なくともいずれかの賃金テーブル情報の金額が異なるテーブルセット情報を複数受け付けることができる。これにより、複数のテーブルセット情報を用いて様々な条件でシミュレーションを行い、いずれのテーブルセット情報を選択することが適切か、比較検討を行うことができる。
【0038】
また、受付手段101は、既にデータベースDBに記憶されているテーブルセット情報に含まれる複数の賃金テーブル情報を、編集可能な状態で複製し、データベースDBに記憶することができる。この場合には、複製後の賃金テーブル情報は、前記複製元の賃金テーブル情報に対応付けられたシミュレーションIDとは別のシミュレーションIDに対応付けられて、新たなテーブルセット情報として記憶する。本実施形態では、受付手段101は、後述のシミュレーション開始画面0w1又はシミュレーション検討画面0w2における別名保存ボタンを押下することを条件に、テーブルセット情報を編集可能な状態で複製しデータベースDBに記憶する。
【0039】
また、設定情報に処遇カテゴリー情報を含む場合には、受付手段101は、賃金テーブル情報を処遇カテゴリー情報と対応付けてデータベースDBに記憶する。
【0040】
<社員情報の入力>
受付手段101は、入力部25を介して、会社に所属する各社員の該当する基準項目を示す社員基準情報を含む社員情報の入力を利用者から受け付け、受け付けた情報を社員情報IDと対応付けてデータベースDBに記憶する。
社員基準情報とは、賃金テーブル情報の基準項目に対応する各社員の情報であり、前記基準項目に対応する情報を算出するために必要な情報である。
社員基準情報としては、その社員の例えば年齢、勤続年数、等級等の社員基礎情報の他、人事評価情報が挙げられる。前記社員基準情報は、基準項目が年齢の場合には生年月日であってもよく、基準項目が勤続年数である場合には、入社年月日であってもよい。また、前述したステップアップ基準表を含む場合には、人事評価結果に基づいて、等級を決定することができる。
【0041】
社員情報には、前記社員基準情報のほか、社員識別情報(社員番号や氏名等)、所属、職種、階層などの社員を識別するための社員識別情報、役職手当を算出するための役職情報、その他の手当を算出するための手当情報を含むことができる。
また、社員情報には、週の内働くことができる日数や残業ができない等の、社員の雇用条件を係数化した情報である雇用条件係数情報を含んでよい。雇用条件係数情報は、生成手段102が、賃金データベース情報を参照して賃金を算出する際に、算出結果に対して掛けられる係数である。
【0042】
所属、職種、階層、役職、手当情報、雇用条件係数等の情報は、利用者の所属する会社に係る設定情報として、あらかじめ設定入力してデータベースDBに記憶しておくことができ、各社員情報の入力の際に、当該データベースDBを参照して選択的に入力を受け付けることが好ましい。
なお、処遇カテゴリー情報を設定する場合には、データベースDBに記憶される社員情報及び各賃金テーブル情報は処遇カテゴリー情報を含む。
【0043】
<賃金テーブルの例>
図4(a)は、年齢給表の一例を示す図である。図示例は、「年齢」なる項目情報における「金額」及び「ピッチ」なる数量について、社員の各年齢における値を格納した年齢給表である。
【0044】
図4(b)は、勤続給表の一例を示す図である。図示例は、「勤続年数」及び「標準年齢」なる項目情報における「累計金額」及び「年当り加算額」なる数量について、社員の各勤続年数における値を格納した勤続給表である。ここで、標準年齢とは、社員が新卒で入社する平均の年齢のことであってよく、勤続年数の最大値は、社員が労働可能な最高年齢と標準年齢の差から求められる。
【0045】
また、図4(c)は、成長給表の一例を示す図である。図示例は、「号俸」及び「等級」なる項目情報における「基準金額」及び「ピッチ」なる数量について、各号俸と等級の組み合わせにおける値を格納した成長給表である。なお、図4(c)における基準金額は、1等級1号俸を基準に計算、又は任意開始金額で計算を選択可能であってよい。
【0046】
また、図示はしないが、「評価値」及び「成長等級」なる項目情報における「総合評価決定基準」、「標準ステップアップ基準」、「最短ステップアップ基準」及び「降格基準」なる数量について、各評価値における点数、及び、各等級間における昇格又は降格の基準となる値を格納した表がステップアップ基準表である。成長等級とは、隣り合う等級同士における昇格又は降格を示し、総合評価決定基準とは、人事評価情報に基づき算出される社員の成長点数と評価値(例として、評価の高い順にS、A、B、C、D等)の関係を定義した表であり、標準ステップアップ基準、最短ステップアップ基準及び降格基準は、所定の成長等級において一定以上(又は以下)の評価値を何年以上取得することで昇給(又は降格)するかを示した表である。
