(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-14
(45)【発行日】2023-07-25
(54)【発明の名称】放送信号送受信システムおよび放送信号送受信方法
(51)【国際特許分類】
H04N 21/458 20110101AFI20230718BHJP
H04N 21/434 20110101ALI20230718BHJP
H04N 21/2362 20110101ALI20230718BHJP
H04H 60/82 20080101ALI20230718BHJP
H04H 40/18 20080101ALI20230718BHJP
H04H 60/13 20080101ALI20230718BHJP
【FI】
H04N21/458
H04N21/434
H04N21/2362
H04H60/82
H04H40/18
H04H60/13
(21)【出願番号】P 2018244651
(22)【出願日】2018-12-27
【審査請求日】2021-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000214984
【氏名又は名称】TVS REGZA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 浩成
【審査官】富樫 明
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-535187(JP,A)
【文献】特開2013-150050(JP,A)
【文献】特開2002-125166(JP,A)
【文献】特開2005-156996(JP,A)
【文献】特表2008-530944(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00-21/858
H04H 60/82
H04H 40/18
H04H 60/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信装置は放送する番組を放送信号で送信し、受信装置は前記放送信号を受信する放送信号送受信システムにおいて、
前記送信装置は、
前記番組に挿入されている第1の広告の時間に、前記番組を受信する前記受信装置が前記番組に挿入されている第1の広告を別の第2の広告(アドレッサブル広告)に置き換えるために確認するCMリストを作成可能とするための識別子(CM時間枠情報)を、制御情報生成手段で生成して前記放送信号で送信し、この場合、前記制御情報生成手段は放送規格に定義されているEIT(Event Information Table)に前記識別子(CM時間枠情報)を記述しており、
前記受信装置は、
前記放送信号で送られてくる番組を受信するとともに、ネットワークを介して1つまたは複数のサーバと接続しており、
前記番組を表示する表示部と、
前記番組の放送時間帯に挿入される前記第1の広告のCM時間枠情報を前記放送信号から取得する手段と、放送時間長を持つ前記第2の広告を前記サーバから取得し、前記第2の広告を記憶装置に保存する手段とを含む制御部と、
を具備し、
前記制御部は、前記CM時間枠情報を用いて前記第1の広告のCMリストを生成して、前記記憶装置に保存する手段と、前記CMリストを参照することで前記第1の広告の第1の放送時間長あるいは第1の放送開始時刻と第1の放送終了時刻との差分に、前記記憶装置内の前記第2の広告の第2の放送時間長が一致する場合に前記第1の広告を前記第2の広告に置き換え、前記第1の放送開始時刻から前記第2の広告を前記表示部に表示させる手段と含
み、
前記EIT(Event Information Table)は、複数の番組(Event)を識別する複数の番組識別用の記述子(Event_ID)を含み、
それぞれの前記記述子(Event_ID)に対して、
CM識別の記述子(ID)、
CMの放送が開始される開始時刻の記述子(Start_time)、
CMが放送される時間の長さの記述子(duration)、そして
アドレッサブル広告に差し替えが可能か否かを示す記述子(enable)が付加されており、これらの記述子から前記受信装置が前記CMリストを作成可能としている、
放送信号送受信システム。
【請求項2】
送信装置は放送する番組を放送信号で送信し、受信装置は前記放送信号を受信する放送信号送受信方法において、
前記送信装置では、
前記番組に挿入されている第1の広告の時間に、前記番組を受信する前記受信装置が前記番組に挿入されている第1の広告を別の第2の広告(アドレッサブル広告)に置き換えるために確認するCMリストを作成可能とするための識別子(CM時間枠情報)を、制御情報生成手段で生成して前記放送信号で送信し、この場合、前記制御情報生成手段は放送規格に定義されているEIT(Event Information Table)に前記識別子(CM時間枠情報)を記述しており、
前記受信装置では、
前記放送信号で送られてくる番組を受信するとともに、ネットワークを介して1つまたは複数のサーバと接続し、
