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特許7313746キメラ抗原受容体及び当該キメラ抗原受容体を発現する免疫エフェクター細胞
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-14
(45)【発行日】2023-07-25
(54)【発明の名称】キメラ抗原受容体及び当該キメラ抗原受容体を発現する免疫エフェクター細胞
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/62 20060101AFI20230718BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20230718BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20230718BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20230718BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20230718BHJP
   C07K 14/705 20060101ALI20230718BHJP
   C07K 14/725 20060101ALI20230718BHJP
   C12N 15/86 20060101ALI20230718BHJP
   C12N 15/867 20060101ALI20230718BHJP
   C12N 15/864 20060101ALI20230718BHJP
   C12N 15/861 20060101ALI20230718BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20230718BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230718BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20230718BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230718BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230718BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20230718BHJP
   A61K 38/17 20060101ALI20230718BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230718BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20230718BHJP
   A61K 35/761 20150101ALI20230718BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20230718BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20230718BHJP
   A61K 31/713 20060101ALI20230718BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALN20230718BHJP
【FI】
C12N15/62 Z
C12N15/12 ZNA
C12N15/13
C07K19/00
C07K16/28
C07K14/705
C07K14/725
C12N15/86 Z
C12N15/867 Z
C12N15/864 100Z
C12N15/861 Z
C12N7/01
C12N5/10
C12N15/113 Z
A61P35/00
A61P29/00
A61P37/02
A61K38/17
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61K48/00
A61K35/761
A61K35/76
A61P37/04
A61K31/713
A61K31/7088
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2022506771
(86)(22)【出願日】2020-08-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-07
(86)【国際出願番号】 CN2020107484
(87)【国際公開番号】W WO2021027687
(87)【国際公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-02-01
(31)【優先権主張番号】201910750137.1
(32)【優先日】2019-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522045165
【氏名又は名称】ポーユアン ルンション ファーマ(ハンチョウ)カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スン、チョアン
(72)【発明者】
【氏名】フォン、シン-ホア
(72)【発明者】
【氏名】チャオ、ピン
【審査官】田ノ上 拓自
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/236870(WO,A2)
【文献】中国特許出願公開第109929039(CN,A)
【文献】Clin. Cancer Res., 2019年4月15日,Vol.25, No.8,p.2560-2574,doi: 10.1158/1078-0432.CCR-18-0432
【文献】Mol. Ther. Oncolytics. 2019年7月23日,Vol.14,p.279-287,doi: 10.1016/j.omto.2019.07.002
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/62
C12N 15/12
C12N 15/13
C07K 19/00
C07K 16/28
C07K 14/705
C07K 14/725
C12N 15/86
C12N 15/867
C12N 15/864
C12N 15/861
C12N 7/01
C12N 5/10
C12N 15/113
A61P 35/00
A61P 29/00
A61P 37/02
A61K 38/17
A61K 39/395
A61K 48/00
A61K 35/761
A61K 35/76
A61K 35/17
A61P 37/04
A61K 31/713
A61K 31/7088
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗B7-H3結合ドメイン、ヒンジ領域、膜貫通ドメイン及びシグナル伝達ドメインを含み、
前記抗B7-H3結合ドメインは、抗B7-H3抗体又は抗原結合部を含み、前記抗体又は抗原結合部は、下記のCDR組み合わせ(1)及び(2):
(1)アミノ酸配列がSEQ ID NO:5である軽鎖CDR1、アミノ酸配列がSEQ ID NO:6である軽鎖CDR2、アミノ酸配列がSEQ ID NO:7である軽鎖CDR3、アミノ酸配列がSEQ ID NO:10である重鎖CDR1、アミノ酸配列がSEQ ID NO:11である重鎖CDR2、アミノ酸配列がSEQ ID NO:12である重鎖CDR3、及び
(2)アミノ酸配列がSEQ ID NO:29である軽鎖CDR1、アミノ酸配列がSEQ ID NO:30である軽鎖CDR2、アミノ酸配列がSEQ ID NO:31である軽鎖CDR3、アミノ酸配列がSEQ ID NO:34である重鎖CDR1、アミノ酸配列がSEQ ID NO:35である重鎖CDR2、アミノ酸配列がSEQ ID NO:36である重鎖CDR3、から選ばれる一種を含むことを特徴とする、B7-H3を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)。
【請求項2】
前記抗B7-H3結合ドメインは、抗B7-H3抗体又は抗原結合部を含み、前記抗体又は抗原結合部は、アミノ酸配列SEQ ID NO:4、28から選ばれる軽鎖配列、及び、アミノ酸配列SEQ ID NO:9、33から選ばれる重鎖配列を含む、請求項に記載のCAR。
【請求項3】
前記抗B7-H3結合ドメインは、抗B7-H3抗体領域(scFv)を含み、前記抗B7-H3の1本鎖抗体のアミノ酸配列が、SEQ ID NO:2、26から選ばれるアミノ酸配列である、請求項1又は2に記載のCAR。
【請求項4】
前記膜貫通ドメインは、TCRのα、β、ζ鎖、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD3ζ、CD4、CD5、CD8α、CD9、CD16、CD22、CD27、CD28、CD33、CD37、CD45、CD64、CD80、CD86、CD134、4-1BB、CD152、CD154、PD-1膜貫通ドメインから選ばれる1種又は複数種であり
記ヒンジ領域は、CD8の細胞外ヒンジ領域、IgG1 Fc CH2CH3ヒンジ領域、IgDヒンジ領域、CD28細胞外ヒンジ領域、IgG4 Fc CH2CH3ヒンジ領域及びCD4の細胞外ヒンジ領域から選ばれる1種又は複数種である、請求項1~のいずれかに記載のCAR。
【請求項5】
前記膜貫通ドメインのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:124のアミノ酸配列であり、
前記ヒンジ領域のアミノ酸配列が、SEQ ID NO:122のアミノ酸配列である、請求項1~4のいずれかに記載のCAR。
【請求項6】
前記シグナル伝達ドメインは、TCRζ、FcRγ、FcRβ、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD5、CD22、CD79a、CD79b、CD278(ICOS)、CD66d、CD3ζの細胞内シグナル伝達ドメインから選ばれる1種又は複数種である、請求項1~5のいずれかに記載のCAR
【請求項7】
前記シグナル伝達ドメインのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:130のアミノ酸配列である、請求項6に記載のCAR。
【請求項8】
前記シグナル伝達ドメインが、さらに1つ又は複数の共刺激ドメインを含み、前記共刺激ドメインが、CARD11、CD2、CD7、CD27、CD28、CD30、CD40、CD54、CD83、OX40、4-1BB、CD134、CD150、CD152、CD223、CD270、PD-L2、PD-L1、CD278、DAP10、LAT、NKD2C、SLP76、TRIM、FcεRIγ、MyD88、4-1BBの細胞内シグナル伝達ドメインから選ばれる1種又は複数種である、請求項1~7のいずれかに記載のCAR。
【請求項9】
前記共刺激ドメインのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:126、128から選ばれるアミノ酸配列である、請求項8に記載のCAR。
【請求項10】
請求項1~のいずれかに記載のCARをコードするポリヌクレオチド配列を含む、分離された核酸分子。
【請求項11】
前記核酸分子のヌクレオチド配列が、SEQ ID NO:1、25から選ばれるヌクレオチド配列である、請求項10に記載の分離された核酸分子。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の核酸分子を含む核酸構築体。
【請求項13】
前記核酸構築体が、ウイルスベクターであり、前記ウイルスベクターがレトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクターから選ばれる1種又は複数種である、請求項12に記載の核酸構築体。
【請求項14】
請求項10又は11に記載の核酸分子あるいは請求項12又は13に記載の核酸構築体を含む、ウイルスであって、前記ウイルスがレトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルスから選ばれる1種又は複数種である、ウイルス。
【請求項15】
請求項1~のいずれかに記載のCAR、請求項10又は11に記載の核酸分子、請求項12又は13に記載の核酸構築体、請求項14に記載のウイルスの、B7-H3を発現する腫瘍細胞を標的とする遺伝子改変免疫細胞を調製するための使用
【請求項16】
請求項1~のいずれかに記載のCAR、又は請求項10又は11に記載の核酸分子、又は請求項12又は13に記載の核酸構築体、又は請求項14に記載のウイルスを含む、分離された宿主細胞。
【請求項17】
前記宿主細胞がT細胞、NK細胞又は細胞株、γδT細胞、NKT細胞、マクロファージまたは細胞株、PG13細胞株から選ばれる1種又は複数種である、請求項16に記載の分離された宿主細胞。
【請求項18】
前記宿主細胞は、他のエフェクターをさらに発現し、前記他のエフェクターは、サイトカイン、もう一種のCAR、ケモカイン受容体、PD-1発現を低下するsiRNAあるいはPD-L1を阻害するタンパク、TCR、又は安全スイッチを含む、請求項16又は17に記載の宿主細胞。
【請求項19】
請求項1~のいずれかに記載のCAR、請求項10又は11に記載の核酸分子、請求項12又は13に記載の核酸構築体、請求項14に記載のウイルス、請求項16~18のいずれかに記載の宿主細胞から選ばれる1種又は複数種と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項20】
疾患の診断、治療又は予防に使用される、請求項1~のいずれかに記載のCAR、請求項10又は11に記載の核酸分子、請求項12又は13に記載の核酸構築体、請求項14に記載のウイルス、請求項16~18のいずれかに記載の宿主細胞、又は、請求項19に記載の医薬組成物であって、前記疾患ががん、炎症性疾患、自己免疫性疾患から選ばれる1種又は複数種である、請求項1~9のいずれかに記載のCAR、請求項10又は11に記載の核酸分子、請求項12又は13に記載の核酸構築体、請求項14に記載のウイルス、請求項16~18のいずれかに記載の宿主細胞、又は、請求項19に記載の医薬組成物
【請求項21】
前記疾患は、B7-H3を発現する腫瘍であり、前記腫瘍は、脳がん、膵臓がん、卵巣がん、腎臓がん、膀胱がん、皮膚がん、胃がん、腸がん、頭頸部がん、甲状腺がん、前立腺がん、肺がん、カポジ肉腫から選ばれる1種又は複数種であり、前記脳がんが膠芽腫、星状細胞腫、髄膜腫、乏突起膠腫及び神経膠腫から選ばれる1種又は複数種である、請求項20に記載の疾患の診断、治療又は予防に使用される、CAR、核酸分子、核酸構築体、ウイルス、宿主細胞、又は、医薬組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2019年08月14日に中国特許庁に提出された、出願番号が201910750137.1である中国特許出願の優先権を主張し、その全内容は引用により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、バイオ医薬分野に関し、特にB7-H3を標的とするキメラ抗原受容体、B7-H3を標的とするキメラ抗原受容体を発現する免疫エフェクター細胞、及びこれらの応用に関する。
【背景技術】
【0003】
がんは、ヒトの健康を脅かす主な疾患の一つである。一般的ながん治療方法として、放射線療法、化学療法、標的化療法などがある。現在、免疫療法は、がん治療の主流となっている。キメラ抗原受容体を介した細胞療法は、免疫療法の一種であり、CD19を標的とするキメラ抗原受容体を介したT細胞療法は、B細胞関連腫瘍の治療において目覚ましい成功を収め、一部の患者で治癒(腫瘍は5年間再発しない)が達成された。これにより、CD19を標的とするキメラ抗原受容体を介したT細胞療法は、FDAに承認され、血液がんの分野におけるこの治療の急速な発展にも貢献した。しかしながら、特異的標的の欠如、固形腫瘍の不均一性(異なる腫瘍細胞表現型)、および腫瘍微小環境のために、キメラ抗原受容体を介した細胞療法は、固形腫瘍の治療には理想的ではない。したがって、この問題を解決するには、新しい標的に対応するキメラ抗原受容体の開発が特に重要である。
B7-H3は、B7免疫制御因子ファミリーにおける1種類の膜タンパク質である。ヒトでは2Ig-B7-H3および4Ig-B7-H3という2種のサブタイプがあるが、マウスでは2Ig-B7-H3という1種のサブタイプしか存在しない。B7-H3は、T細胞からI型インターフェロンの放出を低減することができ、ナチュラルキラー細胞の殺傷機能を阻害することもできると文献に示されているため、B7-H3は免疫抑制因子であると見なされている。また、B7-H3が移植片対宿主反応、心臓移植拒絶反応、気道炎症、自己免疫性脳脊髄炎などの疾患を抑制できることは、他の文献にも確認されている。しかしながら、B7-H3は、自己免疫のインビボ及びインビトロのモデルにおいてT細胞共刺激因子であると説明する文献もある。
【0004】
B7-H3は、正常なヒト組織において極めて低い発現を示すが、腫瘍において常に過剰発現する(74%から94%の範囲)。さらに、B7-H3が腫瘍関連血管および腫瘍間質の線維芽細胞にも高発現を示すことを見出す研究もある。B7-H3の高発現は、多くの場合、腫瘍内の腫瘍浸潤リンパ球の減少、がんの急速な進行、および臨床治療結果の低下と密接に関連し、神経膠腫、膵臓がん、前立腺がん、卵巣がん、肺がん及び腎臓がん等のがんによく見られる。B7-H3は、さまざまな固形腫瘍で高発現しているため、さまざまな固形腫瘍を治療するための優れた標的として用いられる。また、B7-H3は細胞表面に発現するため、正常な細胞に損傷を与えず腫瘍細胞を殺傷するという目的を達成するために、キメラ抗原受容体を介した細胞治療の標的にすることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、B7-H3タンパクを標的とするキメラ抗原受容体(chimeric antigen receptor、 CAR)、当該CARを発現する免疫エフェクター細胞、及びこれらのがん診断、治療及び予防における応用を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
具体的に、本発明は、以下のような構成を提示する。
【0007】
本発明の一態様は、抗B7-H3結合ドメイン、ヒンジ領域、膜貫通ドメイン及びシグナル伝達ドメインを含むことを特徴とする、B7-H3を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)を提供する。
【0008】
本発明の一態様によれば、本発明に係るCARにおいて、前記抗B7-H3結合ドメインは、抗B7-H3の1本鎖抗体又は抗原結合部を含み、前記抗体又は抗原結合部は、アミノ酸配列SEQ ID NO:5-7、17-19、29-31、41-43、53-55、65-67、77-79、89-91、101-103、113-115又はこれらの任意の改変体から選ばれる軽鎖CDR、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:10-12、22-24、34-36、46-48、58-60、70-72、82-84、94-96、106-108、118-120又はこれらの任意の改変体から選ばれる重鎖CDRを含む。
【0009】
前記のいずれかの態様に係るCARによれば、前記抗B7-H3結合ドメインは、抗B7-H3抗体又は抗原結合部を含み、前記抗体又は抗原結合部は、アミノ酸配列SEQ ID NO:5、17、29、41、53、65、77、89、101、113又はこれらの任意の改変体から選ばれる軽鎖CDR1、アミノ酸配列SEQ ID NO:6、18、30、42、54、66、78、90、102、114又はこれらの任意の改変体から選ばれる軽鎖CDR2、アミノ酸配列SEQ ID NO:7、19、31、43、55、67、79、91、103、115又はこれらの任意の改変体から選ばれる軽鎖CDR3、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:10、22、34、46、58、70、82、94、106、118又はこれらの任意の改変体から選ばれる重鎖CDR1、アミノ酸配列SEQ ID NO:11、23、35、47、59、71、83、95、107、119又はこれらの任意の改変体から選ばれる重鎖CDR2、アミノ酸配列SEQ ID NO:12、24、36、48、60、72、84、96、108、120又はこれらの任意の改変体から選ばれる重鎖CDR3、を含む。
