(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-14
(45)【発行日】2023-07-25
(54)【発明の名称】副生ガスを用いた水素製造システムおよび製造方法
(51)【国際特許分類】
C01B 3/38 20060101AFI20230718BHJP
C01B 3/06 20060101ALI20230718BHJP
C01B 3/56 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
C01B3/38
C01B3/06
C01B3/56 Z
(21)【出願番号】P 2019066812
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】10-2018-0154229
(32)【優先日】2018-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA CORPORATION
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】592127149
【氏名又は名称】韓国科学技術院
【氏名又は名称原語表記】KOREA ADVANCED INSTITUTE OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】291,Daehak-ro Yuseong-gu,Daejeon 34141,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】崔 勝 賢
(72)【発明者】
【氏名】李 京 ムン
(72)【発明者】
【氏名】朴 廷 珠
(72)【発明者】
【氏名】朴 訓 模
(72)【発明者】
【氏名】韓 光 宇
(72)【発明者】
【氏名】ベ 重 冕
(72)【発明者】
【氏名】呉 枝 宇
【審査官】佐藤 慶明
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-183303(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0000194(US,A1)
【文献】特開2017-041309(JP,A)
【文献】特表2016-529384(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0083811(US,A1)
【文献】MOGHTADERI, B.,Energy and Fuels,2011年10月12日,Vol.26,pp.15-40,<DOI:10.1021/ef201303d>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 3/00 - 6/34
C10J 1/00 - 3/86
C21B 3/00 - 5/06
C21B 11/00 - 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄鋼工程または石炭化学工程で発生する副生ガスから水素を製造する水素製造システムであって、
水蒸気(H
2O)を投入して前記副生ガスを改質する改質器と、
前記改質器から供給された改質ガスから還元ガスと水素ガス(H
2)に分離させる分離器と、
前記分離器から供給された還元ガスを用いて酸化鉄(III)(ferric oxide、Fe
2O
3)を酸化鉄(II)(ferrous oxide、FeO)に還元させる第1反応器と、
前記第1反応器から供給された酸化鉄(II)(FeO)
と水蒸気(H
2O)を混合して黒色酸化鉄(ferrous ferric oxide、Fe
3O
4)および水素ガス(H
2)を生成する第2反応器と、を含み、
前記改質器から排出される改質ガス中の水素ガス(H
2)の濃度は、前記副生ガス中の水素ガス(H
2)の濃度よりも高いことを特徴とする水素製造システム。
【請求項2】
前記第1反応器および前記第2反応器に連結される第3反応器をさらに含み、
前記第3反応器は、前記第2反応器から供給された黒色酸化鉄(Fe
3O
4)に酸素(O
2)を混合して酸化鉄(III)(Fe
2O
3)に酸化させ、
前記酸化した酸化鉄(III)(Fe
2O
3)を前記第1反応器へ供給するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の水素製造システム。
【請求項3】
前記改質器内の温度が600℃~900℃であることを特徴とする請求項1に記載の水素製造システム。
【請求項4】
前記分離器は、圧力スイング吸着(pressure swing adsorption、PSA)ユニットを含むことを特徴とする請求項1に記載の水素製造システム。
【請求項5】
前記第2反応器に注入される水蒸気(H
2O)の一部は前記第1反応器から供給されることを特徴とする請求項1に記載の水素製造システム。
【請求項6】
前記副生ガスはコークス炉ガス(coke oven gas、COG)を含むものであることを特徴とする請求項1に記載の水素製造システム。
【請求項7】