前記番組を表示し、
前記番組の放送時間帯に挿入される前記第1の広告のCM時間枠情報を前記放送信号から取得し、放送時間長を持つ前記第2の広告を前記サーバから取得し、前記第2の広告を記憶装置に保存し、
さらに前記CM時間枠情報を用いて前記第1の広告のCMリストを生成して、前記記憶装置に保存し、前記CMリストを参照することで前記第1の広告の第1の放送時間長あるいは第1の放送開始時刻と第1の放送終了時刻との差分に、前記記憶装置内の前記第2の広告の第2の放送時間長が一致する場合に前記第1の広告を前記第2の広告に置き換え、前記第1の放送開始時刻から前記第2の広告
を表示部に表示さ
せ、
前記EIT(Event Information Table)は、複数の番組(Event)を識別する複数の番組識別用の記述子(Event_ID)を含み、
それぞれの前記記述子(Event_ID)に対して、
CM識別の記述子(ID)、
CMの放送が開始される開始時刻の記述子(Start_time)、
CMが放送される時間の長さの記述子(duration)、そして
アドレッサブル広告に差し替えが可能か否かを示す記述子(enable)が付加されており、これらの記述子から前記受信装置が前記CMリストを作成可能としている、
放送信号送受信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、放送信号送受信システムおよび放送信号送受信信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークに接続可能な放送信号受信装置の中には、視聴者の属性に合わせた最適な広告を表示させるアドレッサブル広告(差し替えCM)を表示する機能を備えているものがある。このようなアドレッサブル広告(差し替えCM)を表示する機能は、放送信号受信装置の視聴者個々に対する独自のサービスを可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【文献】「デジタル放送におけるMMTによるメディアトランスポート方式 標準規格」 ARIB STD-B60 1.13版 2018年10月11日改定、一般社団法人 電波産業会
【文献】「高度広帯域衛星デジタル放送運用規定」 ARIB TR-B39 1.9版 2018年10月11日改定、一般社団法人 電波産業会
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
放送信号受信装置において、放送信号で送られてくる番組に挿入されている広告(CM、コマーシャルメッセージ)をアドレッサブル広告(差し替えCM)に置き換えて、視聴者個々に対して的確に行うためには、番組に挿入されているCM(コマーシャルとも言う)に応じて適切な制御を行う必要がある。
【0006】
そこで本発明の実施形態は、放送信号受信装置が受信する放送番組に挿入されているCMを、適切なアドレッサブル広告(差し替えCM)に差し替えて表示するために、放送信号の中にCMの時間に関する情報を含めて送信し、送信されてくるCMの時間に関する情報を受信する放送信号送受信システム装置および放送信号送受信方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、送信装置は放送する番組を放送信号で送信し、受信装置は前記放送信号を受信する放送信号送受信システムにおいて、
前記送信装置は、
前記番組に挿入されている第1の広告の時間に、前記番組を受信する前記受信装置が前記番組に挿入されている第1の広告を別の第2の広告(アドレッサブル広告)に置き換えるために確認するCMリストを作成可能とするための識別子(CM時間枠情報)を、制御情報生成手段で生成して前記放送信号で送信し、この場合、前記制御情報生成手段は放送規格に定義されているEIT(Event Information Table)に前記識別子(CM時間枠情報)を記述しており、
前記受信装置は、
前記放送信号で送られてくる番組を受信するとともに、ネットワークを介して1つまたは複数のサーバと接続しており、
前記番組を表示する表示部と、
前記番組の放送時間帯に挿入される前記第1の広告のCM時間枠情報を前記放送信号から取得する手段と、放送時間長を持つ前記第2の広告を前記サーバから取得し、前記第2の広告を記憶装置に保存する手段とを含む制御部と、
を具備し、
前記制御部は、前記CM時間枠情報を用いて前記第1の広告のCMリストを生成して、前記記憶装置に保存する手段と、前記CMリストを参照することで前記第1の広告の第1の放送時間長あるいは第1の放送開始時刻と第1の放送終了時刻との差分に、前記記憶装置内の前記第2の広告の第2の放送時間長が一致する場合に前記第1の広告を前記第2の広告に置き換え、前記第1の放送開始時刻から前記第2の広告を前記表示部に表示させる手段と含み、
前記EIT(Event Information Table)は、複数の番組(Event)を識別する複数の番組識別用の記述子(Event_ID)を含み、
それぞれの前記記述子(Event_ID)に対して、
CM識別の記述子(ID)、
CMの放送が開始される開始時刻の記述子(Start_time)、
CMが放送される時間の長さの記述子(duration)、そして
アドレッサブル広告に差し替えが可能か否かを示す記述子(enable)が付加されており、これらの記述子から前記受信装置が前記CMリストを作成可能としている、
放送信号送受信システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る広告差し替え処理部を含むアドレッサブル広告システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、放送局(放送信号送信装置)の構成例を概略的に示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る広告差し替え処理部を含む放送信号受信装置(手段)の構成を概略的に示す図である。
【
図4A】
図4Aは、本発明の実施形態に係る広告差し替え処理部が行う、番組に挿入されているCMをアドレッサブル広告(差し替えCM)に置き換えるための処理の概要を示す図である。
【
図4B】
図4Bは、本発明の実施形態に係る広告差し替え処理部が取得するCM時間枠情報記述子のフォーマットの一例である。
【
図4C】
図4Cは、本発明の実施形態に係る広告差し替え処理部の構成例を概略的に示す図である。
【
図4D】
図4Dは、本発明の実施形態に係る広告差し替え処理部の制御部が作成するCMリストの一例を示す図である。
【
図4E】
図4Eは、本発明の実施形態に係る広告差し替え処理部が行う、アドレッサブル広告(差し替えCM)に差し替える処理の一例を示す処理フローである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る広告差し替え処理部を含むアドレッサブル広告システムの構成例を示す図である。
アドレッサブル広告システムは、放送局(放送信号送信装置)100、放送信号受信装置140、CM配信用サーバ120を含む。放送信号受信装置140は、放送局(放送信号送信装置)100が放送する番組を受信するとともに、本発明の実施形態に係る広告差し替え処理部を含む。放送局100および放送信号受信装置140は、ネットワーク130を介してCM配信用サーバ120と接続されている。
【0010】
放送局100は、番組を編成し、編成した番組を放送信号により放送信号受信装置140に放送する局である。放送局100は、放送信号送信装置とも呼ぶ。
放送局100は、広告会社110が製作したCMを、保存して管理するCM管理サーバ101を有する。放送局100は、CM管理サーバ101に保存されているCM(Commercial Message)を、放送する番組の途中に挿入して編成し一連の映像ストリームおよび音声ストリームとして、放送信号により放送信号受信装置140に放送(送信)する。なお広告会社110は、例えば契約に基づく広告主111からの依頼により広告を製作し、製作したCMを放送局100のCM管理サーバ101に登録する。
【0011】
また放送局100は、またネットワーク130と接続する機能を有し、ネットワーク130を介してCM配信用サーバ120と接続している。
また放送局100は、SI信号を含めた放送信号を送信する。SI信号については、
図2を用いて説明する。放送局100は、本発明の実施形態に係る放送信号受信装置140に含まれる広告差し替え処理部が、放送番組に挿入されているCMをアドレッサブル広告(差し替えCM)に差し替えるために必要なCMの時間に関する情報(CM時間枠情報と呼ぶ)を、SI信号に含めて送信する。放送局100は、CM時間枠情報を例えばCM時間枠情報記述子として生成する。放送局100が作成するCM時間枠情報記述子のフォーマットの一例を、
図4Bに示す。
【0012】
CM配信用サーバ120は、ネットワーク130を介して接続されたCM管理サーバ101から送られてきたアドレッサブル広告(差し替えCM)を蓄積し、放送信号受信装置140からの要求に応じて蓄積しているアドレッサブル広告(差し替えCM)を配信するサーバである。
【0013】
放送信号受信装置140は、放送局100から放送信号により放送される番組を受信する受信装置である。また放送信号受信装置140は、ネットワーク130と接続する機能を有し、ネットワーク130を介してCM配信用サーバ120と接続している。放送信号受信装置140は、CM配信用サーバ120から配信されるアドレッサブル広告(差し替えCM)を、管理する記録媒体160に保存する。
【0014】
またさらに放送信号受信装置140は、本発明の実施形態に係る広告差し替え処理部を含む。放送信号受信装置140は、広告差し替え処理部による処理結果に従って記録媒体160に保存されているアドレッサブル広告(差し替えCM)の中から最適なアドレッサブル広告(差し替えCM)を選択して表示画面に表示する機能を有する。放送信号受信装置140は、番組に挿入されているCMの時間枠に一致する長さを持つアドレッサブル広告(差し替えCM)のうち、視聴者に最適な内容のアドレッサブル広告(差し替えCM)選択し、番組に挿入されているCMの時間枠に当てはめて表示することで、番組を視聴する視聴者ごとに異なる広告を提供することができる。