【0010】
前記のいずれかの態様に係るCARによれば、前記抗B7-H3結合ドメインは、抗B7-H3抗体又は抗原結合部を含み、前記抗体又は抗原結合部は、アミノ酸配列SEQ ID NO:4、16、28、40、52、64、76、88、100、112又はこれらの任意の改変体から選ばれる軽鎖配列、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:9、21、33、45、57、69、81、93、105、117又はこれらの任意の改変体から選ばれる重鎖配列、を含む。
【0011】
前記のいずれかの態様に係るCARによれば、前記抗B7-H3結合ドメインは、抗B7-H3の抗体領域(scFv)を含み、好ましくは、前記抗B7-H3の1本鎖抗体のアミノ酸配列がSEQ ID NO:2、14、26、38、50、62、74、86、98、110又はこれらの任意の改変体から選ばれるアミノ酸配列である。
【0012】
前記のいずれかの態様に係るCARによれば、前記膜貫通ドメインは、TCRのα、β、ζ鎖、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD3ζ、CD4、CD5、CD8α、CD9、CD16、CD22、CD27、CD28、CD33、CD37、CD45、CD64、CD80、CD86、CD134、4-1BB、CD152、CD154、PD-1膜貫通ドメインから選ばれる1種又は複数種である。好ましくは、前記膜貫通ドメインが、CD8α、CD4、CD45、PD-1、CD154、CD28膜貫通ドメインから選ばれる1種又は複数種である。好ましくは、前記膜貫通ドメインが、CD8α、CD28膜貫通ドメインから選ばれる1種又は複数種である。より好ましくは、前記膜貫通ドメインのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:124又はこれらの任意の改変体から選ばれるアミノ酸配列である。前記ヒンジ領域は、CD8の細胞外ヒンジ領域、IgG1 Fc CH2CH3ヒンジ領域、IgDヒンジ領域、CD28細胞外ヒンジ領域、IgG4 Fc CH2CH3ヒンジ領域及びCD4の細胞外ヒンジ領域から選ばれる1種又は複数種である。好ましくは、前記ヒンジ領域が、CD8αヒンジ領域である。より好ましくは、前記ヒンジ領域のアミノ酸配列が、SEQ ID NO:122又はこれらの任意の改変体から選ばれるアミノ酸配列である。
【0013】
前記のいずれかの態様に係るCARによれば、前記シグナル伝達ドメインは、TCRζ、FcRγ、FcRβ、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD5、CD22、CD79a、CD79b、CD278(ICOS)、CD66d、CD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインから選ばれる1種又は複数種である。好ましくは、前記シグナル伝達ドメインが、CD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインから選ばれたものである。より好ましくは、前記シグナル伝達ドメインのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:130又はこれの任意の改変体から選ばれるアミノ酸配列である。好ましくは、前記シグナル伝達ドメインが、さらに1つ又は複数の共刺激ドメインを含む。好ましくは、前記共刺激ドメインが、CARD11、CD2、CD7、CD27、CD28、CD30、CD40、CD54、CD83、OX40、4-1BB、CD134、CD150、CD152、CD223、CD270、PD-L2、PD-L1、CD278、DAP10、LAT、NKD2C、SLP76、TRIM、FcεRIγ、MyD88、4-1BB細胞内シグナル伝達ドメインから選ばれる1種又は複数種である。好ましくは、前記共刺激ドメインが、4-1BB、CD134、CD28およびOX40細胞内シグナル伝達ドメインから選ばれるものである。好ましくは、前記共刺激ドメインが、4-1BB、CD28細胞内シグナル伝達ドメインから選ばれる1種又は複数種である。より好ましくは、前記共刺激ドメインのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:126、128又はこれらの任意の改変体から選ばれるアミノ酸配列である。
【0014】
一態様において、本発明は、前記のいずれかの態様に係るCARをコードするポリヌクレオチド配列を含む、分離された核酸分子を提供する。好ましくは、前記核酸分子のヌクレオチド配列が、SEQ ID NO:1、13、25、37、49、61、73、85、97、109又はこれらの任意の改変体から選ばれるヌクレオチド配列である。
【0015】
一態様において、本発明は、前記のいずれかの態様に係る核酸分子を含む、核酸構築体を提供する。好ましくは、前記核酸構築体が、ウイルスベクターである。より好ましくは、前記ウイルスベクターが、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクターから選ばれる1種又は複数種である。
【0016】
一態様において、本発明は、前記のいずれかの態様に係る核酸分子、あるいは、前記のいずれかの態様に係る核酸構築体を含む、ウイルスを提供する。好ましくは、前記ウイルスがレトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルスから選ばれる1種又は複数種である。
【0017】
本発明は、前記のいずれかの態様に係るCAR、前記のいずれかの態様に係る核酸分子、前記のいずれかの態様に係る核酸構築体、又は、前記のいずれかの態様に係るウイルスの、B7-H3を発現する腫瘍細胞を標的とする遺伝子改変免疫細胞を調製するための応用を提供する。
【0018】
一態様において、本発明は、前記のいずれかの態様に係るCARを発現する、又は、前記のいずれかの態様に係る核酸分子を含む、又は、前記のいずれかの態様に係る核酸構築体を含む、又は、前記のいずれかの態様に係るウイルスを含む、分離された宿主細胞を提供する。好ましくは、前記宿主細胞が、哺乳動物の細胞である。より好ましくは、前記宿主細胞が、T細胞、NK細胞又は細胞株、γδT細胞、NKT細胞、マクロファージまたは細胞株、PG13細胞株から選ばれる1種又は複数種である。より好ましくは、前記宿主細胞が、T細胞である。最も好ましくは、前記宿主細胞が、初代培養T細胞である。
【0019】
前記のいずれかの態様に係る宿主細胞によれば、前記宿主細胞は、他のエフェクターをさらに発現する。前記他のエフェクターとして、サイトカイン、もう一種のCAR、ケモカイン受容体、PD-1発現を低下するsiRNAあるいはPD-L1を阻害するタンパク、TCR、又は安全スイッチを含むが、これらに限られない。
【0020】
好ましくは、前記のサイトカインが、TNF-α、TNF-β、VEGF、TPO、NGF-β、PDGF、TGF-α、TGF-β、IGF-I、IGF-II、EPO、M-CSF、IL-1、IL-1α、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IL-21、IL-25、LIF、FLT-3、インターフェロン、アンギオスタチン、トロンボスポンジン及びエンドスタチンから選ばれる1種又は複数種である。
【0021】
好ましくは、前記ケモカイン受容体が、CCR2、CCR5、CXCR2及びCXCR4から選ばれる1種又は複数種である。
【0022】
好ましくは、前記安全スイッチが、HSVTK、VZVTK、iCaspase-9、iCaspase-1、iCaspase-8、短縮されたEGFR及びRQR8から選ばれる1種又は複数種である。
【0023】
一態様において、本発明は、前記のいずれかの態様に係るCAR、前記のいずれかの態様に係る核酸分子、前記のいずれかの態様に係る核酸構築体、前記のいずれかの態様に係るウイルス、及び前記のいずれかの態様に係る宿主細胞から選ばれる1種又は複数種と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物を提供する。
【0024】
本発明は、前記のいずれかの態様に係るCAR、前記のいずれかの態様に係る核酸分子、前記のいずれかの態様に係る核酸構築体、前記のいずれかの態様に係るウイルス、前記のいずれかの態様に係る宿主細胞、または前記のいずれかの態様に係る医薬組成物の、医薬を調製するための応用を提供する。好ましくは、前記医薬が、がん、炎症性疾患、自己免疫性疾患から選ばれる1種又は複数種の診断、治療又は予防に用いられる。
【0025】
好ましくは、前記医薬が、B7-H3を発現する腫瘍の診断、治療又は予防に用いられる。より好ましくは、前記医薬が、脳がん、膵臓がん、卵巣がん、腎臓がん、膀胱がん、皮膚がん、胃がん、腸がん、頭頸部がん、甲状腺がん、前立腺がん、肺がん、カポジ肉腫から選ばれる1種又は複数種の診断、治療又は予防に用いられる。より好ましくは、前記脳がんが、膠芽腫、星状細胞腫、髄膜腫、乏突起膠腫及び神経膠腫から選ばれる1種又は複数種である。
【発明の効果】
【0026】
本発明の有益な効果は以下を含む。
マウス神経膠腫モデルによって確認されたように、本発明によって調製されたB7-H3キメラ抗原受容体のT細胞は、ほとんどのマウスの腫瘍を除去し、一定期間内に再発することなく腫瘍を制御することができ、生存期間は、顕著に延長され、本発明に係るB7-H3キメラ抗原受容体のT細胞がインビボで腫瘍細胞を殺傷することができ、潜在的な腫瘍治療法として使用できることを証明している。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】異なる腫瘍細胞株におけるB7-H3の発現を示す図である。
【0028】
図2】神経膠腫サンプルにおけるB7-H3の発現を示す図である。
【0029】
図3】B7-H3キメラ抗原受容体の基本構造を示す図である。B7-H3.28 CARは、共刺激ドメインがCD28であるキメラ抗原受容体を示し、B7-H3.BB CARは、共刺激ドメインが4-1BBであるキメラ抗原受容体を示す。
【0030】
図4-A】図4Aは、本発明に係るヒト化抗体15C11から誘導したB7-H3キメラ抗原受容体のT細胞での発現(単一の健康なドナー)を示す図である。
図4-B】図4Bは、本発明に係るヒト化抗体15C11から誘導したB7-H3キメラ抗原受容体のT細胞での発現(複数の健康なドナー)を示す図である。
【0031】
図5】インビトロ共培養システムにおける本発明に係るヒト化抗体15C11から誘導したB7-H3キメラ抗原受容体-T細胞による異なる腫瘍細胞の殺傷を示す図である。
【0032】
図6-A】図6Aは、同じ抗原に対する他のキメラ抗原受容体(CAR1、CAR2)に比べて、抗原に対する本発明に係るヒト化抗体15C11から誘導したB7-H3キメラ抗原受容体の親和性を示す図である。
図6-B】図6Bは、同じ抗原に対する他のキメラ抗原受容体(CAR1、CAR2)のCAR-T細胞に比べて、本発明に係るヒト化抗体15C11から誘導したB7-H3キメラ抗原受容体のCAR-T細胞の、腫瘍細胞を殺傷する時のサイトカインレベルを示す図である。
【0033】
図7】インビボでの本発明に係るヒト化抗体15C11から誘導したB7-H3キメラ抗原受容体-T細胞による神経膠腫の殺傷を示す図である。
【0034】
図8】本発明に係るヒト化抗体15C11から誘導したB7-H3キメラ抗原受容体-T細胞の治療による神経膠腫モデルマウスの生存率の向上を示す図である。
【0035】
図9-A】図9Aは、インビトロでの本発明に係るヒト化抗体15C11から誘導したB7-H3キメラ抗原受容体-T細胞による患者由来神経膠腫ニューロスフェア(Glioma neurosphere)の殺傷作用(明視野)を示す図である。
図9-B】図9Bは、インビトロでの本発明に係るヒト化抗体15C11から誘導したB7-H3キメラ抗原受容体-T細胞による患者由来神経膠腫ニューロスフェアの殺傷作用(フローサイトメトリー)を示す図である。
【0036】
図10】本発明に係るヒト化抗体15C11から誘導したB7-H3キメラ抗原受容体-T細胞は、患者由来神経膠腫ニューロスフェアが移植されたモデルマウスの生存期間を顕著に延長させることを示す図である。
【0037】
図11】インビトロでの本発明に係る他の9種類のマウス由来B7-H3キメラ抗原受容体T細胞による腫瘍細胞の殺傷を示す図である。
【0038】
図12】本発明に係る他の9種類のマウス由来B7-H3キメラ抗原受容体T細胞が腫瘍を殺傷する時に放出されるサイトカインを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
I.定義
本発明では、別段の指定がない限り、本明細書で使用される科学的および技術的用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有する。さらに、本明細書で使用されるタンパク質および核酸化学、分子生物学、細胞および組織培養、微生物学、免疫学に関連する用語および試験室の操作手順は、対応する分野で広く使用される用語および日常手順である。一方、本発明をよりよく理解するために、関連用語の定義と説明を以下に示す。
【0040】
本明細書で使用される用語は、発明を実施するための形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図するものではないことも理解されるべきである。
【0041】
本明細書で使用され、特に明記されていない限り、量、期間などの測定可能な値を指す場合の「約」という用語は、開示された方法を実行するのに適しているという条件で所与の値から±10%、好ましくは±5%、より好ましくは±1%、さらにより好ましくは±0.1%の変動を含む。
【0042】
本明細書で使用される「活性化」という用語は、検出可能な細胞増殖を誘導するのに十分に刺激されたT細胞の状態を指す。活性化は、また、誘導されるサイトカイン産生および検出可能なエフェクター機能と関連している場合もある。「活性化されたT細胞」などの用語は、細胞分裂を受けたT細胞を指す。
【0043】
本明細書で使用される「抗体」という用語は、抗原に特異的に結合する免疫グロブリン分子を指す。抗体は、天然源または組換え源に由来する無傷免疫グロブリンであり得、無傷免疫グロブリンの免疫反応性部分であり得る。抗体は通常、免疫グロブリン分子の四量体である。本発明における抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、Fv、Fab、およびF(ab)2など、ならびに1本鎖抗体及びヒト化抗体(Harlowら、1999、Using Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、NY;Harlowら、1989、Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor、 New York;Houstonら、1988、Proc.Natl.Acad.Sci.、USA 85:5879-5883;Birdら、1988、Science 242:423-426)を含むが、これらに限定されない様々な形態で存在することができる。
【0044】
本明細書で使用される場合、抗体の「抗体フラグメント」または「抗原結合フラグメント」とは、全長未満であるが、抗体に結合する前記抗体の可変領域(例えば、1つ又は複数のCDR及び/又は1つ又は複数の抗体結合サイト)の少なくとも一部を含む、全長抗体の任意の部分を指し、これにより、結合特異性および前記全長の抗体の特異的結合能力の少なくとも一部が保持されている。したがって、抗原結合フラグメントとは、抗体フラグメントが由来する抗体と同じ抗原に結合する抗原結合部分を含む抗体フラグメントを指す。抗体フラグメントには、全長抗体の酵素的処理によって産生された抗体誘導体、ならびに合成によって産生された誘導体、例えば、組換えして産生された誘導体が含まれる。抗体は、抗体フラグメントを含む。抗体フラグメントの実例として、Fab、Fab’、F(ab’)2、1本鎖Fv(scFv)、Fv、dsFv、ダイアボディ、FdとFd’フラグメント及び修飾フラグメント(例えば、Methods in Molecular Biology、Vol 207:Recombinant Antibodies for Cancer Therapy Methods and Protocols(2003);Chapter 1;p3-25、Kipriyanovを参照できる)を含む他のフラグメントが挙げられるが、これらに限定されない。前記フラグメントは、例えば、ジスルフィド結合および/またはペプチドリンカーによって連結された複数の鎖を含み得る。抗体フラグメントは、通常、少なくとも50個のアミノ酸または約50個のアミノ酸を含み、典型的には少なくとも200個のアミノ酸又は約200個のアミノ酸を含む。抗原結合フラグメントには、抗体フレームワークに挿入されるときに(例えば、対応する領域を置換することによって)免疫特異的に(すなわち、少なくとも10~10-1のKaまたは少なくとも約10~10-1のKaを示す)抗原を結合する抗体をもたらす任意の抗体フラグメントが含まれる。「機能的フラグメント」または「抗B7-H3抗体のアナログ」は、前記受容体がリガンドに結合するかまたはシグナル伝達を開始する能力を防止または実質的に低下させるフラグメントまたはアナログである。本明細書で使用される場合、機能的フラグメントは、一般的に、「抗体フラグメント」と同じ意味を有し、また、抗体に関しては、前記受容体がリガンドに結合したり、シグナル伝達を開始したりする能力を防止または大幅に低下させる、Fv、Fab、F(ab’)2などのフラグメントを指す場合がある。「Fv」フラグメントは、重鎖の可変ドメインと軽鎖の可変ドメインとの非共有結合によって形成される二量体(VH-VL二量体)からなる。この構成では、無傷の抗体の場合と同様に、各可変ドメインの3つのCDRが相互作用して、VH-VLダイマーの表面に標的結合サイトを確定する。前記の6つのCDRは、無傷の抗体に標的結合特異性を集合的に付与する。ただし、単一の可変ドメイン(又は、ただ3つの標的特異的なCDRsを含むFvの半分)でも、標的を認識・結合する能力を有する。
【0045】
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」とは、同一の抗体の集団を指し、モノクローナル抗体集団中の個々の抗体分子が他の抗体分子と同一であることを意味する。この特性は、さまざまな異なる配列を持つ抗体を含む抗体のポリクローナル群の特性とは逆である。モノクローナル抗体は、多くのよく知られた方法で調製することができる(Smith etal.(2004)J.Clin.Pathol.57,912-917、及び、Nelson et al.,J Clin Pathol(2000),53,111-117)。たとえば、モノクローナル抗体は、B細胞を不死化することによって調製でき、例えば、骨髄腫細胞と融合してハイブリドーマ細胞株を産生することによって、またはB細胞をEBVなどのウイルスに感染させることによって調製することができる。組換え技術は、また、抗体をコードするヌクレオチドの人工配列を保有するプラスミドで宿主細胞を形質転換することにより、インビトロで宿主細胞のクローン集団から抗体を調製することに使用することができる。
【0046】
本明細書で使用される抗体「重鎖」とは、天然に存在するコンフォメーションですべての抗体分子に存在する2つのタイプのポリペプチド鎖のうちの大きい方を指す。
【0047】
本明細書で使用される抗体「軽鎖」とは、天然に存在するコンフォメーションですべての抗体分子に存在する2つのタイプのポリペプチド鎖のうちの小さい方を指し、κ軽鎖およびλ軽鎖とは、2つの主な抗体軽鎖アイソタイプを指す。
【0048】