【0047】
ここで、人事評価情報は、業務における成果や勤務態度等の社員の成長を判断する指標である1又は複数の成長要素、各成長要素を比較した際に所定の成長要素が全体から見てどれだけ重要であるかの値を示すウエート、及び、各成長要素に関して社員がどれだけの数値(割合)を達成しているかの値である成長基準を含むことができる。また、本実施形態において、生成手段102は、受付手段101を介して受け付けた成長基準に理論上におけるウエートをそれぞれ掛け算したものの合計によって成長点数を算出する。
【0048】
本実施形態において、図4(a)~(c)の表の各セルに入力される数量はそれぞれ、最低年齢における金額に各ピッチを加えた額、0年目における累計金額(本実施形態では0とする)に各年当たり加算額を加えた額、及び、1号俸時における額に各ピッチを加えた額として算出される。図4における各表を構成するセルのうち、所定のセル(無色のセル)のみが利用者に編集可能であってよく、有色のセルには、利用者によって入力された値に基づき算出された値が入れられ、利用者には編集できないものとしてよい。
【0049】
<明細情報の生成>
生成手段102は、受付手段101を介して受け付けた社員情報に含まれる社員基準情報を、テーブルセット情報を構成する複数の賃金テーブル情報における対応する基準項目に照合することで各社員の賃金を算出し、明細情報を生成する。生成手段102は生成した明細情報を、当該明細情報の生成の際に用いたテーブルセット情報と対応付けて(同一のシミュレーションIDにて)データベースDBに記憶する。また、生成手段102は、複数のテーブルセット情報を用いた同様の算出により、複数の明細情報を生成し、各明細情報を算出に用いたテーブルセット情報と対応付けてデータベースDBに記憶する。
【0050】
<シミュレーション結果の表示>
出力処理手段103は、生成した明細情報を、シミュレーション結果として画面表示処理する。シミュレーション結果表示ステップは、複数種の賃金テーブル情報にそれぞれ含まれる基準項目ごとに、算出された金額を表示することを含む。
表示画面の詳細は、後に、図7を用いて説明する。
【0051】
〔実施形態1:月次賃金のシミュレーション〕
図5を用いて、賃金シミュレーションシステムを用いた賃金シミュレーションの全体手順の例を説明する。本実施例では、利用者(例えば会社の代表者)が賃金制度を設計する際に、様々に金額を設定した賃金テーブルを作成し、各々のシミュレーション結果を比較しながら検討することを想定している。また、会社が従来、明確な賃金体系の設計をしておらず代表者の感覚等で賃金を決定していた場合や、賃金体系はあるものの緻密な設計ではなく将来不適合となることが予測される場合において、現実に支払っている賃金総額から大きな増減がないように、新規に賃金テーブルを設計することを目的として利用される。
ここでは、設定情報は既に入力されているものとして、月次の賃金のシミュレーションを行う例を説明する。なお、本実施形態において受付手段101が入力部25を介して受け付ける情報の入力の順序は、本発明の目的を達成できる限り任意であり、指定がない限り適宜、当該順序は変更され得る。
【0052】
受付手段101は、入力部25を介して、利用者からの社員基準情報を含む社員情報の入力を受け付ける(ステップS101)。
社員基準情報のうち、人事評価情報は、過去の実データであってもよいし、人事評価制度が未運用である場合などは、成長基準の値の中央値等を用いた仮データであってもよい。
【0053】
出力処理手段103は、メニュー画面(不図示)において、テーブルセット情報の新規作成又は以前に入力された異なるテーブルセット情報のうち何れかが利用者によって選択されることを条件として、図6に示すシミュレーション開始画面0w1を表示処理し、処理結果を顧客端末2に送信する(ステップS102)。
【0054】
<シミュレーション開始画面0w1>
