(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-14
(45)【発行日】2023-07-25
(54)【発明の名称】半導体メモリ
(51)【国際特許分類】
G11C 11/4097 20060101AFI20230718BHJP
G11C 11/4091 20060101ALI20230718BHJP
G11C 11/56 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
G11C11/4097
G11C11/4091 140
G11C11/56 250
(21)【出願番号】P 2019054481
(22)【出願日】2019-03-22
【審査請求日】2021-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 千加
(72)【発明者】
【氏名】池田 圭司
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-018568(JP,A)
【文献】国際公開第2018/044485(WO,A1)
【文献】特開平09-232531(JP,A)
【文献】特開平09-282891(JP,A)
【文献】特開平10-093040(JP,A)
【文献】特表2019-530974(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 11/4097
G11C 11/4091
G11C 11/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のビット線と、
第2のビット線と、
ソース線と、
前記第1のビット線と前記ソース線との間に電気的に接続され、第1のトランジスタと第1のキャパシタとを含む第1のメモリセルと、
前記第2のビット線と前記ソース線との間に電気的に接続され、第2のトランジスタと第2のキャパシタとを含む第2のメモリセルと、
前記ソース線に電気的に接続された第3のトランジスタと、
前記第1のビット線及び前記ソース線に電気的に接続された第4のトランジスタと、
前記第2のビット線及び前記ソース線に電気的に接続された第5のトランジスタと、
前記第1のビット線に電気的に接続された第1のノードと、前記第2のビット線に電気的に接続された第2のノードと、を含むセンスアンプ回路と、
を具備し、
前記センスアンプ回路は、
第1の転送ゲートを介して前記第1のノードに電気的に接続された第1の入力端子と、第2の転送ゲートを介して前記第2のノードに電気的に接続された第2の入力端子と、を有する第1のセンスユニットと、
前記第1のノードに電気的に接続された第3の入力端子と、前記第2のノードに電気的に接続された第4の入力端子と、を有する第2のセンスユニットと、
前記第1のセンスユニットの前記第1の入力端子に電気的に接続された第1の端子と、前記第2のセンスユニットの前記第4の入力端子に電気的に接続された第2の端子と、を有する第3のキャパシタと、
前記第1のセンスユニットの前記第2の入力端子に電気的に接続された第3の端子と、前記第2のセンスユニットの前記第3の入力端子に電気的に接続された第4の端子と、を有する第4のキャパシタと、
を含み、
前記第4のトランジスタは、
前記第1の転送ゲートを介して前記第1のノードに電気的に接続された第5の端子と、
前記ソース線に電気的に接続された第6の端子と、
を含み、
前記第5のトランジスタは、
前記第2の転送ゲートを介して前記第2のノードに電気的に接続された第7の端子と、
前記ソース線に電気的に接続された第8の端子と、
を含み、
前記第1のメモリセルは、
前記第1のノードに電気的に接続された第9の端子と、
前記ソース線に電気的に接続された第10の端子と、
を含み、
前記第2のメモリセルは、
前記第2のノードに電気的に接続された第11の端子と、
前記ソース線に電気的に接続された第12の端子と、
を含
み、
前記第1のメモリセルから前記第2のビット線に読み出されたデータを、前記第1のメモリセルに書き込む場合、
前記第5のトランジスタをオン状態に設定し、オン状態の前記第5のトランジスタを介して、前記第2のビット線と前記ソース線とを電気的に接続し、
前記第1及び第2の転送ゲートをオン状態に設定し、前記ソース線に電気的に接続され且つ前記第2の転送ゲートの一端及び前記第7の端子に接続された前記第2のビット線における第1の部分を、オン状態の前記第2の転送ゲートを介して、前記第2の転送ゲートの他端及び前記第2のメモリセルに接続された前記第2のビット線における第2の部分に電気的に接続して、前記第1のメモリセルに前記データを書き込むための第1の書き込み電圧を生成し、
前記第1の書き込み電圧を、前記ソース線を介して、前記第1のメモリセルに印加し、
前記第2のメモリセルから前記第1のビット線に読み出されたデータを、前記第2のメモリセルに書き込む場合、
前記第4のトランジスタをオン状態に設定し、オン状態の前記第4のトランジスタを介して、前記第1のビット線と前記ソース線とを電気的に接続し、
前記第1及び第2の転送ゲートをオン状態に設定し、前記ソース線に電気的に接続され且つ前記第1の転送ゲートの一端及び前記第5の端子に接続された前記第1のビット線における第3の部分を、オン状態の前記第1の転送ゲートを介して、前記第1の転送ゲートの他端及び前記第1のメモリセルに接続された前記第1のビット線における第4の部分に電気的に接続して、前記第2のメモリセルに前記データを書き込むための第2の書き込み電圧を生成し、
前記第2の書き込み電圧を、前記ソース線を介して、前記第2のメモリセルに印加し、
前記
第1の部分又は前記第3の部分の第1の容量が“CA”と表記され、前記第2の部分又は前記第4の部分の第2の容量が“CB”と表記され、前記ソース線の第3の容量が“Cx”と表記される場合、前記CAと前記Cxとの合成容量は、前記CBの2倍である、
半導体メモリ。
【請求項2】
前記第1のメモリセルは、
2ビットの前記データを記憶可能である、
請求項
1に記載の半導体メモリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体メモリに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体メモリのようなメモリデバイスにおいて、記憶密度の向上のために、メモリセルの多値化技術が、研究及び開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体メモリの動作特性を向上する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体メモリは、第1のビット線と、第2のビット線と、ソース線と、前記第1のビット線と前記ソース線との間に電気的に接続され、第1のトランジスタと第1のキャパシタとを含む第1のメモリセルと、前記第2のビット線と前記ソース線との間に電気的に接続され、第2のトランジスタと第2のキャパシタとを含む第2のメモリセルと、前記ソース線に電気的に接続された第3のトランジスタと、前記第1のビット線及び前記ソース線に電気的に接続された第4のトランジスタと、前記第2のビット線及び前記ソース線に電気的に接続された第5のトランジスタと、前記第1のビット線に電気的に接続された第1のノードと、前記第2のビット線に電気的に接続された第2のノードと、を含むセンスアンプ回路と、を含み、前記センスアンプ回路は、第1の転送ゲートを介して前記第1のノードに電気的に接続された第1の入力端子と、第2の転送ゲートを介して前記第2のノードに電気的に接続された第2の入力端子と、を有する第1のセンスユニットと、前記第1のノードに電気的に接続された第3の入力端子と、前記第2のノードに電気的に接続された第4の入力端子と、を有する第2のセンスユニットと、前記第1のセンスユニットの前記第1の入力端子に電気的に接続された第1の端子と、前記第2のセンスユニットの前記第4の入力端子に電気的に接続された第2の端子と、を有する第3のキャパシタと、前記第1のセンスユニットの前記第2の入力端子に電気的に接続された第3の端子と、前記第2のセンスユニットの前記第3の入力端子に電気的に接続された第4の端子と、を有する第4のキャパシタと、を含み、前記第4のトランジスタは、前記第1の転送ゲートを介して前記第1のノードに電気的に接続された第5の端子と、前記ソース線に電気的に接続された第6の端子と、を含み、前記第5のトランジスタは、前記第2の転送ゲートを介して前記第2のノードに電気的に接続された第7の端子と、前記ソース線に電気的に接続された第8の端子と、を含み、前記第1のメモリセルは、前記第1のノードに電気的に接続された第9の端子と、前記ソース線に電気的に接続された第10の端子と、を含み、前記第2のメモリセルは、前記第2のノードに電気的に接続された第11の端子と、前記ソース線に電気的に接続された第12の端子と、を含み、前記第1のメモリセルから前記第2のビット線に読み出されたデータを、前記第1のメモリセルに書き込む場合、前記第5のトランジスタをオン状態に設定し、オン状態の前記第5のトランジスタを介して、前記第2のビット線と前記ソース線とを電気的に接続し、前記第1及び第2の転送ゲートをオン状態に設定し、前記ソース線に電気的に接続され且つ前記第2の転送ゲートの一端及び前記第7の端子に接続された前記第2のビット線における第1の部分を、オン状態の前記第2の転送ゲートを介して、前記第2の転送ゲートの他端及び前記第2のメモリセルに接続された前記第2のビット線における第2の部分に電気的に接続して、前記第1のメモリセルに前記データを書き込むための第1の書き込み電圧を生成し、前記第1の書き込み電圧を、前記ソース線を介して、前記第1のメモリセルに印加し、前記第2のメモリセルから前記第1のビット線に読み出されたデータを、前記第2のメモリセルに書き込む場合、前記第4のトランジスタをオン状態に設定し、オン状態の前記第4のトランジスタを介して、前記第1のビット線と前記ソース線とを電気的に接続し、前記第1及び第2の転送ゲートをオン状態に設定し、前記ソース線に電気的に接続され且つ前記第1の転送ゲートの一端及び前記第5の端子に接続された前記第1のビット線における第3の部分を、オン状態の前記第1の転送ゲートを介して、前記第1の転送ゲートの他端及び前記第1のメモリセルに接続された前記第1のビット線における第4の部分に電気的に接続して、前記第2のメモリセルに前記データを書き込むための第2の書き込み電圧を生成し、前記第2の書き込み電圧を、前記ソース線を介して、前記第2のメモリセルに印加し、前記第1の部分又は前記第3の部分の第1の容量が“CA”と表記され、前記第2の部分又は前記第4の部分の第2の容量が“CB”と表記され、前記ソース線の第3の容量が“Cx”と表記される場合、前記CAと前記Cxとの合成容量は、前記CBの2倍である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態の半導体メモリの構成例を示すブロック図。
【
図2】実施形態の半導体メモリのメモリセルアレイの構成例を示す回路図。
【
図3】実施形態の半導体メモリのメモリセルアレイの構成例を示す断面図。
【
図4】実施形態の半導体メモリのメモリセルの構造の一例を示す図。
【
図5】メモリセルに保持される信号とデータとの関係を説明するための図。
【
図6】メモリセルに記憶されるデータの読み出しを説明するための図。
【
図7】実施形態の半導体メモリのセンスアンプ回路の構成例を示す模式図。
【
図8】実施形態の半導体メモリの書き込み動作の一例を示すタイミングチャート。
【
図9】実施形態の半導体メモリの読み出し動作の一例を示すタイミングチャート。
【
図10】実施形態の半導体メモリの読み出し動作の一例を説明するための模式図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら、本実施形態について詳細に説明する。以下の説明において、同一の機能及び構成を有する要素については、同一符号を付す。
また、以下の各実施形態において、末尾に区別化のための数字/英字を伴った参照符号(例えば、ワード線WLやビット線BL、各種の電圧及び信号など)を付された構成要素が、相互に区別されなくとも良い場合、末尾の数字/英字が省略された記載(参照符号)が用いられる。
【0008】
[実施形態]
図1乃至
図10を参照して、実施形態の半導体メモリについて、説明する。
【0009】
(1)構成例
図1乃至
図6を用いて、本実施形態の半導体メモリの構成例について、説明する。
【0010】
<全体構成>
図1は、本実施形態の半導体メモリを含むシステムを説明するための図である。
【0011】
図1に示されるように、あるシステム内において、本実施形態の半導体メモリ(メモリデバイス)800は、配線又は無線通信によって、プロセッサ900に接続されている。半導体メモリ800とプロセッサ900との間で、コマンドCMD、アドレスADR、データDT及び制御信号などの様々な信号が、送受信される。
【0012】
半導体メモリ800は、メモリセルアレイ801、ロウ制御回路802、カラム制御回路803、デコード回路804、センスアンプ回路805、電圧生成回路806、シーケンサ808、インターフェイス回路809などを含む。
【0013】
メモリセルアレイ801は、複数のメモリセルMCを含む。メモリセルMCは、ビット線及びワード線などの複数の配線に接続される。メモリセルMCは、1ビット以上のデータを、記憶できる。メモリセルアレイ801の内部構成は、後述される。
【0014】
インターフェイス回路809は、プロセッサ900からの信号(コマンドCMD、アドレスADR、データDT及び制御信号など)を受信する。インターフェイス回路809は、受信した信号を、半導体メモリ800内の他の回路へ転送する。
インターフェイス回路809は、メモリセルアレイ801から読み出されたデータを、プロセッサ900へ送信する。
【0015】
デコード回路804は、アドレスADRをデコードする。デコード回路804は、アドレスADRのデコード結果を、ロウ制御回路802及びカラム制御回路803に出力する。
【0016】
ロウ制御回路802は、メモリセルアレイ801のロウを制御する。ロウ制御回路801は、アドレスADRのデコード結果(ロウアドレス)に基づいて、メモリセルアレイ801の複数のロウの中から少なくとも1つを選択(活性化)する。ロウ制御回路802は、選択されたロウ以外のロウを、非選択状態(非活性化状態)に設定する。
ロウ制御回路802は、例えば、ワード線ドライバ回路、スイッチ回路(セレクタ)などを含む。
【0017】
カラム制御回路803は、メモリセルアレイ801のカラムを制御する。カラム制御回路803は、アドレスADRのデコード結果(カラムアドレス)に基づいて、メモリセルアレイ801の複数のカラムの中から少なくとも1つを選択(活性化)する。カラム制御回路803は、選択されたカラム以外のカラムを、非選択状態(非活性化状態)に設定する。
カラム制御回路803は、例えば、ビット線ドライバ回路、スイッチ回路(セレクタ)などを含む。本実施形態において、カラム制御回路803は、ソース線制御回路(ソース線ドライバ回路)89を含む。
【0018】
センスアンプ回路805は、カラム制御回路803を介して、メモリセルアレイ801に接続される。センスアンプ回路805は、選択されたメモリセルMCからのデータの読み出し時に、選択されたメモリセルMC内に記憶されたデータに対応する信号を、センス及び増幅する。信号のセンス結果に基づいて、選択されたメモリセルMCのデータが、読み出される。センスアンプ回路805は、選択されたメモリセルMCに対するデータの書き込み時に、メモリセルMCに書き込むべきデータに応じて、選択されたメモリセルMCに接続された配線の電位を制御できる。
【0019】
例えば、センスアンプ回路805は、複数のセンスアンプ80を有する。センスアンプ80は、1又は複数のビット線に対応する。
【0020】
以下において、データの読み出し(読み出し動作)及びデータの書き込み(書き込み動作)時において、動作の対象として選択されたメモリセルは、選択セルとよばれる。動作の対象として選択されないメモリセルは、非選択セルとよばれる。
【0021】
電圧生成回路806は、メモリセルアレイ801に対して実行すべき動作に応じて、動作に用いられる複数の電圧を生成する。電圧生成回路806は、生成した電圧を、ロウ制御回路802、カラム制御回路803及びセンスアンプ回路805へ、出力する。
【0022】
シーケンサ808は、コマンドCMD及び制御信号に基づいて、メモリデバイス800内の複数の回路802~806の動作を制御する。
【0023】
本実施形態の半導体メモリ800は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)である。DRAM800において、メモリセルMCは、少なくとも1つのキャパシタと少なくとも1つのトランジスタとを含む。キャパシタは、メモリセルMCのメモリ素子(データ保持部)として用いられる。トランジスタは、メモリセルMCの選択素子(スイッチ素子)として用いられる。以下において、メモリセルMC内のトランジスタは、セルトランジスタとよばれる。
【0024】
(1a)メモリセルアレイの構成例
<回路例>
図2は、本実施形態のメモリデバイス(例えば、DRAM)のメモリセルアレイの一例を示す等価回路図である。
【0025】
メモリセルアレイ801は、複数のメモリセルMC、複数のワード線WL(WLa,WLb)、複数のビット線BL(BLa,BLb)、及び、複数のソース線SLを含む。
【0026】
ワード線WLは、ロウ制御回路802に接続される。ビット線BL及びソース線SLは、カラム制御回路803に接続される。ビット線BL及びソース線SLは、カラム制御回路803を介して、センスアンプ回路805に接続される。
【0027】
例えば、本実施形態のDRAM800は、3次元構造のメモリセルアレイ801を有する。メモリセルアレイ801内において、複数のメモリセルMCは、X-Y平面内において2次元に配列されるとともに、X-Y平面に垂直なZ方向に配列されている。
【0028】
X方向に配列された複数のメモリセルMCは、共通のワード線WLに接続される。
Y方向に配列された複数のメモリセルMCは、共通のビット線BL、及び、共通のソース線SLに接続される。
【0029】
本実施形態において、各メモリセルMCは、キャパシタ10と、セルトランジスタ20と、を含む。例えば、各メモリセルMCにおいて、キャパシタ10及びセルトランジスタ20は、以下のように、ビット線BL、ソース線SL及びワード線WLに接続される。