本明細書で使用される「scFv」という用語とは、軽鎖の可変領域を含む少なくとも1つの抗体フラグメントと、重鎖の可変領域を含む少なくとも1つの抗体フラグメントとを含む融合タンパク質を指し、前記の軽鎖の可変領域と重鎖の可変領域は、短い柔軟なポリペプチドリンカーを介して隣接しており、単鎖ポリペプチドとして表見され、かつ、前記scFvは、それが由来する無傷の抗体の特異性を保持している。特に明記しない限り、本明細書で使用されるscFvは、いずれかの順序で(例えば、ポリペプチドのN末端およびC末端により)前記VLおよびVH可変領域を有することができ、scFvは、VL-リンカー-VHを含んでもよく、またVH-リンカー-VLを含んでもよい。
【0049】
本明細書で使用される「遺伝子合成」という用語は、組換えDNA技術を使用して生産すること、または、当分野で周知のDNA合成技術またはアミノ酸配列技術を使用して得ることを指す。
【0050】
本明細書で使用される「抗原」または「Ag」という用語は、抗体産生または特定の免疫担当細胞の活性化、あるいはその両方を含み得る免疫応答を誘発する分子として定義される。当業者は、実際的にすべてのタンパク質またはペプチドを含める任意の高分子が抗原として使用できることを理解すべきである。さらに、抗原は組換えDNAまたはゲノムDNAに由来し得る。任意のDNAは、免疫応答を誘発するタンパク質をコードするヌクレオチド配列またはヌクレオチド配列の一部を含むため、本明細書で使用される「抗原」をコードすることは、当業者に理解されるべきである。また、当業者は、抗原が単に遺伝子の全長ヌクレオチド配列によってコードされる必要がないことを理解すべきである。本発明が1つを超える遺伝子の部分的ヌクレオチド配列の使用を含むがこれに限定されないこと、およびこれらのヌクレオチド配列が異なる組み合わせで配置されて所望の免疫応答を誘発することは容易に明らかである。さらに、抗原が「遺伝子」によってコードされる必要が全くないことは、当業者に理解されるべきである。抗原は、生成、合成、または生物学的サンプルから由来されることができることが、自明である。そのような生物学的サンプルとして、組織サンプル、腫瘍サンプル、細胞、または生物学的流体を含むが、これらに限定されない。
【0051】
本明細書で使用される「抗腫瘍効果」という用語は、腫瘍体積の減少、腫瘍細胞数の減少、転移数の減少、期待寿命の増加、または、がん性症状に関連するさまざまな生物学的症状の改善が明確に示される生物学的効果を指す。「抗腫瘍効果」は、本発明のペプチド、ポリヌクレオチド、細胞および抗体のそもそもの腫瘍発生を防止する能力によって明確に表され得る。
【0052】
本明細書で使用される「がん」という用語は、異常な細胞の急速で制御されていない増殖を特徴とする疾患として定義される。がん細胞は、局所的に広がることができ、または血流およびリンパ系を介して身体の他の部分に広がることができる。各がんの例示として、脳がん(例えば、星状細胞腫、髄膜腫、乏突起膠腫及び神経膠腫など)、膵臓がん、卵巣がん、腎臓がん、膀胱がん、皮膚がん、胃がん、腸がん、頭頸部がん、甲状腺がん、前立腺がん、肺がん、カポジ肉腫等を含むが、これらに限らない。
【0053】
本明細書で使用される「炎症性疾患」という用語の例として、喘息、脳炎、炎症性腸疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー、敗血症性ショック、肺線維症、未分化脊椎関節症、未分化骨関節症、関節炎、炎症性骨溶解、および、遅発性ウイルス感染および細菌感染によって引き起こされる慢性炎症を含むが、これらに限らない。
【0054】
本明細書で使用される「自己免疫疾患」という用語の例として、円形脱毛症、アンキロス脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫アディソン病、副腎自己免疫疾患、自己免疫溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性卵巣炎及び睾丸炎、自己免疫性血小板減少症、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアック病-皮膚炎、慢性疲労免疫機能障害症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄性多発神経障害、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、CREST症候群、冷凝集素病、クローン病、円板状エリテマトーデス、特発性混合クリオグロブリン血症、線維筋痛-筋線維炎、糸球体腎炎、グレーブス病、ギラン-バレ症候群、橋本病、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgAニューロパシー、若年性関節炎、口腔粘膜扁平苔癬、エリテマトーデス、メニエール病、混合結合組織疾患、多発性硬化症、I型または免疫介在性糖尿病、重症筋無力症、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発性動脈炎、多発性軟骨炎(polychrondritis)、多腺症候群、リウマチ性多発筋痛、多発性筋炎・皮膚筋炎、先天性無γグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、乾癬性関節炎、レイノー病、ライター症候群、リウマチ性関節炎、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、全身性エリテマトーデス、エリテマトーデス、多発性動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、脈管炎(例えば、疱疹状皮膚炎性血管炎)、白斑及びウェゲナー肉芽腫症を含むが、これらに限定されない。自己免疫疾患の一部は、炎症状態に関連している。したがって、自己免疫疾患と炎症性疾患と見なされる状態の間には重なるところがあると考えられる。したがって、自己免疫疾患の一部は炎症性疾患とも呼ばれる。
【0055】
本明細書で使用される場合、「共刺激リガンド」という用語は、T細胞上の関連共刺激分子に特異的に結合する抗原提示細胞(例えば、APC、樹状細胞、B細胞など)上の分子を含む。これにより、ペプチドをロードしたMHC分子へのTCR/CD3複合体の結合によって提供される一次シグナルに加えて、増殖、活性化、分化などを含むがこれらに限定されないT細胞応答を媒介するシグナルも提供する。共刺激性リガンドは、CD7、B7-1(CD80)、B7-2(CD86)、PD-L1、PD-L2、4-1BBL、OX40L、誘導可能な共刺激性リガンド(ICOS-L)、細胞間接着分子(ICAM)、CD30L、CD40、CD70、CD83、HLA-G、MICA、MICB、HVEM、リンホトキシンβ受容体、3/TR6、ILT3、ILT4、HVEM、Tollリガンド受容体に結合するアゴニスト、または、抗体およびB7-H3に特異的に結合するリガンドを含むが、これらに限定されない。共刺激性リガンドは、特にT細胞に存在する共刺激分子に特異的に結合する抗体を含み、例えば、CD27、CD28、4-1BB、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3及びCD83に特異的に結合する抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
本明細書で使用される「共刺激分子」という用語は、共刺激性リガンドに特異的に結合するT細胞上の関連結合パートナーを指し、これにより、例えば、増殖などに限られないT細胞の共刺激応答を仲介し、共刺激性分子として、MHC-Iクラス分子、BTLA及びTollリガンド受容体を含むが、これらに限定されない。
【0057】
本明細書で使用される「共刺激シグナル」という用語は、TCR/CD3ライゲーションなどの一次シグナルと組み合わせて、T細胞増殖および/または重要な分子のアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションをもたらすシグナルを指す。
「コードする」とは、遺伝子、cDNAまたはmRNAのようなポリヌクレオチドにおけるヌクレオチドの特異性配列がテンプレートとして機能し、生物学的プロセスにおける他のポリマーおよび大分子を合成する固有特性を指し、前記ポリマーおよび大分子は、ヌクレオチド(即ち、rRNA、tRNAおよびmRNA)の規定された配列またはアミノ酸の規定された配列のいずれか、およびそれ由来の生物学的特性を有する。したがって、遺伝子に対応するmRNAの転写および翻訳が細胞または他の生物学的システムにおいてタンパク質を産生する場合、その遺伝子はタンパク質をコードする。ヌクレオチド配列は、mRNA配列と同等であり、通常、配列リストにおけるコード鎖に提供され、それと遺伝子またはcDNAを転写するためのテンプレートとして機能する非コード鎖の両方も、その遺伝子またはcDNAをコードするタンパク質または他の産物と呼ばれる。
【0058】
本明細書で使用される「内因性」という用語は、生体、細胞、組織またはシステムに由来するまたはそれらの中で産生されるあらゆる物質を指す。
【0059】
本明細書で使用される「外因性」という用語は、生体、細胞、組織またはシステムの外から導入され、または、それらの外で産生されるあらゆる物質を指す。
【0060】
「発現」は、そのプロモーターにより駆動される特定のヌクレオチド配列の転写および/または翻訳であると定義される。
【0061】
本明細書で使用される「核酸構築体」という用語は、発現されるヌクレオチド配列に作動可能に連結された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含むベクターを指す。核酸構築物は、発現のための十分なシス作用エレメントを含み、発現に用いられる他のエレメントは、宿主細胞によって、またはインビトロ発現システムにおいて供給され得る。核酸構築体は、組み換えポリヌクレオチドを取り込むコスミド、プラスミド(例えば、裸のまたはリポソームに含まれるもの)およびウイルス(例えば、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)等の当分野で知られるこのようなもののすべてを含む。
【0062】
「同一」または「同一性」という用語は、2つのポリペプチド間または2つの核酸分子間の配列類似性または配列同一性を指す。2つの比較された配列の位置が同じ塩基またはアミノ酸モノマーサブユニットによって占められている場合、たとえば、2つのDNA分子のそれぞれの位置がアデニンによって占められている場合、分子はその位置で同一です。2つの配列間の同一性パーセントとは、2つの配列によって共有されるマッチングしているまたは同一な位置の数を比較位置数で割り、そして100を掛けることにより計算される。例えば、2つの配列における10個の位置のうち6個がマッチング又は同一である場合、2つの配列は60%同一性を有する。例を挙げて説明すると、DNA配列ATTGCCとTATGGCは50%の同一性を有する。一般的に、2つの配列を比較して最大相同性を求める時、比較を行う。
【0063】
本明細書で使用される「免疫グロブリン」又は「Ig」という用語は、抗体の役割を果たす1種類のタンパク質であると定義される。B細胞で発現される抗体は、BCR(B細胞受容体)又は抗原受容体と呼ばれることがある。このようなタンパク質に含まれる5つのメンバーは、IgA、IgG、IgM、IgD及びIgEである。IgAは、唾液、涙、親乳、胃腸分泌物、呼吸道、泌尿生殖路などの身体分泌物に存在する一次抗体である。IgGは最も一般的な循環抗体である。IgMは、ほとんどの対象の一次免疫応答で産生される主な免疫グロブリンである。それは凝集反応、補体結合及び他の抗体応答において最も効果的な免疫グロブリンであり、かつ細菌及びウイルスを抵抗する面で重要である。IgDは既知の抗体機能を有しない免疫グロブリンであるが、抗原受容体として用いることができる。IgEはアレルゲンに暴露された後、肥満細胞及び好塩基球からメディエーターを放出させることにより、即時型過敏症を媒介する免疫グロブリンである。
【0064】
「分離」は、自然の状態から変更または除去されたことを意味する。例えば、生きている動物に自然に存在する核酸またはペプチドは「分離」されていないが、その天然状態で共存する物質から部分的または完全に分離された同じ核酸またはペプチドは「分離」されている。分離された核酸またはタンパク質は、実質的に精製された形態で存在でき、または、例えば、宿主細胞のような、非天然環境で存在できる。
【0065】
本明細書において、特記しない限り、「アミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド配列」は、互いに縮重したバージョンであり、同じアミノ酸配列をコードするすべてのヌクレオチド配列を含む。タンパク質またはRNAをコードするヌクレオチド配列は、タンパク質をコードするヌクレオチド配列がいくつかのバージョンで(1つ又は複数の)イントロンを含む程度まで、イントロンを含み得る。
【0066】
本明細書で使用される「作動可能に連結」という用語は、制御配列と異種核酸配列との間の機能的連結を指し、これにより、後者の発現を生成する。例えば、第1核酸配列が第2核酸配列との機能関係に位置する場合、第1核酸配列が第2核酸配列に作動可能に連結されている。例えば、プロモーターがコード配列の転写または発現に影響を与える場合、プロモーターはコード配列に作動可能に連結されている。通常、作動可能に連結されているDNA配列は隣接しており、同じリーディングフレームで2つのタンパク質コード領域に連結されている必要がある。
【0067】
「過剰発現する」腫瘍抗原または腫瘍抗原の「過剰発現」という用語は、組織または器官からの正常細胞における発現レベルに比べて、患者の特定の組織または器官内の固形腫瘍などの患部からの細胞における腫瘍抗原の発現の異常なレベルを意味する。腫瘍抗原の過剰発現を特徴とする固形腫瘍または血液学的悪性腫瘍を有する患者は、当分野で知られている標準的なアッセイによって特定することができる。
免疫原性組成物の「非経口」投与は、例えば、皮下(s.c)、静脈内(i.v.)、筋肉内(i.m.)または胸骨内の注射または注入技術を含む。
【0068】
「患者」、「対象」、「個体」などの用語は、本明細書で交換可能に使用され、インビトロまたはインサイチュであるかどうかにかかわらず、本明細書に記載の方法に適した任意の動物またはその細胞を指す。いくつかの非限定的な実施形態において、患者、対象又は個体は人である。
【0069】
本明細書で使用される「ポリヌクレオチド」という用語は、ヌクレオチド鎖と定義される。また、核酸は、ヌクレオチドの多量体である。そこで、本明細書で使用される核酸とポリヌクレオチドは交換可能である。当業者であれば、核酸を加水分解してモノマーである「ヌクレオチド」にすることができるという一般的な知識を有する。モノマーであるヌクレオチドは、加水分解してヌクレオシドになることができる。本明細書で使用されるポリヌクレオチドは、当分野で利用可能な任意の手段によって得られるすべての核酸配列を含むが、これらに限定されない。前記手段は、一般的なクローニング技術、および、PCRTMなどを使用して組換えライブラリーまたは細胞ゲノムから核酸配列をクローニングする組換え手段、および、合成手段を含むがこれらに限定されない。
【0070】
本明細書で使用される「ペプチド」、「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、交換可能に使用され、ペプチド結合によって共有結合されたアミノ酸残基からなる化合物を指す。タンパク質またはペプチドは、少なくとも2つのアミノ酸を含む必要があり、タンパク質またはペプチドの配列に含めることができるアミノ酸の最大数に制限はない。ポリペプチドは、ペプチド結合によって互いに結合している2つ以上のアミノ酸を含有する任意のペプチドまたはタンパク質を含む。本明細書で使用される場合、この用語は、当分野で、通常、例えば、ペプチド、オリゴペプチド、およびオリゴマーとも呼ばれる短鎖、および、当分野で、通常、タンパク質と呼ばれる長鎖を指し、これらは多くのタイプが存在する。「ポリペプチド」は、例えば、生物学的に活性なフラグメント、実質的に相同なポリペプチド、オリゴペプチド、ホモ二量体、ヘテロ二量体、ポリペプチドの変異体、修飾ポリペプチド、誘導体、類似体、融合タンパク質などを含む。ポリペプチドは、天然ペプチド、組換えペプチド、合成ペプチド、またはそれらの組み合わせを含む。
【0071】
本明細書で使用される「安全スイッチ」という用語は、細胞治療の潜在的な毒性を防止するか、または他の方式で有害作用を防止するように設計された操作されたタンパク質を指す。場合によって、安全スイッチタンパク質の発現は、安全スイッチタンパク質をコードする遺伝子をそのゲノムに恒久的に組み込んだ移植された人工細胞の安全性の懸念に対処するために条件付きで制御されている。そのような条件付き制御は可変であり得、そして小分子を介した翻訳後活性化および組織特異的および/または時間的転写調節による制御を含み得る。前記安全スイッチは、アポトーシスの誘導、タンパク質合成の抑制、DNA複製、成長停止、転写および転写後遺伝子調節、および/または抗体を介した枯渇を媒介することができる。場合によって、安全スイッチタンパク質は外因性分子(例えば、プロドラッグ)によって活性化され、活性化されると、処理された細胞のアポトーシスおよび/または細胞死を引き起こす。安全スイッチタンパク質の実例として、HSVTK、VZVTK、iCaspase-9、iCaspase-1、iCaspase-8、短縮されたEGFR、RQR8等を含むが、これらに限定されない。この戦略では、有害事象が発生した場合に投与されたプロドラッグは、自殺遺伝子産物によって活性化され、形質導入された細胞を殺す。
【0072】
本明細書で使用される「プロモーター」という用語は、細胞の合成機構によって認識されるか、または細胞の合成機構を引導する、ポリヌクレオチド配列の特異的転写を開始するために必要とされるDNA配列として定義される。
【0073】
本明細書で使用される場合、「プロモーター/制御配列」という用語は、プロモーター/制御配列に作動可能に連結されている遺伝子産物の発現に必要な核酸配列を指す。ある例において、この配列は、コアプロモーター配列であってよく、他の例において、この配列はまた遺伝子産物の発現に必要なエンハンサー配列および他の調節エレメントを含んでもよい。プロモーター/制御配列は、例えば、組織特異的な方法で遺伝子産物を発現する配列であり得る。
【0074】
「構成型」プロモーターとは、遺伝子産物をコードする又は特定するポリヌクレオチドと操作可能に連結すると、細胞のほとんどまたはすべての生理学的条件下で遺伝子産物を細胞内で産生させるヌクレオチド配列である。
【0075】
「誘導型」プロモーターとは、遺伝子産物をコードする又は特定するポリヌクレオチドと作動可能に連結する場合、基本的にプロモーターに相当するインデューサーが細胞内に存在する場合にのみ、細胞内で遺伝子産物を産生させるヌクレオチド配列である。
【0076】
「組織特異的」プロモーターとは、遺伝子産物をコードする又は特定するポリヌクレオチドと作動可能に連結すると、細胞がプロモーターに対応する組織型の細胞である限り、細胞内で遺伝子産物を産生させるヌクレオチド配列である。
【0077】
本明細書で使用される抗体またはその抗原結合フラグメントに関する「特異的に結合する」または「免疫特異的に結合する」という用語は、本明細書で交換可能に使用され、抗体と抗原の抗体結合サイトとの間の非共有相互作用を介して同種抗原と1つまたは複数の非共有結合を形成する抗体または抗原結合フラグメントの能力を指す。前記抗原は分離された抗原であってもよく、細胞に存在してもよい。一般的に、免疫特異的結合(又は特異性結合)する抗原の抗体は、約1×10-1又は約1×10-1又はより大きな親和定数Ka(1×10-7又は1×10-8M以下の解離定数(Kd))で前記抗原に結合する。親和定数は、抗体反応の標準的な動力学的方法、例えば、免疫測定、表面プラズモン共鳴(SPR)(Rich and Myszka(2000)Curr.Opin.Biotechnol 11:54、Englebienne(1998)Analyst.123:1599)、等温滴定熱測定(ITC)又は本分野で知られている他の動的相互作用により測定することができる(例えば、Paul、ed.、Fundamental Immunology、2nd ed.、Raven Press、New York、pages 332-336(1989)を参照できる。また、抗体の結合親和性を計算することに用いされる示例的なSPR及びITC方法が記載されている米国特許第7,229,619号を参照できる)。結合速度をリアルタイムに検出し、モニタリングするための装置及び方法は既知であり、かつ購入可能である(BiaCore 2000、Biacore AB、Upsala、Sweden and GE Healthcare Life Sciences、Malmqvist(2000)Biochem.Soc.Trans.27:335を参照できる)。