図6に例示されるように、出力処理手段103は、操作選択部0w1aと、賃金テーブル情報選択部0w1bと、賃金シミュレーション起動部0w1cと、を含むシミュレーション開始画面0w1を表示処理し、処理結果を顧客端末2に送信する。操作選択部0w1aは、テーブルセット情報の名称や有効期間等の設定を変更するための設定ボタン、シミュレーションIDに対応付けられたテーブルセット情報と明細情報を複製し編集可能な状態で別名保存するための別名保存ボタン、及び、シミュレーションIDが異なるテーブルセット情報から編集、複製又は削除を行うテーブルセット情報を選択するための画面であるシミュレーション結果一覧(不図示)に移行するためのシミュレーション結果一覧ボタンを備える。賃金テーブル情報選択部0w1bは、既存のテーブルセット情報に対応付けられた賃金テーブル情報を複製して選択されたテーブルセット情報に上書きするための既存情報選択ボタン、及び、賃金テーブル情報の入力を行うための画面(不図示)に遷移するための賃金テーブル情報作成ボタン(ステップアップ基準表作成ボタン、年齢給表/勤続給表作成ボタン等)を備える。賃金シミュレーション起動部0w1cは、後述のシミュレーション検討画面0w2に遷移するためのシミュレーション起動ボタン、及び、明細情報が利用者によって確認或いは確定されているかを示す確認結果表示部を有する。
【0055】
出力処理手段103は、賃金テーブル情報作成ボタンの押下を条件に賃金テーブル情報の入力を行うための画面(不図示)を表示処理し、受付手段101は、入力部25を介して、利用者からのテーブルセット情報の入力を受け付ける(ステップS103)。
【0056】
出力処理手段103は、シミュレーション開始画面0w1におけるシミュレーション起動ボタンの押下を条件に、図7に示すシミュレーション検討画面0w2を表示処理し、処理結果を顧客端末2に送信する(ステップS104)。
【0057】
<シミュレーション検討画面0w2>
図7に例示されるように、出力処理手段103は、処理決定部0w2aと、操作選択部0w2bと、明細情報表示部0w2cと、を含むシミュレーション検討画面0w2を表示処理し、処理結果を顧客端末2に送信する。処理決定部0w2aは、明細情報に対して行われる処理を決定するボタンを備えており、例として、利用者が明細情報を確認したことを示す確認ボタン、生成された明細情報の保存を行う結果保存ボタン、及び、明細情報の生成に利用したテーブルセット情報を、テーブルセット情報が編集可能な状態で複製する別名保存ボタン等がある。操作選択部0w2bは、明細情報の生成に用いた賃金テーブル情報の編集を開始する(編集する画面へ移行する)ための賃金テーブル情報編集ボタン(年齢給表/勤続給表編集ボタン・成長給表編集ボタン・ステップアップ基準表編集ボタン)、及び、明細情報を生成するためのシミュレーション実行ボタンを備えている。明細情報表示部0w2cでは、後述のステップS105で算出される金額が、複数種の賃金テーブル情報にそれぞれ含まれる基準項目ごとに表示される。ここで、明細情報表示部0w2cに表示される明細情報に含まれる項目は、例として、社員番号、氏名、所属、役職、雇用区分、雇用条件係数、年齢給基準年齢、賃金総支給額、本来支給したい額、賃金総支給額と本来支給したい額との差額、等級、号俸、基本給(年齢給)、基本給(勤続給)、基本給(成長給)、手当(役職手当)、手当(家族手当)、及び、手当(住宅手当)等である。
このうち、賃金テーブル情報に含まれる基準項目に対応する基本給(年齢給)、基本給(勤続給)、及び、基本給(成長給)の欄に、賃金テーブル情報に照合して算出した金額が表示される。
他の情報は、社員情報に含まれる他の情報、当該情報に紐づく各種手当の基準表等に基づいて、表示することができる。
なお、出力処理手段103は、選択されたテーブルセット情報に明細情報が対応付けて記憶されておらず、且つシミュレーション検討画面0w2を表示処理した後に一度も賃金シミュレーションが行われていない場合(シミュレーション実行ボタンが押下されていない場合)、明細情報表示部0w2cを表示処理しないか、又は明細情報表示部0w2cを、金額が空欄の状態で表示処理する。
【0058】
生成手段102は、シミュレーション検討画面0w2において、例として操作選択部0w2bにおけるシミュレーション実行ボタンが押下されることを条件として、各社員基準情報を、選択されたテーブルセット情報を構成する複数の賃金テーブル情報に照合し、各社員の賃金を算出し明細情報を生成する(ステップS105)。出力処理手段103は、生成手段102が生成した明細情報を明細情報表示部0w2cに表示処理する。また、生成手段102は、処理決定部0w2aにおける結果保存ボタンの押下を条件として、生成された明細情報を当該明細情報の生成の際に用いたテーブルセット情報と対応付けてデータベースDBに記憶する。
【0059】