セルトランジスタ20の一方の端子(ソース/ドレインの一方、電流経路の一端)が、ビット線BLに接続される。セルトランジスタ20の他方の端子(ソース/ドレインの他方、電流経路の一端)は、キャパシタ10の一方の端子に接続される。キャパシタ10の他方の端子は、ソース線SLに接続される。
セルトランジスタ20のゲートは、ワード線WLに接続される。
【0030】
例えば、トランジスタ50(50a,50b)が、Y方向におけるメモリセルアレイ801の端部に、設けられている。
トランジスタ50の一方の端子は、ビット線BLに接続されている。トランジスタ50の他方の端子は、ソース線SLに接続されている。トランジスタ50aのゲートは、ワード線WLzaに接続されている。トランジスタ50bのゲートは、ワード線WLzbに接続されている。
トランジスタ50において、トランジスタ50とソース線SLとの間に、キャパシタ30は、設けられない。
【0031】
メモリセルMCに対する所望の動作時において、セルトランジスタ20に加えて、トランジスタ50がオン状態に設定される。トランジスタ50は、メモリセルMCの動作に寄与する。トランジスタ50は、メモリセルMCの選択素子として、機能する。
例えば、DRAMの実行すべき動作に応じて、ビット線BLaとソース線SLとの間のメモリセルMCaが選択された場合、トランジスタ50bが、活性化される。これに対して、ビット線BLbとソース線SLとの間のメモリセルMCbが選択された場合、トランジスタ50aが、活性化される。このように、メモリセルMCに対する動作時において、キャパシタ10は、2つのトランジスタ20,50を介して、2つのビット線BLa,BLbに接続される。
【0032】
以下では、トランジスタ50は、区別化のために、レプリカトランジスタ(又は、ダミートランジスタ)50ともよばれる。
【0033】
<構造例>
図3は、本実施形態のDRAMのメモリセルアレイの構造例を説明するための模式図である。
図3において、メモリセルアレイの断面構造が、模式的に示されている。
図3において、DRAMの構成要素を覆う絶縁層(例えば、層間絶縁膜)の図示は、省略する。
【0034】
図3に示されるように、本実施形態のDRAMにおいて、メモリセルアレイ801は、層間絶縁膜(図示せず)を介して、半導体基板9の上方に設けられている。
【0035】
複数のセルトランジスタ20bが、Y方向に延在する導電層(配線)40上方に、設けられている。導電層40は、ビット線BLb(又は、その一部)である。
【0036】
キャパシタ10bのそれぞれは、対応するトランジスタ20bの上方に設けられている。
【0037】
Y方向に延在する導電層41は、複数のキャパシタ10bの上方に、設けられている。導電層41は、ソース線SL(又は、その一部)である。
【0038】
複数のキャパシタ10aが、ソース線SL上に設けられている。
セルトランジスタ20aのそれぞれは、対応するキャパシタ10aの上方に設けられている。
【0039】
Y方向に延在する導電層42が、セルトランジスタ20aの上方に設けられている。導電層42は、ビット線BLa(又はその一部)である。
【0040】
このように、本実施形態のDRAMにおいて、キャパシタ10(10a,10b)及びセルトランジスタ20(20a,20b)が、半導体基板9の表面に対して垂直方向(Z方向)に積層されている。
これによって、3次元構造のメモリセルアレイ801が、構成される。
【0041】
メモリセルMCにおいて、キャパシタ10(10a,10b)は、2つの導電層11,13と、絶縁層12と、を含む。絶縁層12は、2つの導電層11,13間に設けられている。
【0042】
導電層11,13は、キャパシタ10の電極である。以下において、説明の区別化のために、導電層11,13は、キャパシタ電極11,13とよばれる。絶縁層12は、キャパシタ電極11,13間の誘電体である。絶縁層12は、キャパシタ絶縁膜12とよばれる。
【0043】
キャパシタ10は、電荷を保持できる。キャパシタ10の静電容量Csは、2つのキャパシタ電極11,13の対向面積、キャパシタ絶縁膜12の材料の誘電率、及びキャパシタ絶縁膜12の膜厚などの制御に応じて、適宜設定される。
【0044】
セルトランジスタ20(20a,20b)は、複数の半導体層211,212,213、ゲート電極22及びゲート絶縁膜23を含む。
【0045】
ゲート絶縁膜23は、半導体層212の側面上に設けられている。半導体層212の側面は、半導体基板9の表面(X-Y平面)に対してほぼ垂直な面である。
ゲート電極22は、半導体層212の側面にゲート絶縁膜23を介して対向する。ゲート電極22は、X方向に延在する。ゲート電極22は、ワード線WLとして用いられる。
【0046】
半導体層212は、Z方向において、2つの半導体層211,213間に設けられている。半導体層211,213は、セルトランジスタ20のソース/ドレイン層211,213である。半導体層212は、セルトランジスタ20のチャネル層(チャネル領域)である。セルトランジスタ20のゲート電圧が、セルトランジスタ20のしきい値電圧以上である場合に、チャネル層212内に、チャネルが形成される。
【0047】
セルトランジスタ20の電流経路は、半導体基板9の表面(X-Y平面)に対してほぼ垂直な方向に設定されている。このようなトランジスタ20は、縦型トランジスタとよばれる。
【0048】
図4は、メモリセルに用いられるキャパシタ及びセルトランジスタの構造の一例を示す鳥瞰図である。
【0049】
例えば、キャパシタ10の一方のキャパシタ電極13は、円柱状(又は角柱状)の構造を有する。キャパシタ電極13の一端は、導電層(ソース線)41に接続される。キャパシタ絶縁膜12が、キャパシタ電極13の他端及び側面を覆うように、キャパシタ電極13上に設けられている。キャパシタ10の他方のキャパシタ電極11は、キャパシタ絶縁膜12の上面及び側面を覆うように、キャパシタ絶縁膜12上に設けられている。
キャパシタ10の静電容量Csは、絶縁層12を介した2つの導電層11,13の対向面積に応じる。尚、絶縁層12の材料及び膜厚によって、静電容量Csの大きさが制御されてもよい。
【0050】
例えば、導電層11,13の材料は、金属、半導体、及び、導電性化合物などの中から選択される。絶縁層12の材料は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物、及び、高誘電体物などの中から選択される。
【0051】
セルトランジスタ20において、半導体層211,212,213は、Z方向においてキャパシタ電極13と導電層42との間に設けられている。
【0052】
ソース/ドレイン層211は、例えば、コンタクトプラグ191を介して、キャパシタ電極11上に設けられている。
【0053】
チャネル層212は、ソース/ドレイン層211上に積層されている。ソース/ドレイン層213は、チャネル層212上に積層されている。
【0054】
ゲート絶縁膜23が、チャネル層212の側面上に設けられている。
【0055】
ゲート電極22が、ゲート絶縁膜23を介して、チャネル層212の側面に対向している。
【0056】
ソース/ドレイン層213と導電層42との間に、コンタクトプラグが設けられてもよい。
【0057】
半導体層211,212,213の材料は、シリコン、シリコンゲルマニウム、ゲルマニウム、及び酸化物半導体などから選択される。例えば、酸化物半導体は、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、及び錫(Sn)等のうち1以上を含む酸化物である。一般に、酸化物半導体のバンドギャップは、シリコンのバンドギャップより大きい。これに伴って、電圧が印加されていない状態における酸化物半導体の導電率は、電圧が印加されていない状態におけるシリコンの導電率より低い。それゆえ、酸化物半導体(例えば、InGaZnO)が半導体層211,212,213に用いられた場合、セルトランジスタ20のカットオフ特性が向上し、リーク電流が低減される。この結果として、メモリセルMCのデータリテンション特性が、向上する。
【0058】
尚、メモリセルMCの構造は、
図3及び
図4の構造に限定されない。
【0059】
例えば、トランジスタ50(50a,50b)が、メモリセルアレイ801のY方向の端部に設けられる。
【0060】
トランジスタ50は、セルトランジスタ20と実質的に同じ構造を有する。
トランジスタ50は、複数の半導体層211,212,213、ゲート電極22及びゲート絶縁膜23を含む。ゲート電極22は、ゲート絶縁膜23を介して、半導体層212に対向している。半導体層(チャネル層)212は、Z方向において、2つの半導体層(ソース/ドレイン層)211,213間に設けられている。
【0061】
トランジスタ50aの一端は、ビット線BLaに接続されている。トランジスタ50aの他端は、コンタクトプラグ30aを介して、ソース線SLに接続されている。トランジスタ50bの一端は、ビット線BLbに接続されている。トランジスタ50bの他端は、コンタクトプラグ30bを介して、ソース線SLに接続されている。キャパシタは、トランジスタ50とソース線SLとの間に設けられない。
【0062】