【0078】
本明細書で使用される「実質的に精製された」細胞は、他の細胞型を実質的に含まない細胞である。実質的に精製された細胞は、また、それらが自然に発生する状態で通常関連している他の細胞型から分離された細胞も言う。ある例において、実質的に精製された細胞の集団は、細胞の均一集団を指す。他の例において、この用語は、単に、その天然の状態で本来関連している細胞から分離されている細胞を指す。ある実施態様において、細胞は、インビトロで培養される。他の実施態様において、細胞は、インビトロで培養されない。
【0079】
本明細書で使用される「治療的」という用語は、治療及び/又は予防を意味する。治療的効果は、疾患状態の抑制、緩和または根絶により得られる。
【0080】
本明細書で使用される「治療的有効量」という用語は、研究者、獣医、医師または他の臨床医によって求められている組織、システムまたは対象の生物学的または医学的応答を誘発する対象化合物の量を指す。「治療的有効量」という用語は、投与されたときに、治療されている障害または疾患の兆候または症状の1つまたは複数の発展を予防することができ、または、治療されている障害または疾患の兆候または症状の1つまたは複数をある程度で軽減することができる化合物の量を指す。治療的有効量は、化合物、疾患及びその重篤度、治療される対象の年齢、体重等によって変動し得る。
【0081】
本明細書で使用される疾患を「治療する」という用語は、対象が経験する疾患又は障害の少なくとも1つの兆候又は症状の頻度又は重篤性を低減することを指す。
【0082】
本明細書で使用される「トランスフェクション」または「形質転換」または「形質導入」とは、外因性核酸が宿主細胞に移入または導入されるプロセスを指す。「トランスフェクション」、「形質転換」または「形質導入」された細胞は、外因性核酸をトランスフェクト、形質転換または形質導入した細胞であり、細胞は一次対象細胞およびその子孫を含む。
【0083】
本明細書で使用される「ベクター」という用語は、分離された核酸を含み、かつ分離された核酸を細胞内部に送達することに使用できるモノ組成物を指す。直鎖状ポリヌクレオチド、イオン性または両親媒性化合物に関連するポリヌクレオチド、プラスミドおよびウイルスを含むがこれらに限定されない多くのベクターは、当分野で知られているベクターである。したがって、「ベクター」という用語は、自律的に複製するプラスミドまたはウイルスを含む。当該用語は、また、例えば、ポリリシン化合物、リポソームなどのような、核酸の細胞への転移を促進する非プラスミドおよび非ウイルス化合物をさらに含むと解釈すべきである。ウイルスベクターの例として、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクターなどを含むが、これらに限定されない。
【0084】
II.発明を実施するための形態
一態様において、本発明は、B7-H3を標的とするキメラ抗原受容体、及びB7-H3を標的とするキメラ抗原受容体を発現する免疫エフェクター細胞を提供する。具体的に、B7-H3を標的とするキメラ抗原受容体を発現する免疫エフェクター細胞は、B7-H3を標的とするキメラ抗原受容体を発現するT細胞である。
【0085】
一態様において、本発明に係るB7-H3を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)は、抗B7-H3結合ドメイン、ヒンジ領域、膜貫通ドメイン及びシグナル伝達ドメインを含む。
【0086】
前記のいずれかの態様に係るCARによれば、前記抗B7-H3結合ドメインは、抗B7-H3の抗体又は抗原結合部を含み、前記抗体又は抗原結合部は、アミノ酸配列SEQ ID NO:5-7、17-19、29-31、41-43、53-55、65-67、77-79、89-91、101-103、113-115又はこれらの任意の改変体から選ばれる軽鎖CDR、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:10-12、22-24、34-36、46-48、58-60、70-72、82-84、94-96、106-108、118-120又はこれらの任意の改変体から選ばれる重鎖CDRを含む。
【0087】
前記のいずれかの態様に係るCARによれば、前記抗B7-H3結合ドメインは、抗B7-H3抗体又は抗原結合部を含み、前記抗体又は抗原結合部は、アミノ酸配列SEQ ID NO:5、17、29、41、53、65、77、89、101、113又はこれらの任意の改変体から選ばれる軽鎖CDR1、アミノ酸配列SEQ ID NO:6、18、30、42、54、66、78、90、102、114又はこれらの任意の改変体から選ばれる軽鎖CDR2、アミノ酸配列SEQ ID NO:7、19、31、43、55、67、79、91、103、115又はこれらの任意の改変体から選ばれる軽鎖CDR3、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:10、22、34、46、58、70、82、94、106、118又はこれらの任意の改変体から選ばれる重鎖CDR1、アミノ酸配列SEQ ID NO:11、23、35、47、59、71、83、95、107、119又はこれらの任意の改変体から選ばれる重鎖CDR2、アミノ酸配列SEQ ID NO:12、24、36、48、60、72、84、96、108、120又はこれらの任意の改変体から選ばれる重鎖CDR3、を含む。
【0088】
前記のいずれかの態様に係るCARによれば、前記抗B7-H3結合ドメインは、抗B7-H3抗体又は抗原結合部を含み、前記抗体又は抗原結合部は、アミノ酸配列SEQ ID NO:4、16、28、40、52、64、76、88、100、112又はこれらの任意の改変体から選ばれる軽鎖配列、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:9、21、33、45、57、69、81、93、105、117又はこれらの任意の改変体から選ばれる重鎖配列、を含む。
【0089】
前記のいずれかの態様に係るCARによれば、前記抗B7-H3結合ドメインは、抗B7-H3の1本鎖抗体(scFv)を含む。
【0090】
前記のいずれかの態様に係るCARによれば、前記抗B7-H3の1本鎖抗体は、B7-H3タンパク断片に対して得られたモノクローナル抗体から由来する。
【0091】
前記のいずれかの態様に係るCARによれば、前記抗B7-H3の1本鎖抗体のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:2、14、26、38、50、62、74、86、98、110又はこれらの任意の改変体から選ばれるアミノ酸配列を含む。
【0092】
一態様において、抗B7-H3結合ドメインは、前記のいずれかの態様に係る抗B7-H3の1本鎖抗体部分と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の配列同一性を有する。
【0093】
前記のいずれかの態様に係るCARによれば、前記膜貫通ドメインは、TCRのα、β、ζ鎖、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD3ζ、CD4、CD5、CD8α、CD9、CD16、CD22、CD27、CD28、CD33、CD37、CD45、CD64、CD80、CD86、CD134、4-1BB、CD152、CD154、PD-1膜貫通ドメインから選ばれる1種又は複数種である。好ましくは、前記膜貫通ドメインが、CD8α、CD4、CD45、PD-1、CD154、CD28膜貫通ドメインから選ばれる1種又は複数種である。好ましくは、前記膜貫通ドメインが、CD8α、CD28膜貫通ドメインから選ばれる1種又は複数種である。より好ましくは、前記膜貫通ドメインのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:124又はこれの任意の改変体から選ばれるアミノ酸配列である。
【0094】
前記のいずれかの態様に係るCARによれば、前記ヒンジ領域は、CD8の細胞外ヒンジ領域、IgG1 Fc CH2CH3ヒンジ領域、IgDヒンジ領域、CD28細胞外ヒンジ領域、IgG4 Fc CH2CH3ヒンジ領域及びCD4の細胞外ヒンジ領域から選ばれる1種又は複数種である。好ましくは、前記ヒンジ領域が、CD8αヒンジ領域である。より好ましくは、前記ヒンジ領域のアミノ酸配列が、SEQ ID NO:122又はこれの任意の改変体から選ばれるアミノ酸配列である。
【0095】
前記のいずれかの態様に係るCARによれば、前記シグナル伝達ドメインは、TCRζ、FcRγ、FcRβ、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD5、CD22、CD79a、CD79b、CD278(ICOS)、CD66d、CD3ζの細胞内シグナル伝達ドメインから選ばれる1種又は複数種である。好ましくは、前記シグナル伝達ドメインが、CD3ζの細胞内シグナル伝達ドメインから選ばれたものである。より好ましくは、前記シグナル伝達ドメインのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:130又はこれの任意の改変体から選ばれるアミノ酸配列である。
【0096】
前記のいずれかの態様に係るCARによれば、前記シグナル伝達ドメインは、さらに1つ又は複数の共刺激ドメインをさらに含む。好ましくは、前記共刺激ドメインが、CARD11、CD2、CD7、CD27、CD28、CD30、CD40、CD54、CD83、OX40、4-1BB、CD134、CD150、CD152、CD223、CD270、PD-L2、PD-L1、CD278、DAP10、LAT、NKD2C、SLP76、TRIM、FcεRIγ、MyD88、4-1BB細胞内シグナル伝達ドメインから選ばれる1種又は複数種である。より好ましくは、前記共刺激ドメインが、4-1BB、CD134、CD28及びOX40の細胞内シグナル伝達ドメインから選ばれたものである。より好ましくは、前記共刺激ドメインが、4-1BB、CD28の細胞内シグナル伝達ドメインから選ばれる1種又は複数種である。より好ましくは、前記共刺激ドメインのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:126、128又はこれの任意の改変体から選ばれるアミノ酸配列である。
【0097】
もう一態様において、本発明は、B7-H3を標的とする1本鎖抗体(scFv)をさらに提供する。具体的に、前記scFvは、B7-H3タンパク断片に対して得られたモノクローナル抗体から由来する。より具体的に、前記scFvのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:2、14、26、38、50、62、74、86、98、110又はこれらの任意の改変体から選ばれるアミノ酸配列を含む。
【0098】
一態様において、B7-H3を標的とするscFvをコードする遺伝子は、SEQ ID NO:1、13、25、37、49、61、73、85、97、109又はこれらの任意の改変体から選ばれるヌクレオチド配列を含む。
【0099】
一態様において、本発明は、前記のいずれかの態様に係るCAR又はscFvをコードする核酸分子を提供する。好ましくは、前記scFvをコードする核酸分子は、ヌクレオチド配列が、SEQ ID NO:1、13、25、37、49、61、73、85、97、109又はこれらと少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の配列同一性を有する核酸分子である。
【0100】
一態様において、本発明は、前記のいずれかの態様に係る核酸分子を含む、核酸構築体を提供する。好ましくは、前記核酸構築体が、ウイルスベクターである。より好ましくは、前記ウイルスベクターが、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクターから選ばれる1種又は複数種である。
【0101】
一態様において、本発明は、前記のいずれかの態様に係る核酸分子、あるいは、前記のいずれかの態様に係る核酸構築体を含む、ウイルスを提供する。好ましくは、前記ウイルスがレトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルスから選ばれる1種又は複数種である。
【0102】
一態様において、本発明は、前記のいずれかの態様に係るCARを発現する、あるいは、前記のいずれかの態様に係る核酸構築体又は前記のいずれかの態様に係るウイルスを含む、分離された宿主細胞を提供する。好ましくは、前記宿主細胞が、哺乳動物の細胞である。より好ましくは、前記宿主細胞が、T細胞、NK細胞又は細胞株、γδT細胞、NKT細胞、マクロファージまたは細胞株、あるいは、PG13細胞株から選ばれる1種又は複数種である。より好ましくは、前記宿主細胞が、T細胞である。最も好ましくは、前記宿主細胞が、初代培養T細胞である。
【0103】
一態様において、前記宿主細胞は、他のエフェクターをさらに発現する。前記他のエフェクターは、サイトカイン、他のCAR、ケモカイン受容体、PD-1発現を低下するsiRNAまたはPD-L1を阻害するタンパク、TCR、あるいは安全スイッチを含むがこれらに限られない。好ましくは、前記のサイトカインが、TNF-α、TNF-β、VEGF、TPO、NGF-β、PDGF、TGF-α、TGF-β、IGF-I、IGF-II、EPO、M-CSF、IL-1、IL-1α、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IL-21、IL-25、LIF、FLT-3、インターフェロン、アンギオスタチン、トロンボスポンジン及びエンドスタチンから選ばれる1種又は複数種である。好ましくは、前記ケモカイン受容体が、CCR2、CCR5、CXCR2及びCXCR4から選ばれる1種又は複数種である。好ましくは、前記安全スイッチが、HSVTK、VZVTK、iCaspase-9、iCaspase-1、iCaspase-8、短縮されたEGFR及びRQR8から選ばれる1種又は複数種である。
【0104】
一態様において、本発明は、B7-H3を標的とするキメラ抗原受容体を発現する免疫エフェクター細胞を提供する。具体的に、本発明は、B7-H3を標的とするキメラ抗原受容体を発現するT細胞(CAR-T)を提供する。より具体的に、前記T細胞は活性化されたT細胞である。より具体的に、前記T細胞の活性化は、CD3及び/又はCD28抗体による刺激によって達成される。
【0105】
一態様において、本発明は、前記のいずれかの態様に係るCAR、核酸分子、核酸構築体、ウイルス、細胞から選ばれる1種又は複数種と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物を提供する。
【0106】
前述した実施形態における治療薬によれば、適切な薬学的に許容される担体、賦形剤、および、改善された移動、送達、耐性などを提供するために製剤に組み込まれる他の試薬と共に投与されることが理解される。医薬品化学者に知られている薬局方には、多数の適切な製剤がある:Remington’s Pharmaceutical Science(第15版、Mack Publishing Company、 Easton、 Pa.(1975))、特にそのうち、Blaug、Seymourによる第87章。これらの製剤は、例えば、粉末、ペースト、パップ剤、ゲル剤、ワックス、オイル、脂質、脂質(カチオン又はアニオン)含有担体(例えば、LipofectinTM)、DNA抱合体、無水スラリー、水中油及び油中水エマルジョン、エマルジョンポリエチレングリコール(さまざまな分子量のポリエチレングリコール)、半固形ゲル及びポリエチレングリコール含有半固形混合物を含む。前述の混合物のいずれも、製剤中の有効成分が製剤によって不活化されておらず、製剤が生理学的に許容され、かつ投与経路に耐えられる条件で、本発明による治療または治療方法に適用される。
【0107】
本明細書で使用される「薬学的に許容される担体」という用語は、薬物投与に適合するありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含むことを意図する。適切な薬学的に許容される担体は、最新版のRemington’s Pharmaceutical Sciencesに記載され、これは、この分野の標準的な参考文献であり、参照により本明細書に組み込まれる。このような担体又は希釈剤の好ましい例として、水、食塩水、リンゲル液、グルコース溶液、および1~10%のヒト血清アルブミンを含むが、これらに限定されない。リポソームおよび固定油などの非水系ビヒクルを使用することもできる。そのような媒体および試薬を薬学的に活性な物質として使用することは、当技術分野でよく知られている。抗体と適合性のない従来の培地または試薬を除き、組成物におけるそれらの使用は、企図されている。
【0108】
さらに、本発明によって提供される医薬組成物は、がん、炎症性疾患、自己免疫性疾患などの炎症性因子に関連する疾患を治療するために使用することができる。
【0109】
一態様において、前記のいずれかの態様に係るCAR、核酸分子、核酸構築体、ウイルス、細胞、医薬組成物の、がんの診断、治療又は予防のための薬物の製造における応用を提供する。
【0110】
一つの実施形態において、前記薬物を治療剤として使用することができる。このような試薬は、通常、対象の異常B7-H3発現、活性化及び/又はシグナル伝達に関連する疾患又は病理の診断、治療、緩和及び/又は予防に用いられる。たとえば、がんまたは他の腫瘍性障害などの異常なB7-H3発現、活性化および/またはシグナル伝達に関連する疾患または障害を有する(またはリスクがあるまたは発症している)ヒト患者などの対象を、標準的な方法で特定してから治療計画を実施する。本発明のキメラ抗原受容体(CAR)として、標的抗原(例えば、B7-H3)に特異的に結合する抗体または抗体フラグメントを使用する。本発明のCARは、好ましくは、その標的抗原(例えば、B7-H3)に対して高い特異性および高い親和性を有する抗体から調製され、好ましくは、調製されたCARを利用してさらに免疫細胞(たとえば、T細胞)に対して遺伝子改変を行う。標的(例えば、B7-H3)の発現、活性及び/又はシグナル伝達機能は、本発明のCAR及び/又は本発明の遺伝子改変免疫細胞を投与することにより除去、抑制又は妨害され得る。標的(例えば、B7-H3)のその天然に結合している内因性リガンドへの結合は、本発明のCARおよび/または遺伝子改変免疫細胞を投与することにより排除、阻害または防止され得る。例えば、B7-H3の発現、活性化および/またはシグナル伝達は、本発明のCARおよび/または遺伝子改変免疫細胞を投与することにより、調節、遮断、阻害、減少、拮抗、中和、またはその他の方法で妨害することができる。いくつかの実施形態において、異常なB7-H3発現に関連する疾患または障害を治療するために、抗B7-H3抗体の重鎖および軽鎖CDRに対する抗体または抗体フラグメントから本発明に係るCARおよび/または遺伝子改変免疫細胞を調製して対象に投与する。一実施形態において、異常なB7-H3発現に関連する疾患または障害は、がんであってもよい。
【0111】
明確かつ簡潔にするために、本明細書において、技術特徴を、同じまたは別々の実施形態の一部として本明細書に記載されているが、本発明の範囲は、いくつかの実施形態に記載されている技術特徴のすべてまたは一部を組み合わせてなる実施形態を含むことが理解される。
【実施例
【0112】
実施例1:腫瘍におけるB7-H3の発現検出
腫瘍におけるB7-H3抗原の発現状況を特定するために、まず、異なる腫瘍細胞株を検出のために選択した。原発腫瘍におけるB7-H3の発現をさらに検証するために、複数の患者の神経膠腫組織と正常組織を含む切片におけるB7-H3の発現状況を検出した。
【0113】