【0015】
図2は、放送局(放送信号送信装置)100の構成例を概略的に示した図である。放送局(放送信号送信装置)100は、CM管理サーバ101に蓄えられているCMを挿入して編成した番組の映像データや音声データ等を符号化(エンコードとも呼ぶ)して放送信号として送出する。
【0016】
データ放送エンコーダ210は、編成された番組に関連するデータ放送のデータを符号化する機能を持つ。データ放送エンコーダ210は、データ放送のデータを符号化する。
映像エンコーダ211は、編成された番組の映像データを符号化する機能を持つ。映像エンコーダ211は、編成された番組の映像データを符号化する。
【0017】
音声エンコーダ212は、編成された番組の音声データを符号化する機能を持つ。音声エンコーダ212は、編成された番組の音声データを符号化する。
字幕エンコーダ213は、編成された番組の字幕データを符号化する機能を持つ。字幕エンコーダ213は、編成された番組の字幕データを符号化する。
【0018】
制御情報生成手段214は、TLVパケットおよびMMTの制御情報を生成する機能を持つ。TLVパケットの制御情報とは、IPパケットの多重に関する制御情報(TLV-SIとも呼ばれる)であり、選局のための情報やIPアドレスとサービスの対応情報を提供する。またMMTの制御情報とは、MMTのパッケージの構成や放送サービスに関連する制御情報(MMT-SIとも呼ばれる)である。制御情報生成手段214は、音声エンコーダ212、映像エンコーダ211がエンコード対象とした番組に関する制御情報を含むTLVパケットおよびMMTの制御情報の信号を生成する。
【0019】
また制御情報生成手段214は、MMT-SIとして、CM時間枠情報記述子を生成する。
スクランブラ215は、音声エンコーダ212から出力された符号化された音声データ、映像エンコーダ211から出力された符号化された映像データを、CASモジュール216と連携してスクランブルする機能を持つ。
【0020】
CASモジュール216は、スクランブラ215がスクランブルする際に使用する鍵を生成するモジュールである。
マルチプレクサ217は、データ放送エンコーダ210が符号化して生成したデータ放送ストリーム、映像エンコーダ211が映像データを符号化して生成した映像ストリーム、音声エンコーダ212が音声データを符号化して生成した音声ストリーム、字幕エンコーダ213が字幕データを符号化して生成した字幕ストリームおよび制御情報生成手段214で生成された制御情報を、MMT・TLV方式で多重する機能を持つ。マルチプレクサ217は、音声ストリーム、映像ストリーム、TLVパケットおよびMMTの制御情報を多重化したTLVストリームを生成する。
【0021】
送信手段218は、TLVストリームからなる放送信号を放送波として送出する機能を持つ。送信手段218は、マルチプレクサ217が生成したTLVストリームを、16APSKなどの変調や誤り訂正符号化などの伝送路符号化処理を行い放送波として送出する。
【0022】
図3は、本発明の実施形態に係る広告差し替え処理部を含む放送信号受信装置(手段)140の構成を概略的に示した図である。
放送信号受信装置140は、放送信号を受信する受信機能である基本機能341と制御手段342を含む。
基本機能341は、放送チューナ301、デマルチプレクサ302、デスクランブラ303、CASモジュール304、データ放送エンジン305、映像デコーダ306、音声デコーダ307、字幕デコーダ308、制御情報解析手段309、GUI320、合成器326を含む。
【0023】
チューナ301は、放送波で送られてきた放送信号(TLVストリーム)を受信する機能を持つ。チューナ301で受信した放送信号は、デマルチプレクサ302に入力される。
デマルチプレクサ302は、多重化されているTLVストリームをデータ放送ストリーム、映像ストリーム、音声ストリーム、字幕ストリーム、制御情報に分離する機能を持つ。デマルチプレクサ302は、分離したデータ放送ストリーム、映像ストリーム、音声ストリーム、データ放送ストリーム、字幕ストリームをデスクランブラ303に、制御情報であるSI信号を制御情報解析手段309にそれぞれ入力する。
【0024】
デスクランブラ303は、入力されたデータ放送ストリーム、映像ストリーム、音声ストリーム、字幕ストリームを、CASモジュール304と連携してデスクランブルする機能を持つ。デスクランブラ303は、デスクランブルしたデータ放送ストリームをデータ放送エンジン305に、映像ストリームを映像デコーダ306に、音声ストリームを音声デコーダ307に、字幕ストリームを字幕デコーダ308にそれぞれ入力する。
【0025】
CASモジュール304は、デスクランブラ303でデスクランブルする際に使用するキーを生成する機能を持つ。