前記副生ガスにおける水蒸気/炭素の比(Steam to Carbon ratio、H
2O/CH
4)は2.5~3.5であることを特徴とする請求項1に記載の水素製造システム。
【請求項8】
前記還元ガスは、
水素ガス(H
2)、一酸化炭素(CO)、メタンガス(CH
4)、およびこれらの組み合わせよりなる群から選択される少なくとも1種を含むものであることを特徴とする請求項1に記載の水素製造システム。
【請求項9】
鉄鋼工程または石炭化学工程で発生する副生ガスを水蒸気(H
2O)で改質して改質ガスを生成するステップと、
前記改質ガスを還元ガスと水素ガス(H
2)に分離させるステップと、
前記還元ガスを用いて酸化鉄(III)(Fe
2O
3)を酸化鉄(II)(FeO)に還元させるステップと、
前記還元された酸化鉄(II)に水蒸気(H
2O)を反応させることにより黒色酸化鉄(Fe
3O
4)および水素ガス(H
2)を生成するステップと、を含み、
前記改質ガスを生成するステップで、前記改質ガス中の水素ガス(H
2)の濃度は、前記副生ガス中の水素ガス(H
2)の濃度よりも高いことを特徴とする水素製造方法。
【請求項10】
前記酸化鉄(III)(Fe
2O
3)を酸化鉄(II)(FeO)に還元させるステップは、化1に基づく反応を含むことを特徴とする請求項9に記載の水素製造方法。
[化1]
4Fe
2O
3+CH
4→8FeO+2H
2O+CO
2
【請求項11】
黒色酸化鉄(Fe
3O
4)および水素ガス(H
2)を生成するステップは、化2に基づく反応を含むことを特徴とする請求項9に記載の水素製造方法。
[化2]
8FeO+8/3H
2O→8/3Fe
3O
4+8/3H
2
【請求項12】
前記還元ガスを用いて酸化鉄(III)(Fe
2O
3)を酸化鉄(II)(FeO)に還元させるステップで、前記酸化鉄(III)(Fe
2O
3)の一部は、
前記黒色酸化鉄(Fe
3O
4)および水素ガス(H
2)を生成するステップで製造された黒色酸化鉄(Fe
3O
4)に酸素(O
2)を混合させて生成されるものを含むことを特徴とする請求項9に記載の水素製造方法。
【請求項13】
前記混合された黒色酸化鉄(Fe
3O
4)および酸素(O
2)は、化3に基づく反応によって酸化鉄(III)(Fe
2O
3)を生成するものであることを特徴とする請求項12に記載の水素製造方法。
[化3]
8/3Fe
3O
4+2/3O
2→4Fe
2O
3
【請求項14】
前記改質ガスを還元ガスと水素ガス(H
2)に分離させるステップは、圧力スイング吸着(PSA)工程を含むことを特徴とする請求項9に記載の水素製造方法。
【請求項15】
前記改質ガスを生成するステップは600℃~900℃の温度で行われることを特徴とする請求項9に記載の水素製造方法。
【請求項16】
前記副生ガスはコークス炉ガス(COG)を含むことを特徴とする請求項9に記載の水素製造方法。
【請求項17】
前記副生ガスにおける水蒸気/炭素の比(H
2O/CH
4)は2.5乃至3.5であることを特徴とする請求項9に記載の水素製造方法。
【請求項18】
前記還元ガスは、
水素ガス(H
2)、一酸化炭素(CO)、メタンガス(CH
4)、およびこれらの組み合わせよりなる群から選択される少なくとも1種を含むものであることを特徴とする請求項9に記載の水素製造方法。
【請求項19】
前記黒色酸化鉄(Fe
3O
4)および水素ガス(H
2)を生成するステップで、水蒸気(H
2O)の一部は、前記酸化鉄(III)(Fe
2O
3)を酸化鉄(II)(FeO)に還元させるステップで生成されるものを含むことを特徴とする請求項9に記載の水素製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、副生ガスを用いた水素製造システムおよび製造方法に係り、より詳しくは、鉄鋼工程または石炭化学工程で発生する副生ガスから水素を生成する副生ガスを用いた水素製造システムおよび製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、鉄鋼工程などで発生する廃熱を直接エネルギーとして活用しようとする努力が様々な方法で試みられてきた。しかし、廃熱回収は、システムの構成が難しく、製鉄所以外の他の応用分野に適用し難いという短所がある。
一方、新・再生可能エネルギーの需要が高まるにつれて、鉄鋼工程などで発生する副生ガスを用いて貯蔵可能な新・再生可能エネルギーである水素ガスを生産することが要求される。このような水素ガスの生産は、製鉄所を新・再生可能エネルギー発電所として活用することができる利点だけでなく、限られた資源から水素ガスをさらに生産するという点で環境に優しい利点がある。より具体的には、残余還元ガスを用いることにより、捨てられるガスを水素ガスの製造のためにリサイクルすることができるという点で、既存の廃熱回収システムの利点を受け継ぐことができる。
【0003】
一方、鉄鋼工程において、コークス炉は、多数の炭化室を備えて、各炭化室で炭(例えば、石炭)を乾留することにより、コークスを製造する。このとき、炭をコークスに作る乾留過程で粗コークス炉ガス(crude COG、処理過程を経ていないCOG)が発生するが、このようなコークス炉ガス(COG)は、それぞれの炭化室の上部に配置された上昇管を経て集合管に集められ精製設備(化成工程)に送られる。一般に、それぞれの炭化室から発生したコークス炉ガスを、上昇管を介して移送する過程で安水を噴霧して80℃レベルに冷却させた後、集合管で混合して収集する。このような集合管に収集されたコークス炉ガスは、化成設備に移送されて不純物精製過程などを経た後、高純度の水素を製造する原料として使用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】韓国公開特許第10-2016-0066623号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が目的とするところは、既存の製鉄所の鉄鋼工程または石炭化学工程で発生する副生ガスから、改質工程および酸化還元工程の二元化された水素製造工程を介して高収率で水素を生産することにある。
本発明の他の目的は、従来の水素製造システムおよび製造方法よりも高い収率で水素を生産しつつ、副産物(by-product)の発生を減少させて環境にやさしい水素を製造することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明は、鉄鋼工程または石炭化学工程で発生する副生ガスから水素を製造する水素製造システムであって、水蒸気(H2O)を投入して前記副生ガスを改質する改質器と、前記改質器から供給された改質ガスから還元ガスと水素ガス(H2)に分離させる分離器と、前記分離器から供給された還元ガスを用いて酸化鉄(III)(ferric oxide、Fe2O3)を酸化鉄(II)(ferrous oxide、FeO)に還元させる第1反応器と、前記第1反応器から供給された酸化鉄(II)(FeO)に水蒸気(H2O)を混合して黒色酸化鉄(ferrous ferric oxide、Fe3O4)および水素ガス(H2)を生成する第2反応器とを含み、前記改質器から排出される改質ガス中の水素ガス(H2)の濃度は、前記副生ガス中の水素ガス(H2)の濃度よりも高いことを特徴とする。
【0007】
前記第1反応器および前記第2反応器に連結される第3反応器をさらに含み、前記第3反応器は、前記第2反応器から供給された黒色酸化鉄(Fe3O4)に酸素(O2)を混合して酸化鉄(III)(Fe2O3)に酸化させ、前記酸化した酸化鉄(III)(Fe2O3)を前記第1反応器へ供給するように構成されることを特徴とする。
【0008】
前記改質器内の温度は600℃~900℃であることを特徴とする。
【0009】
前記分離器は、圧力スイング吸着(pressure swing adsorption、PSA)ユニットを含むことを特徴とする。
【0010】
前記第2反応器に注入される水蒸気(H2O)の一部は、前記第1反応器から供給されることを特徴とする。
【0011】
前記副生ガスは、コークス炉ガス(coke oven gas、COG)を含むことを特徴とする。
【0012】
前記副生ガスにおける水蒸気/炭素の比(Steam to Carbon ratio、H2O/CH4)は2.5~3.5であることを特徴とする。
【0013】
前記還元ガスは、水素ガス(H2)、一酸化炭素(CO)、メタンガス(CH4)、およびこれらの組み合わせよりなる群から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする。
【0014】
また本発明に係る水素製造方法は、鉄鋼工程または石炭化学工程で発生する副生ガスを水蒸気(H2O)で改質して改質ガスを生成するステップと、前記改質ガスを還元ガスと水素ガス(H2)に分離させるステップと、前記還元ガスを用いて酸化鉄(III)(Fe2O3)を酸化鉄(II)(FeO)に還元させるステップと、前記還元された酸化鉄(II)に水蒸気(H2O)を反応させることにより黒色酸化鉄(Fe3O4)および水素ガス(H2)を生成するステップとを含み、前記還元ガスを生成するステップで、前記改質ガス中の水素ガス(H2)の濃度は、前記副生ガス中の水素ガス(H2)の濃度よりも高いことを特徴とする。
【0015】
前記酸化鉄(III)(Fe2O3)を酸化鉄(II)(FeO)に還元させるステップは、化1に基づく反応を含むことを特徴とする。
[化1]
4Fe2O3+CH4→8FeO+2H2O+CO2
【0016】
黒色酸化鉄(Fe3O4)および水素ガス(H2)を生成するステップは、化2に基づく反応を含むことを特徴とする。
[化2]
8FeO+8/3H2O→8/3Fe3O4+8/3H2
【0017】
前記還元ガスを用いて酸化鉄(III)(Fe2O3)を酸化鉄(II)(FeO)に還元させるステップで、前記酸化鉄(III)(Fe2O3)の一部は、前記黒色酸化鉄(Fe3O4)および水素ガス(H2)を生成するステップで製造された黒色酸化鉄(Fe3O4)に酸素(O2)を混合させて生成されることを特徴とする。
【0018】
前記混合された黒色酸化鉄(Fe3O4)および酸素(O2)は、化3に基づく反応によって酸化鉄(III)(Fe2O3)を生成することを特徴とする。
[化3]
8/3Fe3O4+2/3O2→4Fe2O3