トランジスタ50の容量成分は、メモリセルMCの容量、及び/又は、メモリセルMCとセンスアンプ回路805とを接続する配線(例えば、ビット線BL及びソース線SL)の配線容量に付加される。トランジスタ50によって、メモリセルMCの容量及び/又はビット線BL及びソース線SLの配線容量が、調整され得る。
【0063】
メモリセルアレイ801の下方の領域において、DRAMに含まれる複数の回路802~809が、半導体基板9上に設けられている。
【0064】
図3において、図示の簡略化のために、2つの電界効果トランジスタTRのみが、図示されている。但し、半導体基板9上において、複数のP型/N型の電界効果トランジスタTR、複数の抵抗素子、及び、複数の容量素子などが、設けられている。これらの素子によって、DRAM800の回路801~809が構成される。
【0065】
トランジスタTRは、半導体基板9内の半導体領域(アクティブ領域)AA内に設けられている。半導体領域は、素子分離絶縁層999によって区画された領域である。
【0066】
トランジスタTRは、2つのソース/ドレイン層94を有する。ソース/ドレイン層94は、半導体領域内に設けられている。ゲート電極92は、ゲート絶縁膜93を介して、チャネル領域上方に設けられている。トランジスタTRにおいて、チャネル領域は、2つのソース/ドレイン層94間の領域である。
【0067】
ゲート電極92及びソース/ドレイン層94は、コンタクト(図示せず)を介して、配線(図示せず)に接続される。
【0068】
例えば、
図3において、トランジスタTRを含む回路は、センスアンプ回路805とする。
【0069】
本実施形態のDRAM800において、ビット線BLは、カラム選択スイッチSW(SWa,SWb)を介して、センスアンプ回路805の対応するセンスアンプ80に接続される。
【0070】
カラム選択スイッチ(転送ゲート)SWは、縦型の電界効果トランジスタである。カラム選択スイッチSWの構造は、セルトランジスタ20と実質的に同じである。カラム選択スイッチSWは、チャネル層212、ソース/ドレイン層211,213、ゲート電極22及びゲート絶縁膜23を有する。カラム選択スイッチSWのゲート電極22に、アドレスに対応する制御信号が、供給される。これによって、センスアンプ80とビット線BLとの電気的な接続が、制御される。
【0071】
カラム選択スイッチSWaは、ビット線BLaとセンスアンプ回路805のノードとの間に設けられている。カラム選択スイッチSWaの一方の端子(ソース/ドレイン層213)は、ビット線BLaに接続される。カラム選択スイッチSWaの他方の端子(ソース/ドレイン層211)は、コンタクトプラグ39a、拡散層99a及び導電層(図示せず)などを介して、対応するセンスアンプ80の第1の端子(ノード)に接続される。
【0072】
カラム選択スイッチSWbは、ビット線BLbとセンスアンプ回路805のノードとの間に設けられている。カラム選択スイッチSWbの一方の端子は、ビット線BLbに接続される。カラム選択スイッチSWbの他方の端子は、導電層35b、コンタクトプラグ39b及び拡散層99bなどを介して、対応するセンスアンプ80の第2の端子(ノード)に接続される。
【0073】
本実施形態において、転送ゲートTXが、ソース線SLとセンスアンプ80のとの間に設けられている。転送ゲートTXは、電界効果トランジスタである。転送ゲートTXは、カラム選択スイッチSW及びセルトランジスタ20と実質的に同じ構造を有している。転送ゲートTXは、チャネル層212、ソース/ドレイン層211,213、ゲート電極22及びゲート絶縁膜23を有する。転送ゲートTXのゲート電極22に、制御信号が、供給される。これによって、センスアンプ80とソース線SLとの電気的な接続が、制御される。
【0074】
転送ゲートTXの一方の端子(ソース/ドレイン層)は、コンタクトプラグ31を介して、ソース線SL(導電層41)に接続される。転送ゲートTXの他方の端子(ソース/ドレイン層)は、導電層35c、コンタクトプラグ39c及び拡散層99cなどを介して、センスアンプ80に接続される。例えば、Z方向における導電層35cの位置(配線レベル)は、Z方向におけるビット線BLbの位置と実質的に同じである。
【0075】
転送ゲートTXは、ある大きさの静電容量Czを有する。転送ゲートTXは、ソース線SLに対する配線容量の一部として作用し得る。転送ゲートTXは、ソース線SLの配線容量の調整用に設けられている。
図3において、1つのソース線SLに、1つの転送ゲートTXが接続されている例が示されているが、これに限定されない。2つ以上の転送ゲートTXが、1つのソース線SLに接続されてもよい。ソース線SLの容量の調整用の転送ゲートが、ソース線SLに接続されなくともよい。
【0076】
例えば、コンタクトプラグ39a,39b,39cは、カラム制御回路を介して、センスアンプ回路805に接続されている。対応するセンスアンプ80に共通に接続されるコンタクトプラグ39a,39b,39cは、メモリセルアレイ801の一端側の領域内に設けられている。
【0077】
カラム選択スイッチSW及び転送ゲートTXの容量成分は、センスアンプ80のノードの容量(メモリセルとセンスアンプの回路を接続する配線の容量)として含まれ得る。
【0078】
本実施形態のDRAMにおいて、メモリセルMCは、2ビット以上のデータを保持できる。2ビット以上のデータを保持するメモリセルは、MLC(Multi Level Cell)とよばれる。以下において、MLCとして、2ビットのデータ(“00”、“01”、“10”及び“11”)を記憶するメモリセルが、例示される。
【0079】
図5は、2ビットのデータとキャパシタに保持される電荷量との関係を示す模式図である。
図5のグラフの縦軸は、キャパシタの電荷量に対応する。
【0080】
図5に示されるように、2ビットのデータを記憶するMLCにおいて、“00”データが電荷量Q1に関連付けられ、“01”データが電荷量Q2に関連付けられ、“10”データが電荷量Q3に関連付けられ、“11”データが電荷量Q4に関連付けられる。
【0081】
例えば、0Vの電圧値が電荷量Q1に対応し、電圧値VDDが電荷量Q4に対応する。また、電圧値(1/3)×VDDが電荷量Q2に対応し、電圧(2/3)×VDDが電荷量Q3に対応する。このように、電圧と電荷量との対応付けが可能なように、メモリセルMCの構成が設定される。
【0082】
これによって、本実施形態のDRAMのメモリセルは、2ビットのデータを記憶可能なMLCとして機能する。
【0083】
図6は、データと読み出し電圧との関係を示す図である。
グラフの横軸は、読み出しデータに対応する。グラフの縦軸は、読み出し電圧に対応する。
【0084】
上述のように、メモリセルMCは、“00”、“01”、“10”、及び、“11”のデータを記憶することが可能である。
【0085】
読み出し動作において、上位ビットにおける“1”と“0”との判別は、“01”データに対応する電圧値と“10”データに対応する電圧値との間の電圧値を用いることで、実行できる。例えば、(1/2)×VDDの電圧値が、上位ビットの“0”と“1”との判定電圧(参照電圧)に用いられる。
【0086】
上位ビットが“0”である場合、下位ビットにおける“1”及び“0”は、“00”データに対応する電圧値と“01”データに対応する電圧値との大小関係に基づいて、判別できる。例えば、0Vと(1/3)×VDDとの間の電圧値(例えば、(1/6)×VDD)が、“0”の上位ビットを有するデータにおける下位ビットの“1”と“0”との判定電圧に用いられ得る。
【0087】
上位ビットが“1”である場合、下位ビットにおける“1”及び“0”は、“10”データに対応する電圧値と“11”データに対応する電圧値との大小関係に基づいて、判別できる。例えば、(2/3)×VDDの電圧値とVDD電圧値との間の電圧値(例えば、(5/6)×VDD)が、“1”の上位ビットを有するデータに対する下位ビットの“1”と“0”との判定電圧に用いられ得る。
【0088】
このように、メモリセルMC内の2ビットのデータ(4つのデータ)が、判別できる。
【0089】
(1b)センスアンプ回路の構成例
図7は、本実施形態のDRAMにおけるセンスアンプ回路の構成例について、説明する。
【0090】
図7は、本実施形態のDRAMにおけるセンスアンプ回路を説明するための等価回路図である。
【0091】
センスアンプ回路805は、複数のセンスアンプ80を含む。例えば、1つのセンスアンプ80が、1つ(又は複数)のビット線対(BLa,BLb)に対応する。
【0092】
センスアンプ80の第1のノードND1(ND1a,ND1b)は、ビット線BLaに接続されている。センスアンプの第2のノードND2(ND2a,ND2b)は、ビット線BLbに接続されている。
【0093】
本実施形態において、センスアンプ80は、容量結合型のセンスアンプである。本実施形態において、容量結合型のセンスアンプ80は、2ビットのデータを読み出し(判別)可能なように、構成されている。
【0094】
センスアンプ80は、第1のセンスユニット8A、第2のセンスユニット8B及び1以上の転送ゲート(スイッチ素子)TGを含む。
【0095】
第1及び第2のセンスユニット8A,8Bは、ビット線BLの電位をセンスできる。第1及び第2のセンスユニット8A,8Bは、ビット線BLの電位を増幅できる。
【0096】