データ放送エンジン305は、入力されたデータ放送ストリームの受信処理を行う機能を持つ。データ放送エンジン305は、受信したデータ放送ストリームを表示手段350に表示するデータに変換して合成器326に送る。合成器326に送られたデータ放送用のデータは、映像データ等と合成され、表示手段350に表示される。
【0026】
映像デコーダ306は、入力された映像ストリームを復号化(デコード)する機能を持つ。映像デコーダ306は、映像ストリームを復号し表示手段350に表示する信号を生成する。
音声デコーダ307は、入力された音声ストリームを復号化する機能を持つ。音声デコーダ307は、音声ストリームを復号しスピーカ351に出力する信号を生成する。
【0027】
字幕デコーダ308は、字幕ストリームを復号化し、表示手段350に表示する信号を生成する。
復号化された映像信号および字幕信号およびデータ放送用信号は、合成器326で合成され表示手段350に出力される。また復号化された音声信号は、スピーカ351に出力される。
【0028】
制御情報解析手段309は、放送信号の制御情報であるSI信号の解析を行う。制御情報解析手段309は、SI信号の解析を行うと、その解析結果を制御手段342に送る。制御情報解析手段309は、デマルチプレクサ302から送られてきたSI信号の解析しCM時間枠情報記述子を抽出する。制御情報解析手段309は、抽出したCM時間枠情報記述子を制御手段342に送る。
【0029】
制御手段342は、放送信号受信装置140の全体的な動作の制御を行う。また制御手段342は、本発明の実施形態に係る広告差し替え処理部330を内部に持ち、広告差し替え処理部330の制御を行う。また制御手段342は、ネットワーク130とのI/FであるネットワークI/F331および外部機器との接続I/Fである外部入力I/F332の制御も行う。
【0030】
また制御手段342は、制御情報解析手段309から送られてきたCM時間枠情報記述子を広告差し替え処理部330に送り、番組に挿入されているCMを広告差し替え処理部330が出力したアドレッサブル広告(差し替えCM)に置き換えて表示手段350に表示する制御も行う。
【0031】
広告差し替え処理部330は、番組に挿入されている広告をアドレッサブル広告(差し替えCM)に置き換えるための処理を行う。
広告差し替え処理部330が行う、番組に挿入されているCMをアドレッサブル広告(差し替えCM)に置き換えるための処理の概要を、
図4Aに示す。また広告差し替え処理部330が、番組に挿入されているCMをアドレッサブル広告(差し替えCM)に置き換えるための処理に用いるCM時間枠情報記述子のフォーマットの一例を、
図4Bに示す。また広告差し替え処理部330の構成の一例を、
図4Cに示す。また広告置き換え処理部330が、CM時間枠情報記述子の情報を用いて、番組に挿入されているCMをアドレッサブル広告(差し替えCM)に置き換えるための処理の一例を、
図4Eに示す。
【0032】
図4Aは、広告差し替え処理部330が行う、番組に挿入されているCMをアドレッサブル広告(差し替えCM)に置き換えるための処理の概要を示す図である。
広告差し替え処理部330は、番組に挿入されているCMをアドレッサブル広告(差し替えCM)に置き換えるために、番組に挿入されているCMの情報として、CMの表示が開始される時間や表示されている長さ等の情報(CM時間枠情報)、また番組に挿入されているCMに差し替えて表示するアドレッサブル広告の情報として、アドレッサブル広告が表示されている長さの情報等を取得する必要がある。
【0033】
広告差し替え処理部330は、制御情報解析手段309を介してSI信号に含まれるCM時間枠情報を取得することができる。
また広告差し替え処理部330は、CM配信用サーバ120に対して任意のタイミングでアドレッサブル広告(差し替えCM)を要求することができる。広告差し替え処理部330は、送信した要求に応答してCM配信用サーバ120から送られてきたアドレッサブル広告(差し替えCM)およびアドレッサブル広告が表示されている長さの情報等の属性情報を受信し、記録媒体160に保存することが出来る。
【0034】
広告差し替え処理部330がCM配信用サーバ120にアドレッサブル広告(差し替えCM)を要求する方法は、広告差し替え処理部330が例えばアドレッサブル広告(差し替えCM)のダウンロード要求メッセージをCM配信用サーバ120に送信することで、メッセージを受信したCM配信用サーバ120が、アドレッサブル広告(差し替えCM)を広告差し替え処理部330にダウンロードしてもよいし、広告差し替え処理部330が例えばアドレッサブル広告(差し替えCM)のダウンロード開始時刻を含むダウンロード要求メッセージをCM配信用サーバ120に送信することで、メッセージを受信したCM配信用サーバ120が、メッセージに含まれる時刻に達したタイミングで、アドレッサブル広告(差し替えCM)を広告差し替え処理部330にダウンロードしてもよい。
【0035】