【0019】
前記改質ガスを還元ガスと水素ガス(H2)に分離させるステップは、圧力スイング吸着(PSA)工程を含むことを特徴とする。
【0020】
前記改質ガスを生成するステップは600℃~900℃の温度で行われることを特徴とする。
【0021】
前記副生ガスは、コークス炉ガス(COG)を含むことを特徴とする。
【0022】
前記副生ガスにおける水蒸気/炭素の比(H2O/CH4)は2.5乃至3.5であることを特徴とする。
【0023】
前記還元ガスは、水素ガス(H2)、一酸化炭素(CO)、メタンガス(CH4)、およびこれらの組み合わせよりなる群から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする。
【0024】
前記黒色酸化鉄(Fe3O4)および水素ガス(H2)を生成するステップで、水蒸気(H2O)の一部は、前記酸化鉄(III)(Fe2O3)を酸化鉄(II)(FeO)に還元させるステップで生成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明の水素製造システムおよび製造方法によれば、
既存の製鉄所の鉄鋼工程または石炭化学工程で発生する副生ガスから、高純度の水素を大量に生産することができる。
また、従来の水素製造システムおよび製造方法よりも高い数値のメタン(CH4)転換率により、従来よりも高い収率で水素を生産しつつ、副産物(by-product)の発生を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の幾つかの実施例に係る水素製造システムを概略示す概念図である。
【
図2】本発明の幾つかの実施例に係る水素製造システムおよび水素製造方法を概略示す概念図である。
【
図3】実施例1による水素製造システムおよび製造方法を概略示す概念図である。
【
図4】実施例1、比較例1および比較例2による水素製造工程を比較して示す図である。
【
図5】実施例1の温度条件に応じた水素収率を示すグラフである。
【
図6】実施例1の温度条件に応じたメタン転換率を示すグラフである。
【
図7】使用された副生ガスがコークス炉ガス(coke oven gas、COG)である場合、改質ガスへの転換を確認するための実験装備を示す図である。
【
図8】実施例1で改質有無を確認するために温度条件に応じて測定した濃度組成および熱力学平衡値を示す図である。
【
図9】実施例1で改質有無を確認するために温度条件に応じて測定したメタン転換率および熱力学平衡値を示すグラフである。
【
図10】基準物質(Reference material)を用いた還元反応テストに使用された水素ガス(H
2)および一酸化炭素(CO)の絶対量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施例を詳細に説明する。本発明の利点、特徴、およびそれらの達成方法は、添付図面と一緒に詳細に後述されている実施例を参照すると明確になるだろう。ところが、本発明は、以下で開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態に実現できる。但し、本実施例は、本発明の開示を完全たるものとし、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものである。本発明は請求項の範疇のみによって定義される。明細書全体にわたって、同じ参照符号は同じ構成要素を示す。
別途の定義がない限り、本発明で使用されるすべての用語(技術および科学的用語を含む)は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に共通に理解できる意味で使用できるのである。また、一般に使用される辞書に定義されている用語は、特に定義されていない限り、理想的または過度に解釈されない。
また、 本明細書で使用された用語は、実施例を説明するためのもので、本発明を限定するものではない。本明細書において、単数の表現は、特に言及しない限り、複数の表現も含む。本明細書で使用される「含む(comprises)」または「有する(include)」は、言及された構成要素、特徴、数字、段階および/または動作の他に一つ以上の他の構成要素、特徴、数字、段階および/または動作の存在または追加を排除しない意味で使用する。そして、「および/または」は、言及されたアイテムのそれぞれおよび一つ以上の全ての組み合わせを含む。
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あるとする場合、これは他の部分の「真上に」ある場合だけでなく、それらの間に別の部分がある場合も含む。反対に、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「下に」あるとする場合、これは他の部分の「真下に」ある場合だけでなく、それらの間に別の部分がある場合も含む。