第1のセンスユニット8Aの一方の入力端子は、ノードND1aに接続され、第1のセンスユニット8Aの他方の入力端子は、ノードND2aに接続されている。
第2のセンスユニット8Bの一方の入力端子は、ノードND1bに接続され、第2のセンスユニット8Bの他方の入力端子は、ノードND2bに接続されている。
【0097】
センスユニット8Aは、キャパシタ(容量性カップリング)C1a,C1bを介して、センスユニット8Bに接続されている。キャパシタC1aの静電容量は、キャパシタC1bの静電容量とほぼ同じである。
【0098】
センスユニット8Aの一方の入力端子は、キャパシタC1aを介して、センスユニット8Bの一方の入力端子に接続されている。センスユニット8Aの他方の入力端子は、キャパシタC1bを介して、センスユニット8Bの他方の入力端子に接続されている。
【0099】
制御信号SENaが、センスユニット8Aに供給される。センスユニット8Aの動作(活性化/非活性化)は、制御信号SENaの信号レベルに応じて、制御される。
制御信号SENbが、センスユニット8Bに供給される。センスユニット8Bの動作(活性化/非活性化)は、制御信号SENbの信号レベルに応じて、制御される。
【0100】
センスユニット8Aは、メモリセルMC内のデータの上位ビットが、“0”であるか“1”であるかをセンスする。上位ビットの値に対応する信号(電位)は、領域A1側のノードND1a,ND2a内に、保持(蓄積)される。領域(保持領域又は判定領域)A1に保持された信号を用いて、選択セル内のデータの上位ビットが、判定される。
【0101】
センスユニット8Bは、メモリセルMC内のデータの下位ビットが、“0”であるか“1”であるかをセンスする。下位ビットの値に対応する信号は、領域A2側のノードND1b,ND2b内に、保持(蓄積)される。領域(保持領域又は判定領域)A2に保持された信号を用いて、選択セル内のデータの下位ビットが、判定される。
転送ゲートTG(TGa,TGb)は、第1のセンスユニット8Aと第2のセンスユニット8Bとの間に、設けられている。
【0102】
転送ゲートTGaの一方の端子は、ノードND1aに接続され、転送ゲートTGaの他方の端子は、ノードND2aに接続されている。転送ゲートTGbの一方の端子は、ノードND1bに接続され、転送ゲートTGbの他方の端子は、ノードND2bに接続されている。制御信号STGが、転送ゲートTGa,TGbのゲートに供給される。制御信号STGによって、転送ゲートTGa,TGbのオン及びオフが、制御される。
【0103】
転送ゲートTGaは、センスアンプ80内において、ビット線BLa(ビット線BLaを含む配線)を2つの部分70a,70bに電気的に分割するように、設けられている。
【0104】
転送ゲートTGaの一方の端子(電流経路の一端)は、ビット線BLaの第1の部分70aに接続され、転送ゲートTGaの他方の端子(電流経路の他端)は、ビット線BLaの第2の部分70bに接続される。
【0105】
転送ゲートTGbは、センスアンプ80内において、ビット線BLb(ビット線BLbを含む配線)を2つの部分71a,71bに電気的に分割するように、設けられている。転送ゲートTGbの一方の端子は、ビット線BLbの第1の部分71aに接続され、転送ゲートTGbの他方の端子は、ビット線BLbの第2の部分71bに接続される。
【0106】
部分70aは、ノードND1a(センスユニット8Aの一方の入力端子)に接続され、部分71aは、ノードND2a(センスユニット8Aの他方の入力端子)に接続される。
【0107】
部分70bは、ノードND1b(センスユニット8Bの一方の入力端子)に接続され、部分71bは、ノードND2b(センスユニット8Bの他方の入力端子)に接続されている。
【0108】
図7において、センスアンプ80に対するメモリセル及びレプリカトランジスタの接続関係が模式的に示されている。
【0109】
センスユニット8Aは、センスアンプ80の領域A1内に設けられている。センスユニット8Bは、センスアンプ80の領域A2内に設けられている。
上記のセンスアンプ80の構成に対して、メモリセルMCは、センスアンプ80の領域A1側において、センスアンプ80に接続される。メモリセルMCは、転送ゲートTGa,TGbを介して、センスユニット8Aに接続される。メモリセルMCは、転送ゲートTGa,TGbを介さずに、センスユニット8Bに接続される。
この場合において、2つのメモリセルMCa,MCbが、部分70bと部分71bとの間に接続されていると、みなすことができる。レプリカトランジスタ50a,50bは、センスアンプ80の領域A1側において、センスアンプ80に接続されている。2つのレプリカトランジスタ50a,50bは、部分70aと部分71aとの間に接続されていると、みなすことができる。
【0110】
このように、容量結合型センスアンプ80において、メモリセルMCは、センスアンプ80を中央にレプリカトランジスタ50が設けられた領域A1とは反対側の領域A2内に設けられている。
【0111】
ソース線SLは、ソース線制御回路89に接続されている。ソース線SLの電位は、ソース線制御回路89によって、制御され得る。ソース線SLは、転送ゲート(図示せず)を介して、センスアンプ80に接続されてもよい。
【0112】
センスアンプ80は、容量CA,CBを有する。容量CA,CBは、センスユニット8A,8Bに接続された配線BLa,BLbの配線容量、及び、素子TG,50の容量成分(インピーダンス)などに起因する。
【0113】
ソース線SLは、配線容量(以下では、ソース線容量ともよばれる)Cxを有する。
【0114】
本実施形態のDRAMにおいて、読み出し動作における多値データの書き戻し(再書き込み動作)時に、ソース線SLを用いて、データを選択セルMCに書き戻す。選択セルに対する再書き込み動作は、ソース線SLを介して、実行される。
【0115】
データの書き戻しのための電圧(以下では、再書き込み電圧とよばれる)VRWの電圧値は、配線容量CA,CB,Cxに保持された信号量(例えば、電位)に基づいて決定される。再書き込み電圧VRWは、センスアンプ80(センスアンプ回路805)からソース線SLに供給される。
【0116】
上位ビットの判定に用いられる信号(領域A1側に保持される信号)は、部分70a,71aの配線容量CAとソース線の配線容量Cxとの合成容量に、保持される。
【0117】
下位ビットの判定に用いられる信号(領域A2側に保持される信号)は、部分70b,71bの配線容量CBに、保持される。
【0118】
領域A1側の配線容量の大きさは、ソース線SLの配線容量Cxに応じて、調整及び増幅される。
【0119】
本実施形態において、配線容量CA,CB,Cxの静電容量の比は、以下のように、設定される。
【0120】
Cx×CA/(Cx+CA):CB = 2:1
このように、部分70a,71aとソース線SLとの間の合成容量Cx×CA/(Cx+CA)は、部分70b,71bの配線容量の2倍程度に設定される。
【0121】
尚、配線容量CBは、以下のように示され得る。
CB=Cx×CA/(2×(Cx+CA))
本実施形態において、容量CxとメモリセルMCの容量Csの比(Cx/Cs)を大きくすることで、読み出し動作時に生じる信号量(センスアンプによってセンスされる信号の大きさ)が、増大できる。本実施形態において、メモリセルMCの容量Csが比較的小さい場合であっても、ソース線SLの容量を大きくすることで、信号量を増大できる。
【0122】
(2)動作例
図8及び
図9を参照して、本実施形態の半導体メモリ(例えば、DRAM)の動作例(制御方法)について、説明する。ここでは、
図1乃至
図7も、本実施形態の半導体メモリの動作の説明に、適宜用いられる。
【0123】
本実施形態のDRAMにおいて、メモリセルが、2ビットのデータ(“00”、“01”、“10”、“11”)を記憶する場合における、DRAMの書き込み動作及び読み出し動作が、説明される。
【0124】
以下において、選択ビット線は“BL-s”と表記され、選択ビット線と相補の関係のビット線は、“bBL-s”と表記される。
【0125】
(2a)書き込み動作
図8を用いて、本実施形態のメモリデバイスの書き込み動作について、説明する。
【0126】
本実施形態のDRAMにデータが書き込まれる場合、外部デバイス(例えば、CPU)は、本実施形態のDRAMに、書き込みコマンド、アドレス及びデータ(書き込みデータ)を送信する。また、外部デバイスは、本実施形態のDRAMに、制御信号を送信する。
【0127】
本実施形態のDRAMは、書き込みコマンド、アドレス、データ及び制御信号を受信する。
【0128】
本実施形態のDRAMは、書き込みコマンド及び制御信号に基づいて、アドレスに対応する選択セルに、受信したデータを書き込む。
【0129】
DRAM800内において、シーケンサ808が、書き込み動作のための各種の制御を、他の回路に対して実行する。
【0130】
デコード回路804は、アドレスをデコードする。デコード回路804は、デコード結果をロウ制御回路802及びカラム制御回路803に送信する。
【0131】
ロウ制御回路802は、アドレスのデコード結果に基づいて、ワード線WLの活性化/非活性化を制御する。カラム制御回路803は、アドレスのデコード結果に基づいて、ビット線BL及びソース線SLの活性化/非活性化を制御する。