広告差し替え処理部330がCM配信用サーバ120にアドレッサブル広告(差し替えCM)を要求する機能は、予め放送信号受信装置140の中に備わっていてもよいし、放送信号に含まれる制御情報(TLV-SIやMMT-SI)に含まれる情報をもとに、放送信号受信装置140が、特定のサーバ(記載せず)にアクセスし取得してもよい。このように、放送信号受信装置140が放送信号に含まれる制御情報(TLV-SIやMMT-SI)に含まれる情報をもとに、放送信号受信装置140が、特定のサーバ(記載せず)にアクセスしCM配信用サーバ120にアドレッサブル広告(差し替えCM)を要求する機能を取得する形態として、例えばデータコンテンツサービスと呼ばれるサービスを用いてもよいし、それ以外のサービスを用いてもよい。
【0036】
図4Bは、本発明の実施形態に係る広告差し替え処理部330が取得するCM時間枠情報記述子のフォーマットの一例である。
CM時間枠情報記述子は、例えば非特許文献1に記載のMH-EIT(MH-Event Information Table)に配置される記述子の1つであってもよい。
【0037】
図4B(A)は、非特許文献1に記載のMH-EITのフォーマットである。Descriptor()401に配置される記述子の1つとして、CM時間枠情報記述子が配置される。
図4B(B)は、CM時間枠情報記述子のフォーマットの一例である。
【0038】
descriptor_tag410は、記述子を識別するタグである。
descriptor_length411は、このフィールドより後に続くデータバイト数を書き込む領域である。
420は、番組に挿入されるCMのCM時間枠情報である。CM時間枠情報は、cm_id421、start_time422、duration423、replace_flag424、ISO_639_language_code425、cm_name_length426、cm_name_char427を含む。
【0039】
cm_id421は、1つの番組内で(1つのevent_idにおいて)CMを識別する識別子である。
start_time422は、CMの放送が開始される開始時刻である。
duration423は、CMが放送される時間の長さである。
【0040】
replace_flag424は、アドレッサブル広告に差し替えが可能不可能を示すフラグである(0:不可、1:可能)。
ISO_639_language_code425は、CM名の言語コードである。
cm_name_length426は、CM名の文字数である。
【0041】
cm_name_char427は、CM名である。
CM時間枠情報420は、event_id400に示される番組に挿入される全てのCM時間枠情報を含んでいる。event_id400に示される番組に挿入されるCMが、例えば4つだとする。この場合431のNは4となる。これによりCM時間枠情報420は、event_id400に示される番組に挿入される4つのCMのCM時間枠情報全てを含む。
【0042】
図4Cは、本発明の実施形態に係る広告差し替え処理部330の構成例を概略的に示す図である。広告差し替え処理部330は、制御部330-1と解析部330-2を含む。
制御部330-1は、広告差し替え処理部330の全体の動作を制御するとともに、解析部300-2を制御することで、放送番組に含まれるCMを差し替えるアドレッサブル広告(差し替えCM)を決定し、決定したアドレッサブル広告(差し替えCM)を放送信号受信装置140の表示手段350に表示させる。
【0043】
また制御部330-1は、CM配信用サーバ120から差し替えCMの候補である複数のアドレッサブル広告を取得して記録媒体160に保存する。また制御部330-1は、取得したCM時間枠情報から、CMリストを作成して記録媒体160に保存する。制御部330-1が作成するCMリストの一例を
図4Dに示す。
【0044】
解析部330-2は、記録媒体160に保存されているCMリストを解析し、CMリス
トに記載されているCMが、アドレッサブル広告(差し替えCM)に差し替え可能かどうかを判断する。
図4Dは、本発明の実施形態に係る広告差し替え処理部330の制御部330-1が作
成するCMリストの一例を示す図である。制御部330-1は、制御情報解析手段309
を介して取得したCM時間枠情報をもとに、CMリスト450を作成する。CMリスト4
50は、番組(Event)の識別子でEvent_ID451、CMの識別子であるID45
2、CMの放送が開始される開始時刻であるStart_time453、CMが放送される時間の長さであるduration454、アドレッサブル広告に差し替えが可能か
否かを示すenable455を含む。制御部330-1は、event_id400をもとにE
vent_ID451を作成する。制御部330-1は、cm_id421をもとにCM_I
D
452を作成する。また制御部330-1は、start_time422をもとにStart_
time