方法:腫瘍細胞を集め、1×PBSで三回洗浄し、次にB7-H3の抗体15C11で氷上で30分間染色し、1×PBSで洗浄した後にAPCでカップリングしたヤギ抗マウスの二次抗体を添加し、室温で20分間インキュベートし、1×PBSで洗浄した後、フローサイトメトリーでB7-H3の腫瘍細胞での発現を検出した。
【0114】
免疫組織化染色:複数の患者の神経膠腫組織及び正常組織の切片に対して、免疫組織化学法を利用して15C11抗体を用いて原発腫瘍におけるB7-H3の発現を検出した。
【0115】
パラフィン切片をキシレンで脱ロウし、アルコールで再水和した後、クエン酸ナトリウムを利用して抗原賦活を行った。その後、血清中で1時間ブロックした。B7-H3抗体15C11を4℃で一晩染色し、続いて西洋ワサビペルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウス二次抗体と30分間インキュベートした。洗浄した後にDABで発色させた後、ヘマトキシリンで染色した。染色が完了した後、顕微鏡で観察・撮影した。
【0116】
結果:図1から分かるように、検出された皮膚がん(WM-266-4)、卵巣がん(SK-OV-3)、神経膠腫(LN-229、U-87MG)等の多種の腫瘍細胞株には、いずれもB7-H3の高発現があった。図2から分かるように、すべての患者の神経膠腫サンプルで異なるレベルのB7-H3発現が検出されたが、傍癌性組織と正常な脳組織では、極めて少量の細胞で微小量の発現を有し、かつ発現レベルが非常に低かった。これは、B7-H3が固形腫瘍治療の特定の標的であることを示唆した。
【0117】
実施例2:細胞培養
本発明に用いられる細胞株は、10%FBS、1%glutaMAX、および1%ダイアボディを含むIMDM培地で培養されている293T細胞を含む。
WM-266-4、SK-OV-3、LN-229、LN-18、U-87MG細胞培地は、10%FBSのRPMI640又はDMEMであった。
【0118】
GFPをコードするレトロウイルスは、3プラスミドシステム(GFS-GFP、MMLV-gag-pol、pVSV-G)を使用して293T細胞を一過的にトランスフェクトすることにより調製された。GFP陽性細胞は、GFPをコードするレトロウイルスに感染させることによって調製された。Luciferase(Luc)をコードするレンチウイルスは、Lenti-Luciferase、pspAX2及びpVSV-Gを利用して293T細胞を一過的にトランスフェクトすることにより調製された。GFP-firefly luciferase(GFP-FFLuc)をコードするレトロウイルスは、GFS-GFP-FFLuc、MMLV-gag-pol及びpVSV-Gを利用して293T細胞を一過的にトランスフェクトすることにより調製された。マウス用腫瘍細胞株は、LucをコードするレンチウイルスまたはGFP-FFLucレトロウイルスに感染させた。
【0119】
実施例3:キメラ抗原受容体の構築
キメラ抗原受容体は、1本鎖抗体領域、CD8αヒンジ領域、CD8α膜貫通領域、CD28又は4-1BB共刺激因子領域及びCD3ζシグナル伝達領域で構成された(図3に示した)。キメラ抗原受容体の1本鎖抗体領域(scFV)は、各モノクローナルハイブリドーマ細胞によって産生されたB7-H3に対する抗体に由来し、前記scFVアミノ酸配列は、SEQ ID NO:2、14、26、38、50、62、74、86、98又は110に示した。キメラ抗原受容体は、遺伝子合成によって生成され、レトロウイルスベクターにクローニングされた。クローニングが完了した後、配列決定によりその配列の正しさを確認した。
【0120】
表1、Sequence Listing:
SEQ ID NO.1:15C11の1本鎖抗体領域の核酸配列
ATGGAGTTTGGGCTGAGCTGGCTTTTTCTTGTGGCTATTTTAAAAGGTGTCCAGTGCTCTAGAGACATCCAGATGACACAGAGCCCTAGCAGCCTGTCTGCCAGCGTGGGAGACAGAGTGACCATCACCTGTCAGGCCTCTCAGAACGTGCGGACAGCCGTGGCTTGGTATCAGCAGAAGCCTGGCAAGGCCCCTAAGGCTCTGATCTACCTGCCTAGCAACAGACTGACCGGCGTGCCCTCTAGATTCAGCGGCTCTGGCTCTGGCACCGACTTCACCTTCACAATCAGCAGCCTGCAGCCTGAGGATATCGCTACCTACTTCTGCCTGCAACACTGGAACTACCCTTTCACCTTCGGCCAGGGCACCAAGCTGGAAATCAAGGGTGGTGGTGGTTCTGGTGGTGGTGGTTCTGGCGGCGGCGGCTCCGGTGGTGGTGGATCCGAGGTTCAGCTGCAGCAGTCTGGACCTGAGCTGGTTAAGCCTGGCGCCTCCGTGAAGATCCCTTGCAAGACAAGCGGCTACATCTTCACCAGCTACTGGATCCACTGGGTCAAGCAGAGCCACGGCAAGAGCCTGGAATGGATCGGCAGAATCTACCCCGGCGTGGACAGCATCTACTACAACGAGAAGTTCAAGGGCAAAGCCACACTGACCGCCGACAAGAGCAGCAGCACAGCCTACATGGAACTGAGAAGCCTGACCAGCGAGGATACCGCCGTGTACTTCTGTGCCACCATCAGCTACGACTACGATTACAGCATGGACTACTGGGGCCAGGGCACCACCGTGACAGTTTCTTCT
SEQ ID NO.2:15C11の1本鎖抗体領域のタンパク質配列
MEFGLSWLFLVAILKGVQCSRDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCQASQNVRTAVAWYQQKPGKAPKALIYLPSNRLTGVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYFCLQHWNYPFTFGQGTKLEIKGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSEVQLQQSGPELVKPGASVKIPCKTSGYIFTSYWIHWVKQSHGKSLEWIGRIYPGVDSIYYNEKFKGKATLTADKSSSTAYMELRSLTSEDTAVYFCATISYDYDYSMDYWGQGTTVTVSS
SEQ ID NO.3:15C11の1本鎖抗体軽鎖の核酸配列
GACATCCAGATGACACAGAGCCCTAGCAGCCTGTCTGCCAGCGTGGGAGACAGAGTGACCATCACCTGTCAGGCCTCTCAGAACGTGCGGACAGCCGTGGCTTGGTATCAGCAGAAGCCTGGCAAGGCCCCTAAGGCTCTGATCTACCTGCCTAGCAACAGACTGACCGGCGTGCCCTCTAGATTCAGCGGCTCTGGCTCTGGCACCGACTTCACCTTCACAATCAGCAGCCTGCAGCCTGAGGATATCGCTACCTACTTCTGCCTGCAACACTGGAACTACCCTTTCACCTTCGGCCAGGGCACCAAGCTGGAAATCAAG
SEQ ID NO.4 :15C11の1本鎖抗体軽鎖のタンパク質配列
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCQASQNVRTAVAWYQQKPGKAPKALIYLPSNRLTGVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYFCLQHWNYPFTFGQGTKLEIK
SEQ ID NO.5:15C11の1本鎖抗体軽鎖CDR1のタンパク質配列
QASQNVRTAVA
SEQ ID NO.6:15C11の1本鎖抗体軽鎖CDR2のタンパク質配列
LPSNRLT
SEQ ID NO.7:15C11の1本鎖抗体軽鎖CDR3のタンパク質配列
LQHWNYPFT
SEQ ID NO.8:15C11の1本鎖抗体重鎖の核酸配列
GAGGTTCAGCTGCAGCAGTCTGGACCTGAGCTGGTTAAGCCTGGCGCCTCCGTGAAGATCCCTTGCAAGACAAGCGGCTACATCTTCACCAGCTACTGGATCCACTGGGTCAAGCAGAGCCACGGCAAGAGCCTGGAATGGATCGGCAGAATCTACCCCGGCGTGGACAGCATCTACTACAACGAGAAGTTCAAGGGCAAAGCCACACTGACCGCCGACAAGAGCAGCAGCACAGCCTACATGGAACTGAGAAGCCTGACCAGCGAGGATACCGCCGTGTACTTCTGTGCCACCATCAGCTACGACTACGATTACAGCATGGACTACTGGGGCCAGGGCACCACCGTGACAGTTTCTTCT
SEQ ID NO.9:15C11の1本鎖抗体重鎖のタンパク質配列
QLQQSGPELVKPGASVKIPCKTSGYIFTSYWIHWVKQSHGKSLEWIGRIYPGVDSIYYNEKFKGKATLTADKSSSTAYMELRSLTSEDTAVYFCATISYDYDYSMDYWGQGTTVTVSS
SEQ ID NO.10:15C11の1本鎖抗体重鎖CDR1タンパク質配列
GYIFTSYWIH
SEQ ID NO.11:15C11の1本鎖抗体重鎖CDR2タンパク質配列
RIYPGVDSIYYNEKFKG
SEQ ID NO.12:15C11の1本鎖抗体重鎖CDR3タンパク質配列
ATISYDYDYSMDY
【0121】
SEQ ID NO.13:53E9D7の1本鎖抗体核酸配列
ATGGAGTTTGGGCTGAGCTGGCTTTTTCTTGTGGCTATTTTAAAAGGTGTCCAGTGCTCTAGAGATGTTGTGCTAACTCAGTCTCCAGCCACCCTGTCTGTGACTCCAGGAGATAGCGTCAGTCTTTCCTGCAGGGCCAGCCAAAGTATTAGCATCAACCTACACTGGTATCAACAAAAATCACATGAGTCTCCAAGGCTTCTCATTAAGTATGCTTCCCAGTCCATCTCTGGGATCCCCTCCAGGTTCAGTGGCAGTGGATCAGGGACAGATTTCACTCTCAGTATCCACAGTGTGGAGACTGAAGATTTTGGAATGTTTTTCTGTCAACACAGTAACAGCTGGCCTCTCACGTTCGGTGCTGGGACCAAGCTGGAAATCAAAGGTGGTGGTGGTTCTGGTGGTGGTGGTTCTGGCGGCGGCGGCTCCGGTGGTGGTGGATCCCAGGTTACTCTGAAAGAGTCTGGCCCTGGGATATTGCAGCCCTCCCAGACCCTCAGTCTGACTTGTTCTTTCTCTGGGTTTTCACTGAGCACTTCTGGTATGGGTGTTGGCTGGATTCGTCAGCCATCACGGAAGGGTCTGGAGTGGCTGGCACACATTTGGTGGGATGATGTCAAGCGCTATAACCCAGCCCTGAAGAGCCGACTGACTATCTCCAAGGATACCTCCAGCAGCCAGGTGTTCCTCAAGATCGCCAGTGTGGACACTGCGGATACTGCCACATACTACTGTGCTCGAATACCCCACTGGTACTTCGATGTCTGGGGCGCAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCA
SEQ ID NO.14:53E9D7の1本鎖抗体のタンパク質配列
MEFGLSWLFLVAILKGVQCSRDVVLTQSPATLSVTPGDSVSLSCRASQSISINLHWYQQKSHESPRLLIKYASQSISGIPSRFSGSGSGTDFTLSIHSVETEDFGMFFCQHSNSWPLTFGAGTKLEIKGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSQVTLKESGPGILQPSQTLSLTCSFSGFSLSTSGMGVGWIRQPSRKGLEWLAHIWWDDVKRYNPALKSRLTISKDTSSSQVFLKIASVDTADTATYYCARIPHWYFDVWGAGTTVTVSS
SEQ ID NO.15:53E9D7の1本鎖抗体軽鎖の核酸配列
GATGTTGTGCTAACTCAGTCTCCAGCCACCCTGTCTGTGACTCCAGGAGATAGCGTCAGTCTTTCCTGCAGGGCCAGCCAAAGTATTAGCATCAACCTACACTGGTATCAACAAAAATCACATGAGTCTCCAAGGCTTCTCATTAAGTATGCTTCCCAGTCCATCTCTGGGATCCCCTCCAGGTTCAGTGGCAGTGGATCAGGGACAGATTTCACTCTCAGTATCCACAGTGTGGAGACTGAAGATTTTGGAATGTTTTTCTGTCAACACAGTAACAGCTGGCCTCTCACGTTCGGTGCTGGGACCAAGCTGGAAATCAAA
SEQ ID NO.16:53E9D7の1本鎖抗体軽鎖のタンパク質配列
DVVLTQSPATLSVTPGDSVSLSCRASQSISINLHWYQQKSHESPRLLIKYASQSISGIPSRFSGSGSGTDFTLSIHSVETEDFGMFFCQHSNSWPLTFGAGTKLEIK
SEQ ID NO.17:53E9D7の1本鎖抗体軽鎖CDR1のタンパク質配列
RASQSISINLH
SEQ ID NO.18:53E9D7の1本鎖抗体軽鎖CDR2のタンパク質配列
YASQSIS
SEQ ID NO.19:53E9D7の1本鎖抗体軽鎖CDR3のタンパク質配列
QHSNSWPLT
SEQ ID NO.20:53E9D7の1本鎖抗体重鎖の核酸配列
CAGGTTACTCTGAAAGAGTCTGGCCCTGGGATATTGCAGCCCTCCCAGACCCTCAGTCTGACTTGTTCTTTCTCTGGGTTTTCACTGAGCACTTCTGGTATGGGTGTTGGCTGGATTCGTCAGCCATCACGGAAGGGTCTGGAGTGGCTGGCACACATTTGGTGGGATGATGTCAAGCGCTATAACCCAGCCCTGAAGAGCCGACTGACTATCTCCAAGGATACCTCCAGCAGCCAGGTGTTCCTCAAGATCGCCAGTGTGGACACTGCGGATACTGCCACATACTACTGTGCTCGAATACCCCACTGGTACTTCGATGTCTGGGGCGCAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCA
SEQ ID NO.21:53E9D7の1本鎖抗体重鎖のタンパク質配列
QVTLKESGPGILQPSQTLSLTCSFSGFSLSTSGMGVGWIRQPSRKGLEWLAHIWWDDVKRYNPALKSRLTISKDTSSSQVFLKIASVDTADTATYYCARIPHWYFDVWGAGTTVTVSS
SEQ ID NO.22:53E9D7の1本鎖抗体重鎖CDR1のタンパク質配列
GFSLSTSGMGVG
SEQ ID NO.23:53E9D7の1本鎖抗体重鎖CDR2のタンパク質配列
HIWWDDVKRYNPALKS
SEQ ID NO.24:53E9D7の1本鎖抗体重鎖CDR3のタンパク質配列
ARIPHWYFDV
【0122】
SEQ ID NO.25:15C11C3の1本鎖抗体の核酸配列
ATGGAGTTTGGGCTGAGCTGGCTTTTTCTTGTGGCTATTTTAAAAGGTGTCCAGTGCTCTAGAGACATTGTGATGACCCAGTCTCAAAAATTCATGTCCACATCAGTAGGAGACAGGGTCAGCATCACCTGCAAGGCCAGTCAGAATGTTCGTACTGCTGTAGCCTGGTATCAACAGAAACCAGGCCAGTCTCCTAAAGCACTGATTTACTTGCCATCCAACCGGCTCACTGGAGTCCCTGATCGCTTCACAGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATTAGCAATGTCCAATCTGAAGACCTGGCAGATTATTTCTGTCTGCAACATTGGAATTATCCATTCACGTTCGGCTCGGGGACAAAGTTGGAAATAAAAGGTGGTGGTGGTTCTGGTGGTGGTGGTTCTGGCGGCGGCGGCTCCGGTGGTGGTGGATCCCAGGTCCAGCTGAAGCAGTCTGGAGCTGAGCTGGTGAGGCCTGGGGCTTCAGTGAATCTGTCCTGCAAGACTTCTGGATACATCTTCACCAGCTACTGGATTCACTGGGTAAAACAGAGGTCTGGACAGGGCCTTGAGTGGATTGCAAGGATTTATCCTGGAGTTGATAGTATTTATTACAATGAGAAGTTCAAGGGCAAGGCCACACTGACTGCAGACAAATCCTCCAGCACTGCCTACATGCAGCTCAGCAGCCTGAAATCTGAGGACTCTGCTGTCTATTTCTGTGCAACTATCTCCTATGATTACGACTATTCTATGGACTACTGGGGTCAAGGAACCTCAGTCACCGTCTCCTCA
SEQ ID NO.26:15C11C3の1本鎖抗体のタンパク質配列
MEFGLSWLFLVAILKGVQCSRDIVMTQSQKFMSTSVGDRVSITCKASQNVRTAVAWYQQKPGQSPKALIYLPSNRLTGVPDRFTGSGSGTDFTLTISNVQSEDLADYFCLQHWNYPFTFGSGTKLEIKGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSQVQLKQSGAELVRPGASVNLSCKTSGYIFTSYWIHWVKQRSGQGLEWIARIYPGVDSIYYNEKFKGKATLTADKSSSTAYMQLSSLKSEDSAVYFCATISYDYDYSMDYWGQGTSVTVSS
SEQ ID NO.27:15C11C3の1本鎖抗体軽鎖の核酸配列
GACATTGTGATGACCCAGTCTCAAAAATTCATGTCCACATCAGTAGGAGACAGGGTCAGCATCACCTGCAAGGCCAGTCAGAATGTTCGTACTGCTGTAGCCTGGTATCAACAGAAACCAGGCCAGTCTCCTAAAGCACTGATTTACTTGCCATCCAACCGGCTCACTGGAGTCCCTGATCGCTTCACAGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATTAGCAATGTCCAATCTGAAGACCTGGCAGATTATTTCTGTCTGCAACATTGGAATTATCCATTCACGTTCGGCTCGGGGACAAAGTTGGAAATAAAA
SEQ ID NO.28:15C11C3の1本鎖抗体軽鎖のタンパク質配列
DIVMTQSQKFMSTSVGDRVSITCKASQNVRTAVAWYQQKPGQSPKALIYLPSNRLTGVPDRFTGSGSGTDFTLTISNVQSEDLADYFCLQHWNYPFTFGSGTKLEIK
SEQ ID NO.29:15C11C3の1本鎖抗体軽鎖CDR1のタンパク質配列
KASQNVRTAVA
SEQ ID NO.30:15C11C3の1本鎖抗体軽鎖CDR2のタンパク質配列
LPSNRLT
SEQ ID NO.31:15C11C3の1本鎖抗体軽鎖CDR3のタンパク質配列
LQHWNYPFT
SEQ ID NO.32:15C11C3の1本鎖抗体重鎖の核酸配列
CAGGTCCAGCTGAAGCAGTCTGGAGCTGAGCTGGTGAGGCCTGGGGCTTCAGTGAATCTGTCCTGCAAGACTTCTGGATACATCTTCACCAGCTACTGGATTCACTGGGTAAAACAGAGGTCTGGACAGGGCCTTGAGTGGATTGCAAGGATTTATCCTGGAGTTGATAGTATTTATTACAATGAGAAGTTCAAGGGCAAGGCCACACTGACTGCAGACAAATCCTCCAGCACTGCCTACATGCAGCTCAGCAGCCTGAAATCTGAGGACTCTGCTGTCTATTTCTGTGCAACTATCTCCTATGATTACGACTATTCTATGGACTACTGGGGTCAAGGAACCTCAGTCACCGTCTCCTCA
SEQ ID NO.33:15C11C3の1本鎖抗体重鎖のタンパク質配列