他に明示されない限り、本明細書で使用された成分、反応条件、ポリマー組成物および配合物の量を表現する全ての数字、値および/または表現は、これらの数字が本質的に異なるものの中からこのような値を得る上で発生する測定の多様な不確実性が反映された近似値であるので、全ての場合、「約」という用語によって修飾されると理解されるべきである。また、本記載から数値範囲が開示される場合、このような範囲は、連続的であり、他に指摘されない限り、このような範囲の最小値から最大値の含まれた前記最大値までの全ての値を含む。ひいては、このような範囲が整数を指し示す場合、他に指摘されない限り、最小値から最大値の含まれた前記最大値までを含む全ての整数が含まれる。
本明細書において、範囲が変数について記載される場合、前記変数は、前記範囲の記載された終了点を含む記載範囲内の全ての値を含むと理解されるべきである。例えば、「5乃至10」の範囲は、5、6、7、8、9および10の値だけでなく、6乃至10、7乃至10、6乃至9、7乃至9などの任意の下位範囲を含み、5.5、6.5、7.5、5.5乃至8.5、および6.5乃至9などの記載範囲の範疇に妥当な整数の任意の値も含むと理解される。また、例えば、「10%乃至30%」の範囲は、10%、11%、12%、13%などの値と30%までを含む全ての整数だけでなく、10%乃至15%、12%乃至18%、20%乃至30%などの任意の下位範囲を含み、10.5%、15.5%、25.5%などのように記載された範囲の範疇内の妥当な整数の任意の値も含むと理解される。
また、本明細書で使用された比率は、特に言及しない限り、化学量論比(Stoichiometric ratio)を意味すると理解される。以下、本発明について、添付図面に基づいてより詳細に説明する。
図1および
図2は本発明の幾つかの実施例に係る水素製造システムおよび水素製造方法を概略示す概念図である。
まず、
図1に示す通り、本発明によって鉄鋼工程または石炭化学工程で発生する副生ガスから水素を製造する水素製造システム1は、改質器(Reformer)50、分離器(Seperator)70および反応器(Reactor)100、200、300を含む。改質器50では、副生ガス(例えば、メタン(CH
4))を含む副生ガス)が改質されて改質ガスに転換され、分離器70では、改質ガスに含まれている水素(H
2)が分離される。また、反応器100、200、300では、酸化および還元反応が行われる。特に、このような酸化および還元反応は、酸化鉄(III)(ferric oxide、Fe
2O
3)還元工程または黒色酸化鉄(Fe
3O
4)の酸化工程を含む。
【0028】
次いで、
図2を参照してより具体的に説明する。本発明に係る水素製造システム1は、水蒸気(H
2O)を投入して前記副生ガスを改質する改質器50と、改質器50から供給された改質ガスから還元ガスと水素ガス(H
2)に分離させる分離器70と、分離器70から供給された還元ガスを用いて酸化鉄(III)(ferric oxide、Fe
2O
3)を酸化鉄(II)(ferrous oxide、FeO)に還元させる第1反応器100と、前記第1反応器から供給された酸化鉄(II)(FeO)に水蒸気(H
2O)を混合して黒色酸化鉄(ferrous ferric oxide、Fe
3O
4)および水素ガス(H
2)を生成する第2反応器200とを含む。
特に、本発明に係る水素製造システム1において、改質器50から排出される改質ガス中の水素ガス(H
2)の濃度は、前記副生ガス中の水素ガス(H
2)の濃度よりも高いことを特徴とする。すなわち、改質器50に供給される副生ガスは、水蒸気(H
2O)と反応して、水素(H
2)の濃度がより増幅された改質ガスに転換できる。
【0029】
一方、本発明の水素製造システム1は、分離器70から1次的に得た水素(H2)、および第2反応器200から分離して2次的に得た水素(H2)を含み、最終的に、より増加した量の水素(H2)を得ることができる。
一方、本発明の一実施例による水素製造システム1は、第1反応器100および第2反応器200に連結される第3反応器300をさらに含む。このような第3反応器300は、第2反応器200から供給された黒色酸化鉄(Fe3O4)に酸素(O2)を混合して酸化鉄(III)(Fe2O3)に酸化させることができる。これと同時に、第3反応器300は、前記酸化した酸化鉄(III)(Fe2O3)を第1反応器100へ供給するように構成できる。すなわち、本発明の水素製造システム1において、第1乃至第3反応器100、200、300はルーピングプロセス(Looping process)を構成する。これにより、供給された副生ガスから、従来よりも高い収率で水素を生産しつつ、副産物(by-product)の発生を減少させることができる。
【0030】
より具体的に、本発明の一実施例に係る水素製造システム1で行われる水素製造方法は、鉄鋼工程または石炭化学工程で発生する副生ガスを水蒸気(H2O)で改質して改質ガスを生成するステップと、前記改質ガスを還元ガスと水素ガス(H2)に分離させるステップと、前記還元ガスを用いて酸化鉄(III)(Fe2O3)を酸化鉄(II)(FeO)に還元させるステップと、前記還元された酸化鉄(II)に水蒸気(H2O)を反応させることにより黒色酸化鉄(Fe3O4)および水素ガス(H2)を生成するステップとを含む。また、前記還元ガスを生成するステップで、前記改質ガス中の水素ガス(H2)の濃度は、前記副生ガス中の水素ガス(H2)の濃度よりも高くてもよい。