【0132】
電圧生成回路806は、書き込み動作に用いられる様々な電圧を、生成する。電圧生成回路806は、生成した電圧を、他の回路に供給する。
【0133】
時刻t1aにおいて、書き込み電圧VWRが、選択ビット線BL-sに印加される。
【0134】
ビット線に対する書き込み電圧の印加と実質的に同じタイミングで、電圧値V1を有する選択電圧が、選択ワード線WLに印加される。電圧値V1は、セルトランジスタ20のオン電圧(以下では、オン電圧V1とも表記される)である。これによって、選択セルMC内において、セルトランジスタ20が、オン状態に設定される。
【0135】
書き込み電圧VWRが、オン状態のセルトランジスタ20を介して、選択セルMC内のキャパシタ10に印加される。
尚、書き込み電圧VWRの印加時において、選択ソース線SL-s、相補のビット線bBL-s及びレプリカワード線WLz-sの電位は、0Vに設定されている。但し、ワード線WLz-sに対する選択電圧の印加によって、選択セルに対応するレプリカトランジスタ50が、オン状態に設定されてもよい。
例えば、所定の電位の非選択電圧(例えば、0Vより大きい電圧)が、非選択ビット線及び非選択ソース線に、印加されている。
【0136】
本実施形態のDRAMに関して、2ビットのデータを保持するMLCの書き込み動作において、選択セルMCに書き込まれるデータに応じて、キャパシタ10に印加される書き込み電圧VWRの電圧値が制御される。
【0137】
“00”のデータがメモリセルMCに書き込まれる場合、書き込み電圧VWRの電圧値が、電圧値VwAに設定される。“01”のデータがメモリセルMCに書き込まれる場合、書き込み電圧VWRの電圧値が、電圧値VwBに設定される。“10”のデータがメモリセルMCに書き込まれる場合、書き込み電圧VWRの電圧値が、電圧値VwCに設定される。“11”のデータがメモリセルMCに書き込まれる場合、書き込み電圧VWRの電圧値が、電圧値VwDに設定される。
【0138】
例えば、電圧値VwDは、電源電圧VDDである。電圧値VwCは、(2/3)×VDDである。電圧値VwBは、(1/3)×VDDである。電圧値VwAは、0V(グランド電圧VSS)である。
【0139】
これによって、選択ビット線BL-sと選択ソース線SL-sとの間の電位差が、書き込み電圧VWRとして、選択セルMCに印加される。
【0140】
選択セルMCにおいて、電荷が、書き込み電圧VWRの電圧値に応じて、キャパシタ10内に保持(蓄積)される。
【0141】
この結果として、選択セルMCにおいて、キャパシタ10内に蓄積された電荷量に応じたデータが、書き込まれる。選択セルMCは、2ビットデータを保持する。
【0142】
尚、ビット線BL-sの電位が、ある一定の電圧値(例えば、電圧値Vdd)に設定され、ソース線SLの電位が、書き込みデータに応じた値に設定されることによって、書き込みデータに応じた書き込み電圧VWRが、選択セルMCに印加されてもよい。
【0143】
時刻t2aにおいて、選択ワード線WL-sの電位は、電圧値V1から0Vに低下される。これによって、選択セルMCにおいて、セルトランジスタ20は、オフ状態に設定される。選択ビット線BL-sの電位は、書き込み電圧VWRの値から0Vに低下される。これによって、選択セルに対する書き込み電圧の印加は、停止される。
【0144】
以上のように、本実施形態のDRAMの書き込み動作が、完了する。
【0145】
(2b)読み出し動作
図9を用いて、本実施形態のDRAMの読み出し動作について、説明する。
【0146】
以下のように、DRAMにおいて、読み出し動作のシーケンスは、データの読み出しとデータの再書き込みとを含む。ここでは、ビット線BLaとソース線SLとの間のメモリセルMCaが選択された場合における本実施形態のDRAMの読み出し動作について、説明する。
【0147】
<データの読み出し>
上述のMLCの書き込み動作によって、メモリセルMCのキャパシタ10は、記憶すべきデータに応じたキャパシタ電圧VCを保持する。メモリセルMCが2ビットのデータを記憶する場合、データの上位ビットの読み出し(判定)とデータの下位ビットの読み出しが、選択セルMCに対して実行される。
【0148】
DRAM800に対する読み出し動作の実行時において、プロセッサ900は、読み出しコマンドCMD、アドレスADR及び制御信号などを、DRAM800に送信する。
【0149】
書き込み動作と実質的に同様に、シーケンサ808は、受信された読み出しコマンド及び制御信号に基づいて、読み出し動作の実行のために、各回路802~806の動作を制御する。アドレスADRに基づいて、選択ビット線BL-s,bBL-s、選択ソース線SL-s、及び、選択ワード線WL-sなどが、順次活性化される。
【0150】
時刻t1bにおいて、選択ビット線BL-s(ここでは、ビット線BLa)及びビット線bBL-s(ここでは、ビット線BLb)は、カラム制御回路803又はセンスアンプ回路805によって、所定の電位にプリチャージされる。選択ビット線BL-s,bBL-sの電位は、例えば、(1/2)×VDDに設定される。例えば、非選択ビット線の電位は、選択ビット線BL-s,bBL-sと同様に、(1/2)×VDDに設定される。尚、非選択ビット線は、電気的にフローティングな状態に設定されてもよい。
【0151】
時刻t2bにおいて、電圧値V1の電圧VWLが、ロウ制御回路802によって、選択ワード線WL-sに印加される。これによって、セルトランジスタ20が、オン状態に設定される。選択ワード線WL-sに対するオン電圧V1の印加時において、0V(グランド電圧VSS)が、非選択ワード線に印加される。これによって、非選択セルは、オフ状態に維持される。オフ状態のセルトランジスタによって、非選択セルのキャパシタ10は、ビット線BLa,BLbから電気的に分離される。
【0152】
選択セルMCのセルトランジスタ20がオン状態である期間において、センスアンプ回路805(又はカラム制御回路803)が、読み出し電圧VRDを、選択セルMCに印加される。読み出し電圧VRDは、選択ビット線BL-s(及びビット線bBL-s)に印加される。読み出し電圧VRDの電圧値Vrは、例えば、(1/2)×VDDである。
【0153】
読み出し電圧VRDの印加によって、選択セルMC内のデータの上位ビットが“1”であるか(選択セルMCのデータが“11”又は“10”であるか)、又は、“0”であるか(選択セルMCのデータが“01”又は“00”であるか)、判定される。
【0154】
図5及び
図6を用いて説明したように、選択セルMCのデータの上位ビットが“1”である場合(選択セルMC内のデータが“11”又は“10”のデータである場合)、選択セルMCのキャパシタ10の電位は、選択ビット線BL-sに印加された電圧値(1/2)×VDDより高い。
この場合において、選択セルMC内のキャパシタ10の電荷は、選択ビット線BL-sに移動する。この結果として、ビット線BL-sの電位は増加し、キャパシタ10の電位は低下する。
【0155】
例えば、選択セルMCが“11”データを記憶している場合、選択ビット線BL-sの電位は、ΔVの値だけ上がる。この場合において、選択ビット線BL-sの電位は、(1/2)×VDD+ΔVとなる。“ΔV”は、“11”データを保持するキャパシタ10の信号電圧Vsの絶対値に実質的に相当する。
【0156】
選択セルMCが“10”データを記憶している場合、選択ビット線BL-sの電位は、(1/3)×ΔVの値だけ上がる。この場合において、選択ビット線BL-sの電位は、(1/2)×VDD+(1/3)×ΔVとなる。
【0157】
選択セルMCのデータの上位ビットが“0”である場合、選択セルMCのキャパシタの電位は、選択ビット線BL-sに印加された電圧値(1/2)×VDDより低い。
【0158】
この場合において、ビット線BL-sの電荷が、選択セルMC内のキャパシタ10に移動する。この結果として、選択ビット線BL-sの電位は低下し、キャパシタ10の電位は増加する。
【0159】
例えば、選択セルMCが“00”データを記憶している場合、選択ビット線BL-sの電位は、(1/2)×VDDからΔV(=Vs)の値だけ下がる。この場合において、選択ビット線BL-sの電位は、(1/2)×VDD-ΔVとなる。
【0160】
選択セルMCが“01”データを記憶している場合、選択ビット線BL-sの電位は、(1/2)×VDDから(1/3)×ΔVの値だけ下がる。この場合において、選択ビット線BL-sの電位は、(1/2)×VDD-(1/3)×ΔVsとなる。
【0161】
選択ビット線BL-sの電位の変化のための期間が経過した後、時刻t3bにおいて、選択ワード線WL-sの電位は、電圧値V1から0Vに変化される。
【0162】
時刻t3bにおいて、選択ソース線SLの電位は、ソース線制御回路89によって、0Vからある電位(例えば、(1/2)×VDD)に遷移される。この時、容量素子としての転送ゲートTXが、選択ソース線SL-sに接続されている場合、転送ゲートTXは、制御信号(ゲート電圧)によって、オン状態に設定される。
【0163】