453を作成する。また制御部330-1は、duration423をもとにdura
tion
454を作成する。また制御部330-1は、replace_flag424をもとにen
able
455を作成する。
【0045】
例えば410は、Event_ID451が22であり、CM_ID452が01である。また410は、Start_timeが20181215201500である。Start_timeのフォーマットは、例えば最初の8桁の20181215が西暦で年月日(yyyymmdd)を表し、次の6桁の201500が時分秒(hhmmss)を表している。また410は、durationが15である。また410は、enableが0である。CMリストは、
図4Dに記載以外に、CM名等が含まれていてもよい。
【0046】
図4Eは、本発明の実施形態に係る広告差し替え処理部330が行う、アドレッサブル広告(差し替えCM)に差し替える処理の一例を示す処理フローである。
放送信号受信装置140が放送番組の受信を開始すると、広告差し替え処理部330は、受信した番組に含まれるCMをアドレッサブル広告に差し替えるための処理を開始する(S400)。
【0047】
広告差し替え処理部330の制御部330-1は、CMリストが保存されている記録媒体160にアクセスし、更新されたCMリストが存在しているかを確認する(S401)。
確認の結果更新されたCMリストが存在している場合(S402のYes)、制御部330-1は、記録媒体160から更新されたCMリストを取得して保持する(S403)。
【0048】
確認の結果更新されたCMリストが存在していない場合(S402のNo)、制御部330-1は、記録媒体160に更新されたCMリストが保存されるまで連続して、あるいは一定時間待ちながら確認処理(S401)を繰り返す。
次に制御部330-1は、保持しているCMリストの中から、放送信号受信装置140の表示手段350に表示されている番組、つまり視聴者が視聴している番組に含まれるCMのstart_timeを取得し、現在時刻がstart_timeに達しているかの確認を行う(S404)。
【0049】
確認(S404)の結果現在時刻がstart_timeに達している場合(S405のYes)、制御部330-1は、表示手段350に表示されている番組に挿入されているCMの代わりに、表示可能な置き換え用CM(アドレッサブル広告)が存在するかを解析部330-2に問い合わせて確認する(S406)。
【0050】
解析部330-2に問い合わせて確認(S406)した結果、置き換え用CM(アドレッサブル広告)が存在する場合(S407のYes)、制御部330-1は、該当する置き換え用CM(アドレッサブル広告)を解析部330-2から取得し、番組に挿入されているCMの代わりに、表示手段350に表示させる(S408)。
【0051】
解析部330-2に問い合わせて確認(S406)した結果、置き換え用CM(アドレッサブル広告)が存在しない場合(S407のNo)、番組に挿入されているCMをそのまま、表示手段350に表示させる(S409)。
確認(S404)の結果現在時刻がstart_timeに達していない場合(S405のNo)、制御部330-1は、現在時刻がstart_timeに達するまでS404の確認処理を繰り返す。
【0052】
該当する置き換え用CM(アドレッサブル広告)が存在しない、とは、たとえばCMリスト450に記載のあるCMのduration403に一致する差し替え用CM(アドレッサブル広告)が存在しない場合やenableが1(置き換え可能)のCMがCMリスト400の中に存在しない場合であってもよい。
【0053】
また解析部330-2が、例えば表示手段350に表示中の番組を視聴している視聴者を推定する機能を持ち(図示せず)、その推定した視聴者に最適なCMが存在しないと判断した場合であってもよい。
次に制御部330-1は、現在時刻がCMの表示終了時刻に達したかを確認(S410)する。表示終了時刻は、start_timeとdurationから算出することができる。
【0054】
確認(S410)の結果現在時刻がCMの表示終了時刻に達している場合(S411のYes)、制御部330-1は、表示終了時刻に達したCMに継続して表示するCMが存在するかを、解析部330-2に問い合わせて確認する(S412)。
解析部330-2に問い合わせて確認(S412)した結果、表示終了時刻に達したCMに継続して表示するCMが存在する場合(S413のYes)、制御部330-1は、S406の処理に戻り、表示終了時刻に達したCMの次のCMの代わりに表示可能な差し替え用CM(アドレッサブル広告)が存在するかの問い合わせを行う(S406)。
【0055】
解析部330-2に問い合わせて確認(S412)した結果、表示終了時刻に達したCMに継続して表示するCMが存在しない場合(S413のNo)、制御部330-1は、表示手段350に表示中の番組に、以降のタイミングでCMを表示するかを解析部330-2に問い合わせて確認する(S414)。
【0056】