前記改質ガスを生成するステップは改質器50で行われ、前記改質ガスを還元ガスと水素ガス(H2)に分離させるステップは分離器70で行われる。
【0031】
また、前記酸化鉄(III)(Fe2O3)を酸化鉄(II)(FeO)に還元させるステップは、第1反応器100で行われる。より具体的に、酸化鉄(III)(Fe2O3)を酸化鉄(II)(FeO)に還元させるステップは、化1に基づく反応を含む。
[化1]
4Fe2O3+CH4→8FeO+2H2O+CO2
化1において、メタン(CH4)が還元剤として機能することができ、本発明の水素製造システムおよび製造方法は、好ましくはメタン(CH4)転換率が85%以上であるが、これに限定されるものではない。また、黒色酸化鉄(Fe3O4)および水素ガス(H2)を生成するステップは、第2反応器200で行われる。より具体的に、黒色酸化鉄(Fe3O4)および水素ガス(H2)を生成するステップは、化2に基づく反応を含む。
[化2]
8FeO+8/3H2O→8/3Fe3O4+8/3H2
【0032】
一方、生成された還元ガスを用いて酸化鉄(III)(Fe2O3)を酸化鉄(II)(FeO)に還元させるステップで、酸化鉄(III)(Fe2O3)の一部は、黒色酸化鉄(Fe3O4)および水素ガス(H2)を生成するステップで製造された黒色酸化鉄(Fe3O4)に酸素(O2)を混合させて生成されるものを含む。より具体的には、前記混合された黒色酸化鉄(Fe3O4)および酸素(O2)は、化3に基づく反応によって酸化鉄(III)(Fe2O3)を生成することができる。
[化3]
8/3Fe3O4+2/3O2→4Fe2O3
また、このような黒色酸化鉄(Fe3O4)への酸素(O2)の混合は、第3反応器300で行われる。
これにより、第1乃至第3反応器100、200、300で行われる酸化還元反応を含む全体工程は、化4に基づいて行われる。
[化4]
第1反応器:4Fe2O3+CH4→8FeO+2H2O+CO2
第2反応器:8FeO+8/3H2O→8/3Fe3O4+8/3H2
第3反応器:8/3Fe3O4+2/3O2→4Fe2O3
*全体工程反応:CH4+2/3H2+2/3O2→8/3H2+CO2
【0033】
また、改質器50内の温度は600℃以上である。例えば、改質器50内の温度は600℃~900℃である。より好ましくは、改質器50内の温度は700℃以上である。例えば、改質器50内の温度は700℃~900℃である。これにより、本発明に係る水素製造方法において、前記改質ガスを生成するステップは600℃~900℃の温度で行われる。
また、本発明の一実施例に係る水素製造システム1において、分離器70は、圧力スイング吸着(pressure swing adsorption、PSA)ユニットをさらに含む。これにより、前記改質ガスを還元ガスと水素ガス(H2)に分離させるステップは、圧力スイング吸着(PSA)工程を含む。すなわち、改質器50から供給された改質ガスから水素(H2)を他の成分よりも昇圧で選択された吸着剤(または、分離膜)によってより強く吸着させることにより、水素(H2)を分離することができる。例えば、前記吸着剤の分離効率は80%以上である。これにより、分離される水素(H2)の回収率は80%以上である。また、10barの昇圧された圧力条件で圧力スイング吸着が行われる。
【0034】
一方、本発明に係る水素製造システム1において、第2反応器200に注入される水蒸気(H2O)の一部は、第1反応器100から供給できる。すなわち、還元された酸化鉄(II)に水蒸気(H2O)を反応させることにより黒色酸化鉄(Fe3O4)および水素ガス(H2)を生成するステップで、水蒸気(H2O)の一部は、前記酸化鉄(III)(Fe2O3)を酸化鉄(II)(FeO)に還元させるステップで生成されるものを含む。これにより、第1反応器100の反応(化1参照)で生成される水蒸気(H2O)が、第2反応器200に供給され、第2反応器200の反応(化2を参照)で使用することで、外部から供給される水蒸気(H2O)を節約することにより、限られた資源から生産効率を高める環境調和的な水素製造システム1になる。
一方、本発明に係る水素製造システム1で使用される副生ガスは、例えば、石炭化学工程で発生するコークス炉ガス(coke oven gas、COG)、転炉ガス(LDG)、ファイネックスオフガス(FOG)、および高炉ガス(BFG)などを含む。特に好ましくは、副生ガスはコークス炉ガス(COG)を含む。コークス炉ガス(COG)は、例えば、表1のガス組成を含む。
【0035】
【表1】
また、水素(H
2)の生産効率を向上させるために、本発明に係る水素製造システム1で使用される副生ガスにおける水蒸気/炭素の比(Steam to Carbon ratio、H
2O/CH
4)は2.5乃至3.5である。特に好ましくは、水蒸気/炭素の比(H
2O/CH
4)は3.0である。
一方、本発明の水素製造方法で改質ガスを還元ガスと水素ガス(H
2)に分離させるステップで、前記還元ガスは、水素ガス(H
2)、一酸化炭素(CO)、メタン(CH