QVQLKQSGAELVRPGASVNLSCKTSGYIFTSYWIHWVKQRSGQGLEWIARIYPGVDSIYYNEKFKGKATLTADKSSSTAYMQLSSLKSEDSAVYFCATISYDYDYSMDYWGQGTSVTVSS
SEQ ID NO.34:15C11C3の1本鎖抗体重鎖CDR1タンパク質配列
GYIFTSYWIH
SEQ ID NO.35:15C11C3の1本鎖抗体重鎖CDR2タンパク質配列
RIYPGVDSIYYNEKFKG
SEQ ID NO.36:15C11C3の1本鎖抗体重鎖CDR3タンパク質配列
ATISYDYDYSMDY
【0123】
SEQ ID NO.37:6E4D9の1本鎖抗体の核酸配列
ATGGAGTTTGGGCTGAGCTGGCTTTTTCTTGTGGCTATTTTAAAAGGTGTCCAGTGCTCTAGACAAATTGTTCTCACCCAGTCTCCAGCAATCATGTCTGCATCTCCAGGGGAGAAGGTCACCATGACCTGCAGTGCCAGCTCAAGTGTAAGTTACATGCACTGGTACCAGCAGAAGTCAGGCACCTCCCCCAAAAGATGGATTTATGACACATCCAAACTGGCTTCTGGAGTCCCTGCTCGCTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACCTCTTACTCTCTCACAATCAGCAGCATGGAGGCTGAAGATGCTGCCACTTATTACTGCCTGCAGTGGAGTAGTAACCCGCTCACGTTCGGTGCTGGGACCAAGCTGGAAATCAAAGGTGGTGGTGGTTCTGGTGGTGGTGGTTCTGGCGGCGGCGGCTCCGGTGGTGGTGGATCCGAGGTCCAGCTGCAGCAGTCTGGACCTGAGCTGGTGAAGCCTGGGGCTTCAGTGAAGATATCCTGCAAGACTTCTGGATACACATTCACTGAATACACCATGCACTGGGTGAAGCAGAGCCATGGAAAGAGCCCTGAGTGGATTGGAGGTATTAATCCTAACAATGGTGGTACTACCTACAACCAGAAATTCAAGGGCAAGGCCACATTGACTGTAGACAAGTCCTCCAGCACAGCCTACATGGAGCTCCGCAGCCTGACATCTGAGGATTCTGCAGTCTATTACTGTGCGAGACGGATTACTACGATGATACCTACGGGGGGCTTTGACTACTGGGGCCAAGGCACCACTCTCACAGTCTCCTCA
SEQ ID NO.38:6E4D9の1本鎖抗体のタンパク質配列
MEFGLSWLFLVAILKGVQCSRQIVLTQSPAIMSASPGEKVTMTCSASSSVSYMHWYQQKSGTSPKRWIYDTSKLASGVPARFSGSGSGTSYSLTISSMEAEDAATYYCLQWSSNPLTFGAGTKLEIKGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSEVQLQQSGPELVKPGASVKISCKTSGYTFTEYTMHWVKQSHGKSPEWIGGINPNNGGTTYNQKFKGKATLTVDKSSSTAYMELRSLTSEDSAVYYCARRITTMIPTGGFDYWGQGTTLTVSS
SEQ ID NO.39:6E4D9の1本鎖抗体軽鎖の核酸配列
CAAATTGTTCTCACCCAGTCTCCAGCAATCATGTCTGCATCTCCAGGGGAGAAGGTCACCATGACCTGCAGTGCCAGCTCAAGTGTAAGTTACATGCACTGGTACCAGCAGAAGTCAGGCACCTCCCCCAAAAGATGGATTTATGACACATCCAAACTGGCTTCTGGAGTCCCTGCTCGCTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACCTCTTACTCTCTCACAATCAGCAGCATGGAGGCTGAAGATGCTGCCACTTATTACTGCCTGCAGTGGAGTAGTAACCCGCTCACGTTCGGTGCTGGGACCAAGCTGGAAATCAAA
SEQ ID NO.40:6E4D9の1本鎖抗体軽鎖のタンパク質配列
QIVLTQSPAIMSASPGEKVTMTCSASSSVSYMHWYQQKSGTSPKRWIYDTSKLASGVPARFSGSGSGTSYSLTISSMEAEDAATYYCLQWSSNPLTFGAGTKLEIK
SEQ ID NO.41:6E4D9の1本鎖抗体軽鎖CDR1のタンパク質配列
SASSSVSYMH
SEQ ID NO.42:6E4D9の1本鎖抗体軽鎖CDR2のタンパク質配列
DTSKLAS
SEQ ID NO.43:6E4D9の1本鎖抗体軽鎖CDR3のタンパク質配列
LQWSSNPLT
SEQ ID NO.44:6E4D9の1本鎖抗体重鎖の核酸配列
GAGGTCCAGCTGCAGCAGTCTGGACCTGAGCTGGTGAAGCCTGGGGCTTCAGTGAAGATATCCTGCAAGACTTCTGGATACACATTCACTGAATACACCATGCACTGGGTGAAGCAGAGCCATGGAAAGAGCCCTGAGTGGATTGGAGGTATTAATCCTAACAATGGTGGTACTACCTACAACCAGAAATTCAAGGGCAAGGCCACATTGACTGTAGACAAGTCCTCCAGCACAGCCTACATGGAGCTCCGCAGCCTGACATCTGAGGATTCTGCAGTCTATTACTGTGCGAGACGGATTACTACGATGATACCTACGGGGGGCTTTGACTACTGGGGCCAAGGCACCACTCTCACAGTCTCCTCA
SEQ ID NO.45:6E4D9の1本鎖抗体重鎖のタンパク質配列
EVQLQQSGPELVKPGASVKISCKTSGYTFTEYTMHWVKQSHGKSPEWIGGINPNNGGTTYNQKFKGKATLTVDKSSSTAYMELRSLTSEDSAVYYCARRITTMIPTGGFDYWGQGTTLTVSS
SEQ ID NO.46:6E4D9の1本鎖抗体重鎖CDR1のタンパク質配列
GYTFTEYTMH
SEQ ID NO.47:6E4D9の1本鎖抗体重鎖CDR2のタンパク質配列
GINPNNGGTTYNQKFKG
SEQ ID NO.48:6E4D9の1本鎖抗体重鎖CDR3のタンパク質配列
ARRITTMIPTGGFDY
【0124】
SEQ ID NO.49:31F3E5の1本鎖抗体の核酸配列
ATGGAGTTTGGGCTGAGCTGGCTTTTTCTTGTGGCTATTTTAAAAGGTGTCCAGTGCTCTAGAGAAATTTTGCTCACCCAGTCTCCAGCAATCATAGCTGTATCTCCTGGGGAGAAGGTCACCATAACCTGCAGTGCCAGCTCAAGTGTAAATTACATGAACTGGTACCAACAGAAACCAGGATCCTCCCCCAAAATATGGATTTTTGGTATGTCCAACCTGGCTTCTGGAGTTCCTGCTCGCTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACATCTTTCTCTTTCACAATCAACAGCATGGAGGCTGAAGATGTTGCCACTTATTACTGTCACCAAAGGAGTAGTTACCCATACACGTTCGGAGGGGGGACCAAGCTGGAAATCAAAGGTGGTGGTGGTTCTGGTGGTGGTGGTTCTGGCGGCGGCGGCTCCGGTGGTGGTGGATCCCAGATCCAGTTGGTGCAGTCTGGACCTGAATTGAAGAAGCCTGGAGAGACAGTCAGGATCTCCTGCAAGGCTTCTGGATATACCTTCACAAACTATGGAATGAACTGGGTGAAGCAGGCTCCAGGAAAGGGTTTGAAGTGGATGGGCTGGATTAATACCTACACTGGAGAGCCGACATATTCTGATGTCTTCAGGGGACGGTTTGCCTTCTCTTTGGAAACCTCTGCCAACACTGCCTATTTAGAGATCAGAAAACTCAAAAATGAGGACATGGCTACGTATTTCTGTGTGAGAAATGAATACGACGCACCTTACTGGGGCCAAGGGACTCTGGTCACTGTCTCTGCA
SEQ ID NO.50:31F3E5の1本鎖抗体のタンパク質配列
MEFGLSWLFLVAILKGVQCSREILLTQSPAIIAVSPGEKVTITCSASSSVNYMNWYQQKPGSSPKIWIFGMSNLASGVPARFSGSGSGTSFSFTINSMEAEDVATYYCHQRSSYPYTFGGGTKLEIKGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSQIQLVQSGPELKKPGETVRISCKASGYTFTNYGMNWVKQAPGKGLKWMGWINTYTGEPTYSDVFRGRFAFSLETSANTAYLEIRKLKNEDMATYFCVRNEYDAPYWGQGTLVTVSA
SEQ ID NO.51:31F3E5の1本鎖抗体軽鎖の核酸配列
GAAATTTTGCTCACCCAGTCTCCAGCAATCATAGCTGTATCTCCTGGGGAGAAGGTCACCATAACCTGCAGTGCCAGCTCAAGTGTAAATTACATGAACTGGTACCAACAGAAACCAGGATCCTCCCCCAAAATATGGATTTTTGGTATGTCCAACCTGGCTTCTGGAGTTCCTGCTCGCTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACATCTTTCTCTTTCACAATCAACAGCATGGAGGCTGAAGATGTTGCCACTTATTACTGTCACCAAAGGAGTAGTTACCCATACACGTTCGGAGGGGGGACCAAGCTGGAAATCAAA
SEQ ID NO.52:31F3E5の1本鎖抗体軽鎖のタンパク質配列
EILLTQSPAIIAVSPGEKVTITCSASSSVNYMNWYQQKPGSSPKIWIFGMSNLASGVPARFSGSGSGTSFSFTINSMEAEDVATYYCHQRSSYPYTFGGGTKLEIK
SEQ ID NO.53:31F3E5の1本鎖抗体軽鎖CDR1のタンパク質配列
SASSSVNYMN
SEQ ID NO.54:31F3E5の1本鎖抗体軽鎖CDR2のタンパク質配列
GMSNLAS
SEQ ID NO.55:31F3E5の1本鎖抗体軽鎖CDR3のタンパク質配列
HQRSSYPYT
SEQ ID NO.56:31F3E5の1本鎖抗体重鎖の核酸配列
CAGATCCAGTTGGTGCAGTCTGGACCTGAATTGAAGAAGCCTGGAGAGACAGTCAGGATCTCCTGCAAGGCTTCTGGATATACCTTCACAAACTATGGAATGAACTGGGTGAAGCAGGCTCCAGGAAAGGGTTTGAAGTGGATGGGCTGGATTAATACCTACACTGGAGAGCCGACATATTCTGATGTCTTCAGGGGACGGTTTGCCTTCTCTTTGGAAACCTCTGCCAACACTGCCTATTTAGAGATCAGAAAACTCAAAAATGAGGACATGGCTACGTATTTCTGTGTGAGAAATGAATACGACGCACCTTACTGGGGCCAAGGGACTCTGGTCACTGTCTCTGCA
SEQ ID NO.57:31F3E5の1本鎖抗体重鎖のタンパク質配列
QIQLVQSGPELKKPGETVRISCKASGYTFTNYGMNWVKQAPGKGLKWMGWINTYTGEPTYSDVFRGRFAFSLETSANTAYLEIRKLKNEDMATYFCVRNEYDAPYWGQGTLVTVSA
SEQ ID NO.58:31F3E5の1本鎖抗体重鎖CDR1のタンパク質配列
GYTFTNYGMN
SEQ ID NO.59:31F3E5の1本鎖抗体重鎖CDR2のタンパク質配列
WINTYTGEPTYSDVFRG
SEQ ID NO.60:31F3E5の1本鎖抗体重鎖CDR3のタンパク質配列
VRNEYDAPY
【0125】
SEQ ID NO.61:21H2E11の1本鎖抗体の核酸配列
ATGGAGTTTGGGCTGAGCTGGCTTTTTCTTGTGGCTATTTTAAAAGGTGTCCAGTGCTCTAGAAACATTGTGTTGGCCCAATCTCCAGCTTCTTTGGCTGTGTCTCTAGGGCAGAGGGCCACCATATCCTGCAGAGCCAGCGAAAGTGTTGATAATTATGGCTATAGTTTTATGCACTGGTACCAGCAGAAACCAGGACAGTCACCCAAACTCCTCATCTATCTTGCATCCAACCTAGAATCTGGGGTCCCTGCCAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTAGGTCAGACTTCACCCTCACCATTGATCCTGTGGAGGCTGATGATGCTGCAACCTATTACTGTCAGCAAAATAGTGAAGATCCGTGGACGTTCGGTGGAGGCACCAGGCTGGAAATCAAAGGTGGTGGTGGTTCTGGTGGTGGTGGTTCTGGCGGCGGCGGCTCCGGTGGTGGTGGATCCCAGGTTCAACTCCAGCAGTCTGGGGCTGTGCTGGTGAAGCCTGGGGCCTCAGTGAAGATGTCCTGCAAGGCTTCTGGCTACACATTTACCAGTTACAATTTGCACTGGATAAAGCAGACACCTGGACAGGGCCTGGAATGGATTGGAGTTATTTATTCAGGAAATAGTGATACTTCAACCAATCAGAAGTTCAAAGGCAAGGCCACATTGACTGAAGACAAATCCGCCAGTACAGTCTACATATATCTCAGCAGCCTGACATCTGAAGACTCTGCGGTCTATTACTGTGCAAGGGGGGAATATGGTAACCACGGGGGATTTGCTTACTGGGGCCAAGGGACTCTGGTCACTGTCTCTGCA
SEQ ID NO.62:21H2E11の1本鎖抗体のタンパク質配列
MEFGLSWLFLVAILKGVQCSRNIVLAQSPASLAVSLGQRATISCRASESVDNYGYSFMHWYQQKPGQSPKLLIYLASNLESGVPARFSGSGSRSDFTLTIDPVEADDAATYYCQQNSEDPWTFGGGTRLEIKGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSQVQLQQSGAVLVKPGASVKMSCKASGYTFTSYNLHWIKQTPGQGLEWIGVIYSGNSDTSTNQKFKGKATLTEDKSASTVYIYLSSLTSEDSAVYYCARGEYGNHGGFAYWGQGTLVTVSA
SEQ ID NO.63:21H2E11の1本鎖抗体軽鎖の核酸配列
AACATTGTGTTGGCCCAATCTCCAGCTTCTTTGGCTGTGTCTCTAGGGCAGAGGGCCACCATATCCTGCAGAGCCAGCGAAAGTGTTGATAATTATGGCTATAGTTTTATGCACTGGTACCAGCAGAAACCAGGACAGTCACCCAAACTCCTCATCTATCTTGCATCCAACCTAGAATCTGGGGTCCCTGCCAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTAGGTCAGACTTCACCCTCACCATTGATCCTGTGGAGGCTGATGATGCTGCAACCTATTACTGTCAGCAAAATAGTGAAGATCCGTGGACGTTCGGTGGAGGCACCAGGCTGGAAATCAAA
SEQ ID NO.64:21H2E11の1本鎖抗体軽鎖のタンパク質配列
NIVLAQSPASLAVSLGQRATISCRASESVDNYGYSFMHWYQQKPGQSPKLLIYLASNLESGVPARFSGSGSRSDFTLTIDPVEADDAATYYCQQNSEDPWTFGGGTRLEIK
SEQ ID NO.65:21H2E11の1本鎖抗体軽鎖CDR1のタンパク質配列
RASESVDNYGYSFMH
SEQ ID NO.66:21H2E11の1本鎖抗体軽鎖CDR2のタンパク質配列
LASNLES
SEQ ID NO.67:21H2E11の1本鎖抗体軽鎖CDR3のタンパク質配列
QQNSEDPWT
SEQ ID NO.68:21H2E11の1本鎖抗体重鎖の核酸配列
CAGGTTCAACTCCAGCAGTCTGGGGCTGTGCTGGTGAAGCCTGGGGCCTCAGTGAAGATGTCCTGCAAGGCTTCTGGCTACACATTTACCAGTTACAATTTGCACTGGATAAAGCAGACACCTGGACAGGGCCTGGAATGGATTGGAGTTATTTATTCAGGAAATAGTGATACTTCAACCAATCAGAAGTTCAAAGGCAAGGCCACATTGACTGAAGACAAATCCGCCAGTACAGTCTACATATATCTCAGCAGCCTGACATCTGAAGACTCTGCGGTCTATTACTGTGCAAGGGGGGAATATGGTAACCACGGGGGATTTGCTTACTGGGGCCAAGGGACTCTGGTCACTGTCTCTGCA
SEQ ID NO.69:21H2E11の1本鎖抗体重鎖のタンパク質配列
QVQLQQSGAVLVKPGASVKMSCKASGYTFTSYNLHWIKQTPGQGLEWIGVIYSGNSDTSTNQKFKGKATLTEDKSASTVYIYLSSLTSEDSAVYYCARGEYGNHGGFAYWGQGTLVTVSA
SEQ ID NO.70:21H2E11の1本鎖抗体重鎖CDR1のタンパク質配列
GYTFTSYNLH
SEQ ID NO.71:21H2E11の1本鎖抗体重鎖CDR2のタンパク質配列
VIYSGNSDTSTNQKFKG
SEQ ID NO.72:21H2E11の1本鎖抗体重鎖CDR3のタンパク質配列
ARGEYGNHGGFAY
【0126】
SEQ ID NO.73: 24A11A11の1本鎖抗体の核酸配列
ATGGAGTTTGGGCTGAGCTGGCTTTTTCTTGTGGCTATTTTAAAAGGTGTCCAGTGCTCTAGAGACATTGTGATGACCCAGTCTCAAAAATTCATGTCCACATCAGTAGGAGACAGGGTCAGCATCACCTGCAAGGCCAGTCAGAATGTTCGTACTGCTGTAGCCTGGTATCAACAGAAACCAGGCCAGTCTCCTAAAGCACTGATTTACTTGCCATCCAACCGGCACACTGGAGTCCCTGATCGCTTCACAGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATTAGCAATGTGCAATCTGAAGACCTGGCAGATTATTTCTGTCTGCAACATTGGAATTATCCATTCACGTTCGGCTCGGGGACAAAGTTGGAAATAAAAGGTGGTGGTGGTTCTGGTGGTGGTGGTTCTGGCGGCGGCGGCTCCGGTGGTGGTGGATCCCAGGTCCAGCTGAAGCAGTCTGGAGCTGAGCTGGTGAGGCCTGGGGCTTCAGTGAATCTGTCCTGCAAGACTTCTGGATACATCTTCACCAGCTACTGGATTCACTGGGTAAAACAGAGGTCTGGACAGGGCCTTGAGTGGATTGCAAGGATTTATCCTGGAGTTGATAGTATTTATTACAATGAGAAGTTCAAGGGCAAGGCCACACTGACTGCAGACAAATCCTCCAGCACTGCCTACATGCAGCTCAGCAGCCTGAAATCTGAGGACTCTGCTGTCTATTTCTGTGCAACTATCTCCTATGATTACGACTATTCTATGGACTACTGGGGTCAAGGAACCTCAGTCACCGTCTCCTCA
SEQ ID NO.74:24A11A11の1本鎖抗体のタンパク質配列