また、明細情報表示部0w2cにおいて、本来支給したい額Bの項目に、該当する社員に本来支給したい賃金の値を入力した後にシミュレーション実行ボタンを押下すると、生成手段102は、本来支給したい額Bと賃金総支給額Aとの差額を算出する。出力処理手段103は、本来支給したい額Bの項目に入力された本来支給したい賃金の値を表示処理し、差額Cの項目に生成手段102が算出した差額の値を表示処理する。ここで、賃金総支給額Aは基本給(年齢給)A1や基本給(勤続給)A2等の生成手段102が算出した賃金の総額である。このような構成とすることで、本実施形態では、賃金総額と本来支給したい額の差額が大きい場合に、賃金テーブルの修正又はテーブル情報の複製を行うことで、明細情報の検討を行うことができる。本実施形態の利用場面(従来の賃金体系を見直す場面等)では、本来支給したい額Bの項目には、現実に支給している賃金総額を入力することができる。
【0060】
利用者は、明細情報表示部0w2cに表示される明細情報についての検討を行い、納得のいく結果であった場合、処理決定部0w2aにおける確認ボタンを押下する。出力処理手段103は、確認ボタンが押下されることを条件に、シミュレーション検討画面0w2が含む処理決定部0w2aに、明細情報の確定(テーブルセット情報及び明細情報を上書きすることができない状態にすること)を行う確定保存ボタンを表示処理し、利用者は、確定保存ボタンを押下する。生成手段102は、利用者による確定保存ボタンの押下を条件として、当該明細情報を確定することができる(ステップS106)。当該明細情報が納得のいく結果でなかった場合、利用者は操作選択部0w2bにおける、当該明細情報の生成に用いた賃金テーブル情報の編集を開始するためのボタンである賃金テーブル情報編集ボタン(年齢給表/勤続給表編集ボタン・成長給表編集ボタン・ステップアップ基準表編集ボタン)を押下する。出力処理手段103は、当該ボタンの押下を条件として、該当する賃金テーブル情報の入力を行うための画面(不図示)を表示処理し、処理結果を顧客端末2に送信する。なお、確定ボタンが押下されることを条件に、出力処理手段103は確定ボタンを、利用者による明細情報の確定を取り消す確定取消ボタンに変更して表示処理する。
【0061】
なお、シミュレーション開始画面0w1が含む操作選択部0w1aは、シミュレーションの結果を社外の関係者に編集可能な状態で共有する公開ボタンを有しており、ステップS105で生成された明細情報及びこれに対応付けられたテーブルセット情報は、公開ボタンを押下することを条件に、賃金シミュレーションシステムを利用している外部の関係者に共有することができる。ここで、外部の関係者とは、会社IDに対応付けられた社会保険労務士等であって、共有された明細情報及びその生成に用いた複数の賃金テーブル情報を、賃金シミュレーションシステムを介して編集が可能であってもよい。また、共有された明細情報に対応付けられたテーブルセット情報に含まれる複数の賃金テーブル情報を、編集可能な状態で複製することが可能であってもよい。
社外の関係者は、会社の利用者が生成した明細情報を検討・確認し、より良い修正案として、テーブルセット情報を編集したり、別のテーブルセット情報を作成したりすることができる。社外の関係者が利用する機能や画面も実質的には、会社の利用者が利用するものと同様とすることができ、明細情報の修正が完了するなどして、会社の利用者に共有できる状態になった場合には、前述の公開ボタンを押下することで、会社の利用者に共有することができる。
【0062】
〔実施形態2:処遇カテゴリー情報を利用する例〕
以下、本発明の実施形態2に係る賃金シミュレーションシステムについて説明する。実施形態2では、会社に性質の異なる職種が複数存在し、職種に応じて賃金体系を変えたい場合等に、処遇カテゴリー情報を設定する。なお、実施形態1と同様の構成については、同様の符号を付してその説明を省略する。
【0063】
<社員情報の入力>
実施形態2では、受付手段101は、入力部25を介して、処遇カテゴリー情報を含む社員情報の入力を利用者から受け付け、受け付けた情報を社員情報IDと対応付けてデータベースDBに記憶する。
<テーブルセット情報の入力>
実施形態2では、受付手段101は、入力部25を介して、賃金テーブル情報の入力を利用者から受け付け、受け付けた賃金テーブル情報を処遇カテゴリー情報と対応付けてデータベースDBに記憶する。
【0064】
<賃金シミュレーション>
実施形態2では、生成手段102は、ステップS105における明細情報の生成の際に、各社員基準情報を、各社員情報が有する処遇カテゴリーIDと同一の処遇カテゴリーIDを有する複数の賃金テーブル情報に照合し、各社員の賃金を算出し明細情報を生成する。