4)およびこれらの組み合わせよりなる群から選択される少なくとも1種を含む。したがって、本発明の水素製造システム1の分離器70で改質ガスから分離される還元ガスは、水素ガス(H
2)、一酸化炭素(CO)、メタンガス(CH
4)およびこれらの組み合わせよりなる群から選択される少なくとも1種を含む。
【0036】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明する。しかし、以下の実施例は例示的に説明するためのものであり、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
図3に示す通り、実施例1は、コークス炉ガス(COG)100kmol/hrを副生ガスとして改質器に投入した。このとき、表2のガス組成のコークス炉ガス(COG)を使用した。
【表2】
改質器(Gibbs reactorで構成できる)を用いて、水蒸気/炭素の比(H
2O/CH
4)3.0、反応温度800℃、反応圧力1atmの改質条件で、コークス炉ガス(COG)から水素(H
2)の濃度が増幅された改質ガスを生成する(メタン(CH
4)転換率~97%)。
生成された改質ガスを改質器から分離器(PSAの使用、分離膜の効率:80%、圧力条件:10bar)へ移動させて1次的に水素(H
2)119.47kmol/hrを分離する(回収率:80%)。
【0037】
分離されていない改質器内の残余還元ガス(水素ガス(H2)28.84kmol/hr、一酸化炭素(CO)32.45kmol/hr、メタンガス(CH4)0.67kmol/hrを含む)は、燃料反応器(Fuel Reactor)へ移動させた後、燃料反応器(Gibbs reactorで構成できる)内に投入される十分な量(すなわち、供給される還元ガスを十分に使用することができる量)の酸化鉄(III)(Fe2O3)触媒と反応温度800℃および反応圧力1atmで反応させる。たとえば、30kmol/hrの酸化鉄(III)(Fe2O3)触媒と反応させて酸化鉄(II)(FeO)116.94kmol/hrを生成した(還元反応、Fe2O3還元率:95%)。
燃料反応器で生成された酸化鉄(II)(FeO)を水蒸気反応器(Steam Reactor)へ移動させた後、水蒸気(H2O)と反応させて黒色酸化鉄(Fe3O4)および水素ガス(H2)を生成して2次的に水素ガス(H2)38.98kmol/hrを分離する。このとき、水蒸気反応器に投入される水蒸気(H2O)の一部は、先立って燃料反応器から得られる。
【0038】
このような各装置における成分の引き込み量をまとめて表3に示す。
【表3】
一方、水蒸気反応器で生成された黒色酸化鉄(Fe
3O
4)は、空気反応器(Air Reactor)へ移動させた後、酸素(O
2)と反応させて酸化鉄(III)(Fe
2O
3)を生成する。そして、蒸気反応器で生成された酸化鉄(III)(Fe
2O
3)は、さらに燃料反応器へ移動して、投入される還元ガス(H
2、CH
4、CO)と反応する、ルーピングプロセス(Looping process)が行われ得る。
【0039】
その結果、1次および2次的に生成される水素(H
2)の総量は158.45kmol/hrである。
比較例1
図4に示す通り、実施例1の改質器および分離器を用いて1次的に水素を分離する工程(S1)とは異なり、比較例1は改質器50を使用しなかった。これにより、コークス炉ガス(COG)を水蒸気(H
2O)で改質せずに、直接コークス炉ガス(COG)から分離器70を用いて1次的に水素(H
2)47.56kmol/hrを製造し(S2)、分離された残余還元ガス(水素ガス(H
2)11.89kmol/hr、一酸化炭素(CO)6.83kmol/hr、メタンガス(CH
4)25.63kmol/hrを含む。)を酸化還元反応器100、200に投入して2次的に水素(H
2)76.79kmol/hrを生産した(S2)。
その結果、1次および2次的に生成される水素(H
2)の総量は158.45kmol/hrである。
【0040】
比較例2
図4に示す通り、実施例1の工程(S1)または比較例1の工程(S2)とは異なり、比較例2の場合、改質器50および分離器70を使用しなかった。これにより、コークス炉ガス(COG)(水素ガス(H
2)59.45kmol/hr、一酸化炭素(CO)6.83kmol/hr、メタンガス(CH
4)25.63kmol/hrを含む。)を直ちに還元ガスとして酸化還元反応器100、200に投入して水素(H
2)106.91kmol/hrを生産した(S3)。
【0041】
評価例1:全体水素(H
2
)の生産量
実施例1、比較例1および比較例2の全体水素(H
2)の生産量は、表4のとおりである。
【表4】
従って、実施例1に基づいて改質器と分離器の両方を用いて1次的に水素を生産し、酸化還元工程を用いて2次的に水素を生産した場合に、最も高い収率で水素(H
2)が生産された(158.45kmol/hr)ことが分かる。
評価例2:温度条件に応じた水素(H
2
)の収率を確認
一方、改質工程で温度条件に応じた水素(H