MEFGLSWLFLVAILKGVQCSRDIVMTQSQKFMSTSVGDRVSITCKASQNVRTAVAWYQQKPGQSPKALIYLPSNRHTGVPDRFTGSGSGTDFTLTISNVQSEDLADYFCLQHWNYPFTFGSGTKLEIKGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSQVQLKQSGAELVRPGASVNLSCKTSGYIFTSYWIHWVKQRSGQGLEWIARIYPGVDSIYYNEKFKGKATLTADKSSSTAYMQLSSLKSEDSAVYFCATISYDYDYSMDYWGQGTSVTVSS
SEQ ID NO.75:24A11A11の1本鎖抗体軽鎖の核酸配列
GACATTGTGATGACCCAGTCTCAAAAATTCATGTCCACATCAGTAGGAGACAGGGTCAGCATCACCTGCAAGGCCAGTCAGAATGTTCGTACTGCTGTAGCCTGGTATCAACAGAAACCAGGCCAGTCTCCTAAAGCACTGATTTACTTGCCATCCAACCGGCACACTGGAGTCCCTGATCGCTTCACAGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATTAGCAATGTGCAATCTGAAGACCTGGCAGATTATTTCTGTCTGCAACATTGGAATTATCCATTCACGTTCGGCTCGGGGACAAAGTTGGAAATAAAA
SEQ ID NO.76:24A11A11の1本鎖抗体軽鎖のタンパク質配列
DIVMTQSQKFMSTSVGDRVSITCKASQNVRTAVAWYQQKPGQSPKALIYLPSNRHTGVPDRFTGSGSGTDFTLTISNVQSEDLADYFCLQHWNYPFTFGSGTKLEIK
SEQ ID NO.77:24A11A11の1本鎖抗体軽鎖CDR1のタンパク質配列
KASQNVRTAVA
SEQ ID NO.78:24A11A11の1本鎖抗体軽鎖CDR2のタンパク質配列
LPSNRHT
SEQ ID NO.79:24A11A11の1本鎖抗体軽鎖CDR3のタンパク質配列
LQHWNYPFT
SEQ ID NO.80:24A11A11の1本鎖抗体重鎖の核酸配列
AGGTCCAGCTGAAGCAGTCTGGAGCTGAGCTGGTGAGGCCTGGGGCTTCAGTGAATCTGTCCTGCAAGACTTCTGGATACATCTTCACCAGCTACTGGATTCACTGGGTAAAACAGAGGTCTGGACAGGGCCTTGAGTGGATTGCAAGGATTTATCCTGGAGTTGATAGTATTTATTACAATGAGAAGTTCAAGGGCAAGGCCACACTGACTGCAGACAAATCCTCCAGCACTGCCTACATGCAGCTCAGCAGCCTGAAATCTGAGGACTCTGCTGTCTATTTCTGTGCAACTATCTCCTATGATTACGACTATTCTATGGACTACTGGGGTCAAGGAACCTCAGTCACCGTCTCCTCA
SEQ ID NO.81:24A11A11の1本鎖抗体重鎖のタンパク質配列
QVQLKQSGAELVRPGASVNLSCKTSGYIFTSYWIHWVKQRSGQGLEWIARIYPGVDSIYYNEKFKGKATLTADKSSSTAYMQLSSLKSEDSAVYFCATISYDYDYSMDYWGQGTSVTVSS
SEQ ID NO.82:24A11A11の1本鎖抗体重鎖CDR1のタンパク質配列
GYIFTSYWIH
SEQ ID NO.83:24A11A11の1本鎖抗体重鎖CDR2のタンパク質配列
RIYPGVDSIYYNEKFKG
SEQ ID NO.84:24A11A11の1本鎖抗体重鎖CDR3のタンパク質配列
ATISYDYDYSMDY
【0127】
SEQ ID NO.85:42B5C12の1本鎖抗体の核酸配列
ATGGAGTTTGGGCTGAGCTGGCTTTTTCTTGTGGCTATTTTAAAAGGTGTCCAGTGCTCTAGAGATATTGTGATGACGCAGGCTGCATTCTCCAATCCAGTCACTCTTGGAACATCAGCTTCCATCTCCTGCAGGTCTAGTAAGAGTCTCCTCCATAGTAATGGCATCACTTATTTCTATTGGTATCTGCAGAAGCCAGGCCAGTCTCCTCAGCTCCTGATTTATCAGATGTCCAGCCTTGCCTCAGGAGTCCCAGACAGGTTCAGTAGCAGTGGGTCAGGAACTGATTTCACACTGAGAATCAGCAGAGTGGAGGCTGAGGATGTGGGTGTTTATTACTGTGCTCAAAATCTAGAACTTCCGTACACGTTCGGAGGGGGGACCAAGCTGGAAATCAAAGGTGGTGGTGGTTCTGGTGGTGGTGGTTCTGGCGGCGGCGGCTCCGGTGGTGGTGGATCCCAGATCCAGTTGGTGCAGTCTGGACCTGAGGTGAGGAGGCCTGGGGAGACAGTCAAGATCTCCTGCAAGGCTTCTGGATATACTTTCACAAACTTTGGAATGAACTGGGTGAAACAGGCTCCAGGAAAGGCTTTACAGTGGATGGGCTGGATAAACACCTACACTGGTGAGCCAACATATGCTGATGACTTCAAGGGCCGGTTTGCCTTCTCTTTGGAATCCTCTGCCAGCACTGCCCATTTGCAGATCAGCTACCTCAAAGATGAGGACACGGCTACATATTTCTGTGCGAGATGGTGGCTTCAATATGCTTTGGACAACTGGGGTCAAGGAACCTCAGTCACCGTCTCCTCA
SEQ ID NO.86:42B5C12の1本鎖抗体のタンパク質配列
MEFGLSWLFLVAILKGVQCSRDIVMTQAAFSNPVTLGTSASISCRSSKSLLHSNGITYFYWYLQKPGQSPQLLIYQMSSLASGVPDRFSSSGSGTDFTLRISRVEAEDVGVYYCAQNLELPYTFGGGTKLEIKGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSQIQLVQSGPEVRRPGETVKISCKASGYTFTNFGMNWVKQAPGKALQWMGWINTYTGEPTYADDFKGRFAFSLESSASTAHLQISYLKDEDTATYFCARWWLQYALDNWGQGTSVTVSS
SEQ ID NO.87:42B5C12の1本鎖抗体軽鎖の核酸配列
GATATTGTGATGACGCAGGCTGCATTCTCCAATCCAGTCACTCTTGGAACATCAGCTTCCATCTCCTGCAGGTCTAGTAAGAGTCTCCTCCATAGTAATGGCATCACTTATTTCTATTGGTATCTGCAGAAGCCAGGCCAGTCTCCTCAGCTCCTGATTTATCAGATGTCCAGCCTTGCCTCAGGAGTCCCAGACAGGTTCAGTAGCAGTGGGTCAGGAACTGATTTCACACTGAGAATCAGCAGAGTGGAGGCTGAGGATGTGGGTGTTTATTACTGTGCTCAAAATCTAGAACTTCCGTACACGTTCGGAGGGGGGACCAAGCTGGAAATCAAA
SEQ ID NO.88:42B5C12の1本鎖抗体軽鎖のタンパク質配列
DIVMTQAAFSNPVTLGTSASISCRSSKSLLHSNGITYFYWYLQKPGQSPQLLIYQMSSLASGVPDRFSSSGSGTDFTLRISRVEAEDVGVYYCAQNLELPYTFGGGTKLEIK
SEQ ID NO.89:42B5C12の1本鎖抗体軽鎖CDR1のタンパク質配列
RSSKSLLHSNGITYFY
SEQ ID NO.90:42B5C12の1本鎖抗体軽鎖CDR2のタンパク質配列
QMSSLAS
SEQ ID NO.91:42B5C12の1本鎖抗体軽鎖CDR3のタンパク質配列
AQNLELPYT
SEQ ID NO.92:42B5C12の1本鎖抗体重鎖の核酸配列
CAGATCCAGTTGGTGCAGTCTGGACCTGAGGTGAGGAGGCCTGGGGAGACAGTCAAGATCTCCTGCAAGGCTTCTGGATATACTTTCACAAACTTTGGAATGAACTGGGTGAAACAGGCTCCAGGAAAGGCTTTACAGTGGATGGGCTGGATAAACACCTACACTGGTGAGCCAACATATGCTGATGACTTCAAGGGCCGGTTTGCCTTCTCTTTGGAATCCTCTGCCAGCACTGCCCATTTGCAGATCAGCTACCTCAAAGATGAGGACACGGCTACATATTTCTGTGCGAGATGGTGGCTTCAATATGCTTTGGACAACTGGGGTCAAGGAACCTCAGTCACCGTCTCCTCA
SEQ ID NO.93:42B5C12の1本鎖抗体重鎖のタンパク質配列
QIQLVQSGPEVRRPGETVKISCKASGYTFTNFGMNWVKQAPGKALQWMGWINTYTGEPTYADDFKGRFAFSLESSASTAHLQISYLKDEDTATYFCARWWLQYALDNWGQGTSVTVSS
SEQ ID NO.94:42B5C12の1本鎖抗体重鎖CDR1のタンパク質配列
GYTFTNFGMN
SEQ ID NO.95:42B5C12の1本鎖抗体重鎖CDR2のタンパク質配列
WINTYTGEPTYADDFKG
SEQ ID NO.96:42B5C12の1本鎖抗体重鎖CDR3のタンパク質配列
ARWWLQYALDN
【0128】
SEQ ID NO.97:14A7A8の1本鎖抗体の核酸配列
ATGGAGTTTGGGCTGAGCTGGCTTTTTCTTGTGGCTATTTTAAAAGGTGTCCAGTGCTCTAGAAACATTGTGCTGACCCAATCTCCAGCTTCTTTGGCTGTGTCTCTAGGGCAGAGGGCCACCATATCCTGCAGAGCCAGTGAAAATGTTGATAATTATGGCAATAGTTTTATACACTGGTACCAGCAGAAACCAGGACAGCCACCCAAACTCCTCATCTATCTTGCATCCAACCTAGAATCTGGGGTCCCTGCCAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTAGGTCAGACTTCACCCTCACCATTGATCCTGTGGAGGCTGATGATGCTGCAACCTATTACTGTCAGCAAAATAATGAGGATCCGTGGACGTTCGGTGGAGGCACCAAGCTGGAAATCAAAGGTGGTGGTGGTTCTGGTGGTGGTGGTTCTGGCGGCGGCGGCTCCGGTGGTGGTGGATCCCAGGTCCAACTGCAGCAGCCTGGGGCTGAGCTGGTGAAGCCTGGGGCCTCAGTGAAGATGTCCTGCAAGGCTTCTGGCTACATATTTACCAGTTACAATTTGCACTGGGTAAAACAGACACCTGGACAGGGCCTGGAATGGATTGGAGTTATTTATTCAGGAAATAGTGATACTTCCAACAATCAGAAGTTCAAAGGCAAGGCCACATTGACTGAAGACAAATCCGCCAGCACAGCCTACCTACACCTCAGCAGCCTGACATCTGAAGACTCAGCGGTCTATTTCTGTGCAAGGGGGGAATATGGTAACCACGGGGGGTTTGCTTACTGGGGCCAAGGGACTCTGGTCACTGTCTCTGCA
SEQ ID NO.98:14A7A8の1本鎖抗体のタンパク質配列
MEFGLSWLFLVAILKGVQCSRNIVLTQSPASLAVSLGQRATISCRASENVDNYGNSFIHWYQQKPGQPPKLLIYLASNLESGVPARFSGSGSRSDFTLTIDPVEADDAATYYCQQNNEDPWTFGGGTKLEIKGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSQVQLQQPGAELVKPGASVKMSCKASGYIFTSYNLHWVKQTPGQGLEWIGVIYSGNSDTSNNQKFKGKATLTEDKSASTAYLHLSSLTSEDSAVYFCARGEYGNHGGFAYWGQGTLVTVSA
SEQ ID NO.99:14A7A8の1本鎖抗体軽鎖の核酸配列
AACATTGTGCTGACCCAATCTCCAGCTTCTTTGGCTGTGTCTCTAGGGCAGAGGGCCACCATATCCTGCAGAGCCAGTGAAAATGTTGATAATTATGGCAATAGTTTTATACACTGGTACCAGCAGAAACCAGGACAGCCACCCAAACTCCTCATCTATCTTGCATCCAACCTAGAATCTGGGGTCCCTGCCAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTAGGTCAGACTTCACCCTCACCATTGATCCTGTGGAGGCTGATGATGCTGCAACCTATTACTGTCAGCAAAATAATGAGGATCCGTGGACGTTCGGTGGAGGCACCAAGCTGGAAATCAAA
SEQ ID NO.100:14A7A8の1本鎖抗体軽鎖のタンパク質配列
NIVLTQSPASLAVSLGQRATISCRASENVDNYGNSFIHWYQQKPGQPPKLLIYLASNLESGVPARFSGSGSRSDFTLTIDPVEADDAATYYCQQNNEDPWTFGGGTKLEIK
SEQ ID NO.101:14A7A8の1本鎖抗体軽鎖CDR1のタンパク質配列
RASENVDNYGNSFIH
SEQ ID NO.102:14A7A8の1本鎖抗体軽鎖CDR2のタンパク質配列
LASNLES
SEQ ID NO.103:14A7A8の1本鎖抗体軽鎖CDR3のタンパク質配列
QQNNEDPWT
SEQ ID NO.104:14A7A8の1本鎖抗体重鎖の核酸配列
CAGGTCCAACTGCAGCAGCCTGGGGCTGAGCTGGTGAAGCCTGGGGCCTCAGTGAAGATGTCCTGCAAGGCTTCTGGCTACATATTTACCAGTTACAATTTGCACTGGGTAAAACAGACACCTGGACAGGGCCTGGAATGGATTGGAGTTATTTATTCAGGAAATAGTGATACTTCCAACAATCAGAAGTTCAAAGGCAAGGCCACATTGACTGAAGACAAATCCGCCAGCACAGCCTACCTACACCTCAGCAGCCTGACATCTGAAGACTCAGCGGTCTATTTCTGTGCAAGGGGGGAATATGGTAACCACGGGGGGTTTGCTTACTGGGGCCAAGGGACTCTGGTCACTGTCTCTGCA
SEQ ID NO.105:14A7A8の1本鎖抗体重鎖のタンパク質配列
QVQLQQPGAELVKPGASVKMSCKASGYIFTSYNLHWVKQTPGQGLEWIGVIYSGNSDTSNNQKFKGKATLTEDKSASTAYLHLSSLTSEDSAVYFCARGEYGNHGGFAYWGQGTLVTVSA
SEQ ID NO.106:14A7A8の1本鎖抗体重鎖CDR1のタンパク質配列
GYIFTSYNLH
SEQ ID NO.107:14A7A8の1本鎖抗体重鎖CDR2のタンパク質配列
VIYSGNSDTSNNQKFKG
SEQ ID NO.108:14A7A8の1本鎖抗体重鎖CDR3のタンパク質配列
ARGEYGNHGGFAY
【0129】
SEQ ID NO.109:41C10E7の1本鎖抗体の核酸配列
ATGGAGTTTGGGCTGAGCTGGCTTTTTCTTGTGGCTATTTTAAAAGGTGTCCAGTGCTCTAGAGACATCCAGATGACTCAGTCTCCAGCCTCCCTAACTGTATTTGTGGGGGAAACTGTCACCATCACATGTCGAGCAAGTGAGAATATTTACAGTAATTTAGCGTGGTATCAGCAGAAACAGGGAAAATCTCCTCAGCTCCTGGTCTATACTGCAACAAATTTAATAGATGGTGTGCCATCAAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCCGGCACACAGTATTCCCTCAAGATCAACAGCCTGCAGTCTGAAGATTTCGGGAGTTATTACTGTCAACATTTTTGGGGTACTCCGGTCACGTTCGGTGCTGGGACCAAGCTGGAAATCAAAGGTGGTGGTGGTTCTGGTGGTGGTGGTTCTGGCGGCGGCGGCTCCGGTGGTGGTGGATCCCAGGTCCAACTGCAGCAGCCTGGGGCAGAACTGGTGAAGCCTGGGGCCTCAGTGAGGATGTCCTGCAGGGCTTCTGGCTACACTTTTACCAGTTACAATTTGCACTGGGTAAAACAGACACCTGGACAGGGCCTGGAATGGATTGGGGCTATTCATCCAGGAGATAATTATACTTCCTACAATCAGATTTTCAACGACAAGGCCACATTGACTGCAGACAAATCCTCCAGCACAGCCTACATGCAGCTCAGTAGCCTGACATCTGAGGACTCTGCGGTCTATTTCTGTGCAAGGAATTACTACGGTAGTCTTGATTACTGGGGCCAAGGCACCACTCTCACAGTCTCCTCA
SEQ ID NO.110: 41C10E7の1本鎖抗体のタンパク質配列
MEFGLSWLFLVAILKGVQCSRDIQMTQSPASLTVFVGETVTITCRASENIYSNLAWYQQKQGKSPQLLVYTATNLIDGVPSRFSGSGSGTQYSLKINSLQSEDFGSYYCQHFWGTPVTFGAGTKLEIKGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSQVQLQQPGAELVKPGASVRMSCRASGYTFTSYNLHWVKQTPGQGLEWIGAIHPGDNYTSYNQIFNDKATLTADKSSSTAYMQLSSLTSEDSAVYFCARNYYGSLDYWGQGTTLTVSS
SEQ ID NO.111:41C10E7の1本鎖抗体軽鎖の核酸配列
GACATCCAGATGACTCAGTCTCCAGCCTCCCTAACTGTATTTGTGGGGGAAACTGTCACCATCACATGTCGAGCAAGTGAGAATATTTACAGTAATTTAGCGTGGTATCAGCAGAAACAGGGAAAATCTCCTCAGCTCCTGGTCTATACTGCAACAAATTTAATAGATGGTGTGCCATCAAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCCGGCACACAGTATTCCCTCAAGATCAACAGCCTGCAGTCTGAAGATTTCGGGAGTTATTACTGTCAACATTTTTGGGGTACTCCGGTCACGTTCGGTGCTGGGACCAAGCTGGAAATCAAA
SEQ ID NO.112:41C10E7の1本鎖抗体軽鎖のタンパク質配列
DIQMTQSPASLTVFVGETVTITCRASENIYSNLAWYQQKQGKSPQLLVYTATNLIDGVPSRFSGSGSGTQYSLKINSLQSEDFGSYYCQHFWGTPVTFGAGTKLEIK
SEQ ID NO.113:41C10E7の1本鎖抗体軽鎖CDR1のタンパク質配列
RASENIYSNLA
SEQ ID NO.114:41C10E7の1本鎖抗体軽鎖CDR2のタンパク質配列
TATNLI
SEQ ID NO.115:41C10E7の1本鎖抗体軽鎖CDR3のタンパク質配列
QHFWGTPVT
SEQ ID NO.116:41C10E7の1本鎖抗体重鎖の核酸配列
CAGGTCCAACTGCAGCAGCCTGGGGCAGAACTGGTGAAGCCTGGGGCCTCAGTGAGGATGTCCTGCAGGGCTTCTGGCTACACTTTTACCAGTTACAATTTGCACTGGGTAAAACAGACACCTGGACAGGGCCTGGAATGGATTGGGGCTATTCATCCAGGAGATAATTATACTTCCTACAATCAGATTTTCAACGACAAGGCCACATTGACTGCAGACAAATCCTCCAGCACAGCCTACATGCAGCTCAGTAGCCTGACATCTGAGGACTCTGCGGTCTATTTCTGTGCAAGGAATTACTACGGTAGTCTTGATTACTGGGGCCAAGGCACCACTCTCACAGTCTCCTCA