【0065】
〔実施形態3:昇給額・賞与額のシミュレーション〕
以下、本発明の実施形態3に係る賃金シミュレーションシステムについて説明する。実施形態3では、賃金シミュレーションとして、昇給額や賞与額のシミュレーションを行う場面について説明する。なお、実施形態1と同様の構成については、同様の符号を付してその説明を省略する。
ここで、生成手段102が生成する昇給額や賞与額は、上記シミュレーション検討画面0w2が含む明細情報表示部0w2cには表示されず、後述の昇給シミュレーション画面(不図示)や賞与シミュレーション画面(不図示)に表示される。
【0066】
実施形態3においては、賃金テーブル情報として、評価テーブル情報である昇給予定表と賞与ポイント表を用いて、それぞれ昇給額と賞与額のシミュレーションを行う。
【0067】
<社員情報の入力>
受付手段101は、ステップS101において、所定期間内における各社員の評価を示す人事評価情報を含む社員基準情報の入力を受け付け、受け付けた情報を社員情報IDと対応付けてデータベースDBに記憶する。
【0068】
<昇給シミュレーション>
出力処理手段103は、ステップS106において明細情報が確定された後に、シミュレーション開始画面0w1における昇給シミュレーション起動部0w1dが含む昇給シミュレーション起動ボタンが押下されること条件に、昇給シミュレーション画面(不図示)を表示処理する。
生成手段102は、昇給シミュレーション画面(不図示)においてシミュレーションの開始が受け付けられると、人事評価情報が有する成長基準の値に基づき社員の成長点数を算出し、算出された成長点数をステップアップ基準表における対応する基準項目に照合することで社員の評価値を決定し、当該社員の過去一定期間における評価値をデータベースDBから読み出しステップアップ基準表における対応する基準項目に照合することで当該社員の昇格又は降格を決定し、昇格又は降格後の等級を昇給予定表における対応する基準項目に照合することで昇給額又は降格額を決定する。
【0069】
<賞与シミュレーション>
また、出力処理手段103は、ステップS106において明細情報が確定された後に、シミュレーション開始画面0w1における賞与シミュレーション起動部0w1eが含む賞与シミュレーション起動ボタンが押下されることを条件に、賞与シミュレーション画面(不図示)を表示処理する。
生成手段102は、賞与シミュレーション画面(不図示)においてシミュレーションの開始が受け付けられると、人事評価情報が有する成長基準の値に基づき社員の成長点数を算出し、算出された成長点数をステップアップ基準表における対応する基準項目に照合することで評価値を決定し、社員情報及び評価値を賞与ポイント表における対応する基準項目に照合し、各社員の賞与額を算出する。なお、受付手段101は、生成手段102が賞与額を算出する際に、入力部25を介して、賞与原資額の入力を受け付けることができ、算出結果の合計値との比較結果を算出することもできる。また、賞与額を算出する際に用いられる賃金の額は、年齢給、勤続給、成長給、役職手当等のうち、1又は複数から選択してもよい。
【0070】
本発明によれば、賃金シミュレーション方法、当該方法に用いる賃金シミュレーションシステムに係る新規な技術を提供することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 :管理サーバ
2 :顧客端末
11、21:通信部
12、22:制御部
13、23:記憶部
24 :出力部
25 :入力部
101 :受付手段
102 :生成手段
103 :出力処理手段

【要約】      (修正有)
【課題】基準項目の異なる複数の賃金テーブル情報の管理を行い、テーブルセット単位でのシミュレーションを行う賃金シミュレーション方法、賃金シミュレーションシステム及び賃金シミュレーションプログラムを提供する。
【解決手段】方法は、基準項目と金額の関係を定義する複数種の賃金テーブル情報を対応付けて、複数のテーブルセット情報として入力を受け付けるテーブルセット情報入力ステップと、各社員の該当する基準項目を示す社員基準情報を含む社員情報の入力を受け付ける社員情報入力ステップと、各社員基準情報を一のテーブルセット情報を構成する複数の賃金テーブル情報に照合し、各社員の賃金を算出して明細情報を生成し、生成した各明細情報を、算出に用いたテーブルセット情報と対応付けて保存する明細情報生成ステップと、を含む。
【選択図】図7
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7