解析部330-2に問い合わせて確認(S414)した結果、以降のタイミングでCMを表示する場合(S415のYes)、制御部330-1は、S405の処理に戻り、以降のタイミングで表示されるCMに対して、差し替え用のCMが存在するかの処理を継続する。
【0057】
解析部330-2に問い合わせて確認(S414)した結果、以降のタイミングでCMを表示しない場合(S415のNo)、制御部330-1は、S402の処理に戻り、新たな番組に挿入されているCMに対して、差し替え用のCMが存在するかの処理を継続する。
【0058】
このように制御部330-1は、CMリスト400を参照することで、放送されている番組に挿入されている全てのCMに対して、差し替え用CM(アドレッサブル広告)が存在するかの確認を行う。
なおS412の、継続して表示するCMが存在するかの確認は、
図4Bに示すCMリスト400を例にすると、412の情報のCMに対して、413の情報のCMを確認することである。462の情報のCMと463の情報のCMは、Event_ID番号で示されるように同一の番組において、Start_timeおよびdurationで示されるように連続して(継続して)放送されるCMである。
【0059】
またS414の、以降のタイミングでCMを表示するかの確認は、
図4Bに示すCMリスト400を例にすると、414の情報のCMの表示が終了した時点で、415の情報のCMを確認することである。414の情報のCMおよび415の情報のCMは、Event_ID番号で示されるように同一の番組において放送されるCMであり、415の情報のCMは、Start_timeおよびdurationで示されるように414の情報のCMに連続(継続)しないで放送されるCMである。
【0060】
なお
図4Eに示す処理フローは、EIT、CM時間枠情報記述子からCMリストを作成して処理するフローを提示したが、EITやCM時間枠情報記述子のテーブルをそのまま記録媒体160等へ保持しておき、直接参照しながら動作してもよい。
図を用いて本発明の実施形態に係る広告差し替え処理部330および広告差し替え処理部330を含むアドレッサブル広告システムの例を説明したが、上述した例に限定されない。
【0061】
図1に示したアドレッサブル広告システムの構成例では、放送局(放送信号送信装置)100は、MMT・TLV方式で多重された放送波を送信し、放送信号受信装置140は、MMT・TLV方式で多重された放送波を受信する場合を例に説明したが、放送波がMPEG-2方式で多重されたものであってもよい。この場合CM時間枠情報記述子は、EIT(Event Information Table)に配置される記述子の1つであってもよい。あるいはまた
図1に示したアドレッサブル広告システムの構成例では、放送局(放送信号送信装置)100は、ネットワーク130を介して、番組コンテンツを放送信号受信装置140に配信してもよい。
【0062】
また
図1に示したアドレッサブル広告システムの構成例では、放送信号受信装置140が1つだけ含まれている例であるが、複数含まれていてもよい。さらにアドレッサブル広告システムは、放送信号受信装置140の各々が持つ機器IDにより、ネットワーク130を介して放送信号受信装置140を管理し、各々の放送信号受信装置140に対して独自のサービスを提供する管理サーバを含んでもよい。
【0063】
以上のように、本発明の実施形態に係る広告差し替え処理部330を含む放送信号受信装置140は、放送信号に含まれるCM時間枠情報記述子のCM時間枠情報に基づいて、表示手段350に表示している番組のCMすべてに対してアドレッサブル広告(差し替えCM)に差し替えが可能かどうかを判断し、差し替えが可能なCMに対しては、アドレッサブル広告(差し替えCM)に差し替えて表示手段350に表示することが可能である。
【0064】
これにより本発明の実施形態に係る放送信号受信装置は、放送信号に含まれるCM時間枠情報だけで、番組挿入されているCMに応じて、適切にアドレッサブル広告(差し替えCM)に差し替えることが可能となる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。さらにまた、請求項の各構成要素において、構成要素を分割して表現した場合、或いは複数を合わせて表現した場合、或いはこれらを組み合わせて表現した場合であっても本発明の範疇である。また請求項を制御ロジックとして表現した場合、コンピュータを実行させるインストラクションを含むプログラムとして表現した場合、及び前記インストラクションを記載したコンピュータ読み取り可能な記録媒体として表現した場合でも本発明の装置を適用したものである。また、使用している名称や用語についても限定されるものではなく、他の表現であっても実質的に同一内容、同趣旨であれば、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0065】
100・・・放送局(放送信号送信装置)、120・・・CM配信用サーバ、140・・・放送信号受信装置、160・・・記録媒体。