SEQ ID NO.117:41C10E7の1本鎖抗体重鎖のタンパク質配列
QVQLQQPGAELVKPGASVRMSCRASGYTFTSYNLHWVKQTPGQGLEWIGAIHPGDNYTSYNQIFNDKATLTADKSSSTAYMQLSSLTSEDSAVYFCARNYYGSLDYWGQGTTLTVSS
SEQ ID NO.118:41C10E7の1本鎖抗体重鎖のCDR1タンパク質配列
GYTFTSYNLH
SEQ ID NO.119:41C10E7の1本鎖抗体重鎖CDR2のタンパク質配列
AIHPGDNYTSYNQIFND
SEQ ID NO.120:41C10E7の1本鎖抗体重鎖CDR3のタンパク質配列
ARNYYGSLDY
【0130】
SEQ ID NO.121:CD8αヒンジ領域の核酸配列
ACCACGACGCCAGCGCCGCGACCACCAACACCGGCGCCCACCATCGCGTCGCAGCCCCTGTCCCTGCGCCCAGAGGCGTGCCGGCCAGCGGCGGGGGGCGCAGTGCACACGAGGGGGCTGGACTTCGCCTGTGAT
SEQ ID NO.122:CD8αヒンジ領域のタンパク質配列
TTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACD
SEQ ID NO.123:CD8α膜貫通領域の核酸配列
ATCTACATCTGGGCGCCCTTGGCCGGGACTTGTGGGGTCCTTCTCCTGTCACTGGTTATCACCCTTTACTGC
SEQ ID NO.124:CD8α膜貫通領域のタンパク質配列
IYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYC
SEQ ID NO.125:CD28共刺激因子の核酸配列
AGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCC
SEQ ID NO.126:CD28共刺激因子のタンパク質配列
RSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRS
SEQ ID NO.127:4-1BB共刺激因子の核酸配列
AAACGGGGCAGAAAGAAACTCCTGTATATATTCAAACAACCATTTATGAGACCAGTACAAACTACTCAAGAGGAAGATGGCTGTAGCTGCCGATTTCCAGAAGAAGAAGAAGGAGGATGTGAACTG
SEQ ID NO.128:4-1BB共刺激因子のタンパク質配列
KRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCEL
SEQ ID NO.129:CD3ζシグナル伝達領域の核酸配列
AGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCTAA
SEQ ID NO.130:CD3ζシグナル伝達領域のタンパク質配列
RVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0131】
実施例4:キメラ抗原受容体のレトロウイルスの調製
マウス白血病レトロウイルス(MMLV)の調製では、3プラスミドシステム(GFS-CAR、MMLV-gag-pol、およびRV-RD)を使用して293T細胞を一過性にトランスフェクトした。そのうち、CD19.28CARは、コントロールであり、15C11ヒト化抗体から誘導されたB7-H3.BB CAR及びB7-H3.28CARは、測定するターゲットCARであった。トランスフェクションを行ってから48及び72時間後、CD3およびCD28抗体で刺激された健康なヒトT細胞を感染させるために293T細胞の上清を回収した。
【0132】
実施例5:B7-H3を標的とするキメラ抗原受容体嵌を発現するT細胞の調製
1、T細胞のトランスフェクション及び増幅:
健常者から提供された末梢血を使用して、末梢血単核細胞を分離した。リンパ球密度勾配遠心法により単独の単核細胞を単離した。分離された単独の単核細胞をCD3及びCD28の抗体により活性化された後、実施例4で回収されたレトロウイルス(CD19.28 CAR、B7-H3.BB CAR及びB7-H3.28 CAR)でT細胞を感染させた。次に、B7-H3キメラ抗原受容体の発現及び腫瘍の殺傷を検出するために、キメラ抗原受容体をトランスフェクションしたT細胞を増幅させた。
【0133】
2、B7-H3キメラ抗原受容体発現の検出
トランスフェクションから3日後のB7-H3キメラ抗原受容体-T細胞の一部を回収し、B7-H3と抗体Fcフラグメントとの融合タンパク質を利用して、B7-H3キメラ抗原受容体の発現を検出し、二次抗体はAPC蛍光染料で標識されたヤギ抗ヒトのFc抗体であった。フローサイトメトリーを利用してB7-H3キメラ抗原受容体のT細胞での発現を検出した。
【0134】
結果:コントロールとしてのCD19.28CARと類似し、90%を超えるT細胞は、本発明に係るB7-H3キメラ抗原受容体(B7-H3.BB CAR又はB7-H3.28 CAR)を発現した(図4A)。この結果は、他の複数の健常ドナーのT細胞で検証された(図4B)。
【0135】
実施例6:インビトロ共培養システムにおけるB7-H3キメラ抗原受容体-T細胞による腫瘍細胞の殺傷
1、B7-H3キメラ抗原受容体-T細胞による腫瘍細胞の殺傷作用
本発明に係るキメラ抗原受容体がT細胞を介してB7-H3高発現の腫瘍細胞を殺傷したか否かを確認するために、T細胞と腫瘍細胞との共培養試験を設計して該T細胞による様々な腫瘍細胞の殺傷状況をテストした。腫瘍細胞が壁に接着してから24時間後に、コントロール(CD19.28CAR-T)及びB7-H3キメラ抗原受容体を発現するT細胞(B7-H3.28CAR-T)を添加し、その後フローサイトメトリーでこれらによる様々な腫瘍細胞の殺傷状況を検出した。
【0136】
方法:24ウェルプレートに1-2×10/1ウェルのGFP標識腫瘍細胞(SK-OV-3、LN-18、LN-229、WM-266-4)を接種し、24時間後にT細胞:腫瘍細胞=1:1の割合で、対応量のトランスフェクションから10日間後のCAR-T細胞を添加した。7日後にウェル内の細胞を回収し、フローサイトメトリーを利用して残留腫瘍細胞の百分率を検出した。ここでCAR-T細胞はマウス抗ヒトのCD3蛍光抗体により検出され、腫瘍細胞は自発的なGFP蛍光を利用して検出された。
【0137】
結果:図5に示すように、コントロールとしてのCAR-T細胞はいずれの腫瘍細胞に対しても殺傷作用を有しなかったが、本発明に係るB7-H3のCAR-T細胞は、いずれの腫瘍細胞(SK-OV-3、LN-18、LN-229、WM-266-4)との共培養においても腫瘍細胞を完全に殺滅することができると共に、当該CAR-T細胞が細胞増殖の現象も示した。
【0138】
2、本発明に係るB7-H3CARと同じ抗原を標的とする他のCARとの比較:抗原に対する親和性及び3種類のCAR-T細胞による腫瘍細胞殺傷中のサイトカイン放出
既存の特許に同じ抗原を標的とする他の2つのキメラ抗原受容体が開示されていることを考慮して、本発明に係るCARとこれらの2種類のCAR(CAR1は、WO2017/044699に由来し、CAR2は、US10,233,226B2に由来した)のB7-H3抗原に対する親和性及び3種類のCAR-T細胞による腫瘍細胞の殺傷過程におけるサイトカイン放出状況を比較した。
【0139】
方法:親和性沈殿アッセイ(Pull-down assay)
293T細胞にそれぞれB7-H3-FLAG又はFLAG空ベクターコントロールをトランスフェクションした。また、別の293T細胞に対して、それぞれ3種類の異なるB7-H3 CARをその発現量を一致するようにトランスフェクションした。48時間後、RIPA溶解液でB7-H3-FLAG又はFLAG空ベクターコントロールをトランスフェクションした293T細胞を溶解し、遠心分離して上清を回収し、抗-FLAG-M2アフィニティーゲルを添加し、4℃で2時間インキュベートし、RIPA溶解液で洗浄して置いた。RIPA溶解液で異なるB7-H3 CARをトランスフェクションした293T細胞を分解し、遠心分離して上清を回収した後、それぞれB7-H3-FLAG又はFLAG空ベクターコントロールをインキュベーションした後の抗-FLAG-M2アフィニティーゲルと4℃で1時間インキュベートした。RIPA溶解液で4回洗浄した後、溶出液(0.1M glycine-HCl、pH 3.5)で室温で10分間振動溶出し、上清を取り、1M Tris-HCl(pH 7.5)で中和反応をした後、SDSローディング緩衝液を加え、95℃で5分間変性し、ウエスタンブロットで親和性を分析した。
【0140】
結果:図6Aに示すように、3種類のCARは、いずれもB7-H3と結合することができ、他の2種類のCARに比べて、本発明に係るB7-H3CARは、B7-H3抗原タンパク質とより多く結合することができ、本発明に係るCARは、免疫抗原に対してより強い親和性を有することを示した。
【0141】
方法:酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)
4種類の異なる腫瘍細胞(LN-229、LN-18、WM-266-4及びSK-OV-3)とコントロールとしてのCD19.28CAR-T、CAR1、CAR2及び本発明のB7-H3.28CAR-Tとの共培養試験において、トランスフェクションしてから10日間のT細胞を添加してから24時間後、上清の一部を回収した。ELISAのキットを用いて上清中のサイトカインを検出した。
【0142】
結果:図6Bに示すように、コントロールとしてのCD19.28CAR-T細胞は、腫瘍細胞との共培養過程で放出されたサイトカインレベルが検出限以下であったが、3種類の異なるB7-H3のCAR-T細胞は、いずれも殺傷過程でTh1類サイトカイン(IFNγ及びIL-2等を含む)を放出した。本発明に係るB7-H3 CAR-Tは、CAR1、CAR2と比較して、4種類の細胞を殺傷する過程において、より高いレベルのIL-2およびIFNγを有意に放出することができた。これらサイトカインレベルがCAR-Tによる腫瘍の殺傷の最終的な効果に大きな影響を与えるため、本発明に係るB7-H3CAR-Tは、腫瘍殺傷において、従来の2種類のB7-H3 CAR-Tより顕著に高い効果を示した。
【0143】
実施例7:同所性異種移植腫瘍マウス試験
本発明におけるB7-H3キメラ抗原受容体を発現するT細胞によるインビボでの腫瘍の殺傷作用を確認するために、ヌードマウスの神経膠腫モデルを選択した。6~8週齢のヌードマウス脳内にluciferase標識されたヒト腫瘍細胞(U-87MG又はLN-229細胞)を注射し、腫瘍を形成した後にさらに溶媒PBS、コントロールとしてのCD19.28 CAR-T、B7-H3 BB CAR-T及びB7-H3.28 CAR-T細胞を同所性注射し、その後、T細胞による腫瘍クリアランスと治療されたマウスの生存状況を、画像化によって検出した。
【0144】
方法:神経膠腫を標的するCAR-T細胞のインビボ試験は、6~8週齢のヌードマウスで完了した。まず、ヌードマウスの脳内に3Dポジショニングという方式でGFP‐FFLuc標識された腫瘍細胞株(U‐87MG細胞)を移植し、2週間後、体内撮像システムにおいて腫瘍移植が成功したことを確認した後、溶媒PBS、トランスフェクションから10日目のコントロールとしてのCD19.28CAR-T、B7-H3 BB CAR-T及びB7-H3.28CAR-T細胞を同所性注射した。その後、週ごとに一回撮像し、T細胞による腫瘍の殺傷状況を観察した。
【0145】
インビボ生存試験において、3Dポジショニングによってマウス脳にGFP‐FFLuc標識されたLN‐229細胞を同所性注射し、2週間後溶媒PBS、コントロールとしてのCD19.28CAR-T、B7-H3 BB CAR-T及びB7-H3.28CAR-T細胞を同所性注射した。その後、週ごとにマウスの体重を測定し、マウスの死亡時間を記録した。
【0146】
結果:図7に示すように、PBS群およびコントロールとしてのCD19.28CAR-T群における継続的な腫瘍増殖と比較して、本発明に係るB7-H3 CAR-T細胞(B7-H3.BBCAR-T及びB7-H3.28CAR-T)は、ほとんどのマウスにおいてU-87MG細胞によって形成された腫瘍を除去することができた。一定期間内に腫瘍を再発しないように制御することができた。この結果は、B7-H3キメラ抗原受容体のT細胞がインビボで腫瘍を殺傷することができることを示した。
【0147】
また、コントロールおよびB7-H3キメラ抗原受容体T細胞療法を受けたLN-229神経膠腫マウスの生存率を調べた。図8に示すように、コントロールとしてのPBS及びCD19.28CAR-Tに比べて、本発明に係るB7-H3キメラ抗原受容体のT細胞(B7-H3.BB CAR-T及びB7-H 3.28 CAR-T)は、マウスの生存時間を顕著に延長し、本発明に係るB7-H3キメラ抗原受容体のT細胞は、潜在的な腫瘍治療方法とすることができることが示された。
【0148】
実施例8:B7-H3キメラ抗原受容体-T細胞による患者由来神経膠腫の殺傷作用
1、インビトロでのB7-H3キメラ抗原受容体-T細胞による患者由来神経膠腫ニューロスフェアの殺傷
本発明において、B7-H3キメラ抗原受容体を発現するT細胞による患者由来腫瘍の殺傷作用を検証するために、神経膠腫患者の神経膠腫幹細胞を分離し、かつ神経膠腫ニューロスフェアに培養した。さらに神経膠腫ニューロスフェアとコントロール(CD 19-CAR)及びB7-H3キメラ抗原受容体(B7-H3.BBCAR及びB7-H 3.28CAR)を発現するT細胞と共培養し、その後、顕微鏡観察及びフローサイトメトリーによってT細胞による患者神経膠腫ニューロスフェアの殺傷状況を検出した。
【0149】
方法:患者の神経膠腫組織を取得した後、組織解離キットを利用して神経膠腫幹細胞を分離し、その後に神経膠腫完全培地で培養して神経膠腫ニューロスフェアを得た。24ウェルプレートに1~2×10/1ウェルの患者神経膠腫ニューロスフェア細胞を接種し、24時間後にT細胞:腫瘍細胞=1:1の割合で対応量の、トランスフェクションから10日間後のCAR-T細胞を添加した。5~7日後にウェル内の細胞を観察・回収し、フローサイトメトリーを利用して残留腫瘍細胞の百分率を検出した。ここでCAR-T細胞をマウス抗ヒトのCD3蛍光抗体により検出し、標識されていない細胞は、神経膠腫ニューロスフェア細胞であった。
【0150】
結果:図9に示すように、コントロールとしてのCD19.28TCAR-T細胞は、神経膠腫ニューロスフェアを殺傷することができなかったが、本発明に係るB7-H3.BB CAR-T及びB7-H3.28CAR-Tは、神経膠腫ニューロスフェア細胞を効果的に殺傷することができ、かつCAR-T細胞は、顕著な蓄積及び増殖を示した。
【0151】
2、インビボでのB7-H3キメラ抗原受容体-T細胞による患者由来神経膠腫ニューロスフェアの殺傷
インビボでのB7-H3キメラ抗原受容体のT細胞による患者由来神経膠腫ニューロスフェアの殺傷作用をさらに確認するために、患者神経膠腫ニューロスフェアを利用して異種同所性移植腫瘍マウスモデルを構築した。ヌードマウスの脳内に患者の膠腫ニューロスフェア細胞を同所性注射し、2週間後に同様に脳内に溶媒PBS、コントロールとしてのCD19.28CAR-T、B7-H3.BB CAR-T及びB7-H3.28 CAR-T細胞を注射し、その後、各群の治療されたマウスの生存状況を記録した。
【0152】
方法:患者由来神経膠腫を標的するCAR-T細胞のインビボ試験は、6-8週齢のヌードマウスで完了した。まず、ヌードマウスの脳内に3Dポジショニング装置でGFP‐FFLuc標識された神経膠腫ニューロスフェア細胞を同所性注射し、2週間後、PBS、コントロールとしてのCD19.28CAR-T、B7-H3.BB CAR-T及びB7-H3.28CAR-T細胞を同所性注射した。週ごとにマウスの体重を測定し、マウスの死亡時間を記録した。
【0153】
結果:図10に示すように、本発明のB7-H3キメラ抗原受容体のT細胞(B7-H3.BB CAR-T及びB7-H3.28CAR-T)は、コントロールとしてのPBS及びCD19.28CAR-Tに比べて、担がんマウスの生存時間を顕著に延長することができ、本発明に係るB7-H3キメラ抗原受容体のT細胞は、インビボで患者由来神経膠腫細胞を効果的に殺滅することができ、患者の生存時間を延長する可能性があると示した。
【0154】
実施例9:他の9種類のマウス由来B7-H3キメラ抗原受容体-T細胞によるインビトロで共培養体系における腫瘍細胞の殺傷
1.9種類のマウス由来B7-H3キメラ抗原受容体-T細胞による腫瘍細胞の殺傷作用
本発明において、15C11からクローンされたヒト化1本鎖抗体以外、他の9つのB7-H3抗原を識別するマウス由来1本鎖抗体(番号:53E9D7、15C11C3、6E4D9、31F3E5、21H2E11、24A11A11、42B5C12、14A7A8、41C10E7)をさらに含む。これらのマウス由来キメラ受容体が同様にT細胞を介してB7-H3を高く発現する腫瘍細胞を殺傷することができることを確認するために、共培養試験を設計してこれらのマウス由来CAR-T細胞による腫瘍細胞(LN-229)の殺傷状況をテストし、かつ比較した。腫瘍細胞を壁に接着させた後、コントロールとしてのCD19.28 CAR-T及び9種類のマウス由来B7-H3.28 CARを発現するT細胞を添加し、その後フローサイトメトリーでそれらによる腫瘍細胞の殺傷状況を検出した。
【0155】
方法:24ウェルプレートに2×10/1ウェルのGFP標識されたLN-229細胞を接種し、24時間後にT細胞:腫瘍細胞=1:1の割合で、対応量の、トランフェクションから3日目のCD19.28CAR-T及び9種類の異なる1本鎖抗体のB7-H3.28CAR-T細胞を添加した。5日後にウェル内の全ての細胞を回収し、フローサイトメトリーを利用して残留したLN-229細胞の百分率を検出した。ここでT細胞は、マウス抗ヒトのCD3蛍光抗体結合染色により検出され、LN-229細胞は自発的なGFP蛍光を利用して検出された。
【0156】
結果:図11に示すように、コントロールとしてのCD19.28CAR-T細胞は、LN-229細胞に対して明らかな殺傷作用がなかったが、本発明の他の9種類のマウス由来B7-H3キメラ抗原受容体のT細胞は、LN-229細胞との共培養において、いずれも腫瘍細胞に対してある程度の殺傷作用を示し、かつB7-H3のCAR-T細胞は、すべてある程度の細胞増殖の現象を示した。
【0157】
2.9種類のマウス由来B7-H3キメラ抗原受容体-T細胞による腫瘍細胞の殺傷過程におけるサイトカイン放出
T細胞と腫瘍細胞との共培養試験において、9種類のマウス由来B7-H3 CAR-T細胞による腫瘍細胞の殺傷過程におけるサイトカインドの放出状況を検出した。
【0158】
方法:酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)
腫瘍細胞(LN-229とWM-266-4)とキメラ抗原受容体-T細胞(CD19.28 CAR-T及び9種類のマウス由来B7-H3.28 CAR-T)との共培養試験にCAR-T細胞を添加し、24時間後に、培養上清液の一部を回収した。ELISAキットを用いて上清中のサイトカインを検出した。
【0159】
結果:図12から分かるように、コントロールとしてのCD19.28細胞により放出されたサイトカインのレベルが検出限以下であったが、本発明における9種類のマウス由来B7-H3キメラ抗原受容体のT細胞は、いずれも殺傷過程において異なるレベルのTh1類サイトカイン(IFNγ及びIL-2等を含む)を放出し、これらの9種類のCAR-T細胞が腫瘍細胞を殺傷しかつ他の腫瘍の殺傷メカニズムを活性化する機能を有することを示した。
図1
図2
図3
図4-A】
図4-B】
図5
図6-A】
図6-B】
図7
図8
図9-A】
図9-B】
図10
図11
図12
【配列表】
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