時刻t4bにおいて、選択ワード線WL-sに対応するレプリカワード線(以下では、選択レプリカワード線とよばれる)WLz-sの電位が、ロウ制御回路802によって、0Vから電圧値V2に遷移される。これによって、レプリカトランジスタ50が、オン状態に設定される。本例において、選択セルMCは、ビット線BLaとソース線SLとの間に設けられている。この場合において、ビット線BLbとソース線SLとの間のレプリカトランジスタ50bが、オン状態に設定される。この一方で、ビット線BLaとソース線SLとの間のレプリカトランジスタ50aは、オフ状態に維持される。
【0164】
時刻t5bにおいて、制御信号STGの信号レベルが、“L”レベルから“H”レベルに遷移される。制御信号STGの“L”レベルは、0Vに対応する。制御信号STGの“H”レベルは、電圧値V3に対応する。電圧V3は、転送ゲートTGのオン電圧である。
電圧値V3の印加によって、転送ゲートTGが、オン状態に設定される。
【0165】
これによって、選択ビット線BL-s,bBL-sが、オン状態の転送ゲートTGを介して、センスユニット8AのノードND1a,ND2aに電気的に接続される。選択セルMCのデータに対応する電圧値が、ノードND1aに保持される。
【0166】
例えば、選択レプリカワード線WLz-sの電位は、制御信号STGの信号レベルが“H”レベルの期間中(例えば、時刻t6b)において、電圧値V2から0Vに遷移される。これによって、レプリカトランジスタ50は、オフ状態に設定される。
【0167】
時刻t7bにおいて、制御信号STGの信号レベルが、“H”レベルから“L”レベルへ遷移される。これによって、転送ゲートTGは、オフ状態に設定される。
【0168】
選択ビット線BL-s,bBL-sの電位が、センスアンプ80内のノードND1a,ND2aに保持される。このように、選択セルMCの上位ビットの読み出し結果に対応する選択ビット線BL-s,bBL-sの電位が、センスアンプ80の上位ビットの保持領域(判定領域)A1に、転送される。
【0169】
センスユニット8Aは、制御信号SEN1(例えば、“H”レベルの信号SEN1)によって、活性化される。センスユニット8Aは、ノードND1a,ND2aの電位を、センス及び増幅する。
【0170】
センスユニット8Aにおけるセンス結果に基づいて、“1”のデータ又は“0”のデータが、選択セルMCの上位ビットのデータとして、センスユニット8Aの出力端子OUTAから出力される。
【0171】
選択セルMCの下位ビットのデータは、センスユニット8Bによって、決定される。
センスユニット8Bが、制御信号SEN2(例えば、“H”レベルの信号SEN2)によって活性化される。
センスユニット8Bは、ノードND1b,ND2bの電位を、センス及び増幅する。
【0172】
上述のように、センスユニット8Aは、静電容量C1,C2を含む容量性カップリングによって、センスユニット8Bに接続されている。また、上位ビットのデータの保持のための配線容量CAと下位ビットのデータの保持のための配線容量CBとの比は、2:1である。
【0173】
上位ビットが“1”データである場合、信号(電位)の増幅によって、ノードND1aの電位が電圧値VDDに上昇し、ノードND2aの電位が0Vまで低下する。
上位ビットのデータのセンス時におけるノードND1a,ND2aの電位の変動の影響を受けて、ノードND1b,ND2bの電位は、(1/3)×ΔVだけ変動するように、静電容量C1,C2が、設計されている。
【0174】
選択セルMCが“11”データを記憶している場合、上位データの読み出しのための信号の増幅の前において、ビット線BL-sの電位(例えば、部分71aの電位)は、(1/2)×VDD+ΔVであり、ビット線bBL-sの電位(例えば、部分71bの電位)は、(1/2)×VDDである。
【0175】
上位データの読み出しのための信号の増幅に起因するノードND1a,ND2aの電位の変動によって、ノードND1bの電位は、(1/3)×ΔVだけ減少し、ノードND2bの電位は、(1/3)×ΔVだけ増加する。
それゆえ、“11”データの場合、上位データの読み出しのための信号の増幅の後において、ノードND2bの電位が、ノードND1bの電位より低い。
【0176】
一方、選択セルMCが“10”データを記憶している場合、上位データの読み出しのための信号の増幅の前において、ビット線BL-sの電位(例えば、部分71aの電位)は、(1/2)×VDD+(1/3)×ΔVであり、ビット線bBL-sの電位(例えば、部分71bの電位)は、(1/2)×VDDである。
【0177】
上位データの読み出しのための信号の増幅に起因するノードND1a,ND2aの電位の変動によって、ノードND1bの電位は、(1/3)×ΔVだけ減少し、ノードND2bの電位は、(1/3)×ΔVだけ増加する。
それゆえ、“10”データの場合、上位データの読み出しのための信号の増幅の後において、ノードND2bの電位が、ノードND1bの電位より高くなる。
【0178】
このように、上位ビットが“1”である場合において、上位ビットの読み出し時にセンスされる電圧値に基づいて、下位ビットのデータが、“1”であるか“0”であるか決定され得る。
【0179】
上位ビットが“0”データである場合、信号の増幅によって、ノードND1aの電位が0Vまで低下し、ノードND2aの電位が電圧値VDDに上昇する。
【0180】
選択セルMCが“00”データを記憶している場合、上位データの読み出しのための信号の増幅の前において、ビット線BL-sの電位(例えば、部分71aの電位)は、(1/2)×VDD-ΔVであり、ビット線bBL-sの電位(例えば、部分71bの電位)は、(1/2)×VDDである。
【0181】
上位データの読み出しのための信号の増幅に起因するノードND1a,ND2aの電位の変動によって、ノードND1bの電位は、(1/3)×ΔVだけ増加し、ノードND2bの電位は、(1/3)×ΔVだけ減少する。
それゆえ、選択セルのデータが“00”データである場合、上位データの読み出しのための信号の増幅の後において、ノードND1bの電位が、ノードND2bの電位より低い。
【0182】
選択セルMCが“01”データを記憶している場合、上位データの読み出しのための信号の増幅の前において、ビット線BL-sの電位(例えば、部分71aの電位)は、(1/2)×VDD-(1/3)×ΔVであり、ビット線bBL-sの電位(例えば、部分71bの電位)は、(1/2)×VDDである。
【0183】
上位データの読み出しのための信号の増幅に起因するノードND1a,ND2aの電位の変動によって、ノードND1bの電位は、(1/3)×ΔVだけ増加し、ノードND2bの電位は、(1/3)×ΔVだけ減少する。
それゆえ、選択セルのデータが“01”データの場合、上位データの読み出しのための信号の増幅の後において、ノードND1bの電位が、ノードND2bの電位より高くなる。
【0184】
このように、上位ビットが“0”である場合において、上位ビットの読み出し時にセンスされる電圧値に基づいて、データの下位ビットが、“1”であるか“0”であるか決定され得る。
【0185】
データの下位ビットに対応する電位は、センスアンプ80の下位ビットの保持領域(判定領域)A2のノードND1b,ND2b内に、保持される。
【0186】
センスユニット8Bは、ノードND1b、ND2bの電位をセンス及び増幅する。これによって、ノードND1bの電位は、下位ビットのデータが“1”である場合に、電圧値VDDに設定され、下位ビットのデータが“0”である場合に0Vに設定される。例えば、センスユニット8Bによる電位の増幅の前に、センスユニット8Aはオフ状態に設定される。
【0187】
センスユニット8Bにおけるセンス結果に基づいて、“1”のデータ又は“0”のデータが、選択セルMCの下位ビットのデータとして、センスユニット8Bの出力端子OUTBから出力される。
【0188】
この後、制御信号SEN2によって、センスユニット8Bは、非活性化される。
例えば、時刻t8bにおいて、ビット線BL-s,bBL-s及びソース線SL-sは、非活性化される。
【0189】
以上のように、選択セルMCから2ビットのデータが読み出される。
【0190】
選択セルMC内のデータは、データの読み出し(キャパシタ10の電荷量の変化)によって、破壊される。それゆえ、データの読み出しの後、読み出し結果に基づいて、データの書き戻し(再書き込み)が実行される。
【0191】
<データの書き戻し>
図9を用いて、本実施形態のDRAMにおけるMLCに対するデータの書き戻しについて、説明する。
【0192】
上述のデータの読み出しにおいて、読み出し結果に対応する電圧値が、センスアンプ80とメモリセルMCとの間の配線容量CA,CB,Cxに、保持される。
【0193】
配線容量CA,CB,Cxに保持された電位を用いて、データの書き戻しのための電圧(以下では、再書き込み電圧とよばれる)が、決定される。
【0194】
データの上位ビットに対応する電圧値が、部分70a,71aの配線容量CA内に保持されている。データの下位ビットに対応する電圧値が、部分70b,71bの配線容量CB内に保持されている。センスユニット8A,8Bによる信号の増幅によって、部分70a,71a,70b,71bの電位は、センスされた上位ビット及び下位ビットのデータに応じて、電圧値VDD又は0Vに設定されている。
【0195】
時刻t1cにおいて、データの書き戻し時において、制御信号STGの信号レベルが、“L”レベルから“H”レベルに遷移される。“H”レベルの信号(電圧値V3)によって、転送ゲート(トランジスタ)TGは、オン状態に設定される。