2)の収率を確認するために、前記表1によるコークス炉ガス(COG)を使用するが、実施例1と同様の条件で改質工程を行った。このとき、改質器の運転条件中の温度を500℃~1000℃に変化させて比較し、それにより生成された改質ガスの組成を
図5に、メタン(CH
4)転換率を
図6にそれぞれ示した。
図5に示す通り、好ましくは600℃以上、さらに好ましくは600℃~900℃で望ましい組成および高い水素(H
2)収率を得たことが分かる。
図6に示す通り、好ましくは600℃以上でメタン(CH
4)転換率が約80%以上になったことが分かる。一方、得られた数値は、熱力学的計算によって水素(H
2)の収率を確認した。
【0042】
評価例3:温度条件に応じたコークス炉ガス(COG)の改質性能検証
検証実験装備
次いで、
図7には、副生ガス(コークス炉ガス(COG))の改質を検証するための実験装備を示す。このような実験装備は、コークス炉ガス改質器(COG reformer)410、温度検出器(Temperature detector)420、圧力検出器(Pressure detector)500、501、および逆圧力調節器(Back pressure regulator)600を含む。
改質性能検証
前記検証実験装備を用いて、温度条件に応じた熱力学的組成およびメタン(CH
4)転換率をそれぞれ
図8および
図9に示した。このとき、水蒸気改質触媒(Steam Reforming Catalyst、SR Catalyst)の容積4mlに、ガス時空間速度(Gas Hourly Space Velocity、GHSV)5000/h、水蒸気/炭素の比(SCR、H
2O/CH
4)3.0を条件として、上記の結果を求めた。
図8に示す通り、好ましくは温度条件700℃以上から熱力学平衡値に近い改質性能を確認した(水素(H
2)の収率~80%、無水ベース(dry basis))。
図9に示す通り、700℃以上の温度条件でメタン(CH
4)転換率が90%以上であることが確認でき、目標のメタン(CH
4)転換率が85%を上回ることを確認した。
【0043】
評価例4:酸化還元反応器における酸化還元反応の検証
酸化還元反応器(例えば、燃料反応器および水蒸気反応器)への適用可能性を探求するために、酸化鉄(III)(Fe
2O
3)基準(Reference)物質を用いて、還元反応器の実験を行った。前記実験の結果を基に、本発明の工程における酸化鉄(III)(Fe
2O
3)の適用時に工程設計変数を導出した。
還元反応器の実験条件
表5には反応ガスの絶対量を示し、表6には実験条件の詳細を示す。
【表5】
【表6】
【0044】
還元反応の検証結果
還元に使用された水素(H
2)および一酸化炭素(CO)の絶対量を
図10に示し、還元反応器実験結果を
図11に示した。
図10に示す通り、実験結果、4.78mmol/gの還元ガスが触媒還元に使われることが分かるとともに、酸化鉄(III)(Fe
2O
3)基準(reference)物質の場合、5.0mmol/gの酸化鉄(III)(Fe
2O
3)を持っているので、約0.95の化学量論(stoichiometry)だけ還元に参加したことが分かる。よって、前記実験結果を基に、工程設計変数を提示することができる。一方、還元反応に使われたガス絶対量は、下記表7に示す。
【0045】
【表7】
その結果、本発明に係る水素製造システムおよび水素製造方法では、改質器を用いて、特定の水蒸気/炭素の比(H
2O/CH
4)、反応温度および圧力条件で、副生ガス(特に、コークス炉ガス(COG))から水素(H
2)の濃度が増幅された改質ガスを生成(メタン(CH
4)転換率~97%)し、この改質ガスから水素(H
2)を分離して1次的に高い回収率(例えば、80%)の水素(H
2)を製造することができた。
また、改質工程で残余還元ガス(例えば、水素ガス(H
2)、一酸化炭素(CO)およびメタン(CH
4)を含む。)は、酸化還元反応器へ移動させた後、十分な量の酸化鉄(III)(Fe
2O
3)触媒と特定の反応温度および反応圧力で反応させることにより、より高い収率で酸化鉄(II)(FeO)を生成する還元反応が行われた。このように生成された酸化鉄(II)(FeO)を水蒸気(H
2O)と反応させて黒色酸化鉄(Fe
3O
4)および水素ガス(H
2)を生成し、2次的に水素ガス(H
2)を分離することができた。よって、このように二元化された工程によって、高収率の水素(H
2)を製造した。
それだけでなく、水蒸気反応器に投入される水蒸気(H
2O)の一部は、先立って還元反応で得られるものをリサイクルすることにより、結果的に環境にやさしい水素(H
2)を製造することができた。
【0046】
以上、本発明に関する好ましい実施例を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の属する技術分野を逸脱しない範囲での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0047】
1 水素製造システム
50 改質器
70 分離器
100 第1反応器
200 第2反応器
300 第3反応器
410 ガス改質器
420 温度検出器
500、501 圧力検出器
600 逆圧力調節器