【0196】
これによって、オン状態の転送ゲートTGを介して、領域A2内のビット線BLの部分70b,71bが、領域A1内のビット線BLの部分70a,71aに電気的に接続される。
【0197】
データの読み出し結果が“11”データである場合、上位ビットのデータの保持状態における部分70aの電位は、電圧値VDDであり、下位ビットのデータの保持状態における部分71aの電位は、電圧値VDDである。
この場合において、配線容量の比が2:1に設定されているため、転送ゲートTGのオンによって、電気的に接続された部分70及び部分71の電位は、(2/3)×VDD+(1/3)×VDD=VDDとなる。
【0198】
データの読み出し結果が“10”データである場合、上位ビットのデータの保持状態における部分70aの電位は、電圧値VDDであり、下位ビットのデータの保持状態における部分71aの電位は、0Vである。
この場合において、配線容量の比が2:1に設定されているため、転送ゲートTGのオンによって、電気的に接続された部分70及び部分71の電位は、(2/3)×VDD+(1/3)×0=(2/3)×VDDの電圧値となる。
【0199】
データの読み出し結果が“01”データである場合、上位ビットのデータの保持状態における部分70aの電位は、0Vであり、下位ビットのデータの保持状態における部分71aの電位は、電圧値VDDである。
この場合において、配線容量の比が2:1に設定されているため、転送ゲートTGのオンによって、電気的に接続された部分70及び部分71の電位は、(2/3)×0+(1/3)×VDD=(1/3)×VDDの電圧値となる。
【0200】
データの読み出し結果が“00”データである場合、上位ビットのデータの保持状態における部分70aの電位は、0Vであり、下位ビットのデータの保持状態における部分71aの電位は、0Vである。
この場合において、配線容量の比が2:1に設定されているため、転送ゲートTGのオンによって、電気的に接続された部分70及び部分71の電位は、(2/3)×0+(1/3)×0=0Vの電圧値となる。
【0201】
このように、データの読み出し結果に応じて、4つの異なる電圧値が、得られる。
それゆえ、2ビットのデータに対応するように、4パターンの再書き込み電圧VRWが、センスアンプ80によって、データの読み出しの結果に基づいて決定される。
【0202】
データの読み出し結果に対応して、1つの電圧値が、再書き込み電圧VRWの電圧値として設定される。
【0203】
本実施形態において、決定された電圧値を有する再書き込み電圧VWRは、ソース線SL―sに供給される。再書き込み電圧VWRは、ソース線SL-sを介して、選択セルMCに印加される。
【0204】
時刻t2cにおいて、信号が“H”レベルに設定された状態で、選択されたレプリカワード線WLz-sの電位が、0Vから電圧値V2に遷移される。電圧値(オン電圧)V2の印加によって、レプリカトランジスタ50が、オン状態に設定される。
【0205】
これによって、再書き込み電圧VRWが、センスアンプ80内のノード(配線)ND1,ND2、ビット線BL及びレプリカトランジスタ50を経由して、メモリセルアレイ801内のソース線SLに、供給される。
例えば、0Vの電圧が、選択ビット線BL-sに、印加される。例えば、再書き込み電圧と同じ電圧値を有する電圧が、ビット線bBL-sに、印加される。
【0206】
読み出されたデータが“11”データである場合、ビット線BL-sの電位は、0Vに設定され、ソース線SLの電位は、VDDの電圧値に設定される。それゆえ、選択セルMCに印加される再書き込み電圧VRDの電圧値は、VDD(=VwD)となる。この電圧値を有する再書き込み電圧VRWの印加によって、“11”データが、選択セルMCに書き込まれる。
【0207】
読み出されたデータが“10”データである場合、ビット線BL-sの電位は、電圧値0Vに設定され、ソース線SLの電位は、(2/3)×VDDの電圧値に設定される。それゆえ、再書き込み電圧VRWの電圧値は、電圧値(2/3)×VDD(=VwC)となる。この電圧値を有する再書き込み電圧VRWの印加によって、“10”データが、選択セルMCに書き込まれる。
【0208】
読み出されたデータが“01”データである場合、ビット線BL-sの電位は、電圧値0Vに設定され、ソース線SLの電位は、(1/3)×VDDの電圧値に設定される。それゆえ、再書き込み電圧VRWの電圧値は、電圧値(1/3)×VDD(=VwB)となる。この電圧値を有する再書き込み電圧VRWの印加によって、“01”データが、選択セルMCに書き込まれる。
【0209】
読み出されたデータが“00”データである場合、ビット線BLの電位は、0Vに設定され、ソース線SLの電位は、0Vに設定される。それゆえ、再書き込み電圧VRWの電圧値は、0V(=VwA)となる。この電圧値を有する再書き込み電圧VRWの印加によって、“10”データが、選択セルMCに書き込まれる。
【0210】
時刻t3cにおいて、再書き込み電圧VRWの印加の後、選択レプリカワード線WLz-sの電位が、電圧値V2から0Vに遷移される。これによって、レプリカトランジスタ50は、オフ状態に設定される。
【0211】
時刻t4cにおいて、制御信号STGの信号レベル(電圧値)は、“H”レベル(電圧値V3)から“L”レベル(0V)に遷移される。
選択ビット線BL-s,bBL-s及び選択ソース線SL-sは、非活性化される。選択ソース線SL-sの転送ゲートTXは、オフ状態に設定される。
【0212】
このように、選択セルに対するデータの再書き込みが、完了する。
【0213】
以上のように、データの読み出し及びデータの再書き込みを含む読み出しシーケンスによって、選択セルに対する読み出し動作が、終了する。
【0214】
(3) まとめ
本実施形態の半導体メモリ(メモリデバイス)において、容量結合型センスアンプ80によって、多値データ(2桁以上のビット)の読み出し及び多値データの再書き込みが、実行される。
【0215】
本実施形態の半導体メモリは、読み出し動作のデータの再書き込みにおいて、再書き込み電圧を、ソース線を介して、選択セルに供給する。ソース線に供給された再書き込み電圧が、選択セルに印加される。これによって、本実施形態の半導体メモリにおいて、データが、ソース線を介して、選択セル内に再書き込みされる。
【0216】
本実施形態において、ビット線(メモリセルとセンスアンプとを接続する配線)の配線容量に加えて、ソース線の配線容量を用いて、容量性カップリングの大きさ(配線容量の比)が、設定される。例えば、転送ゲートが、ソース線の配線容量の調整(例えば、増加)のために、ソース線に接続されている。
【0217】
これによって、本実施形態のDRAMは、メモリセルMCの容量Csが比較的小さい場合であっても、信号量を増大できる。
例えば、メモリセルの容量Csが10fF以下であっても、ソース線SLの配線容量とメモリセルの容量Csとの比(Cx/Cs)を大きくすることで、多値データの読み出し(センシング)/再書き込み電圧の決定のための信号の増幅、及び、読み出しデータの信号の増幅を、両立できる。
【0218】
また、本実施形態のDRAMは、ソース線の配線長/配線容量の制御によって、メモリセルとセンスアンプ回路との間の容量の増大、及び、容量の分割比の調整を、実行できる。
【0219】
それゆえ、本実施形態のDRAMは、配線、素子及び回路を複雑なレイアウトで設計すること無しに、データのセンス及び再書き込みのための信号量を大きくできる。
【0220】
この結果として、本実施形態のDRAMは、例えばメモリの信頼性のような、メモリの特性を向上できる。
【0221】
以上のように、本実施形態の半導体メモリは、特性を向上できる。
【0222】
(4)変形例
図10を用いて、実施形態の半導体メモリ(例えば、DRAM)の変形例について、説明する。
【0223】
ダミーセルDCが、ソース線SLに接続されてもよい。ダミーセルDCは、キャパシタ(以下では、ダミーキャパシタとよばれる)10d及びトランジスタ(以下では、ダミートランジスタとよばれる)20dの少なくとも一方を含む。
【0224】
ダミーキャパシタ10dの構造は、キャパシタ10の構造と実質的に同じである。ダミートランジスタ20dの構造は、セルトランジスタ20の構造と実質的に同じである。
【0225】
ダミーセルDCは、ダミーキャパシタ10d及び/又はダミートランジスタに起因する容量成分を含む。ダミーセルDCの容量成分によって、ソース線SLの配線容量Cxが、調整される。
例えば、ダミーセルDCがソース線SLに接続された場合、配線容量Cxは、増大する。
【0226】
このように、変形例の半導体メモリは、メモリの特性を向上できる。
【0227】
(5) その他
本実施形態の半導体メモリとして、DRAMが例示されている。但し、1つのメモリ素子が2ビット以上のデータを記憶する半導体メモリ(又はメモリデバイス)であれば、DRAM以外の半導体メモリが、本実施形態の半導体メモリ(又はメモリデバイス)に適用されてもよい。
【0228】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0229】
800:半導体メモリ、801:メモリセルアレイ、804:センスアンプ回路、80:センスアンプ、MC:メモリセル、10:キャパシタ、20:セルトランジスタ。